説明

TLR9の合成アゴニスト

本発明は、TLR9のアゴニストとしての相互作用を通して、特異な免疫反応プロファイルを個別に提供する、新規なオリゴヌクレオチドベースの化合物を提供する。本発明によるTLR9アゴニストは、特異的でユニークな化学修飾を特徴とし、これによりその特徴的な免疫反応活性化プロファイルが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日2006年12月12日の米国仮出願番号第60/869,604号の利益を主張し、その内容全体を本明細書に参照として組み入れる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、トール様受容体(TLR)媒介性免疫反応の調整に有用な合成化学組成物に関する。特に、本発明は、ユニークなサイトカインおよびケモカインプロファイルを生成する、トール様受容体9(TLR9)のアゴニストに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の概要
トール様受容体(TLR)は免疫系の多くの細胞に存在し、先天性免疫反応に関連することが示されている(Hornung, V. et al., (2002) J. Immunol. 168:4531-4537)。脊椎動物において、このファミリーはTLR1〜TLR11と呼ばれる11種のタンパク質からなり、それらは、細菌、真菌、寄生虫、およびウイルスからの病原体関連分子パターンを認識することが知られている(Poltorak, a. et al. (1998) Science 282:2085-2088;Underhill, D.M., et al. (1999) Nature 401:811-815;Hayashi, F. et. al (2001) Nature 410:1099-1103;Zhang, D. et al. (2004) Science 303:1522-1526;Meier, A. et al. (2003) Cell. Microbiol. 5:561-570;Campos, M.A. et al. (2001) J. Immunol. 167: 416-423;Hoebe, K. et al. (2003) Nature 424: 743-748;Lund, J. (2003) J. Exp. Med. 198:513-520;Heil, F. et al. (2004) Science 303:1526-1529;Diebold, S.S., et al. (2004) Science 303:1529-1531;Hornung, V. et al. (2004) J. Immunol. 173:5935-5943)。
【0004】
TLRは、哺乳類が異質分子を認識しそれに対する免疫反応を開始する鍵となる手段であり、また先天性免疫反応と適応的免疫反応を結びつける手段も提供する(Akira, S. et al. (2001) Nature Immunol. 2:675-680;Medzhitov, R. (2001) Nature Rev. Immunol. 1:135-145)。いくつかのTLRは細胞表面に存在し、細胞外の病原体を検出してこれに対する反応を開始し、他のTLRは細胞内に存在し、細胞内の病原体を検出してこれに対する反応を開始する。
【0005】
TLRは、細菌DNAおよび合成オリゴヌクレオチド内の非メチル化CpGモチーフを認識することが知られている(Hemmi, H. et al. (2000) Nature 408:740-745)。CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾も、TLR9を介した免疫反応のモジュレーターとして作用するそれらの能力に、影響を及ぼし得る(例えば、Zhao et al., Biochem. Pharmacol. (1996) 51:173-182;Zhao et al. (1996) Biochem Pharmacol. 52:1537-1544;Zhao et al. (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7:495-502;Zhao et al (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:3453-3458;Zhao et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:1051-1054;Yu, D. et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585-2588;Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263-2267;およびKandimalla, E. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813を参照のこと)。天然に存在するTLR9のアゴニストは、抗腫瘍活性(例えば腫瘍増殖および血管形成)を産生し、効果的な抗癌反応(例えば抗白血病)をもたらすことが示されている(Smith, J.B. and Wickstrom, E. (1998) J. Natl. Cancer Inst. 90:1146-1154)。さらに、TLR9アゴニストは、他の既知の抗腫瘍化合物(例えばセツキシマブ、イリノテカン)と相乗的に作用することが示されている(Vincenzo, D., et al. (2006) Clin. Cancer Res. 1(2):577-583)。
【0006】
あるTLR9アゴニストは、コアCpRジヌクレオチドを含有する3’−3’結合DNA構造から構成され、ここでRは修飾グアノシン(米国特許出願第10/279,684号)である。さらに、特定の化学修飾が、免疫反応の特異な調整をもたらす特定のオリゴヌクレオチド類似体(analogue)の調製を可能とする。特に、構造活性関連研究により、免疫反応の特異的調整を誘発する合成モチーフおよび新規なDNAベースの化合物の同定が可能となり、これらの調整は、非メチル化CpGジヌクレオチドにより引き起こされるものとは異なる。(Kandimalla, E. et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102:6925-6930. Kandimalla, E. et al. (2003) Proc. Nat. Acad. Sci. U S A 100:14303-14308;Cong, Y. et al. (2003) Biochem Biophys Res. Commun.310:1133-1139;Kandimalla, E. et al. (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 306:948-953;Kandimalla, E. et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31:2393-2400;Yu, D. et al. (2003) Bioorg. Med. Chem.11:459-464;Bhagat, L. et al. (2003) Biochem. Biophys. Res. Commun.300:853-861;Yu, D. et al. (2002) Nucleic Acids Res.30:4460-4469;Yu, D. et al. (2002) J. Med. Chem.45:4540-4548. Yu, D. et al. (2002) Biochem. Biophys. Res. Commun.297:83-90;Kandimalla. E. et al. (2002) Bioconjug. Chem.13:966-974;Yu, D. et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30:1613-1619;Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:2803-2808;Yu, D. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263-2267;Kandimalla, E. et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813;Yu, D. et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585-2588;Putta, M. et al. (2006) Nucleic Acids Res. 34:3231-3238)。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、コアCpRジヌクレオチドに隣接する配列へのユニークな修飾が、in vitroおよびin vivoで特異なサイトカインおよびケモカインプロファイルを生成する、新規なTLR9アゴニストを産生することを発見した。CpR含有オリゴヌクレオチドに対するサイトカインおよびケモカイン反応を「カスタム調整」するこの能力は、種々の疾病状態を、疾病特異的かつさらに患者特異的な様式で、予防および/または処置する能力の提供を約束する。したがって、かかるカスタム調整された反応を提供する、新規なオリゴヌクレオチド類似体化合物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、TLR9のアゴニストとしての相互作用を通して、特異な免疫反応プロファイルを個別に提供する、新規なオリゴヌクレオチドベースの化合物を提供する。本発明によるTLR9アゴニストは、特異的でユニークな化学修飾を特徴とし、これによりその特徴的な免疫反応活性化プロファイルが提供される。
本発明によるTLR9アゴニストは、種々の細胞型において、ならびに種々のin vitroおよびin vivo実験モデルにおいて免疫反応を誘発し、各アゴニストは特異な免疫反応プロファイルを提供する。そのためこれらは、免疫系の研究のため、またヒトおよびマウスなどの種々の動物種の免疫系を比較するためのツールとして有用である。本発明によるTLR9アゴニストはまた、種々の疾病の予防および/または処置において、それのみで、他の薬剤と組み合わせて、またはワクチンとして用いる抗体用のアジュバントとして、有用である。
したがって、第1の側面において、本発明は、オリゴヌクレオチドベースのTLR9のアゴニストを提供する。
第2の側面において、本発明は、本発明によるオリゴヌクレオチドベースのTLR9アゴニスト(「化合物」)および生理学的に許容し得る担体を含む、組成物を提供する。
【0009】
第3の側面において、本発明はワクチンを提供する。この側面によるワクチンは、本発明による組成物を含み、さらに抗体を含む。
第4の側面において、本発明は、脊椎動物においてTLR9媒介性免疫反応を引き起こすための方法を提供し、かかる方法は、脊椎動物に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。
第5の側面において、本発明は、疾病または疾患を有する患者を治療的に処置するための方法を提供し、かかる方法は、患者に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。
第6の側面において、本発明は、疾病または疾患を防ぐための方法を提供し、かかる方法は、患者に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。
【0010】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、TLR9のアゴニストとしての相互作用を通して、特異な免疫反応プロファイルを個別に提供する、新規なオリゴヌクレオチドベースの化合物を提供する。本発明によるTLR9アゴニストは、ユニークな化学修飾を特徴とし、これによりその特徴的な免疫反応活性化プロファイルが提供される。本明細書に引用された全ての刊行物は、当業者のレベルを反映しており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。これら参考文献と本明細書との間のいかなる不一致も、後者を支持するように解決されるべきである。
本発明によるTLR9アゴニストは、種々の細胞型において、ならびに種々のin vitroおよびin vivo実験モデルにおいて免疫反応を誘発し、各アゴニストは特異な免疫反応プロファイルを提供する。そのためこれらは、免疫系の研究のため、またヒトおよびマウスなどの種々の動物種の免疫系を比較するためのツールとして有用である。本発明によるTLR9アゴニストはまた、種々の疾病の予防および/または処置において、それのみで、他の薬剤と組み合わせて、またはワクチンとして用いる抗体用のアジュバントとして、有用である。
【0011】
本発明によるいくつかのTLR9アゴニストを、下の表Iに示す。この表において、オリゴヌクレオチドベースのTLR9アゴニストは全て、別に指示のある場合を除き、ホスホロチオエート(PS)結合を有する。別に指示のある場合を除き、全てのヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。しかし当業者は、ホスホジエステル(PO)結合、またはPS結合とPO結合の組み合わせも用いることができることを、認識する。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
【表3】

