説明

口腔内速崩錠の製造方法

【課題】従来から存する通常の医薬品製造設備をそのまま使用して、薬物の苦味をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠を製造できる方法を提供すること。
【解決手段】顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含む混合物を用いて顆粒とし、この顆粒を熱処理した後、この顆粒表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で粉末コーティングして、このコーティング顆粒を熱処理し、このコーティング顆粒に崩壊剤、賦形剤を配合し、滑沢剤を加えて打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の設備で優れた口腔内速崩錠を製造する方法に関し、さらに詳しくは、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の経口剤を服用することが困難な高齢者および小児などの患者が容易に服用できる剤形としての口腔内速崩壊錠は、錠剤を水なしで飲めるというメリットがある。従って、生活慣習病などの患者の服用コンプライアンスの向上につながる。
【0003】
しかしながら、口腔内速崩錠は、苦味を有する薬物では製剤的工夫を加えてコンプライアンスを高める必要がある。
【0004】
一般的に、苦味を有する薬物のマスキング方法としては、薬物を水不溶性高分子と共に噴霧乾燥し、このマトリックス粒子を含む口腔内速崩壊錠の製造法(Pharm.Tech.Japan,第22巻、第3号、51頁、2006年)があり、また、苦味を有する薬物を胃溶性高分子と共に、造粒して製した苦味を抑制した顆粒に、賦形薬等を加えた口腔内速崩壊錠の製造法(Chem.Pharm.Bull,第47巻、第10号、1451頁、1999年)がある。
【0005】
特許文献1には、低融点/水難性高分子/崩壊剤/薬物をエタノールで造粒、乾燥し、これを流動層乾燥機で60〜70℃で1時間流動により加熱処理し、さらにステアリン酸マグネシウムを添加し、混合して粒剤を得る粒剤の製造方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1のものにおいては、粒剤を用いて、口腔内速崩壊錠とした時、苦味の十分なマスキングと、30分後での錠剤からの速やかな薬物の放出を期待することはできない。
また、水膨潤性物質を多量に配合しているので、錠剤を製した場合、その摩損度が低下し、錠剤の破損等を生じる等の問題がある。
また、粒剤としても、苦味を有する水に溶け易い薬物に対するマスキング効果についての記載はない。
【0007】
特許文献2には、エチルセルロース(EC)等を含有する混合物を攪拌造粒機でECを溶解するイソプロピルアルコールを噴霧・造粒・乾燥し、散剤とする製造方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、この特許文献2のものにおいては、特許文献1と同じように、この散粒用いて、口腔内速崩壊錠とした時、苦味の十分なマスキングと、30分後での錠剤からの速やかな薬物の放出を期待することはできない。また、散剤としても、苦味を有する水に溶け易い薬物に対するマスキング効果についての記載はない。
【0009】
特許文献3には、薬物およびL−HPCを含む粉体をエタノールで造粒した核に、EC、水溶性高分子およびSSエステルを含む被覆成分をジクロルメタン分散した液をスパイラフローで噴霧し、得られた散剤に関する技術事項が開示されている。
【0010】
しかしながら、この特許文献3に記載のものは、核を被覆するのに特別な装置を必要とする。
【0011】
特許文献4には、苦味を有するマレイン酸トリメブチンが水不溶性高分子を結合剤に造粒し、または、さらにステアリン酸マグネシウム等の撥水性塩を配合してなる苦味隠蔽製剤についての技術事項が開示されている。
【0012】
しかしながら、この特許文献4のものにおいては、苦味を有するマレイン酸トリメブチンに糖アルコールを加え、水不溶性高分子のエタノール溶液で造粒し、顆粒剤としているが、この顆粒を用いて口腔内速崩錠とした時、苦味の十分なマスキングは期待できない。さらに、顆粒成分として、マスキングの増強を目的に、撥水性塩を多量に添加しているが、錠剤を製した場合は、キャッピング等が生じるなどの打錠障害、また、服用後の製剤からの薬物の溶出に問題がある。
【0013】
また、特許文献5には、不快な風味を有する薬剤およびステビアを配合した口腔内溶解型固形剤に関する技術事項が開示されている。
【0014】
しかしながら、この特許文献5のものにおいては、甘味剤による苦味のマスキングでは、マスキング効果が十分なものでなく、また、服用後、口腔内に不快な味が残り、また、甘味剤ステビアでは、特異なにおいの問題がある。
【0015】
また、特許文献6には、苦味を有する医薬成分と、精油並びに高甘味度剤および/または酸性リン脂肪若しくはそのリゾ体からなる苦味低減成分を含有する口腔内速崩錠に関する技術事項が開示されている。
【0016】
しかしながら、この特許文献6のものにおいては、甘味剤を含有した製剤では、服用後、口腔内に不快な味が残る。また、甘味剤アスパルテームは、経時的に製剤の安定性に問題がある。さらに、精油を配合した製剤では、保存中での揮発を防止するために、気密性の高い包装形態を必要とする。
【0017】
また、特許文献7には、水難溶性高分子および可塑剤を含むコーティング剤をコーティングしてなる被覆カフェイン粒子に関する技術事項が開示されている。
【0018】
しかしながら、この特許文献7のものにおいては、有効成分のカフェインの苦味を抑制するためには、カフェイン粒子の表面に、均一に被覆する必要があり、この目的を達成するには、特別なコーティング装置を必要とする。
【特許文献1】特開平02−096516号公報
【特許文献2】特開昭63−150220号公報
【特許文献3】特開平03−130214号公報
【特許文献4】特開平08−40885号公報
【特許文献5】特開平10−101582号公報
【特許文献6】特開2001−72578号公報
【特許文献7】特開2005−343800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする問題点は、従来から存する通常の設備ではなく、特別な製造設備でないと苦味を有する薬物をマスキングした、優れた口腔内速崩錠を製造できないという点である。
【0020】
したがって、本発明の目的は、特別新規な製造設備を要することなく、従来から存する通常の製造設備で、苦味を有する薬物をマスキングした速溶出性の優れた口腔内速崩錠を製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含む混合物を用いて顆粒とし、この顆粒を熱処理した後、この顆粒表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で粉末コーティングして、このコーティング顆粒を熱処理し、このコーティング顆粒に崩壊剤、賦形剤を配合し、滑沢剤を加えて打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠の製造が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0022】
