がん治療のためのビヒクルとして連続的疎水性相を含む担体におけるリポソームの使用
細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある抗原のデリバリーのためのビヒクルとして、連続的疎水相およびリポソームを含む本発明組成物およびがんの治療におけるその使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それぞれ、2005年10月7日;2006年11月3日および2006年4月7日に出願されたカナダ特許出願番号2,523,032;2,533,705;および2,542,212からの利益および優先権を主張し、さらに、2006年7月5日に出願された米国仮特許出願番号60/806,573からの利益および優先権を主張する(これらは、参照することにより本発明に援用される)。
(技術分野)
本願は、がんの治療において細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある抗原のデリバリーのためのビヒクルとしてのリポソームおよび連続的疎水相を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポソームおよび種々の抗原を含む持続性ワクチンが、当業界においてこれまでに記載されている。これらのワクチン組成物は、2型ヘルパーT細胞(Th2)機能に従属する、特異的抗原に対する増強された液性免疫反応(増加された抗体産生によって決定される)を誘発することにおいて有効であることが明らかにされている。しかし、がんに悪影響を及ぼす組成物のためには、細胞性(細胞障害性Tリンパ球(CTL))反応を誘発することができなければならない。CTLは、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘発する能力があるTリンパ球のサブグループである;それらは、ウイルス(またはその他の病原体)に感染しているか、または別の状態で損傷を受けているか、機能不全に陥っている細胞を殺す(溶解する)。CTL反応は、1型ヘルパーT細胞(Th1)サイトカインを介して媒介される。
【0003】
一般に、CTL反応は、短命であり、わずか数週間しか持続しない(Knutsonら、Clin.Cancer.Res.8(5):1014−1018、1990;Dudleyら、J.Immunother.24(4):363−73、2002;およびFernandoら、Scand.J.Immunol.47(5):459−65、1998)。がんの再発は、常に懸念され、したがって、がんが再発しないことを確実にするために持続性CTL反応の誘発が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、多重ブースター処置を必要としない、がんの治療における使用のための持続性免疫治療組成物の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
1つの実施態様において、本発明は、疎水性物質の連続的相を含む担体;リポソーム;および細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原を含む組成物を提供する。また、組成物が、少なくとも1つのヘルパーTエピトープを含むのが好ましい。
【0006】
さらに別の態様において、本願は、本明細書に記載の組成物を投与することを含む、患者においてがんを治療する方法を提供する。
【0007】
もう1つの態様において、本願は、本明細書に記載の組成物およびその使用説明書を含む、患者においてがんを治療するのに有用なキットを提供する。
【0008】
本発明の別の態様および特徴は、以下の本発明の特定の実施態様の説明および添付の図面を検討することにより当業者には明らかになるであろう。
本発明の実施態様を説明する図面は、例示のためにすぎない。
【0009】
(詳細な説明)
本願は、少なくとも1つのヘルパーTエピトープと共にCD8+ 細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原および疎水性物質の連続的相を含む担体に懸濁したリポソームを含む組成物を提供する。さらに、本発明は、患者においてがんを治療するための方法における該組成物の使用を教示する。
【0010】
本明細書に記載する組成物は、たとえば、子宮頸がんおよび/または外陰部がんなどのヒトパピローマウイルスによって引き起こされるがん;たとえば、メラノーマなどのチロシナーゼの発現が関与するがん;たとえば、乳がんまたはリンパ節転移などのp53遺伝子産物の突然変異または過剰発現が関与するがん;および1つ以上の腫瘍関連タンパク質を同時に発現するメラノーマなどのその他のがんなど(これらに限定されるものではない)の広範ながんの治療に有用である。もう1つの実施態様において、本明細書に記載する組成物は、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肉腫、膀胱、前立腺、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍など(これらに限定されるものではない)のがんの治療に有用である。がんが由来する細胞型とは量および物質において異なる細胞表面成分を有するがんのいずれもが、本発明による治療のための候補である。さらに詳しくは、p53は、広範に適用できるがん治療のための候補標的である(DeLeo、A.B.、Crit.Rev.Immunol.、18:29、1998;Vierboom、M.P.M.ら、Peptide−Based Cancer Vaccines.W.M.Kast編、Landes Bioscience、Georgetown、2000)。
【0011】
本明細書で用いる用語「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「がん」および「がん細胞」(互換使用)は、細胞増殖のコントロールの重大な喪失を特徴とする異常な成長を示す細胞または不死化された細胞を意味する。用語「がん」または「腫瘍」は、転移性ならびに非転移性のがんまたは腫瘍を包含する。がんは、悪性腫瘍の存在などの当業界で一般的に承認された基準を用いて診断することができる。
【0012】
「治療すること」またはがん「の治療」は、臨床的結果などの有益または所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益または所望の臨床的結果として、1つ以上の症状または状態の軽減または寛解、疾患の範囲の縮小、疾患の状態の安定化、疾患の進行の防止、疾患の拡散の防止、疾患進行の遅延化または緩徐化、疾患の発症の遅延化または緩徐化、疾患の状態の寛解または緩和、および鎮静化(部分的または全体的)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。「治療すること」は、治療しない場合に予測されるよりも患者の生存期間を延長することも意味しうる。「治療すること」は、患者において疾患の進行を永久に止めることを意味するのがより好ましいが、疾患の進行を一時的に阻止することも意味しうる。
治療される患者は、いずれかの脊椎動物であり、哺乳動物が好ましく、ヒトがより好ましい。
【0013】
抗原
組成物の適当な抗原は、患者において細胞性(CTL)免疫反応を誘発する能力がある抗原である。
【0014】
細胞性免疫は、抗体は関与しないが、抗原に反応してマクロファージおよびナチュラルキラー細胞、抗原特異的細胞障害性Tリンパ球の産生および種々のサイトカインの放出が関与する免疫反応である。細胞障害性Tリンパ球は、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘発する能力があるTリンパ球のサブグループである;それらは、ウイルス(または他の病原体)に感染しているか、またはそうでなければ損傷しているか、または機能不全の細胞を殺す。
【0015】
大部分の細胞障害性T細胞は、クラスIMHC分子に結合する特異的ペプチド抗原を認識することができるT細胞受容体を発現する。これらのCTLは、クラスIMHC分子の部分に引きつけられるCD8(CD8+ T細胞)も発現する。この親和性は、抗原特異的活性化中に、CTLおよび標的細胞を密接に結合したままにする。
【0016】
細胞性免疫は、たとえば、ウイルス感染細胞、細胞内細菌をもつ細胞および腫瘍抗原を提示しているがん細胞などの表面に外来抗原のエピトープを提示している身体細胞を溶解することができる抗原特異的細胞障害性Tリンパ球を活性化すること;マクロファージおよびナチュラルキラー細胞を活性化して、細胞内病原体を破壊することができるようにすること;および適応免疫反応および先天性免疫反応に関与する他の細胞の機能に影響を及ぼす種々のサイトカインを分泌するように細胞を刺激することによって身体を保護する。
【0017】
1つの実施態様において、抗原は、たとえば、ペプチド、適当な天然,非天然,組換えまたは変性タンパク質またはポリペプチド、もしくはそのフラグメント、または患者においてCTL免疫反応を起こす能力があるエピトープである。
【0018】
用語「ポリペプチド」は、長さ(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18または20個のアミノ酸)または翻訳後修飾(たとえば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、アミノ酸の鎖のいずれをも包含し、たとえば、天然のタンパク質、合成または組換えポリペプチドおよびペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、変異体、相同体、類縁体、ペプトイド、ペプチドミメティックスなどを包含する。したがって、変異体または誘導体は、切り詰めおよびフラグメントなどの欠失;たとえば、保存的置換、部位特異的変異体および対立遺伝子変異体などの挿入および付加;およびペプチドに共有的に結合した1つ以上の非アミノアシル基を有するペプトイド(たとえば、糖質、脂質など)および翻訳後修飾などの修飾を包含する。本明細書で用いる用語「保存的アミノ酸置換」または「保存的置換」は、関連する機能を実質的に喪失することなく置換を作成することができるペプチド中の所定の位置において1つのアミノ酸を別のアミノ酸の代わりに置き換えること意味する。このような変化を作成するにおいて、たとえば、その大きさ、電荷、疎水性、親水性などの側鎖置換の相対的類似性に基づいて同等のアミノ酸残基の置換を作成することができ、このような置換は、ルーチン試験を行うことによってペプチドの機能における影響をアッセイすることができる。
【0019】
本明細書に開示したものと実質的同一性を有するポリペプチド、ペプチドまたはエピトープを用いることができる。(許容されたギャップを有して)最適に整列された場合に2つの配列が少なくとも約50%の配列同一性を共有するか、または配列が規定の機能的モチーフを共有するならば、それらは実質的同一性を有するとみなされる。別の実施態様において、最適に整列された配列が特定の領域にわたって少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を共有するならば、配列は実質的に同一である(すなわち、実質的同一性を有する)とみなされうる。用語「同一性」は、2つのポリペプチド分子の間の配列類似性を意味する。同一性は、整列された配列における各位置を比較することによって決定することができる。アミノ酸配列間の同一性の度合いは、配列が共有する位置における、たとえば、特定の領域にわたる同一またはマッチングアミノ酸の数の関数である。同一性の比較のための配列の最適整列化は、http://clustalw.genome.ad.jpで入手可能なClustalWプログラム;Smith and Waterman、1981、Adv.Appl.Math 2:482の局所相同性アルゴリズム;Needleman and Wunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443の相同性整列化アルゴリズム;Pearson and Lipman、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性法の探索;およびこれらのアルゴリズムのコンピュータ制御された遂行(GAP、BESTFIT、FASTA and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WI、U.S.A.など)などの当業界で公知の種々のアルゴリズムを用いて行うことができる。配列同一性は、Altschulら、1990、J.Mol.Biol.215:403−10に記載のBLASTアルゴリズム(公表された初期設定を用いる)を用いて決定することもできる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから入手可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/でインターネットを介して)。
【0020】
本明細書で記載した組成物の単回処置で用いた抗原の量は、抗原のタイプおよび患者の背格好に応じて変わる。当業者は、不当な実験を行うことなく、特定の適用に用いるための抗原の有効量を決定することができる。本明細書で用いる用語「有効量」は、必要な投薬量において、および期間にとって、所望の結果を達成するために有効な量を意味する。
【0021】
1つの実施態様において、抗原は、CTL反応を誘発する能力がある少なくとも1つのCTLエピトープである。たとえば、抗原は、HPVなどのウイルスから誘導されたCTLエピトープであってもよい。
【0022】
もう1つの実施態様において、抗原は、HPVのE6またはE7タンパク質から誘導されるエピトープから選ばれるCTLエピトープであってもよい。
【0023】
さらなる実施態様において、HPVのE6タンパク質のエピトープは、ペプチド配列 TIHDIILECV(T10V)(配列番号:5)を含む。もう1つの実施態様において、HPVのE7タンパク質のエピトープは、RAHYNIVTF(R9F)(配列番号:1)、YMLDLQPETT(Y10T)(配列番号:2)、LLMGTLGIV(L9V)(配列番号:3)およびTLGIVCPI(T81)(配列番号:4)から選ばれるペプチド配列を含む。
【0024】
もう1つの実施態様において、CTLエピトープは、メラノーマ関連タンパク質などの腫瘍関連タンパク質のエピトープであってもよい。さらなる実施態様において、メラノーマ関連タンパク質は、チロシン関連タンパク質−2(TRP−2)またはp53であり、組換え技術または化学合成などの種々の方法によって得ることができる。
【0025】
1つの実施態様において、TRP−2由来タンパク質のエピトープは、たとえば、SVYDFFVWL(S9L;配列番号:7)などのペプチド配列を含む。もう1つの実施態様において、TRP−2由来タンパク質のエピトープは、ペプチド配列 VYDFFVWL(V8L;配列番号:6)を含む。もう1つの実施態様において、p53由来タンパク質のエピトープは、KYMCNSSCM(K9M;野生型p53;配列番号:9)、KYICNSSCM(mK9M;修飾p53;配列番号:8)およびPADRE(配列番号:10))にカップリングしたAKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM(mK9M(配列番号:9)から選ばれるペプチド配列を含む。
【0026】
1つの実施態様において、組成物は、CTL反応を誘発するための抗原として、CTLエピトープの混合物を含む。
【0027】
さらなる実施態様において、抗原は、標的化腫瘍細胞における特異的コンホメーションを効果的に認識し、その破壊を引き起こすことができる特異的CTL反応を誘発する能力があるいずれかのペプチドまたはポリペプチドであってもよい。
【0028】
さらなる実施態様において、抗原は、以下の表から選ばれるペプチド配列を含んでもよい:
第1表
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
上記表1に挙げたとおり、タンパク質(ポリペプチド)は、CTLエピトープとして機能を果たすことができ、したがって本発明に用いることができるペプチド配列の数が変化する。以下の遺伝子(これらに限定されるものではない)は、本発明に抗原として取り入れることができるペプチド配列を有する腫瘍関連タンパク質をコードする:p53、HPV E6およびE7、ART−4、CAMEL、CEA、Cyp−B、HER2/neu、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、PRAME、P15、RUI、RU2、SART−1、SART−3、WT1、PSA、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、gp100、MART−1/Melan A、MAGE−A1,MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、BAGE、DAM−6、DAM−10、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7B、GAGE−8、NA88−A、NY−ESO−1、NY−ESO−1a(CAG−3)、AFP、β−カテニン/m、カスパーゼ−8/m、CDK−4/m、ELF2M、GnT−V、G250、Ras、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、MUM−1、MUM−2、MUM−3、Myosin/m、RAGE、SART−2、TRP−2/INT2および707−AP。
【0034】
Tヘルパーエピトープ
Tヘルパーエピトープは、Tヘルパー活性を有するアミノ酸(天然または非天然アミノ酸)の配列である。Tヘルパーエピトープは、免疫系の能力を確立し、最大化することにおいて重要な役割を演じ、細胞障害性Tリンパ球などの他の免疫細胞の活性化および方向付けに関与するTヘルパーリンパ球によって認識される。
【0035】
Tヘルパーエピトープは、連続エピトープまたは非連続エピトープからなりうる。ゆえに、Tヘルパーのすべてのアミノ酸が、必然的にエピトープの一部である。したがって、Tヘルパーエピトープの類縁体およびセグメントを含むTヘルパーエピトープは、免疫反応を増強または刺激する能力がある。免疫優勢Tヘルパーエピトープは、広く多岐にわたるMHC型を持ち、動物およびヒト集団において広範に反応性である(Celisら(1988)J.Immunol.140:1808−1815;Demotzら(1989)J.Immunol.142:394−402;Chongら(1992)Infect.Immun.60:4640−4647)。対象ペプチドのTヘルパードメインは、約10〜約50個のアミノ酸を有し、約10〜30個のアミノ酸が好ましい。複数のTヘルパーエピトープが存在する場合、各T−ヘルパーエピトープは独立して働く。
【0036】
1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、少なくとも1つのTヘルパーエピトープも含む。いくつかの場合、T−ヘルパーエピトープは、抗原の一部を形成する。特に、もし抗原が十分な大きさであるならば、T−ヘルパーエピトープとして機能するエピトープを含むことができる。他の実施態様において、T−ヘルパーエピトープは、抗原とは別の分子である。
【0037】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープ類縁体は、Tヘルパーエピトープ中に、1〜約10個のアミノ酸残基の置換、欠失および挿入を含んでもよい。Tヘルパーセグメントは、免疫反応を増強または刺激するのに十分なTヘルパーエピトープの近接する部分である。T−ヘルパーセグメントの例は、単一のより長ペプチドから誘導される一連のオーバーラップペプチドである。
【0038】
本発明に用いるためのTヘルパーエピトープ源として、たとえば、B型肝炎表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素ヘルパーT細胞エピトープ、麻疹ウイルスFタンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、クラミジア・トラコマチス主要外膜タンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、ジフテリア毒素ヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲ヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫トリオースリン酸イソメラーゼ ヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌TraTヘルパーT細胞エピトープおよびこれらのTヘルパーエピトープのいずれかの免疫増強類縁体およびセグメントが挙げられる。
【0039】
1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ユニバーサルTヘルパーエピトープである。本明細書で用いるユニバーサルTヘルパーエピトープは、クラスII(CD4+ T細胞)またはクラスI(CD8+ T細胞)−制限様式でT細胞機能を活性化する様式で、非常に多数のクラスIIMHC分子に結合するペプチドもしくは他の免疫原性分子またはそのフラグメントを意味する。
【0040】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号:10)(ここで、Xはシクロヘキシルアラニルであってもよい)を含むPADRE(pan−DR エピトープ)などのユニバーサルTヘルパーエピトープである。特にPADREは、CD4+ T−ヘルパーエピトープを有し、すなわち、それはPADRE−特異的CD4+ Tヘルパー反応の誘発を刺激する。
【0041】
破傷風毒素は、PADREと同様の様式で働くTヘルパーエピトープを有する。破傷風およびジフテリア毒素は、ヒトCD4+細胞のためのユニバーサルエピトープを有する(Diethelm−Okita、B.M.ら、Universal epitope for human CD4+ cells on tetanus and diphtheria toxins.J.Infect.Diseases、181:1001−1009、2000)。もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(amino acids 947−967;配列番号:11)を含むF21Eなどの破傷風毒素であってもよい。
【0042】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、少なくとも1つの抗原(すなわち、1つのペプチド)または抗原の混合物に融合して、融合ペプチドを作成する。
【0043】
担体
組成物の担体は、疎水性物質、好ましくは液体疎水性物質の連続的相を含む。連続的相は、本質的に純粋な疎水性物質または疎水性物質の混合物である。さらに、担体は、疎水性物質が連続的相であるという条件で、疎水性物質中水型のエマルジョンまたは疎水性物質の混合物中水型のエマルジョンであってもよい。さらに、もう1つの実施態様において、担体は、アジュバントとして機能しても良い。
【0044】
本明細書に記載の組成物において有用な疎水性物質は、医薬的および/または免疫学的に許容しうる物質である。担体は、液体であるのが好ましいが、大気温度にて液体でない特定の疎水性物質を、たとえば、温めることによって液体化してもよく、該物質は本発明においても有用である。1つの実施態様において、疎水性担体は、PBS/FIAエマルジョンである。
【0045】
本発明における使用には、油型または油中水型エマルジョンが特に適している。油は、医薬的および/または免疫学的に許容しうるべきである。油の好ましい例は、鉱物油(特に軽または粘性鉱物油)、植物油(たとえば、トウモロコシまたはカノーラ油など)、ナッツ油(たとえば、ピーナッツ油など)およびスクアレンである。低粘度鉱物油が、最も好ましい。動物性脂肪および人工疎水性ポリマー材料、特に、大気温度で液体であるもの、または比較的容易に液体化しうるものを用いることもできる。
【0046】
リポソーム
リポソームは、封入された水性ボリュームを含む完全に閉鎖した液体二重層膜である。リポソームは、単層小胞(単一の二重層膜を有する)または各二重層が水性層によって次の層から分離されてもされなくてもよい多膜二重層を特徴とする多重層小胞であってもよい。リポソームの一般的議論は、Gregoriadis G.Immunol.Today、11:89−97、1990;およびFrezard、F.、Braz.J.Med.Bio.Res.、32:181−189、1999に見出すことができる。
【0047】
本発明には、古細菌脂質から作られるリポソームなどのいずれのリポソームを用いてもよいが、特に有用なリポソームは、リポソーム製剤においてリン脂質および非エステル化コレステロールを用いる。コレステロールは、リポソームを安定化するのに用いられ、リポソームを安定化する他のいずれかの化合物をコレステロールと置き換えてもよい。他のリポソーム安定化化合物は、当業界で公知である。たとえば、飽和リン脂質は、高い転移温度を有するリポソームを産生する。抗原とリポソームとの間の静電的会合を制限するのを回避するために、抗原をリポソームの内部に隔絶してもよい。
【0048】
リポソームの製造に用いるのに好ましいリン脂質は、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリンおよびホスホイノシトールから選ばれる少なくとも1つの頭部基を有するリン脂質である。リポソームが、ホスホリポン90G中に脂質を含むのがより好ましい。非エステル化コレステロールもまたリポソーム製剤に用いる場合、コレステロールは、リン脂質の約10%の量と等しい量で用いる。コレステロール以外の化合物を用いてリポソームを安定化するならば、当業者は、組成物に必要な量を容易に決定することができる。
【0049】
リポソーム組成物は、たとえば、天然脂質、合成脂質、スフィンゴ脂質、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、陽イオン性脂質およびポリ(エチレングリコール)および他のポリマーで修飾された脂質を用いることによって得ることができる。合成脂質として、以下の脂肪酸成分が挙げられる:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイルまたはこれらの脂肪酸の組み合わせ。
【0050】
アジュバント
組成物は、当業界で公知のように、1つ以上の医薬的に許容しうるアジュバント、賦形剤などをさらに含んでもよい。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA 1985)およびThe United States Pharmacopoeia:The National Formulary(USP 24 NF19)、1999刊行を参照のこと。
1つの実施態様において、適当なアジュバントとして、CpG−含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)が挙げられる。たとえば、5'−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3'など。当業者は、標的種および効力に基づいて、適切なCpGを選択することができる。CpGの代わりに、Pam3Cys−SKKK)(EMC Microcollections、Germany)またはその変異体、同族体および類縁体などのリポペプチドを用いてもよい。この点において、リポペプチドのPam2ファミリーが、リポペプチドのPam3ファミリーの代わりに有効であることが分かっている。
【0051】
使用するアジュバントの量は、抗原の量およびアジュバントのタイプに応じて変わる。当業者は、特定の適用に必要なアジュバントの量を容易に決定することができる。
【0052】
組成物
