説明

フロー分析システム

【課題】前処理が迅速かつ自動的に行われると共に、添加される前処理液を最小限に留めることが可能な、サンプル液中の微量元素をリアルタイムに測定可能なフロー分析システムの提供。
【解決手段】前処理手段が、分析対象液及び/又は前処理液の流量を変えることにより、これらの流量比を経時的に変化させる流量比変化手段と、分析対象液と前処理液との混合液の液性を測定する液性測定手段と、前記液性が所定状態となったか否かを判定する液性判定手段とを有し、前記流量比変化手段は、分析対象液と前処理液との混合液に対する前処理液の流量比が増大する方向をプラス方向としたとき、前記液性に応じて、プラス方向にもマイナス方向にも流量比を変化させ得るよう機能し、前記液性が前記所定状態となった場合、当該所定状態となった際の前記混合液が前記分析手段に導かれるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー滴定技術を分析対象液(サンプル液)の前処理に利用した、分析対象液中の微量元素をリアルタイムに測定可能なフロー分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フローインジェクション分析(FIA)は、リアルタイムにオンサイト分析が可能な分析手法である。特に、当該手法は、極めて高純度の薬品類が使用される半導体の製造工程における、当該薬品類に不純物として含まれる微量元素のオンサイト分析に有効である。ここで、FIAを簡単に説明すると、フロー分析の一種であり、流路にキャリア(試料を運ぶ流体)を流しておき、適時、キャリアを分析試料に置きかえて、これら検出元素が発色する反応試薬と反応させ、キャリアの吸光度と分析試料の吸光度との差△を検出して元素濃度を分析する方法である。即ち、FIAにおいては、キャリアと反応試薬を混合し、これを攪拌・分散等によってよく混ぜた後に、元素濃度を検出する検出器によって濃度検出(典型的には吸光度分析による吸光度の測定)を行うのであるが、キャリアをある時点で試料に置換することにより、吸光度の差分を測定することによって試料濃度を決定する。尚、先行特許1(特開2004−163191号公報)の内容は、本明細書に組み込まれるものとする。
【特許文献1】特開2004−163191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、半導体製造工程においては、酸やアルカリ等の各種薬液が使用されている。ここで、当該薬液中の微量元素を測定するに際しては、当該測定に適した条件を整える必要がある。例えば、サンプル液中の金属を比色法で測定する際、発色剤の最適pHが所定範囲である場合には、サンプル液の液性を当該最適pH範囲内にする必要がある。具体例としては、サンプル液が強酸性であり発色剤の最適pHが中性付近である場合には、サンプル液に前処理液(アルカリ液)を添加する前処理を施した後、緩衝剤を添加する等して当該最適pH範囲内に収める必要がある。
【0004】
ここで、サンプル液の液性は常時一定であるという保証はないので、装置の作動毎に、サンプル液のpHを測定すると共に前処理条件を決定することが理想的である。しかしながら、作動毎に、サンプル液を採取してpHを測定したり、当該pHに基づいて前処理条件をいちいち決定する等の作業は非常に面倒であり、かつ時間も要する。また、基本的には、人間がこれらの作業を行うことになるので、誤った条件設定がなされる可能性がある。その結果、操作者の誤った操作のため、不適切な薬液でありながら適切な薬液と判定される事態を招き、或いは、結果が出るまでに長時間を要するため、不適切な薬液でありながら当該結果が出るまでの間当該薬液が使用され続ける事態を招き、いずれの場合も、当該不適切な薬液が使用された被処理物(ウエハ等)の商品価値が無になる恐れがある。更には、サンプル液中の微量成分の分析を目的とした場合には、できるだけ感度を上げるために、サンプル液に添加する前処理液の量を少なくする必要がある。したがって、添加される前処理液の量は、必要最小限に留めるべきである。そこで、本発明は、前処理が迅速かつ自動的に行われると共に、添加される前処理液を最小限に留めることが可能な、サンプル液中の微量元素をリアルタイムに測定可能なフロー分析システムを提供することを第一の目的とする。
【0005】
更には、微量成分の分析を実施する際には、僅かなコンタミネーション(汚染)でも分析結果に影響を与えてしまう。例えば、酸のサンプル液中の微量成分(例えば鉄)を分析するに際しては、前述のようにアルカリで中和することで発色剤の好適pH域とする必要があるが、この際、好適pH域になったか否かをpH検出器で測定する。そして、pH検出器で好適pH域になったことが確認されたサンプル液が分析に付されることになるが、この際、pH検出器に付着していたアルカリが、当該分析時に分析装置に流れ込むことがある。そこで、本発明は、pH検出器のような液性測定手段からのコンタミネーションの心配が無い、微量成分の分析に最適であるフロー分析システムを提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究の結果、まず、第一の目的を達成するという課題に関しては、フロー滴定技術をフロー分析システムに組み込むことにより、当該課題を解決し得ることを見出し、本発明(1)〜(8)を完成させたものである。
【0007】
