説明

PCカード

本発明は、電子部品を実装したプリント基板を内部に収納したPCカードにおいて、カバーの強度を損なうことなく部品高さの高い電子部品をプリント基板に実装可能とした。カバー体及び本体カバー1、2の何れか一方又は両方に電子部品4との干渉を回避する孔部2aを1つ以上形成し、カバーの外側からその孔部を塞ぐ板状部材8を設け、板状部材8の外表面とカバー体及び本体カバー1、2の外側表面がほぼ同じ高さになるように構成すると共にその板状部材8の厚さをカバー体及び本体カバーの厚さよりも薄くなるように構成する。この構成により、カバーの強度を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、携帯型情報処理機器等に使用するPCカードの構造に関する。
【背景技術】
昨今、携帯型情報処理機器の発展と共にPCカードはメモリ、モデム、FAX、LANカード等多くの種類が商品化されている。年々、高性能、多機能化が要求されており、それに伴い内部のプリント基板に実装されるLSI等の電子部品も大規模化してきている。
従来よりPCカードの構成は、メモリ等の電子部品を搭載したプリント基板がフレームに組み付けられ、上下から一対のメタルカバーで覆われた構成等、多くの例が知られている(例えば、JP7−160377A)。
図3は、従来の一般的なPCカードの部分断面図である。同図にて、1は上カバーであり、100は下カバーである。共に長方形の薄い金属板等で形成され、大部分が平板部からなり、外周部に部分的に折曲げ縁部が形成されている。
3はプリント基板であり、この基板3は合成樹脂製の長方形の板体で製作され、上カバー1と下カバー100の間に平行に配置され、電子部品4、5、6が表面側と裏面側に実装されている。
プリント基板3の一端にはコネクタ7が実装され、図示しないホスト側のスロットに接合されてホスト側と信号を伝達可能である。
101は樹脂成形品等からなる剛性を有するフレームであり、内部にプリント基板3が接着やねじ止め等により固定される。さらに、このフレーム101の表面側に上カバー1が、裏面側に下カバー100がスナップイン方式や熱圧着等により固定され、前記基板3を保護している。
しかしながら、PCカードの厚みは規格により5mmと規定されており、従来の構成では、プリント基板3上に実装される電子部品4、5、6の高さが高くなるにつれ、プリント基板3の厚みを薄くするか上下のカバー1、100の厚みを薄くする必要が生じる。
最近は、高密度実装化により多層プリント基板が使用されることも多く、プリント基板の厚みを薄くできない場合も多い。また、プリント基板を薄くすると実装後や、温度変化が生じたときに変形しやすく信頼性が確保できないという問題点があった。
そこで上下のカバー1、100の平板部の厚みを薄くする必要が生じるが、カバー1、100の平板部の厚みを薄くするにつれ強度が弱くなり、カバー1、100の平板部を押圧された時や落下させた場合にカバーが変形しやすくなり信頼性が低下するといった問題点があった。一般にPCカードのカバー1、100の平板部には、ラベル等を貼るためにカバーの表面の一部に浅い凹部が形成されることが多く、その部分は元々厚みが薄い上に更にカバー1、100の厚みを薄くすると、より強度が弱くなってしまうという問題点があった。
【発明の開示】
本発明はこのような問題点に鑑み、PCカード内部のプリント基板に部品高さが高い電子部品を実装したときにも、ラベル等を貼るための凹部を形成しつつカバーの強度を確保できるPCカードを実現することを目的とする。
本発明は、電子部品が実装されたプリント基板と、前記プリント基板を収納する主としてフレーム材と平板部からなる本体カバーと、前記本体カバーに固定してプリント基板を蓋うカバー体と、前記電子部品との干渉を回避すべく前記電子部品と対向する前記本体カバーの平板部の部分に形成された1つ以上の孔部と、本体カバーの前記孔部を塞ぎ、本体カバーに固定可能な1つ以上の板状部材とを具備し、前記板状部材の外側表面と前記本体カバーの外側表面とをほぼ同じ高さになるように構成すると共に前記板状部材の厚さを本体カバーの平板部の厚さよりも薄くなるように構成したものである。
