説明

エアゾール容器用のスパウト

【課題】 食品についての泡状噴出物を取り扱うものであっても、内部を容易に清潔に保つことができるエアゾール容器用のスパウトを提供する。
【解決手段】 ステム24を覆うようにエアゾール容器本体2に取り付けられ、ステム24を内方に押し込んで、このステム24から、エアゾール容器本体2内の食品内容物を泡状噴出物として噴出させるとともに、ステム24に連通するノズル部4から、泡状噴出物を外部に流出させるエアゾール容器用のスパウトSに関するものである。ノズル部4を、エアゾール容器本体2に取り付けられる他の本体部分3と分けて形成するとともに、凹凸部を嵌め合わせつつノズル部4と他の本体部分3とを係脱させて、ノズル部4を他の本体部分3に着脱容易に位置決め支持させるノズル着脱機構Wを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品である内容物を泡状にして噴出させるエアゾール容器に用いられるエアゾール容器用のスパウトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、シェービングクリームや洗顔石鹸といった化粧品を発泡させた、いわゆるムース製品の提供には、エアゾール容器が広く使用されている。例えば、特許文献1に記載された、このようなエアゾール容器には、図14で示されるように、容器本体100の上部に、外方に突出するステム101を覆うようにスパウト110が取り付けられている。そして、このエアゾール容器では、スパウト110の押圧部111を押して、ステム101を容器本体100内方に押し込むことにより、ステム101から容器本体100内の内容物を泡状噴出物として噴出させるとともに、この泡状噴出物を、ステム101に連通するスパウト110のノズル部112から流出させる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−24729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記エアゾール容器用のスパウト110では、押圧部111から手を離し、ノズル部112からの泡状噴出物の噴出を止めても、ノズル部112を含めたスパウト110内には、泡状噴出物が残ってしまうという問題があった。特に、容器本体100内の内容物が食品の場合、スパウト110内に残留した内容物が空気に触れて腐敗しやすく、スパウト110内が不潔になりやすいという問題があった。
【0005】
この発明は、以上の点に鑑み、食品についての泡状噴出物を取り扱うものであっても、内部を容易に清潔に保つことができるエアゾール容器用のスパウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1記載の発明は、ステムを覆うようにエアゾール容器本体に取り付けられ、前記ステムを内方に押し込んで、このステムから、前記エアゾール容器本体内の食品内容物を泡状噴出物として噴出させるとともに、前記ステムに連通するノズル部から、前記泡状噴出物を外部に流出させるエアゾール容器用のスパウトであって、前記ノズル部を、前記エアゾール容器本体に取り付けられる他の本体部分と分けて形成するとともに、凹凸部を嵌め合わせつつ前記ノズル部と前記他の本体部分とを係脱させて、前記ノズル部を前記他の本体部分に着脱容易に位置決め支持させるノズル着脱機構を設けていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ステムから噴出された泡状噴出物をスパウトのノズル部から流出させた後、エアゾール容器本体の使用を終了しても、ノズル部の取り外しにより、スパウトの清掃が容易にできる。すなわち、スパウトのノズル部等に泡状噴出物が残留した状態で、エアゾール容器本体の使用を終了しても、スパウトの他の本体部分に位置決め支持されているノズル部を、これから取り外し、このノズル部を水や洗剤等により洗浄して、これをクリーンな状態に保つことができる。また、スパウトの他の本体部分に付着した泡状噴出物は、ノズル部が取り外されているので、拭き取り等により比較的容易に清掃できる。なお、最後に、例えば、ノズル部をスパウトの他の本体部分に装着後、エアゾール容器本体にキャップを取り付け、スパウトをキャップにより覆うようにする。
【0008】
ここで、ノズル部の、他の本体部分への取り付けは、ノズル着脱機構の凸部と凹部とを嵌め合わせつつ、ノズル部を他の本体部分に係合させて行い、ノズル部の、他の本体部分からの取り外しは、ノズル着脱機構の凸部と凹部とを嵌め合わせつつ、他の本体部分との係合を解除するように、ノズル部を離脱させて行う。
