説明

UV光への曝露によって生じる皮膚の損傷を予防および処置するための局所用組成物

局所用組成物は、約0.1%〜15%の濃度範囲のUncaria種の水溶性抽出物、および、局所適用に適切な、皮膚科学的に受容可能な媒体を含有する。局所用組成物はさらに、0.1ppm〜約110ppmの範囲の重水素濃度を有する、低重水素含有水を含み得る。また、DNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を高めるため、そして/または、皮膚細胞のDNA修復能を増強するため;紫外線への曝露により引き起こされる損傷から皮膚を保護するため、そして/または皮膚の損傷を処置するため;皮膚のしわ、角化症および脂褐素沈着を処置および/または予防するために、上記局所用組成物を使用する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、DNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を増強し、そして、DNA修復能を高め、または、紫外光に対する暴露により生じる損傷から皮膚を保護するか、または、紫外光に対する暴露により生じる皮膚の損傷を処置し、そして、皮膚のしわ、角質化および脂褐素沈着を処置および/もしくは予防するための、局所用組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
皮膚は、哺乳動物(特に、ヒト)において、最も環境的にストレスのかかる器官である。皮膚は、毒性化学物質および不良環境(hostile environment)に供されるだけでなく、酸素の存在下で、紫外(「UV」)光に直接曝露される唯一の器官である。皮膚のUV線への長期にわたる曝露は、代表的に、皮膚に損傷を生じ、結果として、日焼け、光加齢(例えば、角化症、脂褐素沈着および発癌)を生じる。角化症は、皮膚の最上層の局所的な過増殖である。角化症の一般的な形状としては、加齢(老年性角化症)および日光への曝露(sun exposure)(化学線角化症)が挙げられる。脂褐素沈着は、損傷を受けた血球の崩壊および吸着から残される、褐色の沈着であり、これは、平滑筋において認められ、そしてまた、「加齢」沈着(aging pigment)とも呼ばれる。ヒトの皮膚に対する、日光への曝露による紫外線照射の影響は、今日の高齢者集団にとって、関心が高まっている。
【0003】
UV光は、3つの波長領域に分けられ得る。UVAは、400nm〜320nmであり、UVBは、320nm〜290nmであり、そして、UVCは、290nm〜100nmである。UVCは、通常、地球には到達しない。なぜならば、オゾン層により吸収されるからである。UVA照射線は、皮膚の下層を浸透し、酸化的DNA損傷を生じることが示されている。UVA照射は、活性酸素種の形成を刺激し、この活性酸素種は、酸化的ストレスおよび損傷DNAを生じる。UVB照射線は、一般に、日焼け光線とも呼ばれ、大部分の問題を引き起こすものである。
【0004】
皮膚が紫外線照射に曝露された後、フリーラジカルが生成することが周知である。皮膚内で、これらのラジカルは、炎症性メディエーターの放出を頻繁に誘発する。皮膚の加齢に対するフリーラジカルおよび炎症の影響を理解することにおいて、近年、いくつかの理論が構築されている。
【0005】
非特許文献1は、酸化的ストレスおよび遺伝子発現を理解することに焦点を当てた、皮膚の加齢に対する総説を提供する。より具体的には、フリーラジカルにより誘発される炎症性の連鎖的活動(chain activity)の中でも、転写因子NF−κBおよびアクチベータータンパク質1(AP−1)が、フリーラジカル、およびフリーラジカルの活性により生成される炎症促進性サイトカインによって活性化されることが公知である。NF−κBおよびAP−1は、炎症促進性サイトカインおよび関連するタンパク質、ならびにコラーゲン消化酵素の調節において、重要な役割を果たす。NF−κBは、細胞接着分子をコードする遺伝子、およびCox−2酵素の他に、炎症促進性サイトカイン遺伝子(例えば、IL−1、IL−2、IL−6、IL−8およびTNF−α)を刺激する。AP−1は、コラーゲン消化酵素(コラゲナーゼおよびメタロプロテイナーゼ)を発現する遺伝子の誘導を媒介する。フリーラジカルおよび炎症促進性サイトカインは、これらの転写因子の各々を活性化するので、結果として、自ずと増幅される炎症促進性サイクルがもたらされる。この炎症促進性サイクルは、細胞膜に対するフリーラジカルによる損傷と一緒に、細胞質の細胞小器官、ミトコンドリアおよび核を取り囲む、多価不飽和脂肪酸(PUFA)に富む膜を酸化する、細胞内のフリーラジカルを生成する。ミトコンドリアは、ATPサイクルを介して細胞内のエネルギーを生成し、そして、大半の修復および再生の活動は、細胞の遺伝物質により指示されるように、細胞小器官によるタンパク質生成を介して生じる。従って、細胞膜に対する酸化的ストレスにより開始される炎症促進性サイクルは、皮膚細胞の最も基本的な機能を弱め、一方で、コラーゲンの損傷、微小な瘢痕、および皮膚のしわの形成をもたらす酵素を生成する。
【0006】
分子レベル(at molecular lever)では、UVB照射により、非酸化的DNA損傷が生じ、その結果、ダイマーの形成を介して、DNAの構造的変化が生じることが公知である。より具体的には、UVB照射は、隣接する塩基を連結して、シクロブタンピリミジンダイマー(CPD)を形成することによって、皮膚におけるDNA損傷を生じる。これらは、チミジン−チミジン型であっても、または、隣接するシトシンの間であっても、他の組み合わせであってもよい。CDPは、自然の切断修復プロセスによってDNAからゆっくりと取り除かれ、24時間内に、CDPの約50%が取り除かれる。さらに、UVAおよびUVBの損傷の組み合わせは、CC−TTダイマーのタンデムな二重体(tandem double)を形成し得ると考えられる。これらのタンデム体は、p53腫瘍サプレッサー遺伝子上で生じ得、そして、扁平上皮癌の形成をもたらし得る。
