説明

VLIWアーキテクチャを有する他のDSPのための高速DCTアルゴリズム

離散コサイン変換オペレーションを実行する単一ステージの計算方法が、提供される。離散コサイン変換オペレーションは、デジタル信号プロセッサを使用して複数の超長命令語(VLIW)を実行することにより、実行される。複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含んでおり、ここで乗算の第1の数は、加算の第2の数よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
本願は、全体の内容が参照によりここに組み込まれる、2005年10月5日に出願された米国仮出願第60/724,131号の利益を主張するものである。
【0002】
[I.分野]
本開示は、一般にデジタル信号プロセッサを使用した離散コサイン変換(discrete cosine transforms)に関する。より詳細には、本開示は、VLIWベースのデジタル信号プロセッサのための単一ステージ離散コサイン変換のシステムおよび方法に関する。
【0003】
[II.関連技術の説明]
従来、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)(DSP)は、多くの場合に超長命令語(very long instruction word)(VLIW)アーキテクチャを利用する。VLIWベースのDSPは、単一クロックサイクル内に複数のオペレーション(multiple operations)を実行することができる。例えば、VLIWベースのDSPは、乗加算(multiply-accumulate)(MAC)オペレーションと、論理演算ユニット(Arithmetic Logic Unit)(ALU)オペレーションと、メモリロード/ストアオペレーションとを単一サイクルで実行することができる。そのようなDSPのコンピューティング能力は、DSPベースのマルチメディアシステムをインプリメントすることを可能にし、このDSPベースのマルチメディアシステムは、大きな柔軟性とコスト有効性を提供する。
【0004】
離散コサイン変換(discrete cosine transform)(DCT)は、さらなる処理のために時間ドメインから周波数ドメインへと信号を変換するために信号上で実行されることができる数学的オペレーションである。DCTは、ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ(Joint Photographic Experts Group)(JPEG)損失性圧縮と、ムービングピクチャエキスパートグループ(Moving Picture Experts Group)(MPEG)規格1、2、および4などを含めて、静止画像圧縮規格とビデオ圧縮規格の両方におけるコア技術になってきている。
【0005】
技術の進歩は、より小型でよりパワフルなパーソナルコンピューティングデバイスをもたらしてきており、このパーソナルコンピューティングデバイスの多くは、画像機能および/またはビデオ機能を提供する。例えば、現在では、小型、軽量で、ユーザによって簡単に持ち運びされる、ポータブルワイヤレス電話、携帯型個人情報端末(personal digital assistant)(PDA)、ページングデバイスなどのワイヤレスコンピューティングデバイスを含めて、様々なポータブルパーソナルコンピューティングデバイスが存在している。そのようなポータブルパーソナルコンピューティングデバイスの多くは、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルレコーダ、オーディオファイルプレーヤ、またはそれらの任意の組合せを含んでいる。さらに、ポータブルパーソナルコンピューティングデバイスは、インターネットにアクセスするために使用されることができるウェブインターフェースを含むことができる。その結果、ポータブルパーソナルコンピューティングデバイスの多くは、DSPを含んでいる。
【0006】
システム性能を改善するために、そして他のプロセスにおいて使用するためにDSPサイクルを節約するために、様々な高速アルゴリズムが、DCTの対称の特性を活用することにより、DCTをより効率的に計算するために提案されてきている。従来、そのような高速アルゴリズムは、コアプロセッサにおいては乗算が加算よりも長い時間がかかるという仮定の下に、乗算の数を減少させることに焦点を当ててきている。しかしながら、その仮定は、単一サイクル乗算命令(single cycle multiplication instructions)を有する現代のDSPアーキテクチャでは、もはや当てはまらない。さらに、既存のDCTアルゴリズムは多くの場合に、ステージの間のデータ依存性(data dependency)に起因して、DSP機能の活用を禁止する複数のステージを含んでいる。
【0007】
したがって、VLIWベースのDSPのための改善されたDCTアルゴリズムを提供することが有利になるであろう。
【発明の開示】
【0008】
[概要]
特定の一実施形態においては、離散コサイン変換オペレーション(discrete cosine transform operation)を実行する単一ステージの計算方法(single stage computation)が、提供される。離散コサイン変換オペレーションは、デジタル信号プロセッサを使用して複数の超長命令語(very large instruction words)(VLIW)を実行することによって、実行される。複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、ここで乗算の第1の数は、加算の第2の数よりも大きい。
【0009】
特定の一実施形態においては、離散コサイン変換オペレーションは、8ポイントのデータセットに対して実行される。別の特定の実施形態においては、離散コサイン変換オペレーションは、8×8ポイントの行列データセット(matrix data set)に対して実行される。別の特定の実施形態においては、複数のVLIW命令は、離散コサイン変換が、単一ステージの実行の中で実行されることができるように、データ依存性がない(without data dependencies)。さらに別の実施形態においては、離散コサイン変換オペレーションは、中間行列(intermediate matrix)を生成するために、入力行列のデータセットの各列に対して1次元の8ポイントのDCT変換オペレーションを適用することと、変換された行列のデータセットを生成するために、中間行列の各行に対して1次元の8ポイントのDCT変換を適用することと、を含む。別の特定の実施形態においては、第1の数の乗算は、30個の乗算オペレーションを含み、第2の数の加算は、12個までの加算を含んでいる。
【0010】
別の特定の実施形態においては、離散コサイン変換オペレーションを実行する方法が、提供される。入力データセットが、受け取られる。入力データセットは、変換されたデータセットを生成するために入力データセットに対して単一ステージの離散コサイン変換オペレーションを実行するように複数の超長命令語を実行することにより、処理される。別の特定の実施形態においては、入力データセットを処理することは、入力データセットに関連した複数のスカラ(scalar)を計算することと、複数の積を生成するために複数のスカラをカーネル行列(kernel matrix)と乗算することと、変換されたデータセットを生成するために複数の積を加算することと、を含んでいる。
【0011】