【0015】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例2の記載のようにして、TLR9を発現するHEK293細胞において免疫刺激活性について試験した。下の表II(a)、II(b)、II(c)およびII(d)は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、投与後24時間においてそれらのTLR9媒介性NF−κB活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、NF−κB活性化を増加または減少できることを示す。
【0016】
【表4】

【0017】
【表5】

【0018】
【表6】

【0019】
【表7】

【0020】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、C57BL/6マウス脾臓細胞IL−12アッセイにおいて免疫刺激活性について試験した。下の表III(a)、III(b)およびIII(c)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、投与後24時間の脾臓細胞におけるTLR9媒介性IL−12活性化プロファイルを変化させること、および、この活性化プロファイルは、化学修飾に依存して用量依存性となり得ることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IL−12活性化を増加または減少できることを示す。
【0021】
【表8】

【0022】
【表9】

【0023】
【表10】

【0024】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、C57BL/6マウス脾臓細胞IL−6アッセイにおいて免疫刺激活性について試験した。下の表IV(a)、IV(b)およびIV(c)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、投与後24時間の脾臓細胞におけるTLR9媒介性IL−6活性化プロファイルを変化させること、および、この活性化プロファイルは、化学修飾に依存して用量依存性となり得ることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IL−6活性化を増加または減少できることを示す。
【0025】
【表11】

【0026】
【表12】

【0027】
【表13】

【0028】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例4の記載のようにして、ヒトB細胞増殖アッセイにおいて免疫刺激活性について試験した。下の表V(a)、V(b)、V(c)、V(d)およびV(e)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、TLR9媒介性B細胞増殖活性を変化させること、および、この活性化プロファイルは、化学修飾に依存して用量依存性となり得ることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、B細胞増殖を調節できることを示す。
【0029】
【表14】

【0030】
【表15】

【0031】
【表16】

【0032】
【表17】

【0033】
【表18】

【0034】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、IL−1Rα、IL−6、IL−10およびIL−12についてのヒトPBMCおよびB細胞アッセイにおいて、免疫刺激活性について試験した。下の表VI(a)、VI(b)、VI(c)、VI(d)、VI(e)、VI(f)、VI(g)、およびVI(h)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、ヒトPBMCにおいてそれらのTLR9媒介性IL−1Rα、IL−6、IL−10および/またはIL−12活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IL−1Rα、IL−6、IL−10およびIL−12活性化を増加または減少できることを示す。
【0035】
【表19】

【0036】
【表20】

【0037】
【表21】

【0038】
【表22】

【0039】
【表23】

【0040】
【表24】

【0041】
【表25】

【0042】
【表26】

【0043】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、IFN−γ、MIP−1αおよびMIP−βについてのヒトPBMCアッセイにおいて、免疫刺激活性について試験した。下の表VII(a)およびVII(b)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、ヒトPBMCにおいてそれらのTLR9媒介性IFN−γ、MIP−1αおよび/またはMIP−β活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IFN−γ、MIP−1αおよびMIP−β活性化を増加または減少できることを示す。
【0044】
【表27】

【0045】
【表28】

【0046】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、MCP−1およびIFN−αについてのヒトPBMCアッセイにおいて、免疫刺激活性について試験した。下の表VIII(a)およびVIII(b)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、ヒトPBMCにおいてそれらのTLR9媒介性MCP−1および/またはIFN−α活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、MCP−1およびIFN−α活性化を増加または減少できることを示す。
【0047】
【表29】

【0048】
【表30】

【0049】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、IFN−α、IL6およびIL−12についてのヒトPBMCおよびpDCアッセイにおいて、免疫刺激活性について試験した。下の表IX(a)、IX(b)、IX(c)、IX(d)、IX(e)、IX(f)およびIX(g)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、ヒトPBMCおよびpDCにおいて、それらのTLR9媒介性IFN−α活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IFN−α、IL−6およびIL−12活性化を増加または減少できることを示す。
【0050】
【表31】