【0007】
DNAが損傷を受けたが、アポトーシス(自然な細胞死)を刺激するには厳密には十分でない場合、損傷を受けた細胞が、未修復のDNAを複製し、連続体(continuum)をイニシエートするという危険が生じることが理解され得る。皮膚は、水分を失い、そして、張りおよびきめを無くして、くすみ、乾燥し、そして、ざらざらする。染み、色素沈着過剰、はっきりしたライン(fine line)、およびしわが発生する。続いて、前悪性の化学線角化症が形成される。最終的に、これらの加齢斑(age spot)は、悪性の扁平上皮癌になり得る。
【0008】
酸化的損傷は、DNAの種々のヒドロキシ付加体(例えば、尿中の8−ヒドロキシグアニンDNA、8 オキソグアニン、チアミングリコール、8 ヒドロキシ 2 デオキシグアノシン、およびドキソルビシン誘導性の一本鎖崩壊物(breaks))を測定することにより評価され得る。低いレベルの酸化的生成物が望ましい。
【0009】
非酸化的DNA変性損傷は、一般に、細胞内のTTダイマーの形成を定量することによって評価される。ヒトの生きている上皮細胞の等価物である、HaCaTケラチノサイトを利用することによって、形成されたシクロブチルピリミジンTTダイマー(CPD)の量が測定され得る。
【0010】
従来の皮膚を保護する試みは、代表的に、フリーラジカルの生成を防ぐために皮膚をUV光から遮蔽すること、または、フリーラジカルを失活させ得るさらなる因子を提供することのいずれかを企図する。多数の抗酸化物質が、光防護因子として試験されているが、これらの研究からの結果は、これらの因子の保護を提供する能力が、変動性であることを示している。
【0011】
一方、種々の医薬品または美容製品が、慢性的なUV光への曝露から生じる、加齢斑を処置するために開発されている。過酸化亜鉛は、脱色剤として、無水の軟膏中で利用されている。ヒドロキノンのモノベンジルエーテルは、その皮膚の美白効果(lightening effect)について、市販されている。アスコルビン酸調製物は、有用であることが示唆されている。ナイアシンおよび窒素酸化物は、皮膚の美白に有効であると報告されている。これらの製品は、脱色することによって加齢斑を、そして、化学反応によって、局部的な退色(color reduction)を処置するが、これらは、皮膚の損傷を修復することも、皮膚の色素沈着の再発を防止することもしない。
【0012】
先行技術の試み(フリーラジカルの生成を防ぐために皮膚をUV光から遮蔽すること、または、フリーラジカルを失活させることのいずれか)は、フリーラジカルによって生じる皮膚細胞における炎症性の連鎖的活動に対処することも、DNAレベルで損傷を修復することも、DNA損傷に対して抵抗することもしない。
【0013】
(Peroに対する)特許文献1、特許文献2および特許文献3において教示されるように、Uncaria種の水溶性抽出物(市場においてActivar AC−11TM、またはC−MED−100(登録商標)として公知である)、従って、その生物活性成分である、カルボキシアルキルエステル(carboxyl alkyl ester)は、栄養補助食品(dietary supplement)として、意味深い栄養的サポート(nutritional support)を与えることが知られている。なぜならば、カルボキシアルキルエステルは、DNAの修復および免疫細胞応答の両方を増強し、言い換えると、加齢を調節する、重要な生理学的プロセスであるからである。これらのプロセスの両方は、NF−κBの調節を必要とする。NF−κBは、(i)細胞をアポトーシスによる細胞死から救出する核のイベント、および(ii)炎症促進性サイトカイン産生を制御することが周知である(非特許文献2および非特許文献3)。
【0014】
Peroは、Uncaria種の水溶性抽出物、およびその生物活性成分であるカルボキシアルキルエステルが、HL−60白血病細胞におけるアポトーシスを、インビトロにおいて効率的に誘導することを教示する。これは、NF−κB阻害の結果である。従って、Uncaria種の水溶性抽出物は、抗腫瘍性特性、抗炎症性特性、および免疫刺激特性を有する。Peroは、さらに、Uncaria種の水溶性抽出物が、ラットおよびヒトの両方において、DNA修復を増強することを教示しており、このDNA修復プロセスは、細胞の複製および免疫機能を阻害するDNA損傷を除去するものである。さらに、Peroは、Uncaria種の水溶性抽出物を経口投与することによって、TNF−aの産生を阻害することによってか、もしくは、白血球のアポトーシスを誘導することにより、炎症性応答を阻害するための方法、および炎症性応答に関連する障害を処置するための方法を教示する。しかし、先行技術は、慢性的なUV光への曝露から生じる、しわおよび加齢斑の形成のような皮膚の損傷または変質の処置における、Uncaria種の水溶性抽出物の使用は、教示していない。
【0015】
一方、(Somlyaiに対する)特許文献4、および特許文献5において教示されるように、0.1ppm〜110ppmの重水素濃度を有する低重水素含有水は、動物モデルの研究において、腫瘍の増殖を阻害する。また、ハンガリーにおける数百人の癌患者を含む、ヒトの臨床治験において、低重水素含有水は、癌患者の寿命を延長したことが報告されている。重水素は、分子以下の調節システムの構成要素であり、そして、重水素濃度を一時的に上昇させるプロセスは、細胞増殖を誘発すると考えられる。Somlyaiは、天然水の重水素含量より少ない量の重水素を含む水もしくは水溶液を投与することにより、ヒトの器官における重水素レベルは、交換プロセスの結果として減少され得、そして、このように、腫瘍形成細胞の増殖が、停止され得るか、または、癌性腫瘍の発達が防止され得ることを教示する。しかし、Somlyaiは、低重水素含有水がDNA修復プロセスに関与しているかどうかを教示も認識もしていない。
【0016】
