説明

うつ病の治療用の3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン誘導体

本発明は、式(I):


[式中:R、R、R、R、R、R、R、pおよびGは明細書に記載の通りである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、その製造法、製造において用いられる中間体、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤としてのこれを含む医薬組成物および治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、その製造法、これらの方法で用いられる中間体、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)、再取り込み阻害剤として、これらを含有する医薬組成物および治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳組織は、シナプスと称される特定の細胞構造により互いにコミュニケーションをとることができる神経細胞により構成される。シナプスにおける神経間のシグナルの交換は、シナプス後またはシナプス前の受容体と称される特定の標的蛋白質分子に作用する神経伝達物質と称される神経化学的メッセンジャーにより生じる。モノアミンは、共通の化学的特徴を共有する小さい神経伝達物質分子のファミリーを意味し、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)を含む。
【0003】
モノアミン神経伝達物質は、ニューロン間のシナプス軸に放出され、標的細胞の膜上に存在する受容体と相互作用する。神経化学的シグナルの切り替えは、主に、モノアミントランスポーターと称される他の蛋白質分子(5−HTについてはSERT、DAについてはDAT、およびNEについてはNET)により神経伝達物質分子を除去することにより生じる。トランスポーターは、神経伝達物質分子に結合することができ、これをシナプス前末端に移動させ、この細胞機構が、再取り込みと称される。再取り込みプロセスの生理学的阻害は、シナプスレベルでのモノアミンの増加を引き起こし、結果として、神経伝達物質の生理活性の増強を引き起こし得る。
【0004】
脳におけるセロトニン性神経伝達は、G−蛋白質結合受容体および14のサブタイプを含むリガンド依存性イオンチャンネルの両方を含む受容体の大きなファミリーにより介在され、非常に多くの生理作用に関与している。
【0005】
SERTでの阻害プロパティーを与える化合物は、ヒトを含む哺乳動物において、この神経系に関連する種々の障害、例えば摂食障害、大うつ病および気分障害、強迫障害、パニック障害、アルコール依存症、痛み、記憶障害および不安を治療する能力を有すると推測される。これらの障害には、うつ病に関連する障害、例えば偽認知症またはガンザー症候群、片頭痛痛み、病的飢餓、肥満症、月経前症候群または遅発性黄体期、たばこ乱用、パニック障害、心的外傷後症候群、記憶喪失、老人性痴呆、後天性免疫不全症症候群痴呆コンプレックス、高齢での記憶障害、対人恐怖症、注意欠陥過活動性障害、慢性疲労症候群、早漏、勃起困難、拒食症、睡眠障害、自閉症、無言症または抜毛癖を含む。
【0006】
大うつ病は、不安および動揺に関連する、深い悲しみ感、倦怠感、絶望感およびすべてのすべての喜びに対する興味の喪失(無快感症)、死について繰り返し考えること、精神機能低下、活力の喪失、判断不能を含む様々な兆候により特徴付けられる、情動障害または気分障害である。これらの兆候は持続し、軽度から重度まで様々である。
【0007】
大うつ病の病理は多因子症候群であり理解が乏しく、いくつかの神経伝達物質系が関与している。しかしながら、重要な脳領域において、モノアミン神経伝達物質、主にNEおよび5−HTのシナプス濃度の減少が原因であると一般的に考えられ、うつ病の「モノアミン理論」が導かれた。
【0008】
ある臨床前および臨床での証拠は、セロトニン介在神経伝達の増強は大うつ病の治療に効果的であることを示しており、実際に、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、少なくとも20年の間うつ病の治療を支配してきた。フルオキセチン、最初に導入されたSSRIは、この群のプロトタイプである。他に、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミン、シタロプラムが挙げられる。
【0009】
しかしながら、これらの薬剤がうつ病を緩和するのにどのように作用するかわ正確には明らかになっていない。他の群の抗うつ剤と同様に、セロトニン再取り込みを急激に阻止したにもかかわらず、気分高揚効果の発現までに数週間の差がある。第2の適応変化は、セロトニン作動性シナプスで、SSRIの慢性投与後に生じ、すなわち、放出制御自己受容体のダウンレギュレーションが生じ、神経伝達物質放出が増加すると推測されている。抗うつ効果の遅延発生は、現在用いられているSSRIの重大な欠点であると考えられる。さらに、一般的に、SSRIの良好な耐性があるけれども、中枢および末梢シナプスでの5−HTレベルの増加は、5−HT2Cおよび5−HTのような受容体サブタイプの刺激を誘発し、これは胃腸および性機能の副作用を伴う、興奮および不安の一因となる。
【0010】
SSRIの成功は、強力な抗うつ剤としての選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)の開発への興味を再燃させた。多くのかかる化合物、例えば、ニソキセチン、マプロチリン、トモキセチンおよびレボキセチンが合成された。さらに、旧来の三環系抗鬱剤を含む多くの化合物が、混合型NETおよびSERT阻害特性を有しており、例えばイミプラミンおよびアミトリプチリン(SERT効力>NET)およびデシプラミン、トルトリプチリンおよびプロトリプチリン(NET効力>SERT)等が挙げられる。
【0011】
DATの薬理学的処置は、原理的には、中脳辺縁系におけるDAレベルを上昇させ、大うつ病の中核症状である無快感症を回復する能力を有し得る。DAT阻害要素は、SERTおよびNETの遮断と組み合わせて、モチベーションおよび注意力の改善能を有し、うつ病患者に見られる認知障害を増強する。一方、DATは、洗剤的な強化作用および乱用経口を避けるために慎重に管理しなければならない。しかしながら、薬理学において、DAT阻害を有する化合物、例えばデクスメチルフェニデート、メチルフェニデートおよびブプロピオンが市販されている。
【0012】
臨床研究は、SSRIの効果に応答不良の患者は、ドーパミン作動性を増強する薬剤との組み合わせ療法が有益であることを示している。結果として、優れたバランスのNET遮断および中程度のDAT阻害活性と組み合わせた強力なSERT阻害活性を有する化合物は、現在の組合せ治療の代わりになり得、抗うつ作用のより早い発現を伴って、大きな効果および治療フレキシビリティを提供する
【0013】
このような有益なDAT阻害により、本発明の化合物は、パーキンソン病、うつ病、肥満症、ナルコレプシー、コカイン乱用を含む薬物嗜癖または乱用、注意血管過活動性障害、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット疾患および老人性痴呆の治療に有用であると考えられる。ドーパミン再取り込み阻害剤は、ドーパミンニューロンを解して、間接的にアセチルコリンの放出を像挙止、したがって、記憶障害、例えば、アルツハイマー病、初老性痴呆、高齢での記憶障害、および慢性疲労症候群の治療に有用である。ノルアドレナリン再取り込み阻害剤は、注意、覚醒の増強に有用であり、うつ病の治療に有用であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明 の態様は、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)再取り込み阻害剤である新規化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様において、本発明は、式(I)’:
【化1】

[式中:
Gは、フェニル、5−または6員単環式ヘテロアリール基、または8〜11員ヘテロアリール二環式基からなる群から選択され;かかるGは、同じであっても異なっていてもよい(Rにより置換されていてもよい;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFであるか;または、Rであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素、フッ素およびC1−4アルキルからなる群から選択されるか;あるいは、X、X、XまたはXであり;
ここに
Xは:
【化2】

であり;
は:
【化3】

であり;
は:
【化4】

であり;
は:
【化5】

であり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC1−4アルカノイルからなる群から選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい5−6員ヘテロサイクル基pであり;
は、C1−4アルキルであり;
10は、水素、C1−4アルキル、CシクロアルキルまたはCシクロアルキルC1−3アルキルであり;
11は、ハロC1−2アルキルであり;
pは、0〜5の整数であり;
nは、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはそのプロドラッグを提供する。
【0016】
一の具体例において、本発明は、式(IF):
【化6】

[式中:
Gは、フェニル、5または6員ヘテロ芳香族基または8〜11員ヘテロアリール二環式基から選択され;かかるGは、同じであっても異なっていてもよい(Rにより置換されていてもよく;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFから選択されるか;あるいは、Rであり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素、フッ素、およびC1−4アルキルから選択されるか;あるいは、X、X、XまたはXであり;
ここに
Xは:
【化7】

であり;
は:
【化8】

であり;
は:
【化9】

であり;
は:
【化10】

であり;
は、5−6員ヘテロサイクル基であり、これは、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC1−4アルカノイルからなる群から選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく;
は、C1−4アルキルであり;
10は、水素、C1−4アルキル、CシクロアルキルまたはCシクロアルキルC1−3アルキルであり;
pは、0〜5の整数であり;
nは、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはそのプロドラッグを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
縮合シクロプロパン環が存在するので、式(I)の化合物は、「cis」配置の置換基(二環系に結合するGおよびRが、両方とも二環系の同じ面にある)を有すると考えられる。
【0018】
式(I)の化合物は、少なくとも2つの立体中心を有することは明らかだろう。すなわち、分子の3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン部の1および6位に立体中心を有する。かくして、化合物は、シクロプロパン環において立体中心に関するエナンチオマーである2つの立体異性体が存在し得る。ほとんどの生物学的に活性な分子と同じように、生物学的活性のレベルは、所定の分子の個々の立体異性体間で変化しうることは明らかだろう。本発明の範囲は、本明細書に記載の方法で適当な生物学的活性が示された、すべての別個の立体異性体(ジアステレオマーおよびエナンチオマー)および、限定するものではないがラセミ混合物を含むそれらのすべての混合物を含むことが意図される。
【0019】
本発明の一の具体例において、シクロプロピル基に隣接する2つの太字で強調された「cis」配置を有する式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグに対応する式(I)’:
【化11】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、pおよびGは、式(I)の化合物の記載と同意義である]
の化合物を提供する。
【0020】
以下明細書全体にわたって、記号‘(ダッシュ記号)は、シクロプロピル基の隣の二つの太字で強調した結合により示される、GおよびR基を有する結合に関して「cis」配置を有する化合物を同定するために使用する。
【0021】
本発明の一の具体例において、GおよびR基を有するシクロプロピル基の隣の二つの太字で強調した結合は、これらのcis異性体の混合物(限定するものではないがラセミ混合物)を示す。
【0022】
式(I)’の化合物には、下記に示すようなシクロプロパン部に位置する少なくとも2つの立体中心が存在し;1および6位での立体中心に対するエナンチオマーである2つの立体異性体を含有する混合物を光学的分割により、1および6位の立体中心で単一の絶対配置を有する式(I)’の化合物の立体異性体を、下記スキームに示すように得ることができる:
【化12】

