説明

USBハブ装置及びそれを用いたシステム

【課題】USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することで、USBハブ装置を用いたシステムの自動復帰処理を行う。
【解決手段】
複数のダウンストリームポートを備えるUSBハブIC9と、供給電源電圧を、USBデバイス3に供給する電源電圧に変換し、異常状態になった場合に電源電圧を停止するロードスイッチ用FET103を有し、ロードスイッチ用FET103が機能した場合に異常状態を通知する信号を出力する電圧変換部2 12と、電源電圧を遮断し、USBデバイスに過電流が流れたことを検知し過電流検知信号を出力する複数のスイッチIC−D 14を有し、USBハブICは、複数の過電流検知端子を有し、ロードスイッチ用FET103が機能した場合に、異常状態を通知する信号により過電流検知端子を過電流検知状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBハブ装置を用いたシステムにおいて、USBデバイスに電源を供給する電源供給装置が異常停止した際のUSBホストコントローラへの通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)USBの概要説明
USB(Universal Serial Bus)は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと称す)と各種周辺機器(以下、USBデバイスと称す)とを共通仕様のインタフェースで接続し高速通信を実現するためのインタフェース規格である。USBは、使い勝手の良さに加え、PC側にホストコントローラ(以下、USBホストと称す)を配置し、各種USBデバイスとの通信をホストコントローラが集中管理することによって、USBデバイス側のインタフェース構成をシンプルで安価にすることができる。
【0003】
また、USBホストから直接制御できるUSBのポート数は限られているため、USBホストとUSBデバイスの間にUSBハブ装置を介在させる方法が用いられる。なお、USBのシステム構成において、USBホスト側をアップストリーム、USBデバイス側をダウンストリームと一般に称されており、本発明の説明においてもこの呼称を使用する。
【0004】
(2)USBの電源構成
USBデバイスの電源供給の方法として、USBホストのUSBデバイスに電源を供給する電源ライン(以下、VBUSラインという)から直接電源を供給するバスパワーと、VBUSラインとは別の外部電源等から電源を供給するセルフパワーの2つの方法がある。バスパワーを利用してUSBデバイスに電源を供給する場合、ダウンストリームに供給できる最大の消費電流は100mAまでと規定されており、またセルフパワーの場合は、500mAまでと規定されている。
【0005】
セルフパワーに関して、外部電源を使用せずにUSBホストが組み込まれる製品内部にセルフパワーと同等機能の電源回路を備える構成の提案が、例えば特許文献1に開示されている。USB規格では、USBデバイスの入力端の電源電圧範囲として+4.75V〜+5.25Vを満足する必要がある。USBホストから電源を供給する場合、USBハブ装置またはUSBデバイスまでの配線経路が長いと配線インピーダンスによる電圧降下が大きくなってしまい、USB規格を満たすためには製品構成に制約を設ける必要が生じる可能性がある。特許文献1のようにUSBデバイスの電源電圧を製品内部に設置した電源回路によって供給する場合、次の利点がある。すなわち、あらかじめ想定しうる必要消費電流を供給でき、電源電圧を+4.75V〜+5.25Vに変換して出力する電圧変換部を設置することによってUSB規格を満足できる製品構成を実現することができる。
【0006】
また、故障時などに想定外の電流を消費するUSBデバイスが接続された場合、VBUSラインを保護してスイッチを切り制御部に通知する構成の提案が特許文献2によってなされている。更にVBUSラインに過電流が流れた場合に遮断するスイッチICや、スイッチICをオン/オフ操作するためのイネーブル端子と、スイッチICの過電流が検知された場合に検知信号を入力するための過電流検知端子を備えたUSBハブICが販売されている。これらを組み合わせて、ダウンストリームが過電流状態の場合にスイッチICによってVBUSラインを遮断するとともにUSBハブICの過電流検知端子をアクティブにし、USBハブ装置が過電流検知状態をUSBホストに通知する構成とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−94539号公報
【特許文献2】特開2004−29893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、セルフパワーとして設置した電圧変換部自身の故障によって保護機能が働き停止する場合、またはダウンストリームポートに過負荷状態のUSBデバイスが接続された場合に、次の現象が起こりうる。すなわち、スイッチICの過電流保護動作が必ずしも先に機能するとは限らず、電圧変換部自身の保護機能によって停止する場合である。このような場合において、USBホストはダウンストリームポートに接続されるスイッチICの保護機能動作を認識できるものの、セルフパワーの電圧変換部の停止を認識することができない。この状態では、セルフパワーの電圧変換部が停止するため、USBデバイスのVBUS電源が遮断される。この場合、本来電圧変換部の故障またはUSBデバイスの過負荷状態が原因であるにもかかわらず、USBホストはダウンストリームのUSBデバイスがユーザによって強制的に引き抜かれたと誤認識をしてしまう可能性がある。
