説明

X線発生装置

【課題】集束手段への印加電圧を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができるX線発生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)、電子ビーム量に関する電流(管電流)およびフォーカス電極12による電子ビームBの径を最適化するフォーカス電圧の相関関係を記憶した最適値テーブル28と、最適値テーブル28によって記憶された相関関係、管電流およびターゲット電圧に基づいてフォーカス電圧を最適値に変更するように制御するフォーカス電圧制御部29とを備える。管電流およびターゲット電圧に基づいてフォーカス電圧をフォーカス電圧制御部29は最適値に変更することができる。その結果、フォーカス電圧(集束手段への印加電圧)を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工業分野、医療分野などに用いられるX線発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線発生装置として、カソード(電子源)をヒータなどで加熱して電子ビームを放出させる熱電子放出型を例に採って説明する。X線管発生装置は、各電極を内部に有する外囲器で構成されたX線管を備えている。X線管は、電子ビームを発生させるカソード(電子源)と、カソードからの電子ビームを集束させるフォーカス電極(集束手段)と、フォーカス電極を通った電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットとを備えている。
【0003】
カソードやフォーカス電極やターゲットの各電極に電圧を印加することで、電子ビーム量や電子ビームの径を制御する。マイクロフォーカスX線管の場合には、ターゲットへ衝突する電子ビームの径を微小に制御しなければならず、そのためにはフォーカス電極に印加する電圧(以下、「フォーカス電圧」と呼ぶ)の値を最適に設定しなければならない。実際には、フォーカス電圧を一定にした場合、電子ビームの径は主にターゲットへの印加電圧(以下、「ターゲット電圧」と呼ぶ)の影響を受けて変化する。つまり、電子ビームの径が最小になるフォーカス電圧の最適値は、ターゲット電圧によって変化する。
【0004】
そこで、フォーカス電極を接地(グランド)して、ターゲット電圧の変化に連動させて、一定の比率でカソードへの印加電圧(以下、「カソード電圧」と呼ぶ)を変化させるように制御する手法がある(例えば、特許文献1参照)。そして、電子ビームの径が微小になるターゲット電圧とカソード電圧との比率を予め求め、その一定の比率でターゲット電圧に応じてカソード電圧を設定する。このように設定することで、ターゲット電圧が変化しても電子ビームの径は変わらずに微小のままに保つことができ、電子ビームの径が微小になるような(カソードから見た)フォーカス電圧を相対的に最適に制御することができる。なお、フォーカス電極を接地してカソード電圧を制御することで、カソードから見ればフォーカス電圧を相対的に制御することになる。
【特許文献1】特許第2634369号公報(第1−5,7−9頁、図10−12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の場合には、各々のX線管の特性を考慮することなく一定の比率で固定してカソード電圧を制御しているので、X線管の実際の特性、および個体差に対する電子ビームの径の最適化が行えず、ひいてはX線をX線管の性能上の最小径に集束させることができない。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、集束手段への印加電圧を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができるX線発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、電子ビームを発生させる電子源と、電子源からの電子ビームを集束させる集束手段と、集束手段を通った電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットとを備えたX線発生装置であって、ターゲットへの印加電圧、および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、ターゲットへの印加電圧、および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備える。各々の装置ごとにかかる相関関係を記憶しているので、各々の装置ごとに、ターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を集束制御手段は最適値に変更することができる。その結果、集束手段への印加電圧を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、電子ビームを発生させる電子源と、電子源からの電子ビームを集束させる集束手段と、集束手段を通った電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットとを備えたX線発生装置であって、ターゲットへの印加電圧、電子ビーム量に関する電流および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]また、請求項2に記載の発明によれば、ターゲットへの印加電圧、電子ビーム量に関する電流および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備える。各々の装置ごとにかかる相関関係を記憶しているので、各々の装置ごとに、電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を集束制御手段は最適値に変更することができる。