説明

α7ニコチン性アセチルコリン受容体のモジュレーターおよびその治療上の使用

α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)アゴニスト活性を有する化合物、その調製方法、同化合物を含有する医薬組成物、ならびに神経系疾患および精神疾患の治療のためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)アゴニスト活性を有する化合物、その調製方法、同化合物を含有する医薬組成物、ならびに神経系疾患および精神疾患の治療のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
多数の近年の知見によれば、興奮毒性傷害(1〜5)、栄養欠乏(6)、虚血(7)、外傷(8)、Aβ媒介神経細胞死(9〜11)、およびタンパク質凝集媒介神経変性(9、12)を伴う、動物および培養細胞の様々な神経変性モデルにおける、ニコチンの潜在的な神経保護効果が指示される。ニコチンが神経保護効果を呈する多くの例において、α7サブタイプ含有ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が、ニコチンの神経保護効果を媒介するのに役立つことを示唆する、α7サブタイプを含む受容体の直接的関与が想起されてきた(7、11〜15)。入手可能なデータからは、α7ニコチン性アセチルコリン受容体が、神経保護分子として活性なアゴニスト/正のモジュレーターを開発するための妥当な分子標的の代表であることが示唆される。実際に、α7ニコチン性受容体アゴニストはすでに同定され、神経保護薬(16〜20)の開発のための可能性ある手がかりとして評価されている。α7ニコチン性アセチルコリン受容体の炎症過程への関与も、最近記載されている(21)。したがって、この受容体の新規モジュレーターの開発は、神経系疾患、精神疾患、および炎症性疾患の新規な治療をもたらすはずである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)における完全アゴニストまたは部分アゴニストとして作用する化合物、同化合物を含有する医薬組成物を提供し、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が有益となり得る疾患、例えば神経性および精神性の障害、特にアルツハイマー病および統合失調症の治療のためのそれらの使用を提供する。
【0004】
公知の従来技術
塩基性窒素を保有し、ムスカリン性アセチルコリン受容体親和性を示すか、またはアルツハイマー病への使用について特許請求されている様々な複素環式化合物の記載が見出された。例えば、ムスカリン性受容体に対して活性を有する化合物(米国特許第652,852号、国際公開第2001/005763号、国際公開第99/50247号)、置換された1−ピペリジン−4−イル−4−ピロリジン−3−イルピペラジン誘導体(国際公開第2004/056799号)、置換された4−(4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン−1−イル)−アゼパン誘導体(国際公開第2004/056805号)の調製、新規非イミダゾール化合物(国際公開第02/072570号)、サブスタンスPアンタゴニスト(国際公開第0130348号)である。
【0005】
1−(1,2−二置換ピペリジニル)−4−置換ピペラジン、および置換された1,4−ジ−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体が、それぞれ国際公開第2004/110451号および国際公開第2004/110415号に報告されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の説明
第1の態様において、本発明は式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
の化合物を提供し、
式中、
AはNまたはCHであり、
aは1〜4の整数であり、
bは、0、1、または2であり、
jは、0、1、または2であり、
Xは式:
【0009】
【化2】

【0010】
の基であり、
式中、
Zは、CH2、N、O、S、S(=O)、またはS(=O)2であり、
pは、0、1、2、または3であり、
T’は、pが1を超える場合は互いに独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロ、オキソ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状のモノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニルアミノ;(C1〜C3)アルキルスルホニルアミノ;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノスルホニル;モノ−またはジ−(C1〜C3)アルキルアミノスルホニル;スルファモイル;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルを表し;あるいは、pが2または3の場合、2つのT’置換基は、それらが結合する原子と共に、スピロ接合または縮合接合を有する5〜8員環を形成してもよく、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜4の整数であり、
Qは5〜10員の芳香族環または芳香族複素環であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、またはアルキルカルボニル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリール−カルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノまたはアルキルアミノカルボニル;カルバモイル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルスルホニル;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jは、0、1、または2であり、
R’は、j=2のとき互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイル;(C6〜C10)アリール−または(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ;(C6〜C10)アリール−または直鎖状、分岐状、もしくは環状の(C1〜C6)アルキルスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキルを表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の好ましい実施形態において、本発明は式(I)の化合物を提供し、式中、
AはNであり、
aは1〜3の整数であり、
bは、0、1、または2であり、
Xは式:
【0012】
【化3】

【0013】
の基であり、
式中、
Zは、CH2、N、Oであり、
pは0または1であり、
T’は、pが1を超える場合互いに独立して、直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルを表し;あるいはpが2または3の場合、2つのT’置換基はスピロ接合または縮合接合を有する5〜8員環を形成し、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜4の整数であり、
Qは5〜10員の芳香族環または芳香族複素環であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、またはアルキルカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ(C1〜C6)アルキルアミノまたはアルキルアミノカルボニル;カルバモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jは、0、1、または2であり、
R’は、j=2のとき互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、トリハロメチル、トリハロメトキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキルを表す。
【0014】
この実施形態において、特に好ましいのは、
AがNであり、
aが1〜2の整数であり、
bが、0、1、または2であり、
Xが式:
【0015】
【化4】

【0016】
の基であり、
式中、
ZはCH2であり、
pは0であり、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜3の整数であり、
Qが5〜10員の芳香族環であり、
Rが、ハロゲン;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C3)アルキル、アルコキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C3)アルキルカルボニルアミノ;モノ−またはジ、直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C3)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jが0である、
式Iの化合物である。
【0017】
さらにより好ましいのは、QおよびRの両方がフェニルである化合物である。
【0018】
式Iの化合物は多数の合成経路を介して調製することができ、その中のいくつかが下記のスキーム1、2、3および4に例示されている。
a)スキーム1
【0019】
【化5】