【0009】
また、電圧変換部が保護機能動作によって停止した場合、復帰には通常入力電源のオフ/オン再起動を行う必要がある。しかしUSBホストは、電圧変換部の停止ではなくUSBデバイスの強制的な引き抜かれと誤認識しているため自動復帰動作には入らない。その結果、ユーザにとってはUSBデバイスがハング・アップ状態で停止したままとなり、USBホストが適切な処理を行うことができず、ユーザビリティを損なうことになる。
【0010】
上述した特許文献2の提案のように、セルフパワーの電圧変換部が停止した場合に検知信号をUSBホストに送信することも考えられる。この場合、USBホストとUSBハブ装置及びUSBデバイスが同一基板上にある場合には有利である。しかし、USBホストとUSBハブ装置が長い配線経路で接続される、又はUSBハブ装置の段数が複数になる場合、USBホストに検知信号を送るための信号線を通常のUSB通信線に加えて設ける必要がある。その結果、インタフェース構成が複雑になりコストアップとなってしまう。
【0011】
本発明は、USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0013】
(1)USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置において、複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートに接続される複数のUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイス全体が過電流状態の異常状態になった場合に、前記異常状態を前記USBハブICに通知する信号を出力する電圧変換手段と、前記電圧変換手段により前記複数のUSBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことに応じて過電流検知信号を出力する複数のスイッチ手段と、を有し、前記USBハブICは、前記複数のスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【0014】
(2)USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置におい複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートに接続される複数のUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイスに前記電源電圧を供給できない異常状態になった場合に電源電圧の供給を停止する保護手段を有し、かつ前記保護手段が機能した場合に、異常状態を通知する信号を前記USBハブICに出力する電圧変換手段と、前記電圧変換手段により前記複数のUSBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことに応じて過電流検知信号を出力する複数のスイッチ手段と、を有し、前記USBハブICは、前記複数のスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記保護手段が機能した場合に、前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【0015】
(3)USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置において、複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートの1つに接続されるUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイスに前記電源電圧を供給できない異常状態になった場合に電源電圧の供給を停止する保護手段を有し、かつ前記保護手段が機能した場合に、異常状態を通知する信号を前記USBハブICに出力する電圧変換手段と、前記電圧変換手段により前記USBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことを検知し過電流検知信号を出力する1つのスイッチ手段と、を有し、前記USBハブICは、前記1つのスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される過電流検知端子を含む複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記保護手段が機能した場合に、前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の一般的なUSBハブ装置を用いたシステム構成を示すブロック図
【図2】電圧変換部2の構成を示す図
【図3】実施例1の一般的なUSB通信動作の一例を説明するフローチャート及びUSBハブ装置の保護動作時における各端子等の状態及び復帰方法を示す表
【図4】実施例1のUSBハブ装置を用いたシステム構成を示すブロック図
【図5】実施例1のシステムの異常停止時の処理を説明するフローチャート及び保護動作時における各端子等の状態及び復帰方法を示す表
【図6】実施例2のUSBハブ装置を用いたシステムの構成を示すブロック図及び保護動作時における各端子等の状態及び復帰方法を示す表
【図7】実施例3の昇圧型DC/DCコンバータの概略の回路図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0019】
[一般的なUSBハブ装置のシステム]
