mGluR5受容体アンタゴニストの多形
本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩及びヘミ硫酸塩、その結晶形態及び非晶質形態ならびに医薬製剤中でのそれらの使用に関する。本発明の化合物は、mGluR5受容体に対し活性があり、mGluR5受容体に関連する疾患(例えば、急性及び/又は慢性神経障害、特に不安)の処置のため、あるは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩及びヘミ硫酸塩、その結晶形態及び非晶質形態ならびに医薬製剤におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンは、公開されたPCT特許出願WO2004/108701に既に記載されている。
【0003】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンは、mGluR5受容体に関連する疾患(例えば、急性及び/又は慢性神経障害、特に不安)の処置のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のために、mGluR5受容体に対し活性があることが記載された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、以下の化合物:
【0005】
【化1】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩及びヘミ硫酸塩に関する。
【0006】
別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の2種の異なる結晶形態A及びBに関する。
【0007】
更に別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態に関する。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態Aに関する。
【0009】
前述の塩ならびにそれらの結晶及び非晶質形態は、物理的及び化学的性質により区別することができ、それらの性質は、赤外線スペクトル、粉末X線回折パターン、溶融挙動又はガラス転移温度により特徴づけることができる。
【0010】
本発明はまた、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態、及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物も提供する。特に本発明はまた、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態、ならびに薬学的に許容され得る担体及び/又は佐剤1種以上を含む医薬組成物も提供する。
【0011】
本発明によれば、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態は、mGluR5受容体に基づく疾病の制御又は予防に有用な医薬の製造に用いることができる。そのような疾病としては、急性及び/又は慢性神経障害、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、STOE回折装置)パターンを示す。
【図2】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的なロットのIR(赤外線分光法、Nicolet分光計)スペクトルを示す。
【図3】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのTGA(熱重量分析、Mettler-Toledoシステム)曲線を示す。
【図4】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、Scintag回折装置)パターンを示す。
【図5】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのIR(赤外線分光法、Mattson分光計)スペクトルを示す。
【図6】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのTGA(熱重量分析、TA Instrumentsシステム)曲線を示す。
【図7】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、Scintag回折装置)パターンを示す。
【図8】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのIR(赤外線分光法、Mattson分光計)スペクトルを示す。
【図9】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのTGA(熱重量分析、TA Instrumentsシステム)曲線を示す。
【図10】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、STOE回折装置)パターンを示す。
【図11】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の代表的ロットのIR(赤外線分光法、Nicolet分光計)スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される「非晶質形態」又は「非晶質」は、長距離秩序を欠き、鋭いX線ピーク(即ち、Bragg回折ピーク)を示さない材料を表す。非晶質材料のXRPDパターンは、1個以上の非晶質ハローにより特徴づけられる。
【0014】
Braggの法則は、式:
2d sinθ=nλ
[式中、d=結晶内の隣り合う一対の面の間の垂直距離(格子面間隔)、θ=Bragg角、λ=波長、及びn=整数]を用いて結晶材料の回折を表す。
【0015】
Braggの法則が満たされていれば、反射ビームが相の中にあり、構造的に干渉するため、Bragg回折ピークが、X線回折パターン中に観察される。Bragg角以外の入射角では、反射ビームが相の外にあり、減殺的干渉又は相殺が起こる。非晶質材料は、Braggの法則を満たさず、X線回折パターンに、Bragg回折ピークが観察されない。
【0016】
「非晶質ハロー」は、非晶質物質の粉末X線回折パターンの中のほぼつり鐘形の最大回折である。非晶質ハローのFWHMは、2θが2°よりも大きい。
【0017】
「FWHM」は、半値全幅、つまりXRPDパターンで見られるピークの半分の高さのところの幅を意味する。
【0018】
「一硫酸塩の非晶質形態」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の略語として用いられる。
【0019】
「API」は、本明細書において、活性医薬成分の頭字語として用いられる。
【0020】
「一硫酸塩の形態A」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態Aの略語として用いられる。
【0021】
「ヘミ硫酸塩の形態A」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態Aの略語として用いられる。
【0022】
「一硫酸塩の形態B」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態Bの略語として用いられる。
【0023】
「遊離塩基」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの遊離塩基の略語として用いられる。
【0024】
「IPA」は、本明細書において、2−プロパノールの頭字語として用いられる。
【0025】
「ACN」は、本明細書において、アセトニトリルの頭字語として用いられる。
【0026】
「IR」は、本明細書において、赤外線の頭字語として用いられ、つまり「IRスペクトル」は、赤外線スペクトルを意味する。IRスペクトルは、塩化ナトリウム板2枚の間の、約5mgの試料及びわずかなNujolからなるNujol懸濁物のフィルムとして、FTIR分光計を用いて透過率で記録された。分光計は、Nicolet(商標)20SXB又は同等物(分解能2cm-1、32以上のコーデッドスキャン(coadded scans)、MCT検出器)である。
【0027】
あるいはIRスペクトルは、試料約0.6mg及びKBr約160mgのKBrディスクとして記録された。この場合、分光計は、Mattson Galaxy 5000 FTIRシステム(分解能2cm-1、32以上のコーデッドスキャン)である。
【0028】
薬学的に許容され得る担体、賦形剤、佐剤、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変動させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤等の「薬学的に許容され得る」は、薬理学的に許容され得て、特定の化合物が投与される対象に対して本質的に非毒性であることを意味する。
【0029】
つまり「薬学的に許容され得る」は、薬学的に許容され得る材料が投与される対象に対して本質的に非毒性であることを意味する。
【0030】
「XRPD」は、本明細書において、粉末X線回折の頭字語として用いられる。X線回折パターンは、STOE STADI P回折装置により透過配置の周囲条件(Cu Kα放射線、一次モノクロメータ、位置敏感型検出器、角度範囲3〜42 2θ(°)、合計測定時間 約60分間)で記録された。試料を調製し、その物質の更なる加工(例えば、粉砕又はふるい)を行わずに分析した。
【0031】
あるいは密閉されたCu−Kα1照射源を備えたScintag X1粉末X線回折装置で、X線回折パターンを測定した。試料を入射ビームスリット幅2mm及び4mmならびに回折ビームスリット幅0.3mm及び0.2mmで、1分ごとに1°の速度で、2°〜36° 2θ(2〜36 2θ(°))で試料をスキャンした。
【0032】
単結晶構造分析では、単結晶をゴニオメータのループ内に載せ、周囲条件で測定した。あるいは結晶を、測定の間に窒素流の中で冷却した。STOE(Darmstadt)のSTOEイメージングプレート回折システム(IPDS)で、データを回収した。この場合、0.71Å波長のMo放射線を、データ回収に用いた。データは、STOE IPDSソフトウェアで処理した。結晶構造を解明し、標準の結晶学ソフトウェアで精密化した。この場合、Bruker AXS(Karlsruhe)のプログラム:ShelXTLを用いた。
【0033】
あるいは、単結晶X線回折強度データを、Bruker SMART APEX(商標)回折装置で、周囲条件で測定した(Mo Kα照射、λ=0.71Å)。生のエリアディテクタデータのフレーム積分を、以下のソフトウェアで実施した:SMART(商標)Version 5.630、SAINT(商標)+Version 6.45及びSADABS(商標)Version 2.10. Bruker Analytical X-ray Systems, Inc., Madison, Wisconsin USA, 2003。直説法の構造解明、差Fourier計算及びF2に対するフルマトリックス最小二乗精密化を、Sheldrick, G. M. SHELXTL(商標) Version 6.14; Bruker Analytical X-ray Systems, Inc., Madison, Wisconsin, USA, 2000により実施した。
【0034】
「TGA」は、本明細書において、熱重量分析の頭字語として用いられる。TGA曲線は、Mettler-Toledo(商標)熱重量分析装置(TGA850/SDTA)で測定した。システムの適性テスト及び較正を、内部標準操作手順により実施した。