【0009】
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合に、前記他の本体部分を弾性変形可能な樹脂材から形成するとともに、この他の本体部分に、着脱時に前記エアゾール容器本体に対して進退するように力が加えられる操作用凸部を形成し、かつ、前記エアゾール容器本体上部の突状取付部に係止される前記他の本体部分側の係止部を、前記操作用凸部側を除くように形成していることを特徴とする。
【0010】
この発明では、他の本体部分をエアゾール容器本体から離すように、例えば、操作用凸部に上向きの力を加えると、この他の本体部分が弾性変形し、その係止部が、エアゾール容器本体の突状取付部から離脱して、他の本体部分をエアゾール容器本体から分離できる。この場合、他の本体部分の操作用凸部側には、係止部が設けられておらず、操作用凸部は上方に移動しやすいので、この移動によって係止部側の変形を促し、他の本体部分をエアゾール容器本体から容易に分離できるようになる。
【0011】
また、他の本体部分の係止部をエアゾール容器本体の突状取付部上に位置させた後、他の本体部分をエアゾール容器本体に近づけるように、操作用凸部側を下向きに加圧すると、他の本体部分は、弾性変形して、係止部がエアゾール容器本体の突状取付部に係止され、エアゾール容器本体に取り付けられる。この場合でも、操作用凸部側は容易に突状取付部側に移動するので、係止部側の変形を促し、他の本体部分をエアゾール容器本体に容易に取り付けることができる。
【0012】
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の場合に、前記他の本体部分中の前記泡状噴出物の通路に、この泡状噴出物を前記ノズル部の内面側に導く進路変更部を設けていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、ステムから他の本体部分を経由してノズル部側に噴出される泡状噴出物は、他の本体部分の進路変更部によって、ノズル部の内面側に導かれ、ノズル部内に一杯に広がった状態で、ノズル部から流出する。
【0014】
この発明の請求項4記載の発明は、請求項1、2、又は3の何れかに記載の発明の場合に、開口の形状を変えて、前記泡状噴出物の外観形状を種々に定める複数の前記ノズル部が、切り離し容易な状態でリング状に連結されている樹脂成形体を有しているとともに、この樹脂成形体を、前記他の本体部分を覆うように前記エアゾールエアゾール容器本体に取り付けられたキャップ内の余空間に収納できる形状に形成していることを特徴とする。
【0015】
この発明では、樹脂成形体をエアゾール容器本体に取り付けられたキャップ内の余空間に置くだけで、複数のノズル部をエアゾール容器本体等と容易に一体化できる。また、この発明では、ノズル部の使用に当たり、樹脂成形体をキャップ内から取り出して、これから必要なノズル部のみを切り離せばよいので、種々のノズル部の使用も容易である。
【発明の効果】
【0016】
この発明の請求項1記載の発明によれば、ノズル部が、ノズル着脱機構を介して、他の本体部分に着脱容易に取り付けられているので、使用後のノズル部の清掃や他の本体部分の清掃が容易となり、食品についての泡状噴出物を取り扱うものであっても、スパウト内を容易に清潔に保つことができる。また、この発明では、開口の異なる種々のノズル部を使用することができ、ノズル部から噴出された泡状噴出物の外観形状を容易に変えることができる。
【0017】
この発明の請求項2記載の発明によれば、エアゾール容器本体に対して他の本体部分も容易に着脱できるので、泡状噴出物の付着した他の本体部分の清掃も容易となり、スパウト内をより清潔に保つことができる。
【0018】
この発明の請求項3記載の発明によれば、泡状噴出物がノズル部内一杯に広がった状態で、ノズル部から流出されるので、ノズル部から泡状噴出物を安定した状態で継続的に流出させることができるとともに、ノズル部により泡状噴出物の外観形状を定めることも容易となる。
【0019】