さらに別の特定の実施形態においては、複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、ここで第1の数は、第2の数よりも大きい。別の特定の実施形態においては、入力データセットは、8ポイントのデータセットである。別の特定の実施形態においては、入力データセットは、8×8の行列データセットである。
【0012】
さらに別の実施形態においては、通信デバイスは、メモリと、デジタル信号プロセッサとを含んでいる。メモリは、単一ステージの離散コサイン変換オペレーションを実行するために1組の超長命令語を記憶するように適合される。デジタル信号プロセッサは、入力データセットから変換されたデータセットを生成するために1組の超長命令語を実行するように適合される。
【0013】
特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサは、2つの乗加算オペレーションと、論理演算ユニットオペレーションと、メモリロード/ストアオペレーションとを単一クロックサイクルで実行するように適合される。別の特定の実施形態においては、デジタル信号プロセッサは、ジョイントフォトグラフエキスパートグループ(JPEG)フォーマットに応じて圧縮される画像を処理するように適合される。別の特定の実施形態においては、デジタル信号プロセッサは、ムービングピクチャエキスパートグループ(MPEG)フォーマットに応じて圧縮されるビデオを処理するように適合される。別の特定の実施形態においては、デジタル信号プロセッサは、300クロックサイクルより短いうちに(less than 300 clock cycle)8×8の変換を実行する。
【0014】
特定の一実施形態においては、通信デバイスは、モバイル電話である。別の特定の実施形態においては、通信デバイスは、ボイスオーバーインターネットプロトコル(voice over Internet protocol)(VoIP)電話を備える。
【0015】
特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサは、超長命令語の命令セットとプロセッサとを含んでいる。超長命令語(VLIW)の命令セットは、加算オペレーションよりも多数の乗算オペレーションを有する離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するように適合される。プロセッサは、変換データセットを生成するために入力データセット上でDCTオペレーションを実行する命令セットを実行するように適合される。
【0016】
別の特定の実施形態においては、プロセッサは、命令セットを単一ステージで実行する。別の特定の実施形態においては、DCTオペレーションは、第1の数の乗算オペレーションと第2の数の加算オペレーションとを含み、ここで乗算オペレーションの第1の数は、加算オペレーションの第2の数の2倍の大きさである。さらに別の実施形態においては、入力データセットは、8×8の行列データセットを備える。
【0017】
特定の一実施形態においては、通信システムは、離散コサイン変換(DCT)オペレーションを定義する複数の超長命令語(VLIW)を備える、1組の命令を記憶するための手段と、入力データセットを受け取るための手段と、入力データセットに対して複数の超長命令語(VLIW)を実行することにより離散コサイン変換オペレーションを実行するための手段とを含んでおり、ここで複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、ここで第1の数は、第2の数よりも大きい。
【0018】
別の特定の実施形態においては、離散コサイン変換オペレーションを実行する単一ステージ計算方法が、提供される。複数の超長命令語(VLIW)は、離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するために複数の基本命令へと分解される(broken into)。複数の基本命令のうちの少なくとも2つが、入力データセット上の離散コサイン変換(DCT)オペレーションを単一ステージにおいて同時に実行するために実行される。入力データセット上のDCTオペレーションの性能に関連した変換データセットが、生成される。
【0019】
さらに、特定の一実施形態においては、複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含んでおり、ここで乗算の第1の数は、加算の第2の数の少なくとも2倍の大きさである。
【0020】
ここにおいて開示される1つまたは複数の実施形態の利点は、離散コサイン変換(DCT)オペレーションを単一ステージで実行することを含むことができる。
【0021】
ここにおいて開示される1つまたは複数の実施形態の別の利点は、従来の4ステージのDCTオペレーションのクロックサイクルの半分未満でプロセッサにおける離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行することを含むことができる。
【0022】
ここにおいて開示される1つまたは複数の実施形態のさらに別の利点は、変換オペレーションのステージの間のデータ依存性なしに離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行することを含むことができる。
【0023】
本開示の他の態様、利点、および特徴は、次のセクション、すなわち、詳細な説明および図面の簡単な説明、および、特許請求の範囲を含めて、全体の出願の再検討の後に明らかになるであろう。
【0024】
[詳細な説明]
ここにおいて説明される実施形態の態様およびそれに付随する利点は、添付図面と併せて次の詳細な説明を参照することにより、より簡単に明らかになるであろう。
【0025】
図1は、単一ステージ離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するように適合される超長命令語(VLIW)デジタル信号プロセッサ(DSP)100を示すブロック図である。VLIW DSP100は、命令キャッシュ102と、命令レジスタ104と、実行ユニット106、108、110、112と、データキャッシュ114と、レジスタファイル116とを含む。命令キャッシュ102は、キャッシュ102から命令レジスタ104へと命令をロードするように命令レジスタ104に接続される。命令レジスタ104は、バス120を経由して実行ユニット106、108、110、および112へと接続される。実行ユニット106、108、110、および112は、バス122を経由してデータキャッシュ114へと、そしてレジスタファイル116へと接続される。
【0026】
VLIW DSP100は、単一ステージDCTオペレーションについての1組のプログラム命令126を含むメモリ124も含んでいる。メモリ124は、プロセッサ100の一部分として示されるが、メモリ124は、VLIW DSP100とは別のシステムメモリとしてインプリメントされ、システムバスを経由してVLIW DSP100に結合されることができることが、理解されるべきである。
【0027】
VLIW DSP100は、超長命令語を受け取るように適合され、超長命令語は、複数の命令を含むワードである。VLIW DSP100は、実行ユニット106、108、110、および112によって並列に実行されることができる基本オペレーションへと受け取られたVLIWを分解するプリプロセッサ(preprocessor)(図示されず)を含むことができる。
【0028】