本来、水素:重水素の比は、約6000:1であることが公知である。100%の質量比に起因して、この2つの同位体は、化学反応において異なる挙動を示す。化学反応に関与するD−結合は、同位体の効果に起因して、より遅い速度で分割され、従って、これらは、増大した活性化エネルギーを必要とすることが、一般に認められた見解である。酵素的反応において、反応速度は、水素では、重水素よりも、4〜5倍速いと測定されている。
【0017】
沈着物における水素同位体の世界規模の調査は、重水素含量が、主にその位置に依存して、120〜160ppmの範囲にあることを明らかにした。調査の測定値によれば、熱帯の降水における重水素含量が、155〜160ppmであるのに対し、世界中の温帯において、重水素含量はわずか120〜150ppmである。
【特許文献1】米国特許第6,039,949号明細書
【特許文献2】米国特許第6,238,675号明細書
【特許文献3】米国特許第6,361,805号明細書
【特許文献4】米国特許第5,855,921号明細書
【特許文献5】米国特許第5,788,953号明細書
【非特許文献1】Giampapa、「The Basic Principles and Practice of Anti−Aging Medicine & Age Management」、Nespitt Granphics Inc.、2003年
【非特許文献2】Begら、「An essential role for NF−kB in preventing TNF−α induced cell death」、Science、1996年、第274巻、p.782−784
【非特許文献3】Wangら、「TNF−α and Cancer Therapy−induced Apoptosis:Potentiation by Inhibition of NF−KB」、Science、1996年、第274巻、p.784−787
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
NF−κB阻害が可能であり、言い換えると、皮膚細胞において、TNF−αおよび他の炎症性サイトカインIL−1α、IL−1β、IL−6を阻害する、局所用組成物を提供することが望ましい。皮膚細胞のDNA修復能を増強することによって、皮膚細胞のDNA損傷に対する抵抗性を増強することが、さらに望ましい。さらに、局所用組成物において、Uncaria種の水溶性抽出物の上記の効果を、低重水素含量水と組み合わせて、皮膚細胞の増強された保護を提供し、そして、扁平上皮癌を予防することもまた、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本発明は、約0.1%(w/w)〜約15%(w/w)の濃度範囲の、Uncaria種の水溶性抽出物、および、局所適用に適切な、皮膚科学的に受容可能な媒体を含有する局所用組成物に関する。好ましくは、Uncaria種の水溶性抽出物は、約0.5%(w/w)〜約8%(w/w)の濃度範囲で存在する。
【0020】
さらなる実施形態において、上記局所用組成物は、低重水素含量水をさらに含有し、この低重水素含量水は、0.1ppm〜約110ppmの範囲の重水素濃度を有する。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、DNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を高め、そして/または、皮膚細胞のDNA修復能を増強する方法に関し、この方法は、本発明の局所用組成物の有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する。
【0022】
さらなる実施形態において、本発明は、紫外光への曝露により引き起こされる損傷から皮膚を保護する方法に関し、この方法は、紫外光に曝露される前に、本発明の局所用組成物の、上記損傷から皮膚を保護するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、紫外光への曝露により引き起こされる皮膚の損傷を処置する方法に関し、この方法は、皮膚のある領域が紫外光に曝露された後に、本発明の局所用組成物の、紫外光により引き起こされる皮膚の損傷を処置するための有効量を、上記領域に局所適用する工程を包含する。
【0024】
なおさらなる実施形態において、本発明は、皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を処置および/または予防する方法に関し、この方法は、本発明の局所用組成物の、皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を減少または予防するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、Uncaria種の水溶性抽出物、および、局所適用に適切な、皮膚科学的に受容可能な媒体を含有する局所用組成物を提供する。
【0026】
Uncaria種としては、tomentosa、guianensis、pteropoda、homomalla、perrottetii、またはrhynchopyllaが挙げられる。本明細書において使用される用語「Uncaria種の水溶性抽出物」は、米国特許第6,361,805号、同第6,238,675号、および同第6,039,949号(その全体が、本明細書により参考として援用される)に記載される方法を用いて得られるUncaria種の水溶性抽出物を指す。さらに、Uncaria種の水溶性抽出物材料の生物活性成分は、同時係属中の特許出願第10/093,794号(その全体が本明細書により参考として援用される)に記載されるように、カルボキシアルキルエステルとして同定されている。本明細書において使用される用語「皮膚科学的に受容可能な媒体」は、皮膚科学的に受容可能である、1または複数のキャリア材料を含む媒体を意味する。このキャリア材料は、本明細書において、これ以降に詳細に記載されるように、種々の製品形状の局所用組成物の製造を支援するために使用される、種々の化合物を含む。
