説明

TNFリガンドファミリーメンバーの組換えポリペプチドおよびその使用

本発明は、構成成分Aとして、TNFリガンドファミリーメンバーの少なくとも3個のモノマーと、構成成分Bとして、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマーを互いにリンクする少なくとも2個のペプチドリンカーとを含むポリペプチドに関する。本発明はまた、疾患の治療のための、および薬剤あるいはワクチンの製造のためのこれらのポリペプチドの使用に関する。本発明はまた、これらのポリペプチドの製造および分離方法、これらポリペプチドをコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、これらのベクターによってトランスフェクトされる宿主細胞、およびこれら発明のオブジェクトを含む薬学的組成物に関する。最後に、本発明は、例えばアフェレーシス手段による、体液内に含まれる成分の体外での操作、枯渇、および/または除去の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成成分Aとして、TNFリガンドファミリーメンバーの少なくとも3個のモノマーと、構成成分Bとして、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマーを互いにリンクする少なくとも2個のペプチドリンカーとを含むポリペプチドに関する。本発明はまた、疾患の治療のための、および薬剤あるいはワクチンの製造のためのこれらのポリペプチドの使用に関する。本発明はまた、これらのポリペプチドの製造および分離方法、これらポリペプチドをコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、これらのベクターによってトランスフェクトされる宿主細胞、およびこれら発明のオブジェクトを含む薬学的組成物に関する。最後に、本発明は、例えばアフェレーシス手段による、体液内に含まれる成分の体外での操作、枯渇、および/または除去の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TNFリガンドファミリーメンバーにおいては、プロ炎症性サイトカインが重要である。一般にサイトカイン、特にTNFリガンドファミリーメンバーは、体液性の(抗体−仲介の)免疫返答、アポトーシスの誘導、骨の構成、毛成長の、歯成長のおよび汗腺成長の素因の形成、リンパ腺の素因、ならびにその他の多くの(非特許文献1=Aggarwal,B.B.(2003),Nat,Rev.Immunol.3,745〜756)においてと同様に、先天的な免疫系の刺激および協調において、重要な役目を演じる。それに対して、TNFリガンドファミリーメンバーの誤った調節は、多数の病理学的状態に導く。それにはさらに、例えば、敗血性ショック、関節リウマチのような自己免疫疾患、または神経変性疾患が属する。
【0003】
TNFリガンドファミリーメンバーは、ホモ三量体としての生物学的活性形態において、その作用を含む(非特許文献2=Banner,D.W.et al.(1993)Cell 73,431〜445)。三量体構築物およびタンパク質のより高位目の凝集(例えば、オリゴマーまたは三量体の多量体)は、天然において数多く見出される。例えば、軟骨マトリクスタンパク質(CMP)、結合組織タンパク質(非特許文献3=Beck et al.(1996),J Mol Biol 256,909〜923)、CLq−ファミリー(CLqには、コラーゲンα1(X),α2(VII))のようなコラーゲンファミリーからなるタンパク質、冬眠タンパク質,ACRPR30、内耳構成タンパク質(セレブリンおよびマルチメリンが属する)(非特許文献4=KishoreおよびReid、(1999)、Immunopharmacol. 42、15〜21)、ならびに肺活面活性タンパク質A(SP−A)およびマンノース結合タンパク質(MBP)(非特許文献5=Epstein et al.(1996)、Current Opinion in Immunology、Vol 8 No.1、29〜35)のような、コレクチンファミリーのタンパク質がある。
【0004】
三量体へのタンパク質の会合(Zusammenlagering)は、三量体化タンパク質の溶液中において、そのタンパク質の表面において行われる。それは、疎水性交換作用、水素架橋結合、共有結合(例えば、ジスフィド架橋)および/またはクーロン力に基づき、または構造モチーフ、すなわち分子間の超二次構造の構成を生じさせる、特異的アミノ酸配列に基づいて行われる。TNFリガンドファミリーメンバーにおいては、ホモ三量体の3つのモノマーは、疎水性結合を介して非共有結合的に結合されている。それらの活性形態において、それらは、対応するTNFレセプターファミリーメンバーを再び活性化する。レセプター自体は酵素活性を有しない。例えば、TNFリガンドファミリーメンバーとしてのTNFは、2つの膜レセプターTNFR1およびTNFR2に結合して、すでに三量体として存在し、シグナル不活性のレセプターに、三量体化あるいは活性化を仲介する。レセプターの複合体形成を介して、シグナルカスケードが導入され、とりわけ、細胞血漿アダプタタンパク質がそれに伴う(非特許文献6=Wajant,H.et al.(2003),Cell Death,Differ,10,45〜65)。TNFR1およびTNFR2の三量体構造は、レセプターがそれぞれTNRホモ三量体の3つのTNFモノマーのうちの2つの間の中間空間において、結合するように位置する(上記の非特許文献2=Banner et al.(1993))。このことから、TNFおよびTNFリガンドファミリーの別のメンバーは、単にそれ/それらの構造において、ホモ三量体として生物的に活性でありことが、明らかである。
【0005】
その機能に基づいて、TNFリガンドファミリーメンバーあるいはその膜レセプターは、感染症、炎症疾患、代謝性疾患、アポトーシスの誤った調節に起因する疾患、神経退化疾患、および多くのさらなる疾患のような多数の疾患治療に、多種多様に使用されている。癌治療においてのその使用は、特に重要な役を演じる。なぜなら、TNFリガンドファミリーメンバーにおいて、一般に、抗腫瘍作用物質が重要だからである。この関係において、TNF自体(非特許文献7=Eggermont,A.M.およびten Hagen,T.L.(2003),Curr.Oncol.Rep.5,79〜80)、TRAIL(TNFに関連するアポトーシスを誘導するリガンド)、またApo 2Lと呼ばれる(非特許文献8=Weley et al.(1995),Immunity 6:673〜682;非特許文献9=Petti et al.(1996)J Biol Chem 271:12687〜12689)およびFasLが、特に言及される。しかしながら、In vivo研究において、TNFおよびFasレセプターのアゴニストによる強いシステム的な副作用が示され、in vitro研究においては、所定のTRAIL薬剤において同様の障害性作用が示された(非特許文献10=Jo et al.(2000)Nat Med 6:564〜567,Ichikawa et al.(2001)Nat Med 7:945〜960;非特許文献11=Ogasawara et al.(1993)Nature 364:806〜809)。例えば、Fasに対するアゴニストの抗体は、FasLのレセプターに極端な肝障害性作用を示した(上記の非特許文献11=Ogasawara et al.(1993))。そのため、Fas活性リガンド/アゴニストの場合において、安全性の理由から、今日まで臨床的使用は除外されてきた。この分野におけるTNF、TRAIL、FasLおよび他のTNFリガンドファミリーメンバーの大きな意味に基づき、また臨床的システマティックな投与の形態のその応用に伴う副作用に基づき、勿論、この副作用を最小限に抑えるために多くの手がかりが追求されてきた(非特許文献7=Eggermont,A.M.およびten Hagen,T.L.(2003),Curr.Oncol.Rep.5,79〜80)。
【0006】
そのため、例えば特許文献1=国際公開02/22680号パンフレットは、抗原−結合抗体を用いたサイトカインの融合を介して、指向された、および組織あるいは組織特異性のサイトカインの作用を可能にする、融合タンパク質を記述する。この方法によって、サイトカインが、この融合タンパク質と接触しない組織あるいは細胞への作用を含まないこと、およびこの組織または細胞への副作用が軽減されることが、得られる。
【0007】
特許文献2=独国特許出願公開DE 102 47 755において、同様に、組織あるいは組織特異性のサイトカインの作用を可能にする、抗体−非依存の系が明らかにされた。ここでは、融合タンパク質が重要であり、そこにおいて、融合タンパク質の、さらなるタンパク質断片を表す細胞表面分子結合ドメインにおけるこの結合を介して、生物的機能を有する、その中に含まれるタンパク質断片の活性がなされる。非目標組織への副作用の低減と並んで、このシステムは、好都合にも、抗体あるいはより少ない特異性を有する抗体が存在しない標的細胞上の細胞表面分子に対して、導入される。
【0008】
しかしながら、言及した副作用の他に、TNFリガンドファミリーメンバーの活性ホモ三量体が、希釈において、すなわち生理学的に満足できる濃度においても解離する事実が、最も問題である。解離は基本的に可逆であるが、タンパク質はその生物的活性を急速に失う。なぜなら、それは変性するからである。この変性は、不安定なモノマーを介して行われると想定される(非特許文献12=Smith,R.A.およびbaglioni,C.(1987),J.Biol.Chem.262,6951〜6954;非特許文献13=Narhi,L.O.およびArakawa,T.(1987),Biochem.Res.Commun 147,740〜746)。
【0009】
特定の不安定性を有するTRAILにおける、対応する観察に基づいて、タンパク質の安定性、三量体化モジュールとしてのロイシン−ジッパー(Zipper)の添加物によって受け継ぐことが試みられた(非特許文献14=Cha,S.S.et al.(1999),Immunity.11,253〜261)。自然状態において、TRAILは、亜鉛イオンによって安定化される。亜鉛イオンは、三量体リガンドの中心に位置し、システイン残基によって調整される(非特許文献15=Hymowitz,S.G.et al.(2000),Biochemistry 39,633〜640)。しかしながら、ここでロイシン−ジッパーの付加によって、安定性が向上されるのみならず、他の特性、例えば構造変化のような構造特性、活性レート、または生理学的特性が損ねられ得るということは、不利な点である。
【0010】
そのため、活性サイトカイン、特にTNFリガンドファミリーメンバーの安定性を、その天然の特性がその構造の変化によって不利に影響されことなく、および治療的使用において強い細胞傷害性の、または他の副作用を示すことなく、向上させる必要性が存在する。
【0011】
技術水準において、これを達成するシステム、すなわち、それによってTNFリガンドファミリーメンバーが活性および安定形態において提供される系はなく、また、上記短所がなく、自体のまたは複雑な融合タンパク質の生物学的に活性な構成成分として、治療的使用に適する系は、知られていない。
【非特許文献1】Aggarwal,B.B.(2003),Nat,Rev.Immunol.3,745〜756
【非特許文献2】Banner,D.W.et al.(1993)Cell 73,431〜445
【非特許文献3】Beck et al.(1996),J Mol Biol 256,909〜923
【非特許文献4】KishoreおよびReid、(1999)、Immunopharmacol. 42、15〜21
【非特許文献5】Epstein et al.(1996)、Current Opinion in Immunology、Vol 8 No.1、29〜35
【非特許文献6】Wajant,H.et al.(2003),Cell Death,Differ,10,45〜65
【非特許文献7】Eggermont,A.M.およびten Hagen,T.L.(2003),Curr.Oncol.Rep.5,79〜80
【非特許文献8】Weley et al.(1995),Immunity 6:673〜682
【非特許文献9】Petti et al.(1996)J Biol Chem 271:12687〜12689
【非特許文献10】Jo et al.(2000)Nat Med 6:564〜567,Ichikawa et al.(2001)Nat Med 7:945〜960
【非特許文献11】Ogasawara et al.(1993)Nature 364:806〜809)
【非特許文献12】Smith,R.A.およびbaglioni,C.(1987),J.Biol.Chem.262,6951〜6954
【非特許文献13】Narhi,L.O.およびArakawa,T.(1987),Biochem.Res.Commun 147,740〜746)
【非特許文献14】Cha,S.S.et al.(1999),Immunity.11,253〜261
【非特許文献15】Hymowitz,S.G.et al.(2000),Biochemistry 39,633〜640)。
【特許文献1】国際公開02/22680号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開102 47 755号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、TNFリガンドファミリーメンバーの安定性が向上される系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本課題は、特許請求の範囲において特徴付けられる本発明の実施形態によって解決される。特に、本課題は、請求項1の対象、すなわちポリペプチドの提供によって解決される。該ポリペプチドは、少なくとも3個の構成成分Aおよび少なくとも2個の構成成分Bを含むポリペプチドであって、各構成成分Aは、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマーまたは機能性フラグメントおよび/またはこれに関しての機能性改変体であり、各構成成分Bは、ペプチドリンカーである。
【0014】
本発明は、天然に存在する可溶性のTNFリガンドファミリーのサイトカインメンバーは、その生物的活性を単にホモ三量体として展開し、他の局面において、そのモノマーにおける解離を介して変性する傾向にあるという認識に基づく。
【0015】
そのため、モノマーにおけるこの三量体の解離を阻止することが重要である。本発明に従い、これは、少なくともTNFリガンドファミリーメンバーの3つのモノマー、特にTNFが、そのC末端およびN末端を介して、短いペプチドリンカーを用いて、互いに共有結合によって「単鎖(single chain)」−分子(以下、「sc」)に、特にscTNFに結合される。本発明に従い、それによって、全体の分子(2つのペプチドリンカーを有するTNFリガンドファミリーメンバーの少なくとも3つのモノマー)は、単一のタンパク質鎖(Strang)から成り、その結果、モノマーにおける解離は、もはや行われない。本発明に従い、そのような本発明による分子は、TNFリガンドファミリーの対応する可溶性野生型メンバーと比べて、その生物的活性の損失はかなり少ない。本発明に従い、逆に、本発明によるポリペプチドは、その対応するTNFリガンドファミリーの可溶性の野生型メンバーのように、同一の(定性の)活性を有するとともに、その著しい安定性に基づき、ある時点まで生物的活性を有することが立証された。その時点までに、TNFリガンドファミリーの野生型メンバーは、その活性はすでに失われ、すなわち解離あるいは変性される(これについては、以下に記載の様々な安定性試験において立証され、その試験は実施例および図において記載される)。
【0016】
「TNFリガンドファミリーの可溶性野生型メンバー」のもとで、TNFリガンドファミリーの膜固定メンバーの可溶性細胞外断片が理解されるべきである。以下において、「可溶性野生型」の概念の同義語として、「野生型」、「wt」、「可溶性」および「s」(「soluble」に対して)が使用される。特に、可溶性野生型TNF(TNFリガンドファミリーメンバーとして)が重要であり、これに対応して、以下、同義概念「野生型TNF」、「wtTNF」、可溶性TNFおよび「sTNF」が使用される。
【0017】
本発明に関して構成成分Aとは、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマー、または機能性フラグメントまたはこれに関する機能性改変体である。「モノマー」のもとで、共有結合の分離なしに、オリゴマータンパク質から分離され得る、最小のタンパク質またはポリペプチドユニットが理解される。
【0018】
ポリペプチドまたは構成成分Aまたはフラグメントまたはそれに関する改変体は、それが/それらが、その/それらの生物学的活性あるいは機能(特に、相互作用相手、例えば膜安定性レセプターにおけるその/それらの結合特異性およびその/それらの三量体特性)を有する限りにおいて、本発明に関して機能的である。本発明の機能性フラグメントおよび機能性改変体において、これら生物学的機能は、例えば、その特異性または選択性に関して変化し得るが、基本的な生物学的機能は保持される。
【0019】
技術水準において、タンパク質およびポリペプチドあるいは分子の生物学的活性の測定のための数多くの方法が知られている。例えば、マーキングされた基質(Substrate)を使用するタンパク質アッセイ、HPLCまたは薄膜―グラフィーのようなクロマトグラフィー法による基質分析、スペクトル測光等である(例えば、Maniatis et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Habour Laboratory Press,Cold Spring Harbour,NY を参照)。
【0020】
本発明に関してフラグメントのもとで、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマーのフラグメントおよび本発明のポリペプチドあるいはタンパク質のフラグメントが理解される。ここにおいて、モノマー、ポリペプチドあるいはタンパク質のN−末端、C−末端または内部配列の短縮アミノ酸配列が重要である。特に、ポリペプチドあるいはタンパク質の内部配列短縮において、3つのモノマーのうちの1個あるいは数個の配列の短縮が重要であり、その短縮はここでも、N−末端、C−末端または内部配列的に生じ得る。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態において、モノマーのフラグメントは、その細胞外ドメインを表す。そのドメインは、TNFリガンドファミリーメンバーの可溶性野生型メンバーの全細胞外ドメインまたはそれに関する断片に適合する。特に、モノマーのフラグメントは、その細胞外ドメインを表し、該ドメインは、可溶性野生型TNF(アミノ酸 77〜233)または細胞外ドメイン全体(アミノ酸 53〜233)に適合する。
【0022】
そのような本発明によるフラグメントの製造は技術水準において良く知られており、標準的方法の使用のもとに、当業者によって実施され得る(例えば、Maniatis et al.(2001),Molecular Cloning.Labotatory Manual,Cold Spring Habour Laboratory Press)。一般に、モノマー、ポリペプチド、あるいはタンパク質のフラグメントの製造は、天然のモノマー、ポリペプチド、あるいはタンパク質をコードする、DNA配列の改変によって行われる。また、その製造は、DNAの改変がモノマー、ポリペプチド、あるいはタンパク質の機能的活性を損なわないという前提のもとに、このDNA配列の改変されたDNA配列のよる適正な宿主の形質転換および発現によって行われる。
【0023】
本発明によるフラグメントの認識は、上記したように、その生物学的活性の測定によって、その機能性の検査を介して行われるか、またはフラグメントの配列化およびそれに続く、得られた配列と天然の配列との比較に基づいて行われる。その配列化は、技術水準において、数多くのまた良く知られた標準的方法に基づいて行われ得る。
【0024】
本発明に関して、生物学的に活性なモノマー、ポリペプチドあるいはタンパク質またはそれに関するフラグメントまたは、構成成分Aの改変体として、特に、対応する天然の配列に対する配列相異を有するような、モノマー、ポリペプチド、あるいはタンパク質またはそれに関するフラグメントが説明される。これらの配列相異において、アミノ酸の1個または数個の挿入、欠失および/または置換が重要である。そこにおいて、少なくとも60%の、好ましくは70%の、より好ましくは80%の、さらにより好ましくは85%の、さらになお、より好ましくは90%、最も好ましくは97%の配列相同性が存在する。
【0025】
2つの核酸またはアミノ酸のパーセント同一性を決定するために、配列は、続いて互いに比較されるために、調整され得る。そのために、第1のアミノ酸配列あるいは核酸配列の配列内に、例えば、ギャップが導入され得、アミノ酸あるいはヌクレオチドは、対応する第2のアミノ酸配列あるいは核酸配列において、比較される。第1のアミノ酸配列の部位が、第2の配列においてそうであるように、同一のアミノ酸あるいは同一のヌクレオチドによって占められる場合、2つの配列は、この部位において同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって区分された同一の部位数の関数である。
【0026】
2つの配列のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムに基づいて実施される。好ましい、しかしながらそれに限定されない、2つの配列の比較に考慮され得る数学的アルゴリズムは、Karlin et al.(1993),PNAS USA,90:5873〜5877のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、NBLAST−プログラムに統合され、それによって、本発明による配列への所望の同一性を有する配列が同定され得る。上記されたような、ギャップアラインメント(または「gapped alignment」)を得るために、Altschul et al.(1997),Nucleic Acids Res,25:3389〜3402に記載されているような、「Gapped BLAST」−プログラムが使用され得る。
【0027】
本発明に関して、モノマー、ポリペプチドあるいはタンパク質、またはそれに関するフラグメントの生物学的に活性な、従って機能性改変体は、好ましくは、レセプター結合特性を有し得る。その際、改変体は、その特異的な生物的活性、または他の特性、特にその安定性に関して、最適化され得る。
【0028】
改変体の概念のもとに、生理学的な配列に対して保守的な置換(konservative Substitution)を有する、特にそのようなアミノ酸配列が含まれる。保守的な置換として、同一クラスに由来するアミノ酸が互いに置換されるような置換が説明される。特に、脂肪族の側鎖、陽性または陰性に帯電された側鎖、側鎖内に芳香族の基を有するアミノ酸、または、例えば水酸基官能基を有する側鎖が水素架橋と結ばれ得るアミノ酸が存在する。例えば、極性側鎖を有するアミノ酸は、同様の極性側鎖を有する他のアミノ酸によって置換され、または、例えば疎水性側鎖によって特徴付けられるアミノ酸が、他の同様に疎水性側鎖を有するアミノ酸によって置換されることを(例えば、セリン(スレオニン)がスレオニン(セリン)によって、あるいはロイシン(イソロイシン)がイソロイシン(ロイシン)によって)、それは意味する。挿入および置換は、特に、3次元構造の変更を引き起こさず、または結合領域に関係するような配列部位において可能である。挿入または欠失による3次元構造の変更は、例えばCD−スペクトル(円偏光二色性−スペクトル)を用いることによって容易に検査可能である(Urry,1985,Absorption,circular Dichroism and ORD of Polypeptides, in: Modern Physical Methods in Biochemistry,Neuberger et al.(Hrgb.),Elsever,Amsterdam)。
【0029】
天然の配列に対して、置換を有するアミノ酸配列を有する、例えばモノマー、ポリペプチド、あるいはタンパク質またはそれに関するフラグメントの改変体の製造の適正な方法は、例えば、公開文献:米国特許第4,737,462号、米国特許第4,588,585号、米国特許第4,959,314号、米国特許第5,116,943号、米国特許第4,879,111号および米国特許第5,017,691号に開示されている。一般的な改変体の製造は、特に、また、Maniatis et al.(2001),Molecular Cloning:A Laboratory Mnual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressによって記載されている。ここで、コドンは、省略され、補充され、または交換され得る。改変体は、特に、生理学的分解を免れるために安定化された、あるいは、アミド状結合の置換による、タンパク質バックボーンの安定化によって、あるいはβ−アミノ酸の導入によって安定化された、タンパク質またはポリペプチドであり得る。
【0030】
本発明に関して改変体は、同様に、改変体のためのコード化された核酸において、例えば、1個のまたは数個のヌクレオチドの挿入、欠失、および/または置換のような変更が導入されることによって、製造される。技術水準において、核酸配列のそのような変更のための数多くの方法が知られている。最も使用される技術の1つは、オリゴヌクレオチド指向の、部位特異的変異誘発(Mutagenese)である(Comack B.,Current Protocols in Molecular Biology,8.01−8.5.9,Ausubel F.et al.,1991版を参照)。この技術において、オリゴヌクレオチドは合成化され、その配列は所定の変異を有する。このオリゴヌクレオチドは、次いで、野生型核酸配列を含む鋳型を用いてハイブリッド化される。好ましくは、この技術において、単鎖鋳型が使用される。オリゴヌクレオチドおよび鋳型のアニーリングの後に、鋳型−DNA−鎖に相補的である、オリゴヌクレオチドの第2の鎖に合成するために、DNA依存DNA−ポリメラーゼが導入される。結果として、上記変異によってオリゴヌクレオチド内に発生する対合の欠如(Fehlpaarung)を含むヘテロ二本鎖分子が得られる。オリゴヌクレオチド配列は、適正なプラスミド内に導入され、このプラスミドは宿主細胞内に導入され、この宿主細胞内において、オリゴヌクレオチドDNAが模写される。この技術を用いて、目標の変形(変異)を有する核酸配列が得られる。その配列は、本発明による改変体の製造に使用され得る。
【0031】
