説明

mGlu5受容体アンタゴニストとしてのチアゾロ[4,5−c]ピリジン誘導体

本発明は、mGluR5受容体介在性障害の治療又は予防に有用な、代謝調節型のグルタミン酸受容体アンタゴニストとしての一般式(I)の化合物(式中、R、R及びRは、明細書で定義されたとおりである)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I:
【0002】
【化9】

【0003】
[式中、
は、水素、ハロゲン、シアノ、低級アルコキシ、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキルであるか、あるいはシクロアルキル、−(CHn−O−低級アルキル、−C(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)であり;
は、アリール又は5員若しくは6員のヘテロアリールであり;
は、水素、OR、NR、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、5員若しくは6員のヘテロアリール、C(O)NR、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又はC(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)であり;
ここで、R及びRのアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員のヘテロアリール基は、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、S(O)−アルキル、S(O)−アルキル、−C(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)で置換されていてもよく;
Rは、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1又は2である]
で示される複素環式誘導体及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0004】
驚くことに、一般式Iの化合物が、代謝調節型のグルタミン酸受容体アンタゴニストであることが見出された。式Iの化合物は、有益な治療上の特性を有することによって、特徴付けられる。それらは、mGluR5受容体介在性障害の治療又は予防に用いることができる。
【0005】
そのような障害は、急性及び/又は慢性の神経障害、特に急性又は慢性疼痛、尿失禁、胃腸逆流障害、薬物又は疾患で誘起された肝臓傷害又は肝不全、肥満又は虚弱X若しくは自閉症、神経系の急性、外傷性、及び慢性変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神病、例えば統合失調症及び不安、うつ病、ならびに薬物依存症である。
【0006】
中枢神経系(CNS)において、刺激の伝達は、ニューロンにより放出される神経伝達物質と、神経受容体との相互作用によって行われる。
【0007】
グルタミン酸は、脳内の主要な興奮性の神経伝達物質であり、様々な中枢神経系(CNS)機能において、特有の役割を演じている。グルタミン酸依存性の刺激受容体は、2つの主要なグループに分類される。第一の主要なグループ、すなわちイオン調節型受容体は、リガンド制御されるイオンチャンネルを形成している。代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)は、第二の主要なグループに属し、更にGタンパク質共役受容体のファミリーに属する。
【0008】
現在、これらのmGluRの8種の異なるメンバーが公知であり、これらのいくつかは更にサブタイプを有する。その配列の相同性、シグナル伝達機構及びアゴニスト選択性により、これら8つの受容体を、3つのサブグループに細分することができる。
【0009】
mGluR1及びmGluR5は、グループIに属し、mGluR2及びmGluR3は、グループIIに属し、そしてmGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8は、グループIIIに属する。
【0010】
第一のグループに属する代謝調節型グルタミン酸受容体のリガンドは、急性及び/又は慢性の神経障害、例えば精神病、てんかん、統合失調症、アルツハイマー病、認知障害及び記憶障害、ならびに慢性及び急性の疼痛の治療又は予防に用いることができる。
【0011】
これに関連して、他の処置可能な症状は、バイパス手術若しくは移植、脳への血液供給不足、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠による低酸素症、心停止及び低血糖に起因する脳機能障害である。更に処置可能な症状は、虚血、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、眼損傷、網膜症、特発性パーキンソニズム又は医薬によるパーキンソン様症状、ならびにグルタミン酸の欠乏作用に至る症状、例えば筋痙縮、痙攣、片頭痛、尿失禁、ニコチン依存、アヘン剤依存、不安、嘔吐、運動障害(ジスキネジー)、胃腸逆流障害、及びうつ病である。
【0012】
完全に又はある程度mGluR5介在性である障害は、例えば、神経系の急性、外傷性及び慢性の変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神障害、例えば統合失調症及び不安、うつ病、疼痛、ならびに薬物依存症である(Expert Opin. Ther. Patents (2002), 12, (12))。
【0013】
本発明は、式Iの化合物、急性及び/又は慢性の神経障害、特に急性又は慢性疼痛、尿失禁、胃腸逆流障害、薬物又は疾患で誘起された肝臓傷害又は肝不全、肥満又は虚弱X若しくは自閉症、神経系の急性、外傷性、及び慢性変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神病、例えば統合失調症及び不安、うつ病、ならびに薬物依存症である、mGluR5受容体介在性障害の処置のための医薬を製造するための式Iの化合物ならびにそれらの薬学的に許容しうる塩の使用に関する。更に、本発明は、一つ以上の式Iの化合物を含有する医薬、及びそのような化合物の製造方法に関する。
【0014】
本明細書で用いられる一般的な用語についての以下の定義は、当該用語が単独で、又は組み合わせで現れるか否かにかかわらず適用する。
【0015】
本明細書で用いられる用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐鎖状飽和炭化水素残基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチルなどを意味する。
【0016】
用語「低級アルコキシ」は、酸素原子を介して結合された、前記の定義の意味における低級アルキル残基を意味する。「低級アルコキシ」残基の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。
【0017】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。
【0018】
用語「ハロゲンで置換されている低級アルキル」は、1個以上のハロゲン原子で置換されている、上で定義されたような低級アルキル基を意味する。そのような基の例として、1個以上のCl、F、Br又はI原子で置換されているメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、又はn−ヘキシル及び、本明細書で以下に実施例で具体的に例証されているそれらの基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい基は、ジフルオロ−又はトリフルオロ−メチル又はエチルである。
【0019】
「アリール」は、個別の環1個よりなるか、又は少なくとも1個の環が芳香族の性質である縮合環1個以上よりなる芳香族炭素環式基を表す。好ましいアリール基は、フェニルである。
【0020】
用語「5員若しくは6員のヘテロアリール」は、窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を含む芳香族環を指す。好ましいものは、窒素から選択されるそれらのヘテロアリール基である。そのようなヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソオキサゾリル、又はチアゾリルである。
【0021】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、残りが炭素原子である飽和非芳香族環を指す。好ましいヘテロシクロアルキルは、5又は6個の環員を有するヘテロシクロアルキルである。好ましいものは、窒素から選択されるそれらのヘテロシクロアルキル基である。そのような基の例はとして、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、又はピペリジルである。
【0022】
用語「シクロアルキル」は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜6個の炭素原子を含有する、飽和炭素環基を指す。
【0023】
用語「薬学的に許容しうる塩」は、無機酸若しくは有機酸又は塩基から誘導される任意の塩を指す。そのような塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸により形成される酸付加塩;又は酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ピロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、又はトリメチル酢酸のような有機酸により形成される酸付加塩が挙げられる。
【0024】
好ましいものは、式I:
【0025】
【化10】

