説明

TAB(TapeAutomatedBonding)テープ、及び、半導体装置の製造方法

【課題】開口と、当該開口に先端が延在しているリードとを有するTAB(Tape Automated Bonding)テープにおけるリード変形を軽減する。
【解決手段】開口12を有する絶縁性フィルム6と、絶縁性フィルム6上から開口12内に延在し、半導体チップに環状に配置された複数の第1パッド各々に開口12内で接続する複数の第1リード3a、及び、第1パッドよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット各々に開口12内で接続する複数の第2リード3bと、開口12内に位置し、複数の第1リード3aと繋がり、第2リード3bとは繋がらないリード端部保持部材13とを有するTABテープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TABテープ、及び、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TABテープは、開口と、当該開口に先端が延在しているリードとを有する。このようなTABテープは、リードの上記開口内に位置する部分が曲がったり、変形したり(以下、これらをまとめて「リード変形」という。)しやすいという問題がある。リード変形が生じると、リードと、半導体チップに形成されたパッドとの位置ずれが生じるなどの不都合が生じ得る。
【0003】
ここで、特許文献1及び2には、以下のような技術が記載されている。
【0004】
図17は、特許文献1に記載されたTABテープの要部を示す平面概略図である。図18は、図17のA部を拡大した平面概略図である。これらの図は、半導体チップを搭載する前の状態を示している。なお、これらの図は特許文献1に開示されていたものであり、符号は新たに付し直している。
【0005】
図17に示すように、特許文献1に記載のTABテープ200は、開口120と、複数のリード300a及び300bとを有する。複数のリード300a及び300bの先端部は開口120内に延在し、当該先端部は、半導体チップに千鳥状に配置されたパッド各々の位置に対応している。
【0006】
そして、図18に示すように、複数のリード300a及び300bの中の、半導体チップの内側に配置されたパッドに接続される複数のリード300aの先端部160は、半導体チップの外側に配置されたパッドに接続される複数のリード300bの先端部よりも接合部の面積が大きい。
【0007】
特許文献1には、このようなTABテープ200によれば、リード300aがインナーリードボンディング時に曲がり、リード300aとパッドとの位置ずれが発生しても、リード300aの先端部160の面積が大きいので、十分な接合強度が得られると記載されている。
【0008】
次に、図19は、特許文献2に記載されたTABテープの要部を示す平面概略図である。当該図は、半導体チップを搭載する前の状態を示している。なお、当該図は特許文献2に開示されていたものであり、符号は新たに付し直している。
【0009】
図19に示すように、特許文献2に記載のTABテープ201は、開口121と、複数のリード301とを有する。複数のリード301の先端部は開口121内に延在し、当該先端部は、開口121内に位置する接続部材131を介して互いに接続されている。接続部材131は、TABテープ201に半導体チップが搭載された後、リード301の細部171部分が切断されることで、TABテープ201から取り除かれる。
【0010】
なお、接続部材131を取り除く手段としては、以下のような手段が記載されている。TABテープ201に半導体チップを載置し、リード301の細部171よりも根元側部分(半導体チップに配置されたパッド各々の位置に対応している部分)を半導体チップの方向に押圧することでリード301とパッドとを接続した後、当該部分の押圧状態を維持したまま接続部材131をバキュームコレットで吸着し、図19の紙面に対して垂直な方向に引き上げる。このようにして、接続部材131を、リード301の細部171より取り除く。
【0011】
特許文献2には、このようなTABテープ201によれば、TABテープ201製造時の搬送や運搬によるダメージからリード301を保護し、リード301のリード変形を軽減できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−55404号公報
【特許文献2】特開平10−173009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載の技術は、リード変形が生じることを前提とし、当該事態が生じた場合においても、リードとパッドとの十分な接合強度を確保するための技術である。すなわち、特許文献1に記載の技術は、リード変形を軽減することはできない。
【0014】
特許文献2に記載の技術は、複数のリードが半導体チップに環状一列に配置されたパッドと接続することを前提としている。しかし、複数のリードは、図17及び18に示すように、半導体チップに環状二列に配置されたパッドと接続する場合がある。本発明者は、特許文献2に記載の技術を、このような半導体チップを搭載するために利用することを検討した結果、以下のような問題があることを発見した。
【0015】