【0020】
ここでa=2およびA=Nにより例示されるスキーム1によれば、アミン1を、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、または水素化ホウ素ナトリウムによる処理などの還元的アルキル化条件下で、例えば酢酸またはギ酸などの触媒量の酸の存在下で、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で、保護されたアミン官能基(ここではtert−ブトキシカルボニルにより例示される)を含む環状ケトン2と反応させる。他の適切な保護基は、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、および、Greene,T.およびWuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、1999に記載の他の任意のアミン保護基によって代表されうる。このようにして得られるアミン3は保護基の除去により、例えばtert−ブトキシカルボニル基の場合、ジクロロメタン中でのトリフルオロ酢酸による処理、またはメタノール中での塩酸による処理、または参考文献1に記載されるような他の任意の適切な方法によって、さらに改変されて、アミン4が得られる。アミン4を次いで、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物などの適切な溶媒中で、イソシアナート(ここではフェニルイソシアナートにより例示される)と反応させて、ウレアIαを得る。Rがハロゲンまたはボロン酸エステルである場合、例えばクロスカップリング反応によって、例えばスズキカップリング条件(Suzuki,A.Pure and Appl.Chem.1994 66 213〜222)として記載される条件下で、ボロン酸またはハロゲン化アリールもしくはハロゲン化ヘテロアリールと共にIαをさらに処理して、化合物Iβを得ることができる。
b)スキーム2
【0021】
【化6】

【0022】
ここでa=2、b=1、およびA=CHにより例示されるスキーム2によれば、アミン1を、保護されたアミン官能基(ここではtert−ブトキシカルボニルにより例示される)を含む活性酸5(LG=脱離基)と反応させて、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物などの溶媒中で、アミド6を得る。酸の適切な活性化は、酸塩化物、酸を化学量論量のカルボニルジイミダゾールで処理することにより得られるアシルイミダゾリド、例えばベンゾトリアゾリルエステルまたはペンタフルオロフェニルエステルなどの活性エステル、例えば第3級アミンの存在下で酸とクロロギ酸イソブチルとの反応により得られるものなどの混合無水物によって代表されうる。このようにして得られたアミド6は保護基の除去により、例えばtert−ブトキシカルボニル基の場合、ジクロロメタン中でのトリフルオロ酢酸による処理、またはメタノール中での塩酸による処理、または上記の他の任意の適切な方法によって、さらに改変されて、アミン7が得られる。アミン7を次いで、水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素などの還元剤と、例えばテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で反応させて、アミン8を得る。さらにアミン8を、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物などの適切な溶媒中で、イソシアナート(ここではフェニルイソシアナートにより例示される)と反応させて、ウレアIαを得る。Rがハロゲンまたはボロン酸エステルである場合、例えばクロスカップリング反応によって、例えばスズキカップリング条件下で、ボロン酸またはハロゲン化アリールもしくはハロゲン化ヘテロアリールと共に、Iαをさらに処理して、化合物Iβを得ることができる。
c)スキーム3
【0023】
【化7】

【0024】
ここでn=2およびA=CHにより例示されるスキーム3によれば、活性酸9(LG=脱離基)を、芳香族アミンまたは複素芳香族アミン(ここでは置換アニリンにより例示される)と反応させて、芳香族アミドまたは複素芳香族アミド10を得る。酸の適切な活性化は、酸塩化物、酸を化学量論量のカルボニルジイミダゾールで処理することにより得られるアシルイミダゾリド、例えばベンゾトリアゾリルエステルまたはペンタフルオロフェニルエステルなどの活性エステル、例えば第3級アミンの存在下で酸とクロロギ酸イソブチルとの反応により得られるものなどの混合無水物によって代表されうる。得られるアミドを次いで、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、または水素化ホウ素ナトリウムによる処理などの還元的アルキル化条件下で、例えば酢酸またはギ酸などの触媒量の酸の存在下で、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で、アミンXと反応させる。Rがハロゲンまたはボロン酸エステルである場合、例えばクロスカップリング反応によって、例えばスズキカップリング条件下で、ボロン酸またはハロゲン化アリールもしくはハロゲン化ヘテロアリールと共にIαをさらに処理して、化合物Iβを得ることができる。
d)スキーム4
【0025】
【化8】

