説明

おむつ用の弾性複合材

【課題】 本発明の課題は、おむつの弾性側部および弾性おむつ閉止ベルトの製造に適した弾性複合材であって、単軸方向に伸張可能であり、良好な伸張値および高い引き裂き強度を備え、かつ柔らかな繊維材料の表面を有する複合材を提供することである。
【解決手段】
本発明は、弾性複合材、特におむつの弾性側部と弾性おむつ閉止ベルトとを製造するための弾性複合材であって、1つの方向に優先的に伸張可能な弾性支持材と、編成布からなる少なくとも1つの繊維材料外層とを含む弾性複合材に関する。本発明によれば、弾性支持材が、優先的な伸張方向を有しかつ編成布と接着された平面状の材料から構成される。支持材を編成布と接合する接着剤は、好ましくは、接着面と接着剤のない領域とから構成されるパターンに塗布され、特に、支持材の優先的な伸張方向に対して横方向に配列される平行な条線からなるパターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性複合材、特におむつの弾性側部と弾性おむつ閉止ベルトとを製造するための弾性複合材であって、1つの方向に優先的に伸張可能な1つの弾性支持材と、編成布から構成される少なくとも1つの繊維材料外層とを含む弾性複合材に関する。おむつの良好な身体適合性を確保するために、おむつの弾性側部または弾性おむつ閉止ベルトは、それらの弾性が高くなければならず、上記のような用途では20mmを超えて伸張可能でなければならない。また、それらは、身体と接触する場合があるので、空気透過性であるべきであり、かつ、柔らかい繊維材料表面を有するべきである。最後に、上記のような用途においては弾性複合材の高い引き裂き強度が求められる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、編成布からなる第1の繊維材料外層と、スパンボンド不織布からなる第2の外層と、芯としての弾性支持材とを有する複合材が知られている。支持材は、複合材の優先的な伸張方向に延びる個々の弾性糸から構成される。この糸は、糸間の中間空間を充満しかつ繊維材料外層にも部分的に浸入する適切な結合剤の中に埋め込まれる。この材料は、空気透過性でなく、従って上記用途における本質的な基準を満たさない。
【0003】
特許文献2には、繊維材料外層と、2つの層からなる弾性の芯とを有するおむつ用の複合材が記載されている。外層は編成布から構成することができる。芯は、同様に、編成布からなる層と、材料の優先的な伸張方向に延びる弾性糸とを含む。弾性糸は、外層間の中空空間を充満しかつ外層に同様に部分的に浸透する適切な結合剤の中に充填される。芯の繊維材料層は、個々の層間の結合強度または付着性を改善することが求められる。弾性糸は、伸張された状態で結合剤の中に充填されている。この複合材も、同様に空気透過性でない。
【0004】
特許文献3から、縦編み方式で編み込まれたループを備えた2軸方向に伸張可能な複合材であって、面ファスナの一部として使用できる複合材が知られている。この編成布は、弾性的に伸張可能な材料からなるフィラメントを有し、弾性支持材の上に貼り合わされている。2軸方向に伸張可能であるために、この材料は、おむつの弾性側部の製造または弾性おむつ閉止ベルトの製造には適していない。その理由は、この用途に対しては、単軸方向に伸張可能な複合材であって、長さ方向に伸長する場合に材料が伸張方向に対して横方向には狭くならないように、優先的な伸張方向に対して横方向には比較的固く強固である複合材が求められるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0839222B1号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/094709A2号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0233364B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような技術的背景から、本発明の課題は、おむつの弾性側部および弾性おむつ閉止ベルトの製造に適した弾性複合材であって、単軸方向に伸張可能であり、良好な伸張値および高い引き裂き強度を備え、かつ柔らかな繊維材料の表面を有する複合材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、冒頭に述べた特徴を有する弾性複合材を基礎として、本発明に従い、弾性支持材を、優先的な伸張方向を有しかつ編成布と接着された平面状の材料から構成することによって達成される。
【0008】
編成布は、本発明による複合材に柔らかな表面を付与する。それは、高い空気透過性および良好な伸張性の点ですぐれている。弾性支持材は、優先的な伸張方向における所望の弾性を複合材に付与し、前記用途に必要な弾性復元力を決定する。好ましくは、弾性支持材は空気透過性の材料から構成される。支持材と繊維材料外層との接着には、原則として、積層フィルムの分野で用いられるすべての接着剤が適している。好ましい接着剤としては、脂肪族第一級アルファオレフィンAPAO、EVA、スチレンブロック共重合体(例えばSBS、SEBSまたはSIS)に基づくホットメルト接着剤、反応性ポリウレタン接着剤、アクリレート接着剤、および感放射線硬化型接着剤がある。接着剤塗布層の厚さは、接着剤塗布の際に編成布の糸が接着剤の中にしっかりと固定されるように選択される。
【0009】
支持材を編成布と接合する接着剤は、合目的的には、接着面と接着剤のない領域とから構成されるパターンで塗布される。接着剤が、支持材の優先的な伸張方向に対して横方向に配列される平行な条線からなるパターンを形成するのが好ましい。接着剤は、連続したフィルムとして塗布されるのではなく、そして接着面は優先的な伸張方向において大きく伸張するのではなく、主としてその伸張方向に対して横方向に条線として延びているので、複合材が伸張する場合に、接着剤は、大きな負荷を受けず、編成布および弾性支持材の伸張を妨げることはない。