また、本発明者らは、糖類からなる粒子を核として、そこに水に不溶な高分子などを含む溶液または分散液を用いて、苦味を有する薬物、または苦味を有する薬物を含む混合粉体で粉末コーティングし、この粒子表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で二次コーティングし、この二次コーティング粒子を熱処理した後、崩壊剤、賦形剤を配合し、滑沢剤を加えて打錠することにより薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠の製造が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
また、本発明者らは、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含む混合物に結合液を用いて顆粒とし、この顆粒に崩壊剤、賦形剤を配合し、滑沢剤を加えて打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠の製造が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0024】
また、本発明者らは、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含む混合物に結合液を用いて顆粒とし、この顆粒表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で粉末コーティングし、このコーティング粒子に崩壊剤、賦形剤を配合し、滑沢剤を加えて打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠の製造が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
本発明の請求項1に記載の口腔内速崩錠の製造方法は、予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエチルセルロースエタノール溶液を添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒を80℃で1時間・加熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、この放冷した顆粒表面にエチルセルロースエタノールを加え、ここに乳糖およびシュガーエステルの混合物を散布し、粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング顆粒とし、
次いで、このコーティング顆粒を80℃で1時間・加熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、このコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠を得ることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の請求項2に記載の口腔内速崩錠の製造方法は、結晶乳糖を核として、この結晶乳糖の粒子核表面に、エチルセルロースエタノール溶液を加え、ここに予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンを散布して粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング粒子とし、
次いで、前記コーティング粒子の表面にエチルセルロースエタノール溶液を加え、ここにシュガーエステルをかけて二次コーティングした後、乾燥・整粒して二次コーティング粒子とし、
次いで、前記二次コーティング粒子を70℃で4時間・熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、この放冷したコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項3に記載の口腔内速崩錠の製造方法は、予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の請求項4に記載の口腔内速崩錠の製造方法は、予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒表面にエタノールを加え、ここに乳糖およびシュガーエステルの混合物を散布して粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング粒子とし、
次いで、このコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の請求項5に記載の口腔内速崩錠の製造方法は、予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにエチルセルロース、シュガーエステルおよびカルメロースカルシウムを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、特別新規な製造設備を要することなく、従来から存する通常の医薬品製造設備で優れた崩壊性と通常の取り扱いにおいて十分な硬度と耐摩損性を有し、さらに、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠を製造することができる。
【0031】
また、本発明は、口腔内速崩錠に限らず、咀嚼錠等の錠剤、ドライシロップ等の顆粒剤、細粒剤等にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
請求項1に係る発明は、5〜50重量%の顆粒を含有し、その顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含み、この混合物に結合液を用いて顆粒とする。
顆粒成分としての水に不溶な高分子は、薬物に対して5〜60重量%、ワックス状物質は、薬物に対して10〜90重量%で、この顆粒をワックスの融点以上の温度で熱処理し、次いで、この顆粒表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で粉末コーティングする。
この粉末コーティングは、薬物を含む顆粒に対して5〜50重量%で、このコーティング顆粒をワックスの融点以上の温度で熱処理し、次いで、このコーティング顆粒に、1〜30重量%の崩壊剤クロスポビドン、0.1〜5重量%の滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした錠剤とする。
【0033】
