説明

PET容器及びボトルのための殺菌システム

少なくとも1つの電子流発生器1と、走査ガン2と、好ましくは重金属から作られた少なくとも1つのターゲット4と、を有するPET容器及びボトルのための殺菌システムであって、このシステムにおいては、電子放射線の一部分が前記ターゲットに当たることで、反射されたX線放射線が生じ、これが容器の殺菌に寄与する。また、電子放射線と衝突する一定量の液状又はガス状酸素は、放射線に曝されることによってオゾンへと変化し、これによってさらに殺菌に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品表面及びガスの殺菌、特には、電子と物品表面及びその周辺環境との反応、及び電子と該環境に含まれている又はそこで流れているガス又は空気との反応によって主になされる殺菌、また、そこで生じる相乗効果に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、薬剤生産及び食品加工の分野では、有害な微生物によって引き起こされる危険に対する防衛として、殺菌が非常に重要となっている。今日使用されている殺菌方法の多くは、殺菌剤が殺菌される物品に組織的に浸透することを必要としている。この方法は熱手段による殺菌を含んでおり、殺菌される物品は例えば加圧減菌器(autoclave)によって加熱及び加圧される。熱及び圧力は殺菌される物品の内部に浸透し、十分な時間を経て有害な微生物を殺す。また、過酸化水素又はエチレンオキサイドといったガスが物品を殺菌するために使用される。その気体は、完全な殺菌のために物品全体に浸透する必要がある。別の殺菌方法としては、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子といった電離放射線を用いる方法がある。
【0003】
しかし、殺菌の目標となる多くの物品において、殺菌媒体に曝されることによって物品自体に有害な影響が生じる場合がある。例えば、熱に曝されることによって溶解する又は劣化する物品や、殺菌化学剤と反応して劣化する製品や、電離放射線といった高エネルギー放射線に曝されることによって有害に変化する材料が存在する。過去においては、電離放射線が目標となる物品の表面のみに制限されるのであれば、それによる悪影響が生じることはないと考えられていた。しかし、電離放射線のほとんどは加速器といった強力なビーム発生装置によって生み出されるのであり、したがって、生じた放射線ビームは自然の貫通力を備えているのである。
【0004】
特許文献1は、活性プラズマを生み出すようにガス雰囲気において放電を行うことによる、医療装置の乾燥殺菌プロセスを開示している。実施形態では、物品がコンベヤベルトの上に置かれ、それから、その物品は大気圧放電が環境大気においてコロナ放電によって生み出されるギャップへと運ばれる。プラズマは、接地されかつカソードとして働くコンベヤベルトと、アノードとして働きかつ電離ガスを分散させる複数のニードル型ノズルとの間の放電によって形成される。上記のガスは、酸素のような酸化ガスでもよいし、水素のような還元ガスでもよい。
【0005】
特許文献2は、減圧されたガス雰囲気において電気放電によって生み出されたガスプラズマに物品を曝すことによる殺菌を開示している。水素、酸素、窒素及び不活性ガスは全て、プラズマを形成するために使用可能なガスとして推奨される。
【0006】
上記特許文献のような高エネルギーによる殺菌とは反対に、特許文献3では、最初は特別に高エネルギーであるが、低エネルギーの電子を使用することによる物品表面の殺菌が開示されている。低エネルギー電子の利点の1つは、それが物品の内部にまで浸透せず、殺菌される材料の機械的特質を変えないということである。
【0007】
特許文献3の考え方を拡大させたものが特許文献4であり、そこでは、目標材料の外側層のみに浸透し内側層を通過することがない程度のエネルギーを有する電子ビームを使用することが開示されている。
【0008】
様々な特許文献が表面殺菌をなすためのガスプラズマの使用について開示している。特許文献5では、殺菌される目標物品を含むチャンバ内に非常に低い圧力で導入された連続フローガスプラズマを使用することが開示されている。冷たいプラズマは、無線周波数電磁場に曝す手段によってアルゴンといったガスによって連続的に製造される。以前に考案された装置において存在した問題の1つは、例えば、バイアル(vials)、キュベット(cuvettes)及びスリーブ(sleeves)などの三次元構造に関係している。時々、これらの構造は電解放射線ビームに対して影となる領域を生み出す断面を有しており、電子又は反応性イオンといった拡散放電(diffused discharge)でさえ、結果としてほとんど殺菌されないそのような領域に到達することはない。1つの解決策は、殺菌される物品を回転させること又は異なる角度に向けることである。