【0027】
Uncaria種の水溶性抽出物は、商品名Activar AC−11TM、またはC−MED−100(登録商標)の下で、Optigenex,Inc,New York,NYから市販されている。より具体的には、Activar AC−11TM(本明細書において、以後、AC−11)は、米国特許第6,039,949号に記載されるプロセスに従って生成される、Uncaria tomentosaの樹皮由来の温水抽出物である。簡単に述べると、この抽出物は、95℃にて12時間、5リットルの水道水中で150gmの樹皮を加熱し、可溶性分画をデカントし、得られた水溶性抽出物を限外濾過して、10,000より大きい分子量を有する全ての成分を除去することから生成される。10,000未満の分子量を有する分画が、噴霧乾燥される。製品は、ベージュ〜褐色−橙色の吸湿性の微細な粉末の形状であり、そして、少なくとも16%のカルボキシアルキルエステル、0.05%未満のインドールアルカロイド(10,000ダルトン未満)、および0%のインドールアルカロイド(10,000ダルトンより大きい)を含み、そして、水に容易に可溶性である(水への溶解度が400mg/mlより大きい)。
【0028】
局所用組成物における、AC−11の形状のUncaria種の水溶性抽出物の濃度は、約0.1重量%(w/w)〜約15重量%(w/w)の範囲であり、好ましくは、約0.5%(w/w)〜約8%(w/w)の範囲である。局所用組成物は、効用に依存して、異なる濃度範囲を有するように生成され得る。通常の日光への曝露からの保護のための慣用的な使用については、Uncaria種の水溶性抽出物の濃度は、上記の範囲のより低い部分であり得る。重篤な日光への曝露からの保護、日焼けからの皮膚の修復、またはしわおよび加齢斑の処置については、Uncaria種の水溶性抽出物の濃度は、より高くあり得る。
【0029】
局所用組成物は、さらに、浸透亢進剤(penetration enhancer)の安全有効量を含有し得る。用語「安全有効量(safe and effective amount)」は、皮膚内へのUncaria種の水溶性抽出物の浸透を亢進させるには十分であるが、副作用もしくは皮膚の反応を引き起こさない量を意味する。一般に、亢進剤は、この組成物の約1%(w/w)〜約5%(w/w)であり得る。有用な浸透亢進剤の一例としては、(a)N−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリドン、および(b)ラウリル酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン、ミリスチルアルコール、またはこれらの混合物から選択される、細胞エンベロープ崩壊化合物(cell envelope disordering compound)を含有する、浸透亢進ビヒクルが挙げられる。成分(a)および(b)は、約1:5〜約500:1の(a):(b)の重量比で存在する。さらなる例は、浸透亢進性の因子である1−ドデシル−アザシクロヘプタン−2−オン、および浸透亢進性のジオール化合物もしくはシクロケト化合物を含む、浸透増強剤である。適切なジオール化合物もしくはシクロケト化合物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、ピロリドン;1−(2−ヒドロキシエチル)アザシクロペンタン−2−オン、およびこれらの混合物。浸透亢進剤の別の例は、約0.1%(w/w)の糖エステル、および約0.1%(w/w)のホスフィンオキシドを含む。適切な糖エステルとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ショ糖モノオクタノエート(sucrose monooctanoate)、ショ糖モノデカノエート(sucrose monodecanoate)、ショ糖モノラウレート(sucrose monolaurate)、ショ糖モノミリスチレート(sucrose monomyristate)、ショ糖モノパルミテート(sucrose monopalmitate)、ショ糖モノステアレート(sucrose monostearate)、ショ糖モノオレエート(sucrose monooleate)、およびショ糖ジオレエート(sucrose dioleate)。ホスフィンオキシド化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:オクチル−ジメチルホスフィンオキシド、もしくは、モニル(monyl)−ジメチルホスフィンオキシド、もしくは、デシル−ジメチルホスフィンオキシド、もしくは、ウンデシル−ジメチルホスフィンオキシド、もしくは、ドデシル−ジメチルホスフィンオキシド、およびこれらの2−ヒドロキシデシル誘導体。リポソーム、ナノソームまたはリボソーム(rivosome)のような他の送達ビヒクルがまた、局所用組成物において使用され得る。
【0030】
局所用組成物はまた、抗酸化物質(当業者に周知のものを含む)を含み得る。代表的な抗酸化物質としては、ビタミンE、酢酸トコフェロール、βグルカン、コエンザイムQ10、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびスーパーオキシドジスムトース(superoxide dismutose)。必要に応じて、局所用組成物は、さらに、エストロゲンを含み得る。
【0031】
他の従来のスキンケア製品の添加物もまた、本発明の組成物内に含められ得る。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、エラスチン、加水分解物、サクラソウオイル、ホホバオイル、上皮増殖因子、大豆サポニン、ムコ多糖類、およびこれらの混合物が使用され得る。
【0032】