一般に、命令セット126は、デジタル信号処理についての高速DCTアルゴリズムをインプリメントする。乗算の数を減少させる代わりに、高速DCTアルゴリズムは、VLIW DSP100のアーキテクチャにDCTアルゴリズムを適合することにより、クロックサイクルの数を減少させるようにVLIW DSP100の機能を利用する。DCTアルゴリズムの従来のインプリメンテーションは、ステージ間のデータ依存性を用いて与えられた入力ベクトルからDCTベクトルを計算するために複数のステージを利用するが、命令セット126は、DCTベクトルが単一ステージで計算されることを可能にする高速DCTアルゴリズムを実現する。この単一ステージDCTオペレーションは、従来のシステムの複数のステージの間のデータ依存性をなくする。さらに、単一ステージDCTオペレーションは、DCTオペレーションを実行するために、VLIW DSP100によって必要とされるクロックサイクルの数を減少させる。
【0029】
一般に、多数の画像圧縮システムおよびビデオ圧縮システムにおいては、画像は、8×8のデータブロックへと分割される。各8×8のデータブロックは、2次元の8×8のDCT変換オペレーションを使用して処理される。2次元の8×8のDCT変換オペレーションは、2つの1次元の8ポイントのDCT変換オペレーションへと分離されることができる。
【0030】
一般に、1次元のDCT変換オペレーションは、ベクトル乗算プロセスを使用して実行されることができる。入力ベクトル(x)は、DCT変換ベクトル(s)を生成するためにDCT変換カーネル行列(DCT transform kernel matrix)(C)によって乗算される。8ポイントのベクトル、x=[xを仮定すると、DCT変換ベクトルs=[sは、式(s=Cx)を使用して計算されることができ、ここでカーネル行列(C)は、次式のように定義される。
【数1】

【0031】
変数iは、カーネル行列(C)の行インデックス{i=0、1、...、7}を表し、変数jは、カーネル行列(C)の列インデックス{j=0、1、...、7}を表す。iとjの値についてカーネル行列(C)を評価することにより、式1は、いくつかの観察可能な対称性をもたらす。
【0032】
1.行列のサブセットCi,j{i=0およびj=0、1、...、7}の場合には、
【数2】

【0033】
であり、
2.行列のサブセットCi,j{i=2、6およびj=0、1、...、7}の場合には、Ci,j=Ci,(7−j)であり、j=0、1、2、または3のときには、Ci,j=−Ci,(3−j)であり、
3.行列のサブセットCi,j{i=4およびj=0、1、...、7}の場合には、Ci,j=Ci,(7−j)であり、j=0、1、2、または3のときには、Ci,j=Ci,(3−j)であり、
4.行列のサブセットCi,j{i=1、3.、5、7およびj=0、1、...、7}の場合には、Ci,j=−Ci,(7−j)である。
【0034】
観察される対称性は、DCTオペレーションの簡略化のためのパス(path)を提供する。例えば、1次元の8ポイントのカーネル行列(C)は、観察される対称性を使用するために簡略化されることができる。特に、ある種の計算が、計算の全体的な数を減少させるために行列内で再使用されることができる。
【0035】
カーネル行列(C)は、次式のように書き換えられることができる。
【数3】

【0036】
カーネル行列(C)と以上の観察を使用して、DCTアルゴリズムは、一連の行列オペレーションとして設計されることができる。x=[xを仮定すると、DCT変換ベクトルs=[sは、以下のようにカーネル行列(C)とベクトルxを乗算することにより計算されることができる。
【0037】
=c00×x+c00×x, t=x−x (式3)
+=c00×x+c00×x, t=x−x (式4)
+=c00×x+c00×x, t=x−x (式5)
+=c00×x+c00×x, t=x−x (式6)
例えば、以上の式3は、乗加算オペレーションと論理演算ユニットオペレーションとを含んでおり、超長命令語(VLIW)プロセッサは、これらのオペレーションを単一クロックサイクル内で処理することができる。この1組の計算を用いて、結果として生ずる変換ベクトル(s)の第1の要素(s)は、計算される。さらに、第1の組のスカラ(t、t、t、およびt)は、以下のように結果として生じる変換ベクトル(s)の奇数要素(s、s、s、s)を計算する際に使用するために計算されている。
【0038】
=c10×t+c11×t, t=x+x (式7)
+=c12×t+c13×t, t=x+x (式8)
=c30×t+c31×t, t=x+x (式9)
+=c32×t+c33×t, t=x+x (式10)
=c50×t+c51×t, t=t−t (式11)
+=c52×t+c53×t, t=t−t (式12)
=c70×t+c71×t, t10=t+t (式13)
+=c72×t+c73×t, t11=t+t (式14)
この組の計算を用いて、結果として生ずる変換ベクトル(s)の奇数要素(s、s、s、およびs)は、別の組のスカラ(t、t、t、t、t、t、t10、およびt11)と一緒に計算される。スカラ(t、t、t、およびt)は、入力ベクトル(x)の要素に基づいているが、スカラ(t、t、t10、およびt11)は、他のスカラ(tからt)に基づいている。この後者の組のスカラ(tからt11)は、以下のように結果として生ずる変換ベクトル(s)の残りの偶数要素(s、s、およびs)を計算するために利用されることができる。
【0039】
=c20×t+c21×t (式15)
=c40×t10+c41×t11 (式16)
=c60×t+c61×t (式17)
この組の計算を用いて、結果として生ずるDCTベクトル(s)の残りの偶数要素(s、s、およびs)は、計算されることができる。
【0040】
理解されることができるように、以上の組の式は、30個の乗算オペレーションと12個までの加算オペレーションを用いてインプリメントされることができる。それ故に、代表的なVLIW DSPは、以上の式を297クロックサイクルで実行することができ、このクロックサイクルは、伝統的なDCTオペレーションのために必要とされるクロックサイクルの数の2分の1よりも小さい。さらに、以上の式は、データ依存ではなく、これは、VLIW DSPアーキテクチャにうまく適合する。
【0041】
図2は、図1に示されるVLIWプロセッサなどのVLIWプロセッサを使用して離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行する方法を示すブロック図200である。一般に、2次元の8×8のDCT変換オペレーションが、2つの1次元の8×8のDCT変換オペレーションを実行することにより、インプリメントされることができる。ブロック202によって示される入力は、中間行列206を生成するために入力行列202の各列(矢印210によって示されるような)に対して1次元の8ポイントのDCTオペレーションを適用することにより、ブロック204において処理される。中間行列206は、結果として生ずる2次元の8×8のDCT行列208を生成するために、中間行列206の各行(矢印212によって示されるような)に対して1次元の8ポイントDCTオペレーションを適用することにより処理される。
【0042】
図3は、VLIWデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用してDCTオペレーションを実行する方法を示す流れ図である。1次元の8ポイントの離散コサイン変換(DCT)が、中間の8×8の行列を生成するために2次元の8×8の行列の各列に対して適用される(ブロック300)。1次元の8ポイントのDCTが、2次元の8×8のDCT行列を生成するために中間の8×8の行列の各行に対して適用される(ブロック302)。
【0043】