【0051】
【表32】

【0052】
【表33】

【0053】
【表34】

【0054】
【表35】

【表36】

【0055】
【表37】

【0056】
【表38】

【0057】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、マウス脾臓細胞培養物中でのそれらのIL−12およびIL−6の誘発について試験した。下の表X(a)およびX(b)に示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、脾臓細胞においてそれらのTLR9媒介性IL−6および/またはIL−12活性化プロファイルを変化させること、およびこの活性化プロファイルは、化学修飾に依存して用量依存性となり得ることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IL−6およびIL−12活性化を増加または減少できることを示す。
【0058】
【表39】

【0059】
【表40】

【0060】
表Iからの例示のTLR9アゴニストを、例3の記載のようにして、ヒトPBMC培養物中でのそれらのIL−1Rα、IL−6およびIL−12p40p70の誘発について試験した。下の表XIに示す結果は、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾が、ヒトPBMCにおいてそれらのTLR9媒介性IL−1Rα、IL−6およびIL−12p40p70活性化プロファイルを変化させることを実証する。より一般的には、これらのデータは、3’−3’結合オリゴヌクレオチドへの特異的化学修飾を用いて、IL−1Rα、IL−6およびIL−12p40p70活性化を増加または減少できることを示す。
【0061】
【表41】

【0062】
上記したように、本発明は、第1の側面において、オリゴヌクレオチドベースのTLR9合成アゴニストを提供する。塩基、糖、リンケージ、またはリンカーに対する一定の化学修飾に基づき、TLR9のアゴニストは、接触可能5’末端を保持しつつ、他のTLR9アゴニスト分子と会合し重複した場合に、増加した安定性を有することができる。
第2の側面において、本発明は、本発明によるオリゴヌクレオチドベースのTLR9アゴニスト(「化合物」)および生理学的に許容し得る担体を含む、組成物を提供する。用語「生理学的に許容し得る」とは、一般に、化合物の有効性を損なうことなく、細胞、細胞培養物、組織または生物などの生体システムと適合的である物質をいう。
【0063】
本明細書において、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、緩衝液、安定化剤、可溶化剤、オイル、脂質、脂質含有ベシクル、ミクロスフェア、リポソームカプセル剤または生理学的に許容し得る製剤において用いるための当該分野でよく知られた他の材料を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の適用に対する投与経路に依存することが理解される。これらの材料を含む、生理学的に許容し得る製剤の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
活性化合物は、生理学的に許容し得る担体または希釈剤中に、処置される患者に重篤な毒性効果を及ぼすことなく、予防的または治療的に有効な量で患者に送達されるのに十分な量で、含有される。用語「有効量」または「十分な量」は、一般に、有益な結果などの所望の生物学的効果を及ぼすのに十分な量をいう。したがって、「有効量」または「十分な量」は、投与される状況に依存する。生理学的に許容し得る誘導体の有効な用量範囲は、送達される親化合物の重量に基づき算出することができる。誘導体それ自体が活性を示す場合は、有効用量は誘導体の重量を用いて、または当業者に既知の他の手段により、上記のようにして推定可能である。
【0064】
第3の側面において、本発明はワクチンを提供する。この側面によるワクチンは、本発明の組成物を含み、さらに抗体を含む。抗体とは、特異的免疫反応を誘発する分子である。かかる抗体は、限定することなく、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物および複合体またはこれらの任意のものの組合せを含む。抗体は、天然または合成であってよく、一般にその抗体に特異的な免疫反応を誘発する。任意のかかる抗体は、随意に免疫原性タンパク質に結合してもよく、その例は例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、コレラ毒素Bサブユニット、または任意の他の免疫原性担体タンパク質である。
本発明によるワクチンはさらに、任意の過剰な既知のアジュバントをさらに含んでよく、その例は限定なく、フロイント完全アジュバント、KLH、モノホスホリル脂質A(MPL)、ミョウバン、およびQS−21を含むサポニン、イミキモド、R848、またはこれらの組合せを含む。
【0065】
第4の側面において、本発明は、脊椎動物においてTLR9媒介性免疫反応を引き起こすための方法を提供し、かかる方法は、脊椎動物に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。いくつかの態様において、脊椎動物は哺乳類である。本発明の目的のために、用語「哺乳類」は、ヒトおよび動物を含むことを特に意図する。好ましい態様において、化合物、組成物またはワクチンは、免疫刺激を必要とする脊椎動物に投与される。
【0066】
本発明のこの側面による方法において、本発明の化合物、組成物またはワクチンの投与は任意の好適な経路により行うことができ、これには、限定することなく、非経口、経口、腫瘍内、舌下、経皮、局所、経鼻、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、粘膜、膣、あるいは遺伝子銃、経皮パッチまたは点眼もしくは口腔洗浄の形態によるものを含む。化合物、組成物またはワクチンの投与は、既知の手順を用いて、疾病の症状または代理マーカーを低減するのに有効な用量と期間で、行うことができる。全身投与の場合、化合物、組成物またはワクチンは、本発明の化合物の約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルの血中レベルを達成するのに十分な用量で投与するのが好ましい。局所投与の場合、これよりはるかに低い濃度が有効であり得、またはるかに高い濃度が重篤な毒性効果なしに耐容され得る。好ましくは、本発明による化合物の総用量は1日約0.001mg/患者〜1日約200mg/体重1kgまでの範囲である。本発明の1または2種以上の治療組成物の治療有効量を、同時に、または連続して、個体に対して1つの処置エピソードとして投与することが望ましい場合もある。
【0067】
ある好ましい態様においては、本発明の化合物、組成物またはワクチンは他の剤と組み合わせて投与され、これらの剤は限定することなく、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、SiRNA、アプタマー、リボザイム、標的治療物(targeted therapies)、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、および/または免疫反応の特異性もしくは強さを増強するためのアジュバントを含む。
本発明のこの側面の目的のために、「と組み合わせて」の用語は、患者の疾病または疾患を処置する過程において、本発明の化合物、組成物またはワクチンおよび/または他の剤を、同時投与ならびに、数時間、数日間または数週間の時間的間隔をあけた順序での投与を含む任意の順序で、投与することを意味する。かかる組合せ処置はまた、本発明の化合物、組成物またはワクチンおよび/または他の剤の、単回の投与より多数の投与も含んでよい。本発明の化合物、組成物またはワクチンおよび/または他の剤の投与は、同一または異なる経路であってよい。
【0068】
本発明のこの側面による方法は、ヒトまたは動物の疾病の予防的または治療的処置に有用である。例えば、本方法は、小児および獣医学の用途に有用である。本方法はまた、免疫系のモデル研究にも有用である。
第5の側面において、本発明は、疾病または疾患を有する患者を治療的に処置するための方法を提供し、かかる方法は、患者に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。種々の態様において、処置される疾病または疾患は、癌、自己免疫疾患、感染症、気道炎症、炎症性疾患、アレルギー、ぜん息、または病原体もしくはアレルゲンにより引き起こされる疾患である。病原体は例えば、細菌、寄生生物、真菌、ウィルス、ウィロイド、およびプリオンを含む。投与は、本発明の第4の側面において記載されたようにして実施する。
【0069】
用語「処置」は、一般に、症状の緩和、または疾病の進行を遅らせるかまたは改善することを含み得る、有益な、または所望の結果を得ることを意図したアプローチをいう。
本発明の目的のために、用語「アレルギー」は、一般に、炎症を特徴とする不適切な免疫反応をいい、限定はしないが、食品アレルギーおよび呼吸アレルギーを含む。用語「気道炎症」はぜん息を含むが、これに限定はされない。本明細書において用いる用語「自己免疫疾患」は、「自己」要素(例えばタンパク質)が免疫系による攻撃を受ける疾患をいう。かかる用語は、自己免疫性ぜん息を含む。用語「癌」は、限定することなく、異常または無制御的な細胞増殖および/または分裂により引き起こされる、任意の悪性の増殖または腫瘍を含む。癌は、ヒトおよび/または動物において起こり、任意のおよび全ての組織において生じ得る。本発明を用いて癌を有する患者を処置することは、本発明の化合物、組成物またはワクチンを投与して、異常または無制御的な細胞増殖および/または分裂に影響を及ぼすことを含んでよい。
【0070】
第6の側面において、本発明は、疾病または疾患を防ぐための方法を提供し、かかる方法は、患者に対し、本発明による化合物、組成物またはワクチンを投与することを含む。種々の態様において、予防される疾病または疾患は、癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、ぜん息、または病原体により引き起こされる疾患である。病原体は、限定することなく、細菌、寄生生物、真菌、ウィルス、ウィロイド、およびプリオンを含む。投与は、本発明の第4の側面において記載されたようにして実施する。
【0071】
本発明の任意の方法において、本発明の化合物、組成物またはワクチンは、疾病または状態を予防または処置するのに有用であり、かつ本発明の化合物、組成物またはワクチンの免疫刺激効果を低減させないような他の剤と組み合わせて、投与することができる。本発明の任意の方法において、疾病または状態を予防または処置するのに有用な剤は、限定することなく、ワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、および/または免疫反応の特異性もしくは強さを増強するためのアジュバント、または、共刺激性分子であって、例えばサイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチド、および修飾アミノ酸を含むペプチドなどを含む。例えば、癌の予防および/または処置において、本発明の化合物、組成物またはワクチンを、化学治療化合物またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与できることが意図される。代替的に、剤は、抗原またはアレルゲンをコードするDNAベクターを含むことができる。これらの態様において、本発明の化合物、組成物またはワクチンは、アジュバントとして様々に作用でき、および/または、直接免疫調節効果をもたらすことができる。
以下の例は、本発明の一定の好ましい実施例をさらに説明することを意図し、本発明の範囲を多少でも限定することを意図するものではない。
【0072】
例1:
オリゴヌクレオチド、ペンタン−1,3,5−トリオールリンカー、ペンタン−1,5−ジオールリンカーおよびcis−1,3,5−シクロヘキサントリオールリンカーの合成ならびにCPGおよびオリゴプレップ固体支持体の機能化
対照ポアガラス誘導体化3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールリンカー(5)を、市販の3−メチル−1,3,5−トリオール(1)からスキーム1に示すようにして実現した。初めに、ビス−DMT保護アルコール(2)を、(1)から、DMAPの存在下でDMTClで処理することにより、十分な産量で調製した。CPG誘導体化の従来法は、おそらく立体化学的効果による、(2)の3−ヒドロキシルにおけるスクシニル化産物の低い産量のために不可能であった。しかし、CPG誘導体化リンカー(5)は、コハク酸塩(3)(スキーム1)を作製する必要性を排除した次の代替アプローチにより調製した。この経路において、初めに、CPGビーズを室温でジクロロメタン(DCM)中の3%トリクロロ酢酸(TCA)で処理することにより活性化して、CPG表面で反応性アミノ基の最大数を遊離化した。活性化CPGビーズを次に、DMAPの存在下で無水コハク酸で誘導体化して、CPGビーズ(4)を得た。最後に、CPG誘導体化リンカー(5)を、CPG(4)のカルボン酸基を用いて、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(DEC)/DMAPの存在下で(2)を縮合することにより得た。誘導体化の後、残留カルボン酸基を、ペンタクロロフェノールによるキャッピング反応により除去した。
【化1】

