説明

USB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデル

【課題】USB規格のデバイスを用いたより安全性と利便性を向上したインターネット経由のASP型システムを提供する。
【解決手段】会計事務所に会計処理を行うコンピュータシステムとソフトウェアプログラムを用意し、企業はインターネット経由のVPN接続で会計事務所のソフトウェアプログラムに接続しデータの入力や修正等を行う。会計事務所のソフトウェアプログラムにインターネット経由のVPN接続で接続する場合には、情報の漏洩が起こりやすいパスワード等の入力方法で接続するのではなく、あらかじめ接続用の個体コードが用意されたUSB規格のデバイスを用いて接続を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計事務所と顧問先の企業との間で行われる会計処理のサービスについて、USB規格のデバイスを用いたインターネット経由のVPN接続によるASP型ビジネスモデルに関するもの。
【背景技術】
【0002】
一般の企業が会計処理を行う場合は、パソコンをはじめとするコンピュータシステムとソフトウェアプログラムを用いて処理を行う。会計事務所は、顧問先の企業でパソコンをはじめとするコンピュータシステムとソフトウェアプログラムを用いて処理した会計処理のデータを、FDやMOなどの電子記録媒体に保存し、会計事務所で電子記録媒体に保存したデータを、顧問先の企業で使用しているのと同じパソコンをはじめとするコンピュータシステムとソフトウェアプログラムを用いてデータ取り込み、会計処理の内容の確認や修正のサービスを行う。
【0003】
また、インターネットを経由して多数の顧問先の企業に一定の品質や性能のシステムを提供するASP型システムについては既に提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−342188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようなインターネットを経由したASP型システムにおいては、顧問先の企業のアクセス方法やサービスの提供方法について工夫されているが、USB規格のデバイスを用いたより安全性と利便性を考慮した方法を備えたものはない。
【0006】
さらに、会計処理に関連したシステムを備えているものは存在していない。
【0007】
会計事務所が顧問先の企業の会計処理に関するサービスを行う場合は、顧問先の企業からデータを預かり確認や修正を行う。しかし、会計事務所が顧問先の企業のデータを確認や修正っている期間は、顧問先の企業では会計処理のデータを変更や追加することができない。
【0008】
そのため、経営情報としての会計処理のデータが最新の情報ではないので、企業としての経営戦略に影響がある。
【0009】
また、会計事務所で顧問先の企業の処理した会計処理のデータ使用する場合には、ソフトウェアの内部バージョンの違いによりデータの整合性がとれなくなってしまうことが考えられるため、ソフトウェアプログラムの内部バージョンは同一のものにする必要がある。
【0010】
また、データを外部にコピーして持ち出すことにより、データの紛失や漏洩の可能性が考えられる。
【0011】
さらに、会計処理のデータを参照するためのデータに対するパスワード等が他人に漏洩してしまった場合のセキュリティに対する安全性が低い。
【0012】
さらに、会計処理のデータやバックアップデータが、災害や盗難等による紛失や破損に対する対策を課題とする。
【0013】
そこで、本発明は、会計事務所と顧問先の企業との間で行われる会計処理のサービスにおいて、インターネット経由のVPN接続によるASP型ビジネスモデルを用いて、会計事務所と顧問先の企業との間で使用する会計処理のデータを共通のデータを使用し、会計事務所が顧問先の企業との間でリアルタイムのサービスを提供することを課題とする。
【0014】
さらに、本発明は、インターネット経由のVPN接続によるASP型ビジネスモデルを提供するにあたって、会計事務所のサーバーとインターネット経由でVPN接続する外部のパソコンをはじめとするコンピュータシステムで使用するソフトウェアプログラムは、共通のソフトウェアプログラムで運用することを課題とする。
【0015】
さらに、本発明は、インターネット経由のVPN接続によるASP型ビジネスモデルを提供するにあたって、会計事務所のサーバーにインターネット経由のVPN接続する際は、所定のUSB規格のデバイスを用いることを課題とする。
【0016】
さらに、本発明は、会計事務所と顧問先の企業との間で使用する会計処理のデータの安全なバックアップについて、データセンターにあらかじめ設定した時間で自動バックアップを行うサービスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの課題を解決するために、本発明は、まず、会計事務所と顧問先の企業で会計処理を行うのに使用されるパソコンをはじめとするコンピュータシステムとソフトウェアプログラムで、共通の会計処理の内容を確認し修正や登録が行えるようにソフトウェアプログラムの内部バージョンも含めた共通の環境を備えることに注目した。
【0018】