図4は、VLIWデジタル信号プロセッサ(DSP)を組み込んだ通信デバイス400のブロック図である。通信デバイス400は、ディスプレイ404に結合された集積回路402を含んでいる。集積回路402は、モデム406と、高度RISCマシンプロセッサ408と、超長命令語(VLIW)デジタル信号プロセッサ(DSP)410と、1つまたは複数のプロセッサ412と、システムメモリ414と、ディスプレイプロセッサ416とを含む。モデム406と、高度RISCマシンプロセッサ408と、VLIW DSP410と、プロセッサ412と、システムメモリ414と、ディスプレイプロセッサ416は、バス418を経由して互いに結合される。一般にバス418は、簡単のために省略された、キーパッド、ユニバーサルシリアルバスインターフェース、マイクロフォン、スピーカ、および様々な他のコンポーネントを含めて、1つまたは複数の入力インターフェースに結合されることができる。この例においては、メモリ414は、図2および3において上記されるDCTオペレーションなど、2次元の8×8のDCTオペレーションを実行するVLIWデジタル信号プロセッサ(DSP)410による実行のために単一ステージDCT命令126を記憶する。
【0044】
高度RISCマシンプロセッサ408は、ゲームの実行、および他のプロセッサを使用したグラフィックス復号化の協調などを含めて、様々なプロセスを制御するために使用されることができる。モデム406は、どちらかがバスに接続され、あるいはモデム406に結合される通信インターフェース(図示されず)を経由して、外部デバイスと通信するための変調器/復調器である。通信デバイス400は、特定のインプリメンテーションに応じて有線または無線とすることができる。
【0045】
一般に、ビデオまたは画像は、VLIWデジタル信号プロセッサ410に供給され、このVLIWデジタル信号プロセッサは、システムメモリ414から提供されるプロセッサ読取り可能単一ステージDCT命令を使用してビデオまたは画像を処理する。結果として生ずる復号化されたビデオまたは画像は、次いでVLIWデジタル信号プロセッサ410によってバス418を経由してディスプレイプロセッサ416へと供給され、このバスは、復号化されたビデオまたは画像をディスプレイ404へと供給し、このディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ(liquid crystal display)(LCD)とすることができる。一実施形態においては、VLIW DSP410は、カリフォルニア州、サンディエゴ市のクアルコム社(Qualcomm, Incorporated)によって製造されるチップなどのQDSP−4プラットフォームチップ(QDSP-4 platform chip)である。
【0046】
単一ステージDCT命令126は、以上の式1〜17に記述されるアルゴリズムを実行するように実行されることができる。本アルゴリズムは、VLIWアーキテクチャを有する他のDSPと共に簡単に使用されることができる。さらに、本アルゴリズムは、選択されたDSPの中のリソースに応じて簡単にスケーリングされることができる。例えば、特定のDSPが、クロックサイクル当たりに4つの乗加算オペレーション(MAC)と2つの論理演算ユニットオペレーション(ALU)とを実行することができる場合、単一ステージDCT命令126は、MACオペレーションとALUオペレーションとをマージすることにより、このDSPアーキテクチャを使用するように適合されることができる。以上の式は、8ポイントのDCTオペレーションを記述するが、そのアルゴリズムとそれに関連する式は、16ポイントのDCT変換を含めて、他のDCT変換オペレーションへとスケーリングされることができる。さらに、それらの式は、逆DCT(inverse DCT)(IDCT)オペレーションと共に使用するために拡張されることができる。一般に、プロセッサは、デジタル信号プロセッサを使用して複数の超長命令語(VLIW)を実行することにより離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するように適合されることができる。複数のVLIWは、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含むことができ、ここで、第1の数は、第2の数よりも大きい。
【0047】
図5は、VLIW DSPを使用して1次元の8×8のDCTオペレーションを実行する方法を示す流れ図である。8ポイントのベクトル(x)が、受け取られ、ここで、x=[xである(ブロック500)。ベクトル(x)は、8個の積を形成するために、DCTの8×8のカーネル行列(C)の第1の偶数行(c0j)によって乗算される(ブロック502)。次いで8個の積は、8ポイントのDCTベクトル(s)の第1の要素(s)を生成するために一緒に加算される(ブロック504)。第1の組のスカラ(t)は、ベクトル(x)の選択された要素から計算される(以上の式3〜6に示されるように)(ブロック506)。ブロック502、504および506の乗加算オペレーションおよび加算オペレーションは、同時に行われることができることが理解されるべきである。代わりに、ブロック506は、ブロック502および504の前に行われてもよい。
【0048】
DCTの8×8の行列(C)の奇数行は、行列(C)の各奇数行に関連した1組の積を生成するために第1の組のスカラ(t)のうちの選択されるスカラと乗算される(ブロック508)。各行についての1組の積は、8ポイントのDCTベクトル(s)の奇数要素(s、s、s、およびs)を生成するために一緒に加算される(ブロック510)。第2の組のスカラ(t)は、第1の組のスカラ(t)のうちの選択された要素から計算される(以上の式7〜14に示されるように)(ブロック512)。ブロック508、510および512の乗加算オペレーションおよび加算オペレーションは、同時に、または異なる順序で行われることができることが理解されるべきである。
【0049】
DCTの8×8のカーネル行列(C)の残りの偶数行(c、c、およびc)は、残りの偶数行(c、c、およびc)のうちのおのおのに関連した1組の積を生成するために第2の組のスカラ(t2)のうちの選択されるスカラと乗算される(ブロック514)。1組の積は、8ポイントのDCTベクトル(s)のうちの偶数要素(s、s、およびs)を生成するために残りの偶数行(c、c、およびc)のおのおのについて一緒に加算される(ブロック516)。
【0050】
一般に、上記の離散コサイン変換(DCT)オペレーションは、単一ステージDSPにおいて動作するように適合されることができる。乗算オペレーションよりも多数の加算オペレーションを含むようにアルゴリズムを簡略化する代わりに、本アルゴリズムは、30個の乗算オペレーションとたった12個の加算とを有する。さらに、8ポイントのDCTオペレーションは、C.レフラー他、「11個の乗算を有する実用的な高速1−D DCTアルゴリズム」、音声、スピーチおよび信号処理についてのIEEEトランザクション(1989)ICASSP−89、2巻、988〜991ページ(C.Loeffler et al., "Practical Fast 1-D DCT algorithm with 11 multiplications," IEEE Transactions on Acoustics, Speech and Signal Processing, (1989) ICASSP-89, Vol. 2, pp.988-991)により、説明されるオペレーションなど、従来のDCT復号化オペレーションについて必要とされる599サイクルからたったの297サイクルへと、VLIW DSP上の8×8のDCT変換のために必要とされるクロックサイクルの数を減少させることができる。以上の式4〜17において説明される単一ステージDCT命令は、DCTオペレーションを実行するために必要とされるクロックサイクルの数の観点から50%より多い改善を提供しており、JPEG符号化/復号化レイテンシと、DCTベースのビデオ符号化/復号化性能を改善している。
