説明

α−ガラクトセラミドアナログ、その製造方法、その方法において有用な中間体化合物、及びそれを含有する医薬組成物

本発明は、α−ガラクトセラミドアナログ、その製造方法、これらの方法において有用な中間体化合物に関する。本発明は、α−ガラクトセラミドアナログを含有する医薬組成物にも関する。本発明の製造方法は、簡単なメタセシス反応によって、α−ガラクトセラミドアナログを合成することができる不飽和中間体化合物の使用を包含する。本発明のα−ガラクトセラミドアナログは、医薬組成物、特に抗癌性を有する医薬組成物の有効成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−ガラクトセラミドアナログ、その製造方法、及びその製造方法において有用な中間体化合物に関する。本発明は、これらのα−ガラクトセラミドアナログを含有する医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
熱帯の海綿であるアゲラスフィン等の海産物由来の糖脂質リガンドは、Tリンパ球の特定の系統である、NKT細胞の活性化因子として記述されている。
【0003】
最近では、NKT細胞が、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、及び幾つかの細菌感染症又はウイルス感染症等の様々な生理病理学的プロセスにおける免疫応答の主要因子であることが示されている。NKT細胞は抗腫瘍防御にも関与すると考えられている。
【0004】
海綿から抽出された糖脂質は、in vivoでの抗腫瘍活性及び免疫調節活性があるため大変興味深い。アゲラス属の海綿から単離したアゲラスフィンは、ネズミのB16黒色腫細胞に対して高い活性を示している。これらすべてのアゲラスフィンは、α−アノマー配置を有する。その毒性は低く、また免疫刺激性が高い。これらのアゲラスフィンは、最初に知られた天然のα−ガラクトセラミドである。
【0005】
1つのα−ガラクトシルセラミドアナログである、KRN7000が合成されており、現在、抗癌薬としての臨床試験が行われている。
【0006】
アゲラス・マウリチアヌス(Agelas mauritianus)海綿から単離された抗腫瘍活性及び免疫刺激活性を有するアゲラスフィンの例は、以下の式:
【0007】
【化1】

【0008】
を有する。
【0009】
現在、臨床試験が行われている合成糖脂質α−ガラクトシルセラミドアナログである、KRN7000は、以下の式:
【0010】
【化2】

【0011】
を有する。
【0012】
上記式から把握することができるように、KRN7000は、セラミドのアシル鎖の2’位にヒドロキシル基が存在しない点で、天然のアゲラスフィンとは異なる。
【0013】
最近の研究により、Th/Thバランスに対する、「切断された(truncated)スフィンゴシン(sphingosin)」を有する化合物、すなわち、種々の長さの脂肪鎖を有する化合物の薬理効果が記述されている。
【0014】
これらの研究によって、このタイプのガラクトセラミドアナログの生物活性に対して影響を有すると考えられる幾つかのパラメータを多少は正確に実証できるようになっている。
【0015】
したがって、これらのガラクトセラミドアナログは、グリコシド結合によってセラミド部分と結合したガラクトシル環を含む分子として記述することができる。KNR7000において、グリコシド結合はO原子である。セラミド部分はアシル鎖とスフィンゴシル残基とを含む。
【0016】
ガラクトシルセラミドアナログの生物活性に関して重要なものとして記述される第1のパラメータは、その立体配置である。実際、α−アノマー配置が活性に必要であると考えられるが、β−アナログも、抗ウイルス感染及び抗マラリア感染等の生物学的標的に対する候補物質である。
【0017】
重要なものとして記述される第2のパラメータは、糖の性質である。2’’位にヒドロキシル基を有するガラクトシル環が最も適切な糖であると考えられる。
【0018】
重要なものとして記述される第3のパラメータは、グリコシド結合である。ガラクトセラミドに天然に存在するアノマー酸素は、生物活性を有する主要な部位の1つである。KRN7000アナログに関して、アノマー酸素を炭素で置換することによって、顕著に、抗癌化合物としての活性が4倍〜100倍高いC−ガラクトシルセラミド化合物を得る研究も幾つか行われている。
【0019】
その重要性について研究されている第4のパラメータは、アシル鎖である。天然の化合物中に元々存在する2’位のヒドロキシルは、標的活性には有用でないことが示されており、KNR7000中には存在しない。しかしながら、このアシル鎖は、蛍光体化合物を繋ぐために修飾してもよく、又は鎖長を変化させることによって改変してもよい。
【0020】
実際、これらすべての研究により、スフィンゴシル残基がおそらく、ガラクトセラミドアナログの活性を有する代表的部分(masterpiece)の1つであることが示されているため、研究は、ガラクトセラミドアナログのこの部分に焦点を当てている。
【0021】
これまでに為された研究によれば、スフィンゴシル鎖の3位及び4位の2つの隣接したヒドロキシル基の存在がヒトモデルでは必須である。例えば、非特許文献1の中で、ヒトモデルで活性を有するためには、スフィンゴシル塩基の4位のヒドロキシル基の存在が必須であることが報告されている。
【0022】
同様に、スフィンゴシル残基の脂肪鎖の長さ、及び不飽和の有無が、生物活性の選択性に大きな影響を与えることが示されている。重要な変形形態は、この脂肪鎖の長さに関する変形形態に由来し得ることも示されている。
【0023】
これらの結果は最近になって、非特許文献2により結晶学的研究で確認されている。
【0024】
この検討では、ヒトCD1d受容体と3位及び2’’位のヒドロキシル基との相互作用が示される。
【0025】
さらに、α−ガラクトシルセラミドアナログに関してこれまでに行われたすべての研究において、α−ガラクトシルセラミドアナログは、最初にセラミド又はスフィンゴシル残基を製造した後、活性化したガラクトシル供与体のα位でグリコシドカップリングを実行することから成る方法によって合成されている。
【0026】
この方法は、糖に組み込む前に修飾する必要がある各スフィンゴシル残基の事前合成を包含する。その後、グリコシドカップリング前又はこのグリコシドカップリング後(ガラクトシルスフィンガニン鎖から出発する)のいずれかでアシル鎖を導入することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Laurent BROSSAY他(and al.)、「Journal of Immunology」5124頁〜5128頁(1998年)で発表された、「最前線:CD1拘束性NKT細胞によるガラクトシルセラミド再結合の構造的要件(Cutting edges: Structural Requirements for Galactosylceramide Recombination by CD1-restricted NKT cells)」と題する論文
【非特許文献2】Koch, M.; Stronge, V. S.; Shepherd, D.; Gadola, S. D.; Mathew, B.; Ritter, G.; Fersht, A. R.; Besra, G. S.; Schmidt, R. R.; Jones, E. Y.; Cerundolo, V. Nat Immunol 2005, 6, 819-826
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
先行技術に存在する固定観念とは対照的に、本発明は第1に、文献のデータがあるにも関わらず、スフィンガニン鎖の4位にヒドロキシル基を有しないα−ガラクトシルセラミドアナログ(KRN7000の4−デオキシアナログ)が、ヒトモデルにおいて優れた生物活性を有する化合物になるという驚くべき発見に基づいており、また、本発明は第2に、エチレン性、すなわち、不飽和化合物を使用してα−ガラクトシルセラミドアナログを製造する方法を提供する。このエチレン性化合物のおかげで、スフィンゴシン鎖を有する広範なα−ガラクトセラミドアナログを、合成又は市販の飽和アルキル鎖のフラグメントとの簡単なメタセシス反応によって合成することができる。
【0029】
本発明の方法を用いることにより、不飽和官能基を有する任意の残基(分枝アルキル鎖、芳香族鎖、複素環鎖、糖...)を、この中間体生成物のアグリコン不飽和鎖の末端に組み込むことができる。
【0030】
こうして、この方法により、異なるグリコシド前駆体からコンビナトリアル(combinatory)ケミストリーによって多数の異なるアナログを製造することができる。
【0031】
したがって、本発明は、以下の式I:
【0032】
【化3】

【0033】
(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
はH、又はイソtertブチルオキシカルボキシ(isotertbutyloxycarboxy)基(Boc)、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、アリルオキシカルボニル基(Aloc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(Teoc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジル基(Troc)、ベンジル基(Bn)、ジフェニルメチル基(Dpm)、トリチル基(Tr)、9−フェニルフルオレニル基(PhFl)、アリル基、p−メトキシベンジル基(PMB)等の保護基であり、好ましくは、Rはイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)であり、
はH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、好ましくは、Rはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)、アセテート基(Ac)であり、より好ましくは、Rはtert−ブチルジフェニルシリル(terbutyldiphenylsilyl)基(TBDPS)であり、
及びRはN,O−アセタール基等の保護基、好ましくはオキサゾリジン基又はオキサゾリン基を一緒に形成することができ、
はH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)等の保護基であり、好ましくは、Rはベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基又はシクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、Rはベンジル基(Bn)であり、
、R及びRは同一であるか、又は異なり、且つH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基又はシクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)であり、
及びRはイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基、メシチルメチレン基、p−メトキシベンジリデン基、メチレン基、ジフェニルメチレン基、イソプロピリデン基又はディスポーク(dispoke)基等のO,O−アセタール基を一緒に形成することができ、且つ
及びRはベンジリデン又はパラメトキシベンジリデン基等のO,O−アセタール基を一緒に形成することができる)
を有する化合物を提供する。
【0034】
この式Iの化合物は、本発明の主題でもある異なるα−ガラクトセラミド化合物を合成する方法の実行を可能にする中間体の1つである。
【0035】
この中間体化合物により、スフィンゴシル残基の3位にヒドロキシル基を1つだけ有するα−ガラクトセラミドアナログ(KRN7000の4−デオキシアナログ)を合成することができる。しかし、このスフィンゴシル残基の3位及び4位の両方にヒドロキシル基を有するα−ガラクトセラミドアナログ(KRN7000のアナログ)も合成することができる。
【0036】
さらに、この式Iの中間体化合物により、O、S、(SO)、(SO)又はNHであり得るグリコシド結合を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造することができる。好ましくは、これらの製造では、式I(式中、R、R、R及びRは保護基、好ましくはベンジル基である)の化合物から出発する。
【0037】
上記式I(式中、XはO、S又はNHである)の化合物を製造する本発明による方法は、
(a)以下の式I−1:
【0038】
【化4】

【0039】
(式中、R、R、R、Rは同一であり、且つベンジル基である)
の化合物を準備する工程と、
(b)式I−1の化合物と、式I−2:
【0040】
【化5】

【0041】
(式中、
XはOH、SH、又はNHであり、
はイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)であり、且つ
はtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)である)
の化合物とをオシド(osidic)カップリングさせる工程と、
を含む。
【0042】
式I−2(式中、RはHである)の化合物を得るために、例えば、テトラブチルアンモニウム(Tetrabultylamonium)フルオリド(TBAF)を用いて脱保護を実行する。
【0043】
式I−2の化合物は、本発明の主題でもある方法によって得ることができる。
【0044】
上記式I−2の化合物を製造する本発明による方法は、
a)BF・OEt等の触媒の存在下、グリシンエチルエステル(glycinethylester)塩酸塩と(+)−(1R,2R,5R)−2−ヒドロキシ−3−ピナノンとをイミノ化反応させる工程と、
b)好ましくはトリイソプロピルオキシチタン等のチタン触媒、及びトリエチルアミンの存在下、工程a)で得られたイミノエステルとアクロレインとを不斉アルドール反応させる工程と、
を含む。
【0045】
式I(式中、XはSである)の化合物を製造する別の強力な方法は、
(a)以下の式I−3:
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、R、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基である)
の化合物を準備する工程と、
(b)式I−3の化合物をNaH、CSで処理し、且つ塩化パラ−ニトロベンゾイルを加えて、1−チオ−パラ−ニトロベンゾイルエステルを得る工程と、
(c)工程(b)で得られたグリコシルエステルを、例えば、ナトリウムメタノラート(MeONa)又は炭酸セシウム又は炭酸カリウムでけん化する工程と、
(d)式I−2:
【0048】
【化7】

