説明

TGF−β情報伝達経路阻害剤

本発明の目的は、TGF−β情報伝達経路を阻害することができる低分子化合物から成るTGF−β情報伝達経路阻害剤を提供することである。本発明によれば、下記式(1):


(式中、Rはヒドロキシメチル基などを示し、Rはパラ−メトキシフェニル基などを示す)
で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β情報伝達経路阻害剤が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、サイトキサゾン又はその誘導体を有効成分として含むTGF−β情報伝達経路阻害剤、並びにTGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤に関する。
【背景技術】
TGF−βは、肝線維症、肝硬変、肝炎、又は肝再生不全などの肝疾患に共通する病態形成因子であることから、その活性を抑えることにより当該疾患を治療又は予防する試みがなされている。例えば、TGF−βの中和抗体を用いた抗体療法、もしくはドミナントネガティブTGF−β受容体遺伝子や可溶性TGF−β受容体遺伝子を用いた遺伝子治療によってTGF−βの作用を入り口で止める方法が報告されている(Schuppan et al.Digestion 59:385−390,1998;Qi et al.Proc Natl Acad Sci USA 96:2345−2349,1999;及びUeno et a1.Hum Gene Ther 11:33−42,2000)。
一方、本発明者らは、TGF−βが潜在型不活性型分子として産生され、プロテアーゼによって活性型分子に変換される点(TGF−βの活性化反応)に注目し、低分子合成プロテアーゼ阻害剤や抗体(Akita et al.Gastroenterology 123:352−364,2002)を用いてTGF−β活性化反応を阻害することによって、病気を防ぐことができる可能性を動物モデルで示したが、活性化反応が病態、組織、アイソフォーム特異的であることが明らかとなり、適応症状が限られることがわかってきた。
一方、サイトキサゾン(CXZ)については、その精製法や免疫細胞のサイトカイン産生能の調節活性、合成法が報告されている(Kakeya H他、J Antibio 1998;51:1126−1128;Kakeya H他、J Org Chem 1999;64:1052−1053;特開平11−209355号公報;及び特開2000−86639号公報)が、その他の生物活性については不明であった。
【発明の開示】
TGF−βは、間葉系細胞の細胞外マトリックス産生を強力に促すとともに上皮系細胞の増殖を抑制することにより、肝線維化/肝硬変、動脈硬化、肺線維症、皮膚線維症、腎不全、子宮筋腫などの硬化性疾患の病態を形成する一方、免疫担当細胞の働きを抑制するなど、多彩な生物活性を示す分子量25kDのホモダイマー多機能サイトカインである。上記の通り、TGF−βに対する中和抗体を用いた動物モデルでの検討から、TGF−βの働きを抑制することによって硬化性疾患を予防・治療できることがわかってきた。さらに、変異TGF−β受容体を用いた遺伝子治療の開発が試みられている。しかし、抗体療法や遺伝子治療では、必要量や投与法の観点で問題が残っており、すぐには臨床応用できず、TGF−βの作用機序に基づいた低分子阻害剤の開発が望まれている。即ち、本発明は、TGF−β情報伝達経路を阻害することができる低分子化合物から成るTGF−β情報伝達経路阻害剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するための鋭意検討した結果、本明細書に定義する式(1)で表されるサイトキサゾン又はその誘導体(以下、CXZとも略記する)がTGF−βの情報伝達経路を阻害することを初めて見出することにより、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明によれば、下記式(1):

(式中Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示し、Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、ベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノベンジル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示す。)
で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β情報伝達経路阻害剤が提供される。
好ましくは、本発明のTGF−β情報伝達経路阻害剤は、Smad2のリン酸化を抑制することによりTGF−β情報伝達経路を阻害する。
本発明の別の側面によれば、下記式(1):

