説明

RFIDタグ

【課題】RFIDタグ内のメモリへのアクセス制御の新しい方式を提供する。
【解決手段】RFIDタグ1は、ISO15693に準拠した第1信号処理回路22と、ISO14443に準拠した第2信号処理回路24と、複数のバンクに分割されたメモリ40を備える。RFIDタグ1の制御回路30は、外部装置2との間でISO15693で通信を行っている場合は、外部装置2に対し、メモリ40のうちバンク1のみへのアクセスを許可し、ISO14443で通信を行っている場合は、外部装置2に対しバンク1〜4へのアクセスを許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグに関し、特にRFIDタグ内のメモリへのアクセス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RFIDタグを複数のユーザで使用する場合の各ユーザのデータのセキュリティ確保のために、内蔵メモリを複数のメモリ領域に分割し、各メモリ領域に対して個別にパスワードを設定できるようにしたRFIDタグが開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の通信方式に対応したICカードが開示される。このICカードは、カード端末との通信のために信号の調整をそれぞれ異なる方式で行う複数の信号インタフェースと、一の信号インタフェースが調整した信号が適切に調整されたか否かを判定する調整判定部と、調整判定部により否と判定された場合に、調整を行う信号インタフェースを一の信号インタフェースから他の信号インターフェースに切り換える切り換え制御部とを備える。
【0004】
特許文献1の方式は、パスワード保護されたメモリ領域にアクセスする場合、パスワードの入力が必要であるため処理が繁雑になる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−259927号公報
【特許文献2】特開2004−192253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、RFIDタグ内のメモリのデータ保護に対し、新たな方式を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のメモリ領域を有するメモリ部と、外部装置との間で、異なるRFIDタグ規格に対応した複数の通信モードで通信が可能な通信部と、通信部と外部装置との間での通信モードに応じて、複数のメモリ領域のうち外部装置からのアクセスを許可するメモリ領域を、通信部と外部装置との間での通信モードに応じて制御するメモリアクセス制御部と、を備えるRFIDタグを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係るRFIDタグの実施の形態の構成を示すブロック図である。このRFIDタグ1は、無線により外部装置2と通信する。外部装置2は、例えば、RFIDタグ1が記憶するデータを読み取るタグリーダ、又はRFIDタグ1にデータを書き込むタグライタ、或いはそれら両者の機能を併せ持つリーダ・ライタである。
【0010】
RFIDタグ1は、外部装置2との間での無線通信のためのアンテナ50と、そのアンテナに接続されたチップ10と備えている。本実施形態のRFIDタグ1は、ISO15693(又はISO18000)(近傍型)とISO14443(近接型)の2種類のRFIDタグ規格に準拠する。ISO15693(又はISO18000)とISO14443とは、共に13.56MHzの搬送波を利用するものなので、アンテナ50はそれら両規格で共通のものとしている。
【0011】
チップ10は、電波(HF)インタフェース20,制御回路30,及びメモリ40の各回路を集積した集積回路チップである。
【0012】
電波インタフェース20は、アンテナ50のアナログ高周波通信チャネルと、制御回路40等のデジタル回路とのインターフェースのための回路である。電波インタフェース20内の第1信号処理回路22及び第2信号処理回路24は、外部装置2との間で送受信する信号をRFIDタグ規格に従って信号処理する回路である。第1信号処理回路22はISO15693(又はISO18000)に従った信号処理を行い、第2信号処理回路24はISO14443に従った信号処理を行う。また、電力抽出回路26は、外部装置2からアンテナ50を介して入力される交流電力から、チップ10内の各回路に供給する電源電圧となる電力を抽出する。また、クロック抽出回路28は、アンテナ50から入力された高周波信号から、チップ10内の各回路に供給するシステムクロックを抽出する。これら、第1信号処理回路22,第2信号処理回路24,電力抽出回路26及びクロック抽出回路28は、従来から公知のものを用いることができる。