本発明のポリペプチドに含まれる構成成分Aは、同一あるいは異なり得る。すなわち、構成成分Aにおいて、TNFリガンドファミリーの同一のメンバーのモノマーまたはTNFリガンドファミリーの異なるメンバーのモノマーであり得る。例えば、3つの異なる構成成分Aの場合、TNFリガンドファミリーの3つの異なるメンバーの3つモノマーであり得、または、TNFリガンドファミリーの2つの同一のメンバーの2つのモノマーとTNFリガンドファミリーの1つの別のメンバーの1つのモノマーとであり得る。これは、対応して、3つより多い構成成分Aに当てはまる。例えば、本発明によるポリペプチドは、四量体、五量体、六量体等を形成する、4、5、6またはそれ以上の構成成分Aを含み得る。同様に、特に好ましくは、本発明によるポリペプチドは、構成成分Aの上記された三量体の整数倍のもの、例えば2個、3個、4個またはそれより多くの順次配置された三量体を含む。本発明によるポリペプチドに含まれる構成成分Aは、リンカーによって互いに分離され得る(以下参照)。その際、上記されるように、構成成分Aの2個、3個、4個またはそれより多くの三量体が順次配置され、そのため、異なる三量体を結合するリンカーは、構成成分Aを1個の三量体に互いに結合するリンカーと比べて、必要に応じて、長くあり得る。
【0032】
本発明の構成成分Aは、同一または異なる生物に由来し得る。ここでは脊椎動物、特に哺乳類、例えばマウス、ラット、豚および、とりわけヒトが重要である。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、本発明によるポリペプチドの構成成分Aにおいて、それぞれは、TNFリガンドファミリーメンバーの1個のモノマー、または機能性フラグメントまたはそれに関する機能性改変体が重要であり、それらは、FasL(GenBank受託番号NM_000639)、TRAIL(TNF Related Apoptosis Inducing Ligannd;GenBank受託番号NM_003810)、Apo2Lとも呼ばれる、TNF(腫瘍壊死因子;GenBank受託番号NM_000594)、LT alpha(GenBank受託番号NM_000595)、Lymphotoxin beta(GenBank受託番号NM_002341)、NGF(GenBank受託番号NM_002506)、CD30L(CD153;GenBank受託番号NM_001244)、CD40L(CD154;GenBank受託番号NM_00074)、OX40L(GenBank受託番号NM_003326)、RANKL(GenBank受託番号NM_003701)、TWEAKL(GenBank受託番号NM_003809)、LTalpha、LTbeta、LIGHT(GenBank受託番号NM_003807)、CD27L(GenBank受託番号NM_001252)、41BBL(GenBank受託番号NM_003811)、GITRL(GenBank受託番号NM_005092)、APRIL(GenBank受託番号NM_172089)、EDA(GenBank受託番号NM_001399)、VEGI(GenBank受託番号NM_005118)およびBAFF(GenBank受託番号NM_006573)からなる群から選択される。
【0034】
特に好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの上記規定の構成成分Aにおいて、プロセシング酵素TACEに耐性を有する、TNFリガンドファミリーメンバーの1個のモノマーが重要である。TACEは、ADAMプロテアーゼファミリーのメンバーであり、当然ながら、細胞膜内に存在する、TNFの生理学的なTNF特異性のプロセシング酵素を表す。TNFは通常、細胞膜から分離され、周囲に放出される。開裂部位(Spaltstelle)Ala−Val(例えば、ヒトTNFのためのSWISSPROT命名法によるscTNFにおいて、AS 76〜77,No.PO1375)は、好ましくは、本発明による、TACE耐性の構成成分Aを欠く。開裂部位は、この場合、本発明に従い、重要なアミノ酸AlaまたはValの1個または両方の欠失によって、取り除かれ得る。代替的にまたは付加的に、本発明に従い、TACEに対する認識配列(例えば、ヒトTNFのためのSWISSPROT命名法によるscTNFにおいて、AS 77〜88,No.PO1375)は、その全部または一部が欠失され得る。これは、好ましくは、2、3、4またはそれ以上のアミノ酸、例えばTACE認識配列の全てのアミノ酸によって行われる。scTNFに対して、例えばTACE耐性配列がアミノ酸89〜233(ヒトTNFのためのSWISSPROT命名法によるscTNFのAS 89〜233,No.PO1375)の領域に存在する。構成成分Aにおけるそのような欠失は、リンカー(構成成分B、以下を参照)の領域の構成成分Aの結合部位の近傍のTACEによる。構成成分A(例えば、scTNF)の潜在的開裂を防ぎ、それによって、本発明によるポリペプチドのin vivo安定性が向上される。必要に応じて、欠失によって生じる配列の短縮が、対応するリンカー延長によって補償され得る。scTNFに対して模範的に記載された、構成成分Aの配列の欠失は、上記構成成分Aの各々に対して使用され得る。TACE配列が取り除かれるか、その一部が取り除かれる場合、本発明によるポリペプチド内での追加の構成成分Bまたは構成成分C(以下を参照)の使用によって、TACE認識配列およびTACE開裂部位は、回復されないことに、好ましくは留意されたい。
【0035】
さらなる特に好ましい実施形態において、上記規定された本発明のポリペプチドの構成成分Aは、本発明によるポリペプチドは、その表面において共有結合され得るように、改変される。この結合は、好ましくは平らな表面において、または例えば磁気粒子(磁気ビーズ)のような球粒子において、またはナノ粒子/マイクロ粒子において、好ましくは細胞擬態として、膜結合されたTNF類似の特性を有する治療試薬において行われる。結合のために、結合基(Kopplungsgruppe)、好ましくはシステイン残基のSH−基が、本発明によるポリペプチドの少なくとも1個の構成成分AのN−末端領域に導入される。(さらなる本発明による好ましい結合基が、さらに以下において記載される)。これは、特に好ましくは、所望の部位における追加および/または置換という形態において、システイン残基の導入によって行われ得る。結合基は、構成成分AのN−末端領域の各部位、好ましくはN−末端の近傍に存在する。特に好ましくは、結合基は、最初の1〜15のN−末端領域のアミノ酸、なおより好ましくは、最初の1〜10のN−末端領域のアミノ酸に存在する。例えば、改変は、アミノ酸配列の初期メチオニン(部位2)の後の原核的に発現されたscTNFの場合に、またはリーダー配列直後の真核的に発現されたscTNFに導入され、そのため、それらは、構成成分AのN−末端アミノ酸を表す。代替的に、本発明に従い使用されるTag、あるいはHis−Tag、Flag−Tag(例えば、図18を参照)の際に、本発明に従い、結合基が導入され得る。例えば、結果として、アミノ酸部位9にシステインを有するCysHis−Tagに帰着する。さらなる代替は、1個あるいは2個の、本発明によるポリペプチドの構成成分B(リンカー)への結合基の導入を含む。
【0036】
好ましくは、本発明によるポリペプチドにおいて、単に、N−末端にある構成成分A、あるいはさらなるN−末端にあるTagが、上記の結合基によって備えられる/改変される。さらなる実施形態において、3個の構成成分Aを含む本発明によるポリペプチドの場合、例えば2個または3個の構成成分Aがそれぞれ結合基によって改変され、その結果、全体の分子(本発明によるポリペプチド)は、2個または3個の共有結合を介して、それに適合したマトリクスに結合され得る。本発明による全ての構成成分Aの1個または数個の結合基を介する、本発明によるポリペプチドの結合は、好ましくは、例えばTNFの個々の構成成分Aの機能を害することなく、むしろ、表面および粒子における、例えばscTNFの安定性の改良を可能にする。上述されたように、scFasLおよびscTRAIL、またはsc形態におけるTNFファミリーの別のメンバーの場合と同様に、例えばscTNFの場合において、本発明によるポリペプチドの各々は、好ましくは、機能的に重要な配置にいて、生物学的機能に必要なサブユニット(構成成分A)を含む。表面/粒子における、本発明によるポリペプチドの結合によって、例えば、結合されたTNF−ホモ三量体−またはヘテロ三量体、あるいは−ヘテロ多量体を有する表面あるいは粒子を製造することは、本発明によって可能である。これら表面/粒子上において、結合されたTNF−ホモ三量体−またはヘテロ三量体、あるいは−ヘテロ多量体は、安定しおよび生物活性において、固定される。本発明による単鎖(sinngle−chain)原理によって、構成成分Aの機能的に重要な三量体状態は、構成成分Bによって安定化され、それによって、表面/粒子への共有結合の後の、個々の構成成分Aの解離が排除され、それによって、生物学的活性の損失の防止が保障される。
【0037】
そのような本発明による、表面あるいは粒子に結合されたポリペプチドの好ましい特性は、TNFファミリーの膜安定リガンドに適合する、その生物擬似の活性である。例えば、本発明による固定化されたscTNFは、TNFR2に対する高い親和性およびそれによる高いシグナル伝達能力を獲得する。
【0038】
上記されたように、結合基によって改変された構成成分Aを含み、表面および/または粒子に結合された、本発明によるポリペプチドは、本発明に従い、TNFリガンドファミリーメンバーおよびそれに関連付けられる結合の結合パターンの検出および操作、枯渇、および/または除去に、起用され得る。その際、例えば、アフェレーシス手段による、体液内に含まれる成分の体外での操作、枯渇、および/または除去の方法が、優先する関心事である。
【0039】
本発明の対象に対する以下の実施形態は、特にTNFリガンドファミリーメンバーのTNFに関係する。しかしながら、該実施形態は、TNFリガンドファミリーメンバーの全ての別のメンバーに適用可能である。
【0040】
本発明のポリペプチドは、上記構成成分A(TNFリガンドファミリーの少なくとも1個のメンバーのモノマー)の他に、ペプチドリンカーの特性を有する、少なくとも2個の構成成分Bを含む。
【0041】
本発明に関してペプチドリンカーとして、生物学的系に発現可能な任意のペプチド配列が考え得る。ペプチドリンカーは、本発明によるポリペプチド構築物において、あるいは好ましくは、関係するTNFリガンドファミリーメンバーの本来的な三量体化特性にネガティブに影響しない、フレキシブルな結合として現れる。好ましくは、そのような特性、特に、フレキシビリティおよび長さを有するリンカーが選ばれ、そのリンカーは、各リガンド(誘導体)の自然発生的に形成されるホモ三量体の安定化を可能にする。
【0042】
本発明の好ましい実施形態においては、それゆえ、構成成分Bにおいて、2〜3個の間の、好ましくは4〜16個の間の、特に好ましくは4〜12個の間のアミノ酸からなるペプチドリンカーが重要であり、そのアミノ酸は、好ましくは、反復グリシン−セリン構築物、非常に好ましくは、反復配列におけるGly−Gly−Gly−Ser−モジュール(GGGSモジュール)を含む。
【0043】
好ましくは、本発明のペプチドリンカーにおいて、それゆえ、グリシン(G)が豊富なペプチドリンカー、すなわちペプチドリンカーのアミノ酸配列が、好ましくは60%〜80%の、特に好ましくは75%の高いグリシン部分を有することが、重要である。
【0044】
好ましい実施形態においては、ペプチドリンカー(構成成分B)は、アミノ酸配列GGGSGGGSGGGS(また、(GGGS)またはLshortと呼ばれる)、もしくはアミノ酸配列GGGSGGGSGGGSGGGS(また、(GGGS)またはLlongと呼ばれる)を含む。ペプチドリンカーは、本発明において、とりわけL1およびL2と示され、そのため、L1short、L2short、L1longおよび/またはL2longのような表記も生じる。三量体分子の安定化のために、2つの異なるリンカーが使用可能である。
【0045】
本発明によるペプチドリンカー、すなわち構成成分Bは、それぞれ、少なくとも3個の構成成分Aのうちの2個を互いに結合する。この結合は、構成成分AのC−末端およびさらなる構成成分AのN−末端を介して、共有結合によって行われる。本発明によるポリペプチドは、単鎖分子(sc分子とも呼ばれる)を表す。これは、本発明のポリペプチドが含む全体の構成成分Aおよび構成成分Bが、単一のポリペプチド鎖あるいはタンパク質鎖上に位置することを意味する。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、構成成分Aおよび構成成分Bは、三量体タンパク質構築物を形成する。好ましくは、その際、ホモ三量体タンパク質構築物が重要であるが、ヘテロ三量体タンパク質構築物も本発明に含まれる。
【0047】
この三量体タンパク質構築物の形成は、好ましくは構成成分Bによってもたらされ、および/またはそれによって増幅される。本発明によるポリペプチドの三量体化を導く構成成分Bあるいは三量体化を増幅する構成成分Bは、高い凝集を形成すべきではないため、典型的には、細胞内ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基を有さない。そのため、好ましくは、本発明によるポリペプチド内の構成成分Bは、酸化条件のもとで、別の三量体の融合タンパク質の少なくとも1個のシステイン残基との共有結合が出現し得ることを回避するために、システイン残基を有さず、または細胞内、すなわち本発明によるポリペプチド自身内においてジスルフィド架橋を有するようなシステイン残基を有さない。
【0048】
天然のポリペプチドの、またはペプチドリンカーとして本発明によって導入されるこの天然のポリペプチドのフラグメントの配列は、本発明の主旨および上述の規定に従って、形態において、生物学的に活性な改変体と同一のものであり得る。
【0049】
本発明による構成成分Bにおいて、同一のまたは異なる天然に存在するペプチド配列が重要である。それらは、同一または異なる生物に由来し得る。この生物において、脊椎動物、特に哺乳類、例えばマウス、ラット、豚および、とりわけヒトが重要である。
【0050】
本発明によるポリペプチドは、構成成分Aおよび構成成分Bの他に、追加の配列断片を有する。この関係において、いわゆるTag配列において、例えば少なくとも1個のFlag−Tag、そのためアミノ酸配列DYKDDDDK、および/または例えば、His−Tag(数個の連続するヒスチジン、例えば少なくとも5個を含む)および/またはさらなるTag配列または抗原配列が好ましい。特に好ましい配列断片は、リーダーペプチド配列である。好ましくは、このリーダーペプチド配列は、酵素的細胞内において、ポリペプチドあるいはタンパク質の分泌に対するシグナルを表す。このリーダーペプチド配列は、好ましくはN−末端に配置される。
【0051】
本発明のさらなる実施形態において、本発明によるポリペプチドは、さらなる構成成分Cを含む。ここにおいて、これは、相補的な細胞表面分子(「抗原」)を用いた特異的な置換作用によって特徴付けられる。例えば、構成成分Aとして、アポトーシス誘導体TRAILまたはFasLを有する本発明による構築物のような、本発明によるポリペプチド構築物の作用原理は、特に、所定のレセプターに対して独占的にまたは特に大きく、膜分子そして作用するような全てのTNFリガンドファミリーメンバーに対して適切である。これに関して、TRAIL(TNFSF10)、FasL(TNFSF6)およびTNF(TNFSF2)の他に、例えば免疫モジュレーターCD40L(TNFSF5)およびCD30L(TNFSF8)が属する。構成成分Cは、そのために、「標的(targeting)」機能を有する。それに応じて、構成成分Cは、抗体フラグメント、好ましくは単鎖抗体フラグメント、いわゆるscFVまたは細胞表面上の特異的な標的分子を認識する、抗体誘導体である。さらなる実施形態において、構成成分Cは、抗体に属さないタンパク質、あるいはペプチドである。しかしながら、それは、抗体−抗原−置換作用あるいはレセプター−リガンド置換作用に類似して、同様に、細胞表面上に特異的な標的分子を選択的に認識する。特に好ましい実施形態において、本発明は、上記本発明によるポリペプチド、構成成分Aとして少なくとも1個の上記規定されたTNFリガンドファミリーメンバー、および構成成分Cとして上記抗体フラグメント、例えばscFVを含む。それによって、それぞれ、「標的ドメイン」を有するより小さい、本発明によるポリペプチドが生じる。そのようなより小さい、本発明によるポリペプチドは、有利にも、例えばより凝集化されにくい。
【0052】
好ましくは、構成成分Cにおいて、抗原結合の抗体フラグメントまたは、哺乳類、特にマウスもしくはヒト起源の抗原結合抗体誘導体が重要であり、あるいはヒト化抗体フラグメント、または例えば哺乳類起源のヒト化抗体誘導体が重要である。誘導化および/またはヒト化の場合において、構成成分Cは、典型的には技術水準によって製造された単鎖Fv−誘導体マウスからなる。CDRグラフトによってヒト化された構成成分Cまたは、scFv−誘導体に対応して移転された、完全ヒト起源の構成成分Cが重要である。
【0053】
さらなる好ましい実施形態において、構成成分Cに関し、モノマーとして、膜レセプターに特異的に結合するタンパク質リガンドまたはペプチドリガンドが重要である。
【0054】
さらなる好ましい実施形態において、構成成分Cに関し、特にサイトカインレセプター、増殖因子レセプター、インテグリン、または細胞接着分子である、細胞表面分子に特異性を有するタンパク質またはペプチドが重要である。特に好ましくは、TNFR−遺伝子ファミリーから選択されたサイトカインレセプターが重要である。
【0055】
本発明によるポリペプチドの構成成分Cは、腫瘍組織内において選択的にあるいは優性に発現された抗原に対して、好ましくは、特異性を有する。そのような腫瘍抗原は、一般に悪性細胞上に発現され得、または腫瘍の非悪性部分、ストロマ細胞、または腫瘍内皮細胞に発現され得る。固形腫瘍(癌腫)の非悪性組織部分のそのような抗原は、一方では遺伝的に不変的であり、他方において様々な腫瘍存在において出現するものであり、そのため、全般的な腫瘍マーカーである。本発明のポリペプチドの構成成分Cが調整され得る腫瘍関連に対するそのようなリガンドの例は、VEGFRあるいはVEGFR/VEGF複合体、インテグリンaβおよびフィブロネクチンアイソフォームβ(腫瘍内皮細胞のさらなる選択的な標的構築物として)および繊維芽細胞活性化タンパク質(腫瘍ストロマの選択的マーカーとして)である。上記実施例の全ては、特定のscFvによって有効に捕らえられ得、そのため、そのようなscFv(「single chain Fv」)は、本発明によるポリペプチドの構成成分Cとして、特に適する。また、ここにおいて、構成成分Cが調整される腫瘍マーカーとして、ガレクチンが考慮される。
【0056】
従って、様々な抗体形態における抗体フラグメント、例えば、scFv、特にscFv40は、構成成分Cとして特に好ましい。
【0057】
本発明の他の実施形態において、ポリペプチドは、構成成分Cを介して、特定の標的細胞として、好ましくは、構成成分AのTNFリガンドファミリーメンバーとは異なるTNFリガンドファミリーメンバーの細胞膜固定のレセプターを認識する。例えば、そのような可能なリガンドの全てではない例を挙げれば、TNFSF1(LTalpha)、TNFSF2(TNF)、TNFSF3(LTbeta)、TNFSF4(OX40L)、TNFSF5(CD40L)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27L)、TNFSF8(CD30L)、TNFSF9(4−1BBL)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(RANKL)、TNFSF12(TWEAKL)、TNFSF13(APRIL)、TNFSF143B(BLYS)、TNFSF14(LIGHT)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF16(CD30L)およびTNFSF18(AITRL)、そしてEDAであり、それら、またはそれらの機能性フラグメント、もしくは天然配列またはフラグメントの機能性改変体は、同様に、本発明によるポリペプチド構造における構成成分Aとして機能し得る。特にこれに関して、生物学的活性のための前提として、サブユニットの三量体構造を必要とする、その機能性フラグメントまたは機能性改変体の、全ての膜固定型II−タンパク質(細胞外C末端)が、明らかにされる。
【0058】
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリペプチドをコードする核酸である。同様に、本発明によるポリペプチドに対してコードする配列断片、および1個または数個のさらなる配列断片を含む核酸構築物も含まれる。その様なさらなる配列断片において、例えばリーダーペプチドに対してコードする配列が重要である。そのリーダーペプチドは、ポリペプチドあるいは本発明によるタンパク質の分泌に対するシグナルとして、真核細胞に存在する。または、scFv40に対してコードする配列が重要である。すなわち、腫瘍ストロマ抗原FAPに対して特異的である、単鎖(scFv)−抗体フラグメント40の配列、または「Antibody Mediated Apotosis Inducing Zytokine」(AMAIZe)に対して、またはHIS/Flag−Tag、発現されたタンパク質あるいはポリペプチドの親和性精製へのペプチド配列に対してコードする配列が重要である。この提示は、単に例示であり全てではない。
【0059】
核酸配列に含まれ得るさらなる配列は、同様に、例えば調節配列を含めて、非コード3´配列および5´配列のような非コード配列である。
【0060】
本発明による核酸配列は、同様に、例えばマーカー配列に対してコードする、または例えば、本発明のポリペプチドの単離または精製を軽減するポリペプチドをコードする配列に対してコードする、核酸配列を用いて融合され得る。代表的な配列は、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質、ポリヒスチジン(例えば、HIS 6)、血球凝集素またはHSV−Tagをコードするようなものを含む。しかしながら、この例示には決して限定されない。
【0061】
本発明の核酸は、DNAまたはRNA、特にmRNAであり得る。核酸分子は、二重(二本)鎖または単(一本)鎖で存在し得る。単鎖RNAまたはDNAは、コードする(センス)またはコードしない(アンチセンス)鎖であり得る。
【0062】
本発明による核酸は、好ましくは単離されて存在する。これは、核酸分子または核酸配列が、核酸配列によって両側に配置されないことを意味する。その核酸配列は、通常は、遺伝子または核酸配列の両側に位置し(ゲノム配列のように)および/または、全体あるいは部分的に精製される(例えば、DNAライブラリーまたはRNAライブラリーのように)。例えば、本発明の単離された核酸は、それが天然に存在する細胞環境に関して、単離されて存在し得る。
【0063】
好ましい一実施形態において、核酸は図19〜図26に示される核酸配列のうちの1個を含み、またはこれら核酸配列のうちの1個から成る。
【0064】
本発明によれば、本発明による核酸あるいは核酸構築物の機能性フラグメントまたは機能性改変体が含まれ、その構築物の上に、上記の実施形態は、機能性フラグメントおよび改変体に対応した利用を見出す。
【0065】
本発明による核酸、核酸構築物または機能性フラグメントもしくはそれに関する機能性改変体の製造は、当業者によって知られる(例えば、上記のManiatis et al.参照)標準的な方法を用いて行われ得る。特に、PCR技術は、この関係において利用を見出す。本発明に従う、製造された核酸配列の検査は、同様に当業者によって知られた、配列決定方法またはハイブリダイゼーション方法に基づいて行われ得る。
【0066】
同様に、本発明による核酸の遺伝子産物もまた、本発明に含まれる。好ましくは、この遺伝子産物は、図19〜図26に示されるアミノ配列のポリペプチドをコードする。本発明の遺伝子産物は、単に転写(mRNA)のみならず、好ましくは精製された形態でのポリペプチドおよびタンパク質にも関する。同様に、対立遺伝子、そのような遺伝子産物の機能性フラグメント、または機能性改変体も含まれる。これらの概念に対応する上記規定は、遺伝子産物の機能性フラグメント、または機能性改変体に対して有効である。
【0067】
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリペプチドに対してコードする核酸を含むベクターに関する。好ましくは、本発明によるベクターにおいて、発現ベクター、すなわち原核細胞および/または真核細胞内において、核酸の発現および/または増幅の能力を有するベクターが重要である。特に本発明は、プラスミドベクター、例えばpBABEpuro、ファージ、レトロウイルスベクター、特に、遺伝子治療法に利用可能な全てのベクター系(例えば、アデノウイルスベクター系にも)関する。そのため、本発明の範囲において、本発明によるベクターまたは核酸または核酸構築物を用いた、遺伝子治療的ベクター系が、本発明によって示された薬用適応のための治療法として示される。
【0068】
本発明によるベクターは、好ましくは、本発明の核酸の発現を可能にし、あるいは増幅し、転写を調節するコントロール配列を有する。そのようなコントロール配列は、例えばポリアデニル化シグナル、プロモーター、例えば天然のまたは合成のプロモーター、転写作用のためのエンハンサー、転写調節のためのオペレータ配列、組織特異性転写のためのサイレンサー、mRNA上の適正なリボソーム結合部位をコードする配列、mRNAを安定化する配列および転写および/または翻訳のターミネーション調節する配列を含む。これは、単に、可能なコントロール配列の例示的提示を示す。さらなる可能なコントロール配列は、技術水準において良く知られており、例えば、Goeddel(1990),Gen Expression Technologyに記載されている。コントロール配列は、そのコントロール機能を増幅させるために、例えば、1個または数個の核酸の欠失、付加、または置換によって、改変され得る。
【0069】
様々な生物に対する、特に数多くの様々なプロモーターが知られている。Bacillus subtilisにおいて使用されるベクターに対しての好ましいプロモーターはAprE−プロモーターであり、E.coliにおいて使用される好ましいベクターはT7/Lacプロモーターであり、Saccharomyces cervisiaeにおいて使用される好ましいプロモーターはPGK1であり、Aspergillus nigerにおいて使用される好ましいプロモーターはglaAであり、Trichoderma reesei(reesei)において使用される好ましいプロモーターは、原核宿主細胞においての使用に適しているcbhI.プロモーターである。例えば、ベータラクタマーゼ(ベクター pGX2907[ATCC39344],レプリコンおよびベータ−ラクタマーゼ遺伝子を含む)、ラクトース−プロモーター系(Chang et al.(1978),Nature(London,275:615);Goeddel et al.(1979),Nature (London),281:544)、アルカリホスファターゼ、trp−プロモーター(ベクター pATH1[ATCC37695])、およびtac−プロモーター(プラスミドから単離可能 pDR540[ATCC37282])のようなハイブリッドプロモーターを含む。しかしながら、そのヌクレオチド配列が一般に知られた他の細菌プロモーターは、当業者によって、それを本発明の核酸を用いて連結反応するために変更される。その際、所望の制限部位を生じさせるために、リンカーまたはアダプターが使用され得る。好ましくは、細菌系に使用されるプロモーターは、同様に、作動可能に核酸と結合されるShine−Dalgarno配列を含む。