本発明のPCカードは、部品高さの高い電子部品に対向するカバーの表面部分は孔部が形成され、その孔部をカバーの厚みよりも薄い板状部材で塞いでいるために、カバーの厚みを厚くして強度を上げることができるとともに、より高さのある電子部品をプリント基板上に実装することができ、信頼性高いPCカードが実現できることになる。
また、本発明はカバー体及び本体カバーの所定の範囲内に孔部を集中して形成すると共に、孔部以外の範囲においてはカバーの外側に凹部を形成したことにより、電子部品と干渉しない部分のカバー体及び本体カバー表面は凹部を形成できるので、ラベルやメモ等を貼るスペースを実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のPCカードの分解斜視図である。
図2は本発明のPCカードの部分断面図である。
図3は従来のPCカードの部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
第1の本発明のPCカードは、電子部品が実装されたプリント基板と、前記プリント基板を収納する主としてフレーム材と平板部からなる本体カバーと、前記本体カバーに固定してプリント基板を蓋うカバー体と、前記電子部品との干渉を回避すべく前記本体カバーの平板部の前記電子部品と対向する部分に形成された1つ以上の孔部と、前記本体カバーの孔部を塞ぎ、本体カバーに固定可能な1つ以上の板状部材とを具備し、前記板状部材の外側表面と前記本体カバーの外側表面がほぼ同じ高さになるように構成すると共に前記板状部材の厚さを本体カバーの平板部の厚さよりも薄くなるように構成した。
上記構成により、背の高い電子部品に対向する本体カバーの部分は孔部が形成されて電子部品と干渉せず、本体カバーの厚みを厚くできるとともに、電子部品の背の高い部分は、カバーよりも薄い板状部材で塞がれているため、電子部品の高さを高くできるという作用を有する。
第2の発明は、本体カバーに被せる前記カバー体に、電子部品との干渉を回避する孔部を形成し、この孔部を板状部材で塞いでいる。
上記構成により、PCカードの剛性を高めつつ、孔部に対応するプリント基板両面の位置に、部品高さの高い電子部品を実装することが可能となる。
第3の発明は、前記孔部周囲の本体カバー及びカバー体の外面に前記板状部材の厚さにほぼ等しい深さの段部を形成している。前記段部を形成することにより、作業上、板状部材をカバーに固定しやすくなり、また板状部材が外側から押圧されたときに段部で板状部材が支持されるため強度が高くなるという作用を有する。
第4の発明は、前記本体カバーの平板部及びカバー体に形成した2つ以上の前記孔部を1つの前記板状部材で塞ぐように構成した。前記のように、2つ以上の孔部を1つの板状部材で塞ぐように構成したことにより部品点数が減少し、安価なPCカードが提供できるという作用を有する。
第5の発明は、前記本体カバーの平板部及びカバー体において、所定の範囲内に前記孔部を集中して形成すると共に、前記所定の範囲外においては凹部を形成した。
前記のように、凹部を形成することにより、ラベルやメモ等を貼るスペースが実現できるという作用を有する。また、ある範囲内に孔部を集中して形成することにより、凹部の範囲を大きく形成できるという作用を有する。
第6の発明は、前記プリント基板の長手方向の一端に信号の伝達が可能なコネクタを実装し、前記所定の範囲とは前記コネクタから所定の距離内とする。
前記のように、前記コネクタから所定の距離内、即ち、コネクタから遠い部分に凹部を形成することにより、ラベルやメモが背面側近くに貼れることになる。ラベルやメモを背面側近くに貼ることにより、PCカードをスロットに挿入した状態でラベルやメモの内容を確認する必要が生じた場合、PCカードをすべて抜く必要なく、途中まで抜くとある程度ラベルやメモの内容が確認できるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明のPCカードの構成を示す分解斜視図である。図2は本発明のPCカードの部分断面図である。従来例と同じ番号を付したものは、従来例と部材であり、詳細な説明を省略する。