【0013】
制御回路30は、第1信号処理回路22又は第2信号処理回路24から供給されるデジタル信号が示すコマンドやデータに従って、チップ10内の各回路の制御や、外部装置2への応答などの処理を行う。例えば、制御回路30は、外部装置2から指定されたアドレスのデータをメモリ40から読み出して外部装置2へ返信したり、外部装置2から入力されたデータをメモリ40内の指定されたアドレスに書き込んだりする。制御回路30は、ISO15693(又はISO18000)に規定されたコマンド群や、ISO14443又はこれに準拠する独自規格により規定されたコマンド群に従って処理を実行する。
【0014】
メモリ40は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)又はROM(Read Only Memory)などの半導体メモリである。メモリ40は複数のバンク(領域)に区分されており、制御回路30はバンク単位で読み書きを制御する。図示例では、メモリ40は4バンクに区分されているが、これはあくまで一例に過ぎない。また、メモリ40には、EEPROM部分とROM部分とが混在していてもよい。
【0015】
以上のような構成のRFIDタグ1において、制御回路30は、メモリ40の各バンクのうち外部装置2からのアクセスを許可するバンクを、外部装置2との間で確立できた通信モードに応じて選択する。その選択規則の一例を図2に示す。
【0016】
図2の例では、ISO15693(又はISO18000)に準拠した第1通信モードでは、外部装置2には、図1に示した4つのバンクのうちバンク1のみしか使用を許可しない。それに対し、ISO14443に準拠した第2通信モードでは、4つのバンクすべての使用を外部装置2に許可する。
【0017】
このようなメモリアクセス制御のため、制御回路30は、図3に示すような状態遷移で状態制御を行う。すなわち、まず無線タグ1が電源オフ状態(102)にある場合において、外部装置2からの電力供給を受けて電源がオンされると(112)、制御回路30は、ISO15693(又はISO18000)に準拠した第1通信モード(104)での制御動作を実行する。第1通信モードでは、制御回路30は、デジタル信号の供給元として第1信号処理回路22を選択し、この回路22からのデジタル信号に従って動作する。また、第1通信モードでは、制御回路30は、外部装置2からメモリ40のバンク2〜4に対するアクセスを禁止する。すなわち、第1通信モードでは、制御回路30は、外部装置2からの読み出しコマンドや書き込みコマンドの対象アドレスがバンク2〜4に属する場合には、そのコマンドの実行を取りやめる。このとき、制御回路30が、外部装置2に対してエラーコードを返すようにしてもよい。また、第1通信モードでは、外部装置2からバンク1内のアドレスに対する読み出しや書き込みが指示された場合、制御回路30はその指示を実行する。
【0018】
以後、制御回路30は、第2通信モードに移行する旨を示す移行コマンド(114)を外部装置2から受け取るまで、或いは外部装置2からの電力供給が絶たれて電源がオフ(116)されるまでは、第1通信モードの状態を維持する。
【0019】
移行コマンド(114)を外部装置2から受け取ると、制御回路30は、第2通信モード(106)に移行する。第2通信モードでは、制御回路30は、デジタル信号の供給元として第2信号処理回路24を選択し、この回路24からのデジタル信号に従って動作する。第2通信モードでは、制御回路30は、バンク1〜4に対する外部装置2からの読み出し又は書き込みの要求を全て許可する。無線タグ1が第2通信モードの状態にあるときに、電源が断たれると(116)、電源オフ状態(102)に移行する。なお、第2通信モードから第1通信モードに移行する復帰コマンドを規定し、外部装置2からこの復帰コマンドが送信されてきた場合に、制御回路30が第1通信モードへの移行を行うようにしてもよい。
【0020】