【0070】
適正な発現ベクターは、例えば染色体、非染色体および合成DNAのセグメントから成り得る。これに関して、SV40および細菌プラスミドの数多くの誘導体が知られている。例えば、col E1、pBK、pCR1、pBR322,pMb9、pUC19およびそれらの誘導体のような大腸菌からなるプラスミド、RP4のような、広い宿主領域に対して利用可能なプラスミド、および、例えばNM989および他のDNAファージ(例えばM13)のような、ファージ−ラムダの数多くの誘導体のようなファージDNA、およびフィラメント単鎖DNA−ファージ、補助プラスミド、酵素細胞内での使用に適したベクター、およびプラスミドとファージDNAとの組合せから成るベクターである。技術水準において、本発明による発現ベクターの使用に対する数多くの発現技術が知られている。そのような技術は、例えば一般に、上記Maniatis et al.(2001)に記載されている。
【0071】
本発明のさらなる対象は、本発明による核酸および/または本発明によるベクターを含む、宿主細胞に関する。
【0072】
本発明による宿主細胞は、本発明による核酸またはベクターに対して、宿主および発現手段として機能可能な細胞である。ここで原核および真核宿主細胞が重要に成り得る。原核−細菌−宿主細胞は、例えば、R.marius、E.coli、Streptomyces、Pseudomonas、Bacillus、Serratia、marcescens、Salmonella thyphimuriumである。真核宿主細胞は、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastorisのような酵母、Sfpのような昆虫細胞、およびCOS、CHOのような哺乳類細胞を含む。これらの例示は決して全てではない。適切な宿主細胞の選択は、種々の要因に依存し、例えば宿主細胞へのベクターの導入においては、特に、使用される本発明によるベクターに依存する。
【0073】
本発明のさらなる対象は、以下の工程を含む、本発明による宿主細胞の製造に関する:
a.本発明による核酸、または本発明によるベクターを製造する工程と、
b.工程(a)に従う核酸および/またはベクターを、細胞内に導入する工程。
【0074】
核酸、例えばベクターの製造は、本発明に従い、上記標準的な方法および例示的記載に従って行われ得る。本発明による核酸、例えば本発明によるベクターの宿主細胞への導入は、各適切な標準方法の下に行われ得る。それには、例えば塩化カルシウム、リポフェクション、感染、トランスダクション等の使用の下に、転換、エレクトロポレーション、トタンスフェクションが属する。様々な標準方法は、例えば、上記Maniatis et al.(2001)に記載されている。
【0075】
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリペプチドの製造方法に関し、ここで該方法は、典型的に以下の工程を含む:(a)本発明による宿主細胞を、適正な条件下において培養する工程と、(b)本発明による核酸あるいは核酸構築物を、適正な条件下において発現させる工程と、(c)宿主細胞および/または培養上清からポリペプチドを単離する工程。
【0076】
宿主細胞の培養は、適正なPHおよび適正な温度の下で、適正な培養培地において宿主細胞の成長を可能にすることを意味する。そうような成長条件は、各使用される宿主細胞に依存し、当業者には良く知られている。細胞の培養の示唆は、また、上記Maniatis et al.(2001)にある。
【0077】
ポリペプチドの発現は、ここでは、典型的には技術水準に従って適正な発現系において行われ得る。好ましくは、安定なトランスフェクションの分泌生成物として、例えば、CHO細胞、またはCos7あるいはSF9(昆虫細胞)のような他の動物細胞、または、例えば、Pichia pastorisであるさらなる真核細胞系。好ましくは、発現された本発明によるポリペプチドは、それぞれ、細胞系内の分泌に適正なリーダー配列を有する。そのため、発現に適正化された本発明によるベクターは、コードする断片を含む。その断片は、機能性リーダー配列に対してコードする。例えば、Brocks et al.(Immunotechnology 3:173〜184,1997)に、哺乳類および昆虫細胞に対して記載されたように、または、酵母Pichia pastoris中の発現および分泌に対する、例えばpPIC−Zalpha−ベクター(Invitrogen,カールスルーエ、ドイツ)の使用の下で。
【0078】
宿主細胞からの本発明によるポリペプチドの単離は、ポリペプチドおよびタンパク質の精製に適正化された、クロマトグラフィー法、沈殿法等のような標準方法によって行われ得る(上記Maniatis et al.(2001)参照)。
【0079】
本発明のさらなる実施形態において、本発明のポリペプチドまたは必要に応じて、核酸、核酸構築物、ベクターまたは宿主細胞(ここで、カテゴリー「本発明の物質」の下に統合される)は、医薬品として、または疾患治療に対する医薬品の製造に対して、考慮される。
【0080】
本発明による物質が本発明による構成成分C(上記、抗体フラグメントまたは他の特異的に結合するタンパク質/ペプチドを参照)を含む場合には、特異的な、細胞膜−発現の標的分子へのポリペプチドあるいはタンパク質の結合の後に、物質が、TNFリガンドファミリメンバーに対応するレセプターを介して完全な生物学的作用を展開するときに、その使用が特に与えられる。標的構成成分Cの特異性の適正な選択を介して、本発明による物質の活性が、例えば腫瘍組織である治療組織へ向けられ、各適応症/腫瘍症に特定的に調整/最適化された治療剤が製造され得る。本発明によるポリペプチドは、例えば腫瘍治療剤としての使用の際、特に、固形腫瘍またはリンパ性腫瘍(良性または悪性の)治療への使用の際、標的構成成分Cによるin vivo投与の後に、まず、腫瘍自体または反応性腫瘍ストロマ/腫瘍血管系によって形成された膜マーカーを介して、腫瘍領域において、強化され、そこでTNFレセプターファミリー−陽性腫瘍細胞、またはTNFリガンドファミリーメンバーに対して感受的な、反応性の腫瘍育成正常組織の感受性細胞を提示する。
【0081】
例えばTNFレセプターファミリーによって引き起こされたシグナルカスケード、あるいはアポトーシスシグナルカスケードである、シグナルトランスダクション鎖の活性が引き起こされる場合、本発明による物質は、基本的に常に、治療的分野における使用が好ましい。そのため、本発明においては、物質の使用は、治療の際に、あるいは全ての過剰増殖性疾患の治療への医薬品の製造において考慮される。例えば、また、過剰免疫反応、例えば多発性硬化症、リウマチ性関節症、糖尿病およびTENのような自己免疫疾患の際に、または例えば、感染症(細菌(例えばマイコバクテリア)、ウイルス、または原生動物上の)において生じるような外部(Fremd)抗原に対する誤誘導免疫反応の際の、免疫系細胞の、目標に適合された排除のために、考慮される。さらに、代謝性疾患の、または一般的な過炎症容態、特に慢性の炎症、例えばアレルギーの際の治療、および外部組織に対する患者の免疫系の拒絶反応の治療が考慮される。上記の場合、本発明によるポリペプチドは、好ましくはアポトーシスシグナルガスケードが細胞死の目標をもって引き起こされる標的細胞の表面上の、特定のマーカーを、例えば構成成分Cを介して認識せねばならない。また、外部組織の移植の後の治療の場合において、例えば、移植患者の免疫系の、拒否反応に対して責任のある、生体に適正な細胞が、標的細胞として働く。
【0082】
一般に、本発明による物質あるいは医薬品は、癌疾患、特に固形あるいはリンパ性の腫瘍、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、,多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患、の治療ために適する。
【0083】
上記疾患の治療のための医薬品としての本発明の物質の使用において、好ましくは、組換え生成されたタンパク質が治療患者に投与される。代替的に、転換される細胞が患者から採取され、その細胞はin vitroにおいて、本発明による(発現−)ベクターによって転換され、培養され、および次いで再移植体として患者内に移される。トランスフェクションは、好ましくは核酸、核酸構築物、または、調節可能プロモーターに発現を結合する(発現−)ベクターを介して行われる。転換された自身の移植体は、特定の患者および特定の標的細胞に依存して、局部的に、例えば注射される。局部的投与は、例えば腫瘍治療の場合に好ましい。その際、例えば、皮膚腫瘍(例えば、メラノーマ)、神経系腫瘍(例えば、膠芽腫)の治療に対して、患者から腫瘍細胞が採取され、in vitroにおいて転換され、続いて可能な限り、直接、腫瘍に注射される。
【0084】
本発明のさらなる対象は、本発明による物質の、感染症、特にウイルス感染症に対する能動的または受動的免疫へのワクチンの製造、および風疹、はしか、小児麻痺、狂犬病、破傷風、ジフテリア、BCG、マラリア、黄熱病、HIV、またはインフルエンザに対するワクチン化のためのワクチンの製造に関する。
【0085】
本発明による物質は、同様に、in vitro診断に使用され得る。
【0086】
本発明のさらなる対象は、例えば、上記規定された構成成分Aまたはそれに結合する、もしくはそれに関連付けられる細胞の結合相手のような、体液に含まれる成分の、体外での(ex vivo)操作、枯渇、および/または除去の方法に関する。そのような体外での方法は、好ましくは、例えばアフェレーシス、特に、アフェレーシスの基本形態、血漿アフェレーシス、および血球アフェレーシスのような方法を含む。
【0087】
本発明によれば、血漿アフェレーシスは、血液の血漿部分内の所定の可溶性または懸濁された成分の、体外での操作、枯渇、および/または除去、およびそのように処理された血液の患者への戻しを含む。そのために、患者から、好ましくはフェレーシス装置を用いて抹消血液が採血され、その血液に、随意の凝血防止剤が追加され、血液は、主成分−固形の(赤血球、白血球および血小板)および液状の部分(血漿)−に分離される。この主成分の分離の後に、そのように得られた血漿分画に含まれる、可溶性または懸濁された血液成分は、さらなる方法工程において、例えば、本発明によるポリペプチドの使用の下に、操作され、枯渇され、および/または除去され得る。続いて、そのように処理された血漿は、以前に分離された固形血液成分と一緒にされ、患者に再注入され得る。血漿アフェレーシスに起因する体積減少は、本発明による方法において、さらに、等浸透圧の食塩水によって補充され得る。血漿アフェレーシスは、本発明に従い、好ましくは、治療学的血漿交換(TPE)、免疫吸着(IA)、沈殿(HELP)、分別膜濾過、および他の手段のような方法を用いて行われる。例えば、ここで血漿濾過カラム(例えば、米国特許第4,619,639号,Asahi Medical Companyを参照、ここに参照を介して追加される)が挙げられる。同様に、膜濾過システム(MDF)は、様々な粒子および表面、例えば、PlasmaFlo(登録商標)OP−05(W)LおよびRheoFilter(登録商標)AR2000 血液フィルタ(日本のAsahi Medical Company,Ltd.によって製造される)、のようなフィルタの使用の下に導入され得る。あるいは、本発明による血漿アフェレーシスにおいて、全ての適正な粒子および表面が使用され得る。
【0088】
血球アフェレーシスにおいては、前記の血漿アフェレーシスとは異なり、本発明に従い、体外において、血液中を循環するおよび/または骨髄に結合される細胞成分(赤血球、白血球、幹細胞または血小板)またはこれら細胞の特定の亜集団が、臨床的効果を得るために操作され、枯渇され、および/または除去される。ここでまた、好ましくはフェレーシス装置を用いて患者から抹消血液が採血される。その後、随意に血液に凝血防止剤が追加され、血液は、主成分に分離される。続いて、細胞成分を含む血液分画中において、これらの細胞成分は、さらなる方法工程において、好ましくは、同様に本発明のポリペプチドの使用の下に、操作され、枯渇され、および/または除去され得る。好ましくは、本発明による血球アフェレーシにおいては、様々な分画への血液の分離は、必要に応じて、血液の所定の成分の分離と同様に、遠心分離法、分別膜濾過、または他の手段、のような方法を用いて行われる。さらに、膜濾過システム(MDF)は、様々な粒子および表面、例えば、PlasmaFlo(登録商標)OP−05(W)LおよびRheoFilter(登録商標)AR2000 血液フィルタ(日本のAsahi Medical Company,Ltd.によって製造される)のようなフィルタの使用の下に導入され得る。
【0089】
本発明による第3の代替において、上記血漿アフェレーシスと血球アフェレーシスとが互いに結合され得る。それは、例えば、血液の血漿部分内の可溶性または懸濁された部分、および、血液中を循環するおよび/または骨髄に結合される細胞成分(赤血球、白血球、幹細胞または血小板)またはこれら細胞の特定の亜集団が、臨床的効果を得るために、操作され、枯渇され、および/または除去されるためである。そのような、血漿アフェレーシスと血球アフェレーシスとから成る結合は、好ましくは、本発明によるポリペプチドの使用の下で製造される。
【0090】
好ましい実施形態において、本発明は、血液の可溶性成分、懸濁された成分、または細胞性成分の、体外での操作、枯渇、および/または除去の(アフェレーシス)方法に関し、該方法は、
*必要に応じて、血液を、固体あるいは液体の成分を有する単一あるいは複数の分画に分離する工程と、
*該血液の可溶性成分、懸濁された成分、または細胞性成分を、本発明によるポリペプチドと連結された表面あるいは粒子に結合させる工程と、
*必要に応じて、該結合された血液の可溶性成分、懸濁された成分、または細胞性成分を分離する工程とを含む。
【0091】
本発明によるアフェレーシス方法の特定の実施形態において、必要に応じて行われる血液の分離の前に、随意的に、患者の採血が行われ得る。さらに随意的に、本発明による方法によって処理された血液、またはその様に処理された患者の血液分画は、再注射され得る。それに加えて、必要に応じて、以前に分離され、および事情によって様々に処理された血液分画が、他の処理されていない固形のおよび/または可溶性の血液成分と再統合される必要がある。本発明による方法によって生じた体積減少は、適正な液体、例えば等浸透圧の食塩水によって補充され得る。
【0092】
血液の可溶性成分、懸濁された成分、または細胞性成分を、本発明によるポリペプチドと連結された表面あるいは粒子に結合させるための、本発明によるアフェレーシス方法に含まれる工程は、所望の選択性を得るために、1回または数回行われ得る。
【0093】
本発明によるアフェレーシス方法において、上記規定されたような本発明によるポリペプチドと共有結合された表面および/または粒子が導入される。それに加え、好ましくは、本発明によるポリペプチドは、ポリペプチドに含まれる結合基Aを介して、表面および/または粒子に共有結合される。
【0094】
個々の構成成分Aを介しての、本発明によって使用されるポリペプチドの結合は、好ましくは、DE 101 44 252 A1に記載されているように行われる。その際、本発明によって使用されるポリペプチドの結合は、好ましくは、まず、担体表面に存在する官能基と、ポリペプチド内において構成成分A内に含まれる結合基との結合を介して、表面(担体)または粒子において行われる。これら結合基は、好ましくは、担体の官能基に対して相補的であり、これらと親和性結合、好ましくは共有結合し得る。構成成分Aの官能基は、構成成分Aの内部において、それが、本発明によるポリペプチドの生物学的活性に対して責任のあるドメインの外側において、配置されるように、位置される。このようにして、本発明に従い、TNFに調整され、その生物学的活性を保持して、担体上に固定することが可能となる。その固定の後に、本発明によるポリペプチドは、好ましくは、生物学的活性に対して要求されるドメインに対して、固定化されていない本発明によるポリペプチドの3次元的構造が変更されないように、また、ドメインが、細胞性反応相手との接触の際に、それに対して自由に開放されているように、担体表面上に固定される。本発明の好ましい実施形態において、担体表面の官能基は、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、マレインイミド基、アルキルケトン基、アルテヒド基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、チオール基、およびチオエステル基からなる群より選択される。
【0095】
本発明によれば、本発明によるポリペプチドの固定される構成成分Aの結合基は、担体表面の官能基に対するのと等しい種を有す基から選択される。本発明によるアポトーシス方法において、使用される表面/粒子(担体)は、そのため、その表面において、固定化される本発明によるポリペプチドと、結合基とを共有結合させる官能基を有する。その際、ポリペプチドの結合基は、担体の機能性タンパク質としての、別の基である。互いに結合状態にある結合基および官能基は、その際、互いに相補的でなければならない。それは、互いに共有結合の状態であることを意味する。本発明に従い、担体の官能基として、例えばアミノ酸基が使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの結合基はカルボキシ基である。逆に、本発明に従い、カルボキシ基が担体の官能基として使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの結合基はアミノ酸基である。本発明に従い、担体の官能基としてチオール基が使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの相補的結合基はマレインイミド基である。逆に、本発明に従い、マレインイミド基が担体の官能基として使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの相補的結合基はチオール基である。本発明に従い、担体の官能基としてアルキルケトン基、特にメチルケトン−またはアルテヒド基が使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの機能的に相補的な結合基はヒドラジン−またはヒドラジド基である。逆に、本発明に従い、ヒドラジン−またはヒドラジド基が担体の官能基として使用される場合、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの機能的に相補的な結合基はアルキルケトン基、特にメチルケトン−またはアルテヒド基である。本発明に従い、特に好ましくは、担体表面上の官能基において、マレインイミド基が重要であり、本発明によるポリペプチドの構成成分Aの結合基においては、チオール基が重要である。
【0096】
その際、好ましくは、固定化が調整されて行われる。本発明に関連して、「調整されて固定化された(gerichtet immobilisiert)」または「指向された固定(gerichtet Immobilisierung)」の概念は、本発明のポリペプチド、特にscTNFメンバーは、scTNFメンバー内部の規定された位置に担体が固定されること、生物学的活性に必要なドメインの3次元的構造が、非固定状態に対して変更されないということ、このTNFドメイン、例えば、細胞性反応相手の結合ポケットが、細胞性反応相手の接触の際に、これに対して自由に利用できることを意味する。「調整されて固定化された」は、また、担体表面の本発明によるポリペプチドの結合が、固定されたタンパク質が、細胞性のあるいは細胞類似の環境における後の使用において、タンパク質分解酵素によって分解されないか、またはかなりゆっくり分解され得るように、行われることを意味する。それは、固定された本発明によるTNF分子が、それが、できる限り、プロテアーゼに対する攻撃点を提供しないように、担体表面において合わせられることを意味する。追加的に、本発明によるポリペプチドは、分子生物学的方法による結合の前に、プロテアーゼに対して耐性があるように、なし得る(例えば、プロテアーゼTACEの際のTNFリガンドファミリーメンバーに対して上記されたように)。
【0097】
本発明によるポリペプチドは、結合された構成成分Aを介して、他の結合/物質と置換作用を結ぶ生物学的機能および能力を保持する。本発明によるポリペプチドが、例えば3個の構成成分A(三量体)を含む場合、典型的には、3個の構成成分Aのうちの2個または好ましくは1個は、それぞれ、表面上/粒子上に共有結合される。
【0098】
全ての適正な表面および/または粒子は、本発明のポリペプチドが結合できる、結合に適した表面および/または粒子を含み得る。好ましくは、特に培養プレート、または、例えばDynaビーズ(Dynal Biotech GMBH)、ナノ−ビーズ、ナノ粒子のようなマクロビーズ、または、例えばナイロンウール、セファローズ、セファデックス等のような固形相である。本発明に従い、さらに、本発明によって使用される担体系において、25nm〜1000nmの大きさを有するコンパクトまたは中空のナノ粒子の考慮が見込まれる。これらは、有機または無機の粒子材料から成る。材料の種類は、本発明に従い、後の使用に対応して変化し得る。その際、ナノ粒子の担体は、好ましくは、生物学的に協調性のある、および/または生物学的に分解可能な材料からなる。本発明に関し、「ナノ粒子」の下に、化学的に反応性の官能基が配置される表面を有する担体を含む、結合鋳型が理解される。この官能基は、結合される分子、特に、本発明によるポリペプチドの相補的官能基と、親和性結合、そのため、共有結合および/または非共有結合する。この方法において、本発明によるポリペプチドが、その表面に安定して固定され得る。ナノ粒子の担体は、化学的に不活性な有機、または無機材料から成り、1μmより小さい大きさ、好ましくは、25nm〜500nmの大きさを有する。
【0099】
本発明によるアフェレーシス方法の特定の実施形態は、例えば本発明によるポリペプチドscTNFを有する、生物学的に機能化された表面(平面状または粒子としての)を含む。そのscTNFは、上記された様式および方法において、表面に共有結合されておよび調整されて固定されている。例えば、数個の固定化されたscTNF分子またはその改変体を含む、そのような生物学的に機能化された表面は、各々相補的な結合相手(例えばTNFR1およびTNFR2)に対する高い親和性を可能にする。レセプターTNFR1および特にTNFR2は、腫瘍患者のまたは他の疾患における血液中の、プロセスされた可溶性分子として、非常に高められた濃度において見出される。腫瘍患者の血液からのTNFRの除去は、明白に、臨床的に文書化された腫瘍退縮を導き、それは生体固有の防御の復元に帰せられる(例えば、Lentz MR,(1999)Therapeutics Apheresis,Vol.3,No.1)。本発明によるポリペプチド、例えばscTNFを用いたアフェレーシス方法は、好ましくは、2つのレセプターが、同時におよび有効的にサンプルから除去され得ることを可能にする。この方法のさらなる利点は、本発明によるポリペプチドの個々の構成成分Aの解離が不可能であること、すなわち機能性表面の活性損失、および処理された血液の、分離された物質との汚染は見込まれないという、上記事実である。
【0100】
本発明によるアフェレーシス方法は、連続した方法として、または非連続の方法として実施され得る。連続的方法として、本発明による方法は、好ましくは、採血あるいは採血の分画の直後であり、患者への血液の戻しの前において、血液のまたは得られた血液分画のその間の保存なしに実施される。それに対して、非連続的方法においては、採血あるいは採血の分画は、各工程の後に、所定の期間、保存され得る。
【0101】
本発明によるアフェレーシス方法における温度は、好ましくは0°C〜40°Cの間にある。連続的方法においては、温度は、好ましくは25°C〜40°Cの間にあり、特に好ましくは、36°C〜38°Cの間の領域にある。非連続的方法においては、温度は、好ましくは0°C〜40°Cの間にあり得る。
【0102】
上記されたような本発明によるアフェレーシス方法は、好ましくは、TNFリガンドファミリーメンバーが関連する疾患の際の、診断、診療および/または予防に導入される。特に、腫瘍疾患、特に固形またはリンパ性の疾患の際に、体液性および細胞性の成分を有した免疫系のホメオスタシスの回復は、アフェレーシス方法の有効性の鍵として、見なされる。そのため、さらなる使用において、本発明によるアフェレーシスは、非悪性の疾患の際の、免疫ホメオスタシスの回復へも導入され得る。それには、炎症性疾患、関節炎のおよびリウマチ性の疾患、または免疫系疾患が属し、さらに、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患への治療が属する。
【0103】
腫瘍疾患においては、特に、結腸腫、メラノーマ、腎臓腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、胃腸腫瘍、神経膠腫、甲状腺腫瘍、乳房癌腫、前立腺腫瘍、肝腫瘍、例えば、乳頭腫ウイルス誘導腫(例えば、頚部腫)のような、様々なウイルス誘導腫瘍、アデノ腫、ヘルペスウイルス誘導腫瘍(例えば、バーキットリンパ腫、EBV誘導B細胞リンパ腫)、B型肝炎誘導腫瘍(肝細胞癌腫)、HTLV−1およびHTLV−2誘導リンパ腫、聴神経腫、子宮頸部癌、肺癌、咽頭癌、肛門腫、膠芽腫、リンパ腫、直腸腫、星細胞腫、脳腫瘍、胃癌、網膜芽細胞腫、基底細胞腫、脳転移、髄芽腫、膣癌、膵臓癌、精巣癌、メラノーマ、甲状腺腫、膀胱癌、ホジキン症候群、髄膜腫、雪山病(Schneeberger Krankheit)、気管支腫、下垂体腫瘍、菌状息肉症、食道癌、乳癌、カルチノイド、ノイリノーマ、脊髄腫、バーキットリンパ腫、咽頭癌、腎臓癌、胸腺腫、体(Corpus)腫、骨癌、非Hodgkinリンパ腫、尿道癌、CUP症候群、頭頸部(Kopf−Hals)腫瘍、乏突起膠腫、外陰癌、腸癌、結腸腫、食道腫、いぼ状腫(Warzenbeteiligung)、小腸腫瘍、頭蓋咽頭腫、卵巣腫、軟部腫瘍、卵巣癌、肝臓癌、膵腫、子宮頸部腫、子宮内膜腫、肝転移、陰茎癌、舌癌、胆嚢癌、白血病、プラズマ細胞腫、子宮癌、まぶた腫瘍、前立腺癌等、が含まれる。
【0104】
関節炎の疾患は、特に、単一関節炎、稀発関節炎、多発関節炎、急性関節炎(とりわけ、敗血性、結晶誘導、反応性関節炎および急性類肉腫症(Arkoidose)、亜急性関節炎、慢性関節炎(とりわけ、リウマチ性関節炎、血清反応陰性の脊椎関節炎の際の関節炎)、感染性の関節炎、疑似または後感染性の関節炎、リウマチ性関節炎、若年性慢性関節炎、炎症性の結合組織疾患および血管関節炎、代謝性疾患と栄養起因障害との併合における関節炎、内分泌障害の際の関節炎、内芽腫疾患の際の関節炎、造血系の疾患の際の関節炎、血液凝固の障害に起因する関節出血の際の関節炎、腫瘍性の関節炎、疑似腫瘍性の関節炎、(後−)外傷性の関節炎、軟骨関節の疾患の際の関節炎、神経障害の際の関節炎、膿胞の化膿する、壊死する、または、組織富栄養を伴う皮膚病の際の関節炎、関節炎アレルギー、クラミジア誘導関節炎、赤痢関節炎、淋病関節炎、破壊性関節炎、乾癬症関節炎、眼球乾燥関節炎、梅毒関節炎、結核関節炎、尿酸関節炎のような、その他の関節外の原疾患の際の関節炎等、を含む。
【0105】



