説明

RFIDタグ

【課題】回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避されるRFIDタグを提供する。
【解決手段】曲げ戻し自在のベース101と、そのベース101上に配線された通信用のアンテナ102と、そのアンテナ102に電気的に接続された、そのアンテナ102を介して無線通信を行う回路チップ103と、その回路チップ103の少なくとも周囲と上記アンテナ102の配線の一部とを、上記ベース101を下としたときの少なくとも上方については覆うチップ補強体であって、凹凸形状を有し、その凹凸形状の凹部で上記アンテナ102の配線と交わる補強体105と、その補強体105をベース101に接着し、補強体105の縁の凹部に沿った縁がアンテナ102上を横切る接着剤106とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で外部機器との間で情報のやり取りを行うRFID(Radio_Frequency_IDentification)タグに関する。なお、本技術分野における当業者間では、本明細書で使用する「RFIDタグ」のことを、「RFIDタグ」用の内部構造部材(インレイ;inlay)であるとして「RFIDタグ用インレイ」と称する場合もある。あるいは、この「RFIDタグ」のことを「無線ICタグ」と称する場合もある。
【背景技術】
【0002】
近年、リーダライタに代表される外部機器と、電波によって非接触で情報のやり取りを行なう種々のRFIDタグが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照。)。このRFIDタグの一種として、プラスチックや紙からなるベースシート上に電波通信用のアンテナパターンと回路チップが搭載された構成のものが提案されており、このようなタイプのRFIDタグについては、物品などに取り付けられ、その物品に関する情報を外部機器とやり取りすることで物品の識別などを行なうという利用形態が考えられている。
【0003】
図8は、RFIDタグの一例を示す図である。
【0004】
この図8のパート(a)には、RFIDタグの一例であるRFIDタグ800の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ800のパート(a)における切断線H−Hに沿った断面図が示されている。
【0005】
この図8に示すRFIDタグ800は、PETフィルムで形成された長尺のベース801と、そのベース801上に長手方向に沿って配線された通信用のアンテナ802と、そのアンテナ802に電気的に接続されて、そのアンテナ802を介して無線通信を行う回路チップ803と、ベース801に回路チップ801を接着固定している接着剤804とで構成されている。
【0006】
このRFIDタグ800を構成する回路チップ803は、アンテナ802を介して外部機器と無線通信を行うことができる。
【0007】
このようなRFIDタグについては、上述のような利用形態を含む広範な利用形態が考えられているが、例えば衣服のように変形し易い物品に貼り付ける利用形態の場合には、ベース801の曲がり易さに対して回路チップ803が曲がり難いために曲げ応力が回路チップ803にかかり、回路チップ803が割れることや回路チップ803が剥がれること等が大きな問題の1つになっている。そこで、回路チップ803にかかる曲げ応力の低減のための手法の一例として、従来、次のような手法が提案されている。
【0008】
図9は、回路チップ803にかかる曲げ応力を低減するための従来の手法の一例を示す図である。
【0009】
この図9のパート(a)には、RFIDタグ900の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ900のパート(a)におけるJ−J切断線に沿った断面図が、RFIDタグ900が曲げられた状態で示されている。
【0010】
尚、この図9では、上述した図8に示す構成要素と同等な構成要素については図8と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0011】
この図9に示すRFIDタグ900には、回路チップ803の上方を覆う繊維強化樹脂製の補強体901が設けられている。この補強体901は、回路チップ803を埋める熱硬化性の接着剤902でベース801に接着固定されている。
【0012】
このRFIDタグ900では、図9のパート(b)に示すように、繊維強化樹脂という硬い物質で形成された補強体901によって、RFIDタグ900の変形が回路チップ803の近辺に及ぶことが防がれており、これにより、回路チップ803にかかる曲げ応力が低減されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のRFIDタグの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明のRFIDタグの第2実施形態を示す図である。