その結果、集束手段への印加電圧を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るX線発生装置によれば、(1)ターゲットへの印加電圧、および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備える、あるいは(2)ターゲットへの印加電圧、電子ビーム量に関する電流および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備える。各々の装置ごとにかかる相関関係を記憶しているので、各々の装置ごとに、(1)ターゲットへの印加電圧、あるいは(2)電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を集束制御手段は最適値に変更することができる。その結果、集束手段への印加電圧を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができる。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線発生装置のブロック図であり、図2は、ターゲットへの印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極への印加電圧(フォーカス電圧)の数値テーブルをグラフ化した模式図であり、図3は、管電流を動かしたときのターゲットへの印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極への印加電圧(フォーカス電圧)の数値テーブルをグラフ化した模式図である。本実施例では、X線管としてマイクロフォーカスX線管を例に採って説明するとともに、カソードとしてヒータなどで加熱して電子ビームを放出させる熱電子放出型を例に採って説明する。
【0013】
図1に示すX線管1を備えたX線発生装置10は、X線非破壊検査機器などに代表されるX線撮像装置に用いられ、X線管1から照射されたX線を検出するX線検出器2とを備えている。X線検出器2は、例えばイメージインテンシファイア(I.I)やフラットパネル型X線検出器(FPD)などがある。X線管1から照射されたX線をX線検出器2が検出することで、検出されたX線に基づいてX線画像を撮像する。X線管1と後述するフォーカス電圧制御部29を含むフォーカス電圧制御部29周辺の各構成とを備えたX線発生装置10は、この発明におけるX線発生装置に相当する。
【0014】
X線管1は、電子ビームBを発生させるカソード11と、カソード11からの電子ビームBを集束させるフォーカス電極12と、フォーカス電極12を通った電子ビームBの衝突によりX線を発生させるターゲット13とを備えている。本実施例では、カソード11を接地して、カソード11を基準にして、各電極への印加電圧を決定している。したがって、フォーカス電圧は、接地されたカソード11から見たフォーカス電極12への印加電圧であって、ターゲット電圧は、接地されたカソード11から見たターゲット13への印加電圧である。また、カソード11から発生した電子ビーム量に関する電流は「カソード電流」とも呼ばれ、本実施例では、管電流をこのカソード電流としている。カソード11は、この発明における電子源に相当し、フォーカス電極12は、この発明における集束手段に相当し、ターゲット13は、この発明におけるターゲットに相当する。また、管電流(カソード電流)は、この発明における電子ビーム量に関する電流に相当する。
【0015】
この他に、X線管1は、カソード11とフォーカス電極12との間にグリッド電極14を配設している。このグリッド電極14は上述した管電流(カソード電流)をフィードバック制御する。
【0016】
本実施例では、カソード11として熱電子放出型を採用しているので、熱電子放出型であれば、カソード11を形成する物質や形状については特に限定されない。図1では傍熱形(ディスペンサー形も含む)のカソードを用いて説明しているが、直熱形でも良い。直熱形の場合はカソードへの配線は、ヒータ(フィラメント)に接続され、ヒータがカソードとして作用する。カソード11は、例えば、6ホウ化ランタン(LaB)や6ホウ化セリウム(CeB)などで形成された単結晶あるいは焼結体のチップであってもよいし、タングステンで形成されたフィラメントであってもよいし、含浸型陰極であってもよい。上述したチップは、タングステンで形成されたフィラメントと比較すると消耗や切断に強い。また、上述した含浸型陰極は、タングステンで形成されたフィラメントと比較すると長寿命である。
【0017】
グリッド電極14は、後述するグリッド電圧発生部25に接続されており、フォーカス電極12は、後述するフォーカス電圧発生部30に接続されている。また、ターゲット13は、後述するターゲット電圧発生部27に接続されている。また、ターゲット13は、タングステンなどで形成されている。ターゲット13を形成する物質や形状についても、上述したタングステンに限定されない。
【0018】
これらの電極は、外囲器15内に収容され、外囲器15にX線窓15aを設ける。本実施例の場合には、電子ビームBの光軸に対して直交方向にX線が出射され、出射されたX線がX線窓15aを通って取り出される。
【0019】
X線発生装置10は、ヒータ電源21と電流検出部22と管電流設定部23と電流制御部24とグリッド電圧発生部25とターゲット電圧設定部26とターゲット電圧発生部27と最適値テーブル28とフォーカス電圧制御部29とフォーカス電圧発生部30とを備えている。フォーカス電圧制御部29は、この発明における集束制御手段に相当する。
【0020】
ヒータ電源21は、カソード11を加熱するための電源であって、加熱によってカソード11は電子ビームBを発生させて放出させる。電流検出部22は、カソード11から発生した管電流(カソード電流)を検出するように構成されている。
【0021】
