説明

T細胞エピトープデータベース

本発明は,T細胞エピトープの有無についてタンパク質配列を迅速に調べるためのT細胞エピトープのデータベース,特にヘルパーT細エピトープのデータベースに関する。本発明は,テストペプチドを有するエキソビボT細胞アッセイによって特に同定されたエピトープを含むT細胞エピトープの全データベース又は部分的なデータベース及びデータ構造を含み,そしてテストペプチドのデータの外挿法によって同定されたT細胞エピトープを含む。本発明はまた,T細胞エピトープ活性の検出感度を最大にするために,T細胞サブセット,特に制御性T細胞がT細胞アッセイから取り除かれる又は阻害される方法を含む,データベース及びデータ構造にその後含まれるペプチドのT細胞エピトープ活性を決定するためのハイスループット方法をも含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,T細胞エピトープが存在するかどうかについてタンパク質配列を迅速に照合するための,T細胞エピトープ,特にヘルパーT細胞エピトープのデータベースに関する。本発明は,完全な又は部分的なデータベースと,特にテストペプチドを用いるエキソビボ(生体外)T細胞アッセイを行うことによって同定されたエピトープを含む,T細胞エピトープのデータ構造とを含み,そして,本発明は,データの外挿法によってテストペプチドから同定されたT細胞エピトープを含む。本発明はまたデータベース及びデータ構造中にその後含まれるペプチドのT細胞エピトープ活性を決定するためのハイスループット方法をも含む。ここで,ハイスループット方法は,T細胞特に制御性T細胞のサブセットが,T細胞エピトープ活性の検出感度を最大にするために,T細胞アッセイから取り除かれる又は妨げられる方法を含む。
【背景技術】
【0002】
ヒトに投与される医薬用タンパク質にとって,医薬用タンパク質に対する抗体の発現によって現れる免疫原性は,ヒトにおいて医薬用タンパク質の有効性及び安全性を制限することがある。多くの場合,免疫原性は,MHCクラスII分子が結合した医薬用タンパク質に由来するペプチドの提示に起因するヘルパーT細胞と,それに続く,前記T細胞上のT細胞受容体によって,ペプチド−MHCクラスII複合体が認識されることによる,ヘルパーT細胞の活性化が関与している可能性がある。免疫原性において,ヘルパーT細胞エピトープが関与している証拠として,ヘルパーT細胞によって誘導されたIgクラススイッチを示唆するIgGアイソタイプの抗体が検出される,という免疫原性の臨床例を含む。それ自体は,T細胞エピトープは医薬用タンパク質に対する免疫原性の重要な駆り立て役であると考えられている。そのため,医薬用タンパク質において,上記T細胞エピトープの測定は,特にヒトでテストをする前に非常に価値がある。なぜなら,上記エピトープの存在は免疫原性を予測する重要な判断材料となりえ,それ故,上記臨床試験をすするめる時に又は上記臨床試験を設計するときの要因となりえるからである。
【0003】
現在,T細胞エピトープを測定する方法は,インシリコの方法(インシリコ技術),インビトロの方法(インビトロ技術),エキソビボの方法(エキソビボ技術),及びインビボの方法(インビボ技術)が含まれる。インシリコ技術は,一般的に,MHC分子に対するペプチドの結合に関連し,一般的にMHC分子に対するインビトロでのペプチドの結合を再現しようとする。インシリコ技術は,MHCと結合するペプチド配列モチーフに基づく方法からペプチドがMHC分子に結合する様子をコンピュータでモデリングする含む方法にまで及ぶ。MHCクラスIIの場合,インシリコ技術は,DR分子のホモ二量体がペプチド結合に関わるHLA−DRに大いに限定される。HLA−DQ及びHLA−DPに結合するペプチドに対するインシリコ技術は,DQ及びDPの結合がヘテロ二量体的な性質であることと,及びインビトロのMHC結合データの有用性が制限されているため,一般的には正確性はかなり下がり,利用できない場合もある。インビトロ技術では,一般的に溶解性又は可溶化MHC分子及び標識化又はタグ付きペプチドを用いて,MHC分子へのペプチドの物理的な結合を一般的に測定する。エキソビボでの測定は一般的に血液サンプルを用いて,増殖又はサイトカイン放出のいずれかによってペプチドに対するヘルパーT細胞の応答を測定する。インビボでの測定では,一般的にマウスを用い,ペプチドの注入後,ペプチドに対するヘルパーT細胞応答の測定,又はヘルパーT細胞応答の間接的な指標として測定されるペプチドに対するその後の抗体反応の測定が行われる。ヒトT細胞エピトープなど非マウスT細胞エピトープのインビボでの測定は,ヒト血球をSCIDマウスに注入した結果,免疫システムが再構築されたマウス,又は,ヒトMHCクラスIIのトランスジェニックマウス及びヒトMHCクラスIIに対する提示を介してT細胞応答を引き起こすマウスのいずれかを一般的に用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インシリコ技術は,ペプチドのMHCクラスIIへの結合を迅速に予測できる可能性がある一方で,非寛容T細胞の存在,ペプチド−MHC複合体のT細胞受容体による認識,特定のサイトカインの存在,及び共刺激分子の相互作用を含む,ペプチド−MHC結合以外に,他の工程を必要とするヘルパーT細胞エピトープを正確に測定しない。それ故,インシリコ技術は,T細胞エピトープの存在をいつも過剰に予測し,加えて,ヘルパーT細胞エピトープを限定したHLA−DQ/DPを正確に予測しない。加えて,MHCクラスII結合のみを予測することによって,インシリコ技術は,特定のMHC結合ペプチド,特に“自己”ペプチドに対するT細胞の寛容性又は非反応性を考慮しない。同様に,MHCクラスIIへのペプチドの物理的な結合,又はペプチド−MHC複合体へのT細胞受容体の結合を含むインビトロ技術は,T細胞寛容性またはペプチド−MHC複合体へのT細胞応答性の欠失を考慮しない。加えて,このような技術は時間がかかり,リアルタイムでT細胞エピトープを測定できない。エキソビボ技術及びインビボ技術は,T細胞エピトープを測定するための最も厳密な方法を与える一方で,これらの技術ではリアルタイムでのT細胞エピトープを測定できない,そして専門的な技術方法又は特定の動物種を必要とする。このようにリアルタイムで簡単に使用できるT細胞エピトープを測定するための新しい方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,エキソビボ又はインビボでの測定から得られるT細胞エピトープの新しいデータベース及びデータ構造を含むT細胞エピトープを測定するための新規方法に関する。特に,本発明は,テスト医療用タンパク質に起こりうる,1つ又は2つ以上,特にできる限り全てのペプチドは予めT細胞エピトープ活性がテストされており,さらに,それぞれのペプチドに対する上記測定は,T細胞エピトープが存在するかどうかについて医療用タンパク質配列を迅速に照合するためのデータベース又はデータ構造として示される,エキソビボでの測定から現実のT細胞エピトープのデータベース及びデータ構造に関する。それ自体は,どの医療用タンパク質においてもT細胞エピトープは,テスト医療用タンパク質配列からのペプチドについて時間のかかる技術的に専門的なエキソビボでの測定を必要としないで,リアルタイムで測定することができる。本発明は,細胞のサブセットを取り除く又は阻害することによって,T細胞エピトープの検出を増強するための方法も含む。
【0006】
第一の側面において,本発明は,T細胞エピトープ活性が予め分析されているペプチドの配列のデータベースを検索することによって,テスト対象のペプチド配列がT細胞エピトープを含むかどうかを決定するための方法を提供する。
【0007】