1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、抗原(遊離抗体および/またはリンパ球上の抗原結合受容体と特異的に相互作用する物質として定義される)または抗原/アジュバント複合体をリポソーム内に封入して、リポソーム−封入抗原を形成し、疎水性物質の連続的相を含む担体をリポソーム−封入抗原と混合することによって製剤することができる。抗原/アジュバント複合体を第1段階で用いないならば、適当なアジュバントをリポソーム−封入抗原に、リポソーム−封入抗原および担体の混合物に、またはリポソーム−封入抗原と混合する前に担体に加えてもよい。プロセスの順番は、使用するアジュバントのタイプに応じて変わる。次いで、得られるリポソーム−封入抗原を担体と混合する(用語「リポソーム−封入抗原」は、状況に応じて、抗原単独のリポソーム封入または抗原/アジュバント複合体の封入を意味することに留意すべきである)。これは、アジュバントと抗原との間の密接な接触を促進し、少なくとも部分的に、良好な免疫反応の原因となりうる。いくつかのアジュバントの使用を促進するために、抗原を最初にリポソーム内に封入し、次いで、疎水性物質の連続的相を含む担体中で、得られるリポソーム−封入抗原をアジュバントと混合してもよい。
【0053】
実質的に水を含まない組成物を製剤することにおいて、抗原または抗原/アジュバント複合体を、リポソームと封入してもよく、リポソームを凍結乾燥してもしなくてもよく、疎水性物質に懸濁してもしなくてもよい。疎水性物質中の水のエマルジョン中の組成物を製剤することにおいて、抗原または抗原/アジュバント複合体をリポソーム内に封入し、水性媒体に懸濁し、次いで、水性媒体を疎水性物質と混合して、エマルジョンを形成してもよい。該エマルジョンの場合、疎水性物質を連続的相に維持するために、リポソームを含む水性媒体を、混合しながらアリコートにて疎水性物質に加えてもよい。
【0054】
1つの実施態様において、場合によっては、抗原またはリポソーム−封入抗原を、疎水性物質または水性媒体と混合する前に凍結乾燥してもよい。もう1つの実施態様において、抗原/アジュバント複合体をリポソームによって封入し、次いで、凍結乾燥してもよい。さらなる実施態様において、抗原を、リポソーム内に封入し、次いで、アジュバントを加え、次いで、凍結乾燥して、外部アジュバントと共に凍結乾燥したリポソーム−封入抗原を形成してもよい。さらにもう1つの例において、抗原をリポソームによって封入し、次いで、アジュバントの添加前に凍結乾燥してもよい。凍結乾燥は、アジュバントと抗原の間のよりよい相互作用を促進する。
【0055】
もう1つの実施態様において、疎水性物質中へのリポソーム−封入抗原の製剤化は、疎水性物質中におけるリポソームのより均一な分配を促進するために、乳化剤の使用も含んでもよい。典型的な乳化剤は、当業界で周知であり、オレイン酸マンニド(ArlacelTM A)、レシチン、TweenTM 80ならびにSpansTM 20、80、83および85がが挙げられる。乳化剤は、リポソームの均一な分配を促進するのに有効な量で持ちいる。典型的には、疎水性物質の乳化剤に対する体積比(v/v)は、約5:1〜約15:1の範囲であり、約10:1が好ましい。
【0056】
別の態様として、抗原または抗原/アジュバント複合体を、リポソームと会合させるか、接触させるか、またはリポソームから分離し、リポソーム内に封入しなくてもよい。いくつかの親水性抗原または親水性抗原/アジュバント複合体のリポソーム封入の効率は、疎水性環境に置かれる場合あるいは凍結乾燥される場合、抗原の大部分がリポソームの外部表面と会合するように、よくない。これは、本発明のもう1つの実施態様を表す。
【0057】
さらなる実施態様において、CTLエピトープおよびPADRE(抗原に融合または分離)を有する抗原(ペプチドまたはポリペプチド)を、一緒にリポソーム内に封入してもよい。もう1つの実施態様において、1つ以上の抗原を同じリポソーム内に入れてもよい。さらなる実施態様において、T−ヘルパーエピトープを有するPADREの代わりに、たとえば、破傷風トキソイドペプチドなどの他の物質を用いてもよい。もう1つの実施態様において、アジュバント、好ましくはCpG−含有ODNをさらに、リポソーム内に封入してもよい。リポソームを、PBSに懸濁するのが好ましい。次いで、この懸濁液を、たとえば、ISA51または鉱物油などの疎水性担体中で乳化する。結果は、抗原およびアジュバント(好ましくはPADREおよびCpG)含有リポソームを、PBSに懸濁し、次いで、たとえば、ISA51または鉱物油などの疎水性担体中で乳化することである。
【0058】
がんの再発は、常に懸念されるので、がんが再発しないことを確実にするために持続性CTL反応の誘発が重要である。一般に、CTL反応は、数週間しか持続しない短命の反応であるが、本明細書に記載の組成物は、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110、120または130日間持続する潜在的CTL反応を誘発する能力がある。
【0059】
1つの実施態様において、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREと融合したPVのE7タンパク質のCTLエピトープを含む組成物で130日前に処置したマウスから単離された脾細胞は、マウスリンパ腫EL−4細胞を溶解する能力を保持した(図3)。これらの結果は、本明細書に記載の組成物が、がん治療に望ましい持続性CTL反応を誘発することができることを示す。
【0060】
1つの実施態様において、CpG ODNアジュバントおよび抗原としてTRP−2および/またはp53ペプチドを含む組成物での処置は、ガン細胞と闘うために必要な脾細胞を産生する抗原特異的インターフェロンガンマ(IFN−γ)の数を増加することができた(図6−8)。抗原は、ユニバーサル Tヘルパーエピトープ(PADRE)と融合し、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入された。ペプチドおよびペプチドが由来するタンパク質を発現している腫瘍細胞の両方が、IFN−γ産生を誘発することができ、ペプチド抗原をデリバリーするための本発明組成物の使用が、意図する標的に関連する免疫反応をもたらすことが実証された。
【0061】
もう1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物の単回処置による確立した(established)腫瘍の治療は、処置後の腫瘍サイズおよび腫瘍を有するマウスのパーセンテージを減少することにおいて有意に有効であった(図9−13および15)。
【0062】
本明細書に記載の組成物による処置に続いて、サイトカインの局在化誘発を介して免疫系を活性化する非ヌクレオシドイミダゾキノリンアミン(ヘテロ環式アミン)のクラスのメンバーであるイミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)またはその類縁体を含む適当な組成物を投与の部位に皮膚適用してもよい。イミキモドは、TLR7のためのリガンドであり、IFN−α、TNF−α、IL−1α、IL−6およびIL−8を包含するTh1様サイトカイン環境を活性化する。さらなる実施態様において、本明細書に記載の組成物による処置に続いて、アルダラ(Aldara)TM軟膏(イミキモド 5%)(3M、St.Paul、MN、U.S.A.)を処置投与の部位に皮膚適用してもよい。
【0063】
1つの実施態様において、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよび融合ペプチドを含む組成物の単回投与で処置し、次いで、処置投与の部位におけるアルダラ軟膏を皮膚適用したマウスにおいて、腫瘍サイズおよび腫瘍を有するマウスのパーセンテージが減少した(図18および19)。
【0064】
本明細書に記載の組成物は、経口、経鼻、経直腸または非経口投与に適する形態で製剤してもよい。非経口投与として、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、経上皮、肺内、髄腔内および局所モードの投与が挙げられる。持続性効果を達成するために好ましい経路は、筋肉内、皮下および皮内である。
【0065】
本明細書に記載の組成物は、単回適用において投与される場合にも有効である。
【0066】
もう1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物を、放射線療法および化学療法などの他の療法と組み合わせて、その前あるいは後に用いることができる。II期またはIII期のメラノーマと診断された患者を外科的に治療し、次いで、メラノーマ特異的抗原に対するCTL反応を誘発するための組成物を含むワクチン組成物を投与するとメラノーマ再発が予防されることがこれまでに明らかにされている。(Antonia、S.J.ら、Clin.Cancer Res.12:878−887、2006;Allegra、C.J.and R.W.Childs.、J.National Cancer Inst.97:1396−1397、2005;Cassarino、D.S.ら、J.Cutaneous Path.33:335−342、2006;Correale、P.ら、J.National Cancer Inst。97:1437−1445、2005;Gulley、J.L.ら、Clin.Cancer Res.11:3353−3362、2005;およびChakraborty、M.ら、Cancer Res.64:4328−4337、2004)。
以下の非限定的実施例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0067】
実施例1
細胞反応
(a)活性化
CTL反応の特異性および迅速性を試験するために、ユニバーサルTヘルパーエピトープであるPADRE(AKXVAAWTLKAAA−OH(配列番号:10);50 μg/投与)に融合し、PBS/FIA(リン酸緩衝食塩水フロイント不完全アジュバント)エマルジョン(100 μl/投与)に懸濁したリポソーム(0.2 g レシチンおよび0.02 g コレステロール/投与)内に封入した、CpG ODN アジュバント、ヒトパピローマウイルス(HPV)16、すなわち、R9F(E7(H2−Db)ペプチド RAHYNIVTF、アミノ酸49−57;配列番号:1)のCTLエピトープを含む組成物で、マウスを1回処置した。処置後14日目に、脾細胞(エフェクター細胞)をR9Fまたは無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)と共に6時間共培養した。脾細胞のエクスビボ細胞内IFN−γ染色は、脾細胞を無関係ペプチドに曝露する場合(脾細胞の0.12 %;またはペプチド無し;図1)よりも、脾細胞をR9Fペプチドに曝露する場合に、IFN−γ陽性CD8+ T細胞(CTLs)の割合が13倍多いこと(脾細胞の1.6 %)を実証した。図1にて実証されるように、上述のR9Fペプチドを含む組成物でのマウスの処置は、無関係ペプチドを含む組成物で処置したマウスと比べて、HPVエピトープによる刺激に対する特異的反応を示すCTLの有意な増殖を引き起こした。
【0068】
細胞内リンホカイン染色は、IFN−γ陽性CTLの存在を実証した。IFN−γ産生CTLの保護的機能を実証するために、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREと融合したR9Fペプチドを含む組成物で、マウスを処置した。処置後30日目に、R9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)搭載(loading)E4細胞(標的細胞;マウスリンパ腫細胞系)および無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)搭載E4細胞を、処置マウスからの脾細胞でインビトロにて6日間刺激した。JAMアッセイによって、細胞毒性を測定した(図2)。インビトロ刺激の6日目の後に、R9Fペプチド搭載EL−4細胞の約50 %が、R9Fペプチドを含む組成物で処置したマウスからの脾細胞によって溶解した(エフェクターの標的に対する比10)(四角)。対照的に、無関係ペプチド搭載EL−4細胞のわずかに5%が、同じ非細胞によって溶解した(菱形;p<0.009)。
【0069】
(b)持続期間
特定の本発明の具体例での単回処置によって誘発された記憶応答の持続期間を、以下の組成物で処置後130日目のマウスから得られた脾細胞によるEL−4細胞の溶解によって実証した(図3):(i)PBS/FIA油中水型エマルジョンに包含されたリポソーム内に封入した、融合ペプチド(PADREと融合したR9Fペプチド)およびCpG ODN(菱形);(ii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の封入しない融合ペプチドおよびCpG ODN(三角および十字)または(iii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の、CpG ODNアジュバント無しでリポソーム内に封入した融合ペプチド(黒丸)。リポソーム−封入融合ペプチド、リポソーム−封入CpG ODN、非封入−融合ペプチドおよびCpG ODN、ならびに非封入−融合ペプチド単独は、コントロールとして働いた。
【0070】
JAMアッセイは、6日インビトロ刺激に続いて、脾細胞(エフェクター細胞)とR9Fまたは3H−標識チミジンを予め搭載しておいた無関係ペプチド搭載EL−4細胞(標的細胞)との共培養を用いた。油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびCpG ODNで免疫感作したマウスからの脾細胞は、エフェクターの標的に対する比が25:1〜5:1である場合に、R9Fペプチド搭載標的細胞の30%を溶解し、該比が1:1である場合に、標的細胞の15%を溶解した(図3)。コントロール処置を与えられたマウスからの脾細胞は、バックグラウンドレベルの細胞毒性を実証した。単回処置後130日以上のCTL反応の持続期間は、文献に報告されたCTL反応の持続期間に比べて目覚ましいものである。
【0071】
実施例2
子宮頸がんの根絶
たとえば、ガルダシルTMおよびセルバリクスTMなどのヒトパピローマウイルス(HPV)誘発性子宮頸がんおよび外陰がんのための予防ワクチンならびに子宮頸がんおよび外陰がんの治療上の処置の開発は、依然として優先度が高い。この実施例においては、ヒトパピローマウイルス(HPV)16のCTLエピトープ、すなわち、R9F(E7(H2−Db)ペプチド RAHYNIVTF、アミノ酸49−57;配列番号:1)を含む治療組成物を用いてCTLを誘発した。これらのCTLは、その分化および増殖ならびに機能性記憶CTLへの成熟のために、CD4+ T細胞の補助を必要とする。CD4+ T細胞の補助を介する潜在的CTL反応を達成するために、R9FペプチドをユニバーサルTヘルパーエピトープ、PADRE(配列番号:10)に融合して、融合ペプチドを得た。融合ペプチドを、CpG ODNモチーフまたはリポペプチド(Pam3Cys−SKKKK)を含む合成オリゴヌクレオチドと共にリポソーム内に封入した。治療用組成物は、単回処置において治療用製剤をデリバリーするためにPBS/FIA油中水型エマルジョンを用いた。C3腫瘍細胞を発現しているHPV 16を用いて、C57BL/6マウス(マウス10匹/グループ)をチャレンジさせ、次いで、チャレンジ後14日目に上記治療組成物またはコントロール組成物でマウスを処置して治療的処置の効能を実証した。30日目(すなわち、処置後16日目)までに、C3腫瘍にチャレンジさせ、次いで処置を与えたグループ内の10匹のマウスすべてにおいて、触診可能な腫瘍の完全な根絶が実証された(図4;白四角)。対照的に、融合ペプチド以外の上記治療的処置の成分をすべて含む組成物で処置したコントロールマウス10匹のすべてにおける腫瘍は、サイズが増大し続けた(黒四角)。
【0072】
実施例3
予防
C3 腫瘍細胞によるインビチャレンジに対する本発明組成物の保護能力をさらに実証するために、雌性C57BL/6マウスの尾のつけね部に、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内にCpG ODNと共に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)(融合ペプチドと称する)を含む組成物を皮下注射した。組成物が、CpG ODNの代わりに別のアジュバントを含む組成物と同じくらい保護的であるかどうかを決定するために、CpG ODNが別のCpGアジュバント、すなわち、Pam3c(Pam3Cys−sKKKK)と置き換えられている上述の組成物をマウスに投与した。コントロールグループには、PBS、PBS中のCpG ODN、PBS中の融合ペプチド、CpG ODNと共にPBS中に懸濁した融合ペプチド、またはアジュバント無しでリポソームに封入した融合ペプチドを注射した。
【0073】
単回処置後15日目に、一次チャレンジとして、処置マウスの左脇腹において0.5 x 106個のC3細胞を皮下に植え込んだ(図5)。PBSまたはPBS中のCpG ODNを注射されたマウスはすべて2週間以内に腫瘍を発生させ、実験動物管理プロトコルが要求する腫瘍サイズに基づいて、第30日までに実験から除去しなければならなかった。PBS中の融合ペプチドでの処置は、わずかマウスの20%しか保護しなかった(処置グループ3)。PBSエマルジョン中のリポソームに封入した融合ペプチドは、マウスの50%において腫瘍の発生を防ぎ(処置グループ4)、このことは、リポソーム封入融合ペプチドが、C3チャレンジから、ある程度の保護を提供することを示唆する。PBSエマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODNによる処置は、マウスの60%において腫瘍の発生を防いだ(処置グループ5)。相対的に、CpG ODNと共にリポソーム内に封入した融合ペプチドで処置したマウスの100%が、チャレンジ後のモニター期間61日間にわたって腫瘍無しのままであった(処置グループ6)。腫瘍に対する記憶応答の持続期間および規模を決定するために、グループ6で処置したマウスに、6x106個のC3 腫瘍細胞の二次チャレンジを付与した。すべてのマウスが、さらに73日間腫瘍無しのままであり、本発明組成物の単回処置が、頑強な持続性細胞性免疫反応を提供することが実証された。同様に、CpGをPam3cで置き換えると、61日間全てのマウスが腫瘍無しのままである状態がもたらされた(処置グループ7)。これらのマウスは、C3細胞に再チャレンジはさせなかった。
【0074】
療法
確立した触診可能なC3腫瘍の治療を評価するために、マウスの左脇腹において、0.5 x 106個のC3細胞を皮下に植え込んだ。腫瘍植え込み後、4、5、6または9日目のいずれかに、リポソームに封入し、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁した、CpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)(融合ペプチド)を含む組成物またはプラセボ(PBSエマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODN)でマウス(n=10)を処置した。単回免疫感作は、腫瘍植え込み後4、5または6日目に免疫感作した処置グループ10匹のマウスすべて、および腫瘍植え込み後9日目に免疫感作したグループの30匹のマウスすべてにおいて40日目まで腫瘍を根絶した。腫瘍植え込み後5日目に処置したグループにおいて、1匹のマウスのみが、40日目まで腫瘍を維持した(第1表)。対照的に、腫瘍植え込み後4または6日目にプラセボ組成物で処置したグループにおいて、9/10のマウスに腫瘍が発生した。チャレンジ後5日間プラセボを投与したマウスのグループにおいて、10/10のマウスに腫瘍が発生し、腫瘍植え込み後9日目にプラセボワクチンで処置したグループにおいて、27/30のマウスに腫瘍が発生した。
【0075】
CpG ODNをPam3cと置き換えることが、組成物のC3腫瘍を根絶する能力を変更するかどうかを評価するために、Pam3cと共にリポソーム内に封入し、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁した融合ペプチドを含む組成物で10匹のマウスを処置し、またはリポソーム無しで同じ組成物を含むプラセボ処置を用いて、第2のグループの10匹のマウスを処置した。次いで、2つの処置グループのマウスを、左脇腹で1 x 106個のC3細胞にチャレンジさせた。Pam3cと共にリポソーム内に封入した融合ペプチドを用いる確立したC3腫瘍の治療的処置を2回繰り返したところ、第1表に示すように、同様の結果が得られた。
【0076】
【0077】
第2表:アジュバントとしてCpG ODNまたはPam3c(*)を含む、PADRE(配列番号:10)と融合し、油中水型エマルジョンに懸濁したR9Fペプチド(配列番号:1)(融合ペプチド)を含む組成物あるいはリポソーム以外のすべての成分を含むプラセボワクチンで処置したマウスにおける腫瘍の根絶。
【0078】
実施例4
メラノーマの治療的処置
チロシナーゼは、メラノーマにおいて過剰発現されたタンパク質である。チロシナーゼタンパク質からのペプチドは、メラノーマの治療のための一般的に不十分な抗原である。本明細書に記載するように、マウスMHC、H2K2およびヒトHLA−A2.1に結合するチロシナーゼ関連タンパク質(TRP−2)(アミノ酸181−188;VYDFFVWL;配列番号:6)由来のペプチドであるV8Lを治療的処置において用いて、IFN−γ産生細胞の産生を刺激した。TRP−2特異的IFN−γ産生細胞の数の刺激は、メラノーマに対する特異的治療効果が、予想されうることを示す。
【0079】
油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREに融合したTRP−2ペプチドを含む本発明組成物でC57BLマウスを処置した。CpG ODNの不在下でPADREと共にTRP−2ペプチドを封入したリポソームを含む組成物ならびにPADREと共にリポソーム内に封入したCpG ODNおよび無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)を含む組成物でコントロール処置を行った。両方のコントロール処置において、PBS/ISA51油中水型エマルジョンにリポソームを懸濁した。ELISPOTによるIFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出は、治療組成物が、最大数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生することを示した(図6;グループA)。コントロール処置(図6;グループB)は、約半分の数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生し、無関係ペプチドによるTPR−2の置き換えは、バックグラウンドレベルのTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生し(図6;グループC)、本発明の治療組成物が、最大数の、メラノーマがんと闘うのに必要であるTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生することが明らかにされた。
【0080】
実施例5
乳がんの治療的処置
p53遺伝子産物は、悪性腫瘍、特に乳がんの治療のための理想的で広範に発現される標的である。ヒトのがんの大部分が、腫瘍発生における早期イベントとしてp53突然変異を示す。p53の過剰発現は、より悪性度の高いがん、リンパ節転移、標準的治療計画および最終的がん関連死亡率の独立予測因子である。
【0081】
CpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)と共にPBS/ISA51油中水型エマルジョン中のリポソームに封入した、修飾p53 CTLエピトープ、mK9M、(KYICNSSCM;配列番号:8)を含む本発明組成物(図7;グループA)で単回処置したマウスは、リポソームの不在下でPADREに融合したペプチドおよびCpG ODNを含む組成物(図7;グループB);CpG ODN無しでリポソーム内に封入した融合ペプチドを含む組成物;または融合ペプチドを無関係ペプチドで置き換えた組成物(図7;グループD);で処置したマウスと比べて約10〜40倍のp53ペプチド特異的IFN−γ産生細胞を産生した。腫瘍特異的IFN−γ産生細胞の産生の増加は、子宮頸がん腫瘍の減少/根絶と相関関係があり(実施例2および3を参照のこと)、したがって、当業者は、p53関連腫瘍について同様の結果を予測するであろう。
【0082】
実施例6
1つ以上の標的に対する治療的がん処置
いくつかのがんは、1つ以上の腫瘍関連タンパク質を同時に発現する。このようながんは、治療的処置のための1つ以上の標的を提供する。たとえば、メラノーマ細胞は、p53およびTRPの両方を過剰発現し、p53およびTRP標的の両方を発現している細胞は、治療に対して、より攻撃されやすいので、p53およびTRPの両方を同時に狙う治療が、より有効で特異的でありうるという可能性をもたらす。
【0083】
リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODNおよびPADRE(AKXVAAWTLKAAA、ここで、X=シクロヘキシルアラニル);配列番号:10)と共にp53(mK9M;KYICNSSCM;配列番号:8)およびTRP−2(V8L;VYDFFVWL;配列番号:6)ペプチドを含む組成物で処置したマウスは、およそ等しい数のp53およびTRP特異的IFN−γ産生細胞の両方を産生した(図8;グループA)。対照的に、リポソーム無しでPADREに融合したp53およびCpG ODNと一緒にPADREと共のTRP−2 CTLペプチドの混合物で処理したコントロールマウスは、CpG ODNの不在下でも(図8;グループB)、p53特異的IFN−γ産生細胞よりもTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生した(図8;グループC)。p53特異的IFN−γ産生細胞の産生は、コントロール処置で得られたレベルであった(すなわち、CpG ODN無し(グループB)またはCpG ODNおよびリポソーム無し(グループD)の治療組成物)。これらの結果は、治療組成物を投与されたマウスは、TRP−2およびp53腫瘍関連タンパク質を有する腫瘍に対して二叉の攻撃を開始することを示す。油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内へのCpG ODNと共の融合ペプチドの封入無しでは、処置マウスは、TRP−2およびp53ペプチドの両方で処置されているにもかかわらず、1つの標的、TRP−2腫瘍タンパク質のみを攻撃する。
【0084】
実施例7
ヒトHLA A2主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子を有し、したがって、ヒトMHCを発現し、ヒト子宮頸がんを良好に模倣するHLA A2トランスジェニックマウスを用いた。HLA A2 MHCに適合させるために、これまでの実施例で用いたものとは相異するCTLエピトープを利用した。HLA A2マウスを以下の組成物の1つで処置した:
(1)4つのE6/7 ヒトパピローマウイルス(HPV)由来ペプチド(MP)の混合物、各ペプチドの配列は、以下の通り:
Y10T(E7:アミノ酸11−20;YMLDLQPETT;配列番号:2);
L9V(E7:アミノ酸82−90;LLMGTLGIV;配列番号:3);
T81(E7:アミノ酸86−93;TLGIVCPI;配列番号:4);および
T10V(E6:アミノ酸29−38;TIHDIILECV;配列番号:5);
(2)「aay」リンカーと結合して、長ペプチドとなった上記の4つのペプチド(AB2;配列番号:14)、その配列は以下の通り:
TIHDIILECVaayYMLDLQPETTaayLLMGTLGIVaayTLGIVCPI;
または
(3)上述の4つのペプチドから選ばれる単一のペプチド、すなわち、L9V(E7:アミノ酸82−90;LLMGTLGIV;配列番号:3)。
【0085】
すべての治療組成物は、アジュバントとしてPADRE(25 μg/投与)およびCpG ODN(50 μg/投与)を含み、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム中でデリバリーされた。4つのペプチドの混合物は、25 μgの各ペプチド/処置を含んだ。長ペプチド(AB2)は、100 μg/処置で投与した。L9V単独を含む組成物は、25 μg/処置の量を含んだ。コントロールマウスには、PBS(100 μL/処置)を注射した。
