説明

β作用薬吸入用のエアロゾル製剤

本発明は、式1の化合物を1以上含む、噴射剤を含まない吸入のためのエアロゾル製剤に関し、



(1)

式中、基R1、R2、R3及びX-は請求項及び明細書に記載された意味を有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般式1の化合物を1以上含む、噴射剤を含まない吸入のためのエアロゾル製剤に関し、
【化1】

1

式中、基R1、R2、R3及びX-は、特許請求の範囲及び明細書に記載された意味を有してもよい。
【0002】
(発明の背景)
β模倣薬(β-アドレナリン性物質) は先行技術により公知である。これに関し、例えば種々の疾病治療のためのβ模倣薬を提案する、欧州特許第1562603号または米国特許第7056916号の開示を参照することができる。疾病の薬物療法においては、長時間作用型の医薬品を調製することがしばしば望まれる。これにより、概して、薬物投与を頻繁に行わずに、治療効果獲得に要する体内の有効成分の濃度をより長い間保つことが担保される。さらに、より間隔を空けて有効成分を投与することは、患者の健康に高く寄与する。治療上、一日一回の投与(単回投与)で使用できる医薬組成物を調製することが特に望ましい。一日一回の薬物の使用は、患者が、一日の決まった時刻に薬物を定期的に服用することに比較的早く慣れるようになるという利点がある。
従って、本発明の目的は、例えば呼吸器系疾患の治療において治療的利益を有し、同時に、長時間作用することを特徴とし、それゆえ長時間作用型の医薬品の調製に使用することができる、吸入用医薬製剤を提供することである。
【0003】
(発明の説明)
上述の課題を解決するため、本発明は以下の医薬製剤を提案する。本発明の医薬製剤は、
【化2】

1
単独の有効成分として一般式1の化合物を1以上含み、
式中、
R1は水素、フッ素、塩素またはメチル、好ましくは水素を表し、
R2は水素、フッ素、塩素またはメチル、好ましくは水素を表し、
R3はメチル、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOHまたはOCH2COOエチルを表し、
X-は塩化物、臭化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩及び琥珀酸塩から選択される単一の負電荷をもつアニオンを表し、
互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよく、
さらに、塩化ベンザルコニウム、
少なくとも1の薬理学的に許容される酸、
及び、溶媒として、水、エタノールまたは水及びエタノールの混合物、
任意に他の薬理学的に許容される賦形剤及び/または錯化剤
を含み、
化合物1の含有量が、溶液100ml当たり55〜200μmolであることを特徴とする、噴射剤を含まない医薬製剤である。
【0004】
また、好ましくは、一般式1の化合物を含む医薬製剤であり、
R3はメトキシ、エトキシ、フッ素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチルまたはO-CH2-COOエチルを表し、
R1、R2及びX-は上述の意味を有してよく、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよい。
また、好ましくは、一般式1の化合物を含む医薬製剤であり、
R1及びR2は水素またはフッ素を表し、
R3はフッ素、メトキシ、エトキシ、O-CH2-COOH、好ましくはフッ素、メトキシまたはエトキシを表し、
及びX-は上述の意味を有してよく、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよい。
【0005】
また、好ましくは、一般式1の化合物を含む医薬製剤であり、前記化合物は、
- 6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(エチル4-フェノキシ-アセテート)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-フェノキシ-酢酸)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3.5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-クロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-クロロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(2,5-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-フルオロ-3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(4-クロロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3.4,5-トリフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
- 8-{2-[2-(3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン及び
- 8-{2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
から成る基から選択され、それぞれ酸HXを有する酸付加塩(acid addition salt)の形であり、X-は上述の意味のうちの一つを有してもよく、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはそれらの溶媒和物の形でもよい。
【0006】
また、特に好ましくは一般式1a-1eの化合物を含む医薬製剤であり、
【化3】


