説明

X線回折装置及び試料の測定方法

【課題】 試料のガスとの反応量に対する試料の結晶構造等の回折結果を同時に測定可能なX線回折装置及び試料の測定方法を提供する。
【解決手段】
X線発生手段1とチャンバー部2-1とX線検出器3とを備え、チャンバー部2-1内の試料にX線を照射し、当該試料からの回折X線を測定するX線回折装置において、チャンバー部2-1を真空とする真空排気手段(符号11,12等)と、チャンバー部2-1に各種ガスを導入するガス導入手段(符号13等)と、チャンバー部2-1内のガス変化量を測定するガス量測定手段(符号5,6,7等)とを有し、X線検出器3は、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなり、少なくともガス量測定手段とX線検出器とを制御すると共に、これらからデータを取得する制御手段(符号10等)を備えたX線回折装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線回折装置及び試料の測定方法に関し、詳しくは試料のガスとの反応量と試料の結晶構造等を同時に測定可能なX線回折装置及び試料の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、特にX線を利用して試料の結晶構造を解析するためには、回折X線をフィルム上に写し取るX線カメラ、もしくは回折X線を直接計数管に入れて計測する4軸型自動回折計が使われている。
【0003】
構造解析の対象となる試料は、X線回折の影響が少ない物質からなる試料板の先端に付けられる。そして、この試料板をゴニオメーターヘッドに装着して、このゴニオメーターヘッドを回折計に固定する。X線発生源から出たX線を試料に照射して、例えば結晶の場合には三次元空間に分布する回折X線を効率よく収集するために、結晶を回転する方法が採られている。
【0004】
このような、X線回折装置を用いた試料の測定方法において、真空又はガス圧力下や高温下で測定可能なX線回折装置は報告されている(下記、特許公報1を参照。)が、試料のガス(例えば、水素ガス)との反応量と回折結果とを逐一測定可能なX線回折装置は未だ報告されていない。
【0005】
これに対して、試料のガスとの反応量と、反応時の試料の結晶構造等の回折結果とを同時に測定することができるとされるX線回折装置が報告されている(下記、特許文献2を参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−329619号公報
【特許文献2】特開2000−292375号公報
【特許文献3】特開平7−77503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載された装置では、試料に対してガスが反応した直後の回折結果をリアルタイムで測定することはできていない。
【0008】
すなわち、この装置では、所定濃度のガス雰囲気下においた試料にX線を照射して、回折X線を測定する際に、試料を機械的に回転させるかまたはX線検出器を回折角方向に機械的にスキャンさせて検出しているため、機械的なスキャンに時間がかかり、ガスと反応している最中の試料ではなく、ガスと反応して平衡状態となった試料の結晶構造等を測定することになる。したがって、このような装置構成では、ガスと反応している最中の試料の結晶構造等を測定したいという目的を達成することはできない。
【0009】
また、X線検出器として、回折角方向に広がった感光性フィルムを利用して、回折角方向の機械的スキャンをなくしたX線回折装置が報告されている(上記、特許文献3を参照。)。
【0010】
しかしながら、この装置では、例えばガス濃度を変化させながら測定するなどの場合には、一回のスキャン毎にフィルム自動送り機構により感光箇所を変更する必要があり、この機械的動作に少なくとも数秒の時間がかかるため、測定条件が増えると全測定の完了に多くの時間がかかってしまう。また、感光性フィルムでは、例えば明瞭な回折像を得る場合など、感光に時間がかかる場合があり、この場合にも、既に平衡状態となった試料を測定することになってしまう。