説明

TCP型半導体装置

【課題】TCP型半導体装置の製造コストを削減する方法を提供する。
【解決手段】TCP型半導体装置は、ベースフィルムと、ベースフィルム上に搭載された半導体チップと、ベースフィルム上に形成され、半導体チップと電気的に接続された複数のリード30と、を備える。複数のリード30の各々は、外部に露出した外部端子部40を有する。各リード30の外部端子部40は、厚さが第1厚さである第1部分41と、厚さが第1厚さよりも小さい第2厚さである第2部分42と、を含む。複数のリード30のうち隣り合うリード間で、第1部分41と第2部分42とは互いに対向するように位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びそのテスト方法に関する。特に、本発明は、TCP(Tape Carrier
Package)型の半導体装置及びそのテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のテストにおいて用いられるプローブカードが知られている。プローブカードは、テスト対象が有するテスト端子と接触するプローブ(探針)を多数備えている。そして、それぞれのプローブの先端を対応するテスト端子と接触させ、テスタからプローブカードを通してテスト対象にテスト信号を供給し、また、テスト対象から出力信号を取り出すことにより、テストが実施される。この時、ショート不良等が発生しないように、各プローブを対応するテスト端子に1対1で正確に接触させることが必要である。
【0003】
その一方で、近年、半導体装置の微細化や端子数の増大により、テスト端子間のピッチが小さくなってきている。従って、プローブカードも、テスト端子の狭ピッチ化に対応する必要がある。例えば、テスト端子の狭ピッチ化に伴って、プローブカードの隣り合うプローブの先端間のピッチも小さくすることが考えられる。但し、隣り合うプローブ間で絶縁性を確保する必要があるため、プローブ先端間のピッチを小さくすることにも限界がある。そこで、プローブの先端位置を複数の列に分散させることが提案されている。これにより、プローブ間の絶縁性を確保しつつ、プローブ先端間の実質的なピッチを小さくすることが可能となり、テスト端子の狭ピッチ化に対応することができる。そのようなプローブパターンを有するプローブカードは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されている。
【0004】
また、TCP(Tape Carrier Package)型の半導体装置が知られている。TCPの場合、TAB(Tape Automated Bonding)テープ等のベースフィルム上に半導体チップが搭載される。TCP型半導体装置は、COF(Chip On Film)と一般的に呼ばれているものも含む。
【0005】
図1は、特許文献4に開示されているTCP型半導体装置を概略的に示す平面図である。図1において、ベースフィルム(キャリアテープ)110上に半導体チップ120が搭載されている。また、ベースフィルム110上には、複数のリード130と複数のコンタクトパッド140が形成されている。複数のリード130のそれぞれは、複数のコンタクトパッド140のそれぞれと半導体チップ120とを電気的に接続している。
【0006】
より詳細には、図1に示されるように、各リード130を部分的に覆うようにソルダーレジストSRが形成されている。ソルダーレジストSRは、リード130の上に塗布される樹脂であり、リード130を電気的に絶縁すると共に、腐食等の化学的ストレス及び外力によるリード130への物理的ストレスを緩和する役割を果たす。ソルダーレジストSRが形成されていない領域のリード130は、電気的に外部と接続可能な端子となり、その領域が端子領域となる。半導体チップ120は、ソルダーレジストSRが形成されていない中央の端子領域上に実装され、実装後に樹脂封止される。一方、ソルダーレジストSRが形成されていない外側の端子領域は、外部端子領域であり、コンタクトパッド140と電気的に接続されている。
【0007】
そのコンタクトパッド140は、半導体装置のテスト時に用いられるテスト端子であり、ベースフィルム110上の所定の領域(パッド配置領域RP)中に配置されている。つまり、半導体装置のテスト時、プローブカードのプローブは、パッド配置領域RP中のコンタクトパッド140と接触する。そして、コンタクトパッド140及びリード130を通して、半導体チップ120にテスト信号が供給され、また、半導体チップ120から出力信号が取り出される。尚、ここで用いられるプローブカードも、プローブの先端位置が複数の列に分散したプローブパターンを有する。そのようなプローブパターンに対応して、コンタクトパッド140も、図1に示されるように複数の列に分散的に配置されている。
【0008】
