RFIDセンサ
RFIDセンサは、複数個の個別センサ素子を備えている。各センサ素子は、センサの物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化させる。複数個のセンサ素子に連結されたRFID回路は、センサ素子の導電状態に対応するコードを伝送する。このコードは、RFID回路の識別コードを含んでよい。物理的条件に対する露出のレベル又は物理的条件に対する露出の継続時間がこのコードにより指示され得る。センサ素子のそれぞれは、特異な状態に感応性があってよい、そしてこのコードは特異な状態のそれぞれへの露出を指示し得る。このコードは、物理的条件への以前の露出を指示し得る、若しくはその条件に対する現在の露出を指示し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(RFID)装置に関し、またより具体的には、無線周波数識別装置とともに使用されるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)タグは、対象になっている物品の存在又は移動を検出するために使用されてきた小さな電子デバイスである。RFIDタグは、製造プロセスを通して被加工物の進度を追跡する製造において、商品の盗難を阻止する小売用途において、及び有料道路を通って車両の移動を検出する交通用途においてなど、様々な用途に頻繁に使用されている。
【0003】
RFIDタグを付けた物品の存在は、間欠的又は連続的に、いずれかでRFIDタグに無線で問い合せすることにより電子的に検出されてよい。このRFIDタグは、典型的には識別(ID)コードを格納する。RFIDタグ読み取り器により問い合せ信号が送られる場合、RFIDタグはそのIDコードをRFIDタグ読み取り器へ無線で伝送する。RFIDタグによりRFIDタグ読み取り器へ伝送されるこのコードは、RFIDタグを付けた物品の存在及び識別を指示する。
【0004】
RFIDタグは、電池又は他の独立の電源を備えてよい、若しくはそれらは外部付のRFIDタグ読み取り器により伝送されるRF信号から電力を取得してよい。独立の電源の無いRFIDタグは、特に小さく及び安価であり、多数の移動対象物を追跡するのに費用効果を非常に大きくさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
存在情報及び識別情報に加えて、物品についてRFIDタグからの情報を取得することは価値がある。本発明は、これらの及び他のニーズを満たす、そして先行技術より優れた他の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、RFIDセンサ、RFIDセンサシステム、及びRFID感知方法に関する。
【0007】
本発明の一実施形態は、複数個の別個のセンサ素子から成るRFIDセンサに関わる。各センサ素子はセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成される。RFID回路は、複数個のセンサ素子に接続され、そして複数個のセンサ素子の導電状態に対応するコードを伝送するように構成される。幾つかの構成において、このコードはRFIDデバイスの識別コードを含んでよい。
【0008】
様々な実施において、センサ素子の導電状態に対応するこのコードは、物理的条件に対する露出のレベル又は物理的条件に対する露出の継続時間を指示する。複数個のセンサ素子の各々は、特異な物理的条件に敏感であってよい、そしてこのコードは特異な物理的条件の各々に対する露出を指示してよい。様々な取り組み方によれば、このコードは環境条件に対する先行の露出を指示してよい、又は条件に対する現在の露出を指示してもよい。
【0009】
一実施例では、複数個の離散センサ素子の第1のセンサ素子は第1のガスに対する曝露に基づいた導電状態を変化させてよい、そして複数個の離散センサ素子の第2のセンサ素子は第2のガスに対する露出に基づいた導電状態を変化させてよい。RFIDセンサにより伝送されるこのコードは、第1のガス及び/又は第2のガスに対する露出を指示してよい。
【0010】
例えば、センサ素子は物理的条件に対する露出に起因して第1の論理レベルに関連付けられた第1の導電状態から第2の論理レベルに関連付けられた第2の導電状態へ変化させるように構成される受動的導体素子を含んでよい。センサ素子の導電状態の変化は、酸化プロセス、腐食プロセス、機械的プロセス、化学的プロセス、熱的プロセス、若しくはセンサ素子を第1の導電状態から第2の導電状態へ変化させるいかなる他のプロセスによっても引き起こされ得る。幾つかの構成では、その状態変化は、例えば、電場、磁場又は重力場に対する露出に起因して起こり得る。
【0011】
このRFIDセンサは、1つ以上の薄膜回路構成要素を含んでよい。このRFID回路は、交流又は直流の電源により電力を供給されてよい。このRFID回路は、独立の電源を備えてよい、或いは外部のRFソースから伝送されるRFエネルギーから電力を取得してよい。
【0012】
別の実施形態は、RFIDシステムに関する。このシステムは、複数個の離散センサ素子を備え、各センサ素子はセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化させるように構成される。RFID回路は、複数個のセンサ素子に接続され、そして複数個のセンサ素子の導電状態に対応するコードを伝送するように構成されている。RFID問い合せ器は、RFID回路から伝送されるコードを受信するように構成されている。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、RFID感知方法に関する。この方法は、複数個のセンサ素子の導電状態を感知する工程に関わる。各センサ素子は、そのセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化させるように構成される。任意のコードがRFID回路を介して伝送され、このコードは複数個のセンサ素子の導電状態に対応する。
【0014】
本発明の上述の概要は、本発明の各実施形態又はあらゆる実施態様を説明しようとするものではない。本発明の利点及び効果、並びに本発明に対する一層の理解は、以下に記載する発明を実施するための最良の形態及び特許請求の範囲を添付図面と併せて参照することによって明らかになり、理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
例示された実施形態の以下の説明において、本明細書の一部を成す添付図面が参照され、そこには本発明が実践されてよい様々な実施形態が実例として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態が利用されてもよく、また構造上の変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0016】
本発明の実施形態は、RFIDセンサとして本明細書では表記される、センサとともに使用されるRFID回路に関わる方法、装置、及びシステムに関する。本発明のRFIDセンサは、RFIDセンサを貼付けた物品の存在を検知するために及びまたその物品についての追加の情報を取得するために使用されてよい。様々な実施形態に従って、RFIDセンサは1つ以上の物理的条件に対するRFIDセンサの現在又は先行の露出に対応付けられるバイナリコードを伝送する。幾つかの実施では、RFIDセンサによる伝送されるこのバイナリコードはセンサに影響を及ぼす1つ以上の事象の発生を指示することができる。
【0017】
図1のブロック図は、本発明の実施形態に従ってRFIDセンサ150を備えるRFIDシステム100を示す。このシステム100は、RFID問い合せ器110、及びRFID回路120とセンサ130とを備えるRFIDセンサ150を具備する。このRFID問い合せ器110は、無線周波数(RF)ソース114及び読み取り器112を備える。このRFソース114は、RFエネルギーをRFIDセンサ150へ間欠的に又は連続的に伝送する。RFソース114により伝送されるRFエネルギーは、RFIDセンサ150へ電力を供給するために使用されてよい。この伝送されたRFエネルギーが、RFIDセンサ150に電力を供給するために使用される場合、RFIDセンサ150は独立の電源を必要としない、したがってRFIDセンサ150の複雑さ及び/又はコストを低減させる。
【0018】
RFID問い合せ器110は、RFエネルギーをRFIDセンサ150へ伝送し且つRFIDセンサ150からRF信号を受信するアンテナとしての役目を果たすインダクタ116を備える。このRFID回路120は、RFID問い合せ器110からRFエネルギーを受け取り且つRF信号をRFIDセンサ150からRFID問い合せ器110へ伝送するために使用されるインダクタ125を備える。
【0019】
このRFIDセンサ150が、RFID問い合せ器110により送られるRFエネルギーから電力を供給される場合、RFID回路120は、制御回路126、クロック128、及びセンサ130を含むRFIDセンサ150の他の構成要素で使用できる電力へRFID問い合せ器110から受け取るRFエネルギーを変換する電源回路124を備える。この電源回路124は、例えば、直流又は交流の電力を生成してよい。代替実施形態では、この電源回路124はRFID問い合せ器110から独立して電力をRFIDセンサ150へ提供する電池又は他の電源を備えてよい。
【0020】
このクロック128は、センサ130からデータを取得し且つそのデータをRFID問い合せ器110へ出力するように制御回路126を駆動する。この制御回路126は、センサ130からRFID問い合せ器110へシリアルデータストリームとしてデータを出力するように動作してよい。このデータは、RF入力/出力回路122及びインダクタ125を介してRFIDセンサ150からRFID問い合せ器110へ伝送される。このデータは、読み取り器112による解釈のためにRFID問い合せ器110により受信される。
【0021】