この発明の請求項4記載の発明によれば、開口の形状を変えた複数のノズル部を使用できるので、ノズル部から噴出された泡状噴出物の外観形状を種々に定めることができる。また、この発明によれば、複数のノズル部をエアゾール容器本体等と容易に一体化できるので、市場における流通時や使用時における、エアゾール容器の取り扱いの容易化、すなわち、複数のノズル部の取り扱いの容易化を図ることができる。さらに、この発明によれば、複数のノズル部は、樹脂による一体成形によって形成できるので、ノズル部の製作の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係るスパウトを備えたエアゾール容器の使用前の外観を示しており、図2はエアゾール容器を分解した場合の、各構成品の外観を示している。
【0021】
エアゾール容器1は、図1で示されるように、エアゾール容器本体2と、スパウトSの他の本体部分となるスパウト本体3と、スパウトSの5つのノズル部4を提供する樹脂成形体5と、キャップ6とから構成される。なお、この実施の形態では、スパウトSは、スパウト本体3と樹脂成形体5とから構成されるが、例えば、ノズル部4が1つの場合は、スパウト本体3とノズル部4とから構成してもよい。
【0022】
エアゾール容器本体2は、図2で示されるように、外面を鋼板(ブリキ板)から形成した、外形D(図4参照)が60mmのものであり、内部に、例えば、内容物となる生クリーム原料と、噴射用ガス(例えば笑気ガス)等とを有しており、内容物(生クリーム原料)を泡状噴出物F(ホイップされた生クリーム、図10参照)として提供するものである。
【0023】
このエアゾール容器本体2は、円筒部20の上端とマウンテン部21とが円形の外巻き締め部22によって連結されているとともに、中心部25とマウンテン部21とが、突状の取付部である円形の内側巻き締め部23によって連結されている。中心部25には、上端が内巻き締め部23より上方に突出するステム24が設けられている。このステム24は、細長いパイプから形成されたもので、下方に押し下げられることにより、内容物を泡状噴出物Fとして上方に噴出するが、押圧力が無くなるとバネ等の作用によって元の位置に復帰し、泡状噴出物Fの噴出を停止する。
【0024】
スパウト本体3は、例えば、図4で示されるように、ステム24を覆うようにエアゾール容器本体2に取り付けられ、ステム24を内方に押し込んで、このステム24から、泡状噴出物Fを噴出させるものであり、これにノズル部4が着脱容易に取り付けられる。このスパウト本体3は、弾性変形可能なPP(ポリプロピレン)樹脂により一体的に形成されている。なお、スパウト本体3の材質は、ある程度弾性変形可能な樹脂であれば、他のもの、例えば、PE(ポリエチレン)樹脂やABS樹脂であってもよい。
【0025】
このスパウト本体3は、図3乃至図5で示されるように、エアゾール容器本体2の内側巻き締め部23に取り付けられる略円筒状の本体部30と、本体部30の上部を覆うように設けられる揺動部31と、ステム24からの泡状噴出物Fをノズル部4の内面側に導く進路変更部32と、スパウト本体3の着脱用に用いられる凸状の操作部33とから構成されている。
【0026】
本体部30は、エアゾール容器本体2の内側巻き締め部23を囲むように形成されており、下部側に、内側巻き締め部23の上面側に突き出す段部30aが形成されているとともに、下端側内面に、内側巻き締め部23の外周面凹部23aに嵌り込んで、この本体部30をエアゾール容器本体2に位置決め固定する凸状の係止部30bが形成されている。係止部30bは、円弧状に一定長さに形成されたものであり、図3で示されるように、操作部33側を避けた位置に、例えば3つのものが形成されている。なお、操作部33は、本体部30外面の段部30a側から水平に突出するように形成されている。
【0027】
揺動部31は、本体部30の上部を覆うように設けられた板状部31a側が、小幅の連結部Uを除いて、本体部30と一定の隙間Cを有するように形成されており、本体部30に対して、連結部Uと隙間Cとを介して上下に揺動可能となっている。この揺動部31には、中央下部に、板状部31aの下面よりステム24側に突出させて、ステム24の上部が差し込まれる筒状部31bが形成されており、この筒状部31bより上方に、ステム24からの泡状噴出物Fを上方に案内する案内部31cが形成されている。案内部31cには、筒状部31bに連通させて、筒状部31bの内径より小径の通路Tが形成されていて、この通路T下端側が、ステム24を下方に加圧できる段部Eとなっている。また、案内部31cの通路Tより上端側には、放射状に広がるように、泡状噴出物Fの流出路が形成されている。なお、案内部31cの外面は、筒状部31bと同心で同一径の円柱面となっている。
【0028】
