説明

VLPおよびアミロイドβペプチドを含む組成物

【課題】 Aβ−1−42ペプチドのフラグメントおよび薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物(以下「構築物」と称する)の新規使用、特に認知症、特にアルツハイマー型の認知症の処置のための「構築物」の投与に関する投与レジメン、投与様式および投与形態を提供すること。
【解決手段】 Aβ−1−42ペプチドのフラグメントおよび薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物(以下「構築物」と称する)の新規使用、特に認知症、特にアルツハイマー型の認知症の処置のための「構築物」の投与に関する投与レジメン、投与様式および投与形態を見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントおよび薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物(以下「構築物」と称する)の新規使用、特に認知症、特にアルツハイマー型の認知症、とりわけ軽度から中程度のまたは重度のアルツハイマー病(AD)、およびアミロイド血管症を有する血管性認知症を有する患者の処置のための「構築物」の投与に関する投与レジメン、投与様式および投与形態、「構築物」の投与に応答して温血動物、とりわけヒト免疫系により生じる免疫細胞、とりわけ抗体産生細胞および抗体、ならびに遺伝子またはそのフラグメントの単離法、このような抗体の製造法、およびこのような抗体の医薬的使用法に関する。
【0002】
本発明は、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントおよび薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物(以下「構築物」と称する)の新規使用、特にAβが高レベルである患者、限定すべきではないがパーキンソン病に関連する認知症、レヴィー小体認知症を有する患者の処置用「構築物」の投与に関する投与レジメン、投与様式および投与形態に関する。
【0003】
本発明は、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントおよび薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物(以下「構築物」と称する)の新規使用、特にADを発症する危険性のある対象、限定すべきではないが、軽度の認識機能障害を有する対象、ApoE4のようなADに関連する既知の遺伝子型を有する対象、トリソミー21を有する対象およびADの危険性を示す代理マーカーを有する対象の予防処置のための「構築物」の投与に関する投与レジメン、投与様式および投与形態に関する。
【背景技術】
【0004】
老人性アミロイドプラークの主要な要素であるβ−アミロイドペプチドが、ADにおける因果的役割を果たすことを示唆する、重要な証拠が蓄積している。ADの好結果の疾患修飾治療は、脳のβ−アミロイドの沈着に影響する生成物を含む可能性が高い。能動的に免疫系により生じるまたは受動的に投与されるAβ−特異的抗体が、Aβ−アミロイド症の様々なトランスジェニックマウスモデルのプラークの重荷を常に縮小させる。しかし、Aβ−抗体を生じるためにAD患者の免疫系を刺激する最初の臨床的試みは、許容できない副作用(処置された患者の6%に髄膜脳炎[Orgogozo JM, Gilman S, Dartigues JF, Laurent B, Puel M, Kirby LC, Jouanny P, Dubois B, Eisner L, Flitman S, Michel BF, Boada M, Frank F, Hock C (2003)]、Aβ42免疫処置後ADを有する患者の一部に亜急性髄膜脳炎、Neurology; 61: 46-54.)によって中断しなければならなかった。
【発明の概要】
【0005】
驚くべきことに、より少ない有害な免疫反応およびより少ない微出血の発生が、本明細書に記載の「構築物」で観察される。特に、有害な免疫反応も微出血の増加した発生も、Aβ−1−6ペプチドに化学的に結合しているVLPからなる「構築物」で観察されない。
【0006】
本発明の第1の局面において、驚くべきことに「構築物」は有利に、認知症を有する温血動物、とりわけヒトに皮下投与できることを見いだした。
【0007】
本発明のさらなる局面において、驚くべきことに「構築物」は有利に、認知症を有する温血動物、とりわけヒトに筋肉内投与、鼻腔内投与および経口投与できることを見いだした。
【0008】