管電流設定部23は、電流制御部24およびフォーカス電圧制御部29に接続されており、管電流設定部23で設定された管電流の値を電流制御部24およびフォーカス電圧制御部29に送り込む。電流制御部24は、上述した電流検出部22に接続されており、電流検出部22で検出された管電流の値を電流制御部24に送り込む。電流制御部24は、管電流設定部23で設定された管電流の値と電流検出部22で検出された管電流の値とを比較して、その比較結果に応じてグリッド電圧発生部25を制御する。もし、電流検出部22で検出された管電流の値が、管電流設定部23で設定された管電流の値よりも低くなれば、グリッド電圧発生部25からグリッド電極14に印加する電圧(以下、「グリッド電圧」と呼ぶ)の値を小さくする。逆に、電流検出部22で検出された管電流の値が、管電流設定部23で設定された管電流の値よりも高くなれば、グリッド電圧発生部25からグリッド電極14に印加するグリッド電圧の値を大きくする。したがって、電流検出部22、管電流設定部23、電流制御部24およびグリッド電圧発生部25を用いて、グリッド電極14は管電流をフィードバック制御する。
【0022】
ターゲット電圧設定部26は、ターゲット電圧発生部27およびフォーカス電圧制御部29に接続されており、ターゲット電圧設定部26で設定されたターゲット電圧の値をターゲット電圧発生部27およびフォーカス電圧制御部29に送り込む。ターゲット電圧設定部26で設定されたターゲット電圧の値にしたがってターゲット電圧発生部27はターゲット電圧をターゲット13に印加すべく発生させる。
【0023】
最適値テーブル28は、ターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)、電子ビーム量に関する電流(管電流)およびフォーカス電極12による電子ビームBの径を最適化するフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)の相関関係を記憶している。本実施例では、これらの相関関係を数値テーブルとしている。数値テーブルは離散データであるので、最小自乗法などの公知の近似式を用いて、図2または図3に示すように、連続的なデータとしてグラフ化する。このようなテーブルは、X線発生装置10のX線管1の特性によって異なるので、各X線発生装置10ごと、あるいは各X線管1ごとに、予め求めて最適値テーブル28に記憶する。最適値テーブル28は、この発明における記憶手段に相当する。
【0024】
ここで、本明細書中において「最適化」とは、電子ビームBの径が微小になる条件の下でのターゲット電圧、管電流およびフォーカス電圧の組み合わせである。したがって、電子ビームBの径が微小になるように、ターゲット電圧および管電流をそれぞれ変えて、そのときのフォーカス電圧をプロットする。管電流を一定にしたときのグラフは図2に示す通りになり、管電流を動かしたときのグラフは図3に示す通りになる。図2および図3では、横軸をターゲット電圧にして、縦軸をフォーカス電圧にしている。図3のように管電流をも動かしたときには、図中の1点鎖線あるいは2点鎖線のように特性が変化する。
【0025】
図1の説明に戻って、最適値テーブル28で記憶された相関関係、管電流設定部23で設定された管電流の値、ターゲット電圧設定部26で設定されたターゲット電圧の値に基づいて、フォーカス電圧をフォーカス電圧制御部29は最適値に変更するようにフォーカス電圧発生部30を制御する。フォーカス電圧制御部29で変更された最適値にしたがってフォーカス電圧発生部30はフォーカス電圧をフォーカス電極12に印加すべき発生させる。
【0026】
例えば、管電流が一定の条件の下で、ターゲット電圧設定部26で設定されたターゲット電圧の値がTのときには、図2に示すようにフォーカス電圧の最適値はFとなるので、フォーカス電圧制御部29はFに変更して、フォーカス電圧発生部30はFをフォーカス電極12に印加する。また、管電流を動かした場合で、管電流設定部23で設定された管電流の値がIのときで、ターゲット電圧設定部26で設定されたターゲット電圧の値がTのときには、図3に示すようにフォーカス電圧の最適値はFとなるので、フォーカス電圧制御部29はFに変更して、フォーカス電圧発生部30はFをフォーカス電極12に印加する。
【0027】
以上のように構成されたX線管1を備えたX線発生装置10によれば、ターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)、電子ビーム量に関する電流(管電流)およびフォーカス電極12による電子ビームBの径を最適化するフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)の相関関係を記憶した最適値テーブル28と、最適値テーブル28によって記憶された相関関係、電子ビーム量に関する電流(管電流)およびターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)に基づいてフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)を最適値に変更するように制御するフォーカス電圧制御部29とを備える。各々の装置ごとにかかる相関関係を記憶しているので、各々の装置ごとに、電子ビーム量に関する電流(管電流)およびターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)に基づいてフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)をフォーカス電圧制御部29は最適値に変更することができる。その結果、フォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)を最適化して制御し、ひいてはX線を最適に制御することができる。
【0028】
また、X線発生装置10を備えたX線撮像装置によれば、このX線発生装置においてX線を最適に制御することができる結果、所望に制御されたX線画像を精度よく撮像することができる。
【0029】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0030】