【0035】
熱重量分析では、試料約5〜10mgをアルミニウム皿に入れ、正確に計量して穿孔蓋(perforation lids)で密封した。測定の前に、蓋が自動的に貫通して、約1.5mmのピンホールが開けられた。その後、試料を約50mL/分の窒素流れの下で、5℃(K)/分の加熱速度を利用して280℃まで加熱した。
【0036】
あるいは、TA InstrumentsのHi-Res 2950 TGAを用いて、熱重量測定を実施した。加熱速度は、運転時を通して窒素パージを保持して10℃/分であった。
【0037】
「治療上効果的な量」は、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善するか、又は処置される対象の生存を延長するのに効果的な量を意味する。
【0038】
上述の本発明による塩、結晶形態又は非晶質形態のうちの1種に加えて、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体を1種、又は薬学的に許容され得る担体を2種以上含むことができる。適切な薬学的に許容され得る担体としては、薬学的に不活性の無機及び有機担体が挙げられる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コート錠、糖剤、及び硬ゼラチンカプセル剤用の担体として用いることができる。軟ゼラチンカプセル剤用の適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形及び液体ポリオールなどである。しかし、活性物質の性質にもよるが、軟ゼラチンカプセル剤の場合、通常は、担体は必要ない。溶液用の適切な担体としては、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などが挙げられる。
【0039】
遊離塩基:2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの調製は、公開されたPCT特許出願WO2004/108701に既に記載されており、その内容は、本明細書に参考として援用される。
【0040】
先に既に記述されたとおり、本発明は、以下の化合物:
【0041】
【化2】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの新規な塩、ならびにこれらの塩の結晶形態及び非晶質形態に関する。
【0042】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンが、調製方法に応じて、一硫酸塩又はヘミ硫酸塩として単離され得ることが見出された。
【0043】
一硫酸塩の形態A及び形態Bならびに非晶質形態は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩から単離することができる。
【0044】
ヘミ硫酸塩の形態Aを、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩として得ることができる。
【0045】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させることにより調製することができる。
【0046】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aは、無溶媒の結晶形態である。
【0047】
一硫酸塩の形態Aは、その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させることによるか、又は非限定的にACN、ACN/水、メタノール、エタノール、IPA、酢酸、1−オクタノール、IPA/49%硫酸(10:1 v/v)を含む溶媒中で一硫酸塩の形態Aを再結晶化させることにより、得ることができる。
【0048】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0049】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0050】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることができる。
【0051】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0052】
一硫酸塩の形態Aは、図1に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0053】
一硫酸塩の形態Aは、3068、2730、2618、2236、2213、1628、1587、1569、1518、1384、1374、1295、1236、1168、1157、1116、1064、1019、902、855、786及び674cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0054】
一硫酸塩の形態Aは、図2に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0055】
図3に示されたとおり、分解前のTGA曲線で有意な重量減少が観察されなかったため、一硫酸塩の形態Aは、無溶媒形態である。
【0056】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図1〜3に示されている。
【0057】
一硫酸塩の形態Aの単結晶X線分析を実施した。表1に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。一硫酸塩の結晶形態Aが、単結晶分析により決定されたとおり、一硫酸塩の無水形態であることが見出された。得られた一硫酸塩の形態Aで回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと非常に一致することから、一硫酸塩の形態Aが、純粋な結晶相であることが示された。一硫酸塩の形態Aの構造において、フルオロベンゼン環は、上反角90.7°により示されたとおり、イミダゾール環に対してほぼ垂直である。重硫酸アニオンのヒドロキシル基は、隣り合う重硫酸アニオンの酸素原子と分子間水素結合を形成している。この重硫酸アニオンは、プロトン化イミダゾール窒素原子からの水素結合受容体としての働きもある。
【0058】
【表1】
【0059】
一硫酸塩の形態Bは、一水和物結晶形態である。
【0060】
一硫酸塩の形態Bは、IPA/水(例えば、3:1 v/v)中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により得ることができる。一硫酸塩の形態Bは、IPA/水(例えば、3:1 v/v)中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化により調製することもできる。一硫酸塩の形態Bは、更に、(例えば、硫酸水溶液中で)一硫酸塩の形態Aを温浸することにより得ることができる。
【0061】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0062】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0063】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることもできる。
【0064】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0065】
一硫酸塩の形態Bは、図4に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0066】
一硫酸塩の形態Bは、3122、3039、3003、2923、2853、2719、2608、2231、1622、1585、1565、1515、1439、1373、1346、1224、1158、1116、1082、1047、1015、987、901、787、及び673(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0067】
一硫酸塩の形態Bは、図5に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0068】
一硫酸塩の形態Bは、図6に示されたTGA曲線の対応する重量減少を有する一水和物である。
【0069】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図4〜6に示されている。
【0070】
一硫酸塩の形態Bの室温単結晶X線分析を実施した。表2に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。
【0071】
一硫酸塩の結晶形態Bが、単結晶分析により決定されたとおり、一硫酸塩の一水和物であることが見出された。得られた一硫酸塩の形態Bで回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと非常に一致することから、一硫酸塩の形態Bが、純粋な結晶相であることが示された。2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの形態Bの構造において、フルオロベンゼン環とイミダゾール環の間の上反角が、約77.3°であることが見出された。プロトン化されたイミダゾール窒素原子は、重硫酸アニオンと分子間水素結合を形成している。同時に重硫酸アニオンは、クロロピリジン窒素原子及び水分子との水素結合ネットワークにも関与している。
【0072】
【表2】
【0073】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態は、減圧下、約65℃での急速蒸発によりメタノール溶液から得ることができる。
【0074】
一硫酸塩の非晶質形態は、XRPDパターンの鋭いX線回折ピークの欠如、及び/又は2730、2592、2219、1633、1586、1570、1513、1375、1343、1293、1226、1157、1130、1084、1040、986、903、848、788、712及び670(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることができる。
【0075】
一硫酸塩の非晶質形態は、図11に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0076】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図10〜11に示されている。
【0077】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩は、水中での一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により調製することができる。
【0078】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、水中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により得ることができる。それは、非限定的に、水、水/メタノール(例えば、4:1 v/v)、水/エタノール(例えば、4:1 v/v)、水/2−プロパノール(例えば、3:1 v/v)を含む溶媒系の中で一硫酸塩の形態Aを再結晶化又は温浸することにより調製することもできる。
【0079】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンと硫酸と(2:1)の以下の塩:
