説明

WLANを検出する方法、基地局、移動局、通信システム、及びコンピュータプログラム

基地局を動作させる工程を有する方法が開示される。その動作は複数の移動局に対する同期を提供することと、同報通信専用セルを運用する基地局から、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)との通信を可能とするアクセスポイントについての情報を含む情報を同報することから成る。そのアクセスポイントのアクセス領域と同報通信専用セルは実質的に同じ領域をカバーする。それ故に、その同報情報を受信することができる移動局は、アクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになる。対応する基地局、移動局、通信システム、及びコンピュータプログラムも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基地局を動作させる方法、そのような基地局、移動局、通信システム、及びコンピュータプログラムに関する。特に、本発明はセルラネットワークについての改良したアプローチ、及び、そのセルラネットワークのカバレッジ領域内に存在するジェネリックアクセスネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)は、GSMやWCDMAサービスのような通信サービスがブロードバンドアクセスネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、或は、Bluetooth(登録商標)無線技術によって配信されることを可能にする技術である。
【0003】
例えば、WLANなどを介したGAN通信能力を備えたセルラ電話や他の類似の移動体機器は通常、WLANとBluetooth(登録商標)アクセスポイントとの内の少なくともいずれかへアクセスするために連続的に或は周期的にサーチを行う。このことにより無視できない量の電池電力を消費することが分かっている。それ故に、電力削減のために種々の試みがなされ、そのために、例えば、特許文献1或は特許文献2に開示されているように、移動局が動作しているセルに存在することがレポートされるWLANがあるかどうかをセルラシステムが示唆するのである。特許文献1はWLANサービスの検出と選択とのための方法と装置とを開示している。リモート局は1個か2個のチューナーを用いて、セルラの呼び出しインジケータとWLANのビーコンをスキャンするかもしれない。WLANのカバレッジが利用可能であれば、パケットデータのセションがそこに転送されるかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/117190号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0165563号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、WLANが存在しないと、移動局はWLANを探索するためにエネルギーを浪費する必要がない。しかしながら、ある状況では、CDMA450に関していうと、通信セルは約7500km2の領域をカバーすることがある。一方、WLANはわずかに数100km2をカバーするに過ぎない。そのような場合、WLANがそのセルに存在するという情報が使用されるかどうかは疑問であり、移動局のユーザが自分の移動局が電力節減モードで動作していると考え、それにもかかわらず電池電力を消耗しており、そして、おそらくは案内されたWLANを見つけることがないなら、特に悩ましいことであるかもしれない。それ故に、電力消費に関してWLANサーチの効率を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基地局は、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信へのアクセスのためにWLANをサーチすることにより、利用可能なWLANは存在するかもしれないが、多くのエネルギー、従って、多くの電池容量を浪費する場合もあるという理解に本発明は基づいている。本発明はさらに、移動局は通常、そのセルラ環境についての情報取得を実行するという理解に基づいている。発明者は上述のことによって、理解と、WLANはいつ利用可能であるかについて移動局に注意を喚起するセルラの機構を用いた設計の準備とを明らかにした。発明者はこのことが電力消費を削減することを見いだしただけではなく、移動局のユーザに対してWLANへのアクセスが成功する予測をも改善するであろうことを見いだした。
【0007】