【0026】
スキーム4によれば、適切に保護されたヒドロキシアルキルシクロアミン(ここで、限定はされないが、そのtert−ブチルカルバマート誘導体としてN保護された4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンにより例示される)のヒドロキシ基を、脱離基(ここで、限定はされないが、p−トルエンスルホニル基により例示される)への変換によって活性化し、次に第1級または第2級アミンとの反応において置換する。シクロアミン保護基の除去に続いて、これを次いでアリールイソシアナートまたはヘテロアリールイソシアナートと、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で反応させ、生成物Iαを得る。Xがハロゲンまたはボロン酸エステルである場合、例えばクロスカップリング反応によって、例えばスズキカップリング条件下で、ボロン酸またはハロゲン化アリールもしくはハロゲン化ヘテロアリールと共にIαをさらに処理して、化合物Iβを得ることができる。
【0027】
式Iの化合物、その光学異性体またはジアステレオマーは、周知の手順に従って精製または分離することができ、この方法には、限定はされないが、キラルマトリクスを用いるクロマトグラフィーおよび分別結晶化が含まれる。
【0028】
式Iの化合物の代表的グループの薬理活性は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を安定にトランスフェクトした細胞、ならびに、選択性についての対照として、α1およびα3ニコチン性アセチルコリン受容体および5HT3受容体を発現する細胞を用いた、in vitroアッセイにおいて示された。したがってさらなる態様によれば、本発明は神経性(neurological)および精神性(psychiatric)の障害の治療方法を対象としており、その方法には、有効量の式Iの化合物を被験体(好ましくはそれを必要とするヒト被験者)に投与することが含まれる。本発明の化合物を用いた治療が有益となり得る神経性および精神性の障害には、限定はされないが、老人性認知症(senile dementis)、注意力欠陥障害(attention deficit disorders)、アルツハイマー病、および統合失調症(schizophrenia)が含まれる。一般に、式Iの化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化が有益となり得るいかなる病状、疾患、または機能不全の治療にも用いることができ、これには、限定はされないが、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病(Huntington's chorea)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、てんかん(epilepsy)、記憶障害または学習障害(memory or learning deficit)、パニック障害(panic disorder)、認知障害(cognitive disorder)、うつ病(depression)、敗血症(sepsis)、および関節炎(arthritis)が含まれる。
【0029】
治療に使用するための化合物の用量は、例えば、投与経路、疾患の性質および重篤度に応じて変化しうる。一般に、ヒトにおける妥当な薬理効果は、0.01〜200mg/kgの範囲の1日投与量によって得ることができる。
【0030】
なおさらなる態様において、本発明は、薬学的に許容可能な担体および賦形剤と混合した、1種または複数種の式Iの化合物を含有する医薬組成物に言及している。医薬組成物は、固体、半固体、または液体の調剤の形態、好ましくは溶液、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、シロップ、座薬、噴霧剤、または制御送達システムの形態とすることができる。組成物は、経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、直腸、および鼻腔内を含めた様々な経路で投与することができ、単位剤形で製剤され、各用量が約1〜約1000mg、好ましくは1〜600mgの活性成分を含有することが好ましい。本発明の化合物は遊離塩基の形態、または酸付加塩、好ましくは薬学的に許容可能な酸との塩とすることができる。本発明はまた、化合物Iの分離された異性体およびジアステレオマー、またはそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)も含む。医薬組成物の調製の原理および方法は、例えばRemington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton(PA)に記載される。
【実施例】
【0031】
実験手順−化合物の合成
総論
特段の指定がなければ、核磁気共鳴スペクトルは、PFG ATB Broadbandプローブを備えたVarian Mercury Plus 400Mhz分光計を用いて記録された。
【0032】
HPLC−MS分析は、Waters Micromass ZQ(ESイオン化)およびWaters PDA2996を備えたWaters 2795分離モジュールにより、Waters XTerra MS C18 3.5μm 2.1×50mmカラムを用いて行った。
【0033】
分取HLPCは、Gradient Module Waters2525バイナリーポンプを有し、Waters Micromass ZQ(ES)またはWaters2487DADに連結したWaters2767システムを用い、Supelco Discovery HS C18 5.0μm 10×21.2mmカラムを用いて行った。
【0034】
表示の動作時間中に5/95〜95/5の勾配で0.1%のギ酸/水および0.1%のギ酸/アセトニトリルを用いて、グラジエントを行った。
【0035】
すべてのカラムクロマトグラフィーは、Still,C.;J.Org Chem 43、2923(1978)の方法に従って行った。すべてのTLC分析をシリカゲル(Merck60F254)にて行い、スポットは254nmのUV可視化およびKmnO4またはニンヒドリン染色によって現れた。
【0036】
アレイ合成について指定される場合、加熱はBuchi Syncore(登録商標)システムにて行った。
【0037】
すべてのマイクロ波反応は、CEM Discoverオーブンにて行った。
【0038】
実験手順を通して用いられる略号
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DMEA N,N−ジメチルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO、dmso ジメチルスルホキシド
SCX 強カチオン交換体
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析法
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
N−Boc−ピペリドンの還元的アルキル化の一般的手順
第2級アミン(1.0当量)をDCM中に溶解し、N−boc−ピペリドン(1.0当量)を加えた。反応物を1時間攪拌し、次いでNaBH(OAc)3を加え、反応物をさらに18時間攪拌した。
【0039】
混合物を次いでpH2のHCl溶液へ抽出し、非塩基性の不純物をDCMによる洗浄によって除去した。次いで水性相を水酸化ナトリウムによりpH12とし、DCMにより抽出した。有機相を減圧下で濃縮して、次のステップに対して十分に純粋な、還元的アルキル化生成物を得た。