複数のリードが半導体チップに環状一列に配置されたパッドと接続する場合、図19に示すように、リード301の細部171は環状一列になるよう構成され、結果、接続部材131を取り除いた後のリード301の先端部(半導体チップに配置されたパッド各々の位置に対応している部分)は環状一列になる。図19に示すように、切断箇所となる細部171が略直線状に配列されている場合、複数の細部171を一度に切断することは容易である。
【0016】
しかし、複数のリードが半導体チップに環状二列に配置されたパッドと接続する場合、接続部材131を取り除いた後のリード301の先端部が環状二列になるように、リード301の細部171は環状二列になるよう構成される。例えば、図17及び18に示すように複数のリードの先端がジグザグに配列される場合、細部171も同様にジグザグに配列される。このように、細部171が略直線状に配列されていない場合、複数の細部171を一度に切断することは困難となる。
【0017】
また、特許文献2に記載の技術のように、TABテープに半導体チップを搭載後、TABテープから接続部材を取り除く場合、ボンディング時の熱により接続部材131が熱膨張し、当該熱膨張により、接続部材131に繋がったリード301にリード変形が生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、開口を有する絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルム上から前記開口内に延在し、半導体チップに環状に配置された複数の第1パッド各々に前記開口内で接続する複数の第1リード、及び、前記第1パッドよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット各々に前記開口内で接続する複数の第2リードと、前記開口内に位置し、複数の前記第1リードと繋がり、前記第2リードとは繋がらないリード端部保持部材と、を有するTAB(Tape Automated Bonding)テープが提供される。
【0019】
また、本発明によれば、前記TABテープを準備する準備工程と、前記TABテープから前記リード端部保持部材を除去する除去工程と、前記除去工程の後、前記TABテープ上に半導体チップを搭載する搭載工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0020】
本発明では、第1リード及び第2リードの内、リード変形が生じやすい第1リードのみを、リード端部保持部材で互いに接続する。このような本発明によれば、TABテープの製造工程や、保管・搬送時に、第1リードにリード変形が生じる不都合を軽減することができる。なお、本発明では、第2リードにリード変形が生じることを軽減することはできない。しかし、本発明では、リード変形の生じやすい第1リードのリード変形を軽減することができるので、十分なリード変形の軽減効果を実現することができる。
【0021】
また、本発明でリード端部保持部材に繋がる複数の第1リードは、半導体チップに環状に配置された複数の第1パッド各々に接続する。すなわち、第1リードの第1パッドと接続する部分は、環状に配置されることとなる。このため、リード端部保持部材を除去する際に複数の第1リード各々を切断する部分(リード切断部分)は環状一列に配置されることとなる。結果、複数の第1リード各々の切断を一度に容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、半導体チップに環状に配置された複数の第1パッド各々に接続する複数の第1リード、及び、第1パッドよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット各々に接続する複数の第2リードを有するTABテープにおけるリード変形を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図2】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図3】本実施形態の半導体チップの要部を示す平面概略図の一例である。
【図4】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図5】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図6】本実施形態のTABテープの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の半導体装置の断面概略図の一例である。
【図8】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の半導体装置の製造方法で用いるILBボンダの概略図の一例である。