請求項2に係る発明は、結晶乳糖を5〜40重量%含有した粒子を核として、そこに水に不溶な高分子などを含む溶液、または分散液を用いて、苦味を有する薬物、または苦味を有する薬物を含む混合粉体で粉末コーティングし、この粉末コーティング粒子の表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で二次コーティングして、薬物を含むコーティング粒子に対して5〜40重量%の二次コーティング粒子とし、この二次コーティング粒子をワックスの融点以上の温度で熱処理した後、1〜30重量%の崩壊剤クロスポビドン、0.1〜5重量%の滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠することにより薬物の苦味成分をマスキングした錠剤とする。
【0034】
請求項3に係る発明は、5〜50重量%の顆粒を含有し、その顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含み、この混合物に結合液を用いて顆粒とする。顆粒成分としての水に不溶な高分子は、薬物に対して5〜60重量%、ワックス状物質は、薬物に対して10〜90重量%で、この顆粒に、1〜30重量%の崩壊剤クロスポビドン、0.1〜5重量%の滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした錠剤とする。
【0035】
請求項4に係る発明は、5〜50重量%の顆粒を含有し、その顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含み、この混合物に結合液を用いて顆粒とする。顆粒成分としての水に不溶な高分子は、薬物に対して5〜60重量%、ワックス状物質は、薬物に対して10〜90重量%で、この顆粒表面に結合液を用いて、ワックス状物質を含む粉体で粉末コーティングする。
この粉末コーティングは、薬物を含む顆粒に対して5〜50重量%で、このコーティング顆粒に、1〜10重量%の崩壊剤クロスポビドン、0.1〜5重量%の滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした錠剤とする。
【0036】
請求項5に係る発明は、5〜50重量%の顆粒を含有し、その顆粒成分として、苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質、崩壊剤を含み、この混合物に結合液を用いて顆粒とする。
顆粒成分としての水に不溶な高分子は、薬物に対して5〜60重量%、ワックス状物質は、薬物に対して10〜90重量%、崩壊剤は10〜90重量%。この顆粒に、1〜30重量%の崩壊剤クロスポビドン、0.1〜5重量%の滑沢剤ステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠することにより、薬物の苦味成分をマスキングした錠剤とする。
【0037】
本発明は、医薬品分野をはじめ、医薬部外品、食品などの分野にも適用することができる。
【0038】
本発明に用いられる水に不溶な高分子、ワックス状物質など、水に不溶な高分子としては、胃溶性高分子、腸溶性高分子を含み、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリビニルアセタールジメチルアミノアセテート(AEA)、ジメチルアミノエチルメタアクリレート−メチルメタアクリレート共重合体(Eudragit E)、ポリメタアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(Eudragit L30D−55)、ジメチルポリシロキサン(シリコーン)、精製セラック、キトサン、ゼインなどが挙げられる。
【0039】
ワックス状物質としては、例えば、ロウ(ミツロウ、カルナウバロウなど)、高級アルコール(セタノールなど)、脂肪酸(ステアリン酸など)、油脂(モノステアリン酸グリセリンなど)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリンステアリン酸エステル)、蔗糖脂肪酸エステル、硬化油などが挙げられる。
【0040】
また、本発明に用いられる崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリーム、部分アルファー化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。
【0041】
また、本発明に用いられる賦形薬としては、例えば、乳糖、結晶セルロース、マルチトール、マンニトール、沈降炭酸カルシウム、ノイシリンなどが挙げられる。
【0042】
また、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、蔗糖脂肪酸エステル、タルクなどが挙げられる。
【0043】
本発明の錠剤には、必要に応じて、流動化剤、例えば、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウムなど、着色剤、香料、安定化剤を配合いることができる。
【0044】
本発明に用いられる苦味を有する薬物と水に不溶な高分子、ワックス状物質を含む顆粒の含量は、5〜50重量%で、好ましくは10〜40重量%である。
【0045】
また、顆粒成分としての水に不溶な高分子は、薬物に対して5〜60重量%、好ましくは、10〜50重量%である。
【0046】
本発明に用いられる糖類から成る粒子(核)の含有量は、錠剤全体に対し5〜40重量%であるが、好ましくは、5〜20重量%である。
【0047】
また、二次粉末コーティングは、薬物を含むコーティング粒子に対して、5〜50重量%、好ましくは、10〜40重量%である。
【0048】
また、ワックス状物質は、薬物に対して、10〜90重量%、好ましくは、20〜80重量%である。
【0049】
また、粉末コーティングは、薬物を含む顆粒に対して、5〜50重量%、好ましくは、10〜40重量%である。
【0050】
また、崩壊剤の含有量は、1〜30重量%で、好ましくは、1〜10重量%である。
【0051】
また、本発明に用いられる滑沢剤の含有量は、0.1〜5重量%で、好ましくは、0.1〜1重量%である。
【0052】
本発明における滑沢剤の添加方法は、従来行われている打錠用粉体に配合し、混合する内部滑沢法、または、打錠機に装着された杵、臼に滑沢剤を塗付する外部滑沢法のいずれの方法でもよい。
【0053】
本発明における錠剤の硬度は2kp以上、好ましくは、3kp以上で製することにより、錠剤の摩損度0.5%以下で、錠剤服用時の薬物の溶出による不快な味がマスキングされ、その後、速やかに錠剤が崩壊する口腔内速崩錠が得られる。
【0054】
本発明の錠剤には、用途に応じて苦味を有する種々の成分を配合することができる。
【0055】