【0049】
(式中、
Xは脱離基であり、好ましくは、XはO−メシル基、O−トリフレート基、O−トシル基、Cl基、Br基、又はI基である)
のスフィンゴシル化合物で求核置換する工程と、
を含む。
【0050】
このプロセスでは、工程(c)及び工程(d)を同時に実行する。
【0051】
KRN7000のα−ガラクトセラミドアナログを得るために、式Iの化合物又は本発明の主題でもある他の中間体化合物から出発してもよい。本発明の主題であるこの第2の中間体化合物は、以下の式II:
【0052】
【化8】

【0053】
(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
はH、又はイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、アリルオキシカルボニル基(Aloc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(Teoc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジル基(Troc)、ベンジル基(Bn)、ジフェニルメチル基(Dpm)、トリチル基(Tr)、9−フェニルフルオレニル基(PhFl)、アリル基、p−メトキシベンジル基(PMB)等の保護基であり、好ましくは、Rはイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)であり、
及びRは独立して、H、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基、メシチルメチレン基、p−メトキシベンジリデン基、メチレン基、ジフェニルメチレン基、イソプロピリデン基若しくはディスポーク基等のO,O−アセタール基であり、好ましくは、R及びRはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)、アセテート基(Ac)であり、より好ましくは、R及びRはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)であり、
及びRはN,O−アセタール基等の保護基、好ましくはオキサゾリジン基又はオキサゾリン基を一緒に形成することができ、
はH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)等の保護基であり、好ましくは、Rはベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基又はシクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、Rはベンジル基(Bn)であり、
、R、及びRは同一であるか、又は異なり、且つH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)であり、
及びRは、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基、メシチルメチレン基、p−メトキシベンジリデン基、メチレン基、ジフェニルメチレン基、イソプロピリデン基又はディスポーク基等のO,O−アセタール基を一緒に形成することができ、且つ
及びRはベンジリデン又はパラメトキシベンジリデン基等のO,O−アセタール基を一緒に形成することができる)
を有する化合物である。
【0054】
式Iの化合物と同様に、好ましくは、式IIの化合物から本発明のKRN7000のアナログを製造する場合、R、R、R及びRが保護基、好ましくはベンジル基であり、且つRが保護基、好ましくはBoc基である式IIの化合物から出発する。
【0055】
式IIの化合物を製造するために、本発明は、以下の方法を提供する。
【0056】
上記式Iの化合物から出発する場合、式II(式中、XはO又はNHである)の化合物を製造する本発明の方法は、式I(式中、XはO又はNHである)の化合物を準備する工程と、存在する場合、この化合物のOH基を、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)又はアセテート基(Ac)の中から選択される保護基で保護する工程とを含む。その後、保護された化合物をエポキシ化することにより、以下の式II−1:
【0057】
【化9】

【0058】
(式中、X、R、R、R、R、R及びRは式Iの出発化合物と同様である)
の化合物が得られる。
【0059】
次に、有機アセチレン化合物をこの式II−1の化合物に加えることにより、以下の式II−2:
【0060】
【化10】

【0061】
の化合物を得ることができる。
【0062】
次に、式II−2の化合物を部分的に水素化することにより、式II(式中、RはHである)の化合物が得られる。最後に、必要に応じて、「有機合成における保護基(Protection Groups in Organic Synthesis)」John Wiley and Sonsに開示されている方法等の当業者に既知の方法によって、この部分水素化後にRを導入することにより、式II(式中、RはHとは異なる)の化合物が得られる。
【0063】
例えば、Rは、TBDPS基又はベンジル基である場合、ジメチルホルムアミド(DMF)中、TBDPSCl又はBnCl、及びイミダゾールを使用して導入することができる。
【0064】
式II(式中、XはSO又はS(O)である)の化合物を製造する本発明の方法は、式Iの化合物(この式Iの化合物中、XはSである)を製造する工程と、仮に存在する場合、この式Iの化合物のOH基を、tert−ブチルジフェニルシリル基又はベンジル基又はアセテート基で保護する工程と、OH基を保護した式Iの化合物のエポキシ化反応及び酸化反応を同時に実行して、酸化度に応じて、以下の式II−1a及び式II−1b:
【0065】
【化11】

【0066】
の化合物を得る工程とを含む。
【0067】
式II−1aの化合物のみを得る場合及び式II−1bの化合物が望まれる場合は、得られた式II−1aの化合物を酸化する補助的な工程を実行する。
【0068】
次に、有機アセチレン化合物を式II−1a又は式II−1bの化合物に加えることにより、それぞれ以下の式II−2a及び式II−2b:
【0069】
【化12】

【0070】
の化合物が得られる。
【0071】
最後に、式II−2a及び式II−2bの化合物を部分的に水素化することにより、式II(式中、XはS(O)又はS(O)である)の化合物が得られる。
【0072】
しかし、式II(式中、XはO、S(O)、S(O)又はNHであり得る)の化合物を製造する別の方法は、
(a)式Iの化合物、又はこの式Iの化合物を得る上記方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)存在する場合、この化合物のOH基を、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)又はアセテート基(Ac)で保護する工程と、
(c)XがO若しくはNHである場合、工程(b)で得られた化合物をエポキシ化し、又はXがS(O)若しくはS(O)である場合、工程(b)で得られた化合物を酸化及びエポキシ化し、それにより以下の式II−1:
【0073】
【化13】

【0074】
の化合物を得る工程と、
(d)式II−1の化合物を、グリニャール反応剤又は他の有機アリル試薬で開環することにより、式IIの化合物を得る工程と、
を含む。
【0075】
式Iの化合物により、所望の生物活性を有するα−ガラクトシルセラミドアナログ、すなわち、KRN7000の4−デオキシアナログ(スフィンゴシル鎖の3位で保護されるか、又は保護されないヒドロキシル基が1つだけ)及びKRN7000のジヒドロキシル化α−ガラクトシルセラミドアナログ(スフィンゴシル鎖の3位及び4位にヒドロキシル基を有し、これらのヒドロキシル基は保護されるか、又は保護されない)を得ることができ、特に短期間で且つ融通の利く合成方法によって、さらに好収率を達成することが可能である。
【0076】
したがって、当該技術分野に存在する固定観念に反して、以下に示すように、生物活性、特に、免疫刺激効果と結果的に抗腫瘍性活性とを有する、KRN7000の4−デオキシアナログは、特に、以下の式III:
【0077】
【化14】

【0078】
(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
21はOH又はF又はNHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、且つ
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、以下の基:
【0079】
【化15】

【0080】
(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜C又はC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【0081】
【化16】

【0082】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
のα−ガラクトシルセラミドアナログである。
【0083】
本発明の特に好ましいα−ガラクトセラミド化合物は、以下の式III−A:
【0084】
【化17】

【0085】
の化合物である。
【0086】
本発明の別の特に好ましい4−デオキシ−α−ガラクトセラミド化合物は、以下の式III−B:
【0087】
【化18】

【0088】
を有する化合物である。
【0089】
本発明のさらに別の特に好ましい4−デオキシ−α−ガラクトセラミド化合物は、以下の式III−C:
【0090】
【化19】

【0091】
の化合物である。
【0092】
しかし、本発明の別の特に好ましい4−デオキシ−α−ガラクトセラミド化合物は、以下の式III−D:
【0093】
【化20】

【0094】
の化合物である。
【0095】
本発明のさらに別の特に好ましい4−デオキシ−α−ガラクトセラミド化合物は、以下の式III−E:
【0096】
【化21】

【0097】
の化合物である。
【0098】
上記式III−A〜式III−Eの化合物に対応するが、R21がF又はNHである化合物も、本発明の特に好ましい化合物である。
【0099】
特に、以下の式III−F1〜式III−G5の化合物が好ましい:
【0100】
【化22】

【0101】
【化23】

【0102】
【化24】

【0103】
【化25】

【0104】
他の好ましい式IIIの化合物は、R11が式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11がH又はアセチル基である化合物である。
【0105】
実際、これらの化合物は細胞膜を通過し、プロアポトーシス性を有する。
【0106】
特に、以下の式III−H1〜式III−K5の化合物が好ましい化合物である:
【0107】
【化26】

【0108】
【化27】

【0109】
【化28】

【0110】
【化29】

【0111】
【化30】

【0112】
これらの化合物を製造する本発明による方法は、既に製造されている式Iの化合物、又は上記されている方法に従って製造する式Iの化合物を使用する方法である。
【0113】
式IIIを有する本発明の4−デオキシ−α−ガラクトセラミドアナログを製造する方法は、
(a)既に製造されている式I(式中、Rは、好ましくはHである)の化合物、又はこの化合物を製造する上記方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)式IIIの化合物において、R21がFである場合、式Iの化合物をフッ素化する工程、又はR21がNHである場合、式Iの化合物を、アジ化ナトリウムの存在下、ルイス酸又はアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)若しくはジエチルアゾカルボキシレート(DEAD)等のミツノブ活性化剤により活性化する工程であって、それにより式Iの化合物のアジドアナログを得る工程と、
(c)この式Iの化合物と、以下の式III−1:
【0114】
【化31】

【0115】
(式中、Rは上記で定義したものである)
のエチレン性化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(d)アミノ基を脱保護する工程と、
(e)工程(d)で得られた化合物を、以下の式III−2:
【0116】
【化32】

【0117】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(f)R、R、R及びRがベンジル保護基である場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によって二重結合及び保護基を除去する工程と、
を含む。
【0118】
この工程で、式III(式中、R11はHであり、且つR21はOHである)の化合物が得られる。
【0119】
式III(式中、R11はHとは異なり、且つR21はOHである)の化合物を得るために、これらの化合物を製造する方法は、工程(a)、工程(c)と、その後の
(f’)スフィンゴシル鎖の3位のアルコールをTBDPSで選択的に保護する工程を含み、次いで、上記の工程(d)、工程(e)、工程(f)と、その後の
(g’)例えば、ピリジン中、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び(4−ジ(メチルアミノ)ピリジン)(DMAP)の存在下、ガラクトシル環のR11基を導入する工程と、
(h’)Rの保護基を除去する工程と、
を実行する。
【0120】
11がHとは異なり、且つR21がNHである場合、工程(a)〜工程(e)と、その後の
(f’)アジド基をアミン基へと選択的に還元する工程と、
(g’)アミン基をBocで保護する工程と、
(h’)ピリジン中、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び4−ジ(メチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下、ガラクトシル環のR11を導入する工程と、
(i’)NH−Boc基を脱保護する工程と、
を実行する。
【0121】
なお、式IIIの化合物を製造する上記方法では、ORと表記するスフィンゴシル鎖の3位に置換基を有する化合物から出発するが、最終生成物における対応する置換基はR21である必要がある。したがって、上記の記述及び特許請求の範囲を含む以下の文章において、「R21が、〜である場合」という用語は、「最終生成物においてR21が、〜である必要がある場合」を意味する。同様に、「R11が、〜である場合」という用語は、「最終生成物においてR11が、〜である必要がある場合」を意味する。
【0122】
式Iの化合物から出発して、本発明は、スフィンゴシル鎖の3位のヒドロキシル基がアセトン(a cetone)基で置き換えられたα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法も提供する。
【0123】
この化合物は、以下の式IV:
【0124】
【化33】

