説明

αアルミナ、その合成方法、および装置

本発明は、99.99%以上の純度を有するαアルミナに関する。このαアルミナは、大部分が850μm以上のサイズを有し、球形粒子(1)の形状をしている。本発明はまた、上記で定義したαアルミナの使用形態と、関連する合成方法および装置とに関する。
【参考図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、αアルミナ、特に、単結晶サファイアの製造に適するαアルミナに関する。本発明はまた、このαアルミナを合成するための方法と装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
公知のように、αアルミナは、ヴェルヌイユ法以外でも、単結晶サファイアの製造のために使用される。この目的のために、αアルミナ粉末を、るつぼの中に入れて、所定の時間、融点(例えば、1900℃と2400℃との間の温度)まで加熱する。次に、所定の時間、結晶(または種)を有するチップを、この溶融したαアルミナに接触させ、温度勾配による制御のもとで結晶を成長させる。
【0003】
単結晶サファイアを製造するための原材料として使用されるαアルミナは、粒子サイズの最大値が、100μmから850μmの間に分布していることが知られている。
【0004】
単結晶サファイアを製造するための方法を最適化するためには、つぼの中のαアルミナの密度を、この公知の解決策で得られる密度と比較して、増加させることが必要であると考えられる。
【0005】
しかしながら、αアルミナから出発する合成方法では、このαアルミナが、単結晶サファイアを生成するために必要な特性を有しているとしても、αアルミナの密度を増加させることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術のこれらの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の1つの主題は、99.99%以上の純度を有し、大部分が850μm以上の直径を有する球形粒子の形状のαアルミナを得ることである。
【0008】
αアルミナは、高い密度で、るつぼの中に装填され、そのため、溶融される間に、微細粒子が生成されることなく、またるつぼによって酸化されることもない。
【0009】
本発明によるαアルミナはまた、次に示す特性の1つ以上を、個別に、または組み合わせて具備している。
−前記球形粒子のサイズは、大部分が850μmと2mmとの間にある。
−前記粒子は、1と2との間の球形度を有する。
−前記球形粒子は、1m2/g以下の比表面積を有する。
−前記球形粒子は、理論値密度3.96g/ccの50%以上の相対密度を有する。
【0010】
本発明はまた、単結晶サファイアを製造するための、上記で定義したαアルミナの利用法に関する。
【0011】
本発明はまた、上記で定義したαアルミナを合成するための方法に関し、この方法は、次に示すステップを有することを特徴としている。
−γアルミナ粉末を、シリコンカーバイド板の上に載せる。
−前記粉末に、少なくとも1つのCO2レーザビームを照射する。
【0012】
また本発明の方法は、次に示す特徴の中の1つ以上を、別個に、または組み合わせて具備することができる。
−γアルミナ粉末は、99.99%以上の純度を有する。
−γアルミナ粉末は、90m2/gと120m2/gとの間の比表面積を有する。
−γアルミナ粉末は、15nmと20nmとの間のサイズの要素粒子を備え、3.5ml/gから4ml/gまでの細孔容積を有する。また0.12g/ccと0.25g/ccとの間のタンプ密度を有する。
−γアルミナ粉末は、1mmと8mmとの間の厚さの粉末コーティングの形とされる。
−γアルミナ粉末は、前記少なくとも1つのビームの下を移動させられる。
−前記少なくとも1つのビームの下でのγアルミナ粉末の移動速度は、10cm/分と100cm/分との間である。
−γアルミナ粉末には、0.3秒から30秒までの間の時間に亘って、前記の少なくとも1つのビームが照射される。
−合成するための方法は、スクリーニングステップを含んでいる。
【0013】
本発明はまた、上記で定義した合成方法を実行するための装置に関し、次に示すものを備えることを特徴としている。
−γアルミナ粉末を供給するための手段と、
−前記粉末を載せるためのシリコンカーバイド板と、
−少なくとも1つのCO2レーザ。
【0014】
前記装置はまた、次に示す特徴の中の1つ以上の特徴を、別個に、または組み合わせて具備することができる。
−γアルミナ粉末を、前記少なくとも1つのビームの下に連続的に運ぶことができるように、前記少なくとも1つのレーザは固定され、前記板は可動になっている。
−前記可動板は、回転円盤の形とされている。
−前記板は、中空グルーブを有し、γアルミナ粉末を受け取る。