それぞれ酸HXを有する酸付加塩の形であり、X-は上述の意味のうちの一つを有してもよく、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはそれらの溶媒和物の形でもよい。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明の医薬製剤には、溶媒として純水、純粋なエタノール、またはエタノールと水の混合物が含まれる。エタノールと水の混合物を使用する場合、混合物中のエタノールの質量パーセントは、好ましくはエタノール5〜99%、特に好ましくはエタノール10〜96%の範囲である。特に、本発明の目的に対して最も好ましい医薬製剤には、溶媒として純水、純粋なエタノール、またはエタノール50〜92%、特に好ましくはエタノール69〜91%のエタノールと水の混合物が含まれる。所望により、エタノールと水に加え、他の共溶媒を使用してもよい。しかしながら、本発明においては、さらなる溶媒は使用しないことが好ましい。
式1の化合物は、本発明の医薬製剤に互変異性体の形で存在してもよい。互変異性とは、σ-またはπ-結合の置換により生じ、平衡状態で存在してよい異性化合物の発生を意味する。式1の化合物の可能な互変異性の形とは、例えば以下の式が挙げられ、
【化4】


または、同様に以下の式が挙げられる。
【化5】

【0008】
別の側面において、本発明は、式1の上述の化合物を、個々の光学異性体、個々の鏡像異性体またはラセミ体の混合物の形で含む医薬製剤に関する。特に好ましくは、式1の上述の化合物を、高いエナンチオマー純度(enantiomeric purity)をもつ化合物の形で含む医薬製剤であり、式1の化合物のR-鏡像異性体は本発明において非常に重要である。これらのR-鏡像異性体は、一般式R-1により表されてもよく、
【化6】