【図3】本発明のRFIDタグの第3実施形態を示す図である。
【図4】本発明のRFIDタグの第4実施形態を示す上面図である。
【図5】本発明のRFIDタグの第5実施形態を示す上面図である。
【図6】本発明のRFIDタグの第6実施形態を示す上面図である。
【図7】本発明のRFIDタグの第7実施形態を示す上面図である。
【図8】RFIDタグの一例を示す図である。
【図9】回路チップ803にかかる曲げ応力を低減するための従来の手法の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
まず、本発明のRFIDタグの第1実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明のRFIDタグの第1実施形態を示す図である。
【0027】
この図1のパート(a)には、本発明のRFIDタグの第1実施形態であるRFIDタグ100の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ100のパート(a)の切断線A−Aに沿った断面図が、RFIDタグ100が曲げられた状態で示されている。
【0028】
この図1に示すRFIDタグ100は、PETフィルムで形成された長尺のベース101と、そのベース101上に長手方向に沿って配線された通信用のアンテナ102と、そのアンテナ102に電気的に接続されて、そのアンテナ102を介して無線通信を行う回路チップ103と、ベース101に回路チップ103を接着固定している接着剤104と、回路チップ103の上方を覆う繊維強化樹脂製の補強体105と、ベース101に補強体105を接着固定している熱硬化性の接着剤106とで構成されている。ここで、接着剤106は、回路チップ103を埋めるようにベース101上に盛った状態となっており、硬化後は補強体105と同程度の硬さを有している。ベース101、アンテナ102、および回路チップ103は、それぞれ本発明にいうベース、アンテナ、および回路チップの各一例に相当する。また、補強体105と、この補強体105をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものは、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。
【0029】
RFIDタグ100では、繊維強化樹脂という硬い物質で形成された補強体105によって、RFIDタグ100の変形が回路チップ103に及ぶことが防がれており、これにより、回路チップ103にかかる曲げ応力が低減される。
【0030】
また、このRFIDタグ100における補強体105は凹凸形状の縁を有する板であり、凹凸形状の凹部の縁がアンテナ102と交わるように配置される。その結果、この補強体105をベースに接着固定している接着剤106の縁は補強体105の縁に沿って凹凸形状を有することとなり、その接着剤106の縁の凹部(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)がアンテナ102上を横切ることとなる。
【0031】
ここで、このRFIDタグ100は、ベース101がPETフィルム製であって曲げ戻し自在の柔軟性を有していることから、このRFIDタグ100が取り付けられた物品の変形に従って曲がる。そして、このRFIDタグ100は、補強体105をベースに接着固定している接着剤106の縁の凸部(本発明にいう第1の縁部の一例に相当)に内接する曲げ線Lに沿って曲がることが多い。このとき、アンテナ102周辺のベース部分101aは、接着剤106の縁には当接せずに緩く曲がる。そのため、このアンテナ102周辺のベース部分102aの曲げ半径は、接着剤106の縁の凸部に内接して曲がる他のベース部分101bの曲げ半径よりも大きく、アンテナ102に対する曲げ応力が分散された状態となる。これにより、アンテナ102にかかる曲げ応力が低減されて断線が回避される。つまり、本実施形態のRFIDタグ100においては、回路チップ103への曲げ応力が低減されるとともにアンテナ102の断線も回避される。
【0032】
次に、本発明のRFIDタグの第2実施形態について説明する。
【0033】
図2は、本発明のRFIDタグの第2実施形態を示す図である。
【0034】
この図2のパート(a)には、本発明のRFIDタグの第2実施形態であるRFIDタグ200の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ200のパート(a)の切断線B−Bに沿った断面図が、RFIDタグ200が曲げられた状態で示されている。
【0035】
尚、この図2では、上述した図1に示す第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については図1と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0036】