なお、以上の実施形態では、第1通信モード用の第1信号処理回路22と、第2通信モード用の第2信号処理回路24とを別々に設けたが、同一の信号処理回路を2つの通信モードで兼用してもよい。この場合、制御回路30は、その共通の信号処理回路を、電源オン時は第1通信モードに準拠して動作させ、移行コマンドを受け取ると第2通信モードに準拠して動作するように、その信号処理回路の動作パラメータを切り換えるなどの制御を行えばよい。
【0021】
以上に説明したRFIDタグ1を用いれば、通信モードの切替によって外部装置2にアクセスを許可するメモリ領域を切り替えることができるので、保護のためのパスワード設定や、保護を解除するためのパスワード入力などといった処理を行わなくてもよい。また、本実施形態では、外部装置2が対応するRFIDタグ規格に応じて、その外部装置2がアクセスできるメモリバンクが変わるので、目的・用途ごとに異なるタグ規格の外部装置2を用いることで、容易にメモリ領域の使い分けをすることができる。
【0022】
例えば、ISO15693(又はISO18000)に準拠した外部装置2を用いればバンク1のみを使用でき、ISO14443に準拠した外部装置2(ただし、最初のリクエストコマンドと移行コマンドはISO15693又はISO18000で発行できる必要がある)を用いれば、バンク1〜4を使用できる。
【0023】
また、本実施形態によれば、2つの通信モード(言い換えればRFIDタグ規格)が共通利用できる領域をメモリ40内に設けたので、異なる通信モードにそれぞれ対応した外部装置2同士の間で、その共通領域を利用してデータを受け渡したり、データを共用したりすることが可能になる。
【0024】
また、本実施形態では、第2通信モード(ISO14443)が第1通信モード(ISO15693又はISO18000)よりも高速なので、バンク2〜4のセキュリティを強化できる。すなわち、例えばRFIDタグのコピー品の作り方の1つとして、RFIDタグの処理をソフトウエアでエミュレーションする方法がある。この方法のコピー品は、外部装置から受信した電波から再生したクロックに従ってプログラムを実行することで、正規品の動作を模擬する。このため、ISO15693又はISO18000より高速なISO14443の動作を模擬することは困難になる。このように、第2通信モードでの動作の模擬が困難になるため、第2通信モードでしかアクセスできないバンク2〜4の保護が強化される。
【0025】
以上に説明したRFIDタグ1の応用分野の例としては、例えば複写機や複合機などの画像形成装置の消耗品(交換部品)管理を挙げることができる。
【0026】
画像形成装置には、従来よりトナーカートリッジや感光体ドラムカートリッジなどの交換可能な消耗品に対し記憶媒体を装着し、画像形成装置からその記憶媒体に対してデータの読み書きを行うことで、適切な画像形成動作が行えるようにしている。例えば消耗品の記憶媒体には、その消耗品の使用量のデータが画像形成装置から書き込まれる。また、その消耗品が適切な条件で動作できるようにするために、例えばその消耗品の識別情報やその消耗品が最適に機能するための各種制御パラメータなどを、消耗品の製造工場などにおいて予めその記憶媒体に書き込んでおくことも行われている。そして近年では、消耗品に装着する記録媒体としてRFIDタグの利用が進みつつある。無線タグは非接触でデータの読み書きができるため、有線接続方式の読み書きと比べた場合、装置構造上の制約が緩和される利点がある。
【0027】
このように、消耗品に装着されるRFIDタグを、消耗品の物流管理にも利用することを考える。例えば、工場、倉庫、営業所、港、空港、運送会社の物流センターなどといった物流拠点でそのRFIDタグを読み取ることで、どの消耗品がどの物流拠点に存在するか、或いはどの物流拠点を通過したかなどといった管理を行うことが考えられる。
【0028】
ところが、消耗品のRFIDタグ内には、画質調整パラメータなどの制御パラメータなども書き込まれており、これが工場等の正しい機関以外の場所で変更されてしまうと、消耗品が最適な状態で機能できず、ユーザにとって不利益をもたらすおそれがある。そこで、RFIDタグ内のデータが物流拠点などで誤って書き換えられることがないようにすることが重要である。
【0029】