R-1,

式中、基R1、R2、R3及びX-は、上述の意味を有してよい。
別の側面において、本発明は、種々の原因の閉塞性肺疾患、種々の原因の肺気腫、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、種々の原因の気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸促迫症候群)及び肺水腫のすべての形態から選択される、呼吸器系疾患治療用の医薬組成物の調製のための、本発明の医薬製剤の使用に関する。
本化合物は、上述のとおり、気管支喘息、小児喘息、重症喘息、急性喘息発作、慢性気管支炎及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される閉塞性肺疾患の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましく、一方で、本化合物は、気管支喘息またはCOPDの治療のための医薬組成物の調製に使用することが特に好ましい。
【0009】
また、本発明の医薬製剤は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)またはα1-プロテイナーゼインヒビター欠乏症を原因とする肺気腫の治療のための、医薬品の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、アレルギー性胞隔炎、石綿肺症または珪肺症等の職場で発生する有害物質により引き起こされる拘束性肺疾患、及び例えば癌性嚢症、気管支肺胞癌及びリンパ腫等の肺腫瘍が原因の拘束から選択される拘束性肺疾患の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、感染を原因とする肺炎、例えばウィルス、バクテリア、真菌、原生動物、蠕虫または他の病原体等による感染;種々の要因による肺臓炎、例えば誤嚥及び左心不全、放射線誘発肺炎または線維症等;膠原病、例えばループス性エリテマトーデス、全身性強皮症又はサルコイドーシス;肉芽腫症例えばベック病、特発性間質性肺炎または特発性肺線維症等から選択される、間質性肺疾患の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、嚢胞性線維症または膵線維症(mucoviscidosis)の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、例えば細菌またはウィルス感染が原因の気管支炎、アレルギー性気管支炎及び中毒性気管支炎(toxic bronchitis)の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、気管支拡張症の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、ARDS(成人呼吸促迫症候群)の治療のための医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
また、本発明の医薬製剤は、肺水腫、例えば毒物及び異物の誤嚥または吸入後の中毒性肺水腫の治療のための、医薬組成物の調製に使用することが好ましい。
特に好ましくは、本発明は、喘息またはCOPDの治療用の医薬組成物の調製のための、本発明の医薬製剤の使用に関する。また、本発明の医薬製剤を、炎症性及び閉塞性呼吸器系疾患の一日一回の治療、特に喘息またはCOPDの一日一回の治療のための、医薬組成物の調製に使用することが特に重要である。
さらに、本発明は、本発明の1以上の上述の医薬製剤が、治療上有効な量で投与されることを特徴とした、上述の疾病の治療のための方法に関する。
【0010】
本発明は、吸入により投与できる、これらの化合物の、有効成分が液体である製剤に関する。本発明の液体製剤は、高い品質基準を満たさなければならない。本発明の製剤は、経口または経鼻によって吸入してもよい。有効成分を肺へ最適に分布させるため、好適な吸入器を用いて投与する、噴射ガスを含まない、液体製剤を使用することが賢明である。この種の製剤は、経口または経鼻によって吸入してよい。液体製剤を、治療的目的に要する用量の分だけわずか数秒で噴霧し、治療的吸入に好適なエアロゾルにすることができる吸入器が特に好適である。本発明の範囲内において、好ましいネブライザーとは、100マイクロリットルより少ない量、好ましくは50マイクロリットルより少ない量、最も好ましくは25マイクロリットルより少ない量の有効成分溶液を、好ましくは1パフまたは2パフで噴霧でき、平均粒度(または粒径)が20μm(ミクロン)より小さく、好ましくは10μm(ミクロン)より小さいエアロゾルを形成し、エアロゾルの吸入可能な部分を、治療的に有効な量にすでに相当させるネブライザーである。
【0011】
定量の吸入用液体医薬組成物を、噴射剤なしで投与するこの種の装置は、例えば国際特許出願WO91/14468号"Atomizing Device and Methods"、また国際特許出願WO97/12687号、図6a及び6b、及びそれに伴う記載において詳細に記されている。この種のネブライザーでは、医薬溶液が500バールまでの高圧により、肺へ向けてスプレーするエアロゾルへ転換される。本明細書の範囲内においては、上述の文献の全内容を特に参照できる。
この種の吸入器においては、溶液の製剤が貯蔵器に貯蔵されている。使用する有効成分製剤は、医学的目的に照らして、貯蔵時に十分安定していること、同時に、可能であれば特別な操作を施すことなく、直接投与できるような状態であることが不可欠である。また、吸入器、溶液または生成したエアロゾルの医薬的品質を損なう方法で吸入器と相互に作用する成分を含むべきではない。
溶液を噴霧するため、例えば国際特許出願WO94/07607号または国際特許出願WO99/16530号に記載されるとおり、特殊なノズルを使用する。前記二件の公報をここに特に参照する。
【0012】
本発明の目的は、上述の吸入器を用い、溶液の最適な噴霧化を実現するために必要な高い基準を満たす、水溶性でエタノール性の、または式1の化合物の水溶性、エタノール性製剤を提供することである。本発明の有効成分製剤は、十分に高い医薬的品質を保たなければならない。つまり、保存期間の数年、好ましくは少なくとも一年間、より好ましくは二年間、医薬的に安定していなければならない。これらの噴霧剤を含まない溶液の製剤は、吸入器により圧力下で噴霧することが可能でなければならず、生成したエアロゾルに加えられる組成物は指定の範囲内のものである。
【0013】
本発明の範囲内において、式中、X-が塩化物、マレイン酸塩、サリチル酸塩、フマル酸塩または琥珀酸塩から選択され、それらの水和物及び溶媒和物の形でもよい、式1の化合物を使用することが特に好ましい。
特に、本発明の範囲内において、式中、X-が塩化物を示す式1の化合物を含む製剤が好ましい。
本発明の範囲内において、式1の化合物に関し言及する際、常に、本化合物の可能なアモルファス及び結晶改質のすべてが含まれる。また、本発明の範囲内において、式1の化合物に関し言及する際、本化合物から生成してもよい可能な水和物及び溶媒和物のすべてが含まれる。
本発明の範囲内における化合物1'に関する言及は、すべて、塩1に含まれる以下の式の医薬的に有効な遊離塩基に関する言及であるものとみなす。
【化7】

