説明

X線検査装置

【課題】被検査物を効率的に連続搬送可能な極めて実用性に秀れたX線検査装置の提供。
【解決手段】X線照射部2とX線検知部3とこれらを覆う本体カバー部4とを備え、本体カバー部4の開口部8から内部に搬入される被検査物1を検査するX線検査装置であって、本体カバー部4内の中央搬送機構5の搬送上流側に供給側搬送機構6を設け、搬送下流側に排出側搬送機構7を設け、供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7に開口部8を有する供給側カバー部10及び排出側カバー部11を夫々設け、各カバー部の各開口部8に開閉自在にX線遮蔽体9を設け、X線検知部3で検知したX線に基づいて作成される画像を表示する画像表示手段を備え、X線照射後の被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、排出側搬送機構7により当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の画像を画像表示手段に表示する連動制御機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送機構によって搬送される被検査物にX線を照射するX線照射部と、前記被検査物を透過したX線を検知するX線検知部と、前記X線照射部と前記X線検知部とを覆う本体カバー部とを備え、この本体カバー部に設けられる一対の開口部を通じて本体カバー部内に搬入される被検査物に異物が混入されているか否かを検査するX線検査装置においては、例えば特許文献1に開示されるように、鉛を含有する暖簾状のX線遮蔽カーテンを開口部に設けて外部へのX線の漏出を防止する場合が多い。
【0003】
この場合、X線遮蔽カーテンによるX線の外部への漏出をより確実に防止するためには、1つの被検査物の本体カバー部内への搬入、X線検査、搬出が完全に終わるまでは次の被検査物を搬入することはできない。
【0004】
そこで、例えば、特許文献2には、単に開口部にX線遮蔽カーテンを設けた場合よりも外部へのX線の漏出を小さくし、且つ、被検査物の搬送及びX線検査を連続的に行えるように、本体カバー部の開口部の搬送上流側及び搬送下流側に夫々トンネル部を設けることでX線減衰領域を形成すると共に、各開口部を開閉するX線遮蔽板を所定のタイミングで開閉駆動することで、上記課題を解決しようとした技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−83913号公報
【特許文献2】特開2004−125646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような現状に鑑み、種々の検討の結果なされたもので、被検査物をより効率的に連続搬送可能な極めて実用性に秀れたX線検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
搬送機構によって搬送される被検査物1にX線を照射するX線照射部2と、前記被検査物1を透過したX線を検知するX線検知部3と、前記X線照射部2と前記X線検知部3とを覆う本体カバー部4とを備え、この本体カバー部4に設けられる一対の開口部8を通じて本体カバー部4内に搬入される被検査物1を検査するX線検査装置であって、前記本体カバー部4内の中央搬送機構5の搬送上流側に供給側搬送機構6を設け、この中央搬送機構5の搬送下流側に排出側搬送機構7を設け、この供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7に前記被検査物1が通過可能な一対の開口部8を有する供給側カバー部10及び排出側カバー部11を夫々設け、前記本体カバー部4、前記供給側カバー部10及び前記排出側カバー部11の各開口部8に開閉自在にX線遮蔽体9を夫々設け、前記X線検知部3で検知したX線に基づいて作成される画像を表示する画像表示手段を備え、前記X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、前記排出側搬送機構7により前記排出側カバー部11内の当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の前記画像を前記画像表示手段に表示する連動制御機構を備えたことを特徴とするX線検査装置に係るものである。
【0009】
また、前記X線遮蔽体9の開閉状態を検知する開閉検知センサ12を設け、この開閉検知センサ12により検知した開閉情報が、前記本体カバー部4の搬送上流側の開口部8及び前記供給側カバー部10の開口部8のいずれか1つ及び前記本体カバー部4の搬送下流側の開口部8及び前記排出側カバー部11の開口部8のいずれか1つが閉状態である場合のみ、前記X線照射部2によるX線照射を許容するX線照射制御機構を設け、前記被検査物1の位置を検知する位置検知センサを設け、前記位置検知センサにより検知した前記X線遮蔽体9の開閉情報をもとに前記中央搬送機構5の搬送速度を制御する搬送速度制御機構を設けたことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置に係るものである。