【0080】
【化3】
である、結晶性ヘミ水和物形態(2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン遊離塩基のヘミ硫酸塩)である。
【0081】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0082】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0083】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることもできる。
【0084】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0085】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図7に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0086】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、3364、3075、3004、2922、2851、2717、2208、1658、1632、1585、1567、1514、1413、1372、1159、1122、1038、986、902、846、821、788、721、712、及び668(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0087】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図8に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0088】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図9に示されたTGA曲線の対応する重量減少を有するヘミ水和物である。
【0089】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図7〜9に示されている。
【0090】
ヘミ硫酸塩の形態Aの低温及び室温の単結晶X線分析を実施した。表3に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。
【0091】
ヘミ硫酸塩の結晶形態Aが、単結晶構造分析により決定されたとおり、ヘミ硫酸塩のヘミ水和物であることが見出された。へミ硫酸塩の形態Aの構造において、非対称単位内に2個のAPI分子が存在する。回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと一致することから、純粋な結晶相が示された。これらの2個のAPI分子のコンホメーションは、フルオロベンゼン環とイミダゾール環の間の上反角の差(約70°対 約61°)から示されるとおり、わずかに異なるが、両方の分子のクロロピリジン環は、非常に小さな上反角(約5°対 約6°)に示されるとおり、イミダゾール環とほぼ同一平面状にある。プロトン化されたイミダゾール窒素原子は、硫酸アニオン及び水分子との分子間水素結合を形成している。同時にその水分子は、2個の硫酸アニオンとの水素結合にも関与している。
【0092】
【表3】
【0093】
その塩を、当該技術分野で公知の通常の薬学的に許容され得る佐剤を更に含む組成物に、低濃度又は高濃度で配合することができる。
【0094】
本発明は、以下の化学種:
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのモノ又はヘミ硫酸塩;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A又はB;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態A;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの非晶質形態、
の1種以上及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物も提供する。
【0095】
更に、医薬組成物は、より多くの薬学的に許容され得る担体及び/又は1種以上の佐剤を含んでいてもよい。
【0096】
これらの医薬組成物は、錠剤、コート錠、糖剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液、乳剤又は懸濁液の形態であってもよい。本発明は、前述の改良及び形態を1種以上の治療上不活性の担体と共に生薬投与形態にすることを含む、そのような組成物の製造方法も提供する。
【0097】
加えて医薬組成物は、薬学的に許容され得る防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変動させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含むことができる。それらは、更に他の治療上貴重な物質も含むことができる。
【0098】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、先に記載された形態A又はBの結晶多形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0099】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、先に記載された非晶質形態を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0100】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩は、先に記載された形態Aの結晶多形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0101】
本発明によれば、上述の本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を、mGluR5受容体が役割を担う疾病の治療又は予防に有用な医薬の製造に用いることができる。そのような疾病としては、急性及び/又は慢性神経疾患、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症が挙げられる。
【0102】
本発明の化合物の塩、結晶及び非晶質形態は、急性及び/又は慢性神経疾患、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症からなる群から選択される疾病の処置方法において用いることができ、該方法は、本明細書の先に記述された本発明による塩、結晶形態又は非晶質形態からなる群から選択される化学種1種の有効量を個体に投与することを含む。
【0103】
本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を投与する投与量は、広い限界内で変動してもよいが、もちろん個々の症例の各要件に適合させなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、約0.01mg〜約1000mg/日、好ましくは約0.05mg〜約20mg/日、より好ましくは約0.5mg〜約5mg/日で変動してもよい。日用量を単回投与又は分割投与で与えてもよく、加えて、適切であることが分かっているならば、上限を超えてもよい。更なる実施形態において、本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を投与する投与量は、約0.001mg〜約5mg、好ましくは約0.001mg〜約3mg、約0.001mg〜約2mg、又は約0.001〜約1mgの範囲内である。
【実施例】
【0104】
実施例1
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの調製
【0105】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aは、適切な溶媒系、例えば2−プロパノール/水中で、一硫酸塩の形態Aの種結晶を導入して又は導入せずに、塩形成することによるか、あるいは、非限定的にアセトニトリル、アセトニトリル/水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸、1−オクタノール、2−プロパノール/49%硫酸(10:1、v/v)を含む溶媒中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化により形成することができる。
【0106】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン61.0gを2−プロパノール610mLに溶解した。溶液を濾過し、フィルターを2−プロパノール31mLですすいだ。合わせた溶液に、水30mLと硫酸(97%)18.91gの混合物を滴下した。溶液を0〜5℃に冷却した。種結晶の導入を必要に応じて58℃で実施した。固体残留物を濾過し、2−プロパノール(0〜5℃)で洗浄し、50℃/<1mbarで18時間乾燥させた。収量(収率):69.1g(87.1%)。
【0107】
形態Aの種結晶は、2−プロパノール10ml中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩250mgの熱い溶液を冷却結晶化して調製することができる。0℃に冷却した後、固体残留物を濾過し、減圧下、50℃で乾燥させることができる。
【0108】
一硫酸塩の形態Aの固体特性
一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図1〜3に示す。
【0109】
実施例2
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの調製
【0110】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bは、溶媒系、例えば2−プロパノール/水もしくは1N 硫酸中で、一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡によるか、又は溶媒系、例えば2−プロパノール/水中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩を種結晶を導入して冷却結晶化することにより、生成することができる。
【0111】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A 300mgを、2−プロパノール3ml及び水1mlに60℃で溶解して、清澄な溶液を得た。清澄な溶液に一硫酸塩の形態Bの種結晶を導入して、室温で密閉した。単結晶が3日後に形成した。
【0112】
種結晶を、2−プロパノール及び水(3:1 v/v)中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの飽和スラリーを、室温で形成することにより調製することができる。スラリーを室温で約3週間撹拌した。ガラスフィルターを介して固体を濾過して、一硫酸塩の結晶形態Bを湿潤ケーキとして得た。
【0113】
一硫酸塩の形態Bの固体特性
一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図4〜6に示す。
【0114】
実施例3
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの調製
