説明

SGLT2の阻害物質として有用な化合物の調製プロセス

本発明は、式(I)の化合物、又は薬剤として許容される塩、若しくはそれらの溶媒和物の新規の調製プロセスであって、式(VII)(VIII)(IX)を含み、式中、M2が亜鉛種である式(VII)の化合物を、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2が脱離基である式(VIII)の化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX)の化合物を生じさせる工程と、式(IX)の化合物を脱保護して、対応する式(I)の化合物を生じさせる工程と、を含むプロセスを目的とする。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年10月14日に出願された米国特許仮出願第61/251,378号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、腸又は腎臓に存在しているナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT)に対して阻害活性を有する化合物の新規の調製プロセスを目的とする。
【背景技術】
【0003】
食事療法及び運動療法は、真性糖尿病の処置に不可欠である。これらの療法において患者の症状が十分に制御されない場合には、糖尿病処置のためにインスリン又は経口抗糖尿病剤を更に用いる。現在、ビグアニド化合物、スルホニル尿素化合物、インスリン抵抗性改善剤、及びα−グルコシダーゼ阻害物質が抗糖尿病剤として用いられている。しかしながら、これらの抗糖尿病剤は、種々の副作用を有する。例えば、ビグアニド化合物は乳酸アシドーシスを引き起し、スルホニル尿素化合物は著しい低血糖を引き起し、インスリン抵抗性改善剤は浮腫及び心不全を引き起し、α−グルコシダーゼ阻害物質は腹部膨満及び下痢を引き起す。このような状況下で、このような副作用を有しない、真性糖尿病を処置するための新規薬物を開発することが望まれている。
【0004】
近年、高血糖症が真性糖尿病の発症及び進行性障害に関与していること、すなわちグルコース毒性理論が報告されている。すなわち、慢性の高血糖症はインスリン分泌の低下及び更にはインスリン感受性の低下を招き、結果として血糖濃度を上昇させて真性糖尿病が悪化(self-exacerbated)することになる(Unger,R.H.,et al.,「Hyperglycemia as an Inducer as well as a Consequence of Impaired Islet Cell Function and Insulin Resistance:Implications for the Management of Diabetes」,Diabetologia,vol.28,issue 3,pp.119〜121(1985);Rossetti,L.et al.,「Glucose Toxicity」,Diabetes Care,vol.13,issue 6,pp.610〜630(1990))。したがって、高血糖症を治療することにより前述の悪化サイクル(self-exacerbating cycle)を妨害して、真性糖尿病を予防又は治療することを可能にする。
【0005】
高血糖症を治療する方法の1つとしては、過剰量のグルコースを直接尿に排出させることで、血糖濃度を正常化することが考えられる。例えば、腎臓の近位尿細管に存在するナトリウム−グルコース共輸送体を阻害することにより、腎臓におけるグルコースの再吸収が阻害され、これによりグルコースの尿への排出が促進され、この結果血糖濃度が低下する。実際に、糖尿病の動物モデルに対して、SGLT阻害活性を有するフロリジンを持続的に皮下投与することにより、高血糖症を正常化し、長期間にわたって血糖濃度を正常のまま維持し、インスリン分泌及びインスリン抵抗性を改善することができることが確認されている(Rossetti,L.,et al.,「Correction of Hyperglycemia with Phlorizin Normalizes Tissue sensitivity to Insulin in Diabetic Rats」,Journal of Clinical Investigation,(1987),vol.79,issue 5,pp.1510〜1515;Rossetti,L.,et a.,「Effect of Chronic Hyperglycemia on in vivo Insulin Secretion in Partially Pancreatectomized Rats」,Journal of Clinical Investigation,(1987),vol.80,issue 4,pp.1037〜1044;Kahn,B.B.,et al.,「Normalization of blood glucose in diabetic rats with phlorizin treatment reverses insulin−resistant glucose transport in adipose cells without restoring glucose transporter gene expression」,J.Clin.Invest.,1991,vol.87,pp 561〜570)。
【0006】
更に、SGLT阻害剤で長期間糖尿病動物モデルを処置することにより、腎臓で全く有害な作用を受けることなく、又は電解質の血中濃度が不均衡になることなく、動物のインスリン分泌応答及びインスリン感受性は改善され、結果として、糖尿病性腎症及び糖尿病性神経障害の発症及び進行が防がれる(Kenji T.,et al.,「Na+−Glucose Co−transporter(SGLT)Inhibitors as Antidiabetic Agents.4.Synthesis and Pharmacological Properties of 4’−Dehydroxyphlorizin Derivatives Substituted on the B Ring」,J.Med.Chem.,(1999),Vol.42,pp.5311〜5324);(Kenji A.,et al.,「Improved diabetic syndrome in C57BL/KsJ−db/db mice by oral administration of the Na+−glucose cotransporter inhibitor T−1095」,British Journal of Pharmacology,(2001),vol.132,issue 2,pp.578〜586;Ueta,K.,et al.,「Long Term Treatment with the Na+ Glucose Co−transporter Inhibitor T−1095 causes Sustained Improvement in Hyperglycemia and Prevents Diabetic Neuropathy in Goto−Kakizaki Rats」,Life Sci.,(2005),vol.76,issue 23,pp.2655〜2668)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記から、SGLT阻害物質は、糖尿病患者の血糖濃度を低下させることにより、インスリン分泌及びインスリン抵抗性を改善し、更に真性糖尿病及び糖尿病性合併症の発症並びに進行を防ぐことが期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)の化合物の調製プロセスであって、
【0009】
【化1】

式中、環A及び環Bは以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つであり、
(1)環Aは場合により置換されている不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されているベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、又は環Bは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは該縮合複素二環の複素環に結合する;あるいは
(3)環Aは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、式中、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも該縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;
Xは炭素原子であり、
Yは−(CH2n−であり、ここで、nは1又は2であり、
ただし環AにおいてXが不飽和結合の一部である化合物、
並びに薬剤として許容される塩、及びそれらの溶媒和物の調製プロセスを目的とし、かかるプロセスは、
【0010】
【化2】

式(VIII)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2が脱離基である化合物を、式(X)の化合物と反応させる工程であって、式(X)の化合物は、
(a)有機亜鉛誘導体であって、式中、Q1
【0011】
【化3】

であり、Q2がハロゲンであり、Q3を欠いているもの、
(b)二置換亜鉛誘導体であって、式中、Q1及びQ2が同じであり、それぞれが
【0012】
【化4】

であり、Q3を欠いているもの、
(c)有機亜鉛酸誘導体であって、式中、Q1
【0013】
【化5】

であり、Q2及びQ3がそれぞれ独立して選択された非伝達性基である(ここで、亜鉛は負電荷を帯び、式(X)の化合物は対イオンと共に存在する)もの、並びに
(d)有機亜鉛酸誘導体であって、式中、Q1、Q2及びQ3が同じであり、それぞれが
【0014】
【化6】

である(ここで、亜鉛は負電荷を帯び、式(X)の化合物は対イオンと共に存在する)もの、からなる群から選択され、
かかる反応が、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で行われて、対応する式(IX)の化合物を生じさせる工程と、
【0015】
【化7】

式(IX)の化合物を脱保護して、対応する式(I)の化合物を生じさせる工程と、を含む。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物の調製プロセスであって、
【0017】
【化8】

式中、環A及び環Bは以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つであり、
(1)環Aは場合により置換されている不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されているベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、又は環Bは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは該縮合複素二環の複素環に結合する;あるいは
(3)環Aは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、式中、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも該縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;
Xは炭素原子であり、
Yは−(CH2n−であり、ここで、nは1又は2であり、
ただし環AにおいてXが不飽和結合の一部である化合物、
並びに薬剤として許容される塩、及びそれらの溶媒和物の調製プロセスを更に目的とし、かかるプロセスは、
【0018】
【化9】

式(VII)の化合物であって、式中、M2が亜鉛種である化合物を、式(VIII)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2は脱離基である化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX)の化合物を生じさせる工程と、
【0019】
【化10】

式(IX)の化合物を脱保護して、対応する式(I)の化合物を生じさせる工程と、を含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、式(I−S)
【0021】
【化11】

又はその溶媒和物(1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる)の調製プロセスを目的とし、かかるプロセスは、
【0022】
【化12】

式(VII−S)の化合物であって、式中、M2が亜鉛種である化合物を、式(VIII−S)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2が脱離基である化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を生じさせる工程と、
【0023】
【化13】

式(IX−S)の化合物を脱保護して、対応する式(I−S)の化合物を生じさせる工程と、を含む。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、式(I−K)の化合物、
【0025】
【化14】

又は薬剤として許容される塩、若しくはそれらの溶媒和物(1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(4−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる)の調製プロセスを目的とし、かかるプロセスは、
【0026】
【化15】

式(VII−K)の化合物であって、式中、M2が亜鉛種である化合物を、式(VIII−S)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2脱離基である化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX−K)の化合物を生じさせる工程と、
【0027】
【化16】

式(IX−K)の化合物を脱保護して、対応する式(I−K)の化合物を生じさせる工程と、を含む。
【0028】
本発明は、二置換亜鉛誘導体である式(X−P)の化合物であって、
【0029】
【化17】

式中、両Q1基は同じであり、かつ本明細書で定義する
【0030】
【化18】

である化合物の調製プロセスを更に目的とし、かかるプロセスは、
【0031】
【化19】

式(Z1)の化合物であって、式中、Ha2がハロゲンである化合物を、リチウムトリアルキルマグネサートである式(Z2)の化合物と、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(Z3)の化合物を生じさせる工程と、
【0032】
【化20】

式(Z3)の化合物を、ハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体である式(Z4)の化合物であって、式中、Ha1がハロゲンである化合物と、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(X−P)の化合物を生じさせる工程と、を含む。
【0033】
本発明は更に、本明細書に記載されるプロセスのいずれかに従って調製された製品を目的とする。
【0034】
本発明の実例は、薬剤として許容される担体を含む医薬組成物、及び本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製される製品である。本発明の実例は、本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製される製品と、薬剤として許容される担体とを混合することにより製造される医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製される製品と、薬剤として許容される担体とを混合することを含む、医薬組成物の製造プロセスである。
【0035】
本発明の例証は、治療上の有効量の上記の化合物又は医薬組成物のいずれかを、それを必要とする患者に投与することを含む、SGLTにより介在される疾患を処置する(真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の進行若しくは発症を処置する又は遅延させることを含む)方法である。
【0036】
本発明の更なる例証は、単独で、又は抗糖尿病剤、糖尿病性合併症処置剤、抗肥満剤、血圧降下剤、抗血小板剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、及び/若しくは抗高脂血症剤の少なくとも1つと組み合わせて、治療的上の有効量の上記化合物又は医薬組成物のいずれかを、処置を必要とする患者に投与することを含む、I型及びII型真性糖尿病を処置する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、式(I)の化合物であって、
【0038】
【化21】