【0026】
[式中、
は、低級アルキルであり;
は、フェニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、又はピラゾリルであり、ここで、環は非置換であるか、又はハロゲン若しくは低級アルキルで置換されており;
は、水素、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はイソオキサゾリルであり、これらは非置換であるか、又はハロ若しくは−SO−低級アルキルで置換されていてもよい]
で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩である。
【0027】
好ましいものは、式I:
【0028】
【化11】

【0029】
[式中、
は、低級アルキルであり;
は、フェニル、チアゾリル、ピリジニル、又はピラゾリルであり、ここで、環は非置換であるか、又はハロゲン若しくは低級アルキルで置換されており;
は、水素又はピリジニルである]
で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩である。
【0030】
最も好ましいものは、Rがメチルである、式Iの化合物である。
【0031】
式Iの好ましい化合物は、Rが水素であり、そしてRが、ハロゲンで置換されているフェニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
(3−クロロ−フェニル)−(2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである。
【0032】
更に好ましいものは、Rが、ピリジン−3−イルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリルである式Iの化合物、例えば以下の化合物:
(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン又は
(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミンである。
【0033】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ピリジン−3−イルであり、そしてRが、ハロゲン置換ピリジニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである。
【0034】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ピリジン−3−イルであり、そしてRが、メチル置換ピラゾール−3−イルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである。
【0035】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ハロゲンで又は−S(O)−低級アルキルで置換されているフェニルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリルであるか又はメチル置換ピリミジニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;及び
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミンである。
【0036】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ハロゲン又は低級アルキルで置換されているピリジン−3−イルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル、メチル置換ピリジニル、又はメチル置換ピリミジニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−アミン;及び
[2−メチル−7−(5−メチル−ピリジン−3−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである。
【0037】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ピリミジニルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル、メチル置換ピリジニル、又はメチル置換ピリミジニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン;
(2−メチル−ピリジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン;及び
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである。
【0038】
式Iの好ましい化合物は、Rが、ハロゲン又は低級アルキルで置換されているピリジン−4−イルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル又はメチル置換ピリジニルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−アミン;
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;及び
[2−メチル−7−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである。
【0039】
式Iの好ましい化合物は、Rが、低級アルキルで置換されているオキサゾリルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリルである更なる化合物であり、例えば以下の化合物:
[7−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである。
【0040】
本発明の式Iの化合物は、種々の方法に従って製造しうる。
【0041】
ある実施態様において、本発明の方法は、下記の変形態様を含む:
a)式II:
【0042】
【化12】

【0043】
で示される化合物を、式:
【0044】
【化13】

【0045】
で示される化合物と反応させて、式I:
【0046】
【化14】

【0047】
(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素であり、R、R及びRは、上で定義されたとおりである)で示される化合物を得、所望ならば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換するか、又は
b)式III:
【0048】
【化15】