【0125】
(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、
【0126】
【化34】

【0127】
(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜Cアルキル鎖若しくはC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【0128】
【化35】

【0129】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する。
【0130】
これらの式IVのα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法は、
(a)式Iの化合物を準備する工程、又は上記方法によって式Iの化合物を製造する工程と、
(b)この化合物と、以下の式III−1:
【0131】
【化36】

【0132】
(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(c)遷移金属錯体の媒介によりアリルアルコールをケトンへと異性化させる工程と、
(d)アミノ基を脱保護する工程と、
(e)この化合物と、以下の式III−2:
【0133】
【化37】

【0134】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをアミド化反応させる工程と、
(f)保護基を除去する工程と、
を含む。
【0135】
がCHである場合、式IVの化合物は、式IIIの化合物との接触時に、交差メタセシス(methatesis)カップリング反応の副生成物として直接得られる。
【0136】
しかし、既述したように、保護されたか、又は保護されていないヒドロキシル基をスフィンゴシル鎖の3位及び4位の両方に含むα−ガラクトセラミドアナログも、本発明の方法によって製造することができる。
【0137】
より正確には、本発明は、以下の式V:
【0138】
【化38】

【0139】
(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
及びRはHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、C〜Cアルキル鎖及びC13〜C20アルキル鎖であって、
【0140】
【化39】

【0141】
(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等のヘテロアリールを含有してもよく、又はRは以下の式:
【0142】
【化40】

【0143】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法であって、
(a)式IIの化合物、又は本発明の方法によって得られる式IIの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物と、以下の式III−1:
【0144】
【化41】

【0145】
(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(c)アミノ基を脱保護する工程と、
(d)この化合物と、以下の式III−2:
【0146】
【化42】

【0147】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(e)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、式V(式中、R、R及びR11はHである)の化合物を得る工程と、
を含む、方法に関する。
【0148】
しかし、式V(式中、R11はHとは異なり、且つR及びRはHである)の化合物を得るために、工程(c)〜工程(e)は、以下の工程(c’)〜工程(h’):
(c’)R及びRがHである場合、スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを保護する工程と、
(d’)アミノ基を脱保護する工程と、
(e’)この化合物と、以下の式III−2:
【0149】
【化43】

【0150】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(f’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを除去する工程と、
(g’)R11を導入する工程と、
(h’)スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを脱保護する工程と、
で置き換えられる。
【0151】
しかし、式Vの化合物はまた、式I(式中、RはHである)の中間体化合物から出発して製造してもよい。
【0152】
この場合、上記で定義した式Vの化合物を製造する方法は、
(a)式Iの化合物を準備する工程、又は上記方法によって式IIの化合物を製造する工程と、
(b)工程(b)で得られた化合物をエポキシ化して、以下の式II−1:
【0153】
【化44】

【0154】
の化合物を得る工程と、
(c)有機アセチレン化合物を式II−1の化合物に加えて、以下の式II−2:
【0155】
【化45】

【0156】
の化合物を得る工程と、
(d)式II−2の化合物を部分的に水素化する工程と、
(e)この化合物と、以下の式III−1:
【0157】
【化46】

【0158】
(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(f)アミノ基を脱保護する工程と、
(g)この化合物と、以下の式III−2:
【0159】
【化47】

【0160】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(h)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、式V(式中、R、R及びR11はHである)の化合物を得る工程と、
を含む。
【0161】
しかし、式V(R11はHとは異なり、且つR、RはHである)の化合物を得るために、上記の工程(a)〜工程(c)と、その後の
(d’)R及びRがHである場合、スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを保護する工程と、その後の上記の工程(d)〜工程(g)と、その後の
(i’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを除去する工程と、
(j’)R11を導入する工程と、
(k’)スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを脱保護する工程と、
を実行する。
【0162】
明らかに、本発明のさらなる目的は、以下の式V:
【0163】
【化48】

【0164】
(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
21はOH又はF又はNHであり、
はHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、C〜Cアルキル鎖及びC13〜C20アルキル鎖であって、
【0165】
【化49】

【0166】
(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等のヘテロアリールを含有してもよく、
又はRは以下の式:
【0167】
【化50】

【0168】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHであり、
但し、X=Oである場合、RはHではない)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログである。
【0169】
天然α−ガラクトセラミド又は合成α−ガラクトセラミドKRN7000の多数のアナログを非常に容易且つ簡単に製造することを可能とする式I又は式IIの中間体化合物を使用することにより、2つのガラクトシル(galatosyl)分子を含むα−ガラクトセラミド化合物を製造することができる。
【0170】
したがって、本発明のさらなる目的は、以下の式VI:
【0171】
【化51】

【0172】
(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)、NHであり、
は上記で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
14は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基、又は以下の式:
【0173】
【化52】

【0174】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法である。
【0175】
以下の式:
【0176】
【化53】

【0177】
の鎖は、式VIの化合物のアミノ官能基の間に環状化合物を導入するのに特に有用且つ有益である。
【0178】
式VIの化合物の2つのアミノの官能基の間に環状基を有するかかる化合物は、その生物学的潜在性(potentiality)のため、また、不斉触媒(catalysis)又はクリプタンド(l cryptand)錯体のリガンドとして特に興味深い。
【0179】
式VIの化合物を製造する本発明の方法は、
(a)既に製造されている式Iの化合物、又は本発明の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物同士を交差メタセシス反応させる工程と、
(c)アミノ基を脱保護する工程と、
(d)この化合物と、以下の式III−2:
【0180】
【化54】

【0181】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(e)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去する工程であって、式VI(式中、R11はHである)の化合物を得る工程と、
を含む。
【0182】
得られる式VIの化合物が、Hとは異なるR11基を有する必要がある場合、上記の工程(a)及び工程(b)と、その後の以下の工程(c’):
(c’)スフィンゴシル鎖の3位の2つのアルコールを保護する工程と、その後の工程(c)〜工程(d)と、その後の
(d’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを除去する工程と、
(g’)糖部分のR11を導入する工程と、
(h’)スフィンゴシル鎖の3位のアルコールを脱保護する工程と、
を実行する。
【0183】
上記式VIの化合物の範囲内である特に好ましい化合物は、以下の式VI−A:
【0184】
【化55】

【0185】
を有する化合物である。
【0186】
2つのグリコシル糖を有し、且つ式IIの化合物から得られる、すなわち、スフィンゴシル鎖の3位及び4位の両方にヒドロキシル基を有するスフィンゴシル鎖を含む化合物も、本発明の目的である。それらは、以下の式VII:
【0187】
【化56】

【0188】
(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
21はOH又はF又はNHであり、
はHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
14は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基、又は以下の式:
【0189】
【化57】

【0190】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログである。
【0191】
14が天然原子を含有する直鎖又は分枝のC〜C30アルキル鎖である場合、好ましくは、このC〜C30アルキル鎖は、スフィンゴシル鎖の2つのアミノ官能基の間に環状化合物を形成するのに有用である、以下の式:
【0192】
【化58】

【0193】
(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
を有する。
【0194】
最終生成物においてR21がOHである必要がある(R21は以下のORで表記される)式VIIの化合物は、
(a)式IIの化合物を準備する工程、又は本発明の方法によってこの化合物を製造する工程と、
(b)この化合物同士を交差メタセシス反応させる工程と、
(c)アミノ基を脱保護する工程と、
(d)この化合物と、以下の式III−2:
【0195】
【化59】

式III−2
【0196】
(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13はOH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基若しくは塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(e)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、式VII(式中、R11はHである)の化合物を得る工程と、
を含む、方法によって式IIの化合物から直接得ることができる。
【0197】
式VII(式中、R11はHとは異なり、且つR及びRはHである)の化合物を得るために、上記工程(a)と、その後の以下の工程(c’):
(c’)スフィンゴシル基の3位及び4位のアルコールを保護する工程と、
を実行し、次に、
上記の工程(c)〜工程(d)を実行した後、以下の工程(e’)、工程(f’)及び工程(g’):
(e’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを除去する工程と、
(f’)糖部分のR11を導入する工程と、
(g’)3位のアルコールを脱保護する工程と、
を実行する。
【0198】
本発明のすべての製造方法において、保護基の除去は、「有機合成における保護基」John Wiley & Sonsに記載されている方法等の既知の方法によって実行する。
【0199】
例えば、ベンジル基を除去するために、化合物を、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の脱ベンジル化反応に関与しない溶媒中、触媒(例えば、Pd−C、Pd(OH)、PtO等)の存在下、室温で撹拌する。
【0200】
しかし、当業者には明確に想起されるように、式IIの化合物から出発して得ることもできる。
【0201】
式III、式IV、式V、式VI及び式VIIの化合物は、ヒトモデルで生物活性があり、医薬組成物の有効成分として特に有用なものとなっている。したがって、本発明の他の目的は、少なくとも1つの式III〜式VIIの化合物と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物である。
【0202】
同様に、本発明のさらなる目的は、式III〜式VIIの化合物を製造する本発明による工程によって得られる少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体とを含有する、医薬組成物である。
【0203】
添付の図面に言及する以下の記述を解釈することで、本発明はより理解されるとともに、本発明の他の特徴及び利点がより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】a)NKTiのポリクローナル集団単独である、MAD11のNKT、 b)HeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 c)0.1μg/mlの合成対照α−ガラクトシルセラミドKRN7000を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 d)1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 e)1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKTによるIL−4の産生を示す図である。
【図2】a)NKTiのポリクローナル集団単独である、MAD11のNKT、 b)HeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 c)0.1μg/mlの合成対照α−ガラクトシルセラミドKRN7000を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 d)0.1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 e)1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKTによるIFN−γの産生を示す図である。
【図3】a)NKTiのポリクローナル集団単独である、MAD11のNKT、 b)HeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 c)0.1μg/mlの合成対照α−ガラクトシルセラミドKRN7000を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 d)0.1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKT、 e)1μg/mlの本発明の式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1d細胞とインキュベーションした後のMAD11のNKTによるTNF−αの産生を示す図である。
【図4】ポリクローナルMAD11細胞及びモノクローナル非自己反応性19S−3細胞における、0.5μg/ml〜50μg/mlの濃度での、図4中VL335と表記する式III−Aの化合物によるα−TNFの刺激を示す図である。
【図5】ポリクローナルMAD11細胞及びモノクローナル非自己反応性19S−3細胞における、0.5μg/ml〜50μg/mlの濃度での、図5中VL338と表記する式III−Dの化合物によるα−TNFの刺激を示す図である。
【図6】ポリクローナルMAD11細胞及びモノクローナル非自己反応性19S−3細胞における、0.5μg/ml〜50μg/mlの濃度での、図6中VL351と表記する式III−Cの化合物によるα−TNFの刺激を示す図である。
【図7】ポリクローナルMAD11細胞及びモノクローナル非自己反応性19S−3細胞における、0.5μg/ml〜50μg/mlの濃度での、図7中VL367と表記する式III−Dの化合物によるα−TNFの刺激を示す図である。
【図8】PBL細胞に対する、高濃度(10μg/ml、25μg/ml及び50μg/ml)の、図8中335と表記する式III−Aの化合物、図8中338と表記する式III−Bの化合物、図8中351と表記する式III−Cの化合物、図8中367と表記する式III−Dの化合物によるα−TNFの刺激を示す図である。
【図9】対照化合物、すなわち、ロスコビチン、タキソール(登録商標)、ドキソルビシン及びフルオロウラシル(Fluorouracyl)と比較した、3つの腫瘍性細胞に対する、式III−A〜式III−Dの化合物の細胞毒性試験の結果を示す図である。
【図10】多発性骨髄腫細胞に対する、式III−A〜式III−Dの化合物の毒性及び図10中対照と表記するブランクとしての溶媒DMSO単独の毒性を示す図である。
【図11】腫瘍性ナマルバ細胞における、μg/mlの、図11中335と表記する式III−Aの化合物及びGb3によるα−TNFの刺激の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0205】
当然のことながら、以下に示す実施例は決して、記載する特定の実施形態に本発明を限定しない。
【実施例】
【0206】
材料及び方法
通常の方法
水の影響を受ける反応は、火炎乾燥した(flame-dried)ガラス器具内でアルゴン雰囲気下で実施した。すべての溶媒は試薬グレードであった。THFは、アルゴン下でナトリウム/ベンゾフェノンから新たに蒸留した。EtOは、アルゴン下でナトリウムから新たに蒸留した。MeOH及びDCMは、アルゴン下で水素化カルシウムから新たに蒸留した。DMFは、使用前にアルゴン下で蒸留した。
【0207】
融点
融点は、Kofferの加熱システムを備えるRCH(C. Reichert)顕微鏡で測定した。
【0208】
クロマトグラフィ
すべての反応は、薄層クロマトグラフィ(Kie−selgel 60F254 MERCKアルミニウムシート)でモニタリングした。
【0209】
シリカゲル60 ACC 40μm〜63μm(Carbo-erba reactifs−SDS)でフラッシュカラムクロマトグラフィを実施した。
【0210】
旋光度測定
旋光度値は、Naランプ照射下、Perkin Elmerの341旋光計で100mmのセル中で測定した。
【0211】
赤外分光法
IRスペクトルは、BRUCKNERのVector 22分光計を用いて記録した。波数はcm−1で示す。
【0212】
核磁気共鳴分光法
NMRスペクトルは、残留溶媒を内部標準として、300MHz(H)及び75MHz(13C)でBRUCKNERのAvance 300を用いて記録した。カップリング定数はヘルツで表す。シグナルの多重度は、s(一重線(singulet))、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、bs(幅広い一重線)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)...と略記する。
【0213】
実施例1:式Iの化合物の合成:
1)式I−1の2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルフルオリドの合成
【0214】
【化60】