式中、X、Y、環A及び環Bは本明細書に定義されるものである化合物、並びに薬剤として許容される塩、及びそれらの溶媒和物の調製プロセスを目的とする。式(I)の化合物は、哺乳類種の腸及び腎臓に存在するナトリウム−グルコース共輸送体に対する阻害活性を呈し、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、肥満、及び創傷治癒の遅延のような、真性糖尿病又は糖尿病性合併症の処置に有用である。一実施形態では、本発明は、本明細書で詳述する式(I−S)の化合物の調製プロセスを目的とする。別の実施形態では、本発明は、本明細書で詳述する式(I−K)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0039】
用語「ハロゲン」には、塩素、臭素、フッ素及びヨードが含まれる。式(I)の化合物上の置換基について指すとき、用語「ハロゲン原子」又は「ハロ」は塩素、臭素及びフッ素を意味し、塩素及びフッ素が好ましい。
【0040】
用語「アルキル基」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和一価炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基がより好ましい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、及びその種々の分枝鎖異性体である。更に、アルキル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に列挙するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0041】
用語「アルキレン基」又は「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖二価飽和炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基がより好ましい。その例はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などである。必要であれば、アルキレン基は、所望により上記の「アルキル基」と同様の方法で置換されてよい。上記定義のアルキレン基がベンゼン環の2個の異なる炭素原子に結合する場合、それらが結合する炭素原子と共に、環付加された5、6又は7員炭素環を形成し、場合により1個以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0042】
用語「アルケニル基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1個の二重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基がより好ましい。その例は、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、3−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、3−ウンデセニル基、4−ドデセニル基、4,8,12−テトラデカトリエニル基などである。必要であれば、アルケニル基は、所望によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。
【0043】
用語「アルケニレン基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1個の二重結合を有する直鎖又は分枝鎖二価炭化水素鎖を意味する。2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基が好ましく、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基がより好ましい。その例は、ビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基などである。必要であれば、アルキレン基は、必要に応じて後述するように1〜4個の置換基で必要に応じて置換されてよい。上記定義のアルケニレン基がベンゼン環の2個の異なる炭素原子に結合する場合、それらが結合する炭素原子と共に、環付加された5、6又は7員炭素環(例えば、縮合ベンゼン環)を形成し、場合により1個以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0044】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基がより好ましい。その例は、2−プロピニル基、3−ブチニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、3−オクチニル基、3−ノニニル基、4−デシニル基、3−ウンデシニル基、4−ドデシニル基などである。アルキニル基は、所望によりかつ独立して、必要に応じて後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。
【0045】
用語「シクロアルキル基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価飽和炭化水素環を意味し、3〜7個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環がより好ましい。その例は、単環式アルキル基及び二環式アルキル基、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などである。これらの基は、所望によりかつ独立して、必要に応じて、以下の1〜4個の置換基で置換されてよい。シクロアルキル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は場合により必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び縮環した不飽和炭化水素環は場合によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0046】
用語「シクロアルキリデン基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式二価飽和炭化水素環を意味し、3〜6個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環が好ましい。その例は、単環式アルキリデン基及び二環式アルキリデン基、例えばシクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン(cyclopentylidine)基、シクロヘキシリデン基などである。これらの基は、所望によりかつ独立して、必要に応じて、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。それに加えて、シクロアルキリデン基は所望により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、所望により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、所望によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0047】
用語「シクロアルケニル基」は、4〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する単環式又は二環式一価不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルケニル基は、4〜7個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。これらの例は、単環式アルケニル基、例えばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などである。これらの基は、所望によりかつ独立して、必要に応じて、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。それに加えて、シクロアルケニル基は所望により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、所望により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、所望によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0048】
用語「シクロアルキニル基」は、6〜12個の炭素原子及び少なくとも1個の三重結合を有する単環式又は二環式不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルキニル基は、6〜8個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。その例は、シクロオクチニル基、シクロデシニル基のような単環式アルキニル基である。これらの基は所望により、必要に応じて、後述するように1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、シクロアルキニル基は所望によりかつ独立して、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は所望により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は所望によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。
【0049】
用語「アリール基」は、6〜10個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価芳香族炭化水素基を意味する。その例は、フェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基及び2−ナフチル基を含む)である。これらの基は、所望によりかつ独立して、必要に応じて、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。それに加えて、アリール基は所望により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は所望により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は所望によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてよい。
【0050】
用語「不飽和の単環式複素環」は、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する不飽和炭化水素環を意味し、好ましいものは、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜7員の飽和又は不飽和炭化水素環である。その例は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾールなどである。これらのうち、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、及びチアゾールを好ましく用いることができる。「不飽和の単環式複素環」は所望によりかつ独立して、必要に応じて、後述するように1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0051】
用語「不飽和縮合複素二環」は、上述の不飽和の単環式複素環と縮環した飽和又は不飽和炭化水素環からなる炭化水素環を意味し、上記飽和炭化水素環及び上記不飽和炭化水素環は所望により、必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい。「不飽和縮合複素二環」としては、例えば、ベンゾチオフェン、インドール、テトラヒドロベンゾチオフェン、ベンゾフラン、イソキノリン、チエノチオフェン、チエノピリジン、キノリン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インダゾール、ジヒドロイソキノリンなどが挙げられる。更に「複素環」としては、これらの考えられるN−又はS−オキシドも含まれる。
【0052】
用語「ヘテロシクリル」は、上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環の一価基、及び上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環の飽和バージョンの一価基を意味する。必要に応じて、ヘテロシクリルは所望によりかつ独立して、後述するように1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0053】
用語「アルカノイル基」は、ホルミル基及び「アルキル基」をカルボニル基に結合させることにより形成されるものを意味する。
【0054】
用語「アルコキシ基」は、「アルキル基」を酸素原子に結合させることにより形成されるものを意味する。
【0055】
上記の各基のための置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホン基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ−シクリルカルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、アルケニルオキシ−カルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシ−カルボニル基、シクロアルケニル−オキシ−カルボニル基、シクロ−アルキニル−オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ−シクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニル−カルボニルオキシ基、アルキニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキル−カルボニルオキシ基、シクロアルケニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキニル−カルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ−シクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニル−チオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニル−チオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキル−アミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシ−カルボニル−アミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニル−アミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニル−アミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキル−カルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニル−スルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキル−スルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニル−スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリル−スルフィニル基、アルキル−スルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニル−スルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリール−スルホニル基及びヘテロシクリルスルホニル基が挙げられる。上述の各基は、所望によりこれらの置換基で置換されてもよい。
【0056】
更に、ハロアルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、ハロフェニル基又はハロヘテロシクリル基のような用語は、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基、低級アルコキシ基、フェニル基又はヘテロシクリル基(以下、アルキル基などと称する)がそれぞれ1つ以上のハロゲン原子で置換されていることを意味する。好ましいものは、1〜7個のハロゲン原子で置換されているアルキル基などであり、より好ましいものは、1〜5個のハロゲン原子で置換されているアルキル基などである。同様に、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシ−低級アルコキシ基、及びヒドロキシフェニル基のような用語は、1個以上のヒドロキシ基で置換されているアルキル基などを意味する。好ましいものは、1〜4個のヒドロキシ基で置換されているアルキル基などであり、より好ましいものは、1〜2個のヒドロキシ基で置換されているアルキル基などである。更に、アルコキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基、アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、アルコキシアルコキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、アルコキシフェニル基、及び低級アルコキシフェニル基のような用語は、1個以上のアルコキシ基で置換されているアルキル基などを意味する。好ましいものは、1〜4個のアルコキシ基で置換されているアルキル基などであり、より好ましいものは、1〜2個のアルコキシ基で置換されているアルキル基などである。
【0057】
用語「アリールアキル」及び「アリールアルコキシ」は、単独で又は別の基の一部として用いられるとき、アリール置換基を有する、上記のようなアルキル及びアルコキシ基を指す。
【0058】
本明細書中の式の定義で用いられる用語「低級」は、特に規定しない限り、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。より好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。
【0059】
用語「プロドラッグ」はエステル又はカーボネートを意味し、アセテート、ピバレート、メチルカーボネート、ベンゾエートなどを生成する従来の方法により、式Iの化合物の1つ以上のヒドロキシ基をアルキル、アルコキシ、又はアリールで置換されたアシル化剤と反応させることにより生成される。更に、プロドラッグにはエステル又はアミドも含まれ、これらは同様に、従来の方法により縮合剤を用いて、式Iの化合物の1つ以上のヒドロキシ基をα−アミノ酸又はβ−アミノ酸などと反応させることにより生成される。
【0060】
式Iの化合物の薬剤として許容される塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのようなアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウムなどのようなアルカリ土類金属塩;亜鉛又はアルミニウム塩、アンモニウム、コリン、ジエタノールアミン、リジン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチルグルコサミン、トリエタノールアミン、及びデヒドロアビエチルアミン、のような有機塩基塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸塩;又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのような有機酸塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸のような酸性アミノ酸塩などが挙げられる。
【0061】
本発明の化合物はまた、立体異性体の混合物又はそれぞれの純粋な若しくは実質的に純粋な異性体を含む。例えば、本化合物は所望によりいずれか1個の置換基を含有する炭素原子に、1つ以上の不斉中心を有してもよい。それ故、式Iの化合物は、エナンチオマー若しくはジアステレオマー又はそれらの混合物の形態で存在してもよい。本化合物(I)が二重結合を含有するとき、本化合物は、幾何異性体(シス−化合物、トランス−化合物)の形態で存在してもよく、本化合物(I)がカルボニルのような不飽和結合を含有するとき、本化合物は、互変異性体の形態で存在してもよく、本化合物はまた、これらの異性体又はその混合物を含む。ラセミ混合物、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態の出発化合物を、本化合物を調製するプロセスに用いてもよい。本化合物がジアステレオマー又はエナンチオマーの形態で得られるとき、それらはクロマトグラフィー又は分別晶出のような従来の方法により分離できる。
【0062】
更に、本化合物(I)は、これらの分子内塩、水和物、溶媒和物又は多形体を含む。
【0063】
場合により置換される、本発明の不飽和の単環式複素環の例としては、場合により、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。
【0064】
場合により置換される、本発明の不飽和の縮合複素二環の例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデン−メチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニル−カルボニル基、シクロアルキニル−カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリル−カルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイル−アミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロ−アルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロ−アルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてもよい不飽和の縮合ヘテロ二環式の複素環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。
【0065】
場合により置換される、本発明のベンゼン環の例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリルスルホニル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてもよいベンゼン環が挙げられ、各置換基は場合により更にこれらの置換基により置換されてもよい。
【0066】
更に、場合により置換されるベンゼン環の例としては、アルキレン基で置換されて、それに結合する炭素原子と共に環付加された炭素環を形成するベンゼン環が挙げられ、またアルケニレン基で置換されて、それに結合する炭素原子と共に縮合ベンゼン環のような環付加された炭素環を形成するベンゼン環が挙げられる。
【0067】
場合により置換される不飽和の単環式複素環の好ましい例としては、場合によりハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられる。
【0068】
場合により置換される不飽和の縮合複素二環の好ましい例としては、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合二環式複素環が挙げられる。
【0069】
場合により置換されるベンゼン環の好ましい例としては、場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態では、場合により置換される不飽和の単環式複素環は、場合によりハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
場合により置換される不飽和の縮合複素二環は、場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキル−スルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環であり;並びに
場合により置換されるベンゼン環は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基及びアルケニレン基からなる群から独立して選択された1〜3個の置換基で場合により置換されてもよいベンゼン環であり;
不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合複素二環及びベンゼン環上の、上述の置換基はそれぞれ更にハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、オキソ基、カルバモイル基及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0071】
好ましい実施形態では、場合により置換される不飽和の単環式複素環は、場合によりハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
場合により置換される不飽和の縮合複素二環は、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基及びオキソ基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環であり;並びに
場合により置換されるベンゼン環は、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基及びアルケニレン基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり;
各不飽和の単環式複素環、不飽和縮合複素二環及びベンゼン環上の、上述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で更に置換されてもよい。
【0072】
別の好ましい実施形態では、
(1)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合複素二環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
(2)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく、あるいは
(3)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合複素二環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
ここで環A及び環B上の上述の置換基はそれぞれ、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0073】
本発明のより好ましい実施形態では、環A及び環Bは、
(1)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;で置換されてもよいベンゼン環であるか、あるいは(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環(ここで上記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であるか、あるいは(c)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環(ここで、上記フェニル基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であり;
(2)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基又は低級アルケニレン基で置換されてもよいベンゼン環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基で置換されてもよいヘテロシクリル基、で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であるか、(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環(上記フェニルは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であり;あるいは
(3)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基から選択される基により置換されていてもよいベンゼン環(上記フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)であるか、(b)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいフェニル基;又は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であるか、あるいは(c)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)若しくはジ−低級アルキルアミノ基、フェニル基、及びヘテロシクリル基(ここで、上記フェニル基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基で置換されてもよく、上記ヘテロシクリル基は場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基で置換されてもよい)から選択される基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環である。
【0074】
別のより好ましい実施形態では、Yは−CH2−でありかつ環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、フェニル基、及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたベンゼン環であり、環Bは低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、低級アルキレンジオキシフェニル基、低級アルキレンオキシフェニル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノフェニル基、カルバモイルフェニル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイルフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、低級アルコキシヘテロシクリル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノヘテロシクリル(alkylaminoheterocycyclyl)基、カルバモイルヘテロシクリル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得る不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環である。
【0075】
別のより好ましい実施形態では、Yは−CH2−でありかつ環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得る不飽和の単環式複素環であり、環Bは低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得るベンゼン環である。
【0076】
更に別の好ましい実施形態では、Yは−CH2−でありかつ環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得る不飽和の単環式複素環であり、環Bはそれぞれ低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得る、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環である。
【0077】
本発明のより好ましい実施形態では、Xは炭素原子であり、Yは−CH2−である。
【0078】
更に、別の好ましい実施形態では、環A及び環Bは、
(1)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基、並びにシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、フェニル基及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基で置換されてもよいフェニル基、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基で置換されてもよいヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
(2)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基、並びにシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基:場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、
(3)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基、シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、
(4)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の縮合複素二環であり、
環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及び低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいベンゼン環であり、あるいは
(5)環Aは場合により独立して、ハロゲン原子;場合により低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい不飽和の単環式複素環であり、
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基で置換されてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0079】
本発明の別の好ましい実施形態では、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは場合により、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子で置換され得る低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基で置換され得るベンゼン環であり、環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又はフェニル基で置換され得る低級アルキル基、低級アルコキシ基、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換され得るフェニル基、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換され得るヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換され得る不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環である。
【0080】
本発明の別のより好ましい実施形態では、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基で置換され得る不飽和の単環式複素環であり、環Bは場合により、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又はフェニル基で置換され得る低級アルキル基、低級アルコキシ基、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換され得るフェニル基、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換され得るヘテロシクリル基、及び低級アルキレン基からなる群から選択される置換基で置換され得るベンゼン環である。
【0081】
不飽和の単環式複素環の好ましい例としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する、5又は6員不飽和の複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロピリジン及びチアゾールである。好ましい不飽和の縮合複素二環としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する9又は10員不飽和の縮合複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、チエノチオフェン及びジヒドロイソキノリンである。
【0082】
本発明のより好ましい実施形態では、環Aは場合によりハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基で置換され得るベンゼン環であり、環Bはチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びベンゾチアゾールからなる群から選択される複素環であり、ここで複素環は場合により以下の群:ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、チエニル基、ハロチエニル基、ピリジル基、ハロピリジル基及びチアゾリル基から選択される置換基で置換され得る。
【0083】
更に別の好ましい実施形態では、Yは−CH2−であり、環Aはチオフェン、ジヒドロイソキノリン、ジヒドロイソオキサゾール、トリアゾール、ピラゾール、ジヒドロピリジン、ジヒドロインドール、インドール、インダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン及びイソインドリンからなる群から選択される不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合複素二環であり、ここで複素環は場合により以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基で置換され得、環Bは場合により以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される置換基で置換され得るベンゼン環である。
【0084】
本発明の更に好ましい実施形態では、環Aはハロゲン原子又は低級アルキル基で置換されているベンゼン環であり、環Bはフェニル基又はヘテロシクリル基で置換されているチエニル基であり、このフェニル基及びヘテロシクリル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される1〜3個の置換基で置換されている。
【0085】
更に、本発明の他の態様では、式(I)の化合物の好ましい例としては、環Aが
【0086】
【化22】

