説明

ねじれ接着強さに優れた硬化性樹脂組成物及び室温硬化性接着剤組成物

【課題】 著しく高いねじれ方向への接着強さを発現させることができる硬化性シリコーン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する硬化性シリコーン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記硬化性シリコーン系樹脂(A)中が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子の当該硬化性シリコーン系樹脂(A)に対する含有率が1.0〜10.0質量%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する硬化性シリコーン系樹脂組成物に関し、より詳しくは、著しく高いねじれ方向への接着強さを発現させることができる硬化性シリコーン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋可能な反応性ケイ素基がアルコキシシリル基である硬化性樹脂は、一般に変成シリコーン樹脂と呼ばれ、シーラント、接着剤、塗料等のベースポリマーとして広く用いられている。この変成シリコーン樹脂は、分子中に存在するアルコキシシリル基が大気中の水分で加水分解し架橋する、いわゆる湿気硬化型ポリマーである。(特許文献1及び2)
また、架橋可能な反応性ケイ素基がアルコキシシリル基であって、分子内にウレタン結合を有する硬化性樹脂は一般にシリル化ウレタン樹脂と呼ばれる。該シリル化ウレタン樹脂は分子内にウレタン結合を有するため、基材への密着性が高いことが特徴である。また、このシリル化ウレタン樹脂の硬化機構も、上記変成シリコーン樹脂と同様でいわゆる湿気硬化型ポリマーであり、また同じようにシーラント、接着剤、塗料等のベースポリマーとして用いられる。(特許文献3〜7)
【0003】
【特許文献1】特開昭52−73998号公報
【特許文献2】特開昭63−112642号公報
【特許文献3】特許第3030020号公報
【特許文献4】特許第3317353号公報
【特許文献5】特許第3342552号公報
【特許文献6】特開2000−119367号公報
【特許文献7】特許第2594024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変成シリコーン樹脂、シリル化ウレタン樹脂を用いた硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬度がデュロメーターAで30程度と軟らかいものが多く、この硬化皮膜物性を利用して、いわゆる弾性接着剤などとして産業上利用されている。弾性接着剤は被着材や接着剤層にかかる応力を吸収し、高い接着信頼性が得られることから近年その適用分野を着実に拡大させている。
しかし、このような弾性接着剤が様々な分野に適用される中で、その軟らかい皮膜物性ゆえにねじれ方向の強度が低いため、完全に硬化した後でも、ぐらつきを感じるという問題が顕在化してきた。そのため、接着剤として利用した場合でも、硬化後に適度な弾性を有しながらも高い硬度と強靭さを持ち、ねじれ方向の接着強さが高い硬化性樹脂組成物の開発が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、従来の変成シリコーン樹脂又はシリル化ウレタン樹脂の技術を深化させるべく鋭意研究した結果、ベースポリマーとして特定の硬化性樹脂を組み合わせた硬化性樹脂組成物が、硬化物の硬度が一定以上であって、接着剤として用いた場合にねじれ方向の接着強さが高いことを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は次の第1〜10の発明から構成される。
【0006】
すなわち、第1の発明は、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する硬化性シリコーン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記硬化性シリコーン系樹脂(A)が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子の当該硬化性シリコーン系樹脂(A)に対する含有率(ケイ素原子含有率)が1.0〜10.0質量%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0007】
また、第2の発明は、硬化性シリコーン系樹脂(A)が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子に結合した加水分解性基が、硬化性シリコーン系樹脂(A)100gあたり0.100〜0.500モルであることを特徴とする、第1の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0008】
また、第3の発明は、硬化性シリコーン系樹脂(A)が、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(a1)と、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有するビニル重合体(a2)とからなり、その質量比がオキシアルキレン重合体(a1):ビニル重合体(a2)=10:90〜95:5であることを特徴とする、第1又は第2のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0009】
また、第4の発明は、オキシアルキレン重合体(a1)の主鎖骨格が、プロピレンオキサイドの単独重合体、又はプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの共重合体であって、その組成比(モル比)がプロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=100:0〜10:90であることを特徴とする、第3の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0010】
また、第5の発明は、ビニル重合体(a2)が、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリロニトリル系化合物、及び、スチレン系化合物から選ばれる1種以上の化合物が(共)重合された重合体であることを特徴とする、第3又は第4のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
また、第6の発明は、さらに、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、分子内に反応性ケイ素基を有するアミノシラン化合物(C)を0.1〜30質量部含有することを特徴とする、第1〜第5のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0012】
また、第7の発明は、さらに、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(D)及び/又はアルコキシシランオリゴマー化合物(E)0.1〜30質量部を含有することを特徴とする、第1〜第6のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【化1】