この苦味を有する薬物などとしては、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、カフェイン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸ブチルスコポラミン、塩酸キニーネ、硫酸キニーネ、クエン酸カルベタペンタン、塩酸ベルベリン、塩酸ノスカピン、塩酸パパベリン、タンニン、フルフェナム酸、シメチジン、アミノフィリン、パルプロ酸ナトリウム、ジギトキシン、スルピリン、スピロノラクトン、塩酸ピレンゼピン、塩酸プロプラノロール、塩酸プロメタジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、ジョサマイシン、フェノバルビタール、塩酸ジルチアゼム、ウルソ、パントテン酸カルシウム、オウレン、ゲンチアナ、センブリ、イチョウ、クロレラ、ギムネマ酸、アロエ等が挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下、請求項1に係る発明を実施例1とし、請求項2に係る発明を実施例2とし、請求項3に係る発明を実施例3とし、請求項4に係る発明を実施例4とし、請求項5に係る発明を実施例5として、それぞれに比較例と検討例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記のそれぞれの実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)(固形分2.1g)のエタノール溶液を添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒し、顆粒とする。
次いで、この顆粒を80℃で、1時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
次いで、この顆粒表面に、エチルセルロース(固形分0.18g)のエタノール溶液を加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して顆粒コーティングした後、乾燥・整粒し、コーティング顆粒とする。このコーティング顆粒を80℃で、1時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
次いで、このコーティング顆粒に造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)82.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)192.5g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)15gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)87gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.5gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩壊錠を得た。
【0058】
実施例2
結晶乳糖25gを核として、この核の表面にエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)(固形分0.24g)のエタノール溶液を加え、ここに予め塩酸ピリドキシン39.8gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.2gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンを散布する。この操作を12回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥・整粒し、コーティング粒子とする。
次いで、このコーティング粒子の表面にエチルセルロース(固形分0.165g)のエタノール溶液を加え、ここにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)15gを散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥・整粒し、二次コーティング粒子とする。
次いで、この粒子を70℃で、4時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
次いで、この二次コーティング粒子に造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)66g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)154g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)12gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)88gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.2gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩壊錠を得た。
【0059】
実施例3
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒に造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)82.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)192.5g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)15gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)110gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.5gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩壊錠を得た。
【0060】
実施例4
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面にエタノール溶液18gを加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
次いで、このコーティング顆粒に造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)82.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)192.5g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)15gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)87gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.5gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩壊錠を得た。
