説明

RLLベース記憶媒体のためのクロストークキャンセル方法

本発明は、ランレングスリミテッド符号記憶システムに関する。現代の記憶システムでは、高い記憶密度を可能にするためにトラック間隔がかなり小さく選択されている。その結果、目標トラックの読み取り時に、サイドトラックに書き込まれたデータが再生信号に現れ得る。このトラック間妨害はクロストークと言われている。本発明は、再生信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致の最小化に基づくクロストークキャンセル方法を提案する。提案の方法は受信機のランプアップ特性を大きく改善するとともに、より効率的なハードウエア実現を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストークキャンセル方法、クロストークキャンセル方法を実行するためのコンピュータプログラム、クロストークキャンセル手段を具えた信号プロセッサ、および記憶媒体上のトラックに沿って記憶された信号を読み取るクロストークキャンセル手段付読取装置に関するものである。
【0002】
本発明は、記録媒体上のトラックに沿ってデータを記憶する記憶システムに関する。現代の記憶システムでは、高い記憶密度を可能にするためにトラック間隔がかなり小さく選択されている。その結果、目標トラックの読み取り時に、サイドトラックに書き込まれたデータが再生信号に現れ得る。このトラック間干渉はクロストークと言われている。
【0003】
本発明はこのような記憶システムに使用し、クロストークを除去して再生信号を改善するのに有利である。例えば、本発明は光記憶システム(DVD、ブルーレイディスク、スモールフォームファクタ光ディスクなど)、磁気記憶システム(特にハードディスク)、光磁気記憶システムに適用する。
【0004】
光記憶システムの場合、記憶システムに半径方向傾きが存在するとき、光スポットがより多量にサイドトラック上まで延在するために、クロストークがより大きくなる。
【背景技術】
【0005】
クロストーク除去装置はUS特許第6,134,211号明細書に記載されている。この装置は、メイントラックと2つの隣接トラックを同時に読み取る3つの読取素子を有する。3つの読取素子により読み取られた3つの信号をサンプリングして3つのサンプル系列を生成する。クロストーク除去回路は3つのサンプル系列に適応信号処理(例えばLMS適応アルゴリズム)を施して、隣接トラックからのクロストーク成分のないメイントラックと関連するクロストーク除去サンプル系列を生成する。
【0006】
この適応処理は適応フィルタ処理を含み、フィルタ係数をクロストーク除去サンプル系列に存在する誤差値が零に収斂するように更新する。
【0007】
この収斂はリファレンスサンプル抽出回路を用いて達成される。クロストーク除去サンプル系列中の3つの連続するサンプル値が負から正あるいは正から負に遷移するとき、リファレンスサンプル抽出回路は3つの連続するサンプル値の中心サンプル値を抽出する。抽出されたサンプル値は減算器に供給され、この減算器が抽出サンプル値とリファレンス値との差を計算する。この差を零に収斂すべき誤差(e)として用いてフィルタ係数を更新する。
【0008】
この方法では、中心サンプル値を理想的なゼロクロス時のサンプル値であるものと仮定している。この仮定は、サンプルがビット同期サンプルである場合にのみ可能である。
【0009】
US特許第6,134,211号では、アナログ−ディジタル変換器とクロストーク除去回路をタイムリカバリ回路で駆動されるクロックで動作させることによってこれを達成している。その結果として、このクロストークキャンセル方法はタイムリカバリ回路が周波数ロックと位相ロックの両方を得たときにのみ使用可能となる。
【0010】
US特許第6,134,211号では、サンプル系列が非同期状態のままであるとき(即ち、タイムリカバリ回路がロックされないとき)、これらのサンプル系列を固定の予め決められた係数でフィルタ処理している。これはフィルタ係数の発散を回避するが、ランプアップ問題を生ずる。即ち、強いクロストークのためにタイムリカバリ回路が収束できない場合、このクロストークキャンセル方法は不十分のままとなり、システムはスタックしてしまう。
【0011】