【0023】
1および6位での立体中心の絶対配置は、基の特性に基づいてCahn−Ingold−Prelog命名法を用いて決定した。
【0024】
本発明のさらなる具体例において、GおよびR基を有する結合に関して「cis」配置であり、1および6位の立体中心で単一であるが不明な構造を有する立体異性体として、式(I)の化合物に対応する式(I)’’:
【化13】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、pおよびGは式(I)の化合物の記載と同意義である]
の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0025】
本発明の内容において、GおよびR基を有するシクロプロピル部の近傍の2つの結合に関して、上記式(I)’’の化合物において示される表現は、1および6位の立体中心で単一であるが不明な絶対配置を有するcis立体異性体を示す。
【0026】
本発明の内容は、式(I)’’の立体異性体が、1および6位の中心で一の立体配置に富んでいることを目的とする。一の具体例において、異性体は少なくとも90%e.e.(エナンチオマー過剰率)である。他の具体例において、異性体は、少なくとも95%e.e.である。別の具体例において、異性体は少なくとも99%e.e.である。
【0027】
以下、明細書全体にわっって、記号“(ダブルプライム)は、GおよびR基を有するシクロプロピルの近傍の2つの結合が「cis」配置である本発明の化合物の立体異性体を特定するのに用いられ、1および6位の立体中心で単一であるが不明な絶対配置を有する立体異性体である上記式(I)’’の化合物において示される表現で表される。
【0028】
本発明の化合物の光学異性体の絶対配置は、当該分野でよく知られた慣用的な方法[例えば、X線分析およびVCD(振動円二色性)分析]を用いて決定した。
【0029】
本発明の一の具体例において、1および6位に立体中心を有する下記の立体配置:
【化14】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、pおよびGは、式(I)の化合物と同意義である]
を有し、式(I)’の化合物の立体異性体に対応する式(Ia)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0030】
本発明の内容において、式(IA)の立体異性体が、1および6位の立体中心で一の構造が多いことを意図する。一の具体例において、異性体は、少なくとも90%e.e.(エナンチオマー過剰率)である。他の具体例において、異性体は、少なくとも95%e.e.である。さらなる具体例において、異性体は少なくとも99%e.e.である。
以後、括弧内の末尾の「A」は、1および6位で立体中心を有する式(Ia)の化合物について示した立体配置を有する本発明の化合物の立体異性体を同定するために用いられる。
【0031】
本発明のさらなる具体例において、1および6位に立体中心を有する下記の立体配置:
【化15】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、pおよびGは、式(I)の化合物と同意義である]
を有し、式(I)’の化合物の立体異性体に対応する式(IB)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0032】
本発明の内容において、式(IB)の立体異性体が、1および6位の立体中心で1の構造が豊富であることを意図する。一の具体例において、異性体は、少なくとも90%e.e.(エナンチオマー過剰率)である。他の具体例において、異性体は、少なくとも95%e.e.である。さらなる具体例において、異性体は少なくとも99%e.e.である。
以後、括弧内の末尾の「B」は、1および6位で立体中心を有する式(IB)の化合物について示した立体配置を有する本発明の化合物の立体異性体を同定するために用いられる。
【0033】
「C1−4アルキル」なる用語は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基のすべての異性体を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを意味する。
本明細書で用いられる場合、「C−Cシクロアルキル基」なる用語は、3〜6個の炭素原子を有する非芳香族単環式炭化水素環を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを意味し;一方、不飽和シクロアルキルは、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル等を含む。
本明細書で用いられる場合、「CシクロアルキルC1−3アルキル」なる用語は、1個の水素原子が、上記したC−Cシクロアルキル基により置換された1〜3個の炭素原子を有するアルキルを意味し、例えば、メチルシクロプロパンを意味する。
【0034】
「C1−4アルコキシ」なる用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ(または「アルキルオキシ」)基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシを意味する。
本明細書で用いられる場合、「C1−4アルカノイル基」なる用語は、直鎖または分枝鎖のアルカノイル基であってもよく、例えばアセチル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、i−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニルまたはt−ブチルカルボニル等であってもよい。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「ハロC1−4アルキル」なる用語は、少なくとも1個の水素原子がハロゲン、好ましくはフッ素により置換されている、1個以上の炭素原子を有するアルキルを意味し、例えばトリフルオロメチル基等を意味する。
本明細書で用いられる場合、「ハロC1−4アルコキシ基」なる用語は、少なくとも1個のハロゲンにより置換されている上記したCアルコキシ基であってもよく、例えばOCHCF、OCHF、またはOCFであってもよい。
本明細書で用いられる場合、「ハロC1−2アルキル基」なる用語は、少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素により置換されているCアルキル基であってもよく、例えば−CHCF、−CHF、または−CFである。
「SF」なる用語は、ペンタフルオロスルファニルを意味する。
「ハロゲン」およびその省略形の「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を意味する。「ハロ」なる用語が別の基の前に用いられる場合、その基が、1個またはそれ以上のハロゲンにより置換されていることを意味する。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「5、6員単環式ヘテロアリール」なる用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する5または6員の芳香族単環式ヘテロサイクル環を意味する。
代表的な5、6員単環式ヘテロアリール基は、(限定するものではないが)フリル、チオフェニル、ピロリル、ピリジル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリルおよびテトラゾリルを含む。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「8、11員の二環式ヘテロアリール」なる用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する8〜11員のヘテロサイクル環を意味する。
代表的な8〜11員の二環式ヘテロアリール基は、(限定するものではないが)ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニルおよびフタラジニルを含む。
【0038】
5〜6員のヘテロサイクルなる用語は、飽和、不飽和または芳香族であり、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5−6単環式ヘテロサイクリック環を意味し、ここに、窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は第4級であってもよい。ヘテロサイクルは、上記したヘテロアリール基を含む。ヘテロサイクルは、ヘテロ原子または炭素原子を介して結合していてもよい。かくして、この用語は、(限定するものではないが)モルホリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等を含む。
これらの基はすべて、適当な位置で分子の残りの部分に結合していてもよい。
【0039】
一の具体例において、Rは水素またはC1−4アルキル(例えば、メチル)である。他の具体例において、Rは水素である。
一の具体例において、Gはフェニル基である。
一の具体例において、Rは水素またはX基である。他の具体例において、Rは水素である。さらなる具体例において、RはX基である。
【0040】
一の具体例において、Rは水素である。
一の具体例において、Rは水素である。
一の具体例において、Rは水素である。
【0041】
一の具体例において、Rは水素またはX、XもしくはX基である。他の具体例において、Rは水素である。さらなる具体例において、RはX基である。
一の具体例において、nは1または2である。他の具体例において、nは1である。
一の具体例において、R10は水素、C1−4アルキル、CシクロアルキルまたはCシクロアルキルC1−3アルキルである。他の具体例において、R10は水素またはC1−4アルキルである。さらなる具体例において、R10はC1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0042】
一の具体例において、Rはハロゲン(例えば、塩素)またはハロC1−4アルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。さらなる具体例において、Rは塩素である。
一の具体例において、pは0、1または2である。他の具体例において、pは1または2である。さらなる具体例において、pは2である。
【0043】
一の具体例において、式(IC):
【化16】

[式中、Gがフェニル基であり、R、R、pおよびRは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0044】
式(IC)において、一の具体例において、Rは水素またはC1−4アルキル(例えば、メチル)であり、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは0、1または2であり、Rは水素またはX、XもしくX基である。
式(IC)において、さらなる具体例において、Rは水素であり、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは2であり、Rは水素またはX、XもしくはXである。
【0045】
一の具体例において、式(ID):
【化17】

[式中、RはX基であり、R、R10、pおよびnは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0046】
式(ID)において、一の具体例において、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは0、1または2であり、R10は水素、C1−4アルキル、CシクロアルキルまたはCシクロアルキルC1−3アルキルである。
式(ID)において、さらなる具体例において、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは2であり、nは1であり、R10は水素またはC1−4アルキル(例えば、メチル)である。
【0047】
一の具体例において、式(IE):
【化18】

[式中、Gはフェニル基であり、R、R、Rおよびpは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0048】
式(IE)において、一の具体例において、Rは水素またはC1−4アルキル(例えば、メチル)であり、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは0、1または2であり、RはXまたはX基である。
式(IE)において、さらなる具体例において、Rは水素であり、Rはハロゲン(例えば、塩素)であり、pは2であり、RはX基である。
【0049】
一の具体例において、1および6位での立体中心で未知ではあるが単一の立体配置を有する上記した式(IC)、(ID)、(IF)および(IE)の化合物を提供する。これらの化合物は、(IC)’’、(ID)’’、(IF)’’および(IE)’’と称する。
他の具体例において、1および6位での立体中心で式(Ia)の化合物について上記した立体配置を有する上記した式(IC)、(ID)、(IF)および(IE)の化合物を提供する。これらの化合物は、(ICA)、(IDA)、(IFA)および(IEA)と称する。
さらなる具体例において、1および6位での立体中心で式(IB)の化合物について上記した立体配置を有する上記した式(IC)、(ID)、(IF)および(IE)の化合物を提供する。これらの化合物は、(ICB)、(IDB)、(IFB)および(IEB)と称する。
【0050】
本発明に含まれるある種の基/置換基は、異性体として存在してもよい。本発明は、ラセミ体、エナンチオマー、互変異性体およびこれらの混合物を含むすべての異性体を範囲内に含む。
【0051】
式(I)の化合物またはこれらの調製に用いられる中間体におけるある種の基は、1個またはそれ以上の互変異性体として存在してもよい。本発明は、これらの混合物を含むすべての互変異性体を範囲内に含む。
【0052】
本明細書において用いられる場合、「塩」なる用語は、本発明の化合物の、無機または有機酸あるいは塩基から調製される塩、第四級アンモニウム塩および内部塩を含み、また、医薬上許容される塩も含む。医薬上許容される塩は、親化合物と比べて水溶性が大きいので医薬への適用に特に適している。かかる塩は、明らかに医薬上許容されるアニオンまたはカチオンを有しなければならい。
【0053】
ある種の本発明の化合物は、1当量またはそれ以上の酸または塩基と、酸または塩基付加塩を形成してもよい。本発明は、すべての可能性ある化学量論的および非化学量論的形態を範囲内に含む。
医薬上許容される塩は、また、式(I)で示される化合物の他の医薬上許容される塩を含む、他の塩から、慣用的な方法を用いて調製することもできる。
【0054】
適当には、本発明の化合物の医薬上許容される塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ナフトエ酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびあるいー留スルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸との酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属および有機塩基、例えばN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リシンおよびプロカインとの塩基付加塩;および内部塩を含む。医薬上許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、医薬上許容される塩の調製に有用な中間体として、および/または非治療用、例えばインビトロでの使用用として本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
有機化学において当業者には、多くの有機化合物が溶媒と複合体を形成することができることは明らかであり、これらは反応において、または沈殿または結晶化において形成する。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物は、結晶化または適当な溶媒のエバポレーションにより溶媒分子と一緒に単離することができ、対応する溶媒和物が得られる。
【0056】
加えて、プロドラッグもまた、本発明の範囲内に含まれる。本明細書で用いられる場合、「プロドラッグ」なる用語は、体内で、例えば血液中の加水分解によって、医薬効果がある活性形態に転換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは以下に記載されている:T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987,および D. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra 「Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs」, Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130。
【0057】
プロドラッグは、一般的には、慣用的な操作により、またはインビボで開裂するように、官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグは、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基がいずれかの基に結合した本発明の化合物は開裂して、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成する。かくして、プロドラッグの代表的な例としては、(限定するものではないが)構造(I)の化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル等が用いられる。エステルは、それ自体活性である、および/またはヒトの体内におけるインビボ条件下で加水分解する。適当な医薬上許容されるインビボ加水分解可能エステル基は、ヒトの体内で容易に開裂して、親酸またはその塩を放出するものを含む。
【0058】
以後、本発明のいずれもの態様において記載される式(I)の化合物およびそれらの医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ(化学合成における中間体化合物を除く)は、「本発明の化合物」として記載される。
さらに、本発明の化合物の結晶形態のいくつかは、多形体として存在することができ、これは本発明に含まれる。
【0059】
当業者には、本発明の化合物の調製において、望ましくない副反応を防止するために分子中の1個またはそれ以上の感受性基を保護することが必要である、および/または望ましいことは明らかだろう。本発明において用いられる適当な保護基は、当業者によく知られており、慣用的な方法により用いることができる。例えば、「Protecting Groups in organic synthesis」 T.W. Greene and P.G.M. Wuts (John Wiley & sons 1991)または「Protecting Groups」 P.J. Kocienski (Georg Thieme Verlag 1994)を参照。適当なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン型保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例としては、例えば、アルキルシリル基、例えばトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリル;アルキルエーテル、例えばテトラヒドロピラニルまたはtert−ブチル;またはエステル、例えばアセテートが挙げられる。
【0060】
本発明はまた、同位体標識化合物を含み、これは、式(I)の化合物と一致するが、実際には、1個またはそれ以上の原子が、天然に通常見られる原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子に置換されている。本発明の化合物およびその医薬上許容される塩に組み入れることができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iが挙げられる。
【0061】
上記した同位体および/またはそれ以外の原子の同位体を含む本発明の化合物およびその医薬上許容されない塩は、本発明の範囲に含まれる。本発明の同位体標識化合物、例えばH、14Cのような放射活性同位体が組み込まれた化合物は、薬剤および/または物質の組織分布アッセイに有用である。三重水素、すなわちHおよびカーボン−14、すなわち14C同位体は、調製の容易さおよび検出能のために特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放出断層撮影)において有用であり、125I同位体は、特にSPECT(単光子放出断層撮影)において有用であり、すべては脳撮像において有用である。さらに、重同位体、例えば重水素、すなわちHの置換は、より大きな代謝安定性を生じるという治療的利点、例えば、インビボ半減期の増加または投与要求量の減少を与え、したがって、ある場合において好ましい。本発明の同位体標識化合物およびその医薬上許容されない塩は、一般的に、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えることにより下記スキームおよび/または実施例に記載の方法を行うことにより調製することができる。
【0062】
一の具体例において、本発明の化合物は:
(1S,6R/1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
およびその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグからなる群から選択される。
【0063】
さらなる具体例において、本発明の化合物は:
(1R,6R/1S,6R)−1−フェニル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6Rまたは1S,6R)−1−フェニル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1S,6Rまたは1R,6R)−1−フェニル−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6R/1S,6S)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6R/1S,6S)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
およびその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグからなる群から選択される。
【0064】
さらなる具体例において、t本発明の化合物は:
(1S,6R/1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1S,6Rまたは1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6Sまたは1S,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6Rまたは1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1S,6Sまたは1R,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,7S/1S,7R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
およびその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグからなる群から選択される。
【0065】
本発明はまた、上記した式(I)で示される化合物またはその塩の製造方法を提供する。
本発明の化合物は、最大限の範囲が基本としての式(I)を用いて記載されている以下のスキームに従って調製することができる。
明細書の全体にわたって、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)等で指定する。これらの一般式のサブセットは、(Ia)、(Ib)、(Ic)等、(IVa)、(IVb)、(IVc)等として定義される。
【0066】
以下の反応スキームにおいて、特記しない限り、R〜R11、X、X、X、X、G、pおよびnは式(I)の化合物の記載と同意義である。
式(Ib)で示される化合物、すなわち、R=C1−4アルキルである式(I)で示される化合物は、スキーム1に従って、式(Ia)で示される化合物、すなわち、R=Hである式(I)で示される化合物は、以下の標準的なアルキル化法、例えばRXアルキル化剤(R=C1−4アルキル、X=ハロゲン)、例えばCHI、トリアルキルアミン、例えばTEAを、DCM中、0℃〜室温で用いるアルキル化法により得ることができる。
【0067】
【化19】