【0051】
図6は、全体的に600と指定されるポータブル通信デバイスの例示の非限定的な一実施形態を示している。図6に示されるように、そのポータブル通信デバイスは、デジタル信号プロセッサ610を含むオンチップシステム622を含んでいる。特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサ610は、図1に示され、ここにおいて説明されるVLIWデジタル信号プロセッサなどのVLIWデジタル信号プロセッサである。図6は、デジタル信号プロセッサ610とディスプレイ628とに結合されるディスプレイコントローラ626も示している。さらに、入力デバイス630が、デジタル信号プロセッサ610に結合される。図に示されるように、メモリ632が、デジタル信号プロセッサ610に結合される。さらに、コーダ/デコーダ(coder/decoder)(CODEC)634が、デジタル信号プロセッサ610に結合されることができる。スピーカ636とマイクロフォン638が、CODEC630に結合されることができる。
【0052】
図6はまた、ワイヤレスコントローラ640が、デジタル信号プロセッサ610とワイヤレスアンテナ642に結合されることができることも示している。特定の一実施形態においては、電源644が、オンチップシステム622に結合される。さらに、特定の一実施形態においては、図6に示されるように、ディスプレイ628、入力デバイス630、スピーカ636、マイクロフォン638、ワイヤレスアンテナ642、および電源644は、オンチップシステム622の外部にある。しかしながら、おのおのは、オンチップシステム622のコンポーネントに結合される。
【0053】
特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサ610は、ポータブル通信デバイス600の様々なコンポーネントによって必要とされる機能およびオペレーションを実行するために必要なプログラムに関連する命令を処理することができる。例えば、ワイヤレス通信セッションがワイヤレスアンテナを経由して確立されるときに、ユーザが、マイクロフォン638へと話しかけることができる。ユーザの音声を表す電子信号は、符号化されるようにCODEC634に送信されることができる。デジタル信号プロセッサ610は、CODEC634がマイクロフォンからの電子信号を符号化するようにデータ処理を実行することができる。さらに、ワイヤレスアンテナ642を経由して受信される着信信号は、復号化され、スピーカ636に送られるようにワイヤレスコントローラ640によってCODEC634へと送られることができる。デジタル信号プロセッサ610はまた、ワイヤレスアンテナ642を経由して受信される信号を復号化するときに、CODEC634についてのデータ処理を実行することもできる。
【0054】
さらに、ワイヤレス通信セッションの前に、ワイヤレス通信セッション中に、あるいはワイヤレス通信セッションの後に、デジタル信号プロセッサ610は、入力デバイス630から受信される入力を処理することができる。例えば、ワイヤレス通信セッション中に、ユーザは、ポータブル通信デバイス600のメモリ632内に埋め込まれたウェブブラウザを経由してインターネットをサーフィンするために、入力デバイス630とディスプレイ628を使用していることができる。プログラムに関連する命令の多くは、1つまたは複数のクロックサイクル中に同時に実行されることができる。DSP610は、単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために利用されることができる。
【0055】
図7を参照すると、ワイヤレス電話の例示の非限定的な一実施形態が示され、全体的に700と指定される。図に示されるように、ワイヤレス電話700は、一緒に結合されたデジタルベースバンドプロセッサ710とアナログベースバンドプロセッサ726を含むオンチップシステム722を含んでいる。特定の一実施形態においては、デジタルベースバンドプロセッサ710は、図1に示され、ここにおいて説明されるVLIWデジタル信号プロセッサなどのVLIWデジタル信号プロセッサである。図7に示されるように、ディスプレイコントローラ728とタッチスクリーンコントローラ730が、デジタルベースバンドプロセッサ710に結合される。次に、オンチップシステム722の外部のタッチスクリーンディスプレイ732が、ディスプレイコントローラ728とタッチスクリーンコントローラ730に結合される。
【0056】
図7はさらに、ビデオエンコーダ734、例えば位相反転線(phase alternating line)(PAL)エンコーダ、順次式カラーメモリ(sequential couleur a memoire)(SECAM)エンコーダ、またはナショナルテレビジョンシステム委員会(national television system(s) committee)(NTSC)エンコーダが、デジタルベースバンドプロセッサ710に結合されることを示している。さらに、ビデオ増幅器736が、ビデオエンコーダ734とタッチスクリーンディスプレイ732とに結合される。また、ビデオポート738も、ビデオ増幅器736に結合される。図7に示されるように、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus)(USB)コントローラ740が、デジタルベースバンドプロセッサ710に結合される。また、USBポート742も、USBコントローラ740に結合される。メモリ744と加入者アイデンティティモジュール(subscriber identity module)(SIM)カード746もまた、デジタルベースバンドプロセッサ710に結合されることができる。さらに、図7に示されるように、デジタルカメラ748も、デジタルベースバンドプロセッサ710に結合されることができる。例示の一実施形態においては、デジタルカメラ748は、電荷結合素子(charge-coupled device)(CCD)カメラ、または相補形金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide semiconductor)(CMOS)カメラである。
【0057】
図7にさらに示されるように、ステレオオーディオCODEC780が、アナログベースバンドプロセッサ726に結合されることができる。さらに、オーディオ増幅器782が、ステレオオーディオCODEC780に結合されることができる。例示の一実施形態においては、第1のステレオスピーカ784と第2のステレオスピーカ786が、オーディオ増幅器782に結合される。図7は、マイクロフォン増幅器788が、ステレオオーディオCODEC780結合されることもできることを示している。さらに、マイクロフォン760が、マイクロフォン増幅器788に結合されることができる。特定の一実施形態においては、周波数変調(frequency modulation)(FM)ラジオチューナ(radio tuner)762が、ステレオオーディオCODEC780に結合されることができる。また、FMアンテナ764が、FMラジオチューナ762に結合される。さらに、ステレオヘッドホン766が、ステレオオーディオCODEC780に結合されることができる。
【0058】