【0049】
で示される化合物を、式:
【0050】
【化16】

【0051】
で示される化合物と反応させて、式I:
【0052】
【化17】

【0053】
(式中、R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、Xは、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくは塩素である)で示される化合物を得、所望ならば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換する。
【0054】
工程a)に従って、式Iの所望の化合物は、下記のようにして製造しうる:式IIの化合物及び式RBrの化合物を、乾燥ジオキサンに溶解する。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、炭酸セシウム、及びトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体を加え、反応混合物を130℃で約20時間撹拌すると、式Iの化合物が得られる。
【0055】
本発明の種々の方法が、以下のスキーム1及び2ならびに実施例1〜23に、より詳細に記載されている。すべての出発材料(例えば、化合物IV)は公知の化合物であり、これらは、市販の製品から公知の方法に従って製造できるか、直接入手可能である。
【0056】
【化18】

【0057】
(式中、置換基R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、Rは、水素以外である)。
【0058】
【化19】

【0059】
(式中、置換基R及びRは、上で定義されたとおりである)。
【0060】
式III−Aの化合物(RがHであり、XがClである、式IIIの化合物)は、市販の製品から出発して、スキーム1の記載に従うか、又はWO2002/044189に従って製造しうる。次いで、式III−Aの化合物及び式NHの化合物を、乾燥ジオキサンに溶解する。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、炭酸セシウム、及びトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体を加え、反応混合物を、マイクロ波照射下に、約150℃で50分間撹拌する。次に、反応混合物を、蒸発し、慣用の方法で精製する。
【0061】
式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩は、それ自体公知の方法に従い、塩に変換されるべき化合物の性質を考慮して、容易に製造することができる。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸又はクエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等などの無機酸又は有機酸が、式Iの塩基性化合物の薬学的に許容しうる塩の形成に適切である。例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等などのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を含む化合物、塩基性アミン又は塩基性アミノ酸が、酸性化合物の薬学的に許容しうる塩の形成に適切である。
【0062】
式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、すでに上述したように、代謝調節型グルタミン酸受容体アンタゴニストであり、mGluR5受容体介在性障害、例えば、"European Journal of Pharmacology (2004), 497(1), 25-27"; "Journal of Hepatology (2003), 38(2), 179-187"; 及び"Hepatology (Philadelphia) (2000), 31(3), 649-655"等の参考文献に示されているような、急性又は慢性疼痛、尿失禁、薬物又は疾患で誘起された肝臓傷害又は肝不全、肥満又は虚弱X若しくは自閉症、神経系の急性、外傷性、及び慢性変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神病、例えば統合失調症及び不安、うつ病ならびに薬物依存症の治療又は予防に用いることができる。
【0063】
式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、特に鎮痛剤として有用である。処置可能な種類の疼痛として、炎症性の疼痛、例えば関節炎及びリューマチ様疾患、脈管炎、神経障害性の疼痛、例えば三叉神経痛又はヘルペス痛、糖尿病性神経障害痛、カウザルギー(灼熱痛)、痛覚過敏、重症の慢性疼痛、術後痛、ならびに癌、狭心症、腎又は胆石仙痛、月経、片頭痛及び痛風のような様々な症状に関連した疼痛が挙げられる。
【0064】
化合物の薬理学的活性を以下の方法を用いて測定した:
【0065】
結合実験のために、ヒトmGlu5a受容体をコードするcDNAを、Schlaeger and Christensen[Cytotechnology 15:1-13 (1998)]に記載された手順を用いてEBNA細胞に一時的にトランスフェクトした。細胞膜ホモジネートは、アッセイの日まで−80℃で保存し、アッセイの際に、融解し、15mM トリス−HCl、120mM NaCl、100mM KCl、25mM CaCl、25mM MgCl結合バッファーpH7.4中に再懸濁し、ポリトロン処理して、20μgタンパク質/ウエルの最終アッセイ濃度にした。
【0066】
飽和等温線は、12種の[H]MPEP濃度(0.04〜100nM)をこれらの膜に(全量200μlで)、4℃で1時間添加することにより決定した。競合実験を、固定濃度の[H]MPEP(2nM)で行い、11種の濃度(0.3〜10,000nM)を用いて試験化合物のIC50値を査定した。インキュベーションは、4℃で1時間行った。
【0067】
インキュベーションの終わりに、膜を、Filtermate 96採集器(Packard BioScience)を用いてユニフィルター(洗浄バファー中の0.1% PEI中で1時間予備インキュベーションした結合GF/Cフィルターを有する96ウエル白色マイクロプレート、Packard BioScience, Meriden, CT)上に濾集し、冷50mMトリス−HCl、pH7.4バッファーで3回洗浄した。非特異的結合は、10μM MPEPの存在下に測定した。フィルター上の放射能は、45μlのマイクロシンチ40(Canberra Packard S.A., Zurich, Switzerland)を添加し、20分間振盪したのち、クエンチング補正をして、Packard Top-countマイクロプレートシンチレーション計数管で計測した(3分間)。
【0068】
機能性アッセイのために、[Ca2+]i測定を、HEK−293細胞中の組換え体ヒトmGlu5a受容体について、Porterら[Br. J. Pharmacol. 128:13-20 (1999)]により先に記載のようにして行った。細胞は、Fluo4−AM(FLUKAより入手可能、0.2μM最終濃度)を用いて染色ロードした。[Ca2+]i測定は、蛍光イメージプレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices Corporation, La Jolla, CA, USA)を用いて行った。アンタゴニスト評価は、試験化合物で5分間予備インキュベーションしたのち、亜最大量のアゴニストを添加して行った。
【0069】
阻害(アンタゴニスト)曲線は、反復非線形曲線フィッティングソフトウェア(Xcel fit)を使用して、IC50及びヒル係数を与える4パラメーターのロジスティック方程式にあてはめた。
【0070】
結合実験に対して、試験した化合物のKi値を示す。Ki値は、以下の式:
【0071】
【化20】