−前記少なくとも1つのレーザの波長は、約10.6μmである。
−前記少なくとも1つのレーザの電力は、120Wと3000Wとの間にある。
−前記少なくとも1つのレーザは、前記少なくとも1つのビームによって照射されるゾーンの上の、前記少なくとも1つのビームの光スポットサイズが、0.2cm2から20cm2までの間の面積をカバーするようになっている。
−前記装置は、前記板の上に供給されたγアルミナ粉末を、均一に分配するための手段を備えている。
−前記均一に分配する手段は、圧縮ローラを備えている。
−前記均一に分配する手段は、平坦化手段を備えている。
−この装置は、合成された球形αアルミナ粒子を、吸引することによりそれらを排出するための手段を備えている。
【0015】
本発明のその他の特性および利点は、非限定的な例として示す以下の記述を読むことにより、また添付の図面によって、より明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による球形αアルミナ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明によるαアルミナを合成するための方法を実行するための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[αアルミナ]
本発明は、単結晶サファイアの製造における原材料として使用するための球形粒子の形状をした、高純度(更に、具体的には、99.99%以上)のαアルミナに関する。これらのαアルミナ粒子の球形度の評価は、測定された最大直径の、測定された最小直径に対する比を、関係式(1)から算出することにより実行される。
(1)S=dmax/dmin(ここで、S=球形度、dmax=最大直径、およびdmin=最小直径)
【0018】
本出願人は、本発明によるαアルミナ粒子は、1と2との間の球形度Sを有することを見いだした。
【0019】
図1は、電子顕微鏡を使用して観測した球形αアルミナ粒子1を示す。スケールは、図中に示してある。
【0020】
本発明によって合成された球形αアルミナ粒子1は、大きな寸法を有している。
【0021】
具体的には、本発明により合成されたαアルミナの重量による粒度分布においては、球形粒子1の大部分が、850μm以上の寸法を有している。より具体的には、850μmと2mmとの間に分布している。この粒度分布は、例えば、スクリーンスタック法によるドライスクリーニングによって得られる。スクリーンスタック法に関しては、後に説明する。
【0022】
さらに、これらの球形αアルミナ粒子1は、1m2/g以下の比表面積を有する。この比表面積は、公知の様式で、液体窒素を使用したBET法で測定することができる。
【0023】
これらの球形αアルミナ粒子1はまた、理論値密度3.96g/ccと比較して、50%より大きな相対密度を有する。
【0024】
従って、これらの球形αアルミナ粒子1は、高密度に装填することができ、微細な粒子を生成することなく、また溶融時に、るつぼによって酸化されることもない。
【0025】
上記で述べた粒度分布を生成することができるスクリーンスタック法について、次に説明する。
【0026】
種々の異なる網目開口のスクリーンのスタックを構成する。スタックの頂部には、最も大きな網目開口(例えば、1600μmの網目開口)のスクリーンを置き、また、スタックの底部には、最も小さい網目開口(例えば、90μmの網目開口)のスクリーンを置く。
【0027】
例として、次に示す網目開口を有する異なるスクリーンが使用される。すなわちこれらの網目開口は、1600μm、1400μm、1000μm、850μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、および90μmである。
【0028】
例えば、所定の重量(200g±10g等)の球形αアルミナ粒子1のサンプルを、最大網目開口を有する頂部スクリーンの上に置く。
【0029】
その後、スクリーンのスタックを、適切な機械装置によって、所与の時間の間(例えば、10分間)振る。
【0030】
その後、各スクリーンの上に保持されている粒子を抽出し、重量を計量して記録する。
【0031】
1つのスクリーンの上に保持されている粒子は、それらが保持されているスクリーンの網目開口サイズと、上位のスクリーンの網目開口サイズとの間にあると考えられる。すなわち、例えば、850μmの網目開口を有するスクリーンを通過して、例えば、710μmの網目開口を有する下位のスクリーンの上に保持されている粒子に対しては、この粒子のサイズは、710μmと850μmとの間にあると考えることができる。
【0032】
このように、考慮するスクリーンの上に保持されている球形粒子の質量を、サンプルの初期の質量で除算することにより、各スクリーンの上の球形粒子の割合を算出することができる。
【0033】