1',

式中、基R1、R2、R3及びX-は、上述の意味を有してもよい。
【0014】
別の側面において、本発明は、単独の有効成分として式1'の遊離塩基を含み、式中、基R1、R2、R3及びX-は上述の意味を有してよく、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはそれらの溶媒和物の形でもよく、少なくとも一つの医薬的に許容される酸、さらに、溶媒として水、エタノールまたは水とエタノールの混合物に加え、任意に医薬的に許容される賦形剤及び/または錯化剤を含む医薬製剤に関する。
本発明によれば、製剤は式1の化合物を1のみ含むことが好ましい。しかしながら、製剤は式1の異なる塩の混合物をも含んでよい。本発明の医薬製剤が式1の異なる塩を含む場合、本発明の好ましい製剤は、種々の塩が、式1'と同様の遊離塩基と異なる塩を示すものである。式1の有効成分と異なる有効成分を含む製剤は、本発明の主題ではない。
【0015】
本発明の医薬製剤における薬理学的に有効な遊離塩基1'の量に基づく、式1の化合物の濃度は、本発明においては、100ml当たりおよそ55〜200μmol、好ましくは100ml当たりおよそ56〜150μmol、特に好ましくは100ml当たり57〜135μmolである。本発明の製剤100ml当たり、上記遊離塩基1'がおよそ58〜120μmol含まれることが特に好ましい。
本発明の製剤のpHは、本発明においては、2.0〜6.5の範囲であることが好ましく、2.2〜5.0の範囲であることが好ましく、およそ3.0〜4.5の範囲であることが特に好ましい。
pHは、薬理学的に許容される酸を加えることにより調整する。薬理学的に許容される無機酸、または有機酸は、本目的のために使用してよい。好ましい無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び燐酸からなる群から選択される。
特に好適な有機酸は、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、フマル酸、酢酸、蟻酸及びプロピオン酸からなる群から選択される。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸であり、本発明においては塩酸が特に重要である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましく、本発明においては、クエン酸が特に好ましい。所望により、上述の酸の混合物を使用してもよく、特に、酸性化する特性に加え、例えばクエン酸またはアスコルビン酸のように、香味料または酸化防止剤として作用する等のさらなる特性を有する酸の場合、上述の酸の混合物を使用してもよい。また、所望により、pHを正確に滴定するため、薬理学的に許容される塩基を使用してもよい。好適な塩基としては、例えばアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。好ましいアルカリ金属イオンはナトリウムである。この種の塩基を使用する場合、最終医薬製剤に含まれる得られた塩が、上述の酸と薬理学的な融和性をもつよう留意しなければならない。
【0016】
本発明の製剤は、さらなる成分として錯化剤を含んでよい。本発明の範囲内において、錯化剤とは、錯体結合へ入り込むことができる分子を意味する。好ましくは、これらの化合物は錯体カチオン、最も好ましくは金属カチオンの効果を有するべきである。本発明の製剤は、錯化剤として、好ましくはエデト酸(EDTA)またはそれらの1の公知の塩、例えばエデト酸ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムを含む。好ましくは、エデト酸二ナトリウム(Disodium edetate)を、水和物、より好ましくは二水和物の形で使用してもよい。
本発明の製剤の範囲内において、錯化剤が使用される場合、その含有量は、本発明の製剤100ml当たり1〜50mgの範囲であることが好ましく、本発明の製剤100ml当たり2〜15mgの範囲であることが特に好ましい。本発明の製剤は、製剤100ml当たり4〜12mgの量の錯化剤を含むことが好ましく、製剤100ml当たりおよそ10mgの量の錯化剤を含むことが特に好ましい。
【0017】
エデト酸二ナトリウムに関する記載は、EDTAまたはその塩に相当し、例えばニトリロ三酢酸及びその塩のように、錯化特性を有し、EDTAまたはその塩の代わりに使用することができる、他の可能な添加剤にも類似して適用する。
薬理学的に許容される他の賦形剤は、同じく、本発明の製剤に加えてよい。本文脈において補助剤及び添加剤とは、有効成分ではなく、有効成分製剤の質的な特性を向上させるため、薬理学的に好適な溶媒で有効成分と共に調製させることのできる、薬理学的に許容されかつ治療上有効な物質を意味する。好ましくは、これらの物質は所望の治療において、薬理学的効果を有することなく、または、測定可能なほどの、または少なくとも望ましくない薬理学的効果を有することもない。補助剤及び添加剤には、例えば最終医薬製剤の保存期間を延ばす安定剤、酸化防止剤及び/または防腐剤に加え、香味料、ビタミン及び/または公知の他の添加剤が含まれる。添加剤には、例えば塩化ナトリウム等の、薬理学的に許容される塩も含まれる。
【0018】
好ましい賦形剤としては、例えばpH、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同様のビタミンまたは人体内に発現するプロビタミンを調整するために使用されていないという条件で、アスコルビン酸等の酸化防止剤が挙げられる。
防腐剤は、製剤を病原菌の感染から保護するために加えてもよい。好適な防腐剤は、先行技術により公知であるものであり、特に先行技術により公知の濃度の塩化ベンザルコニウムが好適である。塩化ベンザルコニウムを本発明の製剤へ加えることが好ましい。加える塩化ベンザルコニウムの量は、本発明の製剤100ml当たり1mg〜50mg、好ましくは100ml当たり2mg〜15mg、特に好ましくは100ml当たり3mg〜12mg、特に好ましくは100ml当たり4mg〜10mgである。塩化ベンザルコニウムは、他の防腐剤との混合物において、本発明に従い使用してよい。