【0072】
により定義され、ここで、IC50値は、競合放射性リガンド([H]MPEP)の50%阻害を引き起こす試験された化合物の濃度である。Lは、結合実験で使用した放射性リガンドの濃度であり、放射性リガンドのKd値は、調製された膜の各々のバッチについて実験的に決定される。
【0073】
本発明の化合物は、mGluR5a受容体アンタゴニストである。上記に記載したアッセイで測定され、かつ以下の表に示した式I、Ia及びIbの化合物の活性は、Ki<400nMの範囲である。
【0074】
【表1】

【0075】
式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0076】
式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、医薬製剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機担体を用いて加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体材料として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、ならびに半固形及び液状ポリオール等である;しかし、軟ゼラチンカプセル剤の場合、活性成分の性質によっては、担体を必要としないこともある。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース等である。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等の補助剤を、式Iの化合物の水溶性塩の注射用水溶液に用いることができるが、通常は、必要ではない。坐剤に適した担体は、例えば、天然油又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等である。
【0077】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味料、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含むことができる。また、他の治療上有益な物質を含むこともできる。
【0078】
前述のように、式Iの化合物又はその薬学的に許容しうる塩、及び治療上不活性な賦形剤を含む医薬はまた、一つ以上の式Iの化合物又はその薬学的に許容しうる塩及び、所望であれば、一つ以上の他の治療上有益な物質を、一つ以上の治療上不活性な担体と合わせてガレヌス製剤投与形態とすることを含む、そのような医薬の製造方法と同様、本発明の目的である。
【0079】
投与量は、広範囲に変化することができ、当然、各々の特定の症例において、個別の必要に適合されるであろう。一般的には、経口又は非経口投与での有効投与量は、0.01〜20mg/kg/日の間であり、0.1〜10mg/kg/日の投与量が、記載された全ての適応に対して好ましい。したがって、体重70kgである成人の一日用量は、0.7〜1400mg/日であり、好ましくは7〜700mg/日である。
【0080】
以下の実施例が、本発明を更に説明するために提供される。
【0081】
実施例1
(3−クロロ−フェニル)−(2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン
4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(100mg、0.54mmol)(実施例A)及び3−クロロアニリン(90mg、0.70mmol)を、乾燥ジオキサン3mlに溶解した。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(63mg、0.1mmol)、炭酸セシウム(350mg、1.08mmol)及びトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(56mg、0.05mmol)を加え、反応混合物を120℃で16時間撹拌した。次に反応混合物を蒸発し、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 90:10→30:70の勾配)により精製した。所望の生成物を黄色の固体として得た(20mg、13%)、MS:m/e=276.3(M+H)。
【0082】
実施例2
(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
工程1:4−クロロ−2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52mg、0.05mmol)を、トルエン8mlに溶解した。4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(280mg、0.90mmol)(実施例B)、3−ピリジンボロン酸(133mg、1.08mmol)、2M炭酸ナトリウム(2.70ml、5.4mmol)及びエタノール2mlを加え、混合物を80℃で6時間撹拌した。反応混合物を水及び酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 9:1→0:100の勾配)により精製した。所望の化合物を明黄色の固体として得た(100mg、42%)、MS:m/e=263.1(M+H+)。
【0083】
工程2:(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
4−クロロ−2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(100mg、0.38mmol)及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(44mg、0.38mmol)(実施例C)を、乾燥ジオキサン3mlに溶解した。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(44mg、0.08mmol)及び炭酸セシウム(200mg、0.61mmol)を加え、溶液から酸素を除去するために、この混合物を、脱気及びアルゴンでの充填を数回した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(38mg、0.035mmol)を加え、反応混合物を100℃で1時間撹拌した。次に反応混合物を蒸発し、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 90:10→0:100の勾配)により精製し、ジイソプロピルエーテル中で再結晶化した。所望の生成物を黄色の固体として得た(20mg、15%)、MS:m/e=354.1(M+H)。
【0084】
実施例3
(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=340.1(M+H)を、実施例2、工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン及び2−アミノ−4−メチルチアゾールから調製した。
【0085】
実施例4
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=338.1(M+H)を、実施例2、工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン及び2−アミノ−5−フルオロピリジンから調製した。
【0086】
実施例5
(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=323.3(M+H)を、実施例2、工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン及び3−アミノ−1−メチルピラゾールから調製した。