本発明(1)は、分析に先立ち分析対象液を前処理するための前処理手段と、前記前処理手段により前処理された前記分析対象液を分析するための分析手段とを備えた、分析対象液中の所定成分を分析可能なフロー分析システムにおいて、
前記前処理手段が、分析対象液及び/又は前処理液の流量を変えることにより、これらの流量比を経時的に変化させる流量比変化手段と、分析対象液と前処理液との混合液の液性を測定する液性測定手段と、前記液性が所定状態となったか否かを判定する液性判定手段とを有すると共に、
前記流量比変化手段は、分析対象液と前処理液との混合液に対する前処理液の流量比が増大する方向をプラス方向としたとき、前記液性に応じて、プラス方向及びマイナス方向のいずれかに流量比を変化させ得るよう機能し、
前記液性が前記所定状態となった場合、当該所定状態となった際の前記混合液が前記分析手段に導かれるように構成されていることを特徴とするフロー分析システムである。
【0008】
本発明(2)は、前記流量比変化手段は、前記流量比を変化させるに際し、当該変化幅の可変手段を更に有している、前記発明(1)のフロー分析システムである。
【0009】
本発明(3)は、前記可変手段は、ある流量比から別の流量比に変化させる場合の当該変化幅を、前記ある流量比における前記液性の測定結果に基づき決定する、前記発明(2)のフロー分析システムである。
【0010】
本発明(4)は、前記可変手段は、ある流量比から別の流量比に変化させる場合の当該変化幅を、前回の変化幅よりも小さく設定すると共に、前記ある流量比における前記液性の測定結果に基づき、前記流量比を当該変化幅分前記プラス方向に変化させるか前記マイナス方向に変化させるかを決定する、前記発明(3)のフロー分析システムである。
【0011】
本発明(5)は、フローインジェクション分析システムである、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つのフロー分析システムである。
【0012】
本発明(6)は、前記前処理が中和処理である、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つのフロー分析システムである。
【0013】
本発明(7)は、前記液性測定手段で測定される前記液性がpHである、前記発明(6)のフロー分析システムである。
【0014】
本発明(8)は、前記分析が、分析対象液中の微量成分の分析である、前記発明(1)〜(7)のいずれか一つのフロー分析システムである。
【0015】
次に、本発明者らは鋭意研究の結果、第二の目的を達成するという課題に関しては、液性測定手段の位置が重要であることに着目し、本発明(9)〜(13)を完成させたものである。
【0016】
本発明(9)は、分析に先立ち分析対象液に前処理液を添加することにより当該分析対象液を前処理するための前処理手段と、前記前処理手段により前処理された前記分析対象液を分析するための分析手段とを備えた、分析対象液中の所定成分を分析可能なフロー分析システムにおいて、
前記前処理手段により前処理された前記分析対象液の液性を測定する液性測定手段を更に有すると共に、当該液性測定手段が、前記前処理された前記分析対象液が前記前処理手段から前記分析手段に導かれるラインの外に配置されている
ことを特徴とするフロー分析システムである。
【0017】
本発明(10)は、フローインジェクション分析システムである、前記発明(9)のフロー分析システムである。
【0018】
本発明(11)は、前記前処理が中和処理である、前記発明(9)又は(10)のフロー分析システムである。
【0019】
本発明(12)は、前記液性測定手段で測定される前記液性がpHである、前記発明(11)のフロー分析システムである。
【0020】
本発明(13)は、前記分析が、分析対象液中の微量成分の分析である、前記発明(9)〜(12)のいずれか一つのフロー分析システムである。
【0021】
ここで、本例における各用語の意義について説明する。「分析」とは、定量分析、半定量分析、定性分析のいずれをも包含する。「前処理」とは、分析対象液中の分析対象物を分析するに際し、好適な条件にするための一切の処理を指し、例えば、応答指示薬を用いる場合には、当該分析に適した環境にする(例えばpHを所定範囲にする)ことや、妨害物質を除去する等を挙げることができる。ここで、「応答」とは、例えば、変色(例えば発色や減色)、光信号(例えば蛍光)、電気信号等を挙げることができ、検出可能である限り特に限定されない。また、「分析対象液」とは、分析対象成分(元素や化合物等)を含んでいるか否かが問題となる液をいい、例えば、各プロセス(例えば半導体洗浄プロセス)で使用するプロセス液(洗浄液)や、当該プロセス液の原液(新液)を挙げることができる。「前処理液」とは、分析対象液を前処理する際に、当該前処理に実質的に関与する液を指し、例えば、前処理する際に、アルカリ液と希釈液との混合液を分析対象液と合わせる場合には、アルカリ液のみが「前処理液」に該当する。「液性」とは、液が示す何らかの物性や状態であれば特に限定されず、例えば、pHを挙げることができる。「所定成分」とは、特定の一種の成分のみならず、二種以上の成分を包括した場合をも含む概念である。「システム」とは、装置のみならずプラントのようなものも包含する概念であり、また、各構成要素が物理的に一体的又は集約的なもののみならず、各構成要素が物理的に分割しているものや分散しているものも包含する。「元素」とは、特に限定されず、例えば金属元素である。「フロー分析」とは、自動分析を含む流れ分析を意味し、フローインジェクション分析を包含する概念である。「微量」とは、対象元素の含有量が10−7オーダー(好適にはppbオーダー)以下である場合を指す。更に、以下のシステムは、オンサイト分析用に適しているが、オンサイト分析用に限定されるものではなく、これ以外の用途も適用可能であり、本発明の権利範囲に属する。