従来のシステムの別の問題は非同期受信機アーキテクチャとコンパチブルであると言えない点にある。
【0012】
このような非同期アーキテクチャでは、アナログ−ディジタル変換器とフィルタが固定クロックで動作する。固定クロックの領域からビット同期の領域への移行はタイムリカバリ回路により制御されるサンプルレート変換器によってクロストークキャンセル回路の出力側で行われる。上述した誤差(e)を導出するために必要なビット同期サンプルを生成するために、タイムリカバリ回路にロックされた追加のサンプルレートコントローラが隣接トラックごとに必要とされる。
【0013】
更に、(フィルタが動作する)固定クロックと(フィルタ係数が更新される)タイムリカバリ回路で駆動されるクロックが互いに大きく相違する場合には、タイムリカバリ回路で駆動されるクロック領域から固定クロックの領域へフィルタ係数を補間するために逆サンプルレート変換器も必要とされる。
これはアーキテクチャの複雑化をまねく。
【発明の開示】
【0014】
本発明の目的の一つは上述した問題を解決するクロストークキャンセルのソリュージョンを提供することにある。
【0015】
この目的は、請求項1に記載されたクロストークキャンセル方法、請求項2に記載されたプログラム、請求項3−5に記載されたクロストークキャンセル手段を具えた信号プロセッサ、および請求項6−8に記載された記憶媒体上のトラックに沿って記憶された信号を読み取る装置によって達成される。
【0016】
本発明によるクロストークキャンセル手段は、目標トラックと関連するメイン信号とサイドトラックと関連するサテライト信号を受信する。前記メイン信号は遷移点を示すとともに2つの遷移点間に種々の長さのランを示す。前記クロストークキャンセル手段は、
前記サテライト信号を適応フィルタでフィルタリングして前記サテライト信号のフィルタ処理されたものを生成するフィルタ手段と、
前記メイン信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致が最小になるように前記適応フィルタの係数を更新する更新手段と、
前記メイン信号から前記サテライト信号のフィルタ処理されたものを減算することにより改善されたメイン信号を得る処理手段とを具える。
【0017】
本発明によれば、フィルタ係数を更新する際に最小にすべき誤差はメイン信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致である。従来の最小化方法と異なり、本発明の最小化方法は理想遷移時間の概念を使用しない。従って、ビット同期サンプルの使用を必要としない。本発明提案の最小化方法は周波数ロックを必要とするが、位相ロックは必要としない。
【0018】
本発明提案の最小化方法の第1の利点は上述したランプアップ問題を解決できる点にある。
【0019】
本発明提案の最小化方法の第2の利点は非同期アーキテクチャで実現でき、ハードウエアを複雑にすることがない点にある。
【0020】
また、本発明のクロストークキャンセル手段は、タイムリカバリ回路で駆動されるビットクロックを有する非同期受信機に使用するとき、このビットクロックに対して非同期の固定クロックで動作する点で有利である。
【0021】
このような場合に、ビットクロック周波数が固定クロック周波数と相違する場合には、追加のタイムリカバリ手段を設けてビットクロック周波数と固定クロック周波数との比を導出し、この比が前記係数を更新する前記更新手段で使用されるようにする。
【0022】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は図面を参照して以下に記載する実施例の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、各トラックがスパイラル線の360°ターンを形成する記憶媒体に適用する。符号化されたデータをトラックに沿って記録する。光記録装置に使用される符号化方法はランレングスリミテッド符号化方法(RLL)である。トラックに沿って記録されるデータがRLL符号化方法で符号化されると、トラックは同一の値のランに対応するマークを示し、マークのエッジが2つのランの遷移点に対応する。マークのサイズはランの長さに対応する。そのサイズは基準単位サイズマークの整数倍である。