また、揺動部31には、板状部31aから突出させた状態で案内部31cを囲み、この案内部31cとの間でノズル支持空間Nを形成する有底筒状部31dが形成されている。さらに、揺動部31には、有底筒状部31dの上端から、操作部33の逆側に向かって、下面側が解放された中空の押圧部31eが、板状部31aから上方に突出するように形成されている。有底筒状部31dの内面は、ノズル部4の外形よりやや大きい円柱面に形成されているが、外面は、操作部33や押圧部31eのない側が厚肉になるよう略楕円柱面状に形成されている。
【0029】
また、揺動部31には、有底筒状部31dの厚肉側の内面に、底部Rを貫通するように、上下に向いた一対の上下案内溝60,60が形成されている。さらに、揺動部31の有底筒状部31dの底部Rには、上下案内溝60に連通するように、円弧状をした一対の左右貫通孔61,61が形成されている。左右貫通孔61,61は、上下案内溝60,60に対向する位置から、通路Tを中心とした同一の周方向に向かって、一定長さだけ円弧状に形成されている。
【0030】
進路変更部32は、揺動部31の案内部31c側に設けられており、通路Tの上方を塞ぐように門型形状に形成されている。門型の上部の通路Tの対向部32aは、通路Tの断面と略同サイズに形成されているが、門型の柱部32bの幅等は対向部32aより小サイズに形成されている。
【0031】
ノズル部4は、スパウト本体3に着脱容易に取り付けられ、ステム24から噴出された泡状噴出物Fを所定の外観形状にして流出させるものである。このノズル部4は、図2で示されるように、上部が漸次小径に形成された略円筒状の本体部40の下端に、互いに対向するように、一対の支持突起41,41が形成されたものである。このノズル部4は、本体部40の外形が約11mmとなるように、例えばPP樹脂から形成されており、本体部40の上部に泡状噴出物Fの形状を定める開口Qが形成されている。支持突起41は、図9の(a)で示されるように、本体部40と同肉厚で、本体部40から下方に延びる垂下部41aと、垂下部41aの下部側から水平状態で外方に延びる爪部41bとから形成されている。垂下部41aの爪部41bまでの長さは、揺動部31の有底筒状部31dの底部Rの厚さより僅かに長く形成されているとともに、爪部41bの垂下部41aからの水平長さは、有底筒状部31dの上下案内溝の深さよりやや小さくなるように定められている。
【0032】
なお、ノズル部4の支持突起41,41と、スパウト本体3の上下案内溝60,60及び左右貫通孔61,61等により、ノズル着脱機構Wが形成される。また、上下案内溝60の上端側は、広がるようにすみ肉がカットされ、ノズル部4の支持突起41が容易に差し込めるようになっているとともに、支持突起41の爪部41b下面側も斜めにカットされ、爪部41bが上下案内溝60内に容易に差し込めるようになっている。
【0033】
ここで、ノズル部4の開口Qには、図11で示されるように、例えば、ケーキの星形デコレーションA1,A2,A3,A4,A5,A6や波形デコレーションA7を形成するのに用いられる、突起が3つの星形開口Q1、突起が4つの星形開口Q2、突起が5つの星形開口Q3、突起が6つの星形開口Q4といったものがある。また、ノズル部4の開口Qには、図11で示されるように、例えば、ケーキの葉形デコレーションB1を形成するのに用いられる葉形開口Q5や、ケーキのリボン形デコレーションB2を形成するのに用いられるリボン形開口Q6や、ケーキの花形デコレーションB3を形成するのに用いられる花びら形開口Q7や、ケーキの文字デコレーションB4を形成するのに用いられる細丸開口Q8といったものがある。
【0034】
樹脂成形体5は、図6及び図7で示されるように、開口Qの形状が異なる例えば5つのノズル部4を上下に立てて円形に並べたものを、内側の板状リング50に、このリング50の外側にノズル部4の数だけ設けられた突起51を介して連結したものである。この樹脂成形体5は、例えばPP樹脂を用いた樹脂成形によって一体的に形成されている。この樹脂成形体5は、エアゾール容器本体2上に取り付けられたキャップ6内の余空間に収納できる形状に形成されている。
【0035】
すなわち、ノズル部4に対してリング50は、図7で示されるように、ノズル部4の本体部40下端をスパウト本体3の板状部31a上に位置させた場合に、リング部50がスパウト本体3の有底筒状部31d上端や押圧部31e上面に載置される上下位置に設けられている。また、リング50の外形は、短い突起51を介してノズル部4をリング50に連結した場合に、ノズル部4の支持突起41を避けた本体部40下端が、充分に板状部31a上に位置できるサイズに形成されている。さらに、ノズル部4は、スパウト本体3の押圧部31e側を避けるように、突起51を介してリング50に連結されている。突起51は、ノズル部4との連結部側が、ノズル部4を容易に切り離せるように、細く形成されている。