【発明の効果】
【0022】
本発明(1)〜(8)によれば、滴定原理を採用しているので、液性が一定しない分析対象液についても液性に応じた適切な前処理を自動的に行うことができると共に、前処理を実施する際のサンプル液と前処理液との流量比を変化させた際、この変化量が大きすぎ、液性が所定値又は所定範囲を超えてしまった場合であっても、流量比を逆方向に変化させることができるように構成されているので、グラジエント的に変化させる態様と比較すると、より迅速な前処理が可能となる結果、不適切な薬液が長時間使用され続けることに起因した損失を最小限に食い止めることが可能になる。更に、添加される前処理液を最小限に留めることができるので、微量成分についてより感度の高い分析が可能になるという効果も奏する。加えて、流量比変化幅可変タイプ(可変ステップタイプ)に関しては、特にサンプル濃度が高い場合、初期段階で前処理液の流量を多くし、当量点に近づくにつれ前処理液の流量を減らすことにより、より迅速に液性を当量点付近まで近づけることが可能になるという効果を奏する。
【0023】
本発明(9)〜(13)によれば、前処理された分析対象液の液性が測定される液性測定手段が、分析ライン(分析対象液が分析手段に至るまでのライン)の外に配されているので、液性測定手段に付着した前処理液等に由来するコンタミネーションが回避できる結果、微量成分の分析をより高精度で実施可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本最良形態を説明する。ここで、本最良形態は、前処理液(アルカリ液)とサンプル液との流量比を畳み込み的(ステップ的、段階的)に変化させることにより、迅速に好適なpH範囲内に収める形態である。ここで、第一の最良形態は、流量比の変化幅を一定にして好適なpH範囲に近づける形態であり(以下、「一定ステップタイプ」という)、第二の最良形態は、流量比の変化幅を変化させて(例えば、前回の半分の変化幅にする)好適なpH範囲に近づける形態である(以下、「可変ステップタイプ」という)。以下、まず、第一の最良形態から説明する。
【0025】
まず、図1は、本最良形態に係るFIA装置のシステム図である。まず、各要素について説明する。管Aは、前処理液(アルカリ液)を流通させる管であり、前処理液(アルカリ液)貯留部Nから合流部Xまで通じている。次に、管Cは、サンプル液を流通させる管であり、サンプル液導入部2から合流部Xまで通じている。次に、管Dは、キャリア液を流通させる管であり、キャリア液貯留部Cから合流部Yまで通じている。次に、管Eは、酸化剤液を流通させる管であり、酸化剤液貯留部Oから合流部Yまで通じている。次に、管Fは、発色試薬液を流通させる管であり、発色試薬液貯留部Rから合流部Yまで通じている。尚、ここで、これら液を送液するためのP〜Pの内、流量をステップ変化させるためのPは、ステップ変化させることが可能なポンプである限り特に限定されず、プランジャーポンプでもシリンジポンプでもよい。
【0026】
そして、合流部Xの下流には、サンプル液の前処理{管Aからのアルカリ液及び管Cからのサンプル液の混合液(以下、「処理液」という)で起きる中和反応}が行われる前処理部MC1が備えられており、当該前処理部の下流には、後述するインジェクションバルブVまで当該処理液を流通させるための管Gと、インジェクションバルブVから合流部Yまでキャリア液や処理液を流通させるための管Hとが備えられている。
【0027】
ここで、管Gには、インジェクションバルブVが介在している。ここで、インジェクションバルブVは切替可能に構成されており、位置γ(非測定時)においては、上流側の管Gからの処理液を廃液部Zに導く流路が形成されると共に、管Dからのキャリア液を管Hに導く流路が形成される。ここで、廃液部Zに向かう途中に、前処理がなされた処理液のpHを測定するpH検出器が備えられている。このようにpH検出器を分析部へのライン外に配置することにより、分析時におけるpH検出器によるコンタミネーションが回避でき、より高感度の分析が可能となる。尚、処理液が廃液部Zに導かれるに際し、当該処理液は、インジェクションバルブVに備えられた注入ループを通って廃液される。これにより、後述の切替が実行された際に、当該切替時点で注入ループ内に収納された処理液が、後述の検出部まで送液されることになる。他方、位置θ(測定時)においては、インジェクションバルブVに接続された注入ループ内に一定量収納された処理液を管Hに導く流路が形成される。これにより、キャリア液とキャリア液との間に一定量の処理液が挟まれた形で合流部Yまで送られることになる。
【0028】
最後に、合流部Yの下流には、処理液の応答反応(管Hからのキャリア液又は処理液、管Eからの酸化剤液及び管Fからの発色剤液の発色反応)が行われる反応部MC2と、当該応答反応を検出する検出部D(吸光光度計)とが備えられている。
【0029】