次に図2を参照して、上記で述べた球形αアルミナ粒子1を合成するための方法を実行する装置3について説明する。
【0034】
[αアルミナを合成するための方法を実行する装置]
この装置3は、
−γアルミナ粉末γを供給するための手段5と、
−γアルミナ粉末γを装填する中空グルーブ8を備えているシリコンカーバイド(SiC)板7と、
−図示されているようにレーザの放射ビーム11を照射する、少なくとも1つのCO2レーザ9とを備えている。
【0035】
供給手段5は、例えば、γアルミナ粉末γを受け取るための受けタンク5a(矢印Aで示されている)、エンドレススクリュー5b、および板7の上にγアルミナ粉末γを分配するための分配器5cを備えている。
【0036】
球形αアルミナ粒子1に対する最良の特性を得るために、本発明による球形αアルミナ粒子1を合成するための原材料として選択されるγアルミナ粉末γは、次に示す特性を有している。すなわち、99.99%以上の純度、90m2/gと120m2/gとの間の比表面積、15nmと20nmとの間のサイズを有する要素粒子、3.5ml/gから4ml/gまでの間の細孔容積、および0.12g/ccと0.25g/ccとの間のタンプ密度である。
【0037】
これは、γアルミナ粒子はアグロメレートに関連しているということを意味している。これらのアグロメレートは、ポーラスである。これらのアグロメレートの細孔容積は、3.5ml/gから4ml/gまでの間にある。
【0038】
上記のようなγアルミナ粉末は、市販されている(例えば、バイコウスキー(Baikowski)社から、バイカロックス(Baikalox)B105の商品名で)。
【0039】
ここに図示した例では、板7は、可動の回転円盤であり、図中の矢印Bで示されている回転軸の周りに回転する。一例として、板7は、グルーブ8のところで、10cm/分と100cm/分との間の速度で回転する。従って、板7は、レーザ9のレーザビーム11によって照射されるゾーンに向かって、γアルミナ粉末γを徐々に運ぶことができる。
【0040】
ここで記述している実施形態におけるレーザ9は、波長が10.6μmであり、電力が120Wと3000Wとの間にあるレーザであり、また、0.2cm2から20cm2までの間の面積をカバーする、実質的に円形のレーザスポットを有している。
【0041】
またこの装置3は、板7の上に置かれたγアルミナ粉末γを均一に分配するための手段13(圧縮ローラまたはタンピングローラ等)を備えることができる。均一に分配する手段13は、追加的に、または変形として、γアルミナコーティングγを平坦化するための平坦化手段を備えることができる。
【0042】
最後に、この装置3は、例えば、合成された球形αアルミナ粒子1を吸引することにより、それを排出する手段15を備えている。
【0043】
次に、これらの球形αアルミナ粒子1を合成するための方法に関する種々のステップについて説明する。
【0044】
[合成するための方法]
矢印Aによって示すように、前段階のステップの間に、γアルミナ粉末γが装填され(例えば、受けタンク5aの中に)、γアルミナ粉末γは、分配器5cのところに到達して、回転板7の上に分配される(例えば、厚さが1mmと8mmとの間にあるコーティングの形で)。
【0045】
このγアルミナ粉末γは、例えば、均一分配装置13によって、圧縮、および/または平坦化されて、γアルミナ粉末γにレーザビーム11を照射したときに、最良の合成を行うことができる。
【0046】
板7を移動させることにより、γアルミナ粉末γは、徐々にレーザビーム11の下に移動して行き(例えば、10cm/分と100cm/分との間の速度で)、0.3秒から30秒までの間の時間を通して、レーザビーム11が照射される。
【0047】
このように処理されたγアルミナ粉末γは、上記で定義した球形αアルミナ粒子1の集合体に変換される。
【0048】
これらの球形αアルミナ粒子1は、その後、例えば排出手段15を介して吸引され、図中に矢印Cで示すように、板7から排出されることができる。
【0049】
これらの球形粒子のスクリーニングは、前に説明したように実行することができる。
【0050】
上記のように合成された球形αアルミナ粒子1は、単結晶サファイアを製造するための原材料として使用することができる。
【0051】
球形αアルミナ粒子1を合成するためのこれらの方法、および得られた球形αアルミナ粒子1の特性をより具体的に示すために、3つの実施形態について詳細に記述する。
【0052】
これらの例では、原材料として使用されるγアルミナ粉末γは、純度は、99.99%以上であり、比表面積は、90m2/gと120m2/gとの間にあり、また、サイズが15nmと20nmとの間にある要素粒子を備え、3.5ml/gから4ml/gまでの間の細孔容積を生成し、また、0.12g/ccと0.25g/ccとの間にあるタンプ密度を有している。