【0086】
マウスを左脇腹の皮下に植え込んだTC1/A2 腫瘍細胞(1 X 105個の細胞/マウス)でチャレンジさせ、5日毎に腫瘍サイズを測定した。チャレンジ後19日目に、上述の組成物の1つでマウス(5匹/グループ)を処置するか、またはPBSを注射した(コントロール)。
【0087】
図9において、上述の4つのHPV E6/7ペプチドの混合物(四角)または長ペプチドAB2(菱形)を含む組成物の単回処置が、処置後20日目でTC1/A2腫瘍を根絶したことが示される。E7ペプチド L9Vを含む組成物での処置は、腫瘍サイズを有意に縮小した(三角)。PBS単独での処置(十字)は、腫瘍の増殖を妨げなかった。PBSを受けたコントロールグループにおいて5匹のマウスすべてにおいて、腫瘍増殖は同様であった。5匹のマウスすべては、過剰の腫瘍サイズによって命令されるとおり、35日目に実験から外した。5匹のマウスにおける腫瘍サイズは、平均腫瘍サイズとして報告する。
【0088】
ペプチドの混合物を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小は、可変であった(図11)。たとえば、マウス2における腫瘍サイズは、処置後6日目に根絶された。残りのマウスにおける腫瘍は、少なくとも処置後11日目まで根絶されなかった。長ペプチド(AB2)を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小もまた、可変であった(図12)。しかし、5匹のマウスすべてにおいて、処置後21日目までに腫瘍は完全に根絶された。
【0089】
単一のHPV E7ペプチド(L9V;配列番号:3)を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小は、4/5のマウスにおいて同様であった(図12)。マウス3の処置は、腫瘍サイズの縮小をもたらさず、個々のペプチドの混合物または融合ペプチドのいずれかとして1つ以上のHPVペプチドを含む組成物が、単一ペプチドに対する免疫感作よりも集団においてより多くの個体を保護するこができることが示唆された。
【0090】
実施例8
実施例7において、リンカー「aay」(−アラニン−アラニン−チロシン−)を用い、4つのHPV 16 E6/E7ペプチドを一緒に結合して、長ペプチドを形成した。このリンカーは、天然では疎水性であり、ペプチド製造を困難にし、長ペプチドを可溶化するためのジメチルスルホキシドの使用を必要とする、融合長ペプチドの疎水性を増大させる。
【0091】
この実施例では、「aay」リンカーの代わりに「kkp」リンカー(−リシン−リシン−プロリン−)を用い、2つのジペプチドを形成した。一方のジペプチドは、Y10T−kkp−L9V(TIHDIILECVkkpLLMGTLGIV;配列番号:15)であり、他方のジペプチドは、T81−kkp−T10V(TLGIVCPIkkpYMLDLQPETT;配列番号:16)であった。「kkp」リンカーの使用は、ワクチン製造を促進する親水性融合ペプチドをもたらした。ペプチドを結合するための「kkp」の使用は、同じ4つのペプチドを個々に(すなわち、非結合で)用いた場合に得られるIFNγ−産生脾細胞とおよそ同じ数の該細胞を産生した(図14)。これらの結果は、kkpリンカーの使用が、抗原プロセシングを変更することなくワクチン抗原の製造およびペプチド特異的IFN−γ産生脾細胞の誘発を促進することを実証する。これらの細胞の産生は、がん細胞の効果的根絶の良好な指標である。
【0092】
実施例9
メラノーマに対する治療的処置
実施例4、5および6は、TRP−2およびp53特異的IFN−γ産生脾細胞の産生を増加する本発明組成物の能力による、メラノーマ関連タンパク質に対する細胞性免疫反応の刺激の確立を実証する。B16−F10細胞(10 x 103個の細胞/マウス)を無菌C57BL/6マウスの左脇腹の皮下に植え込んだ。マウスは、植え込みの時点で6−8週齢であり、水および食事を自由摂取させ、フィルタートップ条件下で飼育した。メラノーマ細胞の植え込みの5日後、TRP−2由来の2つのペプチドの内の1つ(V8LまたはS9L(配列番号:6または7);25 μg/マウス)、p53由来の1つの修飾ペプチド(mK9M(配列番号:8);25 μg/マウス)またはこれらのペプチドの混合物(25 μgの各ペプチド/マウス)を含む組成物の皮下注射による単回処置をマウスに施した。また、すべての組成物は、PADRE(25 μg/マウス)およびCpG ODN(50 μg/マウス)の両方を含み、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内にデリバリーした。コントロールマウスには、PBS単独の単回投与を施した。すべての注射は、尾部の付け根に投与した。次の式:最長測定値x(最短測定値)(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006)を用いて、4−5日毎に腫瘍サイズを決定した。
【0093】
図15は、V8L(配列番号:6)(菱形)またはmK9Mペプチド(配列番号:8)(三角)のいずれかを含む組成物で処置したマウスでは、初期にはメラノーマ細胞の増殖が阻害されるが、メラノーマ細胞は、増殖の初期阻害に打ち勝って1200 mm3のサイズに増殖した腫瘍を産生したことを実証する。S9Lペプチド(配列番号:7)(四角)またはペプチドV8LおよびmK9M(KYICNSSCM)(十字)あるいはS9LおよびmK9M)(星印)の混合物を含む組成物での処置は、全観察期間にわたってメラノーマの増殖を阻害した。PBS単独(丸)は、腫瘍増殖において効果はなかった。
【0094】
実験の終わりにおいて腫瘍を有するマウスのパーセンテージを検討すると、ペプチド mK9M(配列番号:8)(三角)、V8L(配列番号:6)(菱形)またはS9L(配列番号:7)(四角)のいずれかを含む本発明のワクチンは、それぞれ腫瘍をもつマウスのわずか0、40および40%しか治癒していないことが示された(図16)。対照的に、S9LおよびmK9Mの混合物を含む組成物(星印)は、腫瘍をもつマウスの80 %を治癒し、V8LおよびmK9Mの混合物を含む組成物(十字)は、腫瘍をもつマウスの100 %を治癒した。
【0095】
実施例10
B16メラノーマ腫瘍モデル
先の実施例において、2つの独立したHPV子宮頸がんモデル(C3およびTC1/A2)において確立した腫瘍における本発明組成物の有効性を実証した。HPV関連(bearing)腫瘍は、腫瘍細胞の表面上に存在するHPVのCTLエピトープを標的化することによって根絶された。この方策は、ウイルス誘発性がんを治療する場合に特に有効である。しかし、過剰発現した「自己」抗原を提示する腫瘍は、免疫系では見ることができないので、治療するのがより困難である。自己抗原は、耐性機構によってしっかりと護られている。効果的な治療的がん処置は、過剰発現した腫瘍関連自己抗原に対する免疫反応を誘発する能力をもたなければならない。メラノーマ(B16腫瘍モデルなど)は、クラスIMHCの発現および自己抗原の提示をダウンレギュレートすると考えられる。メラノーマの治療のための治療組成物は、腫瘍の表面上の自己エピトープを標的化する能力がある低親和性T細胞クローン型を活性化しなければならない。
【0096】
ワクチン接種によるメラノーマの治療の成功には、ロバストで特異的なCTL反応が必要である。前臨床試験において、B16特異的CTL活性は、インビボにおいてB16腫瘍に対する保護には不十分であることであることが明らかにされている(Belloneら、J.of Immunol.、165(5):2651−2656、2000)。TRP−2からのメラノーマ関連自己エピトープでパルスされたCpG−成熟樹状細胞による免疫療法は、腫瘍退縮を達成することができなかった(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006)。2つの他の試験では、5日経った確立したB16腫瘍の治療は、処置マウスの50%以下の腫瘍根絶をもたらし、腫瘍は、すべての処置動物において再発した(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006;およびBronteら、Cancer Res.、60:253−258、2000)。
【0097】
同時に多重ペプチド抗原に対する有効なCTL反応を引き起こす本発明組成物の能力を試験した。マウス(5匹のマウス/グループ)に104個のB16細胞を植え込み、植え込み後6日目に、処置当たり25 μgのTRP−2 CTL エピトープ(S9L;SVYDFFVWL 配列番号:7)、25 μgのp53 CTLエピトープ(mK9M;KYICNSSCM 配列番号:8)、25 μgのPADREおよび50 μgのCpG ODNを含む組成物(0.1ml/投与)で1回処置した。比較のために、第2のグループのマウス(5匹のマウス/グループ)を、処置当たりそれぞれ25 μgの同じTRP−2 CTLエピトープまたは25 μgのp53 CTLエピトープ(K9M;KYMCNSSCM 配列番号:9)、25 μgの修飾p53 CTLエピトープ、mK9M(配列番号:8)、25 μgのPADRE(AKXVAAWTLKAAA、ここで、X=シクロヘキシルアラニル;配列番号:10)および50 μgのCpG ODNを含む組成物で処置した。組成物のすべての成分は、疎水性担体ISA51中で乳化前にリポソーム内に取り込んだ。コントロールマウスは、PBS単独で処置した。
【0098】
TRP−2およびp53エピトープの混合物を含む組成物での単回処置は、処置後21日目にすべてのマウスにおいて腫瘍を根絶したが(図17;三角)、単独でTRP−2(菱形)またはp53(四角)を含む組成物での処置は、マウスの40%しか腫瘍を除去しなかった。PBSを注射したすべてのコントロールマウスは、腫瘍を発達させた。
【0099】
実施例11
C3腫瘍にマウス(C57BL/6)をチャレンジさせると、チャレンジ後8日目に腫瘍は、触診可能なサイズに発達した。チャレンジ後8日目に、マウスを2つのコントロールグループ(10匹のマウス/グループ)および油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入したCpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)に融合した融合ペプチド(R9Fペプチド(配列番号:1)を含む組成物の単回投与で処置した処置グループに分割した。
【0100】
処置後15−20時間以内に、マウスは、処置投与の部位にアルダラTM軟膏(25 mg(10−12 μlのアルダラに相当))の皮膚適用を受けた。アルダラの有効成分は、濃度5%のイミキモドである。イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)は、局所的免疫反応修飾因子および刺激因子の特性を有することが知られている薬物のイミダゾキノロンファミリーのメンバーである新規な合成化合物である。イミキモドは、TLR7のリガンドであり、IFN−α、TNF−α、IL−1α、IL−6およびIL−8などの様サイトカイン環境を活性化する。対照的に、2つのコントロールグループは、PBS単独(100 μL/マウス)またはPBSに続いてアルダラ軟膏(25 mg)の皮膚適用のいずれかを受けた。治療組成物に続いてアルダラの皮膚適用を受けたマウスにおいて、腫瘍サイズは縮小した(図18;四角)が、PBS単独(十字)またはPBSに続いてアルダラの適用(三角)を受けたコントロールにおいては、縮小しなかった。図19は、治療組成物に続いてアルダラの皮膚適用を受けた(菱形)マウスにおいて、腫瘍をもつマウスのパーセンテージが減少したが、PBS単独(三角)またはPBSに続いてアルダラの適用(四角)を受けたコントロールにおいては、減少しなかったことを示す。
【0101】
実施例12
T−ヘルパーエピトープとして破傷風トキソイドペプチド F21Eを用いるメラノーマの治療
破傷風トキソイド由来のT−ヘルパーエピトープと組み合わせたメラノーマ関連抗原、TRP−2を、PBS/ISA51油中水型エマルジョン中のCpG ODNを含む組成物に一緒に封入した。種々のT−ヘルパーエピトープが使用可能であることを実証するために、破傷風トキソイドペプチドを、先の実施例で用いたT−ヘルパーエピトープであるPADREと置き換えた。多数のTRP−2ペプチド特異的IFN−γ産生細胞の刺激が、メラノーマに対する特異的な治療効果が予想されうることを示す。
【0102】
CpG ODNと共にリポソーム内に封入したTRP−2ペプチド(S9L;配列番号:7)および破傷風トキソイドエピトープF21E(アミノ酸947−967、FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE;配列番号:11)を含む組成物で、C57BLマウスを免疫感作した。破傷風トキソイドTヘルパーエピトープ無しで製剤した上記組成物で、コントロールマウスを免疫感作した。免疫感作後8日目に採取した脾臓から単離された脾細胞におけるELISPOTによって、IFN−γのエクスビボ検出を行った。コントロールおよび処置マウスの脾細胞をウエル当たり5x105個の細胞にて蒔き、TRP−2ペプチド(S9L)、またはメラノーマがん細胞系 B16−F10(5x104個の細胞/ウエル、1:10 エフェクター:標的比)でインビトロにて刺激した。治療組成物で免疫感作したマウスの脾細胞が、最も多数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を含んでいた。TRP−2ペプチドまたはB16−F10細胞で脾細胞を刺激した場合の免疫反応を観察した(図20)。コントロールマウス由来の脾細胞は、バックグラウンドレベルのTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を実証した。したがって、破傷風トキソイドエピトープの存在下でTRP−2ペプチドを用いて脾細胞を刺激する場合に、強い抗メラノーマCTL反応を検出することができたが、B16−F10細胞の表面上に存在するメラノーマ抗原を用いて脾細胞を刺激する場合にも検出することができた。
【0103】
方法
細胞系
10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、2 mM L−グルタミン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、100 U/ml ペニシリンおよび100 μg/ml ストレプトマイシン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)を補足したイスコーブダルベッコ変法培地(IMDM;シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で、C3細胞系を維持した。細胞を37℃/5 % CO2にてインキュベートした。
【0104】
EL−4細胞系は、マウス起源のリンパ腫細胞系である。10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、2 mM L−グルタミン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、100 U/ml ペニシリンおよび100 μg/ml ストレプトマイシン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)を補足した、2 mM L−グルタミンを含む高グルコース含量のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で、EL−4細胞系を維持した。細胞を37℃/5 % CO2にてインキュベートした。
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、マナッサス、VAからB16F1(B16)メラノーマ細胞系を入手した。
【0105】
ペプチド
CTLエピトープを含むHPV 16 E7(H−2Db)ペプチド RAHYNIVTF49−57(R9F)は、ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(トロント、オンタリオ)によって、CD4+ヘルパーエピトープを含むPADREに融合された。この融合ペプチドを50 μg/投与にて用いた。指示した場合には、R9Fを、抗原(25 μg/投与)として、または細胞障害性アッセイにおいて用いた。ペプチド KYMCNSSCM(配列番号:13)(ダルトン)を無関係コントロールペプチドとして用いた。
【0106】
チロシナーゼ関連タンパク質(TRP−2)ペプチド S9L(アミノ酸180−188;SVYDFFVWL;配列番号:7)およびV8L(アミノ酸181−188;VYDFFVWL;配列番号:6)、ならびにp53ペプチド(野生型p53(K9M)、アミノ酸232−240;KYMCNSSCM;配列番号:9)、修飾p53ペプチド mK9M(アミノ酸232−240;KYICNSSCM;配列番号:8)およびPADRE(AKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM;配列番号:17)に結合したmK9Mを、ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(トロント、オンタリオ、カナダ)から購入した。これらのペプチドは、マウスクラスIMHC H−2Kによって提示される。S9Lもまた、MHC HLA A2によって提示されるが、V8Lは、MHC HLA A2によって提示されない。TRP2およびp53ペプチドは、DMSO中の1 mg/mlストック溶液として貯蔵した。ワクチン製造のためのさらなる希釈は、PBSを用いて行った。
【0107】
結合したmK9Mを含むもの以外のすべてのワクチンの製剤は、PADRE(25 μg/投与)およびCpG ODN 1826 (50 μg/投与)を含んだ。結合したmK9Mは、としてその構造の一部としてPADREを含み、したがって、遊離のPADREは不要であった。
ELISPOT決定に用いた無関係ペプチドのアミノ酸配列は、KIMCNSSCM(ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド)であった。
【0108】
アジュバント
CpG ODN(下線の5'−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3'CpGモチーフをもつ合成ODN 1826、50 μg/投与)(配列番号;12)を、クーレイ・ファーマシューティカル(ウェルズリー、マサチューセッツ)から入手した。リポペプチド(Pam3Cys−SKKKK、(100 μg/投与)は、EMC・マイクロコレクションズ、ドイツから入手した。
【0109】
治療
リポソームを以下の通り製造した:10:1(0.2 gのレシチンおよび0.02 gのコレステロール/投与)の比率のレシチンおよびコレステロールをクロロホルム/メタノール(1:1;v/v)に溶解し、PTFE 0.2 μmフィルターを用いて溶液を濾過滅菌した。ロータリーエバポレーターを用いてクロロホルムおよびメタノールを減圧除去し、得られる薄い脂質層から痕跡量の溶媒をさらに減圧除去した。リポソーム封入のために、融合ペプチドとCpGを滅菌PBSに溶解し、得られる溶液を混合しながら薄い脂質層に加えてリポソームを形成した。得られるリポソームの懸濁液を、FIAにリポソーム/PBS懸濁液を加えることによって、FIA(シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で乳化して、油中水型エマルジョン(PBS:FIA;1:1,v/v;100 μl/投与)を形成した。いくつかの実施例では、油性担体として、FIAの代わりにモンタニドISA51(セピック、フランス)を用いた。
【0110】
チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(ウィルミントン、マサチューセッツ)から6−8週齢の無菌C57BL/6雌性マウスを入手し、水および食事を自由摂取させ、フィルタートップ条件下で飼育した。すべての実験について、実験動物管理および使用ガイドラインにしたがった。マウスに本発明組成物を、尾部の付け根における皮下注射にて処置した。他に特記しない限り、すべての処置は、タン解凍よで行い、すべての処置グループは、10匹のマウスを含んだ。コントロールマウスには、PBSまたは融合ペプチド(PADREに融合した選ばれたCTLエピトープ)、R9Fペプチド、CpG ODN(またはPam3c)、PBS(100 μl)中の融合ペプチドとCpG または油中水型エマルジョン(PBS/FIA;1:1,v/v、100 μl/投与)中のリポソーム封入融合ペプチド、R9F、CpG(or Pam3c)を皮下注射した。
【0111】
腫瘍植え込み
腫瘍植え込みに用いたC3細胞を95 %集密で増殖させ、0.05 %トリプシンで集菌した。マウスにおいて腫瘍を確立するために、マウスの左脇腹に0.5 x 106個のC3細胞を皮下注射した。次の式:最長測定値x(最短測定値)2÷2を用いて、4−5日毎に腫瘍サイズを決定した。
マウス(HLA A2)を左脇腹に皮下植え込みしたTC1/A2 腫瘍細胞(1 X 105個の細胞/マウス)にチャレンジさせた。5日毎に腫瘍サイズを測定し、個々のマウスにおける腫瘍サイズと腫瘍を有するマウスのパーセントで記録する。
B16−F10細胞(10 x 103個の細胞/マウス)を、チャレンジの時点で6−8週齢の無菌C57BL/6マウスの左脇腹に皮下植え込みした。2−5日毎に腫瘍サイズを測定し、結果を、腫瘍を有するマウスのパーセントで記録した。
【0112】
細胞障害性アッセイ
インターフェロン(IFN)−γについてのCTLアッセイ、ELISPOTおよび細胞内染色は、無関係ペプチドは、バックグラウンドを越えるCTL活性またはIFN−γ産生を引き出さなかったので、治療的反応が選択されたE7ペプチドに対して特異的であることを明らかにした。これらの実験は、治療的処置を与えられたマウスからの脾細胞中の活性化した治療特異的細胞障害性T細胞が、腫瘍サイズの縮小と相関することを示す。手順の詳細を以下に記載する。
【0113】
リンパ芽球生成およびインビトロ刺激(IVS)
急性およびメモリーCTL反応を調べるために、他に特記しない限り、標的マウスからの脾細胞を、免疫感作後それぞれ7、14または130日目に分析した。記載した場合、1ラウンドのIVSにおいて細胞障害性アッセイを行った。簡単に述べると、インビトロ刺激の3日前に、CO2窒息によって、未処置のC57BL/6マウスを屠殺し、脾臓を採取し、分離した。脾細胞を洗浄し、RPMI−10(ここで、RPMIは、10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ)、100 U/mlペニシリンおよび100 μg/mlストレプトマイシン(ギブコ)を補足される)中でカウントした。脾細胞(106個の細胞/ml)を、リポ多糖(25 μg/ml)および硫酸デキストラン(7 μg/ml)とともに培養し、リンパ芽球を処置した。
【0114】
同一遺伝子のリンパ芽球を照射し(137Sc源を用いて4000 radで15分間)、R9Fペプチド(100 μM)とともに搭載した。ペプチド搭載LPS活性化リンパ芽球(3 x 106個の細胞/ml)を用いて、3:1の比率で(ここで、エフェクター細胞は、3 x106個の細胞/mlに調節した)、免疫感作マウスの脾細胞を刺激し、T−stim(BD バイオサイエンシズ、ミネソタ、オンタリオ)をウエルに加えて、最終濃度20 %を得た。細胞を37℃ /5 % CO2にて6日間インキュベートした。
【0115】
JAMアッセイ
EL−4細胞を、5 μCi/ml [メチル−3H] チミジン(アマシャム・ファルマシア、エルランゲン、ドイツ)で標識した。細胞を37℃ /5 % CO2にて24時間インキュベートし、次いでR9Fまたは無関係ペプチド(10 μg/ml)とともに1時間搭載した。次いで、標識した標的細胞の懸濁液を採取し、RPMI−10中で2回洗い、2 x 103個の細胞/ウエルの密度で96ウエルのU底プレートに蒔いた。2 x 105個のエフェクター細胞/ウエルの濃度で開始する連続希釈によって、エフェクター細胞を加えた。プレートを37℃ /5 % CO2にて4時間インキュベートした。ガラス線維フィルター上に細胞を吸引し、Packard TopCountシンチレーションカウンターを用いてトリチウムを計数した。以下の式:DNAフラグメント化%=(S−E)/E x 100 (ここで、Sは、処置の不在下において保持されたDNA(カウント)であり、Eは、エフェクター細胞の存在下において保持されたDNA(カウント)である)を用いてDNAフラグメント化のパーセントを計算した。
【0116】
ELISPOTによる抗原特異的T細胞のエクスビボ分析
C57BL/6マウスから採取した脾細胞中の処置活性化抗原特異的CTLを、BD ELISPOT(BD バイオサイエンス、サン・ディエゴ、カリフォルニア)を用いて検出した。簡単に述べると、処置後7日目に96ウエルのニトロセルロースプレートを、補足抗体である精製抗マウスIFN−γ抗体でコーティングし、4℃にて一夜インキュベートした。抗体を捨て、プレートを2時間ブロックし、次いで、ブロッキング溶液を除去した。最終体積100μl中、1x百万細胞/ウエルの初期濃度にて脾細胞を各ウエルに加え、次いで、次の列のウエルに連続希釈した。以下の刺激およびコントロールを、培地100μlに加えて、所望の最終濃度を得た。C3細胞(5 x 105個の細胞/ml)、R9Fペプチド(10μg/ml)または無関係ペプチド(10μg/ml)をウエルに加えるかまたはペプチドを加えなかった。PMA(5ng/ml、シグマ)、イオノマイシン(500ng/ml、シグマ)は、ポジティブコントロールとなり、培地単独は、ネガティブコントロールとなった。プレートを37℃/5% CO2にて一夜インキュベートした後、検出抗体であるビオチニル化抗マウスIFN−γ抗体を室温にて2時間加えた。インキュベーション期間の後、検出抗体を捨て、酵素複合体(ストレプトアビジン−HRP)を1時間加え、最後に、プレートをAEC基質溶液で20分間染色した。プレートを洗浄し、拡大レンズを用いてスポットを視覚化するために一夜風乾した。
【0117】
細胞内サイトカイン(ICS)
先に述べたように、腫瘍なしマウスの脾臓から脾細胞を回収し、RPMI−10(500 x g、5分)で2回洗浄し、RMPI−10に懸濁した(10 x 106個の細胞/ml)。96ウエルの平底プレートのウエルに脾細胞(1 x 106個の細胞/ウエル)を加え、R9Fまたは無関係ペプチドとともに、各ペプチドについて複製カラムにおいて最終濃度3 μg/mlでインキュベートした。IFNγ産生CD8+ CTLの保護機能を実証するためにEL−4細胞を用いる実験において、細胞障害性測定の前に、R9Fまたは無関係ペプチドのいずれかを搭載したEL−4細胞(1 x 105個の細胞/ウエル)を37℃/5% CO2にて6時間インキュベートした。
【0118】
CytofixTM/ CytopermTMキット説明書(BD バイオサイエンシズ、ミシソーガ、オンタリオ)に記載されているとおり、細胞内サイトカイン染色を行った。簡単に述べると、刺激物質の添加後、各ウエルにGolgiStopを加え、プレートを37℃/5% CO2にて4時間インキュベートした。細胞を染色緩衝液で洗浄し、次いで、抗CD8血清とともにインキュベートし(4℃にて20分間、暗所)、染色緩衝液で再度洗浄し、次いで、抗IFN−γとともにインキュベートした(4℃にて30分間、暗所)。これに続いて、Perm/洗浄緩衝液で洗浄した後、細胞をPerm/洗浄緩衝液に再懸濁し、FACSチューブ(BD ファルコン)に移した。FACSCalibur(BD バイオサイエンシズ、サンホセ、カリフォルニア)によって染色を評価し、CellQuestソフトウェアを用いて分析した。
【0119】
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Vierboom, M.P.M. et al., p53: a target for T-cell mediated immunotherapy, Peptide-Based Cancer Vaccines, W. M. Kast, Ed. Landes Bioscience, Georgetown, p.40, 2000.