尚、図1に係るFIA装置のようなシステム構成の代わりに、図2に示すようなシステム構成を採ることも可能である。ここで、図1に係るFIA装置との相違点を中心に、当該システムの特徴を説明する。尚、図1に係るFIA装置のシステムを変更するに際し、これら相違点を常に同時に存在させる必要はなく、いずれか一方のみを存在させるよう構成してもよい。そこで、これら相違点を説明すると、まず、図2中の管Bは、前処理液(アルカリ液)の希釈液を流通させる管であり、希釈液貯留部Diから合流部Xまで通じている。このように、当該システムにおいては、前処理液(アルカリ液)とサンプル液を混合する前に、前処理液(アルカリ液)に希釈液を混合する構成を採る。この希釈液を混合する理由は、液の電気伝導度が低すぎるときにはpH検出器でpHが測定できない場合があることに鑑み、このような場合でも測定が可能となるように液全体の電気伝導度を高めるためである。
【0030】
更に、当該システムにおいては、サンプル液が合流部Xに常時送られるという構成ではなく、測定時のみ系内に送る構成を採っている。具体的には、まず、管Cは、図1の場合と異なり、キャリア液を流通させる管であり、キャリア液貯留部Cから合流部Xまで通じている。そして、管Cには、インジェクションバルブVが介在している。ここで、インジェクションバルブVは切替可能に構成されており、位置α(非測定時)においては、上流側の管Cからのキャリア液を下流側の管Cに送る流路を構築する一方、位置β(測定時)においては、インジェクションバルブVに接続された注入ループ内に一定量収納されたサンプル液を下流側の管Cに送る流路を構築する。これにより、キャリア液とキャリア液との間に一定量のサンプル液が挟まれた形で合流部Xまで送られることになる。尚、図2におけるインジェクションバルブVは、位置βの状態にある。
【0031】
次に、図3〜図8を参照しながら、本最良形態における前処理手順等をより具体的に説明する。尚、本最良形態(第二最良形態も同様)では、サンプル液の量を常に一定に構成したが、例えば、(1)前処理液の量を一定とし、サンプル液の量を変化させる形態や、(2)前処理液及びサンプル液のいずれの量も変化させる形態、であってもよい。更に、(2)に関しては、(2−1)前処理液とサンプル液の合計量を常に同一とする形態、(2−2)前処理液とサンプル液の合計量は常に同一とは限らない形態、であってもよい(前者の場合には、分析対象物の濃度を算出等する際の処理が簡素化できる)。加えて、本最良形態(第二の最良形態も同様)に関しては、ステップポンプを使用していることに起因し、迅速に好適pH域に達するという主効果だけでなく、前処理液やサンプル液の脱泡も実行できるという付加的効果を奏する。尚、付加的効果については、本最良形態及び第二の最良形態の説明の後に行う。以下、前記(1)の形態を例にとり、本最良形態を説明することとする。
【0032】
まず、図3〜図5を参照しながら、第一の最良形態について説明する。第一の最良形態では、管Aからの前処理液(アルカリ液)の量をステップ的(段階的)に変化させることにより中和滴定を行う手法を採用している。このようにステップ的に変化させることにより、グラジエント方式よりも短時間に好適pH領域に到達することが可能となる。特に、FIA測定における検出器として分光光度計を採用した場合には、当量点に達していなくてはならない程の厳格な前処理は必要無いので、本形態のようなステップ方式でも何ら問題は無い。
【0033】
具体的には、図3に示すように、ポンプP及びPの駆動を制御することにより、サンプル液を一定量に維持しつつ、前処理液(アルカリ液)の量をステップ的に増加させることにより、両液の比をステップ的に変化させる。他方、サンプル液と前処理液(アルカリ液)との混合液は、合流部Xでサンプル液(塩酸)と合わさり、前処理部MC1を経てpH検出器に到達する。そして、このpH検出器でのpH値が所定範囲内となったとき、当該処理液が検出器Dに送液される。尚、pH検出器としてpH測定用ガラス電極を用いる場合には、電極内外の電位差をpHに換算しているので、当該電位差に基づき所定の範囲内となったか否かを直接決定してもよい。
【0034】
ここで、図4は、アルカリ液の量をステップ的に増やした際の、pHの変化の様子の一例を示したものである。このように、当初はサンプル液だけなので、pHはサンプル液の液性である3.5付近{図中の(1)}を示すが、サンプル液/アルカリ液の量比を変えた第一ステップ{図中の(2)}ではpHが3.75付近となり、サンプル液/アルカリ液の量比を更に変えた第二ステップ{図中の(3)}ではpHが7付近となり、サンプル液/アルカリ液の量比を更に変えた第三ステップ{図中の(4)}ではpHが10.5付近となり、サンプル液/アルカリ液の量比を更に変えた第四ステップ{図中の(5)}ではpHが11.75付近となる。ここで、本例においては、第二ステップ{図中の(3)}で好適pH域である5〜9の間に入ったので、この状態の液が処理液として検出器に送液される。
【0035】