図7はさらに、無線周波数(RF)トランシーバ768が、アナログベースバンドプロセッサ726に結合されることができることを示している。RFスイッチ770が、RFトランシーバ768とRFアンテナ772とに結合されることができる。図7に示されるように、キーパッド774が、アナログベースバンドプロセッサ726に結合されることができる。また、マイクロフォン776を有するモノラルヘッドセット(mono headset)も、アナログベースバンドプロセッサ726に結合されることができる。さらに、バイブレータデバイス778も、アナログベースバンドプロセッサ726に結合されることができる。図7は、電源780が、オンチップシステム722に結合されることができることも示している。特定の一実施形態においては、電源780は、電力を必要とするワイヤレス電話700の様々なコンポーネントに対して電力を供給する直流(direct current)(DC)電源である。さらに特定の一実施形態においては、電源は、再充電可能なDCバッテリ、あるいは交流(alternating current)(AC)から、AC電源に接続されたDCトランス(DC transformer)へと誘導されるDC電源である。
【0059】
特定の一実施形態においては、図7に示されるように、タッチスクリーンディスプレイ732と、ビデオポート738と、USBポート742と、カメラ748と、第1のステレオスピーカ784と、第2のステレオスピーカ786と、マイクロフォン760と、FMアンテナ764と、ステレオヘッドホン766と、RFスイッチ770と、RFアンテナ772と、キーパッド774と、モノラルヘッドセット776と、バイブレータ778と、電源780は、オンチップシステム722の外部にある。デジタルベースバンドプロセッサ(DSP)710は、信号に対して単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために利用されることができる。
【0060】
図8を参照すると、ワイヤレスインターネットプロトコル(IP)電話の例示の非限定的な一実施形態が、示され、全体的に800と指定される。図に示されるように、ワイヤレスIP電話800は、デジタル信号プロセッサ(DSP)804を含むオンチップシステム802を含んでいる。特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサ804は、図1に示され、ここにおいて説明されるVLIWデジタル信号プロセッサなどのVLIWデジタル信号プロセッサである。図8に示されるように、ディスプレイコントローラ806が、DSP804に結合され、ディスプレイ808が、ディスプレイコントローラ806に結合される。例示の一実施形態においては、ディスプレイ808は、液晶ディスプレイ(LCD)である。図8はさらに、キーパッド810が、DSP804に結合されることができることを示している。
【0061】
さらに図8に示されるように、フラッシュメモリ812は、DSP804に結合されることができる。シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(synchronous dynamic random access memory)(SDRAM)814と、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory)(SRAM)816と、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(electrically erasable programmable read only memory)(EEPROM)818も、DSP804に結合されることができる。図8は、発光ダイオード(light emitting diode)(LED)820が、DSP804に結合されることができることも示している。さらに、特定の一実施形態においては、音声CODEC822も、DSP804に結合されることができる。増幅器824が、音声CODEC822に結合されることができ、モノラルスピーカ(mono speaker)826が、増幅器824に結合されることができる。図8はさらに、モノラルヘッドセット828が、音声CODEC822に結合されることもできることを示している。特定の一実施形態においては、モノラルヘッドセット828は、マイクロフォンを含んでいる。
【0062】
図8は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network)(WLAN)ベースバンドプロセッサ830が、DSP804に結合されることができることも示している。RFトランシーバ832が、WLANベースバンドプロセッサ830に結合されることができ、RFアンテナ834が、RFトランシーバ832に結合されることができる。特定の一実施形態においては、Bluetooth(登録商標)コントローラ(Bluetooth controller)836が、DSP804に結合されることもでき、Bluetoothアンテナ(Bluetooth antenna)838が、コントローラ836に結合されることができる。図8はまた、USBポート840が、DSP804に結合されることもできることも示している。さらに、電源842が、オンチップシステム802に結合され、オンチップシステム802を経由してワイヤレスIP電話800の様々なコンポーネントに電力を供給する。
【0063】
特定の一実施形態においては、図8に示されるように、ディスプレイ808と、キーパッド810と、LED820と、モノラルスピーカ826と、モノラルヘッドセット828と、RFアンテナ834と、Bluetoothアンテナ838と、USBポート840と、電源842は、オンチップシステム802の外部にある。しかしながら、これらのコンポーネントのおのおのは、オンチップシステムの1つまたは複数のコンポーネントに結合される。DSP804は、信号に対して単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために利用されることができる。
【0064】
図9は、全体的に900と指定される携帯型個人情報端末(portable digital assistant)(PDA)の例示の非限定的な一実施形態を示している。図に示されるように、PDA900は、デジタル信号プロセッサ(DSP)904を含むオンチップシステム902を含んでいる。特定の一実施形態においては、デジタル信号プロセッサ904は、図1に示され、ここにおいて説明されるVLIWデジタル信号プロセッサなどのVLIWデジタル信号プロセッサである。図9に示されるように、タッチスクリーンコントローラ906とディスプレイコントローラ908が、DSP904に結合される。さらに、タッチスクリーンディスプレイが、タッチスクリーンコントローラ906に、そしてディスプレイコントローラ908に結合される。図9は、キーパッド912が、DSP904に結合されることができることも示している。
【0065】
さらに図9に示されるように、フラッシュメモリ914が、DSP904に結合されることもできる。また、読取り専用メモリ(ROM)916と、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)918と、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)920が、DSP904に結合されることもできる。図9はまた、赤外線データ協会(infrared data association)(IrDA)ポート922が、DSP904に結合されることができることも示している。さらに、特定の一実施形態においては、デジタルカメラ924が、DSP904に結合されることもできる。
【0066】