第2の局面において、本発明は、「構築物」の皮下投与のための投与形態を提供する。「構築物」の皮下投与のための好ましい投与形態は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、0.25から0.75mg/mL「構築物」、好ましくは0.4から0.6mg/mL、例えば0.5mg/mLの「構築物」を含み、さらなる賦形剤無しの水溶液である。該投与形態は、使用直前まで冷凍したままでよい。該投与形態は、好ましくは温血動物に、とりわけ腹部にシリンジで皮下注射により投与する。投与形態の解凍のために、該投与形態は室温で約15分から45分間、例えば30分間、放置できる。好ましくは、薬剤吸引前に、潜在する目に見えない物質の分散のためにバイアルを穏やかに数回反転させる。
【0009】
本発明で使用されるとおりの「構築物」は、それ自体既知である。例えば、CytosのWO 00/3227は、コア粒子(例えばVLP)、リンカーおよび抗原を含み一緒に秩序および反復抗原アレイを形成する構築物を提供するための技術を開示する。CytosおよびNovartisのWO 02/056907は、バクテリオファージ、例えばQβの組み換えタンパク質を含むVLP、リンカーおよび抗原、例えばAβ1−42またはそのフラグメントを含み、一緒に秩序および反復抗原アレイを形成する構築物を開示する。好ましくは、本明細書で使用される「構築物」は、Aβ1−42ペプチドのフラグメントに、より好ましくはAβ−1−6に二価のリンカーで化学的に結合している高秩序のVLP構造物へ自己集合したRNAバクテリオファージ、より好ましくはRNAバクテリオファージQβのカプシドタンパク質からなる。「構築物」は、WO 00/3227、WO 02/056907またはWO2004/016282、とりわけ実施例13に記載のとおりに製造、精製および投与でき、本明細書に引用されている特許出願ならびに文献、とりわけ実施例の最終産物は出典明示により本明細書に包含させる。
【0010】
本明細書で使用される“処置”なる用語は、特に疾患に至る発病過程の進行の停止を目的とするおよび/または対症効果を有する処置に関する。
【0011】
本明細書で使用される“予防処置”なる用語は、特に疾患に至る発病過程の停止を目的とする処置に関する。
【0012】
本明細書で使用される“アルツハイマー型の認知症”なる用語は、特にDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition (DSM-IV)基準によって定義されるとおりの疾患に関する。
【0013】
第3の局面において、本発明は、処置を必要とするヒト患者に、約4から8週間ごと、好ましくは約5から7週間ごと、特に約6週間ごとに、5から175μg、好ましくは15から125μg、より好ましくは約25から100μg、例えば50μgまたは75μgの「構築物」を投与することを含む、ヒト患者の認知症の処置法に関する。
【0014】
本発明の第4の局面において、処置を必要とするヒト患者に、約4から8週間ごと、好ましくは約5から7週間ごと、特に約6週間ごとに、5から1000μg、好ましくは5から300μg、より好ましくは約50から200、より好ましくは50−150μg、例えば50μg、75μg、100μg、125μgまたは150μgの「構築物」を投与することを含む、ヒト患者の認知症の処置法に関する。
注射の頻度は、患者の応答に依存して変化できる。
【0015】
例えば、注射を抗体力価にしたがって投与すべきであれば、投与の頻度は変化できる。
上記疾患の処置における「構築物」の実用性は、適当な臨床試験、例えば実施例に記載のもの、例えば患者に4から8週間ごとに、25から100μgの「構築物」の全1日用量を適用する試験で行うことができる。
【0016】
適当な臨床試験は、特にアルツハイマー病患者の無作為化、二重盲検式、プラセボ対照、平行試験、またはオープンラベル試験である。
【0017】
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1種の「構築物」および少なくとも1種の向知性剤、好ましくは1種のコリンエステラーゼ阻害剤またはメマンチンを含む組合せ剤に関する。
【0018】
本明細書で使用される“向知性剤”なる用語は、限定すべきではないが、向知性の植物抽出物、カルシウムアンタゴニスト、コリンエステラーゼ阻害剤、ジヒドロエルゴトキシン、ニセルゴリン、ピラセタム、プリン誘導体、ピリチノール、ビンカミンおよびビンポセチンを含む。
【0019】
本明細書で使用される“向知性の植物抽出物”なる用語は、限定すべきではないが、イチョウ葉由来の抽出物を含む。本明細書で使用される“カルシウムアンタゴニスト”なる用語は、限定すべきではないが、シンナリジンおよびニモジピンを含む。本明細書で使用される“コリンエステラーゼ阻害剤”なる用語は、限定すべきではないが、ドネペジルヒドロクロライド、リバスチグミンおよびガランタミンヒドロブロマイドを含む。本明細書で使用される“プリン誘導体”なる用語は、限定すべきではないが、ペンチフィリンを含む。
【0020】