本実施形態のRFIDタグ200では、補強体202の形状が第1実施形態とは異なる。また、この本実施形態のRFIDタグ200では、この補強体202の形状に応じて、ベース101上のアンテナ201の位置が第1実施形態とは異なる。この図2に示す補強体202と、この補強体202をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。
【0037】
このRFIDタグ200の補強体202も、上記の第1実施形態と同様に繊維強化樹脂の板であり、RFIDタグ100の変形が回路チップ103に及ぶことを防いでおり、これにより、回路チップ103にかかる曲げ応力が低減される。
【0038】
ここで、本実施形態の補強体202は、図2のパート(a)に示すように、上面形状が、4つの角が丸められた形となっており、補強体202の縁におけるその丸い角の部分がアンテナ201の配線上を斜めに横切るように配置される。その結果、この補強体202をベースに接着固定している接着剤106の縁のうち、補強体202の縁に沿った丸い角の部分(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)がアンテナ201上を斜めに横切ることとなる。
【0039】
この図2のRFIDタグ200は、上記の接着剤106の縁のうちRFIDタグ200の長手方向に最も張り出した部分(本発明にいう第1の縁部の一例に相当)に内接する曲げ線Lで曲がることが多い。このとき、本実施形態では、アンテナ201周辺のベース部分101cは、接着剤106の縁に当接せずに緩く曲がる。そのためアンテナ201周辺のベース部分101cの曲げ半径は、上記の長手方向に最も張り出した部分に内接して曲がる他のベース部分101dの曲げ半径よりも大きく、アンテナ201に対する曲げ応力が分散された状態となる。これにより、アンテナ201にかかる曲げ応力が低減されて断線が回避される。さらに、本実施形態では、接着剤106の縁がアンテナ201上を斜めに横切ることから、このアンテナ201におけるこの縁と交わる部分の太さが実質的に太くなる。これにより、このアンテナ201自体が、この縁と交わる部分について曲げ応力に対して強くなることとなる。このように、本実施形態のRFIDタグ200においても、上記の第1実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0040】
次に、本発明のRFIDタグの第3実施形態について説明する。
【0041】
図3は、本発明のRFIDタグの第3実施形態を示す図である。
【0042】
この図3のパート(a)には、本発明のRFIDタグの第3実施形態であるRFIDタグ300の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ300のパート(a)の切断線C−Cに沿った断面図が、RFIDタグ300が曲げられた状態で示されている。
【0043】
尚、この図3では、上述した図2に示す第2実施形態の構成要素と同等な構成要素については図2と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0044】
本実施形態のRFIDタグ300では、補強体301の形状が、第2実施形態における補強体202の形状とは異なっている。さらに、このRFIDタグ300では、ベース101の回路チップ103側とは反対の裏面側に回路チップ103への曲げ応力を低減させる補強体(裏側補強体302)が設けられている点が第2実施形態とは異なっている。この図3に示す補強体301と、この補強体301をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。
【0045】
このRFIDタグ300の補強体301は、図2に示す第2実施形態における補強体202に、図3に示すように回路チップ103が収納される孔が設けられた形状となっている。この補強体301が、ベース101に、孔の中に回路チップ103が収納されるように熱硬化性の接着剤106で固着されている。また、回路チップ103が収納された孔の中は接着剤106で埋められた状態となっている。本実施形態では、補強体301の孔の中に回路チップ103が収納されることにより、回路チップ103の上方が開放されることとなり、この開放された分だけ薄型化が図られている。また、本実施形態では、孔が設けられていないことを除いて補強体301と同形状の裏側補強体302が、ベース101の、回路チップ103が位置する表側とは反対の裏側に、補強体301に対しベース101を挟む位置に熱硬化性の接着剤106で固着されている。この裏側補強体302も補強体301と同様に繊維強化樹脂で形成されており、本実施形態では、回路チップ103にかかる曲げ応力の低減が強化されている。
【0046】