【0024】
図1および図2はこのようなディスクを読み取る装置の第1および第2の実施例のブロック構成図である。図1に示す装置には参照番号6-1が付されている。図2の装置には参照番号6-2が付されている。図1および図2によれば、装置6-1および6-2は光学装置8を具え、該光学装置は3つの読取素子:メイントラックと関連するメイン信号を読み取るメイン読取素子12と、メイントラックに隣接する2つのトラックと関連する2つのサテライト信号を読み取る2つのサテライト読取素子11および13:を有する。以下の説明では、これらのサテライト信号の一方を上側サテライト信号、他方を下側サテライト信号という。3つの読取素子は3つの光スポット21,22,23を送出する。
【0025】
図3および図4は読み取るべき3つのトラック31,32,33に対する3つの光スポット21,22,23の位置を示す。メイン光スポット22はメイントラック32の上に集中される。サテライト光スポット21および23は図3に示すようにサテライトトラック31および32の上に集中されても、図4に示すようにメイントラック32と隣接トラック31および33との間に集中させてもよい。図3および図4のサテライト光スポット21および23で読み取られるサテライト信号は、光スポット21および23が隣接トラックの少なくとも一部分とオーバラップするため、隣接トラックと“関連する”信号という。
【0026】
図4の実施例は書換え可能光ディスク装置に有利である。その理由は、このようなシステムのすべてにおいて現在利用できる3スポットプッシュプルラジアルトラッキング手段を再利用できるためである(読取素子11,12,13および光スポット21,22,23で読み取られた信号はトラッキングにも、クロストークキャンセルにも使用することができる)。
【0027】
図1および図2に戻り説明すると、3つの読取素子11,12,13で読み取られた3つの信号はクロストークキャンセル手段42とデコーディング手段44を具える信号プロセッサ40に入力される。デコーディング手段44により発生された信号は出力信号(例えばオーディオまたはビデオ信号)を発生する再生回路46に入力される。
【0028】
図5はクロストークキャンセル手段42の機能ブロック図である。クロストークキャンセル手段42はメイン信号、上側サテライト信号および下側サテライト信号をサンプリングするための3つのアナログ−ディジタル変換器51,52および53を具える。3つのアナログ−ディジタル変換器51,52および53は固定クロック55で動作し、メインサンプル系列62、下側サテライトサンプル系列61および上側サテライトサンプル系列63を発生する。下側および上側サテライトサンプル系列61および63は下側適応フィルタ71および上側適応フィルタ73でそれぞれ処理され、フィルタ処理された下側サテライトサンプル系列81およびフィルタ処理された上側サテライトサンプル系列83を発生する。メインサンプル系列62はオプションのイコライザ90で処理し、等化されたメインサンプル系列92を発生する。次に減算器93がフィルタ処理された下側サテライトサンプル系列81とフィルタ処理された上側サテライトサンプル系列83を等化されたメインサンプル系列92から減算して改善されたメインサンプル系列102を発生する。
【0029】
あるいはまた、イコライザ90を省略する場合には、フィルタ処理された下側サテライトサンプル系列81とフィルタ処理された上側サテライトサンプル系列83をメインサンプル系列92から減算することにより改善されたメインサンプル系列102を発生する。
【0030】
改善されたメインサンプル系列102はタイムリカバリ回路130(例えばフェーズロックループ(PLL)回路)で駆動されるサンプルレート変換器120に入力する。サンプルレート変換器120の出力はデコーディング手段44に入力する。
【0031】
改善されたメインサンプル系列62と下側および上側サテライトサンプル系列61および63は下側および上側係数更新手段111および113で処理される。下側および上側係数更新手段111および113はそれぞれ下側フィルタ71および上側フィルタ73で使用される係数を更新する。
【0032】
クロストークキャンセル手段42の動作は下記の数式で形式化することができる。
【数1】