データベースは,当業者に知られている,本発明を実行することに適した,どのようなデータベースであってもよい。例えば,データベースは,類似した配列を同定するためにBLASTプログラムを用いて検索することができるテキストファイルであってもよい。データベースはデータ構造の一部であってもよい。当業者に知られているどんな適切なデータ構造が利用されてもよい。
【0008】
好ましくは,データベースの検索は,テスト対象のペプチド配列と同一である,またはテスト対象のペプチド配列に類似する配列を共有するペプチド配列を探すために実行される。
【0009】
2つのアミノ酸配列間の一致レベルは,最適に比較するために配列を並べ,そして,対応する位置でアミノ酸残基を比較することによって決定されてもよい。同一性の割合は,比較されている配列中の同一アミノ酸残基数によって決定される(すなわち,同一性%=同一位置数/全位置数×100)。
【0010】
2つの配列間の同一性の割合の決定は,当業者に知られている数学アルゴリズムを用いて達せられてもよい。2つの配列を比較するための数学アルゴリズムの一例は,Karlin and Altschulのアルゴリズム(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877(Karlin and Altschulのアルゴリズム(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268の改良版である)。Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410のBLASTプログラムは,このようなアルゴリズムを組み込んでいる。BLAST及びPSI−Blastプログラムを利用するとき,それぞれのプログラムのデフォルトパラメータが用いられてもよい。参照:http://www.ncbi.nlm.nih.gov。配列の比較に利用される数学アルゴリズムの別の例は,Myers and Miller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。CGC配列アライメント ソフトウェア パッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)は,このようなアルゴリズムを組み込んでいる。技術的に知られている配列分析用の他のアルゴリズムは,Torellis and Robotti(1994)Comput.Appl.Biosci.,10:3−5に記載されているADVANCE及びADAM;及びPearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444−8に記載されているFASTAを含む。FASTAの範囲内で,ktupは検索の感度とスピードを設定する制御オプションである。
【0011】
ヘルパーT細胞エピトープのデータベース及びデータ構造を構築するための好ましい方法では,9アミノ酸配列と結合するコアMHC(“コア9mer”)の範囲内で,多数のアミノ酸の組合せを示している多数のペプチドが,特にT細胞増殖又はサイトカイン放出アッセイ出力を用いて,ヘルパーT細胞応答を誘導するためのT細胞アッセイ(主にヒトT細胞アッセイ)でテストされる。一般に,コア9merのどちらかの末端に位置するアミノ酸を含む,全長が10〜15のアミノ酸のペプチドがテストされる。代わりに,それぞれのコア9mer末端がある同じ2つのアミノ酸を有する,例えば,各末端に2つのアラニン残基を有する15merがテストされてもよい。コア9merの範囲でアミノ酸配列の全ての組合せを完全に分析するために,9mer中に5.12×1011通りの異なったアミノ酸の組合せ(すなわち,20)が必要とされる。このように本発明の好ましい方法の1つは,ヘルパーT細胞活性が前もってテストされていないコア9mer配列を全て分析すること,及び,上記全分析からヘルパーT細胞エピトープデータベース又はデータ構造を編集する,加えて,ヘルパーT細胞活性が予め分析されているコア9merのデータを編集することである。このようなデータベース又はデータ構造によって,その後,利用者は,ヘルパーT細胞エピトープ活性について,どんな特定のコア9mer配列も迅速に分析することができる。
【0012】
データベース及びデータ構造を構築するための好ましい態様方法は,限定された一連のコア9mer T細胞エピトープ活性についてのデータは,ヘルパーT細胞エピトープ活性と関連するアミノ酸の部分的な配列を同定するために分析される。一度上記部分的な配列が同定されると,さらに可能性があるヘルパーT細胞エピトープの配列は,部分的な配列を同定するために使用される実際のT細胞エピトープに対する配列に加えて,データベース及びデータ構造に当てはめられる及び入力されてもよい。例えば,ヘルパーT細胞エピトープのコア9merの範囲内で,位置1,4,6,7,及び9のアミノ酸は,アミノ酸2,3,5,及び8をT細胞受容体と相互作用する主要アミノ酸として残して,MHCクラスIIに結合することに最初に関与する。それ故,データセットは,位置1,4,6,7,及び9で固定残基と,FXXFXFFXFのコア9mer配列を有する160,000ペプチドのみ必要としている,位置2,3,5,及び8を制限したアミノ酸中の変異とを有するMHC結合ペプチドに取得されてもよい。ここで,F=固定アミノ酸残基及びX=可能性のある全ての組合せ中,20の天然アミノ酸のいずれかを含む変異型残基である。ヘルパーT細胞活性をもたらさないと知られている特定のペプチド配列(例えば,各X=プロリン)を除外すること,及び,ヘルパーT細胞活性を誘導しないとして既に知られているXの配列を除外することは,テストされる必要があるペプチド数を減少させる。代わりに,又は,加えて,疎水性(疎水性=Ala,Ileu,Leu,Met,Phe,Val)ではない位置1を有する9mer配列を除外することもまた,テストされる必要があるペプチド数を減少させる。
【0013】
本発明の好ましい方法では,1つ又は2つ以上のテストペプチド配列は,ヘルパーT細胞活性が予め分析されている同一のペプチド又は類似のペプチドについて,データベース又はデータ構造を検索することによって分析される。一般的に,全長が9〜15のアミノ酸のペプチド,好ましくは9アミノ酸は,同一のペプチド又は類似のペプチドについてデータベースを検索することによって分析される。同一の9mer配列有するペプチドを同定すること,又は(一般的に,テストペプチド配列とデータベースペプチド配列の中で対応する相対位置で5又はそれ以上のアミノ酸を有する)テストペプチドとホモロジーを有するペプチドを同定することを含む。好ましい一態様では,データベース又はデータ構造においてテストペプチド配列及びペプチド配列内において,対応する相対位置1,4,6,7,及び9で,同一のアミノ酸又は類似のアミノ酸を有するペプチドが同定される。代わりに,データベース又はデータ構造中,テストペプチド配列とペプチド配列内において,同一又は類似の対応する相対位置2,3,5,及び8を有するペプチドが検出される。例えば,もしデータベース中のT細胞エピトープ配列がAAAFAHIAL(すなわち対応する相対位置1,4,6,7,及び9)またはADEAGAAKA(すなわち,対応する相対位置2,3,5及び8)からなる(または含む)ならば,配列ADEFGHIKLを有するテスト9アミノ酸ペプチドは,T細胞エピトープの可能性があると考えられる。MHCに結合することが大きな影響を与えないならば,同定されたT細胞エピトープの可能性があるペプチドが除外されるようにインシリコの方法,又はインビトロの方法を通常用いるので,一般的に,上記ペプチドの分析,特に対応する相対位置2,3,5及び8のペプチドの分析は,推定コア9merMHC結合の個別に分析することをも含む。例えば,配列GDEFGHIKLを有するテスト9アミノ酸ペプチドが,データベースペプチドADEAGAAKAと対応する相対位置2,3,5,及び8で一致する一方,このペプチドは,位置1で疎水性アミノ酸が欠損しているため,又はペプチド−MHC結合のインシリコ又はインビトロでの測定の後にMHC結合が欠失しているため,T細胞エピトープとして除外されると思われる。