【0040】
Boc保護基の除去の一般的手順
上記の還元的アルキル化のステップで得られた生成物(1当量)をDCM中に溶解し、過剰のTFA(80当量)をゆっくりと加えた。
【0041】
反応物を1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。混合物を10%のNaOHにより中和し、DCMにより抽出し、次のステップに対して十分に純粋な、ピペリジン生成物を得た。
【0042】
4−(アルキル)アミノメチルピペリジン合成の一般的手順
N−Boc−イソニペコ酸(1当量)およびTBTU(1当量)のCH3CN中懸濁液に、適当なアミン(2当量)を加えた。得られた溶液を85℃で6時間攪拌した。
【0043】
反応混合物を減圧下で濃縮し、次いでDCM中に溶解し、飽和Na2CO3水溶液により2回洗浄した。
【0044】
溶媒除去により、次のステップに対して通常は十分に純粋な、4−(アルキル)カルバモイル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル生成物を得た。
【0045】
このようにして得られたアミドを0℃の6N HCl溶液中に溶解した。10分後にTLC分析は概ね出発原料の消滅を示したので、混合物をNaOH(ペレット)によりpH12まで塩基性化し、AcOEtにより抽出した。
【0046】
有機相を減圧下で濃縮することにより、ピペリジン−4−カルボン酸アミド生成物を得た。これは次のステップのためのさらなる精製をせずに用いられた。
【0047】
ピペリジン−アミド(0℃)を無水THF中のLiAlH4懸濁液に加えた。30分攪拌した後、反応物を1時間加熱還流し、このときTLC分析は概ね出発アミドの完全な変換を示した。反応物を0℃に冷却し、LiAlH4をH2OおよびNaOH(10%水溶液)により失活させた。無機塩をろ過し、溶液を減圧下で濃縮し、次のステップに対して通常は十分に純粋な、ピペリジン−4−イルメチルアミン生成物を得た。
【0048】
4−(2−(N−アルキルアミノ)エチルピペリジン合成の一般的手順
a)4−[2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのDCM中溶液(0.65mmol/mL)に、p−トルエンスルホニルクロリド(1.5当量)およびジメチルアミノピリジン(1当量)を加えた。反応物を室温で18時間放置したところ、TLCは出発物質の完全な変換を示した。
【0049】
混合物を2NのNaOH、次いで2NのHClにより洗浄し、有機相をNa2SO4で乾燥し、次いで減圧下で濃縮した。得られた油分をSiO2カラムにより精製し、DCMで溶出させ、純粋な生成物を定量的収率で得た。
【0050】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):1.01〜1.15(m,2H)、1.44(s,9H)、1.47〜1.57(m,2H)、1.62〜1.72(m,3H)、2.44(s,3H)、2.54〜2.65(m,2H)、3.95〜4.1(m,4H)、7.36(d,2H,J=7.3)、7.78(d,2H,J=7.3)。
【0051】
b)4−(2−(N−アルキルアミノ)−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル合成の一般的手順
選択したアルキルアミン(2当量)に、4−[2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのCH3CN中溶液(0.65mmol/mL、1当量)を加え、反応物を80℃で約6時間加熱した。変換が完了するとすぐ(薄層クロマトグラフィーによりモニタリングされる)、混合物を室温まで冷却し、飽和NaCl水溶液により洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、次いで減圧下で濃縮した。得られた油分をSiO2カラムで精製し、100%DCMから開始してDCM−NH3(2NのMeOH溶液)9:1までのグラジエントで溶出させた。
【0052】
c)4−(2−(N−アルキルアミノ)−エチル)−ピペリジン合成の一般的手順
6NのHCl溶液(30当量)に、4−(2−(N−アルキルアミノ)−エチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを加え、反応物を室温で10分攪拌した。混合物をpH12まで塩基性化し、生成物をDCMで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥し、次いで減圧下で濃縮して純粋な生成物を得た。
【0053】
ウレア合成の一般的手順
ジクロロメタン中のアミン(1当量)の冷却溶液に、等モル量のアリールイソシアナートまたはヘテロアリールイソシアナートを加えた。アミンが塩酸塩または二塩酸塩の形態である場合、等モル量のTEAを加えてアミンを遊離塩基とした。
【0054】
混合物を0℃で1〜4時間攪拌させた。p−ブロモフェニルウレアは一般に溶液から白色固体として沈殿し、ろ過により回収され、必要に応じてEt2Oによる洗浄またはフラッシュクロマトグラフィーによりさらに精製された。m−ブロモフェニルウレアを減圧下での溶媒除去により単離し、AcOEt:Et2Oの混合物から結晶化により精製した。
【0055】
クロスカップリング反応の一般的手順−温熱条件
上記のウレア合成の一般的手順に従って調製されたアリールブロミドまたはヘテロアリールブロミド(1当量)の脱ガス溶液に、40容(重量/容積)のアセトニトリル/0.4NのNa2CO3水溶液(1/1)、Pd[(PPh3)]4(10%mol)に溶解した適当なボロン酸(1.3当量)を加えた。丸底フラスコまたはBuchi SynCore(登録商標)装置内のガラス試験管中にて、溶液を窒素下で一晩還流させた。
【0056】
アセトニトリル相を分離し、所望の生成物をSCXまたはシリカカラムで精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥した。
【0057】
クロスカップリング反応の一般的手順−マイクロ波条件−Pd[(PPh3)]4
ウレア合成の一般的手順に従って調製された臭化物(1当量)の脱ガス溶液に、20容(重量/容量)のアセトニトリル/水(1/1)中の適当なボロン酸(1当量)およびNa2CO3(3当量)、Pd[(PPh3)]4(10%mol)を加えた。
【0058】
次のパラメータを用いて、溶液にマイクロ波を照射した。電力200ワット、上昇時間1分、保持時間20分、温度90℃、圧力200psi。
【0059】
アセトニトリル相を分離し、溶媒を減圧下で除去し、粗製物をSCXカラムを用いて精製した(DCM/MeOH、MeOH、NH3/MeOHのグラジエントにより溶出する)。所望の生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥させた。
【0060】
クロスカップリング反応の一般的手順−マイクロ波条件−トリ−o−トリルホスフィン
一般的手順に従って調製したアリール/ヘテロアリールブロミド(1当量)のDME/H2O(1.8/0.3)中脱ガス溶液に、適当なボロン酸(1.5当量)、Na2CO3(2当量)、Pd(OAc)2(10%mol)、およびトリ−o−トリルホスフィン(40%mol)を加えた。溶液は電力200Wで20分マイクロ波条件下で照射した。
【0061】
有機相を分離し、所望の生成物をSCXカラムおよび/または分取HPLCを用いて精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、減圧下で乾燥させた。