図9に示されるように、特定の一実施形態においては、ステレオオーディオCODEC926が、DSP904に結合されることができる。第1のステレオ増幅器928が、ステレオオーディオCODEC926に結合されることができ、第1のステレオスピーカ930が、第1のステレオ増幅器928に結合されることができる。さらに、マイクロフォン増幅器932が、ステレオオーディオCODEC926に結合されることができ、マイクロフォン934が、マイクロフォン増幅器932に結合されることができる。図9はさらに、第2のステレオ増幅器936が、ステレオオーディオCODEC926に結合されることができ、第2のステレオスピーカ938が、第2のステレオ増幅器936に結合されることができることを示している。特定の一実施形態においては、ステレオヘッドホン940は、ステレオオーディオCODEC926に結合されることもできる。
【0067】
図9はまた、802.11コントローラ942が、DSP904に結合されることができ、802.11アンテナ944が、802.11コントローラ942に結合されることができることも示している。さらに、Bluetoothコントローラ946が、DSP904に結合されることができ、Bluetoothアンテナ948が、Bluetoothコントローラ946に結合されることができる。図9に示されるように、USBコントローラ980が、DSP904に結合されることができ、USBポート982が、USBコントローラ980に結合されることができる。さらに、スマートカード984、例えばマルチメディアカード(multimedia card)(MMC)またはセキュアデジタルカード(secure digital card)(SD)が、DSP904に結合されることができる。さらに、図9に示されるように、電源986が、オンチップシステム902に結合されることができ、オンチップシステム902を経由してPDA900の様々なコンポーネントに電力を供給することができる。
【0068】
特定の一実施形態においては、図9に示されるように、ディスプレイ910と、キーパッド912と、IrDAポート922と、デジタルカメラ924と、第1のステレオスピーカ930と、マイクロフォン934と、第2のステレオスピーカ938と、ステレオヘッドホン940と、802.11アンテナ944と、Bluetoothアンテナ948と、USBポート982と、電源980は、オンチップシステム902の外部にある。しかしながら、これらのコンポーネントのおのおのは、オンチップシステム上の1つまたは複数のコンポーネントに結合される。DSP904は、信号に対して単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために利用されることができる。
【0069】
当業者は、ここにおいて開示される実施形態に関連して説明される、様々な例示の論理ブロック、コンフィギュレーション、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組合せとしてインプリメントされることができることをさらに認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明らかに示すために、様々な例示のコンポーネント、ブロック、コンフィギュレーション、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の観点から一般的に上記されている。そのような機能がハードウェアとしてインプリメントされるか、あるいはソフトウェアとしてインプリメントされるかは、特定のアプリケーションと、全体的なシステムに課される設計制約条件とに依存する。当業者は、特定のアプリケーションごとに変化する方法で説明される機能をインプリメントすることができるが、そのようなインプリメンテーションの決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0070】
ここにおいて開示される実施形態に関連して説明される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアの形で直接に、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールの形で、あるいはそれら2つの組合せの形で実施されることができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、PROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、着脱可能ディスク、CD−ROM、あるいは当技術分野において知られている他の任意の形態のストレージ媒体の中に存在することができる。例示のストレージ媒体は、プロセッサがストレージ媒体から情報を読み取り、ストレージ媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替案においては、ストレージ媒体は、プロセッサと一体化されていてもよい。プロセッサとストレージ媒体は、ASICの中に存在していてもよい。ASICは、コンピューティングデバイスまたはユーザ端末の中に存在することができる。代替案においては、プロセッサとストレージ媒体は、コンピューティングデバイスまたはユーザ端末の中の個別コンポーネントとして存在することもできる。
【0071】
開示された実施形態の以上の説明は、いずれの当業者も本開示を作りまたは使用することを可能とするために提供されている。これらの実施形態の様々な修正は当業者には容易に明らかであり、そして、ここに定義された包括的な原理は、本開示の精神或いは範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用されることが出来る。従って、本開示は、ここに示された実施形態に限定されるように意図されてはおらず、ここに開示された原理及び新規な特徴と整合する最も広い範囲が与えられるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】信号に対して単一ステージの離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するように適合された超長命令語(VLIW)デジタル信号プロセッサ(DSP)を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるVLIWプロセッサなどのVLIWプロセッサを使用して離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行する方法を示す全体的な図である。
【図3】VLIWプロセッサを使用してDCTオペレーションを実行する方法を示す流れ図である。
【図4】VLIWデジタル信号プロセッサ(DSP)を組み込んだ通信デバイスのブロック図である。
【図5】図4に示されるVLIW DSPなどのVLIW DSPを使用して1次元の8×8のDCTオペレーションを実行する方法を示す流れ図である。
【図6】デジタル信号プロセッサを組み込んだポータブル通信デバイスの全体的な図である。
【図7】デジタル信号プロセッサを組み込んだ例示のワイヤレス電話の全体的な図である。
【図8】デジタル信号プロセッサを組み込んだ例示のワイヤレスインターネットプロトコル電話の全体的な図である。
【図9】デジタル信号プロセッサを組み込んだ例示の携帯型個人情報端末の全体的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離散コサイン変換オペレーションを実行する単一ステージの計算方法であって、
デジタル信号プロセッサを使用して、複数の超長命令語(VLIW)を実行することにより前記離散コサイン変換オペレーションを実行すること、