【0009】
特許文献6に記載の他の方法では、2つの電子発生器を使用しており、それは、1つの発生器が取り扱われる物品に対してもう一方の手前になるように配置されており、こうすることで、他方の発生器によって残された影領域を互いにカバーすることができる。
【0010】
最近では殺菌方法に関する多くの文献及び特許が存在しており、例えば、過酸化水素の使用に関係した特許文献7、過酢酸やホルマリン等を使用することを開示している特許文献8、過酸化水素及びオゾンを使用することを開示している特許文献9などがある。特許文献10、特許文献11及び特許文献12は、オゾン及び水に溶解したオゾンを使用することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4801427号明細書
【特許文献2】米国特許第5200158号明細書
【特許文献3】米国特許第3780308号明細書
【特許文献4】米国特許第4652763号明細書
【特許文献5】米国特許第3948601号明細書
【特許文献6】米国特許第6623706B2号明細書
【特許文献7】米国特許第6682696B1号明細書
【特許文献8】米国特許第2004/022673号明細書
【特許文献9】米国特許第6945013号明細書
【特許文献10】米国特許第2006/0032189号明細書
【特許文献11】米国特許第2007/0065335号明細書
【特許文献12】米国特許第6432279号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、解決すべき主な技術課題は、PET容器といった精密な形状をした容器を劣化させるような温度に曝すことなく、容器の殺菌を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、上記問題を解決するために適用される、PET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印システムを提供することである。この解決法は、請求項1に記載のPET容器及びボトルのための殺菌システムによって実行される。
【0014】
本発明の別の様態にしたがうと、前記課題は請求項12に記載の殺菌方法によって解決される。
【0015】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を開示しており、よって本記載と一体的な部分を形成している。
【0016】
本発明のさらなる特徴及び利点は、好ましいが制限的ではない、PET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印システムの実施形態に関する詳細な記載によってより明らかになるであろう。これは、付属の図面の助けを借りて非限定的な例によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】放射線によって容器を殺菌する、ケーブルアンドトランク(cable−and−trunk)概略図を示す。
【図2】殺菌される容器が異なる放射線照射角度で配置されている、前記の図面と同様の構成をした図を示す。
【図3】殺菌される容器が円周に沿って動き及び少なくとも一回放射線に曝されている、ケーブルアンドトランク概略図を示す。
【図4】前記の図面に対して、容器に対する放射線照射の異なる構成の図を示す。
【図5】ホイール操作システム及び電子流発生器に焦点を当てた、殺菌システムの断面図を示す。
【図6】容器の放射線照射領域と、対応するカプセル、発生器及び対応する電子加速器の放射線領域とに焦点を当てた、前記の図面に対応した垂直断面の部分図を示す。
【図7】排出領域の近くにある容器のための操作システムの部分図である、開放遮蔽部材を備えたシステムの三次元図を示す。
【図8】操作システムを形成している、殺菌ホイール、入り口ホイール及び出口ホイールの位置が示されている、システムの他の三次元図を示す。
【図9】殺菌されるボトルを把持するためのクランプの平面図を示す。
【図10】前記の図面のクランプの斜視図を示す。
【図11】吹かれる容器に導入される洗浄ノズルを備えた、容器のための精密な回転及び洗浄システムを示す。