であり、式中、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はフェニルスルホニル基であり、
環Bが
【0087】
【化23】

であり、
式中、R4a及びR5aが、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−又はジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいフェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、あるいはR4a及びR5aは末端で互いに結合してアルキレン基を形成し;
4b、R5b、R4c及びR5cはそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、又はモノ−若しくはジ−アルキルアミノ基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基又はハロアルコキシ基で置換されていてもよい、ヘテロシクリル基である化合物が挙げられる。
【0088】
より好ましくは、式中、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり;
4a及びR5aがそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で場合により置換されていてもよいヘテロシクリル基であるか、あるいはR4a及びR5aが互いの末端で結合して低級アルキレン基を形成し;
4b、R5b、R4c及びR5cがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基である化合物である。
【0089】
更に好ましいのは、環Bが、
【0090】
【化24】

であり、式中、R4aが場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、フェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されていてもよい、ヘテロシクリル基であり、
5aは水素原子であり、あるいは
4a及びR5aは互いの末端で結合して低級アルキレン基を形成する化合物である。
【0091】
更により好ましいのは、環Aが、
【0092】
【化25】

であり、式中、R1aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、R2a及びR3aは水素原子であり;環Bは
【0093】
【化26】

であり、R4aが場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択された置換基で置換されたフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基、又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基で置換されたヘテロシクリル基であり、R5aは水素原子であり、Yは−CH2−である化合物である。
【0094】
より好ましい実施形態では、R4aは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換され得るフェニル基、あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換され得るヘテロシクリル基である。
【0095】
本発明の他の好ましい実施形態では、好ましい化合物は以下の式IAにより表わすことができ、
【0096】
【化27】

式中、RAはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり;RBは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいヘテロシクリル基であり;かつRCは水素原子であり;あるいはRB及びRCは共に、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されてもよい縮合したベンゼン環を形成する。
【0097】
好ましい実施形態では、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、RCは水素原子であり、RBはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたヘテロシクリル基である。このような化合物の化学的構造は以下の式(IA’)により表わすことができ、
【0098】
【化28】

式中、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、環Cはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、フェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された、ヘテロシクリル基である。
【0099】
より好ましい実施形態では、環Cはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基及びモノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基からなる群から選択される置換基で置換されたヘテロシクリル基である。
【0100】
中でも、環Cがハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基で置換されたフェニル基、あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されたヘテロシクリル基である化合物が好ましい。
【0101】
好ましいヘテロシクリル基としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロシクリル基、あるいは独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する9又は10員ヘテロシクリル基が挙げられる。特に、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キノリニル基、テトラゾリル基及びオキサゾリル基が好ましい。
【0102】
更に好ましい実施形態では、環Cはハロゲン原子若しくはシアノ基で置換されているフェニル基、又はハロゲン原子で置換されたピリジル基である。
【0103】
本発明の他の好ましい実施形態では、好ましいものは環Aが、
【0104】
【化29】

であり、式中、R1aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、かつR2a及びR3aは水素原子であり;環Bは、
【0105】
【化30】

であり、式中、R4b及びR5bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロ−低級アルコキシ基である化合物である。
【0106】
本発明の他の態様では、化合物Iの好ましい例としては、以下の式IBで表わされる化合物が挙げられ、
【0107】
【化31】

式中、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり、
以下の式
【0108】
【化32】

で表される基は、
【0109】
【化33】

であり、
式中、R6a及びR7aはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−若しくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−若しくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基であり、R6b及びR7bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基である。
【0110】
式(IB)により表わされる化合物の中で、R8、R9、及びR10が、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基である化合物がより好ましく、
以下の式
【0111】
【化34】

で表される基は、
【0112】
【化35】

であり、R6a、R7aは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基であり、あるいは以下の式
【0113】
【化36】

で表される基は、
【0114】
【化37】

であり、式中、R6b及びR7bはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、又は低級アルコキシ基である。
【0115】
本発明の他の態様では、化合物Iの好ましい例としては、以下の式ICにより表わされる化合物が挙げられ、
【0116】
【化38】

式中、環B’は場合により置換されてもよいベンゼン環、場合により置換されてもよい不飽和の単環式複素環、又は場合により置換されてもよい不飽和の縮合複素二環である。
【0117】
環B’の好ましい例としては、ベンゼン環及び複素環が挙げられ、これらは両方ともハロゲン原子;シアノ基;場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基;場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基;低級アルカノイル基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;低級アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基で置換されてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合により、ハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−若しくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基で置換されてもよいヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される置換基を有してもよい。
【0118】
環B’のより好ましい例としては、ハロゲン原子;シアノ基;場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基;モノ−若しくはジ−低級アルキルアミノ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基で置換されてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子で置換されてもよい低級アルコキシ基で置換されてもよいヘテロシクリル基からなる群から選択される置換基で置換されてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0119】
本発明の好ましい化合物は、以下の群から選択され得る:
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(6−エチルベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(5−チアゾリル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−フェニル−2−チエニル−メチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−ジフルオロメチル−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン;
これらの薬剤として許容される塩、並びにこれらのプロドラッグ。
【0120】
本発明の特に好ましい化合物としては:
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ;並びに
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン、又はこれらの薬剤として許容される塩若しくはこれらのプロドラッグ。
【0121】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0122】
【表1】

【0123】
本明細書で使用されるように、別段の注記がない限り、用語「単離された形態」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。一実施形態では、本明細書に記載されるプロセスに従って調製される生成物(より具体的には式(I)の化合物、好ましくは式(I−S)の化合物、又は式(I−K)の化合物)は、単離された形態として調製される。
【0124】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「実質的に純粋な」は、単離した化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、実質的に純粋な、式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。別の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な、式(I−S)の化合物の調製プロセスを目的とする。別の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な、式(I−K)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0126】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「実質的に対応する塩形態を含まない」とは、式(I)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)の塩基中の対応する塩形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。
【0127】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物の調製プロセスを目的とし、ここで式(I)の化合物は対応する塩形態を実質的に含まない。別の実施形態では、本発明は式(I−S)の化合物の調製プロセスを目的とし、ここで式(I−S)の化合物は対応する塩形態を実質的に含まない。別の実施形態では、本発明は、式(I−K)の化合物の調製プロセスを目的とし、ここで式(I−K)の化合物は対応する塩形態を実質的に含まない。
【0128】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、被験者又は患者(好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト)の管理及びケアを含み、また、症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の排除のための、本発明の化合物の投与を含むものとする。
【0129】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防」は、(a)1つ以上の病状の頻度の低減、(b)1つ以上の病状の重篤度の低下、(c)更なる病状の発現の遅延若しくは回避、及び/又は(d)疾患若しくは病状の発現の遅延若しくは回避を含むものとする。
【0130】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする患者(すなわち、予防を必要とする患者)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示しているいずれの被験者又は患者(好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト)をも含むすることを、当業者は理解するであろう。更に、この方法を必要とする患者は加えて、予防されるべき障害、疾患、又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると医師、臨床医、又は他の医療専門家によって見なされている患者(好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト)でもあり得る。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、患者の医療履歴の結果として、患者は障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると(またそれゆえ、予防又は予防的処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0131】
本明細書で使用するとき、用語「被験者」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは被験者は、治療及び/又は予防するべき疾病又は疾患の少なくとも1つの病状を経験及び/又は示している。
【0132】
本明細書で使用するとき、用語「治療上の有効量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む、組織系、動物、又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0133】
本明細書で使用する用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含んでなる生成物、並びに直接的又は間接的に特定の成分の特定の量の組み合わせから生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0134】
本発明の式(I)の化合物は、ナトリウム−グルコース共輸送体に対する優れた阻害活性、及び優れた血糖低下効果を呈する。それ故、本発明の化合物は真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の、進行若しくは発症を処置する又は遅延させるのに有用である。特に本発明の化合物は、真性糖尿病(I型及びII型真性糖尿病など)、糖尿病性合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症など)若しくは肥満の予防に有用であり、又は食後の高血糖症の処置に有用である。
【0135】
本発明の化合物又はその薬剤として許容される塩は、経口又は非経口のいずれで投与してもよく、好適な医薬品の形態で用いることができる。経口投与に好適な医薬品としては、例えば、錠剤、顆粒、カプセル、粉末などの固形製剤、又は液体製剤、懸濁液剤、若しくは乳濁液剤などが挙げられる。非経口投与に好適な医薬品としては、例えば、坐剤、注射剤、及び注射用蒸留水、生理食塩水、若しくは水性グルコース溶液を用いる静脈内点滴製剤、又は吸入製剤が挙げられる。
【0136】
式(I)の本化合物又はその薬剤として許容される塩の用量は、投与経路、年齢、体重、患者の状態、又は処置されるべき疾患の種類及び重篤度に応じて変化してもよく、通常、約0.01〜300mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲の量、好ましくは約0.1〜50mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲の量、好ましくは約0.1〜30mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲の量である。一実施形態では、式(I)の化合物又はその薬剤として許容される塩は、それを必要とする被験者に、約0.01mg/kg/日〜約15mg/kg/日の範囲、又はこの中の任意の量若しくは範囲の用量で投与される。
【0137】
式Iの化合物は、必要に応じて、1つ以上の他の抗糖尿病剤、1つ以上の糖尿病性合併症処置剤、及び/又は1つ以上の他の疾患の処置剤と組み合わせて用いてもよい。本化合物及びこれらのその他の剤は、同じ剤形で、若しくは別個の経口剤形で、又は注入により、投与してもよい。
【0138】
他の抗糖尿病剤としては、例えばインスリン、インスリン分泌促進物質又はインスリン増感剤を含む抗糖尿病剤又は抗高血糖症剤、あるいはSGLT阻害とは異なる作用機序を有する他の抗糖尿病剤が挙げられ、1、2、3又は4つのこれらのその他の抗糖尿病剤を用いるのが好ましい可能性がある。これらの具体例は、ビグアニド化合物、スルホニル尿素化合物、α−グルコシダーゼ阻害物質、PPARγ作用物質(例えば、チアゾリジンジオン化合物)、PPARα/γ二重作用物質、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害物質、ミチグリニド化合物及び/又はナテグリニド化合物、並びにインスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、PTP1B阻害物質、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害物質、RXR修飾因子及び/又はグルコース6−ホスファターゼ阻害物質である。
【0139】
他の疾患の処置剤としては、例えば抗肥満剤、血圧降下剤、抗血小板剤、抗アテローム性動脈硬化症剤及び/又は抗高脂血症剤が挙げられる。
【0140】
式IのSGLT阻害物質は、必要に応じて糖尿病性合併症の処置剤と組み合わせて用いてもよい。これらの剤としては、例えばPKC阻害物質及び/又はACE阻害物質が挙げられる。
【0141】
それらの剤の投薬量は、年齢、体重、及び患者の状態、並びに投与経路、剤形などに応じて変化してもよい。
【0142】
これらの医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、顆粒若しくは粉末の剤形で、ヒト、類人猿、イヌなどを含む哺乳類種に経口的に投与してもよく、又は注入製剤の剤形で非経口的に投与してもよく、又は経皮貼付剤の剤形で鼻腔内に投与してもよい。
【0143】
当業者は、別途記載のない限り、反応工程が適切な条件下で公知の方法に従って行われて、所望の生成物が得られることを認識するであろう。
【0144】
当業者は更に、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬の部類/種類(例えば、塩基、溶媒など)がプロセスの1を超える工程に引用されている場合に、個々の試薬が、各反応工程に関して独立して選択され、かつ同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、プロセスの2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第一工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第二工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。更に、当業者であれば、本発明の反応工程を、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、かかる反応工程がまた、好適な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0145】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の「特許請求の範囲」に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識するであろう。
【0146】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が記載されている場合、その範囲は、記載された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲の量を含むものと理解される。
【0147】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0148】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「脱離基」は、置換又は変位反応中に離脱する帯電又は非帯電の、原子又は基を意味するものとする。好適な例には、Br、Cl、I、メシラート、トシラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本発明の化合物の任意の調製プロセス中、関与する任意の分子の感受性又は反応性基を保護することが必要かつ/又は望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmie編、Plenum Press,1973)、及びProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene & P.G.M.Wuts、John Wiley & Sons,1991)に記載されるような、従来の保護基による手法で実施することができる。保護基は、後続の都合のよい段階で、当該技術分野にて既知の方法を用いて除去されてよい。
【0150】
本明細書で使用されるように、別段の注記がない限り、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合することで、窒素原子を反応への参加から保護することができ、かつ反応後に容易に除去できる基を意味するものとする。好適な窒素保護基としては、カルバメート(式−C(O)−Rの基を含有し、式中、Rは、例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH2=CH−CH2−など)、アミド(式−C(O)−R’の基を含有し、式中、R’は、例えばメチル、フェニル、トリフルオロメチルなど)、N−スルホニル誘導体(式−SO2−R”の基を含有し、式中、R”は、例えばトリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−イル−、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンなど)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な窒素保護基は、T.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などの教科書に見出すことができる。
【0151】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「酸素保護基」は、酸素原子に結合することで、かかる酸素原子を反応への参加から保護することができ、かつ反応後には容易に除去できる基を意味するものとする。好適な酸素保護基としては、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチル−ジメチルシリル、トリメチルシリル(TMS)、MOM、THPなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な酸素保護基は、T.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などの教科書に見出すことができる。
【0152】
本発明による化合物の調製プロセスが、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、例えば分取クロマトグラフィーなどの従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々のエナンチオマーをエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製することができる。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの構成要素であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてもよい。
【0153】
当業者は、本明細書に記載する任意のプロセスにおいて、ヒドロキシ基、オキソ基、カルボキシ基などのような、式(I)の化合物の反応性置換基を、合成経路に沿って好適な時点で、既知の方法に従って好ましく保護し、次いで脱保護することを認識するであろう。
【0154】
本発明は、以下のスキームAに概要を述べるような、式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0155】
【化39】