さらに、局所用組成物は、緩衝剤、pH調節剤;皮膚軟化薬;乳化剤;エマルジョン安定化剤(emulsion stabilizer)、および粘性構築剤(viscosity builder);湿潤剤;匂い物質(odorant);保存料;化学的安定化剤(chemical stabilizer);溶媒;消泡剤;ならびに、増粘剤(thickening agent)、硬化剤(stiffening agent)および懸濁剤を含む、広範な任意の成分を含み得る。
【0033】
例示的な緩衝剤およびpH調節剤としては、水酸化アンモニウム、クエン酸、ジイソプロパノールアミン、塩酸、乳酸、第一リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、およびトロラミンが挙げられる。
【0034】
例示的な皮膚軟化薬としては、以下が挙げられる:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ヒマシ油、セテアレス(ceteareth)−20、セテアレス−30、セテアリルアルコール、セテス(ceteth)20、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、カカオ脂、アジピン酸ジイソプロピル、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル(gyceryl monooleate)、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、流動パラフィン、リノレン酸、鉱物油、オレイン酸、白色ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエステル、ポリオキシプロピレン15−ステアリルエーテル、プロピレングリコールステアレート、スクアレン、ステアレス(steareth)−2もしくはステアレス−100、ステアリン酸、ステアリルアルコールおよび尿素。本明細書において使用される場合、「皮膚軟化薬」は、乾燥の防止もしくは軽減、ならびに皮膚の保護のために使用される材料を指す。広範な種々の適切な皮膚軟化薬が公知であり、本明細書において使用され得る。Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,第2版、第1巻,pp.32−43(1972)(本明細書中に参考として援用される)は、適切な材料の多数の例を含む。皮膚のコンディショニングを提供する、特に有用な皮膚軟化薬は、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、乳酸およびその塩、尿素、カルボン酸ピロリドンおよびその塩、アミノ酸、グアニジン、ジグリセロールおよびトリグリセロールである。
【0035】
例示的な乳化剤としては、以下が挙げられる:オクテニルコハク酸アルミニウムデンプン、水酸化アンモニウム、アムホテリック(amphoteric)−9、蜜蝋、合成蜜蝋、カルボマー(carbomer)934、カルボマー934P、カルボマー940、セテアレス−20、セテアレス−30、セテアリルアルコール、セテス20、セチルアルコール、コレステロール、シクロメチコン(cyclomethicone)、ジグリセリド、ジメチコン(dimethicone)(例えば、ジメチコン350)、モノオレアミドスルホコハク酸二ナトリウム、NF乳化蝋、脂肪酸ペンタエリスリトールエステル、グリセリド、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、モノグリセリド、ポリエチレングリコール、PEG 100ステアレート、ポリエチレングリコール6000ジステアレート、ポリエチレングリコール1000モノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシル(polyoxyl)20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40ステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート類、PPG−26オレアート、プロピレングリコールステアレート、クオタニウム(quaternium)−15、シメチコン、ラウレス硫酸ナトリウム(sodium laureth sulfate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンセスクイオレアート(sorbitan sesquioleate)、ステアレス−2、ステアレス−100、ステアリン酸、ステアリルアルコール、トリエタノールアミンおよびトロラミン。
【0036】
例示的なエマルジョン安定化剤および粘性構築剤としては、以下が挙げられる:カルボマー934、カルボマー934P、カルボマー940、セテアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、デキストリン、ジグリセリド、エデト酸二ナトリウム(disodium edetate)、エデト酸二ナトリウム(edetate disodium)、グリセリド、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルセルロース、モノグリセリド、軟質炭化水素ゲル(plasticized hydrocarbon gel)、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1450、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール類、ステアリン酸プロピレングリコールおよびステアリルアルコール。
【0037】
例示的な湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよび尿素が挙げられる。例示的な匂い物質としては、低刺激性の香水(hypoallergenic perfume)およびメントールが挙げられる。