イチョウ葉由来の抽出物は、例えば商標名GinkodilatTMの下に、例えば販売されている形で、添付文書により提供される情報にしたがって投与できる。シンナリジンは、例えば商標名Cinnarizin forte−ratiopharmTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ニモジピンは、例えば商標名NimotopTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ドネペジルヒドロクロライドは、例えば商標名AriceptTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。リバスチグミンは、US 5,602,176に記載のとおりに製造できる。それは、例えば商標名ExelonTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ガランタミンヒドロブロマイドは、例えば商標名ReminylTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ジヒドロエルゴトキシンは、例えば商標名HyderginTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ニセルゴリンは、例えば商標名SermionTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ピラセタムは、例えば商標名CerebroforteTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ペンチフィリンは、例えば商標名CosaldonTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ピリチノールは、例えば商標名EncephabolTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。ビンポセチンは、例えば商標名CavintonTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。メマンチンは、例えば商標名AxuraTMまたはNamendaTMの下に、例えば販売されている形で投与できる。
【0021】
コードナンバー、一般名または商標名により同定される活性成分の構造は、標準概論“The Merck Index”の現版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から得ることができる。それらの対応する内容を出典明示により本明細書に包含させる。
【0022】
したがって、本発明は、同時に、個別にまたは連続して使用するための、とりわけ認知症の処置法に使用するための、本発明の「構築物」、および向知性の植物抽出物、カルシウムアンタゴニスト、コリンエステラーゼ阻害剤、ジヒドロエルゴトキシン、ニセルゴリン、ピラセタム、プリン誘導体、ピリチノール、ビンカミンおよびビンポセチンまたはメマンチンからなる群から選択される少なくとも1種の向知性剤(活性成分はそれぞれの場合に、遊離形または薬学的に許容される塩形で存在する)ならびに所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組合せ剤にも関する。
このような組合せ剤は、好ましくは組合せ製剤である。
【0023】
他の薬剤は、「構築物」、例えばSRI、SNRI、NRIのような抗鬱剤、リスペリドンのような抗精神病剤、インシュリンまたはメトホルミンのような抗糖尿病剤、セレギリン、ビタミンEのような抗酸化剤、NSAIDのような抗炎症剤、スタチンのような脂質低下剤、エストロゲンのようなホルモン置換剤、βセクレターゼ(abeta secretase)阻害剤のようなアミロイド低下剤、βシート阻害剤のような凝集阻害剤、キレート剤、酢酸グラチラマーのような免疫調節剤と組み合わせて使用できる。
【0024】
本明細書で使用される“組合せ製剤”なる用語は、上記のとおりの活性成分を独立して、または異なる量の成分を有する様々な固定された組合せ剤の使用により、すなわち同時にまたは異なる時点で投与できるという意味で、とりわけ“複数パーツのキット”と定義する。次いで複数パーツのキットのパーツは、例えば、同時にまたは異なる時点で、すなわち、異なる時点で、かつ任意の複数パーツのキットのパーツと等しいまたは異なる時間間隔で投与できる。好ましくは、時間間隔は、パーツの組合せた使用で処置される疾患に対する効果が、任意の1種のみの活性成分の使用により得られる効果よりも大きいように選択する。
【0025】
したがって、本発明は、また下記を提供する
・認知症、特にアルツハイマー病の処置用医薬の製造のための本明細書に記載の組合せ剤の使用;および
・本明細書に記載の組合せ剤と認知症、特にアルツハイマー病の処置における、同時に、個別にまたは連続して使用するための指示書を一緒に含む、市販用パッケージ。
【0026】
本発明の好ましい態様において、組合せパートナー(b)は、コリンエステラーゼ阻害剤、とりわけリバスチグミンまたはメマンチンである。