【0156】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(VIII)の化合物(式中、LG2は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくはブロモであり、各Zは独立して選択された酸素保護基であり、例えばZはベンジル、ベンゾイル、ピバロイル、イソブチリル、p−メトキシ−ベンジルなどからなる群から選択され、好ましくは、各Z保護基は同じであり、より好ましくは各Zはピバロイル、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である)は、適切に置換された式(X)の化合物、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物と反応し、ここで式(X)の化合物は、以下からなる群から選択され、
(a)適切に置換された有機ハロゲン化亜鉛であって、式中、Q1
【0157】
【化40】

であり、Q2がBr、Iなどの適切に選択されたハロゲンであり、Q3を欠いているもの、
(b)適切に置換された二置換亜鉛誘導体であって、式中、Q1及びQ2が同じであり、それぞれが
【0158】
【化41】

であり、Q3を欠いているもの、
(c)適切に置換された有機亜鉛酸誘導体であって、式中、Q1
【0159】
【化42】

であり、Q2及びQ3はそれぞれ独立して選択されたアルキル、シクロアルキル、TMSCH2などの非伝達性基であるもの、並びに
(d)適切に選択された有機亜鉛酸誘導体であって、式中、Q1、Q2、及びQ3が同じであり、それぞれが
【0160】
【化43】

であるもの、
式(IX)に対応する化合物を得、ここで式(IX)の化合物を既知の方法に従ってその後脱保護して、式(I)に対応する化合物を得る。
【0161】
当業者は、式(X)の化合物が上記(c)及び(d)に定義される有機亜鉛酸誘導体であるとき、かかる有機亜鉛酸誘導体のZnは負電荷を帯び、したがって有機亜鉛酸誘導体はリチウム又はマグネシウムなどの好適な対イオンと共に存在することを認識するであろう。
【0162】
1
【0163】
【化44】

であり、Q2がBr、Iなどの適切に選択されたハロゲンであり、Q3を欠いている式(X)の有機亜鉛誘導体を、例えば、以下に概要を述べるようなスキームBによって調製できる。
【0164】
【化45】

より好ましくは、金属交換反応により、適切に置換された有機リチウム又は有機マグネシウム化合物(式中、Q4はブロモ、クロロ、ヨードなどの適切に選択されたハロゲンである)を適切に選択されたハロゲン化亜鉛と反応させることによる。あるいは、当業者は、適切に選択されたスルホン化亜鉛をハロゲン化亜鉛の代わりとし、上記スキームBに概要を示すように反応させて、所望の式(X)の有機ハロゲン化物を得られることを認識するであろう。
【0165】
あるいは、Q1
【0166】
【化46】

であり、Q2がBr、Iなどの適切に選択されたハロゲンであり、Q3を欠いている式(X)の有機亜鉛誘導体を、例えば、以下に概要を述べるようなスキームCによって調製できる。
【0167】
【化47】

より好ましくは、活性化亜鉛を適切に置換されたハロゲン化アリールに直接挿入することによる。
【0168】
1及びQ2が同じであり、それぞれが
【0169】
【化48】

であり、Q3を欠いている式(X)の二置換亜鉛誘導体を、例えば、以下に概要を述べるようなスキームDに従って調製できる。
【0170】
【化49】

より好ましくは、金属交換反応により、2当量の適切に置換された有機リチウム又は有機マグネシウム化合物(式中、Q4はブロモ、クロロ、ヨードなどの適切に選択されたハロゲンである)を、適切に選択されたハロゲン化亜鉛、つまり式Zn(Ha12の化合物(式中、各Ha1はBr、Iなどの適切に選択されたハロゲンであり、好ましくはHa1ハロゲンの両方が同じである)又は式Zn(Ha12・Li(Ha1)のハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体、例えばZnB2・LiBrなどと反応させることによる。あるいは、当業者は、適切に選択されたスルホン化亜鉛をハロゲン化亜鉛の代わりとし、上記スキームDに概要を示すように反応させて、所望の式(X)の二置換亜鉛誘導体を得られることを認識するであろう。
【0171】
1、Q2及びQ3が同じであり、それぞれが
【0172】
【化50】

である式(X)の有機亜鉛酸誘導体を、例えば、以下に概要を述べるようなスキームEにより同様に調製できる。
【0173】
【化51】

より好ましくは、金属交換反応により、3当量の適切に置換された有機リチウム又は有機マグネシウム化合物(式中、Q4はブロモ、クロロ、ヨードなどの適切に選択されたハロゲンである)を、適切に選択されたハロゲン化亜鉛、つまり式Zn(Ha12の化合物(式中、各Ha1はBr、Iなどの適切に選択されたハロゲンであり、好ましくはHa1ハロゲンの両方が同じである)又は式Zn(Ha12・Li(Ha1)のハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体、例えばZnB2/LiBrなどと反応させることによる。あるいは、当業者は、適切に選択されたスルホン化亜鉛をハロゲン化亜鉛の代わりとし、上記スキームEに概要を示すように反応させて、所望の式(X)の有機ハロゲン化物を得られることを認識するであろう。当業者は更に、上記スキームEで調製される有機亜鉛酸誘導体において、Znは負電荷を帯び、したがって有機亜鉛酸誘導体は、変数・Q5で示されるように、リチウム又はマグネシウムなどの好適な対イオンと存在することを認識するであろう。
【0174】
1
【0175】
【化52】

であり、Q2及びQ3が互いに独立して選択された非伝達性基、例えばアルキル、シクロアルキル、TMSCH2などある式(X)の混合有機亜鉛酸誘導体を、例えば、以下に概要を述べるようなスキームFによって調製できる。
【0176】
【化53】

より好ましくは、有機リチウム又は有機マグネシウム化合物(式中、Q4はブロモ、クロロ、ヨードなどの適切に選択されたハロゲンである)及び二置換亜鉛誘導体を反応させることによる。当業者は、上記スキームFで調製される有機亜鉛酸誘導体において、Znは負電荷を帯び、したがって有機亜鉛酸誘導体は、変数・Q5で示されるように、リチウム又はマグネシウムなどの好適な対イオンと存在することを認識するであろう。
【0177】
上記スキームB〜スキームFで反応する有機リチウム(Q1−Li)及び有機マグネシウム(Q1−Mg−Q4)化合物は、既知の化合物又は既知の方法で調製され得る化合物である。例えば、式Q1−Liの有機リチウム化合物を、Q1置換されたハロゲン化物(例えばBr、I)、硫化物、セレン化物、テルル化物、スタンナン、又はその他の前駆体を、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム溶液と、適切に選択された有機溶媒中でリチオ化することにより調製することができる。
【0178】
式Q1−Mg−Q4の有機マグネシウム化合物を、Q1−ハロゲン化物(例えばBr)を、一級、二級、三級環式又は非環式アルキルマグネシウムブロミド又はクロライドなどのハロゲン化アルキルマグネシウムと、好適に選択された有機溶媒中で反応させることにより、同様に調製することができる。あるいは、式Q1−Mg−Q4の有機マグネシウム化合物を、Q1−ハロゲン化物(例えばBr)を活性化マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
【0179】
当業者は、上記スキームBからスキームFに記載する反応において、式Mg(Q12のジ−オルガニルマグネシウム化合物を、式Q1−Mg−Q4の化合物の代わりとし、所望の式(X)の化合物を得られることを認識するであろう。式Mg(Q12のジ−オルガニルマグネシウム化合物は、以下のスキームGに示すようにシュレンク平衡によりグリニャール試薬のエーテル溶液中に存在する。
【0180】
【化54】

式中、Q6は適切に選択されたハロゲン、例えばブロモ、クロロ、ヨードなどであり、当業者により容易に認識されるものである。
【0181】
当業者は更に、式(Q13−MgLiのアリールマグネシアート誘導体は、上記スキームB〜Fに記載のプロセスで代わりに用いることができ、以下のスキームHに概要を述べるように、適切に置換されたマグネシアート誘導体から調製できることを認識するであろう。
【0182】
【化55】

より好ましくは、適切に置換されたQ1−Q4ハロゲン化アリール(式中、Q4はブロモ、クロロ、ヨードなどの適切に選択されたハロゲンである)の金属交換反応、つまりかかる化合物を1/3当量の適切に置換されたマグネシアート(式中、Q7、Q8、及びQ9は互いに独立して選択されたアルキル又はシクロアルキル(cyloalkyl)基である)と反応させることによる。
【0183】
更に別の例では、式(X)の二置換亜鉛誘導体
【0184】
【化56】