【0010】
また、前記供給側搬送機構6及び前記排出側搬送機構7は前記中央搬送機構5に着脱自在に設け、前記供給側カバー10及び前記排出側カバー11が外されたことを検知してX線の照射を制御する検知制御機構を設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0011】
また、前記供給側搬送機構6へ被検査物1の投入を許可することを表示する投入許可表示手段を設け、前記X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、前記投入許可表示手段を作動させるように前記連動制御機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0012】
また、前記供給側搬送機構6に、前記被検査物1が投入されたことを検知する投入検知部を設け、この供給側搬送機構6の搬送上流側開口部に、前記被検査物1の投入を妨害する誤投入防止手段を設け、この誤投入防止手段は、前記投入検知部で前記被検査物1の投入を検知した際、後続の被検査物1の投入を妨害するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0013】
また、前記X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、前記誤投入防止手段による投入妨害が解除されるように前記連動制御機構を構成したことを特徴とする請求項5記載のX線検査装置に係るものである。
【0014】
また、前記供給側搬送機構6の搬送速度を前記排出側搬送機構7より低速に設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0015】
また、前記搬送速度制御機構は、前記中央搬送機構5の搬送速度を前記供給側搬送機構6の搬送速度及び前記排出側搬送機構7の搬送速度と同速度に設定し得るように構成したことを特徴とする請求項7記載のX線検査装置に係るものである。
【0016】
また、前記中央搬送機構5、前記供給側搬送機構6及び前記排出側搬送機構7は、前記被検査物1の搬送面が略水平で且つこの搬送面の高さが略同一となるように設定したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0017】
また、前記X線遮蔽体9を、搬送される前記被検査物1により搬送方向に押し上げ回動可能に軸支する軸支部を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【0018】
また、前記X線検知部3としてエリアセンサを採用したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のX線検査装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、被検査物をより効率的に連続搬送可能な極めて実用性に秀れたX線検査装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例の構成概略説明図である。
【図2】本実施例のX線遮蔽体の概略説明斜視図である。
【図3】本実施例のX線遮蔽体の概略説明斜視図である。
【図4】本実施例の検査工程説明図である。
【図5】本実施例の検査工程説明図である。
【図6】本実施例の検査工程説明図である。
【図7】本実施例の検査工程説明図である。
【図8】本実施例の検査工程説明図である。
【図9】本実施例の検査工程説明図である。
【図10】本実施例の検査工程説明図である。
【図11】本実施例の検査工程を示すフローチャートである。
【図12】本実施例の検査工程を示すフローチャートである。
【図13】本実施例の構成概略説明斜視図である。
【図14】本実施例の検査工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
供給側搬送機構6側から供給される被検査物1に中央搬送機構5上でX線を照射することで、この被検査物1に異物が混入しているか否かの確認や被検査物の非破壊検査等を行い、排出側搬送機構7側から排出する。
【0023】
この際、X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際(例えば排出スイッチを押下した際)、排出側搬送機構7により排出側カバー部11内の当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の検査画像を画像表示手段に表示することができ、例えば当該検査画像を目視検査する検査者が排出スイッチを押下することで順次搬送される被検査物の検査画像を連続的にチェックすることが可能となる。
【0024】