【0115】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aは、溶媒、例えば水中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により生成することができる。それはまた、非限定的に、水、水/メタノール(例えば4:1、v/v)、水/エタノール(例えば4:1、v/v)、水/2−プロパノール(例えば3:1、v/v)を含む溶媒系中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化又は温浸により調製することもできる。
【0116】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A 41gを、水128gと混合した。スラリーを室温で2〜16時間撹拌した。一硫酸塩の形態Aのすべてをヘミ硫酸塩に変換した後、結晶を濾過により回収し、水ですすいだ。湿潤ケーキを真空オーブンで40℃にて48時間乾燥させた。収率は約93%であった。
【0117】
ヘミ硫酸塩の形態Aの固体特性
ヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図7〜9に示す。
【0118】
実施例4
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の調製
【0119】
非晶質形態の形成
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの非晶質一硫酸塩は、適切な溶媒、好ましくはメタノール中の溶液を急速に蒸発させると入手可能である。
【0120】
急速蒸発
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン0.53gを、メタノール10mLに約65℃で溶解した。減圧下で溶媒を完全に蒸発させた後、固体(泡状物)をさらに約50℃/5〜20mbarで18時間乾燥させた。分析により、非晶質2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンであると明らかにした。
【0121】
非晶質形態の固体特性
非晶質形態のXRPD−パターン及びIR−スペクトルを、図10〜11に示す。
【0122】
処方
【0123】
【表4】
【0124】
製造手順
1.品目1、2、3、4、5及び6を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目7及び8を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩及びヘミ硫酸塩、その結晶形態及び非晶質形態ならびに医薬製剤におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンは、公開されたPCT特許出願WO2004/108701に既に記載されている。
【0003】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンは、mGluR5受容体に関連する疾患(例えば、急性及び/又は慢性神経障害、特に不安)の処置のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のために、mGluR5受容体に対し活性があることが記載された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、以下の化合物:
【0005】
【化1】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩及びヘミ硫酸塩に関する。
【0006】
別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の2種の異なる結晶形態A及びBに関する。
【0007】
更に別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態に関する。
【0008】
更に別の態様において、本発明は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態Aに関する。
【0009】
前述の塩ならびにそれらの結晶及び非晶質形態は、物理的及び化学的性質により区別することができ、それらの性質は、赤外線スペクトル、粉末X線回折パターン、溶融挙動又はガラス転移温度により特徴づけることができる。
【0010】
本発明はまた、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態、及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物も提供する。特に本発明はまた、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態、ならびに薬学的に許容され得る担体及び/又は佐剤1種以上を含む医薬組成物も提供する。
【0011】
本発明によれば、前述の塩、結晶形態又は非晶質形態は、mGluR5受容体に基づく疾病の制御又は予防に有用な医薬の製造に用いることができる。そのような疾病としては、急性及び/又は慢性神経障害、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、STOE回折装置)パターンを示す。
【図2】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的なロットのIR(赤外線分光法、Nicolet分光計)スペクトルを示す。
【図3】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのTGA(熱重量分析、Mettler-Toledoシステム)曲線を示す。
【図4】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、Scintag回折装置)パターンを示す。
【図5】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのIR(赤外線分光法、Mattson分光計)スペクトルを示す。
【図6】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのTGA(熱重量分析、TA Instrumentsシステム)曲線を示す。
【図7】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、Scintag回折装置)パターンを示す。
【図8】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのIR(赤外線分光法、Mattson分光計)スペクトルを示す。
【図9】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのTGA(熱重量分析、TA Instrumentsシステム)曲線を示す。
【図10】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の代表的ロットのXRPD(粉末X線回折、STOE回折装置)パターンを示す。
【図11】2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の代表的ロットのIR(赤外線分光法、Nicolet分光計)スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される「非晶質形態」又は「非晶質」は、長距離秩序を欠き、鋭いX線ピーク(即ち、Bragg回折ピーク)を示さない材料を表す。非晶質材料のXRPDパターンは、1個以上の非晶質ハローにより特徴づけられる。
【0014】
Braggの法則は、式:
2d sinθ=nλ
[式中、d=結晶内の隣り合う一対の面の間の垂直距離(格子面間隔)、θ=Bragg角、λ=波長、及びn=整数]を用いて結晶材料の回折を表す。
【0015】
Braggの法則が満たされていれば、反射ビームが相の中にあり、構造的に干渉するため、Bragg回折ピークが、X線回折パターン中に観察される。Bragg角以外の入射角では、反射ビームが相の外にあり、減殺的干渉又は相殺が起こる。非晶質材料は、Braggの法則を満たさず、X線回折パターンに、Bragg回折ピークが観察されない。
【0016】
「非晶質ハロー」は、非晶質物質の粉末X線回折パターンの中のほぼつり鐘形の最大回折である。非晶質ハローのFWHMは、2θが2°よりも大きい。
【0017】
「FWHM」は、半値全幅、つまりXRPDパターンで見られるピークの半分の高さのところの幅を意味する。
【0018】
「一硫酸塩の非晶質形態」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の略語として用いられる。
【0019】
「API」は、本明細書において、活性医薬成分の頭字語として用いられる。
【0020】
「一硫酸塩の形態A」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態Aの略語として用いられる。
【0021】
「ヘミ硫酸塩の形態A」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態Aの略語として用いられる。
【0022】
「一硫酸塩の形態B」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態Bの略語として用いられる。
【0023】
「遊離塩基」は、本明細書において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの遊離塩基の略語として用いられる。
【0024】
「IPA」は、本明細書において、2−プロパノールの頭字語として用いられる。
【0025】
「ACN」は、本明細書において、アセトニトリルの頭字語として用いられる。
【0026】
「IR」は、本明細書において、赤外線の頭字語として用いられ、つまり「IRスペクトル」は、赤外線スペクトルを意味する。IRスペクトルは、塩化ナトリウム板2枚の間の、約5mgの試料及びわずかなNujolからなるNujol懸濁物のフィルムとして、FTIR分光計を用いて透過率で記録された。分光計は、Nicolet(商標)20SXB又は同等物(分解能2cm-1、32以上のコーデッドスキャン(coadded scans)、MCT検出器)である。
【0027】
あるいはIRスペクトルは、試料約0.6mg及びKBr約160mgのKBrディスクとして記録された。この場合、分光計は、Mattson Galaxy 5000 FTIRシステム(分解能2cm-1、32以上のコーデッドスキャン)である。
【0028】
薬学的に許容され得る担体、賦形剤、佐剤、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変動させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤等の「薬学的に許容され得る」は、薬理学的に許容され得て、特定の化合物が投与される対象に対して本質的に非毒性であることを意味する。
【0029】
つまり「薬学的に許容され得る」は、薬学的に許容され得る材料が投与される対象に対して本質的に非毒性であることを意味する。
【0030】
「XRPD」は、本明細書において、粉末X線回折の頭字語として用いられる。X線回折パターンは、STOE STADI P回折装置により透過配置の周囲条件(Cu Kα放射線、一次モノクロメータ、位置敏感型検出器、角度範囲3〜42 2θ(°)、合計測定時間 約60分間)で記録された。試料を調製し、その物質の更なる加工(例えば、粉砕又はふるい)を行わずに分析した。