【0027】
組合せパートナーを単一の投与形として投与するとき、用量および投与経路は、添付文書により提供されるとおり適用できる。特に、組合せパートナー(b)を下記の用量で患者に投与できる:
【0028】
シンナリジンは約75から約150mgの全一日用量で患者に投与され得る。
ニモジピンは約60から約120mgの全一日用量で患者に投与され得る。
ドネペジルヒドロクロライドは約5から約10mgの全一日用量で患者に投与され得る。
リバスチグミンは約6から約12mgの全一日用量で患者に投与され得る。
ガランタミンは約12から約24mg、例えば12mgで一日二回の全一日用量で患者に投与され得る。
ジヒドロエルゴトキシンは約4から約10mg、例えば約8mgの全一日用量で患者にメタンスルホネートの形で投与され得る。
ニセルゴリンは約4から約8mgの全一日用量で患者に筋肉内注射により酒石酸エステルの形で投与され得る。
ガランタミンは約1200から約5000mg、例えば4800mg/日の全一日用量で患者に投与され得る。
ペンチフィリンは約400から約800mgの全一日用量で患者に投与され得る。
ピリチノールは約600mgの全一日用量で患者に塩酸エステルの形で投与され得る。
ビンポセチンは約10から約15mgの全一日用量で患者に投与され得る。
メマンチンは例えば約20mgの全一日用量で患者に塩酸メマンチンの形で投与され得る。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、「構築物」により誘導されるAβ1−42に対するヒトモノクローナル抗体、好ましくはAβ−1−42のN末端を認識するAβ抗体を提供する。
【0030】
ヒト患者の血液から単離されたB細胞由来ヒトモノクローナル抗体を作製するための効果的な方法は、Elisabetta Traggiai, Stephan Becker, Kanta Subbarao, Larissa Kolesnikova, Yasushi Uematsu, Maria Rita Gismondo, Brian R Murphy, Rino Rappuoli & Antonio Lanzavecchia in Nature Medicine 10, 871 - 875 (2004)により記載されており、また本文献を出典明示により本明細書に包含させる。
【実施例】
【0031】
下記の実施例1から4において、男性および女性患者は、MMSEスコア16から26(両端を含む)で確認されるとおりの軽度から中程度のADを有する50から80歳(両端を含む)であり、(同居しているか、一人暮らしならば毎日連絡を取る)介護人のいる外来患者であり、アルツハイマー型の認知症に関してDSM−IV基準を満たし、そして神経障害およびコミュニケーション障害ならびに卒中の国立研究所(NINCDS−ADRDA)によりほぼ確実な(probable)ADであるという臨床診断の基準を満たしている。各患者は4週間のスクリーニング期間(−28日目から−1日目)、ベースライン期間(0週目の1日目の投与前)、0、6および18週目の外来条件下3度の単一投与処置(1日目、43日目、127日目)、2から4週間隔で2、4、8、12、16、20、22、26、30および34週目のさらなる10回の外来(すなわち試験15、29、57、85、113、141、155、183、211および239日目)、および42および52週目の2回のさらなる外来(すなわち試験295および365日目)に参加する。安全評価は、一般的な身体検査、神経学的診察、12誘導心電図(ECG)、生命徴候、標準臨床検査評価(血液学、血液化学、尿検査)、血液および脳脊髄液(CSF)の特別な免疫学検査評価、脳の核磁気共鳴映像法(MRI)、ならびに有害事象および重篤な有害事象モニタリングを含む。さらに、患者および介護人は、健康状態の何らかの予期しない悪化に注意するよう(言葉でおよび文書で)指示される。
【0032】
Aβ−抗体反応は、ELISA法を使用し、血清およびCSFのAβ−抗体力価(IgGおよびIgM)の測定により評価する。ex vivoでの血清およびCSFのAβ−抗体結合特性は、ヒトおよびβ−アミロイド前駆物質タンパク質(APP)トランスジェニックマウス脳組織の免疫学的方法により探求する。血清のVLP−抗体力価反応は、Aβへの免疫反応に関して担体化合物への免疫反応を調査することで評価する。
【0033】
調査する薬理学的評価は下記の評価を含む:1)CSF(Aβペプチドおよびそのイソ型、タウタンパク質およびそのイソ型、リン酸タウ)および血漿(Aβペプチドおよびそのイソ型)における疾患関連マーカーの測定;2)容積測定のMRI、3)一組の神経心理学的試験、ミニメンタルステート検査(MMSE)、臨床的認知症評価(CDR)およびアルツハイマー病共同調査−日常生活調査(ADCS−ADL)、および4)脳内のβ−アミロイド斑のin vivo検出のために開発された新規β−アミロイド選択的トレーサーである11C−Pittsburgh Compound−B(11C−PIB)および18F−フルオロデオキシグルコース(18FDG)を用いた陽電子放射断層撮影法。