本発明のPCカードは、本体カバー2と、本体カバー2の上部を閉じるカバー体1と、本体カバー2に収納されカバー体1で覆われたプリント基板3とから構成されている。
図1及び図2において、本体カバー2は、金属のダイキャスト、鍛造、切削、焼結、プレスあるいは樹脂成形品等により成形され、剛性を有し、多少の衝撃や外圧に対しても耐え得るよう構成されている。この本体カバー2は、両側のフレーム材2Aの両端部に桟2B(図1では一方の桟しか図示せず)が架け渡され、フレーム材2Aと桟2Bで囲まれた領域を平板部2Dで閉じている。
フレーム材2Aと桟2Bと平板部2Dとは一体に成形したものでもよく、また平板部2Dだけ別体にしてフレーム材2Aと桟2Bに接着剤やネジ等で固定してもよい。平板部2Dは従来例の下カバー100より強度的にも強い構造となっている。この平板部2Dには後述するように、孔部2a、凹部2bが形成されている。
カバー体1は、前記本体カバー2にスナップイン方式、熱圧着、接着、ねじ止め等で一体に固定可能である。図1及び図2のカバー体1は、前記従来例と略同じ構成であり、長方形状の薄い金属板等で形成され、大部分が平板部1Aからなり、外周部に部分的に折曲げ縁部1Bが形成され、本体カバー2に固定するための係止片1Cが複数形成されている。また、平板部1Aには、ラベル等を貼るために浅い凹部1Dが形成されている。しかし、カバー体1はかかる従来例のものに限定されず、孔部2a、凹部2bが形成された前記平板部2Dと同様な構成のカバー体であってもよい。孔部2aは後述する板状部材8によって閉じる。そうすることで、PCカードの剛性を高めつつ、プリント基板両面の孔部に対応する位置に、部品高さの高い電子部品を実装することが可能となる。また、図1では、本体カバー2はプリント基板3の下側に位置し、カバー体1は上側に位置するが、この配置を逆にしてもよい。
プリント基板3は本体カバー2内に嵌め込まれて固定されている。プリント基板3の表面側及び裏面側の何れにも電子部品4、5、6が実装されている。特に電子部品4はLSI等の部品高さが高い電子部品である。5はチップ部品等の部品高さが低い電子部品である。
平板部の部品高さの高い電子部品4と対向する本体カバー2の部分には、孔部2aが形成されており、電子部品4との干渉を回避している。また、孔部2aの周囲のカバー外側表面は段部2cが形成され、周囲の表面よりも若干へこんでいる。
前記孔部2aは板状部材8で閉じられている。板状部材8は、金属や樹脂等の薄板からなり、段部2cに嵌め込まれ、本体カバー2に接着や粘着テープ、スナップイン、ねじ止め、熱圧着等で固定される。そして、板状部材8が本体カバー2に固定された状態で、板状部材8の外側表面と本体カバー2の外側表面がほぼ同じ高さ(ほぼ面一)になるように、段部2cの深さが板状部材8の厚さとほぼ等しく形成されている。板状部材8を接着や両面テープ等で固定する場合は、板状部材8の厚みに接着剤や両面テープの厚み分を加えた深さで形成するとよい。
ここで、板状部材8の厚みは本体カバー2の平面部の厚みよりも薄く形成されている。このように構成することにより、部品高さの高い電子部品4と対向する本体カバー2の部分は、孔部2aが形成されているので、本体カバー2に電子部品4が干渉せず、板状部材8の内側表面まで隙間が確保でき、より高い電子部品をプリント基板3に実装できる。一方、電子部品4から離れた部分の本体カバー2の厚さはある程度厚く構成でき、その結果、板状部材8の厚さで平板部2Dを構成した場合よりも本体カバー2の強度を上げることができる。また、平板部2Dの内側に、電子部品との干渉を避けて、一体的にリブ等を設けることにより、本体カバー2の強度をさらに上げることができる。
なお、図1では孔部2aを2つ形成しているが、1つの大きな孔部を形成してもよい。但し、孔部2aはできる限り小さくして板状部材8が嵌まり込む段部2cの受け面を広く形成することにより、外部から押圧された場合に板状部材8が段部2cの受け面で支持され変形しにくくなる。よって、1つの大きな孔部2aよりも可能な限り小さな孔部を複数形成し、段部2cの受け面を広くするとよい。