好ましい製剤は、溶媒の水、エタノール、及び式1の化合物に加え、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム、pHを調整するために必要な酸のみを含む。
【0019】
式1の化合物を有する本発明の医薬製剤は、本発明の噴射剤を含まないエアロゾルを製造するため、上述のタイプの吸入器において使用することが好ましい。ここに参照する上述の特許文書に関し、再度特に言及すべきである。
初めに記載したとおり、好ましい吸入器のさらに発展した態様が国際特許出願WO97/12687号に開示されている(特に、図6a及び6b、及び関連記載箇所)。本ネブライザー(レスピマット(登録商標))は、本発明の吸入可能なエアロゾルを製造するために、有利に使用してよい。本ネブライザーは、円筒形状で、長さ9〜15cm、幅2〜4cmより各々小さいという、扱いやすい大きさであり、患者はネブライザーをどこへでも携帯することができる。ネブライザーは、規定量の医薬製剤を、小さなノズルから高圧でスプレーすることができ、吸入可能なエアロゾルを生成することができる。
好ましいアトマイザーは、実質的に、上部ハウジング部、ポンプハウジング、ノズル、ロッキングクランプ、スプリングハウジング、スプリング及び保存容器からなり、
-上部ハウジング部に固定され、一方に、ノズルまたはノズル設備を有するノズル本体、
-バルブ本体を有する中空ピストン、
-中空本体を固定させ、上部ハウジング部に位置する動力取出フランジ、
-上部ハウジング部に位置するロッキングクランピング機構、
-回転軸受により上部ハウジング部へ回転可能に設置した、スプリングを有するスプリングハウジング、
-スプリングハウジングへ軸方向に適合する下部ハウジング部
を特徴とする。
【0020】
バルブ本体を有する中空ピストンは、国際特許出願WO97/12687号に開示される装置と一致する。中空ピストンは、ポンプハウジングの円筒へ部分的に突き出し、円筒の中を軸の方向に動くことができるよう配置されている。上述の国際特許出願のうち、特に図1〜4、とりわけ図3、及び関連する記載部分を参照とする。スプリングを開放する瞬間、バルブ本体を有する中空ピストンは、最も高圧で、流体上で5〜60Mpa(およそ50〜600bar)、好ましくは10〜60Mpa(およそ100〜600bar)にて、有効成分溶液の測定量を放出する。10〜50マイクロリットルの量が好ましく、10〜20マイクロリットルの量がより好ましく、中でも操作当たり10〜15マイクロリットルの量が特に好ましい。
バルブ本体は、ノズル本体に面する中空ピストンの端に設置することが好ましい。
ノズル本体のノズルは、微細構造、すなわちマイクロエンジニアリングにより製造されていることが好ましい。微細構造のノズル本体は、例えば国際特許出願WO99/16530号に開示され、上記国際特許出願、特に図1及び関連する記載部分を参照とする。ノズル本体は、例えばガラス及び/またはシリコンを互いにしっかりと固定させた2枚のシートからなり、そのうち少なくとも1枚は、ノズル入口の端とノズル出口の端をつなぐ1以上の微細構造の溝を有する。ノズル出口の端には、少なくとも1の、深さ2〜10μm(ミクロン)、幅5〜15μm(ミクロン)の円形または非円形の開口部が存在し、深さ4.5〜6.5μm(ミクロン)及び長さ7〜9μm(ミクロン)であることが好ましい。複数の、好ましくは2のノズル開口部がある場合、ノズル本体のノズルのスプレー方向は、互いに平行であってよく、またはノズル開口部の方向に対して互いに傾斜していてもよい。出口の端に、少なくとも二つのノズル開口部を有するノズル本体の場合、スプレー方向は20度〜160度の角度で互いに傾斜していてもよく、60度〜150度の角度が好ましく、80度〜100度の角度が最も好ましい。
ノズル開口部は、10〜200μm(ミクロン)の間隔で配置されていることが好ましく、10〜100μm(ミクロン)の間隔がより好ましく、30〜70μm(ミクロン)の間隔が一層好ましい。50μm(ミクロン)の間隔が最も好ましい。従って、スプレー方向は、ノズル開口部付近で合致する。
【0021】
前述のとおり、液体医薬調製がノズル本体へあたるときの入口圧力は600バールまで、好ましくは200〜300バールであり、ノズル開口部を通して吸入可能なエアロゾルへ霧状にする。エアロゾルの好ましい粒径は、20μm(ミクロン)まで、好ましくは3〜10μm(ミクロン)までである。
ロッキングクランピング機構にはスプリングが含まれる。力学的エネルギーを貯蔵するものとして、円筒形でらせん状の圧縮スプリングが好ましい。スプリングは、スプリング部材として動力取出フランジへ作用し、その動きはロッキング部材の位置により確定する。動力取出フランジの工程(travel)は、上部停止装置及び下部停止装置により精密に制限される。スプリングは、らせん状すべり歯車等の逓増(stepping-up)歯車を介し、上部ハウジング部が下部ハウジング部中のスプリングハウジングに対し向きを変えた時に発生する外部トルクにより伸びることが好ましい。この場合、上部ハウジング部及び動力取出フランジは、標準速または多速(multi-speed)スプライン歯車を含む。
【0022】
かみ合ったロッキング表面を有するロッキング部材は、動力取出フランジのまわりに環状形状で配置されている。例えば、プラスチックまたは金属性の環からなり、元来放射状で、弾力的に変形可能なものである。環は、アトマイザーの軸に垂直な面に配置される。スプリングを伸ばした後、ロッキング部材のロッキング表面は動力取出フランジの路へ滑り込み、スプリングがゆるむのを防ぐ。ロッキング部材はボタンにより作動させる。作動ボタンはロッキング部材に接続し、連結する。ロッキングクランピング機構を作動させるために、作動ボタンを環状面に対して平行に、好ましくはアトマイザーの方へ動かすと、変形可能な環は環状面において変形する。ロッキングクランピング機構の構造は、国際特許出願WO97/20590号に詳細に記載されている。