本発明は、ASP型ビジネスモデルとして会計事務所のサーバーに用意した会計処理を行うソフトウェアプログラムを、外部からインターネットを経由してVPN接続するパソコンをはじめとするコンピュータシステムと共有し、データの入力や確認が行えることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明は、外部のインターネット経由の接続を行えるパソコンからASP型の会計事務所のソフトウェアプログラムに、インターネット経由でVPN接続する際には、USB規格のデバイスを使用して接続することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明は、会計事務所と顧問先の企業との間で共通で運用するソフトウェアプログラムで入力した会計処理のデータを、あらかじめ設定した時間に定期的にデータセンターのサーバーへ自動でバックアップを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明により、会計事務所と顧問先の企業との間で、電子記録媒体に保存したデータの持ち運びを行わないので、移動による時間のロスがなくなり効率的で、紛失等の心配もなくなり安全性も向上する。
【0022】
さらに、この発明により、顧問先の企業はWebブラウザ上で会計事務所のサーバーで運用されているソフトウェアプログラムを使用することで、同じ会計処理のデータを確認や修正することができるため、顧問先の企業と会計事務所とで最新の情報を元に経営戦略を立てることができ効率的である。
【0023】
さらに、この発明により、顧問先の企業はパソコンをはじめとするコンピュータシステムやソフトウェアプログラムのインストール、ソフトウェアプログラムの内部バージョンのアップグレード等を行う必要がなくなり管理の手間が節減できる。
【0024】
さらに、この発明により、インターネット接続のできるパソコンをはじめとするコンピュータシステムがあれば、どこにいる場合でもUSB規格のデバイスを接続するだけで、Webブラウザ上で会計事務所のサーバーで運用されているソフトウェアプログラムを使用することができ便利である。
【0025】
さらに、この発明により、会計事務所と顧問先の企業との間で共通で運用するソフトウェアプログラムで入力した会計処理のデータを、あらかじめ設定した時間に定期的にデータセンターのサーバーへ自動でバックアップを行うことができ効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明では、会計処理を例に説明するが、本発明において行われるビジネスモデルは会計処理だけに限られず、例えば給与処理や在庫管理などについても対象とするものであってもよい。また、会計事務所にサーバーを置いた例で説明するが、本発明のビジネスモデルは会計事務所にサーバーを置くだけに限られず、例えばデータセンターなどにサーバーを置いた場合についても対象とするものであってよい。以下の説明は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、会計事務所のサーバーAと外部のPC群B、データセンターのサーバーCの接続イメージを示した図である。図2は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となる会計事務所のサーバーA内の、ハードウェアやプログラム、データを示した図である。図3は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となるデータセンターのサーバーC内の、ハードウェアやプログラム、バックアップデータを示した図である。図4は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルで用いられるUSB認証プログラムSrv5で、各USB規格のデバイスの個体コードのデータテーブルの一部を示す図である。図5は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルの処理フローを示すフローチャートである。図6は、本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となるUSB規格のデバイス内に保存されている、USB認証プログラムCl15と接続先である会計事務所のサーバーAのIPアドレスとUSB規格デバイスの個体コードを示した図である。
【0028】
図1において、本発明にかかる会計事務所で用いられる会計処理を行うソフトウェアプログラムとデータ格納部、USB規格のデバイスを認証するプログラム、遠隔地操作プログラムがインストールされている会計事務所のサーバーAに、インターネット経由で外部から接続するPC群BにUSB規格のデバイスを接続することによりインターネット経由のVPN接続が行える。
【0029】
図2において、本発明にかかる会計事務所のサーバーAで用いられるUSB認証プログラムSrv5と会計処理プログラム6と会計処理データ7は、HDD3内に保存されている。HDD3は、CPU1やメモリ2と一緒にハードウェアである1台の会計事務所のサーバーA内部に設けられており、本発明にかかる会計処理プログラム6を起動する際には、会計処理プログラム6がメモリ2又はHDD3の仮想化されたメモリ領域に読み出されて、CPU1において演算処理を実行する。会計事務所のサーバーAは、入力装置(キーボード11、マウス12)から操作することができる。
【0030】
図1において、インターネット接続できる外部のPC群BにUSB規格のデバイスを接続すると、図5に示す、USB認証プログラムCl15がUSB規格のデバイス内部で起動し、USB規格のデバイスの内部に書き込まれている会計事務所のサーバーAを示すIPアドレスを元に、会計事務所のサーバーAにインターネットを経由して接続する。
【0031】
その際に、外部のPC群Bの各PCを認証するのに必要となる個体コードをデータとして送り、図4に示すテーブルを元に個体コードの比較を行い、同じ個体コードがあれば接続を許可する。
【0032】
ここで、図2のUSB認証プログラムSrv5で図1の外部から接続しているPC群Bの接続の認証が完了し接続を許可すると、図2の会計処理プログラム6に接続する。図1の接続している外部のPC群Bには、図2の遠隔地操作プログラム8からインターネットを経由して、Webブラウザ上に会計事務所のサーバーAに表示された図2の会計処理プログラム6の画面に表示されている内容を画像データとして送信する。