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、試料のガスとの反応量に対する試料の結晶構造等を同時測定することができるX線回折装置及び試料の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、チャンバー部に、真空排気手段とガス導入手段とガス量測定手段とを接続すると共に、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなるX線検出器(例えば、回折角0.03度ごとに素子を4096個配列して120度の回折角に対応させるなど)及びこれらを制御する制御手段を備えることによって、上記目的が達成されることを知見した。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係るX線回折装置は、
X線発生手段とチャンバー部とX線検出器とを備え、前記チャンバー部内の試料にX線を照射し、当該試料からの回折X線を測定するX線回折装置において、
前記チャンバー部を真空とする真空排気手段と、前記チャンバー部に各種ガスを導入するガス導入手段と、前記チャンバー部内のガス変化量を測定するガス量測定手段とを有し、
前記X線検出器は、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなり、
少なくとも前記ガス量測定手段と前記X線検出器とを制御すると共に、これらからデータを取得する制御手段を備えたことを特徴とするX線回折装置である。
【0014】
また、上記X線回折装置において、
更に、前記試料を加熱する試料加熱手段を備え、当該試料加熱手段はTa系薄膜ヒーターであり、前記試料のX線照射側の背面に設けられていることを特徴とするX線回折装置である。
【0015】
また、上記X線回折装置において、
前記試料は水素吸蔵合金であり、前記ガスは水素ガス又は水素元素を含むガスであることを特徴とするX線回折装置である。
【0016】
上記課題を解決する本発明に係る試料の測定方法は、
チャンバー部内の試料にX線を照射し、X線検出器により当該試料からの回折X線を測定する試料の測定方法において、
前記チャンバー部に各種ガスを導入した後、当該チャンバー部内の圧力変化に基づいてガス変化量を測定すると同時に、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなるX線検出器により前記試料からの回折X線を測定することを特徴とする試料の測定方法である。
【0017】
また、上記試料の測定方法において、
前記試料は水素吸蔵合金であり、前記ガスは水素ガスであることを特徴とする試料の測定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るX線回折装置及び試料の測定方法によれば、試料のガスとの反応量に対する試料の結晶構造等を同時測定することができる。特に、例えば電気自動車で用いられる水素吸蔵合金のように短時間で変化する環境やこれに伴う合金構造の変化を的確に解析することができ、電気自動車用として最適なバッテリー開発が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本発明の実施形態に係るX線回折装置の概略構成図である。また、図2は、X線回折装置におけるチャンバー部及びX線検出器の部分の概略構造図であり、試料への入射X線と試料からの回折X線とを示してある。
【0020】
図1に示すように、実施形態に係るX線回折装置は、X線発生手段1とチャンバー部2-1とX線検出器3と固定台4とから本体部分が構成されている。X線回折装置本体の機能は、チャンバー部2-1内に固定された試料に対してX線発生手段1からX線を照射し、X線検出器3において回折X線を測定する。なお、固定台4は、X線回折角度を測定するゴニオメーターとしてもよく、この場合には、装置の配置や測定条件の制御が容易となる効果がある。
【0021】
X線回折装置の本体部分には、チャンバー部2-1を真空とする真空排気手段と、チャンバー部2-1に各種ガスを導入するガス導入手段と、チャンバー部2-1のガス量を測定するガス量測定手段と、ガス量測定手段及びX線検出器3と連係され、これらの制御及びデータの取得を行う制御手段とが接続されている。
【0022】
真空排気手段は、高真空用ポンプ11と低真空用ポンプ12と真空測定子14と、これらを連結する配管に取り付けられ真空度を制御するバルブV10〜V13とからなり、チャンバー部2-1内を真空とする。
【0023】