【0010】
弾性支持材は、好ましくは、単層または多層の穿孔フィルムから構成される。この場合、このフィルムは、共押し出し成形体として、エラストマーの芯層と、非エラストマーのカバー層、例えばポリオレフィンのカバー層とを有することができる。フィルムの穿孔は、高温の針付きローラによって形成することができる0.5〜2mmの大きさの空気口から構成される。
【0011】
弾性支持材が、編成布に接しそして弾性のスパンボンド不織布からなる層を有することも、本発明の範囲内にある。この層は、支持材の伸張方向に優先的に伸張可能であり、フィラメントから構成され、このフィラメントは、フィラメント芯とフィラメント外被とを有し、前記フィラメント芯は熱可塑性エラストマーからなり、前記フィラメント外被は、スパンボンド不織布の伸張によって引き伸ばされそして非弾性の熱可塑性ポリマーからなる。繊維材料として形成される弾性支持材、あるいは編成布に接する繊維材料からなる少なくとも1つの層を有する弾性支持材を使用することによって、複合材の繊維材料としての特性を一層強化することができる。さらに、支持材材料としての弾性スパンボンド不織布は、フィラメントの前伸張に応じて、明らかにわかる伸張限界まで小さい力で伸張できるという点ですぐれている。材料によって決定される伸張限界に達すると、さらに伸張させるのに必要な力が急激に増大することがわかるので、不適切な使用による複合材の過伸張がかなり抑えられる。弾性支持材が単軸方向に弾性の複合材から構成される場合、すなわち、熱可塑性エラストマーからなる穿孔された弾性支持材フィルムと片側または両側に上張りされた弾性スパンボンド不織布の層とを有する複合材から構成される場合には、類似の特性が生じる。
【0012】
前記すべての実施形態において、編成布は、好ましくは、複合材の優先的な伸張方向には高い伸張能力を有するが、それに対して横方向には固く強固な縦編布である。この編成布は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸から製造でき、このフィラメント糸は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ウールまたは木綿製とすることができる。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、弾性支持材の両面に、編成布から構成される外層が配置される。この場合、編成布としては、複合材の伸張方向には容易に伸張可能であり、それに対して横方向には大きな伸張抵抗を有する縦編布が好ましい。
【0014】
弾性支持材は、その長さを外層の長さよりも短くすることができる。この場合、外層は、その張り出し縁部において直接相互に接合される。場合によっては、張り出し領域の中に、非弾性フィルムを挟み込むこともできる。
【0015】
本発明による複合材の外側の編成布は、好ましくは、15〜50g/mの間の目付を有する。平面状の弾性支持材の層厚は、好ましくは、20〜100μmの間の範囲にある。
【0016】
本発明による複合材は、優先的な伸張方向に50%〜150%まで弾性的に伸張することができる。この場合、複数回の負荷除去サイクル後の非可逆的な変形は最大15%である。50%伸張させるに必要な伸張力は、50mmの試験幅に関して、好ましくは2〜4N/50mmまでの間にあり、100%伸張させるに必要な伸張力は、5〜8N/50mmまでである。さらに、本発明による複合材は、優先的な伸張方向において25N/50mmより高い引き裂き強度を有するというすぐれた特徴を有する。
【0017】
本発明による複合材は、特に、閉止用フックを備えた解剖学的に適切な側部の形で取り付けて赤ん坊のおむつおよび成人用の対失禁製品において用いられる弾性おむつ閉止具の製造に適している。この場合、縦編布の柔らかな繊維表面が、皮膚に対して快適な接触をもたらす。
【0018】
次に、本発明を、あくまでも実施形態として示された図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による複合材の概略的な平面図である。
【図2】複合材の外層として使用する編成布を、図1に比べて拡大して示す。
【図3】図1に示す複合材の製造方法を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す複合材は、弾性を有すると共に空気透過性であり、弾性おむつ閉止ベルトおよびおむつの弾性側部を製造するのに適している。この複合材は、優先的に1つの方向に伸張可能な穿孔フィルムの形の弾性支持材1を有する。優先的な伸張方向は図1において矢印で示される。支持材1の両面に、編成布2からなる繊維材料外層が貼り付けられる。編成布2は弾性フィルム1で接着され、その場合、接着剤は、接着面と接着剤のない領域とから構成されるパターンで塗布される。該実施形態においておよび本発明の好ましい実施形態によれば、接着剤は、支持材1の優先的な伸張方向に対して横方向に配列される平行な条線3からなるパターンを形成する。
【0021】
編成布2は、編成された縦糸4を有する縦編布である。縦編布は、縦糸方向においては僅かにしか伸張できず、縦糸に対して横方向には高い伸張性を有する。この縦編布2は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸から製造され、そのフィラメント糸は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、木綿、ウールまたは他の紡糸技術を用いて加工された材料製とすることができる。縦編布2は15〜50g/mの間の目付を有する。弾性支持材フィルム1の層厚は、20μm〜100μmの間にあるのが適切である。熱可塑性エラストマーからなる弾性の芯と、ポリオレフィンのカバー層とを有する特に多層の共押し出し成形フィルムが適している。