次に、図5は、本最良形態の特徴的処理である、インジェクションバルブVのバルブ切替処理のフローチャートである。尚、当該処理は、例えば、パーソナルコンピュータで実行可能である。具体的には、パーソナルコンピュータ内のCPUが、当該処理を実行し、同コンピュータ内のROMが、当該処理の実行プログラムを記憶し、同コンピュータのRAMが、当該処理に必要な情報(例えばセットした流速や切替時間Tx)を一時記憶する。そこで、当該処理を説明すると、まず、ステップ203で、ディスプレー上にサンプル液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ205で、ディスプレー上にキャリア液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ207で、ディスプレー上に酸化剤液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ209で、ディスプレー上に発色剤液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。このようにして、前処理や発色反応等に係るすべての液体の流量がセットされたことになる。次に、ステップ211で、各種初期化処理を実行する。具体的には、前処理液の量としてデフォルト値(0)をセットする、ステップ幅を所定値(例えば、サンプル液の1/2量)にセットする、インジェクションバルブVをγ位置にセットする、といった処理を実行する。そして、ステップ213で、各種ポンプを作動させ、全液の送液を開始する。ここで、ポンプPは、最初は前処理液の量が0となるよう駆動される。その他のポンプP〜Pは、前記セットされた流量となるよう、夫々が独立して駆動される。このように、全液の送液が開始された後、ステップ217で、当該タイミングでタイマをスタートさせる(T=0)。
【0036】
そして、ステップ219で、pH検出器におけるpHが所定範囲内(例えばpH=5〜9)であるか否かを判定する。ここで、ステップ219でNoの場合、ステップ221で、pHが所定範囲の下限値(例えば、pH=5)よりも小さいか否か、即ち、前処理液としてのアルカリ量がまだ少ないか否かを判定する。ステップ221でYesの場合、ステップ223で、前処理液を1ステップ増加させ、ステップ219に移行する。他方、ステップ221でNoの場合、即ち、前処理液としてのアルカリ量が多過ぎた場合(換言すれば、ステップ幅が大き過ぎた場合)には、ステップ225で、ステップ幅を減少する(例えば、サンプル液の1/2量→サンプル液の1/3量)と共に、初期値(前処理液の量が0)から再スタートし、ステップ219に移行する。
【0037】
他方、ステップ219でYesの場合には、ステップ231で、γ位置に配されていたインジェクションバルブVをθ位置に切替える。これにより、インジェクションバルブVに接続していた注入ループ内の処理液が、キャリアの間に挟まれた状態で、管Hを通じて合流部Yに送られる。ここで、当該注入ループ内に存在している処理液は、pHが所定範囲である処理液である。このような処理により、十分に前処理された処理液を合流部Yに送ることが可能となる。
【0038】
次に、図6〜図8を参照しながら、可変ステップタイプに係る第二の最良形態について説明する。第二の最良形態でも、第一の最良形態と同様、管Cからのサンプル液の量を一定に保ちつつ、前処理液(アルカリ液)の量をステップ的(段階的)に変化させることにより、中和滴定を行う手法を採用している。但し、第一の最良形態では当該ステップ幅は一定であるが、本最良形態では徐々にステップ幅を小さくする{本例では等比数列的(前のステップの1/2の量)に小さくする}と共に、一方方向(前処理液が増加する方向)だけでなく、液性に応じ、両方向(前処理液が増加する方向と前処理液が減少する方向)に変化させ得るように構成されている。即ち、例えば、あるステップの前では好適pH領域よりもpHが小さい酸性状態であり、当該ステップの結果でもまだ当該酸性状態が維持されている場合には、次のステップでも前処理液を増加させるような処理が実行され、逆に、あるステップの前では好適pH領域よりもpHが小さい酸性状態であったが、当該ステップの結果、好適pH領域よりも大きいアルカリ性状態に移行した場合には、次のステップでは前処理液を減少させるような処理が実行される。そして、当初はステップ幅を大きくし、徐々にステップ幅を小さくするよう構成すれば、第一の最良形態に係るステップ方式よりも更に短時間に好適pH領域に到達することが可能となる。
【0039】
具体的には、図6に示すように、ステップポンプPの駆動を制御することにより、サンプル液の量(一定量:100)に対して前処理液(アルカリ液)100からスタートする(1回目)。そして、2回目においては、1回目の前処理液の流量の±50とする。ここで、1回目のpHが所定範囲未満であった場合には、まだアルカリ量が足りないことを意味するので前処理液の量を50増加させ、他方、1回目のpHが所定範囲超であった場合には、アルカリ量が過剰であったことを意味するので前処理液の量を50減少させる。そして、3回目においては、2回目の前処理液の流量の±25とする。ここで、2回目のpHが所定範囲未満であった場合には、まだアルカリ量が足りないことを意味するので前処理液の量を25増加させ、他方、2回目のpHが所定範囲超であった場合には、アルカリ量が過剰であったことを意味するので前処理液の量を25減少させる。そして、4回目においては、3回目の前処理液の流量の±12.5とする。ここで3回目のpHが所定範囲未満であった場合には、まだアルカリ量が足りないことを意味するので前処理液の量を12.5増加させ、他方、3回目のpHが所定範囲超であった場合には、アルカリ量が過剰であったことを意味するので前処理液の量を12.5減少させる。尚、本最良形態においては、ステップ幅は前回のステップ幅の1/2となるように設定したが、この比は1/2でなくともよく、更には、等比数列的にステップ幅を変化させなくとも、等差数列的又は非数列的に減少させる態様でもよい。更に、スタート時点では、前処理液:サンプル液量=100:100に設定したが、図6の数値はあくまで例示であってこれに何ら限定されるものではなく、想定される酸・アルカリ濃度に応じて適宜設定される。