スキーム1.3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールリンカーの合成およびCPGの誘導体化。試薬および条件:a)DMTCl、DMAP、ピリジン、0℃〜室温;b)無水コハク酸、DMAP、ピリジン;c)(i)DCM中3%TCA;(ii)無水コハク酸、DMAP、ピリジン;d)(i)(2)、DMAP、TEA、DEC、ピリジン;(ii)ペンタクロロフェノール。
【0073】
1,3,5−ペンタントリオールリンカー誘導体化CPG(10)およびオリゴプレップ(11)を、市販の3−ヒドロキシグルタル酸ジエチル(6)から出発して調製した(スキーム2)。LiAlHによる(6)の還元により、定量的産量の1,3,5−ペンタントリオール(7)を産生した。トリオール(7)を次にDMAPの存在下でDMTClにより選択的に保護して、ビス−DMT保護アルコール(8)を得て、これを次にコハク酸塩に正常に変換する;これは、DMAPの存在下で無水コハク酸で処理することにより、固体支持体上にそのまま負荷することができる。ピリジン/アセトニトリル混合物中DIC/DMAPの存在下で、定量的負荷産量で(9)をCPGに結合することができる(10)。一方、上記のプロトコルは、PVA固体支持体であるオリゴプレップ250の機能化においては、非常に少ない負荷産量を与えた。しかし、アセトニトリル中のTBTU/DMAPの存在下では、定量的負荷産量が実現された(11)。負荷はそれぞれ、CPG(10)上に約〜40μmol/g、およびオリゴプレップ250(11)支持体上に約〜125μmol/gで維持され、これは、ヌクレオチド結合効率および最終収率を増加させる。
【化2】