実施例1
4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(2’−クロロ−ビフェニル
−4−イル)−アミド
a)4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アゼピン(0.99g、10mmol)を20mLのDCMに溶解し、N−boc−ピペリドン(2.58g、13mmol)を加えた。反応物を1時間攪拌し、次いでNaBH(OAc)3(3.16g、15mmol)を加え、混合物をさらに18時間攪拌した。
【0062】
混合物をpH2のHCl溶液で抽出し、次いで水性相をpH12まで塩基性化し、DCMで抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、表題生成物を得た(1.7g、収率60%)。
【0063】
C16H30N2O2質量(計算値)[282.43]、(実測値)[M+H+]=283。
【0064】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)1.29〜1.52(11H,m);1.53〜1.67(8H,m);1.67〜1.81(2H,m);2.48〜2.80(7H,m);3.98〜4.28(2H,m)。
【0065】
b)1−ピペリジン−4−イル−アゼパン
4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.7g、6.1mmol)を10mLのDCMに溶解し、10mLのTFAをゆっくりと加えた。
【0066】
反応物を1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。混合物をNaOH10%で中和し、DCMで抽出して表題化合物を得た(800mg、収率72%)。
【0067】
C11H22N2質量(計算値)[182.31]、(実測値)[M+H+]=183。
【0068】
LC保持時間(5分方式)=0.37。
【0069】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)1.30〜1.46(2H,m)、1.49〜1.67(9H,m)、1.70〜1.82(2H,m)、2.44〜2.61(3H,m)、2.63〜2.67(4H,m)、3.04〜3.17(2H,m)。
【0070】
c)4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミド
ジクロロメタン(20mL)中の1−ピペリジン−4−イル−アゼパン(0.80g、4.4mmol)の冷却溶液に、4−ブロモフェニルイソシアナート(0.88g、4.4mmol)を加えた。2時間後に白色固体の沈殿が観察されるまで、混合物を0℃で攪拌した。
【0071】
白色固体をろ過し、Et2Oで洗浄して1.49gの表題生成物(収率90%)を得た。
【0072】
C18H26BrN3O質量(計算値)[380.33]、(実測値)[M+H+]=380/382(Br)。
【0073】
LC保持時間(5分方式)=1.63、92%。
【0074】
NMR(400MHz,DMSO):1.19〜1.39(2H,m);1.43〜1.58(8H,m);1.61〜1.63(2H,m);2.52〜2.65(4H,m);2.65〜2.82(2H,m);4.03〜4.19(2H,m);7.36(2H,d,J=8Hz);7.42(2H,d,J=8Hz)、8.57(1H,s)。
【0075】
d)4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(2’−クロロ−ビフェニル−4−イル)−アミド
4−アゼパン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミドを秤量し(0.1g、0.26mmol)、ガラス試験管中に入れて4mLのアセトニトリル/0.4N Na2CO3水溶液(1/1)の脱ガス溶液に溶解した。この溶液に、2−クロロフェニルボロン酸(0.066g、0.42mmol)およびPd[P(Ph3)]4(10%mol)を加えた。混合物を80℃に加熱し、Buchi SynCore(登録商標)にて18時間振とうした。
【0076】
溶液をAcOEtで希釈し、有機相を分離し、減圧下で乾燥させた。粗製物をSiO2カラムで精製した(溶離液:DCMからDCM/MeOH 9/1までのグラジエント)。生成物を含有する画分を収集し、減圧下で乾燥させた(収率14%)。
【0077】
C24H30ClN3O質量(計算値)[411.98]、(実測値)[M+H+]=412。
【0078】
LC保持時間:2.89、100%。