(式中、Q1及びQ2は同じであり、それぞれが
【0185】
【化57】

であり、Q3を欠いている)を、以下に概要を述べるようなスキームJに従って調製できる。
【0186】
【化58】

【0187】
これによると、式Q1−Ha2の適切に置換された有機−ハロゲン化物化合物(式中、Ha2は適切に選択されたハロゲン、例えばBr、Iなどであり、好ましくはIである)を、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に選択されたリチウムトリアルキルマグネサート、例えばリチウムジブチルヘキシルマグネサート、リチウムトリブチルマグネサート、リチウムトリヘキシルマグネサート(lithium trihexylamagensate)、リチウムヘキシルジ(sec−ブチル)マグネサートなど、好ましくはリチウムジブチルヘキシルマグネサートと、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒の混合物、例えば無水トルエン、無水n−ジブチルエーテル、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、トリフルオロトルエン(trifluorotoleune)、シクロペンチルメチルエーテルなどの中で反応させて、対応するリチウムトリ−置換マグネサートであって、好ましくは単離されていない化合物を得る。
【0188】
次に、リチウムトリ−置換マグネサートを、適切に選択されたハロゲン化亜鉛(式Zn(Ha12の化合物であって、式中、各Ha1は適切に選択されたハロゲン、例えばBr、Iなどである)又はハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体、例えばZnBr2・LiBrなど、又はハロゲン化亜鉛ジアミン複合体、例えば臭化亜鉛ビスピリジン複合体など、好ましくはハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体、より好ましくは、ZnBr2・LiBrと、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒混合物、例えば無水トルエン、無水n−ジブチルエーテル、無水シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒(sovent)又は溶媒混合物中で反応させて、対応する二置換亜鉛誘導体を得る。
【0189】
本発明の一実施形態では、好ましくは上記スキームJで概要が述べられるプロセスに従って調製される式(X)の二置換亜鉛誘導体は、式(X−P)の化合物である。
【0190】
【化59】

【0191】
本発明の別の実施形態では、好ましくは上記スキームJで概要が述べられるプロセスに従って調製される式(X)の二置換亜鉛誘導体は、式(X−S)の化合物、
【0192】
【化60】

及び式(X−K)の化合物からなる群から選択される式(X−P)の化合物である。
【0193】
【化61】

【0194】
式(X)の化合物などの有機亜鉛誘導体を調製する更なる方法は、例えば「Organic Reactions」,Volume 58,Edited by Larry E.Overman,et al.,2001,Published by John Wiley & Sons,Inc.(Chapter 2:Preparation and Application of Functionalized Organozinc Compounds,Knochel,P.,et al.pages 417〜490);MONGIN,F.,et al.,Tetrahedron Lett.,2005,pp 7989〜7992,Vol.46;及びKITAGAWA,K.,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2000,pp 2481〜2493,Vol.39などの有機化学の教科書に記載されるように、当該技術分野において既知である。
【0195】
一実施形態では、本発明は、以下のスキーム1に概要を述べるような式(I)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0196】
【化62】

【0197】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(V)の化合物(式中、LG1は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨードなど、好ましくはLG1はブロモ又はヨードである)を、適切に選択された有機−リチウム試薬、例えばトリメチルシリルメチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウムなど、好ましくはn−ヘキシルリチウム(ここで、有機−リチウム試薬は、約0.5〜約2.0モル当量の範囲の量で、好ましくは約1.0〜約1.2モル当量の範囲の量で好ましくは存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、2−メチル−THF、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)中で、好ましくは室温程度より低い温度で、より好ましくは約−78℃〜室温程度の範囲内の温度で反応させて、M1がリチウムである対応する式(VI)の化合物を得る。好ましくは、式(VI)の化合物は単離されていない。
【0198】
式(VI)の化合物を、適切に選択された亜鉛塩、例えば二臭化亜鉛(ZnBr2)、二ヨウ化亜鉛(ZnI2)、亜鉛ジトリフラートなど、好ましくはZnBr2、又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体、例えばピリジン臭化亜鉛複合体、N−メチルモルホリン臭化亜鉛複合体など(ここで、亜鉛塩又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体は、好ましくは約0.33〜約3.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.33〜約1.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.5モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼンなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で反応させて、M2が対応する亜鉛種である対応する式(VII)の化合物(例えば亜鉛塩がZnBr2のとき、式(VII)の化合物中のM2はZnBrであり、亜鉛塩がZnI2のとき、式(VII)の化合物中のM2はZnIであり、亜鉛塩が亜鉛ジトリフラートのとき、式(VII)の化合物中のM2は亜鉛トリフラートである)を得る。好ましくは、式(VII)の化合物は、単離されていない。
【0199】
好ましくは、式(VI)の化合物を、適切に選択されたアミン又はリチウム塩、例えば臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ピリジン、N−メチルモルホリン、2,6−ルチジン、TMEDAなどの存在下で亜鉛塩と反応させ、ここでアミン又はリチウム塩は、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で存在する。
【0200】
式(VII)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(VIII)の化合物(式中、LG2が適切に選択された脱離基、例えばブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくはブロモであり、各Zは独立して適切に選択された酸素保護基、例えばZは、ベンジル、ベンゾイル、ピバロイル、イソブチリル、p−メトキシ−ベンジルなどからなる群から選択されてよく、好ましくは各Z保護基は同じであり、より好ましくは各Zはピバロイルであり、ここで式(VIII)の化合物は、好ましくは約0.5〜約3.0モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲であり、より好ましくは約0.8〜約1.25モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲であり、より好ましくは約1.0〜約1.1モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、2−メチル−THF、ジヨードプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で、室温程度〜還流温度程度の範囲内の温度で、より好ましくは約60℃〜約95℃の範囲内の温度で反応させて、対応する式(IX)の化合物を得る。
【0201】
好ましくは、適切に選択された炭化水素溶媒、より好ましくは適切に選択された芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの中の溶液としての式(VIII)の化合物を、THF以外の適切に選択されたエーテル溶媒、例えばジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、2−メチル−THF、MTBE、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジ−n−ブチルエーテルなど、より好ましくはCPME又はジ−n−ブチルエーテル中の式(VII)の化合物の溶液に加える。好ましくは、最終溶媒混合物は、エーテル溶媒:炭化水素溶媒の体積比が約1:〜約1:3で存在する。
【0202】
あるいは、適切に置換された二置換亜鉛誘導体であり、
【0203】
【化63】

1及びQ2が同じであり、それぞれが
【0204】
【化64】

であり、Q3を欠いている式(X)の化合物(例えば、上記スキームJに概説されるプロセスに従って調製される)を、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(VIII)の化合物(式中、LG2は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくはブロモであり、各Zは独立して適切に選択された酸素保護基、例えばZはベンジル、ベンゾイル、ピバロイル、イソブチリル、p−メトキシ−ベンジルなどからなる群から選択されてよく、好ましくは各Z保護基は同じであり、より好ましくは各Zはピバロイルであり、ここで式(VIII)の化合物は、好ましくは約0.5〜約3.0モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で、より好ましくは約0.8〜約1.25モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で存在する)と、
トルエンなどの適切に選択された溶媒、又は適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、2−メチル−THF、ジヨードプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で、室温程度〜還流温度程度の範囲内の温度で、より好ましくは約60℃〜約100℃の範囲内の温度で反応させて、対応する式(IX)の化合物を得る。
【0205】
本発明の一実施形態では、式(X)の二置換亜鉛誘導体は、式(X−P)の化合物であり、
【0206】
【化65】

式中、Q1は本明細書で定義されるものであり、両Q1基は同じである。本発明の別の実施形態では、式(X)の二置換亜鉛誘導体は、式(X−S)の化合物、
【0207】
【化66】

及び式(X−K)の化合物
【0208】
【化67】

からなる群から選択される。
【0209】
式(IX)の化合物を既知の方法に従って脱保護して、対応する式(I)の化合物を得る。例えば、各Zがピバロイルであるとき、式(IX)の化合物を、適切に選択されたアルコキシド又はヒドロキシド塩基、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヒドロキシドなどと、適切に選択された溶媒、例えばメタノール、エタノールなどの中で反応させることにより脱保護して、対応する式(I)の化合物を得ることができる。
【0210】
当業者は、特定の保護基Zに応じて、Pd/C、Pd(OH)2、PdCl2、Pd(OAc)2/Et3SiH、RaNi、適切に選択された酸、適切に選択された塩基、フッ化物などが挙げられるがこれらに限定されない他の試薬を脱保護工程で使用できることを認識するであろう。
【0211】
式(I)の化合物は、既知の方法、例えば抽出法、濾過法、又はカラムクロマトグラフィーにより単離されるのが好ましい。式(I)の化合物は更に、既知の方法、例えば再結晶法により精製されるのが好ましい。
【0212】
別の実施形態では、本発明は、以下のスキーム2に概要を述べる式(I−S)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0213】
【化68】

【0214】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(V−S)の化合物(式中、LG1は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨードなど、好ましくはLG1はブロモ又はヨードである)を、適切に選択された有機−リチウム試薬、例えばトリメチルシリルメチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウムなど、好ましくはn−ヘキシルリチウム(ここで、有機−リチウム試薬は、約0.5〜約2.0モル当量の範囲の量で、好ましくは約1.0〜約1.2モル当量の範囲の量で好ましくは存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)中で、好ましくは室温程度より低い温度で、より好ましくは約−78℃〜室温程度の範囲内の温度で反応させて、M1がリチウムである対応する式(VI−S)の化合物を得る。好ましくは、式(VI−S)の化合物は単離されていない。
【0215】
式(VI−S)の化合物を、適切に選択された亜鉛塩、例えば二臭化亜鉛(ZnBr2)、二ヨウ化亜鉛(ZnI2)、亜鉛ジトリフラートなど、好ましくはZnBr2、又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体、例えばピリジン臭化亜鉛複合体、N−メチルモルホリン臭化亜鉛複合体など(ここで、亜鉛塩又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体は、好ましくは約0.33〜約3.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.33〜約1.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.5モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼンなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で反応させて、M2が対応する亜鉛種である対応する式(VII)の化合物(例えば亜鉛塩がZnBr2のとき、式(VII−S)の化合物中のM2はZnBrであり、亜鉛塩がZnI2のとき、式(VII−S)の化合物中のM2はZnIであり、亜鉛塩が亜鉛ジトリフラートのとき、式(VII−S)の化合物中のM2は亜鉛トリフラートである)を得る。好ましくは、式(VII−S)の化合物は単離されていない。
【0216】
好ましくは、式(VI−S)の化合物を、適切に選択されたアミン又はリチウム塩、例えば臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ピリジン、N−メチルモルホリン、2,6−ルチジン、TMEDAなどの存在下で亜鉛塩と反応させ、ここでアミン又はリチウム塩は、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で存在する。
【0217】
式(VII−S)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(VIII−S)の化合物(式中、LG2は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくはブロモであり、各Zは独立して適切に選択された酸素保護基、例えばZは、ベンジル、ベンゾイル、ピバロイル、イソブチリル、p−メトキシ−ベンジルなどからなる群から選択され、好ましくは各Z保護基は同じであり、より好ましくは各Zはピバロイルであり、ここで式(VIII−S)の化合物は、好ましくは約0.5〜約3.0モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で、より好ましくは約0.8〜約1.25モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で、より好ましくは約1.0〜約1.1モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、2−Me−THF、シクロペンチルメチルエーテル、ジヨードプロピルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で、室温程度〜還流温度程度の範囲内の温度で、より好ましくは約60℃〜約95℃の範囲内の温度で反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を得る。
【0218】
好ましくは、適切に選択された炭化水素溶媒、より好ましくは適切に選択された芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの中の溶液としての式(VIII−S)の化合物を、THF以外の適切に選択されたエーテル溶媒、例えばジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、2−メチル−THF、MTBE、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジ−n−ブチルエーテルなど、より好ましくはCPME又はジ−n−ブチルエーテル中の式(VII)の化合物の溶液に加える。好ましくは、最終溶媒混合物は、エーテル溶媒:炭化水素溶媒の体積比が約1:1〜約1:3で存在する。
【0219】
式(IX−S)の化合物を既知の方法に従って脱保護して、対応する式(I−S)の化合物を得る。例えば、各Zがピバロイルのとき、式(IX−S)の化合物を、適切に選択されたアルコキシド又はヒドロキシド塩基、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヒドロキシドなどと、適切に選択された溶媒、例えばメタノール、エタノールなどの中で反応させることにより脱保護して、対応する式(I−S)の化合物を得ることができる。
【0220】
当業者は、特定の保護基Zに応じて、Pd/C、Pd(OH)2、PdCl2、Pd(OAc)2/Et3SiH、RaNi、適切に選択された酸、適切に選択された塩基、フッ化物などが挙げられるがこれらに限定されない他の試薬を、脱保護工程で使用できることを認識するであろう。
【0221】
式(I−S)の化合物は、既知の方法、例えば抽出法、濾過法、又はカラムクロマトグラフィーにより単離されるのが好ましい。式(I)の化合物は更に、既知の方法、例えば再結晶法により精製されるのが好ましい。
【0222】
別の実施形態では、本発明は、以下のスキーム3に概要を述べる式(I−K)の化合物の調製プロセスを目的とする。
【0223】
【化69】