このRFIDセンサ150は、対象となっている物品により経験された物理的条件がまたRFIDセンサ150により経験され且つ検知されるようにRF問い合せ器110から遠隔した対象となっている物品の上に配置されてよい。用語「物理的条件」は、本明細書においてセンサがさらされる周囲環境の物理的条件を表すのに使用されている。例えば、物理的条件は、環境条件及び/又は磁界配向条件を含んでよい。環境条件は、ガス、光、音、温度、圧力、水分の存在又は不在、及び/又は他の環境条件を含む。磁界配向条件は、場に対する露出及び/又は場を基準にした移動を含み、場とは、たとえば磁場、電場、又は重力場などの場を言う。
【0022】
幾つかの実施形態では、上に掲げるような、ある物理的条件に対する露出に感応性がある少なくとも1つのセンサ素子に加えて、センサ130は、センサ素子で作られた接続を、確立又は解除する人間又は動物などの事象又は行為に対して感応性がある少なくとも1つのセンサ素子を含んでよい。例えば、センサ素子の接続を確立又は解除することは、そのセンサ素子を動かす、切断する、又は引き裂く、ないしは別の方法でセンサ素子の導電状態を変化させるように操作する人間又は動物の意図的又は非意図的な行為により引き起こされ得る。
【0023】
様々な実施形態に従って、センサ130は、感知された物理的条件又は検知された事象に基づいて、開回路に関連付けられた第1の論理状態即ち比較的に高い導電状態から閉回路に関連付けられた第2の論理状態即ち比較的に低い導電条件へバイナリ状態を変化させるように構成された多数のセンサ素子を備える。本発明の態様によれば、センサ素子の各々は、例えば、金属及び/又は他の材料の1つ以上の層で作られたスイッチ又は導電性素子を備えてよい。
【0024】
一実施形態では、センサ素子のバイナリ状態はn−ビットコードに対応する。nセンサ素子のバイナリ状態は、検知され、そしてRF問い合せ器110へ無線で伝送される。RF問い合せ器110は、n−ビットコードを解釈するために使用することができる読み取り器112を有する。
【0025】
RFIDタグは、プログラム化された識別(ID)コードをデバイス内へ一般に伝送する。例えば、RFIDタグのIDコードはm個の接続ノードの各々におけるID接続をスクライビング(scribing)又は電気的溶融(fusing)によりプログラム化されてよい。本発明の幾つかの実施形態では、センサ130のセンサ素子がID接続の1つ以上の代わりに使用されてよい。他の実施形態では、1つ以上のセンサ素子はID接続に追加して使用されてよい。
【0026】
ID接続の代わりにセンサ素子を使用することは、RFIDセンサ150のIDコードが、RFIDセンサ150に影響を及ぼす事象、及び/又は、RFIDセンサ150の現在又は先行の環境により決定されることを可能にする。例えば、RFIDセンサ150により伝送されるコードは、環境条件に対する露出の継続時間及び/又は程度、及び/又はRFIDセンサ150の出荷以降に経過した時間、及び/又は環境及び/又は場に対する露出の他の現在又は先行状態を反映し得る。
【0027】
幾つかの実施形態では、RFIDセンサ150は薄膜デバイス又は回路素子を組み込んでよい。薄膜材料は、電子回路の加工のために多くの製造上の利点を提供する。薄膜デバイスは、例えば、薄ガラス、プラスチック、ポリマー又は紙基板などの可撓性基材の上で加工されてよい。加えて、薄膜材料は、印刷、エンボス加工、又はシャドウマスキングのような低コスト加工技術を用いて処理されてよい。
【0028】
薄膜デバイスは、多結晶シリコン、非晶質シリコン、酸化亜鉛、及び/又はセレン化カドミウムのような無機半導体で形成されてよい、及び/又は有機半導体で形成されてよい。RFID用途向けの薄膜トランジスタベース論理回路は、交流電源により電力が供給されてよい。交流電源用薄膜回路の使用は、RF交流信号を直流信号へ変換する整流器の必要性をなくすことによりRFIDタグのコスト及びサイズを実質的に低減し得る。RFID用途向けに交流電力の誘導及び使用、及びRFIDデバイスを実施するため交流電力を使用する回路は、共同所有の米国特許出願公開第2004/0119504号及び同第2005/0134318号に記載されている。
【0029】
図2Aは、図1のセンサ130をより詳細に示している。図2Aに示されるように、センサ130は多くの分離センサ素子220〜290を備える。各センサ素子220〜290は、第1の電気ノード220a〜290aと第2の電気ノード220b〜290bとの間にそれぞれ配設される。代表的なセンサ130は、8個のセンサ素子220〜290を組み込んでいるとして図示してあるが、センサ素子220〜290より多い又は少ないものが使用されてよい。
【0030】
これらのセンサ素子220〜290は、例えば、金属又は他の導電性材料の1つ以上の層から形成される導電ストリップを含んでよい。これらのセンサ素子220〜290は、感知された条件に基づいて導電状態を変化させるように構成される。例えば、センサ素子220〜290は、感知された条件又は検知された事象に基づいて、高導電率に関連付けられた第1の導電状態即ち短絡回路(閉回路)から低導電率に関連付けられた第2の導電状態即ち開回路まで変化し得る。他の選択肢として、センサ素子220〜290は、感知された条件又は検出された事象に基づいて、低導電率に関連付けられた第2の導電状態から高導電率に関連付けられた第1の導電状態まで変化し得る。センサ素子220〜290の導電状態は、電気ノード220a〜290a、220b〜290bにアクセスすることにより取得できる1ビットバイナリ論理状態により表され得る。センサ素子220〜290の状態は、n−ビットデジタルコードとしてRFIDセンサからRFID問い合せ器に出力され得る。
【0031】
図2Bは、センサ130を実施するための代表的な回路を示す。センサ素子220〜290は、抵抗器R2〜R9を介してノード220a〜290aを介して電圧源のVに連結され、そしてノード220b〜290bを介して接地される。この制御回路(図示せず)は、データライン220d〜290dを介してノード220a〜290aにおいてセンサ素子220〜290に連結される。この実施例において、センサ素子220〜290は当初には高い導電状態にあり、ノード220a〜290aをグランドへ短絡させて、そして制御回路にノード220a〜290aの各々において論理的な「0」を検出させる。物理的条件に対する露出と同時に、センサ素子220〜290の1つ以上が、低い導電状態即ち開回路へ遷移することができ、制御回路に低い導電率を有するセンサ素子のノードにおいて論理的な「1」を読み取らせる。ノード220a〜290aにおける論理的状態は、制御回路により読み取られ且つRFID問い合せ器へ伝送される8−ビットコードを提供する。
【0032】
センサ素子のバイナリ状態の変化は、様々なプロセスに起因して起こり得る。例えば、導電状態の変化は、腐食又は酸化のような化学的作用、熱的プロセス、機械的プロセスに起因して、及び/又はセンサ素子の導電率の変化を引き起こすいかなる他のプロセスによっても起こり得る。本発明のRFIDセンサのセンサ素子は、物理的条件に対する露出のレベル又は継続時間を指示するように較正され得る。これらの実施では、センサ素子がセンサ素子の較正レベルに関連付けられたレベルにおいて環境条件に露出されるまでセンサ素子の導電状態の変化は起こらない。
【0033】
幾つかの実施形態では、各センサ素子は同一の物理的条件又は事象を検出するように構成されている。他の実施形態では、1つのセンサ素子は第1の物理的条件又は事象を検出するために使用されてよい、またもう1つのセンサ素子は第2の物理的条件又は事象を検出するために使用されてよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、センサ素子は物理的条件に対する露出の異なるレベル又は物理的条件に対する露出の継続時間を検出するために使用されてよい。例えば、1つのセンサ素子は特定の環境条件に対する露出第1のレベル又は継続時間を検出するよう構成されてよい、またもう1つのセンサ素子は特定の環境条件に対する露出の第2のレベル又は継続時間を感知するように構成されてよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、センサ素子は金属痕跡を含み、そしてバイナリ状態の変化は金属痕跡の腐食の結果であり得る。一実施例において、センサ素子は、酸素の存在下で酸化する薄い金属層として実装されるので、したがって、酸素の存在下で絶縁状態となっていく。多くのセンサ素子が、さまざまな厚さの金属層として形成される場合、各センサ素子が絶縁状態になるのに漸進的により長くかかればセンサは計時センサとして作動し得る。別の実施例では、センサ素子は特定のガスの水分の存在又はレベルを検出するように構成されてよい。幾つかの実施では、各センサ素子は特異な物理的条件に感応性があってよい。例えば、多くのセンサ素子の使用は、異なるタイプのガスに感応性があり、それぞれが「電子嗅覚」として機能するRFIDセンサを実現させる。
【0036】
図3は、RFIDセンサの構成をさらに示す回路図である。図3に示すように、RFソースは、インダクタ76を介して交流出力信号を伝送する交流ゼネレータ92を備えてよい。幾つかの用途向けに、交流ゼネレータ92は、約125kHzの周波数において約0〜5アンペアの出力を有する正弦波電流電源の形態をとってよい。
【0037】
インダクタ76及び78は、RFソースとRFIDセンサ70との間のRFエネルギーの電磁カップリングのために変圧器を形成する。抵抗器94は、電流を制限するために選択される。コンデンサ96は、下式に従って電源周波数を調整する平行な共振タンクを形成するように電源73内でインダクタ78と平行に設置されてよい。
【0038】
【数1】
【0039】
ここにLはインダクタ78のインダクタンスであり、そしてCはコンデンサ96の静電容量である。
【0040】
50μHのインダクタンス及び32nFの静電容量であれば、インダクタ78及びコンデンサ96は約125kHzの共振周波数を発生する。したがって、この実施例では、交流電源73の出力は約125kHzの周波数を有する正弦波である。インダクタ78で生成された正弦波は、電源73の出力として部分的に整流された交流電力波形を生成するために、部分整流ステージ80により部分的に整流される。この部分的に整流された交流電力波形は、図3に表されているように、この後電源(POWER)端子及びコモン(COMMON)端末からクロック回路88、制御論理86、出力バッファ84、及び変調インバータ82に印加される。