下部ハウジング部を、スプリングハウジングを越えて軸の方向に押すと、軸受、スピンドルの駆動装置及び流体の貯蔵容器が下部ハウジング部により覆われる。
アトマイザーを操作すると、ハウジングの上部が、スプリングハウジングを有するハウジングの下部に対して回転する。その間、スプリングはらせん状滑り歯車により圧縮し偏り、クランピング機構は自動的にかみ合う。回転角度は、360度の整数分の一、例えば180度であることが好ましい。同時に、スプリングが伸びる時、上部ハウジング部の動力取出構成部分は所定量だけ動き、ポンプハウジング中の円筒の内側で中空のピストンが引き戻され、その結果、貯蔵容器の流体がノズル正面の高圧チャンバーへ吸引される。
【0023】
所望により、霧状にする流体を含む、置き換え可能な複数の貯蔵容器を、アトマイザー中に次々に装着し、使用することができる。貯蔵容器は、本発明の水溶性エアロゾル調製を含む。
霧状にする工程は、まず作動ボタンをゆっくり押すことにより開始する。次に、クランピング機構が動力取出構成部分への経路を開く。偏ったスプリングが、ピストンをポンプハウジング中の円筒へ押し込む。流体が、アトマイザーのノズルからスプレーの形状で出現する。
構造のさらなる詳細は、国際特許出願WO97/12683号及び国際特許出願WO97/20590号に開示され、ここで参考として取り入れる。
アトマイザー(ネブライザー)の構成部分は、各々の機能に好適な材料からなる。アトマイザーのハウジング、及び機能が許せば、同様に他の部分は、例えば射出成形によるプラスチック製が好ましい。医学的利用には、生理的に許容される物質を使用する。
【0024】
国際特許出願WO97/12687号の図6a及び6bは、本発明の水溶性エアロゾル製剤を有するネブライザー(レスピマット(登録商標))が有利に吸い込むことができることを示している。図6aは、スプリングが張力下にある、アトマイザーの縦断面図を示す。図6bは、スプリングが解放された状態の、アトマイザーの縦断面図を示す。
上部ハウジング部 (51)にはポンプハウジング(52)が含まれ、その端にアトマイザーノズル用のホルダー(53)が取り付けられている。ホルダー内には、ノズル本体(54)とフィルター(55)が存在する。ロッキングクランピング機構の動力取出フランジ(56)に固定されている中空のピストン(57)は、円筒のポンプハウジングに部分的に突出している。 中空のピストンは、その端に弁体(58)を有する。中空のピストンは、ガスケット(59)により密封する。上部ハウジング部の内側には停止装置 (60)があり、スプリングが解放されると動力取出フランジが静止する。動力取出フランジには停止装置(61)があり、スプリングが張力下にある場合、動力取出フランジが静止する。スプリングに張力がかかると、ロッキング部材(62)は停止装置 (61)と上部ハウジング部に存在する支持材(63)の間を滑る。作動ボタン(64)はロッキング部材へ接続している。上部ハウジング部の先端は吸入口 (65)であり、取り外し可能な保護キャップ(66)により封鎖する。
【0025】
圧縮スプリング(68)を有するスプリングハウジング(67)は、スナップ嵌め突起(69)及び回転式軸受けにより、上部ハウジング部へ回転可能に取り付けられている。下部ハウジング部(70)を、スプリングハウジングの向こう側へ押す。スプリングハウジングの内側には、霧状になる流体(72)用の置き換え可能な貯蔵容器(71)が存在する。貯蔵容器はストッパー(73)により封鎖し、前記ストッパーを通し、中空のピストンが貯蔵容器へ突出し、その先端が流体へ浸されている(有効成分溶液の供給)。
機械式容器のスピンドル(74)は、スプリングハウジングの外側に取り付けられている。駆動ピニオン(75)は、上部ハウジング部に面するスピンドルの末端に位置する。スピンドル上には、スライダー(76)が存在する。
上述のネブライザーは、本発明のエアロゾル調製を噴霧するのに好適であり、吸入に好適なエアロゾルを生成させる。
本発明の製剤を上述の方法(レスピマット(登録商標))を用いて噴霧した場合、吸入器のすべての操作(1パフまたは複数回)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%において、最大噴出は、本量の多くとも25%、好ましくは本量の20%の許容範囲で一定量に一致すべきである。1パフ当たりの一定量として、製剤の5〜30mgが放出されることが好ましく、5〜20mgが放出されることがより好ましい。
【0026】
本発明の製剤は、上述の吸入器に加え、例えばジェット式(jet-stream)吸入器等を用いて噴霧してもよい。
本発明は、本発明の上述の1の医薬調製からなる吸入キット、及び本医薬調製を噴霧するために好適な吸入器に関する。
本発明は、本発明の上述の1の医薬調製からなる吸入キット、及び上述のレスピマット(登録商標)吸入器に関する。
以下に示す製剤例は、本発明を詳細に説明するものであるが、本発明の主題を、実施例を介して記載する組成物に限定することはない。
【0027】
実験セクション
本発明の化合物は、先行技術により公知の方法に類似して調製してよい。好適な調製方法は、例えば欧州特許第1562603号または米国特許第7056916号により公知であり、参考のためその内容をここに示す。
【0028】
製剤例
A) 化合物実施例1a*HClのR-鏡像異性体の新規医薬製剤は、例えば、
・有効成分23.3, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム10mg、エデト酸二ナトリウム10mg、無水クエン酸3mgを含み、精製水または注水を加え100mlにし、または、
・有効成分23.3, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム8mg、エデト酸二ナトリウム8 mg、無水クエン酸4mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.3, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム5mg、エデト酸二ナトリウム15 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.3, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム15mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにする。
