説明

RFIDラベル印字システム

【課題】 正当に処理されたRFIDラベルにのみ正当に印字処理することが可能なRFIDラベル印字システムを提供する。
【解決手段】 連続した剥離紙に仮着されたRFIDタグおよびラベルからなるラベル連続紙をラベル供給部20に供給すると、エンコード情報読取部30がラベル連続紙のRFIDタグに記録されたエンコード情報を読み取る。続いて、比較処理部40が、エンコード情報読取部30が読み取ったエンコード情報と、事前に登録コード記憶部10に登録された登録コードとを比較し、比較の結果、エンコード情報と登録コードが一致する場合にのみ、ラベル供給部20と印字部50が正当に印字プロセスを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを付したラベルの印字システムに関し、特に、正当に処理されたラベルにのみ印字することを可能とする印字システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、RFIDタグ(「非接触ICタグ」、「非接触データキャリア」、「無線ICタグ」、「非接触IC」などとも呼ばれる。)を全数のラベルに貼着したRFIDラベルが利用されている。このRFIDラベルは、各ラベル単位で切り離し可能な連続した剥離紙に剥離可能に貼着された状態で、RFIDラベル用のプリンタに給紙され、各ラベル上に所定の印字がなされるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−207984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記RFIDラベル用のプリンタは、RFIDラベルに適した用紙に対して印字するのに最適なように製造されている。しかし、質の悪い用紙を利用すると、印字品質が悪化したり、プリンタ自体の製品寿命に影響する等の問題があり、品質の高い用紙のみを利用可能とすることが望まれていた。
【0004】
そこで、本発明は、正当に処理されたRFIDラベルにのみ正当に印字処理することが可能なRFIDラベル印字システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明では、連続した剥離紙に仮着されたRFIDタグおよびラベル基体からなるラベル連続紙に印字を行うシステムであって、前記ラベル連続紙のRFIDタグに記録されたエンコード情報を読み取る手段と、前記読み取ったエンコード情報と、事前に登録された登録コードとを比較する手段と、前記比較の結果、エンコード情報と登録コードが一致する場合に、正当な印字プロセスを実行し、前記エンコード情報と登録コードが一致しない場合に、正当な印字プロセスを実行しない印字処理手段を有するRFIDラベル印字システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ラベル連続紙のRFIDに記録されたエンコード情報を読み取り、事前に登録された登録コードとエンコード情報が一致する場合にのみ、正当な印字処理を行うようにしたので、ラベル連続紙のRFIDに、登録コードと同一のエンコード情報を登録する処理をしておくことにより、正当なラベル連続紙にのみ正当な印字処理を行うことが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明で用いるラベル連続紙について説明しておく。図1に、ラベル連続紙の一例を示す。図1(a)はラベル連続紙の平面図、図1(b)はラベル連続紙のうちの1枚の断面図である。図1(a)の例では、RFIDラベルが3枚連続しているラベル連続紙について示しているが、実際には、さらに多数のRFIDラベルが連続してラベル連続紙を形成している。図1において、1はRFIDラベル、2はラベル基体、3は粘着剤、4は剥離紙、5は可視表示部、6はRFIDタグ、7は切り離し部である。
【0008】
RFIDラベル1は、図1に示すように、粘着剤3によりラベル基体2とともにRFIDタグ6が剥離紙4上に貼着されたものである。図1の例では、印字システムによる印字後の状態を示しているため、ラベル基体2の上には、可視表示部5が印字されている。図1(a)に示すように、ラベル連続紙は、連続する剥離紙4の切り離し部7により、各RFIDラベル単位で切り離しが可能となっている。切り離し部7としては、例えば、ミシン目をいれておくことができる。
【0009】
図2は、本発明に係るRFIDラベル印字システムの機能ブロック図である。図2においては、本発明のRFIDラベル印字システムの特徴的な構成要素のみを示しており、公知のRFIDラベル印字システムと同一の構成要素については、省略してある。図2において、10は登録コード記憶部、20はラベル供給部、30はエンコード情報読取部、40は比較処理部、50は印字部である。
【0010】
登録コード記憶部10は、登録コードを記憶した記憶手段であり、RFIDラベル印字システムに内蔵されたメモリに、所定の記憶領域を確保しておくことにより実現される。登録コード記憶部10への登録コードの記録は、書き換えができないようにRFIDラベル印字システムの製造時に行う。ラベル供給部20は、連続するRFIDラベル連続紙の紙送りを行うものであり、その機構自体は、公知のラベル供給部と同一であるので詳細な説明は省略する。エンコード情報読取部30は、ラベル供給部20に供給されたラベルに付加されたRFIDタグからエンコード情報を読み取る機能を有している。RFIDタグからエンコード情報を読み取る方式としては、公知の無線通信方式を用いることができるが、本実施形態では、その通信周波数帯を13.56MHzとする電磁誘導方式の無線通信により行う。