【0038】
組成物の安定性のための例示的な保存料および化学的安定化剤としては、以下が挙げられる:アルコール、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、酢酸カルシウム、ヒマシ油、クレゾール、4クロロ−m−クレゾール、クエン酸、エデト酸二ナトリウム(disodium edetate)、Dowicil 200(Dow)、エデト酸二ナトリウム(edetate disodium)、エトキシル化アルコール、エチルアルコール、グリセリン、Glydant Plus(Lonza)、1,2,6−ヘキサントリオール、Kathon CG(Rohm & Haas)、液体Germall Plus(ISP Sutton Labs)、Liquipar(ISP Sutton Labs)、メチルパラベン、パラベン類、ソルビン酸カリウム、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、プロピルパラベン、亜硫酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、タンニン酸、飽和脂肪酸のトリグリセリド、Ucarcide(Union Carbide)、およびステアリン酸亜鉛。
【0039】
例示的な溶媒としては、以下が挙げられる:アルコール、ヒマシ油、アジピン酸ジイソプロピル、エトキシル化アルコール、エチルアルコール、クエン酸脂肪アルコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、鉱物油、リン酸、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1450、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール1000モノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリエチレングリコール類、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシプロピレン15−ステアリルエーテル、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート類、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、精製水、およびSDアルコール40、飽和脂肪酸のトリグリセリド。
【0040】
例示的な消泡剤としては、シクロメチコン、ジメチコン(例えば、ジメチコン350)およびシメチコンが挙げられる。
【0041】
例示的な増粘剤、硬化剤および懸濁剤としては、以下が挙げられる:ステアリン酸アルミニウム、蜜蝋、合成蜜蝋、カルボマー934、カルボマー934P、カルボマー940、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル蝋、デキストリン、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、パラフィン、ワセリン、ポリエチレン、ステアリン酸プロピレングリコール、デンプン、ステアリルアルコール、蝋、白蝋、キサンタンガム、およびベントナイト。
【0042】
本発明の局所用組成物は、液体、ローション、クリーム、スプレー、スティック、ゲル、軟膏、ペースト、および化粧品のような広範な種々の形状で提供され得る。
【0043】
ローションおよびクリームは、エマルジョンとして処方され得る。代表的には、このようなローションは、約0.2%〜約8%、好ましくは、約0.5%〜約5%の、Uncaria種の水溶性抽出物;約1%〜約20%、好ましくは、約5%〜約10%の1種以上の皮膚軟化薬;約25%〜約95%、好ましくは、約45%〜約90%の水;および約1%〜約10%、好ましくは、約2%〜約5%の乳化剤を含有する。クリームは、代表的に、約0.5%〜約8%、好ましくは、約2%〜約5%の、Uncaria種の水溶性抽出物;約1%〜約20%、好ましくは、約5%〜約10%の1種以上の皮膚軟化薬;約20%〜約80%、好ましくは、約30%〜約70%の水;および約1%〜約10%、好ましくは、約2%〜約5%の1種以上の乳化剤を含有する。
【0044】
局所用組成物が、ゲルまたは化粧品のスティックとして処方される場合、上記のような適量の化粧品用増粘剤が使用され得る。
【0045】
さらなる実施形態において、本発明は、Uncaria種の水溶性抽出物、低重水素含有水、および、皮膚科学的に受容可能なキャリア材料を含有する局所用組成物を提供する。皮膚科学的に受容可能なキャリア材料は、上に記載されている。
【0046】
本明細書において使用される用語「低重水素含有水(deuterium−reduced water)」は、水中に実質的に天然に存在する重水素レベルを下回る重水素濃度を有する(より具体的には、約0.1ppm〜約110ppmの範囲の重水素レベルを有する)水性の流体を意味する。
【0047】
低重水素含有水は、米国特許第5,855,921号および同第5,788,953号(その全体が本明細書により参考として援用される)に記載されるように、蒸留または電気分解により生成され得る。電気分解を用いると、水の重水素濃度は、30ppm〜40ppmまで減らされ、そして、さらなる電気分解により、6ppm〜20ppmまでさらに減らされ得る。蒸留を用いると、水の重水素濃度は、20ppm〜30ppmまで減らされ、そして、さらに、プレートの数を増やすか、そして/または、蒸留プロセスを繰り返すことによって、1ppm〜10ppmまでさらに減らされ得る。大量の水を生成するために、この重水素減損水(deuterium depleted water)は、所定の比率で通常の水と混合されて、約80ppm〜約110ppmの重水素濃度を有する水が得られ得る。この濃度は、実質的に、水中に天然に存在する重水素のレベルよりも低い。