(式中Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示し、Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、ベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノベンジル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示す。)
で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤が提供される。
好ましくは、TGF−β関連疾患は肝線維化/肝硬変、肝炎、肝再生不全、動脈硬化、肺線維症、皮膚線維症、腎不全、又は子宮筋腫である。
好ましくは、Rは、ヒドロキシメチル基であり、Rは、パラ−メトキシフェニル基である。特に好ましくは、本発明で用いる化合物は下記式(2)で表される化合物である。

【図面の簡単な説明】
図1は、TGF−βシグナル伝達経路を示す。
A:TGF−βの合成・分泌を高める因子、要因
TGF−β、ビタミンA、抗エストロゲン、ブレオマイシン、
デキサメサゾン、ウイルス感染、リンパ球活性化、骨折、肝線維化、
心筋梗塞、肝障害
B:細胞外基質からTGF−βを放出させる因子
エラスターゼ、チマーゼ、プラスミン、トロンビン
C:TGF−βの活性化を起こす因子
酸、アルカリ、熱、変性剤、活性酸素種(ROS)、
エンドグリコシダーゼ、トロンボスポンジン、セリンプロテアーゼ、
インテグリン、マトリックスメタロプロテアーゼ
D:細胞にTGF−β活性化を起こす因子、要因
混合培養、ビタミンA、ビタミンD、抗エストロゲン、ブレオマイシン、
デキサメサゾン、リポ多糖、IgG、インターフェロン、癌化
E:TGF−β受容体の発現を高める因子、要因
ビタミンA、肝線維化
F:TGF−β受容体の発現を減らす因子、要因
癌化、細胞外マトリックス
図2は、プロテアーゼインヒビターを用いたTGF−β活性化阻害による肝臓の病態形成の抑制を示す。
図3は、サイトキサゾンの構造を示す。R1はヒドロキシメチル基を示し、R2はp−メトキシフェニル基を示す。
図4は、サイトキサゾンによるTGF−β活性抑制を介する肝星細胞の活性化抑制を示す。A)形態変化、B)標的遺伝子発現の抑制、C)TGF−β依存転写活性の抑制
図5は、サイトキサゾン処理によるSmad2量およびリン酸化Smad2量の減少を示す。
図6は、サイトキサゾン処理によるSmad−標的遺伝子複合体量の減少を示す。
図7は、肝星細胞とミンク肺上皮細胞におけるサイトキサゾン処理によるTGF−β依存性転写活性化活性の抑制を示す。
図8は、サイトキサゾン処理によるTGF−β受容体の下流のシグナル伝達の抑制を示す。
図9は、サイトキサゾン処理によるSmad活性の抑制を示す。
図10は、サイトキサゾン処理によるSmadのmRNA発現及び蛋白質量に対する影響を示す。
図11は、サイトキサゾン処理によるSmad蛋白質の核局在に対する影響を示す。
図12は、サイトキサゾン処理によるプロコラーゲン遺伝子プロモーターの転写活性化活性の抑制を示す。
図13は、マウスにおけるサイトキサゾンによる肝再生の回復を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
Transforming Growth Factor(TGF)−βは、硬化性疾患の病態形成を担ったり、免疫担当細胞の働きを抑制する一方、プロテアーゼの過剰産生を抑制することによって肺組織が分解され肺気腫に陥るのを防いだりしたり癌細胞の増殖を抑制するなど、多彩な生物活性を示す分子量25kDのホモダイマー多機能性サイトカインである。TGF−βは受容体に結合できない分子量約300kDの不活性な潜在型として産生され、標的細胞表面やその周囲において活性化されて受容体に結合できる活性型となり、その作用を発揮する(図1)。