本発明を第1の側面から見れば、基地局を動作させる方法が備えられる。その動作は、複数の移動局に対して同期を提供し、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信を可能にするアクセスポイントについての情報を有する情報を同報通信専用セル基地局から同報することから成る。ここで、前記アクセスポイントのアクセス領域と前記同報通信専用セルとは、同報する情報を受信する可能な複数の移動局が前記アクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになるように実質的に同じ領域をカバーする。このことの利点は、移動局がセルラ機構によりWLANの利用可能性に気付くまでWLANアクセスのサーチを実行しなくでも良い点にある。このアプローチにより、伝統的な従来のアプローチに従ってWLANアクセスのサーチを連続的に行うことと比較して電力を節約できる。
【0008】
同報される情報はさらに、アドバタイズ情報を有すると良い。ここで、アドバタイズとは製品やサービスを一般の人々に販売することを厳密に意味するのではなく、政党、利益団体、軍隊、或は、他の組織が新入会員や社員、情報を提供する組織、公共サービスの案内などを求めていることを含むこともある。このことの利点は、移動局が案内によりローカルな情報を取得できる点にある。他の利点には、WLANの備えがスポンサーのアドバタイズでも良い点がある。更なる他の利点には、そのアドバタイズがWLANにアクセスすることをよりユーザフレンドリな動作にすることが可能とし、例えば、そのアドバタイズ情報がWLANへの接続を確立するためのヘルプ情報を含んでも良いことがある。
【0009】
その方法はさらに、別の通信セルを運用する別の基地局により、前記同報通信専用セルについての情報を提供することをさらに含んでも良い。ここで、前記別の通信セルは前記アクセスポイントのアクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きいカバレッジ領域を有し、前記同報通信専用セルは実質的に前記別の通信セル内に存在する。このことの利点には、移動局が、その移動局が既に通信を行っているかもしれないセルから、同報通信専用セルについての知識を得る点にある。その同報通信専用セルについての情報を提供することはさらに、隣接セルリストに前記同報通信専用セルを含ませることと、前記隣接セルリストを前記別の通信セル内或は前記別の通信セルの近傍の移動局に提供することとを含むと良い。このことの利点は、セルについての知識を得るための現存する道具を用いて、同報通信専用セル、つまり、利用可能なWLANについての注意を喚起できる点にある。
【0010】
本発明を第2の側面から見れば、同報通信専用セルを運用するように構成された基地局が備えられる。その基地局は、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信を可能にするアクセスポイントについての情報を有する情報を同報するように構成された送信機を有する。その基地局は前記アクセスポイントとともに、前記同報通信専用セルと前記アクセスポイントのアクセス領域とが実質的に同じ領域をカバーするように構成される。このことは利点は、通信上の通信セルと比較して機能的に限定された同報通信専用セルを運用する経済的にも見込みのある基地局の提供にある。更なる利点には、そのような基地局はWLANのアクセスポイントと同じ場所に配置し、協働させるにも適している点にある。
【0011】
前記同報通信専用セルは別の基地局により運用される別の通信セル内に実質的に配置されると良い。前記別の通信セルは前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きいカバレッジ領域を有していると良い。前記同報通信専用セルについての情報は前記別の通信セルの前記別の基地局より提供されると良い。その基地局はさらにアドバタイズ情報を同報するように構成されると良い。このことは利点は、本発明の第1の側面の同様の特徴に関して明示したものと同様である。
【0012】
本発明を第3の側面から見れば、セルラ通信とジェネリックアクセスネットワーク(GAN)の両方の機能を有し、動作のモードを有する移動局が備えられる。ここで、その移動局は、前記動作のモードで動作するときには、同報専用の基地局と同期し、GANのアクセスポイントについて前記同報専用の基地局からの同報メッセージを、同報通信専用セルを運用する前記同報専用の基地局から受信するように構成される。ここで、前記アクセスポイントのアクセス領域と前記同報通信専用セルとは、前記移動局が前記同報する情報を受信することが可能であれば、前記アクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになるように実質的に同じ領域をカバーする。このことは利点には、移動局がセルラ機構によりWLANの利用可能性に気付くまでWLANアクセスのサーチを実行しなくても良い点にある。このアプローチにより、伝統的な従来のアプローチに従ってWLANアクセスのサーチを連続的に行うことと比較して電力を節約できる。
【0013】
移動局はさらに、前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きなカバレッジ領域をもつ現在動作中の双方向通信セルを運用している基地局から、前記同報通信専用セルの存在についての情報を受信するときに、動作の二次モードに移行するのを可能とするように構成されると良い。前記受信には前記現在動作中の通信セル内に実質的には位置している前記同報通信専用セルについての情報を含む。このことの利点は、本発明の第2の側面に従う基地局を移動局が扱うことができる点にある。