本発明のさらなる対象は、本発明によるポリペプチド、本発明による核酸、本発明によるベクターおよび/または本発明による宿主細胞、ならびに、薬学的に安全な、補助物質、添加物質および/または担体物質(例えば、溶解媒体も)を含む、薬学的組成物またはワクチンである。本発明による薬学的組成物またはワクチンは、好ましくは、癌疾患、特に固形あるいはリンパ性の腫瘍、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、,多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患、の治療のために導入される。
【0106】
それとともに、本発明による物質と、薬学的に許容される補助物質、添加物質および/または担体物質との組合せも示される。対応する製造方法が、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Pub.Co.,Easton,PA,1980)によって示され、それは、本発明による開示の要素である。非経口的投与のために、担体物質として、例えば殺菌水、殺菌食塩水、ポリアルキレングリコース,hydrogenierteナフタリン、および特に生体適合のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマーが考慮される。そのような本発明による薬学的組成物は、上記に示された全ての医学的適応に対して考慮される。さらに、本発明による組成物は、ラクトース、マンニトール、例えば、本発明によるインヒビターへのポリエチレングリコールのような、ポリマーの共有結合への物質、例えば、ポリラクタート、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、または、リポソーム、ミクロエマルジョン、ミセル、単層ラメラーテ、多層ラメラーテ、ベシクル、赤血球フラグメントまたはスフェロプラストのようなポリマー結合の、特定の準備における、または対する材料を含めて、金属イオンとの複合物のような、充填物質または物質を含み得る。組成物の各々の実施形態は、物理的挙動に依存して、例えば可溶性、安定性、生体適合性または分解可能性を顧慮して、選択される。組成物内の本発明による作用物質の制御されたまたは一定の遊離は、親油性沈殿物(例えば、脂肪酸、ワックスまたはオイル)の基盤上の定式化を含む。本発明の範囲において、本発明による物質またはそのような物質を含む組成物の被膜加工、つまりポリマーを用いた被膜も示される。さらに、本発明による物質あるいは組成物は、保護被膜、例えばプロテアーゼインヒビター、または透過性増強剤を有する。
【0107】
基本的に、本発明による物質ならびに本発明による薬学的組成物またはワクチンに対する本発明の範囲において、全てが技術水準において知られている投与方法において示されており、好ましくは、非経口の、すなわち例えば皮下の、筋肉内の、または静脈内の、経口の、鼻腔内の、耳内、経皮的な、局部の(例えば、ゲル、軟膏、ローション、クリームを介して)、腹膜内の、肺内の(例えば、AERx(登録商標)Inhalations−technologie、商業的に、Aradigm よって入手可能、またはInhanceTM Pumonales Uebertragungssystem、商業的に、Inhale Therapeuticsよって入手可能)膣内の、直腸内の、眼内の投与方法における上記疾患または障害の治療に対する医薬品あるいはワクチンの製造が行われる。典型的には、本発明による薬学的組成物は、大量生産または投与の様式に応じて、固形であり、液状であり、またはエアゾール状(例えば、スプレー)である。
【0108】
好ましい実施形態において、患者の必要に応じて、本発明によるポリペプチドの治療上有効な量が投与される。正確な投与量は、通常、基礎をなす治療の目的に依存し、技術水準から知られた方法の引き合いのもとに、当業者によって決定される。技術水準において知られているように、本発明によるポリペプチドの代謝分解に関しての適合、系に対し局部の投与に関しての適合、また、年齢、体重、一般的な健康状態、性、食物、投与時間、作用物質の互いの相互作用、または疾患の重さへの適合が必要である。そのような適合は、技術水準において知られている方法を用いて、当業者によって行われ得る。
【0109】
好ましい実施形態において、アジュバントとしての使用に対する、本発明によるポリペプチドの組合せが示される。本発明に関してアジュバントは、特に、免疫源に対して特定の免疫応答を引き起こさないが、この免疫源に対する免疫応答を高めることのできる組成物である。換言すると、アジュバント単独での投与はこの免疫源に対する免疫応答を引き起こさないが、この免疫源を伴う投与は、免疫源単独での投与の後の免疫応答より高い免疫応答を生じさせる。アジュバントは、さらに、ここでワクチンおよび薬学的組成物に対して示されているように、薬学的に許容される補助物質、添加物質および/または担体物質を含み得、また投与され得る。さらに、アジュバントは、上記ワクチンまたは薬学的組成物とともに投与され得る。
【0110】
要約すると、本発明は向上された安定性を有するポリペプチドを提供し、それによって、TNFリガンドファミリーメンバーの全体の分子は、1個のタンパク質鎖あるいはポリペプチド鎖(例えば、scTNF)からなり、その結果、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマー(構成成分A)は、もはや分解し得ないということが、確認される。TNFリガンドファミリーの別のメンバーに関する、本発明によるポリペプチドと同様に、scTNFは、その生物的活性の様式において、通常の可溶性sTNF(また、野生型TNFまたはwtTNF)と質的相違を示さず、しかしながら、はるかにより安定性があり、そのためより高い生物的活性を示し、その結果、より低い濃度において有効である。通常の可溶性TNF(wtTNF)と同様に、scTNFは、感応性細胞アポトーシスにおいて反応可能であり、転写因子NF−κBを活性化でき、レセプターTNFR1を活性化でき(しかしTNFR2は活性化できず)、またそれと反対に、所定の抗体(例えば、80M2)内においてはレセプターTNFR2も活性化できる。これは、TNFリガンドファミリーの別のメンバーに関する、本発明によるポリペプチドにも該当する。生物的に機能化された表面を製造するための、およびそれの、例えばアフェレーシスへの使用のための、結合基を有する本発明によるポリペプチドの使用の場合において、本発明によるポリペプチドの疲弊および悪影響を及ぼすリガンドの系への復帰は観察されない。
【0111】
さらに、本発明によるポリペプチド、例えばscTNFは、新しい、双−機能性分子の製造に対する開始材料である。一方において、本発明によるポリペプチド、例えばscTNFあるいはそれに関する機能性フラグメントは、細胞表面に共有結合し得る。それは、本発明に従い、ここでは、分子の安定な結合に対して、単一の共有結合のみが製造されればよい、という利点を有する。TNFリガンドファミリーの通常の可溶性野生型メンバー、例えば可溶性sTNFの場合においては、個々のホモ三量体の全てのモノマーは、安定な構造を得るために、表面に共有結合されねばならない。さもないと、非共有結合されたモノマーは分離されるからである。本発明によるポリペプチドの本実施形態において、例えば、体液からのTNFレセプターの除去への生物学的に機能的な作用物質としてのscTNFを用いた、アフェレーシスへの使用は、特に有利である。
【0112】
適合物が、融合タンパク質の製造の際に該当する。これは、TNFに融合された抗体フラグメント(例えば、scFv)を用いて、TNFリガンドファミリーメンバー(例えば、TNF)を、生体の対応する所望の部位に集中させる(いわゆる、「targeting」戦略)ために、特に興味がある。通常の可溶性TNF(wtTNF)の場合、そのような融合タンパク質はホモ三量体から成らねばならず、その際、少なくとも3個のモノマーの各々は、抗体部分を有し、それによって大きく不安定な分子が生じ、それは再びそのモノマーに分離されおよび/または凝集に傾き、それによって不活性にされ得る。scTNFによって導き出された融合タンパク質は、1個の分子抗体にのみ結合され、その結果、全体の融合タンパク質は、再び単一の安定なタンパク質鎖あるいはポリペプチド鎖から成る。TNFに対する上記の記載は、TNFリガンドファミリーの全てのメンバーに対して適用可能である。
【0113】
同様に、本発明によるポリペプチドのモノマー(構成成分A)の共有結合に基づいて、的確に、変異を、少なくとも3個のモノマー(構成成分A)のうちの1個のみ、または2個または数個内に安定して挿入することは、本発明によって可能である。そのため、例えば、レセプター選択性を強いる点変異(ポイントミューテーション)が知られている。すなわち、例えばTNFの場合、2つのTNF−レセプター(TNFR1およびTNFR2)のうちの1つにおいて結合が行われる。本発明によれば、的確に、1分子TNFR1および2分子TNFR2を同時に結合可能な、例えばTNF−変異体を、最初に製造すること、すなわち様々なレセプター複合体を発生することが可能となる。この方法によって、様々な可能なレセプターのうちの1つのみを的確に結合し活性化する、様々な、安定な単鎖TNFリガンドファミリーメンバーを製造することが、最初に可能となる。
【0114】
勿論、TNFの説明のための上記例示的な実施形態は、TNFリガンドファミリーの別のメンバーに対して転用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0115】
本発明は、以下の図面を参照してより詳細に説明される。
【0116】
図1〜図3は、様々な生物学的な細胞障害試験の結果を示す。そこでは、特性、特に、様々なscTNF改変体の特異性が、典型的な可溶性の野生型−TNF、すなわちヒトTNFの可溶性細胞外ドメイン(NCBI gi:25952111,17,09 kDa 可溶性形態のモノマーとして、簡略して、THFhum またはsTNF,AA79−181)のそれと、試験され比較された。
116
この試験に対して、転換されたマウス繊維芽細胞とともにヒトKym1−細胞が使用された。分析結果が例示的に示され、そこでは、個々のTNFのモジュール(すなわち、TNFモノマー)間に長いペプチド−リンカーを、様々に有するscTNF改変体が試験された。ペプチド−リンカーは、それぞれ、3重あるいは4重のアミノ酸配列繰り返しGGGS(または、GlyGlyGlySer)(「単鎖TNF3x」または「単鎖TNF4x」として、もしくは「scTNF3x」または「scTNF4x」として示される)から成る。
【0117】
図1は、TNFの典型的な細胞障害性試験の結果を示す。標的細胞として、TNFR1/TNFR2ダブル−ノックアウト−マウスからのマウス繊維芽細胞(MF)が使用され、それは安定的にTNFR1−レセプターキメラ(TNFR1−Fas)を発現させる(MF TNFR1−Fas−細胞)。そのような細胞はハイブリッド分子を発現させ、そのハイブリッド分子は、細胞外においてTNFR1の対応する部分からなり、それによってTNFと結合し、細胞内において、Fas−レセプターの強くアポトーシス作用をする細胞内ドメインを有する。これらMF TNFR1−Fas細胞は、TNFR1−特異刺激によって活性化され得、しかしながらFas−特異の死亡シグナルを仲介する。生存細胞数は、染料を用いた染色の24時間後に、その吸収によって数量化された。ネガティブコントロールとしてコントロール−細菌溶解物が導入され、その際、同一に、組換えscTNF−タンパク質にプロセスされる、非−scTNF発現化の細菌溶解物が重要である。結果において、従来のヒト可溶性TNF(TNFhum)も、組換えscTNF−改変体も細胞死に導いたことが確認された。TNFhumあるいはscTNFの、匹敵する投与量依存の細胞障害性効果が確認される(グラフの下部の3つの曲線を参照)。その際、野生型−TNFのそれと比べて高くはないが、scTNFの特異的活性は、少なくとも同等である。予期されたように、ネガティブコントロールは障害効果を示さない。
【0118】
さらなる試験アプローチにおいて、野生型TNF(TNFhum)あるいはscTNFの細胞障害性に対する、中和TNF特異性抗体の作用が試験された。可溶性ヒトTNF(TNFhum)の、あるいは上記された、3重(3x)あるいは4重(4x)グリシン−セリンペプチドリンカー(scTNF3x:GGGS−GGGS−GGGS/scTNF4x:GGGS−GGGS−GGGS−GGGS)を有するscTNF改変体の、新たに設定された希釈度が導入された。中和TNF特異性抗体(αTNF−AK)[1μg/ml]の存在−不存在における、1:3の希釈を伴う濃度順序が導入された。ネガティブコントロールとして上記コントロール−細菌溶解物が導入された。結果として、可溶性ヒト野生型TNFあるいはscTNFの細胞障害性効果が、中和TNF特異性抗体によって、しかもさらなる濃度領域(0.03〜10ng/ml)において、向上され得ること(グラフの上部の3つの曲線を参照)、が確認される。3重ペプチドリンカーを有するscTNFと4重ペプチドリンカーを有するscTNFとの反応性の間の差異は確認されなかった。
【0119】
図2は、TNFR2−レセプターキメラ(TNFR2−Fas)を発現させる細胞に対する、sTNFおよびscTNF改変体の作用が試験される、細胞障害性試験の結果を示す。この試験アプローチにおいては、TNFR2およびよFas(TNFR2−Fas、ここで、細胞外部分はTNFR2に由来し、細胞内部分はFasレセプターに由来する)から成るレセプターキメラを、安定に発現させる(MF TNFR2−Fas細胞)、マウス繊維芽細胞が導入された。MF TNFR2−Fas細胞(野生型TNFR2と同様に)は、適切なTNFR2刺激によって、例えば膜固定TNFによって(しかし、可溶性TNFによってではなく)活性され得る。結果:予期されたように、可溶性ヒトTNF(TNFhuman)も、3重ペプチドリンカーを有するscTNFおよび4重ペプチドリンカーを有するscTNF(scTNF3x、scTNF4x)も、MF TNFR2−Fas細胞に対する障害性効果を示さなかった。換言すれば、sTNFおよびscTNF改変体は、同様に、TNFR2−キメラ(TNFR2−Fas)発現細胞を活性化することができない、すなわち、それらは、これら細胞において細胞死を引き起こせない。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物(上記されたような)は、予期されたように、同様に障害性効果を示さなかった。
【0120】
図3は、TNFR2−キメラ(TNFR2−Fas)を発現させる細胞に対する、特定のTNFR2−特異性抗体,80M2との組合せにおける、ヒト野生型−TNFおよびscTNF改変体の作用が試験される、細胞障害性試験の結果を示す。試験アプローチは図2のそれに対応し、可溶性野生型−TNFあるいは3重ペプチド−リンカーを有するscTNF(scTNF3x)に、抗体80M2が付け加わるという相違を有する。抗体80M2は、通常の可溶性TNFに、膜結合TNFの特定のシグナル受容力を付与するということで知られる。結果は、可溶性野生型−TNFおよびscTNFは、80M2との組合せにおいて、TNFR2−Fasレセプターキメラを介して、強い障害性効果を得ることを示す。これに起因して、可溶性TNFは、例えば80M2のような、所定のTNFR2−特異性抗体との組合せにおいて、膜結合TNFの活性を拡張し得る。MF TNFR2−Fas細胞は、そのようなリガンド−レセプター複合体−固定化抗体(80M2−AK)の存在のもとにおける、可溶性TNFあるいはscTNFを用いたインキュベーションの後に、死亡する。すなわち、この抗体の存在のもとに、scTNFのような可溶性TNFは、通常、膜固定TNFにのみよって行なわれ得るのと同様に、MF TNFR2/Fas−細胞内において障害性効果を引き起こす。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物(上記図1に示されたような)は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0121】
図4〜図10は、様々な安定性試験の結果を示し、それらは、本発明によるscTNF改変体が、その構造に基づいて、可溶性野生型−TNFと比べて著しく改善された安定性を有することを実証する。
【0122】
sTNFあるいはscTNF改変体が、血清含有の培養培地において、3.0から0.01ng/mlの濃度において、37°Cおよび5%COのもとで、様々な時間においてインキュベーションされた。引き続き、MF TNFR1−FAS細胞およびKym1細胞に基づいて、sTNFあるいはscTNF改変体(scTNF3x、scTNF4x)の機能性が、細胞障害性試験において検査された。この細胞障害性試験に対して、3.0ng/mlのTNFサンプルに由来して、1:3の希釈度が使用された。ネガティブコントロールとして、上記されたコントロール−細菌溶解物が導入された(非−scTNF発現細菌溶解物であり、それは、同一に、組換えscTNF−タンパク質にプロセスされた)。
【0123】
図4は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞に対する安定性試験の、導入された分子VORの生物的活性を示す。可溶性ヒト野生型TNF(TNFhum)およびscTNFの希釈度が新たに設定され、細胞上において希釈された。可溶性コントロールTNFも、scTNF改変体も、MFを用いたインキュベーションの後に、その細胞死に導いた。コントロール−細菌溶解物は、予期されたように障害性効果を示さなかった。ED50−値(半最大作用濃度)は、可溶性ヒト野生型TNFに対しては約0.2ng/mlにあり、2つの導入された異なるscTNF改変体に対しては0.1ng/mlであった。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0124】
図5は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞を用いた安定性試験の結果を示す。図5に示される野生型TNFおよびscTNF希釈物は、サンプルの安定性が判定され得るために、ここでは、試験の実施の前に8日間、細胞インキュベーター内においてインキュベートされた。可溶性野生型TNF(TNFhuman)の生物的活性の明らかな低下が、37°Cにおける8日後において測定され、一方、2つのscTNF改変体(scTNF3x、scTNF4x)の活性は、変化しなかった。野生型TNFに対して、ED50−値は、約2ng/ml(導入直後は0.2ng/ml、図4参照)であることが判明した。scTNF改変体は、約0.1ng/mlのED50−値を有して、導入直後のサンプルと同様の活性を維持した(図4参照)。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0125】
図6は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞を用いた安定性試験の結果を示す。野生型TNFおよびscTNF溶液は、図5において説明されたように、ここでは14日間、細胞インキュベーター内においてインキュベートされた。可溶性野生型TNFの生物的活性の明らかなさらなる低下が、37°Cにおける14日後において測定され、一方、scTNF改変体の活性は、ほぼ同様に維持された。sTNFに対して、ED50−値は、約2.8ng/ml(導入直後は0.2ng/ml、図4参照)であることが判明し、scTNF改変体は、約0.13ng/mlのED50−値を有して、導入直後のサンプルと同様の活性を維持した(0.1ng/ml、図4参照)。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0126】
図7は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。Kym1細胞は、通常ヒト野生型TNFレセプターを発現させ、同様にTNFと細胞障害的に反応する。試験は、図4〜図6に従うマウス繊維芽細胞を用いた安定性試験と類似して行われた。可溶性野生型TNFあるいはscTNF改変体(scTNF3x、scTNF4x)が、血清含有の培地内において、3.0から0.01ng/mlの濃度において、37°Cおよび5%COのもとで、様々な時間においてインキュベーションされた。引き続き、Kym1細胞に対する、sTNFあるいはscTNF改変体の機能性が、細胞障害性試験において検査された。この試験に対して、3.0ng/mlのTNFサンプルに由来して、1:3の希釈度が使用された。ネガティブコントロールとして、上記されたコントロール細菌溶解物が導入された。可溶性野生型TNFおよびscTNFの希釈度が新たに設定され、導入された。可溶性野生型TNFも、scTNF改変体も、強い細胞障害性活性を有するという結果が示された。ED50−値は、可溶性野生型TNFに対しては約0.1ng/mlにあり、scTNF改変体に対しては0.06ng/mlであった。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0127】
図8は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。野生型TNFおよびscTNF溶液は、ここでは、16日間、細胞インキュベーター内においてインキュベートされた。sTNFの活性の明らかな低下が、37°Cにおける16日後において測定され、それに対して、scTNF改変体の障害性、すなわち生物的活性は、変化しなかった。野生型TNFに対して、ED50−値は、約1.2ng/mlであることが判明した。scTNF改変体は、約0.06ng/mlのED50−値を有して、導入直後のサンプルと同様の活性を維持した。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0128】
図9は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。sTNFおよびscTNF溶液は、ここでは22日間、細胞インキュベーター内においてインキュベートされた。sTNFの活性の明らかなさらなる低下が、37°Cにおける22日後において測定された。scTNF改変体の活性は、以前と変わらず安定していた。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0129】
以下の表1は、図7および図9による安定性試験結果の比較を示す。
【0130】
【表1】