【0036】
キャップ6は、エアゾール容器本体2の上部に取り付けられ、エアゾール容器本体2上のスパウト本体3や、これに取り付けられたノズル部4を覆うとともに、エアゾール容器本体2に取り付けられたものの内部に樹脂成形体5を収納するものである。なお、キャップ6の下端側内面には、係止突起が形成され、これが、エアゾール容器本体2の外側巻き締め部22の外面凹部に嵌り込むことにより、キャップ6はエアゾール容器本体2に着脱容易に取り付けられる。
【0037】
つぎに、スパウト本体3と樹脂成形体5とからなるスパウトSの作用効果について図8乃至図10等を参照しつつ説明する。
まず、キャップ6を開けて、エアゾール容器1から樹脂成形体5を取り出し、この樹脂成形体5から、例えば星形開口Q2を有するノズル部4を切り離す。この作業は、突起51に対してノズル部4を2、3度左右に捩ることにより容易に達成される。つづいて、図9の(a)で示されるように、切り離したノズル部4の支持突起41,41がわ爪部41b,41bを、スパウト本体3の上下案内溝60,60に嵌め込んで、このノズル部4を上下案内溝60,60に沿ってスパウト本体3の支持空間Nに差し込んでいく。ノズル部4の本体部40下端がスパウト本体3の有底筒状部31dの底部R上面に突き当たると、ノズル部4の下部は、外側を有底筒状部31dにより位置決めされて、水平方向への移動が防止される。
【0038】
ノズル部4の本体部40下端が底部Rに突き当たると、図9の(b)で示されるように、支持突起41,41の爪部41b,41bはスパウト本体3から下方に突き出すので、このノズル部4を、図9の(c)で示されるように、時計回り方向に回転(自転)させると、ノズル部4は、支持突起41の垂下部41aが左右貫通孔61の端部に当たるまで回転する。この状態で、支持突起41の爪部41bは、上下案内溝60から離れ、有底筒状部31dの底部R下面側に位置しているので、ノズル部4は、爪部31bと本体部40の下端とで、有底筒状部31dの底部Rを挟むことになり、水平方向への移動と共に、上下方向への移動が防止された状態で、スパウト本体3に取り付けられる。
【0039】
つぎに、エアゾール容器本体2を振って、内容物と噴射ガスとを充分に混合した後、ノズル部4を、図10で示されるように、下向きにした状態で、スパウト本体3の押圧部31eを指で押し込むと、図8で示されるように、揺動部31が連結部Uを中心にしてエアゾール容器本体2側に傾くので、ステム24がバネ力に抗しつつ内方に押され、このステム24から泡状噴出物Fが噴出する。この泡状噴出物Fは、スパウト本体3の通路Tを通った後、進路変更部32の対向部32に当たって、進路が約90度だけ曲げられ、ノズル部4の内面側に移動する。このため、泡状噴出物Fは、ノズル部4内に充満しつつ、開口Qから外方に流出することになり、ノズル部4の開口Qの形状通りに外観形状が定められる。
【0040】
つづいて、スパウト本体3の押圧部31eから指を離すと、揺動部31が、自身の弾性力及びステム24のバネ力により、傾斜しない当初の状態に復帰するとともに、ステム24もバネ力により当初の位置に上昇するので、ステム24からの泡状噴出物Fの噴射は停止する。そして、押圧部31eの加圧と、加圧の解除を繰り返しつつ、泡状噴出物Fにより、パンケーキ上に例えば、星形デコレーションA2を形成していく。
【0041】
つぎに、例えば、パンケーキ上に葉形デコレーションB1を形成したい場合には、葉形開口Q5を有するノズル部4を樹脂成形体5から切り離すとともに、スパウト本体3から星形開口Q2を有するノズル部4を取り外す。スパウト本体3からのノズル部4の取り外しは、取り付け動作の逆を行えばよい。すなわち、ノズル部4を、垂下部41aが左右貫通孔61の他方の端部に当たるまで、図9の(c)中反時計回りに回転(自転)させた後、このノズル部4をスパウト本体3から引き出せば、爪部41bが上下案内溝60中を移動して、ノズル部4をスパウト本体3から取り外すことができる。つづいて、葉形開口Q5を有するノズル部4を、前述の手順でスパウト本体3に取り付ければよい。その後は、星形開口Q2を有するノズル部4の場合と同様に作業を進めていけばよい。