【0014】
移動局はさらに、前記アクセスポイントについての前記同報の情報を前記同報専用の基地局より受信するとき、GAN通信のためWLANにアクセスするのを開始するようさらに構成されていると良い。その移動局はさらに、前記同報専用の基地局から同報されたアドバタイズ情報を受信するようにさらに構成されていると良い。その移動局はさらに、前記同報通信専用セルについての情報を含む隣接セルリストを受信するように構成されていると良い。このことの利点は、本発明の第1の側面の同様の特徴について明示されたものと同様とである。
【0015】
本発明を第4の側面から見れば、通信システムが備えられる。その通信システムは、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)へのアクセスを提供するように構成された少なくとも1つのアクセスポイントと、前記アクセスポイントと関係した同報通信専用セルを運用するように構成された本発明の第2の側面に従う少なくとも1つの基地局と、前記基地局及び前記アクセスポイントとともに動作するように構成された本発明の第3の側面に従う少なくとも1つの移動局とを有する。
【0016】
その通信システムは、通信のためのセルを運用するよう構成された少なくとも1つの別の基地局をさらに有し、前記別の基地局は前記同報通信専用セルについての情報を提供すると良い。ここで、前記同報通信専用セルは前記通信のためのセルの領域内に実質的に位置し、前記通信のためのセルは、前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きなカバレッジ領域を有する。これらの特徴の利点は、本発明の第1の側面の同様の特徴について明示されたものと同様である。
【0017】
本発明を第4の側面から見れば、コンピュータプログラムが備えられる。そのコンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されるとき、本発明の第1の側面から見た場合の方法を前記プロセッサに実行させる命令を有する。このことの利点は、本発明の第1の側面の同様の特徴について明示したのと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に従う、アクセスポイントとともに基地局が配置されたセルラ通信システムの一部を示す図である。
【図2】本発明の実施例に従う、セルを運用する基地局を有するセルラ通信システムの一部を示す図である。
【図3】本発明の実施例に従う、基地局により運用される複数のセルを備えたセルラ通信システムの一部を示す図である。
【図4】本発明の実施例に従う、同報専用の基地局を図示する機能ブロック図である。
【図5】通信セルに存在する移動局の動作モードを示す状態図である。
【図6】本発明の実施例に従う、同報専用の基地局を図示する機能ブロック図である。
【図7】同報専用の基地局を動作させる方法を示すフローチャートである。
【図8】同報通信専用セルについての情報を提供する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3は無線通信機器の通信セルとカバレッジの代表的な環境における受信機と送信機とを図示している。これらの図は本発明の原理を例示するために描かれており、その図面はきちんとした縮尺によって描かれていると考えるべきではない。
【0020】
図1は本発明の実施例に従うセルラ通信システム100の一部を図示しており、そのシステムは、無線ローカルエリアネットワーク、Bluetooth(登録商標)などのトランシーバのようなジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信のためのアクセスポイント104と同じ場所に配置された基地局102を備え、基地局102により備えられるセル106はアクセスポイント104のアクセス領域108と同じ領域を実質的にはカバーしている。基地局102は同報通信専用の基地局である。即ち、移動局110が滞留している基地局から基地局102へのハンドオーバはない。その代わり、その移動局は基地局102と同期だけをとることができ、基地局102からの同報メッセージを受信することができる。同報メッセージはアクセスポイント104についての情報を含む。アクセス領域108とセル106とは実質的に同じ領域をカバーするのであるから、基地局102に同期し、基地局102からの同報メッセージを受信することが可能なので、移動局110は、アクセスポイント104へのアクセスが可能であるか或は少なくともたぶん可能であることについての知識を得ることができる。同報メッセージは、プロトコルや周波数などの、アクセスポイント104にアクセスすることについての情報を含むことが好ましい。
【0021】