図1において、ベースフィルム110の幅方向及び延在方向は、それぞれx方向及びy方向である。図1で示された構造は、y方向に沿って繰り返し形成されている。テスト終了後、半導体チップ120を1つずつ切り分ける際には、図1中の破線で示されるカットラインCLに沿って、ベースフィルム110及び複数のリード130が切断される。この時、パッド配置領域RP中のコンタクトパッド140は、ベースフィルム110上に残ったままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−94668号公報
【特許文献2】特開平8−222299号公報
【特許文献3】実開平4−5643号公報
【特許文献4】特開2004−356339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、半導体チップの端子数は増大しており、テスト時に半導体チップに供給されるテスト信号の数や半導体チップから取り出される出力信号の数も増加している。このことは、図1で示されたTCP型半導体装置におけるコンタクトパッド140の数の増加を意味する。コンタクトパッド140の数の増加は、パッド配置領域RPの増大、すなわち、ベースフィルム110の幅及び長さの増大を招く。結果として、TCP型半導体装置の製造コストが増大してしまう。従って、TCP型半導体装置の製造コストを削減することができる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点において、TCP型半導体装置が提供される。そのTCP型半導体装置は、ベースフィルムと、ベースフィルム上に搭載された半導体チップと、ベースフィルム上に形成され、半導体チップと電気的に接続された複数のリードと、を備える。複数のリードの各々は、外部に露出した外部端子部を有する。各リードの外部端子部は、厚さが第1厚さである第1部分と、厚さが第1厚さよりも小さい第2厚さである第2部分と、を含む。複数のリードのうち隣り合うリード間で、第1部分と第2部分とは互いに対向するように位置している。
【0012】
本発明の他の観点において、TCP型半導体装置は、ベースフィルムと複数の半導体装置とを備えている。ベースフィルムは、カットラインで囲まれる領域であるデバイス領域を複数有し、そのカットラインに沿って切断される。複数の半導体装置は、複数のデバイス領域のそれぞれの内側に配置される。複数の半導体装置の各々は、ベースフィルム上に搭載された半導体チップと、ベースフィルム上に形成され、半導体チップと電気的に接続された複数のリードと、を備える。複数のリードの各々は、外部に露出した外部端子部を有する。各リードの外部端子部は、厚さが第1厚さである第1部分と、厚さが第1厚さよりも小さい第2厚さである第2部分と、を含む。複数のリードのうち隣り合うリード間で、第1部分と第2部分とは互いに対向するように位置している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、TCP型半導体装置の製造コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、典型的なTCP型半導体装置を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係るTCP型半導体装置を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、本実施の形態に係る1単位のTCP型半導体装置を示す平面図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る外部端子部の構成例を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4で示された構成例の平面図である。
【図6】図6は、図5中の線A−A'に沿った断面図である。
【図7】図7は、本実施の形態に係る外部端子部とプローブとの接続を示す斜視図である。
【図8】図8は、本実施の形態に係る外部端子部とプローブとの接続を示す側面図である。
【図9A】図9Aは、比較例の場合のコンタクトマージンを示している。
【図9B】図9Bは、本実施の形態の場合のコンタクトマージンを示している。
【図10】図10は、本実施の形態に係る外部端子部と基板側電極との接続を示す断面図である。
【図11】図11は、本実施の形態に係る外部端子部の第1の変形例を示す平面図である。
【図12】図12は、本実施の形態に係る外部端子部の第2の変形例を示す平面図である。
【図13】図13は、本実施の形態に係る外部端子部の第3の変形例を示す平面図である。
【図14】図14は、本実施の形態に係る外部端子部の第4の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
1.構成
図2は、本実施の形態に係るTCP型半導体装置の構成を概略的に示している。TCP型半導体装置では、TABテープ等のベースフィルム(キャリアテープ)10が用いられる。図2に示されるように、ベースフィルム10の幅方向及び延在方向は、それぞれ、x方向及びy方向である。x方向とy方向は、互いに直交する平面方向である。
【0017】