本実施形態における補強体301は、上記の第2実施形態と同様に、アンテナ201周辺のベース部分101cの曲げ半径は、上記の長手方向に最も張り出した部分に内接して曲がる他のベース部分101dの曲げ半径よりも大きく、アンテナ201に対する曲げ応力が分散された状態となる。さらに、接着剤106の縁がアンテナ201上を斜めに横切ることから、このアンテナ201におけるこの縁と交わる部分の太さが実質的に太くなる。これにより、このアンテナ201自体が、この縁と交わる部分について曲げ応力に対して強くなることとなる。このように、本実施形態のRFIDタグ300においても、上記の第1および第2実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0047】
続いて、本発明のRFIDタグの第4から第7実施形態までの4つの実施形態について順次に説明するが、以下では、断面図については、第1から第3実施形態までの3つの実施形態の説明で参照した断面図とほぼ同様なものとなるため図示を省略し、上面図のみを参照して説明する。
【0048】
まず、本発明のRFIDタグの第4実施形態について説明する。
【0049】
図4は、本発明のRFIDタグの第4実施形態を示す上面図である。
【0050】
尚、この図4では、上述の図2に示す第2実施形態の構成要素と同等な構成要素については図2と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0051】
この図4に示すRFIDタグ400では、回路チップへの曲げ応力を低減させる役割を果たす補強体401の形状が、第2実施形態における補強体202の形状とは異なっている。このRFIDタグ400の補強体401と、この補強体401をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。
【0052】
本実施形態における補強体401は、上面形状における角が直線状に面取りされた形となっており、補強体401の縁におけるその面取り部分がアンテナ201の配線上を斜めに横切るように配置される。その結果、接着剤106の縁も、補強体401の縁におけるこの面取り部分に沿った部分(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)がアンテナ201の配線上を斜めに横切ることとなる。これにより、このRFIDタグ400が、接着剤106の縁のうちの、長手方向に最も張り出した部分(本発明にいう第1の縁部の一例に相当)に内接する曲げ線Lで曲がるときには、アンテナ201周辺のベース部分101eは、接着剤106の縁に当接せずに、上記の長手方向に最も張り出した部分に内接して曲がる他のベース部分101fよりも曲げ半径が大きい、曲げ応力が分散された状態で曲がる。さらに、接着剤106の縁がアンテナ201上を斜めに横切ることから、このアンテナ201自体が、この縁と交わる部分について曲げ応力に対して強くなることとなる。このように、本実施形態のRFIDタグ400においても、上記の第1から第3実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0053】
次に、本発明のRFIDタグの第5実施形態について説明する。
【0054】
図5は、本発明のRFIDタグの第5実施形態を示す上面図である。
【0055】
尚、この図5では、上述した図1に示す第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については図1と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0056】
この図5に示すRFIDタグ500は、ベース101上に互いに並行するアンテナ部分501aを有するアンテナ501が配線されている点と、回路チップへの曲げ応力を低減させる役割を果たす補強体502の凹凸形状の縁における凹部の幅が若干広い点とが、図1に示す第1実施形態のRFIDタグ100と異なっている。この図5に示す補強体502と、この補強体502をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。また、この図5に示すアンテナ501は、本発明にいうアンテナの一例に相当する。
【0057】
このRFIDタグ500では、補強体502は、この補強体502の縁のうちの凹部の縁が2本のアンテナ部分501aと交わるように配置される。その結果、この補強体502をベース101に接着固定している接着剤106の縁のうち、補強体502の縁に沿った凹部(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)が2本のアンテナ部分501a上を横切ることとなる。これにより、RFIDタグ500が上記の第1実施形態と同様の曲げ線Lに沿って曲がるときには、2本のアンテナ部分501a周辺のベース部分101gは、接着剤106の縁の凸部(本発明にいう第1の縁部の一例に相当)に内接して曲がる他のベース部分101hよりも曲げ半径が大きい、曲げ応力が分散された状態で曲がり、アンテナ501にかかる曲げ応力が低減されて断線が回避される。つまり、本実施形態のRFIDタグ500においても、上記の第1から第4実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0058】