図2は本発明の実施例に従うセルラ通信システム200の一部を図示しており、そのシステムはセル204を運用する基地局202を備えている。セル204には、いくつかの移動局206−1,206−2,……,206−mが存在し、基地局202に滞留する、即ち、セルラ通信システム200の能力に従う、例えば、発呼したり、呼を受信したり、メッセージングを行ったり、データ通信を行ったりするなどのサービスをする基地局202と通信することができる。
【0022】
セル204内には、図1に関して明示したように、アクセスポイント104と同じ位置に配置された同報通信専用の基地局102がある。基地局202は複数の移動局に隣接セルリストを提供する。そのリストには周辺セル(不図示)についての情報と、同報専用セルについての情報も含む。隣接セルリストには同報専用セル106がハンドオーバが可能ではないことの示唆があることが好ましい。また、同報通信専用の基地局102を聴取することを可能にする、周波数やコードなどについての情報があることが好ましい。
【0023】
移動局206−1,206−2,……,206−mが隣接セルリストをもつので、これらの移動局は同報通信専用の基地局102を聴取することができ、移動局206−1,206−2,……,206−mのいずれかが同報通信専用の基地局102からの信号を受信でき、従って、同報メッセージに同期して受信することが可能であるとき、その移動局は同報メッセージによって与えられた情報に基づいてアクセスポイント104にアクセスすることもできる。従って、移動局はWLANのための周波数でWLANアクセスのためのスキャンをする必要はなく、必要なのはただ、アクセス可能なWLANがあるかどうかの知識を得るためにセルラの隣接セルへの注意喚起に関する既に実行中の機構を用いることである。それ故に、WLANアクセスのために利用可能な周波数のいずれかについて連続的にスキャンを行うことと比較して電力が節約できる。
【0024】
より詳細には、移動局206−1,206−2,……,206−mが知識を得るために取得する、同報通信専用の基地局102により運用される同報専用セルについての知識は、アクセスポイント104の存在を示唆するセルである。この情報は、同報専用セルの識別子と、絶対周波数チャネル番号と、基地局識別子コードとを含むことができる。その情報は、制御情報チャネルで、或は、移動局のユーザ或はアプリケーションにより起動されるメッセージングサービスによるメッセージで、問題となっている移動局に直接送信される。このことにより移動局が同報専用セルから同期情報を取得することを開始させる一方、ある移動局、例えば、GANによる通信が可能ではない移動局はその同報専用セルを無視する。なぜなら、そのセルはそのような移動局にとってじゃまなセルに過ぎず、そのセルでは移動局にとってはセルラ通信ネットワークにおける通常の方法で通信することができないからである。そのセルがじゃまなセルであることについての指示は、例えば、限定されたセットの同期情報だけを送信することにより同期情報に含められる。
【0025】
さらに、簡単に同報専用セルを扱うことの備えを提供するために、同報専用セルについて周波数の高度な再利用が好ましい。例えば、全ての同報専用セルには同じ周波数を割当てるのである。
【0026】
図3は本発明の実施例に従うセルラ通信システム300の一部を図示しており、そのシステムは複数の基地局304−1,304−2,……,304−nによってそれぞれ運用される複数のセル302−1,302−2,……,302−nを備えている。いくつかのセル302−2,302−4,302−5,302−6では、セル302−1,302−4,302−5,302−6内に実質的に存在する1つ以上の同報専用セル306−1,306−2,306−3,……,306−pがある。図1に関して明示したように、同報専用セルはアクセスポイントと同じ位置に配置され、それらのカバレッジ領域が実質的にオーバラップするようになっている。例えば、セル302−6はその領域内にいくつかのそのような同報専用セル306−3,……,306−pをもつことができ、同報専用セル306−2は2つの隣接セル302−4と302−5の中に実質的に存在できる。即ち、同報専用セル306−2は隣接セル302−4と302−5との間の境界領域に位置し、セル302−2はその領域内に単一の同報専用セル306−1をもつことができる。
【0027】