【0014】
本発明は,データベース又はデータ構造に包含されるためのデータを取得する方法を含み,ヘルパーT細胞からサイトカインの放出が測定されるエリスポットフォーマットなど,標準エキソビボ ヘルパーT細胞アッセイフォーマットを用いるヘルパーT細胞エピトープ活性について個々にペプチドを分析することを含む。一般的に上記アッセイフォーマットは,1回の実験で普通実質的にテストされうるペプチド数を500ペプチド未満に制限し,ペプチド中のT細胞エピトープ検出感度も制限する。潜在的に上記アッセイフォーマットは,再構成又は小型化することができ,例えば,ヘルパーT細胞の誘導についてペプチドプールをテストし,その後のヘルパーT細胞を誘導する個々の上記ペプチドプールを再複製することによって,又は,高密度のペプチドまたは細胞が同時にテストされるマイクロフォーマット,例えばピン上に前もって合成されたペプチドアレイ,そしてT細胞増殖及びサイトカイン放出の高感度アッセイは上記高密度アッセイに適用されるマイクロフォーマットを使用することによって,ペプチドスループットを大いに増進する。代わりに,異なるペプチドをテストするためのペプチド高密度アレイ又は細胞アレイを用いるよりもむしろ,ペプチドが微液滴内で細胞と反応するエキソビボT細胞アッセイが,流動性微液滴中で行われうる。上記微液滴は,例えばFACS(蛍光活性化細胞選別装置)を用いて,例えば,サイトカインの放出又は増殖中のT細胞への蛍光標識したBUDR(5’−ブロモデオキシウリジン)などの蛍光トレーサーの取込を蛍光測定することによって,個々に分析することができる。他のアッセイフォーマットは,個々に活性化したヘルパーT細胞が検出され,活性化ペプチド配列が決定されるアッセイを含む。上記アッセイフォーマットは,個々のペプチド又はペプチドグループが四量体のMHCクラスIIと結合することができる,MHCクラスII四量体を利用することによって促進されてもよい。そして,その後,活性ペプチドが,セミランダムに合成されたペプチドグループについて,活性ペプチドと結合したタグによって,又はマススペクトロメトリーで活性ペプチドを直接同定することによって,その後包含物を同定することができるように,T細胞の活性がテストされてもよい。
【0015】
上記全てのアッセイフォーマットに関するかぎり,本発明は,テストアンチゲンと反応するヘルパーT細胞において大幅に増加する結果となる,細胞サブセット特にT細胞サブセットの除去,及び特にT細胞混合アッセイから制御性T細胞の除去によって,T細胞エピトープの検出感度を改善する。従って,第2の側面は,本発明は,以下の工程を含む,テスト対象の物質に対するヘルパーT細胞応答に関するデータベースを作成する方法を提供する。
(a)生物から抗原提示細胞(APCs)及びT細胞を単離する工程
(b)前記単離した細胞から制御性T細胞を枯渇するか又は抑制する工程
(c)前記制御性T細胞が枯渇化した細胞を前記テスト対象の物質とインキュベートする工程
(d)前記テスト対象の物質に対するT細胞応答を測定する工程
従って,本発明は,制御性T細胞が培養液から取り除かれ,結果としてテスト抗原に対するT細胞応答が上昇する,T細胞エピトープを最適に検出するための新規T細胞アッセイ方法をも含む。特に,制御性T細胞は,表面にCD25抗原を高レベルに発現しているT細胞(CD25hi T細胞)を取り除くことによって取り除かれ,好ましくは,CD25hi T細胞が5〜75%の間,特にCD25hi T細胞が10〜25%の間で,取り除く,阻害する,又は破壊する方法が採用される。
【0016】
APCsとT細胞は,通常,血液サンプルから得られる。しかしながら本発明において,扁桃腺,パイアー斑,腫瘍,及び細胞株由来のT細胞及びAPCsを含む,供給源が異なるT細胞及び/又はAPCsが使用されてもよい。好ましい一態様では,本方法は,ヒト抹消血単核球(PBMCs)を用いて行われる。
【0017】
本明細書において,“枯渇”という用語は,一部の制御性T細胞の排出を意味する。これは,物理的に細胞を取り除くことによって,又はT細胞の活動を阻害する若しくは調節することによって行われうる。このように標的T細胞の活性は減少する。
【0018】
なお,当業者であれば,本発明の一部として,制御性T細胞の枯渇方法又は標的方法の範囲で,CD25hiにより制御性T細胞を枯渇する方法の代わりを用いてもよいことがわかる。なお,本発明は,T細胞アッセイにおいて,制御性T細胞の影響を調節する方法をも含むことがわかる。枯渇または標的のために,制御性T細胞表面に発現した分子は,これら細胞を枯渇するためにCD25との組み合わせ又はCD25の代わりに用いてもよい。上記分子は,GITR,CTLA−4,CD103,CCケモカイン受容体4,CD62L,及びCD45RAに限定されず,表面結合サイトカイン又はIL−10及びTGFβなどの表面型サイトカインをも含む。固相に制御性T細胞を吸着するために,上記制御性T細胞の破壊又は阻害を引き起こすために,又は,そうでなければT細胞アッセイ用に他のT細胞から制御性T細胞を分離するために,特定の抗体と結合することを含む複数の方法によって,枯渇が達せられてもよい。調節のために,制御性T細胞によって分泌される分子は,上記分泌が防止されてもよいし,又は分泌後,ブロック/阻害/破壊されてもよい。上記分子は,IL−10,IL−4,IL−5およびTGFβなどのサイトカインを含んでもよく,そして上記分子は,上記分子に結合する有機分子または無機分子,例えば,抗体または可溶性受容体を用いてブロックされてもよく,又は,siRNA,アンチセンス オリゴヌクレオチド,若しくは制御性T細胞に送達される,若しくは上記細胞内で誘導される他の核酸などの制御性核酸によってブロックされてもよい。制御性T細胞活性の調節は,これらの細胞の抑制機能を破壊するように,制御性T細胞上の標的受容体または他の表面分子によって達せられてもよい。制御性T細胞上の他の表面分子は,GITR,CTLA−4,CD103,CCケモカイン受容体4,CD62L,及びCD45RAを含むがこれらに限定されるものではない。上記機能阻害は,例えば,アゴニスト機能を有する特定の抗体によって,又は制御性T細胞が除去ではなく非機能的になるようにリガンド標的相互作用をブロックする可能性がある特定の抗体によって達せられてもよい。制御性T細胞活性の調節は,制御性T細胞によって分泌される標的受容体の分子をブロックすることによって,又は,上記分泌分子によって活性化される若しくはダウンレギュレートされる経路をブロックすることによって達せられてもよい。また,調節のために,制御性T細胞は,例えば,foxp3などの転写因子をブロックすることによって,または制御性T細胞に関連する他の機能若しくは経路をブロックすることによって達せられてもよい。上記阻害またはブロックは,有機分子若しくは無機分子によって,又はsiRNA,アンチセンス オリゴヌクレオチド,若しくは制御性T細胞に送達される若しくは上記細胞内で誘導される他の核酸などの制御性核酸によって達せられてもよい。有機分子,無機分子,又は核酸分子が作用を阻害するため又はそうでなければ制御性T細胞を調節するために用いられる全ての場合で,かつ上記分子自体がT細胞アッセイを妨げる全ての場合,上記分子は上記アッセイから取り除かれる又は上記アッセイを妨げない形態に修飾されることが好ましい。例えば,制御性T細胞によって分泌される分子を取り除くために用いられる特定の抗体又はタンパク質は,T細胞アッセイより前に選択的に取り除かれるか,又はT細胞アッセイを妨げない特定の形態で用いられる。例えば,ヒトT細胞アッセイのために,ヒト型の抗体又はタンパク質は,抗体又はタンパク質自体に対するT細胞応答を避けるために用いられる。
