説明

水中油型液状組成物

【課題】油分を安定配合した微細な水中油型液状組成物を提供し、該組成物を化粧料に適用した場合、みずみずしくのびの良い使用感をもち、しかも肌効果に優れた化粧料を提供する。
【解決手段】(a)HLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテル、(b)高級アルコール、(c)油剤、(d)水を配合し、その平均乳化滴径が200nm以下である水中油型液状組成物に関するものである。成分(a)と成分(b)の配合質量比率が1:0.3〜1:1であり、かつ成分(a)と成分(b)の合計と成分(c)の配合質量比率が1:0.5〜1:10であること、更に、成分(a)がポリオキシアルキレンフィトステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンフィトスタノールエーテルであること、さらに成分(e)としてリン脂質を含有すること、更にまた、上記記載の水中油型液状組成物を配合することを特徴とする化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時安定性及び使用感に優れた乳化滴が微細な水中油型液状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化化粧料において、乳化滴の微細な乳化技術の開発が近年活発に行なわれている。例えば、特許文献1〜3では、特定の界面活性剤と油性成分、両親媒性物質を含む乳化物を強力な剪断力を有する乳化機を用いることにより乳化滴の微細な乳化化粧料が得られることが開示されている。また、特許文献4にはゲルを形成し得る特定の両親媒性物質及び界面活性剤、油からなる乳化物を強力な剪断力を加え微細化することにより、水相中に存在しゲルを形成する両親媒性物質及び界面活性剤を界面に移行させることで安定化を図るという技術が記載されている。更には、特許文献5では、リン脂質と親水性界面活性剤と液状炭化水素油とエタノールからなる半透明化粧水が開示されている。
【特許文献1】特開2002−12517号公報(第1頁−第6頁)
【特許文献2】特開2001−157835号公報(第1頁−第7頁)
【特許文献3】特開昭02−78432号公報(第1頁−第8頁)
【特許文献4】特開平08−92059号公報(第1頁−第11頁)
【特許文献5】特開昭63−264512号公報(第1頁−第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、強力な剪断力を有する乳化機を用いることを必須とする従来技術では、厳密な剪断力のコントロールを行い粒径をコントロールすることが必須であり、剪断力が不足して粒径がやや大きい場合などには、乳化滴の合一・クリーミングが生じたり、経時的に増粘しやすいために、経時安定性の劣る場合があった。更に、温度による粘度変化が生じやすいため、経時での安定性が悪い場合があった。更に、特許文献1〜4に用いられているような界面活性剤を、目的の粒子径を得るために相当量化粧料に配合すると、使用時ののびが重く、またべたつきが強いため、使用感触をさらに向上させる必要があった。また、特許文献5記載の技術では、配合できる油剤に制限があり、後肌にしっとり感を与える等の油剤の効果が充分ではない場合があった。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は油分を安定配合した微細な水中油型液状組成物を提供することであり、該組成物を化粧料に適用した場合、みずみずしくのびの良い使用感をもち、しかも肌効果に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、両親媒性物である高級アルコールと種々の活性剤の水系での状態を検討した結果、HLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテルが、上記従来から微細乳化に用いられてきた活性剤と異なり、ゲルを形成しないことを見出した。このため、本発明者らは、上記課題として挙げられていたように、水中油型微細乳化においてゲルを形成させた後、厳密な剪断力のコントロールを行って粒径をコントロールする従来技術の問題を解決すべくHLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテルと高級アルコールを用いた水中油型乳化物の検討を行なった。その結果、HLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテルと高級アルコールを用いた乳化滴が微細な水中油型液状組成物は、経時安定性に優れ、その液状組成物を含む化粧料は、化粧料を塗布したときにみずみずしくのびの良い使用感であるにもかかわらず、後肌に十分なしっとり感が得られ、肌効果にも優れる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(d)
(a)HLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテル
(b)高級アルコール
(c)油剤
(d)水
を配合し、その平均乳化滴径が200nm以下であることを特徴とする水中油型液状組成物である。
【0006】