【図12】作動させる前のシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この革新的かつフレキシブルで、全面的にコンピュータ制御されているシステムは、約200〜400KeVsという低電圧で電子を発生させる1つ以上の電子発生器1と、磁場発生器又は偏向器3及び電子ビームのためのプログラム可能な後加速区間(post−acceleration sections)とを有しており、この後加速区間によって殺菌及び重合化(polymerization)の両方の場面において電子ビームの特性をベストな状態にすることが可能であり、これらによって、容器の表面を密封すること及び刻印すること、また無菌充填がなされる。
【0019】
本発明は、PET容器のための新しい成型、殺菌及び充填システムにおける電子ビームの全ての仕様及び様々な特性の相乗効果を最も良く引き出す。それは、大気圧プラズマ(APS)技術に基づく新しい加熱方法の導入によって支えられた、殺菌、オゾン製造、プラズマ、重合化、加熱及びX線の製造などであり、これは次の手順によってなされる:
1.線量均一性(dose uniformity)の最適化、
2.200〜400KeVsのオーダーでPCプログラム制御が可能な電子発生源の使用。ここで、前記発生源は、少なくとも1つの走査ホーン(scanning horn)又はガン2を含んでおり、及び90°の角度で入るビームを備えたウィンドウ21を有している、
3.散乱電子を偏向させるためのPCプログラム制御が可能な磁場31の使用、
4.X線を発生させるための領域に付随しているPCプログラム制御が可能な電子後加速場の使用、
5.フレキシブルかつPCプログラム可能なビーム走査のラスター(raster)又は配置、
6.電子ビーム及びUVによって生み出されたOによる、装置、周辺環境及び容器の殺菌、
7.電子ビームによる密封塗装の重合化、
8.電子ビームによる日付印や刻印等の重合化、
9.APS技術による加熱。
【0020】
したがって、本発明の目的は、一般的には食物のためのPETプリフォーム、ボトル及び容器を殺菌するためのフレキシブルでコンピュータ化された統合システムを提供することであり、これによってPET基体に悪影響を与えることなく電離放射線を用いることが可能である。事実、主な目的の1つは、直接的に放射線に曝すことによって、及び、これより開示される、容器に放射される線量の均一性を最適化することが可能な他の装置を用いることによって、無菌容器を獲得することである。このフレキシブルな統合システムは、以前に考案された殺菌装置と比較して効果的かつコストパフォーマンスも良い。これは、ビームの低エネルギー電子の直接的な効果を、電子ビーム自体によって生み出されるX線、オゾン及びプラズマの相乗効果と結びつけているためであり、そして加熱プロセス及びAPS技術を導入しているためでもある。
【0021】
本発明は、高価で嵩張る装置を用いて高エネルギーを発生させることに頼ることなく、及び過度に高くかつ高価なエネルギーがなくとも効果的な殺菌を行うことを目的としている。以前の装置は特に制限的でかつ入念な健康及び資格の基準を満たしていないと扱えなかったが、本発明では、その代わりに、関連する効果、すなわち、プラズマ、オゾン、X線、殺菌及び重合化によって電子ビームの相乗効果を用いている。
【0022】
そのような相乗効果は、以下のような適切及び特殊な装置によって獲得される:
1)適切な磁場31を使用するために、電子のためのコンパクトな出口ウィンドウ21を使用する。そのウィンドウは、異なる形状及びサイズを有している少なくとも2つのボトルに対して直接的かつ同時に放射線を照射することが可能であるように垂直方向に伸張しており、したがって、線量均一性が最も良くなるように最も適切な配置にしたがって配列されている(図1及び2参照)、各々のボトルに対してビームで少なくとも2つの通過を達成することができる。
2)適切に配置されたPCプログラム可能な磁場31を図3及び4で示されているように使用することによって、より良い線量均一性が獲得される。この磁場は、好ましくは0.15〜0.05μmの、開口部を有する薄いチタニウムのウィンドウ21から出た電子を、ボトル、首部及び底部の影となっている領域に向かって散乱させるものである。
3)図1及び2に示されているように、ビーム11に対するボトルの適切な角度及び線量の均一性に関するさらなる利点は、ボトルをある程度回転させることによって、例えば自身の対称軸に沿って回転させることによって、及びビームの元における2つの通過をより効率的にすることによって達成される。
4)線量均一性に対する他の重大な寄与は、走査ラスターのPCプログラミングから得られる。これによって、適切な場所における適切な線量を達成できる。
5)殺菌プロセスに対するさらなる寄与は、X線の同時発生によって分散された電子の殺菌効果をより効果的に広げることができるように、分極された(polarized)重金属、例えばW、Ta、Hfなどから作られたターゲット又はリフレクター4を適切な場所に配置することによって達成される。