【0087】
実施例6
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=375.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0088】
実施例7
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=358.2(M+H)、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3−フルオロ−5−ピリジンボロン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールから調製した。
【0089】
実施例8
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=353.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3−フルオロ−5−ピリジンボロン酸及び4−アミノ−2−メチルピリミジンから調製した。
【0090】
実施例9
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=341.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、5−ピリミジンボロン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールから調製した。
【0091】
実施例10
(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=336.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、5−ピリミジンボロン酸及び4−アミノ−2−メチルピリミジンから調製した。
【0092】
実施例11
(2−メチル−ピリジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=335.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、5−ピリミジンボロン酸及び2−メチル−4−アミノピリジンから調製した。
【0093】
実施例12
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=341.0(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、5−ピリミジンボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0094】
実施例13
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=368.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、2−クロロピリジン−4−ボロン酸及び2−メチル−4−アミノピリジンから調製した。
【0095】
実施例14
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=374.0(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、2−クロロピリジン−4−ボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0096】
実施例15
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=358.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3−フルオロ−5−ピリジンボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0097】
実施例16
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=417.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、(3−メチルスルホニルフェニル)ボロン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールから調製した。
【0098】
実施例17
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=412.3(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、(3−メチルスルホニルフェニル)ボロン酸及び4−アミノ−2−メチルピリミジンから調製した。
【0099】
実施例18
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=417.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、(3−メチルスルホニルフェニル)ボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0100】
実施例19
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=375.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸及び2−アミノ−4−メチルチアゾールから調製した。
【0101】
実施例20
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=352.2(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3−フルオロ−5−ピリジンボロン酸及び2−アミノ−5−メチルピリジンから調製した。
【0102】
実施例21
[2−メチル−7−(5−メチル−ピリジン−3−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=354.3(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−7−ボロン酸(実施例D)、3−ブロモ−5−メチルピリジン及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0103】
実施例22
[2−メチル−7−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=354.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−7−ボロン酸(実施例D)、4−ブロモ−2−メチルピリジン及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0104】
実施例23
[7−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン
標記化合物、MS:m/e=358.1(M+H)を、実施例2、工程1及び工程2の一般的方法に従って、4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−ボロン酸及び4−アミノ−2−メチルチアゾール(実施例C)から調製した。
【0105】
中間体の合成
実施例A
4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
工程1:3−ニトロ−ピリジン−4−オール