【0224】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(V−K)の化合物(式中、LG1は適切に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨードなど、好ましくはLG1はブロモ又はヨードである)を、適切に選択された有機−リチウム試薬、例えばトリメチルシリルメチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウムなど、好ましくはn−ヘキシルリチウム(ここで、有機−リチウム試薬は、約0.5〜約2.0モル当量の範囲の量で、好ましくは約1.0〜約1.2モル当量の範囲の量で好ましくは存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)中で、好ましくは室温程度より低い温度で、より好ましくは約−78℃〜室温程度の範囲内の温度で反応させて、M1がリチウムである対応する式(VI−K)の化合物を得る。好ましくは、式(VI)の化合物は単離されていない。
【0225】
式(VI−K)の化合物を、適切に選択された亜鉛塩、例えば二臭化亜鉛(ZnBr2)、二ヨウ化亜鉛(ZnI2)、亜鉛ジトリフラートなど、好ましくはZnBr2、又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体、例えばピリジン臭化亜鉛複合体、N−メチルモルホリン臭化亜鉛複合体など(ここで、亜鉛塩又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体は、好ましくは約0.33〜約3.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.33〜約1.0モル当量の範囲の量で、より好ましくは約0.5モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼンなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で反応させて、M2が対応する亜鉛種である対応する式(VII−K)の化合物(例えば亜鉛塩がZnBr2のとき、式(VII−K)の化合物中のM2はZnBrであり、亜鉛塩がZnI2のとき、式(VII−K)の化合物中のM2はZnIであり、亜鉛塩が亜鉛ジトリフラートのとき、式(VII−K)の化合物中のM2は亜鉛トリフラートである)を得る。好ましくは、式(VII−K)の化合物は単離されていない。
【0226】
好ましくは、式(VI−K)の化合物を、適切に選択されたアミン又はリチウム塩、例えば臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ピリジン、N−メチルモルホリン、2,6−ルチジン、TMEDAなどの存在下で亜鉛塩と反応させ、ここでアミン又はリチウム塩は、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で存在する。
【0227】
式(VII−K)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製される化合物である適切に置換された式(VIII−S)の化合物(式中、LG2が適切に選択された脱離基、例えばブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくはブロモであり、各Zは独立して適切に選択された酸素保護基、例えばZは、ベンジル、ベンゾイル、ピバロイル、イソブチリル、p−メトキシ−ベンジルなどからなる群から選択されてよく、好ましくは各Z保護基は同じであり、より好ましくは各Zはピバロイルであり、ここで式(VIII)の化合物は、好ましくは約0.5〜約3.0モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で、より好ましくは約0.8〜約1.25モル当量の範囲の量、又はこの中の任意の量若しくは範囲で、より好ましくは約1.0〜約1.1モル当量の量で存在する)と、
適切に選択されたエーテル溶媒及び適切に選択された炭化水素溶媒の混合物(ここで、エーテル溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、2−Me−THF、シクロペンチルメチルエーテルなど、好ましくはジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、炭化水素溶媒は、例えばトルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなど、好ましくはトルエンである)、好ましくは先の反応工程で用いたものと同じ溶媒混合物中で、室温程度〜還流温度程度の範囲内の温度で、より好ましくは約60℃〜約95℃の範囲内の温度で反応させて、対応する式(IX−K)の化合物を得る。
【0228】
好ましくは、適切に選択された炭化水素溶媒、より好ましくは適切に選択された芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの中の溶液としての式(VIII−K)の化合物を、THF以外の適切に選択されたエーテル溶媒、例えばジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、2−メチル−THF、MTBE、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジ−n−ブチルエーテルなど、より好ましくはCPME又はジ−n−ブチルエーテル中の式(VII−S)の化合物の溶液に加える。好ましくは、最終溶媒混合物は、エーテル溶媒:炭化水素溶媒の体積比が約1:1〜約1:3で存在する。
【0229】
式(IX−K)の化合物を既知の方法に従って脱保護して、対応する式(I−K)の化合物を得る。例えば、各Zがピバロイルであるとき、式(IX−K)の化合物を、適切に選択されたアルコキシド又はヒドロキシド塩基、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムヒドロキシドなどと、適切に選択された溶媒、例えばメタノール、エタノールなどの中で反応させることにより脱保護して、対応する式(I−K)の化合物を得ることができる。
【0230】
当業者は、特定の保護基Zに応じて、Pd/C、Pd(OH)2、PdCl2、Pd(OAc)2/Et3SiH、RaNi、適切に選択された酸、適切に選択された塩基、フッ化物などが挙げられるがこれらに限定されない他の試薬を、脱保護工程で使用できることを認識するであろう。
【0231】
式(I−K)の化合物は、既知の方法、例えば抽出法、濾過法、又はカラムクロマトグラフィーにより単離されるのが好ましい。式(I−K)の化合物は更に、既知の方法、例えば再結晶法により精製されるのが好ましい。
【0232】
本発明は、薬剤として許容される担体とともに、本明細書に記載の任意のプロセスに従って調製された化合物を含有する、医薬組成物を更に含む。有効成分として本明細書に記載する本発明の化合物の1つ以上の化合物を含有する製薬学的組成物は、化合物(1つ又は複数)を従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合することにより調製することができる。担体は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとることができる。したがって、縣濁剤、エリキシル剤及び溶液のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤として、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤などが挙げられ、粉末、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤として、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。固体経口製剤は、吸収の主要部位を調節するために、糖のような物質でコーティングされるか、又は腸溶コーティングされてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加してもよい。注入用の縣濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤とともに用いて製造してもよい。
【0233】
本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として本発明の1つ以上の化合物を、従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合するが、この担体は、投与に所望される製剤の形態、例えば経口若しくは筋肉内のような非経口により、多種多様な形態をとることができる。組成物を経口剤形に調製する際、任意の通常の製薬媒質を用いることができる。したがって、例えば、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤として、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤及び同様物が挙げられ、粉末、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤として、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬量単位形であり、その場合、固体医薬担体が明らかに使用される。所望により、錠剤には、標準的な技術により糖衣をコーティングするか又は腸溶コーティングすることができる。非経口のための担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでもよい。注入用の縣濁液も調製することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。本明細書の医薬組成物は、投与量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末、注射液、茶さじ一杯等当たり、上述した有効投薬量を送達するのに必要な活性成分の量を含有する。本明細書の医薬組成物は、投薬量単位、例えば錠剤、カプセル剤、粉末、注射液、坐剤、茶さじ一杯等など当たり約0.01〜約1000mg又はこの中の任意の量若しくは範囲を含有し得、約0.01〜約300mg/kg/日、又はこの中の任意の量若しくは範囲、好ましくは約0.1〜約50mg/kg/日、又はこの中の任意の量若しくは範囲の投薬量で与えてもよい。しかしながら、投与量は、患者の要求量、処置されている病状の重症度、及び使用される化合物に応じて変動し得る。連日投与又はその後の周期的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。
【0234】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは送気による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末、顆粒、無菌非経口溶液若しくは懸濁液、定量エアゾル若しくは液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬などの形態の単位剤である。あるいは、組成物は、週に1回若しくは月に1回の投与に好適な形態で与えることができ、例えば、デカン酸塩のような、活性化合物の不溶性の塩を筋肉内注射用のデポ製剤を提供するように適応させることができる。錠剤のような固体組成物の調製に関しては、主要活性成分を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴムのような従来の錠剤化成分、及びその他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物の均質混合物又はその製薬学的に許容され得る塩を含有する固体予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均質と呼ぶ場合、組成物を錠剤、丸剤及びカプセル剤のような同等に有効な剤形に容易に再分割することができるように、活性成分が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。この固体予備処方組成物は、次に0.01〜約1000mg(又はその中の任意の量若しくは範囲)の本発明の活性成分を含有する、上述したタイプの単位剤形に再分割される。新規組成物の錠剤又は丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングするか又はそれ以外の方法で配合することができる。例えば、錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での分解を阻止し、かつ内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる、腸溶性の層により分離することができる。様々な物質をそのような腸溶性の層又はコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が挙げられる。
【0235】
経口投与又は注入投与用に本発明の新規組成物を組み込み得る液体形態としては、水性溶液、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油で香味付けされた乳濁液、並びにエリキシル剤及び同様の製薬賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤の好適な分散剤若しくは懸濁化剤には、合成及び天然のゴム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0236】
本発明に記載される処置方法はまた、本明細書に定義される任意の化合物、及び薬剤として許容される担体を含む医薬組成物を用いて実施してもよい。医薬組成物は、約0.01mg〜約1000mgの又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物、好ましくは約10〜500mgの又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物を含有してよく、選択される投与様式に好適な任意の形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要かつ不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物には、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び粉末などの固体形態、並びに溶液、シロップ剤、エリキシル剤、乳濁液、及び縣濁剤などの液体形態が挙げられる。非経口投与用に有用な形態には、無菌溶液、乳濁液及び懸濁液が挙げられる。
【0237】
有利なことに、本発明の化合物は1日に1回の用量で投与することができ、又は1日の全投薬用量を1日あたり2、3、又は4回の用量に分割して投与してもよい。更に、本発明の化合物は、当業者に周知の、適切な鼻内賦形剤の局所的使用を介する、又は経皮的な皮膚パッチを介する経鼻形態で投与することができる。経皮的送達系の形態で投与するためには、投薬はもちろん投薬計画を通して断続的というよりむしろ連続的である。
【0238】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与には、活性薬剤成分をエタノール、グリセロール、水などのような経口用の無毒の薬剤として許容される不活性担体と合わせることができる。更に、所望若しくは必要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤も、混合物に組み込むことができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ−ラクトースのような天然の糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカント、又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
液体は、合成及び天然のガム(例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロースなど)などの適当に風味を加えた懸濁剤若しくは分散剤として形成する。非経口投与には、滅菌懸濁剤及び溶液が望ましい。静脈内投与が所望される場合、適切な防腐剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0240】
本発明の医薬組成物を調製するには、活性成分として本明細書に記載の任意のプロセスに従って調製される化合物を、従来の医薬配合技術に従って、医薬担体とともにしっかりと混合するが、その担体は、投与(例えば、経口又は非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。薬剤として許容される好適な担体は、当技術分野で周知である。これらの薬剤として許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)及び英国薬剤師会(Pharmaceutical Society of Great Britain)により出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出すことができる。
【0241】
医薬組成物を配合する方法は、例えば、「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」(Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1〜3,Liebermanら編);Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Volumes 1〜2,Avisら;及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Volumes 1〜2,Liebermanら編;Marcel Dekker,Inc出版などの多数の出版物に記載されている。
【0242】
本発明の化合物は、本明細書に記載した疾病の処置が必要な際にはいつでも、任意の前述の組成物で、当技術分野にて確立された投与計画に従って投与することができる。
【0243】
投与する最適用量は、当業者により容易に決定することが可能であり、使用される特定の化合物、投与方法、調製物の強度、投与方法、及び疾患の進行状態によって変化し得る。更に、患者の年齢、体重、食事内容、及び投与時間などの治療される特定の患者に関連した因子によって、用量を調整する必要が生じる。
【0244】
当業者は、適切な、既知であり一般的に受け入れられている細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロ試験の両方で、上記障害を処置又は予防するための試験化合物の能力が予測されることを認識するであろう。
【0245】
当業者は更に、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している罹病者を対象としたヒト初回投与(first-in-human)、用量範囲及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従って完了できることを認識するであろう。
【0246】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、添付する特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定することを意図せず、限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残渣として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残渣」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム、シロップなどを含み得ることを理解するであろう。
【0247】
本明細書の以下の実施例12〜16では、表題の化合物の合成の処方/手順について記載する。かかる化合物の1つ以上のバッチを、これら実施例に記載される処方/手順に従って調製した。
【実施例】
【0248】
(実施例1)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0249】
【化70】

【0250】
乾燥しアルゴン雰囲気下の、機械的攪拌器を備えた250mLのRBF中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(22.20ミリモル、9.06g)を、乾燥かつ脱気したトルエン(37.00mL、32.23g)/ジエチルエーテル(37.00mL、26.24g)の混合物中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(イソプロパノール+ドライアイス浴)した後、(トリメチルシリル)メチルリチウム(ペンタン中1M、37.00mL)を不均質混合物に滴下添加した。添加終了30分後、サンプリングして転換を確認し、必要に応じて、追加の(トリメチルシリル)メチルリチウムを添加した。15分後、二臭化亜鉛(22.20ミリモル、5.00g)(Aldrichの固体特級乾燥品)を一度に加え、得られた混合物を25℃まで1時間かけて温めた。室温での1時間の攪拌後、ジエチルエーテル及びペンタンを減圧下(53.33kPa(400mmHg))15℃で蒸発させた。最後に、脱気したトルエン(18.50mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(10.72g、18.50ミリモル)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を75℃で21時間加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、100mL)及びエチルアセテート(150mL)を添加した。10分間の攪拌後、2つの相を分離し、有機層を水(100mL)で2回、食塩水(100mL)で1回洗浄した。この後、硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得た。この油をMPLC(カートリッジ:330gのSiO2、溶媒系:95/5〜85/15のヘプタン/AcOEt)で精製して、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として得た。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0251】
(実施例2)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0252】
【化71】