【0215】
式I−3の1,2,3,4,6−ペンタ−O−アセチルガラクトピラノース7の合成
アルゴン下0℃で無水CHCl及びピリジン(60mL/100mL)の混合物に溶解したD−ガラクトース(20g、111mmol、1当量)に、4−ジメチルアミノピリジン(1.34g、11mmol、0.1当量)を加え、無水酢酸(59.8mL、632.7mmol、5.7当量)を滴下した。混合物を24時間加熱還流した。CHClを蒸発させ、粗生成物をCHCl(200mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物(39.0g、90%)を次工程に用いた。
【0216】
【化61】

【0217】
フェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド8の合成
アルゴン下室温でベンゼン(430mL)に溶解した粗生成物7に、チオフェノール(20.4mL、200mmol、2当量)及び四塩化スズ(10.6mL、90mmol、0.9当量)を加えた。溶液を2時間加熱還流した。褐色の混合物を飽和NHCl水溶液(300mL)で中和し、CHCl(150mL)で希釈した。水層をCHCl(3×100mL)で抽出した。集めた有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 60:40)で精製することにより、8を黄色のオイルとして得た(34.5g、78%)。
【0218】
【化62】

【0219】
フェニル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド9の合成
アルゴン下無水MeOH(800mL)に溶解した8(31.7g、72.07mmol、1当量)に、ナトリウムメタノラート(17.3g、302.7mmol、4.2当量)を加えた。1時間撹拌した後、アンバーライトIR 120(300g)を加え、混合物をpH=7まで15分間撹拌した。溶液をアルミナを通して濾過した。ケーキをMeOH(150mL)で洗浄し、有機層を濃縮した。粗生成物を次工程に用いた。
【0220】
【化63】

【0221】
フェニル2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド10の合成
アルゴン下0℃で無水DMF(1500mL)に溶解した粗生成物9(72.1mmol、1当量)に、水素化ナトリウム(10.7g、446.8mmol、6.2当量)を加えた。15分後、臭化ベンジル(54mL、454mmol、6.3当量)及び触媒量のヨウ化カリウムを滴下した。混合物を室温で3時間撹拌し、水(500mL)及びEtO(600mL)で希釈した。水相をEtO(3×300mL)で抽出した。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 90:10)で精製することにより、10を粘稠性のあるシロップとして得た(27.5g、2工程を通じて60%)。
【0222】
【化64】

【0223】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルフルオリド11の合成
アルゴン下−15℃の10(10.0g、15.82mmol、1当量)の無水CHCl(191mL)溶液に、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(3.14mL、23.73mmol、1.5当量)を加え、2分後、N−ブロモスクシンイミド(3.66g、20.57mmol、1.3当量)を加えた。−15℃で30分間撹拌した後、反応物をCHCl(420mL)で希釈し、冷飽和NaHCO水溶液(195mL)に注いだ。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 94:6)で精製することにより、11を粘稠性のあるシロップとして得た(6.3g、73%)。
【0224】
【化65】

【0225】
2)式I−2の(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−ペント−4−エン−1−オールの合成
【0226】
【化66】

【0227】
上記スキームに示すように、エナンチオピュアなスフィンゴシン6が、6工程、合計収率17%で得られる。この合成は、触媒量のBF・OEtを使用する、アンモニアで中和した後のグリシンエチルエステル塩酸塩と、(+)−(1R,2R,5R)−2−ヒドロキシ−3−ピナノンとの間のイミノ化反応で開始する。得られる生成物1は優れた収率で得られる。次に、チタン塩及びトリエチルアミンの存在下でのイミノエステル1とアクロレインとの不斉アルドール反応により、所望のアリルアルコール2が比較的好収率で、且つ98:2超の優れたジアステレオ異性体比で得られる。キラル補助基を酸加水分解した後、アミノ基及びアルコール基をそれぞれ、標準的な条件下、Boc基及びTBDPS基で保護する。こうして、エステル官能基の還元後、標的のスフィンゴシン6が得られる。
【0228】
より正確には、式I−2の化合物は以下のようにして得られる。
【0229】
エチル[1α,2β,5α]−1−[(2−(2R)−ヒドロキシ−2,6,6,−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−3−イリデン)アミノ]エタノエート1
グリシンエチルエステル塩酸塩(16.6g、118.9mmol、2当量)をベンゼン93mLに溶解し、15分間アンモニアガスで中和した。アンモニウム塩を濾過によって除去し、溶液を(+)−(1R,2R,5R)−2−ヒドロキシ−3−ピナノン(10g、59.44mmol、1当量)に加えた。触媒量の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを加え、得られた溶液をディーン・スターク装置で4時間加熱還流した。そのまま処理せずに、ベンゼンを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 50:50)で精製することにより、イミン1を黄色のオイルとして得た(14.2g、94%)。
【0230】
【化67】

【0231】
アルドール反応生成物(aldolisation)2
アルゴン下0℃で無水CHCl(26mL)に溶解したイミノグリシネート1(14.2g、56.01mmol、1.3当量)の溶液に、無水CHCl(42mL)中のクロロチタニウムトリイソプロポキシド(14.60g、56.01mmol、1.3当量)を加えた。無水CHCl(21mL)に溶解したアクロレイン(2.96mL、43.09mmol、1当量)を加えると、色が黄色から橙色へと変化した。最後に、トリエチルアミン(13.2mL、94.80mmol、2.2当量)を加えると、沈殿物が生じた。反応物を0℃で4時間撹拌し、飽和食塩水(brine:ブライン)(300mL)を加えて希釈した。混合物をEtOAc(600mL)及び水(500mL)で希釈し、セライトを通して濾過した。ケーキをEtOAc(2×100mL)で洗浄した。水溶液をEtOAc(2×100mL)で抽出した。集めた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc:50/50)で精製することにより、エチルエステル及びイソプロピルエステルの25/75の比での混合物をオイルとして得た(8.4g、60%)。
【0232】
イソプロピル{1R−[1α,2β,3(2R,3R),5α]}−3−ヒドロキシ−2−[(2−ヒドロキシ−2,6,6,−トリメチルビシクロ(trimethylbicclo)[3.1.1]ヘプト−3−イリデン)アミノ]ペント−4−エノエート
【0233】
【化68】

【0234】
エチル{1R−[1α,2β,3(2R,3R),5α]}−3−ヒドロキシ−2−[(2−ヒドロキシ−2,6,6,−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−3−イリデン)アミノ]ペント−4−エノエート
【0235】
【化69】

【0236】
化合物5の製造
イミン3の酸加水分解
イミン2(8.4g、26.0mmol、1当量)をTHF(46mL)に溶解し、1.0M HCl水溶液(182mL、182mmol、7当量)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。THF及び水を一部蒸発させ、粗生成物をそのまま次工程に用いた。
【0237】
【化70】

【0238】
Boc基4によるアミンの保護
アミン3(26.0mmol)をアルゴン下0℃でDMF(93mL)に溶解した後、DMF(93mL)に溶解したトリエチルアミン(57.9mL、416.5mmol、16当量)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(11.9g、54.7mmol、2.1当量)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した後、水(450mL)を加え、EtO(250mL)で希釈した。水相をEtO(3×100mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を次工程に用いた。
【0239】
【化71】

【0240】
シリル基5によるアルコールの保護
エステル4(26.03mmol)をアルゴン下室温でDMF(73mL)に溶解した後、イミダゾール(4.43g、65.08mmol、2.5当量)及びtert−ブチルジフェニルシリルクロリド(8.59g、31.24mmol、1.2当量)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液(250mL)を加え、EtO(250mL)で希釈した。水相をEtO(2×125mL)で抽出した。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥させ、シリカを通して濾過することにより、過剰のDMFを除去し、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 95:5)で精製することにより、シリル副生成物と5との混合物を得た(11.2g)。
【0241】
【化72】

【0242】
エステル基6の還元
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−ペント−4−エン−1−オール
先の粗混合物をアルゴン下0℃で無水EtO(128mL)に溶解した。この溶液に、蒸留メタノール(2.22mL、54.65mmol、7当量)及びTHF中2Mの水素化ホウ素リチウム(27mL、54.65mmol、7当量)を加えた。反応混合物を24時間かけて室温まで昇温させ、飽和NHCl水溶液(200mL)を加えて希釈し、EtOAc(300mL)で希釈した。水相をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 80:20)で精製することにより、6をシロップとして得た(3.5g、4工程を通じて30%)。
【0243】
【化73】