【図11】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図12】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図13】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図14】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図15】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図16】本実施形態のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図17】従来のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図18】従来のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【図19】従来のTABテープの要部を示す平面概略図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0025】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態のTABテープの構成について説明する。図1は、本実施形態のTABテープ2の要部を示す平面概略図の一例である。図2は、図1のC部を拡大した平面概略図である。これらの図は、半導体チップを搭載する前の状態を示している。
【0026】
図1に示すように、本実施形態のTABテープ2は、開口12を有する絶縁性フィルム6と、第1リード3aと、第2リード3bと、リード端部保持部材13と、を有する。本実施形態のTABテープ2が有するその他の構成要素は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。以下、各構成要素について説明する。
【0027】
開口12を有する絶縁性フィルム6の構成は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。例えば、絶縁性フィルム6は、ポリイミドをベースとしたフィルムであってもよい。また、開口12の大きさ及び形状は特段制限されず、設計的事項である。
【0028】
なお、絶縁性フィルム6の表面には、ソルダーレジストが塗布されるとともに、複数のBGA(Ball Grid Array)ランド4が設けられてもよい。ソルダーレジスト及びBGAランド4の構成は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。
【0029】
第1リード3a及び第2リード3bは、例えば銅で構成することができる。第1リード3a及び第2リード3bの数、太さ、長さ等は設計的事項であるが、第1リード3a及び第2リード3bは、図19に示すような切断のための細部171を有さない構成とすることができる。
【0030】
第1リード3a及び第2リード3bは、図1に示すように、交互に配置されてもよい。また、図1に示すように、四角形の開口12の第1の辺から延在している複数の第1リード3a及び第2リード3bは、最も外側の両端に第1リード3aが位置するように配置されてもよい。
【0031】
第1リード3aは、絶縁性フィルム6上から開口12内に延在し、半導体チップ(図1、2中、図示せず)に環状に配置された複数の第1パッド各々に開口12内で接続する。第2リード3bは、絶縁性フィルム6上から開口12内に延在し、半導体チップ(図1及び2中、図示せず)に上記第1パッドよりも外周側に環状に配置された複数の第2パッド各々に開口12内で接続する。図1に示す第1リード3a及び第2リード3bは、BGAランド4と接続している。
【0032】
ここで、図3に、本実施形態の半導体チップ1の平面概略図の一例を示す。当該図は、第1パッド1a及び第2パッド1bの配列を説明するために必要な構成のみを抽出した図である。
【0033】
図3に示すように、半導体チップ1には、複数の第1パッド1a及び第2パッド1bが配列されている。複数の第1パッド1aは環状一列に配列されている。そして、複数の第2パッド1bは、第1パッド1aよりも外周側に、環状一列に配列されている。なお、第1パッド1a及び第2パッド1bの形状、大きさ、数、パッド間の間隔等は設計的事項である。
【0034】
図1及び2に戻り、リード端部保持部材13は、開口12内に位置し、複数の第1リード3aと繋がり、第2リード3bとは繋がらない。リード端部保持部材13は例えば銅で構成することができる。リード端部保持部材13の形状及び大きさは図示するものに限定されず、複数の第1リード3aと繋がり、第2リード3bとは繋がらない構成を実現できれば、その他の形状及び大きさとすることもできる。
【0035】
なお、リード端部保持部材13は、TABテープ2に半導体チップ1を搭載する前、例えば、半導体チップ1が有する複数の第1パッド1a及び第2パッド1bと、TABテープ2が有する複数の第1リード3a及び第2リード3b各々とを接続するILB(Inner lead Bonding)工程の直前の工程において、図4及び5に示すリード切断部分14で第1リード3aが切断されることで、TABテープ2から除去される。
【0036】
図4は、リード端部保持部材13を除去後の本実施形態のTABテープ2の要部を示す平面概略図の一例である。図5は、図4のD部を拡大した平面概略図である。これらの図は、半導体チップを搭載する前の状態を示している。当該状態となった後、TABテープ2に半導体チップが搭載される。
【0037】
次に、本実施形態のTABテープ2の製造方法の一例について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、TABテープの基材として例えばポリイミドのテープ(以下、「PIテープ」)を用意する。そして、用意したPIテープに、金型等を使用してデバイスホール(開口12)を形成する(S11)。
【0039】