【0042】

また、取り外したノズル部4中には、泡状噴出物Fが詰まった状態になっているので、これを放置すれば、内部の泡状噴出物Fが腐敗してノズル部4が不潔な状態となる。このため、このノズル部4は、水や洗剤等を使用して清掃(クリーニング)し、クリーンな状態にしておく。
【0043】
一方、ケーキのデコレーション作業が終了し、エアゾール容器本体2等の使用を終了する場合には、スパウト本体3からノズル部4を取り外した後、スパウト本体3をエアゾール容器本体2から取り外す。スパウト本体3の取り外し作業は、スパウト本体3の操作部33に、これをエアゾール容器本体2から引き離すような力を加えて行えばよい。
【0044】
すなわち、例えば、左手でエアゾール容器本体2を保持した状態で、右手の人差し指と親指でスパウト本体3の操作部33をつかんだ後、操作部33を上向きに引き上げる。スパウト本体3は、3つの係止部30bがエアゾール容器本体2の内側巻き締め部23の外周面凹部23aに嵌り込むことによりエアゾール容器本体2に取り付けられているが、スパウト本体3の操作部33側には係止部30bは設けられていない。したがって、スパウト本体3の操作部33側は、比較的容易に上方に引き上げられ、スパウト本体3の係止部30bが設けられている側の弾性変形を促す。このため、スパウト本体3は、係止部30bがエアゾール容器本体2の内側巻き締め部23を容易に乗り越え、エアゾール容器本体2から容易に取り外される。
【0045】
つぎに、エアゾール容器本体2側から取り外したスパウト本体3やノズル部4を、水や洗剤等を使用して清掃(クリーニング)後、スパウト本体3を再びエアゾール容器本体2に取り付ける。スパウト本体3の取付作業は、これをエアゾール容器本体2の内側巻き締め部23上に置いた後、例えば、左手でスパウト本体3を加圧しつつ、右手の親指と人差し指で操作部33を下向き(エアゾール容器本体2側)に押し下げるようにする。係止部30bの無い、スパウト本体3の操作部33側には、エアゾール容器本体2の内側巻き締め部23が比較的容易に入り込み、スパウト本体3の係止部30bが設けられている側の弾性変形を促す。このため、スパウト本体3は、左手の加圧力により、係止部30bが内側巻き締め部23を容易に乗り越え、その外周面凹部23aに嵌り込んで、エアゾール容器本体2に容易に取り付けられる。
【0046】
なお、このスパウトSでは、ノズル部4が取り外されることから、エアゾール容器本体2に取り付けられているスパウト本体3側の清掃も、その分容易となる。
【0047】
つぎに、樹脂成形体5から取り外したノズル部4(これが複数ある場合には、最も多く使用するもの)をスパウト本体3に取り付けた後、スパウト本体3やノズル部4を覆うように、エアゾール容器本体2にキャップ6を取り付ける。なお、一部のノズル部4が取り外された樹脂成形体5や、取り外されたノズル部4の残りのものは、別の場所(例えば、キッチンの収納部)に仕舞ってもよいし、当初のように、エアゾール容器本体2に取り付けられているキャップ6内に収納してもよい。なお、取り外されたノズル部4はキャップ6内で容易に移動するが、キャップ6内へのノズル部4の収納は可能である。
【0048】
以上のように、このエアゾール容器1用のスパウトSでは、ノズル部4がノズル着脱機構Wを介して、スパウト本体3に着脱容易に取り付けられているので、使用後のノズル部4の清掃や、ノズル部4取り外し後のエアゾール容器本体2上のスパウト本体3の清掃が容易となり、食品についての泡状噴出物Fを取り扱うものであっても、スパウトS内を容易に清潔に保つことができる。また、このスパウトSでは、種々のノズル部4を使用することができ、ノズル部4から噴出された泡状噴出物Fの外観形状を容易に変えることができる。
【0049】
また、このエアゾール容器1用のスパウトSでは、スパウト本体3を弾性変形可能な樹脂材から形成するとともに、スパウト本体3に着脱用の操作部33を設け、かつ、エアゾール容器本体2内側巻き締め部23に係止されるスパウト本体3の係止部30bを、操作部33側を除くように形成しているので、エアゾール容器本体2に対してスパウト本体3も容易に着脱することができる。このため、このスパウトSでは、泡状噴出物Fの付着したスパウト本体3の清掃も容易となり、スパウトS内をより清潔に保つことができる。
【0050】