【0253】
乾燥しアルゴン雰囲気下の25mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(1.99ミリモル、813.71mg)を、乾燥シクロペンチルメチルエーテル(CPME)(7.2mL)中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(アセトニトリル+ドライアイス)した後、n−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、966.31μL)を混合物に滴下添加した。15分後、二臭化亜鉛(996.50μL、CPME中2M溶液)を加え、得られた混合物を15℃まで1.5時間かけて温めた。次に、脱気したCPME(1.81mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1.05g、1.81ミリモル)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を85℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、2つの相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0254】
(実施例3)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0255】
【化72】

【0256】
乾燥しアルゴン雰囲気下の25mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(1.90ミリモル、775mg)を、トルエン(3.45mL)/ジエチルエーテル(3.45mL)中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(アセトニトリル+ドライアイス)した後、n−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、920.29μL)を混合物に滴下添加した。15分後、二臭化亜鉛(2.07ミリモル、466mg)を一度に加え、得られた混合物を15℃まで1.5時間かけて温めた。次に、得られた混合物を0℃まで冷却し、(トリメチルシリル)メチルリチウム(ペンタン中1M、1.9mL)を滴下添加した。1時間後、ジエチルエーテル及びヘキサンを減圧下(53.33kPa(400mmHg))15℃で蒸発させた。次に、脱気したトルエン(1.73mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1.73ミリモル、1.00g)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を85℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、2つの相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0257】
(実施例4)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0258】
【化73】

【0259】
乾燥しアルゴン雰囲気下の25mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(1.58ミリモル、643mg)を、トルエン(2.86mL)/2−メチルテトラヒドロフラン(2.86mL)中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(アセトニトリル+ドライアイス)した後、n−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、764μL)を混合物に滴下添加した。15分後、2−メチルテトラヒドロフラン(859μL)に溶解した二臭化亜鉛(1.72ミリモル、387mg)を一度に加え、得られた混合物を15℃まで1.5時間かけて温めた。次に、脱気したトルエン(1.43mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1.43ミリモル、830mg)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を85℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0260】
(実施例5)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0261】
【化74】

【0262】
乾燥しアルゴン雰囲気下の25mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(1.90ミリモル、775mg)を、トルエン(3.45mL)/ジエチルエーテル(3.45mL)中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(アセトニトリル+ドライアイス)した後、n−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、920μL)を混合物に滴下添加した。15分後、二臭化亜鉛(2.07ミリモル、466mg)を一度に加え、得られた混合物を15℃まで1.5時間かけて温めた。1時間後、ジエチルエーテル及びヘキサンを減圧下(53.33kPa(400mmHg))15℃で蒸発させた。次に、脱気したトルエン(1.73mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1.73ミリモル、1.00g)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を50℃で2日間加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0263】
(実施例6)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0264】
【化75】

【0265】
乾燥しアルゴン雰囲気下の25mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(2.60ミリモル、1.06g)を、トルエン(4.73mL)/メトキシ−シクロペンタン(4.73mL)中に室温で溶解した。激しく攪拌しながら−50℃まで冷却(アセトニトリル+ドライアイス)した後、n−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、1.26mL)を混合物に滴下添加した。15分後、乾燥メトキシ−シクロペンタン(1.40mL)に溶解した二臭化亜鉛(2.84ミリモル、639mg)を滴下添加し、得られた混合物を15℃まで1時間かけて温めた。次に、脱気したトルエン(2.36mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(2.36ミリモル、1.37g)を、10分間かけて滴下添加し、得られた混合物を75℃で2日間加熱した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0266】
(実施例7)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0267】
【化76】

【0268】
室温でアルゴン雰囲気下の50mLシュレンク反応器中で、2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(2.45ミリモル、1.00g)をn−ブチルエーテル(980μL)/トルエン(8.8mL)中に溶解した。次に温度を−60℃まで低下させた。N−ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、1.20mL)を滴下添加した。2時間後、二臭化亜鉛(607mg)を−60℃で一度に加えた。得られた混合物を、10℃まで2時間かけてゆっくりと温めた。10℃で、トルエン(2.69mL)に溶解したα−D−グルコピラノシルブロミド、2,3,4,6−テトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(2.69ミリモル、1.56g)を1分間かけて加え、温度を50℃まで一晩上昇させた。混合物の温度を1時間60℃まで上昇させ、最終的には2日間70℃とした。室温まで冷却した後、塩化アンモニウム水溶液(1M、10mL)及びエチルアセテート(15mL)を添加した。10分間の攪拌後、相を分離し、有機層を水(10mL)で2回、食塩水(10mL)で1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて透明な褐色油を得、表題の化合物である(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)を単一の異性体として含有することを、定量的HPLCで決定した。1H NMRスペクトルは、事前に測定した表題の化合物に対する1H NMRスペクトルと一致した。
【0269】
(実施例8)
(2R,3R,4S,5R,6R)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2,3,4,5−テトライルテトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0270】
【化77】

【0271】
D−グルコース(25.0g、0.139モル)を無水ジクロロメタン(416mL)に窒素下で懸濁し、得られた混合物を5分間室温で攪拌し、続いて0℃まで冷却して10分間攪拌した。次に、得られた混合物に、TEA(154.7mL)を約10〜15分間かけて攪拌しながら滴下添加し、続いて、DMAP(1.25g、0.0102モル)を一度に加えた。得られた混合物に、ジクロロメタン(83mL)で希釈したピバロイルクロライド(136mL)を、0℃で30分間かけて加えた。氷浴を外し、得られた混合物を室温で20時間攪拌した。続いて、得られた混合物をジクロロメタン(500mL)及び塩酸(1.5M、375mL)に注ぎ、得られた相を分離した。有機層を重炭酸ナトリウム溶液(500mLのDI水中550g、1N)で洗浄し、次いで少量に濃縮した。得られた残渣にエタノール(95%、240mL)を加え、この混合物を還流温度まで加熱して均質な混合物を得た。得られた混合物を0℃まで冷却して白色結晶の形成をもたらし、これを濾過し、室温で一晩減圧下にて乾燥して、表題の化合物を得た。
【0272】
(実施例9)
(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0273】
【化78】

【0274】
(2R,3R,4S,5R,6R)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2,3,4,5−テトライルテトラキス(2,2−ジメチルプロパノアート)(10.0g、16.65ミリモル)を、窒素下で無水ジクロロメタン(100mL)に溶解し、5分間室温で攪拌した。次いで、この混合物に臭化亜鉛(0.76g、3.33ミリモル)を加え、得られた黄色溶液を5分間室温で攪拌した。次にこの混合物に、ジクロロメタン(10mL)で希釈したTMSブロミド(10.2g、66.58ミリモル)を約15〜20分間かけて加え、得られた混合物を室温で24時間攪拌した。得られた混合物を濾過して固体を除去し、濾液を0℃まで冷却した。次に、冷却した濾液に重炭酸ナトリウム溶液(120mLの水中に132g)を添加し、最終pHを7〜8の範囲内にした。得られた相を分離し、有機層を水(120mL)で洗浄し、組み合わされた水性層を少量に濃縮した。得られた残渣にIPA(39.3g)を加え、この混合物を加熱して溶解した。得られた混合物を0℃まで冷却して白色結晶の形成をもたらし、これを濾過し、室温で一晩減圧下乾燥して、表題の化合物を得た。
【0275】
(実施例10)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0276】
【化79】

【0277】
工程A:アリールリチウム混合物の調製
2−(4−フルオロフェニル)−5−(5−ヨード−2−メチルベンジル)チオフェン(12.81g、31.37ミリモル)を、アルゴン雰囲気の乾燥したシュレンク管に入れた。無水トルエン(15.7mL)及び無水CPME(9.4mL)を攪拌せずに注射器で加え、得られた混合物を−45℃まで冷却してから攪拌した。次に、得られた冷却混合物に、n−ヘキシルリチウム(14.3g、32.94ミリモル)をヘキサン(14.3mL)中2.5M溶液として、約5〜10分間かけて加え、この混合物を−25℃まで1時間かけて温めた。
【0278】
工程B:表題の化合物の調製
シュレンク管内の無水CPME(18.6mL)において、臭化亜鉛(3.88g、17.25ミリモル)及び臭化リチウム(2.72g、34.50ミリモル)を、減圧下200℃で乾燥した。次に、−25℃にてこの混合物をカニューレでアリールリチウム混合物(上記工程Aに記載するように調製)に添加し、得られた混合物を0℃まで1時間かけて温めた。続いて、得られた混合物に、無水トルエン(31.4mL)中(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(20.0g、34.50ミリモル)を添加した。氷浴を外し、得られた混合物を室温で30分間攪拌し、次に65℃まで48時間加熱した。得られた懸濁液をガラスフリットで濾過し、トルエン(20mL)ですすぎ、濾液を1Nの塩化アンモニウム溶液(100mL)及び水(100mL)で洗浄した。トルエンを蒸留して少量にした。メタノール(157mL)を得られた残渣に加え、この混合物を0℃まで冷却して結晶の形成をもたらし、これを濾過し、40℃で一晩減圧下乾燥して、表題の化合物を得た。
【0279】
(実施例11)
(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール
【0280】
【化80】

【0281】
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(3−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチル)−4−メチルフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(39.0g、50.0ミリモル)をメタノール(150mL)に室温で懸濁した。ナトリウムメトキシド溶液(9.3mL)を加え、得られた懸濁液を室温で攪拌し、60℃まで16時間加熱し、その後冷却した。次に、得られた黄色溶液に、水(50mL)及び表題の化合物に対する前駆体(seeds)を加えた。更なる水(50mL)を添加し、この混合物を0℃で1時間攪拌して沈殿物の形成をもたらし、これを濾過により回収して表題の化合物を得た。
【0282】
(実施例12)
(2R,3R,4R,5S,6S)−2−(ピバロイルオキシメチル)−6−p−トリルテトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0283】
【化81】

【0284】
アルゴン雰囲気下の10mLシュレンク管内で、リチウムジブチルヘキシルマグネサート溶液(0.4当量、0.35ミリモル)を、無水トルエン(0.43mL)及び無水n−ジブチルエーテル(0.26mL)に溶解した4−ヨードトルエン(iodotoulene)(230mg、1.04ミリモル)の混合物に、0℃で滴下添加した。ハロゲン−金属交換の完了(GC又はHPLCで決定する)後、ジブチルエーテル中ZnBr2・LiBr溶液(34w/w%、0.6当量、0.52ミリモル)を滴下添加した。1時間後、無水トルエン(0.86mL)に溶解した(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1当量、500mg、0.86ミリモル)を、有機亜鉛混合物に添加した。得られた混合物を、転換が完了する(GCで決定する)まで100℃に加熱した。室温まで冷却した後、得られた混合物を1Mの水性HCl(10mL)で急冷した。次に2層を分離した。水性層をエチルアセテート(10mL)で抽出した。組み合わされた有機層を水(10mL)で洗浄し、次に食塩水(10mL)で洗浄した。充填カラムを介して有機層を乾燥し、減圧下ロータリーエバポレーター(rotavaporator)内で濃縮した。得られた混合物をシリカゲルにおけるクロマトグラフィーにより精製して、残渣として表題の化合物を得た。
【0285】
(実施例13)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(4−メトキシフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0286】
【化82】

【0287】
アルゴン雰囲気下の10mLシュレンク管内で、リチウムジブチルヘキシルマグネサート溶液(0.4当量、0.35ミリモル)を、無水トルエン(0.43mL)及び無水n−ジブチルエーテル(0.26mL)に溶解した4−ヨードアニソール(250mg、1.04ミリモル)の混合物に、0℃で滴下添加した。ハロゲン−金属交換の完了後、ジブチルエーテル中ZnBr2・LiBr溶液(34w/w%、0.6当量、0.52ミリモル)を滴下添加した。1時間後、無水トルエン(0.86mL)に溶解した(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1当量、500mg、0.86ミリモル)を、有機亜鉛混合物に添加した。得られた混合物を、転換が完了する(GCで決定する)まで100℃に加熱した。室温まで冷却した後、得られた混合物を1Mの水性HCl(10mL)で急冷した。次に2層を分離した。水性層をエチルアセテート(10mL)で抽出した。組み合わされた有機層を水(10mL)で洗浄し、次に食塩水(10mL)で洗浄した。充填カラムを介して有機層を乾燥し、減圧下ロータリーエバポレーター(rotavaporator)内で濃縮した。得られた混合物を結晶化により精製して、残渣として表題の化合物を得た。
【0288】
(実施例14)
(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(2,6−ジメトキシフェニル)−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート
【0289】
【化83】