ベースフィルム10上には、複数の半導体チップ20が搭載される。より詳細には、ベースフィルム10は、y方向に沿って順番に配置された複数のデバイス領域RDを有している。各デバイス領域RDは、ベースフィルム10上のカットラインCLで囲まれた領域である。そして、複数の半導体チップ20は、それら複数のデバイス領域RDのそれぞれの内側に配置される。1つの半導体装置1は、半導体チップ20を含む1つのデバイス領域RDの内側全てに対応している。すなわち、ベースフィルム10上で、半導体装置1がy方向に沿って繰り返し配置されている。半導体装置を1つずつ切り分ける際には、カットラインCLに沿ってベースフィルム10が切断される。尚、本実施の形態では、ベースフィルム10上に、図1で示されたようなパッド配置領域RPは設けられない。図2に示されるように、デバイス領域RDのみが繰り返し現れる。
【0018】
図3は、1単位のTCP型半導体装置を示している。図3に示されるように、1つの半導体装置1は、ベースフィルム10上に搭載された半導体チップ20、及びベースフィルム10上に形成された複数のリード30を備えている。複数のリード30は、半導体チップ20と電気的に接続されている。より詳細には、各リード30は、第1端部31と、その第1端部31の逆側に位置する第2端部32とを有している。このうち第1端部31が半導体チップ20と直接接続されており、他方の第2端部32はオープンである。
【0019】
また、リード30を部分的に覆うようにソルダーレジストSRが形成されている。ソルダーレジストSRは、リード30の上に塗布される樹脂であり、リード30を電気的に絶縁すると共に、腐食等の化学的ストレス及び外力によるリード30への物理的ストレスを緩和する役割を果たす。ソルダーレジストSRが形成されていない領域のリード30は、電気的に外部と接続可能な端子となる。半導体チップ20は、ソルダーレジストSRが形成されていない中央付近の領域に実装され、実装後に樹脂封止される。このようにソルダーレジストSRや半導体チップ20で覆われた領域は、以下「被覆領域RC」と参照される。被覆領域RC中のリード30は、基本的にはソルダーレジストSRや半導体チップ20実装後の封止に使用する樹脂に覆われており、露出していない。
【0020】
一方、被覆領域RCの外側の領域において、リード30は外部に露出している。そのリード30の露出部分が、他のデバイスとの接続に用いられる外部端子部(外部接続端子)40である。例えば、半導体チップ20が液晶表示パネル駆動用のICである場合、外部端子部40は、液晶表示パネルの電極と接続される。それにより、液晶表示パネルとその駆動用の半導体チップ20とが電気的に接続される。尚、その接続工程は、一般に、OLB(Outer Lead Bonding)と呼ばれている。
【0021】
リード30の外部端子部40が形成される領域は、以下「外部端子領域(OLB領域)RE」と参照される。図3に示されるように、外部端子領域REにおいて、それぞれのリード30の外部端子部40はy方向に延在しており、互いに平行である。また、各外部端子部40の先端部は、上述の第2端部32である。尚、外部端子領域REの対向する2辺のうち、半導体チップ20側の辺は被覆領域RCの一辺と一致し、他方の辺はカットラインCLの一辺と一致している。つまり、外部端子領域REは、カットラインCLの外側にはみ出していない。
【0022】
尚、図3に示されるように、外部端子領域REにおいて全てのリード30は同じ長さを有していると好適である。言い換えれば、外部端子部40の長さは、全てのリード30で同じであると好適である。それぞれの外部端子部40は、カットラインCLよりも内側の同じ位置まで延びてきており、それぞれの第2端部32(先端部)の位置はx方向に沿って整列している。このように全リード30の先端が揃っていると、その製造が簡易となり、好適である。
【0023】
本実施の形態では、ベースフィルム10上に、図1で示されたようなパッド配置領域RPは設けられない。つまり、図1で示されたようなテスト専用のコンタクトパッド140は設けられておらず、パッド配置領域RPはベースフィルム10上から排除されている。図3に示されるように、各リード30の第2端部32は、テスト専用のコンタクトパッドとは接続されておらず、各リード30の終端となっている。全てのリード30は、カットラインCLよりも内側に形成されており、カットラインCLの外側にはみ出していない。
【0024】
本実施の形態によれば、半導体装置1のテスト時、プローブとの接触のために専用のコンタクトパッドは用いられない。その代わり、外部端子領域RE内の外部端子部40の一部分が、プローブとの接触に用いられる。プローブとの接触に用いられる当該部分は、以下「テストパッド部」と参照される。すなわち、各リード30の外部端子部40は、他のデバイスとの接続に用いられるだけでなく、半導体装置1のテスト時にプローブと接触するテストパッド部を有する。
【0025】
図4は、本実施の形態に係る外部端子部40の構成例を示す斜視図である。図5は、図4で示された構成例の平面図である。図6は、図5中の線A−A'に沿った断面図である。x方向、y方向、及びz方向は互いに直交している。x方向及びy方向は、ベースフィルム10と平行な平面方向であり、z方向は、ベースフィルム10と垂直な鉛直方向である。各リード30の外部端子部40の延在方向はy方向であり、その幅方向はx方向であり、その厚さ方向はz方向である。複数のリード30の外部端子部40は、y方向に沿って略平行に形成されており、それらの幅は略同じである。