更に、本発明は成分(a)と成分(b)の配合質量比率が1:0.3〜1:1であり、かつ成分(a)と成分(b)の合計と成分(c)の配合質量比率が1:0.5〜1:10であることを特徴とする水中油型液状組成物である。更に、成分(a)がポリオキシアルキレンフィトステロールエーテル/ポリオキシアルキレンフィトスタノールエーテルであることを特徴とする水中油型液状組成物であり、さらに成分(e)としてリン脂質を配合する水中油型液状組成物である。更にまた、上記記載の水中油型液状組成物を配合することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水中油型液状組成物は経時安定性に優れるばかりでなく、使用感が良好で保湿などのスキンケア効果に優れるものである。このため、水中油型液状組成物を化粧料に適用した場合、化粧料を塗布したときにみずみずしくのびのよい使用感であるにもかかわらず、後肌に十分なしっとり感が得られ、肌効果にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳述する。本発明に用いられる成分(a)のHLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテルは、本発明においては乳化剤として用いられ、成分(b)とともに安定な微細乳化液状組成物を得るためには、必須の成分である。更に、化粧料に配合した場合、べたつきが少ない、みずみずしい使用感が得られる。
【0009】
ポリオキシアルキレンステロールエーテルは、ステロールにアルキレンオキサイドを付加させたものである。ポリオキシアルキレンステロールエーテルのステロール部分の構造としては、コレステロール、ラノステロール、シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の他、これらを水素付加又は水付加した誘導体をあげることができる。これらステロールの内、シトステロール以下は植物から主として得られ、混合物は一般的にフィトステロールと称される。このようにステロール類は構造として単一である必要はなく混合物であってもよい。また上記ステロールの他、羊毛脂から得られ、コレステロールやラノステロールを主成分とするラノリンアルコール又はその水素付加物であってもよい。さらに動植物やバクテリア等から得られるものであってもよい。中でも、経時安定性の観点から、ポリオキシアルキレンフィトステロールエーテル又はポリオキシアルキレンフィトスタノールエーテルが好ましい。
【0010】
ステロールに付加させるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エチレン・プロピレンオキサイド等が挙げられる。その付加モル数は、界面活性剤としてのHLBが14〜20になるものを選択する。具体的には、例えばステロール部がコレステロール、フィトステロールを主体とする場合には、エチレンオキサイドの付加モル数が20〜50モル程度がこれに相当する。中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加物が、経時安定性が良好なものとなるので、好ましい。本発明では、これらの活性剤を一種又は二種以上組み合わせて使用する。この様な界面活性剤は、具体的には例えばニッコール BPS−20、ニッコール BPS−25、ニッコールBPS−30(以上日光ケミカルズ株式会社製)、ベルポールDC−30(日本精化株式会社製)、SUNBRIGHT CS−010、SUNBRIGHT CS−020、SUNBRIGHT CS−050(以上日本油脂株式会社製)などが市販品の例として挙げられる。
【0011】
ポリオキシアルキレンステロールエーテルの本組成物中の配合量は、0.05〜10質量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、更に好ましくは0.1〜5%である。この範囲で配合すると、微細な水中油型乳化組成物の経時安定性が良好で、また化粧料に使用した場合には使用感や皮膚への安全性に優れたものとなる。
【0012】
本発明で用いられる成分(b)高級アルコールは成分(a)とともに、水中油型の乳化滴界面を強化し安定性を向上する目的のために用いられる。
本発明で用いられる成分(b)の高級アルコールとは、炭素数6〜40の直鎖の飽和アルコール、側鎖を有する飽和アルコール、直鎖の不飽和アルコール、側鎖を有する不飽和アルコール、水酸基が複数のアルコールである。具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール等を挙げることができる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、炭素数16以上の高級アルコールが経時安定性の観点から、好ましい。
【0013】
成分(b)の好ましい配合量は、(a)に対しての配合質量比率が0.3〜1でありことが好ましい。この範囲であれば、経時安定性が優れた微細な水中油型液状組成物が得られる。
【0014】
本発明で用いられる成分(c)の油剤は、水中油型の乳化剤型を構成する上で必須の成分であり、油分は肌を柔軟にし後肌のしっとり感を付与するために用いられる。
【0015】