【0022】
弾性支持材フィルム1と、外層として使用される縦編布2との両者は、1つの優先的な伸張方向を有し、その横方向においては引張抵抗が大きい。これによって、図3に示す貼付法による製造が可能になる。ロール5から引き出される弾性支持材フィルム1の上に、接着剤が、片面または両面において条線3の形で塗布される。続いて、図3に示す機械方向(MD)には引張抵抗が大きい縦編布2が、片面または両面に貼り付けられる。この積層複合材から、最後に、機械方向に対して横方向に弾性伸張可能なおむつ用の弾性側部6が打ち抜きされる。
【符号の説明】
【0023】
1 弾性支持材
2 編成布
3 接着剤の条線
4 編成された縦糸
5 ロール
6 おむつ用の弾性側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの方向に優先的に伸張可能な弾性支持材(1)と、
編成布(2)からなる少なくとも1つの繊維材料外層と
を含む、弾性複合材、特におむつの弾性側部とおむつ閉止ベルトとを製造するための弾性複合材であって、
前記弾性支持材(1)が、優先的な伸張方向を有しかつ前記編成布(2)と接着された平面状の材料から構成されることを特徴とする前記複合材。
【請求項2】
前記支持材を前記編成布と接合する接着剤が、接着面と接着剤のない領域とから構成されるパターンで塗布されることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
【請求項3】
前記接着剤が、前記支持材(1)の優先的な伸張方向に対して横方向に配列される平行な条線(3)からなるパターンを形成することを特徴とする請求項2に記載の複合材。
【請求項4】
前記弾性支持材(1)が空気透過性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項5】
前記弾性支持材(1)が単層または多層の穿孔フィルムからなることを特徴とする請求項4に記載の複合材。
【請求項6】
前記弾性支持材が、エラストマーの芯層とポリオレフィンのカバー層とを有する多層の共押し出し成形フィルムからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項7】
前記弾性支持材(1)が、前記編成布(2)に接しそして弾性のスパンボンド不織布からなる層を有し、この層は、前記支持材の伸張方向に優先的に伸張可能であること、および、前記スパンボンド不織布がフィラメントから構成され、前記フィラメントはフィラメントの芯とフィラメントの外被とを有し、この際、前記フィラメントの芯は熱可塑性エラストマーからなり、そして前記フィラメントの外被は、前記スパンボンド不織布の伸張によって引き伸ばされそして非弾性の熱可塑性ポリマーからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項8】
前記弾性支持材(1)が、単軸方向に弾性の複合材であって、熱可塑性エラストマーからなる穿孔された弾性支持材フィルムと片側または両側に貼り付けられた弾性スパンボンド不織布の層とを有する複合材からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項9】
前記編成布(2)が縦編布であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項10】
前記編成布(2)がモノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸から製造され、前記フィラメント糸は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ウールまたは木綿製であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項11】
前記弾性支持材(1)の両面に、編成布(2)からなる外層が配置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項12】
前記弾性支持材(1)の長さが前記外層の長さよりも短いこと、および、前記外層が、その張り出し縁部において直接相互に接合されることを特徴とする請求項11に記載の複合材。
【請求項13】
前記編成布(2)が15〜50g/mまでの目付を有し、かつ、前記平面状の弾性支持材(1)の層厚が20〜100μmまでであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項14】
優先的な伸張方向に50%〜150%まで弾性伸張させることが可能であり、複数回の負荷除去サイクル後の残留変形が最大15%であり、さらに、優先的な伸張方向において、50mmの試験幅に関して、25Nより大きい高い引き裂き強度を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−241601(P2009−241601A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81766(P2009−81766)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(507356774)ノルデニア・テヒノロギース・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】