【0011】
比較処理部40は、エンコード情報読取部30がRFIDタグから読み取ったエンコード情報と、登録コード記憶部10に記録された登録コードが一致しているかどうかの比較処理を行うとともに、比較結果に基づいて、ラベル供給部20および印字部50に指示を行う機能を有している。印字部50は、RFIDラベル連続紙上の各ラベルに所定の印字を行うものであり、その機構自体は、公知の印字部と同一であるので詳細な説明は省略する。ラベル供給部20と印字部50は比較処理部40の指示に従い、互いに連携して、印字処理手段として機能する。
【0012】
次に、図2に示したシステムの処理動作について説明する。システムにラベル連続紙をセットした後、システムを起動すると、ラベル供給部20は、先頭のラベルに付加されたRFIDがエンコード情報読取部30による読取可能な位置までラベル連続紙を移動させる。一方、エンコード情報読取部30は、システムを起動すると、電波の発信を開始し、RFIDからの応答を待つ状態となる。上述のように、先頭のラベルに付加されたRFIDがエンコード情報読取部30による読取可能な位置まで到達すると、RFIDからエンコード情報が送信され、エンコード情報読取部30は、このエンコード情報を取得する。
【0013】
エンコード情報読取部30がRFIDからエンコード情報を取得したら、比較処理部40が、登録コード記憶部10に記憶された登録コードを抽出し、エンコード情報読取部30が取得したエンコード情報と比較を行う。
【0014】
比較の結果、登録コードとエンコード情報が一致した場合には、比較処理部40は、正当な印字処理を実行するようラベル供給部20と印字部50に指示を行う。具体的には、比較処理部40は、ラベル供給部20に対しては、ラベル1つ分だけ連続紙を紙送りする信号を送信し、印字部50に対しては、ラベル供給部20がラベル1つ分だけ連続紙を紙送りした後で、ラベル上に所定の情報を印字する信号を送信する。
【0015】
正当な印字処理を実行するよう比較処理部40から指示が行われた場合は、ラベル供給部20はラベル1つ分だけ連続紙を紙送りし、印字部50はラベル上に所定の情報を印字する処理を行う。
【0016】
比較の結果、登録コードとエンコード情報が一致しなかった場合には、比較処理部40は、正当な印字処理を実行しないようラベル供給部20と印字部50に指示を行う。具体的には、比較処理部40は、ラベル供給部20に対しては、ラベル3つ分だけ連続紙を紙送りする信号を送信し、印字部50に対しては、何も信号を送信しない。
【0017】
正当な印字処理を実行しないよう比較処理部40から指示が行われた場合は、ラベル供給部20はラベル3つ分だけ連続紙を紙送りし、印字部50は印字処理を行わない。このため、RFIDラベル印字システムからは白紙の状態のラベルが3枚排出されることになる。
【0018】
上記のように、連続紙に貼付されたRFIDラベルに記録されたエンコード情報が、RFIDラベル印字システム内の登録コード記憶部10に記憶された登録コードと同一である場合には、正当に印字処理が行われ、連続紙に貼付されたRFIDラベルに記録されたエンコード情報が、RFIDラベル印字システム内の登録コード記憶部10に記憶された登録コードと同一でない場合には、正当に印字処理が行われない。このため、業者が、その品質が一定以上であると判断したRFIDラベルにのみ正しいエンコード情報を記録するようにすれば、品質に保証がない用紙は利用できないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明で用いるラベル連続紙を示す図である。
【図2】本発明に係るRFIDラベル印字システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・RFIDラベル
2・・・ラベル基体
3・・・粘着剤
4・・・剥離紙
5・・・可視表示部
6・・・RFIDタグ
7・・・切り離し部
10・・・登録コード記憶部
20・・・ラベル供給部
30・・・エンコード情報読取部
40・・・比較処理部
50・・・印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した剥離紙に仮着されたRFIDタグおよびラベル基体からなるラベル連続紙に印字を行うシステムであって、
前記ラベル連続紙のRFIDタグに記録されたエンコード情報を読み取る手段と、
前記読み取ったエンコード情報と、事前に登録された登録コードとを比較する手段と、
前記比較の結果、エンコード情報と登録コードが一致する場合に、正当な印字プロセスを実行し、前記エンコード情報と登録コードが一致しない場合に、正当な印字プロセスを実行しない印字処理手段と、
を有することを特徴とするRFIDラベル印字システム。
【請求項2】
前記印字処理手段は、前記エンコード情報と登録コードが一致しない場合に、印字せず、ラベル連続紙を所定ラベル数分紙送りする処理を行うものであることを特徴とする請求項1に記載のRFIDラベル印字システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−112365(P2008−112365A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295874(P2006−295874)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】