【0068】
式(Ia)で示される化合物は、スキーム2に従って、化合物(III)および(II)の混合物を還元し、得られた異なる位置異性体をクロマトグラフィー分割することにより得ることができる。
【0069】
【化20】

【0070】
詳細には、還元反応は、還流温度でTHF中ボランを用いて行ってもよい。
式(III)および(II)で示される化合物は、スキーム3に従って、式(IV)で示される化合物から、室温〜還流温度でアセトン中塩化トシルを用いるベックマン転位により得ることができる。
【0071】
【化21】

【0072】
式(IV)で示される化合物は、スキーム4に従って、式(V)で示される化合物から、室温にてエタノール中ヒドロキシルアミン一水和物を用いることにより得ることができる。
【0073】
【化22】

【0074】
式(V)で示される化合物は、スキーム5に従って、Rおよびpが式(I)の記載と同意義である式(VI)で示される化合物から、J.Am.Chem.Soc.2004,126,8654に記載の方法に従って、適当なプロパルギルアルデヒドの転位、ついで、MがSiMeClまたはMgBrであり、R、RおよびRが式(I)の記載と同意義であるアリル誘導体(VII)との反応により得ることができる。
【0075】
【化23】

【0076】
式(VI)で示される化合物は、スキーム6に従って、Rおよびpが式(I)の記載と同意義である適当なアルコール(VIII)から、DCM中デス−マーティンデス−マーティンペルヨウジナンを用いて室温にて酸化することにより得ることができる。
【0077】
【化24】

【0078】
式(VIII)で示される化合物は、スキーム7に従って、プロパルギルアルコールおよび適当なヨウドアレン誘導体(IX)から、JOC,2005,70,4043に記載の方法に従って得ることができる。
【0079】
【化25】

【0080】
式(Ic)で示される化合物、すなわち、R=CHOHである式(I)で示される化合物は、スキーム8に従って、Pgが適当なN−保護基(典型的には、CbzまたはBoc)である式(XVI)で示される化合物から、N−Pg基を脱保護することにより得ることができる(例えば。Cbzに関しては6Nのジオキサン中塩酸を還流温度で用いる、またはBOCに関しては、DCM中TFAを0℃〜室温で用いる)。
【0081】
【化26】

【0082】
式(XVI)で示される化合物は、スキーム9に従って、R、R、Rが上記と同意義であり、Pgが適当なN−保護基である式(X)で示される化合物から、標準的なシモンスズ−スミスシクロプロパン化法(例えば、DCM中ZnEt、CHを用いる)により得ることができる。
【0083】
【化27】

【0084】
式(X)で示される化合物は、スキーム10に従って、式(XI)で示される化合物から、還元剤、例えばLiAlHを、非プロトン性溶媒、例えばジエチルエーテルまたはTHF中、−40〜−10℃で用いることにより得ることができる。
【0085】
【化28】

【0086】
式(XI)で示される化合物は、スキーム11に従って、式(XII)で示される化合物から、適当な保護剤を用いて、例えばCbz−クロライドまたはBoc無水物と、DCM中TEAを用いて、0℃〜室温で反応させることにより得ることができる。
【0087】
【化29】

【0088】
式(XII)で示される化合物は、スキーム12に従って、式(XIII)で示される化合物から、1−クロロエチルクロロホルメートとDCEおよびMeOH中で反応させることにより得ることができる。
【0089】
【化30】

【0090】
式(XIII)で示される化合物は、スキーム13に従って、式(XIV)で示される化合物から、アリールボロン酸またはボロネートエステル、Pd(PPhおよび塩基、例えばNaCOを、溶媒混合物、例えばトルエン、エタノールおよび水の混合物中、80℃で用いる標準的なスズキカップリング法により得ることができる。
【0091】
【化31】

【0092】
式(XIV)で示される化合物は、スキーム14に従って、式(XV)で示される化合物から、塩基(例えば、ナトリウム水素化ナトリウム)と反応させ、ついで、トリフラート化剤、例えばN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドと、非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中、0℃〜室温で反応させることにより得ることができる。
【0093】
【化32】