図4は本発明の実施例に従う同報通信専用の基地局400を図示する機能ブロック図である。基地局400は、GANによる通信を可能にするアクセスポイントについての情報を同報するように構成されたセルラ送信機402をWLANトランシーバ404とともに有している。図4に描写されているように、即ち、統合セルラWLANユニットとして構成されても良いし、或は、別体に構成されるが同じ場所に設置されるユニットでも良い。ここで、基地局400は、同報通信専用セルとアクセスポイントのアクセス領域とが実質的に同じ領域をカバーするように、アクセスポイントとともに構成されている。セルラ部のそのような実施例についてはさらに図6を参照して説明する。ここで、図4に戻って説明を続けると、“セルラ送信機”という用語は、それが例えば、eNodeBのようなセルラ基地局で通常実行される動作の部分を実行する送信機であるが、これらの動作が信号を送信することに限定されている、即ち、双方向通信は提供されていないことを意味する。従って、セルラ送信機402へのハンドオーバは可能ではない。これに対して、セルラ送信機402は同期及び同報信号の送信機能を備え、その存在がセルラシステムで用いられる隣接セルリストにおいて示されるようにセル識別子が割当てられている。セルラ送信機とWLANトランシーバの機能はコントローラ406により制御される。しかしながら、コントローラ406は機能的に解釈されるべきであり、それはまた、WLANトランシーバ404を保持するアクセスポイントとセルラ送信機402を保持する基地局のそれぞれにおけるコントローラであって良い。これらのコントローラは互いに通信して、それらの統合機能、例えば、周波数と符号とプロトコルとの内の少なくともいずれかの割当てなど制御することができる。さらに、これらのコントローラは、もし、それらの統合機能が所定のものであり、それらの動作が互いに通信することなく実行可能であるなら、互いに通信する必要はない。
【0028】
図5は通信セルに存在する、例えば、図2に描かれているような移動局の複数の動作モードを示す状態遷移図である。ここで、先に明示したアクセスポイントと同じ位置に配置された1つ以上の同報通信専用の基地局が存在する。移動局が通常のセルラモード500で動作しているとき、即ち、セルラ通信ネットワークにおいて移動局にとって通常の方法でセルの基地局と通信しているとき、つまり一般には“基地局に滞留している”と呼ばれるとき、移動局は、その移動局が滞留している基地局によって提供された隣接リストで与えられた情報により同報通信専用の基地局の存在に気付くようになる。このことに基づいて、もし同報通信専用の基地局によって送信された信号が現在の位置で移動局により受信されるなら、その移動局は同報通信専用の基地局との同期から成る動作の二次モード502に移行することができる。もし受信できないなら、移動局は通常のセルラモード500に戻る。もし、同期がうまくいくなら、アクセスポイントについて同報通信専用の基地局から同報メッセージを受信するように構成された移動局は、同報通信専用セルを運用している同報通信専用の基地局から同報メッセージを受信する。そのアクセスポイントのアクセス領域とその同報通信専用セルとが実質的に同じ領域をカバーしているので、その同報情報を受信可能な移動局はアクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになる。それから、移動局はGAN通信専用モード504へ移行する、即ち、通信がWLANアクセスポイントにハンドオーバされるか、或は、移動局はセルラとGANの組み合わせ通信モード506に移行することができる。通信モード506では、通信はWLANアクセスノードと移動局が滞留している基地局を介した通常のセルラシステムとの両方を介して実行される。また、WLANの通信が可能であるけれども、移動局がGANによる通信を実行しないことを選択し、それから、移動局は通常のセルラモード500に復帰することも可能である。また、基地局はGAN通信モード504から、あるいは、セルラとGANの組み合わせ通信モード506から通常のセルラモード500に復帰するようにも構成されている。
【0029】
なお、WLANが上記の例として用いられたが、Bluetooth(登録商標)無線通信技術が同様に用いられ、アクセスポイントがジェネリックアクセスネットワークコントローラへのアクセスを提供するようにしても良い。
【0030】
図6は本発明の実施例に従う同報通信専用の基地局600を図示したブロック図である。基地局600は、同報通信専用セルとアクセスポイントのアクセス領域とが実質的に同じ領域をカバーするようにアクセスポイントと同じ位置に配置するのが好ましい。送信機602には同期信号発生器604から送信される同期信号が提供される。送信機602にはまた、同報信号発生器606から送信される同報信号が提供される。その同期信号と同報信号とは、基地局600が動作するように構成されたセルラシステムの技術仕様に従った同期チャネルと同報チャネルでそれぞれ送信される。
【0031】
図7は、図4と図6とを参照して上述した同報通信専用の基地局を動作させる方法を示すフローチャートである。その動作は、同期提供ステップ700での複数の移動局に対する同期を提供する工程と、同報ステップ702でのアクセスポイントについての情報を含む情報を同報する工程とから成る。
【0032】