【0041】
図3は、n−ビット識別コードを担うRFIDセンサ70を示す。図を簡単にするために、RFIDセンサ70はセンサ330の導電性素子320〜380により規定された7−ビット識別コードを担うが、識別コード内のビット数は7未満または超としてよい。図3の実施例では、クロック回路88は、フィードバックループに配置された一連の7個のインバータステージにより形成される環状発振器である。
【0042】
図3の環状発振器は、制御論理86内に設けられる対応のNORゲートへ印加される2台のインバータの出力を示す。このようにして、7個のNORゲートは環状発振器により生成される各クロックサイクル内で一連の7個のパルスを発生するために使用される。制御論理86内のNORゲートの数が変動し得ることに注目する。この配置であれば、原則として、より大きなビット数、例えば、n=31、63又は127へ拡張することが可能であろう。
【0043】
このRFIDセンサは、センサ素子320〜380を有するセンサ330を備える。センサ素子320〜380は、ノード320a〜380aにおいて対応のNORゲート出力に接続される。センサ素子320〜380は、ノード320b〜380bにおいて接地される。センサ素子320〜380が高い導電状態にある場合、関連NORゲートの出力はノード320a〜380aを介して接地される。センサ素子320〜380が低い導電状態にある場合、NORゲート出力は入力の1つとして制御論理86内の7−入力ORゲートへ接続される。
【0044】
例えば、センサ素子330及び350が高い導電状態にあり、センサ素子320、340、及び360〜380が低い導電状態にある場合の状況を考える。この実施例では、7−ビット識別コード「1010111」が、ノード320a〜380aにおいて存在することになる。
【0045】
センサ素子320〜380は、例えば、金属導体から作製することができ、NORゲート出力から接地まで延在させ且つ当初には高い導電状態にすることができる。1つ以上のセンサ素子320〜380は、物理的条件に対する露出により低い導電状態へ遷移するよう構成することができ、これにより、物理的条件に対する露出に基づいてノード320a〜380aに存在する識別コードを変化させることになる。
【0046】
制御論理86内の7−入力ORゲートの出力は、出力バッファ84内の一連のバッファ増幅器へ印加され、論理回路の出力インピーダンスを変調インバータ82の入力インピーダンスに整合させるのに助けになる。具体的には、「タグ出力」の信号が、変調インバータ82に関連付けられたドライブトランジスタのゲートに印加される。変調インバータ82は、次いでインダクタ78及びコンデンサ96により形成されるタンクのQを変調して搬送波信号の振幅変調を実現する。この変調方法により、受信されたバッファ出力は、読み取り器が識別コードを読み取ることができるように読み取り器ユニットへ伝送される。特に、読み取り器はインダクタ76を介してL_タップにおいて受信された信号を処理する。
【0047】
図4A〜4Bは、物理的条件に対する露出に基づいてセンサ素子を高い導電状態から低い導電状態へ遷移させる1つのプロセスを示す。図4Aは、重なり合った2つの導体412、414から成るセンサ素子を示す。図4Aでは、重なり合った導体412、414が電気的接触をするのでセンサ素子410は高い導電状態にある。図4Bは、導体412、414間における絶縁層416の形成に起因して低い導電状態への遷移に従うセンサ素子410を示す。例えば、センサ素子410は酸素センサとして機能することができ、センサ素子410の導電状態は、酸素に対する露出によって導体412、414の片方又は両方の上に絶縁酸化層を形成することに起因して変化することになる。
【0048】
幾つかの実施では、センサ素子は、物理的条件に対する露出の特定のレベル又は継続時間において導電状態の変化が起こるように較正することができる。例えば、センサ素子を形成する材料は、第1の導電状態から第2の導電状態への変化が酸素に対する露出のレベル又は継続時間に対応するように、ある特定の酸化速度を有するように選択されてよい。センサ素子の較正は、例えば、センサ素子を形成するために使用される特別な材料の選択及び/又はセンサ素子の物理的寸法の構成によって、RFIDセンサにより伝送されるコードが、物理的条件に対する露出のみならず、その露出のレベル又は継続時間を指示することも可能にする。これに加えて、複数個のセンサ素子が、使用されてよく、それぞれが露出の異なるレベル又は継続時間において導電状態を変化させることになる。複数個のセンサ素子がこのような仕方で使用される場合、RFIDセンサにより伝送されるコードは、物理的条件に対する露出の範囲を指示することになる。例えば、露出範囲は、導電状態を変化させたセンサ素子に関連付けられた露出レベルより大きい又は等しい、または導電状態をまだ変化させていないセンサ素子に関連付けられた露出レベル未満であるとして決定されてよい。このRFIDセンサには、問い合せを繰り返すことができ、そしてRFIDセンサにより伝送されるコードは、RFIDセンサの時間の経過にともなう物理的条件に対する露出を追跡するために使用されてよい。
【0049】
幾つかの実施では、物理的条件は温度であってもよく、またセンサ素子は、特定の温度に対する露出に基づいて第1の導電状態から第2の導電状態へ変化するように選択されてもよい。例えば、図5A及び5Bに示されるように、センサ素子510は温度変化に感応性があるバイメタルスイッチとして構成されてよい。図5A及び5Bでは、導体514がスイッチング温度において撓むバイメタル導体として形成されている。他の選択肢としては、センサ素子510の導体512、514の両方がバイメタル導体を備えてよい。このセンサ素子510は、バイメタルスイッチを図5Bに示されるように当初開状態にして、第1の論理レベルに関連付けられた当初には低い導電状態にあるように構成してもよいし、またはバイメタルスイッチを図5Aに示されるように当初閉状態にして、第2の論理レベルに関連付けられた当初には高い導電状態にあるように構成してもよい。スイッチング温度に対する露出は、金属の熱膨張又は収縮に起因するバイメタル導体514の動きを生じさせ、結果的に導電状態の変化をもたらす。例えば、センサ素子510が、図5Bに示すように、当初には低い導電状態にある場合、温度の低下はバイメタル導体514を収縮させ、及びセンサ素子510は、図5Aに示すように、高い導電状態へ遷移する。他の選択肢としては、図5Aに示すように、当初に高い導電状態にある場合、温度の上昇はバイメタル導体514を膨張させ、センサ素子510を、図5Bに示すように、低い導電率に関連付けられた状態に遷移させる。温度に対する露出は、センサ素子に関連付けられた論理レベル出力の変化として表される。
【0050】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態に従ってセンサ素子の動作のさらに別の実施例を示している。この実施例では、差圧がセンサ素子導体の一方の動きを引き起こす。図6Aは、高い電気導電状態におけるセンサ素子610を示している。導電性ダイアフラム612は、絶縁体620を介してセンサ素子610の第1の及び第2の導体614、616へ取り付けられる。高い導電状態では、導電性ダイアフラム612が第1と第2の導体614、616間を電気的に接続する。この導電性ダイアフラム612は、差圧が無いので第1の及び第2の導体614、616と接触したままである。差圧に対する露出は、感圧性導体612の動きを引き起こし、第1と第2の導体614、616間の接続を断ち、且つセンサ素子610を、図6Bに示すように、低い導電状態へ遷移させる。
【0051】
図7A及び7Bは、方位又は傾きセンサとして構成されるセンサ素子710の動作を示す。このセンサ素子は、第1の及び第2の導体714、716及び、例えば、導電ボール又は水銀液滴などの方位感受性導体712を備える。センサ素子710を傾けることによって、方位感受性素子712が重力場により移動して、第1と第2の導体714、716間を電気的に接続させる。図7A及び7Bは、低い導電状態及び高い導電状態にあるセンサ素子710をそれぞれ示している。
【0052】
幾つかの実施では、導電性物質がセンサ素子から除去される場合に、導電状態の変化が起こり得る。図8Aに示すように、当初、センサ素子810はセンサ素子810の第1の導体814と第2の導体816との間に導電性物質812を含む。この導電性物質812は、第1の導体814と第2の導体816との間を電気的に接続して、センサ素子810を高い導電状態にさせる。この導電性物質812は、特定の物理的条件に感応性があってよい。物理的条件に対する露出は、導電性物質812を溶解又は溶融させ、図8Bに示すように、第1の導体814と第2の導体816との間の電気的接続を断つ。第1の導体814と第2の導体816との間の電気的接続を除去することは、センサ素子810を低い導電状態へ遷移させる。
【0053】
幾つかの実施では、ある物理的条件がセンサ素子の導電状態の一時的な変化を生じさせることがある。これらの実施では、RFIDセンサにより伝送されるコードが物理的条件の現在の状態を指示する。他の実施では、物理的条件に対する露出がセンサ素子の導電度状態の恒久的変化を生じさせる。これらの構成では、コードは物理的条件に対する以前の露出を指示する。
【0054】
図9A及び9Bは、計時検出器を実施するために使用されるセンサ910を示す。センサ素子910〜914のそれぞれが物理的条件に対する露出の漸進的なレベルに感応性がある。この実施形態では、センサ素子911〜914は、カルシウムのような反応性金属で形成され、かつ変化に対応する幅及び厚さを有する。例えば、センサ素子911〜914の幅及び厚さは、空気に露出したときに金属の酸化/腐速度食に基づいて決定される量に応じて増加させる。センサ素子911〜914が第1の時間の間空気に露出した後、センサ素子911〜914が腐食し始める。センサ素子911〜914の各々が、様々な時点において伝導しなくなる。特定のセンサ素子911〜914が伝導しなくなる時点が、センサ素子911〜914の幅及び厚さにより決定される。RFIDセンサにより伝送されるコードは、腐食が済んだセンサ素子911〜914の番号に依存する。このコードは、環境条件に対する露出状態の継続時間を表す拍子記号(time signature)へ変換できる。