6)最後に、ボトルの内部に液体酸素の液滴を導入することによって、電子の衝突に基づいてオゾンの生産をより効率的にすることができる。これは、容器の内部表面の殺菌に対する大きな寄与となる。
7)ボトルの通路に沿った位置では、ボトルは微小孔を多数有する密封塗料で覆われている。その塗料は、電子によって重合化されてよく、したがって、ビームの下を通過するときにそれは重合化されるであろう。
8)同様に、ボトルの通路に沿って、特殊な印しや日付等が電子ビームによって重合化するインクで適用されていてもよい。
【0023】
また、本発明は、プリフォーム及び/又はボトルの製造全体及び/又は処理システムの殺菌をなすために電子ビームを使用することによって得られる相乗効果のさらなる拡張を提供するものであり、よって、この予備的ステップの間に、そのシステムの様々な領域に対して電子の発生器を適切に向けることが可能である。これは、ビームのエネルギーの調節、調節可能な磁場の使用、及び適切に配置かつ分極された重金属ターゲットや液体酸素液滴の使用によって望ましい殺菌をなすことを目的としている。
【0024】
この殺菌のための電子ビーム技術は、APS技術を使用することによって加熱される要素に直接オーム抵抗要素を供給するという新しい加熱技術を導入するというフレキシブルなシステムを用いることで支えられている。
【0025】
殺菌するために、及びボトル等のためのプリフォームを製造するためにプラスチック材料を液状化させるために、装置及び構成要素を加熱するのに経済的で便利であるときならいつでも、この革新的なシステムにおいて新しいAPS技術は使用されることが可能である。この技術がどのように実行されるのかは、図1〜4に示されている。図1によると、電子ビーム11の発生器1は、組になった殺菌されるボトル又は容器10にホーン2を通して放射線を照射する。電子ビーム11は、磁場発生器3によって生み出された磁場31によって適切に方向付けられており、これによって、ボトル又は容器が自身の対称線の周りを回転する間にボトル全体に電子ビームを照射することができる。また、前記分極ターゲット4は、前記電子の流れ11を殺菌プロセスのためにより重要なボトルの領域の方へと逸らせるために設けられている。
【0026】
図1に対して、図2は電子の流れ11の方向が異なる角度でボトル10に当たっている場合を示している。
【0027】
図3は、照射された電子の流れ11に関する以前の形態に対して、異なる角度でボトル10が方向付けられている例を示している。少なくとも1つのボトル10は可能ならば前記磁場発生器3によって方向を決められた電子ビームを直接照射され、他のボトルは前記ターゲット又はリフレクター4によって反射された放射線が照射されている。ここで、前記ターゲット又はリフレクターは、適切に分極化されていてもよい。
【0028】
図4は図3に対して磁場発生器3の異なる構成を示しており、この実施形態では2つのボトル10が直接放射線を受け、他の2つのボトルは反射された放射線を受けている。
【0029】
図5〜12に示されているような殺菌システムの好ましい実施形態では、殺菌ホイール102が設けられており、ここで、ボトル10が適切なクランプ200によってそのホイールの円周に沿って取り付けられており、電子流を照射するガン2の口部の前面に運ばれる。
【0030】
前記殺菌ホイール102は、入り口ホイール101及び出口ホイール103と好ましくは組み合わされている。
【0031】
前記ホイールの全体は、遮蔽シェル(screening shell)の内部に閉じこめられている。これは、基本的に人体にとって有害である発生器1によって生じた放射線からシステム周辺の環境を遮蔽する必要があるからである。
【0032】
「IN」によって示されているボトルのシステムへの入り口と、「OUT」によって示されているシステムからの出口の近くには、ワームスクリュー(worm screws)106及び107がそれぞれ存在しており、これは第一にボトルの間隔を空けること、そして次にボトルを近くに引き込むことを目的として設けられていて、クランプ200がボトルの首部を把持し、システム内部の通路へとそれらボトルを導くときに必要とされる。
【0033】
前記ワームスクリュー106及び107は、前記ホイール101、102及び103を含む操作システムと同調して回転する。
【0034】
その構成及び前記ホイール間の寸法比は、外部環境からシステムを適切に隔てる迷路効果(labyrinth effect)を最大化することができるように設計されてよい。
【0035】