さらに、このエアゾール容器1用のスパウトSでは、スパウト本体3に進路変更部32を設けて、ステム24から噴出された泡状噴出物Fの進路を、ノズル部4の内面側に向くようにしているので、泡状噴出物Fがノズル部4内一杯に広がった状態で、ノズル部4から流出されることとなる。このため、このスパウトSでは、ノズル部4から泡状噴出物Fを安定した状態で継続的に流出させることができるとともに、ノズル部4により泡状噴出物Fの外観形状を定めることも容易となる。
【0051】
また、このエアゾール容器1用のスパウトSでは、複数のノズル部4を備えた樹脂成形体5を、エアゾール容器本体2に取り付けられたキャップ6内の余空間に収納できる形状に形成しているので、樹脂成形体5をエアゾール容器本体2等と容易に一体化できる。このため、このスパウトSでは、複数のノズル部4を備えていても、市場における流通時や使用時における、エアゾール容器1の取り扱いの容易化、すなわち、複数のノズル部4の取り扱いの容易化を図ることができる。また、このスパウトSでは、樹脂成形体5が有する複数のノズル部4を使用して、ノズル部4から噴出された泡状噴出物Fの外観形状を種々に定めることができる。さらに、このスパウトSでは、樹脂成形体5を、樹脂による一体成形によって形成できるので、複数のノズル部4の製作の容易化を図ることができる。
【0052】
なお、この実施の形態では、エアゾール容器本体2として中型(外形D=60mm)のものを使用したが、エアゾール容器本体2は、大型(外形D=66mm)や小型(外形D=53mm)のものであってもよい。エアゾール容器本体2の内側巻き締め部23のサイズは、外形Dのサイズによって変化しないので、大型、中型、小型のエアゾール容器本体2に対しても、同サイズのスパウト本体3やノズル部4が使用できるからである。また、樹脂成形体5も、小型のエアゾール容器本体2に取り付けられたキャップ6内の余空間に収納できるサイズとしているので、その取り扱いにも不都合はない。もちろん、エアゾール容器本体2が大型の場合、樹脂成形体5は、6つ以上のノズル部4を有するものであってもよい。
【0053】
また、この実施の形態では、エアゾール容器本体2の円筒部20が鋼板(ブリキ板)によって形成されたスチール缶の場合について説明したが、円筒部20とマウンテン部21とをアルミ材の絞り加工によって一体に形成したアルミ缶であってもよい。図12は、エアゾール容器本体2Aの円筒部20がアルミ缶の場合のエアゾール容器1Aを示している。このエアゾール容器1Aにおいても、ステム周りに内側巻き締め部23とほぼ同じサイズの巻き締め部があるとともに、外巻き締め部22の代わりに、円筒部20の上部にキャップ6取り付け用の凹部26が形成され、かつ、エアゾール容器本体2の外形Dも、大型のもので58mmであり、小型のもので53mmであるので、エアゾール容器本体2Aへのスパウト本体3の取付や、キャップ6内への樹脂成形体5の収納も容易になされる。
【0054】
さらに、この実施の形態のノズル着脱機構Wでは、ノズル部4の凸部(支持突起41)とスパウト本体3の凹部(上下案内溝60や左右貫通孔61)とを嵌め合わせつつ、ノズル部4とスパウト本体3とを係脱させて、ノズル部4をスパウト本体3に着脱容易に位置決め支持させているが、このノズル着脱機構Wは、ねじや単純な凹凸部で形成してもよい。すなわち、例えば、スパウト本体3に雌ねじ(凹部)、ノズル部4に雄ねじ(凸部)を設け、ノズル部4をスパウト本体3にねじ込んで、これをスパウト本体3に着脱容易に取り付けてもよい。もちろん、スパウト本体3に雄ねじ(凸部)、ノズル部4に雌ねじ(凹部)を設けてもよい。また、例えば、図13で示されるように、ノズル部4外周部に、リング状(必ずしも連続したものでなくてもよい)の小凸部40aを形成するとともに、スパウト本体3の内面に、上記小凸部40aを嵌め込むリング状の凹部31fを設け、ノズル部4とスパウト本体3とを弾性変形させつつ、ノズル部4をスパウト本体3に対して着脱するようにしてもよい。もちろん、ノズル部4に凹部を設け、スパウト本体3に上記凹部に嵌め込む小凸部を設けてもよい。
【0055】
また、この実施の形態では、樹脂成形体5のスパウト本体3上への仮止めについては、説明しなかったが、両者又は一方に仮止め用の凹凸部又は凹部が設けられているものとする。したがって、エアゾール容器1の樹脂成形体5が輸送中等にがたついてしまうことはない。さらに、ノズル部4は、樹脂成形体5から取り外した後も、そのリング50等に着脱容易に取り付けられるようにしてもよい。
【0056】