ガス導入手段は、水素ガスやヘリウムガス、窒素ガス等の試験用試料ガスを充填したガスボンベ13と圧力変換器15と、これらを連結する配管に取り付けられガス導入量を制御するバルブV7からなる。
【0024】
ガス量測定手段は、真空排気手段及びガス導入手段と装置本体との間に設けられ、真空排気手段と装置本体、及びガス導入手段と装置本体とを連結する配管(十字管部2-2等)と、該配管に取り付けられガス量の測定に寄与するバルブV1〜6と、圧力計5と、リザーバータンク6と、真空測定子7と、真空計9とからなる。
【0025】
制御手段は、装置制御及びデータ取込用のコンピュータ10と、圧力計5からの信号を増幅する圧力計用増幅器8とからなり、ガス量測定手段及びX線検出器3を制御したり、これらからデータを取得したりする。なお、バルブV1〜V13は、コンピュータ10により自動制御されている。
【0026】
図2に示すように、X線検出器3は半円筒形状であり、チャンバー部2-1に対向する内周面がX線検出面19となっている。X線検出面19は、回折角0.03度ごとにX線検出素子を4096個配列してなり、120度の回折角に対応させている。チャンバー部2-1内のヒーター付き試料ホルダー17に設置された試料にX線を照射して得られる回折X線18は、X線検出面19に配置された複数のX線検出素子によって検出され、データは逐一、コンピュータ10に送信される。
【0027】
ヒーター付き試料ホルダー17は、Ta系薄膜ヒーターを搭載した試料ホルダーである。ヒーターは、試料ホルダーに設置された試料のX線照射側の背面(試料の背面の全体に亘って)に設けられていることが望ましい。このTa系薄膜ヒーターは、スパッタリング法や蒸着法によって得られるが、スパッタリング法で得られたものが好ましい。
【0028】
試料ホルダー17において、試料は種々の固定具により固定されるが、試料のX線照射面側を固定する試料前面固定具や、試料ホルダー17にX線を入射するためのX線窓は、いずれも金属ベリリウムからなるので、X線窓等をX線が通過しても放射及び回折を妨げることがない。
【0029】
従来、X線回折装置のチャンバー部内に固定された試料を加熱するための加熱ヒーターは、試料の外周にタングステンワイヤー等からなる抵抗体を巻き付けているため、X線の入射及び反射を阻害する可能性がある。実際には、試料の背面の抵抗体は試料に近い距離にあるが、試料の前面には細線の抵抗体は回折現象に影響を及ぼさないように、距離をおいて配置されている。このため、熱効率が悪く、かつ均一な温度領域が得にくい。また、均熱帯が広く採れないため、測定試料のX線照射面積を少なく使用しているため、得られる回折X線も制限される。
【0030】
また、従来のように加熱ヒーターとして抵抗体を用いている場合、昇温時に抵抗体内部に含まれている不純物を徐々に放出しながら行わなければならない。昇降温は徐々に行わないと、抵抗体の寿命を縮めることになる。また、抵抗体から放出される不純物を取り除かなければ、試料が不純物によって酸化等によって被毒される恐れがある。
【0031】
このような従来の問題に対して、試料を加熱する手段として上述するTa系薄膜ヒーターを用いることにより、試料面内での温度勾配の低減が可能となる。また、Ta系薄膜ヒーターであるため、急速な昇温、降温が可能であり、不純ガスの放出量も極めて少なく、取り扱いが非常に容易なものとなる。
【0032】
なお、X線検出素子としては、例えば、シンチレーション検出器、プロポーショナル検出器等が挙げられ、素子の数や検出器の種類を変更して分解能を調整することもできる。また、素子の配列方法としても一次元式や二次元式等が挙げられ、X線検出素子の配列方法を変更して測定感度や測定効率を調整することもできる。X線検出器としては、例えば、位置敏感型検出器(PSPC)、半導体検出器等が挙げられ、更にはこれから開発されうる新しい概念の検出器であってもよい。
【0033】
次に、実施形態に係るX線回折装置を用いて、試料のガスとの反応量に対する試料の結晶構造等を同時測定する方法について、試料を水素吸蔵合金(LaNi5)、反応ガスを水素ガスとして説明する。
【0034】
本実施形態では、チャンバー部2-1に導入したガスの試料との反応量をチャンバー部2-1内の圧力から測定すると同時に、該試料からの回折X線を測定することにより、ガスと反応している最中の試料におけるガス反応量と結晶構造等とを同時に測定する。測定条件及び解析手法としては、JIS(JIS-H-7201,JIS-H-7202)に準拠した試料の前処理、測定手法及びデータ解析手法によった。