本発明で用いられる成分(c)の油剤としては、化粧品一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、親油性界面活性剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の植物油類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モクロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等の親油性界面活性剤類、パラアミノ安息香酸エチル、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等の油溶性紫外線吸収剤類、等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
成分(a)と成分(b)の合計と成分(c)の配合質量比率が1:0.5〜1:10であることがより好ましい。この範囲であれば、水中油型液状組成物の経時安定性に優れ、また肌に使用した場合に肌効果が十分なものとなる。
【0017】
本発明で用いられる成分(d)の水は、水中油型の乳化剤型を構成する上で必須の成分であり、使用時及び使用後にみずみずしい感触を付与する。成分(d)の水の配合量は特に限定されず適宜、他の成分量に応じて配合する事が出来る。
【0018】
本発明において、さらにリン脂質を配合すると、経時安定性が更に良好なものとなる。
【0019】
本発明で用いられる成分(e)のリン脂質の例としては、レシチン、ホスフアチジルエタノールアミン、ホスフアチジン酸、ホスフアチジルイノシトール、ホスフアチジルセリン、ホスフアチジルコリン、ホスフアチジルグリセロール、スフインゴミエリン、カルジオリピン等を挙げることができる。さらに、これらに常法に従い水素添加したものが挙げられる。特に大豆レシチン、卵黄レシチン、コーンレチシン、綿実油レシチン、ナタネレシチン等を水素添加した水素添加天然レシチンが好適に使用される。
【0020】
また、成分(a)と成分(e)の配合質量比率が1:0.2〜1:1.5であることが、経時安定性の観点から、より好ましい。
【0021】
本発明の水中油型液状組成物の粒子径は200nmで以下である。この範囲であれば、クリーミングが生ずることが少なく、経時安定性が良好である。
【0022】
本発明において、乳化滴径は、Beckman Coulter N5 Particle Analyzerを用い、動的光散乱法により、調製した水中油型液状組成物を水で希釈し、平均粒径を測定した。
【0023】
なお、本願発明の微細な水中油型組成物でいう「液状」とは、30℃の粘度がブルックフィールド型回転粘度計による測定値で1〜2000mPa・sであるものを指す。
【0024】
本発明の水中油型乳化液状組成物は、ホモミキサー、ディスパーミキサーなどを用いて分散乳化、転相乳化、ゲル乳化、液晶乳化、D相乳化、PIT乳化などの一般に知られた手法にて調製可能である。また、前記必須成分を有する混合分散液をホモミキサーよりも強力な剪断力をかけられる乳化機、例えばマントンゴウリン、フレンチプレス、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、超音波乳化機など、強力な剪断力で処理することによっても、調製可能である。
【0025】
本発明が従来の微細乳化に用いられてきた界面活性剤とどのような相違があるのかを検討するために、(a)ポリオキシアルキレンステロールエーテルと(b)高級アルコールが水系でどのような構造を成しているかの検討を行なった。方法は、80℃において、各種界面活性剤と高級アルコールであるセタノールと水を加熱混合し、室温(25℃)まで放置冷却した。試験結果を表1に示す。表1に示すように、他のHLBが同程度の界面活性剤とは異なり、ポリオキシアルキレンステロールエーテルと高級アルコールの組合せではゲル(αゲル)が形成されないことがわかる。通常、高級アルコール等の両親媒物質と界面活性剤は水相中にαゲルと呼ばれる状態を形成するが、これを高圧剪断乳化機等を用いて乳化滴を微細にして界面積を増大させ、両親媒物質と界面活性剤を油水界面に配向させることにより、従来は微細エマルションの安定化を図っていた。しかし、ポリオキシアルキレンステロールエーテルと高級アルコールの組合せでは、水中において元々ゲルを形成しないことから、より界面に効率的に配向し、乳化滴の界面積を厳密にコントロールしなくても、液状で安定な微細乳化物を形成していると考えられる。
【0026】
【表1】

【0027】
本発明の微細な水中油型液状組成物は、上記の必須成分の他に水溶性高分子、一価又は多価アルコール類、水性成分、界面活性剤、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0028】
本発明の微細な水中油型液状組成物は、塗布したときにみずみずしくのびのよい使用感であるにもかかわらず、後肌に十分なしっとり感が得られ、肌効果にも優れるため、水中油型液状組成物を化粧料に配合すると、本発明の効果が顕著に発揮されるため、より好ましい。
【0029】
本発明の水中油型液状組成物を化粧料に配合する場合、配合量は5%〜90%が好ましい。この範囲であれば、化粧料を塗布したときにみずみずしくのびのよい使用感で、後肌に十分なしっとり感が得られ、肌効果にも優れる。