図10は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。37°Cにおける16日後において、3ng/mlから希釈物が力価測定された。上記図4〜図9とは反対に、この試験においては、16日間保存された3ng/mlのTNF希釈物に由来して、力価測定グラフが作成された。一方、上記示された力価測定グラフにおいては、各々の希釈物が製造され、続いて所定時間、保存された。図8(16日間のインキュベーション期間の類似する試験)と図10との比較から、本質的な相違がないことが確認される。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物は、予期されたように、障害性効果を示さなかった。
【0131】
図11は、ヒト血清内における安定性試験の結果を示す。ヒト血清内における野生型TNFおよびscTNFの安定性を試験するために、最初の試験アプローチにおいては、100%血清内に可溶性野生型TNFおよびscTNF4x改変体が希釈され、その直後に力価測定された。結果として、野生型TNFに対しては0.004ng/mlのED50値が測定され、scTNF改変体に対しては0.007ng/mlのED50値が測定された。
【0132】
図12は、ヒト血清内における安定性試験の結果を示す。ヒト血清内における野生型TNFおよびscTNFの安定性を試験するために、さらなる試験アプローチにおいては、野生型TNFおよびscTNF4x改変体が、100%の新鮮な非熱不活性化された血清内に37°Cにおいて8日間保存され、続いてKym1細胞に対して力価測定された。結果として、野生型TNFに対しては0.40ng/mlのED50値が測定され、scTNF改変体に対しては0.03ng/mlのED50値が測定された。100%血清内での8日間の保存の効果は、以下に示される:直後に力価測定されたscTNFと比較して、8日間の保存されたscTNFは、約4.3倍の活性損失を示し、それに反して、可溶性sTNFに対しては、100%血清内での保存の間に、100倍の劇的な活性損失が示された。そのため、sTNFと比較して、本発明によるscTNFは、血清内における8日間のインキュベーションの後に、著しく高い生物的活性を示し、それによって、生理学的温度のもとにヒト血清内において非常に安定であることが明らかにされた。
【0133】
以下の表2において、図11および図12からの結果のデータが、明確にするために、再度示される。
【0134】
【表2】