ここで、
m+は上側サテライト信号のサンプルm;
は下側サテライト信号のサンプルm;
Cmはメイン信号のサンプルm;
は上側フィルタの係数およびfは下側フィルタの係数;
C~は減算器93の出力に得られる改善されたメインサンプルm;
【0033】
フィルタ係数を更新するのに使用するアルゴリズムはLMSアルゴリズム(Least Mean Square)が有利である。本発明では、アルゴリズムのドライビングターム(最小化すべき項)はメイン信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致とする。
即ち、
【数2】

【0034】
本発明のクロストーク最小化方法を図6を参照して以下に説明する。この説明から明らかとなるように、提案の方法が正しく動作するためには、PLL駆動のビットクロックとアナログ−ディジタル変換器51,52,53を動作させる固定クロックとの比αが使用可能でなければならない。図5では、2つの矢印141および143は周波数比αが第1および第2係数更新手段111および113に供給されることを示している。矢印141および143は周波数比αが1に等しいときは省略できるため破線で示されている。
【0035】
比αはクロストークキャンセル手段42の外部にあって特にビット周波数の高速近似リカバリ用に設計されたタイムリカバリ回路により供給するのが有利である。このような外部タイムリカバリ回路は殆どの読取装置に予め存在している。
【0036】
例えば、あるシステム(殆どの書込み可能/書換え可能システム)では、比αを推定するためにウオブルクロックを通常の如く使用することができる。図1はこのようなシステムに有利に使用される一つの実施例を示し、図1では、外部タイムリカバリ回路は参照番号50-1が付され、メイン読取素子12とクロストークキャンセル手段42との間の通路内に接続されている。他のシステム(殆どのROMシステム)では、同じ目的のために平均ランレングス測定を使用することができる。図2はこのようなシステムに有利に使用される一つの実施例を示し、図2では、外部タイムリカバリ回路は参照番号50-2が付され、クロストークキャンセル手段42とデコーディング手段44との間の通路内に接続される。
【0037】
図5は受信メイン信号の概略図である。2つの連続する遷移点XおよびXm+1が示されている。図5において、
C~(m,L)は遷移点Xの左側の改善されたメインサンプル;
C~(m,R)は遷移点Xの右側の改善されたメインサンプル;
C~(m+1,L)は遷移点Xm+1の左側の改善されたメインサンプル;
C~(m+1,R)は遷移点Xm+1の右側の改善されたメインサンプル;
C~(m,L)−1はサンプルC~(m,L)の前の改善されたメインサンプル;
C~(m,R)+1はサンプルC~(m,R)の次の改善されたメインサンプル;
C~(m+1,L)−1はサンプルC~(m+1,L)の前の改善されたメインサンプル;
C~(m+1,R)+1はサンプルC~(m+1,R)の次の改善されたメインサンプル;
φは遷移点Xの理想時間と遷移点Xの実時間との時間間隔(図5ではφ<0);
φm+1は遷移点Xm+1の理想時間と遷移点Xm+1の実時間との時間間隔(図5ではφm+1<0);
m+1,mは2つの遷移点XとXm+1との間の実ランレングス;
である。
【0038】
以下において、一般性を損なうことなく簡単化するために、
・ 2つのサンプル間の時間間隔は1に等しい;
・ 遷移モーメントm=1は立上り遷移に対応する;
・ 時間間隔φは時間間隔[-1/2,+1/2]からの値を取る;
ものと仮定する。
【0039】
本発明の係数更新方法の第1の実施例について説明する。この第1の実施例は固定システムクロックがPLLビットクロックに(ほぼ)等しいとき(即ち比αが1に近似するとき)に適用することができるが、2つのクロック間は位相ロックされない。
【0040】
最小化すべきLMSドライビングパラメータZは実ランレングスdm+1,mと期待ランレングスdm+1,m (exp)との差に等しく選択する。シンボル間干渉やクロック周波数変動がないときクロック間隔の整数倍がRLL符号化信号の遷移点間に理想的に一致する必要があることを考慮すると、dm+1,m (exp)はdm+1,m (exp)=round(dm+1,m)として近似することができる。ここでround(x)は実数xに最も近い整数と定義する。
【0041】
従って、
=ζ(dm+1,m
ここで、ζ(x)=x−round(x) (方程式3)
であり、
[(m+1,L)−(m,L)]をサンプルC~(m,L)と サンプルC~(m+1,L)との間の整数のサンプリング間隔を示すものとすると、
m+1,m=[(m+1,L)−(m,L)]+φm+1−φ
である。
【0042】
以下においては、クロストークは極端に大きくないものと仮定し、フィルタ係数の小さな変化に対して|ζ(dm+1,m)|<1/2であるものとする。
【0043】
この仮定によれば、Zは次のように近似することができる。
=ζ(dm+1,m)≒φm+1−φ+E
ここで、Eはフィルタ係数と独立の整数
【数3】

【0044】
時間間隔φmは改善されたメインサンプルの関数として近似的に計算することができる。
【数4】

【0045】
線形近似の一般形は:
【数5】


である。
【0046】
簡単な2項線形近似を使用でき、この近似は次式で与えられる。
【数6】

【0047】
この簡単な2項線形近似と上記の方程式3に基づいて、
【数7】

【0048】
方程式2の項


は次のように計算することができる。
【数8】

【0049】
結局、フィルタ係数を更新する式は:
【数9】


となる。
【0050】
次に、固定システムクロック(フィルタが動作する)がPLL駆動ビットクロックに等しくないとき(即ち比α≠1のとき)に使用することができる本発明の更新方法の第2の実施例について説明する。
【0051】
この第2の実施例でも、最小化すべきLMSドライビングパラメータZは実際のランレングスdm+1,mと期待ランレングスdm+1,m(exp)との差に等しく選択するが、dm+1,m,φおよびφm+1を計算するのに使用する数式は周波数比αを考慮するように変更する必要がある。
【0052】
即ち、ランレングスをビット間隔で測定するために、2つの遷移点間のサンプルの数をα倍する必要がある。その結果、
m+1,m=α[(m+1,L)−(m,L)]+φm+1−φ
となる。
【0053】
遷移位相φもα倍する必要がある。その結果、φの線形近似の一般形は:
【数10】