標的細胞におけるTGF−βの作用はSmadという情報伝達を担う一連のタンパク質のリン酸化経路によって伝達される。まず、活性型TGF−βが標的細胞表面に存在するII型TGF−β受容体に結合すると、II型受容体2分子とI型TGF−β受容体2分子からなる受容体複合体が形成され、II型受容体がI型受容体をリン酸化する。次に、リン酸化I型受容体は、Smad2もしくはSmad3をリン酸化すると、リン酸化されたSmad2やSmad3はSmad4と複合体を形成して核に移行し、標的遺伝子プロモーター領域に存在するCAGA boxと呼ばれる標的配列に結合し、コアクチベーターとともに標的遺伝子の転写発現を誘導する(図1)。
本発明者らは、潜在型TGF−βが肝臓においてはプロテアーゼによる切断活性化を受け、強力な線維形成誘導能や肝細胞増殖抑制能を発揮することが原因となり肝線維化/肝硬変や肝再生不全を引き起こすことを発見し、プロテアーゼインヒビターを用いてTGF−βの活性化を阻害してやると病態形成を抑制できること(図2)を報告した(Okuno M他、Gastroenterology 2001;120:1784−1800;Akita K他、Gastroenterology 2002;123:352−364)。これらの発見に基づき、プロテアーゼに対する抗体を用いた治療法の開発、さらには病態・組織・アイソフォーム特異的活性化反応認識抗体の作製を報告している(特願2002−057253号、特願2003−313014号)。
本発明者らは続いて、TGF−βの情報伝達抑制物質とTGF−βの活性化を抑えるプロテアーゼ阻害剤を併用することによって相乗的に病態形成抑制効果が得られることを期待して、TGF−β情報伝達抑制物質のスクリーニングを行った。その結果、オキサゾリジノン環を有するサイトキサゾン(図3;cytoxazone:CXZと略)を見出だした。R1は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルトー、メターまたはパラーメトキシフェニル基、オルトー、メターまたはパラーヒドロキシフェニル基、オルトー、メターまたはパラーニトロフェニル基、オルトー、メターまたはパラーアミノフェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖上アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示し、R2は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルトー、メターまたはパラーメトキシフェニル基、オルトー、メターまたはパラーヒドロキシフェニル基、オルトー、メターまたはパラーニトロフェニル基、オルトー、メターまたはパラーアミノフェニル基、ベンジル基、オルトー、メターまたはパラーメトキシベンジル基、オルトー、メターまたはパラーヒドロキシベンジル基、オルトー、メターまたはパラーニトロベンジル基、オルトー、メターまたはパラーアミノベンジル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示す。
サイトキサゾンは、ストレプトマイセス属が産生分泌する抗生物質で、免疫担当Th2細胞からのサイトカインIL4並びにIL10の産生を抑制することが知られている(Kakeya H他、J Antibio 1998;51:1126−1128;Kakeya H他、J Org Chem 1999;64:1052−1053)。サイトキサゾン又はその誘導体の発見、精製については特開平11−209355号公報に記載されており、その有機合成は特開2000−86639号公報、及びTetrahedron Lett 1999;40:4203−4206に記載されている。上記の通り、本発明で用いる式(1)で表される化合物は公知化合物であり、上記文献の記載に準じて入手又は合成することができる。
本発明は、本明細書に定義する式(1)で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β情報伝達経路阻害剤、並びにTGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤に関するものである。以下、これらを総称して本発明の薬剤と称する場合がある。
