説明

PVC床カバーの織布表面

床カバーは、不織布ベース層と、第1PVC層によって被覆され、その不織布ベース層に付けられたVAEプレコートと、を有する多層を含む。ガラス繊維マットは第1PVC層上に付けられ、第2PVC層はそのマット上に付けられる。PVC織布層は、下層である第2PVC層に熱と圧力によって積層される。PVC織布層はモノフィラメントまたはマルチフィラメントコアを含み、好ましくは、限定されるものではないが、PVCコーティングによって被覆されたポリエステルフィラメントを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルまたはロール形状の床カバーまたは壁カバーに係り、特にPVC床カバーの織布表面に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットにおける主要で特有の欠陥は、特に商業施設においては、長期間の使用によってカーペットの美的外観の出現の維持を低下させる点にある。当然のことながら、商業上の使用のために製造されるカーペット構造は、頻繁に、又、典型的には、足元を快適にするというようなカーペットやラグに要求される他の特性を犠牲にする。商用のカーペットの材料の選択における、もう1つの主要な関心事は、再生利用される材料の量である。最近では、取り替えられたカーペットは、通常埋立地に運ばれるが、埋立地はますます乏しくなくなってきており、取れ外された使用済みカーペットはほとんど再生利用されていない。
【0003】
さらに、最近の商業用カーペットの多くは、強度特性に限界がある。例えば、ある時間が経過したり、又はある物体による衝撃が加わると、多くの商用のカーペットは離層し、基本的にカーペットの交換を必要とするだろう。多くの商用カーペットの他の特性は、要求される多くの特性が残っている。例えば、多くの商用カーペットはポリウレタンからなるが、ポリウレタンは唯一耐湿性を有するものであり、それによって、長期間にわたって他の特性を低下させる。さらに、多くの商用カーペット構造においては、ファイバーの芽(スプラウト)のトリミングは一般的に必要である。このことは、長期間にわたって緩くなったファイバーの除去をしばしば要求することに加え、最初のカーペットの設置に必要な時間を増加させ、コストを増大させる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の好ましい実施形態によれば、一形態において、モジュール式のカーペット、例えば、6フィートの幅で分離されたカーペットタイルやロールカーペットが提供され、そのカバーの摩擦面は、ポリ塩化ビニルで覆われたヤーンを有する織布材料からなる。例えば、カバー表面は、フィラメントのコアまたは、PVCでコーティングされたPVB若しくは有機ポリマープラスチックの短繊維ポリエステルを含んでいてもよい。しかし、当然のことながら、ポリエステルのコアは好ましいが、例えば、ナイロン、ウール、アクリル、綿、モダクリリック、PLA、あるいは、他の合成又は自然ヤーンのような如何なる同様のコアヤーンも適切である。また、好ましくは、PVCは、多様なデザインをもたらす多数の異なる色合いで色付けすることができ、通常の織り機で織物にしてもよい。
【0005】
好ましくは、そのカーペットは、様々な材料からなる連続した層を含む。カーペットのベース、すなわち、カーペットの表面側の反対側であって、下層である床と接する側は、好ましくは、不織布材料で形成される。VAEプレコート層は、不織布材料に付けられ、乾燥され、架橋される。それから、第1PVC層は、そのVAE層の上部に付けられ、その後に、第1PVC層の上部にガラス繊維マットが形成される。それから、第2PVC層はそのガラス繊維マットに取り付けられ、そして、そのPVCは通常の方法で架橋される。最後に、それを架橋槽から取り出した後、PVC織布材料は、その下層に積層される。エンボスロールと架橋されたPVCの熱によって、その2つのPVC層は結合され、最終構造物を形成する。また、エンボス部の熱と圧力によって、織布表面層のファイバーを取り囲むPVCの部分を下層であるPVC層と合体させて結合させ、単一構造を形成する。結果的に、最終構造物のカーペットは、剥離に対する高い抵抗と共に、非常に安定で高い強度を有する。
【0006】