を備え、
前記複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、前記第1の数は、前記第2の数よりも大きい、
方法。
【請求項2】
前記離散コサイン変換オペレーションは、8ポイントのデータセットに対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記離散コサイン変換オペレーションは、8×8ポイントの行列データセットに対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のVLIW命令は、前記離散コサイン変換が単一ステージの実行で実行されることができるように、データ依存性がない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記離散コサイン変換オペレーションを実行することは、
中間行列を生成するために入力行列データセットの各列に対して1次元の8ポイントのDCT変換オペレーションを適用することと、
変換された行列データセットを生成するために前記中間行列の各行に対して前記の1次元の8ポイントのDCT変換を適用することと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の数の乗算は、30個の乗算オペレーションを備え、そして、前記第2の数の加算は、12個の加算を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
離散コサイン変換オペレーションを実行する方法であって、
入力データセットを受け取ることと、
変換されたデータセットを生成するために前記入力データセットに対して単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために複数の超長命令語を実行することにより前記入力データセットを処理することと、
を備える方法。
【請求項8】
前記入力データセットを処理することは、
前記入力データセットに関連した複数のスカラを計算することと、
複数の積を生成するためにカーネル行列と前記複数のスカラを乗算することと、
前記変換されたデータセットを生成するために前記複数の積を加算することと
を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、前記第1の数は、前記第2の数よりも大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記入力データセットを受け取ることは、8ポイントのデータセットを受け取ることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記入力データセットを受け取ることは、8×8の行列データセットを受け取ることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
単一ステージ離散コサイン変換オペレーションを実行するために1組の超長命令語を記憶するメモリと、
入力データセットから変換されたデータセットを生成するために前記1組の超長命令語を実行するように適合されるデジタル信号プロセッサと、
を備える通信デバイス。
【請求項13】
前記デジタル信号プロセッサは、2つの乗加算オペレーションと、論理演算ユニットオペレーションと、メモリロード/ストアオペレーションとを単一クロックサイクルで実行するように適合される、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項14】
前記デジタル信号プロセッサは、ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ(JPEG)フォーマットに応じて圧縮される画像を処理するように適合される、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項15】
前記デジタル信号プロセッサは、ムービングピクチャエキスパートグループ(MPEG)フォーマットに応じて圧縮されるビデオを処理するように適合される、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項16】
前記デジタル信号プロセッサは、300クロックサイクルよりも短いうちに8×8の変換を実行する、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項17】
前記通信デバイスは、モバイル電話を備える、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項18】
前記通信デバイスは、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)電話を備える、請求項12に記載の通信デバイス。
【請求項19】
加算オペレーションよりも多くの乗算オペレーションを有する離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行する超長命令語(VLIW)の命令セットと、
変換データセットを生成するために入力データセットに対するDCTオペレーションを実行する前記命令セットを実行するように適合されるプロセッサと、
を備えるデジタル信号プロセッサ。
【請求項20】
前記プロセッサは、単一ステージで前記命令セットを実行する、請求項19に記載のデジタル信号プロセッサ。
【請求項21】
前記DCTオペレーションは、加算オペレーションの2倍の乗算オペレーションを含む、請求項19に記載のデジタル信号プロセッサ。
【請求項22】
前記入力データセットは、8×8の行列データセットを備える、請求項19に記載のデジタル信号プロセッサ。
【請求項23】
離散コサイン変換(DCT)オペレーションを定義する複数の超長命令語(VLIW)を備える1組の命令を記憶するための手段と、
入力データセットを受け取るための手段と、
前記入力データセットに対して前記複数の超長命令語(VLIW)を実行することにより前記離散コサイン変換オペレーションを実行するための手段と、
を備え、前記複数の超長命令語は、第1の数の乗算と、第2の数の加算とを含み、前記第1の数は、前記第2の数よりも大きい、
通信システム。
【請求項24】
離散コサイン変換オペレーションを実行する単一ステージの計算方法であって、
離散コサイン変換(DCT)オペレーションを実行するために複数の超長命令語(VLIW)を複数の基本命令へと分解することと、
前記入力データセットに対して離散コサイン変換(DCT)オペレーションを単一ステージで実行するために前記複数の基本命令のうちの少なくとも2つを同時に実行することと、
前記入力データセットに対する前記DCTオペレーションの性能に関連した変換データセットを生成することと、
を備える方法。
【請求項25】
前記複数の超長命令語は、第1の数の乗算と第2の数の加算とを含み、乗算の前記第1の数は、加算の前記第2の数の少なくとも2倍の大きさである、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−516238(P2009−516238A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534745(P2008−534745)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/039279
【国際公開番号】WO2007/044598
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】