【0094】
式(I)’で示される化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーまたはそれらの塩が必要である場合、これらは、例えば対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー混合物を慣用的な方法を用いて分割することができる。
【0095】
かくして、例えば、化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー混合物から、キラルクロマトグラフィー法、例えばキラルHPLCを用いることにより得ることができる(例えば、E1エナンチオマー1およびE1エナンチオマー2の分割を参照)。
別法として、化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー混合物から、キラル結晶化方法、例えばキラル酸での沈殿を用いることにより得ることができる。
【0096】
さらに、本発明の化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、適当な光学活性中間体から、本明細書に記載の一般法を用いて合成することができる。
別法として、本発明の化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、適当な立体化学的に濃縮された中間体から、本明細書に記載の一般法を用いて、上記した慣用的な分割法のいずれかと組み合わせることにより得ることができる。
【0097】
光学活性中間体または立体化学的に濃縮された中間体は、慣用的な方法を用いる対応するエナンチオマーまたはジアステレオマー混合物の分割により、あるいは、立体選択的反応を行うことにより、または異なる分割法と組み合わせることにより得ることができる。
また、化合物の特定のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、上記の慣用的な方法を組み合わせることにより得ることができる。
【0098】
本発明の化合物は、化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に応答する障害または疾患の治療に有用である。本発明の化合物のこの活性により、化合物は、パーキンソニズム、うつ病、摂食障害、睡眠障害、物質関連障害、注意欠陥過活動性障害、不安障害、認知機能障害、性機能不全、強迫神経スペクトル障害、ジルドラトゥレット病および老年性痴呆、ならびに他の化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み−阻害活性に感受性である障害の治療に有用である。
【0099】
本発明の範囲において、本明細書で用いられるある兆候を記載する用語は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition(American Psychiatric Association(DSM−IV)および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition(ICD−10))において分類されている。本明細書に記載する障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として組み入れる。疾患の後の括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0100】
「うつ病」なる用語は以下のものを含む:
うつ病および気分障害(双極性障害以外)、例えば、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソード;抑欝障害、例えば、大欝病性障害、気分変調性障害(300.4)、抑欝障害、特定不能(311);その他の気分障害、例えば、亜型抑欝的特徴を伴うもの、大うつ病様エピソードを伴うもの、躁病的特徴を伴うものおよび混合性特徴を伴うものを含む、一般的健康状態に起因する気分障害(293.83);物質誘発性気分障害(亜型抑欝的特徴を伴うもの、躁病的特徴を伴うものおよび混合性特徴を伴うものを含む)および気分障害、特定不能(296.90):
【0101】
双極性障害、例えば双極性I型障害、双極性II型障害(軽躁エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および他の特定不能な双極性障害(296.80);
【0102】
「不安障害」なる用語は以下のものを含む:
不安障害、例えば、パニック発作;パニック障害、例えば、広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21);広場恐怖症;パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22)、特定恐怖症(300.29、かつては単純恐怖症)、例えば、亜型動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型およびその他の型)、対人恐怖(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全身性不安障害(300.02)、一般的健康状態に起因する不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安神経症を伴う適応障害(309.24)および不安障害、特定不能(300.00):
【0103】
「物質関連障害」なる用語は以下のものを含む:
物質関連障害、例えば、物質使用障害、例えば、物質依存、物質渇望および物質乱用;物質誘発性障害、例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性的機能不全、物質誘発性睡眠障害および幻覚発現物質持続性知覚障害(フラッシュバック);アルコール関連障害、例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性的機能不全、アルコール誘発性睡眠障害およびアルコール関連障害、特定不能(291.9);アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害、例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性的機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害およびアンフェタミン関連障害、特定不能(292.9);カフェイン関連障害、例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害およびカフェイン関連障害、特定不能(292.9);大麻関連障害、例えば、大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および大麻関連障害、特定不能(292.9);コカイン関連障害、例えば、コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性的機能不全、コカイン誘発性睡眠障害およびコカイン関連障害、特定不能(292.9);幻覚発現物質関連障害、例えば、幻覚発現物質依存(304.50)、幻覚発現物質乱用(305.30)、幻覚発現物質中毒(292.89)、幻覚発現物質持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚発現物質中毒せん妄、幻覚発現物質誘発性精神病性障害、幻覚発現物質誘発性気分障害、幻覚発現物質誘発性不安障害および幻覚発現物質関連障害、特定不能(292.9);吸入薬関連障害、例えば、吸入薬依存(304.60)、吸入薬乱用(305.90)、吸入薬中毒(292.89)、吸入薬中毒せん妄、吸入薬誘発性持続性認知症、吸入薬誘発性精神病性障害、吸入薬誘発性気分障害、吸入薬誘発性不安障害および吸入薬関連障害、特定不能(292.9);ニコチン関連障害、例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)およびニコチン関連障害、特定不能(292.9);オピオイド関連障害、例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性的機能不全、オピオイド誘発性睡眠障害およびオピオイド関連障害、特定不能(292.9);フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害、例えば、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害およびフェンシクリジン関連障害、特定不能(292.9);鎮静薬、催眠薬または抗不安薬関連障害、例えば、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬依存(304.10)、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬中毒せん妄、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬離脱せん妄、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬持続性認知症、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬持続性健忘障害、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬誘発性性的機能不全、鎮静薬、催眠薬または抗不安薬誘発性睡眠障害および鎮静薬、催眠薬または抗不安薬関連障害、特定不能(292.9);各種薬物関連障害、例えば、各種薬物依存(304.80);ならびにその他の(または未知の)物質関連障害、例えば、タンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入薬および亜酸化窒素;
【0104】
「睡眠障害」なる用語は以下のものを含む:
睡眠障害、例えば、睡眠異常などの原発性睡眠障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、日内周期睡眠障害(307.45)および睡眠異常、特定不能(307.47);睡眠時随伴症などの原発性睡眠障害、例えば、悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、睡眠持遊行症(307.46)および睡眠時随伴症、特定不能(307.47);別の精神病に関連する睡眠障害、例えば、別の精神病に関連する不眠症(307.42)および別の精神病に関連する過眠症(307.44);一般的健康状態に起因する睡眠障害;および物質誘発性睡眠障害、例えば、亜型不眠症型、過眠症型、睡眠随伴症型および混合型;
【0105】
「摂食障害」なる用語は以下のものを含む:
摂食障害、例えば、拒食症(307.1)、例えば、亜型制限型および無茶食い/排出型;神経性過食症(307.51)、例えば、亜型排出型および非排出型;肥満症;心因性摂食障害;過食症;および摂食障害、特定不能(307.50):
【0106】
「注意欠陥/多動性障害」なる用語は以下のものを含む:
注意欠陥/多動性障害、例えば、亜型注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害注意力障害優位型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性優位型(314.01)および注意欠陥/多動性障害、特定不能(314.9);多動性障害;破壊的行動障害、例えば、行動障害、例えば、亜型小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定発症(312.89)、反抗的行為障害(313.81)および破壊的行動障害、特定不能;ならびにチック障害、例えば、トゥレット障害(307.23);
【0107】
「認知機能障害」なる用語は以下のものを含む:
認知機能障害、例えば、認知障害を伴う統合失調症、双極性障害、うつ病、その他の精神医学的障害および精神病性状態などのその他の疾患、例えば、アルツハイマー病における認知障害;
【0108】
「性機能不全」なる用語は以下のものを含む:
性的機能不全、例えば、性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)および性的嫌悪障害(302.79);性的興奮障害、例えば、女性の性的興奮障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72);オルガスム障害、例えば、女性のオルガスム障害(302.73)、男性のオルガスム障害(302.74)および早漏(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51);性的機能不全、特定不能(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および性的倒錯、特定不能(302.9);性同一性障害、例えば、小児における性同一性障害(302.6)および青年または成人における性同一性障害(302.85);ならびに性的障害、特定不能(302.9);
【0109】
「強迫神経スペクトル障害」なる用語は以下のものを含む:
強迫神経スペクトル障害、例えば強迫障害(300.3)、身体表現性障害、例えば身体醜形障害(300.7)および憂うつ病(300.7)、病的飢餓拒食症(307.51)、拒食症(307.1)、他に分類されない摂食障害(307.50)、例えば過食症、他に分類されない衝動調節障害(間欠性爆発性障害(312.34)、強迫的購買または買物、反復自傷、咬爪癖、心因性擦創、窃盗癖(312.32)、病的賭博(312.31)、抜毛癖(312.39)およびインターネット中毒)、性的倒錯(302.70)および非性的倒錯性性的嗜癖、シデナム舞踏病、斜頸、自閉性障害(299.0)、強迫性貯蔵、および運動障害、例えばトゥレット症候群(307.23)。
本明細書に記載の障害のすべての種々の形態およびサブ形態は、本発明の一部として組み入れられる。
【0110】
一の具体例において、本発明の化合物は鎮痛剤として有用であり得る。例えば、これらは、慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎に付随する痛み);筋骨格系疼痛;背下部および首痛;捻挫および緊張;ニューロパシー痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に付随する痛み;片頭痛に付随する痛み;インフルエンザまたは他のウイルス性感染症、例えば風邪に付随する痛み;リウマチ様熱病;機能性腸障害、例えば非潰瘍性消化不良に付随する痛み、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群;心筋虚血に付随する痛み;術後の痛み;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療に有用であり得る。
【0111】
本発明の化合物は、ニューロパシー痛の治療において有用であり得る。ニューロパシー痛症候群は、ニューロン損傷に進行し、その結果、元の損傷が治癒した後でさえも痛みが数ヶ月または数年持続し得る。ニューロン損傷は、末梢神経、後根、脊髄または脳の特定の領域で生じうる。ニューロパシー痛症候群は、伝統的に、疾患またはそれを引き起こしたイベントにより分類される。ニューロパシー痛症候群としては:糖尿病性ニューロパシー;坐骨神経痛;非特異性腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV関連ニューロパシー;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および物理的外傷、切断、癌、毒素または慢性炎症症状に起因する痛みが挙げられる。これらの症状は治療するのが困難であり、複数の薬剤が限定的な効果を有することが知られているが、完全に痛みを制御することはめったにない。ニューロパシー痛の徴候は、非常に異質であり、自然発生的な激痛および電撃痛、または継続している灼熱痛として描写される。さらに、「しびれの直りかけのピリピリ感(pinandneedles)」のような通常の無痛性感覚に関連する痛み(知覚異常および感覚不全)、接触に対する感受性増大(知覚過敏症)、非侵害性刺激後の有痛性感覚(動的、静的または熱的異痛症)、侵害刺激に対する感受性増大(熱的、寒冷的、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の痛覚の継続(痛覚過敏)または選択的感覚経路の不在もしくは該経路における欠損(痛覚鈍麻)である。
【0112】
本発明の化合物は、炎症性障害の緩和、例えば皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼疾患、例えば緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織に対する急性傷害(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、愛鳥家肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD);胃腸管障害(例えば、アフター性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、痘瘡状胃炎、潰瘍性結腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流症);炎症性成分に付随する他の症状、例えば、片頭痛、多発性硬化症、心筋虚血の治療に有用であり得る。
【0113】
一の具体例において、本発明の化合物は、うつ病および不安障害の治療に有用である。
他の具体例において、本発明の化合物は、うつ病の治療に有用である。
「治療」は、関連症状に適当な場合予防も含む。
【0114】
別として、またはさらなる態様において、ヒトを含む哺乳動物の治療、具体的には、化合物のモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に応答する障害または疾患の治療方法であって、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0115】
一の具体例において、本発明は、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療方法であって、該治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0116】