本発明の薬剤としては、式(1)で表される化合物をそのまま単独で用いてもよいが、通常は薬学的に許容される製剤添加物を用いて医薬組成物の形態で供給することが好ましい。本発明の薬剤は経口的又は非経口的に投与することができる。本明細書で言う薬学的に許容される製剤添加物としては、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。
経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤などを挙げることができるが、本発明の薬剤の形態はこれらに限定されることはない。
非経口投与の形態としては、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは腹腔内注射などの種々の投与形態を例示することができる。注射剤は、場合により、非水性の希釈剤(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類など)、懸濁剤あるいは乳濁剤として調製することもできる。そのような注射剤の無菌化は、バクテリア保留フィルターを通す濾過滅菌、殺菌剤の配合または照射により行うことができる。注射剤は、用時調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって無菌の固体組成物とし、使用前に無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することも可能である。
本発明の薬剤はヒトを含む哺乳動物に投与することができる。本発明の薬剤の投与量は患者の年齢、性別、体重、症状、及び投与経路などの条件に応じて適宜増減されるべきであるが、一般的には、成人一日あたり0.001mg/kgから1000mg/kg程度の範囲であり、好ましくは0.01mg/kgから100mg/kg程度の範囲であり、特に好ましくは1mg/kgから50mg/kg程度の範囲であり、例えば、20mg/kgである。上記投与量の薬剤は、毎日投与してもよいしあるいは数日間隔で投与してもよく、例えば1〜4日毎に投与される。
本発明の薬剤は、TGF−β情報伝達経路阻害剤として使用することができ、例えば、TGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤として使用することができる。TGF−β関連疾患としては、病態形成因子がTGF−βである疾患(例えば、病態形成因子がTGF−βである肝疾患など)を挙げることができる。TGF−β関連疾患の具体例としては、肝線維化/肝硬変、肝炎、肝再生不全、動脈硬化、肺線維症、皮膚線維症、腎不全、又は子宮筋腫などを挙げることができる。また、TGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤とは、該疾患の発症及び/または進行を抑制又は阻止することを含む広い意味で解釈される。
本発明の薬剤のTGF−β関連疾患の症状に対する治療効果については、常法に従って疾患モデル動物に投与することにより試験、検討することができる。例えば、肝炎(例えば、ウイルス性肝炎(A型、B型、C型、E型など)など)、肝硬変あるいは薬物肝障害などの肝疾患ついても、既報のモデル動物を用いることができる(例えば、「疾患別モデル動物の作製と新薬開発のための試験・実験法」、p.119−129及びp.349−358、1993、技術情報協会などを参照)。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【実施例】
[実施例1]:CXZによる肝星細胞の活性化抑制
既報の方法に従って(Okuno M他、Gastroenterology 2001;120:1784−1800)、雄のウィスターラット(体重350〜400g;Japan Clea)の肝臓から肝星細胞を単離し、10cm培養プラスティックディッシュ1枚あたりに3.5×10個の細胞をまき、10%ウシ胎児血清(FCS;Invitrogen社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Invitrogen社製)で一晩培養した。翌日より下記構造を有する化合物(以下、CXZと略記する)を含む無血清培地に交換し、さらに6日間培養し、プラスティックディッシュ上で培養することによって誘起される肝星細胞の活性化に及ぼす薬剤の影響を顕微鏡下で観察した。