まず、一般的なUSBハブ装置を用いたシステムを、図1を用いて説明する。このシステムは、基本的には、USBホストコントローラ装置1,USBハブ装置2,USBデバイス1 3a,USBデバイス2 3bより構成される。以下でUSBデバイス1 3aとUSBデバイス2 3bを総称して記載する場合には、USBデバイス3と記載する。なお、USB規格では、転送速度としてロースピード(LS、1.5Mbps)、フルスピード(FS、12Mbps)、ハイスピード(HS、480Mbps)が規定されている。USBホストコントローラ装置1は、ホストコントローラであるUSBホスト4、ルートハブ5を有し、更にUSBハブ装置2に供給する電源電圧を遮断するためのスイッチであるアップストリームのスイッチIC−U 6を有する。また、USBハブ装置2に電源電圧を供給するVBUS(+5V)電源ライン7,アップストリームのデータライン(D+,D−)8を有する。USBハブ装置2は、USBハブIC9,電圧変換部1 10、電圧変換部2 12を有し、電圧変換部1 10は、アップストリームのVBUS電圧(+5V)が入力されて+3.3Vの出力電圧11を出力する。電圧変換部1の例としてはシリーズレギュレータなどが挙げられる。電圧変換部1 10の出力電圧は主としてUSBハブIC9の電源電圧として供給される。電圧変換部2 12の例としては昇圧型DC/DCコンバータが挙げられ、アップストリームのVBUS電圧(+5V)が入力されて、+5Uの出力電圧13を生成する。+5Uの出力電圧13は、USBデバイス3
の電源電圧(後述の+5U_1、+5U_2)として、+4.75V≦+5U_1,+5U_2≦+5.25Vの電圧範囲を満たすように調整されたダウンストリームのVBUS電圧である。
【0020】
スイッチIC−D1 14a,スイッチIC−D2 14bは、それぞれの入出力間スイッチをオン/オフ操作させるためのUSBハブIC9のイネーブル端子1 15a,イネーブル端子2 15bと接続されている。以下でスイッチIC−D1 14aとスイッチIC−D2 14bを総称して記載する場合には、スイッチIC−D 14と記載する。イネーブル端子1 15a、イネーブル端子2 15bは、それぞれ図中にENABLE_1、ENABLE_2と示す。以下でイネーブル端子1 15aとイネーブル端子2 15bを総称して記載する場合には、イネーブル端子15と記載する。また、USBハブIC9は、スイッチIC−D 14からの信号が入力される過電流検知端子1(図中、OCS_1と示す)16a,過電流検知端子2(図中、OCS_2と示す)16bを有する。以下で過電流検知端子1 16aと過電流検知端子2 16bを総称して記載する場合には、過電流検知端子16と記載する。そして、USBハブIC9は、ダウンストリームのデータライン1(D+_1,D−_1)17a,データライン2(D+_2、D−_2)17bにより、USBデバイス1 3a、USBデバイス2 3bに接続されている。スイッチIC−D1 14aは、USBデバイス1 3aに電源ライン+5U_1 18aで接続され、スイッチIC−D2 14bは、USBデバイス2 3bに電源ライン+5U_2 18bで接続されている。
【0021】
[電圧変換部2]
ここで電圧変換部2 12の一般的な構成例について説明する。図2はその概略の回路図である。電圧変換部2 12は、USBハブ装置2に供給される入力電源ライン101、汎用制御IC102、ロードスイッチ用FET103を有する。汎用制御IC102がロードスイッチ用FET103のゲートをロー側に設定することによって、ロードスイッチ用FET103のソース〜ドレイン間が導通する。電圧変換部2 12は、更にスイッチング用FET105、インダクタ106、ショットキーバリアダイオード(以下、SBDという)107、電解コンデンサ108、抵抗109,110を有する。また、汎用制御IC102は、フィードバック端子111とスイッチング用FET105をオン/オフする制御端子104を有する。
【0022】
入力電源ライン101は、ダウンストリームのUSBデバイス3に供給する電源電圧が+5Vのため、一般的には+5V系の電源電圧ラインである。USBホストコントローラ装置1からUSBハブ装置2までの配線経路が長い場合、配線インピーダンスと消費電流の影響によって、例えば入力電源の電圧が+4.5V程度まで低下してしまうことが想定される。このような場合に、電圧変換部2 12によって電圧変換することで、USB規格に規定される電圧範囲(+4.75V〜+5.25V)に調整することが必要となる。
【0023】
電圧変換部2 12の汎用制御IC102は、内部にパルス幅変調回路を有し、フィードバック端子111の電圧が一定になるように、差分比較した結果に基づき所定の周期Tに対するパルス幅tのDuty時間分だけ制御端子104をオンにする(PWM出力)。制御端子104はスイッチング用FET105のゲートに接続されており、制御端子104がオンされている間スイッチング用FET105がオンされる。スイッチング用FET105がオンされている間にインダクタ106には通電によるエネルギーが蓄積される。そしてスイッチング用FET105がオフされると、インダクタ106の両端に逆起電力が生じ、入力電源ライン101に逆起電力が加算された昇圧電圧と負荷電流がSBD107、電解コンデンサ108によって整流・平滑され出力される。出力電圧13(+5U)は、汎用制御IC102のフィードバック端子111を基準電圧Vrとして、抵抗109の抵抗値をR109、抵抗110の抵抗値をR110とすると、+5U=Vr×(R109+R110)/R110の関係により定められる。+5Uはダウンストリームの電圧降下分を考慮して概ね+5.1V〜+5.2V程度に調整されることが望ましい。
【0024】