【0035】
まず、真空排気手段によりガス量測定手段及びチャンバー部2-1内を真空にした後、バルブV1を閉じてチャンバー部2-1内を真空に維持しつつ、ガス導入手段によりガス量測定手段内に水素ガスを導入する。このとき、ガス量測定手段の系内体積とガス圧力との関係から導入した水素ガス量を計算する。
【0036】
次に、バルブV1を開けて、ガス量測定手段内から水素ガスをチャンバー部2-1に導入すると共に、X線発生手段1からのX線照射を開始してX線検出器3による回折X線の検出を開始する。
【0037】
試料である水素吸蔵合金は、導入された水素ガスと反応(水素ガスを合金内に吸蔵)するため、系内の水素ガスの圧力は低下していく。したがって、圧力計5により系内圧力を測定し続けることにより、系内の残留水素ガス量、ひいては水素吸蔵合金の吸蔵水素量を経時的に測定することができる。
【0038】
同時に、得られるX線回折から、水素吸蔵合金の格子定数や結晶構造を測定する。このような測定を経時的又は間欠的に行うことによって、水素吸蔵量及び温度、圧力の変化に対する格子定数の変化や相転移に伴う結晶の形態変化を同時に測定することが可能となる。
【0039】
図3は、水素吸蔵合金の吸蔵水素量と吸蔵時間との関係図であり、水素吸蔵速度を示す。また、図4は、本実施形態に係るX線回折装置で測定した、水素吸蔵中の水素吸蔵合金のX線回折図であり、吸蔵過程における水素吸蔵合金の回折像の変化を示してある。図5は、従来のX線回折装置で測定した、水素吸蔵中の水素吸蔵合金のX線回折図であり、吸蔵過程における水素吸蔵合金(吸蔵平衡に至った状態)の回折像の変化を示してある。
【0040】
図3に示すように、水素吸蔵合金の水素吸蔵速度は比較的速く、およそ1分前後で吸蔵反応が平衡となることが分かる。従来のX線回折装置では、回折X線の検出に時間がかかり、少なくとも1分程度では広範な回折角全体を検出することができなかったため、図3に示す吸蔵反応が平衡となった状態(同図中の<8>の状態)の水素吸蔵合金の結晶構造等を観察していたことになる。
【0041】
これに対して、本実施形態に係るX線回折装置では、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなるX線検出器を用いて、異なる角度に回折されるX線を検出するための検出器のスキャニングを不要とすると共に、回折X線の強度データを連続的に検出可能なX線検出素子を用いて、時系列に対するスキャニング時間を短縮させることにより、水素吸蔵合金の比較的速い吸脱蔵速度に対応して、水素吸脱蔵中の合金の構造等の解析を可能としている。
【0042】
従来のX線回折装置により水素吸蔵合金の構造解析を行った場合には、図5に示すように、各水素吸蔵量に対する平衡状態の結晶構造が観察され、例えば、LaNi5結晶(水素吸蔵量X=0.4以下)から、LaNi5結晶とLaNi56結晶との混合物(X=0.8)へ突然に結晶形態が変化するといった観察結果が得られていた。
【0043】
これに対して、本実施形態に係るX線回折装置により水素吸蔵合金の構造解析を行った場合には、水素吸蔵中の合金の構造(図3における<1>〜<6>における構造)がリアルタイムに観察され、図4に示すように、例えば、LaNi5結晶(同図中<3>以下)から、LaNi5結晶とLaNi56結晶との混合物へ突然に結晶形態が変化するのではなく、途中に結晶性の低下した構造(同図中<4>)を経るといった、従来の装置では観察することができなかった新たな観察結果が得られた。
【0044】
水素吸蔵合金は、例えば電気自動車のバッテリーとして採用されているが、自動車のアクセルオン・オフに伴うバッテリーの充放電の繰り返しは秒単位で行われるため、水素吸蔵合金の水素吸蔵及び水素放出の挙動も、秒単位で行われている。
【0045】
ある環境下における材料の挙動を把握することは、当該材料の開発において極めて重要であり、電気自動車で用いられる水素吸蔵合金のように短時間で変化する環境やこれに伴う合金構造の変化を的確に解析することは、電気自動車用として最適なバッテリー開発にもつながる。本発明に係るX線回折装置は、このような用途の材料分析に最適な能力を有する。