また、板状部材8を複数使用してもよいが、1つにすることにより、部品点数を削減でき、より安価なPCカードが実現できる。
また、板状部材8をカバーに固定するときには、静電気等の影響を避けるために、カバー、板状部材8を金属等の導電性部材で構成し、板状部材8とカバーをばね接点や半田づけ等で導通させるとよい。
また、板状部材8は組立の際、最後に取り付けることも可能であり、板状部材8の外側表面にシリアル番号やロット番号等の生産番号や注意文等を表示させてもよい。これらの表示は通常の印刷の他、レーザーエッチングやシルク印刷等で行うことも可能である。
(実施の形態2)
図1において、プリント基板3の長手方向の一端にはコネクタ7が実装されている。そして、部品高さの高い電子部品4はコントロールLSI等であり、ノイズなどの影響を少なくするために、プリント基板3上でコネクタ7から所定の距離で、所定の範囲内に集中して実装している。その結果、本体カバー2の平板部2Dにおいて、孔部2aもコネクタ7から所定の距離内で集中して形成されている。
孔部2aの形成される範囲としては、例えば図1のようにPCカードにおける長手方向の中央よりもコネクタ7に近い部分(コネクタ寄りの約1/2)とすることもできるし、図示はしないがコネクタ7寄りの約1/3までの部分もしくはコネクタ7寄りの約2/3までの部分とすることもできる。
一方、孔部2aが形成されていない範囲において、本体カバー2の外側部分、即ちコネクタ7から遠い側の背面部分のカバー外面には、周囲の面よりも低い凹部2bが形成されている。
この凹部2bを形成することにより、ラベルやメモ等を貼ることが可能となる。そして、本実施の形態のように凹部2bをコネクタ7から遠い側の背面部分に設けることにより、PCカードをスロットから全部抜き取らずに、途中まで引き抜くとラベルの表示を確認できるという使い勝手のよいPCカードが実現できる。
【産業上の利用可能性】
本発明にかかるPCカードは、過酷な取り扱いがなされる携帯用情報機器において特に有用である。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装されたプリント基板と、
前記プリント基板を収納する主としてフレーム材と平板部からなる本体カバーと、
前記本体カバーに固定してプリント基板を蓋うカバー体と、
前記電子部品との干渉を回避すべく前記電子部品と対向する前記本体カバーの平板部の部分に形成された1つ以上の孔部と、
本体カバーの前記孔部を塞ぎ、本体カバーに固定可能な1つ以上の板状部材とを具備し、
前記板状部材の外側表面と前記本体カバーの外側表面とをほぼ同じ高さになるように構成すると共に前記板状部材の厚さを本体カバーの平板部の厚さよりも薄くなるように構成したPCカード。
【請求項2】
本体カバーに被せる前記カバー体に、電子部品との干渉を回避する孔部を形成し、この孔部を板状部材で塞ぐ請求項1記載のPCカード。
【請求項3】
前記孔部周囲の本体カバー及びカバー体の外面に前記板状部材の厚さにほぼ等しい深さの段部を形成した請求項1又は2記載のPCカード。
【請求項4】
前記本体カバーの平板部及びカバー体に形成した2つ以上の前記孔部を1つの前記板状部材で塞ぐように構成した請求項1又は2記載のPCカード。
【請求項5】
前記本体カバーの平板部及びカバー体において、所定の範囲内に前記孔部を集中して形成すると共に、前記所定の範囲外においては凹部を形成した請求項1又は2記載のPCカード。
【請求項6】
前記プリント基板の長手方向の一端に信号の伝達が可能なコネクタを実装し、前記所定の範囲とは前記コネクタから所定の距離内とする請求項5記載のPCカード。

【国際公開番号】WO2005/020047
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513395(P2005−513395)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012615
【国際出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】