また汎用制御IC102は、出力端子に過大な負荷が掛かることで出力電圧が低下し、パルス幅tが最大Duty時間オンしても制御できない状態になった場合は、過負荷保護のためにPWM出力を停止し、スイッチング用FET105のスイッチングを停止する。しかし、本実施例で説明する電圧変換部2 12は昇圧型のDC/DCコンバータであり、過負荷保護によってスイッチング用FET105のスイッチングを停止しても入力電源はSBD107を介してそのまま出力端子に供給されてしまう。そこで汎用制御IC102は、過負荷保護が働いた時にはロードスイッチ用FET103を遮断する機能を備えており、ロードスイッチ用FET103のゲートを開放(オフ)することによって電力の供給を遮断する。
【0025】
[一般的なUSB通信動作の例]
USB通信については、USB2.0規格に基づくハイスピード仕様を前提に説明する。なお、USB通信方式の詳細な説明については、USB2.0規格が一般公開されているため省略する。USBホストコントローラ装置1〜USBハブIC9〜USBデバイス3間の動作の概要を図1のブロック図及び図3(a)のフローチャートにより説明する。図3(a)のフローチャートにおいて、USBホスト4の電源が投入されると、USBホスト4はルートハブ5を介してイネーブル信号をアクティブにすることで、スイッチIC−U 6がオンされVBUS(+5V)電源ライン7が供給可能状態になる。電源が供給された場合、USBホスト4のダウンストリームにUSBハブ装置2が接続されているか否かは、USBホスト4のデータラインの内部プルアップ抵抗と、USBハブIC9のデータラインの内部プルダウン抵抗の状態によりUSBホスト4が判断する。なお、USB通信において、ロースピードの場合はマイナスのデータラインD−、フルスピードの場合はプラスのデータラインD+に内部プルアップ抵抗をUSBホスト4が接続して通信モードを判別する。ハイスピードの場合は、一度フルスピードのモードとしてUSBハブ装置2の接続を認識した後に、通信確認(Chirp−Handshake)によってハイスピードの通信が可能かどうかを判断する。このUSBハブ装置2やUSBデバイス3の接続確認や、USB通信モードの確認方法は、USBハブ装置2とUSBデバイス3間との間でも同様の処理によって行われる。
【0026】
電源がオンされると、ステップ(以下、Sとする)101でUSBホスト4とUSBハブIC9との間で通信が確立される。そして、S102で、USBハブIC9はUSBデバイス3が接続されたか否かを判断し、接続されるまで待機する。この場合、USBハブIC9は、USBデバイス3が接続されたことを認識できるように、イネーブル信号をイネーブル端子15から送出してスイッチIC−D 14をオンし、電圧変換部2 12で生成された+5U電源電圧を供給可能な状態に保持しておく。S102で、USBハブIC9がUSBデバイス3が接続されたと判断すると、S103で、USBハブIC9とUSBデバイス3との間で上述のUSBデバイスの認識、USB通信モードの確認の初期設定が行われ通信可能な状態になる。S104では、スイッチIC−D 14がUSBデバイス3がセルフパワーで規定される定格電流500mA以内で動作するか否か、すなわち過電流を検知したか否かを判断する。そして、定格電流500mA以内の場合、S105に進み、USBハブ装置2は通常動作としてUSBデバイス3へのアクセス処理を実行する。そしてS106で、USBハブ装置2がUSBデバイス3へのアクセスが終了したか否かを判断する。S106で、USBハブ装置2がUSBデバイス3へのアクセスが終了したと判断した場合には終了し、USBデバイス3へのアクセスが終了しないと判断した場合にはS104の処理に戻る。なお、USBデバイス3を取り除く場合は、PC等のパネル上から終了操作をすることによって、通信中にユーザがUSBデバイス3を取り除くことでデータを破損させることがないように通信の停止処理を行う。
【0027】
次にS104で、スイッチIC−D 14がUSBデバイス3がセルフパワーで規定される定格電流500mAを超える過電流を検知したと判断した場合には、S107に進み、ダウンストリームのスイッチIC−D 14の過電流保護動作が機能する。スイッチIC−D 14の過電流保護動作に係る過電流設定値は500mAより少し大きい値、例えば750mA〜1A付近に設定されている場合が一般的に多い。スイッチIC−D 14の過電流保護動作が機能した場合、スイッチIC−D 14はUSBハブIC9に対して過電流検知端子16の論理を反転させる信号を送出する。過電流検知端子16の信号の切り替わりを受けてUSBハブIC9は、S108でイネーブル端子15の論理を反転出力してスイッチIC−D 14をオフにし(ENABLE操作)、異常状態のUSBデバイス3に+5Uの電源電圧が供給され続けないようにする。なお、USBデバイス3を取り除くなど異常状態が解除され、スイッチIC−D 14から過電流検知端子16の信号が正常な論理に戻されると、USBハブIC9はイネーブル端子15をアクティブに操作してスイッチIC−D 14をオンにする。その結果、ダウンストリームに+5Uの電源電圧が供給可能な状態になる。
【0028】
USBハブIC9は、S109で、ダウンストリームのUSBデバイス3が過電流状態であると認識すると、アップストリームのUSB通信によってUSBホスト4に対してUSBデバイス3が過電流状態であることを通知する。S110で、USBハブIC9からの通知を受けてUSBホスト4は、USBデバイス3の接続されているポートが過電流状態であることを示すエラー表示等をPC等のパネル上に表示して終了する。以上の一連の動作は、USBハブIC9のダウンストリームに接続される複数のUSBデバイス3に対しても同様に行われる。