【0019】
好ましくは,本アッセイ方法は,ヒト末梢血単核球(PBMCs)が用いられ,次の重要な工程を有する;
(1) PBMCsがヒト血液サンプルから単離される
(2) CD8T細胞が取り除かれる
(3) CD25hiT細胞が枯渇される
(4) 培養液は,1つまたは2つ以上の濃度でテスト抗原とインキュベートされ,1つまたは2つ以上の点でT細胞増殖及び/又はサイトカイン放出のテストをされる
【0020】
本発明において,T細胞エピトープ活性の測定は,1つのMHCアロタイプ又は複数のMHCクラスIIアロタイプに関連するT細胞エピトープ活性に関連しうる。このように個々のペプチドは,1つ又は複数のMHCアロタイプのどちらかでテストをすることができ,それ故,データベースは,1つ又は複数のMHCアロタイプのどちらかと関連しうる。本発明の好ましい方法において,ペプチドは,複数のMHCアロタイプ,例えばヒトヘルパーT細胞エピトープでテストされ,ペプチドは一般的に少なくとも20の異なるMHC型ヒト血液サンプル(一般的に40−60血液サンプル)と,このようなMHC型サンプルから決定されるMHC関連活性ペプチドと一緒にテストされる。本発明の好ましい方法において,T細胞エピトープデータベースとデータ構造は,MHCアロタイプとの関連に関するデータに注釈を付される。加えて,T細胞エピトープデータベースは,T細胞エピトープを含むペプチドに対するドナーの詳細,プライマリー又はセカンダリー反応,増殖,及びサイトカイン測定に関連するデータなどT細胞応答の詳細,ドナー反応の割合,反応の大きさ,及び全MHCアロタイプタイプのドナー反応に注釈が付されてもよい。
【0021】
複数のペプチドのT細胞エピトープ活性を決定するために用いられる方法にかかわらず,本発明は,T細胞エピトープが存在する医薬用タンパク質配列を早く照合するために特にT細胞エピトープ(主にヘルパーT細胞エピトープ)のデータベース及びデータ構造を開示する。上記T細胞エピトープデータベース及びデータ構造は,T細胞エピトープ活性について複数の個々のペプチドのテストから,又は公知のT細胞エピトープを全て含む他のデータの入力から得られてもよい。上記T細胞エピトープデータベース及びデータ構造は,完全なペプチドセットからの,又はデータがデータベースを照合することで,テストされた幾つかのペプチドを利用できないような不完全なペプチドセットからのデータを含んでもよい。データベース及びデータ構造の概念に加えて,本発明は,上記データベース及びデータ構造に含めるために複数のペプチドをテストする新規方法,特に複数のペプチドのヘルパーT細胞エピトープ活性を決定するための方法をも含む。
【0022】
本発明の特定の用途は,T細胞エピトープ,特にヘルパーT細胞エピトープが存在するかどうかについて,タンパク性の医薬品を分析することである。これは,特に,上記医薬品の免疫原性又はワクチンの可能性を決定するために役立ち,T細胞エピトープ並びにT細胞応答の頻度及び大きさなどの他の因子が存在することで,及び上記反応へのドナーMHCの関連性によって測定される。本発明の方法でタンパク質配列を分析することによって,異なるタンパク質変異体の免疫原性が決定されうる薬学的研究において,本発明は特に役立つ。薬学的使用において,頻度の最も低いT細胞エピトープを有するタンパク質変異体は,普通,免疫原性の可能性が最も低いリードとして選択される。
【0023】
本発明のさらなる用途は,治療的使用またはワクチン使用のどちらかの目的で新規タンパク性医薬品の生成である。治療的使用のために,本発明の方法は,開始タンパク質に由来する新規タンパク質変異体を作り出すために使用される。ここで,T細胞エピトープ数は減少している,又はT細胞エピトープが上記変異体内で取り除かれている。一般的に医薬用タンパク質変異体は,T細胞エピトープ活性を有さないデータベースから選ばれた新しい配列を有する開始タンパク質中の置換配列によって作り出され,それによって上記置換は,開始タンパク質とデータベースペプチドからの配列の組合せを通して,又はデータベースペプチドからの配列の組合せによって,新しいT細胞エピトープを作り出さない。ワクチン使用目的で,本発明の方法は,変異体中でT細胞エピトープ数が増加した開始タンパク質に由来する新規タンパク質変異体を作り出すために用いられる。本発明の特に有用な方法は,開始タンパク質の所望の特性を保持し,T細胞エピトープの減少または除去を通して,潜在的に減少した免疫原性など,改良された特性をも含む,新規改質タンパク質変異体を作製することである。
【0024】
このような方法は,一般的に次の重要な工程を含む;
(a)新しいタンパク質に所望の特性を与えるために必要とされるアミノ酸(“所望の残基”)を決定するために,1つ又は2つ以上の既存のタンパク質を分析する工程;
(b)改質タンパク質中に包含するために前記所望の残基を,既存のタンパク質中の所望の残基に対応する位置に含む1つまたは2つ以上のペプチドを,ペプチド配列データベース群から選択する工程であって,選択されたペプチドがT細胞エピトープではない,工程;
(c)前記選択されたペプチドを1つ又は2つ以上包含することによって改質タンパク質を合成する工程。
【0025】
ワクチンの使用において,本発明の特に有用な方法は,開始タンパク質の所望の特性を保持し,加えてT細胞エピトープをも含む,新規改質タンパク質変異体を生成する。上記方法は,一般的に次の重要な工程を含む;
(a)新しいタンパク質に所望の特性を与えるために必要とされるアミノ酸(“所望の残基”)を決定するために,1つ又は2つ以上の既存のタンパク質を分析する工程;
(b)改質タンパク質中に包含するために前記所望の残基を,既存のタンパク質中の所望の残基に対応する位置に含む1つまたは2つ以上のペプチドを,ペプチド配列データベース群から選択する方法であって,選択されたペプチドがT細胞エピトープではないか,上記ペプチドのいくつか又は全てがT細胞エピトープを含む工程;
(c)前記選択されたペプチドを1つ又は2つ以上の包含することによって改質タンパク質を合成する工程。
【0026】
本明細書において,“改質タンパク質変異体”とは,タンパク質の所望の特性を維持しながら,使用目的によって,タンパク質の潜在的な免疫原性を増加させるか又は減少させるかのどちらかに適合しているタンパク質である。例えば,治療的な使用に適しているタンパク質は,副作用を引き起こしうるどのT細胞エピトープも取り除くことによって改良されうる。代わりに,ワクチンとしての使用に適しているタンパク質は,潜在的な免疫反応を増加するために,ひいては与えられる保護作用を増加するために更に加えられるT細胞エピトープを含んでもよい。
【0027】
本明細書において,“所望の特性”は,所要の機能を維持するためにタンパク質に要求されたタンパク質の特性をいう。例えば,医薬用タンパク質に対して,これは,酵素など標的分子の活性を阻害する能力でありうる。代わりに,所望の特性は,血液中のタンパク質半減期を増大するタンパク質の一部に起因する。加えて,ワクチンとして用いられるタンパク質にとって,免疫原性反応を誘導するエピトープは保持される。
【0028】