実施例2
[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸(2’−クロロ−ビフェニル−4−イル)−アミド
[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミドを秤量し(0.1g、0.28mmol)、ガラス試験管中に入れ、前もって脱ガスした4mLのアセトニトリル/0.4N Na2CO3水溶液(1/1)の溶液で溶解した。この溶液に、2−クロロフェニルボロン酸(0.066g、0.42mmol)およびPd[P(Ph3)]4(10%mol当量)を加えた。混合物を80℃に加熱し、Buchi SynCore(登録商標)にて18時間振とうした。
【0079】
溶液をAcOEtで希釈し、有機相を分離し、減圧下で乾燥させた。粗製物をSiO2カラムで精製した(溶離剤:DCMからDCM/MeOH 9/1までのグラジエント)。生成物を含有する画分を収集し、減圧下で乾燥させて表題化合物を得た(収率13%)。
【0080】
C23H28ClN3O質量(計算値)[397.95]、(実測値)[M+H+]=398。
【0081】
LC保持時間(10分方式):2.83、97%。

実施例3
4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(3’−カルバモイル−ビフェニル−4−イル)アミド
4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミドを秤量し(0.1g、0.3mmol)、ガラス試験管に入れ、4mLのアセトニトリル/0.4N Na2CO3水溶液(1/1)の脱ガス溶液に溶解した。この溶液に、3−ベンズアミド−フェニルボロン酸(0.069g、0.42mmol)およびPd[P(Ph3)]4(10%mol)を加えた。混合物を80℃に加熱し、Buchi SynCore(登録商標)にて18時間振とうした。
【0082】
溶液をAcOEtで希釈し、有機相を分離し、減圧下で乾燥させた。粗製物をSiO2カラムで精製した(溶離剤:DCMからDCM/MeOH 9/1までのグラジエント)。生成物を含有する画分を収集し、減圧下で乾燥させた(収率28%)。
【0083】
C23H28N4O2質量(計算値)[392.51]、(実測値)[M+H+]=393。
【0084】
LC保持時間(10分方式):0.33〜1.78(二重ピーク)、>90%。
【0085】
1H−NMR(CD3OD):1.30〜1.48(2H,m)、1.65〜1.79(4H,m)、1.85〜2.01(1H,m)、2.49〜2.66(4H,m)、2.76〜2.92(2H,m)、4.06〜4.21(2H,m)、7.36〜7.47(3H,m)、7.49〜7.56(2H,m)、7.68〜7.75(1H,m)、8.03(1H,s)。
【0086】
実施例4
4−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸(2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−アミド
a)4−(ピペリジン−1−カルボニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
60mLのCH3CN中のN−Boc−イソニペコ酸(3.0g、13.1mmol)およびTBTU(4.2g、13.1mmol)の懸濁液に、ピペリジン(1.67g、19.6mmol)を加えた。得られる溶液を85℃で6時間攪拌した。
【0087】
反応混合物を減圧下で濃縮し、次いでDCMに溶解し、飽和Na2CO3水溶液で2回洗浄した。
【0088】
溶媒除去により、3.2gの表題化合物を得た。これは精製されずに次のステップで使用された。
【0089】
b)ピペリジン−4−イル−ピペリジン−1−イル−メタノン
3.2g(10.8mmol)の4−(ピペリジン−1−カルボニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを25mLの6N HCl溶液に0℃で溶解した。
【0090】
10分後にTLCは出発物質の完全な変換を示し、混合物を0℃に冷却し、NaOH(ペレット)によりpH10に塩基性化し、AcOEtにより抽出した。有機相を減圧下で濃縮して1.9gの表題化合物(収率91%)を得た。
【0091】
NMR(400MHz,DMSO):1.43〜1.59(4H,m)、1.60〜1.75(8H,m)、2.53〜2.71(3H,m)、3.06〜3.20(2H,m)、3.36〜3.47(2H,m)、3.50〜3.61(2H,m)。
【0092】
c)4−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン
1.9g(9.8mmol)のピペリジン−4−イル−ピペリジン−1−イル−メタノンを、0.74g(17.7mmol)のLiAlH4の無水THF中懸濁液に加えた(0℃)。30分攪拌した後、反応物を1時間還流加熱した。このときTLC分析は出発アミドの完全な変換を示した。
【0093】
反応物を0℃に冷却し、LiAlH4を0.7mLのH2Oおよび2.8mLのNaOH(10%水溶液)で失活させた。無機塩をろ過し、溶液を減圧下で濃縮し、NMRでの純度が約80%である1.2gの表題化合物を得た。これは次のステップに用いられた。
【0094】
NMR(400MHz,CDCl3):0.99〜1.23(2H,m)、1.30〜1.45(2H,m)、1.46〜1.67(4H,m)、1.67〜1.77(2H,m)、2.15〜2.37(4H,m)、2.52〜2.63(1H,m)、3.02〜3.11(1H,m)。
【0095】
d)4−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミド
ジクロロメタン(20mL)中の4−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン(1.2g、純度80%、6.3mmol)の冷却溶液に、p−ブロモフェニルイソシアナート(1.24g、6.3mmol)を加え、2時間後に白色固体が溶液から沈殿するまで、混合物を0℃で攪拌した。白色固体をろ過し、Et2Oで洗浄して1.2gの純粋な表題化合物(収率50%)を得た。
【0096】
分子式:C18H26BrN3O。
【0097】
質量(計算値)[380.33]、(実測値)[M+H+]=380〜382。
【0098】
LC保持時間(10分方式):2.11、99%。
【0099】
NMR(400MHz,DMSO):0.81〜1.07(2H,m)、1.29〜1.39(2H,m)、1.40〜1.50(4H,m)、1.57〜1.73(3H,m)、1.95〜2.08(2H,m)、2.15〜2.35(4H,m)、2.66〜2.77(2H,m)、4.00〜4.10(2H,m)、7.35(2H,d,J=8.8Hz)、7.41(2H,d,J=8.8Hz)、8.54(1H,s)。
【0100】
DME/H2O(1.8mL/0.3mL)中の4−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミド(100mg、0.26mmol)の脱ガス溶液に、2−フルオロフェニルボロン酸(55mg、0.39mmol)、Na2CO3(55mg、0.52mmol)、Pd(OAc)2(6mg、10%mol)、およびトリ−o−トリルホスフィン(34mg、20%mol)を加えた。溶液を200Wの電力で20分、マイクロ波条件下で照射した。次いで有機相を1mLのAcOEtで希釈し、分離してSCXカラムに装入し、10mLのMeOHで溶出させてトリフェニルホスフィンオキシドを除去し、次いでNH3(2N MeOH溶液)で溶出させて純粋な生成物を回収した(55mg、収率56%)。
【0101】
分子式:C24H30FN3O。
【0102】
質量(計算値)[395]、(実測値)[M+H+]=396。
【0103】
LC保持時間(10分方式):2.73、99%。
【0104】
1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):0.92〜1.09(m,2H)、1.28〜1.40(m,2H)、1.41〜1.56(m,4H)、1.61〜1.79(m,3H)、2.01〜2.11(m,2H)、2.12〜2.37(m,4H)、2.69〜2.84(m,2H)、4.00〜4.19(m,2H)、7.22〜7.29(m,2H)、7.31〜7.36(m,1H)、7.38〜7.44(m,2H)、7.43〜7.56(m,1H)、7.51〜7.59(m,2H)、8.57(s,1H)。
【0105】
実施例5
4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸(2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)アミド
a)4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
2.5mLの非希釈ピペリジン(26mmol)に、20mLのCH3CN中の4.9gの4−[2−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル溶液を加え、反応物を80℃で約6時間加熱した。TLCが完全な変換を示したら、混合物を室温まで冷却し、20mLの飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮した。得られた油分をSiO2カラムで精製し、100%DCMから開始してDCM−NH3(2N MeOH溶液)9−1までのグラジエントで溶出させ、1.8gの純粋な生成物を得た(収率46%)。
【0106】
分子式:C17H32N2O2。
【0107】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):1.08〜1.14(m,2H)、1.38〜1.46(m,15H)、1.52〜1.67(m,7H)、2.26〜2.42(m,6H)、2.61〜2.74(m,2H)、3.91〜4.15(m,2H)。
【0108】
b)4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン
44mLの6N HCl溶液に、4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを加え、反応物を室温で10分攪拌した。混合物をpH12まで塩基性化し、生成物を20mLのDCMで抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して440mgの純粋な生成物を得た(収率37%)。
【0109】
分子式:C12H24N2。
【0110】
質量(計算値)[196.34]、(実測値)[M+H+]=197。
【0111】
LC保持時間(10分方式):0.42、100%。
【0112】
c)4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミド
ジクロロメタン(10mL)中の4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン(440mg、2.2mmol)の冷却溶液に、p−ブロモフェニルイソシアナート(442mg、2.2mmol)を加え、混合物を0℃で2時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEt2Oで洗浄した。得られた固体をろ過し、750mgの純粋な生成物を得た(収率85%)。
【0113】
分子式:C19H28BrN3O。
【0114】
質量(計算値)[394.36]、(実測値)[M+H+]=394〜396。
【0115】
LC保持時間(10分方式)=2.67、92%。
【0116】
d)4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸(2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−アミド
DME/H2O(1.8mL/0.3mL)中の4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸(4−ブロモ−フェニル)−アミド(100mg、0.25mmol)の脱ガス溶液に、2−フルオロフェニルボロン酸(55mg、0.39mmol)、Na2CO3(55mg、0.52mmol)、Pd(OAc)2(6mg、10%mol)、およびトリ−o−トリルホスフィン(34mg、20%mol)を加えた。溶液を電力200Wで20分、マイクロ波条件下で照射した。
【0117】
有機相を1mLのAcOEtで希釈し、分離した。
【0118】
有機相をSCXカラムに装入し、10mLのMeOHで溶出させてトリフェニルホスフィンオキシドを除去し、次いでNH3(2N MeOH溶液)で溶出させて純粋な生成物(25mg、収率25%)を回収した。
【0119】
分子式:C25H32FN3O。
【0120】
質量(計算値)[409.55]、(実測値)[M+H+]=410。
【0121】
LC保持時間(10分方式)=3.01、100%。
【0122】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):0.97〜1.10(m,2H)、1.27〜1.32(m,3H)、1.43〜1.49(m,4H)、1.58〜1.70(m,2H)、2.18〜2.37(m,4H)、2.67〜2.78(m,2H)、4.03〜4.11(m,2H)、7.19〜7.28(m,2H)、7.29〜7.36(m,1H)、7.36〜7.41(m,2H)、7.43〜7.49 9m,1H)、7.51〜7.56(m,2H)、8.55(s,1H)。
【0123】
表1−実施例6〜20
表1は合成した化合物から選択したものを示しており、これらは、表の最後の列に示され、実験手順において実施例1〜5の合成と共に詳細に論じた方法に従って調製された。化合物がHCl塩として表される場合、この塩は、遊離塩基をメタノールに溶解し、エーテル中の1当量の1M HClを加え、続いて溶媒を蒸発させることにより形成された。化合物がHCOOH(ギ酸)塩として表される場合、化合物は分取HPLCにより精製された。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
生物活性
α7ニコチン性アセチルコリン受容体のクローニングおよび安定な組み換えα7 nAChR発現細胞系の生成
α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする完全長cDNAを、標準の分子生物学的手法を用いて、ラット脳cDNAライブラリーからクローニングした。次いでラットGH4C1細胞にラット受容体をトランスフェクトし、クローニングし、細胞内カルシウム濃度の変化を測定するためにFLIPRアッセイを利用してα7ニコチン性受容体の機能発現について分析した。アゴニスト(ニコチン)の施用に対して最も高いカルシウム媒介性の蛍光シグナルを示した細胞クローンをさらにサブクローニングし、続いて、テキサスレッド標識α−ブンガロトキシン(BgTX)で染色することにより、α7ニコチン性アセチルコリン受容体発現のレベルおよび均一性を共焦点顕微鏡法を用いて分析した。次いで3つの細胞系を増殖させ、次の化合物スクリーニングで使用する前に、その中の1細胞系について薬理学的特性を決定した(下記の表2を参照)。
【0130】
【表6】