次に、本発明のRFIDタグの第6実施形態について説明する。
【0059】
図6は、本発明のRFIDタグの第6実施形態を示す上面図である。
【0060】
尚、この図6でも、上述した図1に示す第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については図1と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0061】
この図6に示すRFIDタグ600は、ベース101上に互いに太さが異なる2種類のアンテナ部分601a,601bを有するアンテナ601が配線されている点と、回路チップへの曲げ応力を低減させる役割を果たす補強体602の凹凸形状の縁における凸部の幅が若干広い点とが、図1に示す第1実施形態のRFIDタグ100と異なっている。この図6に示す補強体602と、この補強体602をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。また、この図6に示すアンテナ601は、本発明にいうアンテナの一例に相当する。
【0062】
本実施形態では、補強体602は、この補強体602の縁のうちの凹部の縁が、相対的に細いアンテナ部分601aと交わり、凸部の縁が、相対的に太いアンテナ部分601bと交わるように配置される。その結果、この補強体602をベース101に接着固定している接着剤106の縁では、補強体602の縁に沿って、その接着剤106の縁の凹部(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)が、相対的に細いアンテナ部分601a上を横切り、接着剤106の縁の凸部(本発明にいう第1の縁部の一例に相当)が、相対的に太いアンテナ部分601b上を横切ることとなる。
【0063】
相対的に細いアンテナ部分601a周辺のベース部分101jは、RFIDタグ600が上記の第1実施形態と同様の曲げ線Lに沿って曲がるときには、接着剤106の縁の凸部に内接して曲がる、相対的に太いアンテナ部分601b周辺のベース部分101kや他のベース部分101mよりも曲げ半径が相対的に大きい、曲げ応力が分散された状態で曲がり曲げ応力が低減されて断線が回避される。ここで、相対的に太いアンテナ部分601b周辺のベース部分101kについては、曲げ半径が相対的に小さくこのアンテナ部分601bへの曲げ応力の集中が懸念されるが、本実施形態ではこのアンテナ部分601bが太く曲げ応力に対する強度が強化されているため、このアンテナ部分601bについても断線が回避されることとなる。つまり、本実施形態のRFIDタグ600においても、上記の第1から第5実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0064】
次に、本発明のRFIDタグの第7実施形態について説明する。
【0065】
図7は、本発明のRFIDタグの第7実施形態を示す上面図である。
【0066】
尚、この図7でも、上述した図1に示す第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については図1と同じ符号が付されており、以下では、これらの構成要素については重複説明を省略する。
【0067】
この図7に示すRFIDタグ700は、回路チップへの曲げ応力を低減させる役割を果たす補強体702の形状が、図1に示す第1実施形態における補強体105の形状とは異なっている。さらに、ベース101上に4本のアンテナ部分701a,701b,701c,701dからなるアンテナ701が配線されている点が、図1に示す第1実施形態のRFIDタグ100と異なっている。このRFIDタグ700の補強体702と、この補強体702をベース101に接着固定している接着剤106とを合わせたものも、本発明にいうチップ補強体の一例に相当する。また、この図7に示すアンテナ701は、本発明にいうアンテナの一例に相当する
この図7に示すRFIDタグ700の補強体702は、上面形状において、図中の右側に2箇所の凹部を備える曲線状の凹凸形状の縁を有し、左側に2箇所の直線状の面取部分を有している。そして、この補強体702は、2箇所の凹部の縁が、図中右側に延びる2本のアンテナ部分701a,701bそれぞれと交わり、下側の面取り部分が、左側に延びるアンテナ部分701cと交わり、上側の面取り部分が、左斜め上方に延びるアンテナ部分701dと交わるように配置される。その結果、この補強体702をベース101に接着固定している接着剤106の縁では、補強体702の縁に沿って、その接着剤106の縁の2箇所の凹部(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)が図中右側に延びる2本のアンテナ部分701a,701bそれぞれの上を横切り、下側の面取り部分に沿った縁(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)が左側に延びるアンテナ部分701c上を斜めに横切り、上側の面取り部分に沿った縁(本発明にいう第2の縁部の一例に相当)が左斜め上方に延びるアンテナ部分701d上を横切ることとなる。