濃臭化水素酸(48%)220ml中の4−メトキシ−3−ニトロピリジン(25.0g、162mmol)を、100℃で16時間還流した。反応混合物を冷却し、氷水に注ぎ、濃NaOH(32%)155mlで中和した。懸濁液を5℃で10分間撹拌し、濾過した。固体を水で洗浄し、50℃、<30mbarで1時間乾燥した。所望の生成物を明黄色の固体として得た(20.2g、89%)。
【0106】
工程2:3−アミノ−ピリジン−4−オール
3−ニトロ−ピリジン−4−オール(20.0g、143mmol)を、メタノール1000ml及びDMF 20mlに懸濁した。パラジウム担持炭(2.0g、10%Pd)を加え、混合物を周囲温度で4時間水素化した。懸濁液を濾過し、溶媒を蒸発した。所望の生成物をピンク色の油状物として得た(26g、定量)。
【0107】
工程3:N−(4−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−アセトアミド
3−アミノ−ピリジン−4−オール(15.0、136mmol)を、ジクロロメタン200mlに懸濁し、N−エチルジイソプロピルアミン(82ml、477mmol)を加えた。ジクロロメタン150ml中のアセチルクロリド(10.6ml、150mmol)の溶液を、周囲温度で滴下した。反応混合物を還流下で3時間撹拌し、蒸発乾固した。残留物をメタノール中で撹拌し、濾過した。溶媒を蒸発し、所望の生成物を白色の固体として得た(7.2g、35%)、MS:m/e=151.1(M+H)。
【0108】
工程4:2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
N−(4−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−アセトアミド(3.0g、19.7mmol)を、ピリジン150mlに溶解し、五硫化リン(4.4g、19.7mmol)を加えた。反応混合物を還流下で2時間撹拌し、蒸発乾固した。残留物を水に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを8に調整した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(2.3g、78%)を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0109】
工程5:2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン 5−オキシド
2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(2.3g、15.3mmol)を、クロロホルム150mlに溶解し、3−クロロペルオキシ安息香酸(4.15g、16.8mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次に蒸発した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール100:0→90:10の勾配)により精製した。白色の固体として所望の生成物を得た(2.1g、83%)、MS:m/e=167.2(M+H)。
【0110】
工程6:4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン 5−オキシド(230mg、1.38mmol)を、塩化ホスホリル4mlに2時間還流した。反応混合物を蒸発し、酢酸エチル及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 90:10→0:100の勾配)により精製した。所望の生成物を明黄色の固体として得た(180mg、70%)、MS:m/e=185.1(M+H)。
【0111】
実施例B
4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
工程1:2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸
2−メチルチアゾール−4−カルボン酸エチル(17.0g、99.3mmol)を、メタノールの150mlに溶解し、2N NaOH(150ml、300mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。メタノールを蒸発し、残留物を2N HClでpH2に酸性化した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(13.0g、91%)を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0112】
工程2:5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸
2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸(13.0g、90.8mmol)を、THF 750mlに溶解し、−75℃に冷却した。n−BuLi(THF中の1.6M;120ml、190.7mmol)を30分間滴下した。赤色の懸濁液を−75℃で15分間、0℃で30分間撹拌した。シクロヘキサン20ml中の臭素(5.1ml、100mmol)の溶液を、−75℃で滴下し、撹拌を室温で2時間続けた。反応混合物を水20mlでクエンチし、蒸発し、2N HClでpH2に酸性化した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(16.4g、81%)[MS:m/e=223.0(M+H+)]を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0113】
工程3:5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸アミド
5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸(14.4g、64.8mmol)を、DMF 100mlに溶解し、CDI(11.6g、71.3mmol)を加えた。溶液を60℃で2時間撹拌し、冷却し、NHOH(150ml、973mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、酢酸エチル及び水で2回抽出した。有機抽出物を水で4回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(11.3g、79%)[MS:m/e=222.8(M+H+)]を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0114】
工程4:5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボニトリル
5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸アミド(11.3g、51.1mmol)を、ジクロロメタン150mlに溶解し、トリエチルアミン(14.2ml、102.2mmol)を加えた。トリフルオロ酢酸無水物(14.3ml、102.2mmol)を0℃で滴下し、混合物を2時間冷却しないで撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 90:10→20:80の勾配)により精製した。所望の化合物を明黄色の固体として得た(6.4g、62%)、MS:m/e=204.0(M+H+)。
【0115】
工程5:2−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チアゾール−4−カルボニトリル