【0244】
3)式I−1の化合物と上記工程2で得られた式I−2の化合物とのグリコシドカップリング
【0245】
【化74】

【0246】
式I−1及び式−I−2の化合物を、塩化スズ及び過塩素酸銀の存在下、0℃でともに反応させた。このグリコシドカップリングにより、アノマー12とアノマー12βとの混合物を1.6/1の比で得た。これら2つの化合物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィで分離した。TBAFによるTBDPS基の脱保護を異性体12に対して実行することにより、13(式Iの化合物)を得た。
【0247】
より正確には、以下の工程を実行する。
【0248】
(3R,4S)−4−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−3−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)ペント−1−エン−3−オール12
モレキュラーシーブ(30g)を真空下600℃で2時間撹拌し、アルゴン下0℃に置いた。塩化スズ(4.41g、23.24mmol、3当量)及び過塩素酸銀(5.25g、23.24mmol、3当量)を無水THF(54mL)に溶解した。混合物を暗所でアルゴン下0℃で2.5時間撹拌した。無水EtO(84mL)に溶解したスフィンゴシン6(3.53g、7.75mmol、1当量)の溶液に、無水EtO(99mL)に溶解したフルオロ糖11(6.29g、11.61mmol、1.5当量)を加えた。混合物をカニューレによってルイス酸溶液に加えた。得られた溶液を0℃で20分間撹拌した。混合物をセライトを通して濾過し、ケーキをEtOAc(100mL)で洗浄した。有機層を飽和NaHCO水溶液(3×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 92:8)で精製することにより、12をシロップとして得た(2.5g、33%)。
【0249】
【化75】

【0250】
(3R,4S)−4−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ペント−1−エン−4−オール13
室温でTHF(11mL)に溶解した12(2.51g、2.56mmol、1当量)に、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物(2.02g、6.41mmol、2.5当量)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、飽和NaHCO水溶液(30mL)で希釈した。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 65:35)で精製することにより、13を白色の固体として得た(1.6g、85%)。
【0251】
【化76】

【0252】
実施例2:式III−Aの化合物の合成
【0253】
【化77】

【0254】
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプタデカ−4−エン−3−オール14
アルゴン下室温で無水CHCl(4.6mL)に溶解した13(式Iの化合物)(450mg、0.608mmol、1当量)に、テトラデセン(1.6mL、6.08mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(26mg、0.030mmol、0.05当量)を加えた。混合物を17時間加熱還流した。テトラデセン(1.6mL、6.08mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(26mg、0.030mmol、0.05当量)を加え、溶液の撹拌を7時間継続した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 85:15)で精製することにより、14をオイルとして得た(250mg、45%)。
【0255】
【化78】

【0256】
Boc15の脱保護
14(130mg、0.143mmol、1当量)を無水THF(24mL)に溶解し、TLC上で出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0257】
4−p−ニトロフェニルヘキサコサノエート16の製造
アルゴン下室温でCHCl(6mL)に溶解したヘキサコサン酸(200mg、0.50mmol、1当量)に、p−ニトロフェノール(70mg、0.50mmol、1当量)、DCC(104mg、0.50mmol、1当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(6mg、0.05mmol、0.1当量)を加えた。混合物を暗所で16時間撹拌した。反応物をシリカゲルを通して濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/CHCl 75:25)で精製することにより、16を白色の固体として得た(215mg、83%)。
【0258】
【化79】

【0259】
(2S,3R)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプタデカ−4−エン−3−オール17
アルゴン下室温でTHF(5.7mL)に溶解した塩酸塩15(0.143mmol、1当量)に、16(74mg、0.143mmol、1当量)、トリエチルアミン(24μL、0.172mmol、1.2当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を16時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液(10mL)で希釈した。水層をEtO(2×15mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 86:14)で精製することにより、17を白色のオイルとして得た(75mg、2工程を通じて44%)。
【0260】
【化80】

【0261】
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコサノイルアミノヘプタデカン−3−オール18 式III−Aの化合物
室温でMeOH(4.7mL)及びTHF(2.3mL)に溶解した17(64mg、0.054mmol、1当量)に、パラジウム(10%)活性炭(64mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。3.5日後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClの組合せで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH 100:0〜95:5)で精製することにより、白色の固体(30mg、67%)を得た。
【0262】
【化81】

【0263】
実施例3:式III−Bの化合物の合成
【0264】
【化82】

【0265】
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ノン−4−エン−3−オール19
アルゴン下室温で無水CHCl(4mL)に溶解した13(300mg、0.405mmol、1当量)に、ヘキサ−1−エン(502μL、4.05mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(17mg、0.020mmol、0.05当量)を加えた。混合物を24時間加熱還流した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクラマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 80:20)で精製することにより、19を白色の固体として得た(240mg、75%)。
【0266】
【化83】

【0267】
Bocの脱保護20
19(238mg、0.299mmol、1当量)を無水THF(21mL)に溶解し、TLC上で出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0268】
(2S,3R)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ノン−4−エン−3−オール21
アルゴン下室温でTHF(11.9mL)に溶解した塩酸塩20(0.299mmol、1当量)に、16(155mg、0.299mmol、1当量)、トリエチルアミン(50μL、0.359mmol、1.2当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を27時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液(20mL)で希釈した。水層をEtO(2×20mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 78:22)で精製することにより、21を白色のオイルとして得た(185mg、2工程を通じて58%)。
【0269】
【化84】

【0270】
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコサノイルアミノナン−3−オール22:式III−Bの化合物
室温でMeOH(13mL)及びTHF(6.5mL)に溶解した21(162mg、0.151mmol、1当量)に、パラジウム(10%)活性炭(162mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。3日後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClの組合せで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH 95:5〜85:15)で精製することにより、白色の固体を得た(56mg、52%)。
【0271】
【化85】

【0272】
実施例4:式III−Cの化合物の合成
【0273】
【化86】

【0274】
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7,7−ジメチル−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)オクト−4−エン−3−オール23
アルゴン下室温で無水CHCl(5.5mL)に溶解した13(410mg、0.554mmol、1当量)に、4,4−ジメチルペント−1−エン(798μL、5.54mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(24mg、0.028mmol、0.05当量)を加えた。混合物を12時間加熱還流した。4,4−ジメチルペント−1−エン(798μL、5.54mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(24mg、0.028mmol、0.05当量)を加え、溶液の撹拌を12時間継続した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 82:18)で精製することにより、23を白色のオイルとして得た(233mg、52%)。
【0275】
【化87】

【0276】
Bocの脱保護24
23(262mg、0.324mmol、1当量)を無水THF(23mL)に溶解し、TLC上で出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0277】
(2S,3R)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−7,7−ジメチル−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)オクト−4−エン−3−オール25
アルゴン下室温でTHF(13mL)に溶解した塩酸塩24(0.324mmol、1当量)に、16(167mg、0.324mmol、1当量)、トリエチルアミン(54μL、0.389mmol、1.2当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を20時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液(20mL)で希釈した。水層をEtO(2×20mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 80:20)で精製することにより、25を白色のろうとして得た(229mg、2工程を通じて65%)。
【0278】
【化88】

【0279】
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコサノイルアミノ−7,7−ジメチルオクタン−3−オール26−式III−Cの化合物
室温でMeOH(16mL)及びTHF(8mL)に溶解した25(206mg、0.189mmol、1当量)に、パラジウム(10%)活性炭(206mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。3.5日後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClの組合せで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH 99:1〜95:5)で精製することにより、白色の固体を得た(36mg、26%)。
【0280】
【化89】

【0281】
実施例5:式III−Dの化合物の合成
【0282】
【化90】

【0283】
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−フェニル−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプト−4−エン−オール27
アルゴン下室温で無水CHCl(4mL)に溶解した13(300mg、0.405mmol、1当量)に、4−フェニル−ブト−1−エン(608μL、4.05mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(13mg、0.020mmol、0.05当量)を加えた。混合物を24時間加熱還流した。4−フェニル−ブト−1−エン(608μL、4.05mmol、10当量)及びGrubbs II(13mg、0.020mmol、0.05当量)を加え、溶液の撹拌を36時間継続した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 81:19)で精製することにより、27を白色のオイルとして得た(140mg、41%)。
【0284】
【化91】

【0285】
Bocの脱保護28
27(137mg、0.162mmol、1当量)を無水THF(11.5mL)に溶解し、TLC上で出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0286】
(2S,3R)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−7−フェニル−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプト−4−エン−3−オール29
アルゴン下室温でTHF(6.5mL)に溶解した塩酸塩28(0.162mmol、1当量)に、16(84mg、0.162mmol、1当量)、トリエチルアミン(27μL、0.194mmol、1.2当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を16時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液(10mL)で希釈した。水層をEtO(2×10mL)及びCHCl(2×10mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 76:24)で精製することにより、29を白色の粉末として得た(83mg、2工程を通じて46%)。
【0287】
【化92】

【0288】
(2S,3R)−1−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−ヘキサコサノイルアミノ−7−フェニルヘプタン−3−オール30−式III−Dの化合物
室温でMeOH(6mL)及びTHF(3mL)に溶解した29(79mg、0.070mmol、1当量)に、パラジウム(10%)活性炭(40mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。17時間後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClの組合せで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH 99:1〜95:5)で精製することにより、白色の固体を得た(39mg、72%)。
【0289】
【化93】

【0290】
実施例6:式VIの二量体の合成
【0291】
【化94】

【0292】
(2S,3R,6R,7S)−2,7−(ジ−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−1,8−ジ(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)オクト−4−エン−3,6−ジオール31
アルゴン下室温で無水CHCl(1.3mL)に溶解した13(100mg、0.135mmol、1当量)に、Grubbs−Hoveyda II(4mg、0.007mmol、0.05当量)を加えた。混合物を16時間加熱還流した。Grubbs−Hoveyda II(4mg、0.007mmol、0.05当量)を加え、溶液の撹拌を3日間継続した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフフィ(石油エーテル/EtOAc 60:40)で精製することにより、31を褐色のオイルとして得た(61mg、31%)。
【0293】
【化95】

【0294】
Bocの脱保護32
31(125mg、0.086mmol、1当量)を無水THF(12mL)に溶解し、TLC上で出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0295】
(2S,3R,6R,7S)−2,7−(ジ−N−ヘキサコサノイルアミノ)−1,8−ジ(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)オクト−4−エン−3,6−ジオール33
アルゴン下室温でTHF(6.8mL)に溶解した塩酸塩31(0.086mmol、1当量)に、16(89mg、0.172mmol、2当量)、トリエチルアミン(29μL、0.206mmol、2.4当量)及び触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を19時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液(10mL)で希釈した。水層をCHCl(2×15mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH 99:1)で精製することにより、33を白色の粉末として得た(100mg、2工程を通じて58%)。
【0296】
【化96】

【0297】
実施例7:式III−Eの化合物の合成
【0298】
【化97】

【0299】
炭素数5のスフィンゴイド鎖を有するKRN700のアナログ35α(式III−Eの化合物)を、中間体13から3工程で合成した。Boc保護基を除去し、THF還流下、ジメチルアミノピリジン及びトリエチルアミンの存在下、p−ニトロフェニルヘキサコサノエート16でアミノ基をアシル化することにより、ガラクトシルセラミド34αが得られ、これを脱保護することにより、所期のアナログ35αを得た。
【0300】
より正確には、上記化合物は以下のようにして得られる。
【0301】
(3R,4S)−4−(ヘキサコサノイルアミノ)−5−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ペント−1−エン−3−オール34α
【0302】
【化98】