【0029】
[過電流保護動作により停止した場合の各端子等の状態と復帰方法]
ここで、1つのUSBデバイス3に過電流が流れ、スイッチIC−D 14が過電流保護動作によって停止する場合及びダウンストリーム全体に過電流が流れ電圧変換部2 12がラッチ停止する場合における各端子等の状態と復帰方法を図3(b)の表に示す。図3(b)の表では、過負荷状態が発生したポイント(USBデバイス1 3a、USBデバイス2 3b、ダウンストリーム全体)毎にそれぞれの保護機能及び検知端子等がどのように振舞うかを示している。この場合の検知端子等は、スイッチIC−D1 14a、スイッチIC−D2 14b、電圧変換部2 12、過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bである。
【0030】
図3(b)の表において、USBデバイス1 3aが過負荷状態に陥った場合は、スイッチIC−D1 14aの保護動作が働きVBUS電源電圧(+5U_1)をオフ(図中、OFFと示す)する。スイッチIC−D1 14aの過電流検知端子1 16aは保護動作が働いたことをUSBハブIC9に通知(図中、保護通知と記す)する。その他のスイッチIC−D2 14bと過電流検知端子2 16b、電圧変換部2 12は停止することなく通常の動作を継続する。USBデバイス1 3aが過負荷状態に陥った場合のシステムの復帰方法は、USBホスト4からのリセット(USBホスト4内のスイッチIC−U 6のオフ/オン操作)またはUSBデバイス1 3aの挿抜により行う。同様に、USBデバイス2 3bが過負荷状態に陥った場合、スイッチIC−D2 14bの保護動作が働きVBUS電源電圧(+5U_2)をオフする。スイッチIC−D2 14bの過電流検知端子2 16bは保護動作が働いたことをUSBハブIC9に通知(図中、保護通知と記す)する。その他のスイッチIC−D1 14aと過電流検知端子1 16a、電圧変換部2 12は停止することなく通常の動作を継続する。システムの復帰方法も同様に、USBホスト4からのリセット(USBホスト1内のスイッチIC−U 6のオフ/オン操作)またはUSBデバイス3bの挿抜により行う。
【0031】
ダウンストリーム全体が過負荷状態である場合、電圧変換部2 12の保護動作が働き+5UのVBUS電源電圧をオフする。この時、USBハブIC9から見た過電流検知端子1 16a及び過電流検知端子2 16bの論理は通常の動作時と変わらない。そして電圧変換部2 12も自らロードスイッチ用FET103をオフしてラッチ停止する。なお、この場合スイッチIC−D1 14a、スイッチIC−D2 14bは電圧変換部2 12が停止するため。IC自体がオフ(図中、IC−OFFと記す)する。ダウンストリーム全体が過負荷状態に陥った場合のシステムの復帰方法は、システム全体の電源をオフ/オン操作する必要があり自動復帰はできない。
【0032】
[USBハブ装置のシステム]
図4に本実施例のUSBハブ装置を用いたシステムの構成を説明するブロック図を示す。上述したように、このUSBハブ装置2は、USB通信によってUSBホストコントローラ装置1及びUSBデバイス3とデータの送受信を行う。既に説明した符号については説明の詳細を省く。なお、本実施例では、ダウンストリームに接続されるUSBデバイス3は2つとして説明する。図4において、制御端子19は電圧変換部2 12の過負荷状態などの際に保護動作によってスイッチIC−D 14をオフするための端子である。なお、制御端子19から出力される信号を過負荷保護信号LSWとする。ドライブ部20a、20bは過負荷保護信号LSWによって過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bをアクティブにするためのワイヤードOR接続のドライブ部である。
【0033】
本実施例のUSBハブ装置2は、ダウンストリームに接続される少なくとも1つ以上のUSBデバイス3(3a、3b、・・・)のいずれかが過負荷状態になった時に、スイッチIC−D 14による過電流保護が機能する。しかしUSBデバイス3(3a、3b、・・・)が複数接続され、各々のUSBデバイス3が定格電流まで使用している状態でいずれか1つのUSBデバイス3が過負荷状態になった時、すなわちダウンストリーム全体が過負荷状態になる場合がある。この場合、スイッチIC−D 14の過電流保護の機能が必ずしも先に働かず、上流側の電圧変換部2 12の過負荷保護の機能が働いてしまう場合がある。このように、スイッチIC−D 14の過電流保護の動作よりも電圧変換部2 12の過負荷保護の動作が先に働いた場合における異常時処理モードのフローチャートを図5(a)に示す。
【0034】
[異常時処理モードのフローチャート]
図5(a)において、S201で、電圧変換部2 12の制御IC102は、USBデバイス3のダウンストリーム全体が過負荷状態であるか否かを判断する。S201で、電圧変換部2 12の制御IC102がUSBデバイス3のダウンストリーム全体が過負荷状態であると判断した場合には、電圧変換部2 12はS202で過負荷保護動作を行う。すなわち、電圧変換部2 12はロードスイッチ用FET103(異常時保護手段)をオフにして電力の供給を遮断する。そして、電圧変換部2 12の制御IC102が、S203でロードスイッチ用FET103をオフにする場合、過負荷保護信号LSWの論理が切り替わる。過負荷保護信号LSWは、USBハブ装置2のダウンストリームの全ての過電流検知端子16とワイヤードOR接続されており、過負荷保護信号LSWの論理の切り替わりに伴い、全ての過電流検知端子16の論理が過電流発生の検知側に切り替えられる。全ての過電流検知端子16が過電流検知状態に切り替わると、USBハブIC9は、S204で、これに対応する全てのスイッチIC−D 14のイネーブル端子15の論理を反転出力して全てのスイッチIC−D 14をオフにする(ENABLE操作)。