【0029】
B) 化合物実施例1b*HClのR-鏡像異性体の新規医薬製剤は、例えば、
・有効成分23.7, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム10mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸3mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.7, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム8mg、エデト酸二ナトリウム8 mg、無水クエン酸4mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.7, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム5mg、エデト酸二ナトリウム15 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.7, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム15mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにする。
【0030】
C) 化合物実施例1c*HClのR-鏡像異性体の新規医薬製剤は、例えば、
・有効成分23.6, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム10mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸3mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.6, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム8mg、エデト酸二ナトリウム8 mg、無水クエン酸4mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.6, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム5mg、エデト酸二ナトリウム15 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.6, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム15mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにする。
【0031】
D) 化合物実施例1d*HClのR-鏡像異性体の新規医薬製剤は、例えば、
・有効成分24.1, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム10mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸3mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分24.1, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム8mg、エデト酸二ナトリウム8 mg、無水クエン酸4mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分24.1, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム5mg、エデト酸二ナトリウム15 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分24.1, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム15mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにする。
【0032】
E) 化合物実施例1e*HClのR-鏡像異性体の新規医薬製剤は、例えば、
・有効成分23.8, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム10mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸3mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.8, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム8mg、エデト酸二ナトリウム8 mg、無水クエン酸4mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.8, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム5mg、エデト酸二ナトリウム15 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにし、または、
・有効成分23.8, 24.8, 33.7, 38.4, 42.4, 46.1, 49.5, 53.8, 60.2または68.3mg、同様に塩化ベンザルコニウム15mg、エデト酸二ナトリウム10 mg、無水クエン酸2mgを含み、精製水または注水を加え100 mlにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独の有効成分として一般式1の化合物を1以上含み、