【0131】
一次スクリーニングのためのFLIPR機能アッセイの開発
α7ニコチン性アセチルコリン受容体をスクリーニングするために、安定な組み換えGH4C1細胞系を利用したロバストなFLIPR機能アッセイ(Z’=0.68)を開発した。FLIPRシステムは、生細胞中のリアルタイムのCa2+濃度変化を、Ca2+感受性蛍光色素(Fluo4など)を用いて測定することを可能にする。この測定器はGH4C1細胞において安定に発現するα7 nAChRチャネルに対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニングを可能にする。
【0132】
細胞培養
ラット−α7−nAChR(上記参照)を安定にトランスフェクトしたGH4C1細胞を用いた。これらの細胞は粘着性に乏しく、そのためフラスコとプレートのポリ−D−リジンによる前処理を行った。30mLの培地で満たした150cm2のTフラスコ中で、37℃、5%CO2にて細胞を増殖させた。
【0133】
データ解析
EC50値およびIC50値を、S字形の濃度−反応(傾き不定)式:
Y=最底部+((最上部−最底部)/(1+((EC50/X)^傾斜部の傾き))
を利用するIDBS XLfit4.1ソフトウエアパッケージを用いて計算した。
【0134】
アッセイの有効性確認
α7 nAChRアゴニストであるニコチン、シチシン、DMPP、エピバチジン、コリン、およびアセチルコリンにより、FLIPR機能アッセイの有効性を確認した。0.001〜30μMの濃度範囲で濃度−反応曲線を得た。得られたEC50値を表2に載せており、得られたアゴニストの順位は公表されているデータ(Quikら、1997)(22)と一致している。
【0135】
アッセイの有効性を特定のα7 nAChRアンタゴニストMLA(メチルリカコニチン(methyllycaconitine))によりさらに確認し、これは10μMの競合的ニコチン濃度と共に、1μM〜0.01nMの濃度範囲で用いた。IC50値は、9回の独立する実験において1.31±0.43nMと計算された。
【0136】
選択性試験のためのFLIPR機能アッセイの開発
α1(筋肉系)およびα3(神経節系)nACh受容体ならびに構造的に関連する5−HT3受容体に対する化合物の選択性を試験するために、FLIPR機能アッセイを開発した。横紋筋肉腫由来のTE671細胞系において自然に発現するα1受容体の活性を決定するために、膜電位感受性色素を利用するアッセイを用いたが、一方、α3の選択性は天然SH−SY5Y細胞系を用いるカルシウムモニタリングアッセイにより決定した。5−HT3受容体に対する選択性を試験するために、HEK 293細胞においてヒト5−HT3A受容体を発現する組み換え細胞系を構築し、カルシウムモニタリングFLIPRアッセイを用いた。
【0137】
化合物のスクリーニング
α7 nAChRを発現する安定な組み換えGH4C1細胞系を利用するFLIPR一次スクリーニング機能アッセイを用いて、化合物を試験した。特定したヒット化合物について、濃度−反応曲線の生成によりさらに有効性を確認した。FLIPRスクリーニング機能アッセイにおいて測定された実施例1〜20の化合物の効力は10nM〜30μMの間の範囲であることが分かり、大部分は10nM〜10μMの間の範囲の効力を示した。
【0138】
参考文献
【0139】
【表7】