【0035】
USBハブIC9は、S205で、アップストリームのUSB通信によってUSBホスト4に2つ以上のUSBデバイス3が過電流状態であることを順次通知する。USBホスト4はUSBハブIC9から一定期間内に連続して全てのUSBデバイス3が過電流状態であることの通知を受けると、これをUSBハブ装置2内の電圧変換部2 12が保護停止したと認識するようにあらかじめプログラムされている。電圧変換部2 12は保護停止した場合、入力電源をオフ/オンすることにより復帰することが一般的である。従って、このように順次USBハブIC9から全てのUSBデバイスが過電流状態であることの通知を受けるとUSBホスト4は、S206で、電圧変換部2 12を復帰させるためにアップストリームのスイッチIC−U 6をオフ/オン操作する。更に、USBホスト4はオフ/オン操作のカウント値nをインクリメントし記憶する。なお、このカウント値nはこのフローチャートのスタート直後においてはn=0であるものとする。スイッチIC−U 6のオフ/オン操作によって電圧変換部2 12は復帰するものの、ダウンストリームの過負荷要因が解除されなければ再び電圧変換部2 12の保護停止が働いてしまう。このため、USBホスト4は、S207で、スイッチIC−U 6のオフ/オン回数がN回(Nは任意の自然数)に達しているか否かを判断する。USBホスト4は、S207でN回に達していないと判断した場合には、S208でダウンストリームの過負荷状態が解除されたか判断する。USBホスト4は、S208でダウンストリームの過負荷状態が解除されていないと判断した場合には、S201の処理に戻る。また、S208でダウンストリームの過負荷状態が解除されたかどうかの確認は、USBホスト4が前述のUSBハブIC9から全てのUSBデバイスが過電流状態であることの通知があるかどうかによって判断する。S208で過負荷状態が解除され、電圧変換部2 12が復帰する場合には、S209で異常時処理モードを抜けて通常処理モードに移行する。尚、S207でスイッチIC−U 6のオフ/オン回数がN回に達した場合、S210に進み、ダウンストリームに過負荷デバイスが接続されている、またはUSBハブ装置2 12が故障の可能性があることを示すエラー表示等をPC等のパネル上に表示し終了する。
【0036】
[保護動作時における各端子等の状態及び復帰方法]
ここで、図5(b)に1つのUSBデバイス3に過電流が流れ、上流側に接続されるスイッチIC−D 14が過電流保護動作によって停止する場合をパターン1として示す。更に、1つ以上のUSBデバイス3が定格以上の電流が流れ、スイッチIC−D 14の過電流保護が機能せずにダウンストリーム全体の負荷電流が電圧変換部2 12の許容電流を超えることで電圧変換部2 12が保護停止する場合をパターン2として示す。図5(b)では、過負荷状態が発生したポイント(USBデバイス1 3a、USBデバイス2 3b、ダウンストリーム全体)毎にそれぞれの保護機能及び検知端子等がどのような状態になるかを示している。この場合の検知端子等は、スイッチIC−D1 14a、スイッチIC−D2 14b、電圧変換部2 12、過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bである。
【0037】
パターン1については既に説明したものと同様であるため説明を省略する。パターン2では、電圧変換部2 12が停止する際に、ロードスイッチ用FET103をオフすることで過負荷保護信号LSWの論理が切り替わるのをトリガとして過電流検知端子1 16a及び過電流検知端子2 16bの論理は過電流発生の検知側に反転する。これによってUSBハブIC9は、USBデバイス1 3a及びUSBデバイス2 3bの過電流保護が働いたと認識する。すなわち、過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bからUSBハブIC9に過電流検知信号が流れ保護通知がなされたのと同じ状態になる。パターン2におけるシステムの復帰方法は、USBホスト4が電圧変換部2 12の停止を認識できるため、USBホスト4からのリセット(スイッチIC−U 6のオフ/オン操作、再起動)によって行われ、自動復帰が可能である。
【0038】
以上説明したように、本実施例のUSBハブ装置によれば、ダウンストリームのUSBデバイス3に電源電圧を供給するための電圧変換部2 12が、過負荷や故障状態など異常状態になった時に保護停止したことをUSBホストに通知することができる。そのため、USBホストは自動復帰のための処理を行うことが可能となる。またUSB通信を介して通知することができるため、新規にエラー検知用の信号線などを設ける必要がなく、安価なインタフェース構成によって実現が可能である。
【0039】
本実施例では、ダウンストリームに接続されるUSBデバイスは2つとして説明したが、3つ以上のUSBデバイスが接続された場合、そして1つのUSBデバイスが接続された場合でも上述本発明の実施例の動作は適用可能であり同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、本実施例においては、USBハブ装置の電源電圧の供給源をUSBホストコントローラとして説明した。しかし、USBホストコントローラ及びUSBハブ装置の外部の電源装置から供給する構成としても、USBホストコントローラから外部の電源装置に対してエラー処置後の復帰制御を行うことで同様の効果を得ることができる。なお、USBハブ装置の電源電圧の供給源を、USBホストコントローラ及びUSBハブ装置の外部の電源装置とすることは、以下の実施例においても同様に適用することができる。