【0030】
化粧料に水中油型液状組成物を配合する場合、微細な水中油型液状組成物にその特性を損なわない範囲において水溶性高分子などを追加配合して粘性を付与したり、また美容剤や保湿剤等を含む水系に分散することができる。また、上記した必須成分の他に通常の化粧料に使用される成分、例えば、水溶性高分子、アルコール類、水性成分、界面活性剤、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美白や抗酸化等を目的とした美容剤、防腐剤、香料、清涼剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0031】
美白剤としては、アルブチン、ビタミンC及びその誘導体、サンザシ抽出物、インチンコウ(カワラヨモギ)抽出物、カンゾウ抽出物、クララ(クジン)抽出物、コムギ抽出物、サイシン抽出物、コメ及びコメヌカ抽出物、ブラックカラント抽出物、イブキトラノオ抽出物、ノイバラ(エイジツ)抽出物、エゾウコギ抽出物、ソウハクヒ抽出物、トウキ抽出物、コーヒー抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物等が挙げられる。
【0032】
抗酸化剤としては、コエンザイムQ10、αリポ酸、ビタミンE及びその誘導体、カロチノイド、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ルチン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、ケイケットウ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、シャクヤク抽出物、スーパーオキサイドディスムターゼ、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、トルメンチラ抽出物、ブドウ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)等が挙げられる。
【0033】
用途としてはローション、乳液、クリーム、美容液、パック等の顔、手足、ボディ用の基礎化粧料、ファンデーション、マスカラ、アイカラー、アイライナー、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料として使用できる。特にローション、乳液、クリーム、美容液、パック等の顔、手足、ボディ用等の基礎化粧料がより顕著に本発明の効果が発揮されるので、好ましい。
【0034】
本願発明は、化粧料において、従来微細な乳化物に安定に配合することが困難であった電解質を配合しても、経時安定性が損なわれることがない点でも有用である。特に、皮膚科学的に肌に有効な美容成分である電解質を配合できる本発明は、スキンケア化粧料において、特に有用である。具体的には、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シスチン、システィン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸及びトリメチルグリシン、N−アセチル−グルタミン酸等のアミノ酸の水溶性誘導体類、ヒドロキシ酢酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、タートロン酸、クエン酸、酒石酸、ピロリドンカルボン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩、グリチルリチン酸ジカリウム、尿素、L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸塩が挙げられる。電解質の配合量は化粧料中、0.1%〜5%であることが、美容効果や経時安定性の点で、より好ましい。
【実施例】
【0035】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜6及び比較例1〜3:水中油型液状組成物
以下の表1及び表2に示す美容液を下記製造方法により調製し、(1)経時安定性、(2)乳化滴径の評価項目について、以下に示す方法により評価・判定し、結果を併せて表2及び表3に示した。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
(製造方法)
A:成分1〜7を75℃で溶解混合する。
B:成分8を70℃に加熱し、Aに添加したのち、70℃に加熱した成分9を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡したのちマイクロフルイダイザーにて処理し、水中油型液状組成物を得た。
【0040】
〔評価項目1:経時安定性の評価方法、判定方法〕
40℃の恒温槽にて、6ヶ月まで放置した試料についての外観変化を、以下の(基準A)に従い判定した。
【0041】
(基準A)
6ヶ月で分離、クリーミングが認められない:◎
6ヶ月で分離は認められないが、若干のクリーミングが認められる:○
1ヶ月で分離、クリーミングが認められる :△
1週間で分離、クリーミングが認められる :×
【0042】
[評価項目2:乳化滴径の測定方法]