スキーム2.1,3,5−ペンタントリオールリンカーの合成ならびにCPGおよびオリゴプレップ固体支持体の誘導体化。試薬および条件:a)LiAlH、THF、0℃〜室温;b)DMTCl、DMAP、ピリジン、0℃〜室温;c)無水コハク酸、DMAP、ピリジン;d)LCAA−CPG、DMAP、DIC、ピリジン、アセトニトリル;e)オリゴプレップ250、DMAP、TBTU、アセトニトリル。
【0074】
C5リンカー機能化支持体(10)および(11)は、同一配列のイムノマーを作製するのに理想的である。非同一配列のイムノマーもまた、我々の研究において強力な免疫刺激活性を示した。例えば(14)(スキーム3)などの適切に保護されたC5リンカーは、非同一配列のイムノマーを作製するために必要である。市販の1,5−ペンタンジオールのヒドロキシル基の1つを、DMTにより選択的に保護し、続いて2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホス−ホスホラミダイトによるリン酸化により、必要なC5リンカー(14)を得た(スキーム3)。
【化3】

スキーム3.ペンタンジオールホスホラミダイトの合成。試薬および条件:a)DMTCl、DMAP、ピリジン、−10℃〜室温;b)DIPEA、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロ−ホスホスホラミダイト、NMI、DCM、0℃〜室温。
【0075】
我々はまた、強力な合成免疫調節モチーフとしてのCpGDNAデンドリマーの設計および開発にも注目した。CpGDNAデンドリマーを作製するためには、適切に保護されたリンカーであるホスホラミダイトは必須である。C5リンカーホスホラミダイト(15)および(16)を、それぞれジ−DMTアルコール(2)および(8)から、スキーム4に示すように、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホスホラミダイトによるリン酸化により調製した。
【化4】

スキーム4.ペンタントリオールホスホラミダイトの合成。試薬および条件:a)DIPEA、2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルクロロホスホスホラミダイト、NMI、DCM、0℃〜室温。
【0076】
CPGで誘導体化したcis−シクロヘキサントリオールリンカー(20)を、スキーム5に示すようにして実現した。ビス−DMT保護cis−1,3,5−シクロヘキサントリオール(18)を、市販のcis−1,3,5−シクロヘキサントリオール(17)から実現した。続く、非保護ヒドロキシル(18)のDMAPの存在下における無水コハク酸によるスクシニル化により、所望のビス−DMTコハク酸塩(19)を78%の収率で得た。CPGのコハク酸塩(19)による誘導体化を、定量的産量((20)、40μmol/g)で、ピリジン/アセトニトリル混合物中のDIC/DMAPの存在下にて実現した。
【化5】

スキーム5.cis−シクロヘキサン−1,3,5−トリオールリンカーの合成およびCPG固体支持体の誘導体化。試薬および条件:a)DMTCl、DMAP、ピリジン、0℃〜室温;b)無水コハク酸、DMAP、ピリジン、室温;c)LCAA−CPG、DMAP、DIC、ピリジン、アセトニトリル。
【0077】
3−ヒドロキシグルタル酸ジエチル、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、4,4−ジメトキシトリチルクロリド(DMTCl)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、無水コハク酸、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(DEC)、トリクロロ酢酸(TCA)、N−メチルイミダゾール(NMI)、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などの試薬、ならびにピリジン、ジクロロメタン(DCM)およびテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から入手し、別に言及されない限りさらなる精製なしで用いた。長鎖アルキルアミン制御ポアガラス(CPG;120〜200メッシュ、500Å、90〜120μmol/gNH基)はCPG Inc (Lincoln Park, NJ)から入手し、オリゴプレップ250はMerck KGaA (Germany)から入手した。キャップA(無水酢酸/2,6−ルチジン/THF、1:1:8)およびキャップB(N−メチルイミダゾール/THF、16:84)試薬は、Applied Biosystems (Foster City, CA)から入手した。全ての反応は、使用前に少なくとも3時間120℃のオーブンで乾燥させたガラス容器内で行った。TLCは、アルミニウムシートを被覆しているシリカゲル60F254上で実施され、UV光またはSigma-Aldrich (St. Louis, MO)からの5%リンモリブデン酸(PMA)溶液により視覚化した。クトマトグラフィ用の、酢酸エチル(EtOAc)、ヘキサン、DCM、メタノール、t−ブチルメチルエーテルなどの溶媒は、J.T. Bakerから入手し、精製なしで用いた。フラッシュカラムクロマトグラフィは、EMD Chemicals (Gibbstown, NJ)から入手したシリカゲル60(メッシュサイズ:0.040〜0.063mm&230〜400メッシュASTM)を用いて行った。NMRスペクトルは、Varian 400MHa Unity Inova装置上で行った。化学シフト(δ)はTMSに対するppmで表示し、全ての結合定数(J)はHzで表示した。
【0078】
1,5−ビス−ジメトキシトリチルオキシ−3−メチル−ペンタン−3−オール(2):ピリジン(25mL)中のDMTCl(3.6g、10.5mmol、2.1当量)を、乾燥ピリジン(25mL)中の3−メチル−1,3,5−ペンタンチオール((1)、0.7g、5mmol)およびDMAP(0.24g)の氷冷(0℃)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下で1滴ずつ加えた。反応混合物をゆっくりと室温に到達させ(〜4時間)、一晩撹拌を続けた。TLC(0.5%TEAを含有するヘキサン/t−ブチルメチルエーテル、2:1)により、反応の完了を示した。ピリジンを回転蒸発乾固し(rotoevaporate to dryness)、残留物を酢酸エチル(250mL)に溶解し、水(2×100mL)、飽和NHCl溶液(2×100mL)、ブライン(2×100mL)および水(2×100mL)で続いて洗浄した。酢酸エチルの層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発乾固した。残留物を、0.5%トリエチルアミンを含有するヘキサン/t−ブチルメチルエーテル(3:1)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し、ビス−DMT産物(2)を白色の泡状物質として得た(2.9g、78%)。
【化6】

