説明

X線検査装置

【課題】既設の製造ラインへの適用を可能にすることが目的とされる。
【解決手段】X線検査装置1は、X線を用いて物品の検査を行う装置であって、照射部12と、受光部13と、本体11と、支持部14とを備える。照射部12は、物品PにX線を照射する。受光部13は、物品Pを透過したX線を受光する。本体11には、X線の照射位置P1へと物品Pを搬送する搬送機構16を取り付けることができる。支持部14は、受光部13を支持し、本体11に対して上下に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線検査装置に関し、特に製造ラインでの物品の検査に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造された物品中に異物が混入していないかどうかや、物品に欠損が生じていないかどうかなどの不良を検査するために、X線検査装置が用いられている。具体的にX線検査装置は、物品にX線を照射する照射部と、物品を透過したX線を受光する受光部と、X線の照射位置まで物品を搬送する搬送機構とを備えている。そして、X線検査装置は、受光部で受光したX線に基づいて、物品の不良を検査する。かかるX線検査装置は、例えば以下に示す特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−189460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のX線検査装置には搬送機構が備えられているため、製造ラインにX線検査装置を導入する場合は予め、搬送用のコンベアの途中に、X線検査装置を設置するためのスペースを確保する必要があった。このため、搬送用のコンベアが既に設置されており、かかるスペースを確保することが困難な場合には、従来のX線検査装置は用いることができなかった。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みて成されたものであり、既設の製造ラインへの適用を可能にすることが目的とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明にかかるX線検査装置は、X線を用いて物品の検査を行う装置であって、照射部と、受光部と、本体と、支持部とを備える。照射部は、物品にX線を照射する。受光部は、物品を透過したX線を受光する。本体には、X線の照射位置へと物品を搬送する搬送機構を取り付けることができる。支持部は、受光部を支持し、本体に対して上下に移動可能である。
【0006】
第1の発明にかかるX線検査装置によれば、X線の照射位置まで物品を搬送する搬送機構の取付け、及び既設の搬送機構への適用のいずれもが可能である。具体的には、搬送機構を取り付ける場合は、本体に搬送機構を取り付けて、搬送機構の搬送ベルトの直下に受光部を配置すべく支持部を上に移動させる。既設の搬送機構に適用する場合は、本体に搬送機構を取り付けず、かつ支持部を下に移動させて受光部を既設の搬送機構の直下に配置する。
【0007】
第2の発明にかかるX線検査装置は、第1の発明にかかるX線検査装置であって、遮蔽部材を、本体及び支持部の少なくともいずれか一方に取り付けることができる。遮蔽部材は、支持部とは異なる部材であって、照射部から発せられたX線が支持部の下側へと伝播することを遮る。
【0008】
第2の発明にかかるX線検査装置によれば、遮蔽部材を取り付けることで、X線検査装置の下側へのX線の漏洩を防止することができる。
【0009】
第3の発明にかかるX線検査装置は、第2の発明にかかるX線検査装置であって、本体及び支持部の少なくともいずれか一方に取り付けられた状態にある遮蔽部材は、水平面に対して斜めに傾いた面を有する。
【0010】
第3の発明にかかるX線検査装置によれば、遮蔽部材のかかる面が斜めに傾いているので、かかる面で反射されるX線の多くが、X線検査装置の内部空間の方に向かう。よって、X線検査装置の外部へのX線の漏洩を効率良く防止することができる。
【0011】
第4の発明にかかるX線検査装置は、第1乃至第3の発明のいずれか一つにかかるX線検査装置であって、搬送機構は搬送用ローラを有する。搬送用ローラは、照射部と受光部とを通る直線上の、受光部に対して照射部とは反対側の位置において、本体及び支持部の少なくともいずれか一方に取り付けることができる。
【0012】
第4の発明にかかるX線検査装置によれば、X線の強度が高い照射部と受光部とを通る直線上に、搬送用ローラを取り付けることで、照射部から発するX線の強度を高めても、受光部を透過したX線がX線検査装置の下側に漏洩することがない。よって、X線の強度を高めて、不良の検査の精度を高めることができる。
【0013】
第5の発明にかかるX線検査装置は、第1乃至第4の発明のいずれか一つにかかるX線検査装置であって、本体を支える脚を更に備える。脚は、水平面に対して斜めに傾いた上面を有する。
【0014】