また、例えば本体カバー部4、供給側カバー部10及び排出側カバー部11の各開口部8に設けたX線遮蔽体9が所定の状態の場合のみ、X線照射部2からのX線照射を許容するように構成することで、外部にX線が漏出することがより確実に防止できるのは勿論、中央搬送機構5の搬送速度を被検査物1の位置に応じて制御することで、例えば、X線検査前は供給側搬送機構6と同じ低速度で搬送し、X線検査後は排出側搬送機構7と同じ高速度で搬送するように制御することで、より効率的な連続搬送が可能となり、よって、X線の外部への漏出をより確実に防止しつつ被検査物1の一層効率的な連続搬送が可能となる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、搬送機構によって搬送される被検査物1にX線を照射するX線照射部2と、前記被検査物1を透過したX線を検知するX線検知部3と、前記X線照射部2と前記X線検知部3とを覆う本体カバー部4とを備え、この本体カバー部4に設けられる一対の開口部8を通じて本体カバー部4内に搬入される被検査物1を検査するX線検査装置であって、前記本体カバー部4内の中央搬送機構5の搬送上流側に供給側搬送機構6を設け、この中央搬送機構5の搬送下流側に排出側搬送機構7を設け、この供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7に前記被検査物1が通過可能な一対の開口部8を有する供給側カバー部10及び排出側カバー部11を夫々設け、前記本体カバー部4、前記供給側カバー部10及び前記排出側カバー部11の各開口部8に開閉自在にX線遮蔽体9を夫々設け、前記X線検知部3で検知したX線に基づいて作成される画像を表示する画像表示手段を備え、前記X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、前記排出側搬送機構7により前記排出側カバー部11内の当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の前記画像を前記画像表示手段に表示する連動制御機構を備えたものである。
【0027】
また、本実施例においては、前記X線遮蔽体9の開閉状態を検知する開閉検知センサ12を設け、この開閉検知センサ12により検知した開閉情報が、前記本体カバー部4の搬送上流側の開口部8及び前記供給側カバー部10の開口部8のいずれか1つ及び前記本体カバー部4の搬送下流側の開口部8及び前記排出側カバー部11の開口部8のいずれか1つが閉状態である場合のみ、前記X線照射部2によるX線照射を許容するX線照射制御機構を設け、前記被検査物1の位置を検知する位置検知センサを設け、前記位置検知センサにより検知した前記X線遮蔽体9の開閉情報をもとに前記中央搬送機構5の搬送速度を制御する搬送速度制御機構を設けている。
【0028】
具体的には、本実施例は、図1,13に図示したように、脚部13により支持される遮蔽箱体16内に中央搬送機構5として直線搬送用のベルトコンベヤ(本体コンベヤ)を設け、この中央搬送機構5の搬送上流側に供給側搬送機構6としてのベルトコンベヤ(供給コンベヤ)、搬送下流側に排出側搬送機構7としてのベルトコンベヤ(排出コンベヤ)を設けて成るものである。尚、図中符合14は供給側搬送機構6の脚部、15は排出側搬送機構7の脚部である。
【0029】
また、本実施例においては、中央搬送機構5、供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7は、各コンベヤの上面(被検査物1の搬送面)が略水平で且つこの搬送面の高さが略同一となるように設定している。尚、供給側搬送機構6の搬送上流側開口部8にはエア駆動シャッター17が設けられている。
【0030】
被検査物1は、この中央搬送機構5の搬送面の上下に対向状態に設けられるX線照射部2及びX線検知部3とにより検査される(X線透過画像を撮影し該X線透過画像データを適宜な情報処理装置により処理して表示手段としてのディスプレイ33に表示し、検査者による目視により検査を行う)。
【0031】
このX線照射部2としてはX線を円錐状に照射する公知のX線発生器が採用され、X線検知部3としては少なくとも幅が中央搬送機構5の搬送幅と略同じ幅で、長さが中央搬送機構5の前後に位置するX線遮蔽体9間の長さと略同じ長さの方形状の検知面を有する公知のエリアセンサが採用される。
【0032】
中央搬送機構5は遮蔽箱体の本体カバー部4により覆われ、供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7は夫々供給側カバー部10及び排出側カバー部11により覆われている。従って、装置本体の搬送上流側及び搬送下流側にはトンネル状の供給側通路及び排出側通路が形成され、これらによって装置本体からのX線の漏出が効果的に防止される。
【0033】
また、各カバー部の開口部8に夫々設けられるX線遮蔽体9(X線遮断カーテン)としては、図2,3に図示したような、X線を遮断し得る金属製(ステンレス製)の板状体18が採用されている。この板状体18は、搬送機構により搬送される被検査物1の搬送移動によって押動された際にこの被検査物1の移動を妨げないように搬送方向側に所定角度回動可能に軸支部により軸支されている。
【0034】
具体的には、軸支部は、板状体18の上部に固着される軸部19と、この軸部19(の両端部)を回動自在に支持する支持凹部20とで構成されている。各支持凹部20は、各搬送機構の脚部にして各カバー部の開口部8の近傍位置(内方側所定位置)に夫々立設される支持体21の上端部に設けられている。