他の態様において、本発明は、治療において用いるための本発明の化合物を提供する。
一の具体例において、本発明は、セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療において用いるための本発明の化合物を提供する。
【0117】
一の態様において、本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害活性に応答する障害または疾患の治療用の医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0118】
一の具体例において、哺乳動物のセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療用の医薬の製造における本発明に記載の化合物の使用を提供する。
【0119】
本発明の化合物はまた、他の治療剤と組み合わせて用いることができる。かくして、本発明は、さらなる態様において、さらなる治療剤と一緒に本発明の化合物を含む組合せを提供する。
【0120】
本発明の化合物は、以下の精神障害を治療または予防するための薬剤:i)抗精神病薬;ii)錐体外路の副作用のための薬剤、例えば、抗コリン作用薬(例えば、ベンズトロピン、ビペリデン、プロシリジンおよびトリヘキシフェニジル)、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン)およびドーパミン作動薬(例えば、アマンタジン);iii)抗鬱剤;iv)抗不安剤;およびv)認知機能増強剤、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)と組み合わせて用いてもよい。
【0121】
本発明の化合物は、うつ病および気分障害の治療または予防用の抗うつ剤と組み合わせて用いてもよい。
【0122】
本発明の化合物は、双極性疾患の治療または予防用の以下の薬剤:i)気分安定剤;ii)抗精神病剤;およびiii)抗鬱剤と組み合わせて用いてもよい。
【0123】
本発明の化合物は、不安障害の治療または予防用の以下の薬剤:i)抗不安剤;およびii)抗鬱剤と組み合わせて用いてもよい。
【0124】
本発明の化合物は、ニコチン離脱の改善、およびニコチン切望の減少用の以下の薬剤:i)ニコチン置換療法、例えば、ニコチンベータ−シクロデキストリン舌下剤およびニコチンパッチ;およびii)ブプロピオンと組み合わせて用いてもよい。
【0125】
本発明の化合物は、アルコール離脱の改善、およびアルコール切望の減少用の以下の薬剤:i)NMDA受容体アンタゴニスト例えば、アカンプロセート;ii)GABA受容体アゴニスト、例えば、テトラバメート;およびiii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えばナルトレキソンと組み合わせて用いてもよい。
【0126】
本発明の化合物は、アヘン離脱の改善、およびアヘン切望の減少用の以下の薬剤:i)μオピオイド受容体アゴニスト/κオピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ブプレノルフィン;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン;およびiii)血管拡張降圧剤、例えば、ロフェキシジンと組み合わせて用いてもよい。
【0127】
本発明の化合物は、睡眠障害の治療または予防用の以下の薬剤:i)ベンゾジアゼピン、例えばテマゼパン、ロルメタゼパン、エスタゾラムおよびトリアゾラム;ii)非ベンゾジアゼピン睡眠薬、例えばゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロンおよびインジプロン;iii)バルビツール酸系催眠薬、例えばアプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタールおよびフェノバルビタール;iv)抗うつ剤;v)他の催眠鎮静薬、例えば、クロラール水和物およびクロロメチアゾールと組み合わせて用いてもよい。
【0128】
本発明の化合物は、拒食症の治療の以下の薬剤:i)食欲刺激剤、例えばシプロヘpチジン;ii)抗うつ剤;iii)抗精神病剤;iv)亜鉛;およびv)月経前剤、例えば、ピリドキシンおよびプロゲステロンと組み合わせて用いてもよい。
【0129】
本発明の化合物は、病的飢餓の治療または予防用の以下の薬剤:i)抗うつ剤;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト;iii)制吐剤、例えば、オンダンセトロン;iv)テストステロン受容体アンタゴニスト、例えば、フルタミド;v)気分安定剤;vi)亜鉛;およびvii)月経前剤と組み合わせて用いてもよい。
【0130】
本発明の化合物は、自閉症の治療または予防用の以下の薬剤:i)抗精神病剤;ii)抗うつ剤;iii)抗不安剤;およびiv)覚醒剤、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン形成剤およびペモリンと組み合わせて用いてもよい。
【0131】
本発明の化合物は、ADHDの治療または予防用の以下の薬剤:i)覚醒剤、例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン形成剤およびペモリン;およびii)非覚醒剤、例えば、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、アトモキセチン)、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、クロニジン)、抗うつ剤、モダフィニルおよびコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミンおよびドネゼピル)と組み合わせて用いてもよい。
【0132】
本発明の化合物は、人格障害の治療用の以下の薬剤:i)抗精神病剤;ii)抗うつ剤;iii)気分安定剤;およびiv)抗不安剤と組み合わせて用いてもよい。
【0133】
本発明の化合物は、男性の性機能不全の治療または予防用の以下の薬剤:i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えば、バルデナフィルおよびシルデナフィル;ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミントランスポート阻害剤、例えば、アポモルフィンおよびブプロプリオン;iii)アルファアドレナリン受容体アンタゴニスト、例えば、フェントルアミン;iv)プロスタグランジンアゴニスト、例えば、アルプロスタジル;v)テストステロンアゴニスト、例えばテストステロン;vi)セロトニントランスポート阻害剤、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤;v)ノルアドレナリントランスポート阻害剤、例えば、レボキセチンおよびvii)5−HT1Aアゴニスト、例えば、フリバンセリンと組み合わせて用いてもよい。
【0134】
本発明の化合物は、女性の性機能不全の治療または予防用の男性の性機能不全に関する記載と同じ薬剤と、加えて、エストロゲンアゴニスト、例えばエストラジオールと組み合わせて用いてもよい。
【0135】
抗精神病剤は、典型的な抗精神病剤(例えば、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、チオチキシン、ハロペリドール、モリンドンおよびロキサピン);および非定型抗精神病剤(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド)を含む。
【0136】
抗うつ剤は、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチンおよびセルトラリン;デュアルセロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプラン);ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、レボキセチン);三環系抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン);および他の薬剤(例えば、ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドン)を含む。
【0137】
気分安定剤は、バルプロ酸リチウム、ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバンアゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラメートおよびチアガビンを含む。
抗不安剤は、ベンゾジアゼピン、例えば、アルプラゾラムおよびロラゼパムを含む。
【0138】
医薬に用いる場合、本発明の化合物は、通常、標準的な医薬組成物として投与される。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物および医薬上(すなわち、生理学的に)許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本明細書に記載のいずれの症状の治療に用いることができる。
【0139】
本発明の化合物は、慣用的な方法、例えば、経口、非経口(例えば、静脈内)、バッカル、舌下、鼻腔、直腸または経皮投与により投与してもよく、医薬組成物はこれらに適合する。
【0140】
経口で投与された場合に活性な本発明の化合物は、液体または固体、例えば、シロップ、懸濁液またはエマルジョン、錠剤、カプセルおよびロゼンジとして処方することができる。
【0141】
液体処方は、一般的には、適当な液体担体、例えば、水性溶媒、例えば水、エタノールまたはグリセリン、または非水性溶媒、例えばポリエチレングリコールまたは油中の化合物またはその塩の懸濁液または溶液からなるだろう。処方はまた、懸濁化剤、保存剤、フレーバー剤または着色剤を含有していてもよい。
【0142】
錠剤の形態の組成物は、慣用的に固体処方の製造に用いられる適当な医薬担体を用いて調製することができる。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、でんぷん、ラクトース、シュークロースおよびセルロースが挙げられる。
【0143】
カプセル形態の組成物は、慣用的なカプセル化手法を用いて調製することができる。例えば、活性成分を含有するペレットを標準的な担体を用いて調製し、ついで、ハードゼラチンカプセルに封入することにより調製することができる;別法として、分散液または懸濁液を、適当な医薬担体、例えば、水性ガム、セルロース、シリケートまたは油を用いて調製し、ついで、分散液または懸濁液をソフトゼラチンカプセルに封入することにより調製することができる。
【0144】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または非傾向的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油またはゴマ油中の化合物または塩の溶液または懸濁液からなる。別法として、溶液を凍結乾燥し、ついで、投与の直前に適当な溶媒で還元することができる。
【0145】
鼻腔投与用の組成物は、有利には、エアロゾール、滴剤、ゲルおよび散剤として処方することができる。エアロゾール処方は、典型的には、医薬上許容される水性または非水性溶媒中の活性物質の溶液または細粒懸濁液を含み、通常、シールした容器中の滅菌形態で単回または複数回量で提供され、カートリッジの形態で提供されるか、または噴霧デバイスで使用するために再充填することができる。別法として、シールした容器は、単一の噴霧装置、例えば単回投与鼻用吸入器、あるいは容器の内容物が空になるとすぐに処分することが意図される計量バルブを備えたエアロゾールディスペンサーであってもよい。剤形がエアロゾールディスペンサーを含む場合、これは、圧縮ガス、例えば圧縮空気である推進剤または有機推進剤、例えばフルオロクロロ炭化水素を含有するだろう。エアロゾール剤形はまた、ポンプ噴霧器の形態であってもよい。
【0146】
バッカルまたは舌下投与用組成物は、錠剤、ロゼンジおよびトローチを含み、これらは活性成分を、担体、例えば糖およびアカシア、トラガカントまたはゼラチンおよびグリセリンと一緒に処方する。
【0147】
直腸投与用の組成物は、有利には、慣用的な坐剤基剤、例えばココアバターを含有する坐剤の形態である。
経皮投与に適した組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを含む。
一の具体例において、組成物は、単位剤形、例えば錠剤、カプセルまたはアンプルである。
【0148】
経口投与についての個々の投与単位は、例えば、遊離塩基として計算して、0.5〜250mg(および、非経口投与に関しては、例えば、0.05〜25mg)の本発明の化合物を含有する。
【0149】
医薬上許容される本発明の化合物は、通常、1日の投与量計画(成人の患者に対して)、例えば、遊離塩基として計算して、経口投与では1mg〜500mg、例えば1mg〜400mg、例えば10〜250mgまたは静脈内、皮下または筋肉内投与では0.1mg〜100mg、例えば0.1mg〜50mg、例えば1〜25mgの式(I)の化合物またはその塩の量で投与されるだろう。化合物は、1日あたり1〜4回、例えば、1日あたり1〜2回投与される。一の具体例において、本発明の化合物は1日1回投与してもよい。
【0150】
適当には、化合物は、連続した治療期間、例えば1週間またはそれ以上の間投与されるだろう。
経口投与に関して、典型的な投与量な、1日あたり1〜200mgの範囲、例えば、1日あたり60〜200mgである。
【0151】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体が、同じ病状に対して活性である第2の治療剤と組み合わせて用いられる場合、各々の化合物の投与量は、その化合物を単独で用いる場合とは異なりうる。適当な投与量は、当業者により容易に評価されるだろう。治療に用いるのに必要な本発明の化合物の量は、治療する症状の性質、および患者の年齢および症状により変化し、最終的に主治医または獣医師により決定されるだろうことは明らかだろう。
【0152】
上記した組み合せは、有利には、医薬処方の形態で用いられ、かくして、医薬上許容される担体または賦形剤と一緒に上記組み合せを含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を含む。かかる組合せの個々の成分は、別個の薬剤で連続してまたは同時に、あるいは、慣用的な経路での組み合わせ医薬処方で投与してもよい。
【0153】
本発明はまた、同時、別個または連続投与用の、本発明の化合物を含む第1の剤形および他の治療剤を含む第2の剤形を含む、上記したような症状の治療のおいて用いるのに適した新規キット−オブ−パートに関する。
【0154】
連続して投与される場合、本発明の化合物または第2の治療剤のいずれを最初に投与してもよい。同時に投与する場合、組み合わせは、同じまたは別個の医薬組成物で投与することができる。
【0155】
同じ処方に組み合わせた場合、2つの化合物は安定で、互いにおよび処方の他の成分と適合しなければならいことは明らかだろう。別個の処方した場合、いずれもの有利な処方、有利には、当該分野においてかかる化合物に関してよく知られているような方法で提供してもよい。
【0156】
生物学的アッセイ
細胞生物学
a)hSERT、hNET、およびhDATを発現する安定なLLCPK細胞株の生成
ヒトセロトニントランスポーター(hSERT)を発現する安定な細胞株は、ルイス肺癌ブタ尿細管腎臓(LLC−PK1またはLLCPK)細胞を哺乳動物の発現ベクターpCDNA3.1 Hygro(+)にクローン化したhSERTでトランスフェクトすることにより製造することができる。
ヒトノルエピネフリントランスポーター(hNET)を発現する安定な細胞株は、LLCPK細胞を哺乳動物の発現ベクターpRC/CMVにクローン化したhNETでトランスフェクトすることにより製造することができる。
ヒトドーパミントランスポーター(hDAT)を発現する安定な細胞株は、LLCPK細胞を哺乳動物の発現ベクターpDESTCDNA3.1にクローン化したhDATでトランスフェクトすることにより製造することができる。
LLCPK細胞をhDAT、hSERTおよびhNETでトランスフェクトに関する方法の一例は、H. Gu, S. C. Walland G. Rudnick, J. Biol. Chem. (1994) 269:7124-7130に見られる。
各々の細胞株を、独立して、400μg/mlハイグロマイシン(hSERT)あるいはジェネティシン500μg/ml(hNET)または1000μg/ml(hDAT)を補足した10%のウシ胎児血清(FBS)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)において培養する。細胞を、空気中5%COを含有する加湿環境下、37℃に保持する。
【0157】
b)哺乳動物の細胞におけるhSERT、hNET、およびhDATの発現用のBacMamウイルスの生成
SPA−結合アッセイ用の膜を、各々単一のヒトSERT、NET、およびDATトランスポーターに関して生成したBacMamウイルスでのHEK−293F細胞感染により産生する。hSERTおよびhDATをpFBMRfAベクターにクローン化し、一方、hNETをpFASTBacMam1ベクターにクローン化する。BacMamウイルスの生成および使用は、Condreay JP et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1999, 96:127-132およびHassan NJ et al, Protein ExpressionおよびPurification, 47(2): 591-598, 2006に記載されている。
【0158】
ヒトトランスポーターSERT、NETおよびDATに対するアフィニティー
ヒトセロトニントランスポーター(SERT)、ヒトノルエピネフリントランスポーター(NET)およびヒトドーパミントランスポーター(DAT)に対する本発明の化合物のアフィニティーは、下記のアッセイの1つにより測定することができる。かかるアフィニティーは、典型的には、トランスポーターから50%の放射性標識リガンドを置換するのに必要な化合物の濃度であるIC50から計算され、下記等式:
【数1】