第5の発明にかかるX線検査装置によれば、脚の上面でX線を反射することができる。しかも、上面が斜めに傾いているので、反射されるX線の多くが、X線検査装置の内部空間の方に向かう。よって、X線検査装置の外部へのX線の漏洩を効率良く防止することができる。
【0015】
第6の発明にかかるX線検査装置は、第1乃至第5の発明のいずれか一つにかかるX線検査装置であって、支持部は、上端部を有し下側に開口部が設けられた筐体と、開口部の開閉が自在である扉とを有する。上端部には、開口部から挿入された受光部を吊り下げた状態で取り付けることができる。
【0016】
第6の発明にかかるX線検査装置によれば、下側からのアプローチにより、受光部を支持部に取り付けたり、支持部から受光部を取り外したりすることができる。よって、受光部の取付け及び取外しが容易である。しかも、上端部に吊り下げた状態で受光部を取り付けるので、受光部の取付けに必要な取付部材(ネジなど)の数を少なくすることができ、以って受光部の取付けが容易となる。更には、受光部が筐体の上端部に取り付けられるので、受光部と照射位置との距離を小さくすることができ、以って強度の高いX線を受光部で受光することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるX線検査装置によれば、X線の照射位置まで物品を搬送する搬送機構の取付け、及び既設の搬送機構への適用のいずれもが可能である。具体的には、搬送機構を取り付ける場合は、本体に搬送機構を取り付けて、搬送機構の搬送ベルトの直下に受光部を配置すべく支持部を上に移動させる。既設の搬送機構に適用する場合は、本体に搬送機構を取り付けず、かつ支持部を下に移動させて受光部を既設の搬送機構の直下に配置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.X線検査装置の構造
図1は、本発明の実施の形態にかかるX線検査装置1を概念的に示す前面図である。なお図1では、X線検査装置1の前面のカバーは取り外されている。
【0019】
X線検査装置1は、X線を用いて物品Pの検査を行う装置であって、本体11、シールドボックス111、照射部12、受光部13、支持部14及び遮蔽カーテン15を備える。図1では、X線検査装置1に取り付けられた搬送機構16も示されている。
【0020】
<本体>
本体11には、X線が照射される内部空間S1と、通路W1,W2とが設けられている。通路W1は、外部から内部空間S1への物品Pの搬入に用いられる。通路W2は、内部空間S1から外部への物品Pの搬出に用いられる。なお、かかる物品Pの搬入及び搬出は、搬送機構16によって行われる。
【0021】
<照射部>
照射部12は、内部空間S1の上側に位置し、X線を物品Pに照射することができる。具体的には、照射部12で発せられたX線は、照射部12の下側に配置されたスリット121を通って、内部空間S1内の照射位置P1にある物品Pに達する。X線がスリット121を通ることで、照射部12から照射位置P1へと向かうX線の指向性が高まる。
【0022】
<シールドボックス>
シールドボックス111は、X線を遮蔽することができる筐体であって、本体11の上に載置されている。シールドボックス111の内部には、照射部12が配設されている。シールドボックス111によれば、照射部12から発せられたX線が本体11の上側で漏洩するのを、防止することができる。
【0023】
<受光部>
受光部13は、例えばラインセンサであって、照射位置P1の下側に位置する。受光部13は、物品Pに照射されたX線のうち物品Pを透過したものを受光する。
【0024】
そして、受光部13で受光したX線の画像を、例えば画像処理部で処理することで、物品Pの不良を検査する。上述したようにスリット121を通ったX線の指向性は高いので、受光部13で受光されたX線の画像にはノイズがほとんど生じず、以って高い精度で不良を検出することができる。
【0025】
<支持部>
支持部14は、取外し可能な状態で本体11に取り付けられている。支持部14は、本体11に対して上下に移動可能であって、受光部13を支持する。以下、支持部14の上下の移動及び受光部13の支持について具体的に説明する。
【0026】
A.支持部の上下の移動
図2及び図3は、図1に示される支持部14の本体11への取付け部分141を拡大して示した図である。なお図2及び図3は、取付け部分141を横(搬送方向90(図1))から見た図である。
【0027】
取付け部分141には、ネジ留め用の孔1411,1412がそれぞれ二つずつ設けられている。本体11には、ネジ留め用の孔112が二つ設けられている。
【0028】
一方の孔112には、一方の孔1411及び一方の孔1412が対応し、他方の孔112には、他方の孔1411及び他方の孔1412が対応する。そして、同じ孔112に対応する孔1411,1412については、孔1411の方が孔1412によりも高い位置に設けられている。
【0029】
図2は、支持部14が、本体11に対して上に移動した状態で本体11に取り付けられた場合を示す。具体的には、孔1412の位置を孔112の位置に合わせて、孔1412及び孔112にネジ142を螺合させる。これにより、本体11に対する支持部14の位置が高くなる。