【0035】
即ち、X線遮蔽体9は自重により常態では搬送機構に対して垂下した閉状態となり、被検査物1がこのX線遮蔽体9の下側を通過する際にのみ押し上げ回動されて開状態となる。従って、このX線遮蔽体9を開閉駆動する駆動機構は不要となり、それだけコスト安となる。
【0036】
また、各支持体21にはX線遮蔽体9の開閉状態を検知する開閉検知センサ12が夫々設けられている。具体的には本実施例においては、近接センサ(誘導型若しくは静電容量型)を採用している。この近接センサでX線遮蔽体9を検知した際にリミットスイッチがONとなり、閉状態を検知することができる。
【0037】
また、図中符合23はX線遮蔽体9の上下位置調整用の上下位置調整部、24はX線遮蔽体9の左右位置調整用の左右位置調整部、25は開閉検知センサ12の左右位置調整用のセンサ位置調整部、26はX線遮蔽体9の常態における傾斜角度調整部、27はX線遮蔽体9とコンベヤ上面との隙間調整用の隙間調整部、28は抜け止め部である。
【0038】
各位置調整部について具体的に説明すると、図2においては、支持体21は固定部29と該固定部29に対して調整移動可能な調整移動部30とで構成され、この固定部29と調整移動部30とは左右方向に長い長窓及びボルト・ナット等の適宜な締結部材により構成される左右位置調整部24を介して連結されている。この調整移動部30の上端部には支持凹部20が形成されたX線遮蔽体支持部31が上下方向に長い長窓及び適宜な締結部材により構成される上下位置調整部23を介して連結されている。また、このX線遮蔽体支持部31とX線遮蔽体9との間にボルト・ナットから成る傾斜角度調整部26が設けられている。また、X線遮蔽体支持部31に左右方向に長い長窓及び適宜な締結部材により構成されるセンサ位置調整部25を介して開閉検知センサ12を取り付けた取付板32が設けられている。
【0039】
また、図3においては、支持体21は固定部29と該固定部29に対して調整移動可能な調整移動部30とで構成され、この固定部29と調整移動部30とは左右方向に長い長窓及びボルト・ナット等の適宜な締結部材により構成される左右位置調整部24を介して連結されている。この調整移動部30の上端部には支持凹部20が形成されている。また、このX線遮蔽体支持部31とX線遮蔽体9との間にボルト・ナットから成る傾斜角度調整部26が設けられている。また、図3においては、2枚の板状体18を上下方向に長い長窓及び適宜な締結部材により構成される隙間調整部27を介して連結しており、この下側の板状体18に検知用平板部22を設けている。
【0040】
従って、各位置調整部の長窓とボルトとの位置関係等を調整することで、被検査物1に応じてX線遮蔽体9による遮蔽位置を適宜設定調整することが可能となる。
【0041】
また、供給側搬送機構6の搬送下流側開口部8の近傍位置、中央搬送機構5の搬送上流側開口部8の近傍位置及び搬送下流側開口部8の近傍位置、排出側搬送機構7の搬送上流側開口部8の近傍位置には、夫々被検査物1を検知する位置検知センサa,b,c,d(位置確認センサa,b,c,d)が設けられている。この位置検知センサa,b,c,dとしては近接センサ(誘導型若しくは静電容量型)が採用されている。
【0042】
上記の各検知センサはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置と接続され、各検知情報を元にX線照射部2及び中央搬送機構5の搬送速度を制御(中央搬送機構5駆動用のブラシレスモータを制御)するように構成している。尚、供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7は夫々インバータ制御としている。
【0043】
本実施例においては、供給側搬送機構6の搬送速度を排出側搬送機構7より低速(一定速)に設定し(排出側搬送機構7の搬送速度は供給側搬送機構6より高速且つ一定速)、搬送速度制御機構は、中央搬送機構5の搬送速度を供給側搬送機構6の搬送速度及び排出側搬送機構7の搬送速度と同速度に設定し得るように構成している。また、搬送速度は検査対象に応じて適宜調整設定する。
【0044】
例えば、被検査物1である魚等の食品が収納された1つのトレーを、中央搬送機構5において複数回(例えば2回)撮影する場合(被検査物1の全長が長く、1回の撮影では検査できない場合)、図11、12のフローチャートのように制御する。
【0045】
装置の電源を入れ、X線照射スイッチを入れる。この際、全ての開閉検知センサ12のリミットスイッチがONでなければX線照射はされない。
【0046】
続いて、コンベヤを起動し、シャッター17を開き、被検査物1である第1トレーを供給側搬送機構6の搬送上流側開口部から投入する(図4)。この際、トレー位置確認センサaでトレーからの反射光が受光されリミットスイッチがONになると供給コンベヤを停止し(図5)、シャッター17を閉じた後、供給コンベアを起動し、中央搬送機構5へと搬送する(図6)。
【0047】