当然のことながら,本発明は,T細胞エピトープ活性の測定の供給源に関わらず,いずれのT細胞エピトープデータベース又はデータ構造をも含むことを,当業者であれば理解しうる。当然のことながら,本発明のデータベース及びデータ構造は,エキソビボT細胞アッセイ又はインビボ研究,例えば,ペプチドを生物に注入し,生T細胞の活性測定を行う研究からのT細胞アッセイなどの生T細胞を採用するアッセイで同定されたT細胞エピトープに関する。当然のことながら,本発明のデータベース及びデータ構造は,活性T細胞エピトープに関するデータ及びT細胞に影響を与えないペプチドに関するデータも含む。当然のことながら,上記データベース又はデータ構造は,特定のペプチド配列に関するデータが含まれない部分的なデータベースであってもよい。代わりに,上記データベース又はデータ構造は,特定の長さ,一般的にペプチドのN末端及び/又はC末端でアミノ酸と接する,ヘルパーT細胞エピトープに対する9merのペプチド配列の可能性がある全てのペプチド配列を含む,完全なデータベース及びデータ構造でありうる。当然のことながら,本発明のデータベース及びデータ構造は,T細胞エピトープ,好ましくはMHCクラスIIと関連するヘルパーT細胞型,さらにMHCクラスI拘束性エピトープ,特に細胞毒性T細胞エピトープに関する。本発明のデータベース及びデータ構造は,T細胞を直接ダウンレギュレートする又は阻害する制御性T細胞及びペプチドを刺激するペプチドなどのT細胞において他の活性を有するペプチドをも含む又はそのようなペプチドからなってもよい。
【0029】
本発明は,次の実施例によって示されるが限定されるものではない。本発明の範囲は,次の実施例によって限定的に考慮されるべではない。図及び表は以下の実施例に関連し,次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
表1は,他のT細胞エピトープから様々なMHC接触残基のバックグラウンドにおいてT細胞エピトープに由来する一定のT細胞受容体接触残基を有するペプチドのT細胞増殖アッセイの結果を示す(参照:実施例3)。
【0031】
【図1】図1は,様々なペプチド又はKLHを加えた後,ヘルパーT細胞応答(刺激指数=ペプチド有無でのT細胞増殖率)に対するCD25hi T細胞の枯渇の影響を示す(参照:実施例1)。
【図2】図2は,T細胞アッセイによって同定されたT細胞エピトープが非T細胞エピトープのデータベースペプチド配列を選択することで置換される,段階希釈した抗CD20抗体及びエピトープ修飾抗体のキメラ分子の結合のFACS分析の結果をしめす(参照:実施例4)。
【図3】図3は,完全に一致したT細胞エピトープコア9mer,及び相対的に対応する2,3,5および8残基を有するMHC結合9merに対するT細胞エピトープデータベースを検索することによって得られた,ヒト化A33及び抗HER2抗体の可変領域配列の比較分析をしめす(参照:実施例5)。
【図4】図4は,全ヒト化A33及び抗HER2抗体のT細胞アッセイをしめす(参照:実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
T細胞エピトープを決定,及びT細胞エピトープデータベースの作製する方法
末梢血単核球は,アデンブルク病院地域研究倫理委員会によって付与された承認に従って,国立輸血サービス(アデンブルク病院,ケンブリッジ,英国)から得られる(24時間以内に取り出される血液から)健康な人たちからなるドナーの軟膜から単離された。PBMCはフィコール(GEヘルスケア,チャルフォント セント ジャイルズ,英国)密度遠心法によって軟膜から単離され,CD8+T細胞は,CD8+RossetteSepTM(StemCell Technologies,バンクーバー,カナダ)を用いて枯渇させた。ドナーは,AllsetTM SSP−PCRベース組織タイピングキット(Dynal,ウィラル,英国)を用いてHLA−DRハロタイプを同定することと同様に,コントロール抗原キーホールリンペットヘモシアニン(KLH),破傷風トキソイド(Aventis Pasteur,リオン,フランス)及びインフルエンザHAからのコントロールペプチドエピトープ(C32,aa307−319)へのT細胞応答を決定することによって,特徴づけられた。
【0033】
CD25hi T細胞の枯渇は,Miltenyi Biotech社製(ギルフォード,英国)の抗CD25マイクロビーズを用いて,サプライヤー標準プロトコール及び磁石を用いて行われた。各ドナーのバイアル10本を溶解し,細胞は2%不活性化ヒト血清/PBS(Autogen Bioclear,カルン,ウィルシャー,英国)30mlに再懸濁した。細胞が全PBMCとして保持されている状態の細胞5×10個を,15mlチューブ3本に移した。抗CD25マイクロビーズ希釈混合物は,ビーズ300μlと分離バッファー(0.5%ヒト血清/2mM EDTA/PBS)4200μlを用いて作製した。15mlチューブを遠心し,マイクロチューブ希釈混合物500μlに再懸濁した。その後,カラムで分離する前に,チューブは5,10,又は20分間,4℃で保持した。カラムは,スタンドに保持した磁石内にカラムをおき,分離バッファー2mLをカラムに加え,分離バッファーを滴下させてセットした。ビーズとインキュベート後,分離バッファー10mlを加え,チューブを1500rpmで7分間遠心した。その後細胞は分離バッファー500μlに再懸濁し,カラムに加え,続いて分離バッファー1mlで2回洗浄した。カラムを通過したフローは15mLチューブに集められ,CD25hiT細胞枯渇フラクションに含めた。これらの細胞は,1500rpmで7分間遠心沈殿し,計数前にAIMV培地(Invitrogen,ペーズリー,英国)に再懸濁した。
【0034】
細胞はCD4及びCD25で染色し,細胞数はFACSで検出した。5−10×10個の各細胞集団は,96ウェルU底プレート(Greiner Bio−One,フリッケンハオゼ,ドイツ)の1ウェルに播種した。プレートを1200rpmで4分間遠心して,細胞を沈殿させた。上清を取り除き,細胞は抗体希釈液50μlで再懸濁した。抗体希釈液は,FACSバッファー(1%ヒト血清/0.01%アジ化ナトリウム/PBS)に1/50倍希釈したFITCラベル抗CD4抗体(R&D Systems,ミネアポリス,米国)と1/25倍希釈したPEラベル抗CD25抗体(R&D Systems,ミネアポリス,米国)からなる。コントロールウェルは又,未染色,アイソタイプコントロールで染色,1つのラベル抗体で染色した。
【0035】
プレートは,暗所で,30分間氷上でインキュベートした。その後,プレートを1200rpmで4分間遠心して,細胞を沈殿させた。上清を取り除き,細胞はFACSバッファー200μlに再懸濁した。これを2回繰り返し,その後,細胞をFACSチューブに移した。細胞はFACS Calibur(Becton Dickinson,オックスフォード,英国)にセットした後,データを集め,大きさ,粒度,及び蛍光タグに基づいて分析した。
【0036】
増殖アッセイは次のように行った。PBMCを枯渇した全CD8T細胞およびPBMCを枯渇したCD8CD25hiT細胞を,それぞれAIMV100μlに2×10/ウェルとなるように加えた。平底96ウェルプレートを用いて,それぞれのテスト条件で3枚培養を行った。各ペプチド100μlに,最終濃度が5μMとなるように細胞培養液を加えた。細胞は,各ウェルを1mCi/ml 3HTdR(GEヘルスケア,チャルフォント セント ジャイルズ,英国)で18時間パルスラベルする前に,ペプチド及びタンパク質抗原と7日間インキュベートした。
【0037】
増殖アッセイにおいて,刺激指数2又は2より大きい(SI≧2)値を閾値として用い,そのため,この閾値より上の増殖応答を含むペプチドはポジティブ(点線)とみなされる。全データは,1つの方法,すなわち対応のないスチューデントT検定を用いて変動係数(CV),標準偏差(SD)及び有意差(p<0.05)を決定するために分析される。SI≧2を示す全反応は,未処理の培地コントロールと有意差(p<0.05)があった。
【0038】