【0030】
図3は、支持部14が、本体11に対して下に移動した状態で本体11に取り付けられた場合を示す。具体的には、孔1411の位置を孔112の位置に合わせて、孔1411及び孔112にネジ142を螺合させる。これにより、本体11に対する支持部14の位置が低くなる。
【0031】
B.受光部の支持
図4及び図5はそれぞれ、支持部14を前面及び側面から見た図である。支持部14は、筐体143と扉144とを有する(図4)。筐体143は、上端部1431を有し、下側に開口部1432が設けられている。扉144は筐体143に取り付けられており、開口部1432の開閉が自在である。
【0032】
上端部1431には、受光部13を吊り下げた状態で取り付けることができる(図5)。具体的には、受光部13は、固定部材131に固定されている。固定部材131には、一方の端部131aに突起1311が設けられている。上端部1431には部材1433が、本体11に近い位置で取り付けられている。部材1433には、突起1311を引っ掛けるための孔1434が設けられている。
【0033】
受光部13の支持部14への取り付け方について説明する。まず、支持部14の扉144を開ける(図4)。そして、開口部1432から筐体143の内部へと、受光部13が固定された固定部材131を、一方の端131aの方から挿入する。
【0034】
その後、固定部材131の突起1311を、部材1433の孔1434に引っ掛ける。そして、固定部材131の他方の端部131bを上へと持ち上げて、端部131bを上端部1431にネジ等で固定する。
【0035】
上述した支持部14によれば、下側からのアプローチにより、受光部13を支持部14に取り付けたり、支持部14から受光部13を取り外したりすることができる。よって、受光部13の取付け及び取外しが容易である。しかも、上端部1431に吊り下げた状態で受光部13を取り付けるので、受光部13の取付けに必要な取付部材(ネジなど)の数を少なくすることができ、以って受光部13の取付けが容易となる。
【0036】
更には、受光部13が筐体143の上端部1431に取り付けられるので、受光部13と照射位置P1との距離L1(図1)を小さくすることができ、以って強度の高いX線を受光部13で受光することができる。
【0037】
なお、従来のX線検査装置では、受光部13の取付けには、ネジなどの取付部材が多く用いられていた。よって、受光部13の取付けや取外しが煩雑であった。
【0038】
<搬送機構>
A.搬送機構の構成
搬送機構16は、本体11に取り付けることができる。本体11に取り付けられた搬送機構16について、図1を用いて説明する。なお、X線検査装置1について、搬送機構16を取り付ける前の状態を図6に示す。
【0039】
搬送機構16は、回転ローラ1611〜1613、駆動ローラ162、搬送ベルト163、及び搬送台1641,1642を有する。
【0040】
搬送台1641,1642はそれぞれ、支持部14の両側に配置されている。具体的には、搬送台1641は、支持部14に対して下流側の位置で、本体11及び支持部14の少なくともいずれか一方に取り付けられている。搬送台1642は、支持部14に対して上流側の位置で、本体11及び支持部14の少なくともいずれか一方に取り付けられている。なお、上流及び下流という表現は、物品Pの搬送方向90について用いている。
【0041】
搬送台1641,1642には、X線の透過を妨げる遮蔽部材を採用することが好ましい。これにより、照射部12から発せられたX線の、支持部14の下側の空間への伝播を遮ることができる。
【0042】
回転ローラ1611は搬送台1641に回転自在に支持されている。回転ローラ1612は、搬送台1642に回転自在に支持されている。
【0043】
回転ローラ1613は、支持部14によって回転自在に支持されている。具体的には回転ローラ1613は、扉144に固定された支持部材1441によって支持されている(図4)。
【0044】
搬送ベルト163は、回転ローラ1611〜1613に掛けられる。具体的には、回転ローラ1611〜1613の各々は、搬送ベルト163が三角形状を呈するように、搬送ベルト163を内周側から支持する。
【0045】
このとき、回転ローラ1611は、搬送ベルト163のうち物品Pを載せて搬送する部分163aの下流端を形成する。回転ローラ1612は、部分163aの上流端を形成する。
【0046】
駆動ローラ162は、本体11に取り付けられており、搬送ベルト163に駆動力を与えることができる。駆動ローラ162で搬送ベルト163に駆動力を与えることで、搬送ベルト163は回転する。これにより、搬送ベルト163(部分163a)に載せられた物品Pを、搬送方向90へと搬送することができる。
【0047】
なお、回転ローラ1611〜1613及び駆動ローラ162のそれぞれが、搬送を担う部材であることに鑑みれば、これらを搬送用ローラと把握することができる。
【0048】
B.搬送機構と受光部との位置関係