【0041】
本実施例によれば、USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することで、USBハブ装置を用いたシステムの自動復帰処理を行うことができる。
【実施例2】
【0042】
図6(a)に本実施例のUSBハブ装置を用いたシステムの構成を説明するブロック図を示す。図6(a)は複数のダウンストリームポートを備えるUSBハブIC9に、1つのUSBデバイス1 3aが接続された状態を示している。図6(a)の各ブロックの符号については既に実施例1で説明したので省略する。また、本実施例の異常時処理モードの動作についても実施例1のフローチャート(図5(a))と同様に説明できる。
【0043】
ここで、図6(b)に1つのUSBデバイス1 3aに過電流が流れ、上流側に接続されるスイッチIC−D1 14aが過電流保護動作によって停止する場合をパターン1として示す。また、USBデバイス1 3aに過電流が流れた時に、スイッチIC−D1 14aの過電流保護が機能せずに、電圧変換部2 12が保護機能により停止する場合、または電圧変換部2 12直下の負荷が過大になり保護停止するような場合をパターン2として示す。
【0044】
図6(b)では、過負荷状態が発生したポイント(USBデバイス3a、電圧変換部2 12)毎にそれぞれの保護機能及び検知端子等がどのように振舞うか及び復帰方法を示している。この場合の検知端子等は、スイッチIC−D1 14a、電圧変換部2 12、過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bである。本実施例における、パターン1については実施例1の場合と同様のため説明を省略する。パターン2において、電圧変換部2 12が停止する際に、ロードスイッチ用FET103をオフするために過負荷保護信号LSWの論理を切り替えて過電流検知端子1 16a及び過電流検知端子2 16bの論理を過電流発生の検知側に反転させる。すなわち、過電流検知端子1 16a、過電流検知端子2 16bからUSBハブIC9に過電流検知信号が流れ保護通知がなされたのと同じ状態になる。これはUSBデバイス2 3bが未接続状態の時でも2つ以上の過電流検知端子を過電流状態にすることによって、USBホスト4は電圧変換部2 12が保護停止したことを認識することができる。
【0045】
電圧変換部2 12が過負荷状態の場合のシステムの復帰方法は、USBホスト4が電圧変換部2 12の停止を認識できるため、実施例1と同様にUSBホスト4からのリセット(スイッチIC−U 6のオフ/オン操作)によって行われ、自動復帰が可能である。
【0046】
本実施例によれば、USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することで、USBハブ装置を用いたシステムの自動復帰処理を行うことができる。
【実施例3】
【0047】
図7は本実施例のUSBハブ装置を用いたシステムにおける電圧変換部3 21の回路図である。図7は、図2で説明した電圧変換部2 12に対して、ロードスイッチ用FET103及びその制御用信号線を削除したものであり、電圧変換部3 21に過負荷保護が働くと過負荷保護信号LSWの論理が切り替わる。本実施例のUSBハブ装置2の構成は、電圧変換部2 12が電圧変換部3 21に置き換わった以外は図4と同様である。そして、本実施例の動作処理については、図5(a)のフローチャートに基づいて説明できる。
【0048】
図5(a)のフローチャートにおいて、ダウンストリームのUSBデバイス3が過負荷状態になった時に、本実施例においても同様に電圧変換部3 21の過負荷保護が働く。しかし、本実施例の電圧変換部3 21は、ロードスイッチ用FET103が存在せず、過負荷保護が働くと、即過負荷保護信号LSWの論理が切り替わることが実施例1の場合とは異なる。過負荷保護信号LSWの論理の切り替わりに伴い、全ての過電流検知端子16の論理が過電流発生の検知側に切り替えられる。
【0049】
以上説明したように、本実施例においては、電圧変換部3 21が保護停止するような過負荷状態になった場合、ダウンストリームの全てのスイッチIC−Dをオフして全ての電力の供給を遮断する。その結果、電圧変換部3 21にロードスイッチ用FETを設けない構成とすることも選択適用可能であり、コスト削減の効果がある。
【0050】
また、上述の実施例1、2と同様に、本実施例のUSBハブ装置によれば、ダウンストリームのUSBデバイスに電源電圧を供給するための電圧変換部3 21が、過負荷や故障など異常状態になった時に保護停止したことをUSBホストに通知することができる。そのため、USBホストは自動復帰のための処理を行うことが可能となる。またUSB通信を介して通知することができるため、新規にエラー検知用の信号線などを設ける必要がなく、安価なインタフェース構成によって実現が可能である。
【0051】
そして、本実施例において、ダウンストリームに接続されるUSBデバイスは2つとして説明したが、3つ以上のUSBデバイスが接続された場合、そして1つのUSBデバイスが接続された場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0052】
本実施例によれば、USBハブ装置のセルフパワーの電圧変換部が保護機能動作により停止した場合でも、既存のインタフェース構成を用いてUSBホストがエラー状態を正しく認識することで、USBハブ装置を用いたシステムの自動復帰処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 USBホストコントローラ装置