図4Aに示すように、CXZは星細胞の活性化(ビタミンAを含む油滴の消失を伴う形態変化)を抑制した。その効果は容量依存的であり、最適値は終濃度150μg/mlであった。
次に、星細胞の活性化に伴い発現が誘導されることが知られている幾つかの遺伝子[TGF−β1,I型プロコラゲンα2、α平滑筋アクチン]について、その発現量の変化を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法により検討した。内部標準としてはグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子量の変化を測定した。顕微鏡下での観察を終了した細胞からQIAGEN社のRNEASY RNA Purification Kitを用いてRNAを抽出・精製し、M−MLV逆転写酵素(Invitrogen社製)を用いて、その使用説明書に従って、RNA(1μg)をcDNAに逆転写し、このcDNAを鋳型として以下のセンスおよびアンチセンスプライマーを用いて各cDNAフラグメントをPCRで増幅したのちに2%アガロースゲルに流してエチジウムブロマイドで染色し、相対量をUV光下で比較・観察した。
ラットTGF−β1


ラットI型プロコラゲンα2

ラットα平滑筋アクチン

ラットグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)

図4Bに示すように、コントロールの細胞(溶媒である0.5% DMSO処理)に比べてCXZ処理細胞(CXZ)では、TGF−β1、I型プロコラゲンα2(procollagen)、α平滑筋アクチン(αSMA)遺伝子量が減少していた。このとき、内部標準のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子量には変化がみられなかった。
肝星細胞の活性化は星細胞自身が産生するTGF−βに依存していることから、CXZによる星細胞活性化抑制効果がTGF−βの活性抑制に因るものであるか否かを、TGF−βの活性測定に最も一般的に用いられているミンク肺上皮(MLE)細胞並びにラット肝星細胞を用いたリポーターアッセイにより検討した。
3.5cm培養プラスティックディッシュ1枚あたりに1.0×10個のMLE細胞をまき、10% FCS(Invitrogen社製)を含むDMEM(Invitrogen社製)で一晩培養した後に、TGF−βの代表的な標的遺伝子であるpPAI−1のプロモーターにルシフェラーゼ(Luc)リポーターを融合させたpPAI−1−LucをLipofectamine Plus試薬(Invitrogen社製)を用いてディッシュ1枚あたり500ngトランスフェクションした。トランスフェクション2時間後の培地を1ng/mlヒト組み換えTGF−β1(R&D社製)や150μg/ml CXZ、並びにこれらの組み合わせを含む無血清培地に交換し、2日間前培養した後に細胞抽出液を作製し、抽出液中のルシフェラーゼ活性をPromega社のDual Luciferase Assay Kitを用いてルミノメーター(Packard社製)により測定した。トランスフェクションの効率を補正するためにウミシイタケルシフェラーゼを同時にトランスフェクションし、測定結果はウミシイタケルシフェラーゼの値と抽出液のタンパク量で補正したのちにTGF−β1のみの値を100%とした相対値で表した(図4C、レーン1〜3)。タンパク量はPIERCE社のBCA Assay Kitを用いてウシ血清アルブミンをスタンダードとして決定した。星細胞はラット肝臓から単離後3.5cmプラスティックディッシュ1枚あたり4.0×10個の細胞をまき、一晩10% FCSを含むDMEMで培養した翌曰からCXZを含む無血清培地に交換し、さらに4日間培養した後にMLE細胞と同様にLipofectamine Plus試薬を用いてディッシュ1枚あたり500ngのpPAI−1−Lucをトランスフェクションし、CXZを含む無血清培地でさらに2日間培養した細胞から抽出液を調製し、抽出液中のルシフェラーゼ活性を測定した。結果はウミシイタケルシフェラーゼの値と抽出液のタンパク量で補正したのちにCXZ無処理細胞(内在性TGF−βの刺激を受けている)の値を100%とした相対値で表した(図4C、レーン4と5)。
図4Cに示すようにCXZはTGF−βにより誘導されるLuc活性の顕著な抑制を示した(レーン2vsレーン3(MLE細胞);レーン4vsレーン5(星細胞))。この結果は、CXZがTGF−βの活性を抑制することを示しており、CXZがTGF−βの情報伝達経路を阻害する活性を有していることが強く示唆された。