【0120】
あたかも各個々の刊行物または特許出願が参照することにより援用されるように特別および個別的に指示されたかのように、本明細書に引用したすべての刊行物および特許出願は、参照することにより本発明に援用される。いずれの刊行物の引用も、その出願日前の開示のためであり、本発明が、先の発明によって、このような刊行物に先立つ資格がないという承認として解釈されるべきではない。
【0121】
前述の発明は、理解の明確さの目的のために、実例および実施例として詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、当業者には、ある種の変更および修飾が、添付の請求項の精神および範囲から逸脱することなく行われうることが容易に明らかである。
【0122】
本明細書および添付の請求項に用いるように、文脈が他に明確に指図しない限り、「a」「an」および「the」は、複数の指示を包含することに留意しなければならない。他に特記しない限り、本明細書に用いるすべての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解される意味と同じ意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、PBS/FIA油中水型エマルジョンに含まれるリポソーム内に封入した、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)およびPADREと融合したR9Fペプチドを含む組成物で処置した後14日目に、HPV16(R9Fペプチド;配列番号:1)のE7エピトープまたは無関係ペプチドに曝露されるか、またはペプチド曝露無しのマウスからの脾細胞のエクスビボ細胞内IFN−γ染色を説明する。R9F後処置に曝露したときに、コントロール処置したものは、バックグラウンドレベル以上のCD8+/IFN−γ T細胞の増殖を引き起こさなかった(データ示さず)。対照的に、無関係ペプチドに曝露したマウスと比べて、R9Fペプチドに曝露したマウスの脾細胞において、R9F反応性CTLの12.9倍の増加が起こった。
【図2】図2は、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)と共に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチドを含む組成物で30日前に処置したマウスからの脾細胞による、R9Fペプチド(配列番号:1)(四角)および無関係ペプチド(菱形)を搭載したEL−4細胞の溶解を説明する。
【図3】図3は、次の組成物:(i)PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合した融合ペプチド(R9Fペプチド(配列番号:1))およびCpG ODN(配列番号:12)(菱形);(ii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の封入しない融合ペプチドおよびCpG ODN(配列番号:12)(三角および十字)または(iii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中のリポソーム内に封入した融合ペプチド(黒丸)のうちの1つで処置したマウスからの脾細胞による、EL−4細胞の溶解を説明する。次いで、R9Fペプチド(十字、菱形および黒丸)または無関係ペプチド(配列番号:13)(三角および白丸)のいずれかに、処置後130日目に脾細胞を曝露した。融合ペプチド単独で処置したマウスからの脾細胞は、R9Fまたは無関係ペプチドのいずれかに処置後130日目に曝露したEL−4細胞の溶解の基準レベルを示した(データ示さず)。
【図4】図4は、マウスの14日目C3腫瘍の大きさにおける、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODN、融合ペプチド(PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(配列番号:1))を含む組成物(白四角)の単回投与の効果を説明する。腫瘍は、30日目(処置後16日目)までの触診では検出不能であった。対照的に、融合ペプチドの不在下で上述の組成物を含むコントロール処置を付されたマウス(黒四角)におけるC3腫瘍は、大きさが増加し続けた。すべてのマウス(n=10)を0.5 x 106個のC3腫瘍細胞に、処置前14日にチャレンジさせた。2つの処置グループにおける腫瘍の大きさの差異は、統計的に有意であった。
【図5】図5は、0.5 x 106個のC3細胞にチャレンジ後61日目に腫瘍がないマウスのパーセンテージにおける予防的処置の効果を説明する。処置グループは、(1)PBS;(2)PBS中のCpG;(3)PBS中の融合ペプチド(PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(配列番号:1));(4)PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した融合ペプチド;(5)油中水型エマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODN;(6)リポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびCpG ODN;(7)油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびリポペプチド、Pam3Cys−SKKKK(Pam3c);を含む組成物のうちの1つで処置したマウスからなった。
【図6】図6は、(A)PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共にチロシン関連タンパク質−2(TRP−2)ペプチド(S9L;配列番号:7)を含む組成物;(B)油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、PADREと共にS9Lを含む組成物;または(C)PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム中のCpGと共に無関係ペプチド(配列番号:13)を含む組成物;のうちの1つで単回処置後8日目のマウスにおける、TRP−2特異的IFN−γ産生脾細胞(スポット形成細胞、SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図7】図7は、(A)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共に修飾p53ペプチド(mK9M;配列番号:8);または以下のコントロール組成物(B)油中水型エマルジョン中のPADREおよびmK9M;(C)リポソーム内に封入し、油中水型エマルジョンに懸濁したPADREと共にmK9M;および(D)CpG ODNと共にリポソーム内に封入し、油中水型エマルジョンに懸濁した無関係ペプチド(配列番号:13);のうちの1つで単回処置した後のマウスにおける、p53特異的IFN−γ産生脾細胞(SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図8】図8は、(A)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共にp53(mK9Mペプチド;配列番号:8)およびTRP−2(V8L;配列番号:6)ペプチドを含む組成物;または以下のコントロール組成物:(B)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADREと共にp53およびTRP−2ペプチド;(C)PADREおよびCpG ODNと共にp53およびTRP−2ペプチド;(D)PADREと共にp53およびTRP−2ペプチド;で単回処置した後のマウスにおける、TRP−2およびp53特異的IFN−γ産生脾細胞(SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図9】図9は、19日経ったTC1/A2確立腫瘍における、HLA−A2 E6/7 CTLエピトープ含有ペプチドでの単回処置の効果を説明する。CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した4つのHPV E6/7ペプチド(Y10T(配列番号:2)、L9V(配列番号:3)、T81(配列番号:4)およびT10V(配列番号:5))の混合物を含む組成物(四角)またはCpG ODNおよびPADREと共にリポソーム内に封入し、次いで、油中水型エマルジョンに懸濁した「aay」(アラニン−アラニン−チロシン)リンカー(AB2ペプチド;配列番号:14)とつながっている上述の4つのHPV E6/7ペプチドを含有する長ペプチド(菱形)の単回処置は、処置後21日目までにTC1/A2腫瘍を根絶した。CpG ODNおよびPADREと共にリポソーム内に封入し、次いで、油中水型エマルジョンに懸濁したHPV(L9V;配列番号:3)の1つのE7ペプチドでの処置は、腫瘍の大きさを有意に減少させた(三角)。PBS単独での処置(十字)は、腫瘍成長を防止しなかった。
【図10】図10は、腫瘍移植後19日目に、PBS単独を注射された5匹のマウスにおける腫瘍増殖を説明する。
【図11】図11は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した4つの別個のHLA−A2 E6/7 CTLエピトープ含有ペプチド(Y10T、L9V、T81およびT10V;それぞれ、配列番号:2、3、4および5)の混合物を含む組成物での単回処置の効果の効果を説明する。
【図12】図12は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した長ペプチド(AB2;配列番号:14)を含む組成物での単回処置の効果を説明する。
【図13】図13は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したHLA−A2 E7 CTLエピトープ(L9V;配列番号:3)を含む組成物での単回処置の効果を説明する。
【図14】図14は、(A)4つの短い非結合HPV−A2 HPV E6/E7 CTLエピトープ含有ペプチド(T8l、Y10T、L9VまたはT10V;それぞれ、配列番号:2、3、4および5)または(B)「kkp」リンカー(Y10T−kkp−L9V(配列番号:15)およびT81−kkp−T10V(配列番号:16))とつながった2つの中程度の長さのジペプチドを含む組成物の単回投与による免疫感作後9日目のマウスにおける、IFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出を説明する。両方の組成物をCpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した。コントロールマウス(C)の脾臓は、各個の短いペプチドまたは4つの短いペプチドの混合物で刺激してIFN−γを産生することができる脾細胞のバックグラウンドを含んでいた。対照的に、4つの短い非結合ペプチドまたは2つの中程度の長さのジペプチドのいずれかで免疫感作したグループのマウスの脾臓は、より多くの数のこれらのペプチドで刺激してIFN−γを産生する脾細胞を含んでいた。本発明のいずれかの製剤で免疫感作し、4つの短いペプチドで刺激したマウスの脾細胞の刺激は、コントロール脾細胞と比べて約5倍のIFN−γ産生脾細胞を産生し、「kkp」と結合しているペプチドが、免疫反応に効果を持たないことが示された。
【図15】図15は、メラノーマ関連タンパク質に由来し、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpG ODNおよびPADREと共に封入した少なくとも1つのペプチド:(i)V8Lペプチド(配列番号:6)(菱形);(ii)S9Lペプチド(配列番号:7)(四角);(iii)mK9Mペプチド(配列番号:8)(三角);(iv)V8LおよびmK9Mペプチド(十字);および(v)S9LおよびmK9Mペプチド(星印);を含む組成物のうちの1つで処置したマウスにおけるメラノーマ腫瘍の増殖を示す。コントロールマウスは、PBS単独で処置した(丸)。腫瘍移植後5日目にマウスを投与処置した。各データポイントは、5匹のマウスの腫瘍の平均の大きさである。
【図16】図16は、メラノーマ関連タンパク質(TRP−2またはp53)に由来し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共に封入した少なくとも1つのペプチド:(i)V8Lペプチド(配列番号:6)(菱形);(ii)S9Lペプチド(配列番号:7)(四角);(iii)mK9Mペプチド(配列番号:8)(三角);(iv)V8LおよびmK9Mペプチド(十字);および(v)S9LおよびmK9Mペプチド(星印);を含む組成物のうちの1つで処置した後のメラノーマ腫瘍を有するマウスのパーセンテージを説明する。コントロールマウスは、PBS単独で処置した(丸)。腫瘍移植後5日目にマウスを投与処置した。各データポイントは、5匹のマウスの腫瘍の平均の大きさである。
【図17】図17は、PBS中に懸濁し、次いで、ISA51中でエマルジョンにしたリポソーム内に封入した、CpG ODN(配列番号:12)、PADREおよびTRP−2および/またはp53 CTLエピトープを含む組成物での単回処置を行ったマウスにおける、6日経った確立したB16腫瘍の根絶または縮小を説明する。TRP−2およびp53 CTLエピトープの混合物での単回処置は、投与後21日目までにすべてのマウスの腫瘍を無くした(三角)。TRP−2(菱形)またはp53(四角)単独での単回処置は、処置後33日目でマウスの40%の腫瘍を無くした。コントロールにおけるPBSでの処置は、腫瘍の進行に効果が無かった(十字)。
【図18】図18は、リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODN(配列番号:12)およびHPV 16のE7エピトープ(R9Fペプチド;配列番号:1)を含む組成物で処置し、次いで15〜20時間以内にアルダラTMを皮下適用したマウスにおいてC3腫瘍の大きさが縮小したことを説明する(四角)。対照的に、PBS(十字)またはPBSに続いて15〜20時間以内にアルダラをPBS注射部位へ皮下適用した(三角)コントロールマウスにおいて、C3腫瘍は、大きさを縮小しなかった。処置は、すべての処置グループにおいて、腫瘍移植後5日目に行った。腫瘍の大きさは、10匹のマウスの平均の大きさである。
【図19】図19は、すべての処置グループにおける、腫瘍移植後5日目の処置後の触診できる腫瘍を有するマウスのパーセンテージを説明する。腫瘍移植後20日目のマウスにおいて、リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODN(配列番号:12)およびHPV 16のE7エピトープ(R9Fペプチド;配列番号:1)を含む組成物で処置し、次いで15〜20時間以内にアルダラTM軟膏(5%イミキモド)を投与の部位に皮下適用した後、触診できる腫瘍を有していたのは、わずかに20%であった(菱形)。対照的に、PBS単独で処置した後のマウスにおいて、20日後に触診できる腫瘍を有していたのは90%であり(三角)、PBSで処置し、次いで、アルダラを皮下適用した後のマウスにおいて、20日後に触診できる腫瘍を有していたのは100%であった(四角)。
【図20】図20は、PBS/ISA51油中水型エマルジョン中、リポソームにCpG ODN(配列番号:12)と共に一緒に封入したS9Lペプチドおよび破傷風トキソイドエピトープ(F21E;配列番号:11)を含む治療組成物を単回投与で免疫感作した8日後に、メラノーマ関連抗原であるTRP−2(S9Lペプチド;配列番号:7)またはB16F10細胞に曝露したIFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出を説明する(B)。コントロールマウスは、破傷風トキソイドTヘルパーエピトープなしで製剤した上記組成物で免疫感作した。コントロールグループと比較して、5倍の数のIFN−γを産生するようにB16−F10細胞で刺激した脾細胞が、本発明の治療組成物で免疫感作したグループ由来の脾臓内に存在した。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それぞれ、2005年10月7日;2006年11月3日および2006年4月7日に出願されたカナダ特許出願番号2,523,032;2,533,705;および2,542,212からの利益および優先権を主張し、さらに、2006年7月5日に出願された米国仮特許出願番号60/806,573からの利益および優先権を主張する(これらは、参照することにより本発明に援用される)。
(技術分野)
本願は、がんの治療において細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある抗原のデリバリーのためのビヒクルとしてのリポソームおよび連続的疎水相を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポソームおよび種々の抗原を含む持続性ワクチンが、当業界においてこれまでに記載されている。これらのワクチン組成物は、2型ヘルパーT細胞(Th2)機能に従属する、特異的抗原に対する増強された液性免疫反応(増加された抗体産生によって決定される)を誘発することにおいて有効であることが明らかにされている。しかし、がんに悪影響を及ぼす組成物のためには、細胞性(細胞障害性Tリンパ球(CTL))反応を誘発することができなければならない。CTLは、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘発する能力があるTリンパ球のサブグループである;それらは、ウイルス(またはその他の病原体)に感染しているか、または別の状態で損傷を受けているか、機能不全に陥っている細胞を殺す(溶解する)。CTL反応は、1型ヘルパーT細胞(Th1)サイトカインを介して媒介される。
【0003】
一般に、CTL反応は、短命であり、わずか数週間しか持続しない(Knutsonら、Clin.Cancer.Res.8(5):1014−1018、1990;Dudleyら、J.Immunother.24(4):363−73、2002;およびFernandoら、Scand.J.Immunol.47(5):459−65、1998)。がんの再発は、常に懸念され、したがって、がんが再発しないことを確実にするために持続性CTL反応の誘発が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、多重ブースター処置を必要としない、がんの治療における使用のための持続性免疫治療組成物の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
1つの実施態様において、本発明は、疎水性物質の連続的相を含む担体;リポソーム;および細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原を含む組成物を提供する。また、組成物が、少なくとも1つのヘルパーTエピトープを含むのが好ましい。
【0006】
さらに別の態様において、本願は、本明細書に記載の組成物を投与することを含む、患者においてがんを治療する方法を提供する。
【0007】
もう1つの態様において、本願は、本明細書に記載の組成物およびその使用説明書を含む、患者においてがんを治療するのに有用なキットを提供する。
【0008】
本発明の別の態様および特徴は、以下の本発明の特定の実施態様の説明および添付の図面を検討することにより当業者には明らかになるであろう。
本発明の実施態様を説明する図面は、例示のためにすぎない。
【0009】
(詳細な説明)
本願は、少なくとも1つのヘルパーTエピトープと共にCD8+ 細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原および疎水性物質の連続的相を含む担体に懸濁したリポソームを含む組成物を提供する。さらに、本発明は、患者においてがんを治療するための方法における該組成物の使用を教示する。
【0010】
本明細書に記載する組成物は、たとえば、子宮頸がんおよび/または外陰部がんなどのヒトパピローマウイルスによって引き起こされるがん;たとえば、メラノーマなどのチロシナーゼの発現が関与するがん;たとえば、乳がんまたはリンパ節転移などのp53遺伝子産物の突然変異または過剰発現が関与するがん;および1つ以上の腫瘍関連タンパク質を同時に発現するメラノーマなどのその他のがんなど(これらに限定されるものではない)の広範ながんの治療に有用である。もう1つの実施態様において、本明細書に記載する組成物は、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肉腫、膀胱、前立腺、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍など(これらに限定されるものではない)のがんの治療に有用である。がんが由来する細胞型とは量および物質において異なる細胞表面成分を有するがんのいずれもが、本発明による治療のための候補である。さらに詳しくは、p53は、広範に適用できるがん治療のための候補標的である(DeLeo、A.B.、Crit.Rev.Immunol.、18:29、1998;Vierboom、M.P.M.ら、Peptide−Based Cancer Vaccines.W.M.Kast編、Landes Bioscience、Georgetown、2000)。
【0011】
本明細書で用いる用語「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「がん」および「がん細胞」(互換使用)は、細胞増殖のコントロールの重大な喪失を特徴とする異常な成長を示す細胞または不死化された細胞を意味する。用語「がん」または「腫瘍」は、転移性ならびに非転移性のがんまたは腫瘍を包含する。がんは、悪性腫瘍の存在などの当業界で一般的に承認された基準を用いて診断することができる。
【0012】
「治療すること」またはがん「の治療」は、臨床的結果などの有益または所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益または所望の臨床的結果として、1つ以上の症状または状態の軽減または寛解、疾患の範囲の縮小、疾患の状態の安定化、疾患の進行の防止、疾患の拡散の防止、疾患進行の遅延化または緩徐化、疾患の発症の遅延化または緩徐化、疾患の状態の寛解または緩和、および鎮静化(部分的または全体的)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。「治療すること」は、治療しない場合に予測されるよりも患者の生存期間を延長することも意味しうる。「治療すること」は、患者において疾患の進行を永久に止めることを意味するのがより好ましいが、疾患の進行を一時的に阻止することも意味しうる。
治療される患者は、いずれかの脊椎動物であり、哺乳動物が好ましく、ヒトがより好ましい。
【0013】
抗原
組成物の適当な抗原は、患者において細胞性(CTL)免疫反応を誘発する能力がある抗原である。
【0014】
細胞性免疫は、抗体は関与しないが、抗原に反応してマクロファージおよびナチュラルキラー細胞、抗原特異的細胞障害性Tリンパ球の産生および種々のサイトカインの放出が関与する免疫反応である。細胞障害性Tリンパ球は、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘発する能力があるTリンパ球のサブグループである;それらは、ウイルス(または他の病原体)に感染しているか、またはそうでなければ損傷しているか、または機能不全の細胞を殺す。
【0015】
大部分の細胞障害性T細胞は、クラスIMHC分子に結合する特異的ペプチド抗原を認識することができるT細胞受容体を発現する。これらのCTLは、クラスIMHC分子の部分に引きつけられるCD8(CD8+ T細胞)も発現する。この親和性は、抗原特異的活性化中に、CTLおよび標的細胞を密接に結合したままにする。
【0016】
細胞性免疫は、たとえば、ウイルス感染細胞、細胞内細菌をもつ細胞および腫瘍抗原を提示しているがん細胞などの表面に外来抗原のエピトープを提示している身体細胞を溶解することができる抗原特異的細胞障害性Tリンパ球を活性化すること;マクロファージおよびナチュラルキラー細胞を活性化して、細胞内病原体を破壊することができるようにすること;および適応免疫反応および先天性免疫反応に関与する他の細胞の機能に影響を及ぼす種々のサイトカインを分泌するように細胞を刺激することによって身体を保護する。
【0017】
1つの実施態様において、抗原は、たとえば、ペプチド、適当な天然,非天然,組換えまたは変性タンパク質またはポリペプチド、もしくはそのフラグメント、または患者においてCTL免疫反応を起こす能力があるエピトープである。
【0018】
用語「ポリペプチド」は、長さ(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18または20個のアミノ酸)または翻訳後修飾(たとえば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、アミノ酸の鎖のいずれをも包含し、たとえば、天然のタンパク質、合成または組換えポリペプチドおよびペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、変異体、相同体、類縁体、ペプトイド、ペプチドミメティックスなどを包含する。したがって、変異体または誘導体は、切り詰めおよびフラグメントなどの欠失;たとえば、保存的置換、部位特異的変異体および対立遺伝子変異体などの挿入および付加;およびペプチドに共有的に結合した1つ以上の非アミノアシル基を有するペプトイド(たとえば、糖質、脂質など)および翻訳後修飾などの修飾を包含する。本明細書で用いる用語「保存的アミノ酸置換」または「保存的置換」は、関連する機能を実質的に喪失することなく置換を作成することができるペプチド中の所定の位置において1つのアミノ酸を別のアミノ酸の代わりに置き換えること意味する。このような変化を作成するにおいて、たとえば、その大きさ、電荷、疎水性、親水性などの側鎖置換の相対的類似性に基づいて同等のアミノ酸残基の置換を作成することができ、このような置換は、ルーチン試験を行うことによってペプチドの機能における影響をアッセイすることができる。
【0019】
本明細書に開示したものと実質的同一性を有するポリペプチド、ペプチドまたはエピトープを用いることができる。(許容されたギャップを有して)最適に整列された場合に2つの配列が少なくとも約50%の配列同一性を共有するか、または配列が規定の機能的モチーフを共有するならば、それらは実質的同一性を有するとみなされる。別の実施態様において、最適に整列された配列が特定の領域にわたって少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を共有するならば、配列は実質的に同一である(すなわち、実質的同一性を有する)とみなされうる。用語「同一性」は、2つのポリペプチド分子の間の配列類似性を意味する。同一性は、整列された配列における各位置を比較することによって決定することができる。アミノ酸配列間の同一性の度合いは、配列が共有する位置における、たとえば、特定の領域にわたる同一またはマッチングアミノ酸の数の関数である。同一性の比較のための配列の最適整列化は、http://clustalw.genome.ad.jpで入手可能なClustalWプログラム;Smith and Waterman、1981、Adv.Appl.Math 2:482の局所相同性アルゴリズム;Needleman and Wunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443の相同性整列化アルゴリズム;Pearson and Lipman、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性法の探索;およびこれらのアルゴリズムのコンピュータ制御された遂行(GAP、BESTFIT、FASTA and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WI、U.S.A.など)などの当業界で公知の種々のアルゴリズムを用いて行うことができる。配列同一性は、Altschulら、1990、J.Mol.Biol.215:403−10に記載のBLASTアルゴリズム(公表された初期設定を用いる)を用いて決定することもできる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから入手可能である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/でインターネットを介して)。