5−ブロモ−2−メチル−チアゾール−4−カルボニトリル(4.8g、23.6mmol)を、トリエチルアミン50mlに懸濁した。トリメチルシリルアセチレン(4.64g、47.3mmol)、トリフェニルホスフィン(186mg、0.7mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)(0.83g、1.18mmol)を加え、溶液から酸素を除去するために、この混合物を、脱気及びアルゴンでのパージを数回した。ヨウ化銅(I)(45mg、0.24mmol)を加え、反応混合物を70℃で5時間撹拌した。残留物を水に取り、酢酸エチルで3回及び水で数回抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 90:10→1:1の勾配)により精製した。所望の生成物を黒色の固体として得た(4.1g、79%)。
【0116】
工程6:5−(2,2−ジメトキシ−エチル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボニトリル
2−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チアゾール−4−カルボニトリル(4.56g、20.7mmol)を、メタノール45mlに溶解、ナトリウムメトキシド(メタノール中5.4N、11.5ml、62mmol)を加えた。反応混合物を還流下で2時間撹拌し、酢酸エチル及び飽和NaHCO溶液で2回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(4.5g、>100%)を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0117】
工程7:5−(2,2−ジメトキシ−エチル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸アミド
2M NaCO溶液(64ml、127mmol)、H(30%、43.3ml、424mmol)及び水45mlを用意し、アセトン45ml中の5−(2,2−ジメトキシ−エチル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボニトリル(4.5g、21mmol)の溶液を室温で滴下した。白色の懸濁液を2時間撹拌した。アセトンを蒸発し、水性残留物を酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物(4.8g、98%)を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0118】
工程8:2−メチル−5H−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−オン
5−(2,2−ジメトキシ−エチル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボン酸アミド(1.0g、4.3mmol)を、ジオキサン35mlに溶解し、濃硫酸0.3mlを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。白色の懸濁液を0℃に冷却し、10分間撹拌した。懸濁液を濾過し、冷ジオキサンで洗浄した。固体を50℃で及び<30mbarで1時間乾燥した。所望の生成物を白色の固体として得た(0.7g、97%)、MS:m/e=167.1(M+H+)。
【0119】
工程9:7−ヨード−2−メチル−5H−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−オン
2−メチル−5H−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−オン(770mg、4.6mmol)を、アセトニトリル25mlに懸濁し、N−ヨードスクシンイミド(1.04g、4.6mmol)を加えた。反応混合物を3時間還流した。褐色の懸濁液を5℃に冷却し、15分間撹拌した。固体を濾過し、冷アセトニトリルで洗浄し、50℃で及び<30mbarで1時間乾燥した。粗生成物(830mg、61%)[MS:m/e=292.9(M+H+)]を更に精製しないで次の工程に使用した。
【0120】
工程10:4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン
7−ヨード−2−メチル−5H−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−オン(880mg、3.01mmol)を、POCl(8.25ml、90.4mmol)に懸濁し、4時間還流した。黒色の反応混合物を蒸発し、氷水中のジクロロメタン溶液として注いだ。水層を固体NaHCOでpH7に中和し、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発した。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 100:0→95:5の勾配)により精製した。所望の生成物を明黄色の固体として得た(280mg、30%)、MS:m/e=311.0(M+H+)。
【0121】
実施例C
4−アミノ−2−メチルチアゾール
標記化合物は、欧州特許第321115号に記載の調製に従って調製できる。
【0122】
実施例D
4−クロロ−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−7−ボロン酸
4−クロロ−7−ヨード−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン(実施例B)(2.35g、7.56mmol)及びトリイソプロピルボラート(1.8ml、7.94mmol)を、THF 70mlに溶解し、−75℃に冷却した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中の1.6M)(5.0ml、7.94mmol)を−70℃で滴下した。反応混合物を−75℃で1時間及び氷浴なしで1時間撹拌した。2N HCl溶液10mlを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をアセトニトリル中で結晶化して、所望の化合物を赤色の固体として得た(520mg、30%)、MS:m/e=229.2(M+H)。
【0123】
医薬組成物の調製:
実施例I
以下の組成の錠剤を常法により製造した:
mg/錠剤
活性成分 100
粉末ラクトース 95
白色トウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリジン 8
カルボキシメチルデンプンナトリウム塩 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
【0124】
実施例II
以下の組成の錠剤を常法により製造した:
mg/錠剤
活性成分 200
粉末ラクトース 100
白色トウモロコシデンプン 64
ポリビニルピロリジン 12
カルボキシメチルデンプンナトリウム塩 20
ステアリン酸マグネシウム 4
錠剤重量 400
【0125】
実施例III
以下の組成のカプセル剤を製造した:
mg/カプセル
活性成分 50
結晶質乳糖 60
微晶質セルロース 34
タルク 5
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル充填重量 150
【0126】
適切な粒径の活性成分、結晶質ラクトース及び微晶質セルロースを、互いに均質に混合し、ふるい分けした後、タルク及びステアリン酸マグネシウムを混合した。最終混合物を、適当なサイズの硬ゼラチンカプセルに充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】