図8は、図4と図6とを参照して上述した同報通信専用セルについての情報を提供する方法を示すフローチャートである。それは、図2〜図3とを参照して説明した別の通信セルを運用する別の基地局により実行される。ここで、別の通信セルは、アクセスポイントのアクセス領域よりも、そして、同報通信専用セルよりもかなり大きいカバー領域をもっている。そして、その同報専用セルは実質的に別の通信セル内に位置している。その情報提供は、隣接セルリスト生成ステップ800における、同報専用セル、即ち、同報専用セルの識別子と、好適には、周波数やコード等のような同報専用セルについて関連するパラメータを隣接セルリストに含ませる工程を有する。このステップ800は好適にはシステムセットアップで実行される。その情報提供はさらに、隣接セルリスト提供ステップ802を含む。そのステップでは、生成された隣接セルリストは別の基地局に滞留している移動局に提供される。従って、このステップ802はセルラ通信システムの動作中頻繁に実行される。
【0033】
本発明の装置はハードウェアで実装可能であるが、その装置の動作はソフトウェアの助けをかりて実行されるのが好ましい。コンピュータプログラムは好ましくは、コンピュータ可読媒体に格納され、処理手段によりローディング可能で実行可能なプログラムコードを含み、その処理手段によりプログラムコードが基地局を動作させる上述の方法を実行する。その動作は、複数の移動局に対する同期を提供することと、同報通信専用セルを運用する基地局からアクセスポイントについての情報を含む情報を同報することから成る。
【0034】
そのプログラムコードによりさらに処理手段が別の通信セルを運用する別の基地局により同報通信専用セルについての情報を提供する処理を実行させることができる。そのプログラムコードによりさらに処理手段が隣接セルリスト内に同報通信専用セルを含ませ、その隣接セルリストを別の通信セル内或はその別の通信セルの近傍にいる移動局に提供する処理を実行させることができる。そのプログラムコードによりさらにプロセッサがアドバタイズ情報を同報される情報に含ませる処理を実行させることができる。ここで、アドバタイズとは、製品やサービスを一般の人々に販売することを厳密に意味するのではなく、政党、利益団体、軍隊、或は、他の組織が新入会員や社員、情報を提供する組織、公共サービスの案内などを求めていることを含むこともある。
【0035】
また、このプログラムコードは図5に関して上述したような移動局を動作させるために構成されている。その処理手段とコンピュータプログラム製品とは、動作がステップ毎に実行される場合をそのプログラムコードを順次実行するように構成されているが、たいていは、動作がデータの必要と利用可能性に応じて実行される場合、リアルタイム的にそのプログラムコードを実行するように構成されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局(102,402,600)に、複数の移動局(110,206−m)に対して同期を提供し(700)、ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信を可能にするアクセスポイントについての情報を有する情報を前記基地局から同報する(702)という動作を行わせる方法であって、
前記基地局は同報通信専用セル(106,306−1……306−p)を運用し、
前記アクセスポイントのアクセス領域(108)と前記同報通信専用セルとは、前記同報する情報を受信可能な前記複数の移動局が前記アクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになるように実質的に同じ領域をカバーすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記同報される情報はさらに、アドバタイズ情報を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の通信セル(204,304−1,304−n)を運用する別の基地局(202,302−1……302−n)により、前記同報通信専用セルについての情報を提供する工程をさらに有し、
前記別の通信セルは前記アクセスポイントのアクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きいカバレッジ領域を有し、
前記同報通信専用セルは実質的に前記別の通信セル内に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記同報通信専用セルについての情報を提供する工程はさらに、
隣接セルリストに前記同報通信専用セルを含ませる工程(800)と、
前記隣接セルリストを前記別の通信セル内或は前記別の通信セルの近傍の移動局に提供する工程(802)とを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)による通信を可能にするアクセスポイント(104)についての情報を有する情報を同報するように構成された送信機を有する基地局(102,400,600)であって、
前記基地局は同報通信専用セル(106,306−1……306−p)を運用するように構成され、
前記基地局は前記アクセスポイントとともに、前記同報通信専用セルと前記アクセスポイントのアクセス領域(108)とが実質的に同じ領域をカバーするように構成されていることを特徴とする基地局。
【請求項6】