【0020】
本明細書で記載した組成物の単回処置で用いた抗原の量は、抗原のタイプおよび患者の背格好に応じて変わる。当業者は、不当な実験を行うことなく、特定の適用に用いるための抗原の有効量を決定することができる。本明細書で用いる用語「有効量」は、必要な投薬量において、および期間にとって、所望の結果を達成するために有効な量を意味する。
【0021】
1つの実施態様において、抗原は、CTL反応を誘発する能力がある少なくとも1つのCTLエピトープである。たとえば、抗原は、HPVなどのウイルスから誘導されたCTLエピトープであってもよい。
【0022】
もう1つの実施態様において、抗原は、HPVのE6またはE7タンパク質から誘導されるエピトープから選ばれるCTLエピトープであってもよい。
【0023】
さらなる実施態様において、HPVのE6タンパク質のエピトープは、ペプチド配列 TIHDIILECV(T10V)(配列番号:5)を含む。もう1つの実施態様において、HPVのE7タンパク質のエピトープは、RAHYNIVTF(R9F)(配列番号:1)、YMLDLQPETT(Y10T)(配列番号:2)、LLMGTLGIV(L9V)(配列番号:3)およびTLGIVCPI(T81)(配列番号:4)から選ばれるペプチド配列を含む。
【0024】
もう1つの実施態様において、CTLエピトープは、メラノーマ関連タンパク質などの腫瘍関連タンパク質のエピトープであってもよい。さらなる実施態様において、メラノーマ関連タンパク質は、チロシン関連タンパク質−2(TRP−2)またはp53であり、組換え技術または化学合成などの種々の方法によって得ることができる。
【0025】
1つの実施態様において、TRP−2由来タンパク質のエピトープは、たとえば、SVYDFFVWL(S9L;配列番号:7)などのペプチド配列を含む。もう1つの実施態様において、TRP−2由来タンパク質のエピトープは、ペプチド配列 VYDFFVWL(V8L;配列番号:6)を含む。もう1つの実施態様において、p53由来タンパク質のエピトープは、KYMCNSSCM(K9M;野生型p53;配列番号:9)、KYICNSSCM(mK9M;修飾p53;配列番号:8)およびPADRE(配列番号:10))にカップリングしたAKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM(mK9M(配列番号:9)から選ばれるペプチド配列を含む。
【0026】
1つの実施態様において、組成物は、CTL反応を誘発するための抗原として、CTLエピトープの混合物を含む。
【0027】
さらなる実施態様において、抗原は、標的化腫瘍細胞における特異的コンホメーションを効果的に認識し、その破壊を引き起こすことができる特異的CTL反応を誘発する能力があるいずれかのペプチドまたはポリペプチドであってもよい。
【0028】
さらなる実施態様において、抗原は、以下の表から選ばれるペプチド配列を含んでもよい:
第1表
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
上記表1に挙げたとおり、タンパク質(ポリペプチド)は、CTLエピトープとして機能を果たすことができ、したがって本発明に用いることができるペプチド配列の数が変化する。以下の遺伝子(これらに限定されるものではない)は、本発明に抗原として取り入れることができるペプチド配列を有する腫瘍関連タンパク質をコードする:p53、HPV E6およびE7、ART−4、CAMEL、CEA、Cyp−B、HER2/neu、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、PRAME、P15、RUI、RU2、SART−1、SART−3、WT1、PSA、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、gp100、MART−1/Melan A、MAGE−A1,MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A6、MAGE−A10、MAGE−A12、BAGE、DAM−6、DAM−10、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7B、GAGE−8、NA88−A、NY−ESO−1、NY−ESO−1a(CAG−3)、AFP、β−カテニン/m、カスパーゼ−8/m、CDK−4/m、ELF2M、GnT−V、G250、Ras、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、MUM−1、MUM−2、MUM−3、Myosin/m、RAGE、SART−2、TRP−2/INT2および707−AP。
【0034】
Tヘルパーエピトープ
Tヘルパーエピトープは、Tヘルパー活性を有するアミノ酸(天然または非天然アミノ酸)の配列である。Tヘルパーエピトープは、免疫系の能力を確立し、最大化することにおいて重要な役割を演じ、細胞障害性Tリンパ球などの他の免疫細胞の活性化および方向付けに関与するTヘルパーリンパ球によって認識される。
【0035】
Tヘルパーエピトープは、連続エピトープまたは非連続エピトープからなりうる。ゆえに、Tヘルパーのすべてのアミノ酸が、必然的にエピトープの一部である。したがって、Tヘルパーエピトープの類縁体およびセグメントを含むTヘルパーエピトープは、免疫反応を増強または刺激する能力がある。免疫優勢Tヘルパーエピトープは、広く多岐にわたるMHC型を持ち、動物およびヒト集団において広範に反応性である(Celisら(1988)J.Immunol.140:1808−1815;Demotzら(1989)J.Immunol.142:394−402;Chongら(1992)Infect.Immun.60:4640−4647)。対象ペプチドのTヘルパードメインは、約10〜約50個のアミノ酸を有し、約10〜30個のアミノ酸が好ましい。複数のTヘルパーエピトープが存在する場合、各T−ヘルパーエピトープは独立して働く。
【0036】
1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、少なくとも1つのTヘルパーエピトープも含む。いくつかの場合、T−ヘルパーエピトープは、抗原の一部を形成する。特に、もし抗原が十分な大きさであるならば、T−ヘルパーエピトープとして機能するエピトープを含むことができる。他の実施態様において、T−ヘルパーエピトープは、抗原とは別の分子である。
【0037】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープ類縁体は、Tヘルパーエピトープ中に、1〜約10個のアミノ酸残基の置換、欠失および挿入を含んでもよい。Tヘルパーセグメントは、免疫反応を増強または刺激するのに十分なTヘルパーエピトープの近接する部分である。T−ヘルパーセグメントの例は、単一のより長ペプチドから誘導される一連のオーバーラップペプチドである。
【0038】
本発明に用いるためのTヘルパーエピトープ源として、たとえば、B型肝炎表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素ヘルパーT細胞エピトープ、麻疹ウイルスFタンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、クラミジア・トラコマチス主要外膜タンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、ジフテリア毒素ヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲ヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫トリオースリン酸イソメラーゼ ヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌TraTヘルパーT細胞エピトープおよびこれらのTヘルパーエピトープのいずれかの免疫増強類縁体およびセグメントが挙げられる。
【0039】
1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ユニバーサルTヘルパーエピトープである。本明細書で用いるユニバーサルTヘルパーエピトープは、クラスII(CD4+ T細胞)またはクラスI(CD8+ T細胞)−制限様式でT細胞機能を活性化する様式で、非常に多数のクラスIIMHC分子に結合するペプチドもしくは他の免疫原性分子またはそのフラグメントを意味する。
【0040】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号:10)(ここで、Xはシクロヘキシルアラニルであってもよい)を含むPADRE(pan−DR エピトープ)などのユニバーサルTヘルパーエピトープである。特にPADREは、CD4+ T−ヘルパーエピトープを有し、すなわち、それはPADRE−特異的CD4+ Tヘルパー反応の誘発を刺激する。
【0041】
破傷風毒素は、PADREと同様の様式で働くTヘルパーエピトープを有する。破傷風およびジフテリア毒素は、ヒトCD4+細胞のためのユニバーサルエピトープを有する(Diethelm−Okita、B.M.ら、Universal epitope for human CD4+ cells on tetanus and diphtheria toxins.J.Infect.Diseases、181:1001−1009、2000)。もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(amino acids 947−967;配列番号:11)を含むF21Eなどの破傷風毒素であってもよい。
【0042】
もう1つの実施態様において、Tヘルパーエピトープは、少なくとも1つの抗原(すなわち、1つのペプチド)または抗原の混合物に融合して、融合ペプチドを作成する。
【0043】
担体
組成物の担体は、疎水性物質、好ましくは液体疎水性物質の連続的相を含む。連続的相は、本質的に純粋な疎水性物質または疎水性物質の混合物である。さらに、担体は、疎水性物質が連続的相であるという条件で、疎水性物質中水型のエマルジョンまたは疎水性物質の混合物中水型のエマルジョンであってもよい。さらに、もう1つの実施態様において、担体は、アジュバントとして機能しても良い。
【0044】
本明細書に記載の組成物において有用な疎水性物質は、医薬的および/または免疫学的に許容しうる物質である。担体は、液体であるのが好ましいが、大気温度にて液体でない特定の疎水性物質を、たとえば、温めることによって液体化してもよく、該物質は本発明においても有用である。1つの実施態様において、疎水性担体は、PBS/FIAエマルジョンである。
【0045】
本発明における使用には、油型または油中水型エマルジョンが特に適している。油は、医薬的および/または免疫学的に許容しうるべきである。油の好ましい例は、鉱物油(特に軽または粘性鉱物油)、植物油(たとえば、トウモロコシまたはカノーラ油など)、ナッツ油(たとえば、ピーナッツ油など)およびスクアレンである。低粘度鉱物油が、最も好ましい。動物性脂肪および人工疎水性ポリマー材料、特に、大気温度で液体であるもの、または比較的容易に液体化しうるものを用いることもできる。
【0046】
リポソーム
リポソームは、封入された水性ボリュームを含む完全に閉鎖した液体二重層膜である。リポソームは、単層小胞(単一の二重層膜を有する)または各二重層が水性層によって次の層から分離されてもされなくてもよい多膜二重層を特徴とする多重層小胞であってもよい。リポソームの一般的議論は、Gregoriadis G.Immunol.Today、11:89−97、1990;およびFrezard、F.、Braz.J.Med.Bio.Res.、32:181−189、1999に見出すことができる。
【0047】
本発明には、古細菌脂質から作られるリポソームなどのいずれのリポソームを用いてもよいが、特に有用なリポソームは、リポソーム製剤においてリン脂質および非エステル化コレステロールを用いる。コレステロールは、リポソームを安定化するのに用いられ、リポソームを安定化する他のいずれかの化合物をコレステロールと置き換えてもよい。他のリポソーム安定化化合物は、当業界で公知である。たとえば、飽和リン脂質は、高い転移温度を有するリポソームを産生する。抗原とリポソームとの間の静電的会合を制限するのを回避するために、抗原をリポソームの内部に隔絶してもよい。
【0048】
リポソームの製造に用いるのに好ましいリン脂質は、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリンおよびホスホイノシトールから選ばれる少なくとも1つの頭部基を有するリン脂質である。リポソームが、ホスホリポン90G中に脂質を含むのがより好ましい。非エステル化コレステロールもまたリポソーム製剤に用いる場合、コレステロールは、リン脂質の約10%の量と等しい量で用いる。コレステロール以外の化合物を用いてリポソームを安定化するならば、当業者は、組成物に必要な量を容易に決定することができる。
【0049】
リポソーム組成物は、たとえば、天然脂質、合成脂質、スフィンゴ脂質、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、陽イオン性脂質およびポリ(エチレングリコール)および他のポリマーで修飾された脂質を用いることによって得ることができる。合成脂質として、以下の脂肪酸成分が挙げられる:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイルまたはこれらの脂肪酸の組み合わせ。
【0050】
アジュバント
組成物は、当業界で公知のように、1つ以上の医薬的に許容しうるアジュバント、賦形剤などをさらに含んでもよい。たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA 1985)およびThe United States Pharmacopoeia:The National Formulary(USP 24 NF19)、1999刊行を参照のこと。
1つの実施態様において、適当なアジュバントとして、CpG−含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)が挙げられる。たとえば、5'−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3'など。当業者は、標的種および効力に基づいて、適切なCpGを選択することができる。CpGの代わりに、Pam3Cys−SKKK)(EMC Microcollections、Germany)またはその変異体、同族体および類縁体などのリポペプチドを用いてもよい。この点において、リポペプチドのPam2ファミリーが、リポペプチドのPam3ファミリーの代わりに有効であることが分かっている。
【0051】
使用するアジュバントの量は、抗原の量およびアジュバントのタイプに応じて変わる。当業者は、特定の適用に必要なアジュバントの量を容易に決定することができる。
【0052】
組成物
1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物は、抗原(遊離抗体および/またはリンパ球上の抗原結合受容体と特異的に相互作用する物質として定義される)または抗原/アジュバント複合体をリポソーム内に封入して、リポソーム−封入抗原を形成し、疎水性物質の連続的相を含む担体をリポソーム−封入抗原と混合することによって製剤することができる。抗原/アジュバント複合体を第1段階で用いないならば、適当なアジュバントをリポソーム−封入抗原に、リポソーム−封入抗原および担体の混合物に、またはリポソーム−封入抗原と混合する前に担体に加えてもよい。プロセスの順番は、使用するアジュバントのタイプに応じて変わる。次いで、得られるリポソーム−封入抗原を担体と混合する(用語「リポソーム−封入抗原」は、状況に応じて、抗原単独のリポソーム封入または抗原/アジュバント複合体の封入を意味することに留意すべきである)。これは、アジュバントと抗原との間の密接な接触を促進し、少なくとも部分的に、良好な免疫反応の原因となりうる。いくつかのアジュバントの使用を促進するために、抗原を最初にリポソーム内に封入し、次いで、疎水性物質の連続的相を含む担体中で、得られるリポソーム−封入抗原をアジュバントと混合してもよい。
【0053】
実質的に水を含まない組成物を製剤することにおいて、抗原または抗原/アジュバント複合体を、リポソームと封入してもよく、リポソームを凍結乾燥してもしなくてもよく、疎水性物質に懸濁してもしなくてもよい。疎水性物質中の水のエマルジョン中の組成物を製剤することにおいて、抗原または抗原/アジュバント複合体をリポソーム内に封入し、水性媒体に懸濁し、次いで、水性媒体を疎水性物質と混合して、エマルジョンを形成してもよい。該エマルジョンの場合、疎水性物質を連続的相に維持するために、リポソームを含む水性媒体を、混合しながらアリコートにて疎水性物質に加えてもよい。
【0054】
1つの実施態様において、場合によっては、抗原またはリポソーム−封入抗原を、疎水性物質または水性媒体と混合する前に凍結乾燥してもよい。もう1つの実施態様において、抗原/アジュバント複合体をリポソームによって封入し、次いで、凍結乾燥してもよい。さらなる実施態様において、抗原を、リポソーム内に封入し、次いで、アジュバントを加え、次いで、凍結乾燥して、外部アジュバントと共に凍結乾燥したリポソーム−封入抗原を形成してもよい。さらにもう1つの例において、抗原をリポソームによって封入し、次いで、アジュバントの添加前に凍結乾燥してもよい。凍結乾燥は、アジュバントと抗原の間のよりよい相互作用を促進する。
【0055】
もう1つの実施態様において、疎水性物質中へのリポソーム−封入抗原の製剤化は、疎水性物質中におけるリポソームのより均一な分配を促進するために、乳化剤の使用も含んでもよい。典型的な乳化剤は、当業界で周知であり、オレイン酸マンニド(ArlacelTM A)、レシチン、TweenTM 80ならびにSpansTM 20、80、83および85がが挙げられる。乳化剤は、リポソームの均一な分配を促進するのに有効な量で持ちいる。典型的には、疎水性物質の乳化剤に対する体積比(v/v)は、約5:1〜約15:1の範囲であり、約10:1が好ましい。
【0056】
別の態様として、抗原または抗原/アジュバント複合体を、リポソームと会合させるか、接触させるか、またはリポソームから分離し、リポソーム内に封入しなくてもよい。いくつかの親水性抗原または親水性抗原/アジュバント複合体のリポソーム封入の効率は、疎水性環境に置かれる場合あるいは凍結乾燥される場合、抗原の大部分がリポソームの外部表面と会合するように、よくない。これは、本発明のもう1つの実施態様を表す。
【0057】
さらなる実施態様において、CTLエピトープおよびPADRE(抗原に融合または分離)を有する抗原(ペプチドまたはポリペプチド)を、一緒にリポソーム内に封入してもよい。もう1つの実施態様において、1つ以上の抗原を同じリポソーム内に入れてもよい。さらなる実施態様において、T−ヘルパーエピトープを有するPADREの代わりに、たとえば、破傷風トキソイドペプチドなどの他の物質を用いてもよい。もう1つの実施態様において、アジュバント、好ましくはCpG−含有ODNをさらに、リポソーム内に封入してもよい。リポソームを、PBSに懸濁するのが好ましい。次いで、この懸濁液を、たとえば、ISA51または鉱物油などの疎水性担体中で乳化する。結果は、抗原およびアジュバント(好ましくはPADREおよびCpG)含有リポソームを、PBSに懸濁し、次いで、たとえば、ISA51または鉱物油などの疎水性担体中で乳化することである。
【0058】
がんの再発は、常に懸念されるので、がんが再発しないことを確実にするために持続性CTL反応の誘発が重要である。一般に、CTL反応は、数週間しか持続しない短命の反応であるが、本明細書に記載の組成物は、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110、120または130日間持続する潜在的CTL反応を誘発する能力がある。
【0059】
1つの実施態様において、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREと融合したPVのE7タンパク質のCTLエピトープを含む組成物で130日前に処置したマウスから単離された脾細胞は、マウスリンパ腫EL−4細胞を溶解する能力を保持した(図3)。これらの結果は、本明細書に記載の組成物が、がん治療に望ましい持続性CTL反応を誘発することができることを示す。
【0060】
1つの実施態様において、CpG ODNアジュバントおよび抗原としてTRP−2および/またはp53ペプチドを含む組成物での処置は、ガン細胞と闘うために必要な脾細胞を産生する抗原特異的インターフェロンガンマ(IFN−γ)の数を増加することができた(図6−8)。抗原は、ユニバーサル Tヘルパーエピトープ(PADRE)と融合し、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入された。ペプチドおよびペプチドが由来するタンパク質を発現している腫瘍細胞の両方が、IFN−γ産生を誘発することができ、ペプチド抗原をデリバリーするための本発明組成物の使用が、意図する標的に関連する免疫反応をもたらすことが実証された。
【0061】
もう1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物の単回処置による確立した(established)腫瘍の治療は、処置後の腫瘍サイズおよび腫瘍を有するマウスのパーセンテージを減少することにおいて有意に有効であった(図9−13および15)。
【0062】
本明細書に記載の組成物による処置に続いて、サイトカインの局在化誘発を介して免疫系を活性化する非ヌクレオシドイミダゾキノリンアミン(ヘテロ環式アミン)のクラスのメンバーであるイミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)またはその類縁体を含む適当な組成物を投与の部位に皮膚適用してもよい。イミキモドは、TLR7のためのリガンドであり、IFN−α、TNF−α、IL−1α、IL−6およびIL−8を包含するTh1様サイトカイン環境を活性化する。さらなる実施態様において、本明細書に記載の組成物による処置に続いて、アルダラ(Aldara)TM軟膏(イミキモド 5%)(3M、St.Paul、MN、U.S.A.)を処置投与の部位に皮膚適用してもよい。
【0063】
1つの実施態様において、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよび融合ペプチドを含む組成物の単回投与で処置し、次いで、処置投与の部位におけるアルダラ軟膏を皮膚適用したマウスにおいて、腫瘍サイズおよび腫瘍を有するマウスのパーセンテージが減少した(図18および19)。
【0064】
本明細書に記載の組成物は、経口、経鼻、経直腸または非経口投与に適する形態で製剤してもよい。非経口投与として、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、経上皮、肺内、髄腔内および局所モードの投与が挙げられる。持続性効果を達成するために好ましい経路は、筋肉内、皮下および皮内である。
【0065】
本明細書に記載の組成物は、単回適用において投与される場合にも有効である。
【0066】
もう1つの実施態様において、本明細書に記載の組成物を、放射線療法および化学療法などの他の療法と組み合わせて、その前あるいは後に用いることができる。II期またはIII期のメラノーマと診断された患者を外科的に治療し、次いで、メラノーマ特異的抗原に対するCTL反応を誘発するための組成物を含むワクチン組成物を投与するとメラノーマ再発が予防されることがこれまでに明らかにされている。(Antonia、S.J.ら、Clin.Cancer Res.12:878−887、2006;Allegra、C.J.and R.W.Childs.、J.National Cancer Inst.97:1396−1397、2005;Cassarino、D.S.ら、J.Cutaneous Path.33:335−342、2006;Correale、P.ら、J.National Cancer Inst。97:1437−1445、2005;Gulley、J.L.ら、Clin.Cancer Res.11:3353−3362、2005;およびChakraborty、M.ら、Cancer Res.64:4328−4337、2004)。
以下の非限定的実施例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0067】
実施例1
細胞反応
(a)活性化
CTL反応の特異性および迅速性を試験するために、ユニバーサルTヘルパーエピトープであるPADRE(AKXVAAWTLKAAA−OH(配列番号:10);50 μg/投与)に融合し、PBS/FIA(リン酸緩衝食塩水フロイント不完全アジュバント)エマルジョン(100 μl/投与)に懸濁したリポソーム(0.2 g レシチンおよび0.02 g コレステロール/投与)内に封入した、CpG ODN アジュバント、ヒトパピローマウイルス(HPV)16、すなわち、R9F(E7(H2−Db)ペプチド RAHYNIVTF、アミノ酸49−57;配列番号:1)のCTLエピトープを含む組成物で、マウスを1回処置した。処置後14日目に、脾細胞(エフェクター細胞)をR9Fまたは無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)と共に6時間共培養した。脾細胞のエクスビボ細胞内IFN−γ染色は、脾細胞を無関係ペプチドに曝露する場合(脾細胞の0.12 %;またはペプチド無し;図1)よりも、脾細胞をR9Fペプチドに曝露する場合に、IFN−γ陽性CD8+ T細胞(CTLs)の割合が13倍多いこと(脾細胞の1.6 %)を実証した。図1にて実証されるように、上述のR9Fペプチドを含む組成物でのマウスの処置は、無関係ペプチドを含む組成物で処置したマウスと比べて、HPVエピトープによる刺激に対する特異的反応を示すCTLの有意な増殖を引き起こした。
【0068】