【0303】
誘導体13(129mg、0.174mmol、1.0当量)を無水THF(10mL)に溶解し、出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0304】
アルゴン下室温でTHF(7mL)に溶解した塩酸塩(0.174mmol、1.0当量)に、16(90mg、0.174mmol、1.0当量)、トリエチルアミン(29μL、0.209mmol、1.2当量)及び触媒量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジンを加えた。混合物を14時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液で希釈した。水層をEtOで抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 75:25)で精製することにより、34αを無色の固体として得た(110mg、2工程を通じて66%)。
【0305】
(2S,3R)−2−(ヘキサコサノイルアミノ)−1−(α−D−ガラクトピラノシル)ペンタン−3−オール35α
【0306】
【化99】

【0307】
室温でMeOH(3.3mL)及びTHF(1.6mL)に溶解した化合物34α(60mg、0.059mmol、1.0当量)に、パラジウム(10%)活性炭(40mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。24時間後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH)で精製することにより、35αを得た。
【0308】
実施例8:式III−Aの化合物のフッ素化アナログである化合物III−Fの合成
【0309】
【化100】

【0310】
−78℃でジクロロメタン中DAST(三フッ化ジエチルアミノ硫黄(Diethylaminosulfure))試薬で13(式I)を処理すると、所期の3−フルオロ誘導体36αは収率32%でしか得られず、一緒にオキサゾリジノン37αが収率62%で形成された。室温での同一の反応条件により、3−フルオロ−誘導体36αが反応の主生成物として収率47%で、オキサゾリジノン37αが35%で得られた。
【0311】
フッ素原子の存在は、NMR分析によって証明され(Cに関しては、H3−F=53Hz及びC−F=173Hz、C及びCに関してはそれぞれ、C−F=26Hz及び19Hz)、以下のフッ素化アナログの絶対配置3(R)は、化合物36αに対するX線解析によって固体状態で帰属した。
【0312】
【化101】

【0313】
フッ化誘導体36αを、Grubbs II触媒の存在下、テトラデセンとのメタセシス交差カップリング反応に用いることにより、83%の3−フルオロ−4−デオキシ−α−ガラクトシルスフィンゴイド38αを得た。次に、Boc保護基を脱保護した後、THF還流下、ジメチルアミノピリジン及びトリエチルアミンの存在下でp−ニトロフェニルヘキサコサノエート16でアシル化することにより、フルオロガラクトシルセラミド39αを、3工程を通じて収率28%で得た。39αの接触水素化により、KRN7000の最終3−フルオロ−4−デオキシアナログ40を得た。
【0314】
より正確には、式III−Fの化合物は以下のようにして得た。
【0315】
(3R,4S)−4−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−フルオロ−5−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ペント−1−エン36α
【0316】
【化102】

【0317】
アルゴン下−78℃でCHCl(3mL)に溶解した三フッ化ジエチルアミノ硫黄(59μL、0.54mmol、1.2当量)に、アルコール13(269mg、0.36mmol、1.0当量)を加えた。混合物を10分間撹拌し、飽和NaHCO水溶液(5mL)で希釈した。水層をCHCl(3×5mL)で抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 90:10)で精製することにより、36αを白色の固体として(86mg、32%)、また、オキサゾリジノン37αを無色のオイルとして得た(150mg、62%)。
【0318】
【化103】

【0319】
4−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルメチル)−5−ビニル−1,3−オキサゾリジン−(3H)−2−オン37α
【0320】
【化104】

【0321】
(2S,3R)−2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−フルオロ−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプタデカ−4−エン38α
【0322】
【化105】

【0323】
アルゴン下室温で無水CHCl(1mL)に溶解したフッ素化体36α(96mg、0.13mmol、1.0当量)に、テトラデセン(330μL、1.3mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(5mg、6μmol、0.05当量)を加えた。混合物を24時間加熱還流した。テトラデセン(330μL、1.3mmol、10当量)及びGrubbs II触媒(5mg、6μmol、0.05当量)を加え、溶液の撹拌を4時間継続した。そのまま処理せずに、CHClを蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 90:10)で精製することにより、38αを無色のオイルとして得た(98mg、83%)。
【0324】
【化106】

【0325】
(2S,3R)−2−(ヘキサコサノイルアミノ)−3−フルオロ−1−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)ヘプタデカ−4−エン39α
【0326】
【化107】

【0327】
誘導体38α(155mg、0.170mmol、1.0当量)を無水THF(12mL)に溶解し、出発原料が完全になくなるまでHClガスをバブリングした。そのまま処理せずに、THFを蒸発させ、粗生成物を次工程に用いた。
【0328】
アルゴン下室温でTHF(7mL)に溶解した塩酸塩(0.170mmol、1.0当量)に、16(88mg、0.170mmol、1.0当量)、トリエチルアミン(29μL、0.204mmol、1.2当量)及び触媒量のN,N’−ジメチル−4−アミノピリジンを加えた。混合物を14時間加熱還流し、飽和NaHCO水溶液液で希釈した。水層をEtOで抽出した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc 90:10)で精製することにより、39αを白色のろうとして得た。
【0329】
(2S,3R)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3−フルオロ−1−(α−D−ガラクトピラノシル)ヘプタデカン40α
【0330】
【化108】

【0331】
室温でMeOH(4.7mL)及びTHF(2.3mL)に溶解した化合物39α(70mg、0.084mmol、1.0当量)に、パラジウム(10%)活性炭(65mg)を一度に加えた。混合物をH下で撹拌した。24時間後、混合物をセライトを通して濾過し、濾過ケーキをMeOH及びCHClで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(CHCl/MeOH)で精製することにより、40αを得た。
【0332】
実施例9:本発明の化合物の生物学的特性の評価
本発明の化合物の生物学的特性は以下のように評価した:
【0333】
細胞培養
HeLa細胞は、1951年に頸部腫瘍細胞から樹立された。トランスフェクトしたHeLa−CD1d細胞は、Mitchell Kronenberg(ラ・ホーヤ・アレルギー免疫研究所(La Jolla Institute for Allergy and Immunology))(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)によって親切にも提供された。これらの細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)(Eurobio)、2mMのL−グルタミン(Invitrogen)、0.5UI/mlのペニシリン及び0.5mg/mlのストレプトマイシン(Invitrogen)を補充した1000mg/mlのグルコース(Biowest)を含有するDMEM培地中で維持した。
【0334】
Wehi 164クローン13細胞は、メチルコラントレンの注射によって誘導したBalb/cマウスの線維肉腫から樹立された。これらの細胞は、10% FBS、2mMのL−グルタミン、0.5UI/mlのペニシリン及び0.5mg/mlのストレプトマイシンを補充したRPMI培地(Biowest)(以下、CMと称する)中で維持した。
【0335】
末梢血中単核細胞(PBMC)を、フィコール密度勾配遠心(LMS Eurobio)によって分離し、合成α−ガラクトシルセラミド(KRN7000)を添加した未成熟樹状細胞と1週間インキュベートした。NKT細胞を、抗Vα24モノクローナル抗体及び抗Vβ11モノクローナル抗体(Beckman Coulter)を使用して、PBMCから磁気細胞分離によってポジティブ選択した。10% FBS、2mMのL−グルタミン、0.5UI/mlのペニシリン、0.5mg/mlのストレプトマイシン及び300U/mlの組換えインターロイキン2(IL−2)(Chiron)を補充したRPMI培地中に、NKT細胞を広げ、維持した。
【0336】
サイトカイン放出アッセイ
糖脂質を固体形態で入手し、DMSO中に懸濁し、2回の連続的なインキュベーション(最初に56℃で10分間、その後、37℃で少なくとも1時間)で可溶化した。
【0337】
HeLa−CD1d細胞を、37℃で16時間、様々な濃度の糖脂質とともにインキュベートし、CMで3回洗浄した。CM中で2回洗浄してIL−2を除去したNKT細胞をHeLa−CD1d細胞に加えた。インターフェロン(IFN)−γ及びIL−4の産生に関してはCM 150μlで、又は腫瘍壊死因子(TNF)−α産生に関しては100μlで、15000個のNKT細胞を30000個のHeLa−CD1d細胞と6時間インキュベートした(3連)。次に、上清を2回洗浄し、サイトカイン濃度評価まで−80℃で保存した。
【0338】
上清中に放出されたTNF−αの量は、Wehi 164細胞毒性アッセイ(Hoffmann他, 1997)によって推定した。
【0339】
上清中のIFN−γ及びIL−4の量は、それぞれBD OptiEIA IFN−γセット及びBD OptiEIA IL−4セット(BD Biosciences)を用いて、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって評価した。試験は、供給業者の指示書に従って実施した。
【0340】
式III−Aの化合物を用いて実行した生物学的試験の結果
【0341】
【化109】