【0055】
本発明の様々な実施形態を、例証及び説明の目的で上記に記載してきた。包括的であることも、開示されたそのままの形態に本発明を限定することも意図するものではない。以上の教示を考慮すれば、多数の修正及び変形が可能である。例えば、本発明の実施形態は多種多様な用途に実施され得る。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって制限されるものとする。
【0056】
本発明は様々な変更及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すとともに詳細に説明してきた。但し、本願発明を記載される特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。むしろ、本願発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本願発明の範囲内にある、全ての修正例、等価物、及び代替例を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に従ったRFIDセンサのブロック図。
【図2A】本発明の実施形態に従って環境条件の存在下で導電状態を変化させるように構成された複数個のセンサ素子から成るセンサ。
【図2B】本発明の実施形態に従ってセンサを使用するための回路。
【図3】本発明の実施形態に従ってRFIDセンサ回路の構成を示す回路図。
【図4A】本発明の実施形態に従って絶縁層の形成に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図4B】本発明の実施形態に従って絶縁層の形成に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図5A】本発明の実施形態に従って温度に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図5B】本発明の実施形態に従って温度に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図6A】本発明の実施形態に従って圧力の変化に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図6B】本発明の実施形態に従って圧力の変化に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図7A】本発明の実施形態に従って重力を基準にして方位変化に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図7B】本発明の実施形態に従って重力を基準にして方位変化に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図8A】本発明の実施形態に従って導電性素子の除去に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図8B】本発明の実施形態に従って導電性素子の除去に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図9A】本発明の実施形態に従った計時センサ。
【図9B】本発明の実施形態に従った計時センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(RFID)装置に関し、またより具体的には、無線周波数識別装置とともに使用されるセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)タグは、対象になっている物品の存在又は移動を検出するために使用されてきた小さな電子デバイスである。RFIDタグは、製造プロセスを通して被加工物の進度を追跡する製造において、商品の盗難を阻止する小売用途において、及び有料道路を通って車両の移動を検出する交通用途においてなど、様々な用途に頻繁に使用されている。
【0003】
RFIDタグを付けた物品の存在は、間欠的又は連続的に、いずれかでRFIDタグに無線で問い合せすることにより電子的に検出されてよい。このRFIDタグは、典型的には識別(ID)コードを格納する。RFIDタグ読み取り器により問い合せ信号が送られる場合、RFIDタグはそのIDコードをRFIDタグ読み取り器へ無線で伝送する。RFIDタグによりRFIDタグ読み取り器へ伝送されるこのコードは、RFIDタグを付けた物品の存在及び識別を指示する。
【0004】
RFIDタグは、電池又は他の独立の電源を備えてよい、若しくはそれらは外部付のRFIDタグ読み取り器により伝送されるRF信号から電力を取得してよい。独立の電源の無いRFIDタグは、特に小さく及び安価であり、多数の移動対象物を追跡するのに費用効果を非常に大きくさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
存在情報及び識別情報に加えて、物品についてRFIDタグからの情報を取得することは価値がある。本発明は、これらの及び他のニーズを満たす、そして先行技術より優れた他の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、RFIDセンサ、RFIDセンサシステム、及びRFID感知方法に関する。
【0007】
本発明の一実施形態は、複数個の別個のセンサ素子から成るRFIDセンサに関わる。各センサ素子はセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成される。RFID回路は、複数個のセンサ素子に接続され、そして複数個のセンサ素子の導電状態に対応するコードを伝送するように構成される。幾つかの構成において、このコードはRFIDデバイスの識別コードを含んでよい。
【0008】
様々な実施において、センサ素子の導電状態に対応するこのコードは、物理的条件に対する露出のレベル又は物理的条件に対する露出の継続時間を指示する。複数個のセンサ素子の各々は、特異な物理的条件に敏感であってよい、そしてこのコードは特異な物理的条件の各々に対する露出を指示してよい。様々な取り組み方によれば、このコードは環境条件に対する先行の露出を指示してよい、又は条件に対する現在の露出を指示してもよい。
【0009】
一実施例では、複数個の離散センサ素子の第1のセンサ素子は第1のガスに対する曝露に基づいた導電状態を変化させてよい、そして複数個の離散センサ素子の第2のセンサ素子は第2のガスに対する露出に基づいた導電状態を変化させてよい。RFIDセンサにより伝送されるこのコードは、第1のガス及び/又は第2のガスに対する露出を指示してよい。
【0010】
例えば、センサ素子は物理的条件に対する露出に起因して第1の論理レベルに関連付けられた第1の導電状態から第2の論理レベルに関連付けられた第2の導電状態へ変化させるように構成される受動的導体素子を含んでよい。センサ素子の導電状態の変化は、酸化プロセス、腐食プロセス、機械的プロセス、化学的プロセス、熱的プロセス、若しくはセンサ素子を第1の導電状態から第2の導電状態へ変化させるいかなる他のプロセスによっても引き起こされ得る。幾つかの構成では、その状態変化は、例えば、電場、磁場又は重力場に対する露出に起因して起こり得る。
【0011】
このRFIDセンサは、1つ以上の薄膜回路構成要素を含んでよい。このRFID回路は、交流又は直流の電源により電力を供給されてよい。このRFID回路は、独立の電源を備えてよい、或いは外部のRFソースから伝送されるRFエネルギーから電力を取得してよい。
【0012】
別の実施形態は、RFIDシステムに関する。このシステムは、複数個の離散センサ素子を備え、各センサ素子はセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化させるように構成される。RFID回路は、複数個のセンサ素子に接続され、そして複数個のセンサ素子の導電状態に対応するコードを伝送するように構成されている。RFID問い合せ器は、RFID回路から伝送されるコードを受信するように構成されている。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、RFID感知方法に関する。この方法は、複数個のセンサ素子の導電状態を感知する工程に関わる。各センサ素子は、そのセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化させるように構成される。任意のコードがRFID回路を介して伝送され、このコードは複数個のセンサ素子の導電状態に対応する。
【0014】
本発明の上述の概要は、本発明の各実施形態又はあらゆる実施態様を説明しようとするものではない。本発明の利点及び効果、並びに本発明に対する一層の理解は、以下に記載する発明を実施するための最良の形態及び特許請求の範囲を添付図面と併せて参照することによって明らかになり、理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
例示された実施形態の以下の説明において、本明細書の一部を成す添付図面が参照され、そこには本発明が実践されてよい様々な実施形態が実例として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態が利用されてもよく、また構造上の変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0016】
本発明の実施形態は、RFIDセンサとして本明細書では表記される、センサとともに使用されるRFID回路に関わる方法、装置、及びシステムに関する。本発明のRFIDセンサは、RFIDセンサを貼付けた物品の存在を検知するために及びまたその物品についての追加の情報を取得するために使用されてよい。様々な実施形態に従って、RFIDセンサは1つ以上の物理的条件に対するRFIDセンサの現在又は先行の露出に対応付けられるバイナリコードを伝送する。幾つかの実施では、RFIDセンサによる伝送されるこのバイナリコードはセンサに影響を及ぼす1つ以上の事象の発生を指示することができる。
【0017】