【0031】
あるいは密閉されたCu−Kα1照射源を備えたScintag X1粉末X線回折装置で、X線回折パターンを測定した。試料を入射ビームスリット幅2mm及び4mmならびに回折ビームスリット幅0.3mm及び0.2mmで、1分ごとに1°の速度で、2°〜36° 2θ(2〜36 2θ(°))で試料をスキャンした。
【0032】
単結晶構造分析では、単結晶をゴニオメータのループ内に載せ、周囲条件で測定した。あるいは結晶を、測定の間に窒素流の中で冷却した。STOE(Darmstadt)のSTOEイメージングプレート回折システム(IPDS)で、データを回収した。この場合、0.71Å波長のMo放射線を、データ回収に用いた。データは、STOE IPDSソフトウェアで処理した。結晶構造を解明し、標準の結晶学ソフトウェアで精密化した。この場合、Bruker AXS(Karlsruhe)のプログラム:ShelXTLを用いた。
【0033】
あるいは、単結晶X線回折強度データを、Bruker SMART APEX(商標)回折装置で、周囲条件で測定した(Mo Kα照射、λ=0.71Å)。生のエリアディテクタデータのフレーム積分を、以下のソフトウェアで実施した:SMART(商標)Version 5.630、SAINT(商標)+Version 6.45及びSADABS(商標)Version 2.10. Bruker Analytical X-ray Systems, Inc., Madison, Wisconsin USA, 2003。直説法の構造解明、差Fourier計算及びF2に対するフルマトリックス最小二乗精密化を、Sheldrick, G. M. SHELXTL(商標) Version 6.14; Bruker Analytical X-ray Systems, Inc., Madison, Wisconsin, USA, 2000により実施した。
【0034】
「TGA」は、本明細書において、熱重量分析の頭字語として用いられる。TGA曲線は、Mettler-Toledo(商標)熱重量分析装置(TGA850/SDTA)で測定した。システムの適性テスト及び較正を、内部標準操作手順により実施した。
【0035】
熱重量分析では、試料約5〜10mgをアルミニウム皿に入れ、正確に計量して穿孔蓋(perforation lids)で密封した。測定の前に、蓋が自動的に貫通して、約1.5mmのピンホールが開けられた。その後、試料を約50mL/分の窒素流れの下で、5℃(K)/分の加熱速度を利用して280℃まで加熱した。
【0036】
あるいは、TA InstrumentsのHi-Res 2950 TGAを用いて、熱重量測定を実施した。加熱速度は、運転時を通して窒素パージを保持して10℃/分であった。
【0037】
「治療上効果的な量」は、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善するか、又は処置される対象の生存を延長するのに効果的な量を意味する。
【0038】
上述の本発明による塩、結晶形態又は非晶質形態のうちの1種に加えて、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体を1種、又は薬学的に許容され得る担体を2種以上含むことができる。適切な薬学的に許容され得る担体としては、薬学的に不活性の無機及び有機担体が挙げられる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コート錠、糖剤、及び硬ゼラチンカプセル剤用の担体として用いることができる。軟ゼラチンカプセル剤用の適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形及び液体ポリオールなどである。しかし、活性物質の性質にもよるが、軟ゼラチンカプセル剤の場合、通常は、担体は必要ない。溶液用の適切な担体としては、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などが挙げられる。
【0039】
遊離塩基:2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの調製は、公開されたPCT特許出願WO2004/108701に既に記載されており、その内容は、本明細書に参考として援用される。
【0040】
先に既に記述されたとおり、本発明は、以下の化合物:
【0041】
【化2】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの新規な塩、ならびにこれらの塩の結晶形態及び非晶質形態に関する。
【0042】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンが、調製方法に応じて、一硫酸塩又はヘミ硫酸塩として単離され得ることが見出された。
【0043】
一硫酸塩の形態A及び形態Bならびに非晶質形態は、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩から単離することができる。
【0044】
ヘミ硫酸塩の形態Aを、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩として得ることができる。
【0045】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させることにより調製することができる。
【0046】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aは、無溶媒の結晶形態である。
【0047】
一硫酸塩の形態Aは、その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させることによるか、又は非限定的にACN、ACN/水、メタノール、エタノール、IPA、酢酸、1−オクタノール、IPA/49%硫酸(10:1 v/v)を含む溶媒中で一硫酸塩の形態Aを再結晶化させることにより、得ることができる。
【0048】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0049】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0050】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることができる。
【0051】
一硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0052】
一硫酸塩の形態Aは、図1に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0053】
一硫酸塩の形態Aは、3068、2730、2618、2236、2213、1628、1587、1569、1518、1384、1374、1295、1236、1168、1157、1116、1064、1019、902、855、786及び674cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0054】
一硫酸塩の形態Aは、図2に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0055】
図3に示されたとおり、分解前のTGA曲線で有意な重量減少が観察されなかったため、一硫酸塩の形態Aは、無溶媒形態である。
【0056】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図1〜3に示されている。
【0057】
一硫酸塩の形態Aの単結晶X線分析を実施した。表1に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。一硫酸塩の結晶形態Aが、単結晶分析により決定されたとおり、一硫酸塩の無水形態であることが見出された。得られた一硫酸塩の形態Aで回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと非常に一致することから、一硫酸塩の形態Aが、純粋な結晶相であることが示された。一硫酸塩の形態Aの構造において、フルオロベンゼン環は、上反角90.7°により示されたとおり、イミダゾール環に対してほぼ垂直である。重硫酸アニオンのヒドロキシル基は、隣り合う重硫酸アニオンの酸素原子と分子間水素結合を形成している。この重硫酸アニオンは、プロトン化イミダゾール窒素原子からの水素結合受容体としての働きもある。
【0058】
【表1】
【0059】
一硫酸塩の形態Bは、一水和物結晶形態である。
【0060】
一硫酸塩の形態Bは、IPA/水(例えば、3:1 v/v)中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により得ることができる。一硫酸塩の形態Bは、IPA/水(例えば、3:1 v/v)中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化により調製することもできる。一硫酸塩の形態Bは、更に、(例えば、硫酸水溶液中で)一硫酸塩の形態Aを温浸することにより得ることができる。
【0061】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0062】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0063】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることもできる。
【0064】
一硫酸塩の形態Bは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0065】
一硫酸塩の形態Bは、図4に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0066】
一硫酸塩の形態Bは、3122、3039、3003、2923、2853、2719、2608、2231、1622、1585、1565、1515、1439、1373、1346、1224、1158、1116、1082、1047、1015、987、901、787、及び673(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0067】
一硫酸塩の形態Bは、図5に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0068】
一硫酸塩の形態Bは、図6に示されたTGA曲線の対応する重量減少を有する一水和物である。
【0069】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図4〜6に示されている。
【0070】
一硫酸塩の形態Bの室温単結晶X線分析を実施した。表2に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。
【0071】
一硫酸塩の結晶形態Bが、単結晶分析により決定されたとおり、一硫酸塩の一水和物であることが見出された。得られた一硫酸塩の形態Bで回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと非常に一致することから、一硫酸塩の形態Bが、純粋な結晶相であることが示された。2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの形態Bの構造において、フルオロベンゼン環とイミダゾール環の間の上反角が、約77.3°であることが見出された。プロトン化されたイミダゾール窒素原子は、重硫酸アニオンと分子間水素結合を形成している。同時に重硫酸アニオンは、クロロピリジン窒素原子及び水分子との水素結合ネットワークにも関与している。