【0061】
実施例5
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:カルメロースカルシウム(ニチリン化学工業、ECG−505)20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール溶液25gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒に造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)82.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)192.5g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)15gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)110gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.5gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩壊錠を得た。
【0062】
比較例1
予め塩酸ピリドキシン39.8gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.2gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖40g、造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)66g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)154g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)12gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)88gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物にエタノール207gを添加し、練合する。この練合物を造粒し、乾燥後、整粒する。
この造粒物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.2gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの口腔内速崩壊錠を得た。
【0063】
比較例2
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖50gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0064】
比較例3
予め塩酸ピリドキシン39.8gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.2gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖40g、造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)66g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)154g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)12gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)88gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物にエタノール207gを添加し、練合する。この練合物を造粒し、乾燥後、整粒する。
この造粒物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.2gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの口腔内速崩壊錠を得た。
【0065】
比較例4
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖50gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒し、乾燥、整粒して顆粒とする。
【0066】
比較例5
予め塩酸ピリドキシン39.8gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.2gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖40g、造粒乳糖(旭化成ケミカルズ、商品名:スーパータブ)66g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ、商品名:セオラス(登録商標)PH−102)154g、クロスポビドン(BASFジャパン、商品名:コリドンCL)12gおよびマルチトール(三菱商事フードテック、商品名:粉末マルチトールG3)88gのそれぞれを混合機に投入し、混合して均一な混合物とする。
この混合物にエタノール207gを添加し、練合する。この練合物を造粒し、乾燥後、整粒する。
この造粒物に滑沢剤ステアリン酸マグネシウム1.2gを添加し、混合し、打錠機により製錠して直形8mm、錠剤重量200mgの口腔内速崩壊錠を得た。
【0067】
検討例1
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)(固形分2.1g)のエタノール溶液を添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒し、顆粒とする。
次いで、この顆粒を80℃で、1時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
次いで、この顆粒表面に、エチルセルロース(固形分0.18g)のエタノール溶液を加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して顆粒コーティングした後、乾燥・整粒し、コーティング顆粒とする。このコーティング顆粒を80℃で、1時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
【0068】
検討例2
結晶乳糖25gを核として、この核の表面にエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)(固形分0.24g)のエタノール溶液を加え、ここに予め塩酸ピリドキシン39.8gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.2gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンを散布する。この操作を12回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥・整粒し、コーティング粒子とする。