細胞内リンホカイン染色は、IFN−γ陽性CTLの存在を実証した。IFN−γ産生CTLの保護的機能を実証するために、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREと融合したR9Fペプチドを含む組成物で、マウスを処置した。処置後30日目に、R9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)搭載(loading)E4細胞(標的細胞;マウスリンパ腫細胞系)および無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)搭載E4細胞を、処置マウスからの脾細胞でインビトロにて6日間刺激した。JAMアッセイによって、細胞毒性を測定した(図2)。インビトロ刺激の6日目の後に、R9Fペプチド搭載EL−4細胞の約50 %が、R9Fペプチドを含む組成物で処置したマウスからの脾細胞によって溶解した(エフェクターの標的に対する比10)(四角)。対照的に、無関係ペプチド搭載EL−4細胞のわずかに5%が、同じ非細胞によって溶解した(菱形;p<0.009)。
【0069】
(b)持続期間
特定の本発明の具体例での単回処置によって誘発された記憶応答の持続期間を、以下の組成物で処置後130日目のマウスから得られた脾細胞によるEL−4細胞の溶解によって実証した(図3):(i)PBS/FIA油中水型エマルジョンに包含されたリポソーム内に封入した、融合ペプチド(PADREと融合したR9Fペプチド)およびCpG ODN(菱形);(ii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の封入しない融合ペプチドおよびCpG ODN(三角および十字)または(iii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の、CpG ODNアジュバント無しでリポソーム内に封入した融合ペプチド(黒丸)。リポソーム−封入融合ペプチド、リポソーム−封入CpG ODN、非封入−融合ペプチドおよびCpG ODN、ならびに非封入−融合ペプチド単独は、コントロールとして働いた。
【0070】
JAMアッセイは、6日インビトロ刺激に続いて、脾細胞(エフェクター細胞)とR9Fまたは3H−標識チミジンを予め搭載しておいた無関係ペプチド搭載EL−4細胞(標的細胞)との共培養を用いた。油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびCpG ODNで免疫感作したマウスからの脾細胞は、エフェクターの標的に対する比が25:1〜5:1である場合に、R9Fペプチド搭載標的細胞の30%を溶解し、該比が1:1である場合に、標的細胞の15%を溶解した(図3)。コントロール処置を与えられたマウスからの脾細胞は、バックグラウンドレベルの細胞毒性を実証した。単回処置後130日以上のCTL反応の持続期間は、文献に報告されたCTL反応の持続期間に比べて目覚ましいものである。
【0071】
実施例2
子宮頸がんの根絶
たとえば、ガルダシルTMおよびセルバリクスTMなどのヒトパピローマウイルス(HPV)誘発性子宮頸がんおよび外陰がんのための予防ワクチンならびに子宮頸がんおよび外陰がんの治療上の処置の開発は、依然として優先度が高い。この実施例においては、ヒトパピローマウイルス(HPV)16のCTLエピトープ、すなわち、R9F(E7(H2−Db)ペプチド RAHYNIVTF、アミノ酸49−57;配列番号:1)を含む治療組成物を用いてCTLを誘発した。これらのCTLは、その分化および増殖ならびに機能性記憶CTLへの成熟のために、CD4+ T細胞の補助を必要とする。CD4+ T細胞の補助を介する潜在的CTL反応を達成するために、R9FペプチドをユニバーサルTヘルパーエピトープ、PADRE(配列番号:10)に融合して、融合ペプチドを得た。融合ペプチドを、CpG ODNモチーフまたはリポペプチド(Pam3Cys−SKKKK)を含む合成オリゴヌクレオチドと共にリポソーム内に封入した。治療用組成物は、単回処置において治療用製剤をデリバリーするためにPBS/FIA油中水型エマルジョンを用いた。C3腫瘍細胞を発現しているHPV 16を用いて、C57BL/6マウス(マウス10匹/グループ)をチャレンジさせ、次いで、チャレンジ後14日目に上記治療組成物またはコントロール組成物でマウスを処置して治療的処置の効能を実証した。30日目(すなわち、処置後16日目)までに、C3腫瘍にチャレンジさせ、次いで処置を与えたグループ内の10匹のマウスすべてにおいて、触診可能な腫瘍の完全な根絶が実証された(図4;白四角)。対照的に、融合ペプチド以外の上記治療的処置の成分をすべて含む組成物で処置したコントロールマウス10匹のすべてにおける腫瘍は、サイズが増大し続けた(黒四角)。
【0072】
実施例3
予防
C3 腫瘍細胞によるインビチャレンジに対する本発明組成物の保護能力をさらに実証するために、雌性C57BL/6マウスの尾のつけね部に、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内にCpG ODNと共に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)(融合ペプチドと称する)を含む組成物を皮下注射した。組成物が、CpG ODNの代わりに別のアジュバントを含む組成物と同じくらい保護的であるかどうかを決定するために、CpG ODNが別のCpGアジュバント、すなわち、Pam3c(Pam3Cys−sKKKK)と置き換えられている上述の組成物をマウスに投与した。コントロールグループには、PBS、PBS中のCpG ODN、PBS中の融合ペプチド、CpG ODNと共にPBS中に懸濁した融合ペプチド、またはアジュバント無しでリポソームに封入した融合ペプチドを注射した。
【0073】
単回処置後15日目に、一次チャレンジとして、処置マウスの左脇腹において0.5 x 106個のC3細胞を皮下に植え込んだ(図5)。PBSまたはPBS中のCpG ODNを注射されたマウスはすべて2週間以内に腫瘍を発生させ、実験動物管理プロトコルが要求する腫瘍サイズに基づいて、第30日までに実験から除去しなければならなかった。PBS中の融合ペプチドでの処置は、わずかマウスの20%しか保護しなかった(処置グループ3)。PBSエマルジョン中のリポソームに封入した融合ペプチドは、マウスの50%において腫瘍の発生を防ぎ(処置グループ4)、このことは、リポソーム封入融合ペプチドが、C3チャレンジから、ある程度の保護を提供することを示唆する。PBSエマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODNによる処置は、マウスの60%において腫瘍の発生を防いだ(処置グループ5)。相対的に、CpG ODNと共にリポソーム内に封入した融合ペプチドで処置したマウスの100%が、チャレンジ後のモニター期間61日間にわたって腫瘍無しのままであった(処置グループ6)。腫瘍に対する記憶応答の持続期間および規模を決定するために、グループ6で処置したマウスに、6x106個のC3 腫瘍細胞の二次チャレンジを付与した。すべてのマウスが、さらに73日間腫瘍無しのままであり、本発明組成物の単回処置が、頑強な持続性細胞性免疫反応を提供することが実証された。同様に、CpGをPam3cで置き換えると、61日間全てのマウスが腫瘍無しのままである状態がもたらされた(処置グループ7)。これらのマウスは、C3細胞に再チャレンジはさせなかった。
【0074】
療法
確立した触診可能なC3腫瘍の治療を評価するために、マウスの左脇腹において、0.5 x 106個のC3細胞を皮下に植え込んだ。腫瘍植え込み後、4、5、6または9日目のいずれかに、リポソームに封入し、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁した、CpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(RAHYNIVTF;配列番号:1)(融合ペプチド)を含む組成物またはプラセボ(PBSエマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODN)でマウス(n=10)を処置した。単回免疫感作は、腫瘍植え込み後4、5または6日目に免疫感作した処置グループ10匹のマウスすべて、および腫瘍植え込み後9日目に免疫感作したグループの30匹のマウスすべてにおいて40日目まで腫瘍を根絶した。腫瘍植え込み後5日目に処置したグループにおいて、1匹のマウスのみが、40日目まで腫瘍を維持した(第1表)。対照的に、腫瘍植え込み後4または6日目にプラセボ組成物で処置したグループにおいて、9/10のマウスに腫瘍が発生した。チャレンジ後5日間プラセボを投与したマウスのグループにおいて、10/10のマウスに腫瘍が発生し、腫瘍植え込み後9日目にプラセボワクチンで処置したグループにおいて、27/30のマウスに腫瘍が発生した。
【0075】
CpG ODNをPam3cと置き換えることが、組成物のC3腫瘍を根絶する能力を変更するかどうかを評価するために、Pam3cと共にリポソーム内に封入し、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁した融合ペプチドを含む組成物で10匹のマウスを処置し、またはリポソーム無しで同じ組成物を含むプラセボ処置を用いて、第2のグループの10匹のマウスを処置した。次いで、2つの処置グループのマウスを、左脇腹で1 x 106個のC3細胞にチャレンジさせた。Pam3cと共にリポソーム内に封入した融合ペプチドを用いる確立したC3腫瘍の治療的処置を2回繰り返したところ、第1表に示すように、同様の結果が得られた。
【0076】
【0077】
第2表:アジュバントとしてCpG ODNまたはPam3c(*)を含む、PADRE(配列番号:10)と融合し、油中水型エマルジョンに懸濁したR9Fペプチド(配列番号:1)(融合ペプチド)を含む組成物あるいはリポソーム以外のすべての成分を含むプラセボワクチンで処置したマウスにおける腫瘍の根絶。
【0078】
実施例4
メラノーマの治療的処置
チロシナーゼは、メラノーマにおいて過剰発現されたタンパク質である。チロシナーゼタンパク質からのペプチドは、メラノーマの治療のための一般的に不十分な抗原である。本明細書に記載するように、マウスMHC、H2K2およびヒトHLA−A2.1に結合するチロシナーゼ関連タンパク質(TRP−2)(アミノ酸181−188;VYDFFVWL;配列番号:6)由来のペプチドであるV8Lを治療的処置において用いて、IFN−γ産生細胞の産生を刺激した。TRP−2特異的IFN−γ産生細胞の数の刺激は、メラノーマに対する特異的治療効果が、予想されうることを示す。
【0079】
油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODNおよびPADREに融合したTRP−2ペプチドを含む本発明組成物でC57BLマウスを処置した。CpG ODNの不在下でPADREと共にTRP−2ペプチドを封入したリポソームを含む組成物ならびにPADREと共にリポソーム内に封入したCpG ODNおよび無関係ペプチド(KIMCNSSCM;配列番号:13)を含む組成物でコントロール処置を行った。両方のコントロール処置において、PBS/ISA51油中水型エマルジョンにリポソームを懸濁した。ELISPOTによるIFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出は、治療組成物が、最大数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生することを示した(図6;グループA)。コントロール処置(図6;グループB)は、約半分の数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生し、無関係ペプチドによるTPR−2の置き換えは、バックグラウンドレベルのTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生し(図6;グループC)、本発明の治療組成物が、最大数の、メラノーマがんと闘うのに必要であるTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生することが明らかにされた。
【0080】
実施例5
乳がんの治療的処置
p53遺伝子産物は、悪性腫瘍、特に乳がんの治療のための理想的で広範に発現される標的である。ヒトのがんの大部分が、腫瘍発生における早期イベントとしてp53突然変異を示す。p53の過剰発現は、より悪性度の高いがん、リンパ節転移、標準的治療計画および最終的がん関連死亡率の独立予測因子である。
【0081】
CpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)と共にPBS/ISA51油中水型エマルジョン中のリポソームに封入した、修飾p53 CTLエピトープ、mK9M、(KYICNSSCM;配列番号:8)を含む本発明組成物(図7;グループA)で単回処置したマウスは、リポソームの不在下でPADREに融合したペプチドおよびCpG ODNを含む組成物(図7;グループB);CpG ODN無しでリポソーム内に封入した融合ペプチドを含む組成物;または融合ペプチドを無関係ペプチドで置き換えた組成物(図7;グループD);で処置したマウスと比べて約10〜40倍のp53ペプチド特異的IFN−γ産生細胞を産生した。腫瘍特異的IFN−γ産生細胞の産生の増加は、子宮頸がん腫瘍の減少/根絶と相関関係があり(実施例2および3を参照のこと)、したがって、当業者は、p53関連腫瘍について同様の結果を予測するであろう。
【0082】
実施例6
1つ以上の標的に対する治療的がん処置
いくつかのがんは、1つ以上の腫瘍関連タンパク質を同時に発現する。このようながんは、治療的処置のための1つ以上の標的を提供する。たとえば、メラノーマ細胞は、p53およびTRPの両方を過剰発現し、p53およびTRP標的の両方を発現している細胞は、治療に対して、より攻撃されやすいので、p53およびTRPの両方を同時に狙う治療が、より有効で特異的でありうるという可能性をもたらす。
【0083】
リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODNおよびPADRE(AKXVAAWTLKAAA、ここで、X=シクロヘキシルアラニル);配列番号:10)と共にp53(mK9M;KYICNSSCM;配列番号:8)およびTRP−2(V8L;VYDFFVWL;配列番号:6)ペプチドを含む組成物で処置したマウスは、およそ等しい数のp53およびTRP特異的IFN−γ産生細胞の両方を産生した(図8;グループA)。対照的に、リポソーム無しでPADREに融合したp53およびCpG ODNと一緒にPADREと共のTRP−2 CTLペプチドの混合物で処理したコントロールマウスは、CpG ODNの不在下でも(図8;グループB)、p53特異的IFN−γ産生細胞よりもTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を産生した(図8;グループC)。p53特異的IFN−γ産生細胞の産生は、コントロール処置で得られたレベルであった(すなわち、CpG ODN無し(グループB)またはCpG ODNおよびリポソーム無し(グループD)の治療組成物)。これらの結果は、治療組成物を投与されたマウスは、TRP−2およびp53腫瘍関連タンパク質を有する腫瘍に対して二叉の攻撃を開始することを示す。油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内へのCpG ODNと共の融合ペプチドの封入無しでは、処置マウスは、TRP−2およびp53ペプチドの両方で処置されているにもかかわらず、1つの標的、TRP−2腫瘍タンパク質のみを攻撃する。
【0084】
実施例7
ヒトHLA A2主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子を有し、したがって、ヒトMHCを発現し、ヒト子宮頸がんを良好に模倣するHLA A2トランスジェニックマウスを用いた。HLA A2 MHCに適合させるために、これまでの実施例で用いたものとは相異するCTLエピトープを利用した。HLA A2マウスを以下の組成物の1つで処置した:
(1)4つのE6/7 ヒトパピローマウイルス(HPV)由来ペプチド(MP)の混合物、各ペプチドの配列は、以下の通り:
Y10T(E7:アミノ酸11−20;YMLDLQPETT;配列番号:2);
L9V(E7:アミノ酸82−90;LLMGTLGIV;配列番号:3);
T81(E7:アミノ酸86−93;TLGIVCPI;配列番号:4);および
T10V(E6:アミノ酸29−38;TIHDIILECV;配列番号:5);
(2)「aay」リンカーと結合して、長ペプチドとなった上記の4つのペプチド(AB2;配列番号:14)、その配列は以下の通り:
TIHDIILECVaayYMLDLQPETTaayLLMGTLGIVaayTLGIVCPI;
または
(3)上述の4つのペプチドから選ばれる単一のペプチド、すなわち、L9V(E7:アミノ酸82−90;LLMGTLGIV;配列番号:3)。
【0085】
すべての治療組成物は、アジュバントとしてPADRE(25 μg/投与)およびCpG ODN(50 μg/投与)を含み、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム中でデリバリーされた。4つのペプチドの混合物は、25 μgの各ペプチド/処置を含んだ。長ペプチド(AB2)は、100 μg/処置で投与した。L9V単独を含む組成物は、25 μg/処置の量を含んだ。コントロールマウスには、PBS(100 μL/処置)を注射した。
【0086】
マウスを左脇腹の皮下に植え込んだTC1/A2 腫瘍細胞(1 X 105個の細胞/マウス)でチャレンジさせ、5日毎に腫瘍サイズを測定した。チャレンジ後19日目に、上述の組成物の1つでマウス(5匹/グループ)を処置するか、またはPBSを注射した(コントロール)。
【0087】
図9において、上述の4つのHPV E6/7ペプチドの混合物(四角)または長ペプチドAB2(菱形)を含む組成物の単回処置が、処置後20日目でTC1/A2腫瘍を根絶したことが示される。E7ペプチド L9Vを含む組成物での処置は、腫瘍サイズを有意に縮小した(三角)。PBS単独での処置(十字)は、腫瘍の増殖を妨げなかった。PBSを受けたコントロールグループにおいて5匹のマウスすべてにおいて、腫瘍増殖は同様であった。5匹のマウスすべては、過剰の腫瘍サイズによって命令されるとおり、35日目に実験から外した。5匹のマウスにおける腫瘍サイズは、平均腫瘍サイズとして報告する。
【0088】
ペプチドの混合物を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小は、可変であった(図11)。たとえば、マウス2における腫瘍サイズは、処置後6日目に根絶された。残りのマウスにおける腫瘍は、少なくとも処置後11日目まで根絶されなかった。長ペプチド(AB2)を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小もまた、可変であった(図12)。しかし、5匹のマウスすべてにおいて、処置後21日目までに腫瘍は完全に根絶された。
【0089】
単一のHPV E7ペプチド(L9V;配列番号:3)を含む組成物で処置したマウスにおける腫瘍サイズの縮小は、4/5のマウスにおいて同様であった(図12)。マウス3の処置は、腫瘍サイズの縮小をもたらさず、個々のペプチドの混合物または融合ペプチドのいずれかとして1つ以上のHPVペプチドを含む組成物が、単一ペプチドに対する免疫感作よりも集団においてより多くの個体を保護するこができることが示唆された。
【0090】
実施例8
実施例7において、リンカー「aay」(−アラニン−アラニン−チロシン−)を用い、4つのHPV 16 E6/E7ペプチドを一緒に結合して、長ペプチドを形成した。このリンカーは、天然では疎水性であり、ペプチド製造を困難にし、長ペプチドを可溶化するためのジメチルスルホキシドの使用を必要とする、融合長ペプチドの疎水性を増大させる。
【0091】
この実施例では、「aay」リンカーの代わりに「kkp」リンカー(−リシン−リシン−プロリン−)を用い、2つのジペプチドを形成した。一方のジペプチドは、Y10T−kkp−L9V(TIHDIILECVkkpLLMGTLGIV;配列番号:15)であり、他方のジペプチドは、T81−kkp−T10V(TLGIVCPIkkpYMLDLQPETT;配列番号:16)であった。「kkp」リンカーの使用は、ワクチン製造を促進する親水性融合ペプチドをもたらした。ペプチドを結合するための「kkp」の使用は、同じ4つのペプチドを個々に(すなわち、非結合で)用いた場合に得られるIFNγ−産生脾細胞とおよそ同じ数の該細胞を産生した(図14)。これらの結果は、kkpリンカーの使用が、抗原プロセシングを変更することなくワクチン抗原の製造およびペプチド特異的IFN−γ産生脾細胞の誘発を促進することを実証する。これらの細胞の産生は、がん細胞の効果的根絶の良好な指標である。
【0092】
実施例9
メラノーマに対する治療的処置
実施例4、5および6は、TRP−2およびp53特異的IFN−γ産生脾細胞の産生を増加する本発明組成物の能力による、メラノーマ関連タンパク質に対する細胞性免疫反応の刺激の確立を実証する。B16−F10細胞(10 x 103個の細胞/マウス)を無菌C57BL/6マウスの左脇腹の皮下に植え込んだ。マウスは、植え込みの時点で6−8週齢であり、水および食事を自由摂取させ、フィルタートップ条件下で飼育した。メラノーマ細胞の植え込みの5日後、TRP−2由来の2つのペプチドの内の1つ(V8LまたはS9L(配列番号:6または7);25 μg/マウス)、p53由来の1つの修飾ペプチド(mK9M(配列番号:8);25 μg/マウス)またはこれらのペプチドの混合物(25 μgの各ペプチド/マウス)を含む組成物の皮下注射による単回処置をマウスに施した。また、すべての組成物は、PADRE(25 μg/マウス)およびCpG ODN(50 μg/マウス)の両方を含み、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内にデリバリーした。コントロールマウスには、PBS単独の単回投与を施した。すべての注射は、尾部の付け根に投与した。次の式:最長測定値x(最短測定値)(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006)を用いて、4−5日毎に腫瘍サイズを決定した。
【0093】
図15は、V8L(配列番号:6)(菱形)またはmK9Mペプチド(配列番号:8)(三角)のいずれかを含む組成物で処置したマウスでは、初期にはメラノーマ細胞の増殖が阻害されるが、メラノーマ細胞は、増殖の初期阻害に打ち勝って1200 mm3のサイズに増殖した腫瘍を産生したことを実証する。S9Lペプチド(配列番号:7)(四角)またはペプチドV8LおよびmK9M(KYICNSSCM)(十字)あるいはS9LおよびmK9M)(星印)の混合物を含む組成物での処置は、全観察期間にわたってメラノーマの増殖を阻害した。PBS単独(丸)は、腫瘍増殖において効果はなかった。
【0094】
実験の終わりにおいて腫瘍を有するマウスのパーセンテージを検討すると、ペプチド mK9M(配列番号:8)(三角)、V8L(配列番号:6)(菱形)またはS9L(配列番号:7)(四角)のいずれかを含む本発明のワクチンは、それぞれ腫瘍をもつマウスのわずか0、40および40%しか治癒していないことが示された(図16)。対照的に、S9LおよびmK9Mの混合物を含む組成物(星印)は、腫瘍をもつマウスの80 %を治癒し、V8LおよびmK9Mの混合物を含む組成物(十字)は、腫瘍をもつマウスの100 %を治癒した。
【0095】
実施例10
B16メラノーマ腫瘍モデル
先の実施例において、2つの独立したHPV子宮頸がんモデル(C3およびTC1/A2)において確立した腫瘍における本発明組成物の有効性を実証した。HPV関連(bearing)腫瘍は、腫瘍細胞の表面上に存在するHPVのCTLエピトープを標的化することによって根絶された。この方策は、ウイルス誘発性がんを治療する場合に特に有効である。しかし、過剰発現した「自己」抗原を提示する腫瘍は、免疫系では見ることができないので、治療するのがより困難である。自己抗原は、耐性機構によってしっかりと護られている。効果的な治療的がん処置は、過剰発現した腫瘍関連自己抗原に対する免疫反応を誘発する能力をもたなければならない。メラノーマ(B16腫瘍モデルなど)は、クラスIMHCの発現および自己抗原の提示をダウンレギュレートすると考えられる。メラノーマの治療のための治療組成物は、腫瘍の表面上の自己エピトープを標的化する能力がある低親和性T細胞クローン型を活性化しなければならない。
【0096】
ワクチン接種によるメラノーマの治療の成功には、ロバストで特異的なCTL反応が必要である。前臨床試験において、B16特異的CTL活性は、インビボにおいてB16腫瘍に対する保護には不十分であることであることが明らかにされている(Belloneら、J.of Immunol.、165(5):2651−2656、2000)。TRP−2からのメラノーマ関連自己エピトープでパルスされたCpG−成熟樹状細胞による免疫療法は、腫瘍退縮を達成することができなかった(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006)。2つの他の試験では、5日経った確立したB16腫瘍の治療は、処置マウスの50%以下の腫瘍根絶をもたらし、腫瘍は、すべての処置動物において再発した(Pilon−Thomasら、J.of Immunother.、29(4)、2006;およびBronteら、Cancer Res.、60:253−258、2000)。
【0097】
同時に多重ペプチド抗原に対する有効なCTL反応を引き起こす本発明組成物の能力を試験した。マウス(5匹のマウス/グループ)に104個のB16細胞を植え込み、植え込み後6日目に、処置当たり25 μgのTRP−2 CTL エピトープ(S9L;SVYDFFVWL 配列番号:7)、25 μgのp53 CTLエピトープ(mK9M;KYICNSSCM 配列番号:8)、25 μgのPADREおよび50 μgのCpG ODNを含む組成物(0.1ml/投与)で1回処置した。比較のために、第2のグループのマウス(5匹のマウス/グループ)を、処置当たりそれぞれ25 μgの同じTRP−2 CTLエピトープまたは25 μgのp53 CTLエピトープ(K9M;KYMCNSSCM 配列番号:9)、25 μgの修飾p53 CTLエピトープ、mK9M(配列番号:8)、25 μgのPADRE(AKXVAAWTLKAAA、ここで、X=シクロヘキシルアラニル;配列番号:10)および50 μgのCpG ODNを含む組成物で処置した。組成物のすべての成分は、疎水性担体ISA51中で乳化前にリポソーム内に取り込んだ。コントロールマウスは、PBS単独で処置した。
【0098】
TRP−2およびp53エピトープの混合物を含む組成物での単回処置は、処置後21日目にすべてのマウスにおいて腫瘍を根絶したが(図17;三角)、単独でTRP−2(菱形)またはp53(四角)を含む組成物での処置は、マウスの40%しか腫瘍を除去しなかった。PBSを注射したすべてのコントロールマウスは、腫瘍を発達させた。
【0099】
実施例11
C3腫瘍にマウス(C57BL/6)をチャレンジさせると、チャレンジ後8日目に腫瘍は、触診可能なサイズに発達した。チャレンジ後8日目に、マウスを2つのコントロールグループ(10匹のマウス/グループ)および油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入したCpG ODNおよびPADRE(配列番号:10)に融合した融合ペプチド(R9Fペプチド(配列番号:1)を含む組成物の単回投与で処置した処置グループに分割した。
【0100】