【0072】
【表2】
【0073】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態は、減圧下、約65℃での急速蒸発によりメタノール溶液から得ることができる。
【0074】
一硫酸塩の非晶質形態は、XRPDパターンの鋭いX線回折ピークの欠如、及び/又は2730、2592、2219、1633、1586、1570、1513、1375、1343、1293、1226、1157、1130、1084、1040、986、903、848、788、712及び670(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることができる。
【0075】
一硫酸塩の非晶質形態は、図11に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0076】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図10〜11に示されている。
【0077】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩は、水中での一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により調製することができる。
【0078】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、水中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により得ることができる。それは、非限定的に、水、水/メタノール(例えば、4:1 v/v)、水/エタノール(例えば、4:1 v/v)、水/2−プロパノール(例えば、3:1 v/v)を含む溶媒系の中で一硫酸塩の形態Aを再結晶化又は温浸することにより調製することもできる。
【0079】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンと硫酸と(2:1)の以下の塩:
【0080】
【化3】
である、結晶性ヘミ水和物形態(2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン遊離塩基のヘミ硫酸塩)である。
【0081】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけることができる。
【0082】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも5個のピークにより特徴づけることができる。
【0083】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも7個のピークにより特徴づけることもできる。
【0084】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけることもできる。
【0085】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図7に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけることもできる。
【0086】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、3364、3075、3004、2922、2851、2717、2208、1658、1632、1585、1567、1514、1413、1372、1159、1122、1038、986、902、846、821、788、721、712、及び668(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0087】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図8に示された赤外線スペクトルにより特徴づけることもできる。
【0088】
ヘミ硫酸塩の形態Aは、図9に示されたTGA曲線の対応する重量減少を有するヘミ水和物である。
【0089】
既に先に記述されたとおり、これらの特徴は全て、本明細書に添付の図7〜9に示されている。
【0090】
ヘミ硫酸塩の形態Aの低温及び室温の単結晶X線分析を実施した。表3に、例として幾つかの結晶構造データを列挙している。
【0091】
ヘミ硫酸塩の結晶形態Aが、単結晶構造分析により決定されたとおり、ヘミ硫酸塩のヘミ水和物であることが見出された。へミ硫酸塩の形態Aの構造において、非対称単位内に2個のAPI分子が存在する。回収された実験的XRPDパターンが、単結晶構造分析から原子配位を利用して計算された模擬的パターンと一致することから、純粋な結晶相が示された。これらの2個のAPI分子のコンホメーションは、フルオロベンゼン環とイミダゾール環の間の上反角の差(約70°対 約61°)から示されるとおり、わずかに異なるが、両方の分子のクロロピリジン環は、非常に小さな上反角(約5°対 約6°)に示されるとおり、イミダゾール環とほぼ同一平面状にある。プロトン化されたイミダゾール窒素原子は、硫酸アニオン及び水分子との分子間水素結合を形成している。同時にその水分子は、2個の硫酸アニオンとの水素結合にも関与している。
【0092】
【表3】
【0093】
その塩を、当該技術分野で公知の通常の薬学的に許容され得る佐剤を更に含む組成物に、低濃度又は高濃度で配合することができる。
【0094】
本発明は、以下の化学種:
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのモノ又はヘミ硫酸塩;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A又はB;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態A;
− 2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの非晶質形態、
の1種以上及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物も提供する。
【0095】
更に、医薬組成物は、より多くの薬学的に許容され得る担体及び/又は1種以上の佐剤を含んでいてもよい。
【0096】
これらの医薬組成物は、錠剤、コート錠、糖剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液、乳剤又は懸濁液の形態であってもよい。本発明は、前述の改良及び形態を1種以上の治療上不活性の担体と共に生薬投与形態にすることを含む、そのような組成物の製造方法も提供する。
【0097】
加えて医薬組成物は、薬学的に許容され得る防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変動させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含むことができる。それらは、更に他の治療上貴重な物質も含むことができる。
【0098】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、先に記載された形態A又はBの結晶多形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0099】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩は、先に記載された非晶質形態を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0100】
本発明の一実施形態において、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩は、先に記載された形態Aの結晶多形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%含む。
【0101】
本発明によれば、上述の本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を、mGluR5受容体が役割を担う疾病の治療又は予防に有用な医薬の製造に用いることができる。そのような疾病としては、急性及び/又は慢性神経疾患、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症が挙げられる。
【0102】
本発明の化合物の塩、結晶及び非晶質形態は、急性及び/又は慢性神経疾患、特に不安、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症からなる群から選択される疾病の処置方法において用いることができ、該方法は、本明細書の先に記述された本発明による塩、結晶形態又は非晶質形態からなる群から選択される化学種1種の有効量を個体に投与することを含む。
【0103】
本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を投与する投与量は、広い限界内で変動してもよいが、もちろん個々の症例の各要件に適合させなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、約0.01mg〜約1000mg/日、好ましくは約0.05mg〜約20mg/日、より好ましくは約0.5mg〜約5mg/日で変動してもよい。日用量を単回投与又は分割投与で与えてもよく、加えて、適切であることが分かっているならば、上限を超えてもよい。更なる実施形態において、本発明の塩、結晶形態又は非晶質形態を投与する投与量は、約0.001mg〜約5mg、好ましくは約0.001mg〜約3mg、約0.001mg〜約2mg、又は約0.001〜約1mgの範囲内である。
【実施例】
【0104】
実施例1
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの調製
【0105】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aは、適切な溶媒系、例えば2−プロパノール/水中で、一硫酸塩の形態Aの種結晶を導入して又は導入せずに、塩形成することによるか、あるいは、非限定的にアセトニトリル、アセトニトリル/水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸、1−オクタノール、2−プロパノール/49%硫酸(10:1、v/v)を含む溶媒中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化により形成することができる。
【0106】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン61.0gを2−プロパノール610mLに溶解した。溶液を濾過し、フィルターを2−プロパノール31mLですすいだ。合わせた溶液に、水30mLと硫酸(97%)18.91gの混合物を滴下した。溶液を0〜5℃に冷却した。種結晶の導入を必要に応じて58℃で実施した。固体残留物を濾過し、2−プロパノール(0〜5℃)で洗浄し、50℃/<1mbarで18時間乾燥させた。収量(収率):69.1g(87.1%)。
【0107】
形態Aの種結晶は、2−プロパノール10ml中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩250mgの熱い溶液を冷却結晶化して調製することができる。0℃に冷却した後、固体残留物を濾過し、減圧下、50℃で乾燥させることができる。