次いで、コーティング粒子表面にエチルセルロース(固形分0.165g)のエタノール溶液を加え、ここにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)15gを散布する。この操作を9回繰り返し粉末コーティングした後、乾燥・整粒し、コーティング粒子とする。
次いで、このコーティング粒子を70℃で、4時間・熱処理し、整粒した後、室温で放冷する。
【0069】
検討例3
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンに乳糖50gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒し、顆粒とする。
【0070】
検討例4
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)50gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒し、顆粒とする。
【0071】
検討例5
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび乳糖40gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0072】
検討例6
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール35g(添加量100%)を添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0073】
検討例7
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)30gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)20gを混合し、次いで、この混合物にエタノール35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0074】
検討例8
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合し、次いで、この混合物に50%エタノール水溶液35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0075】
検討例9
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物に水35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0076】
検討例10
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物に75%エタノール水溶液35gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0077】
検討例11
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール17g(添加量50%)を添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0078】
検討例12
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール43g(添加量125%)を添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0079】
検討例13
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26g(添加量75%)を添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0080】
検討例14
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、水18gを加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0081】
検討例15
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、50%エタノール水溶液18gを加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0082】
検討例16
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、エタノール18gを加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0083】
検討例17
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、75%エタノール水溶液18gを加え、ここに乳糖15.3gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)7.7gの混合物を散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0084】
検討例18
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、エタノール18gを加え、ここに乳糖23gを散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0085】
検討例19
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、エタノール18gを加え、ここに乳糖11.5gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)11.5gを散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0086】
検討例20
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、エタノール18gを加え、ここに乳糖7.7gおよびシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)15.3gを散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0087】
検討例21
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