[式中、L=放射性リガンド、K=トランスポーターに対する放射性リガンドアフィニティー]
により計算される「K」値として記録する(Cheng and Prusoff, Biochem. Pharmacol. 22:3099, 1973)。本発明において、pKi値(Kiの真数に対応する)をKiの代わりに用いる; pKi結果は、正確には約0.3〜0.5であると見積もられるにすぎない。
【0159】
a)hSERT、hNET、およびhDATLLCPK細胞株由来の膜での濾過結合アッセイ
膜調製
hSERT−LLCPKまたはhDAT−LLCPKまたはhNET−LLCPK細胞株を、放射性リガンド結合アッセイの膜調製に用いる。個々の細胞株を、400μg/mlハイグロマイシン(hSERT)またはジェネティシン500μg/ml(hNET)または1000μg/ml(hDAT)を補足した10%のウシ胎児血清(FBS)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)中で別個に培養する。細胞が70−80%コンフルエンスになったとき、培養培地を除去し、細胞を、5mMのEDTAを含有するリン酸化緩衝セイライン(PBS)で収穫する。細胞懸濁液を、900g、4℃で5分間遠心分離に付す。得られたペレットを、30−50容量のアッセイバッファー(120mM NaCl、5mM KCl、10μMパルジリンおよび0.1%アスコルビン酸を含有する50mM Tris pH7.7)に再懸濁し、glass−teflon Potterホモジナイザーを用いて均質にし、48000g、4℃で20分間遠心分離に付した。得られた膜ペレットを、同じ容量のアッセイバッファーに再溶解し、37℃で20分間インキュベートし、48000gで遠心分離に付した。個々の調製物に関する採集蛋白質濃度を、Bio−Rad蛋白質アッセイキットにより測定してhSERT−LLCPK、hDAT−LLCPKおよびhNET−LLCPKについて約480μg蛋白質/mlが得られるように調製する。膜を必要になるまで−80℃で1mlのアリコートで貯蔵する。
【0160】
hSERT、hNET、およびhDATに関する濾過アッセイプロトコール
モノアミントランスポーター濾過結合アッセイに関する一般的な参考文献は、Michael J. Owens, et al, Neurotrasmitter receptor and transporter binding profile of antidepressants and their metabolites, JPET, 283:1305-1322, 1997; Per Allard, Jan O. Marcusson, Svate B. Ross, [3H]WIN-35,428 binding in the human brain, Brain Res., 706 :347-350, 1996である。
SERTの再取り込み部位に結合する本発明の化合物のアフィニティーは、hSERT−LLCPK細胞膜で行う[H]シタロプラム濾過結合アッセイを用いて評価することができる。詳細には、競合結合アッセイを、ディープウェル96ウェルプレート(1ml、NUNC、cod.260252)において、総容量400μlで、各々の濃度で多重に行う。4μlの試験化合物(ニートDMSO中100X溶液、10−6〜10−12Mの範囲での7点曲線、最終濃度)またはDMSO(総結合を定義するため)またはDMSO中の10μMフルオキセチンの最終濃度(非特異的結合を定義するため、NSB)をウェルに加える;この後、200μlの[N−メチル−H]シタロプラム(Amersham Biosciences、80Ci/mmol)をアッセイバッファー中0.25nMの最終濃度で全てのウェルに加え、最終的に、200μl/ウェルのアッセイバッファー中1:80希釈膜(濃度約2.5μg/ウェルの蛋白質)を添加することにより、反応を開始する。反応を室温にて2時間行い、ついで、Perkin−Elmer FilterMat−196ハーベスターを用いて、予め0.5%ポリエチレンイミン(PEI)に浸したGF/B Unifilter 96−濾過プレート(Perkin−Elmer)により急速に濾過することにより停止させる。濾過プレートを、1ml/ウェル氷冷0.9%NaCl溶液で3回洗浄する。プレートをオーブン中50℃で60分間乾燥し、ついで、then不透明なボトムシールをプレートの底面に置き、50μlのMicroscint20(Perkin−Elmer)を各々のウェルに加える。プレートをTopSealにより封し、試料の放射活性を、TopCount液体シンチレーションカウンター(Packard−Perkin−Elmer)を用いて4分間計数し、1分あたりのカウント(CPM)として記録した。
【0161】
hNETに関する競合結合アッセイは、hNET−LLCPK細胞膜(1:40希釈、すなわち、4.8μg蛋白質/ウェル)および放射性リガンドとして[H]ニソキセチン(1.5nM[N−メチル−H]ニソキセチン、Amersham Biosciences、84Ci/mmol)を用いること以外は、本質的にhSERTに記載したように、96ウェルフォーマットおよび最終アッセイ容量400μlで行うことができる。10μMデシプラミンをNSBに用いる。
【0162】
hDATに関する競合結合アッセイは、hDAT−LLCPK細胞膜(1:20、すなわち、9.6μg蛋白質/ウェル)および放射性リガンドとして[H]WIN−35、428(10nM[N−メチル−H]WIN−35、428、Perkin Elmer、85.6Ci/mmol)を用いること以外は、本質的にhSERTおよびhNETに記載したように、9696ウェルフォーマットおよび最終アッセイ容量400μlで行うことができる。さらに、10μM GBR−12909をNSBに用い、結合反応のインキュベーション時間は室温で1時間である。
【0163】
b)ヒトDAT、NETおよびSERT結合に関するシンチレーション近接アッセイ(SPA)
hSERT/hDAT/hNET BacMamウイルスでのHEK−293F細胞のトランスフェクション
HEK−293F懸濁液細胞株(Invitrogen)を、慣用的に、293_Freestyle発現培地(Invitrogen)で、振盪フラスコ懸濁液培養で増殖させる。培養物を、適当なトランスポーターBacMamで、細胞あたり100ウイルス粒子のMOI(感染の多重度)で形質導入し、37℃、空気中5%COで48時間インキュベートし、加湿振盪インキュベーター中90rpmで振盪する。ついで、培養物を、1000g、4℃で10分間遠心分離に付すことにより集め、細胞ペレットを必要になるまで−80℃で貯蔵する。
【0164】
BacMam hSERT/hDAT/hNET−HEL293F細胞膜の調製
形質導入した細胞ペレットを、10倍容量に、バッファーA(50mM HEPES、1mM EDTA、1mMロイペプチン、25ug/mLバシトラシン、1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、PMSF、2μMペプスタチンA、pH7.7)で再懸濁させ、ガラスワーリングブレンダーにて2×15秒のバーストで均質化する。ついで、均質化した液を、500gで20分間遠心分離に付す。これについで、上清をプールし、13、000gで30分間遠心分離に付す。ついで、ペレットを、4倍オリジナルのペレット容量に、バッファーB(50mM TRIS pH7.4、130mM NaCl)で再懸濁させ、0.8mmニードルに通し、均質な懸濁液を得る。膜アリコートを必要になるまで−80℃で貯蔵する。蛋白質濃度を、Bradfordアッセイにより定量した。
【0165】
hSERT、hNET、およびhDATに関するSPA結合アッセイプロトコール
本発明の化合物のhSERT、hNETまたはhDATに対するアフィニティーはまた、上記に製造したBacMam−組み換えヒトSERT、NETおよびDAT膜でのSPAでの[H]シタロプラム、[H]ニソキセチンまたは[H]WIN−35、428結合アッセイを用いることにより評価することもできる。SPA法(GE Healthcare、Amersham)でのトランスポーター−結合放射活性のみ、ビーズ励起を引き起こすことができ、かくして、結合/非結合放射性リガンドの分離を必要としない。
hSERT結合SPAのプロトコールは、Triluxベータ−カウンター(Wallac、Perkin−Elmer)に基づく。詳細には、ニートDMSO(または正の対照としての1μMフルオキセチン)中の0.5μLの化合物を、アッセイバッファー(20mM HEPES、145mM NaCl、5mM KCl、pH7.3)中2mg/ml SPAビーズ(Amersham RPNQ0001)、4μg/mL hSERT Bacmam膜、0.01%プロノニックF−127、2.5nM[H]シタロプラムを含有する50μLのSPA混合物に加える。インキュベーションは、室温にて少なくとも2時間行う。計数は安定しており、3日まで読み取ることができる。
別法として、hDAT hNETおよびhSERT SPA−結合アッセイは、最終容量30μL、384−ウェルプレートフォーマット(Greiner 781075)中、イメージングPS−WGAビーズ(Amersham RPNQ0260)で、Viewluxベータ−カウンター(Wallac、Perkin−Elmer)を用いることにより行うことができる。詳細には、ニートDMSO中0.3μLの試験化合物および0%および100%効果対照(全結合に対してDMSO、および正の対照として10または1μMインダトラリン)を、Hummingbird(Genomic Solutions)を用いてウェルに加え、ついで、アッセイバッファー(20mM HEPES、145mM NaCl、5mM KCl、pH7.3−7.4)中、1mg/ml SPAビーズ(hSERT)または2mg/ml SPAビーズ(hDATおよびhNET)、40μg/mlまたは20μg/mlまたは6μg/mlのhDATまたはhNETまたはhSERT BacMam膜、0.02%プルロニックF−127、10nM[H]WIN−35、428または10nM[H]ニソキセチンまたは3nM[H]シタロプラム(hDATまたはhNETまたはhSERT結合SPAアッセイに関して)を含有する30μLのSPA混合物を添加する。インキュベーションは、室温にて少なくとも2時間行い、暗所で一晩が最もよい。結合放射活性は、600s 6×ビニングおよび613nmエミッションフィルターを用いてViewlux装置で記録する。
【0166】
ヒトトランスポーターSERT、NET、およびDATに関する化合物のアフィニティー範囲
式(I)’の化合物は、典型的には、3つのトランスポーターSERT、NETおよびDATの各々に関して4.5以上のpKiを示す。一の具体例において、式(I)の化合物は、典型的には、3つのトランスポーターの各々に関して5.5以上のpKiを示す。他の具体例において、式(I)’の化合物は、3つのトランスポーターの各々に関して6.5以上のpKiを示す。さらなる具体例において、式(I)’の化合物は、典型的には、3つのトランスポーターの各々に関して7.0以上のpKiを示す。
一の具体例において、本発明は、6.5〜8.0に含まれるhSERT pKiを有する式(I)’の化合物を提供する。
一の具体例において、本発明は、6.0〜7.5に含まれるhDAT pKi式(I)の化合物を提供する。
一の具体例において、本発明は、6.0〜7.5に含まれるhNET pKiを有する式(I)’の化合物を提供する。
一の具体例において、本発明は、6.5〜8.0に含まれるhSERT pKi、6.0〜7.5に含まれるhNET pKiおよび6.0〜7.5に含まれるhDAT pKiを有する式(I)’の化合物を提供する。
一の具体例において、本発明は、7.0〜8.0に含まれるhSERT pKi、6.5〜7.0に含まれるhNET pKiおよび7.0〜7.5に含まれるhDAT pKiを有する式(I)’の化合物を提供する。
【0167】
実施例
本発明を、さらに以下の非限定的実施例により説明する。
以下の方法において、典型的には、各々の出発物質、調製または実施例の後に数字を付与する。これは単に当業者を補助するために提供する。出発物質は、必ずしも、参照されるバッチから調製されるとは限らない。
「同様の」または「類似の」方法の使用に言及する場合、当業者には明らかであるように、かかる方法は、軽微な修飾、例えば、反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、処理条件またはクロマトグラフィー精製条件の修飾を含みうる。
化合物は、ACD/NamePRO6.02化合物命名ソフトウェア(Advanced Chemistry Development Inc., Toronto, Ontario, M5H2L3, Canada)を用いて命名した。
全てのの温度は℃である。
プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、典型的には、300、400または500MHzでVarian装置、または300および400MHzBruker装置を用いて記録した。化学シフトは、内部標準としての残留溶媒を基準としてppm(d)で記録した。分裂パターンは、s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット;b、ブロードとして記録した。NMRスペクトルは、25〜90℃の温度範囲で記録した。1個以上のコンフォーマーが検出された場合、最も豊富なものの化学シフトを記録した。
質量スペクトル(MS)は、典型的には、4 II トリプル四重極質量計(Micromass UK)またはES(+)およびES(−)イオン化モードを用いるAgilent MSD 1100質量計、またはHPLC装置 Agilent 1100シリーズに接続されたES(+)およびES(−)イオン化モードを用いるAgilent LC/MSD 1100質量計を用いて記録した。質量スペクトルにおいては、分子イオンクラスターのただ1つのピークを記録した。
フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを、シリカゲル230−400メッシュ(Merck AG Darmstadtにより提供される、Germany)またはVarian Mega Be−SiプレパックカートリッジまたはプレパックBiotageシリカカートリッジを用いて行った。
多くの精製法において、精製は、Biotage 手動フラッシュクロマトグラフィー(Flash+)または自動フラッシュクロマトグラフィー(HorizonまたはSP1)システムを用いて行った。すべての装置は、Biotage Silicaカートリッジを用いて行った。
【0168】
以下の略号を本明細書にて用いる:DCE=ジクロロエタン、Tlcはシリカプレートの薄層クロマトグラフィーを意味し、乾燥は無水硫酸ナトリウムで乾燥した溶液を示し、r.t.(RT)は室温を意味し、Rt=保持時間、DMSO=ジメチルスルホキシド、DCM=ジクロロメタン;DCE=ジクロロエタン;DME=ジメトキシエタン;DMF=N,N’−ジメチルホルムアミド;MeOH=メタノール;TEA=トリエチルアミン;THF=テトラヒドロフラン;AcOEt=酢酸エチル;EtO=ジエチルエーテル;SCXカートリッジ=強カチオンイオン交換カートリッジ;アミンカートリッジ:第二級アミン官能化シリカカートリッジ;FC=フラッシュクロマトグラフィー。
【0169】
調製1:3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−プロピン−1−オール(P1)
【化33】