図1のブロック図は、本発明の実施形態に従ってRFIDセンサ150を備えるRFIDシステム100を示す。このシステム100は、RFID問い合せ器110、及びRFID回路120とセンサ130とを備えるRFIDセンサ150を具備する。このRFID問い合せ器110は、無線周波数(RF)ソース114及び読み取り器112を備える。このRFソース114は、RFエネルギーをRFIDセンサ150へ間欠的に又は連続的に伝送する。RFソース114により伝送されるRFエネルギーは、RFIDセンサ150へ電力を供給するために使用されてよい。この伝送されたRFエネルギーが、RFIDセンサ150に電力を供給するために使用される場合、RFIDセンサ150は独立の電源を必要としない、したがってRFIDセンサ150の複雑さ及び/又はコストを低減させる。
【0018】
RFID問い合せ器110は、RFエネルギーをRFIDセンサ150へ伝送し且つRFIDセンサ150からRF信号を受信するアンテナとしての役目を果たすインダクタ116を備える。このRFID回路120は、RFID問い合せ器110からRFエネルギーを受け取り且つRF信号をRFIDセンサ150からRFID問い合せ器110へ伝送するために使用されるインダクタ125を備える。
【0019】
このRFIDセンサ150が、RFID問い合せ器110により送られるRFエネルギーから電力を供給される場合、RFID回路120は、制御回路126、クロック128、及びセンサ130を含むRFIDセンサ150の他の構成要素で使用できる電力へRFID問い合せ器110から受け取るRFエネルギーを変換する電源回路124を備える。この電源回路124は、例えば、直流又は交流の電力を生成してよい。代替実施形態では、この電源回路124はRFID問い合せ器110から独立して電力をRFIDセンサ150へ提供する電池又は他の電源を備えてよい。
【0020】
このクロック128は、センサ130からデータを取得し且つそのデータをRFID問い合せ器110へ出力するように制御回路126を駆動する。この制御回路126は、センサ130からRFID問い合せ器110へシリアルデータストリームとしてデータを出力するように動作してよい。このデータは、RF入力/出力回路122及びインダクタ125を介してRFIDセンサ150からRFID問い合せ器110へ伝送される。このデータは、読み取り器112による解釈のためにRFID問い合せ器110により受信される。
【0021】
このRFIDセンサ150は、対象となっている物品により経験された物理的条件がまたRFIDセンサ150により経験され且つ検知されるようにRF問い合せ器110から遠隔した対象となっている物品の上に配置されてよい。用語「物理的条件」は、本明細書においてセンサがさらされる周囲環境の物理的条件を表すのに使用されている。例えば、物理的条件は、環境条件及び/又は磁界配向条件を含んでよい。環境条件は、ガス、光、音、温度、圧力、水分の存在又は不在、及び/又は他の環境条件を含む。磁界配向条件は、場に対する露出及び/又は場を基準にした移動を含み、場とは、たとえば磁場、電場、又は重力場などの場を言う。
【0022】
幾つかの実施形態では、上に掲げるような、ある物理的条件に対する露出に感応性がある少なくとも1つのセンサ素子に加えて、センサ130は、センサ素子で作られた接続を、確立又は解除する人間又は動物などの事象又は行為に対して感応性がある少なくとも1つのセンサ素子を含んでよい。例えば、センサ素子の接続を確立又は解除することは、そのセンサ素子を動かす、切断する、又は引き裂く、ないしは別の方法でセンサ素子の導電状態を変化させるように操作する人間又は動物の意図的又は非意図的な行為により引き起こされ得る。
【0023】
様々な実施形態に従って、センサ130は、感知された物理的条件又は検知された事象に基づいて、開回路に関連付けられた第1の論理状態即ち比較的に高い導電状態から閉回路に関連付けられた第2の論理状態即ち比較的に低い導電条件へバイナリ状態を変化させるように構成された多数のセンサ素子を備える。本発明の態様によれば、センサ素子の各々は、例えば、金属及び/又は他の材料の1つ以上の層で作られたスイッチ又は導電性素子を備えてよい。
【0024】
一実施形態では、センサ素子のバイナリ状態はn−ビットコードに対応する。nセンサ素子のバイナリ状態は、検知され、そしてRF問い合せ器110へ無線で伝送される。RF問い合せ器110は、n−ビットコードを解釈するために使用することができる読み取り器112を有する。
【0025】
RFIDタグは、プログラム化された識別(ID)コードをデバイス内へ一般に伝送する。例えば、RFIDタグのIDコードはm個の接続ノードの各々におけるID接続をスクライビング(scribing)又は電気的溶融(fusing)によりプログラム化されてよい。本発明の幾つかの実施形態では、センサ130のセンサ素子がID接続の1つ以上の代わりに使用されてよい。他の実施形態では、1つ以上のセンサ素子はID接続に追加して使用されてよい。
【0026】
ID接続の代わりにセンサ素子を使用することは、RFIDセンサ150のIDコードが、RFIDセンサ150に影響を及ぼす事象、及び/又は、RFIDセンサ150の現在又は先行の環境により決定されることを可能にする。例えば、RFIDセンサ150により伝送されるコードは、環境条件に対する露出の継続時間及び/又は程度、及び/又はRFIDセンサ150の出荷以降に経過した時間、及び/又は環境及び/又は場に対する露出の他の現在又は先行状態を反映し得る。
【0027】
幾つかの実施形態では、RFIDセンサ150は薄膜デバイス又は回路素子を組み込んでよい。薄膜材料は、電子回路の加工のために多くの製造上の利点を提供する。薄膜デバイスは、例えば、薄ガラス、プラスチック、ポリマー又は紙基板などの可撓性基材の上で加工されてよい。加えて、薄膜材料は、印刷、エンボス加工、又はシャドウマスキングのような低コスト加工技術を用いて処理されてよい。
【0028】
薄膜デバイスは、多結晶シリコン、非晶質シリコン、酸化亜鉛、及び/又はセレン化カドミウムのような無機半導体で形成されてよい、及び/又は有機半導体で形成されてよい。RFID用途向けの薄膜トランジスタベース論理回路は、交流電源により電力が供給されてよい。交流電源用薄膜回路の使用は、RF交流信号を直流信号へ変換する整流器の必要性をなくすことによりRFIDタグのコスト及びサイズを実質的に低減し得る。RFID用途向けに交流電力の誘導及び使用、及びRFIDデバイスを実施するため交流電力を使用する回路は、共同所有の米国特許出願公開第2004/0119504号及び同第2005/0134318号に記載されている。
【0029】
図2Aは、図1のセンサ130をより詳細に示している。図2Aに示されるように、センサ130は多くの分離センサ素子220〜290を備える。各センサ素子220〜290は、第1の電気ノード220a〜290aと第2の電気ノード220b〜290bとの間にそれぞれ配設される。代表的なセンサ130は、8個のセンサ素子220〜290を組み込んでいるとして図示してあるが、センサ素子220〜290より多い又は少ないものが使用されてよい。
【0030】
これらのセンサ素子220〜290は、例えば、金属又は他の導電性材料の1つ以上の層から形成される導電ストリップを含んでよい。これらのセンサ素子220〜290は、感知された条件に基づいて導電状態を変化させるように構成される。例えば、センサ素子220〜290は、感知された条件又は検知された事象に基づいて、高導電率に関連付けられた第1の導電状態即ち短絡回路(閉回路)から低導電率に関連付けられた第2の導電状態即ち開回路まで変化し得る。他の選択肢として、センサ素子220〜290は、感知された条件又は検出された事象に基づいて、低導電率に関連付けられた第2の導電状態から高導電率に関連付けられた第1の導電状態まで変化し得る。センサ素子220〜290の導電状態は、電気ノード220a〜290a、220b〜290bにアクセスすることにより取得できる1ビットバイナリ論理状態により表され得る。センサ素子220〜290の状態は、n−ビットデジタルコードとしてRFIDセンサからRFID問い合せ器に出力され得る。
【0031】
図2Bは、センサ130を実施するための代表的な回路を示す。センサ素子220〜290は、抵抗器R2〜R9を介してノード220a〜290aを介して電圧源のVに連結され、そしてノード220b〜290bを介して接地される。この制御回路(図示せず)は、データライン220d〜290dを介してノード220a〜290aにおいてセンサ素子220〜290に連結される。この実施例において、センサ素子220〜290は当初には高い導電状態にあり、ノード220a〜290aをグランドへ短絡させて、そして制御回路にノード220a〜290aの各々において論理的な「0」を検出させる。物理的条件に対する露出と同時に、センサ素子220〜290の1つ以上が、低い導電状態即ち開回路へ遷移することができ、制御回路に低い導電率を有するセンサ素子のノードにおいて論理的な「1」を読み取らせる。ノード220a〜290aにおける論理的状態は、制御回路により読み取られ且つRFID問い合せ器へ伝送される8−ビットコードを提供する。
【0032】
センサ素子のバイナリ状態の変化は、様々なプロセスに起因して起こり得る。例えば、導電状態の変化は、腐食又は酸化のような化学的作用、熱的プロセス、機械的プロセスに起因して、及び/又はセンサ素子の導電率の変化を引き起こすいかなる他のプロセスによっても起こり得る。本発明のRFIDセンサのセンサ素子は、物理的条件に対する露出のレベル又は継続時間を指示するように較正され得る。これらの実施では、センサ素子がセンサ素子の較正レベルに関連付けられたレベルにおいて環境条件に露出されるまでセンサ素子の導電状態の変化は起こらない。
【0033】