本体11に搬送機構16を取り付けた場合には、搬送ベルト163の部分163aの直下に支持部14を配置すべく、支持部14は、本体11に対して上に移動した状態で本体11に取り付けられる(図1及び図2)。
【0049】
これにより、照射位置P1と受光部13との距離L1を小さくすることができ、以って強度の高いX線を受光部13で受光することができる。強度の高いX線を受光することで、X線の画像が鮮明になり、以って物品の不良の検査の精度を高めることができる。
【0050】
受光部13で受光されるX線の強度を高めるという観点からは、筐体143の上端部1431に受光部13を取り付けることを好ましい(図5)。
【0051】
<遮蔽カーテン>
遮蔽カーテン15は、通路W1,W2のそれぞれに吊り下げられている。図1では、通路W1,W2のそれぞれに、遮蔽カーテン15が二つずつ配設されている。遮蔽カーテン15を通路W1,W2に吊り下げることで、通路W1,W2を通ってX線が漏洩することを防止できる。
【0052】
2.X線検査装置の特徴
上述したX線検査装置1によれば、物品Pの照射位置P1への搬送には、本体11に取り付けた搬送機構16を用いることに代えて、コンベアなどの既設の搬送機構を用いることができる。すなわち、搬送機構16が取り付けられる前のX線検査装置1(図6)を用いて、既設のコンベアを流れる物品Pの検査を行うことができる。具体的に図7を用いて説明する。
【0053】
図7は、既設の搬送機構3に適用されたX線検査装置1を概念的に示す図である。かかるX線検査装置1では、支持部14は、本体11に対して下に移動した状態で本体11に取り付けられる(図3)。
【0054】
かかるX線検査装置1によれば、支持部14を本体11に対して下に移動させているので、支持部14は、X線検査装置1を既設の搬送機構3に設置する際の妨げにならない。すなわち、X線検査装置1を既設の搬送機構3に適用した場合、支持部14は既設の搬送機構3の下側に位置する。
【0055】
しかも、支持部14を本体11に対して下に移動させているので、スリット121から照射位置P1までの距離L2を縮めることなく、既設の搬送機構3を配置することができる。よって、既設の搬送機構3を用いても、搬送機構16を取り付けた場合に検査できる物品Pと同程度の大きさの物品Pの検査が可能である。
【0056】
X線の照射位置P1では、図8に示されるように既設の搬送機構3に切れ目31を設けることが好ましい。これは、物品Pを透過したX線の強度が、既設の搬送機構3によって著しく低下するのを回避するためである。なお、図8では、搬送機構3に切れ目31を設けたことによる強度の低下を、継ぎ部材32によって補っている。
【0057】
既設の搬送機構3を用いる場合、支持部14を下に移動させるので照射位置P1から受光部13までの距離L1が、搬送機構16を取り付けた場合(図1)に比べて大きくなる(図7)。距離L1が大きくなると、受光部13で受光されるX線の強度が低下してしまい、X線の画像が不鮮明になるおそれがある。
【0058】
しかし、下に移動させた支持部14を搬送機構3の直下に配置することで、距離L1の増大を抑え、以ってX線の強度の低下を防止することができる。
【0059】
3.変形例
<変形例1>
図9は、既設の搬送機構3に適用されるX線検査装置1の変形例を示す図である。かかるX線検査装置1は、X線の透過を妨げる遮蔽部材41,42を更に備える。
【0060】
遮蔽部材41は、支持部14の上流側の位置で、本体11及び支持部14の少なくともいずれか一方に取り付けることができる。遮蔽部材42は、支持部14の下流側の位置で、本体11及び支持部14の少なくともいずれか一方に取り付けることができる。
【0061】
図10は、取り付けられた遮蔽部材41(42)を、搬送方向90から見た図である。かかる遮蔽部材41(42)は、上に向かって凹状を呈している。
【0062】
遮蔽部材41,42が取り付けられたX線検査装置1では、遮蔽部材41,42によって、照射部12から発せられたX線の、支持部14の下側の空間への伝播が遮られる。よって、X線検査装置1の下側へのX線の漏洩を防止することができる。
【0063】
支持部14の下側へのX線の漏洩を防止するという観点からは、取り付けられた遮蔽部材41,42は、図9に示されるように、水平面に対して斜めに傾いた面41a,42aを有することが好ましい。
【0064】
これにより、面41a,42aで反射されるX線の多くが、X線検査装置1の内部空間S1の方に向かう。よって、X線検査装置1の外部へのX線の漏洩を効率良く防止することができる。
【0065】
<変形例2>
X線検査装置1の回転ローラ1613は、図1に示されるように配置されることが好ましい。つまり、回転ローラ1613は、照射部12と受光部13とを通る直線91上の、受光部13に対して照射部12とは反対側の位置で、支持部14に取り付けられる。
【0066】
これにより、照射部12から発するX線の強度を高めても、受光部13を透過したX線がX線検査装置1の下側に漏洩することがない。よって、X線の強度を高めて、不良の検査の精度を高めることができる。