さらに、この実施形態では、初期使用時(流通時)にエアゾール容器1のスパウト本体3にノズル部4は取り付けられていないが、流通時においても、例えば、最も多く使用されると考えられるノズル部4をスパウト本体3に取り付けておくようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一実施の形態に係るエアゾール容器の外観斜視図である。
【図2】上記エアゾール容器の分解斜視図である。
【図3】上記エアゾール容器の、キャップと樹脂成形体とを外した場合の上面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】上記エアゾール容器の、キャップを外した場合の上面図である。
【図7】樹脂成形体の取り付け状態の説明図である。
【図8】スパウトの作用を説明するための断面図である。
【図9】ノズル部をスパウト本体へに取り付ける場合の説明図であり、(a)はノズル部をスパウト本体に差し込む直前の状態を示し、(b)はノズル部をスパウト本体に差し込んだ状態を示し、(c)はスパウト本体に差し込んだノズル部を所定角度だけ回転(自転)させて、このノズル部をスパウト本体3に取り付けた状態を示す。
【図10】エアゾール容器本体等の使用状態を示す外観斜視図である。
【図11】ノズル部の開口の形状と、このノズル部流出後の泡状噴出物の外観形状を示す図である。
【図12】他の実施の形態に係るエアゾール容器の外観斜視図である。
【図13】ノズル着脱機構の他の例を示す図である。
【図14】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1,1A エアゾール容器
2,2A エアゾール容器本体
3 スパウト本体(他の本体部分)
4 ノズル部
5 樹脂成形体
6 キャップ
23 内側巻き締め部(円形巻き締め部)
24 ステム
30b 係止部
31f 凹部
32 進路変更部
33 操作部(操作用凸部)
40a 小凸部(凸部)
41 支持突起(凸部)
60 上下案内溝(凹部)
61 左右貫通孔(凹部)
F 泡状噴出物
Q 開口
S スパウト
W ノズル着脱機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムを覆うようにエアゾール容器本体に取り付けられ、前記ステムを内方に押し込んで、このステムから、前記エアゾール容器本体内の食品内容物を泡状噴出物として噴出させるとともに、前記ステムに連通するノズル部から、前記泡状噴出物を外部に流出させるエアゾール容器用のスパウトであって、
前記ノズル部を、前記エアゾール容器本体に取り付けられる他の本体部分と分けて形成するとともに、凹凸部を嵌め合わせつつ前記ノズル部と前記他の本体部分とを係脱させて、前記ノズル部を前記他の本体部分に着脱容易に位置決め支持させるノズル着脱機構を設けていることを特徴とするエアゾール容器用のスパウト。
【請求項2】
前記他の本体部分を弾性変形可能な樹脂材から形成するとともに、この他の本体部分に、着脱時に前記エアゾール容器本体に対して進退するように力が加えられる操作用凸部を形成し、かつ、前記エアゾール容器本体上部の突状取付部に係止される前記他の本体部分側の係止部を、前記操作用凸部側を除くように形成していることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用のスパウト。
【請求項3】
前記他の本体部分中の前記泡状噴出物の通路に、この泡状噴出物を前記ノズル部の内面側に導く進路変更部を設けていることを特徴とする請求項1又は2記載のエアゾール容器用のスパウト。
【請求項4】
開口の形状を変えて、前記泡状噴出物の外観形状を種々に定める複数の前記ノズル部が、切り離し容易な状態でリング状に連結されている樹脂成形体を有しているとともに、この樹脂成形体を、前記他の本体部分を覆うように前記エアゾール容器本体に取り付けられたキャップ内の余空間に収納できる形状に形成していることを特徴とする請求項1、2、又は3の何れかに記載のエアゾール容器用のスパウト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−290408(P2006−290408A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113787(P2005−113787)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(505134316)東京コヤマプラスチック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】