前述の材料を用いることによって、そのカーペットの約80%が再生利用可能である。逆に言えば、市場で入手できる使用済み材料/工業原料を用いることによって、最終構造物であるカーペットの約80%は、それらの使用済み廃棄物源/工業廃棄物源から構成することができる。さらに、PVCを使用するため、そのカーペットは湿気に対して100%不浸透性であり、したがって、湿気を有する環境で長期間に亘る使用でも特性が低下しない。ヤーンを成形するPVCで被覆されたPET製コアフィラメントヤーンからなるヤーンを用いることによって、時間の経過によって見苦しく緩んだヤーンの取り外しや取付にかかる仕事や費用の減少を当然に伴って、後に実施されるファイバーのスプラウトのトリミングは、完全に排除される。そのカーペットに要求される多くの他の特性は、汚染に対する抵抗性、磨耗性、堅牢性および土壌に対する抵抗性である。また、当然のことながら、そのカーペットはロール形状で提供され、例えば、標準の幅より広い幅で形成され、すなわち6フィートの幅で提供され、継ぎ目がほとんどないため、取り付けが容易で費用が掛からず、継ぎ目がほとんどない結果として美観が改善される。そのカーペットは標準より広い幅で作られるので、通常のタイルより大きなタイル、例えば18インチや24インチオーダーの幅のタイルで製造することができる。
【0007】
本発明による好ましい形態において、ベース層と、そのベース層に付けられたVAEプレコートと、そのVAEプレコート層を被覆する第1PVC層と、その第1PVC層を被覆する不織布マットと、その不織布マットを被覆する第2PVC層と、その第2PVC層を被覆し、カバーの表面層を形成するPVC織布層と、を含む床カバーまたは壁カバーが提供される。
【0008】
本発明によるさらに好ましい形態において、ベース層と、そのベース層を被覆する第1PVC層と、その第1PVC層を被覆する不織布マットと、その不織布マットを被覆する第2PVC層と、その第2PVC層を被覆し、カバーの表面層を形成する織布層であって、その織布層は、PVCでコーティングされたポリエステルフィラメントを少なくとも有するヤーンと、を含む床カバーまたは壁カバーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここで、図を参照すると、特に図1を参照すると、本発明の好ましい形態によって構成された‘10’で示されるカバーが図示されている。カバー10は、ベース層から表面層まで以下の順序の連続的な層からなる。初期層ないしはベース層12は、当然のことながら、織布材料、タフテッドカーペットまたはあらゆる他の織物、または適するように構成された十分に硬直性のある基板を含むが、好ましくは不織布材料からなる。不織布層12は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルのような不織布材料の何れか1つから形成され、好ましくは、使用済みの再生利用されたポリエステルから形成される。この材料は、好ましくは約4〜40oz/ydの重量で、さらに好ましくは8〜12oz/ydの範囲で提供される。その次の層14は、好ましくは、不織布材料12に付けられるアクリル、SBR、EVA、または好ましくはVAEを含む種々の有機ポリマーのプレコート層である。プレコート層14は、ほとんどの商用カーペットに要求される種々の可燃性試験や煙試験を合格する補助をするので、特に有用である。しかしながら、もし、それらの考慮に関心がなければ、プレコート層14は省くことができる。好ましくは、VAEプレコートは約4〜40、好ましくは、24oz/ydになるように付けられ、その後、乾燥され、架橋される。第3層16は、VAE層の上部に付けられた第1PVC層でありえる。そのPVCは好ましくは約10〜80、好ましくは約45.5oz/ydになるような割合で付けられる。それから、ガラス繊維マット層18は、第1PVC層16の上部に付けてもよいし、付けなくてもよい。また、ガラス繊維マットは、絡み織りのガラス繊維材料であってもよい。さらに、ガラス繊維マットは、不織布材料または織布材料のどちらかであり、約0.5〜8.0、好ましくは2oz/ydで付けられる。ガラス繊維マット層18の上部に第2PVC層20が付けられる。換言すれば、用途によっては、初期のPVC層で十分であろう。この第2PVC層は、第1PVC層16と同様に約10〜80、好ましくは、45.5oz/ydで付けられる。そのPVCは、その後通常の方法によって架橋される。最後に、下層を架橋炉から取り出した後、最上層ないし表面層22は、下層に積層される織布材料で形成される。エンボスロール28によって与えられる熱と圧力及び架橋されたPVCの熱によって、それぞれ2つのPVC層は互いに結合され、織布表面層の下表面に結合される。当然のことながら、その構造物の層を結合するためにPVC以外の材料を共に用いてもよい。例えば、そのような材料には、PVB、TPOs、APOs、EVA、TPUs(熱可塑性ポリウレタン)、炭化水素樹脂、および、他の有機ポリマーポリエチレンが含まれる。しかしながら、これらの後者の材料の導入によって、完成品の再生利用可能な割合は低下する。