【0342】
式III−Aの化合物を用いて実行した試験の結果を図1〜図3に示すが、ここで、式III−Aの化合物はVL335と表記する。
【0343】
NKTi細胞活性化は、3つのサイトカイン:腫瘍壊死因子(TNF)−α、インターフェロン(IFN)−γ及びインターロイキン(IL)−4の産生によって評価する。単独での、又はHeLa−CD1d細胞を添加した後の、又は様々な濃度の糖脂質KRN7000若しくは本発明の式III−A(VL335と表記する)の化合物を用いたHeLa−CD1d細胞を添加した後の、NKTi MAD11(ポリクローナル集団)によるサイトカイン産生を評価した。
【0344】
図1〜図3から把握することができるように、0.1μg/mlの式III−Aの化合物を添加したHeLa−CD1dとインキュベートした後のNKTi MAD11によるサイトカインの産生は、0.1μg/mlの合成対照α−ガラクトシルセラミドKRN7000を添加したHeLa−CD1dとインキュベートした後のNKTi MAD11によるサイトカインの産生を上回った。
【0345】
式III−A〜式III−Dの化合物を用いて実行した相補的な生物学的試験の結果
この部では、図中で表記した本発明の化合物の表記を括弧内に示す。例えば、図中でVL335又は335と表記する式III−Aの化合物は、以下の本明細書中、式III−A(VL335)又は(335)の化合物と表記する。
【0346】
KRN7000の4−デオキシアナログ、すなわち、式III−A〜式IIII−Dの化合物が自己反応性及び非自己反応性のiNKTリンパ球を活性化する能力を評価した。
【0347】
iNKT細胞の自己反応性は、外因性の(exogen)ガラクトシルセラミドアナログの存在下又は非存在下で、CD1d受容体を発現するヒト腫瘍細胞に対して活性化される能力と定義されている。非自己反応性クローンを刺激するために使用した提示細胞は、CD1d遺伝子でトランスフェクトしたHeLa細胞(図4〜図8)及びPBL細胞(末梢血リンパ球)(図9)に対応する。
【0348】
HeLa−CD1d細胞の自己反応性によって達成されるベースラインシグナルからの応答を見分けるために、提示細胞として使用するPBLに関して自己反応性クローンの刺激を検討した。刺激効果は、培養上清(surnagent culture)中のα−TNFの産生によって評価した。刺激の最大値は、対照として使用するフィトヘマグルチニン(PHA)によるiNKT刺激の後に放出されるα−TNFの量によって証明した。バックグラウンドノイズは、CD1d提示細胞の非存在下及びα−ガラクトシルセラミド基質(substrat)の非存在下で検出可能なα−TNFの量によって評価した。
【0349】
第1段階では、式III−A(VL335、図4)、式III−B(VL338、図5)、式III−C(VL351、図6)及び式III−D(VL367、図7)のα−ガラクトシルセラミドアナログを用いたHeLa−CD1d提示細胞からの非自己反応性iNKT細胞の刺激を評価した。結果から、式III−Aの化合物(VL335、KRN7000の4−デオキシアナログ)は、試験した最低の濃度(0.05μg/ml)であっても、PHA刺激レベルと比較して、α−TNF放出の最大値を誘導することが既に可能であることが示される。同一の実験条件において、同様の最大刺激は、式III−D(VL367)の化合物によっても誘導された。式III−C(VL351)及び式III−B(VL338)の化合物の存在下では、50μg/mlの最大濃度でも、α−TNF産生の有意な刺激は誘導されなかった。
【0350】
これらの結果によって初めて、式III−A(VL335)の化合物の4−デオキシKRN7000アナログがヒト非自己反応性iNKTリンパ球によってほぼ認識されることが明確に示された。7炭素短いスフィンゴイド(sphingoide)塩基の末端位にフェニル基を有する式III−D(VL367)の化合物はまた、式III−A(VL335)の化合物よりも200倍高い濃度であっても、リンパ球応答の最大値を誘導することが可能である。予想通り、式III−B(VL338、Th優位性(orientation)のOCHの4−デオキシアナログ)の化合物及び嵩高いtert−ブチル(terbutyl)末端基を有する式III−C(VL351)の化合物は、高濃度であっても、非自己反応性ヒト細胞からのα−TNF放出を刺激しないと考えられる。
【0351】
本発明者らの検討の第2部では、4−デオキシKRN7000アナログがヒトの自己反応性又は非自己反応性のクローンを刺激する能力を、PBLに10μg/ml、25μg/ml及び50μg/mlのα−ガラクトシルセラミド(galactosylcermide)アナログを添加し、iNKT非自己反応性のMAD11細胞及び19S−3細胞及び自己反応性の19S−9細胞株及び21S−21細胞株と共培養することによって比較した(図8)。
【0352】
式III−A(VL335)及び式III−D(VL367)のアナログに関しては、再度、有意な刺激が得られた。しかしながら、依然として自己反応性クローンの反応性は、非自己反応性クローンの2倍〜3倍である。そのように試験した高濃度での刺激レベルの低下(lost)は、培養条件でのPBL細胞に対する細胞毒性の出現に起因する可能性がある。同一の実験条件において、式III−B(VL338)及び式III−C(VL351)の化合物は、自己反応性クローンを弱く刺激することができたと考えられるが、非自己反応性のクローン又は細胞株の活性化には効果がない。
【0353】
式II−A、式III−B、式III−C及び式III−Dの4−デオキシアナログの細胞毒性を、4つの腫瘍性細胞株:Caco、Huh7、Fibroblaste(図9)及び多発性骨髄腫(図10)で測定した。結果から、式III−A、式III−B、式III−Cの化合物の、Caco細胞に対する10μMを超える濃度での弱い細胞毒性、及び式III−B及び式III−Cの化合物の、Fibroblaste細胞株に対する20μMを超える濃度での弱い細胞毒性が示される。多発性骨髄腫細胞に対するアナログの効果は全く観察されなかった。
【0354】
CD1d受容体の存在下又は非存在下でGb3又は式III−A(335)の化合物を添加した場合のTNFの産生を比較するために、ヒト腫瘍性ナマルバ提示細胞を用いて、HeLaの、非自己反応性のMAD11細胞及び19S−3細胞並びに自己反応性の19S−9細胞株及び21S−21細胞株に関して最後の検討を実行した。結果から、自己反応性細胞株及び非反応性細胞株の両方に対する、式III−Aの化合物の正の刺激効果が明確に認められる(図11)。
【0355】
これらの結果から、本発明の化合物は、対照KRN7000及び他の合成アナログと比較して、少なくとも同様、またさらには優れた免疫調節活性を有することが示される。これらの優れた活性により、本発明の化合物には、特に、抗癌プロセスの制御に関して高い関心がある。
【0356】
さらに、本発明の化合物は、非常に簡単な方法で、すなわち、KRN7000及びTh刺激性のOCHとして既に記述されている他のアナログと比較して低コストで合成することができる。
【0357】
スフィンゴシル鎖の3位のアルコールが、フッ素(fluor)原子F又はアミン基NHに置き換えられた式V及び式VIIの化合物は、明らかに好ましい本発明の化合物である。
【0358】
それらは、式III(式中、R21はF又はNHである)の前駆体から出発する以外は、スフィンゴシル鎖の3位にアルコールを有する式V及び式VIIの化合物と同様に合成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
はH、又はイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、アリルオキシカルボニル基(Aloc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(Teoc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジル基(Troc)、ベンジル基(Bn)、ジフェニルメチル基(Dpm)、トリチル基(Tr)、9−フェニルフルオレニル基(PhFl)、アリル基、p−メトキシベンジル基(PMB)等の保護基であり、好ましくは、Rはイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)又はベンジルオキシカルボニル基(Cbz)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)であり、
はH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、好ましくは、Rはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)、アセテート基(Ac)であり、より好ましくは、Rはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)であり、
及びRはN,O−アセタール基等の保護基、好ましくはオキサゾリジン基又はオキサゾリン基を一緒に形成することができ、
はH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)等の保護基であり、好ましくは、Rは、ベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基又はシクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、Rは、ベンジル基(Bn)であり、
、R、及びRは同一であるか、又は異なり、且つH、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリチル基(Tr)、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基であり、より好ましくは、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基(Bn)であり、
及びRはイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基、メシチルメチレン基、p−メトキシベンジリデン基、メチレン基、ジフェニルメチレン基、イソプロピリデン基又はディスポーク基等のアセタール基を一緒に形成することができ、且つ
及びRはベンジリデン基又はパラメトキシベンジリデン基を一緒に形成することができる)
を有する、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式Iの化合物を製造する方法であって、
(a)以下の式I−1:
【化2】

(式中、
、R、R、Rは同一であり、且つベンジル基である)
の化合物を準備する工程と、
(b)前記式I−1の化合物と、式I−2:
【化3】

(式中、
XはOH、SH又はNHであり、
はイソtertブチルオキシカルボキシ基(Boc)であり、且つ
はtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)である)
の化合物とをオシドカップリングさせる工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の式I(式中、XはSである)の化合物を製造する方法であって、
(a)以下の式I−3:
【化4】

(式中、R、R、R及びRは同一であり、且つベンジル基である)
の化合物を準備する工程と、
(b)前記式I−3の化合物をNaH、CSで処理し、且つ塩化パラ−ニトロベンゾイルを加えて、1−チオ−パラ−ニトロベンゾイルエステルを得る工程と、
(c)工程(b)で得られたグリコシルエステルをけん化する工程と、
(d)式I−1のスフィンゴシル化合物で求核置換する工程と、
を含み、
工程b)及び工程c)を同時に実行する、方法。
【請求項4】
以下の式II:
【化5】

(式中、
、R、R、R及びRは請求項2又は3で定義したものであり、
は独立して、H、又はトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、ジエチルイソプロピルシリル基(DEIPS)、テキシルジメチルシリル基(TDS)、トリフェニルシリル基(TPS)、ジ−tert−ブチルメチルシリル基(DTBMS)、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル基(DMB)、トリチル基(Tr)、アリル基、メトキシメチル基(MOM)、2−メトキシエトキシメチル基(MEM)、ベンジルオキシメチル基(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル基(PMBM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、テトラヒドロピラニル基(THP)、メチルチオメチル基(MTM)、アセテート基(Ac)、ベンゾエート基(Bz)、ピバレート基(Pv)、メトキシアセテート基、クロロアセテート基、レブリネート基(Lev)、ベンジルオキシカルボニル基(RO−Cbz)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基(RO−COPNB)、tert−ブトキシカルボニル基(RO−Boc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(RO−Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(RO−Teoc)、アリルオキシ基(RO−Aloc)等の保護基であり、
及びRはアセタール基を一緒に形成することができ、
XはO又はNHである)
の化合物を製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)存在する場合、この化合物のOH基をtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)又はアセテート基(Ac)で保護する工程と、
(c)前記工程(b)で得られた化合物をエポキシ化して、以下の式II−1:
【化6】

の化合物を得る工程と、
(d)有機アセチレン化合物を前記式II−1の化合物に加えて、以下の式II−2:
【化7】

の化合物を得る工程と、
(e)前記式II−2の化合物を部分的に水素化して、式IIの化合物を得る工程と、
(f)必要に応じて、Hとは異なるRを導入する工程と、
を含む、方法。
【請求項5】
以下の式II:
【化8】

(式中、
、R、R、R、R、R及びRは請求項4で定義したものであり、
及びRは独立して、H、又はイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基、メシチルメチレン基、p−メトキシベンジリデン基、メチレン基、ジフェニルメチレン基、イソプロピリデン基若しくはディスポーク基等のアセタール基であり、
XはSO又はSOである)
の化合物を製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基であり、且つXはSである)の化合物、又は請求項2に記載の方法によって得られる式I(式中、XはSである)の化合物、又は請求項3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)存在する場合、この化合物のOH基をtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)又はアセテート基(Ac)で保護する工程と、
(c)前記工程(b)で得られた化合物をエポキシ化して、以下の式II−1:
【化9】

の化合物を得る工程と、
(d)有機アセチレン化合物を前記式II−1の化合物に加えて、以下の式II−2:
【化10】

の化合物を得る工程と、
(e)前記式II−2の化合物を部分的に水素化する工程と、
(f)必要に応じて、Hとは異なるRを導入する工程と、
を含む、方法。
【請求項6】
以下の式II:
【化11】

(式中、
、R、R、R、R、R、Rは請求項5で定義したものであり、
XはO、S(O)、S(O)又はNHである)
の化合物を製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)存在する場合、この化合物のOH基を、好ましくはtert−ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、ベンジル基(Bn)又はアセテート基(Ac)で保護する工程と、
(c)XがO若しくはNHである場合、前記工程(b)で得られた化合物をエポキシ化する工程、又はX=S(O)若しくはS(O)である場合、該工程(b)で得られた化合物を酸化及びエポキシ化する工程であって、それにより、以下の式II−1:
【化12】

の化合物を得る工程と、
(d)前記式II−1の化合物をグリニャール反応剤又は有機アリル試薬で開環して、前記式IIの化合物を得る工程と、
(e)必要に応じて、Hとは異なるRを導入する工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
以下の式II:
【化13】

(式中、
、R、R、R、R、R及びRは請求項5又は6で定義したものであり、且つ
XはO、S(O)、S(O)又はNHである)
の化合物。
【請求項8】
以下の式III:
【化14】

(式中、
21はOH、F又はNHであり、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、且つ
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、以下の基:
【化15】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜Cアルキル鎖若しくはC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【化16】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式I(式中、Rは、好ましくはHである)の化合物を準備する工程と、
(b)最終生成物においてR11がHとは異なる必要があり、且つ最終生成物においてR21がOHである必要がある場合、スフィンゴシル鎖の3位のアルコールをTBDPS基等によって選択的に保護する工程、又は
(c)前記式IIIの化合物においてR21がFである必要がある場合、前記式Iの化合物をフッ素化する工程、又は
(d)最終生成物においてR21がNHである必要がある場合、前記式Iの化合物を、アジ化ナトリウム存在下、ルイス酸又はアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)若しくはアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)等のミツノブ剤により活性化し、それにより、前記式Iの化合物のアジドアナログを得る工程と、
(e)この式Iの化合物と、以下の式III−1:
【化17】