(1)上述した実施例では、非破壊検査機器などの工業用装置を例に採ってX線撮像装置を説明したが、この発明は、X線診断装置などの医用装置にも適用することができる。
【0031】
(2)上述した実施例では、カソードとして熱電子放出型を例に採って説明したが、電界によるトンネル効果によって電子ビームを放出させる電界放出型の電子源を備えた装置にも適用することができる。
【0032】
(3)上述した実施例では、この発明における集束手段はフォーカス電極12であったが、電子ビームを集束させる手段であれば、特に限定されない。例えば、円環状に構成された集束コイルであってもよい。集束コイルの場合には、レンズ電源(図示省略)から集束コイルに電流を流すことで磁界を発生させて、光学の集束レンズと同様に集束コイルは電子ビームを集束させる。
【0033】
(4)上述した実施例では、電子ビームBの光軸に対して直交方向にX線を反射させたが、図4に示すように電子ビームBの光軸に沿って平行にX線を透過させた装置にも適用することができる。
【0034】
(5)上述した実施例では、管電流をカソード電流としたが、ターゲット付近の電子ビーム量に関する電流(ターゲット電流)に例示されるように、電子ビーム量に関する電流であれば特に限定されない。
【0035】
(6)上述した実施例では、カソード11を基準にして、各電極への印加電圧を決定したが、基準にする電極はカソードに限定されない。例えば、フォーカス電極あるいはターゲットを基準にして、各電極への印加電圧を決定してもよい。
【0036】
(7)上述した実施例では、カソード11を接地したが、接地する電極はカソードに限定されない。例えば、フォーカス電極あるいはターゲットを接地してもよい。
【0037】
(8)相関関係は、図2に示すようなターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極12による電子ビームBの径を最適化するフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)の関係であってもよいし、図3に示すようなターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)、電子ビーム量に関する電流(管電流)、およびフォーカス電極12による電子ビームBの径を最適化するフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)の相関関係であってもよい。図2の場合には、相関関係およびターゲット13への印加電圧(ターゲット電圧)に基づいてフォーカス電極12への印加電圧(フォーカス電圧)を最適値に変更するように制御する。
【0038】
(9)上述した実施例では、相関関係は、離散的な数値テーブルを近似式などで連続的にしたグラフであったが、図5に示すように離散的な数値テーブルであってもよい。また、ターゲット電圧のみ、あるいはターゲット電圧および管電流を変数としたフォーカス電圧に関する関数式で、グラフを表して、その関数式をプログラミングして、ターゲット電圧のみ、あるいはターゲット電圧および管電流が設定されたら、そのプログラムに基づいて制御すべきフォーカス電圧の値を計算して出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例に係るX線発生装置のブロック図である。
【図2】ターゲットへの印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極への印加電圧(フォーカス電圧)の数値テーブルをグラフ化した模式図である。
【図3】管電流を動かしたときのターゲットへの印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極への印加電圧(フォーカス電圧)の数値テーブルをグラフ化した模式図である。
【図4】変形例に係るX線発生装置のブロック図である。
【図5】ターゲットへの印加電圧(ターゲット電圧)およびフォーカス電極への印加電圧(フォーカス電圧)の数値テーブルの模式図である。
【符号の説明】
【0040】
10 … X線発生装置
11 … カソード
12 … フォーカス電極
13 … ターゲット
28 … 最適値テーブル
29 … フォーカス電圧制御部
B … 電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを発生させる電子源と、電子源からの電子ビームを集束させる集束手段と、集束手段を通った電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットとを備えたX線発生装置であって、ターゲットへの印加電圧、および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備えることを特徴とするX線発生装置。
【請求項2】
電子ビームを発生させる電子源と、電子源からの電子ビームを集束させる集束手段と、集束手段を通った電子ビームの衝突によりX線を発生させるターゲットとを備えたX線発生装置であって、ターゲットへの印加電圧、電子ビーム量に関する電流および集束手段による電子ビームの径を最適化する集束手段への印加電圧の相関関係を記憶した記憶手段と、記憶手段によって記憶された相関関係、電子ビーム量に関する電流およびターゲットへの印加電圧に基づいて集束手段への印加電圧を最適値に変更するように制御する集束制御手段とを備えることを特徴とするX線発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−140654(P2008−140654A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325665(P2006−325665)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】