【0026】
図4及び図6に示されるように、各リード30の外部端子部40は、比較的厚い第1部分41と、比較的薄い第2部分42を含んでいる。第1部分41の厚さ(z方向の高さ)は第1厚さt1であり、第2部分42の厚さは第1厚さt1より小さい第2厚さt2(<t1)である。例えば、第1厚さt1は8μmであり、第2厚さt2は4μmである。このように、第1部分41は第2部分42よりも厚く、第2部分42は第1部分41よりも薄い。言い換えれば、ベースフィルム10から見て、第1部分41は第2部分42よりも高く、第2部分42は第1部分41よりも低い。各リード30の外部端子部40において第1部分41と第2部分42とは隣接しており、その結果、第1部分41と第2部分42との境界に段差が形成されている。
【0027】
また、隣り合うリード30間で、第1部分41と第2部分42とは互いに対向するように位置している。例えば図5において、リード30−11とリード30−21は隣り合っており、リード30−11の第1部分41はリード30−21の第2部分42と対向しており、リード30−21の第1部分41はリード30−11の第2部分42と対向している。他の隣り合うリード30の組み合わせに関しても同様である。結果として、あるリード30の第1部分41の横には、隣接リード30の第2部分42が必ず存在することになる。すなわち、高い第1部分41は、低い第2部分42で囲まれることになる。本実施の形態では、低い第2部分42に囲まれたこの高い第1部分41が、上述の「テストパッド部」として用いられる。この場合、後に詳しく説明されるように、コンタクトマージンが増加し、また、リード30間のピッチを狭めることが可能となる。
【0028】
外部端子領域REにおいて、第1部分41及び第2部分42は、規則的に配置されていることが好適である。例えば図5では、第2部分42は、2段に分けて千鳥状に配置されている。より詳細には、複数のリード30は、2つのグループG1、G2に区分けされている。第1グループG1はリード30−1iを含んでおり、第2グループG2はリード30−2iを含んでいる(i=1,2,3・・・)。第1グループG1に属するリード30−1iに関して、第1部分41はx方向に沿って整列しており、第2部分42もx方向に沿って整列している。また、第2グループG2に属するリード30−2iに関して、第1部分41はx方向に沿って整列しており、第2部分42もx方向に沿って整列している。そして、第1グループG1に属するリード30−1iと第2グループG2に属するリード30−2iとが交互に配置されている。このように、第1部分41及び第2部分42が規則的に配置されている場合、テスト時に、各プローブを対応するテストパッド部(41)に1対1で正確に接触させやすくなる。
【0029】
尚、図4〜図6で示される例では、厚い第1部分41が外部端子部40の大部分を占めており、薄い第2部分42は小さな領域だけに形成されている。その意味で、第1部分41を通常部分、第2部分42をくぼみ部と呼ぶこともできる。くぼみ部42は、外部端子部40(通常部分)の所定の領域をウェットエッチング等することによって形成可能である。図4及び図5で示されるように、隣り合うリード30間で、くぼみ部42のy方向の位置は異なっている。つまり、隣り合うリード30間で、くぼみ部42の位置はy方向にずれている。結果として、テストパッド部41の位置もy方向にずれることになる。尚、くぼみ部42のy方向に沿った長さは、複数のリード30間で均一であることが好ましい。
【0030】
2.テスト及び実装
2−1.テスト
本実施の形態によれば、半導体装置1のテスト時、プローブとの接触のために専用のコンタクトパッドは用いられない。その代わり、外部端子領域RE内の外部端子部40の一部(第1部分41)が、プローブと接触するテストパッド部として用いられる。図7及び図8のそれぞれは、テスト時の外部端子部40とプローブ50との接続を示す斜視図及び側面図である。図7及び図8に示されるように、プローブ50は、低い第2部分42に囲まれた高い第1部分41と接触する。すなわち、低い第2部分42に囲まれた高い第1部分41が、「テストパッド部」として機能する。
【0031】
図1で示されたようなテスト用のコンタクトパッド140は設けられず、パッド配置領域RPはベースフィルム10上から排除される。その結果、1つの半導体チップ20に対して要求されるベースフィルムの面積を、図1の場合と比べて大きく縮小することができる。従って、材料コストを削減し、また、ベースフィルム10上の半導体チップ20の配置効率を向上させることが可能となる。すなわち、半導体装置1の製造コストを削減することが可能となる。
【0032】
また、隣り合うリード30間で、テストパッド部41の位置はy方向にずれている。従って、隣り合うリード30のテストパッド部41に接続するプローブ50同士がショートすることが防止される。
【0033】