【0040】
ここで、図7は、アルカリ液の量をステップ的に増やした際の、pHの変化の様子の一例を示したものである。このように、当初はサンプル液だけなので、pHはサンプル液の液性である3.5付近を示すが、サンプル液/アルカリ液=100:100である第一ステップ(図中の「1回目」)ではpHが3.75付近と、好適pH域である5〜9の範囲に近づく。そして、サンプル液/アルカリ液=100:150である第二ステップ(図中の「2回目」)ではpHが10.5付近と、好適pH域である5〜9の範囲を超えてしまう。そこで、第三ステップではサンプル液/アルカリ液=100:125と、アルカリ液量を減少させる結果、再び好適pH域未満となる。但し、1回目よりもより好適pH域に近づく。そして、第四ステップではサンプル液/アルカリ液=100:137.5とアルカリ液量を僅かに増加させた結果、液のpHは好適pH域である5〜9の範囲内に収まる。
【0041】
次に、図8は、本最良形態の特徴的処理である、インジェクションバルブVのバルブ切替処理のフローチャートである。尚、当該処理は、例えば、パーソナルコンピュータで実行可能である。具体的には、パーソナルコンピュータ内のCPUが、当該処理を実行し、同コンピュータ内のROMが、当該処理の実行プログラムを記憶し、同コンピュータのRAMが、当該処理に必要な情報(例えばセットした流速や切替時間Tx)を一時記憶する。そこで、当該処理を説明すると、まず、ステップ303で、ディスプレー上にサンプル液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ305で、ディスプレー上にキャリア液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ307で、ディスプレー上に酸化剤液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。次に、ステップ309で、ディスプレー上に発色剤液の流速(V)を入力するような指示画面を表示すると共に、キーボード等を介して操作者により入力された流速情報をRAMに一時記憶する。このようにして、前処理や発色反応等に係るすべての液体の流量がセットされたことになる。次に、ステップ311で、各種初期化処理を実行する。具体的には、前処理液の初期量としてデフォルト値(例えば、前処理液:サンプル液=100:100)をセットする、ステップ幅を1/2にセットする(ある回数のステップ幅を前回のステップ幅の1/2にセットする)、インジェクションバルブVをγ位置にセットする、といった処理を実行する。そして、ステップ313で、各種ポンプを作動させ、全液の送液を開始する。ここで、ステップポンプPは、最初は前処理液とサンプル液の量が前記デフォルト値(即ち、100:100)となるよう駆動される。その他のポンプP〜Pは、前記セットされた流量となるよう、夫々が独立して駆動される。このように、全液の送液が開始された後、ステップ317及びステップ321で、当該タイミングでタイマをスタートさせ(T=0)、kの初期値として1をセットする。
【0042】
そして、ステップ323で、pH検出器におけるpHが所定範囲内(例えばpH=5〜9)であるか否かを判定する。ここで、ステップ323でNoの場合、ステップ325で、pHが所定範囲の下限値(例えば、pH=5)よりも小さいか否か、即ち、前処理液としてのアルカリ量がまだ少ないか否かを判定する。ステップ325でYesの場合、ステップ327で、前処理液を1ステップ(前回の前処理液の増減量の1/2)増加させ、ステップ331に移行する。他方、ステップ325でNoの場合、即ち、前処理液としてのアルカリ量が多過ぎた場合には、ステップ329で、前処理液を1ステップ(前回の前処理液の増減量の1/2)減少させ、ステップ331に移行する。そして、ステップ331で、kに1を加算し、ステップ323に移行する。
【0043】
他方、ステップ323でYesの場合には、ステップ337で、γ位置に配されていたインジェクションバルブVをθ位置に切替える。これにより、インジェクションバルブVに接続していた注入ループ内の処理液が、キャリアの間を挟まれた状態で、管Hを通じて合流部Yに送られる。ここで、当該注入ループ内に存在している処理液は、pHが所定範囲である処理液である。このような処理により、十分に前処理された処理液を合流部Yに送ることが可能となる。
【0044】
尚、第二の最良形態においては、ステップの数だけ徐々に前処理液の増減量が小さくなるように構成したが、所定条件下では(例えば、液性が変化しない場合)、前処理液の増減量を変化させないように構成してもよい(即ち、第一の最良形態との組み合わせ)。即ち、例えば、サンプル液の酸濃度が非常に高いにもかかわらず、デフォルトで設定した前処理液の量が相対的に少なすぎる場合、いつまでたっても混合液の液性が所定範囲に収まらないという事態が想定される。このような場合には、混合液の液性がアルカリ性になるまでの各ステップにおいては、例えば最初のステップ幅(上記の例だと50)を維持するように構成すればよい。
【0045】