ボトル進入領域IN及びボトル排出領域OUTは、外部環境に対するインターフェースであり、したがって、殺菌システム内部に潜在的に汚染された空気を導入することに対するバリアを形成する必要があり、よって、クラス100を維持することができるように、入ってくる空気の完全な濾過によってシステム内部では過度な圧力(overpressure)が発生している。
【0036】
加速機械と統合した発生器1によって生み出された電子ビームの照射によって、殺菌は実行される。
【0037】
ボトルの走査ホーン2近くの領域も、好ましくはクラス100フィルターといった絶対的なフィルターによって濾過された層流(laminar flow)によって過度な圧力に維持されている。しかし、その圧力はボトル進入領域IN及びボトル排出領域OUTにおける圧力よりは低い。これは強力な電離能力を有する電子ビームによって生み出されたオゾンを排気するために必要なことであり、これによって、殺菌システムの周辺環境へとオゾンが逃げてしまうことを防ぐ。殺菌される容器の操作としては、少なくとも2回ほど完全に回転するために、ビームの前面において容器が同じ一定の回転をなすことが好ましくは求められる。
【0038】
後述においてより明瞭となるであろうが、殺菌される容器の表面における全スポットに対する完全でない放射線照射は殺菌の結果を危うくするので、前記操作は放射線照射から容器のいかなる領域をも隔てることがないようになされる。ビームの幅によって照射時間は決定され、また、照射時間は、どんな場合でも、機械的な操作システムにとって安全なものでなければならない。安全性とボトルの完全な回転を考えるとき、その回転スピードは10周/秒、すなわち600周/分よりも速くてはいけない。よって、曝露時間は結果として、完全に放射線に曝すのに約0.1秒となる。したがって、ビームの幅は製造処理能力と操作スター(handling star)とに比例する。好ましい実施形態では、ボトルが112.5mm間隔で並べられているとき、ボトルの場所におけるビームの幅は、少なくとも前記間隔の2倍、すなわち250mmはあることが求められる。代わりに、ビームの長さは、周辺効果(edge effect)の補償のための量に容器の最大長を足したものと等しい。
【0039】
例えば、容器の長さが350mmの場合、ホーンの長さは少なくとも400mmとなるであろう。
【0040】
加速器は、制御環境の体積を制限することができるように、照射領域に隣接しているチャンバに配置されている。ガン設置チャンバは、どんな場合でも、調整されかつ過度に圧力を加えられており、進入領域INと同様の特徴を有している。
【0041】
釣り合いのとれた(proportioned)冷却システムは、キャリアシステムにおける入射電力によって容器のプラスチック部分と接触する領域が60℃以上にならないようにするために設けられている。また、放射線照射における遮蔽は、例えば低温の水といった冷媒流体が流れる通路を使用することによって調整される必要がある。
【0042】
遮蔽システム104は、システムから放出されるX線などの放射線の量を、そのシステムの近くにおいて作業をしている人々が許容可能なレベルまで減少させるために設けられている。実際、発生器1によって生み出された電子ビームの放射による危険性がなくなっており、ここでは、X線ビームのエネルギーの高分子量金属と衝突することによって伝達される代わりに、ベータ線が水の密度と等しい密度を有する物質によって0.数mmで吸収されている。したがって、X線を強力に吸収し及び本発明のシステムのような開かれたシステム(open system)のような迷路構造を有する材料が必要とされていた。
【0043】
吸収材料として鉛を使用することは一般には壁の厚さを限定する目的で広く実践されているが、食品製造のための容器を加工する機械において鉛は避けられるべきであるため、そのような場合、遮蔽シェル104は、鉛の代わりに、鉛に求められるであろう厚さよりも厚い鉄鋼によって作られることが好ましい。これは、鋼鉄の方が密度が低く、鉛に比べてX線を遮蔽する効果が少ししか発揮されないからである。遮蔽は、機械を操作する人が許容可能な放射線の量によって決められる、遮蔽のために使用される遮蔽材料の原子と電子が衝突することによって生み出された光子の流れによって生じるエネルギーに依存している。1MeVのエネルギーの場合、鉛の壁の厚さは約350mmである。容器のためのシステムのようなオープンシステムの場合、出口に到着する前に放射線が少なくとも3回反射されなければならず、それぞれの反射によって放射線のエネルギーは99%カットされる。
【0044】
これが、前記操作システムを含む殺菌システムの特別な形態、例えば、平面図においてΩ形と同様の操作通路を導くことができるように協働している前記ホイール101、102及び103を含む星形(stars)手段といった形態が存在する理由である。