【0053】
[第1の例]
この第1の例に対しては、使用する機器として、回転板7は、シリコンカーバイド(SiC)でできており、また炭酸ガス(CO2)レーザ9は、波長が10.6μmで、電力が1500Wであり、レーザスポットは、25mm2の面積をカバーしている。
【0054】
γアルミナ粉末γのコーティングは、厚さが4mmであり、回転板7のグルーブ8の中に徐々に堆積されていく。
【0055】
前に述べたように、γアルミナ粉末γは、レーザビームが照射され、10mm/秒の速度でレーザスポットの下を通過する。
【0056】
これにより、球形粒子1の形状をしたα結晶構造のアルミナが得られる。この球形粒子1は、密度は2.12g/ccであり、比表面積は0.16m2/gであり、また、以前に説明したスクリーンスタック法で測定した粒度分布は、次に示す通りである。
−1600μmの網目開口に対しては、重量百分率は、0%である。
−1400μmの網目開口に対しては、重量百分率は、13.1%である。
−1000μmの網目開口に対しては、重量百分率は、47.6%である。
−850μmの網目開口に対しては、重量百分率は、14.2%である。
−710μmの網目開口に対しては、重量百分率は、9.3%である。
−500μmの網目開口に対しては、重量百分率は、7.3%である。
−355μmの網目開口に対しては、重量百分率は、3.2%である。
−250μmの網目開口に対しては、重量百分率は、1.6%である。
−180μmの網目開口に対しては、重量百分率は、1.1%である。
−125μmの網目開口に対しては、重量百分率は、0.9%である。
−90μmの網目開口に対しては、重量百分率は、0.6%である。
−90μmよりも小さい網目開口に対しては、重量百分率は、1.1%である。
【0057】
これらの結果からすると、粒度分布は、850μmより大きなサイズに対して最大値を有するということが明らかである。具体的には、球形αアルミナ粒子1の74.9%が、850μmより大きなサイズを有している。
【0058】
[第2の例]
この第2の例に対しては、使用する機器として、回転板7は、シリコンカーバイド(SiC)でできており、また炭酸ガス(CO2)レーザ9は、波長が10.6μmであり、電力が1500Wであり、レーザスポットは、25mm2の面積をカバーしている。
【0059】
γアルミナ粉末γのコーティングは、厚さが6mmであり、回転板7のグルーブ8の中に徐々に堆積されていく。γアルミナ粉末γは、レーザビームが照射され、7.6mm/秒の速度でレーザスポットの下を通過する。
【0060】
これにより、球形粒子1の形状をしたα結晶構造のアルミナが得られる。この球形粒子1は、密度は2.12g/ccであり、比表面積は0.12m2/gであり、また、以前に説明したスクリーンスタック法で測定した粒度分布は、次に示す通りである。
−1600μmの網目開口に対しては、重量百分率は、0%である。
−1400μmの網目開口に対しては、重量百分率は、35.7%である。
−1000μmの網目開口に対しては、重量百分率は、28.9%である。
−850μmの網目開口に対しては、重量百分率は、6.7%である。
−710μmの網目開口に対しては、重量百分率は、5.8%である。
−500μmの網目開口に対しては、重量百分率は、7.9%である。
−355μmの網目開口に対しては、重量百分率は、5.2%である。
−250μmの網目開口に対しては、重量百分率は、3.6%である。
−180μmの網目開口に対しては、重量百分率は、2.4%である。
−125μmの網目開口に対しては、重量百分率は、2%である。
−90μmの網目開口に対しては、重量百分率は、1.3%である。
−90μmよりも小さい網目開口に対しては、重量百分率は、0.5%である。
【0061】
これらの結果はまた、粒度分布は、850μmより大きなサイズに対して最大値を有するということを示している。具体的には、球形αアルミナ粒子1の71.3%が、850μmより大きなサイズを有している。
【0062】
[第3の例]
この第3の例に対しては、再び、シリコンカーバイド(SiC)でできた回転板7を使用する。しかし、使用する炭酸ガス(CO2)レーザ9は、波長が10.6μm、電力が3000Wであり、レーザスポットは、44mm2の面積をカバーしている。
【0063】
γアルミナ粉末γのコーティングは、厚さが6mmであり、回転板7のグルーブ8の中に徐々に堆積されていく。γアルミナ粉末γは、レーザビームが照射され、11.3mm/秒の速度でレーザスポットの下を通過する。
【0064】
これにより、球形粒子1の形状をしたα結晶構造のアルミナが得られる。この球形粒子1は、密度は2.42g/ccであり、比表面積は0.15m2/gであり、また、以前に説明したスクリーンスタック法で測定した粒度分布は、次に示す通りである。