1
式中、
R1は水素、フッ素、塩素またはメチルを表し、
R2は水素、フッ素、塩素またはメチルを表し、
R3はメチル、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOHまたはO-CH2-COOエチルを表し、
X-は塩化物、臭化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩及び琥珀酸塩から選択される単一の負電荷をもつアニオンを表し、
互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよく、
さらに、塩化ベンザルコニウム、
少なくとも1の薬理学的に許容される酸、
及び、溶媒として、水、エタノールまたは水及びエタノールの混合物、
任意に他の薬理学的に許容される賦形剤及び/または錯化剤
を含み、
化合物1の含有量が、溶液100ml当たり55〜200μmolであることを特徴とする医薬製剤。
【請求項2】
式中、R3がメトキシ、エトキシ、フッ素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチルまたはO-CH2-COOエチルを表し、
互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよく、
式1の1以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
式中、R1及びR2が水素またはフッ素を表し、
R3がフッ素、メトキシ、エトキシ、O-CH2-COOHを表し、
互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体またはその溶媒和物の形でもよく、
式1の1以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項4】
薬理学的に許容される酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び燐酸等の無機酸、またはアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、フマル酸、酢酸、蟻酸及びプロピオン酸等の有機酸から選択される、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
pHが2.5〜6.5であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
塩化ベンザルコニウムの含有量が、溶液100ml当たり1〜50mgであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
さらなる成分として錯化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
錯化剤の含有量が溶液100ml当たり1〜50mgであることを特徴とする、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
溶媒として純水を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
溶媒として、エタノールの質量パーセントが、エタノール5〜99%の範囲にある、水とエタノールの混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
呼吸器系疾患治療用の医薬組成物の調製のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤、及び医薬製剤を噴霧するのに好適な吸入器からなる吸入キット。
【請求項13】
吸入器がレスピマット(登録商標)である、請求項12に記載の吸入キット。

【公表番号】特表2012−509299(P2012−509299A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536858(P2011−536858)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065407
【国際公開番号】WO2010/057928
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】