【0045】
ボトルを操作している間、前記ホイールにそのボトルを確実に固定する把持装置は、前記星形に配置されたクランプ200である。
【0046】
リフレクター4、例えば前記把持装置の上に配置されたリフレクター204(図10参照)は、照射チャンバに配置されており及びX線発生を促すために高分子量を有しており、したがって、放射線の全発生量の少なくとも1%は寄与しており、そして上記されたように、容器の殺菌に寄与している。
【0047】
走査ホーン2のウィンドウ21は少なくとも1つのチタンシートを有しており、そのチタンシートは作業の間に熱くなるものであり、したがって、その冷却及び発生器1かつ走査ホーン2の冷却は1つ以上の空気流によって一般的に生じるのであり、その空気流は、照射チャンバから連続的に補われ及び熱交換によって冷却される、又は外部から導入され及び適切に濾過される。
【0048】
また、本発明の有利な別様態においては、カプセル及びキャップ20が照射チャンバに設けられている。放射線に標的にされている容器の後ろにそれを配置することで、容器を通過し及び隣接する容器との間にある残りの電子放射線は、第2の適切なベルト又はシステムに間隔を設けかつそれを操作する星形によって制御された動きの手段によって用いられている。前記第2の操作システムは、照射チャンバからキャッピング機械(capping machine)へと殺菌されたカプセルを運ぶ。
【0049】
別法としては、直接の電子放射線に対して結果として間接的となっているX線から恩恵を受けるために、カプセルは操作されて重金属リフレクター4と隣接している領域を通過する。カプセルが直接の及び特定の強さかつ貫通力を有しているX線に曝されるとき、所謂「スポートキャップ(sport caps)」と呼ばれる、最も精巧なカプセルさえも殺菌される。
【0050】
好ましく達成されるべき放射線量は、常に10kGyと同等又はそれよりも大きな値であり、電子の流れから約1%のX線の流れへと要素(factor)を変換することを考えるとき、カプセルの好ましい曝露時間は、容器の場合の時間の約100倍、すなわち10秒である。
【0051】
前記殺菌システムの好ましい実施形態において、曝露の継続時間は、照射ホーンの軸に対応しており、そのとき、第2の操作システムは、上記の好ましい曝露時間を確実にするために予め決められた通路で遮蔽壁の内部に送りねじ(feed sdcrew)を有している。その後、この方法で殺菌されたカプセルは、ステーションを使用することで、例えば、無菌ブロック内部にあるキャッピング機械によって運ばれる。
【0052】
また、直接的に電子ビームを照射することに代わってX線の照射を利用することの利点は、しばしばカプセルがポリプロピレン(PP)から作られており、及びこの材料は電子ビームの過度の曝露を被った場合に簡単に劣化する一方で、X線では放射線があまり良くなく及びより簡単に管理できるという事実に存在する。
【0053】
無菌の空気あるいは窒素、又は他のガスは、以下の2つの目的を達成するために、容器の殺菌の間にその容器において必要とされている:
1)放射線照射の前に、異物を容器内部から洗い出すこと、
2)殺菌プロセスの間に電離放射線の動きによって形成されたオゾンを容器から洗い出すこと。
【0054】
特に、不活性ガスが導入されるとき、電子の流れによって生み出されたオゾンによる製品の酸化が避けられる。ここで、前記製品とは、容器に後で導入されるものであり及び限定されはしないが一般的に食物である。
【0055】
殺菌通路に沿って容器内へと自動的に導入され及び容器の底部とほぼ接触するように適用されている、洗浄空気又はガス導入ノズルは、優れた洗浄効果を達成するために設けられている。
【0056】
上述したように、容器における放射線のための遮蔽領域を避けることが最も重要であるので、特別なクランプ200が設けられている。
【0057】
前記クランプは、ボトルの首部を把持するために、対向して配置されている協調して働く2つの長細い要素201及び202を有している。その把持は、前記対向している要素をより近くに引っ張るスプリング203によって生み出された負荷によって調節される。図9及び10の実施形態では、これら要素のそれぞれが、自らの支柱、すなわち211及び212の各々の周りを回転する。さらに、前記長細い要素の一端はボトル首部のための把持手段210を有しており、他方の端部にはクランプ200を開くための制御手段221及び222が設けられている。
【0058】