前記同報通信専用セルは別の基地局(202,302−1……302−n)により運用される別の通信セル(204,304−1……304−n)内に実質的に配置され、
前記別の通信セルは前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きいカバレッジ領域を有し、
前記同報通信専用セルについての情報は前記別の通信セルの前記別の基地局より提供されることを特徴とする請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
さらにアドバタイズ情報を同報するように構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の基地局。
【請求項8】
セルラ通信とジェネリックアクセスネットワーク(GAN)の両方の機能を有し、動作のモードを有する移動局(110,206−1……206−m)であって、
前記移動局は前記動作のモードで動作するときには、
同報専用の基地局(102,400,600)と同期し、
GAN通信を可能にするアクセスポイント(104)について前記同報専用の基地局からの同報メッセージを、同報通信専用セル(106,306−1……306−p)を運用する前記同報専用の基地局から受信するように構成され、
前記アクセスポイントのアクセス領域(108)と前記同報通信専用セルとは、前記移動局が前記同報する情報を受信可能であれば、前記アクセスポイントへのアクセス可能性に気付くようになるように実質的に同じ領域をカバーすることを特徴とする移動局。
【請求項9】
前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きなカバレッジ領域をもつ現在動作中の双方向通信セル(204,304−1……304−n)を運用している基地局(202,302−1……302−n)から、前記同報通信専用セルの存在についての情報を受信するときに、前記動作のモードに移行するのを可能とするように構成され、
前記受信には前記現在動作中の双方向通信セル内に実質的には位置している前記同報通信専用セルについての情報を含むことを特徴とする請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記アクセスポイントについての前記同報する情報を前記同報専用の基地局より受信するとき、前記GANにアクセスするのを開始するようさらに構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の移動局。
【請求項11】
前記同報専用の基地局から同報されたアドバタイズ情報を受信するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の移動局。
【請求項12】
前記同報通信専用セルについての情報を含む隣接セルリストを受信するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の移動局。
【請求項13】
ジェネリックアクセスネットワーク(GAN)へのアクセスを提供するように構成された少なくとも1つのアクセスポイント(104)と、
前記アクセスポイントと関係した同報通信専用セル(106,306−1……306−p)を運用するように構成された請求項5乃至7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの基地局(102,400,600)と、
前記基地局及び前記アクセスポイントとともに動作するように構成された請求項8乃至12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの移動局(110,206−1,206−m)とを有することを特徴とする通信システム。
【請求項14】
通信のためのセル(204,304−1……304−n)を運用するよう構成された少なくとも1つの別の基地局(202,302−1,302−n)をさらに有し、
前記別の基地局は前記同報通信専用セルについての情報を提供し、
前記同報通信専用セルは前記通信のためのセルの領域内に実質的に位置し、
前記通信のためのセルは、前記アクセスポイントの前記アクセス領域よりも、そして、前記同報通信専用セルよりもかなり大きなカバレッジ領域を有することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
プロセッサにより実行されるとき、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−511496(P2011−511496A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538620(P2010−538620)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067506
【国際公開番号】WO2009/080580
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】