【0067】
なお、従来のX線検査装置では、照射部12と受光部13とを通る直線91上に搬送用ローラが配置されていなかった。このため、照射部12から発するX線の強度を高めると、直線91上を伝播するX線は受光部13を透過して、X線検査装置の外部に漏れ出すおそれがあった。よって、X線の強度をあまり高めることができず、以って不良の精度を高めることが困難であった。
【0068】
上述したX線検査装置1では、回転ローラ1613は、支持部14に取り付けられているが、本体11に取り付けられても良い。
【0069】
<変形例3>
上述したX線検査装置1では、取付け部分141のネジ留めの位置を変えることで、支持部14の上下を可能にしているが、他の方法で支持部14の上下を可能にしても良い。例えば、ボールネジや、シリンダ、電磁アクチュエータなどを採用することができる。シリンダには、油圧式のものや、空気圧式のものが採用できる。
【0070】
<変形例4>
X線検査装置1は、本体を支える脚17を更に備える(図1)。脚17は、上面17aを有する。脚17の上面17aは、図1に示されるように、水平面に対して斜めに傾いている。
【0071】
本変形例にかかるX線検査装置1によれば、上面17aでX線を反射することができる。しかも、上面17aが水平面に対して斜めに傾いているので、反射されるX線の多くが、X線検査装置1の内部空間S1の方に向かう。よって、X線検査装置1の外部へのX線の漏洩を効率良く防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態にかかるX線検査装置を概念的に示す図である。
【図2】支持部の本体への取り付け部分を拡大して示す図である。
【図3】支持部の本体への取り付け部分を拡大して示す図である。
【図4】支持部を前面から見た図である。
【図5】支持部を側面から見た図である。
【図6】X線検査装置について搬送機構を取り付ける前の状態を示す図である。
【図7】既設の搬送機構に適用されたX線検査装置を概念的に示す図である。
【図8】切れ目を設けた既設の搬送機構を概念的に示す図である。
【図9】変形例1にかかるX線検査装置を概念的に示す図である。
【図10】遮蔽部材を搬送方向から見た図である。
【符号の説明】
【0073】
1 X線検査装置
11 本体
12 照射部
13 受光部
14 支持部
16 搬送機構
17 脚
17a 上面
41,42 遮蔽部材
41a,42a 面
91 直線
143 筐体
144 扉
1431 上端部
1432 開口部
1613 回転ローラ(搬送用ローラ)
P 物品
P1 照射位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を用いて物品の検査を行う装置であって、
前記物品に前記X線を照射する照射部と、
前記物品を透過したX線を受光する受光部と、
前記X線の照射位置へと前記物品を搬送する搬送機構を取り付けることができる本体と、
前記受光部を支持し、前記本体に対して上下に移動可能な支持部と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記支持部とは異なる部材であって、前記照射部から発せられたX線が前記支持部の下側へと伝播することを遮る遮蔽部材を、前記本体及び前記支持部の少なくともいずれか一方に取り付けることができる、請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記本体及び前記支持部の少なくともいずれか一方に取り付けられた状態にある前記遮蔽部材は、水平面に対して斜めに傾いた面を有する、請求項2記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記搬送機構は搬送用ローラを有し、
前記搬送用ローラは、前記照射部と前記受光部とを通る直線上の、前記受光部に対して前記照射部とは反対側の位置において、前記本体及び前記支持部の少なくともいずれか一方に取り付けることができる、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記本体を支える脚を更に備え、
前記脚は、水平面に対して斜めに傾いた上面を有する、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記支持部は、上端部を有し下側に開口部が設けられた筐体と、前記開口部の開閉が自在である扉とを有し、
前記上端部には、前記開口部から挿入された前記受光部を吊り下げた状態で取り付けることができる、
請求項1乃至請求項5記載のいずれか一つに記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−133638(P2009−133638A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307799(P2007−307799)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】