このような課題を解決するために、消耗品に装着するRFIDタグとして本実施形態のRFIDタグ1を採用し、制御パラメータなどのように物流拠点などで書き換えられたり、読み取られたりすると問題があるデータはバンク2〜4に記憶させるようにし、物流管理のためのデータはバンク1に記憶させるようにする。この場合、各物流拠点に設けるタグリーダ、タグライタ、又はリーダ・ライタ(以下、「リーダ・ライタ等」と略す)はISO15693(又はISO18000)に準拠したものとし、画像形成装置に内蔵するリーダ・ライタ等はISO14443に準拠したものとする。なお、図3のような状態遷移でRFIDタグ1を制御する場合、画像形成装置に設けるリーダ・ライタ等は、ISO14443に準拠した動作の他に、RFIDタグ1に対する最初の呼びかけ(リクエストコマンド)と移行コマンド(114)を、ISO15693(又はISO18000)に準拠した通信方式で発信する機能を持つようにする。移行コマンドを発行した後は、リーダ・ライタ等はISO14443に準拠した通信を行う。ISO15693又はISO18000(近傍型)はISO14443(近接型)よりも通信速度は遅いが通信可能な距離が長いので、物流拠点での読み書きの場合のように、対象となる消耗品が梱包されていてリーダ・ライタ等が余り近づけられない場合にも利用できる。これに対し、画像形成装置では、装着した消耗品のRFIDタグの近くにリーダ・ライタ等を設けるように設計すれば、ISO14443に対応することができ、そうすれば高速で読み書きを行うこともできるので有利である。また、ISO15693又はISO18000(近傍型)は、この規格に準拠しているリーダ・ライタ等ならば、基本的にどのメーカーのものでもこの規格のRFIDタグの読み取り又は書き込みが可能である。このようにISO15693又はISO18000は汎用性が高いので、海外拠点も含む様々な物流拠点でのリーダ・ライタ等の設備導入が容易になる。また、この規格に準拠しているリーダ・ライタ等を有する拠点ならば、この消耗品の物流システムに容易に参加できる。これに対し、ISO14443は、ICカード等セキュリティが必要な場合、コマンド体系も独自のものとすることができる。したがって、画像形成装置のリーダ・ライタ等とRFIDタグ1の第2信号処理回路24をこの独自規格のものとすることで、一般のリーダ・ライタではRFIDタグ1にアクセスしにくくすることも可能である。
【0030】
このようなことから、物流管理用にISO15693(又はISO18000)を用い、画像形成装置での利用のためにISO14443を用いることは好適である。
【0031】
また、この場合、バンク1には、国際的非営利組織であるオートIDセンター(Auto-ID center)が提唱したEPC(Electronic Product Code)などといった製品管理用のコードを保持させることも好適である。これにより、各物流拠点での消耗品の個体識別が可能になる。また、このコードを画像形成装置が読み取ることで、どの番号の消耗品が装着されているか、画像形成装置側で把握できる。
【0032】
以上のような構成とすることで、物流拠点ではバンク1のみにしかアクセスすることができないので、バンク2〜4のデータを保護することができる。また、画像形成装置に消耗品を装着した場合、保護されたバンク2〜4も利用することができる。
【0033】
また、本実施形態のRFIDタグ1では、バンク1は物流管理用、画像形成装置用の両方で利用可能としているので、RFIDタグ1の利用範囲が広がる。例えば、画像形成装置のリーダ・ライタからRFIDタグ1に対し消耗品の使用量カウントデータを書き込む場合、このデータは重要なデータなので保護されたバンク2〜4のいずれかに書き込むが、同じデータをバンク1にも書き込むようにする。これにより、例えばその消耗品の回収時などに回収作業員が持つISO15693準拠のリーダ・ライタ等でバンク1の使用量カウントデータを読み取れば、その消耗品がまだ使用できるかどうかを簡便に確認できる。なお、バンク2〜4には正しい使用量カウントデータが記憶されているので、バンク1の使用量カウントデータは単に簡易確認用のものと位置づけておけば、これが仮に改ざんされたとしても大きな問題にはならない。
【0034】
また、バンク1を物流管理と画像形成装置で共用すれば、物流拠点でバンク1に書き込まれたデータを画像形成装置で読み取って利用することもできる。
【0035】
また、本実施形態によれば、汎用性のある物流用タグとしての機能と、画像形成装置で用いるセキュリティメモリとしての機能とを1つのタグチップとして実現できる。
【0036】