【0010】
図2Aと2Bに示すように、織布表面層22は、PVCまたは他の熱可塑性ポリマーで被覆されたコアモノフィラメントポリエステルまたはコアマルチフィラメントポリエステルからなるヤーン24からなる。したがって、図2Aには、PVC材料のコーティングによって覆われたコアモノフィラメント26が図示されている。図2Bには、コアブラックモノフィラメントポリエチレンテレフタレートファイバーをそれぞれ有する複数のフィラメント29を含むPET短繊維ヤーンコア28が図示されている。しかしながら、当然のことながら、そのコアはポリエステルに限定されず、ナイロン、ウール、アクリル、綿、モダクリリック、PLA、または、他の合成糸あるいは自然素材糸であってもよい。さらに、そのPVCは、有利には、特有の美的デザインを得るために、多数の影で色付けされることができる。さらに、そのヤーンは、その織物を形成するために通常の織機、好ましく、ドビー織機またはジャガード織機で織られてもよい。
【0011】
ここで、図3を参照すると、本発明の好ましい形態によるカバーを製造する方法が図示されている。第1に、不織布層12にVAEコートが提供される。下層である不織布層12上にVAEコートは液状で提供され、乾燥され、架橋される。そのプレコート層14は、好ましくはVAEであるが、上記で特定した割合で付けられる。次に、第3層16は、好ましくはPVC層であるが、VAEプレコート層14の上部に付けられる。そのPVC層は上記で特定した割合で付けられる。その後、マット層18は、好ましくはガラス繊維材料から形成されるが、そのPVC層16上に付けられ、それから、その第2PVC層18は、そのマット層上に付けられる。それから、その基板は、通常の方法によってそのPVCを架橋する炉26に入れられる。その炉26から取り出した後、その織布PVCの表面層22は、PVCの最終層20に付けられる。基板を架橋炉から取り出した後、その織布表面層は、好ましくは基板に積層される。エンボスロール28を使用し、架橋されたPVCの熱を利用することによって、2つのPVC層16、20は結合され、最終構造物が形成される。さらに、エンボス部の熱と圧力は、織布表面層の下面のファイバーを囲うPVCと同様に、第1層と第2層のPVCを互いに合体させて、単一構造を形成する。その結果、最終構造物は剥離に対して十分な抵抗を有する。
【0012】
図4と図5を参照すると、カバー10は異なる形状で提供される。例えば、図4では、カバーはロール形状30で提供され、例えば、6フィートの幅を有する。このことは、ほとんど継ぎ目がないため、より簡単でよりコストの掛からない取り付けを可能にする。当然のことながら、少ない継ぎ目は最終設置物の美感を視覚的に改善する。より大きな幅、すなわち6フィートの幅のカバーを製造することによって、18や24インチの幅のタイルを量産することも可能になり、通常18インチの幅で形成される従来文献のタイルと比較して、タイルの寸法において大幅な選択ができる。タイル32の形状のカバー10を形成する材料の断片透視図が図5に図示されている。
【0013】
カバー10の製造に用いられる材料は、最終構造物の約80%が再生利用可能である。逆に言えば、市場で入手でき、同様の組成の使用済み材料/工業原料を用いることによって、そのカバーは、それらの使用済み廃棄物源/工業廃棄物源の約80%から構成することができる。従来のカバーを用いた試験との比較で、本発明のカバーは、従来文献のカバーが剥離してしまう標準的なASTM試験を行っても剥離しないことが分っている。また、標準的なASTM試験によって再び試験された本発明のカバーの降伏強度は、従来のカバーと比較して約2倍以上の強度である。当然のことながら、そのカバーは、実質的に完全にPVC材料で形成されるので、湿気に対して100%不浸透性である。さらに、ポリエステルフィラメントコアに押し出されたPVCを用いることで、従来文献のカバーでは欠かせないファイバーの芽(スプラウト)のトリミングの後実施に対する前述の必要性は、完全に除去される。さらに、PVCの下層を有する表面層の底面に少なくとも沿ったPVCの結合によって、継ぎ目における緩んだファイバーの除去が高められる。堅牢度と同様に、汚染性、磨耗性、土壌抵抗のようなカバーの他の特性によって、従来文献の特性に比べて、優れたカバーが得られる。
【0014】
上記の床カバーは、以下のような様々な特性を確認するために独立した実験室で徹底的に試験された。
【0015】
床放射パネル試験
上述のカバーの試料1〜3を用意し、ASTM E 64899試験法および/またはFederal試験法372 NFPA253に従って試験した。
【0016】
【表1】