−1600μmの網目開口に対しては、重量百分率は、0%である。
−1400μmの網目開口に対しては、重量百分率は、28.3%である。
−1000μmの網目開口に対しては、重量百分率は、26.3%である。
−850μmの網目開口に対しては、重量百分率は、8%である。
−710μmの網目開口に対しては、重量百分率は、7.6%である。
−500μmの網目開口に対しては、重量百分率は、8.9%である。
−355μmの網目開口に対しては、重量百分率は、5.7%である。
−250μmの網目開口に対しては、重量百分率は、4.5%である。
−180μmの網目開口に対しては、重量百分率は、2.9%である。
−125μmの網目開口に対しては、重量百分率は、2.3%である。
−90μmの網目開口に対しては、重量百分率は、2.3%である。
−90μmよりも小さい網目開口に対しては、重量百分率は、3.5%である。
【0065】
この第3の例によって得られた球形αアルミナ粒子1の粒度分布もまた、850μmより大きなサイズに対して最大値を示している。具体的には、球形αアルミナ粒子1の62.6%が、850μmより大きなサイズを有している。
【0066】
これらの例においては、γアルミナ粉末γは、波長が10.6μm、および電力が120Wと3000Wとの間にあるCO2レーザビーム11が、0.3秒から30秒までの間の時間照射されている。
【0067】
具体的には、波長、電力、およびγアルミナγがビームの下を通過する時間等の、これらの特性は、以前に述べたγアルミナに対して適切である。すなわち、このγアルミナ粉末γは、99.99%以上の純度と、90m2/gと120m2/gとの間の比表面積と、3.5ml/gから4ml/gまでの間の細孔容積のポーラスアグロメレートに関連した、15nmと20nmとの間のサイズを有する要素粒子と、0.12g/ccと0.25g/ccとの間のタンプ密度とを有する。
【0068】
上記のようなγアルミナ粉末は、市販されている(例えば、バイコウスキー社から、バイカロックスB105の商品名で)。
【0069】
他の特性を有するγアルミナに対して、波長、レーザビーム電力、および通過時間に関するパラメータとして、同じ値を適用することも可能であることは、言うまでもない。また、これらのパラメータを適用して、球形αアルミナ粒子αに対するよりよい特性を得ることもできる。
【0070】
従って、本発明による、上記で記述した特定な合成方法によって得られた球形αアルミナ粒子1は、単結晶サファイアの製造に対して適した純度および密度の特性を有しており、また同時に、球形αアルミナ粒子1を原材料として、単結晶サファイアを製造するための方法を最適化することができることを理解しうると思う。
【符号の説明】
【0071】
1 αアルミナ粒子
3 合成装置
5 γアルミナ粉末供給手段
5a 受けタンク
5b エンドレススクリュー
5c 分配器
7 シリコンカーバイド板
8 中空グルーブ
9 炭酸ガスレーザ
11 放射ビーム
13 均一分配手段
15 排出手段
A γアルミナ粉末供給方向
B 回転軸
C 排出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.99%以上の純度を有し、大部分が850μm以上のサイズを有する、球形粒子(1)の形をしていることを特徴とするαアルミナ。
【請求項2】
前記球形粒子(1)の前記サイズは、大部分が850μmと2mmと間にあることを特徴とする、請求項1に記載のαアルミナ。
【請求項3】
前記粒子は、1と2との間の球形度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のαアルミナ。
【請求項4】
前記球形粒子(1)は、1m2/g以下の比表面積を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のαアルミナ。
【請求項5】
前記球形粒子(1)は、理論値密度の50%以上の相対密度を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のαアルミナ。
【請求項6】
単結晶サファイアの製造に対して、請求項1〜5のいずれか1項に記載のαアルミナを使用することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のαアルミナの合成方法であって、
−シリコンカーバイド板(7)の上にγアルミナ粉末(γ)を設置するステップと、
−前記粉末(γ)に、少なくとも1つのCO2レーザ(9)ビーム(11)を照射する
ステップとを備えていることを特徴とする合成方法。
【請求項8】
前記γアルミナ粉末(γ)は、99.99%以上の純度を有することを特徴とする、請求項7に記載の合成方法。
【請求項9】
前記γアルミナ粉末(γ)は、90m2/gと120m2/gとの間の比表面積を有することを特徴とする、請求項7または8に記載の合成方法。