幾つかの実施形態では、各センサ素子は同一の物理的条件又は事象を検出するように構成されている。他の実施形態では、1つのセンサ素子は第1の物理的条件又は事象を検出するために使用されてよい、またもう1つのセンサ素子は第2の物理的条件又は事象を検出するために使用されてよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、センサ素子は物理的条件に対する露出の異なるレベル又は物理的条件に対する露出の継続時間を検出するために使用されてよい。例えば、1つのセンサ素子は特定の環境条件に対する露出第1のレベル又は継続時間を検出するよう構成されてよい、またもう1つのセンサ素子は特定の環境条件に対する露出の第2のレベル又は継続時間を感知するように構成されてよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、センサ素子は金属痕跡を含み、そしてバイナリ状態の変化は金属痕跡の腐食の結果であり得る。一実施例において、センサ素子は、酸素の存在下で酸化する薄い金属層として実装されるので、したがって、酸素の存在下で絶縁状態となっていく。多くのセンサ素子が、さまざまな厚さの金属層として形成される場合、各センサ素子が絶縁状態になるのに漸進的により長くかかればセンサは計時センサとして作動し得る。別の実施例では、センサ素子は特定のガスの水分の存在又はレベルを検出するように構成されてよい。幾つかの実施では、各センサ素子は特異な物理的条件に感応性があってよい。例えば、多くのセンサ素子の使用は、異なるタイプのガスに感応性があり、それぞれが「電子嗅覚」として機能するRFIDセンサを実現させる。
【0036】
図3は、RFIDセンサの構成をさらに示す回路図である。図3に示すように、RFソースは、インダクタ76を介して交流出力信号を伝送する交流ゼネレータ92を備えてよい。幾つかの用途向けに、交流ゼネレータ92は、約125kHzの周波数において約0〜5アンペアの出力を有する正弦波電流電源の形態をとってよい。
【0037】
インダクタ76及び78は、RFソースとRFIDセンサ70との間のRFエネルギーの電磁カップリングのために変圧器を形成する。抵抗器94は、電流を制限するために選択される。コンデンサ96は、下式に従って電源周波数を調整する平行な共振タンクを形成するように電源73内でインダクタ78と平行に設置されてよい。
【0038】
【数1】
【0039】
ここにLはインダクタ78のインダクタンスであり、そしてCはコンデンサ96の静電容量である。
【0040】
50μHのインダクタンス及び32nFの静電容量であれば、インダクタ78及びコンデンサ96は約125kHzの共振周波数を発生する。したがって、この実施例では、交流電源73の出力は約125kHzの周波数を有する正弦波である。インダクタ78で生成された正弦波は、電源73の出力として部分的に整流された交流電力波形を生成するために、部分整流ステージ80により部分的に整流される。この部分的に整流された交流電力波形は、図3に表されているように、この後電源(POWER)端子及びコモン(COMMON)端末からクロック回路88、制御論理86、出力バッファ84、及び変調インバータ82に印加される。
【0041】
図3は、n−ビット識別コードを担うRFIDセンサ70を示す。図を簡単にするために、RFIDセンサ70はセンサ330の導電性素子320〜380により規定された7−ビット識別コードを担うが、識別コード内のビット数は7未満または超としてよい。図3の実施例では、クロック回路88は、フィードバックループに配置された一連の7個のインバータステージにより形成される環状発振器である。
【0042】
図3の環状発振器は、制御論理86内に設けられる対応のNORゲートへ印加される2台のインバータの出力を示す。このようにして、7個のNORゲートは環状発振器により生成される各クロックサイクル内で一連の7個のパルスを発生するために使用される。制御論理86内のNORゲートの数が変動し得ることに注目する。この配置であれば、原則として、より大きなビット数、例えば、n=31、63又は127へ拡張することが可能であろう。
【0043】
このRFIDセンサは、センサ素子320〜380を有するセンサ330を備える。センサ素子320〜380は、ノード320a〜380aにおいて対応のNORゲート出力に接続される。センサ素子320〜380は、ノード320b〜380bにおいて接地される。センサ素子320〜380が高い導電状態にある場合、関連NORゲートの出力はノード320a〜380aを介して接地される。センサ素子320〜380が低い導電状態にある場合、NORゲート出力は入力の1つとして制御論理86内の7−入力ORゲートへ接続される。
【0044】
例えば、センサ素子330及び350が高い導電状態にあり、センサ素子320、340、及び360〜380が低い導電状態にある場合の状況を考える。この実施例では、7−ビット識別コード「1010111」が、ノード320a〜380aにおいて存在することになる。
【0045】
センサ素子320〜380は、例えば、金属導体から作製することができ、NORゲート出力から接地まで延在させ且つ当初には高い導電状態にすることができる。1つ以上のセンサ素子320〜380は、物理的条件に対する露出により低い導電状態へ遷移するよう構成することができ、これにより、物理的条件に対する露出に基づいてノード320a〜380aに存在する識別コードを変化させることになる。
【0046】
制御論理86内の7−入力ORゲートの出力は、出力バッファ84内の一連のバッファ増幅器へ印加され、論理回路の出力インピーダンスを変調インバータ82の入力インピーダンスに整合させるのに助けになる。具体的には、「タグ出力」の信号が、変調インバータ82に関連付けられたドライブトランジスタのゲートに印加される。変調インバータ82は、次いでインダクタ78及びコンデンサ96により形成されるタンクのQを変調して搬送波信号の振幅変調を実現する。この変調方法により、受信されたバッファ出力は、読み取り器が識別コードを読み取ることができるように読み取り器ユニットへ伝送される。特に、読み取り器はインダクタ76を介してL_タップにおいて受信された信号を処理する。
【0047】
図4A〜4Bは、物理的条件に対する露出に基づいてセンサ素子を高い導電状態から低い導電状態へ遷移させる1つのプロセスを示す。図4Aは、重なり合った2つの導体412、414から成るセンサ素子を示す。図4Aでは、重なり合った導体412、414が電気的接触をするのでセンサ素子410は高い導電状態にある。図4Bは、導体412、414間における絶縁層416の形成に起因して低い導電状態への遷移に従うセンサ素子410を示す。例えば、センサ素子410は酸素センサとして機能することができ、センサ素子410の導電状態は、酸素に対する露出によって導体412、414の片方又は両方の上に絶縁酸化層を形成することに起因して変化することになる。
【0048】
幾つかの実施では、センサ素子は、物理的条件に対する露出の特定のレベル又は継続時間において導電状態の変化が起こるように較正することができる。例えば、センサ素子を形成する材料は、第1の導電状態から第2の導電状態への変化が酸素に対する露出のレベル又は継続時間に対応するように、ある特定の酸化速度を有するように選択されてよい。センサ素子の較正は、例えば、センサ素子を形成するために使用される特別な材料の選択及び/又はセンサ素子の物理的寸法の構成によって、RFIDセンサにより伝送されるコードが、物理的条件に対する露出のみならず、その露出のレベル又は継続時間を指示することも可能にする。これに加えて、複数個のセンサ素子が、使用されてよく、それぞれが露出の異なるレベル又は継続時間において導電状態を変化させることになる。複数個のセンサ素子がこのような仕方で使用される場合、RFIDセンサにより伝送されるコードは、物理的条件に対する露出の範囲を指示することになる。例えば、露出範囲は、導電状態を変化させたセンサ素子に関連付けられた露出レベルより大きい又は等しい、または導電状態をまだ変化させていないセンサ素子に関連付けられた露出レベル未満であるとして決定されてよい。このRFIDセンサには、問い合せを繰り返すことができ、そしてRFIDセンサにより伝送されるコードは、RFIDセンサの時間の経過にともなう物理的条件に対する露出を追跡するために使用されてよい。
【0049】
幾つかの実施では、物理的条件は温度であってもよく、またセンサ素子は、特定の温度に対する露出に基づいて第1の導電状態から第2の導電状態へ変化するように選択されてもよい。例えば、図5A及び5Bに示されるように、センサ素子510は温度変化に感応性があるバイメタルスイッチとして構成されてよい。図5A及び5Bでは、導体514がスイッチング温度において撓むバイメタル導体として形成されている。他の選択肢としては、センサ素子510の導体512、514の両方がバイメタル導体を備えてよい。このセンサ素子510は、バイメタルスイッチを図5Bに示されるように当初開状態にして、第1の論理レベルに関連付けられた当初には低い導電状態にあるように構成してもよいし、またはバイメタルスイッチを図5Aに示されるように当初閉状態にして、第2の論理レベルに関連付けられた当初には高い導電状態にあるように構成してもよい。スイッチング温度に対する露出は、金属の熱膨張又は収縮に起因するバイメタル導体514の動きを生じさせ、結果的に導電状態の変化をもたらす。例えば、センサ素子510が、図5Bに示すように、当初には低い導電状態にある場合、温度の低下はバイメタル導体514を収縮させ、及びセンサ素子510は、図5Aに示すように、高い導電状態へ遷移する。他の選択肢としては、図5Aに示すように、当初に高い導電状態にある場合、温度の上昇はバイメタル導体514を膨張させ、センサ素子510を、図5Bに示すように、低い導電率に関連付けられた状態に遷移させる。温度に対する露出は、センサ素子に関連付けられた論理レベル出力の変化として表される。
【0050】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態に従ってセンサ素子の動作のさらに別の実施例を示している。この実施例では、差圧がセンサ素子導体の一方の動きを引き起こす。図6Aは、高い電気導電状態におけるセンサ素子610を示している。導電性ダイアフラム612は、絶縁体620を介してセンサ素子610の第1の及び第2の導体614、616へ取り付けられる。高い導電状態では、導電性ダイアフラム612が第1と第2の導体614、616間を電気的に接続する。この導電性ダイアフラム612は、差圧が無いので第1の及び第2の導体614、616と接触したままである。差圧に対する露出は、感圧性導体612の動きを引き起こし、第1と第2の導体614、616間の接続を断ち、且つセンサ素子610を、図6Bに示すように、低い導電状態へ遷移させる。