一連のボーダーライン又は弱T細胞エピトープ(ペプチド2(GDKFVSWYQQGSGQS),6(IKPEAPGCDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRY),9(QSISNWLNWYQQKPG)),1対の強T細胞エピトープ(ペプチド25(PKYRNMQPLNSLKIAT),及び26(TVFYNIPPMPL)),及びKLH抗原をテストしたヒトドナーの一人のPBMC中のT細胞増殖反応を示す結果を図1に示した。その結果は,CD25hiT細胞を枯渇した後,全ペプチドに対するT細胞応答の増加を示す。最大反応は全ペプチドに対して決定され,その後,10又は20分,CD25hiT細胞が枯渇する。これらの結果は,ペプチド2及び9等のペプチド例では,ペプチド内のT細胞エピトープ検出が前もってT細胞応答に対してボーダーライン又はネガティブと記録されたCD25hiT細胞が枯渇した後,T細胞応答が強く増大したことを示す。
【0039】
上記ペプチド2,9,25,及び26の変異は,次の通りである;
2−F→G(GDKGVSWYQQGSGQS)
9−L→G(QSISNWGNWYQQKPG)
25M→G(PKYRNGQPLNSLKIAT)
26F→G(TVGYNIPPMPL)
【0040】
これらのペプチドは,上記のように10分間及び20分間にCD25hiT細胞の枯渇もしくはドナー475を含む,増殖アッセイで再テストした。ドナー475を含むドナーは,これらの変異ペプチドのいずれかに対して重要なT細胞応答を与えない。このようにペプチド2,6,9,25及び26は,ヘルパーT細胞エピトープとしてデータベースに入力され,一方,ペプチド2−F→G,9−L→G,25M→G及び26F→GはヘルパーT細胞エイトー婦応答に対してネガティブとして入力される。SturnioloらのTEPITOPE方法(Nature Biotechnology,vol17(1999)p555−561)による非変異ペプチド配列の平行分析から,これらのペプチドによるMHCクラスII結合のための予測されるP1位置は,その後,G(グリシン)残基に突然変異されるアミノ酸であり,従ってこれらのペプチドは,MHCクラス結合のための相対的な1,4,6,7及び9位置のアミノ酸とT細胞受容体を認識するための2,3,5及び8位置のアミノ酸を含む,コアMHC結合9mer中に推定残基を有するデータベース中で注釈を付される。
【実施例2】
【0041】
固定MHC接触残基を有するペプチドの分析
相対的な1,4,6,7,及び9の位置を固定した次のペプチドは,(i)実施例1の方法を用いて作成されたT細胞エピトープのデータベース,(ii)ペプチド−MHC結合予測のためのTEPITOPEアルゴリズム(Sturnioloら,同書),及び(iii)実施例1のT細胞アッセイ方法を用いて分析された。
1−NWLRNYDQKQGAT
2−NWLEGYHQKIGAT
3−NWLLKYMQKFGAT
4−NWLPSYTQKWGAT
5−NWLYVYAQKRGAT
6−NWLNDYQQKEGAT
7−NWLGHYIQKLGAT
8−NWLKMYFQKPGAT
9−NWLSTYWQKYGAT
10−NWLAAYAQKAGAT
11−NWGRNYDQKQGAT
12−NWGEGYHQKIGAT
13−NWGLKYMQKFGAT
14−NWGPSYTQKWGAT
15−NWGYVYAQKRGAT
16−NWGNDYQQKEGAT
17−NWGGHYIQKLGAT
18−NWGKMYFQKPGAT
19−NWGSTYWQKYGAT
20−NWGAAYAQKAGAT
【0042】
ペプチド1−10は全て,N末端配列としてNWLの3アミノ酸を含み,一方,ペプチド11−20はN末端配列の三番目のアミノ酸がLの代わりにGである以外は,ペプチド1−10のアナログである。T細胞エピトープデータベースの照合は,上記ペプチド1から10に対して,実施例1のペプチド9に相当するペプチドQSISNWLNWYQQKPG中の同一の対応する相対的位置1,4,6,7および9を有する先のヘルパーT細胞エピトープを同定し,それゆえ先のTEPITOPE分析はMHC結合コア9merのLNWYQQKPGを示した。ペプチド11から20はコア9mer中の重要な疎水性P1アンカーが欠けており,従って,一時的に非エピトープとして記録される。ペプチド11−20ではなくペプチド1−10がMHCクラスIIアロタイプの範囲と結合するということを予測するこの分析はペプチド1から20のTEPITOPE分析によって支持された。
【0043】
実施例1のT細胞アッセイ方法を用いる,及び475のドナー(参照:図1)を用いる,ペプチド1−20の分析は,ペプチド1から6及び8から10は有意なヘルパーT細胞応答を与え,一方,ペプチド7及びペプチド11−20は有意な応答を与えないことを明示する。これは,実施例1からペプチド9と一致するデータベースは,T細胞エピトープとして,予め分析されていないペプチド1から6及び8から10(共通の相対的な位置1,4,6,7及び9)を正確に同定する結果になるということを示す。対応する相対的位置2,3,5,及び8での一致に対してデータベースでのさらなる照合は,非T細胞エピトープとしてT細胞アッセイによって前もって記録される,及び,ペプチド7(NWLGHYIQKLGAT)(及びペプチド17(NWGGHYIQKLGAT))に対して同一の位置2,3,5,及び8を有する,ペプチド配列GFGHEIGPLGEPを同定した。これは,これらのT細胞受容体接触残基は,MHCクラスIIに結合するペプチド内で,T細胞応答において結果が得られないということを示した。これは対応する相対的位置2,3,5及び8で同一の残基を有する非T細胞エピトープペプチドを有するペプチド7及び17のデータベースの一致は,非T細胞エピトープとして,予め分析していないペプチド7及び17を正確に同定する結果になることを示した。全体的に,対応する相対的位置2,3,5及び8を有するペプチドからの情報は,テストペプチドがT細胞エピトープを含むかどうかを決定できるけれども,この実施例は既知のT細胞エピトープに対して一致する共通の相対的位置1,4,6,7及び9を有するテストペプチドの存在的なT細胞エピトープ活性を明示する。
【実施例3】
【0044】
実施例3:固定T細胞受容体接触残基を有するペプチドの分析
MHC結合ペプチドにおいて,MHC接触残基(対応する相対的位置1,4,6,7及び9)のいずれの組合せのバックグランドにおいても,T細胞応答を誘導するための固定T細胞受容体接触残基(相対的位置2,3,5及び8)の能力は,コア9merのLQHWSYPLTを有する確定されたデータベースT細胞エピトープからT細胞受容体接触残基を用いてテストされる。T細胞受容体接触残基_QH_S__Lは,次に示す他の4つのT細胞エピトープデータベースのバックグラウンドに置換された;FLLTRILTI,ILWEWASVR,LSCAAGGRA,及びFKGEQGPKGは,テストペプチドFQHTSILLI,IQHESASLR,LQHASGGLA,及びFQHESGPLGとなる。コントロールペプチドは,また,次のように改変されたP1残基(F−>G)で作製される;改変されたP1残基(F−>G)は,GQHWSYPLT,,GQHTSILLI,GQHESASLR,GQHASGGLA,及びGQHESGPLGである。
【0045】
これらのペプチドは,さまざまなMHCクラスハロタイプをもつ50個のドナーを用いて実施例1のT細胞アッセイ方法でテストされた。(50個中)反応するドナー数と,反応するドナーに対する平均刺激指数(SI)は,測定され,テストペプチドと比較した。結果は表1に示した。結果は,固定T細胞受容体接触残基_QH_S__Lは,他の4つのT細胞エピトープと異なるバックグラウンドMHC接触残基それぞれのヘルパーT細胞応答を誘発することができたことを示す。そして,もしMHC結合は疎水性P1残基の除去によって,上記T細胞応答が除去されるならば,上記T細胞応答は除去されたことを示す。この例は,固定バックグラウンドのMHC結合残基において,対応する相対的位置2,3,5,及び8での可能性のあるT細胞受容体接触残基の全ての組合せをテストすることによって,このようにT細胞アッセイにおいて20ペプチド(160,000)の分析を必要とすることによって,公知のT細胞エピトープ活性を有するペプチドの大きなデータベースを作製する可能性をも示す。