処置後15−20時間以内に、マウスは、処置投与の部位にアルダラTM軟膏(25 mg(10−12 μlのアルダラに相当))の皮膚適用を受けた。アルダラの有効成分は、濃度5%のイミキモドである。イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)は、局所的免疫反応修飾因子および刺激因子の特性を有することが知られている薬物のイミダゾキノロンファミリーのメンバーである新規な合成化合物である。イミキモドは、TLR7のリガンドであり、IFN−α、TNF−α、IL−1α、IL−6およびIL−8などの様サイトカイン環境を活性化する。対照的に、2つのコントロールグループは、PBS単独(100 μL/マウス)またはPBSに続いてアルダラ軟膏(25 mg)の皮膚適用のいずれかを受けた。治療組成物に続いてアルダラの皮膚適用を受けたマウスにおいて、腫瘍サイズは縮小した(図18;四角)が、PBS単独(十字)またはPBSに続いてアルダラの適用(三角)を受けたコントロールにおいては、縮小しなかった。図19は、治療組成物に続いてアルダラの皮膚適用を受けた(菱形)マウスにおいて、腫瘍をもつマウスのパーセンテージが減少したが、PBS単独(三角)またはPBSに続いてアルダラの適用(四角)を受けたコントロールにおいては、減少しなかったことを示す。
【0101】
実施例12
T−ヘルパーエピトープとして破傷風トキソイドペプチド F21Eを用いるメラノーマの治療
破傷風トキソイド由来のT−ヘルパーエピトープと組み合わせたメラノーマ関連抗原、TRP−2を、PBS/ISA51油中水型エマルジョン中のCpG ODNを含む組成物に一緒に封入した。種々のT−ヘルパーエピトープが使用可能であることを実証するために、破傷風トキソイドペプチドを、先の実施例で用いたT−ヘルパーエピトープであるPADREと置き換えた。多数のTRP−2ペプチド特異的IFN−γ産生細胞の刺激が、メラノーマに対する特異的な治療効果が予想されうることを示す。
【0102】
CpG ODNと共にリポソーム内に封入したTRP−2ペプチド(S9L;配列番号:7)および破傷風トキソイドエピトープF21E(アミノ酸947−967、FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE;配列番号:11)を含む組成物で、C57BLマウスを免疫感作した。破傷風トキソイドTヘルパーエピトープ無しで製剤した上記組成物で、コントロールマウスを免疫感作した。免疫感作後8日目に採取した脾臓から単離された脾細胞におけるELISPOTによって、IFN−γのエクスビボ検出を行った。コントロールおよび処置マウスの脾細胞をウエル当たり5x105個の細胞にて蒔き、TRP−2ペプチド(S9L)、またはメラノーマがん細胞系 B16−F10(5x104個の細胞/ウエル、1:10 エフェクター:標的比)でインビトロにて刺激した。治療組成物で免疫感作したマウスの脾細胞が、最も多数のTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を含んでいた。TRP−2ペプチドまたはB16−F10細胞で脾細胞を刺激した場合の免疫反応を観察した(図20)。コントロールマウス由来の脾細胞は、バックグラウンドレベルのTRP−2特異的IFN−γ産生細胞を実証した。したがって、破傷風トキソイドエピトープの存在下でTRP−2ペプチドを用いて脾細胞を刺激する場合に、強い抗メラノーマCTL反応を検出することができたが、B16−F10細胞の表面上に存在するメラノーマ抗原を用いて脾細胞を刺激する場合にも検出することができた。
【0103】
方法
細胞系
10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、2 mM L−グルタミン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、100 U/ml ペニシリンおよび100 μg/ml ストレプトマイシン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)を補足したイスコーブダルベッコ変法培地(IMDM;シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で、C3細胞系を維持した。細胞を37℃/5 % CO2にてインキュベートした。
【0104】
EL−4細胞系は、マウス起源のリンパ腫細胞系である。10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、2 mM L−グルタミン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)、100 U/ml ペニシリンおよび100 μg/ml ストレプトマイシン(ギブコ、バーリントン、オンタリオ)を補足した、2 mM L−グルタミンを含む高グルコース含量のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で、EL−4細胞系を維持した。細胞を37℃/5 % CO2にてインキュベートした。
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、マナッサス、VAからB16F1(B16)メラノーマ細胞系を入手した。
【0105】
ペプチド
CTLエピトープを含むHPV 16 E7(H−2Db)ペプチド RAHYNIVTF49−57(R9F)は、ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(トロント、オンタリオ)によって、CD4+ヘルパーエピトープを含むPADREに融合された。この融合ペプチドを50 μg/投与にて用いた。指示した場合には、R9Fを、抗原(25 μg/投与)として、または細胞障害性アッセイにおいて用いた。ペプチド KYMCNSSCM(配列番号:13)(ダルトン)を無関係コントロールペプチドとして用いた。
【0106】
チロシナーゼ関連タンパク質(TRP−2)ペプチド S9L(アミノ酸180−188;SVYDFFVWL;配列番号:7)およびV8L(アミノ酸181−188;VYDFFVWL;配列番号:6)、ならびにp53ペプチド(野生型p53(K9M)、アミノ酸232−240;KYMCNSSCM;配列番号:9)、修飾p53ペプチド mK9M(アミノ酸232−240;KYICNSSCM;配列番号:8)およびPADRE(AKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM;配列番号:17)に結合したmK9Mを、ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(トロント、オンタリオ、カナダ)から購入した。これらのペプチドは、マウスクラスIMHC H−2Kによって提示される。S9Lもまた、MHC HLA A2によって提示されるが、V8Lは、MHC HLA A2によって提示されない。TRP2およびp53ペプチドは、DMSO中の1 mg/mlストック溶液として貯蔵した。ワクチン製造のためのさらなる希釈は、PBSを用いて行った。
【0107】
結合したmK9Mを含むもの以外のすべてのワクチンの製剤は、PADRE(25 μg/投与)およびCpG ODN 1826 (50 μg/投与)を含んだ。結合したmK9Mは、としてその構造の一部としてPADREを含み、したがって、遊離のPADREは不要であった。
ELISPOT決定に用いた無関係ペプチドのアミノ酸配列は、KIMCNSSCM(ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド)であった。
【0108】
アジュバント
CpG ODN(下線の5'−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3'CpGモチーフをもつ合成ODN 1826、50 μg/投与)(配列番号;12)を、クーレイ・ファーマシューティカル(ウェルズリー、マサチューセッツ)から入手した。リポペプチド(Pam3Cys−SKKKK、(100 μg/投与)は、EMC・マイクロコレクションズ、ドイツから入手した。
【0109】
治療
リポソームを以下の通り製造した:10:1(0.2 gのレシチンおよび0.02 gのコレステロール/投与)の比率のレシチンおよびコレステロールをクロロホルム/メタノール(1:1;v/v)に溶解し、PTFE 0.2 μmフィルターを用いて溶液を濾過滅菌した。ロータリーエバポレーターを用いてクロロホルムおよびメタノールを減圧除去し、得られる薄い脂質層から痕跡量の溶媒をさらに減圧除去した。リポソーム封入のために、融合ペプチドとCpGを滅菌PBSに溶解し、得られる溶液を混合しながら薄い脂質層に加えてリポソームを形成した。得られるリポソームの懸濁液を、FIAにリポソーム/PBS懸濁液を加えることによって、FIA(シグマ、セントルイス、ミズーリ)中で乳化して、油中水型エマルジョン(PBS:FIA;1:1,v/v;100 μl/投与)を形成した。いくつかの実施例では、油性担体として、FIAの代わりにモンタニドISA51(セピック、フランス)を用いた。
【0110】
チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(ウィルミントン、マサチューセッツ)から6−8週齢の無菌C57BL/6雌性マウスを入手し、水および食事を自由摂取させ、フィルタートップ条件下で飼育した。すべての実験について、実験動物管理および使用ガイドラインにしたがった。マウスに本発明組成物を、尾部の付け根における皮下注射にて処置した。他に特記しない限り、すべての処置は、タン解凍よで行い、すべての処置グループは、10匹のマウスを含んだ。コントロールマウスには、PBSまたは融合ペプチド(PADREに融合した選ばれたCTLエピトープ)、R9Fペプチド、CpG ODN(またはPam3c)、PBS(100 μl)中の融合ペプチドとCpG または油中水型エマルジョン(PBS/FIA;1:1,v/v、100 μl/投与)中のリポソーム封入融合ペプチド、R9F、CpG(or Pam3c)を皮下注射した。
【0111】
腫瘍植え込み
腫瘍植え込みに用いたC3細胞を95 %集密で増殖させ、0.05 %トリプシンで集菌した。マウスにおいて腫瘍を確立するために、マウスの左脇腹に0.5 x 106個のC3細胞を皮下注射した。次の式:最長測定値x(最短測定値)2÷2を用いて、4−5日毎に腫瘍サイズを決定した。
マウス(HLA A2)を左脇腹に皮下植え込みしたTC1/A2 腫瘍細胞(1 X 105個の細胞/マウス)にチャレンジさせた。5日毎に腫瘍サイズを測定し、個々のマウスにおける腫瘍サイズと腫瘍を有するマウスのパーセントで記録する。
B16−F10細胞(10 x 103個の細胞/マウス)を、チャレンジの時点で6−8週齢の無菌C57BL/6マウスの左脇腹に皮下植え込みした。2−5日毎に腫瘍サイズを測定し、結果を、腫瘍を有するマウスのパーセントで記録した。
【0112】
細胞障害性アッセイ
インターフェロン(IFN)−γについてのCTLアッセイ、ELISPOTおよび細胞内染色は、無関係ペプチドは、バックグラウンドを越えるCTL活性またはIFN−γ産生を引き出さなかったので、治療的反応が選択されたE7ペプチドに対して特異的であることを明らかにした。これらの実験は、治療的処置を与えられたマウスからの脾細胞中の活性化した治療特異的細胞障害性T細胞が、腫瘍サイズの縮小と相関することを示す。手順の詳細を以下に記載する。
【0113】
リンパ芽球生成およびインビトロ刺激(IVS)
急性およびメモリーCTL反応を調べるために、他に特記しない限り、標的マウスからの脾細胞を、免疫感作後それぞれ7、14または130日目に分析した。記載した場合、1ラウンドのIVSにおいて細胞障害性アッセイを行った。簡単に述べると、インビトロ刺激の3日前に、CO2窒息によって、未処置のC57BL/6マウスを屠殺し、脾臓を採取し、分離した。脾細胞を洗浄し、RPMI−10(ここで、RPMIは、10 % 加熱不活性化ウシ胎児血清(シグマ、セントルイス、ミズーリ)、50 mM 2−メルカプトエタノール(ギブコ)、100 U/mlペニシリンおよび100 μg/mlストレプトマイシン(ギブコ)を補足される)中でカウントした。脾細胞(106個の細胞/ml)を、リポ多糖(25 μg/ml)および硫酸デキストラン(7 μg/ml)とともに培養し、リンパ芽球を処置した。
【0114】
同一遺伝子のリンパ芽球を照射し(137Sc源を用いて4000 radで15分間)、R9Fペプチド(100 μM)とともに搭載した。ペプチド搭載LPS活性化リンパ芽球(3 x 106個の細胞/ml)を用いて、3:1の比率で(ここで、エフェクター細胞は、3 x106個の細胞/mlに調節した)、免疫感作マウスの脾細胞を刺激し、T−stim(BD バイオサイエンシズ、ミネソタ、オンタリオ)をウエルに加えて、最終濃度20 %を得た。細胞を37℃ /5 % CO2にて6日間インキュベートした。
【0115】
JAMアッセイ
EL−4細胞を、5 μCi/ml [メチル−3H] チミジン(アマシャム・ファルマシア、エルランゲン、ドイツ)で標識した。細胞を37℃ /5 % CO2にて24時間インキュベートし、次いでR9Fまたは無関係ペプチド(10 μg/ml)とともに1時間搭載した。次いで、標識した標的細胞の懸濁液を採取し、RPMI−10中で2回洗い、2 x 103個の細胞/ウエルの密度で96ウエルのU底プレートに蒔いた。2 x 105個のエフェクター細胞/ウエルの濃度で開始する連続希釈によって、エフェクター細胞を加えた。プレートを37℃ /5 % CO2にて4時間インキュベートした。ガラス線維フィルター上に細胞を吸引し、Packard TopCountシンチレーションカウンターを用いてトリチウムを計数した。以下の式:DNAフラグメント化%=(S−E)/E x 100 (ここで、Sは、処置の不在下において保持されたDNA(カウント)であり、Eは、エフェクター細胞の存在下において保持されたDNA(カウント)である)を用いてDNAフラグメント化のパーセントを計算した。
【0116】
ELISPOTによる抗原特異的T細胞のエクスビボ分析
C57BL/6マウスから採取した脾細胞中の処置活性化抗原特異的CTLを、BD ELISPOT(BD バイオサイエンス、サン・ディエゴ、カリフォルニア)を用いて検出した。簡単に述べると、処置後7日目に96ウエルのニトロセルロースプレートを、補足抗体である精製抗マウスIFN−γ抗体でコーティングし、4℃にて一夜インキュベートした。抗体を捨て、プレートを2時間ブロックし、次いで、ブロッキング溶液を除去した。最終体積100μl中、1x百万細胞/ウエルの初期濃度にて脾細胞を各ウエルに加え、次いで、次の列のウエルに連続希釈した。以下の刺激およびコントロールを、培地100μlに加えて、所望の最終濃度を得た。C3細胞(5 x 105個の細胞/ml)、R9Fペプチド(10μg/ml)または無関係ペプチド(10μg/ml)をウエルに加えるかまたはペプチドを加えなかった。PMA(5ng/ml、シグマ)、イオノマイシン(500ng/ml、シグマ)は、ポジティブコントロールとなり、培地単独は、ネガティブコントロールとなった。プレートを37℃/5% CO2にて一夜インキュベートした後、検出抗体であるビオチニル化抗マウスIFN−γ抗体を室温にて2時間加えた。インキュベーション期間の後、検出抗体を捨て、酵素複合体(ストレプトアビジン−HRP)を1時間加え、最後に、プレートをAEC基質溶液で20分間染色した。プレートを洗浄し、拡大レンズを用いてスポットを視覚化するために一夜風乾した。
【0117】
細胞内サイトカイン(ICS)
先に述べたように、腫瘍なしマウスの脾臓から脾細胞を回収し、RPMI−10(500 x g、5分)で2回洗浄し、RMPI−10に懸濁した(10 x 106個の細胞/ml)。96ウエルの平底プレートのウエルに脾細胞(1 x 106個の細胞/ウエル)を加え、R9Fまたは無関係ペプチドとともに、各ペプチドについて複製カラムにおいて最終濃度3 μg/mlでインキュベートした。IFNγ産生CD8+ CTLの保護機能を実証するためにEL−4細胞を用いる実験において、細胞障害性測定の前に、R9Fまたは無関係ペプチドのいずれかを搭載したEL−4細胞(1 x 105個の細胞/ウエル)を37℃/5% CO2にて6時間インキュベートした。
【0118】
CytofixTM/ CytopermTMキット説明書(BD バイオサイエンシズ、ミシソーガ、オンタリオ)に記載されているとおり、細胞内サイトカイン染色を行った。簡単に述べると、刺激物質の添加後、各ウエルにGolgiStopを加え、プレートを37℃/5% CO2にて4時間インキュベートした。細胞を染色緩衝液で洗浄し、次いで、抗CD8血清とともにインキュベートし(4℃にて20分間、暗所)、染色緩衝液で再度洗浄し、次いで、抗IFN−γとともにインキュベートした(4℃にて30分間、暗所)。これに続いて、Perm/洗浄緩衝液で洗浄した後、細胞をPerm/洗浄緩衝液に再懸濁し、FACSチューブ(BD ファルコン)に移した。FACSCalibur(BD バイオサイエンシズ、サンホセ、カリフォルニア)によって染色を評価し、CellQuestソフトウェアを用いて分析した。
【0119】
参考文献
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【0120】
あたかも各個々の刊行物または特許出願が参照することにより援用されるように特別および個別的に指示されたかのように、本明細書に引用したすべての刊行物および特許出願は、参照することにより本発明に援用される。いずれの刊行物の引用も、その出願日前の開示のためであり、本発明が、先の発明によって、このような刊行物に先立つ資格がないという承認として解釈されるべきではない。
【0121】
前述の発明は、理解の明確さの目的のために、実例および実施例として詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、当業者には、ある種の変更および修飾が、添付の請求項の精神および範囲から逸脱することなく行われうることが容易に明らかである。
【0122】
本明細書および添付の請求項に用いるように、文脈が他に明確に指図しない限り、「a」「an」および「the」は、複数の指示を包含することに留意しなければならない。他に特記しない限り、本明細書に用いるすべての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解される意味と同じ意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、PBS/FIA油中水型エマルジョンに含まれるリポソーム内に封入した、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)およびPADREと融合したR9Fペプチドを含む組成物で処置した後14日目に、HPV16(R9Fペプチド;配列番号:1)のE7エピトープまたは無関係ペプチドに曝露されるか、またはペプチド曝露無しのマウスからの脾細胞のエクスビボ細胞内IFN−γ染色を説明する。R9F後処置に曝露したときに、コントロール処置したものは、バックグラウンドレベル以上のCD8+/IFN−γ T細胞の増殖を引き起こさなかった(データ示さず)。対照的に、無関係ペプチドに曝露したマウスと比べて、R9Fペプチドに曝露したマウスの脾細胞において、R9F反応性CTLの12.9倍の増加が起こった。
【図2】図2は、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)と共に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチドを含む組成物で30日前に処置したマウスからの脾細胞による、R9Fペプチド(配列番号:1)(四角)および無関係ペプチド(菱形)を搭載したEL−4細胞の溶解を説明する。
【図3】図3は、次の組成物:(i)PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、PADRE(配列番号:10)と融合した融合ペプチド(R9Fペプチド(配列番号:1))およびCpG ODN(配列番号:12)(菱形);(ii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中の封入しない融合ペプチドおよびCpG ODN(配列番号:12)(三角および十字)または(iii)PBS/FIA油中水型エマルジョン中のリポソーム内に封入した融合ペプチド(黒丸)のうちの1つで処置したマウスからの脾細胞による、EL−4細胞の溶解を説明する。次いで、R9Fペプチド(十字、菱形および黒丸)または無関係ペプチド(配列番号:13)(三角および白丸)のいずれかに、処置後130日目に脾細胞を曝露した。融合ペプチド単独で処置したマウスからの脾細胞は、R9Fまたは無関係ペプチドのいずれかに処置後130日目に曝露したEL−4細胞の溶解の基準レベルを示した(データ示さず)。
【図4】図4は、マウスの14日目C3腫瘍の大きさにおける、PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、CpG ODN、融合ペプチド(PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(配列番号:1))を含む組成物(白四角)の単回投与の効果を説明する。腫瘍は、30日目(処置後16日目)までの触診では検出不能であった。対照的に、融合ペプチドの不在下で上述の組成物を含むコントロール処置を付されたマウス(黒四角)におけるC3腫瘍は、大きさが増加し続けた。すべてのマウス(n=10)を0.5 x 106個のC3腫瘍細胞に、処置前14日にチャレンジさせた。2つの処置グループにおける腫瘍の大きさの差異は、統計的に有意であった。
【図5】図5は、0.5 x 106個のC3細胞にチャレンジ後61日目に腫瘍がないマウスのパーセンテージにおける予防的処置の効果を説明する。処置グループは、(1)PBS;(2)PBS中のCpG;(3)PBS中の融合ペプチド(PADRE(配列番号:10)と融合したR9Fペプチド(配列番号:1));(4)PBS/FIA油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した融合ペプチド;(5)油中水型エマルジョン中の融合ペプチドおよびCpG ODN;(6)リポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびCpG ODN;(7)油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、融合ペプチドおよびリポペプチド、Pam3Cys−SKKKK(Pam3c);を含む組成物のうちの1つで処置したマウスからなった。
【図6】図6は、(A)PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共にチロシン関連タンパク質−2(TRP−2)ペプチド(S9L;配列番号:7)を含む組成物;(B)油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム内に封入した、PADREと共にS9Lを含む組成物;または(C)PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソーム中のCpGと共に無関係ペプチド(配列番号:13)を含む組成物;のうちの1つで単回処置後8日目のマウスにおける、TRP−2特異的IFN−γ産生脾細胞(スポット形成細胞、SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図7】図7は、(A)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共に修飾p53ペプチド(mK9M;配列番号:8);または以下のコントロール組成物(B)油中水型エマルジョン中のPADREおよびmK9M;(C)リポソーム内に封入し、油中水型エマルジョンに懸濁したPADREと共にmK9M;および(D)CpG ODNと共にリポソーム内に封入し、油中水型エマルジョンに懸濁した無関係ペプチド(配列番号:13);のうちの1つで単回処置した後のマウスにおける、p53特異的IFN−γ産生脾細胞(SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図8】図8は、(A)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADRE(配列番号:10)およびCpG ODN(配列番号:12)と共にp53(mK9Mペプチド;配列番号:8)およびTRP−2(V8L;配列番号:6)ペプチドを含む組成物;または以下のコントロール組成物:(B)リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したPADREと共にp53およびTRP−2ペプチド;(C)PADREおよびCpG ODNと共にp53およびTRP−2ペプチド;(D)PADREと共にp53およびTRP−2ペプチド;で単回処置した後のマウスにおける、TRP−2およびp53特異的IFN−γ産生脾細胞(SFC)のエクスビボ検出を説明する。
【図9】図9は、19日経ったTC1/A2確立腫瘍における、HLA−A2 E6/7 CTLエピトープ含有ペプチドでの単回処置の効果を説明する。CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した4つのHPV E6/7ペプチド(Y10T(配列番号:2)、L9V(配列番号:3)、T81(配列番号:4)およびT10V(配列番号:5))の混合物を含む組成物(四角)またはCpG ODNおよびPADREと共にリポソーム内に封入し、次いで、油中水型エマルジョンに懸濁した「aay」(アラニン−アラニン−チロシン)リンカー(AB2ペプチド;配列番号:14)とつながっている上述の4つのHPV E6/7ペプチドを含有する長ペプチド(菱形)の単回処置は、処置後21日目までにTC1/A2腫瘍を根絶した。CpG ODNおよびPADREと共にリポソーム内に封入し、次いで、油中水型エマルジョンに懸濁したHPV(L9V;配列番号:3)の1つのE7ペプチドでの処置は、腫瘍の大きさを有意に減少させた(三角)。PBS単独での処置(十字)は、腫瘍成長を防止しなかった。
【図10】図10は、腫瘍移植後19日目に、PBS単独を注射された5匹のマウスにおける腫瘍増殖を説明する。
【図11】図11は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した4つの別個のHLA−A2 E6/7 CTLエピトープ含有ペプチド(Y10T、L9V、T81およびT10V;それぞれ、配列番号:2、3、4および5)の混合物を含む組成物での単回処置の効果の効果を説明する。
【図12】図12は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した長ペプチド(AB2;配列番号:14)を含む組成物での単回処置の効果を説明する。
【図13】図13は、5匹のマウスの19日経ったTC1/A2確立腫瘍の増殖における、CpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したHLA−A2 E7 CTLエピトープ(L9V;配列番号:3)を含む組成物での単回処置の効果を説明する。