【0108】
一硫酸塩の形態Aの固体特性
一硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図1〜3に示す。
【0109】
実施例2
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bの調製
【0110】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Bは、溶媒系、例えば2−プロパノール/水もしくは1N 硫酸中で、一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡によるか、又は溶媒系、例えば2−プロパノール/水中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩を種結晶を導入して冷却結晶化することにより、生成することができる。
【0111】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A 300mgを、2−プロパノール3ml及び水1mlに60℃で溶解して、清澄な溶液を得た。清澄な溶液に一硫酸塩の形態Bの種結晶を導入して、室温で密閉した。単結晶が3日後に形成した。
【0112】
種結晶を、2−プロパノール及び水(3:1 v/v)中の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態Aの飽和スラリーを、室温で形成することにより調製することができる。スラリーを室温で約3週間撹拌した。ガラスフィルターを介して固体を濾過して、一硫酸塩の結晶形態Bを湿潤ケーキとして得た。
【0113】
一硫酸塩の形態Bの固体特性
一硫酸塩の形態Bの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図4〜6に示す。
【0114】
実施例3
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aの調製
【0115】
概要
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の形態Aは、溶媒、例えば水中の一硫酸塩の形態Aの溶媒平衡により生成することができる。それはまた、非限定的に、水、水/メタノール(例えば4:1、v/v)、水/エタノール(例えば4:1、v/v)、水/2−プロパノール(例えば3:1、v/v)を含む溶媒系中の一硫酸塩の形態Aの再結晶化又は温浸により調製することもできる。
【0116】
調製手順
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の形態A 41gを、水128gと混合した。スラリーを室温で2〜16時間撹拌した。一硫酸塩の形態Aのすべてをヘミ硫酸塩に変換した後、結晶を濾過により回収し、水ですすいだ。湿潤ケーキを真空オーブンで40℃にて48時間乾燥させた。収率は約93%であった。
【0117】
ヘミ硫酸塩の形態Aの固体特性
ヘミ硫酸塩の形態Aの代表的ロットのXRPD−パターン、IR−スペクトル及びTGA−曲線を、図7〜9に示す。
【0118】
実施例4
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態の調製
【0119】
非晶質形態の形成
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの非晶質一硫酸塩は、適切な溶媒、好ましくはメタノール中の溶液を急速に蒸発させると入手可能である。
【0120】
急速蒸発
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジン0.53gを、メタノール10mLに約65℃で溶解した。減圧下で溶媒を完全に蒸発させた後、固体(泡状物)をさらに約50℃/5〜20mbarで18時間乾燥させた。分析により、非晶質2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンであると明らかにした。
【0121】
非晶質形態の固体特性
非晶質形態のXRPD−パターン及びIR−スペクトルを、図10〜11に示す。
【0122】
処方
【0123】
【表4】
【0124】
製造手順
1.品目1、2、3、4、5及び6を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目7及び8を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩。
【請求項2】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩。
【請求項3】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項4】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項5】
図1に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項6】
3068、2730、2618、2236、2213、1628、1587、1569、1518、1384、1374、1295、1236、1168、1157、1116、1064、1019、902、855、786及び674cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は3〜5のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項7】
図2に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は3〜6のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項8】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項9】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項10】
図4に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項11】
3122、3039、3003、2923、2853、2719、2608、2231、1622、1585、1565、1515、1439、1373、1346、1224、1158、1116、1082、1047、1015、987、901、787、及び673cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は8〜10のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項12】
図5に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は8〜11のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項13】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項14】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項15】
図7に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項16】
3364、3075、2717、2577、2234、2208、1568、1632、1585、1567、1514、1468、1413、1372、1222、1159、1084、1038、986、902、846、788、712、668及び620cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項2又は13〜15のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項17】
図8に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は13〜16のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項18】
XRPDパターンの鋭いX線回折ピークの欠如、及び/又は2730、2592、2219、1633、1586、1570、1513、1375、1226、1157、1130、1115、1084、1040、986、903、848、788、712及び670(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態。
【請求項19】
図11に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態。
【請求項20】
少なくとも70%が、請求項1〜12のいずれか一項記載の結晶多形である、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
少なくとも70%が、請求項13〜17のいずれか一項記載の結晶多形である、請求項2記載の化合物。
【請求項22】
少なくとも70%が、請求項18又は19記載の非晶質である、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
請求項1もしくは2記載の塩、又は請求項3〜17のいずれか一項記載の結晶形態、又は請求項18もしくは19記載の非晶質形態、及び1種以上の薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
(a)その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させる工程、又は
(b)ACN、ACN/水、メタノール、エタノール、IPA、酢酸、1−オクタノール、もしくはIPA/49%硫酸(10:1、v/v)中で工程(a)の生成物を再結晶化させる工程
を含む、請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項25】
(a)IPA/水(3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の溶媒平衡、又は
(b)IPA/水(例えば、3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の再結晶化、又は
(c)硫酸水溶液中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の温浸
を含む、請求項8〜12のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項26】
(a)水中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の溶媒平衡、又は
(b)水、水/メタノール(例えば、4:1 v/v)、水/エタノール(例えば、4:1 v/v)、もしくは水/2−プロパノール(例えば、3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の再結晶化もしくは温浸、
を含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物をメタノールに溶解して、減圧下、約65℃で溶媒を急速蒸発させることを含む、請求項18又は19のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項28】