【実施例4】
【0046】
実施例4:T細胞エピトープ除去による多様な抗CD20抗体の作製
T細胞エピトープのデータベースを,抗CD20抗体Leu16において公知のT細胞エピトープを同定するために用いた(Gillies et al.,Blood 105(2006)p3972−3978)。次のように,Leu16軽鎖可変領域(LH)配列5’−DIVLTQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVNYMDWYQKKPGSSPKPWIYATSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWSFNPPTFGGGTKLEIK−3’のN末端から始まる重複している15merとともに,Leu16重鎖可変領域(VH)配列5’−EVQLQQSGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGQGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSADYYCARSNYYGSSYWFFDVWGAGTTVTVSS−3’のN末端から始まる重複している15merは,VH中の3つの実際のT細胞エピトープ(同一のコア9mer)が同一,及びVL中の潜在的な2つのT細胞エピトープ(疎水性P1アンカーを有する対応する相対的位置2,3,5及び8で同一の残基)が同一になると分析した。
データベースエピトープ9mer
Leu16VH LVKPGASVK LVKPGASVK
FKGKATLTA FKGKATLTA
LTSEDSADY LTSEDSADY
Leu16VL ILSASPGEK LLSGSPAEK
MDWYQKKPG LDWYQKKPG
【0047】
リコンビナントDNA技術は,当技術分野において公知の方法を用いて,必要に応じて,これらの方法に用いた酵素の使用についてサプライヤの取扱説明書を使って行った。一般的な方法の供給源には,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd edition,vols 1−3,Sambrook and Russel(2001)Cold Spring Harber Laboratory Press,及びCurrent Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel,John Wiley and Sonsを含む。Leu16可変領域遺伝子は,Gillesらの方法を用いてクローニングされ修飾され,同書に,上記T細胞エピトープ関連コア9merを置換するために新規ペプチド配列を取り込まれる。適合する非エピトープ9merペプチドは,次のようにデータベースから選択された。
推定T細胞エピトープ データベース非エピトープ9mer
Leu16VH LVKPGASVK ⇒ VVKPGASVK
FKGKATLTA ⇒ FKGRVTLTA
LTSEDSADY ⇒ LRSEDSAVY
Leu16VL ILSASPGEK ⇒ TLSASPGEK
MDWYQKKPG ⇒ MAWYQQKPG
【0048】
これら修飾した9merは,PCRによってLeu VH及びVL配列に導入され,得られた遺伝子は,キメラの重鎖及び軽鎖それぞれをコードするためにヒトIgG1及びヒトκ定常領域を提供する別々のベクターにクローニングした。未修飾(キメラ)の及びエピトープ修飾したLeu16重鎖及び軽鎖を含むプラスミドは,NS0細胞にトランスフェクトされ,安定形質転換細胞は,抗体を回収し,プロテインAを用いて精製するために選択された。
【0049】
抗体のテストは,Gilliesら(同書)に従って行い,CD20+ヒトDaudi Burkittリンパ種細胞株(ATCC,Rockville,MD)をターゲットとして用いた。結合アッセイは,挿入されたデータベース非エピトープを有する修飾された抗体と比較して,キメラ抗CD20の結合をテストするために,FACSフォーマットで行われた。結果(図2)は,Leu16由来の抗CD20抗体を修飾したエピトープが,キメラ抗CD20抗体と比較して,Daudi細胞と同じ効率で結合することを示す。抗CD20抗体で修飾したエピトープは,キメラの抗CD20抗体に替わる潜在的な低免疫原性を提供する。
【実施例5】
【0050】
実施例5:T細胞エピトープの有無についてのA33と抗HER2抗体可変領域の比較
2つのヒト化抗体の可変領域配列である,ヒト化A33抗体(US6307026,Celltech Ltd.)とハーセプチン(登録商標)(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol89(1992)p4285,US5821337)として知られているヒト化抗HER2抗体を,T細胞エピトープデータベースを検索することによって比較した。実施例1に従って生成されたT細胞エピトープのデータベースを用いて,同一の9mer配列が検索され,対応する相対的位置2,3,5及び8を有する9merも検索された。結果は図3に示す。ヒト化A33の場合,T細胞エピトープ活性に陽性なペプチドから得られた3つの同一の9merは,ヒト化A33からのコア9merで,同書に掲載されたSturnioloらの文献でMHCクラスIIへの結合が予想されていた,対応する相対的位置2,3,5,及び8を有するエピトープとでは2カ所が共に一致していることがデータベースで同定された。一致の範囲は,T細胞エピトープ活性を有さないデータベースペプチドで見つけられた(データは示さず)。ヒト化抗HER2抗体の場合,T細胞エピトープ活性にポジティブなペプチドから同一の9merがデータベースで同定されず,コア9merがMHCクラスIIを結合すると予測される対応する相対的位置2,3,5及び8を有するエピトープとでは1カ所の一致が同定された。
【0051】
ヒト化A33と抗HER2抗体は,実施例4の方法に従って構築された。これらは,増殖アッセイにおいて53ドナーを用いて実施例1のようにしてT細胞アッセイで分析され,1mLの抗体を加えて最終濃度10μg/mlとすることで行われた。図4のデータから,抗体添加後,5〜8日間で最大刺激指数を示し,また,有意なT細胞応答が,ヒト化A33では53のドナーから12が観察され,ヒト化抗HER抗体では53のドナーから2のみが観察された。
【0052】
これらのデータは,ヒト化A33抗体の可変領域は有意なT細胞エピトープ(実在3,予想3)を含み,一方,ヒト化抗HER2抗体は,確認されたT細胞エピトープを含まず,他のエピトープから位置2,3,5及び8で所定モチーフを有する1つのエピトープのみが予測されたことを示す。これらのデータはまたヒト化A33と比較して,ヒト化抗HER2抗体(ハーセプチン(登録商標))の臨床免疫原性のレベルが低いことと一致する。
【0053】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞エピトープ活性が予め分析されているペプチドの配列のデータベースを検索することによって,テスト対象のペプチド配列がT細胞エピトープを含むかどうかを決定する方法。
【請求項2】