【0079】
ビス−DMT−3−メチル−ペンタントリオール誘導体化CPG(5)の調製:LCAA−CPG(5g)を3%TCA(50mL)に加え、ゆっくりと室温で3時間撹拌した。CPGをろ過し、TEA/DIPEAの9:1混合物(50mL)で、続いてDCM(5×100ml)で洗浄した。活性化CPGを高真空下で1時間乾燥した。ピリジン(30mL)中の無水コハク酸(1g、10mmol)およびDMAP(0.2g)溶液を上記CPG(5g)に加え、スラリーを室温で24時間振盪した。溶液をろ別し、CPGをピリジン(2×25mL)で、続いてDCM(5×25mL)で洗浄し、高真空下で2時間乾燥して、CPGのコハク酸誘導体(4)を得た。乾燥ピリジン(10mL)中のジ−DMT−3−メチル−ペンタントリオール(2)(87mg)、DMAP(30mg)、TEA(100μL)およびDEC(0.4g)の溶液を、CPG(4)に加え、室温で15時間振盪した。ペンタクロロフェノール(0.14g)を上記混合物に加え、さらに15時間振盪した。溶液をろ別し、CPGをピリジン(2×25mL)で、続いてDCM(5×25mL)で完全に洗浄し、デシケータ中高真空下で一晩乾燥して、ジ−DMT−3−メチル−ペンタントリオール誘導体化CPG(5)を得た。負荷量は、CPGの小部分をDCM中3%TCAで処理して決定し、DMT含量(37μmol/g)を498mmでの吸収の測定により定量した。
【0080】
ペンタン−1,3,5−トリオール(7)の合成:THF(100mL)中の3−ヒドロキシグルタル酸ジエチル((6)、25g、122.4mmol)をTHF(400mL)中の1MのLiAlH溶液に、0℃のアルゴン雰囲気下で、激しく撹拌しつつ1滴ずつ加えた。添加の後、反応混合物を室温に到達させ(〜4時間)、一晩撹拌した。反応混合物を−78℃に冷却し(アセトン/乾燥氷浴)、飽和NHCl溶液(50mL)の1滴ずつの添加により急冷して、白色の沈殿物を得た。反応混合物を別の500mLのTHFで希釈し、白色沈殿物をセライトを通してろ過した。沈殿物を沸騰THF(250mL)で処理してろ過した。あわせた有機相を無水MgSO上で乾燥し、溶媒を回転蒸発により除去した。残留物を、DCM/EtOAc/メタノール(6:3:1)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、トリオール(7)(11.4g、95.5mmol、78%)を無色の油として得た。
【化7】

【0081】
1,5−ビス−[(4,4、−ジメトキシフェニル)−フェニルメトキシ]−ペンタン−3−オール(8):ピリジン(100mL)中のDMTCl(16.6g、49mmol、2.1当量)を、乾燥ピリジン(50mL)中のペンタントリオール(7)(2.8g、23mmol)およびDMAP(2.85g、1当量)の氷冷(0℃)の撹拌溶液に、アルゴン雰囲気下で1滴ずつ加えた。反応混合物をゆっくりと室温に到達させ(〜4時間)、一晩撹拌を続けた。TLC(0.5%TEA含有のヘキサン/EtOAc、3:1)により、反応の完了を示した。ピリジンを回転蒸発乾固し、残留物をDCM(500mL)に溶解し、水(500mL)、飽和NHCl溶液(50mL)、ブライン(50mL)および水(2×500mL)で続いて洗浄した。DCM層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発乾固した。残留物を、0.5%TEA含有ヘキサン/EtOAc(3:1)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、ビス−DMTアルコール(8)を白色発泡体として得た(12.1g、16.7mmol、72%)。
【化8】

【0082】
3(1,5−O−ジメトキシトリチルペンタントリオール)コハク酸(9):ビス−DMTアルコール(8)(12g、16.6mmol)およびDMAP(4.04g、33.2mmol)を、乾燥ピリジン(150mL)に溶解し、無水コハク酸(3.31g、33.2mmol)を一部ずつ室温で、激しく撹拌しつつ加えた。反応混合物を一晩撹拌し、ピリジンを回転蒸発乾固した。残留物をDCM(500mL)に溶解し、氷冷の10%クエン酸溶液(2×500mL)および水(2×500mL)で続いて洗浄した。DCM層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発装置を用いて50mLの容積に濃縮し、0.5%TEA含有のDCM中0→2%メタノールを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、コハク酸塩の純粋トリエチルアンモニウム塩(9)を白色発泡体として得た(11.4g、13.8mmol、83%)。
【化9】

【0083】
ビス−DMTペンタントリオール負荷CPG(10)の調製:ピリジン/アセトニトリルの1:6混合物(105mL)中のコハク酸塩(9)(0.83g、1mmol)、DMAP(0.4g、3.3mmol)およびDIC(5mL)の溶液を、CPG(25g)に加え、スラリーを24時間振盪した。溶液をろ別し、CPGを、5%ピリジン含有アセトニトリル(100mL)およびアセトニトリル(250mL)で洗浄した。キャップA(ABI、89mL)およびキャップB(ABI、100mL)溶液を、CPG支持体に加え、4時間振盪した。溶液をろ別し、CPGを、5%ピリジン含有アセトニトリル(2×100mL)で、続いてアセトニトリル(2×250mL)で洗浄し、高真空下で30分間乾燥した。5%ピリジン含有アセトニトリル(150mL)中のTBDMSCl(5.6g)およびイミダゾール(1.4g)の溶液をCPGに加え、4時間振盪した。溶液をろ別し、CPGを、5%ピリジン含有アセトニトリル(3×100mL)およびDCM(4×250mL)で続いて洗浄し、デシケータ中の高真空下で一晩乾燥して、乾燥CPG支持体(10)を得た。負荷量は、CPGの小部分をDCM中3%TCAで処理して決定し、DMT含量(40μmol/g)を498mmでの吸収の測定により定量した。
【0084】
ビス−DMTペンタントリオール負荷オリゴプレップ250(11)の調製:オリゴプレップ250(アセトニトリル中で予め膨張させる)を、ペプチド合成容器に取り、無水アセトニトリル(3×100mL)で洗浄した。コハク酸塩(9)(1.752g、2.125mmol)、DMAP(1.82g、14.87mmol)、TBTU(3.41g、10.62mmol)およびアセトニトリル(100mL)をオリゴプレップ250に加え、スラリーを4時間振盪した。溶液をろ別し、オリゴプレップを、1%TEA含有アセトニトリル(2×100mL)およびアセトニトリル(5×100mL)で洗浄した。キャップA(50mL:NMI/ピリジン/アセトニトリル=2:3:5)およびキャップB(50mL:無水酢酸/アセトニトリル=1:4)溶液を、固体支持体に加え、6時間振盪した。溶液をろ別し、固体支持体をアセトニトリル(2×100mL)で洗浄し、キャッピング反応をもう一度繰り返した。溶液をろ別し、固体支持体を、1%TEA含有アセトニトリル(3×100mL)で、続いてアセトニトリル(5×100mL)で洗浄し、デシケータ中の高真空下で24時間乾燥して、乾燥オリゴプレップ250支持体(11)(26.4g)を得た。負荷量は、オリゴプレップの小部分をDCM中3%TCAで処理して決定し、DMT含量(138μmol/g)を498mmでの吸収の測定により定量した。
【0085】
5−ジメトキシトリチルオキシ−ペンタン−1−オール(13):ペンタンジオール(12)(12.5g、120mmol)およびDMAP(14.6g、120mmol)を乾燥ピリジン(100mL)に溶解し、−10℃に冷却し、アルゴン雰囲気下に維持した。ピリジン(150mL)中のDMTCl(37.3g、110mmol、0.92当量)を、激しく撹拌しつつ1滴ずつ加えた。反応混合物をゆっくりと室温に到達させ(〜4時間)、一晩撹拌を続けた。ピリジンを回転蒸発乾固し、残留物をDCM(500mL)に溶解し、水(250mL)、飽和NHCl溶液(2×250mL)、ブライン(250mL)および水(2×250mL)で続いて洗浄した。DCM層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発乾固した。残留物を、0.5%TEAを含む3:1のヘキサン/EtOAcを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、モノ−DMT保護アルコール(13)を無色のシロップとして得た(28.2g、58%)。
【化10】