[実施例2]:CXZによるTGF−βの情報伝達経路阻害
実施例1に記載したように、TGF−βの作用は、受容体によるSmadのリン酸化、リン酸化Smad複合体の核への移行、リン酸化Smad複合体の標的遺伝子プロモーターへの結合による転写の促進という経路で伝達される。そこで、CXZがTGF−βの情報伝達経路を阻害しているかどうかについて、Smad2総量、リン酸化Smad2量、並びにリン酸化Smad複合体の標的遺伝子プロモーターへの結合量を、ウェスタンブロット解析、並びにゲルシフトアッセイの測定結果から検討した。
まず、ウェスタンブロット解析によるSmad2総量とリン酸化Smad2量の測定結果を説明する。図4Aの実験のごとく単離、培養し、終濃度100μg/ml、並びに200μg/mlのサイトキサゾンで処理したラット肝星細胞より1xSDSサンプルバッファーを用いて細胞抽出液を作製し、10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけたのちにPVDF(ポリビニデンジフルオリド)膜に電気泳動転写した。膜上のタンパク質のウェスタンブロット解析は、Smad2認識マウスモノクロナル抗体(終濃度1μg/ml;Pharmingen社製)、並びにリン酸化Smad2認識ウサギポリクロナル抗体(終濃度2μg/ml;Upstate Biotechnology社製)とホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスもしくはウサギIgG抗体(最終1:750希釈)の組み合わせを用いて、既報の方法に従って行った(Okuno M他、Gastroenterology 2001;120:1784−1800)。バンドはAmersham(Buckinghamshire,UK)ECL systemで検出した。
その結果、図5に示すように、コントロールの細胞(溶媒である0.5% DMSO処理した細胞:レーン1)に比べて、CXZ処理細胞(レーン2と3)では、CXZの濃度に依存してSmad2総量とリン酸化Smad2量が減少していた。このとき、内部標準のGAPDH量は変化していなかった。
次に、ゲルシフトアッセイによるリン酸化Smad複合体の標的遺伝子プロモーターへの結合量の測定結果を説明する。図4Aの実験のごとく単離、培養、薬剤処理したラット肝星細胞より既述の方法(Shimada J他、Mol Endocrinol 2002;15:1677−1692)に従って核抽出液を作製し、放射標識したCAGAボックス配列(PAI−1プロモーター中に存在するリン酸化Smad複合体の結合配列)含有オリゴヌレクオチドと氷上にてインキュベーションしたのちに、4%ポリアクリルアミドゲルにてリン酸化Smad−CAGAボックス複合体とフリーのCAGAボックスとを分離したのちに、オートラジオグラフィーによってリン酸化Smad−CAGAボックス複合体量を測定した。
その結果、図6に示すようにコントロールの細胞(溶媒である0.5% DMSO処理した細胞:レーン2)に比べてCXZ処理細胞(レーン3)では、リン酸化Smad−CAGAボックス複合体量が減少していた。レーン1は未標識CAGAボックス配列含有オリゴヌレクオチドをコントロールの細胞由来の核抽出液に加えた時の結果であり、得られたバンドが特異的バンドであることを示している。
さらに、RT−PCR法によってTGF−β受容体量の変化を測定したところ、CXZ処理した細胞ではTGF−β受容体量は変化していないことがわかった。また、CXZは潜在型TGF−βの活性化反応にも影響を与えなかった。
以上の結果より、CXZはSmad2のリン酸化を抑制することによってTGF−βの情報伝達経路を抑制することがわかった。
[実施例3]:肝星細胞とミンク肺上皮細胞におけるCXZによるTGF−β依存性転写活性化活性の抑制