次いで、この顆粒表面に、エタノール18gを加え、ここにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)23gを散布する。この操作を9回繰り返して粉末コーティングした後、乾燥し、コーティング顆粒とする。
【0088】
検討例22
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)40gおよびエチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0089】
検討例23
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:カルメロースカルシウム(ニチリン化学工業、ECG−505)20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール25gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0090】
検討例24
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:デンプングリコール酸ナトリウム(DMV、Primojel(登録商標))20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール24gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0091】
検討例25
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学、L−HPC)20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール28gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0092】
検討例26
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:クロスカルメロースナトリウム(旭化成ケミカルズ、キッコレート(登録商標))20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール26gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0093】
検討例27
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:カルメロース(ニチリン化学工業、NS−300)20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール29gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0094】
検討例28
予め塩酸ピリドキシン49.75gに軽質無水ケイ酸(日本アエロジル、商品名:アエロジル(登録商標)200)0.25gを添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステル(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエステルS−370F)20g、エチルセルロース(ダウケミカル、商品名:エトセルFP)10gおよび崩壊剤:クロスポビドン(BASFジャパン、コリドンCL)20gを混合した後、次いで、この混合物にエタノール53gを添加し、練合・造粒し、この造粒物を乾燥・整粒して顆粒とする。
【0095】
試験例
上記した実施例1〜5および比較例1〜5、検討例1〜28で得られた錠剤について、崩壊度等の物性について測定した。錠剤の崩壊度は、日本薬局方崩壊試験法に従い、水を試験液として行い、6錠の平均値を算出した。錠剤硬度は、錠剤硬度計(エルベェッカ社製、TBH200)を用い、各錠剤10錠の平均値を算出した。また、錠剤摩損度は、日本薬局方錠剤摩損度試験器(富山産業社製、TFT−120)を用い、1分間25回転で4分間回転し、摩損度を測定した。溶出試験は、日本薬局方溶出試験法のパドル法に準拠して行い、パドル回転数100rpmで、試験液に水(37℃)900mlを用い、試料1錠、または、顆粒、コーティング粒子(塩酸ピリドキシン20mg相当量)を、吸光度法(吸光度:291nm)により測定した。苦味の評価(官能試験)および口腔内崩壊時間は健常人5人で各錠剤について、3回の試験結果の平均値を算出した。
官能試験は、服用30秒後に感じる味を、1.まったく苦味を感じない。2.やや苦味を感じる。3.苦味を感じる。4.強い苦味を感じる。の4段階で錠剤の苦味を評価した。
【0096】
その測定結果を以下の表に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
表1〜表3の結果から、顆粒剤の検討例1は、1分の溶出率が10.88%と十分に塩酸ピリドキシンの苦味がマスキングされていた。また、実施例1により得られた口腔内速崩錠では、1分の溶出率が19.39%で、苦味の評価1(まったく苦味を感じない)と塩酸ピリドキシンの苦味はマスキングされている。また、実施例2により得られた口腔内速崩錠では、1分の溶出率が34.16%で、苦味の評価2(やや苦味を感じる)から塩酸ピリドキシンの苦味はマスキングされているが十分ではない。
【0101】
また、実施例1により得られた口腔内速崩錠は、30分後の溶出率は87.75%と、その後、製剤から薬物の速やかな溶出がみられた。一方、比較例1の錠剤は、苦味の評価4(強い苦味を感じる)で、1分後の溶出率が84.13%であった。
【0102】
従って、顆粒の成分として、水に不溶な高分子エチルセルロースおよびシュガーエステルを用い、この顆粒をシュガーエステルの融点以上の温度で熱処理し、さらに、この顆粒にシュガーエステルを含む粉体で粉末コーティングしたコーティング粒子を再度、シュガーエステルの融点以上の温度で熱処理した。このコーティング粒子に賦形薬、崩壊剤等を加えて錠剤とする苦味の薬物をマスキングした実施例1の口腔内速崩錠の製造方法は優れた方法である。
【0103】
一方、乳糖を賦形薬として、常法で錠剤化した場合は、服用時、塩酸ピリドキシンの苦味をマスキングした口腔内速崩錠を製造することは困難であった。
【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
【表6】

【0107】
【表7】

【0108】
【表8】

【0109】
【表9】

【0110】
表4〜表9の結果から、顆粒の成分によるマスキング効果をしらべた検討例3〜検討例7では、検討例5のエチルセルロース、さらに、検討例5にシュガーエステルを加えた検討例6には、著しいマスキング効果がみられた。
【0111】
検討例8〜検討例10は、顆粒の結合液組成のマスキング効果をみた。結合液組成は検討例6の結合液エタノールとした。
【0112】
検討例11〜検討例13では、顆粒の結合液添加量のマスキング効果をしらべた。検討例13の結合液エタノール添加量75%の1分後での溶出率は9.77%と十分なマスキング効果がみられた。
【0113】