次いで、デバイスホールを形成したPIテープに銅箔をラミネートする(S12)。その後、当該銅箔上にホトレジストを塗布(S13)し、露光と現像(S14)の後に、銅箔をエッチング(S15)して、複数の第1リード3a、第2リード3b及びリード端部保持部材13のパターンを含んだ銅箔パターンを形成する。その後、ホトレジストを除去する(S16)。
【0040】
次に、ソルダーレジストを塗布し(S17)、露光と現像(S18)により、ソルダーレジストのパターン形成を行う。その後、電解メッキ(S19)により銅箔で形成されたパターン上に表面処理を行った後、外観検査(S20)を行うことでTABテープが完成する。
【0041】
次に、本実施形態のTABテープ2を用いた半導体装置の構成の一例について説明する。図7は、本実施形態の半導体装置の断面概略図を示す。
【0042】
図7に示すように、本実施形態の半導体装置は、半導体チップ1がTABテープ2に搭載されている。そして、半導体チップ1上の外部端子(第1パッド1a及び第2パッド1b、図示せず)と、TABテープ2が有する第1リード3a及び第2リード3bが接続されている。
【0043】
TABテープ2は接着材9によりスティフナー10と接着され、スティフナー10は接着材9によりリッド8と接着されている。また、半導体チップ1の裏面側(図中、上側)は放熱ペースト7によりリッド8と接着されている。半導体チップ1上の第1パッド1a及び第2パッド1b、他のチップ表面、及び、第1パッド1a及び第2パッド1bと接続した第1リード3a及び第2リード3bは樹脂11により被覆され、外界から保護されている。
【0044】
TABテープ2の図中下側の面においては、ソルダーレジストに開口を配置してこれをBGAランド4とし、当該BGAランド4と接して、回路基板と接続するためのはんだボール5が形成されている。
【0045】
なお、はんだボール5、放熱ペースト7、リッド8、接着材9、スティフナー10、樹脂11の構成は、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。
【0046】
次に、本実施形態のTABテープ2を用いた半導体装置の製造方法の一例について、説明する。本実施形態の半導体装置の製造方法は、図8のフローチャートに示すように、準備工程S1と、除去工程S2と、搭載工程S3と、を有する。
【0047】
準備工程S1では、本実施形態のTABテープ2を準備する。
除去工程S2では、準備工程S1で準備したTABテープ2から、リード端部保持部材13を除去する。
搭載工程S3では、除去工程S2の後、TABテープ2上に半導体チップ1を搭載する。
【0048】
以下、図9のフローチャートを用いて、除去工程S2以後の処理の流れの一例を説明する。まず、図10を用いて、除去工程S2及び搭載工程S3に用いる装置の一例について説明する。図10は、ILBボンダの要部の一例を示す概略図である。
【0049】
TABテープ2が長尺の場合、TABテープ2はリールに巻かれた状態で梱包される。このため、ILBボンダでは、巻き出し用リール22と巻き取り用リール23が準備される。また、ILBボンダは、TABテープ2を、巻き出し用リール22から巻き取り用リール23に搬送するための搬送ローラ24及び25を有する。
【0050】
また、ILBボンダは、第1リード3aのリード切断部分14に力を加えて、リード切断部分14を切断するためのリードカット用上金型部18と、リードカット用下金型部19とを有する。リードカット用上金型部18及びリードカット用下金型部19は、第1リード3aのリード切断部分14に、2つの方向から挟みこむように力を加えることで、リード切断部分14を切断する。また、リードカット用上金型部18及びリードカット用下金型部19は、複数の第1リード3aを同一の処理により、一度に切断する。このように構成しても、図1及び2に示すように、リード切断部分14は直線状に並んでいるので、リードカット用上金型部18及びリードカット用下金型部19の形状が複雑になる等の不都合はない。また、金型とリード切断部分14との位置合わせを比較的容易に行うことができる。
【0051】
さらに、ILBボンダは、半導体チップ1に形成された第1パッド1a及び第2パッド1b各々と、TABテープ2が有する第1リード3a及び第2リード3b各々とを接続(ILBボンディング)するための、ILBボンディング用ステージ部21とILBボンディング部20を有する。以下、このようなILBボンダを用いて実現される除去工程S2以後の処理の流れの一例を説明する。
【0052】
図10に示すようなILBボンダにおいて、巻き出し用リール22から巻き取り用リール23に向かってTABテープ2が搬送されると、まず、リードカット用上金型部18及びリードカット用下金型部19により、第1リード3aのリード切断部分14が切断され、リード端部保持部材13が除去される(S21:除去工程S2)。
【0053】
その後、リード端部保持部材13が除去されたTABテープ2の所定位置に半導体チップ1が載置され、ILBボンディング用ステージ部21及びILBボンディング部20により、半導体チップ1に形成された第1パッド1a及び第2パッド1b各々と、TABテープ2が有する第1リード3a及び第2リード3b各々とが接続される(S22:搭載工程S3)。
【0054】
次に、TABテープ2に接着材によりスティフナー10が貼付される(S23)。次いで、半導体チップ1上の第1パッド1a及び第2パッド1b、他のチップ表面、及び、第1パッド1a及び第2パッド1bと接続した第1リード3a及び第2リード3bに樹脂11が塗布され、これらが樹脂11で被覆されて外界から保護される(S24)。