次に、図12〜図15を参照しながら、上記最良形態の変更例を説明する。上記最良形態では、超微量分析を踏まえたコンタミネーションの回避からpH検出器の設置箇所を分析部へのライン外としたが、当該コンタミネーションが問題とならない分析であれば、当該pH検出器の設置箇所をライン内としてもよい。例えば、図12及び図13は、前記第一の最良形態の変更例(図12は図1の変更例、図13は図2の変更例)である。これらの図に示されるように、合流部Xの下流には、サンプル液の前処理{管Aからのアルカリ液及び管Cからのサンプル液の混合液(以下、「処理液」という)で起きる中和反応}が行われる前処理部MC1と、前処理がなされた処理液のpHを測定するpH検出器とが備えられている。そして、pH検出器の下流には、後述するインジェクションバルブVまで当該処理液を流通させるための管Gと、インジェクションバルブVから合流部Yまでキャリア液や処理液を流通させるための管Hとが備えられている。
【0046】
次に、図14のフローチャートを参照しながら、第一の最良形態の変更例に係る、インジェクションバルブVのバルブ切替処理を説明する。ここで、第一の最良形態に係る図5との相違点は、ステップ227及びステップ229の存在である。これらを詳述すると、ステップ219でYesの場合、ステップ227で、pH検出器からバルブVまでの距離を処理液の流速で除した値を現在の時間(T)に加算することにより、バルブVの切替時間(T)を決定する。換言すれば、検出器に存在するpHが所定値である処理液(前処理液+サンプル液)がバルブVに到達する時間を決定する。そして、ステップ229で、切替時間Tに到達したか否かを判定する。ステップ229でYesの場合、ステップ231で、γ位置に配されていたインジェクションバルブVをθ位置に切替える。これにより、インジェクションバルブVに接続していた注入ループ内の処理液が、キャリアの間に挟まれた状態で、管Hを通じて合流部Yに送られる。
【0047】
次に、図15のフローチャートを参照しながら、第二の最良形態の変更例に係る、インジェクションバルブVのバルブ切替処理を説明する。ここで、第二の最良形態に係る図8との相違点は、ステップ333及びステップ335の存在である。これらを詳述すると、ステップ323でYesの場合には、ステップ333で、pH検出器からバルブVまでの距離を処理液の流速で除した値を現在の時間(T)に加算することにより、バルブVの切替時間(T)を決定する。換言すれば、検出器に存在するpHが所定値である処理液(前処理液+サンプル液)がバルブVに到達する時間を決定する。そして、ステップ335で、切替時間Tに到達したか否かを判定する。ステップ335でYesの場合、ステップ337で、γ位置に配されていたインジェクションバルブVをθ位置に切替える。これにより、インジェクションバルブVに接続していた注入ループ内の処理液が、キャリアの間を挟まれた状態で、管Hを通じて合流部Yに送られる。ここで、当該注入ループ内に存在している処理液は、pHが所定範囲である処理液である。このような処理により、十分に前処理された処理液を合流部Yに送ることが可能となる。
【実施例】
【0048】
以下、酸性サンプル液中の鉄濃度の測定に係る実施例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。尚、上記最良形態においてはサンプル液の流量を固定した場合を例にとって説明したが、本実施例においてはサンプル液及び前処理液の両方をステップ変化させたものを例示する。まず、図9に、本実施例に係るシステムを示す。尚、基本的構成は図1と同様であるので符号を省略する。図に示すように、前処理液(中和液:水酸化アンモニウム水溶液)とサンプル液とはそれぞれ独立したステップポンプで駆動される。以下、図9に記載されている以外の各種条件を列記する。
【0049】
DPD(0.01M塩酸)=0.024M
水酸化アンモニウム =0.01M
過酸化水素 =0.5M(4M酢酸アンモニウム pH5.7)
サンプル液 =鉄イオン濃度:1ppb、5ppb、10ppb
【0050】
<一定ステップタイプ例>
サンプル液流量と中和液流量の合計量が一定(1ml/min)となる条件下、サンプル液と中和液の流量を時間とともにステップ変化させた(表2参照)。尚、本実施例では、1ステップあたり40秒とし、ステップ間のタイムラグを約20秒とした。また、当該測定系においては当量点ちょうどにサンプル液が前処理されている必要が無いことに鑑み、−0.2〜+0.2Vの範囲内となった場合に「前処理完了」とし、当該前処理が施されたサンプル液(正確にはサンプル液と前処理液との混合液)を測定系に送液するよう構成した。その結果、本例では、3回目のステップで「測定OK」となり、当該ステップでのサンプル液が測定系に送液された(測定時間約100秒)。このようにして、鉄イオン濃度の異なる三種類のサンプル液について測定を行った結果、相関係数が0.95を超える検量線が得られた。尚、図10にpH検出器での電圧の経時変化の様子を示す。
【表2】

【0051】
<可変ステップタイプ例>
サンプル液流量と中和液流量の合計量が一定(1ml/min)となる条件下、サンプル液と中和液の流量を時間とともにステップ変化させた(表3参照)。尚、ステップ幅は前回のステップ幅の1/2とし、増減方向は前回の電圧の正負に基づき決定した。その結果、本例では、3回目のステップで「測定OK」となり、当該ステップでのサンプル液が測定系に送液された(測定時間約100秒)。このようにして、鉄イオン濃度の異なる三種類のサンプル液について測定を行った結果、相関係数が0.97を超える検量線が得られた。尚、図11にpH検出器での電圧の経時変化の様子を示す。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本最良形態に係るFIAシステムの概観図である。