【0048】
さらなる局面において、本発明は、紫外線への曝露により引き起こされる損傷から保護するため、もしくは、皮膚の損傷を処置するための方法、皮膚のしわを処置および予防するための方法、ならびに、角化症および脂褐素を処置および予防するための方法を提供する。上記方法は、上記のような本発明の局所用組成物の有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する。通常の日光への曝露からの保護については、この局所用組成物は、太陽に頻繁に曝露される身体の領域(例えば、顔、首および手)に、特に、日光に露出される前に、日常ベースで適用され得る。紫外線への曝露により引き起こされる皮膚の損傷を処置するために、局所用組成物は、曝露後に、曝露された領域に適用され得る。
【0049】
本発明の局所用組成物のUncaria種の水溶性抽出物材料は、NF−κBを阻害し、これは、次いで、TNF−αおよび他の炎症性サイトカインIL−1α、IL−1βおよびIL−6の刺激を阻害する。結果的に、フリーラジカルにより誘発される炎症性の連鎖的活動が妨げられ、これにより、微小な瘢痕化および皮膚のしわの形成を防止する。さらに、Uncaria種の水溶性抽出物材料は、線維芽細胞のDNA修復能を増強し、これは、炎症性の活動により引き起こされるDNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を増強し、そして、コラーゲンの生成を促進する。さらに、本明細書において以降に詳細に説明されるように、Uncaria種の水溶性抽出物材料は、UVBへの曝露により引き起こされる非酸化的損傷に対する皮膚細胞のDNA修復能を増強する。Uncaria種の水溶性抽出物材料は、紫外線への曝露から生じる酸化的損傷および非酸化的損傷の両方を予防および/または処置するので、広範囲のDNA損傷を修復/予防する際に、単純な抗酸化物質よりもかなりより効果的である。
【0050】
一方、低重水素含有水は、細胞環境中のDO濃度を低下させる。DOと形成される水素結合は、HOと形成される水素結合よりも強力であるので、細胞環境中のDOの濃度を減らすことは、DNAヘリックスを巻き戻すのに必要とされる活性化エネルギーを低下させ、従って、DNA修復プロセスを促進させることが期待される。組み合せると、Uncaria種の水溶性抽出物材料および低重水素含有水は、相乗的に、皮膚細胞のDNA損傷に対する抵抗性を高め、DNA修復能を増強し、そして、しわ、角化症および脂褐素沈着を防止する。
【0051】
実施例1は、CPDの修復に対する、AC−11の効果を決定する実施例を例示する。ヒトHaCaTケラチノサイト細胞を、0.5%、1.5%および3%のAC−11を有する3つの試験溶液で処理し、そして、UVB照射した。24時間の時点で残るDNA損傷を、免疫蛍光検査法によりアッセイした。結果は、UVBへの曝露の前後で、AC−11溶液と共にインキュベートした細胞は、未処理の細胞よりも16〜25%少ないCPDを有することを示す。このことは、UVBへの曝露後のダイマー形成の量が少ないことによって反映されるように、AC−11が、細胞のDNA損傷に対する抵抗性を高め、そして、DNA修復能を増強することを示す。
【0052】
以下の実施例は、さらに、本発明の範囲内の実施形態を記載し、そして実証する。以下の実施例は、単に例示の目的のために提供され、本発明を制限するものとしては解釈されるべきではない。なぜならば、その多くのバリエーションが、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得るからである。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
(方法)
シクロブタンプリミジンダイマー(CPD)の修復を、CPDに対する抗体を用いて、24時間にわたって、細胞培養物において測定した。ヒトHaCaT(ケラチノサイト株)細胞を、スライドガラス上に播種して、0.5%、1.5%および3%のAC−11を有する3つの試験溶液で、24時間、前処理した。2つのサンプルは未処理であり、コントロールとして使用した。次いで、細胞を、500J/mのUVB(Kodacelフィルター処理したFS40太陽灯)で照射した。処理したサンプルの1つは、アッセイのために即座に固定した。残りのサンプルを、適切な試験溶液と共に24時間インキュベートした。この時点で、全てのサンプルを固定し、そして、DNA中のCPDに特異的な抗体で染色した。結合を、蛍光二次抗体および蛍光顕微鏡により可視化した。CPDを、半定量的なスコア付けシステムにより測定した。ANOVA(Instat,GraphPad)を用いることにより、統計的分析を行なった。
【0054】
(結果)
CPDの測定結果を、表1に示すように、CPDスコアとして表す。
【0055】
【表1】

未処理サンプルおよび処理サンプルの24時間の時点でのCPDスコアを、図1に図式的に示す。図1のエラーバーは、平均の標準誤差であることに注意されたい。差異の百分率を、「処理なし」のスコアと処理のスコアとの間のCPDスコアの差異を「処理なし」スコアで割ったもの、として計算した。生データを、Kruskal−Wallis試験を用いて、統計的有意差について分析した。結果を、表2に示す。
【0056】
【表2】

結果は、AC−11溶液と共にインキュベートした細胞が、UVBへの曝露の前後で、未処理の細胞よりも16〜25%少ないCPDを示したことを示した。このことは、UVB曝露後のダイマー形成の量が少ないことによって反映されるように、AC−11が、DNA損傷に対する細胞の抵抗性を高め、そして、DNA修復能を増強することを実証する。