特に、前記把持手段210は、保持されるボトル首部に適用される長細い要素の両方に配置される複数のローラを有しており、そのローラは前方及び後方に自由に動くものであり、それによってボトルのどの領域も放射線から遮断されることがなくなる。
【0059】
クランプを開くための前記制御手段221及び222は多くのローラを有しており、そのローラは、カムによって、又は操作ホイールの周りをクランプが動く間に直面する表面によって駆動されるものであり、クランプの開放又は閉塞を規定する。
【0060】
複数のローラは、回転軸の周りを自由に回転することでボトルの把持を確実にすることができるように規定されている。
【0061】
有利なことに、前記クランプは、殺菌のための放射線を遮蔽することなくボトルの全領域に放射線が照射されることを可能とする。
【0062】
ボトルの開口部及びその頂部には、プロファイルプレート(profiled plate)204がクランプと一体化されている。そのプレートは、ボトル首部において失われる電子ビームを反射すること、及び電子ビームのエネルギーをX線へと運ぶことの2つの機能を果たしている。
【0063】
前記ローラ210は、回転軸の周りを回転することで、ボトルの首部を保持するために調節されている。
【0064】
その回転はボトルに対する放射線照射の間にのみ必要とされるので、前記洗浄ノズル310は、ボトルにノズルを導入し及びボトルを回転させるという2つの機能を有する精密なシステム300に含まれている。
【0065】
この目的のために、前記精密なシステム300はボトルの照射領域に配置される。
【0066】
前記精密はシステム300は、回転する内部が中空のロッド301を有しており、そのロッドは端部3011においてボトルの口部と組み合う。そして、そのロッドがボトルの口部と接触して下方に移動することによってボトルは回転する。
【0067】
洗浄ノズル310は回転ロッド301のキャビティを通して下方に移動し、それによって、ボトルが回転して放射線照射を受けている間にそのボトルを吹き流すことによって洗浄する。
【0068】
回転ロッド301はロッドの支持部302と協調する外部表面に沿って得られるスレッドによって回転を引き起こされ、したがって前後移動システム(worm screw system)で上昇する。
【0069】
洗浄の終りにおいて又はその間にて、殺菌を完遂するために、前記洗浄ノズル310は容器の内部に容器のサイズに比例した量の酸素ガス又は液体酸素の液滴を注入し、これによって、電子放射線はそれをオゾンへと変換して容器の内部壁を高度に殺菌する。
【0070】
設置される発生器1のパワーに関して、PET容器を使用した場合の発生器のパワーを最適化する遮蔽シェル104の好ましい寸法が後述の表に示されている。
【0071】
特に、保証されるべき遮蔽の度合いより低い又は大きいといった異なる遮蔽の数値において、様々な領域が示されている。したがって、正方形のスクリーンを有するAタイプの壁は走査ガン2のすぐ側に配置されおり、六角形のスクリーンを有するBタイプの遮蔽壁は中間領域に配置されており、最後に、45°の角度のハッチを有するCタイプのものは進入及び排出領域に設けられている。すなわち、そこでは、遮蔽されるべき放射線はより低いエネルギー量を有しているのである。したがって、各々の種類の壁の最大及び最小cm厚さは、下記の表に示されているように、発生器1のkeVsにおける設置されたパワーに対して決定されるのである。
【0072】
【表1】

【符号の説明】
【0073】
1 電子発生器
2 走査ホーン又はガン
3 磁場発生器又は偏向器
4 ターゲット又はリフレクター
10 容器又はボトル
11 ビーム
20 カプセル及びキャップ
21 ウィンドウ
31 磁場
101 入り口ホイール
102 殺菌ホイール
103 出口ホイール
104 遮蔽システム
106 ワームスクリュー
107 ワームスクリュー
200 クランプ
201 長細い要素
202 長細い要素
203 スプリング
204 リフレクター
210 把持手段
221 制御手段
222 制御手段
300 システム
301 ロッド
302 支持部
310 洗浄ノズル
3011 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印システムにおいて、
前記システムは、
電子発生器(1)と、
前記容器に対して放射線を直接照射するための走査ガン(2)と、
前記容器に対して放射線を間接的に照射するための、電子放射線の少なくとも一部をX線へと変換するのに適している重金属からなる少なくとも1つのターゲット(4)と、
を有することを特徴とするPET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印システム。
【請求項2】