【図2】図2は、本最良形態に係るFIAシステムの概観図(変更例)である。
【図3】図3は、前処理液量及びサンプル液量の経時的変化の様子を示したものである(第一の最良形態)。
【図4】図4は、前処理液とサンプル液との量比変更に伴う、処理液のpH変化の様子を示したものである(第一の最良形態)。
【図5】図5は、第一の最良形態における、バルブ切替処理のフローチャートである。
【図6】図6は、前処理液量及びサンプル液量の経時的変化の様子を示したものである(第二の最良形態)。
【図7】図7は、前処理液とサンプル液との量比変更に伴う、処理液のpH変化の様子を示したものである(第二の最良形態)。
【図8】図8は、第二の最良形態における、バルブ切替処理のフローチャートである。
【図9】図9は、実施例に係るFIAシステムの概観図である。
【図10】図10は、実施例に係るpH検出器での電圧の経時変化の様子を示したものである(一定ステップタイプ)。
【図11】図11は、実施例に係るpH検出器での電圧の経時変化の様子を示したものである(可変ステップタイプ)。
【図12】図12は、本最良形態(図1)の変更例に係るFIAシステムの概観図である。
【図13】図13は、本最良形態(図2)の変更例に係るFIAシステムの概観図である。
【図14】図14は、第一の最良形態の変更例における、バルブ切替処理のフローチャートである。
【図15】図15は、第二の最良形態の変更例における、バルブ切替処理のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析に先立ち分析対象液に前処理液を添加することにより当該分析対象液を前処理するための前処理手段と、前記前処理手段により前処理された前記分析対象液を分析するための分析手段とを備えた、分析対象液中の所定成分を分析可能なフロー分析システムにおいて、
前記前処理手段が、分析対象液及び/又は前処理液の流量を変えることにより、これらの流量比を経時的に変化させる流量比変化手段と、分析対象液と前処理液との混合液の液性を測定する液性測定手段と、前記液性が所定状態となったか否かを判定する液性判定手段とを有し、
前記流量比変化手段は、分析対象液と前処理液との混合液に対する前処理液の流量比が増大する方向をプラス方向としたとき、前記液性に応じて、プラス方向及びマイナス方向のいずれかに流量比を変化させ得るよう機能し、
前記液性が前記所定状態となった場合、当該所定状態となった際の前記混合液が前記分析手段に導かれるように構成されていることを特徴とするフロー分析システム。
【請求項2】
前記流量比変化手段は、前記流量比を変化させるに際し、当該変化幅の可変手段を更に有している、請求項1記載のフロー分析システム。
【請求項3】
前記可変手段は、ある流量比から別の流量比に変化させる場合の当該変化幅を、前記ある流量比における前記液性の測定結果に基づき決定する、請求項2記載のフロー分析システム。
【請求項4】
前記可変手段は、ある流量比から別の流量比に変化させる場合の当該変化幅を、前回の変化幅よりも小さく設定すると共に、前記ある流量比における前記液性の測定結果に基づき、前記流量比を当該変化幅分前記プラス方向に変化させるか前記マイナス方向に変化させるかを決定する、請求項3記載のフロー分析システム。
【請求項5】
フローインジェクション分析システムである、請求項1〜4のいずれか一項記載のフロー分析システム。
【請求項6】
前記前処理が中和処理である、請求項1〜5のいずれか一項記載のフロー分析システム。
【請求項7】
前記液性測定手段で測定される前記液性がpHである、請求項6記載のフロー分析システム。
【請求項8】
前記分析が、分析対象液中の微量成分の分析である、請求項1〜7のいずれか一項記載のフロー分析システム。
【請求項9】
分析に先立ち分析対象液に前処理液を添加することにより当該分析対象液を前処理するための前処理手段と、前記前処理手段により前処理された前記分析対象液を分析するための分析手段とを備えた、分析対象液中の所定成分を分析可能なフロー分析システムにおいて、
前記前処理手段により前処理された前記分析対象液の液性を測定する液性測定手段を更に有すると共に、当該液性測定手段が、前記前処理された前記分析対象液が前記前処理手段から前記分析手段に導かれるラインの外に配置されている
ことを特徴とするフロー分析システム。
【請求項10】
フローインジェクション分析システムである、請求項9記載のフロー分析システム。
【請求項11】
前記前処理が中和処理である、請求項9又は10記載のフロー分析システム。
【請求項12】
前記液性測定手段で測定される前記液性がpHである、請求項11記載のフロー分析システム。
【請求項13】
前記分析が、分析対象液中の微量成分の分析である、請求項9〜12のいずれか一項記載のフロー分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−164291(P2008−164291A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350468(P2006−350468)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(501210065)株式会社フィアモ (8)
【Fターム(参考)】