方法A:JOC2005,70,4043−4053に記載の方法と類似の方法で、3,4−ジクロロヨウドベンゼン(4g、2回調製を行った)から標題化合物(2.94g)を調製した。
【0170】
方法B:3,4−ジクロロヨウドベンゼン(300mg)、プロパルギルアルコール(128μL)、CuI(10mg)、KCO(302mg)、Pd(PPh(12mg)のDMF(2mL)中混合物に、マイクロ波を100℃で20分間照射した。飽和NHCl水溶液を、ついで、DCMを加えた。2相を分離した後、有機層を乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 7/3で溶出する)により精製して、標題化合物(40mg)を得た。
NMR(H,CDCl):δ7.58(s,1H),7.41(d,1H),7.27(d,1H),4.52(d,2H),1.75(t,1H)
【0171】
調製2:3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−プロピナール(P2)
【化34】

3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−プロピン−1−オール(2.980g、P1)の乾燥DCM(74mL)中溶液に、デス−マーティンデス−マーティンペルヨウジナン(9.43g)を加えた。混合物を室温にて一晩撹拌した。NaS(19g)およびNaHCO飽和溶液を混合物に加え、これを室温にて1時間撹拌した。ついで、有機相を分離し、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥し、減圧下で濃縮して、粗標題化合物(2.9g)を得、さらに精製することなく用いた。
NMR(H,CDCl):δ9.48(s,1H),7.73(s,1H),7.55(d,1H),7.42(m,1H)
【0172】
調製3:(1S,5S/1R,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(P3)
【化35】

J.Am.Chem.Soc.2004,126,8654に記載の方法に従って、3−(3,4−ジクロロフェニル)−2−プロピナール(2.9g)から標題化合物を橙色泡沫体として880mgの収率で調製した。
NMR(H,CDCl):δ7.45(d,1H),7.28(s,1H),7.11(d,1H),2.89(m,2H),2.70(d,1H),2.42(d,1H),2.05(m,1H),1.38(m,1H),0.72(m,1H)
【0173】
調製4:(1S,5S/1R,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オンオキシム(P4)
【化36】

ヒドロキシルアミンモノ水和物(1.26g)および酢酸ナトリウム(2.3g)の水(7mL)中溶液に、(1S,5S/1R,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オン(0.860g、P3)のエタノール(18mL)中溶液を室温にて加え、反応混合物を一晩撹拌した。減圧下でエタノールを除去した後、水溶液をDCMで抽出した。有機相を乾燥し、減圧下で濃縮して、標題化合物(870mg)を得た。
NMR(H,CDCl):δ7.40(d,1H),7.26(m,1H),7.05(m,1H),3.33−2.60(m,4H),1.89(m,1H),1.15(m,1H),0.68(m,1H);MS(m/z):256[MH]+
【0174】
調製5:(1R,6R/1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−4−オンおよび(1R,6S/1S,6R)−6−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−4−オン(P5)
【化37】

(1S,5S/1R,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−オンオキシム(0.870g、P4)のアセトン(29mL)中溶液に、炭酸ナトリウム(水中5%w/w、25mL)を加えた。ついで、激しく撹拌した後、塩化トシルを加え、混合物を室温にて30分間撹拌した。反応混合物を2時間加熱還流し、室温にて一晩撹拌した。アセトンを減圧下で除去し、残渣を飽和NaHCO溶液に加え、DCMで抽出した。有機相を乾燥し、減圧下で濃縮した。粗物質を、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 98/2〜95/5)により精製して、640mgの標題化合物の混合物を得た。
MS(m/z):256[MH]+
【0175】
調製6:エチル5−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(フェニルメチル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジンカルボキシレート(P6)
【化38】

4−ブタノイル−3−オキソ−1−(フェニルメチル)ピペリジニウムクロライド(3.0g)の乾燥DMF(20ml)中溶液を、ゆっくりと、NaH(886mg、鉱油中60%分散液)の乾燥DMF(60ml)中懸濁液に0℃で窒素雰囲気下で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、ついで、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(3.95g)を加えた。反応混合物を室温にて4時間撹拌し、ついで、飽和NHCl溶液でクエンチした。混合物を酢酸エチルで希釈し、有機物を抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。10−20%エチル酢酸エチル/シクロヘキサン勾配で溶出するクロマトグラフィーにより精製して、4−ブタノイル−1−(フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジニルトリフルオロメタンスルホネート(2.9g)を得た。これをDME(70ml)中に溶解し、(3,4−ジクロロフェニル)ボロン酸(2.1g)、固体KCOを加えた。懸濁液を、窒素流で脱気し、Pd(PPhを加えた。反応混合物を80℃で5時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(50ml)および水(50ml)間で分配し;有機物をブライン(20ml)で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲル(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 9/1〜8/2)により精製して、3.0gの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δppm7.21−7.43(m,7H),6.95−6.99(m,1H),3.97(q,2H),3.66−3.69(m,2H),3.19−3.23(m,2H),2.68−2.74(m,2H),2.55−2.62(m,2H),0.98(t,3H)
【0176】
調製7:5−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジンカルボン酸エチル(P7)
【化39】

5−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(フェニルメチル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジンカルボン酸エチル(P6、2.0g)を、ジクロロエタン(30ml)中に溶解し、1−クロロエチルクロリドカルボネート(0.85ml)を加えた。反応混合物を50℃に5時間加熱し、室温にゆっくりと冷却した。10mlのメタノールを加え、混合物を2時間還流した。揮発性物質を蒸発させて残渣を得、これを酢酸エチルおよび飽和NaHCO溶液間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 9/1〜7/3)により精製して、1.0gの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δppm7.41(d,1H),7.26(d,1H),7.00(dd,1H),3.98(q,2H),3.57(t,2H),3.08(t,2H),2.44−2.50(m,2H),0.99(t,3H);MS(m/z):300[MH]+
【0177】
調製8:4−エチル 1−(フェニルメチル)5−(3,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−1,4(2H)−ピリジンジカルボキシレート(P8)
【化40】

5−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピリジンカルボン酸エチル(P7、1.0g)をDCM中に溶解し、トリエチルアミン(0.7ml)を加えた。0℃に冷却した後、ベンジルクロロホルメート(0.52ml)を加え、反応混合物この温度で1時間撹拌し、ついで、室温にてさらに1時間撹拌した。反応混合物を0.1N HClを加えてクエンチし;有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、1.4gの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δppm7.28−7.46(m,7H),6.93−7.10(m,1H),5.15−5.23(m,2H),4.12−4.29(m,2H),4.00(q,2H),3.71(t,2H),2.53−2.63(m,2H),0.99(t,3H)
【0178】
調製9:フェニルメチル 5−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボキシレート(P9)
【化41】

4−エチル 1−(フェニルメチル)5−(3,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−1,4(2H)−ピリジンジカルボキシレート(P8、1.4g)をトルエン(20ml)中に溶解し、−20℃に冷却した。LiAlH 1.0MのTHF(2.6ml)中溶液を、−20℃で滴下し、混合物をこの温度で2時間撹拌した。反応混合物をNHClの飽和溶液でクエンチした。残渣を酢酸エチルで希釈した。有機層を乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 3/1〜1/1)によりクエンチして、0.79gの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δppm7.31−7.51(m,7H),6.99−7.11(m,1H),5.13−5.23(m,2H),4.06−4.22(m,2H),3.92−4.05(m,2H),3.59−3.78(m,J=5.87,5.87Hz,2H),2.42(s,2H)
【0179】
調製10:1,1−ジメチルエチル 3−(3,4−ジクロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート(P10)
【化42】

Bioorganic & Medicinal Chemistry,2001,91349に記載の方法に従って、1,1−ジメチルエチル 3−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(5g)およびブロモ(3,4−ジクロロフェニル)マグネシウム(55mL、0.5M/THF)から、標題化合物を4.38gの収量で調製した。
【0180】
調製11:1,1−ジメチルエチル 5−(3,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボキシレート(P11)
【化43】

1,1−ジメチルエチル 3−(3,4−ジクロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート(P11、4.38g)の酢酸トリフルオロ酢酸(50mL)中溶液を、室温で一晩撹拌し、ついで、還流温度で24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をDCMで抽出し、有機相を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて、3.61gの対応する3,6−ジヒドロ中間体を得た。
この物質(3.61g)のDCM(100mL)中溶液に、室温で、TEA(3mL)およびBoc無水物(4、32g)を連続して加え、溶液を一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物をFC(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 1/0〜8/2で溶出する)により精製して、1.02gの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δ7.32−7.55(m,2H)7.14−7.24(m,1H)6.13−6.32(m,1H)4.10−4.33(m,2H)3.45−3.66(m,2H)2.22−2.44(m,2H)1.49−1.52(m,9H)
【0181】
実施例1:(1S,6R/1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E1)
【化44】