治療活性物質として使用される、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の予防及び/又は治療のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための、請求項1もしくは2記載の塩の、又は請求項3〜17のいずれか一項記載の結晶形態の、又は請求項18もしくは19記載の非晶質形態の使用。
【請求項30】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の治療及び/又は予防のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための医薬を製造するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項31】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の治療及び/又は予防のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための方法。
【請求項32】
本明細書に記載された発明。
【請求項1】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩。
【請求項2】
2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩。
【請求項3】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項4】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=9.8、13.4、14.2、18.1、18.9、19.6、22.6、22.9、25.7、27.1及び29.9(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項5】
図1に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項6】
3068、2730、2618、2236、2213、1628、1587、1569、1518、1384、1374、1295、1236、1168、1157、1116、1064、1019、902、855、786及び674cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は3〜5のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項7】
図2に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は3〜6のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項8】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項9】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=8.9、10.2、14.3、14.7、15.4、17.1、18.8、19.5、20.9、22.5及び23.8(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項10】
図4に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項11】
3122、3039、3003、2923、2853、2719、2608、2231、1622、1585、1565、1515、1439、1373、1346、1224、1158、1116、1082、1047、1015、987、901、787、及び673cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は8〜10のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項12】
図5に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は8〜11のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の結晶形態。
【請求項13】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3個のピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項14】
CuKα照射で得られる、2θ(°)=7.4、8.9、11.0、11.8、12.8、15.8、17.3、18.1、19.8、25.0及び26.2(±0.2°2θ)におけるX線回折ピークにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項15】
図7に示された粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項16】
3364、3075、2717、2577、2234、2208、1568、1632、1585、1567、1514、1468、1413、1372、1222、1159、1084、1038、986、902、846、788、712、668及び620cm−1(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項2又は13〜15のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項17】
図8に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、請求項1又は13〜16のいずれか一項記載の2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンのヘミ硫酸塩の結晶形態。
【請求項18】
XRPDパターンの鋭いX線回折ピークの欠如、及び/又は2730、2592、2219、1633、1586、1570、1513、1375、1226、1157、1130、1115、1084、1040、986、903、848、788、712及び670(±3cm−1)に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態。
【請求項19】
図11に示された赤外線スペクトルにより特徴づけられる、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンの一硫酸塩の非晶質形態。
【請求項20】
少なくとも70%が、請求項1〜12のいずれか一項記載の結晶多形である、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
少なくとも70%が、請求項13〜17のいずれか一項記載の結晶多形である、請求項2記載の化合物。
【請求項22】
少なくとも70%が、請求項18又は19記載の非晶質である、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
請求項1もしくは2記載の塩、又は請求項3〜17のいずれか一項記載の結晶形態、又は請求項18もしくは19記載の非晶質形態、及び1種以上の薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項24】
(a)その後の自然沈殿をともなう、2−クロロ−4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2,5−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イルエチニル]−ピリジンを2−プロパノール中の硫酸で塩形成させる工程、又は
(b)ACN、ACN/水、メタノール、エタノール、IPA、酢酸、1−オクタノール、もしくはIPA/49%硫酸(10:1、v/v)中で工程(a)の生成物を再結晶化させる工程
を含む、請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項25】
(a)IPA/水(3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の溶媒平衡、又は
(b)IPA/水(例えば、3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の再結晶化、又は
(c)硫酸水溶液中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の温浸
を含む、請求項8〜12のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項26】
(a)水中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の溶媒平衡、又は
(b)水、水/メタノール(例えば、4:1 v/v)、水/エタノール(例えば、4:1 v/v)、もしくは水/2−プロパノール(例えば、3:1 v/v)中での請求項3〜7のいずれか一項記載の化合物の再結晶化もしくは温浸、
を含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物をメタノールに溶解して、減圧下、約65℃で溶媒を急速蒸発させることを含む、請求項18又は19のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項28】
治療活性物質として使用される、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の予防及び/又は治療のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための、請求項1もしくは2記載の塩の、又は請求項3〜17のいずれか一項記載の結晶形態の、又は請求項18もしくは19記載の非晶質形態の使用。
【請求項30】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の治療及び/又は予防のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための医薬を製造するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項31】
急性及び/又は慢性神経障害、特に不安からなる群から選択される障害の治療及び/又は予防のため、あるいは慢性及び急性の疼痛、肝損傷の防御、薬物もしくは疾患が誘導した機能不全、尿失禁、肥満、脆弱X症候群又は自閉症の処置のための方法。
【請求項32】
本明細書に記載された発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−513378(P2010−513378A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541986(P2009−541986)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063721
【国際公開番号】WO2008/074697
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063721
【国際公開番号】WO2008/074697
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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