となり、この線形近似の簡単な2項表現は:
【数11】


になる。
【0054】
結局、フィルタ係数を更新する式は:
【数12】


になる。
【0055】
方程式5および6から、本発明の最小化方法は理想遷移時間の概念を使用しないこと明らかである。
【0056】
上述したクロストークキャンセル方法、信号プロセッサおよび読取装置に対して、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更や改良を提案することができる。本発明は上述した実施例に限定されるものでない。特に、
・上述した第1および第2の実施例は時間間隔φおよびφm+1の計算を2項線形近似に基づいて行っているが、これに限定されない。他の近似を使用してもよい。例えば、3項以上を用いる線形近似を使用してもよい。これらの他の近似に対するLMS更新手法は2項線形近似の場合と同様のやり方で導出することができる。
【0057】
・上述した実施例で使用する最小化アルゴリズムはLMSアルゴリズムであるが、これに限定されない。他の最小化アルゴリズムを用いてZを最小化してもよい。LMSアルゴリズムについて上述したものと同一の原理を用いて対応する係数更新方程式を容易に導出することができる。
【0058】
・図5につき記載したクロストークキャンセル手段では、メイン信号を等化しているが、代替実施例ではメイン信号を下側および上側サテライト信号と同様に適応フィルタで処理してもよい。
【0059】
上述した機能はハードウエアでもソフトウエアでも実現することができる。図1、図2および図5は本発明装置および信号プロセッサの機能構成図である。そのハードウエア実現構成はこの機能ブロック構成図とは相違し得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による記憶媒体読取装置の第1の実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明による記憶媒体読取装置の第2の実施例の機能ブロック図である。
【図3】3スポット式クロストークキャンセル方法で使用されるトラック対光スポットの第1の構成配置の概略図である。
【図4】3スポット式クロストークキャンセル方法で使用されるトラック対光スポットの第2の構成配置の概略図である。
【図5】本発明のクロストークキャンセル手段の機能ブロック図である。
【図6】2つの遷移点と該遷移点間のランを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標トラックと関連するメイン信号とサイドトラックと関連するサテライト信号とを用いるクロストークキャンセル方法であって、前記メイン信号は遷移点を示すとともに2つの遷移点間に種々の長さのランを示し、該クロストークキャンセル方法は、
前記サテライト信号を適応フィルタでフィルタリングしてフィルタ処理されたサテライト信号を生成するフィルタステップと、
前記メイン信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致を最小にすることで前記適応フィルタの係数を更新する更新ステップと、
前記メイン信号から前記フィルタ処理されたサテライト信号を減算処理することにより改善されたメイン信号を生成する処理ステップとを具えることを特徴とするクロストークキャンセル方法。
【請求項2】
請求項1記載のクロストークキャンセル方法を実行する命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項3】
クロストークキャンセル手段を具えた信号プロセッサであって、
前記クロストークキャンセル手段は目標トラックと関連するメイン信号とサイドトラックと関連するサテライト信号とを受信し、前記メイン信号は遷移点を示すとともに2つの遷移点間に種々の長さのランを示し、
前記クロストークキャンセル手段は、
前記サテライト信号を適応フィルタでフィルタリングしてフィルタ処理されたサテライト信号を生成するフィルタ手段と、
前記メイン信号の2つの遷移点間の実際のランレングスと期待ランレングスとの不一致を最小にすることで前記適応フィルタの係数を更新する更新手段と、
前記メイン信号から前記フィルタ処理されたサテライト信号を減算することにより改善されたメイン信号を生成する処理手段とを具えたことを特徴とする信号プロセッサ。
【請求項4】
前記信号プロセッサは、固定クロック、タイムリカバリ手段、および前記タイムリカバリ手段で駆動されるビットクロックとを具え、前記固定クロックは前記ビットクロックと非同期であり、前記クロストークキャンセル手段は前記固定クロックで動作することを特徴とする請求項3記載の信号プロセッサ。
【請求項5】
前記信号プロセッサにおいて、前記ビットクロックはビットクロック周波数を有し、前記固定クロックは前記ビットクロック周波数と大きく相違する固定クロック周波数を有し、前記ビットクロック周波数と前記固定クロック周波数との比が1から大きく相違し、前記信号プロセッサは、更に、前記比を推定し、前記比を前記更新手段に供給するタイムリカバリ手段を具え、前記更新手段は前記比を考慮して前記係数を更新するように設計されていることを特徴とする請求項4記載の信号プロセッサ。
【請求項6】
請求項3記載の信号プロセッサを具えた記憶媒体のトラックに沿って記憶された信号を読み取る装置。
【請求項7】
請求項4記載の信号プロセッサを具えた記憶媒体のトラックに沿って記憶された信号を読み取る装置。
【請求項8】
請求項5記載の信号プロセッサを具えた記憶媒体のトラックに沿って記憶された信号を読み取る装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−522424(P2006−522424A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506404(P2006−506404)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000938
【国際公開番号】WO2004/090892
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】