液状又はガス状の酸素を導入するための供給手段(301)を有し、
前記供給手段による酸素の供給は、容器の殺菌における前記の直接及び/又は間接的な放射線照射時になされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
放射線照射時において、容器(10)から前記電子放射線を逸らせる及び/又は該容器に該電子放射線を集中させるための偏向器(3)を有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記走査ガン(2)は、チタンウィンドウ(21)を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのターゲット(4)は、その放射エネルギーの0.1%から5%をX線へと変換することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
殺菌の間において容器が曝露する放射線から外部環境を遮断するための遮蔽シェル(104)の中に前記走査ガン(2)が閉じこめられている操作システム(101、102、103)を有し、
前記操作システムは、平面形状がΩ形をなしており、容器のための迷路操作通路を形成していることを特徴としている前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも操作の一部分の間において、直接及び又は間接的な放射線にキャップを曝すために適用されたカプセル及びキャップ(20)のための第2の操作手段を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
容器の進入(IN)領域と排出(OUT)領域に第1の過剰圧力を生みだし、容器照射領域に前記進入及び排出領域よりは低い圧力である第2の過剰圧力を生み出すために設けられた空気濾過システムを有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
空気、不活性ガス又は酸素を容器に吹き付ける手段(301)を有することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
容器(10)を把持する手段(200)が設けられており、
前記把持手段は、放射線照射の間、容器を少なくともごく僅か回転させるための回転手段(301、302、3011)を有することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記回転手段は、内部が中空のロッド(301)と協調して動く支持部(302)を有しており、
前記ロッドは、外部スレッドを有しており、これによって前記支持部(302)に対して前後に動く(worm screw)ことが可能となっており、
前記ロッドの端部は、回されるボトル(10)の口部と相補関係にある結合部(3011)を有していることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
PET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印方法において、
前記方法は、前記容器に対して電子放射線を直接照射することと、前記容器に対してX線を間接的に照射することを有することを特徴とするPET容器及びボトルのための殺菌、密封及び刻印方法。
【請求項13】
殺菌される容器と同様に液状及び/又はガス状の酸素が放射線照射を受ける工程は、前記放射線曝露の前に行われる又はそれと同時に行われることを特徴とする請求項12に記載の殺菌方法。
【請求項14】
電子放射線は、容器の殺菌の間、容器から逸れる又は容器に集中することを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−12】
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【公表番号】特表2010−524784(P2010−524784A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503616(P2010−503616)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000946
【国際公開番号】WO2008/129397
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(503308405)エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ (15)
【Fターム(参考)】