続いて、低速ピッチの中央搬送機構5により搬送されてトレー位置確認センサcのリミットスイッチがONになると本体コンベヤを停止し、1コマ目の撮影を行い(図7)、その後、本体コンベヤを起動し高速ピッチでトレーを搬送し、2コマ目の撮影を行う(図8)。尚、第1トレーの1コマ目の撮影の際、第2トレーを第1トレーと同様の手順で供給側搬送機構6上に搬入し待機させる(図6,7)。
【0048】
続いて、2コマ目の撮影後、本体コンベヤは高速で第1トレーを排出コンベヤ側へ搬送し、トレー位置確認センサdに検知されて排出コンベア上で停止した第1トレーは(図9)、(30秒が経過するか)トレー排出スイッチがONされるとX線遮蔽体9を通って排出コンベヤから排出され、第1トレーの検査が終了する(図10)。ここで、トレー位置確認センサdでトレーが検知されない場合には、所定時間経過後アラームで報知すると共に装置を停止する。また、第2トレーは、撮影が完了するまで(第1トレーが排出コンベヤから排出されるまで)本体カバー部4の搬送上流側開口部を閉塞するX線遮蔽体9の手前位置(センサbの位置)で待機し、その後、第1トレーと同様の手順で撮影、排出される(図8〜10)。
【0049】
以上のように制御することで、複数回の撮影が必要で間欠送りを余儀なくされる場合であっても、搬送のロスを最小限に抑え可及的にハイスループットな処理が可能となる。
【0050】
また、本実施例においては、X線照射後の被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、排出側搬送機構7により排出側カバー部11内の当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の画像を画像表示手段に表示する連動制御機構を備えているため、
X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際(排出スイッチを押下した際)、排出側搬送機構7により排出側カバー部11内の当該被検査物1を搬送排出すると共に、当該被検査物1の検査画像を画像表示手段に表示することができ、例えば当該検査画像を目視検査する検査者が排出スイッチを押下することで順次搬送される被検査物の検査画像を連続的にチェックすることが可能となる。尚、連動制御機構としては上述のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を採用できる。
【0051】
具体的には、排出スイッチが押下されることで排出作動信号が入力された際、排出側搬送機構7を駆動して排出側カバー部11内の被検査物1を下流側(排出台34)へ搬送排出すると共に、撮像したX線透過画像をディスプレイ33に表示するように構成している。
【0052】
また、本実施例においては、供給側搬送機構6及び排出側搬送機構7は中央搬送機構5に着脱自在に設け、この中央搬送機構5に連設状態に設けられる供給側搬送機構6から供給側カバー10が外されたこと及び排出側搬送機構7から排出側カバー11が外されたことを検知してX線の照射を制御する検知制御機構を設けている。検知制御機構としては着脱検知センサ(近接センサ)と上述のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置とを採用できる。
【0053】
従って、中央搬送機構5において照射されるX線が外部に漏出する可能性は極めて小さくなる。
【0054】
また、本実施例においては、供給側搬送機構6へ被検査物1の投入を許可することを表示する投入許可表示手段を設け、X線照射後の被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、投入許可表示手段を作動させるように前記連動制御機構を構成している。従って、被検査物1を投入する作業者は、より確実に投入が必要な状態でのみ被検査物1を投入可能となる。
【0055】
また、本実施例においては、供給側搬送機構6に、被検査物1が投入されたこと(供給側カバー10内に存在すること)を検知する投入検知部を設け、この供給側搬送機構6の搬送上流側開口部に、前記被検査物1の投入を妨害するシャッター等の誤投入防止手段を設け、この誤投入防止手段は、前記投入検知部で前記被検査物1の投入を検知した際、後続の被検査物1の投入を妨害するように構成し、前記X線照射後の前記被検査物1を排出する排出作動信号が入力された際、前記誤投入防止手段による投入妨害が解除されるように前記連動制御機構を構成している。従って、被検査物1を投入する作業者による投入ミスは生じないこととなる。
【0056】
具体的には、シャッター17は投入検知部で被検査物1が検知されておらず、且つ、X線の漏出がない場合には開状態(解除状態)となり、被検査物1を検知した状態では閉状態(作動状態)となるが、閉状態であっても排出作動信号が入力された際には開状態となるように連動制御機構を構成している。
【0057】
また、図11、12のフローチャートに限らず、上記連動制御機構を用いて図14のフローチャートのように制御しても良い。
【0058】
以上、本実施例は、被検査物をより効率的に連続搬送可能な極めて実用性に秀れたものとなる。
【符号の説明】
【0059】
1 被検査物
2 X線照射部
3 X線検知部
4 本体カバー部
5 中央搬送機構
6 供給側搬送機構
7 排出側搬送機構
8 開口部
9 X線遮蔽体