【0034】
応答者は、Aβ−特異的抗体力価のベースラインを超える顕著な増加を示す、および最近の三度の注射後に血清中のIgMからIgGへの抗体イソ型スイッチを示す、患者と定義する。Aβ−特異的抗体力価は、較正値としての標準血清に関して、特異的抗体を検出するアッセイである、有効な酵素免疫吸着測定法(ELISA)の定量下限濃度(LLOQ)を超える力価として定義する。
【0035】
実施例1:軽度から中程度のアルツハイマー病(AD)を有する患者における、25μgの「構築物」の3度の皮下注射での一施設、無作為化、二重盲検式、プラセボ対照試験
全30名の患者を「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で与えるために無作為化する。二重盲検条件下で、24名の患者に活性薬剤「構築物」を与え、そして6名の患者にプラセボを与える。25μgの「構築物」またはプラセボの3度のs.c.注射を、各患者に、0、6および18週目に投与する。
【0036】
実施例2:軽度から中程度のアルツハイマー病(AD)を有する患者における、50μgの「構築物」の3度の皮下注射での一施設、無作為化、二重盲検式、プラセボ対照試験
全30名の患者を「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で与えるために無作為化する。二重盲検条件下で、24名の患者に活性薬剤「構築物」を与え、そして6名の患者にプラセボを与える。50μgの「構築物」またはプラセボの3度のs.c.注射を、各患者に、0、6および18週目に投与する。
【0037】
実施例3:軽度から中程度のアルツハイマー病(AD)を有する患者における、100μgの「構築物」の3度の皮下注射での一施設、無作為化、二重盲検式、プラセボ対照試験
全30名の患者を「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で与えるために無作為化する。二重盲検条件下で、24名の患者に活性薬剤「構築物」を与え、そして6名の患者にプラセボを与える。100μgの「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で、各患者に、0、6および18週目に投与する。
【0038】
実施例4:血清の抗体力価の測定
血液サンプルを直接静脈穿刺により採取する。全10mLの静脈血を平壁チューブに回収する。該サンプルを45分間室温で凝固させ、次いで10分間約2500gで遠心する。血清チューブを静脈穿刺後60分以内に冷凍させ、行っている分析中<−70℃で維持する。
【0039】
実施例5:軽度から中程度のアルツハイマー病(AD)を有する患者における、150μgの「構築物」の3度の皮下注射での一施設、無作為化、二重盲検式、プラセボ対照試験
全30名の患者を「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で与えるために無作為化する。二重盲検条件下で、24名の患者に活性薬剤「構築物」を与え、そして6名の患者にプラセボを与える。150μgの「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で、各患者に、0、6および18週目に投与する。
【0040】
実施例6:軽度から中程度のアルツハイマー病(AD)を有する患者における、300μgの「構築物」の3度の皮下注射での一施設、無作為化、二重盲検式、プラセボ対照試験
全30名の患者を「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で与えるために無作為化する。二重盲検条件下で、24名の患者に活性薬剤「構築物」を与え、そして6名の患者にプラセボを与える。300μgの「構築物」またはプラセボを3度のs.c.注射で、各患者に、0、6および18週目に投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下投与されることを特徴とする、認知症の処置用医薬組成物の製造のための、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているウイルス様粒子(VLP)構造物からなる構築物の使用。
【請求項2】
認知症がアルツハイマー型の認知症またはアミロイド血管症を有する血管性認知症である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
限定すべきではないがパーキンソン病に関連する認知症、レヴィー小体認知症を有する患者を含む、Aβが高レベルである患者の処置用医薬組成物の製造のための、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