図13は、還元および変性条件における、ポリアクリルアミド−ゲル電気泳動法による分析結果を示す。精製された野生型TNF、ならびに精製されたscTNF改変体scTNF3xおよびscTNF4xの銀染色ゲルが示される。サンプルは、それぞれβ−メルカプトエタノール(最終5%)を用いて、95°Cにおいて5分間インキュベートされた。銀染色ゲル上に、形跡毎に、約500ngのsTNFおよびscTNF4xおよび約150ngのscTNF3xが提供された。15%のSDS−PAGE内に切り離されたscTNF改変体の銀染色ゲルの結果は、2つのscTNF改変体が、還元条件のもとで、その構造と一致する約50kDaの分子量を有することを示す。また、提供されたタンパク質scTNF3xおよびscTNF4xの異なる量は、結果に影響を与えないことが確認された。これは、還元および変性条件における、本発明によるタンパク質あるいはポリペプチドの安定性を証明する。それに反して、sTNFに対する結果は、タンパク質が、約17kDaのモノマーにおいて分解したことを示す。
【0135】
図14は、還元および変性条件における、安定性試験の結果を示す。この試験アプローチにおいては、野生型TNF、ならびにscTNF改変体scTNF3xおよびscTNF4xの、15%のSDS−PAGE内に切り離されたサンプルのウエスタンブロット法が実施された。2つの並行するアプローチが実施され、一方のアプローチにおいては、サンプルは各々、β−メルカプトエタノール(最終5%)を用いて、95°Cにおいて5分間インキュベートされ、他方のアプローチにおいては、β−メルカプトエタノール・インキュベーションは行われなかった。電気泳動法の経過の後の検出は、抗TNF−抗体を用いて行われた。結果として、抗体は、2つのscTNF改変体のタンパク質を、約50kDaにおける明瞭な帯において、特定的に検出したことが確認された。これは、ここでも、還元および変性条件における、本発明によるscTNF3xおよびscTNF4xの安定性を証明し、同様に本発明に従い、図13の結果と一致する。
【0136】
図15は、IkappaB分解アッセイの結果を示す。IkappaB(I−κB)は、転写因子、核酸因子kappaB(NK−κB)のインヒビターであり、周知のように、TNFによって分解に提供され、それによってNK−κBが活性化される。I−κBの分解の立証のために、細胞溶解物は、それぞれ10ng/mlの野生型TNF、scTNF3xおよびscTNF4xを用いた0分、30分、および60分の刺激の後に製造され、その後、I−κBに特定の抗体を用いてウエスタンブロット法において分析された。その結果は、I−κBの過渡的な解析は、野生型TNFおよび2つのscTNF改変体によって誘導され、その際、scTNF改変体の反応態様は、野生型TNFのそれに対応した。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物(上記されたように、同一に、組換えscTNF−タンパク質にプロセスされる、非−scTNF発現化の細菌溶解物)は、予期されたように、I−κB分解に効果を示さなかった。
【0137】
図16は、JNK−アッセイの結果を示す。JNK(c−jun N末端キナーゼ)は、周知のように、TNFによって強く活性化される、ストレス誘導キナーゼである。それぞれ10ng/mlの野生型TNF、scTNF3xおよびscTNF4xを用いた0分、30分、および60分の刺激の後に、細胞溶解物が製造され、JNK活性は、JNKに特定の抗体を用いたJNKの免疫沈澱物を介して、および後続の、基質としてGST c−junを用いたキナーゼアッセイを介して検査された。ネガティブコントロールとして導入されたコントロール−細菌溶解物(上記されたような)は、予期されたように、JNK−キナーゼの活性化を示さなかった。その結果は、JNKの活性化は、2つのscTNF改変体および野生型TNFによって行われ、その際、scTNF改変体の反応態様は、野生型TNFのそれに対応した。
【0138】
図17は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)の結果を示す。TNFの活性に対するさらなる典型的な証拠は、細胞核内の転写因子NF−κBの、I−κB分解の生じた誘導の後に進行する転移を示す。それについで、非刺激KYM−1コントロール細胞(ゼロ分の刺激)のあるいは刺激細胞(30分および60分の刺激)の細胞核調合が製造される。細胞の刺激は、それぞれの野生型TNF、scTNF3xおよびscTNF4xを用いて行われた。細胞核内に転座された転写因子NF−κBは、NF−κBに特定の、放射性にマークされたオリゴヌクレオチドを用いて立証された。その結果は、NF−κBが細胞核内に転座されたことを示す。その際、scTNF改変体の反応態様は、野生型TNFのそれに対応した。
【0139】
図18は、TNF(TNFリガンドファミリーメンバーとして)に基づいて示された、本発明によるポリペプチドの例示的な構築物パターンを示す。記号は以下の意味を有する。
【0140】
構築物AI/AIIおよびBI/BIIは、大腸菌内のタンパク質の発現に対して最適化されたコドン使用を有し、それぞれGlyGlyGlySer−3重リンカーあるいは4重リンカーによって結合された分子を表す。全ての分子は、より簡易化された精製のためにN末端にヒスチジンTagを有する。分子BI/BIIは、さらに、指向された共有結合に対するシステイン残基を有する短いアミノ酸鎖を有する。
【0141】
構築物CからHは、真核細胞内におけるタンパク質の発現に対して適正化されており、N末端にリーダーペプチド配列を有する。
sc=single chain(単鎖)の略語であり、