【0017】
煙濃度試験(NIST)
試料1〜3を用意し、米国連邦標準技術局(旧アメリカ標準局)によって提案された処理に従って試験した。技術注記708及びNFPA258、ASTM E 662−97。
【0018】
【表2】

【0019】
煙濃度試験(NIST)
提供試料の試験片を用意し、米国連邦標準技術局(旧アメリカ標準局)によって提案された処理に従って試験した。技術注記708及びNFPA258、ASTM E 662−97。
【0020】
【表3】

【0021】
歩行周期
実施した試験方法
ASTM D 6119:歩行者によるパイル糸床カバーにおける外観変化の発生方法
CRI TM−100:歩行者によるパイル糸床カバーにおける外観変化の発生方法
CRI TM−101:CRI参考尺を用いたカーペット外観変化の評価方法
適用範囲
この手法は、一定条件下で歩行した結果として起こる外観変化をもたらす手段として、実験室におけるパイル糸床カバーの往来を対象とする。別の試験方法は、CRI参考尺を用いた外観変化の評価を対象とする。
【0022】
【表4】

【0023】
昆虫試験
実施した試験方法
ASTM D−5252 昆虫ドラム試験
ISO/TR 10361 昆虫起き上がりこぼし
CRI TM−101写真尺度に基づいた評価
手順
上記のテスト試験片は、記載された回数の昆虫起き上がりこぼしにさらされ、復元のために2000回転毎に吸引によってその試料を取り除いた。
【0024】
Electrolux社製のアップライト電気掃除機(Discovery II)を用い、試料の長さ方向に沿って前後に4往復させた。
【0025】
その試料を日光と同程度の垂直照明(1500 lux)を用いて評価した。試料を1.5m離れた所から45度の角度であらゆる方向から観察した。
【0026】
また、その試料は、パイルの高さの保持値を得るために試験の前後でパイルの高さを測定した。
【0027】
【表5】

【0028】
磨耗性
実施した試験方法
ASTM D 3884 摩耗ホイール− H−18 1000グラムの荷重
手順
終点とみなす最初の下地が見えるまでその試料を摩耗させた。
1500の試料に対して摩耗サイクルを行った。
【0029】
アーヘン(AACHEN)寸法安定性
ITTS 004 アーヘン寸法安定性
目的と適用範囲
この試験手順は、湿度、熱、乾燥状態の変化にさらされた際における、モジュール式で幅広の織物床カバーの寸法安定性を測定する。その試験片は、上記に開示されたそのカバーの好ましい形態に対応するものであった。
【0030】
【表6】

【0031】
ASTM F 137 柔軟性
上述の試験片は、磨耗表面を有する型上に配置される。曲げ動作の完了後、破断、クラック、または他の損傷に関して外観検査が行われる。その試料は合格した。
【0032】
剥離
実施した試験方法
ASTM D 3936 パイル床カバーの第2の下地層の剥離強度
適用範囲
この方法によって、前述の試験片の完成されたパイル床カバーに付着した第2の下地層の剥離強度を決定した。剥離は観察されなかった。
【0033】
破壊強度
実施した試験方法
ASTM D 1667 破壊強度
試験した試料は上記の好ましい形態に対応するものであった。
【0034】
【表7】

【0035】
薬品対抗性
実施した試験方法
弾力性のあるシートフロアーの薬品対抗性試験のためのASTM F 925 標準試験方法
その試料は、上記の好ましい形態に対応するものであった。
【0036】
適用範囲
この方法は、様々な薬品にさらされた際における、弾力性のあるシート状のビニル製床カバーの表面劣化に対する抵抗性を決定する手順を提供する。この試験方法は、汚染試験としてのものではない。評価の種類は、表面曇り、表面腐食、色変化である。
【0037】
【表8】