【図14】図14は、(A)4つの短い非結合HPV−A2 HPV E6/E7 CTLエピトープ含有ペプチド(T8l、Y10T、L9VまたはT10V;それぞれ、配列番号:2、3、4および5)または(B)「kkp」リンカー(Y10T−kkp−L9V(配列番号:15)およびT81−kkp−T10V(配列番号:16))とつながった2つの中程度の長さのジペプチドを含む組成物の単回投与による免疫感作後9日目のマウスにおける、IFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出を説明する。両方の組成物をCpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共にリポソーム内に封入し、次いで、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁した。コントロールマウス(C)の脾臓は、各個の短いペプチドまたは4つの短いペプチドの混合物で刺激してIFN−γを産生することができる脾細胞のバックグラウンドを含んでいた。対照的に、4つの短い非結合ペプチドまたは2つの中程度の長さのジペプチドのいずれかで免疫感作したグループのマウスの脾臓は、より多くの数のこれらのペプチドで刺激してIFN−γを産生する脾細胞を含んでいた。本発明のいずれかの製剤で免疫感作し、4つの短いペプチドで刺激したマウスの脾細胞の刺激は、コントロール脾細胞と比べて約5倍のIFN−γ産生脾細胞を産生し、「kkp」と結合しているペプチドが、免疫反応に効果を持たないことが示された。
【図15】図15は、メラノーマ関連タンパク質に由来し、油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpG ODNおよびPADREと共に封入した少なくとも1つのペプチド:(i)V8Lペプチド(配列番号:6)(菱形);(ii)S9Lペプチド(配列番号:7)(四角);(iii)mK9Mペプチド(配列番号:8)(三角);(iv)V8LおよびmK9Mペプチド(十字);および(v)S9LおよびmK9Mペプチド(星印);を含む組成物のうちの1つで処置したマウスにおけるメラノーマ腫瘍の増殖を示す。コントロールマウスは、PBS単独で処置した(丸)。腫瘍移植後5日目にマウスを投与処置した。各データポイントは、5匹のマウスの腫瘍の平均の大きさである。
【図16】図16は、メラノーマ関連タンパク質(TRP−2またはp53)に由来し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したリポソームにCpG ODN(配列番号:12)およびPADRE(配列番号:10)と共に封入した少なくとも1つのペプチド:(i)V8Lペプチド(配列番号:6)(菱形);(ii)S9Lペプチド(配列番号:7)(四角);(iii)mK9Mペプチド(配列番号:8)(三角);(iv)V8LおよびmK9Mペプチド(十字);および(v)S9LおよびmK9Mペプチド(星印);を含む組成物のうちの1つで処置した後のメラノーマ腫瘍を有するマウスのパーセンテージを説明する。コントロールマウスは、PBS単独で処置した(丸)。腫瘍移植後5日目にマウスを投与処置した。各データポイントは、5匹のマウスの腫瘍の平均の大きさである。
【図17】図17は、PBS中に懸濁し、次いで、ISA51中でエマルジョンにしたリポソーム内に封入した、CpG ODN(配列番号:12)、PADREおよびTRP−2および/またはp53 CTLエピトープを含む組成物での単回処置を行ったマウスにおける、6日経った確立したB16腫瘍の根絶または縮小を説明する。TRP−2およびp53 CTLエピトープの混合物での単回処置は、投与後21日目までにすべてのマウスの腫瘍を無くした(三角)。TRP−2(菱形)またはp53(四角)単独での単回処置は、処置後33日目でマウスの40%の腫瘍を無くした。コントロールにおけるPBSでの処置は、腫瘍の進行に効果が無かった(十字)。
【図18】図18は、リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODN(配列番号:12)およびHPV 16のE7エピトープ(R9Fペプチド;配列番号:1)を含む組成物で処置し、次いで15〜20時間以内にアルダラTMを皮下適用したマウスにおいてC3腫瘍の大きさが縮小したことを説明する(四角)。対照的に、PBS(十字)またはPBSに続いて15〜20時間以内にアルダラをPBS注射部位へ皮下適用した(三角)コントロールマウスにおいて、C3腫瘍は、大きさを縮小しなかった。処置は、すべての処置グループにおいて、腫瘍移植後5日目に行った。腫瘍の大きさは、10匹のマウスの平均の大きさである。
【図19】図19は、すべての処置グループにおける、腫瘍移植後5日目の処置後の触診できる腫瘍を有するマウスのパーセンテージを説明する。腫瘍移植後20日目のマウスにおいて、リポソーム内に封入し、PBS/ISA51油中水型エマルジョンに懸濁したCpG ODN(配列番号:12)およびHPV 16のE7エピトープ(R9Fペプチド;配列番号:1)を含む組成物で処置し、次いで15〜20時間以内にアルダラTM軟膏(5%イミキモド)を投与の部位に皮下適用した後、触診できる腫瘍を有していたのは、わずかに20%であった(菱形)。対照的に、PBS単独で処置した後のマウスにおいて、20日後に触診できる腫瘍を有していたのは90%であり(三角)、PBSで処置し、次いで、アルダラを皮下適用した後のマウスにおいて、20日後に触診できる腫瘍を有していたのは100%であった(四角)。
【図20】図20は、PBS/ISA51油中水型エマルジョン中、リポソームにCpG ODN(配列番号:12)と共に一緒に封入したS9Lペプチドおよび破傷風トキソイドエピトープ(F21E;配列番号:11)を含む治療組成物を単回投与で免疫感作した8日後に、メラノーマ関連抗原であるTRP−2(S9Lペプチド;配列番号:7)またはB16F10細胞に曝露したIFN−γ産生脾細胞のエクスビボ検出を説明する(B)。コントロールマウスは、破傷風トキソイドTヘルパーエピトープなしで製剤した上記組成物で免疫感作した。コントロールグループと比較して、5倍の数のIFN−γを産生するようにB16−F10細胞で刺激した脾細胞が、本発明の治療組成物で免疫感作したグループ由来の脾臓内に存在した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性物質の連続的相を含む担体;リポソーム;および細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのヘルパーTエピトープをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Tヘルパーエピトープが、少なくとも1つの抗原とは異なる分子である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗原が、Tヘルパーエピトープを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
抗原が、ポリペプチドである請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
抗原が、CTLエピトープまたはCTLエピトープの組み合わせを含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
CTLエピトープが、ウイルスに由来する請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
CTLエピトープが、ヒトパピローマウイルスに由来する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
CTLエピトープが、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6またはE7タンパク質のエピトープである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
E6エピトープが、ペプチド配列TIHDIILECV(T10V;配列番号:5)を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
E7エピトープが、RAHYNIVTF(R9F;配列番号:1)、YMLDLQPETT(Y10T;配列番号:2)、LLMGTLGIV(L9V;配列番号:3)およびTLGIVCPI(T81;配列番号:4)から選ばれるペプチド配列を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
CTLエピトープが、HPVのE6およびE7タンパク質のCTLエピトープの混合物である請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
エピトープの混合物が、Y10T(配列番号:2)、L9V(配列番号:3)、T81(配列番号:4)およびT10V(配列番号:5)ペプチド配列を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
エピトープが、一緒に結合して、1つのペプチド(AB2)(配列番号:14)を形成する請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
結合して単一のポリペプチドを形成する複数のCTLエピトープを含む請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
CTLエピトープが、腫瘍関連タンパク質に由来する請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
腫瘍関連タンパク質が、p53である請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
腫瘍関連タンパク質が、チロシナーゼ関連タンパク質−2(TRP−2)である請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
抗原が、p53エピトープおよびTRP−2エピトープの混合物を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項20】
p53エピトープが、ペプチド配列KYICNSSCM(mK9M)(配列番号:8)を含む請求項17または19に記載の組成物。
【請求項21】
TRP−2エピトープが、ペプチド配列SVYDFFVWL(配列番号:7)を含む請求項18または19に記載の組成物。
【請求項22】
TRP−2エピトープが、eペプチド配列VYDFFVWL(配列番号:6)を含む請求項18または19に記載の組成物。
【請求項23】
Tヘルパーエピトープが、ユニバーサルTヘルパーエピトープである請求項1〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
Tヘルパーエピトープが、PADRE(pan−DR エピトープ)(配列番号:10)である請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
Tヘルパーエピトープが、F21E(配列番号:11)である請求項1〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項26】
Tヘルパーエピトープが、少なくとも1つの抗原と融合する請求項1〜25のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項27】
Tヘルパーエピトープが、PADREであり、少なくとも1つの抗原が、CTLエピトープである請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
組成物が、IFN−γ産生細胞を増殖させる能力がある請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項29】
アジュバントをさらに含む請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項30】
アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)である請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
アジュバントが、リポペプチドである請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
リポペプチドが、Pam3Cys−SKKKKである請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
がんの治療用の請求項1〜32のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項34】
がんが、子宮頸部、外陰部、メラノーマ、乳、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肝腫瘍、肉腫、膀胱、前立腺がん、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍から選ばれる請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
腫瘍サイズを縮小するための請求項1〜34のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項36】
1〜35のいずれか1つに記載の組成物を投与することを含む、患者におけるがんを治療するか、またはがん細胞の発達または増殖を阻止または予防するための方法。
【請求項37】
がんが、子宮頸部、外陰部、メラノーマ、乳、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肝腫瘍、肉腫、膀胱、前立腺がん、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍から選ばれる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
組成物の投与の部位における1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを含む局所用組成物の使用をさらに含む請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1〜31のいずれか1つに記載の組成物およびその使用のための使用説明書を含む患者におけるがんの治療に有用なキット。
【請求項40】
患者が、哺乳動物である請求項36〜38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
哺乳動物が、ヒトである請求項40に記載の方法。
【請求項42】
リポソームが、リン脂質を含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項43】
リン脂質が、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリンおよびホスホイノシトールから選ばれる少なくとも1つの頭部基を有する請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
リポソームが、非エステル化コレステロールを含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項45】
リポソームが、ホスホリポン90G中に脂質を含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項46】
リポソームが、古細菌から得られる請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項47】
リポソームが、天然脂質、合成脂質、スフィンゴ脂質、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、陽イオン性脂質およびポリ(エチレングリコール)および他のポリマーで修飾された脂質から得られる請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項48】
合成脂質が、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイルおよびエルコイルまたはその組み合わせから選ばれる脂肪酸成分を包含する請求項45に記載の組成物。
【請求項1】
疎水性物質の連続的相を含む担体;リポソーム;および細胞障害性Tリンパ球(CTL)反応を誘発する能力がある少なくとも1つの抗原を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのヘルパーTエピトープをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Tヘルパーエピトープが、少なくとも1つの抗原とは異なる分子である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗原が、Tヘルパーエピトープを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
抗原が、ポリペプチドである請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
抗原が、CTLエピトープまたはCTLエピトープの組み合わせを含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
CTLエピトープが、ウイルスに由来する請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
CTLエピトープが、ヒトパピローマウイルスに由来する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
CTLエピトープが、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6またはE7タンパク質のエピトープである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
E6エピトープが、ペプチド配列TIHDIILECV(T10V;配列番号:5)を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
E7エピトープが、RAHYNIVTF(R9F;配列番号:1)、YMLDLQPETT(Y10T;配列番号:2)、LLMGTLGIV(L9V;配列番号:3)およびTLGIVCPI(T81;配列番号:4)から選ばれるペプチド配列を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
CTLエピトープが、HPVのE6およびE7タンパク質のCTLエピトープの混合物である請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
エピトープの混合物が、Y10T(配列番号:2)、L9V(配列番号:3)、T81(配列番号:4)およびT10V(配列番号:5)ペプチド配列を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
エピトープが、一緒に結合して、1つのペプチド(AB2)(配列番号:14)を形成する請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
結合して単一のポリペプチドを形成する複数のCTLエピトープを含む請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
CTLエピトープが、腫瘍関連タンパク質に由来する請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
腫瘍関連タンパク質が、p53である請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
腫瘍関連タンパク質が、チロシナーゼ関連タンパク質−2(TRP−2)である請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
抗原が、p53エピトープおよびTRP−2エピトープの混合物を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項20】
p53エピトープが、ペプチド配列KYICNSSCM(mK9M)(配列番号:8)を含む請求項17または19に記載の組成物。
【請求項21】
TRP−2エピトープが、ペプチド配列SVYDFFVWL(配列番号:7)を含む請求項18または19に記載の組成物。
【請求項22】
TRP−2エピトープが、eペプチド配列VYDFFVWL(配列番号:6)を含む請求項18または19に記載の組成物。
【請求項23】
Tヘルパーエピトープが、ユニバーサルTヘルパーエピトープである請求項1〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
Tヘルパーエピトープが、PADRE(pan−DR エピトープ)(配列番号:10)である請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
Tヘルパーエピトープが、F21E(配列番号:11)である請求項1〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項26】
Tヘルパーエピトープが、少なくとも1つの抗原と融合する請求項1〜25のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項27】
Tヘルパーエピトープが、PADREであり、少なくとも1つの抗原が、CTLエピトープである請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
組成物が、IFN−γ産生細胞を増殖させる能力がある請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項29】
アジュバントをさらに含む請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項30】
アジュバントが、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)(配列番号:12)である請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
アジュバントが、リポペプチドである請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
リポペプチドが、Pam3Cys−SKKKKである請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
がんの治療用の請求項1〜32のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項34】
がんが、子宮頸部、外陰部、メラノーマ、乳、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肝腫瘍、肉腫、膀胱、前立腺がん、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍から選ばれる請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
腫瘍サイズを縮小するための請求項1〜34のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項36】
1〜35のいずれか1つに記載の組成物を投与することを含む、患者におけるがんを治療するか、またはがん細胞の発達または増殖を阻止または予防するための方法。
【請求項37】
がんが、子宮頸部、外陰部、メラノーマ、乳、肺、卵巣、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、肝細胞腫、肝腫瘍、肉腫、膀胱、前立腺がん、胸腺、H/N腫瘍、結腸、直腸、腎臓、膵臓、胃、腺がん、T細胞白血病、リンパ肉腫、子宮、食道、非ホジキンリンパ腫、子宮内膜およびRCC腫瘍から選ばれる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
組成物の投与の部位における1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを含む局所用組成物の使用をさらに含む請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1〜31のいずれか1つに記載の組成物およびその使用のための使用説明書を含む患者におけるがんの治療に有用なキット。
【請求項40】
患者が、哺乳動物である請求項36〜38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
哺乳動物が、ヒトである請求項40に記載の方法。
【請求項42】
リポソームが、リン脂質を含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項43】
リン脂質が、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリンおよびホスホイノシトールから選ばれる少なくとも1つの頭部基を有する請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
リポソームが、非エステル化コレステロールを含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項45】
リポソームが、ホスホリポン90G中に脂質を含む請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項46】
リポソームが、古細菌から得られる請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項47】
リポソームが、天然脂質、合成脂質、スフィンゴ脂質、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、陽イオン性脂質およびポリ(エチレングリコール)および他のポリマーで修飾された脂質から得られる請求項1〜35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項48】
合成脂質が、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイルおよびエルコイルまたはその組み合わせから選ばれる脂肪酸成分を包含する請求項45に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2009−510133(P2009−510133A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533836(P2008−533836)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001640
【国際公開番号】WO2007/041832
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508105740)イムノバクシーン・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOVACCINE TECHNOLOGIES INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001640
【国際公開番号】WO2007/041832
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508105740)イムノバクシーン・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOVACCINE TECHNOLOGIES INC.
【Fターム(参考)】
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