【0046】
上述する例では、水素吸蔵合金に水素ガスを吸蔵していく過程の構造解析について説明したが、本発明に係るX線回折装置は用途としてこれに限られない。当然、水素吸蔵合金の水素放出過程の解析や、他には、自動車の排気ガス用触媒にCO、NOxやSOx等の排気ガスを反応させる際の解析などに用いることができる。また、水素吸蔵合金に反応させるガスとしては、水素ガスのほかに、水素元素を含むガス、例えば、アンモニアガス等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係るX線回折装置の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るX線回折装置におけるチャンバー部及びX線検出器の部分の概略構造図であり、試料への入射X線と試料からの回折X線とを示してある。
【図3】水素吸蔵合金の吸蔵水素量と吸蔵時間との関係図であり、水素吸蔵速度を示す。
【図4】実施形態に係るX線回折装置で測定した、水素吸蔵中の水素吸蔵合金のX線回折図であり、吸蔵過程における水素吸蔵合金の回折像の変化を示してある。
【図5】従来のX線回折装置で測定した、水素吸蔵中の水素吸蔵合金のX線回折図であり、吸蔵過程における水素吸蔵合金(吸蔵平衡に至った状態)の回折像の変化を示してある。
【符号の説明】
【0048】
1 X線発生装置
2-1 チャンバー部(ガス反応量測定系)
2-2 十字管部(ガス反応量測定系)
3 X線検出器
4 固定台
5 圧力計
6 リザーバータンク
7 真空測定子(高圧測定用)
8 圧力計用増幅器
9 真空計
10 装置制御及びデータ取込用コンピュータ
11 高真空用ポンプ(油拡散ポンプ)
12 低真空用ポンプ(油回転ポンプ)
13 ガスボンベ
14 真空測定子(低圧測定用)
15 圧力変換器
17 ヒーター付き試料ホルダー
18 回折X線
19 X線検出面
V1〜V13 自動バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線発生手段とチャンバー部とX線検出器とを備え、前記チャンバー部内の試料にX線を照射し、当該試料からの回折X線を測定するX線回折装置において、
前記チャンバー部を真空とする真空排気手段と、前記チャンバー部に各種ガスを導入するガス導入手段と、前記チャンバー部内のガス変化量を測定するガス量測定手段とを有し、
前記X線検出器は、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなり、
少なくとも前記ガス量測定手段と前記X線検出器とを制御すると共に、これらからデータを取得する制御手段を備えたことを特徴とするX線回折装置。
【請求項2】
請求項1に記載するX線回折装置において、
更に、前記試料を加熱する試料加熱手段を備え、当該試料加熱手段はTa系薄膜ヒーターであり、前記試料のX線照射側の背面に設けられていることを特徴とするX線回折装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載するX線回折装置において、
前記試料は水素吸蔵合金であり、前記ガスは水素ガス又は水素元素を含むガスであることを特徴とするX線回折装置。
【請求項4】
チャンバー部内の試料にX線を照射し、X線検出器により当該試料からの回折X線を測定する試料の測定方法において、
前記チャンバー部に各種ガスを導入した後、当該チャンバー部内の圧力変化に基づいてガス変化量を測定すると同時に、同時に複数の回折X線を検出できるように複数のX線検出素子を配列してなるX線検出器により前記試料からの回折X線を測定することを特徴とする試料の測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載する試料の測定方法において、
前記試料は水素吸蔵合金であり、前記ガスは水素ガスであることを特徴とする試料の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−17543(P2006−17543A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194438(P2004−194438)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】