以上、画像形成装置の消耗品への適用例を示したが、本実施形態のRFIDタグ1はこのような例に限らず、様々な分野に適用可能である。例えば、交換部品の物流管理のフェーズとその交換部品を実際に使用するフェーズとで共通のRFIDタグを利用しつつ、フェーズごとにRFIDタグのメモリ領域を使い分けることができる。
【0037】
また、上記実施形態では、RFIDタグ1は電源オン時にISO15693又はISO18000に準拠した第1通信モードで起動するようにしていたので、第2通信モード(ISO14443)で読み書きを行うための外部装置2も、RFIDタグ1への最初の呼びかけの際にはISO15693又はISO18000に準拠したコマンド送信を行う機能が必要であった。このことは、ISO14443準拠の一般的なリーダ・ライタ等ではRFIDタグ1にアクセスできないため、バンク2〜4へのセキュリティを向上させる側面を持っている。
【0038】
以上の実施形態ではあくまで一例に過ぎず、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が考えられる。
【0039】
例えば、以上の実施形態において、第1通信モードから第2通信モードへの移行コマンドを外部装置2から受け取った場合に、RFIDタグ1がその外部装置2が正当なものであるかどうかを認証するようにしてもよい。認証には、パスワード認証やSHA(Secure Hash Algorithm)認証など既存の認証方式を用いればよい。いずれの方式でも、外部装置2が、正当な外部装置でなければ知らない秘密の鍵情報又はパスワードを知らない限り、この認証は成功しない。認証が成功しなければ、RFIDタグ1は第2通信モードには移行せず、したがってバンク2〜4へのアクセスを外部装置2に許可することもない。このように第2通信モードへの移行に認証を要求することで、バンク2〜4を更に強固に保護することができる。また、メモリ40内の各バンクごとに個別に鍵情報を設定できるようにすれば、バンクごとのデータ保護も可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、RFIDタグ1は電源オン時にISO15693又はISO18000に準拠した第1通信モードで起動するので、バンク2〜4にアクセスする外部装置2はそれに対応している必要があった。これに対し、第2通信モードのみに対応した外部装置2でもRFIDタグ1にアクセスできるようにしてもよい。これには、例えば、制御回路30が、電源オン時に、第1信号処理回路22からの入力信号と第2信号処理回路24からの入力信号を同時並列的で監視し、通信の開始を要求するコマンド(リクエストコマンドなど)を入力信号から解釈できた方の信号処理回路22又は24を選択し、以降はその選択した信号処理回路22又は24に対応する通信モードで動作する。なお、同時並列的な監視の代わりに、制御回路30が各信号処理回路22及び24からの入力信号からコマンドを検出できるかどうかを順番に判定していくことで、通信モードを判別してもよい。
【0041】
また以上ではメモリ40が4つのバンクに分割されていたが、これは一例に過ぎない。2以上のバンクに分割されているメモリであれば、本発明は適用できる。
【0042】
また以上ではバンク1〜4のうち1つが第1通信モードと第2通信モードで共用できたが、そのような共用バンクが2以上あってもよい。
【0043】
また以上では、第1通信モードと第2通信モードの両方でアクセスできるバンクを設けたが、そのような共用バンクを設けない態様も本発明の範囲内である。
【0044】
また、以上の例では、RFIDタグ1が対応する通信モード(無線タグ規格)は2つであったが、これが3以上であってももちろんよい。通信モードが3以上ある場合も、基本的な制御を2つの場合と同様である。すなわち、RFIDタグ1の制御回路30は、外部装置2が使用している通信モードに応じて、メモリ40のうちで外部装置2に使用を許可するバンクを判定し、それら使用を許可するバンク以外へのアクセスを禁止すればよい。
【0045】
また、以上の例では、通信モードの例として、ISO15693(又はISO18000)に準拠したモードとISO14443に準拠したモードを例示したが、他の無線タグ規格を用いてももちろんかまわない。
【0046】