【0055】
次に、TABテープ2のBGAランド4に、はんだボール5を搭載し、リフローすることにより、回路基板と接続するための外部端子としてのはんだボール5が形成される(S25)。その後、スティフナー10は接着材によりリッド8と接着される(S26)。また、S26と同時に、半導体チップ1の裏面側は放熱ペーストによりリッド8と接着される。最後にリッド8上に表示としてのマーキング(捺印)が行われて(S27)、テープBGA型半導体装置の組立工程が完了する。
【0056】
次に、本実施形態により実現される作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態のTABテープ2は、半導体チップ1に環状に配置された複数の第1パッド1a各々に接続する複数の第1リード3aと、第1パッド1aよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット1b各々に接続する複数の第2リード3bとを有する。すなわち、第1リード3a及び第2リード3bは、図4に示すように、開口12内に延在している部分の長さが異なり、その先端部は略直線状に配列されず、例えばジグザグに配列される。
【0058】
このように構成されたTABテープ2において、リード変形を軽減する目的で図19に示す接続部材131を採用し、第1リード3a及び第2リード3bの全ての先端を相互に接続してしまうと、接続部材131を除去する際に切断されるリードの切断部分は直線状に配列されず、例えばジグザグに配列されてしまうので、リードを一度に切断することは困難となる。
【0059】
例えば、金型を用いて非直線状に配列された複数の切断部分を一度に切断する場合、金型形状が複雑になってしまい、金型が高価になってしまう。また、金型と、切断部分との位置合わせ精度の確保が困難になってしまう。
【0060】
このような問題に対し、本実施形態では、TABテープ2が有する複数のリードの中の、開口12に延在している部分が長いリードや、例えば四角形状の開口12の角部に最も近いリードは、リード変形が生じやすいことに着目し、リード変形が生じやすいリード、すなわち、半導体チップ1に環状に配置された複数の第1パッド1a各々に接続する複数の第1リード3aのみを、リード端部保持部材13により互いに接続する。すなわち、第1パッド1aよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット1b各々に接続する複数の第2リード3bは、リード端部保持部材13と繋がない。
【0061】
かかる場合、図1に示すように、リード端部保持部材13を除去するためのリード切断部分14は直線状に配列されるので、例えば金型を用いて、一度に容易に切断することができる。そして、当該金型形状は比較的シンプルなものとなるので、必要以上に高価になることはなく、また、金型と切断部分との位置合わせ精度の確保が十分になされる。
【0062】
なお、リード端部保持部材13は、半導体チップ1をTABテープ2に搭載する前、例えば、半導体チップ1が有する複数のパッドと、TABテープ2が有する複数のリードとを接続するILB工程の直前の工程までTABテープ2に保持され、第1リード3aの先端を相互に接続する。
【0063】
このような本実施形態によれば、リード変形が生じやすい第1リード3aが、TABテープの製造工程や、保管・搬送時に、リード変形が生じる不都合を軽減することができる。なお、本実施形態では、第2リード3bはリード端部保持部材13と繋がないため、第2リード3bのリード変形を軽減することはできない。しかし、リード変形の生じやすい第1リード3aのリード変形を軽減することができるので、十分なリード変形の軽減効果を実現することができる。
【0064】
また、本実施形態では、半導体チップをTABテープに搭載する前に、リード端部保持部材13をTABテープから除去する。
【0065】
このような本実施形態によれば、ILB工程の際にはリード端部保持部材13は除去されているので、ILB時の熱によりリード端部保持部材13が熱膨張し、当該熱膨張に起因して、リード端部保持部材13に繋がっている第1リード3aにリード変形が生じるという不都合が生じることはない。
【0066】
また、本実施形態のように半導体チップ1をTABテープ2に搭載する前にリード端部保持部材13をTABテープ2から除去する場合、リード端部保持部材13の除去を、例えば金型等を用いて容易に実現することができる。このため、図19に示すような切断のための細部171を、第1リード3aが有する必要はない。
【0067】
リード端部保持部材13に繋がったリードが、図19に示すような切断のための細部171を有する場合、TABテープ2の製造工程や、保管・搬送時に、細部171が何らかの外力を受け、意図せず切断されてしまう場合がある。本実施形態は、上述の通り細部171を備える必要がないので、上述のような問題が生じることはない。
【0068】
また、本実施形態では、第1リード3aのリード切断部分14に2つの方向から挟みこむように力を加えることで、リード切断部分14を切断し、TABテープ2からリード端部保持部材13を除去することができる。このような本実施形態によれば、リード端部保持部材13の除去工程に起因して、第1リード3aが変形するという不都合を回避することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