[式中、
は、水素、ハロゲン、シアノ、低級アルコキシ、低級アルキル、又はハロゲンで置換されている低級アルキル、シクロアルキル、−(CHn−O−低級アルキル、−C(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)であり;
は、アリール又は5員若しくは6員のヘテロアリールであり;
は、水素、OR、NR、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、5員若しくは6員のヘテロアリール、C(O)NR、ハロゲンで置換されている低級アルキル、又はC(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)であり;
ここで、R及びRのアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員のヘテロアリール基は、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、S(O)−アルキル、S(O)−アルキル、−C(O)R’(R’は、低級アルキル、低級アルコキシ又はNRである)で置換されていてもよく;
Rは、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1又は2である]
で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
請求項1記載の式I:
【化2】


[式中、
が、低級アルキルであり;
が、フェニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、又はピラゾリルであり、ここで、環は非置換であるか、又はハロゲン若しくは低級アルキルで置換されており;
が、水素、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はイソオキサゾリルであり、これらは非置換であるか、又はハロ若しくは−SO−低級アルキルで置換されていてもよい]
で示される化合物。
【請求項3】
請求項1記載の式I:
【化3】


[式中、
が、低級アルキルであり;
が、フェニル、チアゾリル、ピリジニル、又はピラゾリルであり、ここで、環は非置換であるか、又はハロゲン若しくは低級アルキルで置換されており;
が、水素又はピリジニルである]
で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項4】
がメチルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項5】
が水素であり、そしてRがハロゲンで置換されているフェニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項6】
化合物が、(3−クロロ−フェニル)−(2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである、請求項5記載の式Iの化合物。
【請求項7】
がピリジン−3−イルであり、そしてRがメチル置換チアゾリルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項8】
化合物が、(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン又は(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミンである、請求項7記載の式Iの化合物。
【請求項9】
がピリジン−3−イルであり、そしてRがハロゲン置換ピリジニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項10】
化合物が、(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである、請求項9記載の式Iの化合物。
【請求項11】
がピリジン−3−イルであり、そしてRがメチル置換ピラゾール−3−イルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項12】
化合物が、(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−(2−メチル−7−ピリジン−3−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミンである、請求項11記載の式Iの化合物。
【請求項13】
が、ハロゲンで又はS(O)−低級アルキルで置換されているフェニルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリルであるか又はメチル置換ピリミジニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項14】
化合物が、
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
[7−(3−メタンスルホニル−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;及び
[7−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミンである、
請求項13記載の式Iの化合物。
【請求項15】
が、ハロゲン又は低級アルキルで置換されているピリジン−3−イルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル、メチル置換ピリジニル、又はメチル置換ピリミジニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項16】
化合物が、
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;
[7−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−アミン;及び
[2−メチル−7−(5−メチル−ピリジン−3−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである、
請求項15記載の式Iの化合物。
【請求項17】
がピリミジニルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル、メチル置換ピリジニル、又はメチル置換ピリミジニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項18】
化合物が、
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミン
(2−メチル−ピリミジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン;
(2−メチル−ピリジン−4−イル)−(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−アミン;及び
(2−メチル−7−ピリミジン−5−イル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである、
請求項17記載の式Iの化合物。
【請求項19】
が、ハロゲン又は低級アルキルで置換されているピリジン−4−イルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリル又はメチル置換ピリジニルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項20】
化合物が、
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−アミン;
[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミン;及び
[2−メチル−7−(2−メチル−ピリジン−4−イル)−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである、
請求項19記載の式Iの化合物。
【請求項21】
が、低級アルキルで置換されているオキサゾリルであり、そしてRが、メチル置換チアゾリルである、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項22】
化合物が、
[7−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−2−メチル−チアゾロ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−アミンである、
請求項21記載の式Iの化合物。
【請求項23】
請求項1記載の式Iの化合物の製造方法であって、
a)式:
【化4】


で示される化合物を、式:
【化5】


で示される化合物と反応させて、式I:
【化6】


(式中、Xは、塩素、臭素又はヨウ素であり、R、R及びRは、上で定義されたとおりである)
で示される化合物を得、所望ならば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換する工程か、又は
b)式III:
【化7】


で示される化合物を、式:
NH
の化合物と反応させて、式I:
【化8】


(式中、R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、Xは、塩素、臭素又はヨウ素である)
で示される化合物を得、所望ならば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換する工程を含む方法。
【請求項24】
mGluR5受容体介在性障害の治療及び予防のための、請求項1〜22のいずれか一項記載の一つ以上の化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含有する医薬。
【請求項25】
急性及び/又は慢性の神経障害、特に急性又は慢性疼痛、尿失禁、胃腸逆流障害、薬物若しくは疾患で誘起された肝臓損傷又は肝不全、肥満又は虚弱X若しくは自閉症、神経系の急性、外傷性、及び慢性変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神病、例えば統合失調症及び不安、うつ病、ならびに薬物依存症の治療及び予防のための、請求項24記載の医薬
【請求項26】
疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物及びその薬学的に許容しうる塩。
【請求項27】
mGluR5受容体介在性障害の治療及び予防のための医薬を製造するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物及びその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項28】
急性及び/又は慢性の神経障害、特に急性又は慢性疼痛、尿失禁、胃腸逆流障害、薬物若しくは疾患で誘起された肝臓損傷又は肝不全、肥満又は虚弱X若しくは自閉症、神経系の急性、外傷性、及び慢性変性プロセス、例えばアルツハイマー病、老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症、精神病、例えば統合失調症及び不安、うつ病、ならびに薬物依存症の治療及び予防のための医薬を製造するための、請求項27記載の使用。
【請求項29】
本明細書に記載された発明。

【公表番号】特表2009−514923(P2009−514923A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539390(P2008−539390)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067794
【国際公開番号】WO2007/054436
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】