【0057】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されてきたが、本発明は、提供される詳細の全てに限定されるものと捉えられるべきではない。当業者に理解されるように、記載される実施形態の修正およびバリエーションは、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得、そして、他の実施形態が、本開示内に包含されることが理解されるはずである。本明細書中でこれ以前に引用される全ての参考文献は、その全体が、本明細書により参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、それぞれ、未処理、ならびに、0.5%、1.5%および3%のActivar AC−11TM溶液で処理された、ヒトHaCaT(ケラチノサイト株)細胞の、UBV照射後24時間の時点でのCPDスコアを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所用組成物であって、以下:
(a)約0.1%(w/w)〜約15%(w/w)の濃度範囲の、Uncaria種の水溶性抽出物;および
(b)局所適用に適切な、皮膚科学的に受容可能な媒体
を含有する、組成物。
【請求項2】
前記Uncaria種の水溶性抽出物が、約0.5%(w/w)〜8%(w/w)の濃度範囲である、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
DNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を高め、そして/または、皮膚細胞のDNA修復能を増強する方法であって、該方法は、請求項1に記載の局所用組成物の有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項4】
紫外光への曝露により引き起こされる損傷から皮膚を保護する方法であって、該方法は、紫外光に曝露される前に、請求項1に記載の局所用組成物の、該損傷から皮膚を保護するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項5】
紫外光への曝露により引き起こされる皮膚の損傷を処置する方法であって、該方法は、皮膚のある領域が紫外光に曝露された後に、請求項1に記載の局所用組成物の、紫外光により引き起こされる該皮膚の損傷を処置するための有効量を、該領域に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項6】
皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を処置および/または予防する方法であって、該方法は、請求項1に記載の局所用組成物の、該皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を減少および/または予防するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項7】
局所用組成物であって、以下:
(a)約0.1%(w/w)〜約15%(w/w)の濃度範囲の、Uncaria種の水溶性抽出物;
(b)低重水素含有水;および
(c)皮膚科学的に受容可能なキャリア材料
を含有する、組成物。
【請求項8】
前記低重水素含有水が、0.1ppm〜約110ppmの範囲の重水素濃度を有する、請求項7に記載の局所用組成物。
【請求項9】
前記Uncaria種の水溶性抽出物が、約0.5%(w/w)〜8%(w/w)の濃度範囲である、請求項7に記載の局所用組成物。
【請求項10】
DNA損傷に対する皮膚細胞の抵抗性を高め、そして/または、皮膚細胞のDNA修復能を増強する方法であって、該方法は、請求項7に記載の局所用組成物の有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項11】
紫外光への曝露により引き起こされる損傷から皮膚を保護する方法であって、該方法は、紫外光に曝露される前に、請求項7に記載の局所用組成物の、該損傷から皮膚を保護するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項12】
紫外光への曝露により引き起こされる皮膚の損傷を処置する方法であって、該方法は、皮膚のある領域が紫外光に曝露された後に、請求項7に記載の局所用組成物の、紫外光により引き起こされる該皮膚の損傷を処置するための有効量を、該領域に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項13】
皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を処置および/または予防する方法であって、該方法は、請求項7に記載の局所用組成物の、該皮膚のしわ、角化症、もしくは脂褐素沈着を減少および/または予防するための有効量を、皮膚に局所適用する工程を包含する、方法。
【請求項14】
局所用組成物であって、以下:
(a)紫外光への曝露により引き起こされる、皮膚の損傷を予防および/または処置するために十分な量の、Uncaria種の水溶性抽出物;ならびに
(b)皮膚科学的に受容可能な媒体
を含有する、組成物。
【請求項15】
さらに低重水素含有水を含有する、請求項14に記載の局所用組成物。
【請求項16】
前記低重水素含有水が、0.1ppm〜約110ppmの範囲の重水素濃度を有する、請求項14に記載の局所用組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−515766(P2008−515766A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507568(P2007−507568)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012369
【国際公開番号】WO2005/099662
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506340781)
【Fターム(参考)】