【0068】
そして、このRFIDタグ700が、接着剤106の図中右側の縁のうち長手方向に最も張り出した部分に沿った曲げ線L1で曲がるときには、各凹部が横切る2本のアンテナ部分701a,701bそれぞれの周辺のベース部分101nは曲げ応力が分散された状態で曲がる。また、このRFIDタグ700が、接着剤106の図中左側の縁のうち長手方向に最も張り出した部分に沿った曲げ線L2で曲がるときには、面取り部分に沿った縁が横切る2本のアンテナ部分701c,701dそれぞれの周辺のベース部分101pも曲げ応力が分散された状態で曲がる。さらに、面取り部分に沿った縁が斜めに横切るアンテナ部分701c,701dについては曲げ応力に強くなっている。以上により、4本のアンテナ部分701a,…,701dを有するアンテナ701の断線が回避される。つまり、本実施形態のRFIDタグ700においても、上記の第1から第6実施形態と同様に、回路チップへの曲げ応力が低減されるとともにアンテナの断線も回避される。
【0069】
尚、上記では、回路チップが収納される孔は、4つの角が丸められたタイプの補強体についてのみ例示したが(図3の補強体301)、本発明はこれに限るものではない。このような孔は、図1や図5や図6に示すような凹凸形状の縁を有するタイプの補強体に設けても良く、あるいは、図4に示すような4つの角に面取りが施されたタイプの補強体に設けても良く、あるいは、図7に示すような凹凸形状の縁と面取り部分とを有するタイプの補強体等に設けても良い。
【0070】
また、上記では、回路チップへの曲げ応力の低減を強化する裏側補強体は、図3に示す回路チップが収納される孔が設けられたタイプの補強体301についてのみ例示したが、本発明はこれに限るものではない。このような裏側補強体は、図1や図5や図6に示すような凹凸形状の縁を有するタイプの補強体と共に用いても良く、あるいは、図4に示すような4つの角に面取りが施されたタイプの補強体と共に用いても良く、あるいは、図7に示すような凹凸形状の縁と面取り部分とを有するタイプの補強体等と共に用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ戻し自在のベースと、
前記ベース上に配線された通信用のアンテナと、
前記アンテナに電気的に接続された、該アンテナを介して無線通信を行う回路チップと、
前記回路チップの少なくとも周囲と前記アンテナの配線の一部とを、前記ベースを下としたときの少なくとも上方については覆うチップ補強体であって、前記ベースが内接して曲がる第1の縁部と、該第1の縁部よりも、前記ベースの曲がりにおける内側に位置し、前記アンテナの配線と交わる第2の縁部とを有するチップ補強体とを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記チップ補強体が、凹凸形状の縁を有する、該凹凸形状の凸部が前記第1の縁部となり、該凹凸形状の凹部が前記第2の縁部となったものであることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記ベースが所定方向に長尺のものであり、
前記アンテナが、前記所定方向に沿って延びたものであり、
前記チップ補強体は、前記第2の縁部が前記アンテナの配線上を、前記所定方向に対して斜めに横切ったものであることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記アンテナが、互いに配線の太さが異なる2種類のアンテナ部分を有するものであり、
前記チップ補強体は、前記第1の縁部で前記2種類のアンテナ部分のうち配線の太さが相対的に太いアンテナ部分の配線と交わり、前記第2の縁部で該2種類のアンテナ部分のうち配線の太さが相対的に細いアンテナ部分の配線と交わったものであることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−277255(P2009−277255A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195719(P2009−195719)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【分割の表示】特願2006−216827(P2006−216827)の分割
【原出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】