更に、テストパッド部41が低い第2部分42で囲まれていることは、テストパッド部41の周囲にスペースが確保されていることを意味する。従って、プローブ位置が多少ずれたとしても、1つのプローブ50が隣り合うリード30の両方に同時に接触することが防止される。逆に言えば、プローブ50の位置ずれの許容量が大きくなり、コンタクトマージンが増加する。
【0034】
比較例として、図9Aで示されるように、同じ高さのリード300にプローブ50を接触させることを考える。プローブ50の先端の直径がリード300の幅以上である場合、プローブ50の位置ずれの許容範囲(コンタクトマージンMa)は、原理的に、リード300間のスペーシング(隣り合うリード間の対向する辺の間隔)未満である。プローブ50の位置がそれ以上ずれると、1つのプローブ50が隣り合う2本のリード300に同時に接触し、ショートエラーが発生してしまう。このように、図9Aの場合のコンタクトマージンMaは小さい。コンタクトマージンMaを増加させるには、リード300間のピッチを拡げる必要がある。しかしながら、それは微細化の要求に逆行する。
【0035】
図9Bは、本実施の形態の場合を示している。本実施の形態では、テストパッド部41が低い第2部分42で挟まれており、テストパッド部41の周囲にスペースが確保されている。従って、プローブ50の位置ずれの許容範囲(コンタクトマージンMb)は、図9Aの場合よりも明らかに拡がる。つまり、プローブ50の位置ずれがリード30間のスペーシング以上となっても、ショートエラーは発生しない。このことは、ショートエラーを懸念することなくリード30間のピッチを小さくすることができることを意味する。リード間ピッチが小さくなると、リード30の配置に必要なベースフィルム10の面積が縮小される。このことは、近年の半導体装置の微細化や端子数の増大に起因するコストアップを防ぐ観点から好ましい。
【0036】
2−2.切り分け
TCP型半導体装置1を1つずつ切り分ける際には、カットラインCLに沿ってベースフィルム10が切断される(図2、図3参照)。このとき、本実施の形態によれば、金属バリに起因するショート不良を軽減することができる。
【0037】
比較例として、図1の場合を考える。比較例では、半導体チップ120がリード130を介してテスト用のコンタクトパッド140と接続されている。従って、半導体装置1を1つずつ切り分ける際には、カットラインCLに沿ってリード130を切断する必要がある。この時に発生する金属バリが、後にショート不良を引き起こす可能性がある。一方、本実施の形態によれば、テスト用のコンタクトパッド140は設けられていない。図3で示されたように、リード30はカットラインCLで囲まれるデバイス領域RDの内部にだけ形成されている。従って、半導体装置1を1つずつ切り分ける際には、リード30の切断は行われない。その結果、金属バリに起因するショート不良が軽減される。その上、カットラインCLで半導体装置を打ち抜く治具が、金属であるリード30をカットすることがなくなるため、その治具の寿命が延びるという効果も得られる。
【0038】
2−3.実装
本実施の形態に係る半導体チップ20は、液晶表示パネルやプラズマディスプレイパネル等の表示パネルを駆動するためのICである。半導体チップ20は、リード30を介して、表示パネルの電極と電気的に接続される。より詳細には、表示パネルは、基板上にマトリックス状に形成された複数の画素、及びそれら画素を駆動するために基板上に形成された複数の電極(データ線等)を備えている。それら複数の電極が、本実施の形態に係るTCP型半導体装置1(パッケージ)の複数のリード30のそれぞれに電気的に接続される。このようにリード30と接続される電極は、以下「基板側電極70」と参照される。
【0039】
図10は、外部端子部40と基板側電極70との接続を示す断面図である。基板側電極70は、表示パネルのガラス基板60上に形成されている。その基板側電極70が、ACF(Anisotropic Conductive Film)80を介して、TCP型半導体装置1の外部端子部40と接続される。外部端子部40側では、高い第1部分41がACF80と接触する。接触面積の観点から言えば、低い第2部分42(くぼみ部)はできるだけ小さいことが望ましい。また、第2部分42(くぼみ部)のy方向に沿った長さは、複数のリード30間で均一であることが好ましい。その場合、外部端子部40とACF80の接触面積が一様となる。
【0040】
3.変形例
3−1.第1の変形例
既出の図5で示された例では、第1グループG1に属するリード30−i1の先端(第2端部32)が薄い第2部分42に含まれており、第2グループG2に属するリード30−i2の先端(第2端部32)が厚い第1部分41に含まれていた。すなわち、基板側電極70と接続される外部端子部40の先端の厚さが、リード30間でまちまちであった。
【0041】
図11は、外部端子部40の第1の変形例を示す平面図である。本変形例において、全てのリード30の先端(第2端部32)が厚い第1部分41に含まれている。すなわち、外部端子部40の先端の厚さは、全リード30で均一である。この場合、外部端子部40を基板側電極70に接続する際のバランスが良くなる。