【0038】
耐汚染性
実施した試験方法
AATCC試験方法175 耐汚染性
上記の試験試料をその試験手順に従って汚染状態にさらした。評価を以下に報告するが、汚染目盛りは、汚染が発生しなかった場合は10を示し、重度の汚染が見られた場合は1を示す。
試験結果:評価10
【0039】
加速汚染
実施した試験方法
パイルヤーン床カバーの加速汚染におけるASTM D 6540 標準試験方法
目的と適用範囲
この試験方法は、その装置と、標準人口土壌組成を用いて初期の土壌に対するパイルヤーン床カバーの傾向を評価するための試験方法を記述する。
【0040】
目的
上述のカバー試料を、パイル面が露出された状態で、昆虫ドラムの内側に取り付けられた裏紙に固定した。測定装置を用いて、またはAATCCグレースケールを用いて視覚的に、土壌汚染されたパイルヤーン床カバーと元のパイルヤーン床カバーとの色の変化を比較することによって、土壌の程度を測定ないし評価した。
【0041】
【表9】

【0042】
帯電性
実施した試験方法
AATCC134−1996
カーペットの帯電性
目的と適用範囲
この試験方法は、制御された実験シミュレーション条件でカーペットを人が歩いた時に生じるカーペットの帯電性を評価することを目的とするものであり、その条件は実際に発生するものであり、特に、経験から知られるそれらの条件については、静電気の過剰な蓄積に対して強い誘因となるものである。その使用した試料は、上記の好ましい形態に一致する。
【0043】
【表10】

【0044】
静摩擦係数
実施した試験方法
ASTM C−1028
静摩擦係数
上記の試料をその試験手順に従って試験した。
結果を以下に報告する。
【0045】
【表11】

【0046】
ロールチェアー試験
実施した試験方法
ITTS−205
ロールチェアー試験
目的と適用範囲
この試験は、ロールチェアー(オフィスチェアー)にさらされた際のカーペットの外観維持を測定するためのものである。
【0047】
手順
上記の試料片を木製基板の上に設置し、オフィスチェアーの往復運動にさらし、150ポンドの荷重を与え、1分間あたり約14回転で動かした。その試料を示した回数のサイクルにさらし、以下の基準に従って評価した。
【0048】
【表12】

【0049】
熱老化
実施した試験方法
熱老化
手順
そのカバーは、14日間、158°Fで熱老化された。老化時間の経過後、試験片の表裏の両面の変色及び脆性評価のために視覚評価を行った。
試験結果:表裏両面ともに脆化及び変色は見られなかった。
【0050】
日光に対する色堅牢度
実施した試験方法
AATCC試験方法16オプションE
日光に対する色堅牢度(水冷キセノンアーク)
目的と適用範囲
この試験方法は、織物材料の日光に対する色堅牢度を決定するために通常使用される一般原則と手順を提供する。
【0051】
手順
試験された前記カバーの試料と同意済みの比較標準は、特定条件下で光源に同時にさらされる。その試料の光に対する色堅牢度は、色変化用のAATCCグレースケールを用いたり、または色測定機器によって、試験試料のマスクされた部分または制御部分に対する露出部分の色変化の比較によって評価される。
【0052】
【表13】

【0053】
高湿度におけるオゾンに対する色堅牢度
実施した試験方法
AATCC試験方法129
高湿度におけるオゾンに対する色堅牢度
目的と適用範囲
この試験方法は、85%以上の相対湿度を有する高温で大気中のオゾンの作用に対する織物の色の抵抗を決定するために用いられる。
【0054】
手順
上記の好ましい形態に一致する試験試料と比較参照の材料見本は、比較参照の材料見本が標準的な褪色を生じた場合の色変化に相当する色変化を示すまで、87.5±2.5%の相対湿度、40±1℃(104±2F)の温度の雰囲気のオゾンに同時にさらされた。そのサイクルは、試料が明確な色変化を示すか、または所定のサイクル数が終わるまで繰り返された。
【0055】
【表14】

【0056】
燃焼済みガス煙に対する色堅牢度
実施した試験方法
AATCC試験方法23
燃焼済みガス煙に対する色堅牢度
目的と適用範囲
この試験方法は、天然ガスの燃焼によって生じる大気中の窒素の酸化物にさらした際に、あらゆる種類の織物やあらゆる形態の織物の色の抵抗を評価するためのものである。
【0057】
手順
上記のカバーの試料と比較試料の織物は、その比較試料が標準的な褪色を生じた場合の色変化に相当する色変化を示すまで、燃焼済みガス煙中の窒素の酸化物に同時にさらした。色の変化を評価するために、その試料の色の変化は標準グレースケールを用いて評価された。
【0058】
【表15】