また、上述の実施形態では、第1通信モードでは、外部装置2に対しバンク2〜4の読み書き両方を認めなかったが、バンク2〜4のうち予め定められた1個〜複数のバンクについては読み出しを認めるようにしてもよい。このように、本発明におけるメモリ領域(バンク)へのアクセスの許可及び禁止の制御は、読み出し、書き込みなどといった操作内容レベルでの制御も含むものとする。
【0047】
また、以上の実施形態では、RFIDタグ1は外部装置2から電源供給を受けるタイプのものであったが、電池内蔵タイプのRFIDタグにも本発明が適用可能であることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るRFIDタグの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】外部装置からのアクセスを許可するメモリバンクの選択規則の一例を示す図である。
【図3】実施形態のRFIDタグの状態遷移を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 RFIDタグ、2 外部装置、10 チップ、20 電波インタフェース、22 第1信号処理回路、24 第2信号処理回路、26 電力抽出回路、28 クロック抽出回路、30 制御回路、40 メモリ、50 アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリ領域を有するメモリ部と、
外部装置との間で、異なるRFIDタグ規格に対応した複数の通信モードで通信が可能な通信部と、
通信部と外部装置との間での通信モードに応じて、複数のメモリ領域のうち外部装置からのアクセスを許可するメモリ領域を、通信部と外部装置との間での通信モードに応じて制御するメモリアクセス制御部と、
を備えるRFIDタグ。
【請求項2】
請求項1記載のRFIDタグであって、
前記メモリアクセス制御部は、前記複数の通信モードのうち第1の通信モードと第2の通信モードとで、共通のメモリ領域へのアクセスを許可する、
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項3】
請求項2記載のRFIDタグであって、
前記メモリアクセス制御部は、前記第2の通信モードでは、2以上のメモリ領域へのアクセスを前記外部装置に許可し、前記第1の通信モードでは、前記第2の通信モードで外部装置にアクセスが許可される2以上のメモリ領域のうち前記共通のメモリ領域以外の領域には前記外部装置のアクセスを許可しない、
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項4】
請求項3記載のRFIDタグであって、
前記第2の通信モードは、前記第1の通信モードよりも通信速度が高速である、ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項5】
請求項3に記載のRFIDタグであって、
前記メモリアクセス制御部は、前記外部装置の認証を行い、認証が成功した場合にのみ、前記第1の通信モードから前記第2の通信モードへの切り換えを許可する、
ことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項6】
請求項3に記載のRFIDタグであって、前記第1の通信モードは、ISO規格に準拠した方式であることを特徴とする、RFIDタグ。
【請求項7】
請求項6記載のRFIDタグであって、前記共通のメモリ領域には、該RFIDタグが付加される対象物の識別コードが記憶されることを特徴とする、RFIDタグ。
【請求項8】
請求項3に記載のRFIDタグであって、前記第2の通信モードは、ISO規格に準拠した方式であることを特徴とする、RFIDタグ。
【請求項9】
請求項8記載のRFIDタグであって、
前記通信部は、前記外部装置との通信開始時は前記第1の通信モードで通信を行い、前記第1の通信モードでの通信にて前記外部装置から所定のモード移行コマンドを受けた場合に、前記第2の通信モードでの通信に切り替える、
ことを特徴とするRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−86934(P2007−86934A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272800(P2005−272800)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】