前記データベースの検索は,前記テスト対象のペプチド配列と同一であるペプチド配列を探すために実行される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テスト対象のペプチド配列は,アミノ酸の全長が9である,請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データベースの検索は,前記テスト対象のペプチド配列に類似しているペプチド配列であって,全長が9〜15のアミノ酸のテスト対象のペプチド配列とは,アミノ酸の数が最大4異なっているペプチド配列を探すために実行される,請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データベースの検索は,対応する相対位置1,4,6,7および9で,同一のアミノ酸を探すために実行される,請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記データベースの検索は,対応する相対位置2,3,5および8で,同一のアミノ酸を探すために実行される,請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記テスト対象のペプチド及び前記データベースで一致したいずれのペプチドについて,さらに,インシリコ技術又はインビボ技術を用いてMHC結合を分析することで,MHC結合を決定する,請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法を用いて,タンパク質配列からペプチドを分析することによって,T細胞エピトープの存在について当該タンパク質配列をテストする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法を用いて,前記T細胞エピトープの存在を断定することによって,1つ又は2つ以上の医薬用タンパク質になりうる免疫原性をテストする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法を用いて,前記T細胞エピトープの存在を断定することによって,1つ又は2つ以上の医薬用タンパク質になりうるワクチンをテストする方法。
【請求項11】
所望の特性と,弱い免疫原性の可能性とを有する改良タンパク質を作り出す方法であって,前記方法は,
(a)新しいタンパク質に所望の特性を与えるために必要なアミノ酸(“所望の残基”)を決定するために,1つ又は2つ以上の既存のタンパク質を分析する工程と,
(b)前記改良タンパク質中に包含するための所望の残基を,既存タンパク質中の残基に対応する位置に含む1つ又は2つ以上のペプチドを,データベース群から選択する工程であって,選択されたペプチドがT細胞エピトープではないか,又は前記改良タンパク質中にT細胞エピトープを作り出さない,工程と,
(c)前記選択されたペプチドを1つ又は2以上包含することによって前記改良タンパク質を合成する工程と,
を含む,方法。
【請求項12】
所望の特性と強い免疫原性の可能性とを有する改良タンパク質を作り出す方法であって,前記方法は,
(a)新しいタンパク質に所望の特性を与えるために必要なアミノ酸(“所望の残基”)を決定するために,1つ又は2つ以上の既存タンパク質を分析する工程と,
(b)前記改良タンパク質中に包含するための所望の残基を,前記既存タンパク質中の残基に対応する位置に含む,前記1つ又は2つ以上のペプチドを,データベース群から選択する工程であって,選択されたペプチドがT細胞エピトープである工程と,
(c)前記選択されたペプチドを1つ又は2つ以上包含することによって前記改良タンパク質を合成する工程と,
を含む,方法。
【請求項13】
テスト対象の物質に対するヘルパーT細胞応答のデータベースを作成する方法であって,前記方法は,
(e)生体から抗原提示細胞(APCs)とT細胞とを単離する工程と,
(f)前記単離した細胞から制御性T細胞を枯渇させるか又は抑制する工程と,
(g)前記制御性T細胞が枯渇化した細胞を前記テスト対象の物質とインキュベートする工程と,
(h)前記テスト対象の物質に対するT細胞応答を測定する工程と,
を含む,方法。
【請求項14】
前記制御性T細胞は,CD25hiT細胞の枯渇によって枯渇している,請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記T細胞では,さらに,CD8+T細胞が枯渇している,請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記T細胞応答の測定は,T細胞増殖の測定,および/又はサイトカイン放出の測定によって行われる,請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記T細胞エピトープはヘルパーT細胞エピトープである,請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記T細胞は細胞障害性T細胞である,請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
エキソビボ技術によってT細胞エピトープ活性が分析されている1つ又は2つ以上のペプチド配列に関するデータを含む,データベース。
【請求項20】
請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法によって分析されたペプチド配列に関するデータを含む,請求項19に記載のデータベース。
【請求項21】
インビボ技術によってT細胞エピトープ活性が分析されている1つ又は2つ以上のペプチド配列に関するデータを含む,データベース。
【請求項22】
MHC四量体を用いて分析されている1つ又は2つ以上のペプチド配列に関するデータを含む,データベース。
【請求項23】
前記T細胞エピトープはヘルパーT細胞エピトープである,請求項19〜22のいずれか1項に記載のデータベース。
【請求項24】
前記T細胞エピトープは細胞障害性T細胞エピトープである,請求項19〜22のいずれか1項に記載のデータベース。
【請求項25】
テスト対象のペプチド配列がT細胞エピトープを含むかどうかを決定する際に用いられる,T細胞エピトープ活性が予め分析されているペプチド配列のデータ構造。
【請求項26】
請求項13〜19のいずれか1項に記載された方法によって分析されたペプチド配列を含む,請求項25に記載のデータ構造。
【請求項27】
エキソビボ技術によってT細胞エピトープ活性が分析されている,1つ又は2つ以上のペプチド配列を含む,請求項25又は請求項26に記載のデータ構造。
【請求項28】
インビボ技術によってT細胞エピトープ活性が分析されている,1つ又は2つ以上のペプチド配列を含む,請求項25〜27のいずれか1項に記載のデータ構造。
【請求項29】
MHC四量体を用いて分析されている1つ又は2つ以上ペプチド配列を含む,請求項25〜28のいずれか1項に記載のデータ構造。
【請求項30】
前記T細胞エピトープはヘルパーT細胞エピトープである請求項25〜29のいずれか1項に記載のデータ構造。
【請求項31】
前記T細胞エピトープは細胞障害性T細胞エピトープである請求項25〜29のいずれか1項に記載のデータ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505929(P2010−505929A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531914(P2009−531914)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003868
【国際公開番号】WO2008/044032
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(507165486)アンチトープ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】