【0059】
本発明について最も現実的でより好ましい形態に関連して記述してきたが、本発明は開示された形態に限定されるものではなく、逆に、添付した特許請求の範囲の精神や目的の範囲内に含まれる様々な修正や同等の変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の好ましい形態に従って構成されたカバーの断面図である。
【図2A】カバーの形成に有用なヤーンの拡大断面図である。
【図2B】カバーの形成に有用な他のヤーンの拡大断面図である。
【図3】カバーの形成方法を示す一連の断面図である。
【図4】ロール形状を有する本発明によるカバーの斜視図である。
【図5】タイル形状を有する本発明によるカバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
10 カバー
12 不織布層
14 VAEプレコート層
16 第1PVC層
18 ガラス繊維マット
20 第2PVC層
22 織布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、
該ベース層に付けられたVAEプレコートと、
該VAEプレコート層を被覆する第1PVC層と、
該第1PVC層を被覆する不織布マットと、
該不織布マットを被覆する第2PVC層と、
該第2PVC層を被覆し、カバーの表面層を形成するPVC織布層と、
を含む床カバーまたは壁カバー。
【請求項2】
前記マットは、ガラス繊維からなる請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第1PVC層と前記第2PVC層とが互いに結合された請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1PVC層と前記第2PVC層とが互いに一体的に結合された請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
前記PVC織布層は、前記第2PVC層に結合された請求項1に記載のカバー。
【請求項6】
前記PVC織布層は、PVCでコーティングされたポリエステルフィラメントを少なくとも有するヤーンを含む請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
前記PVC織布層は、PVCでコーティングされたポリエステルマルチフィラメントからなるコアを含む請求項1に記載のカバー。
【請求項8】
前記PVC織布層は、PVCでコーティングされたコアヤーンを少なくとも含む請求項1に記載のカバー。
【請求項9】
前記PVC織布層は、モノフィラメントコアを有するヤーンを含む請求項1に記載のカバー。
【請求項10】
前記PVC織布層は、マルチフィラメントコアを有するヤーンを含む請求項1に記載のカバー。
【請求項11】
前記PVC織布層は、PVCでコーティングされたヤーンを含み、前記ヤーンは、ポリエステル、ナイロン、ウール、アクリル、綿、モダクリリック、PLAからなる群から選択される請求項1に記載のカバー。
【請求項12】
前記カバーは、不透湿性である請求項1に記載のカバー。
【請求項13】
ベース層と、
該ベース層を被覆する第1PVC層と、
該第1PVC層を被覆する不織布マットと、
該不織布マットを被覆する第2PVC層と、
該第2PVC層を被覆し、カバーの表面層を形成する織布層であって、該織布層は、PVCでコーティングされたポリエステルフィラメントを少なくとも有するヤーンを含む床カバーまたは壁カバー。
【請求項14】
前記マットは、ガラス繊維からなる請求項13に記載のカバー。
【請求項15】
前記第1PVC層と前記第2PVC層とが互いに結合された請求項13に記載のカバー。
【請求項16】
前記PVC織布層は、PVCでコーティングされたポリエステルマルチフィラメントからなるコアを含む請求項13に記載のカバー。
【請求項17】
前記ヤーンは、ポリエステル、ナイロン、ウール、アクリル、綿、モダクリリック、PLAからなる群から選択される請求項13に記載のカバー。
【請求項18】
前記カバーは、不透湿性である請求項13に記載のカバー。
【請求項19】
前記ベース層はポリエステル不織布を含み、前記不織布を含むベース層と前記プレコートはそれぞれ4〜40oz/ydの重量を有し、前記第1PVC層と前記第2PVC層はそれぞれ10〜80oz/ydの重量を有し、前記マットはガラス繊維からなる請求項13に記載のカバー。
【請求項20】
前記ベース層はポリエステル布織布を含み、前記不織布を含むベース層と前記プレコートはそれぞれ8〜12oz/ydと約24oz/ydの重量を有し、前記第1PVC層と前記第2PVC層はそれぞれ約45.5oz/ydの重量を有し、前記マットはガラス繊維からなる請求項13に記載のカバー。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526526(P2006−526526A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514297(P2006−514297)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/013994
【国際公開番号】WO2004/109035
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(504014613)モホーク・ブランズ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】