単離の24時間後に、35mm皿で培養した肝星細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で3日間処理し、pRL−CMV(Renillaルシフェラーゼ,50ng/dish)と一緒に、PAI−1プロモーター−ルシフェラーゼ発現ベクターであるpPAI−1−Luc(500ng/dish)又は9コピーのCAGA配列を含むベクターである9CAGA−Luc(500ng/dish)の何れかをトランスフェクションした(図7の左のグラフ)。トランスフェクションした細胞を同一条件下でさらに24時間処理を続けた。35mm皿上に2×10のミンク肺上皮細胞(MELC)をプレーティングした24時間後に、細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で3日間処理し、9CAGA−Luc(500ng/dish)とpRL−CMV(50ng/dish)の組み合わせでトランスフェクションした(図7の右のグラフ)。トランスフェクションの翌日、細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で、5ng/mlの組み換えヒトTGF−β1で16時間処理した。両方の細胞から細胞ライセートを調製し、各ライセートにおけるルシフェラーゼ活性を測定し、ホタルルシフェラーゼ活性の変化を計算して、CXZ未処理の対照細胞のRenillaルシフェラーゼ活性に標準化した後、プロットした。
結果を図7に示す。図7の結果から分かるように、TGF−βのシグナル伝達・転写因子であるSmad2/Smad4複合体もしくはSmad3/Smad4複合体が結合する標的モチーフであるCAGAボックス9個で駆動されるルシフェラーゼリポーター遺伝子を用いて、CXZにより、TGF−β依存性転写活性化活性が抑制されることが実証された。
[実施例4]:TGF−β受容体の下流のシグナル伝達の抑制
35mm皿上に2×10のミンク肺上皮細胞(MELC)をプレーティングした24時間後に、細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で3日間処理し、pPAI−1−Luc(500ng/dish)とpRL−CMV(50ng/dish)の組み合わせ、及び活性型TGF−β受容体Iを構成的に発現するベクターでトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を同一条件下でさらに24時間±CXZ処理を続けた。以下、実施例3と同様にルシフェラーゼ活性を測定した。
結果を図8に示す。TGF−β受容体が存在する条件下でサイトキサゾンの効果を比較した図8の結果から、TGF−β受容体の下流のシグナル伝達にサイトキサゾンが効果を発揮することが実証された。
[実施例5]:Smad活性の抑制
単離の24時間後に、35mm皿の肝星細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で3日間処理し、9CAGA−Luc(500ng/dish)とpRL−CMV(50ng/dish)の組み合わせ、及びSmads2,3,及び4(200ngずつ/dish)の幾つかの組み合わせをトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を同一条件下でさらに24時間処理を続けた。細胞ライセートを調製し、各ライセートにおけるルシフェラーゼ活性を測定し、ホタルルシフェラーゼ活性の変化を計算して、CXZ未処理の対照細胞のRenillaルシフェラーゼ活性に標準化した後、プロットした。
結果を図9に示す。TGF−βのシグナル伝達は、受容体が活性化(リン酸化)されると、細胞質に存在するSmad2もしくはSmad3がリン酸化されSmad4と複合体を形成し、リン酸化Smad2/Smad4複合体もしくはリン酸化Smad3/Smad4複合体が核へ移行して標的配列CAGAボックスに結合し、他の転写因子や転写仲介因子と一緒になって基本転写因子を活性化し、標的遺伝子の転写を引き起こすという機構である(図1)。図9の結果は、Smad2,Smad3,Smad4を強制的に発現した肝星細胞におけるCXZの影響を示すものである。CXZは実施例6に示すようにSmad3の発現を抑制するが、これは、Smad3の強制発現でレスキューされる。これに対して、Smad2の発現は変わらないが、強制発現したSmad2の活性がSmad2/Smad4+Smad3/Smad4、並びにSmad2/Smad4の細胞において抑制を受けていることから、CXZはSmad2の活性(含Smad2のリン酸化)を抑制していることが示された。
[実施例6]:SmadのmRNA発現及び蛋白質量に対する影響
初代肝星細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で4日間処理した後、細胞ライセートを調製し、mRNAを単離し、図示したSmadのmRNA量の変化をRT−PCRにより評価した(図10の左図)。
ラットSmad2