表2、3に示す水中油型液状組成物の乳化滴の粒子径は、COULTER N5型(BECKMAN COULTER社製)にて測定した。
【0043】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明品の実施例1〜6の水中油型液状組成物は、比較例1〜3の水中油型液状組成物に比較して、経時安定性に優れたものであった。
一方、成分(b)を配合しない比較例1、成分(a)のHLBが低い比較例2、成分(a)のステロール部がステアリルアルコールである比較例3は、平均粒径が200nm超であり、経時安定性にも劣るものであった。
【0044】
実施例7〜11及び比較例4〜5:水中油型美容液
以下の表4に示す水中油型美容液を下記製造方法により調整し、(1)経時安定性、(2)みずみずしい伸び、(3)後肌のしっとり感、(4)乳化滴径について、経時安定性、及び乳化滴径については上記水中油型液状乳化組成物の実施例と同様に、またその他の評価項目については、以下に示す方法により評価・判定し、結果を併せて表4に示した。
【0045】
【表4】

【0046】
(製造方法)
A:成分1〜5を75℃で溶解混合する。
B:成分6,7を75℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分8を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡したのちマイクロフルイダイザーにて処理して水中油型液状組成物を調製し、成分9〜13を加えて混合し水中油型美容液を得た。
【0047】
〔評価項目(2)みずみずしい伸び、(3)後肌のしっとり感の評価方法、判定方法〕
専門評価パネル20名により、皮膚に塗布した際の使用感(みずみずしいのび、後肌のしっとり感)を下記の(基準B)5段階評価基準にて評価し、さらにその平均点を(基準C)に従い、判定した。
【0048】
(基準B)5段階評価基準
(評価) (評価)
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
(基準C)
(判定) (評点)
◎ :平均点4.5点以上
○ :平均点3.5点以上4.5点未満
△ :平均点2.5点以上3.5点未満
× :平均点2.5点未満
【0049】
表4の結果から明らかなように、本発明品の実施例7〜11の美容液は、平均粒径が200nm以下であり、経時安定性、使用感(みずみずしいのび、後肌のしっとり感)に優れたものであった。一方、成分(a)を配合しない比較例4、成分(b)を配合しない比較例5は、平均粒径が200nmを超えてしまい、経時安定性や使用感にも劣るものであった。
【0050】
実施例12:化粧水
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)フィトステロール(HLB15.5) 0.3
2.ベヘニルアルコール 0.2
3.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
4.水添大豆リン脂質 0.3
5.1,3−ブチレングリコール 8.0
6.グリセリン 8.0
7.テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 1.0
8.精製水 30.0
9.アルコール 5.0
10.テアニン 1.0
11.アセチルグルタミン酸 0.1
12.水酸化ナトリウム 適量
13.精製水 残量
14.香料 0.02
15.ダイズエキス 0.5
【0051】
(製造方法)
A:成分1〜6を80℃で溶解混合する。
B:成分7を80℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分8を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡したのちマイクロフルイダイザーにて処理して水中油型液状組成物を調製し、成分9〜15を加えて混合し化粧水を得た。
【0052】
得られた実施例12の化粧水は、経時安定性、使用感(みずみずしいのび、後肌のしっとり感)に優れたものであった。なお、化粧水の平均乳化滴径は90nmであった。
【0053】
実施例13:不織布含浸タイプパック料
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(25)フィトスタノール(HLB14.5) 1.0
2.ステアリルアルコール 0.2
3.セタノール 0.2
4.水添大豆リン脂質 0.3
5.プロピレングリコール 10.0
6.ジグリセリン 8.0
7.流動パラフィン 1.0
8.メドウフォーム油 0.5
9.マイクロクリスタリンワックス 5.0
10.精製水 1.0
11.エタノール 3.0
12.精製水 残量
13.アスコルビン酸グルコシド 2.0
14.水酸化ナトリウム 適量
15.香料 0.01
【0054】
(製造方法)
A:成分1〜6を80℃で溶解混合する。
B:成分7〜9を80℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分10を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡し、水中油型液状組成物を調製し、成分11〜15を加えて混合した原液を、不織布に含浸させ、不織布含浸タイプパック料を得た。