検討例14〜検討例17は、顆粒コーティングの結合液組成によるマスキング効果をみた。顆粒コーティングの結合剤組成は検討例16の結合液エタノールとした。
【0114】
検討例18〜検討例21では、顆粒コーティングの成分組成によるマスキング効果をしらべた。顆粒コーティングの成分組成では、検討例16の乳糖:シュガーエステルを2:1とした。
【0115】
実施例3の製造方法により得られた口腔内速崩錠では、検討例3〜検討例13での塩酸ピリドキシンの苦味をマスキングした顆粒剤の検討結果から、検討例13の顆粒を含む錠剤で、1分後の溶出率は11.48%、苦味の評価1(まったく苦味を感じない)と、錠剤としても苦味はマスキングされた。また、この錠剤の崩壊時間は17秒であった。
【0116】
実施例4の製造方法により得られた口腔内速崩錠では、検討例16のコーティング顆粒を含む錠剤では、1分後の溶出率は8.10%で、苦味の評価1(まったく苦味を感じない)と、苦味はマスキングされた。また、この錠剤の崩壊時間は25秒であった。
【0117】
一方、比較例1の錠剤では、苦味の評価4(強い苦味を感じる)で、1分後の溶出率が84.13%であった。従って、顆粒の成分として、水に不溶な高分子エチルセルロースおよびシュガーエステルを用いて顆粒とする。また、さらに、この顆粒に乳糖:シュガーエステルを2:1で粉末コーティングしたコーティング粒子とし、この顆粒、コーティング粒子のそれぞれに賦形薬、崩壊剤を加えて錠剤とする実施例3、実施例4の口腔内速崩錠の製造方法は、苦味の薬物をマスキングした優れた製造方法である。
【0118】
また、一方、乳糖を賦形薬として、常法で錠剤化した場合は、服用時、塩酸ピリドキシンの苦味をマスキングした口腔内速崩錠を製造することは困難であった。
【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
表10において、検討例22〜検討例28では、塩酸ピリドキシンに水に不溶な高分子エチルセルロースおよびシュガーエステルに、それぞれ崩壊剤を添加して、顆粒剤として、その溶出率をしらべた。
【0122】
その結果、崩壊剤カルメロースカルシウムを配合した顆粒の検討例23では、30分後の溶出率が89.96%と、製剤からの速やかな溶出がみられた。
【0123】
実施例5により得られた口腔内速崩錠では、表11に示すように、1分後の溶出率は19.90%で、苦味の評価1(まったく苦味を感じない)から塩酸ピリドキシンの苦味はマスキングされている。また、この錠剤の崩壊時間は12秒であった。
【0124】
一方、比較例1の錠剤は、苦味の評価4(強い苦味を感じる)で、1分後の溶出率が84.13%であった。
【0125】
従って、顆粒の成分として、水に不溶な高分子エチルセルロース、シュガーエステルおよび崩壊剤カルメロースカルシウムを用い、この顆粒に賦形薬、崩壊剤を加えて錠剤とする苦味の薬物をマスキングした口腔内速崩錠の製造方法は優れた方法である。
【0126】
一方、乳糖を賦形薬として、常法で錠剤化した場合は、服用時、塩酸ピリドキシンの苦味をマスキングした口腔内速崩錠を製造することは困難であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエチルセルロースエタノール溶液を添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒を80℃で1時間・加熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、この放冷した顆粒表面にエチルセルロースエタノールを加え、ここに乳糖およびシュガーエステルの混合物を散布し、粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング顆粒とし、
次いで、このコーティング顆粒を80℃で1時間・加熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、このコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした速溶出性の口腔内速崩錠を得ることを特徴とする口腔内速崩錠の製造方法。
【請求項2】
結晶乳糖を核として、この結晶乳糖の粒子核表面に、エチルセルロースエタノール溶液を加え、ここに予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンを散布して粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング粒子とし、
次いで、前記コーティング粒子の表面にエチルセルロースエタノール溶液を加え、ここにシュガーエステルをかけて二次コーティングした後、乾燥・整粒して二次コーティング粒子とし、
次いで、前記二次コーティング粒子を70℃で4時間・熱処理した後、整粒して室温で放冷し、
次いで、この放冷したコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とする口腔内速崩錠の製造方法。
【請求項3】
予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とする口腔内速崩錠の製造方法。
【請求項4】
予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにシュガーエステルおよびエチルセルロースを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒表面にエタノールを加え、ここに乳糖およびシュガーエステルの混合物を散布して粉末コーティングした後、乾燥・整粒してコーティング粒子とし、
次いで、このコーティング粒子に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とする口腔内速崩錠の製造方法。
【請求項5】
予め塩酸ピリドキシンに軽質無水ケイ酸を添加し、混合した改質塩酸ピリドキシンにエチルセルロース、シュガーエステルおよびカルメロースカルシウムを混合し、
次いで、前記混合物にエタノールを添加し、練合・造粒した後、乾燥・整粒して顆粒とし、
次いで、この顆粒に賦形剤、崩壊剤を配合し、混合した後、この混合物に滑沢剤を添加して混合し、
次いで、この混合物を打錠して、薬物の苦味成分をマスキングした口腔内速崩錠を得ることを特徴とする口腔内速崩錠の製造方法。

【公開番号】特開2010−120872(P2010−120872A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295033(P2008−295033)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【特許番号】特許第4257865号(P4257865)
【特許公報発行日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(504008933)秋山錠剤株式会社 (3)
【Fターム(参考)】