ラットSmad3

ラットSmad4

ラットSmad7

HSC−T6細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で4日間処理した後、細胞ライセートを調製し、Smad2及び/又は3の総蛋白質量及びリン酸化蛋白質量の変化を、抗Smad2/3抗体及び抗ホスホSmad2/3抗体を用いたウエスタンブロッティングにより評価した(図10の右図)。
図10に示す通り、mRNAレベルではSmad3において有意差が見られ、蛋白質ではSmad2/3の複合タンパク質で差が見られた。
[実施例7]:Smad蛋白質の核局在に対する影響
初代肝星細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で4日間処理した後、細胞を固定化し、抗Smad2/3抗体で染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。結果を図11に示す。Smad2/3は、CXZ非処理細胞(コントロール)ではより核に集まっているのに対して、CXZ処理細胞は細胞全体に広がっていることが観察された。
[実施例8]:プロコラーゲン遺伝子プロモーターの転写活性化活性の抑制
初代肝星細胞を150μg/mlのCXZの存在下又は非存在下で3日間処理し、pCollagen−Luc(500ng/dish)及びpRL−CMV(50ng/dish)の組み合わせをトランスフェクションし、同一条件下でさらに24時間処理を続けた。細胞ライセートを調製し、各ライセートにおけるルシフェラーゼ活性を測定し、ホタルルシフェラーゼ活性の変化を計算して、CXZ未処理の対照細胞のRenillaルシフェラーゼ活性に標準化した後、プロットした。
結果を図12に示す。図12の結果から、CXZはプロコラーゲン遺伝子プロモーターの転写活性化活性を抑制することが示された。
[実施例9]:マウスにおけるサイトキサゾンによる肝再生の回復
LPSで前処理し、部分的に肝切除したマウスを、CXZ(15mg/kg体重/日;i.p.)で処理した(対照では処理しない)。部分肝切除の開始後48時間後に肝臓を単離し、その切片を調製し、抗PCNA抗体で染色し、光学顕微鏡で観察した。結果を図13に示す。図13において茶褐色に染まっている核が再生をした細胞核で、この核の数を測定した結果であるPCNA標識指数は、対照では28.5±3.74であるのに対し、CXZ投与例では80.8±3.89であった。サイトキサゾンにより肝再生が回復することが示された。
(実施例のまとめ)
上記の通り、CXZはTGF−βの情報伝達を担うリン酸化Smadを減少させることによってTGF−β情報伝達経路を遮断し、TGF−βの作用を阻害する作用を有しており、TGF−βが関連する疾患、例えば肝硬変の原因である肝星細胞の活性化を有意に抑制したり、肝再生不全の原因である肝細胞の増殖抑制を回復する作用を有していることが判明した。CXZ又はその誘導体を用いることによって、従来の技術では困難であったTGF−βの情報伝達経路遮断に基づく各種硬化性疾患を始めとするTGF−β関連疾患の予防薬・治療薬の開発が可能であると期待できる。
【産業上の利用可能性】
本発明では、サイトキサゾンがTGF−β依存の肝星細胞の活性化を抑制するという知見に基づいて、サイトキサゾン又はその誘導体の新しい生物活性としてTGF−β情報伝達経路阻害を見出した。本発明によるサイトキサゾン又はその誘導体を有効成分として含むTGF−β情報伝達経路阻害剤を用いることにより、TGF−β関連疾患の治療法・予防法を確立することが可能になる。
【配列表】





【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):

(式中Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示し、Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、ベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノベンジル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示す。)
で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β情報伝達経路阻害剤。
【請求項2】
Smad2のリン酸化を抑制することによりTGF−β情報伝達経路を阻害する、請求項1に記載のTGF−β情報伝達経路阻害剤。
【請求項3】
下記式(1):

(式中Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示し、Rは、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、フェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロフェニル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノフェニル基、ベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ヒドロキシベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−ニトロベンジル基、オルト−、メタ−またはパラ−アミノベンジル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基を示す。)
で表される化合物を有効成分として含む、TGF−β関連疾患の治療及び/又は予防剤。
【請求項4】
TGF−β関連疾患が肝線維化/肝硬変、肝炎、肝再生不全、動脈硬化、肺線維症、皮膚線維症、腎不全、又は子宮筋腫である、請求項3に記載の薬剤。
【請求項5】
が、ヒドロキシメチル基であり、Rが、パラ−メトキシフェニル基である、請求項1から4の何れかに記載の薬剤。
【請求項6】
式(1)で表される化合物が下記式(2)で表される化合物である、請求項1から5の何れかに記載の薬剤。


【国際公開番号】WO2005/039570
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515065(P2005−515065)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016370
【国際出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】