まず、本実施形態のTABテープの構成について説明する。図11及び12は、本実施形態のTABテープ2の要部を示す平面概略図の一例である。これらの図は、第1の実施形態で説明した図2に相当する図である。
【0070】
図11及び12に示すように、本実施形態のリード端部保持部材13は、開口13aを有する。開口13aの構成(形状、大きさ、数など)は図示するものに限定されず、その他の構成とすることもできる。
【0071】
なお、本実施形態のTABテープ2のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本実施形態のTABテープ2の製造方法、本実施形態のTABテープ2を用いた半導体装置、及び、当該半導体装置の製造方法は第1の実施形態に準じて実現することができるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
本実施形態によれば、リード端部保持部材13を軽量化することができるので、リード端部保持部材13に繋がる第1リード3aに加わる負荷を軽減することができる。
【0073】
<第3の実施形態>
まず、本実施形態のTABテープの構成について説明する。図13は、本実施形態のTABテープ2の要部を示す平面概略図の一例である。図14は、図13のE部を拡大した平面概略図である。また、図15は、リード端部保持部材13を除去後の本実施形態のTABテープ2の要部を示す平面概略図の一例である。図16は、図15のF部を拡大した平面概略図である。これらの図は、半導体チップを搭載する前の状態を示している。
【0074】
図14及び16に示すように、絶縁性フィルム6は、開口12内に向かって第1リード3aに接して伸びた凸部15を複数有する。なお、凸部15の長さは特段制限されないが、例えば、第1リード3a及び第2リード3bの開口12内に位置し絶縁性フィルム6と接しない部分の長さが等しくなる程度であってもよい。
【0075】
なお、本実施形態のTABテープ2のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、本実施形態のTABテープ2の製造方法、本実施形態のTABテープ2を用いた半導体装置、及び、当該半導体装置の製造方法は第1の実施形態に準じて実現することができるので、ここでの説明は省略する。
【0076】
本実施形態によれば、凸部15が第1リード3aの支持部として機能する結果、第1リード3aのリード変形を軽減することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 半導体チップ
1a 第1パッド
1b 第2パッド
2 TABテープ
3a 第1リード
3b 第2リード
4 BGAランド
5 はんだボール
6 絶縁性フィルム
7 放熱ペースト
8 リッド
9 接着剤
10 スティフナー
11 樹脂
12 開口
13 リード端部保持部材
13a 開口
14 リード切断部分
15 凸部
18 リードカット用上金型部
19 リードカット用下金型部
20 ILBボンディング部
21 ILBボンディング用ステージ部
22 巻き出し用リール
23 巻き取り用リール
24 搬送ローラ
25 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する絶縁性フィルムと、
前記絶縁性フィルム上から前記開口内に延在し、半導体チップに環状に配置された複数の第1パッド各々に前記開口内で接続する複数の第1リード、及び、前記第1パッドよりも外周側に環状に配置された複数の第2パット各々に前記開口内で接続する複数の第2リードと、
前記開口内に位置し、複数の前記第1リードと繋がり、前記第2リードとは繋がらないリード端部保持部材と、
を有するTAB(Tape Automated Bonding)テープ。
【請求項2】
請求項1に記載のTABテープにおいて、
前記絶縁性フィルムは、前記開口内に向かって前記第1リードに接して伸びた凸部を有するTABテープ。
【請求項3】
請求項2に記載のTABテープにおいて、
前記第1リード及び前記第2リードは、
前記開口内に位置し、前記絶縁性フィルムと接していない部分の長さが等しいTABテープ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のTABテープにおいて、
前記リード端部保持部材は、開口を有するTABテープ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のTABテープを準備する準備工程と、
前記TABテープから前記リード端部保持部材を除去する除去工程と、
前記除去工程の後、前記TABテープ上に半導体チップを搭載する搭載工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記除去工程では、前記第1リードに2つの方向から挟み込むように力を加えて前記第1リードを切断することで、前記TABテープから前記リード端部保持部材を除去する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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