10 供給側カバー部
11 排出側カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構によって搬送される被検査物にX線を照射するX線照射部と、前記被検査物を透過したX線を検知するX線検知部と、前記X線照射部と前記X線検知部とを覆う本体カバー部とを備え、この本体カバー部に設けられる一対の開口部を通じて本体カバー部内に搬入される被検査物を検査するX線検査装置であって、前記本体カバー部内の中央搬送機構の搬送上流側に供給側搬送機構を設け、この中央搬送機構の搬送下流側に排出側搬送機構を設け、この供給側搬送機構及び排出側搬送機構に前記被検査物が通過可能な一対の開口部を有する供給側カバー部及び排出側カバー部を夫々設け、前記本体カバー部、前記供給側カバー部及び前記排出側カバー部の各開口部に開閉自在にX線遮蔽体を夫々設け、前記X線検知部で検知したX線に基づいて作成される画像を表示する画像表示手段を備え、前記X線照射後の前記被検査物を排出する排出作動信号が入力された際、前記排出側搬送機構により前記排出側カバー部内の当該被検査物を搬送排出すると共に、当該被検査物の前記画像を前記画像表示手段に表示する連動制御機構を備えたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記X線遮蔽体の開閉状態を検知する開閉検知センサを設け、この開閉検知センサにより検知した開閉情報が、前記本体カバー部の搬送上流側の開口部及び前記供給側カバー部の開口部のいずれか1つ及び前記本体カバー部の搬送下流側の開口部及び前記排出側カバー部の開口部のいずれか1つが閉状態である場合のみ、前記X線照射部によるX線照射を許容するX線照射制御機構を設け、前記被検査物の位置を検知する位置検知センサを設け、前記位置検知センサにより検知した前記X線遮蔽体の開閉情報をもとに前記中央搬送機構の搬送速度を制御する搬送速度制御機構を設けたことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記供給側搬送機構及び前記排出側搬送機構は前記中央搬送機構に着脱自在に設け、前記供給側カバー及び前記排出側カバーが外されたことを検知してX線の照射を制御する検知制御機構を設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記供給側搬送機構へ被検査物の投入を許可することを表示する投入許可表示手段を設け、前記X線照射後の前記被検査物を排出する排出作動信号が入力された際、前記投入許可表示手段を作動させるように前記連動制御機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記供給側搬送機構に、前記被検査物が投入されたことを検知する投入検知部を設け、この供給側搬送機構の搬送上流側開口部に、前記被検査物の投入を妨害する誤投入防止手段を設け、この誤投入防止手段は、前記投入検知部で前記被検査物の投入を検知した際、後続の被検査物の投入を妨害するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記X線照射後の前記被検査物を排出する排出作動信号が入力された際、前記誤投入防止手段による投入妨害が解除されるように前記連動制御機構を構成したことを特徴とする請求項5記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記供給側搬送機構の搬送速度を前記排出側搬送機構より低速に設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記搬送速度制御機構は、前記中央搬送機構の搬送速度を前記供給側搬送機構の搬送速度及び前記排出側搬送機構の搬送速度と同速度に設定し得るように構成したことを特徴とする請求項7記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記中央搬送機構、前記供給側搬送機構及び前記排出側搬送機構は、前記被検査物の搬送面が略水平で且つこの搬送面の高さが略同一となるように設定したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記X線遮蔽体を、搬送される前記被検査物により搬送方向に押し上げ回動可能に軸支する軸支部を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項11】
前記X線検知部としてエリアセンサを採用したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−207987(P2012−207987A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73001(P2011−73001)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 〔博覧会名〕2010東京国際包装展 〔主催者名〕社団法人日本包装技術協会 〔開催日〕平成22年10月5日―8日
【出願人】(598105802)株式会社 システムスクエア (8)
【Fターム(参考)】