(1R,6R/1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−4−オンおよび(1R,6S/1S,6R)−6−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−4−オン(640mg、P5に記載のように調製した)の乾燥テトラヒドロフラン(16mL)中溶液に、ボラン(THF中1M、7.53mL)をN雰囲気下で加え、混合物を3時間加熱還流し、室温にて一晩撹拌し、ついで、2時間還流した。ついで、混合物を0℃に冷却し、メタノール(8mL)、ついで、塩酸(1M/エーテル、25mL)を連続して、ガスの発生をモニタリングしながら加え、溶液を室温にて一晩撹拌した。ついで、溶媒を減圧下で除去し、炭酸カリウム(10%溶液)を残渣に加えた。水層をジクロロメタンで抽出し、ついで、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。標題化合物をアミン性カートリッジ(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 9/1〜7/3で溶出)により分割して、標題化合物を207mgの収量で得た。
NMR(H,CDCl):δ7.38(m,2H),7.15(d,1H),3.31(d,1H),3.11(d,1H),2.85(m,1H),2.55(m,1H),2.05(m,1H),1.70(m,1H),1.34(m,1H),1.02(m,1H),0.92(m,1H);MS(m/z):242[MH]
【0182】
実施例1(207mg)を、セミ分取HPLC(キラルカラムChiralpak AD−H、25×4.6cm、溶出液A:n−ヘキサン;B:エタノール75/25、流速0.8mL/分、検出UV235nm)によりそのエナンチオマーに分割した。
E1エナンチオマー1(E1e1、(1S,6Rまたは1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、Rt.=6.83分)のDCM中溶液に、1当量のHCl(EtO中1M)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、物質をEtOでトリチュレートして、89mgの(1S,6Rまたは1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン塩酸塩を得た。
E1エナンチオマー2(E1e2、(1R,6Sまたは1S,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、Rt.=9.97分)のDCM中溶液に、1当量のHCl(EtO中1M)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた物質をEtOでトリチュレートして、80mgの(1R,6Sまたは1S,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン塩酸塩を得た。
【0183】
実施例2:(1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E2)
【化45】

フェニルメチル 5−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボキシレート(P9、0.79g)のDCM(1ml)中溶液を、0℃で、予め調製しておいたジエチル亜鉛(ヘキサン中1.0M、12ml)およびジヨウドメタン(1.95ml)のDCM(40ml)中溶液に加え、−20℃で15分間撹拌した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、ついで、ゆっくりと室温に加温し、この温度で18時間撹拌した。ついで、有機相をDCM(20ml)で希釈し、0.1N HCl(20ml)でクエンチし、2相を激しく撹拌した。ついで、有機層をブライン(20ml)で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/エチル酢酸エチル 8/2〜6/4)により精製して、純粋でないフェニルメチル (1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(120mg)を得、DMF(15ml)中に溶解し、0℃でNaH(鉱油中60%、18mg)のDMF(5ml)中懸濁液に滴下した。混合物を0℃で30分間撹拌し、ついで、ヨウ化エチル(35μl)を加えた。混合物をゆっくりと室温に加温した。さらにNaH(鉱油中60%分散液、27mg)およびヨウ化メチル(55μl)を加え、撹拌を18時間続けた。反応混合物をEtOおよびNHCl間で分配し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。15〜35%酢酸エチル/シクロヘキサン勾配でのクロマトグラフィーにより精製して、フェニルメチル (1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(90mg)を得、これを、ジオキサン(3ml)中6.0N HCl(3ml)の存在下で90℃に18時間加熱した。溶液をNaOH 1.0Mで塩基性にし、残渣をDCMで抽出し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、MeOH、ついで、MeOH中2.0MのNHで溶出するSCXカートリッジにより精製して、ついで、5%MeOH中DCM溶液で溶出するクロマトグラフィーに付して20mgの標題化合物を得た。
NMR(H,CDCl):δppm7.46−7.49(m,1H),7.37(d,1H),7.22(dd,1H),3.09−3.17(m,4H),2.97−3.06(m,4H),2.89−2.96(m,1H),2.61−2.71(m,2H),2.00−2.09(m,1H),1.71−1.82(m,1H),1.03(d,1H),0.93(d,1H);MS(m/z):286[MH]+
【0184】
実施例3:(1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン塩酸塩(E3)
【化46】

実施例2(20mg)のDCM中溶液に、1当量のHCl(EtO中1M)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた物質を、EtOでトリチュレートして、20mgの対応塩酸塩を得た。
NMR(H,DMSO−d)δppm8.77(br.s.,2H),7.77(d,1H),7.59(d,1H),7.42(dd,1H),3.28−3.36(m,2H),3.10−3.18(m,1H),3.01(s,3H),2.87−2.95(m,1H),2.84(d,1H),2.74(d,1H),2.16−2.26(m,1H),1.89−1.97(m,1H),1.28−1.30(m,2H)
【0185】
19mgのE3を、セミ分取キラルSFC(キラルカラムChiralpak AS−H、25×2.1cm、指標エタノール+0.1%イソプロピルアミン7%、流速22mL/分、圧力64bar、温度36℃、検出UV220nm)によりエナンチオマーに分割した。
【0186】
エナンチオマー1(Rt.=10.83分)のDCM中溶液に1当量のHCl(EtO中1M)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、かくして得られた物質をEtOでトリチュレートして、5.8mgの対応する塩酸塩(E4、(1R,6Rまたは1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン塩酸塩)を得た。
エナンチオマー2(Rt.=12.09分)のDCM中溶液に1当量のHCl(EtO中1M)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、かくして得られた物質をEtOでトリチュレートして、5.4mgの対応する塩酸塩(E5,(1S,6Sまたは1R,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン塩酸塩)を得た。
【0187】
実施例6:(1R,7S/1S,7R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(E6)
【化47】

工程A:1,1−ジメチルエチル 5−(3,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボキシレート(P11、0.5g)のDCM(7.5mL)中撹拌溶液に室温で、酢酸ロジウム(II)ダイマー(0.067g)を加え、ついで、ジアゾ酢酸エチル(0.24mL)のDCM(1mL)中溶液を、シリンジポンプにより7時間にわたって加えた(最初の半分を2時間で、残りを5時間)。得られた反応混合物を一晩室温で撹拌し、水を加え、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて、主に出発物質(P12)を含有する0.23gの粗混合物を得た。
【0188】
工程B:1,1−ジメチルエチル 5−(3,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジンカルボキシレート(P11)(0.48g)とE6工程Aの粗混合物(0.23g)のDCE(10mL)中撹拌溶液に、50℃で、酢酸ロジウム(II)ダイマー(0.095g)を加え、ついで、ジアゾ酢酸エチル(0.34mL)のDCE(1.5mL)中溶液を10時間にわたってシリンジにより加えた。得られた反応混合物を室温にし、水を加え、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、FC(シクロヘキサン/酢酸エチル 1/0〜9/1)により精製して、0.055gの対応するシクロプロパン中間体を得た。
【0189】
この物質(0.055g)のトルエン(1.4mL)中溶液に、−20℃、窒素雰囲気下で、LiAlH(0.532mL、1M/THF)を滴下し、反応物を1時間−20℃で撹拌した。飽和NHClを加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させて、40mgの対応する粗アルコール中間体を得た。
この物質(40mg)のDMF中の撹拌溶液に、20℃で、NaH(5.6mg、油中60%)を加え、反応混合物を0.5時間撹拌し、ついで、MeI(0.013mL)を加え、撹拌をさらに4時間続けた。飽和塩化アンモニウムおよびジエチルエーテルを加え、有機相をブラインで洗浄し、蒸発させて粗生成物を得、DCM(1mL)中に溶解した。この溶液に、室温で、酢酸トリフルオロ酢酸を加え、反応混合物を2時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、セミ分取液体クロマトグラフィーにより精製した。得られた物質をDCM(1mL)中に溶解し、SCXカートリッジ(メタノールおよび2N NH/メタノール)により精製して、6mgの標題化合物を白色泡沫体として得た。
NMR(H,CDCl):δ7.39(d,1H)7.34(d,1H)7.15(dd,1H)4.01(dd,1H)3.90(dd,1H)3.43(s,3H)3.35(d,1H)3.10(d,1H)2.79−2.91(m,1H)2.53−2.64(m,1H)2.03−2.14(m,1H)1.62−1.83(m,1H)1.49−1.59(m,1H)1.33−1.42(m,1H);MS(m/z):286.03
【0190】
本発明は、本明細書中に記載される特定の基の全ての組み合わせを包含するよう理解されるべきである。
【0191】
該記載および請求の範囲がその一部を形成する本出願は、いずれかの後の出願に関して、優先権の基礎として使用されてもよい。かかる後の出願の請求の範囲は、本明細書に記載されるいずれかの特徴または特徴の組み合わせに向けられてもよい。それらは、生産物、組成物、方法または使用の請求項の形態を取ってもよく、例示であって、限定するものではないが、添付の請求の範囲を包含していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)’:
【化1】

[式中:
Gは、フェニル、5−または6員単環式ヘテロアリール基、または8〜11員ヘテロアリール二環式基からなる群から選択され;かかるGは、同じであっても異なっていてもよい(Rにより置換されていてもよい;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFであるか;または、Rであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素またはC1−4アルキルであり;
は、水素、フッ素およびC1−4アルキルからなる群から選択されるか;あるいは、X、X、XまたはXであり;
ここに
Xは:
【化2】

であり;
は:
【化3】

であり;
は:
【化4】

であり;
は:
【化5】

であり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、水素またはC1−4アルキルであるか;あるいは、XまたはXであり;
は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC1−4アルカノイルからなる群から選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい5−6員ヘテロサイクル基pであり;
は、C1−4アルキルであり;
10は、水素、C1−4アルキル、CシクロアルキルまたはCシクロアルキルC1−3アルキルであり;
11は、ハロC1−2アルキルであり;
pは、0〜5の整数であり;
nは、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはそのプロドラッグ。
【請求項2】
式(IC):
【化6】

[式中、R、R、Rおよびpは、式(I)’の記載と同意義である]
で示される請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項3】
式(ID):
【化7】

[式中、R10、R、nおよびpは、式(I)’の記載と同意義である]
で示される請求項1または2記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項4】
式(I)’’
【化8】

[式中、R、R、R、R、R、R、Rおよびpは、式(I)’の記載と同意義である]
で示され、立体中心1および6で単一の絶対配置を有する立体異性体である、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項5】
1S,6R/1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1S,6Rまたは1R,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6Sまたは1S,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6R)/(1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,6Rまたは1S,6S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1S,6Sまたは1R,6R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−6−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
(1R,7S/1S,7R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−7−[(メチルオキシ)メチル]−3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン;
から選択される請求項1〜4いずれか1項に記載の式(I)’で示される化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項6】
セロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療方法であって、該治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に、有効量の請求項1〜5いずれか1項記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項7】
治療すべき症状がうつ病である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物におけるセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療用の医薬の製造における、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項9】
治療すべき症状がうつ病である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
治療において用いるための請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
哺乳動物におけるセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)の阻害が有益である症状の治療において用いるための、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
うつ病の治療において使用するための請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜5いずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグおよび医薬上許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2010−502760(P2010−502760A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527792(P2009−527792)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059380
【国際公開番号】WO2008/031771
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】