【請求項10】
前記γアルミナ粉末(γ)は、15nmと20nmとの間のサイズの要素粒子を備え、3.5ml/gから4ml/gまでの間の細孔容積を生成し、0.12g/ccと0.25g/ccとの間のタンプ密度を有することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項11】
前記γアルミナ粉末(γ)は、厚さが1mmと8mmとの間にある、粉末のコーティングの形をしていることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項12】
前記γアルミナ粉末(γ)は、前記少なくとも1つのビーム(11)の下を移動する
ことを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項13】
前記γアルミナ粉末(γ)の前記少なくとも1つのビーム(11)の下における移動速度は、10cm/分と100cm/分との間にあることを特徴とする、請求項12に記載の合成方法。
【請求項14】
前記γアルミナ粉末(γ)には、0.3秒から30秒までの間の時間を通して、前記少なくとも1つのビーム(11)が照射されることを特徴とする、請求項7〜13のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項15】
スクリーニングステップを備えていることを特徴とする、請求項7〜14のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか1項に記載の合成方法を実行するための装置であって、
−γアルミナ粉末(γ)を供給するための手段(5)と、
−上に前記粉末(γ)を設置するシリコンカーバイド板(7)と、
−少なくとも1つのCO2レーザ(9)とを備えていることを特徴とする装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのレーザ(9)は、固定されて、また、前記板(7)は、移動して、連続的に、前記γアルミナ粉末(γ)を前記少なくとも1つのビーム(11)の下に運ぶことを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記移動板(7)は、回転円盤の形状であることを特徴とする、請求17に記載の装置。
【請求項19】
前記板(7)は、前記γアルミナ粉末(γ)を受けるためのグルーブ(8)を備えていることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのレーザ(9)の波長は、10.6μmであることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのレーザ(9)の電力は、120Wと3000Wとの間にあることを特徴とする、請求項16〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのレーザ(9)は、前記少なくとも1つのビーム(11)によって照射されるゾーンの上の、前記少なくとも1つのビーム(11)の光スポットのサイズが、0.2cm2から20cm2までの間の面積をカバーするように構成されていることを特徴とする、請求項16〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記板(7)の上に設置された前記γアルミナ粉末(γ)を均一に分配するための手段(13)を備えていることを特徴とする、請求項16〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記均一に分配する手段(13)は、圧縮ローラを備えていることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記均一に分配する手段(13)は、平坦化手段を備えていることを特徴とする、請求項23または24に記載の装置。
【請求項26】
合成された球形αアルミナ粒子(1)を吸引することにより排出する手段(15)を備えていることを特徴とする、請求項16〜25のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−519612(P2013−519612A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552393(P2012−552393)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051938
【国際公開番号】WO2011/098511
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511228285)
【Fターム(参考)】