【0086】
5−ジメトキシトリチルオキシ−ペンタン−1−O−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)ホスホラミダイト(14):無水DCM(500mL)中の氷冷した(13)の溶液(20.32g、50mmol)に、窒素雰囲気下で、DIPEA(26.12ml、150mmol)を激しく撹拌しつつ加えた。次に2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホスホラミダイト(14.2g、60mmol)を1滴ずつ加え、続いてNMI(4mL、50mmol)を加えた。反応混合物をゆっくりと〜4時間で室温に到達させ、一晩撹拌を続けた。0.5%TEAを含む3:1のヘキサン/EtOAcでのTLCにより、反応の完了を示した。反応混合物を追加の500mLのDCMで希釈し、飽和水性NaHCO(1×500mL)、ブライン(2×500mL)および水(1×500mL)で続いて洗浄した。有機相を無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、回転蒸発乾固した。残留物を、0.5%TEAを含む3:1のヘキサン/EtOAc混合物を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、(13)を無色の粘性液体として得た(22.3g、74%)。
【化11】

【0087】
ホスホラミダイト(15)および(16)の合成:(14)について記載したような一般の方法を用いて合成。化合物(15)−白色発泡体、収率69%。
【化12】

化合物(16)−白色発泡体、収率79%。
【化13】

【0088】
cis−3,5−ビス−ジメトキシトリチルオキシ−シクロヘキサン−1−オール(18):cis−1,3,5−シクロヘキサントリオール無水物(5.05g、30mmol)をピリジン(100mL)に溶解し、回転蒸発乾固し、高真空化で48時間乾燥して、無水cis−1,3,5−シクロヘキサントリオール(4.05g、30.6mmol)を得た。上記無水シクロヘキサントリオールおよびDMAP(7.33g、60mmol)を乾燥ピリジン(100mL)に溶解し、氷浴中で冷却し、窒素雰囲気下に維持した。乾燥ピリジン(150mL)中のDMTCl(20.4g、60mmol、2当量)を、上記溶液に激しく撹拌しつつ1滴ずつ加えた。反応混合物をゆっくりと室温に到達させ(〜4時間)、24時間撹拌を続けた。0.5%TEAを含む2:1のヘキサン/EtOAc混合物中のTLCは、いくつかの出発物質の存在を示した。反応混合物をさらに5時間60℃で撹拌し、ピリジンを回転蒸発乾固した。残留物をDCM(500mL)に溶解し、水(500mL)、飽和NHCl溶液(500mL)、ブライン(500mL)および水(2×500mL)で続いて洗浄した。DCM層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発乾固した。残留物を、0.5%TEAを含む3:1のヘキサン/EtOAcを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、ビス−DMT産物(18)を白色固体として得た(8.4g、38%)。
【化14】

【0089】
1(3,5−ビス−ジメトキシトリチル−cis−シクロヘキサントリオール)コハク酸(19):ビス−DMT−シクロヘキサントリオール(18)(4.05g、5.5mmol)およびDMAP(1.34g、10.1mmol)を乾燥ピリジン(50mL)に溶解し、無水コハク酸(1.1g、10.1mmol)を、室温で激しく撹拌しつつ1部ずつ加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌し、2%メタノールおよび0.5%TEAを含むDCM中のTLCが、出発物質が完全に消えたことを示した。ピリジンを回転蒸発乾固し、残留物をDCM(250mL)に溶解し、氷冷の10%クエン酸溶液(2×250mL)および水(2×250mL)で続いて洗浄した。DCM層を無水MgSO上で乾燥し、回転蒸発装置で50mL容積に濃縮し、0.5%TEA含有のDCM中0→2%メタノールを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、コハク酸塩の純粋トリエチルアンモニウム塩(19)を白色発泡体として得た(3.58g、78%)。
【化15】