(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(f)アミノ基を脱保護する工程と、
(g)前記工程(f)で得られた化合物を、以下の式III−2:
【化18】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(h)最終生成物において、R21がNHである必要があり、且つR11がHと異なる必要がある場合、アジド基をアミン基へと選択的に還元し、該アミン基をBoc基等によって保護し、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によってガラクトシド残基の二重結合及び保護基を除去し、ピリジン中、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び4−ジ(メチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下等で、ガラクトシル環にR11を導入した後、NH−Boc基を除去する工程、又は
(i)最終生成物において、R21がOHである必要があり、且つR11がHとは異なる必要がある場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によってガラクトシド残基の二重結合及び保護基を除去し、ピリジン中、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び4−ジ(メチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下等で、ガラクトシル環にR11を導入し、且つスフィンゴシル鎖の3位のアルコールを脱保護する工程、又は
(j)最終生成物において、R21がFである必要があり、且つR11がHである必要がある場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によって二重結合及び保護基を除去し、それにより、R21がFであり、且つR11がHである化合物を得る工程、又は
(k)最終生成物において、R21がFである必要があり、且つR11がHとは異なる必要がある場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によってガラクトシド残基の二重結合及び保護基を除去し、R11を導入し、それにより、R21がFであり、且つR11がHとは異なる化合物を得る工程、又は
(l)最終生成物において、R11がHである必要があり、且つR21がOHである必要がある場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によって二重結合及び保護基を除去する工程、又は
(m)最終生成物において、R11がHである必要があり、且つR21がNHである必要がある場合、H、Pd/Cによる水素化等の接触水素化等によって二重結合及び保護基を除去し、且つNをNHに変換する工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
以下の式III:
【化19】

(式中、
21はOH、F又はNHであり、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、且つ
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、以下の基:
【化20】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜Cアルキル鎖若しくはC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【化21】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する、α−ガラクトセラミドアナログ。
【請求項10】
以下の式III−A:
【化22】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
以下の式III−B:
【化23】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
以下の式III−C:
【化24】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
以下の式III−D:
【化25】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
以下の式IV:
【化26】

(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
11は、H、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11は、H又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、
【化27】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜Cアルキル鎖又はC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【化28】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
のα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは、保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物と、以下の式III−1:
【化29】

(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(c)遷移金属錯体の媒介によりアリルアルコールをケトンへと異性化させる工程と、
(d)アミノ基を脱保護する工程と、
(e)この化合物と、以下の式III−2:
【化30】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物とをN−アシル化反応させる工程と、
(f)保護基を除去する工程と、
(g)必要に応じて、Hとは異なるR11を導入する工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
以下の式IV:
【化31】

(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)又はNHであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、
【化32】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等の少なくとも1つのヘテロアリール基を含有し得るC〜Cアルキル鎖若しくはC13〜C20アルキル鎖であるか、又はRは以下の式:
【化33】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
のα−ガラクトセラミドアナログ。
【請求項16】
以下の式V:
【化34】

(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
及びRは請求項5又は6で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、C〜Cアルキル鎖及びC13〜C20アルキル鎖であって、
【化35】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等のヘテロアリールを含有してもよく、又はRは以下の式:
【化36】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法であって、
(a)請求項7に記載の式IIの化合物、又は請求項5若しくは6に記載の方法によって得られる式IIの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物と、以下の式III−1:
【化37】

(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(c)アミノ基を脱保護する工程、又は
11がHとは異なる場合、並びにR及びRがHである場合、スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを保護した後、アミノ基を脱保護する工程と、
(d)得られた化合物を、以下の式III−2:
【化38】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(e)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して前記式V(式中、R11はHであり、且つR及びRはHである)の化合物を得る工程、又は
(f)R及びRがHとは異なる場合、二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを選択的に除去する工程と、
(g)Hとは異なるR11を導入する工程と、
(h)スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを脱保護して、前記式V(式中、R11はHではない)の化合物を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
以下の式V:
【化39】

(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
及びRは請求項5又は6で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、C〜Cアルキル鎖及びC13〜C20アルキル鎖であって、
【化40】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等のヘテロアリールを含有してもよく、又はRは以下の式:
【化41】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHである)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する化合物を製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)XがO若しくはNHである場合、前記工程(b)で得られた化合物をエポキシ化する工程、又はXがS(O)若しくはS(O)である場合、前記工程(b)で得られた化合物を酸化及びエポキシ化する工程であって、それにより、以下の式II−1:
【化42】

の化合物を得る工程と、
(c)有機アセチレン化合物を前記式II−1の化合物に加え、以下の式II−2:
【化43】

の化合物を得る工程と、
(d)前記式II−2の化合物を部分的に水素化する工程と、
(e)この化合物と、以下の式III−1:
【化44】

(式中、Rは上記で定義したものである)
の化合物とを交差メタセシス反応させる工程と、
(f)アミノ基を脱保護する工程、又は
11がHとは異なる場合、並びにR及びRがHである場合、スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを保護した後に、アミノ基を脱保護する工程と、
(g)得られた化合物を、以下の式III−2:
【化45】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(h)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、前記式V(式中、R11、R及びRはHである)の化合物を得る工程、又は
(i)R及びRがHとは異なる場合、二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基のみを選択的に除去する工程と、
(j)Hとは異なるR11を導入する工程と、
(k)スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを脱保護して、式V(式中、R11はHではない)の化合物を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項18】
以下の式V:
【化46】

(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、
21はOH又はF又はNHであり、
は請求項5又は6で定義したものであり、
11はH又は式C2n+2(1<n<15)の脂肪エステルであり、
10は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、
はCH、又は直鎖若しくは分枝若しくは非置換のC〜C30アルキル鎖、好ましくは、C〜Cアルキル鎖及びC13〜C20アルキル鎖であって、
【化47】

(式中、R12は優先的に、H又はCH又は直鎖若しくは分枝のC〜C10アルキル鎖である)
等のヘテロアリールを含有してもよく、又はRは以下の式:
【化48】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30、且つ
YはO、S又はNHであり、
但し、X=Oである場合、RはHではない)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する、α−ガラクトセラミドアナログ。
【請求項19】
以下の式VI:
【化49】

(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)、NHであり、
は請求項1で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
14は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であるか、又は以下の式:
【化50】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有するα−ガラクトセラミドアナログを製造する方法であって、
(a)請求項1に記載の式I(式中、R、R、R及びRは保護基である)の化合物、又は請求項2若しくは3に記載の方法によって得られる式Iの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物同士を交差メタセシス反応させる工程と、
(c)RがHとは異なる場合、スフィンゴシル鎖の3位のアルコールを保護する工程と、
(d)アミノ基を脱保護する工程と、
(e)得られた化合物を、以下の式III−2:
【化51】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(e)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、前記式VI(式中、R11はHであり、且つRはHである)の化合物を得る工程、又は
(e’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基を除去する工程と、
(f’)糖部分のR11を導入する工程と、
(g’)3位のアルコールを脱保護して、前記式VI(式中、R11はHとは異なる)の化合物を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
以下の式VI:
【化52】

(式中、
XはO、S、S(O)、S(O)、NHであり、
は請求項1で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又アセチル基であり、
14は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基であり、又はRは以下の式:
【化53】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
の化合物。
【請求項21】
以下の式VI−A:
【化54】

を有する、化合物。
【請求項22】
以下の式VII:
【化55】

(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、R及びRは請求項5又は6で定義したものであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
14は、置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基、又は以下の式:
【化56】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する化合物を製造する方法であって、
(a)請求項4に記載の式IIの化合物、又は請求項4若しくは5若しくは6に記載の方法によって得られる式IIの化合物を準備する工程と、
(b)この化合物同士を交差メタセシス反応させる工程と、
(c)R11がHとは異なる場合、スフィンゴシル鎖の3位及び4位のアルコールを保護する工程と、
(d)アミノ基を脱保護する工程と、
(e)この化合物を、以下の式III−2:
【化57】

(式中、
10は上記で定義したものと同一であり、
13は独立して、OH、又はO−p−ニトロフェノール基、O−N−ヒドロキシスクシンイミド基、酸塩化物基等の活性化基、好ましくはO−p−ニトロフェノール基である)
の化合物でN−アシル化する工程と、
(f)二重結合を還元し、且つすべての保護基を除去して、前記式VII(式中、R11、R及びRはHである)の化合物を得る工程、又は
(f’)二重結合を還元し、且つガラクトシル環(糖部分)の保護基を除去する工程と、
(g’)糖部分のR11を導入する工程と、
(h’)3位のアルコールを脱保護して、前記式VII(式中、R11はHとは異なる)の化合物を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
以下の式VII:
【化58】

(式中、
XはO、S(O)、S(O)又はNHであり、且つRは請求項5又は6で定義したものであり、
21はOH又はNH又はFであり、
11はH、又は式C(=O)R20(式中、R20は、好ましくは炭素数1以上15以下の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を有する脂肪酸のエステルであり、より好ましくは、R11はH又はアセチル基であり、
14は置換若しくは非置換のC〜C30アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアリールアルキル基、又は以下の式:
【化59】

(式中、
0<q<10、
0<x<30、
0<p<30)
の鎖等のヘテロ原子を含有する直鎖若しくは分枝のC〜C30アルキル鎖である)
を有する、α−ガラクトセラミドアナログ。
【請求項24】
以下の式III−E:
【化60】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項25】
以下の式III−F1:
【化61】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項26】
以下の式III−F2:
【化62】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項27】
以下の式III−F3:
【化63】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項28】
以下の式III−F4:
【化64】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項29】
以下の式III−F5:
【化65】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項30】
以下の式III−G1:
【化66】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項31】
以下の式III−G2:
【化67】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項32】
以下の式III−G3:
【化68】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項33】
以下の式III−G4:
【化69】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項34】
以下の式III−G5:
【化70】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項35】
以下の式III−H1:
【化71】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項36】
以下の式III−H2:
【化72】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項37】
以下の式III−H3:
【化73】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項38】
以下の式III−H4:
【化74】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項39】
以下の式III−H5:
【化75】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項40】
以下の式III−J1:
【化76】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項41】
以下の式III−J2:
【化77】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項42】
以下の式III−J3:
【化78】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項43】
以下の式III−J4:
【化79】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項44】
以下の式III−J5:
【化80】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項45】
以下の式III−K1:
【化81】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項46】
以下の式III−K2:
【化82】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項47】
以下の式III−K3:
【化83】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項48】
以下の式III−K4:
【化84】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項49】
以下の式III−K5:
【化85】

を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項50】
請求項9〜13、15、20、21及び23〜49のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、又は請求項8、14、16、17、19、21及び22のいずれか一項に記載の方法によって得られる少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項51】
請求項18に記載の少なくとも1つの化合物(式中、XがOである場合、RはHではない)、又は請求項19に記載の方法によって得られる少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項52】
請求項10に記載の前記式III−Aの化合物と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−506898(P2010−506898A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532914(P2009−532914)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004270
【国際公開番号】WO2008/047249
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(502205846)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク (154)
【出願人】(500283125)ユニヴェルシテ パリ デカルト (8)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS DESCARTES
【住所又は居所原語表記】12,rue de l’Ecole de Medecine,F−75006 Paris FRANCE
【出願人】(509000747)アンスティトゥー ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ レシェルシュ メディカル(イエヌエスエエールエム) (6)
【Fターム(参考)】