cys=共有結合のための内部システインを有するN末端ペプチドリンカーを示し、

L1longあるいはL2long=それぞれアミノ酸配列(GGGS−GGGS−GGGS−GGGS)あるいは(GGGS)を有するリンカー1あるいはリンカー2を示し、

L1shortあるいはL2short=それぞれアミノ酸配列(GGGS−GGGS−GGGS)あるいは(GGGS)を有するリンカー1あるいはリンカー2を示し、

リーダーペプチド配列=真核(宿主)細胞からなるタンパク質の分泌に対するアミノ酸配列であり、

scFv40=腫瘍ストロマ抗体FAPに対して特異的な、単鎖(scFv)−抗体フラグメント40を表し、

AMAIZe=「Antibody−Nediated Apotosis Inducing Zytokine」の略語であり、

His/Flag−Tag=発現タンパク質の親和性精製へのペプチド配列を表す。
【0142】

図19は、scTNF−Lshort(構築物A−II)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物A−IIの特徴
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのHis−Tagペプチド配列:アミノ酸(以下図19から図26において「AA」と略される)AA 5〜10、ヌクレオチド以下図19から図26において「NT」と略される)NT 13〜30
・ ヒトTNFモジュール1の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、AA 79〜181、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 11〜169、NT 31〜507
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 170〜181、NT 508〜543
・ ヒトTNFモジュール2の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、AA 79〜181、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 182〜335、NT 544〜1005
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 336〜347、NT 1006〜1041
・ ヒトTNFモジュール3の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、AA 79〜181、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 348〜501、NT 1042〜1503
・ 停止コドン:NT 1504〜1506
図20は、cys−scTNF−Lshort(構築物B−II)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物B−IIの特徴
・ 共有結合に対するアミノ酸システイン:AA 9、NT 25〜27
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのHis−Tagペプチド配列:AA 15〜20、NT 43〜60
・ ヒトTNFモジュール1の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 21〜181、NT 61〜543
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 182〜193、NT 544〜579
・ ヒトTNFモジュール2の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 194〜347、NT 580〜1041
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 348〜359、NT 1042〜1077
・ ヒトTNFモジュール3の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン、適正化された大腸菌コドン使用を有する配列):AA 360〜513、NT 1078〜1539
・ 停止コドン:NT 1540〜1542
図21は、scFasL(構築物C)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Cの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜15、NT 1〜45
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 19〜26、NT 55〜78
・ ヒトFasLモジュール1の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 30〜173、NT 90〜519
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 174〜189、NT 520〜567
・ ヒトFasLモジュール2の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 190〜332、NT 568〜996
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 333〜348、NT 997〜1044
・ ヒトFasLモジュール3の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 349〜491、NT 1045〜1473
・ 停止コドン:NT 1474〜1476
図22は、scTRAIL(構築物D)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Dの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜15、NT 1〜45
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 19〜26、NT 55〜78
・ ヒトTRAILモジュール1の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 30〜216、NT 88〜648
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 217〜232、NT 649〜696
・ ヒトTRAILモジュール2の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 233〜419、NT 697〜1257
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 420〜435、NT 1258〜1305
・ ヒトTRAILモジュール3の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 436〜622、NT 1306〜1866
・ 停止コドン:NT 1861〜1863
図23は、scTNF(構築物E)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Eの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜15、NT 1〜45
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 19〜26、NT 55〜78
・ ヒトTNFモジュール1の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン):AA 30〜184、NT 88〜552
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 185〜200、NT 553〜600
・ ヒトTNFモジュール2の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン):AA 201〜355、NT 601〜1065
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 356〜371、NT 1066〜1113
・ ヒトTNFモジュール3の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン):AA 372〜526、NT 1114〜1581
・ 停止コドン:NT 1799〜1581
図24は、scFasL−AMAIZe(構築物F)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Fの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜19、NT 1〜57
・ 腫瘍ストロマ抗体FAPに対して特異的な、単鎖(scFv)−抗体フラグメント40の配列:AA 20〜267、NT 58〜801
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 278〜285、NT 832〜855
・ ヒトFasLモジュール1の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 290〜432、NT 868〜1296
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 433〜448、NT 1297〜1344
・ ヒトFasLモジュール2の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 449〜591、NT 1345〜1773
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 592〜607、NT 1774〜1821
・ ヒトFasLモジュール3の配列(天然のヒトFasL分子の細胞外ドメイン AA 139〜281):AA 608〜750、NT 1822〜2250
・ 停止コドン:NT 2251〜2253
図25は、scTRAIL−AMAIZe(構築物G)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Gの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜19、NT 1〜57
・ 腫瘍ストロマ抗体FAPに対して特異的な、単鎖(scFv)−抗体フラグメント40の配列:AA 20〜267、NT 58〜801
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 278〜285、NT 832〜855
・ ヒトTRAILモジュール1の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 289〜475、NT 865〜1426
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 476〜491、NT 1427〜1476
・ ヒトTRAILモジュール2の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 492〜678、NT 1477〜2034
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 679〜694、NT 2035〜2082
・ ヒトTRAILモジュール3の配列(天然のヒトTRAIL分子の細胞外ドメイン AA 95〜281):AA 695〜881、NT 2083〜2643
・ 停止コドン:NT 2644〜2646
図26は、scTNF−AMAIZe(構築物H)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
構築物Hの特徴
・ 真核細胞内のタンパク質の分泌に対するリーダーペプチド配列:AA 1〜19、NT 1〜57
・ 腫瘍ストロマ抗体FAPに対して特異的な、単鎖(scFv)−抗体フラグメント40の配列:AA 20〜267、NT 58〜801
・ 形成されたタンパク質の親和性精製へのFlag Tagペプチド配列:AA 278〜285、NT 832〜855
・ ヒトTNFモジュール1の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン AA 79〜181):AA 289〜443、NT 865〜1329
・ (GGGS)−リンカー1の配列:AA 444〜459、NT 1330〜1377
・ ヒトTNFモジュール2の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン AA 79〜181):AA 460〜614、NT 1378〜1842
・ (GGGS)−リンカー2の配列:AA 615〜630、NT 1843〜1890
・ ヒトTNFモジュール3の配列(天然のヒトTNF分子の細胞外ドメイン AA 79〜181):AA 631〜785、NT 1891〜2355
・ 停止コドン:NT 2356〜2358
図27は、ヒト野生型TNFおよびヒトscTNF(実施例2参照)の薬物動態を示す。図27のデータは、scTNF改変体のin vivo半値時間の明らかな増加を示す。それによって、TNFに比べてscTNFに対しての、in vivoでの作用期間の明らかな増加が期待され、それは、潜在的な治療剤として、scTNF、特にscTNF−Lの価値を強調する。
【0143】
図28は、粒子(シリカ)に共有結合されたCysHis−scTNFを示す。この共有結合されたCysHis−scTNFは、生物的活性であり、膜結合TNFの特別の活性化を有し、つまり、それはTNFR2を活性化する。図28は、構築物TNFR2−Fasを用いて転換され、挙げられた試薬の連続的な希釈度を用いて処理された、マウス繊維芽細胞から成る細胞は、可溶性wtTNFに対して十分に耐性であることを示す。定着されたプロトコル(DPA,No.DE10144252)に従った、シリカ−マイクロ粒子(ビーズ)への還元されたCysHis−scTNFの共有結合の後に、これらは、CysHis−scTNFおよびTNFR2に結合する抗体、mAk 80M2(三角形)から成るポジティブコントロールと同様に、強い細胞障害性応答(円)を引き起こす。結合されないCys−His scTNFは、予期されたように、TNFR2ポジティブ細胞に対して活性を示さない(四角形)。
【0144】
本発明は、以下において実施例によって示される。
(実施例)
実施例1:様々な本発明によるポリペプチド構築物の製造
全てのクローニングは、標準プロトコルに従って行われた。以下において、これらの条件が実施される。
【0145】
標準PCR
60ng鋳型、0.5μl 100μMプライマー、1μl 10mM dNTPsおよび5μl 10x緩衝液および2U Taq−ポリメラーゼが、50μlの反応量において、以下のPCRプログラムを用いて増幅された。変性:94°C3分、15サイクル:変性94°C 30秒、アニーリング55°C 30秒、エロンゲーション72°C 90秒;最終エロンゲーション:72°C7分。
【0146】
PCR生成物の消化
PCR生成物は、アガロースゲルを用いて精製され、溶離され、その後、それそれの制限酵素(正確な指示を参照)を用いて、40μlの反応堆積物中において、最適の開裂温度(製造者によって指定される)のもとで2時間、消化された。
【0147】
ベクターの消化
1μgのベクターが、5Uの対応する制限酵素を用いて、20μlの反応量において、最適の開裂温度(これは使用される酵素に依存し、製造者によって指定される)のもとで2時間、消化された。ベクターの脱リン酸化のために、10Uのアルカリ性ホスファターゼが、1時間の間、反応消化に与えられた。
【0148】
「Fill in」反応
ベクター消化の沈積物は、33μM dNTPsおよびDNA−ポリメラーゼIの1U/1μgDNA クレノウフラグメントを用いて置換され、25°Cにおいて25分間、インキュベートされた。この反応は、10mMのEDTAを用いて、75°Cにおいて20分間で停止した。
【0149】
連結反応
ベクターおよび挿入断片は、1:5のモル比率において、400Uのリガーゼを用いて、10μlの反応量において、75°Cのもとに一晩、連結された。
I.4重または3重のリンカーを有するscTNFhuman(scTNF)の製造
個々の分子間において、ペプチド−リンカーの長さによって区別される2つのscTNF改変体が製造された。4重または3重のペプチド−リンカー−配列を有するプライマーが導入された((GGGS)−配列を有するリンカーlongまたは(GGGS)−配列を有するリンカーshort)。そのため、生成された構築物は、2つの4重リンカー(「long」と示された(GGGS)−を有する、L1またはL2)または2つの3重リンカー(「short」と示された(GGGS)−を有する、L1またはL2)を含む。
【0150】
1.プライマーVおよびIあるいはII(リンカーlongに対して)、ならびに鋳型としてTNFモジュール(pQE9−HisTNF)を有するpQE9ベクターを用いて、標準PCRが実施された。
【0151】
2.得られたPCR生成物Iは、続いて、それぞれ20Uの制限酵素StuIおよびHindIIIを用いて、37°Cにおいて消化された。同様な消化および脱リン酸化反応が、pQE9−HisTNFベクターを用いて実施され、連結反応を介して、PCR生成物IがpQE9−HisTNFベクター内に提供された。この工程の結果は、リンカー1shortあるいはlongあるいは以下のpQE9ベクター内の構築物であった。
EcoRI−His Tag−モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−BamHI
3.プライマーIIIおよびIあるいはII(リンカーlongに対して)、ならびに鋳型としてpQE9−HisTNFベクターを用いた、さらなるPCRを介して、PCR生成物IIが生成された。PCR生成物IIは、続いて、それぞれ20Uの制限酵素EcoRIおよびHindIIIを用いて切断され、同一の酵素を用いて切断され、脱リン酸化されたpQE9−HisTNFベクター内に提供された。このクローニングの結果は、以下に示されるようなpQE9ベクターであった。
TNF モジュール2−リンカー2shortあるいはlong−BamHI
この構築物は、TNR配列前のHIS−Tagに対する配列を有さない。
【0152】
4.工程3においてクローニングされたPCR生成物IIは、まず制限酵素HindIIIを用いて、続いて部分的にBamHI(1U/μg DNA)を用いて、ベクターから切り離された。pQE9−HisTag TNF モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−ベクターは、同様に、制限酵素BamHIおよびHindIIIを用いて、順番に、切断され、脱リン酸化され、また、PCR生成物IIは、このベクター内において連結反応された。結果は、以下の構築物を有するpQE9であった。
HisTag TNF モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−TNF モジュール2−リンカー2shortあるいはlong
5.鋳型としてpQE9−HisTNF−ベクターおよびプライマーIIIおよびIVを用いて、さらなるPCRが、標準条件の下に実施され、得られたPCR生成物IIIは、制限酵素BamHIおよびHindIIIを用いて、順番に、消化された。続いて、このフラグメントは、同様に、制限酵素BamHIおよびHindIIIを用いて切断されたpBluescript SKIIベクター内において連結反応された。このクローニングの結果は、リンカーを有さないTNF モジュール3を含む、pBluescript SKIIベクターであった。
【0153】
6.HisTag TNF モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−TNF モジュール2−リンカー2shortあるいはlong構築物を有するpQE9−ベクターは、制限酵素EcoRIを用いて切断され、このベクターは、続いて、「fill in」を行うために、大腸菌からの、DNA−ポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて処理された。この工程の後に、酵素BamHI(1U/μg DNA)を用いて、部分的な制限消化が行われた。
【0154】
7.工程6と並行して、TNF モジュール3を含むpBluescript SKIIベクターが、制限酵素XbaIを用いて切断され、続いて、このベクターは、「fill in」を行うために、大腸菌からの、DNA−ポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて処理された。この工程の後に、第2の制限消化が、追加の脱リン酸化を伴う標準条件の下に、酵素BamHIを用いて行われた。
【0155】
8.制限消化によって工程6から得られたフラグメントは、続いて、工程7において生成された線状ベクター内において連結反応された。構築物は、以下に示されるように、逆の配置にあった。
HindIII−TNF モジュール3−リンカー2shortあるいはlong−TNF モジュール2−リンカー1shortあるいはlong−TNF モジュール1−His Tag−EcoRI
9.工程8からの逆配置されたTNF構築物は、制限酵素EcoRIおよびHindIIIを用いて、pBluescript SKIIベクターから切り離され、同一の酵素を用いて処理され、脱リン酸化されたpQE9−HisTNF−ベクター内において、連結反応された。これによって、正しい配置にある完全なscTNFを有する構築物が生じた。
EcoRI−His Tag−TNF モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−TNF モジュール2−リンカー2shortあるいはlong−TNF モジュール3−HindIII
10.N−末端システインを有するscTNFの製造のために、オリゴcys−scTNF VIおよびVIIがアニールされ(各々、20μl 100μM オリゴ VIあるいはVIIが、共に95°Cにおいて5分間、加熱され、室温まで徐々に冷却された)、オリゴ1が形成された。9.からの構築物は、制限酵素EcoRIおよびBbsIを用いて消化され、同一の切断部位が利用可能なオリゴ1は、ベクター内において連結反応された。代替的に、システインは、PCR−変異誘発を介して挿入される。このクローニングの結果は、以下の構築物であった。
EcoRI−システイン−His Tag−TNF モジュール1−リンカー1shortあるいはlong−TNF モジュール2−リンカー2shortあるいはlong−TNF モジュール3−HindIII
全ての構築物は、配列化によって検証された。
【0156】
発現は、大腸菌株XL−1 blue内において行われた。発現されたscTNF改変体の精製は、クロマトグラフィー法(HisTag親和性−および陰イオン交換クロマトグラフィー法)を用いて行われた。
【0157】
以下に、使用されたプライマーの配列が挙げられる。
【0158】
タンパク質レベルでのペプチドリンカー配列
3重GGGSリンカー(短)=(GGGS);GGGS GGGS GGGS
4重GGGSリンカー(長)=(GGGS);GGGS GGGS GGGS GGGS
核酸レベルでのペプチドリンカー配列
3倍GGGSリンカー(短):5’GGTGGCGGTTCTGGTGGCGGTTCTGGTGGCGGATCC3’
4倍GGGSリンカー(長):5’GGTGGCGGTTCTGGTGGCGGTTCTGGTGGCGGTTCTGGTGGCGGATCC3’
クローニングのためのプライマー
scTNFプライマーI
【0159】
【化1】

scTNFプライマーII
【0160】
【化2】

scTNFプライマーIII
【0161】
【化3】

scTNFプライマーIV
【0162】
【化4】

scTNFプライマーV
【0163】
【化5】

CysHis挿入のためのオリゴ
cys−scTNFプライマーVI
【0164】
【化6】

cys−scTNFプライマーVII
【0165】
【化7】

II.pcDNA3およびAMAIZe構築物内のscFasLの製造
以下のクローニングに対して、実施例1において挙げられた標準条件が使用された。
【0166】
A. pcDNA3内でのHAシグナルの生成
1.KpnIおよびNotIを用いた消化
2.リーダーペプチド配列のためのプライマーHA−IFおよびHA−IIRのアニーリングを介しての、KpnI−HA−シグナル−NotI−配列を有するHA−オリゴの製造
3.pcDNA3−ベクター内でのHA−オリゴ(KpnIおよびNotI−切断部位を含む)の連結反応
B. pcDNA3(+)−ベクター内でのscFasLの製造
1.鋳型FasL−AMAIZE−ベクター上のFasL#1FおよびFasL#2Rを用いたPCR。この構築物様式の製造は、特許出願DE 10045591.3の中に記載されており、それに関しては、本発明の開示内容に完全に含まれる。このPCR1の生成物は、NotI−Flag Tag−FasLモジュール1−リンカー1−BamHI−XbaI構築物であった。
2.KpnIおよびNotI−切断部位を介して、この構築物は、同一の酵素を用いて消化されたpcDNA3−HA配列ベクター内において、クローニングされ、その結果、以下の構築物が生じた。
HA配列−Flag Tag−FasLモジュール1−リンカー1−BamHI−XbaI
3.鋳型FasL−AMAIZE−ベクターならびにプライマーFasL#3およびFasL#1上のさらなるPCRを用いて、以下のPCR生成物2が生成された。
平滑末端(blunt end)−FasLモジュール2−リンカー2−BamHI−XbaI
4.次の工程において、2.からのpcDNA3ベクターは、BamHIを用いて消化され、この切断部位は、クレノウ酵素によって補填され、続いて、XbaIを用いて切断され、その結果、「平滑末端」および「粘着末端(sticky end)」が生じた。このように改変されたベクター内において、続いて、PCR生成物2がクローニングされ、以下の構築物が形成された。
HA配列−Flag Tag−FasLモジュール1−リンカー1−FasLモジュール2−リンカー2−BamHI−XbaI
5.第3のモジュールのために、鋳型FasL−AMAIZE−ベクターならびにプライマーFasL#4およびFasL#5を用いたさらなるPCRが実施された。形成されたPCR生成物は、続いて、制限酵素BamHIおよびXbaIを用いて消化され、同一の酵素を用いて切断された、4.からのベクター内において連結反応された。このクローニングの結果は、以下の、pcDNA3ベクター内の構築物であった。
HA配列−NotI−Flag Tag−FasLモジュール1−リンカー1−FasLモジュール2−リンカー2−FasLモジュール3−stop−XbaI
scFasL−あるいはscTNF−AMAIZe構築物内の製造のために、それぞれ、scFasL−あるいはscTNFは、制限酵素NotIあるいはEcoRIおよびXbaIを用いて消化され、カセットとしての挿入断片が、対応するAMAIZeベクター(特許出願DE 10045591.3を参照)内に挿入され、その際、このベクターは、同様に、酵素NotIあるいはEcoRIおよびXbaIを用いて切断された。それによって、以下の構築物が製造された。
リーダーペプチド−scFv40−Flag Tag−FasLモジュール1−リンカー1−FasLモジュール2−リンカー2−FasLモジュール3
リーダーペプチド−scFv40−Flag Tag−TNFモジュール1−リンカー1−TNFモジュール2−リンカー2−TNFモジュール3
以下に、使用されたプライマーの配列が挙げられる。
【0167】
【化8】