【0090】
ビス−DMTシクロヘキサントリオール誘導体化CPG(20)の調製:ピリジン/アセトニトリルの1:7.5混合物(85mL)中の、コハク酸塩(19)(0.78g、0.93mmol)、DMAP(0.38g、2.8mmol)およびDIC(3mL)の溶液を、CPG(22.5g)に加え、スラリーを24時間撹拌した。溶液をろ別し、CPGを、5%ピリジン含有アセトニトリル(2×100mL)およびアセトニトリル(3×100mL)で洗浄した。キャップA(ABI、80mL)およびキャップB(ABI、90mL)溶液をCPG支持体に加え、4時間振盪した。溶液をろ別し、CPGを5%ピリジン含有アセトニトリル(2×100mL)で洗浄し、続いてアセトニトリル(2×250mL)で洗浄し、高真空下で30分間乾燥した。5%ピリジン(100mL)を含むアセトニトリル中の、TBDMSCl(2.5g)およびイミダゾール(0.75g)の溶液をCPGに加え、5時間振盪した。溶液をろ別し、CPGを、5%ピリジン含有アセトニトリル(3×100mL)およびDCM(4×100mL)で続いて洗浄し、デシケータ中高真空下で一晩乾燥して、乾燥CPG支持体(20)を得た。負荷量は、CPGの小部分をDCM中の3%TCAで処理して決定し、DMT含量(40μmol/g)を498mmでの吸収の測定により定量した。
【0091】
例2:
マウスTLR9を発現するHEK293細胞中の、表Iからの例示のオリゴによる、細胞培養条件および試薬、サイトカイン誘発
マウスTLR9を安定して発現するHEK293細胞(Invitrogen, San Diego, CA)を、48ウェルプレート内、10%熱不活性化FBSを補足したDMEMで250μl/ウェルにて、5%COインキュベーターにおいて培養した。80%の細胞密集度で、培養物を一時的に、400ng/mlのSEAP(ヒト胎性アルカリホスファターゼの分泌形態)レポータープラスミド(pNifty2-Seap (Invitrogen))を用いて、培養培地中の4μl/mlのリポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下でトランスフェクトした。プラスミドDNAおよびリポフェクタミンを別々に無血清培地に希釈し、室温で5分間インキュベーションした。インキュベーション後、希釈DNAおよびリポフェクタミンを混合し、混合物を室温で20分間インキュベーションした。100ngのプラスミドDNAおよび1μlのリポフェクタミンを含む、DNA/リポフェクタミン混合物のアリコート25μlを、細胞培養プレートの各ウェルに加え、培養を4時間続けた。
トランスフェクションの後、培地を新鮮な培養培地で置き換え、表Iからの例示のオリゴを培養物中に加え、培養を24時間続けた。オリゴ処理の最後に、30μlの培養物上清を各処理から取り出し、製造業者のプロトコル(Invitrogen)に従うSEAPアッセイに用いた。簡潔に述べると、培養物上清を、リン酸n−ニトロフィニイル基質でインキュベーションし、生成された黄色の物質を、プレートリーダーにより405nmにて測定した(Putta MR et al., Nucleic Acid Res., 2006, 34: 3231-8)。
【0092】
例3:
ヒトPBMC、pDC、およびマウス脾臓細胞中の、表Iからの例示のオリゴによるサイトカイン誘発
ヒトPBMC単離
新しく収集した健康なボランティアの血液(CBR Laboratories, Boston, MA)からの末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール密度勾配遠心分離法(Histopaque-107, Sigma)により単離した。
ヒトpDC単離
pDCは、製造業者の指示書に従って、BDCA4細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いる陽性選択により、PBMCから単離した。
マウス脾臓細胞単離
4〜8週齢のC57BL/6マウスからの脾臓細胞を、Zhao, Q. et al, (Biochem Pharmacol. 51:173-182(1996)およびBranda R.F., et al. (Biochem Pharmacol. 45:2037-2043(1993)による記載のように、RPMI完全培地中で培養した。全てのその他の培養試薬は、Mediatech (Gaithersburg, MD)から購入した。
【0093】
サイトカインELISA
ヒトPBMCまたはマウス脾臓細胞を、48ウェルプレートに5×10細胞/mlでプレートした。ヒトpDCを、96ウェルディシュに1×10細胞/mlでプレートした。DPBS(pH7.4;Mediatech)中に溶解した表Iの例示のオリゴを、細胞培養物に加えた。細胞を次に37℃で24時間インキュベーションし、上清をLuminex Multiplex用またはELISAアッセイ用に収集した。ある実験においては、IFN−α、IL−6および/またはIL−12のレベルを、サンドイッチELISAで測定した。サイトカイン抗体および標準を含む必要な試薬は、PharMingenから購入した。
サイトカインLuminex Multiplex
ある実験においては、培養物上清中のIL−1Rα、IL−6、IL−10、IL−12、IFN−α、IFN−γ、MIP−1α、MIP−β、MCP−1およびIL−12p40p70のレベルを、Luminex Multiplexアッセイにより測定した;これは、Luminex 100装置上でBiosource製ヒトマルチプレクスサイトカインアッセイキットを用いて実施し、データをApplied Cytometry Systems(Sacramento, CA)が供給するStarStationソフトウェアを用いて解析した。
【0094】
例4:
表Iからの例示のオリゴの存在下でのヒトB細胞増殖アッセイ
ヒトB細胞を、PBMCから、製造業者の指示に従ってCD19 Cell Isolation Kit(Mitenyi Biotec, Auburn, CA)を用いた陽性選択により単離した。
アッセイに用いた培養培地は、1.5mMのグルタミンを補ったRPMI1640培地、1mMのピルビン酸ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸、50μMの2−メルカプトエタノール、100IU/mlのペニシリン−ストレプトマイシン混合物および10%の熱非活性化ウシ胎仔血清からなる。
全体で1ml当たり0.5×10のB細胞を、96ウェルの平底プレートで、表Iからの例示のオリゴの異なる濃度で、トリプリケートで、全72時間刺激した。66時間後、細胞を、1ウェル当たり、20μlのRPMI1640培地(血清なし)中の0.75μCiの[H]−チミジン(1Ci=37GBq;Perkin Elmer Life Sciences)でパルスし、6〜8時間後に収穫した。次にプレートを細胞収穫器により収穫し、放射性混入物を標準の液体シンチレーション技術により決定した。いくつかのケースでは、対応する[H]−T(cpm)を増殖指数に変換し、これを用いて報告した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜92として表Iに示されるオリゴヌクレオチドを有するTLR9アゴニストであって、ヌクレオシド間結合が、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記TLR9アゴニスト。
【請求項2】
請求項1に記載のTLR9アゴニストを含み、さらに生理学的に許容し得る担体を含む、組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物を含み、さらに抗体を含む、ワクチン。
【請求項4】
脊椎動物においてTLR9媒介性免疫反応を引き起こすための方法であって、脊椎動物に対し、請求項1に記載のTLR9アゴニストの有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
脊椎動物においてTLR9媒介性免疫反応を引き起こすための方法であって、脊椎動物に対し、請求項2に記載の組成物の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
疾病または疾患を有する患者を治療的に処置するための方法であって、患者に対し、請求項1に記載のTLR9アゴニストの治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
疾病または疾患を有する患者を治療的に処置するための方法であって、患者に対し、請求項2に記載の組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
疾病または疾患を有する患者を治療的に処置するための方法であって、患者に対し、請求項3に記載のワクチンの治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
疾病または疾患にかかりやすい患者において該疾病または疾患を予防するための方法であって、患者に対し、請求項1に記載のTLR9アゴニストの予防有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
疾病または疾患にかかりやすい患者において該疾病または疾患を予防するための方法であって、患者に対し、請求項2に記載の組成物の予防有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
疾病または疾患にかかりやすい患者において該疾病または疾患を予防するための方法であって、患者に対し、請求項3に記載のワクチンの予防有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
疾病または疾患が、癌、自己免疫疾患、気道炎症、炎症性疾患、感染症、アレルギー、ぜん息、および病原体により引き起こされる疾患からなる群から選択される、請求項4〜11のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2010−512421(P2010−512421A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541545(P2009−541545)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087182
【国際公開番号】WO2008/073959
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】