【0051】
図7A及び7Bは、方位又は傾きセンサとして構成されるセンサ素子710の動作を示す。このセンサ素子は、第1の及び第2の導体714、716及び、例えば、導電ボール又は水銀液滴などの方位感受性導体712を備える。センサ素子710を傾けることによって、方位感受性素子712が重力場により移動して、第1と第2の導体714、716間を電気的に接続させる。図7A及び7Bは、低い導電状態及び高い導電状態にあるセンサ素子710をそれぞれ示している。
【0052】
幾つかの実施では、導電性物質がセンサ素子から除去される場合に、導電状態の変化が起こり得る。図8Aに示すように、当初、センサ素子810はセンサ素子810の第1の導体814と第2の導体816との間に導電性物質812を含む。この導電性物質812は、第1の導体814と第2の導体816との間を電気的に接続して、センサ素子810を高い導電状態にさせる。この導電性物質812は、特定の物理的条件に感応性があってよい。物理的条件に対する露出は、導電性物質812を溶解又は溶融させ、図8Bに示すように、第1の導体814と第2の導体816との間の電気的接続を断つ。第1の導体814と第2の導体816との間の電気的接続を除去することは、センサ素子810を低い導電状態へ遷移させる。
【0053】
幾つかの実施では、ある物理的条件がセンサ素子の導電状態の一時的な変化を生じさせることがある。これらの実施では、RFIDセンサにより伝送されるコードが物理的条件の現在の状態を指示する。他の実施では、物理的条件に対する露出がセンサ素子の導電度状態の恒久的変化を生じさせる。これらの構成では、コードは物理的条件に対する以前の露出を指示する。
【0054】
図9A及び9Bは、計時検出器を実施するために使用されるセンサ910を示す。センサ素子910〜914のそれぞれが物理的条件に対する露出の漸進的なレベルに感応性がある。この実施形態では、センサ素子911〜914は、カルシウムのような反応性金属で形成され、かつ変化に対応する幅及び厚さを有する。例えば、センサ素子911〜914の幅及び厚さは、空気に露出したときに金属の酸化/腐速度食に基づいて決定される量に応じて増加させる。センサ素子911〜914が第1の時間の間空気に露出した後、センサ素子911〜914が腐食し始める。センサ素子911〜914の各々が、様々な時点において伝導しなくなる。特定のセンサ素子911〜914が伝導しなくなる時点が、センサ素子911〜914の幅及び厚さにより決定される。RFIDセンサにより伝送されるコードは、腐食が済んだセンサ素子911〜914の番号に依存する。このコードは、環境条件に対する露出状態の継続時間を表す拍子記号(time signature)へ変換できる。
【0055】
本発明の様々な実施形態を、例証及び説明の目的で上記に記載してきた。包括的であることも、開示されたそのままの形態に本発明を限定することも意図するものではない。以上の教示を考慮すれば、多数の修正及び変形が可能である。例えば、本発明の実施形態は多種多様な用途に実施され得る。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって制限されるものとする。
【0056】
本発明は様々な変更及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すとともに詳細に説明してきた。但し、本願発明を記載される特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。むしろ、本願発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本願発明の範囲内にある、全ての修正例、等価物、及び代替例を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に従ったRFIDセンサのブロック図。
【図2A】本発明の実施形態に従って環境条件の存在下で導電状態を変化させるように構成された複数個のセンサ素子から成るセンサ。
【図2B】本発明の実施形態に従ってセンサを使用するための回路。
【図3】本発明の実施形態に従ってRFIDセンサ回路の構成を示す回路図。
【図4A】本発明の実施形態に従って絶縁層の形成に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図4B】本発明の実施形態に従って絶縁層の形成に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図5A】本発明の実施形態に従って温度に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図5B】本発明の実施形態に従って温度に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図6A】本発明の実施形態に従って圧力の変化に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図6B】本発明の実施形態に従って圧力の変化に起因して電気導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図7A】本発明の実施形態に従って重力を基準にして方位変化に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図7B】本発明の実施形態に従って重力を基準にして方位変化に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図8A】本発明の実施形態に従って導電性素子の除去に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図8B】本発明の実施形態に従って導電性素子の除去に起因して導電状態を変化させるように構成されたセンサ素子。
【図9A】本発明の実施形態に従った計時センサ。
【図9B】本発明の実施形態に従った計時センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各センサ素子が、センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成される、複数個の離散センサ素子と、
前記複数個のセンサ素子に接続されたRFID回路であって、前記RFID回路が識別コードを送信するように構成され、前記識別コードが前記複数個のセンサ素子の前記導電状態に少なくとも部分的に基づいている、RFID回路と、を含むRFIDセンサ。
【請求項2】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記複数個のセンサ素子の各センサ素子が、異なる物理的条件に対する露出に敏感であり、そして
前記識別コードが、前記異なる物理的条件の各々に対する露出を指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記センサが、1つ以上の薄膜回路構成要素を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記RFID回路が、交流電源により電力を供給される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
各センサ素子が、センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成された、複数個のセンサ素子と、
前記複数個のセンサ素子に接続されたRFID回路であって、前記RFID回路の識別コードが、前記複数個のセンサ素子の前記導電状態に少なくとも部分的に基づいている、RFID回路と、
前記RFID回路から前記識別コードを受信するように構成されるRFID問い合せ器と、を含むRFIDシステム。
【請求項8】
前記RFID回路が、独立の電源を含む、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
前記RFID回路が、前記RFID問い合せ器から送られるRFエネルギーにより電力を供給される、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出レベルを示す、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項11】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項12】
複数個の離散センサ素子の各センサ素子が、前記センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成された、複数個のセンサ素子の導電状態を感知する工程と、
前記複数個のセンサ素子の感知された導電状態を用いてRFID回路の識別コードを形成する工程と、を含む方法。
【請求項13】
前記RFID回路を介して前記識別コードをRFID読み取り器へ送信する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の複数の異なる物理的条件に対する露出を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の前記物理的条件に対する露出履歴を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記RFID回路の独立の電源を使用して前記RFID回路に電力を供給する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
RFID読み取り器から送られるRFエネルギーを利用して前記RFID回路に電力を供給する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
各センサ素子がセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて第1のバイナリ論理レベルに関連付けられた第1の導電状態から第2のバイナリ論理レベルに関連付けられた第2の導電状態へ切り替えるように構成される、離散センサ素子と、