III. scTRAIL−クローニングおよびscTRAIL AMAIZe構築物内の製造
以下のクローニングに対して、実施例1において挙げられた標準条件が使用された。
1.鋳型pcDNA3−sc40−TRAIL(特許出願DE 10045591.3を参照)上のTRAIL#1およびTRAIL#2を用いたPCR。PCR生成物1は、EcoRIおよびXbaIを用いて切断され、同一の制限酵素を用いて消化されたpcDNA3−scFasLベクター内において連結反応された。この消化は、FasL配列を欠失し、それの際、HA−配列およびFlag Tagは保持され、以下の構築物が生じた。
HA配列−NotI−Flag Tag−TRAILモジュール1−リンカー1−BamHI−XbaI
2.プライマーTRAIL#1RおよびTRAIL#2Fおよび鋳型TRAIL−AMAIZe(特許出願DE 10045591.3を参照)を用いて、PCR生成物2が生成された。これは、XbaIを用いて切断され、その際、「平滑末端」および「粘着末端」が生じた。1.からの構築物は、BamHIを用いて消化され、続いて、クレノウ酵素を用いて処理され、その結果、末端が補填された。それに続いてXbaI消化が実施され、PCR生成物2は、このベクター内においてクローニングされた。結果は以下の構築物であった。
HA配列−NotI−Flag Tag−TRAILモジュール1−リンカー1−TRAILモジュール2−リンカー2−BamHI−XbaI
3.TRAILモジュール3のクローニングのために、プライマーTRAIL#4およびTRAIL#5を用いて、鋳型TRAIL−AMAIze上において、PCRが実施され、生成物は、続いて、制限酵素BamHIおよびXbaIを用いて消化され、2.からの構築物において、同様に、BamHIおよびXbaIを用いてクローニングされ、それによって、以下の構築物が生じた。
HA配列−NotI−Flag Tag−TRAILモジュール1−リンカー1−TRAILモジュール2−リンカー2−TRAILモジュール3−Stop−XbaI
scTRAIL−AMAIZe構築物内の製造のために、それぞれ、scTRAILベクターは、制限酵素NotIあるいはEcoRIおよびXbaIを用いて消化され、カセットとしての挿入断片が、対応するAMAIZeベクター(特許出願DE 10045591.3を参照)内に挿入され、その際、このベクターは、同様に、酵素NotIあるいはEcoRIおよびXbaIを用いて切断された。それによって、以下の構築物が製造された。
HA−scFv40−Flag Tag−TRAILモジュール1−リンカー1−TRAILモジュール2−リンカー2−TRAILモジュール3
以下に、使用されたプライマーの配列が挙げられる。
scTRAILクローニングのためのプライマー
【0168】
【化9】

実施例2:ヒト野生型TNFおよびヒトscTNFの薬物動態
生後6週間のBalb/cマウスに、12μgTNFあるいはscTNF(それぞれ、3匹のマウスに)が静脈注射された。45分毎に採血、採集され、血清内のTNF濃度が、ヒトTNFに特定のELISA KITsを用いて、決定された。図27のデータは、scTNF改変体のin vivo半値時間の明らかな増加を示す。そのため、in vivoにおいて、scTNFの、明らかに増加された生物学的作用持続が期待され、それによって、潜在的な治療剤としてのscTNFの価値が強調される。
【0169】
実施例3:粒子(シリカ)に共有結合されたCysHis−scTNF
構築物TNFR2−Fasを用いて転換されたマウス繊維芽細胞は、挙げられた試薬の連続的な希釈によって処理された。これら細胞は、可溶性wtTNFに対して全く耐性である。制定されたプロトコル(DPA 2001,No.DE10144252)に従った、シリカマイクロ粒子(ビーズ)への、還元されたCysHis−scTNFの共有結合の後に、これらは、CysHis−scTNFおよびTNFR2に結合する抗体、mAk 80M2(三角形)から成るポジティブコントロールと同様に、強い細胞障害性応答(円)を引き起こす。結合されないCys−His scTNFは、予期されたように、TNFR2ポジティブ細胞に対して活性を示さない(四角形)。共有結合されたCysHis−scTNFは、生物的活性であり、膜結合TNFの特別の活性化を有し、つまり、それはTNFR2を活性化する。
【0170】
実施例4:標準組換えヒト(rh)TNFおよびscTNFの、in vivo腫瘍壊死モデルと、in vitro L929−細胞障害性―活性における比較
マウス: C3H/HeJ(雌)、Charles Riverの17〜19g
腫瘍細胞: マウス由来のC3H/HeNからの、CFS−1 メチルコラントレ繊維肉腫細胞株(参照:Hafner M.,P.Orosz,A.Krueger,およびD.N.Maennel.1996 TNF promotes metastasis by impairing natural killer cell activity.Internet.J.Cancer 66:388〜392)
腫瘍壊死実験: マウスは、50μl培地(RPMI,10%FCS)内の1.6x10のCFS−1細胞を、背の外皮に有した。200μlのPBS内のPBSTNF(マウス毎に10μg)またはコントロールとしてのPBSのみの、内腹膜への注射の以前に、約5〜6mmの直径の大きさに達するまで、腫瘍は、12日間、成長されられた。腫瘍の大きさは、毎日、計測され、巨視的に検査された。マウスは、処理の後、6日目に死亡し、腫瘍は組織学のために取り出された。腫瘍は、切り出され、4%PBS−緩衝されたホルマリン内において一夜、固定され、パラフィン内にくるみ込まれた。赤道垂直スライス(4μm)が、ヘマトキシンおよびエオシンを用いて染色され、巨視的によって壊死が検査された(例えば、Lucas R.et al.,2001,IntJ Cancer,91:543〜549)。
【0171】
TNF: rhTNF 特異的活性 6.6x106U/mg(48時間、Act.DなしにL929試験)scTNF
in vitro実験、Act.Dを用いた、L292細胞障害性アッセイにおけるLD50活性
rhTNF=391pg/ml
scTNF=39pg/ml
(in vivo実験に導入されたのと同一のTNFサンプルを用いて試験された)
scTNFは、このin vitro実験において、10倍の高い活性を示した。
【0172】
in vivo腫瘍壊死実験
【0173】
【表3】

*=巨視的には明確に視認できる表面の壊死
**=中心の出血壊死の微視的な検査、腫瘍組織の<5%または>10%
結論
単一投与の処理の4日後において、腫瘍の大きさにおいて差異は確認されなかった(腫瘍治療剤としてのTNFの展望、例えばEggermont et al.,Lancet Oncol.4.429(2003)参照)。
rhTNFは、出血性の壊死(腫瘍領域の<5%)を誘導しなかった、巨視的に動物の単に3/7に認識。
scTNFは、全ての腫瘍において、多くの出血性の壊死(腫瘍領域の>10%)を誘導した、巨視的にその5/7に認識。
in vitroの腫瘍障害性試験および壊死の誘導に関して、scTNF>>rhTNF
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】図1は、TNFの典型的な細胞障害性試験の結果を示す。
【図2】図2は、TNFR2−レセプターキメラ(TNFR2−Fas)を発現させる細胞に対する、sTNFおよびscTNF改変体の作用が試験される、細胞障害性試験の結果を示す。
【図3】図3は、TNFR2−キメラ(TNFR2−Fas)を発現させる細胞に対する、特定のTNFR2−特異性抗体,80M2との組合せにおける、ヒト野生型−TNFおよびscTNF改変体の作用が試験される、細胞障害性試験の結果を示す。
【図4】図4は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞に対する安定性試験の、導入された分子VORの生物的活性を示す。
【図5】図5は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞を用いた安定性試験の結果を示す。
【図6】図6は、マウス繊維芽細胞MF TNFR1−FAS細胞を用いた安定性試験の結果を示す。
【図7】図7は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。
【図8】図8は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。
【図9】図9は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。
【図10】図10は、ヒト細胞列Kym1を用いた安定性試験の結果を示す。
【図11】図11は、ヒト血清内における安定性試験の結果を示す。
【図12】図12は、ヒト血清内における安定性試験の結果を示す。
【図13】図13は、還元および変性条件における、ポリアクリルアミド−ゲル電気泳動法による分析結果を示す。
【図14】図14は、還元および変性条件における、安定性試験の結果を示す。
【図15】図15は、IκB分解アッセイの結果を示す。
【図16】図16は、JNK−アッセイの結果を示す。
【図17】図17は、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)の結果を示す。
【図18】図18は、TNF(TNFリガンドファミリーメンバーとして)に基づいて示された、本発明によるポリペプチドの例示的な構築物パターンを示す。
【図19−1】図19は、scTNF−Lshort(構築物A−II)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図19−2】図19の続き。
【図20−1】図20は、cys−scTNF−Lshort(構築物B−II)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図20−2】図20の続き。
【図21−1】図21は、scFasL(構築物C)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図21−2】図21の続き。
【図22−1】図22は、scTRAIL(構築物D)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図22−2】図22の続き。
【図22−3】図22の続き。
【図23−1】図23は、scTNF(構築物E)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図23−2】図23の続き。
【図24−1】図24は、scFasL−AMAIZe(構築物F)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図24−2】図24の続き。
【図24−3】図24の続き。
【図25−1】図25は、scTRAIL−AMAIZe(構築物G)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図25−2】図25の続き。
【図25−3】図25の続き。
【図25−4】図25の続き。
【図26−1】図26は、scTNF−AMAIZe(構築物H)の核酸配列および対応するアミノ酸配列を示す。
【図26−2】図26の続き。
【図26−3】図26の続き。
【図27】図27は、ヒト野生型TNFおよびヒトscTNFの薬物動態を示す。
【図28】図28は、粒子(シリカ)に共有結合されたCysHis−scTNFを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3個の構成成分Aおよび少なくとも2個の構成成分Bを含むポリペプチドであって、
各構成成分Aは、TNFリガンドファミリーメンバーのモノマーまたは機能性フラグメントおよび/またはこれに関しての機能性改変体であり、各構成成分Bは、ペプチドリンカーである、ポリペプチド。
【請求項2】
前記構成成分Aは、同一あるいは異なる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記構成成分Aは、同一の生物あるいは異なる生物に由来する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記構成成分Aは、FasL、TRAIL、TNF、CD30L、CD40L、OX40L、RANKL、TWEAKL、LTalpha、LTbeta、LIGHT、CD27L、41−BB、41BBL、GITRL、APRIL、EDA、VEGIおよびBAFFからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記構成成分Bは、それぞれ、前記少なくとも3個の構成成分Aの2個を互いに結合する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記構成成分Bの少なくとも1個は、アミノ酸配列(GGGS)または(GGGS)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記構成成分Aおよび構成成分Bは、三量体タンパク質構造を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記構成成分Aおよび構成成分Bは、ホモ三量体タンパク質構造を形成する、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記構成成分Aおよび構成成分Bは、ヘテロ三量体タンパク質構造を形成する、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記構成成分Bは、同一あるいは異なる、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記構成成分Bは、同一の生物あるいは異なる生物に由来する、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記ポリペプチドは、好ましくは、N末端Tag−配列、特にHis−Tag配列あるいはFlag−Tag配列を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドは、好ましくは、N末端リーダーペプチド配列を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドは少なくとも1個のさらなる構成成分Cを含み、該構成成分Cは、細胞表面上に特定の標的分子を選択的に認識する、抗体フラグメントあるいは他のタンパク質もしくはペプチドである、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記構成成分Cは、哺乳類、特にマウスあるいはヒトに由来する抗体フラグメントであるか、あるいはヒト化した抗体フラグメントである、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記抗体フラグメントは、様々な抗体形態において、例えばscFv、特にscFv40として、提供される、請求項14または15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記構成成分Cは、細胞表面分子、特にサイトカインレセプター、増殖因子レセプター、インテグリン、あるいは細胞接着分子に対する特異性を有するタンパク質あるいはペプチドである、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記サイトカインレセプターは、TNFR遺伝子ファミリーの群から選択される、請求項17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項21】
請求項19に記載の核酸、および/または請求項20に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項22】
請求項21に記載の宿主細胞を製造する方法であって、
a.請求項19に記載の核酸、あるいは請求項20に記載のベクターを製造する工程と、
b.工程(a)に従う核酸および/またはベクターを、細胞内に導入する工程と
を包含する、方法。
【請求項23】
請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法であって、
a.請求項21に記載の宿主細胞を、適正な条件下において培養する工程と、
b.請求項19に記載の核酸を、適正な条件下において発現させる工程と、
c.該宿主細胞および/または該培養上清から該ポリペプチドを単離する工程と
を包含する、方法。
【請求項24】
癌疾患、特に固形あるいはリンパ性の腫瘍、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患、の治療用の医薬品の製造のための、請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドの、または請求項19に記載の核酸の、または請求項20に記載のベクターの、または請求項21に記載の宿主細胞の、使用。
【請求項25】
癌疾患、特に固形あるいはリンパ性の腫瘍、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、,多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患、の治療のための、請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドの、または請求項19に記載の核酸の、または請求項20に記載のベクターの、または請求項21に記載の宿主細胞の、使用。
【請求項26】
請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび/または請求項19に記載の核酸および/または請求項20に記載のベクターおよび/または請求項21に記載の宿主細胞、ならびに、薬学的に安全な、補助物質、添加物質および/または担体物質を少なくとも含む、薬学的組成物。
【請求項27】
癌疾患、特に固形あるいはリンパ性の腫瘍、伝染病、代謝性疾患、炎症容態、過増殖性疾患、自己免疫疾患、特にリウマチ/関節炎疾患、中毒性表皮壊死症(TEN)、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、GvHD、ウイルス性肝炎(HBV,HCV)、アルコール感応性肝炎、肝臓移植の際の拒絶反応、多発性アポトーシス反応に基づく疾患、退化性疾患、特に神経退化性疾患、の治療のための、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
血液の可溶性成分、懸濁された成分あるいは細胞性成分の、体外での操作、枯渇、および/または除去の方法であって、
a)必要に応じて、血液を、固体あるいは液体の成分を有する単一あるいは複数の分画に分離する工程と、
b)該血液の可溶性成分、懸濁された成分あるいは細胞性成分を、請求項1から18のいずれか一項に記載のポリペプチドと連結された表面あるいは粒子に結合させる工程と、
c)必要に応じて、該結合された血液の可溶性成分、懸濁された成分あるいは細胞性成分を分離する工程と
を包含する、方法。
【請求項29】
前記工程a)あるいは工程b)の前に、患者において採血が行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項30】
前記工程b)あるいは工程c)の後に、そのように処理された血液あるいは血液分画が、再注射される、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図22−3】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【図24−3】
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【図25−1】
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【図25−2】
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【図25−3】
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【図25−4】
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【図26−1】
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【図26−2】
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【図26−3】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2007−530021(P2007−530021A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504361(P2007−504361)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003158
【国際公開番号】WO2005/103077
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506323119)ウニヴェルシテート シュトゥットガルト (1)
【Fターム(参考)】