2 USBハブ装置
3 USBデバイス
4 ホストコントローラ
5 ルートハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置において、
複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、
USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートに接続される複数のUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイスの全体が過電流状態の異常状態になった場合に、前記異常状態を前記USBハブICに通知する信号を出力する電圧変換手段と、
前記電圧変換手段により前記複数のUSBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことに応じて過電流検知信号を出力する複数のスイッチ手段と、を有し、
前記USBハブICは、前記複数のスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【請求項2】
USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置において、
複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、
USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートに接続される複数のUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイスに前記電源電圧を供給できない異常状態になった場合に電源電圧の供給を停止する保護手段を有し、かつ前記保護手段が機能した場合に、異常状態を通知する信号を前記USBハブICに出力する電圧変換手段と、
前記電圧変換手段により前記複数のUSBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことに応じて過電流検知信号を出力する複数のスイッチ手段と、を有し、
前記USBハブICは、前記複数のスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記保護手段が機能した場合に、前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【請求項3】
USB通信によってUSBホストコントローラ及びUSBデバイスとデータの送受信を行うUSBハブ装置において、
複数のダウンストリームのポートを備えるUSBハブICと、
USBハブ装置に供給される電源電圧を、前記複数のダウンストリームのポートの1つに接続されるUSBデバイスに供給する電源電圧に変換し、前記複数のUSBデバイスに前記電源電圧を供給できない異常状態になった場合に電源電圧の供給を停止する保護手段を有し、かつ前記保護手段が機能した場合に、異常状態を通知する信号を前記USBハブICに出力する電圧変換手段と、
前記電圧変換手段により前記USBデバイスに供給される電源電圧を遮断し、かつ前記USBデバイスに過電流が流れたことを検知し過電流検知信号を出力する1つのスイッチ手段と、を有し、
前記USBハブICは、前記1つのスイッチ手段からの前記過電流検知信号が入力される過電流検知端子を含む複数の過電流検知端子を有し、前記電圧変換手段の前記保護手段が機能した場合に、前記異常状態を通知する信号により、前記USBハブICの前記複数の過電流検知端子を過電流検知状態とすることを特徴とするUSBハブ装置。
【請求項4】
前記異常状態とは、前記ダウンストリームの全体が過電流状態であること、前記複数のダウンストリームのポートのうち2つ以上のポートに対応する前記USBハブICの過電流検知端子が過電流検知状態になったこと、前記電圧変換手段が故障状態であることのいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載のUSBハブ装置。
【請求項5】
前記USBハブ装置に供給される電源電圧は、前記USBホストコントローラが供給する電源電圧、または外部の電源装置が供給する電源電圧であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のUSBハブ装置。
【請求項6】
前記電圧変換手段の前記保護手段は、前記USBハブ装置に供給される電源電圧を遮断するロードスイッチであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のUSBハブ装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載のUSBハブ装置と、USBホストコントローラと、USBデバイスとから構成され、
前記USBホストコントローラは、前記電圧変換手段の前記保護手段が機能した後に前記USBハブ装置に供給される電源電圧を供給する電源装置の再起動を行うことを特徴とするUSBハブ装置を用いたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109461(P2013−109461A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252467(P2011−252467)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】