【0140】
【表8】

【0141】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


の化合物であって、
式中、
AはNまたはCHであり、
aは1〜4の整数であり、
bは、0、1、または2であり、
jは、0、1、または2であり、
Xは式:
【化2】


の基であり、
式中、
Zは、CH2、N、O、S、S(=O)、またはS(=O)2であり、
pは、0、1、2、または3であり、
T’は、pが1を超える場合は互いに独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロ、オキソ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニルアミノ;(C1〜C3)アルキルスルホニルアミノ;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノスルホニル;モノ−またはジ−(C1〜C3)アルキルアミノスルホニル;スルファモイル;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルを表し、あるいは、pが2または3の場合、2つのT’置換基は、それらが結合するX環の原子と共に、スピロ接合または縮合接合を有する5〜8員環を形成し、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜4の整数であり、
Qは5〜10員の芳香族環または芳香族複素環であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル;トリハロアルキル、アルコキシ、またはアルキルカルボニル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリール−カルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ、モノ−もしくはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールアミノカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノまたはアルキルアミノカルボニル;カルバモイル;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ;(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルホニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルスルホニル;モノ−またはジ−(C5〜C10)アリール−またはヘテロアリールスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキルから独立して選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jは、0、1、または2であり、
R’は、j=2のとき互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ−(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイル;(C6〜C10)アリール−または(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノ;(C6〜C10)アリール−または直鎖状、分岐状、もしくは環状の(C1〜C6)アルキルスルファモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル、モノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルアミノ−(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ−(C1〜C6)アルキルを表す
式Iの化合物。
【請求項2】
AがNであり、
aが1〜3の整数であり、
bが、0、1、または2であり、
Xが式:
【化3】


の基であり、
式中、
Zは、CH2、N、Oであり、
pは0または1であり、
T’は、pが1を超える場合互いに独立して、直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルを表し、あるいはpが2または3の場合、2つのT’置換基は、それらが結合するX環の原子と共に、スピロ接合または縮合接合を有する5〜8員環を形成し、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜4の整数であり、
Qが5〜10員の芳香族環または芳香族複素環であり、
Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、またはアルキルカルボニル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ(C1〜C6)アルキルアミノまたはアルキルアミノカルボニル;カルバモイル;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルコキシ−(C1〜C6)アルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jが、0、1、または2であり、
R’が、j=2のとき互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、トリハロメチル、トリハロメトキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C6)アルキル、トリハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキルを表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがNであり、
aが1〜2の整数であり、
bが、0、1、または2であり、
Xが式:
【化4】


の基であり、
式中、
ZはCH2であり、
pは0であり、
qおよびq’は、互いに独立して、1〜3の整数であり、
Qが5〜10員の芳香族環であり、
Rが、ハロゲン;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C3)アルキル、アルコキシ;直鎖状、分岐状、または環状の(C1〜C3)アルキルカルボニルアミノ;直鎖状、分岐状、または環状の、モノ−またはジ(C1〜C3)アルキルアミノカルボニル;カルバモイルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換された5〜10員の芳香族環または芳香族複素環を表し、
jが0である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
QおよびRの両方がフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4に記載の化合物および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項6】
神経性、精神性、認知性、免疫性、および炎症性の障害を治療する医薬品を調製するための、請求項1から4に記載の化合物の使用。
【請求項7】
神経変性疾患の治療のための、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
老人性認知症、注意力欠陥障害、アルツハイマー病、および統合失調症の治療のための、請求項6および7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から4に記載の有効量の化合物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、α7 nAChRが関与する疾患、状態、または機能不全を治療または予防する方法。
【請求項10】
神経変性疾患、特にアルツハイマー病および統合失調症の予防または治療のための、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−523747(P2009−523747A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550681(P2008−550681)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000381
【国際公開番号】WO2007/082731
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507018805)シエナ ビオテク ソシエタ ペル アチオニ (6)
【氏名又は名称原語表記】SIENA BIOTECH S.P.A.
【Fターム(参考)】