【0033】
次に、外部のPC群BのWebブラウザ上で受信した、会計処理プログラム6の内容を表示した画像データを参照し、外部のPC群Bに接続されたマウスとキーボードを使い、会計処理に伴うデータの入力を行う。
【0034】
図1に示す外部のPC群Bに接続されたマウスとキーボードの情報を、インターネットを経由して会計事務所のサーバーAの遠隔地操作プログラム8へ送信する。
【0035】
図1の会計事務所のサーバーAの遠隔地操作プログラム8で受信した、外部のPC群Bから送信されたマウスとキーボードの情報を元に、会計処理プログラム6を動作させ、会計処理に伴うデータの入力を行う。会計処理プログラム6で入力されたデータは、会計処理データ格納部7に保存する。
【0036】
さらに、図3に示す自動バックアッププログラム13はあらかじめ設定された時間に、図2に示す会計処理データ格納部7に保存されているデータに接続し、保存されているすべてのデータを図3に示すバックデータ格納部14へ自動でバックアップを行う。
【0037】
これまで説明した本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルの一連の処理フローは、図5に示したフローチャートのように整理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、会計事務所のサーバーと外部のパソコンをはじめとするコンピュータシステム群、データセンターのサーバーとの接続イメージを示した図である。
【図2】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となる会計事務所のサーバー内の、ハードウェアやプログラム、データを示した図である。
【図3】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となるデータセンターのサーバーC内の、ハードウェアやプログラム、バックアップデータを示した図である。
【図4】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルで用いられるUSB認証プログラムで、各USB規格のデバイスの個体コードのデータテーブルの一部を示す図である。
【図5】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルの処理フローを示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかるUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデルにおいて、必要となるUSB規格のデバイス内に保存されている、USB認証プログラム(クライアント用)や接続先である会計事務所のサーバーのIPアドレス、USB規格デバイスの個体コードを示した図である。
【符号の説明】
【0039】
A…会計事務所のサーバー
B…外部のPC(パーソナルコンピュータ)
C…データセンターのサーバー
U1…社内のPCに接続されたUSB規格のデバイス
U2…社外のPCに接続されたUSB規格のデバイス
U3…個人のPCに接続されたUSB規格のデバイス
1…CPU(中央演算処理装置)
2…メモリ
3…HDD(ハードディスクドライブ)
4…OS(オペレーティングシステム)
5…USB認証プログラム サーバー用
6…会計処理プログラム
7…会計処理データ格納部
8…遠隔地操作プログラム
9…ネットワークカード
10…インターネット
11…キーボード
12…マウス
13…自動バックアッププログラム
14…バックアップデータ格納部
15…USB認証プログラム クライアント用

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計事務所と顧問先の企業との間で行う会計処理や給与処理、在庫管理にかかわる、共通で運用するパソコンをはじめとするコンピュータシステムやソフトウェアプログラムを備えることを特徴とするUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデル。
【請求項2】
会計事務所と顧問先の企業との間で共通で運用するパソコンをはじめとするコンピュータシステムやソフトウェアプログラムを、インターネット経由のVPN接続により共通のソフトウェアプログラムを備えることを特徴とするUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデル。
【請求項3】
前記のインターネット経由のVPN接続する際に、USB規格のデバイスを用いて接続することを特徴とするUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデル。
【請求項4】
会計事務所と顧問先の企業との間で共通で運用するソフトウェアプログラムで入力した会計処理や給与処理、在庫管理のデータを、あらかじめ設定した時間に定期的にデータセンターのサーバーへ自動でバックアップを行うことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のUSB規格のデバイスを用いたVPN接続によるASP型ビジネスモデル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−58826(P2007−58826A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276670(P2005−276670)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(593089895)株式会社オービックビジネスコンサルタント (52)
【Fターム(参考)】