【0042】
3−2.第2の変形例
既出の図5で示された例ではテストパッド部41は2段に分散されて配置されていたが、その段数は3段以上であってもよい。例えば図12では、テストパッド部41は、3段に分散されて配置されている。この場合、複数のリード30は、3つのグループG1〜G3に区分けされる。第1グループG1はリード30−1iを含んでおり、第2グループG2はリード30−2iを含んでおり、第3グループG3はリード30−3iを含んでいる(i=1,2・・・)。この場合であっても、上述と同じ効果が得られる。
【0043】
3−3.第3の変形例
図13は、外部端子部40の第3の変形例を示す平面図である。第3の変形例は、第1の変形例と第2の変形例の組み合わせである。
【0044】
3−4.第4の変形例
図14は、外部端子部40の第4の変形例を示す斜視図である。本変形例では、薄い第2部分42が外部端子部40の大部分を占めており、厚い第1部分41は小さな領域だけに形成されている。その意味で、第2部分42を通常部分、第1部分41をバンプ部と呼ぶこともできる。本変形例では、このバンプ部41がテストパッド部として用いられる。隣り合うリード30間で、バンプ部41(テストパッド部)の位置はy方向にずれている。基板側電極70との接続には、第2部分42が用いられるとよい。この場合であっても、上述と同じ効果が得られる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体装置
10 ベースフィルム
20 半導体チップ
30 リード
31 第1端部
32 第2端部
40 外部端子部
41 第1部分(テストパッド部)
42 第2部分(くぼみ部)
50 プローブ
60 ガラス基板
70 基板側電極
80 ACF
RD デバイス領域
RC 被覆領域
RE 外部端子領域
CL カットライン
SR ソルダーレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に搭載された半導体チップと、
前記ベースフィルム上に形成され、前記半導体チップと電気的に接続された複数のリードと
を備え、
前記複数のリードの各々は、外部に露出した外部端子部を有し、
前記各リードの前記外部端子部は、
厚さが第1厚さである第1部分と、
厚さが前記第1厚さよりも小さい第2厚さである第2部分と
を含み、
前記複数のリードのうち隣り合うリード間で、前記第1部分と前記第2部分とは互いに対向するように位置している
TCP型半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載のTCP型半導体装置であって、
前記各リードの前記外部端子部は第1方向に延在しており、
前記ベースフィルムと平行で前記第1方向と直交する平面方向は第2方向であり、
前記複数のリードは、少なくとも2つのグループに区分けされ、
前記少なくとも2つのグループの各々において、前記第1部分は前記第2方向に沿って整列しており、前記第2部分は前記第2方向に沿って整列している
TCP型半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のTCP型半導体装置であって、
前記各リードの前記外部端子部は第1方向に延在しており、
前記第1方向に沿った前記第2部分の長さは、前記複数のリード間で均一である
TCP型半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のTCP型半導体装置であって、
前記外部端子部の先端の厚さは、前記複数のリード間で均一である
TCP型半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のTCP型半導体装置であって、
前記第1部分は、テスト時にプローブと接触するテストパッド部である
TCP型半導体装置。
【請求項6】
カットラインで囲まれる領域であるデバイス領域を複数有し、前記カットラインに沿って切断されるベースフィルムと、
前記複数のデバイス領域のそれぞれの内側に配置された複数の半導体装置と
を具備し、
前記複数の半導体装置の各々は、
前記ベースフィルム上に搭載された半導体チップと、
前記ベースフィルム上に形成され、前記半導体チップと電気的に接続された複数のリードと
を備え、
前記複数のリードの各々は、外部に露出した外部端子部を有し、
前記各リードの前記外部端子部は、
厚さが第1厚さである第1部分と、
厚さが前記第1厚さよりも小さい第2厚さである第2部分と
を含み、
前記複数のリードのうち隣り合うリード間で、前記第1部分と前記第2部分とは互いに対向するように位置している
TCP型半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−54797(P2011−54797A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202987(P2009−202987)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】