前記離散センサ素子へ接続され、前記離散センサ素子の前記導電状態に対応するバイナリコードを送信するように構成されるRFID回路と、を含むRFIDセンサ。
【請求項21】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項23】
前記センサ素子のそれぞれが、異なる物理的条件に対する露出に敏感であり、そして
前記バイナリコードが、前記異なる物理的条件のそれぞれに対する露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項24】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する事前の露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項25】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する現在の露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項26】
前記センサ素子の少なくとも1つが、酸化プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項27】
前記センサ素子の少なくとも1つが、腐食プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項28】
前記センサ素子の少なくとも1つが、機械的プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項29】
前記センサ素子の少なくとも1つが、化学的プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項30】
前記センサ素子の少なくとも1つが、熱プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項31】
前記物理的条件が、環境条件である、請求項20に記載のセンサ。
【請求項32】
前記物理的条件が、電場、磁場、及び重力場の少なくとも1つに対する露出に関連付けられている、請求項20に記載のセンサ。
【請求項33】
人間又は動物の作用に起因して導電率を変化させるように構成される追加のセンサ素子をさらに備える、請求項20に記載のセンサ。
【請求項34】
前記バイナリコードが、前記RFID回路の識別コードを含む、請求項20に記載のセンサ。
【請求項1】
各センサ素子が、センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成される、複数個の離散センサ素子と、
前記複数個のセンサ素子に接続されたRFID回路であって、前記RFID回路が識別コードを送信するように構成され、前記識別コードが前記複数個のセンサ素子の前記導電状態に少なくとも部分的に基づいている、RFID回路と、を含むRFIDセンサ。
【請求項2】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記複数個のセンサ素子の各センサ素子が、異なる物理的条件に対する露出に敏感であり、そして
前記識別コードが、前記異なる物理的条件の各々に対する露出を指示する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記センサが、1つ以上の薄膜回路構成要素を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記RFID回路が、交流電源により電力を供給される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
各センサ素子が、センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成された、複数個のセンサ素子と、
前記複数個のセンサ素子に接続されたRFID回路であって、前記RFID回路の識別コードが、前記複数個のセンサ素子の前記導電状態に少なくとも部分的に基づいている、RFID回路と、
前記RFID回路から前記識別コードを受信するように構成されるRFID問い合せ器と、を含むRFIDシステム。
【請求項8】
前記RFID回路が、独立の電源を含む、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
前記RFID回路が、前記RFID問い合せ器から送られるRFエネルギーにより電力を供給される、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出レベルを示す、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項11】
前記識別コードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項12】
複数個の離散センサ素子の各センサ素子が、前記センサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて導電状態を変化するように構成された、複数個のセンサ素子の導電状態を感知する工程と、
前記複数個のセンサ素子の感知された導電状態を用いてRFID回路の識別コードを形成する工程と、を含む方法。
【請求項13】
前記RFID回路を介して前記識別コードをRFID読み取り器へ送信する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の複数の異なる物理的条件に対する露出を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複数個のセンサ素子の前記導電状態が、前記複数個のセンサ素子の前記物理的条件に対する露出履歴を指示する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記RFID回路の独立の電源を使用して前記RFID回路に電力を供給する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
RFID読み取り器から送られるRFエネルギーを利用して前記RFID回路に電力を供給する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
各センサ素子がセンサ素子の物理的条件に対する露出に基づいて第1のバイナリ論理レベルに関連付けられた第1の導電状態から第2のバイナリ論理レベルに関連付けられた第2の導電状態へ切り替えるように構成される、離散センサ素子と、
前記離散センサ素子へ接続され、前記離散センサ素子の前記導電状態に対応するバイナリコードを送信するように構成されるRFID回路と、を含むRFIDセンサ。
【請求項21】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する露出レベルを指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する露出継続時間を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項23】
前記センサ素子のそれぞれが、異なる物理的条件に対する露出に敏感であり、そして
前記バイナリコードが、前記異なる物理的条件のそれぞれに対する露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項24】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する事前の露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項25】
前記バイナリコードが、前記物理的条件に対する現在の露出を指示する、請求項20に記載のセンサ。
【請求項26】
前記センサ素子の少なくとも1つが、酸化プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項27】
前記センサ素子の少なくとも1つが、腐食プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項28】
前記センサ素子の少なくとも1つが、機械的プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項29】
前記センサ素子の少なくとも1つが、化学的プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項30】
前記センサ素子の少なくとも1つが、熱プロセスにより状態を変化させるように構成される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項31】
前記物理的条件が、環境条件である、請求項20に記載のセンサ。
【請求項32】
前記物理的条件が、電場、磁場、及び重力場の少なくとも1つに対する露出に関連付けられている、請求項20に記載のセンサ。
【請求項33】
人間又は動物の作用に起因して導電率を変化させるように構成される追加のセンサ素子をさらに備える、請求項20に記載のセンサ。
【請求項34】
前記バイナリコードが、前記RFID回路の識別コードを含む、請求項20に記載のセンサ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【公表番号】特表2009−530908(P2009−530908A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500364(P2009−500364)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/004738
【国際公開番号】WO2007/108890
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/004738
【国際公開番号】WO2007/108890
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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