【0290】
アルゴン雰囲気下の10mLシュレンク管内で、sec−ブチルリチウム溶液(1.2当量、4.14ミリモル)を、無水トルエン(1.72mL)及び無水n−ジブチルエーテル(1.04mL)に溶解した1,3−ジメトキシベンゼン(0.54mL、4.14ミリモル)の混合物に、0℃で滴下添加した。ハロゲン−金属交換の完了後、ジブチルエーテル中ZnBr2・LiBr溶液(34w/w%、0.6当量、2.07ミリモル)を滴下添加した。1時間後、無水トルエン(3.44mL)に溶解した(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1当量、2000mg、3.45ミリモル)を、有機亜鉛混合物に添加した。得られた混合物を、転換が完了する(GCで決定する)まで100℃に加熱した。室温まで冷却した後、得られた混合物を1Mの水性HCl(40mL)で急冷した。次に2層を分離した。水性層をエチルアセテート(40mL)で抽出した。組み合わされた有機層を水(40mL)で洗浄し、次に食塩水(40mL)で洗浄した。充填カラムを介して有機層を乾燥し、減圧下ロータリーエバポレーター(rotavaporator)内で濃縮した。得られた混合物をシリカゲルにおけるクロマトグラフィーにより精製し、残渣として表題の化合物を得た。
【0291】
(実施例15)
(2R,3R,4R,5S,6S)−2−(ピバロイルオキシメチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)
【0292】
【化84】

【0293】
アルゴン雰囲気下の10mLシュレンク管内で、リチウムジブチルヘキシルマグネサート溶液(0.4当量、0.35ミリモル)を、無水トルエン(0.43mL)及び無水n−ジブチルエーテル(0.26mL)に溶解した4−ヨードベンゾトリフルオリド(0.15mL、1.04ミリモル)の混合物に、−50℃で滴下添加した。ハロゲン−金属交換の完了後、ジブチルエーテル中ZnBr2・LiBr溶液(34w/w%、0.6当量、0.52ミリモル)を滴下添加した。1時間後、無水トルエン(0.86mL)に溶解した(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1当量、500mg、0.86ミリモル)を、有機亜鉛混合物に添加した。得られた混合物を、転換が完了する(GCで決定する)まで100℃に加熱した。室温まで冷却した後、得られた混合物を1Mの水性HCl(10mL)で急冷した。次に2層を分離した。水性層をエチルアセテート(10mL)で抽出した。組み合わされた有機層を水(10mL)で洗浄し、次に食塩水(10mL)で洗浄した。充填カラムを介して有機層を乾燥し、減圧下ロータリーエバポレーター(rotavaporator)内で濃縮した。得られた混合物を逆相(Kromasil C18)の精製により精製して、残渣として表題の化合物を得た。
【0294】
(実施例16)
(2R,3R,4S,5R,6R)−2−(ピバロイルオキシメチル)−6−(チオフェン−2−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジ−メチルプロパノアート)
【0295】
【化85】

【0296】
アルゴン雰囲気下の10mLシュレンク管内で、リチウムジブチルヘキシルマグネサート溶液(0.4当量、0.35ミリモル)を、無水トルエン(0.43mL)及び無水n−ジブチルエーテル(0.26mL)に溶解した2−ヨードチオフェン(iodothiphene)(0.115mL、1.04ミリモル)の混合物に、0℃で滴下添加した。ハロゲン−金属交換の完了後、ジブチルエーテル中ZnBr2・LiBr溶液(34w/w%、0.6当量、0.52ミリモル)を滴下添加した。1時間後、無水トルエン(0.86mL)に溶解した(2R,3R,4S,5R,6R)−2−ブロモ−6−(ピバロイルオキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリス(2,2−ジメチルプロパノアート)(1当量、500mg、0.86ミリモル)を、有機亜鉛混合物に添加した。得られた混合物を、転換が完了する(GCで制御)まで100℃に加熱した。室温まで冷却した後、得られた混合物を1Mの水性HCl(10mL)で急冷した。次に2層を分離した。水性層をエチルアセテート(10mL)で抽出した。組み合わされた有機層を水(10mL)で洗浄し、次に食塩水(10mL)で洗浄した。充填カラムを介して有機層を乾燥し、減圧下ロータリーエバポレーター(rotavaporator)内で濃縮した。得られた混合物を逆相(Kromasil C18)の精製により精製して、残渣として表題の化合物を得た。
【0297】
(実施例17)
固形経口製剤−予想例
経口組成物の具体的な実施形態として、上記実施例11で調製した化合物100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合して、580〜590mgの合計量にし、サイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填した。
【0298】
前述の明細書は、本発明の原理を教示するが、実施例は説明のために提供され、本発明の実施は、以下の請求項及びそれらと同等なものの範囲内にある、通常の変形形態、適応及び/又は変更を包含することが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、環A及び環Bは以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つであり、
(1)環Aは場合により置換されている不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されているベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、又は環Bは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは該縮合複素二環の複素環に結合する;あるいは
(3)環Aは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、式中、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも該縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;
Xは炭素原子であり、
Yは−(CH2n−であり、ここで、nは1又は2であり、
ただし環AにおいてXが不飽和結合の一部である化合物、
又は薬剤として許容される塩、若しくはそれらの溶媒和物の調製プロセスであって、
【化2】

式(VII)の化合物であって、式中、M2が亜鉛種である化合物を、式(VIII)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2が脱離基である化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX)の化合物を生じさせる工程と、
【化3】

式(IX)の化合物を脱保護して、対応する式(I)の化合物を生じさせる工程と、
を含むプロセス。
【請求項2】
【化4】

式(V)の化合物であって、式中、LG1が脱離基である化合物を、有機−リチウム試薬と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(VI)の化合物であって、M1がリチウムである化合物を生じさせる工程と、
【化5】

式(VI)の化合物を、亜鉛塩又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(VII)の化合物を生じさせる工程と、
を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
2がZnBrであり、Zがピバロイルであり、LG2がブロモである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記式(VIII)の化合物が、約1.0〜約1.1モル当量の範囲の量で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記エーテル溶媒がジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、前記炭化水素溶媒がトルエンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記有機−リチウム試薬がn−ヘキシルリチウムであり、該n−ヘキシルリチウムが約1.0〜約1.2モル当量の範囲の量で存在する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記エーテル溶媒がジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、前記炭化水素溶媒がトルエンである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記亜鉛塩が、二臭化亜鉛(ZnBr2)、二ヨウ化亜鉛(ZnI2)、及び亜鉛ジトリフラートからなる群から選択され、前記ハロゲン化亜鉛のアミン複合体が、ピリジン臭化亜鉛複合体及びN−メチルモルホリン臭化亜鉛複合体からなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記式(VI)の化合物を亜鉛塩と反応させ、該亜鉛塩が二臭化亜鉛であり、該二臭化亜鉛が約0.33〜約1.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項10】
Xが炭素原子であり、
環Aが4−メチルフェニル及び4−クロロフェニルからなる群から選択され、
Yが−CH2−であり、環Aの3位に結合し、
環Bが2−(5−(4−フルオロフェニル)−チエニル)及び2−(5−(6−フルオロ−ピリド−3−イル)−チエニル)からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
Xが炭素原子であり、環Aが4−メチル−フェニルであり、Yが−CH2−であり、環Aの3位に結合し、環Bが5−(4−フルオロフェニル)−チエン−5−イルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
式(I−S)
【化6】

の化合物、又はその溶媒和物の調製プロセスであって、
【化7】

式(VII−S)の化合物であって、式中、M2が亜鉛種である化合物を、式(VIII−S)の化合物であって、式中、各Zが独立して選択される酸素保護基であり、LG2が脱離基である化合物と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(IX−S)の化合物を生じさせる工程と、
【化8】

式(IX−S)の化合物を脱保護して、対応する式(I−S)の化合物を生じさせる工程と、
を含む、プロセス。
【請求項13】
2がZnBrである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
各Zがピバロイルであり、LG2がブロモである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記式(VIII−S)の化合物が、約0.8.〜約1.25モル当量の範囲の量で存在する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
前記式(VIII−S)の化合物が、約1.0〜約1.1モル当量の範囲の量で存在する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記エーテル溶媒がジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、前記炭化水素溶媒がトルエンである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
前記炭化水素溶媒の溶液中の式(VIII−S)の化合物が、前記エーテル溶媒の溶液中の式(VII−S)の化合物に添加される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項19】
前記式(VII−S)の化合物を、約60℃〜約95℃の範囲の温度にて、式(VIII−S)の化合物と反応させる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項20】
【化9】

式(V−S)の化合物であって、式中、LG1が脱離基である化合物を、有機−リチウム試薬と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(VI−S)の化合物であって、M1がリチウムである化合物を生じさせる工程と、
【化10】

式(VI−S)の化合物を、亜鉛塩又はハロゲン化亜鉛のアミン複合体と、エーテル溶媒及び炭化水素溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(VII−S)の化合物を生じさせる工程と、
を更に含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項21】
前記有機−リチウム試薬がn−ヘキシルリチウムである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記有機−リチウム試薬が、約0.5〜約2.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記有機−リチウム試薬が、約1.0〜約1.2モル当量の範囲の量で存在する、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記エーテル溶媒がジ−n−ブチルエーテル又はシクロペンチルメチルエーテルであり、前記炭化水素溶媒がトルエンである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
前記式(V−S)の化合物を、約−78℃〜室温程度の範囲の温度にて有機−リチウム試薬と反応させる、請求項20に記載のプロセス。
【請求項26】
前記亜鉛塩が、二臭化亜鉛(ZnBr2)、二ヨウ化亜鉛(ZnI2)、及び亜鉛ジトリフラートからなる群から選択され、前記ハロゲン化亜鉛のアミン複合体が、ピリジン臭化亜鉛複合体及びN−メチルモルホリン臭化亜鉛複合体からなる群から選択される、請求項20に記載のプロセス。
【請求項27】
前記式(VI−S)の化合物を亜鉛塩と反応させ、該亜鉛塩が二臭化亜鉛である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項28】
前記二臭化亜鉛が、約0.33〜約1.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記二臭化亜鉛が約0.5モル当量の量で存在する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記式(VI−S)の化合物を、アミン又はリチウム塩の存在下で亜鉛塩と反応させる、請求項20に記載のプロセス。
【請求項31】
前記アミン又はリチウム塩が、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ピリジン、N−メチルモルホリン、2,6−ルチジン、及びTMEDAからなる群から選択され、該アミン又はリチウム塩が好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲の量で存在する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
請求項1に記載のプロセスに従って調製される、化合物。
【請求項33】
請求項12に記載のプロセスに従って調製される、化合物。
【請求項34】
式(X−P)の化合物であって、
【化11】

式中、両Q1基が同じであり、かつ
【化12】

であり、
環A及び環Bは、以下の(1)、(2)及び(3)のうちの一つであり、
(1)環Aは場合により置換されている不飽和の単環式複素環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;あるいは
(2)環Aは場合により置換されているベンゼン環であり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、又は環Bは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、ここで、Yは該縮合複素二環の複素環に結合する;あるいは
(3)環Aは場合により置換されている不飽和縮合複素二環であり、式中、糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)は両方とも該縮合複素二環の同一の複素環上にあり、かつ環Bは場合により置換されている不飽和の単環式複素環、場合により置換されている不飽和縮合複素二環、又は場合により置換されているベンゼン環である;
Xは炭素原子であり、
Yは−(CH2n−であり、ここで、nは1又は2であり、
ただし環AにおいてXが不飽和結合の一部である化合物の調製プロセスであって、
【化13】

式(Z1)の化合物であって、式中、Ha2がハロゲンである化合物を、リチウムトリアルキルマグネサートである式(Z2)の化合物と、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(Z3)の化合物を生じさせる工程と、
【化14】

該式(Z3)の化合物を、ハロゲン化亜鉛・ハロゲン化リチウム複合体である式(Z4)の化合物であって、式中、Ha1がハロゲンである化合物と、適切に選択された無水有機溶媒又は無水有機溶媒の混合物中で反応させて、対応する式(X−P)の化合物を生じさせる工程と、
を含む、プロセス。
【請求項35】
前記式(Z2)の化合物がリチウムジブチルヘキシルマグネサートであり、前記式(Z4)の化合物が臭化亜鉛・臭化リチウム複合体である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記式(X−P)の化合物が式(X−S)の化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【化15】


【公表番号】特表2013−508284(P2013−508284A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534342(P2012−534342)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/052598
【国際公開番号】WO2011/047113
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】