【0055】
得られた実施例13の不織布含浸タイプパック料は、経時安定性、使用感(みずみずしい使用感、後肌のしっとり感)に優れたものであった。なお、不織布含浸タイプパック料に含浸させた原液の平均乳化滴径は190nmであった。
【0056】
実施例14:美容液
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)フィトステロール(HLB15.5) 0.3
2.ベヘニルアルコール 0.2
3.水添大豆リン脂質 0.3
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.グリセリン 8.0
6.スクワラン 1.0
7.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 0.5
8.精製水 30.0
9.アルコール 5.0
10.αリポ酸 0.2
11.クララエキス 1.0
12.クエン酸 0.1
13.クエン酸ナトリウム 0.2
14.エデト酸二ナトリウム 0.1
15.SIMULGEL EG(注1) 1.0
16.精製水 残量
(注1)アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体(SEPPIC)
【0057】
(製造方法)
A:成分1〜5を80℃で溶解混合する。
B:成分6〜7を80℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分8を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡したのちマイクロフルイダイザーにて処理して水中油型液状組成物を調製し、成分9〜16を加えて混合し美容液を得た。
【0058】
得られた実施例14の美容液は、経時安定性、使用感(みずみずしいのび、後肌のしっとり感)に優れたものであった。なお、化粧水の平均乳化滴径は110nmであった。
【0059】
実施例15:美容液
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(20)フィトステロール(HLB15.5) 0.3
2.ベヘニルアルコール 0.2
3.水添大豆リン脂質 0.3
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.グリセリン 8.0
6.流動パラフィン 0.7
7.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 0.5
8.コエンザイムQ10 0.01
9.精製水 30.0
10.アルコール 5.0
11.アルブチン 3.0
12.クエン酸 0.1
13.クエン酸ナトリウム 0.2
14.エデト酸二ナトリウム 0.1
15.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
16.精製水 残量
【0060】
(製造方法)
A:成分1〜5を80℃で溶解混合する。
B:成分6〜8を80℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分9を加えて乳化した。
C:これを冷却、脱泡したのちマイクロフルイダイザーにて処理して水中油型液状組成物を調製し、成分10〜16を加えて混合し美容液を得た。
【0061】
得られた実施例15の美容液は、経時安定性、使用感(みずみずしいのび、後肌のしっとり感)に優れたものであった。なお、化粧水の平均乳化滴径は110nmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(d)
(a)HLB14〜20のポリオキシアルキレンステロールエーテル
(b)高級アルコール
(c)油剤
(d)水
を配合し、その平均乳化滴径が200nm以下であることを特徴とする水中油型液状組成物。
【請求項2】
成分(a)と成分(b)の配合質量比率が1:0.3〜1:1であり、かつ成分(a)と成分(b)の合計と成分(c)の配合質量比率が1:0.5〜1:10であることを特徴とする請求項1記載の水中油型液状組成物。
【請求項3】
成分(a)がポリオキシアルキレンフィトステロールエーテル及び/又はポリオキシアルキレンフィトスタノールエーテルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型液状組成物。
【請求項4】
さらに成分(e)としてリン脂質を配合する請求項1〜3の何れかに記載の水中油型液状組成物。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載の水中油型液状組成物を配合することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2006−111620(P2006−111620A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267660(P2005−267660)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】