限定すべきではないが軽度の認識機能障害を有する対象、ApoE4のようなアルツハイマー病に関連する既知の遺伝子型を有する対象、トリソミー21を有する対象およびアルツハイマー病の危険性を示す代理マーカーを有する対象を含む、アルツハイマー病を発症する危険性のある対象の予防処置用医薬組成物の製造のための、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
Aβ−1−42ペプチドのフラグメントと化学的に結合しているVLP構造物からなる構築物を全量約5から175μg/4から8週間で投与する、請求項1から4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
構築物がAβ−1−42ペプチドのフラグメントと二価のリンカーで化学的に結合している高秩序のVLP構造物へ自己集合したRNAバクテリオファージのカプシドタンパク質からなる、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
カプシドタンパク質をRNAバクテリオファージQβから得る、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
Aβ−1−42ペプチドのフラグメントがAβ−1−6である、請求項6または7に記載の使用。
【請求項9】
約4から8週間ごとに処置を必要とするヒト患者に、5から300μgのAβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているVLP構造物を含む構築物を投与することを含む、ヒト患者の認知症の処置法。
【請求項10】
0.25から0.75mg/mLのAβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているVLP構造物およびリン酸緩衝食塩水を含む水溶液。
【請求項11】
Aβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容される塩と化学的に結合しているVLP構造物からなる少なくとも1種の構築物、および向知性剤、メマンチン、SSRI、SNRI、NRIのような抗鬱剤、リスペリドンのような抗精神病剤、メトホルミンのような抗糖尿病剤、セレギリン、ビタミンEのような抗酸化剤、NSAIDのような抗炎症剤、スタチンのような脂質低下剤、エストロゲンのようなホルモン置換剤、βセクレターゼ阻害剤のようなアミロイド低下剤、βシート阻害剤のような凝集阻害剤、キレート剤、酢酸グラチラマーのような免疫調節剤から選択される少なくとも1種の薬剤を含む組合せ剤。
【請求項12】
認知症の処置用医薬の製造のための請求項11に記載の組合せ剤の使用。
【請求項13】
請求項11に記載の組合せ剤と認知症の処置における同時に、個別にまたは連続して使用するための指示書を一緒に含む市販用パッケージ。
【請求項14】
解離定数<1000nMで、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントと化学的に結合しているVLP構造物に結合することができる結合分子。
【請求項15】
解離定数<1000nMでAβ−1−42に結合でき、Aβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているVLP構造物の投与に応答してヒト免疫系で生じるAβ−1−42に対するモノクローナルヒト抗体である結合分子。
【請求項16】
Aβ−1−42のN末端を認識する、請求項14または15に記載の結合分子。
【請求項17】
Aβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているVLP構造物の投与に応答してAβに対するヒト抗体を産生する免疫細胞の単離法。
【請求項18】
Aβ−1−42ペプチドのフラグメントまたは薬学的に許容されるその塩と化学的に結合しているVLP構造物の投与に応答してヒト免疫系で生じるAβ1−42に対するモノクローナルヒト抗体の単離法。
【請求項19】
請求項14から16のいずれかに記載の結合分子またはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項19に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項21】
医薬としての請求項14から16のいずれかに記載の結合分子の使用。

【公開番号】特開2011−157395(P2011−157395A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102847(P2011−102847)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2007−536128(P2007−536128)の分割
【原出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】