・・・(1)
但し、Xはビニル基、アルキル基(炭素数1〜18)、及び、アルコキシ基(炭素数1〜6)から選ばれる基を、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0013】
また、第8の発明は、さらに、硬化触媒(B)が三フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする、第1〜第7のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0014】
また、第9の発明は、さらに、充填材を含有することを特徴とする、第1〜第8のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0015】
また、第10の発明は、第1〜第9のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物を主体とする室温硬化性接着剤組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、従来公知の硬化性シリコーン樹脂を利用しつつさらに深化させたものであり、その硬化性成分である硬化性樹脂が特定の構造を有していることから、高い硬度と高いねじれ接着強さが得られる。具体的にはデュロメーター硬度50以上になることによって、接着物のぐらつきが十分抑えられ、なおかつ、ねじれ方向の強度が0.25kN以上となることにより、接着部位に強靱性が与えられるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0018】
[硬化性シリコーン系樹脂(A)について]
本発明における硬化性シリコーン系樹脂(A)は、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する硬化性樹脂であり、その反応性ケイ素基に由来するケイ素原子の当該硬化性シリコーン系樹脂(A)に対する含有率(以下、単に「ケイ素原子含有率」と記載することがある)が1.0〜10.0質量%である硬化性樹脂である。上記反応性ケイ素基とは、ケイ素原子における主鎖との結合手以外に加水分解性基が1〜3個結合すると共に、残りの結合手として炭化水素基が2〜0個結合しているものである。
【0019】
上記ケイ素原子に結合している加水分解性基としては、ヒドロキシル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が一般的に用いられる。その他、ハロゲン基やメルカプト基等の従来公知の加水分解性基も用いることができる。ケイ素原子の残りの結合手に結合している炭化水素基としては、メチル基やエチル基等のアルキル基が一般的に用いられる。反応性ケイ素基としては、取り扱いが比較的容易であることからトリアルコキシシリル基又はアルキルジアルコキシシリル基が好ましく、所望の速硬化性が得られやすいことからトリアルコキシシリル基が特に好ましい。
【0020】
主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド等のオキシアルキレン重合体、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のビニル重合体、ポリイソブチレン等の飽和炭化水素重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられているものが採用される。これらの中では、オキシアルキレン重合体、ビニル重合体、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体が好ましく、オキシアルキレン重合体、ビニル重合体が特に好ましい。
【0021】
上記硬化性シリコーン系樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、3,000〜20,000が特に好ましい。1,000を下回ると、硬化物が脆くなりねじれ方向の接着強さが十分発現しない場合があり、100,000を上回ると上記オキシアルキレン重合体(A)の粘度が高くなってしまうため作業性に劣る場合がある。
【0022】
上記反応性ケイ素基は水と反応することで加水分解性基の脱離にともなってケイ素基同士が縮合するため、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)は水(湿気)と接触することで硬化するが、本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂(A)はそのケイ素原子含有率が1.0〜10.0質量%であるため、高い硬度と高いねじれ方向の接着強さが発現する。さらに、ケイ素含有率としては、1.1〜8.0質量%であることがより好ましく、1.2〜6.0質量%であることが特に好ましい。ケイ素原子含有率が1.0質量%を下回ると硬化物が柔らかくなる、ねじれ方向の接着強さが十分でない等の不具合があり、硬化性シリコーン系樹脂(A)中のケイ素原子含有率が10.0質量%を上回ると硬化物が脆くなる、ねじれ方向の接着強さが十分発現しない等の不具合がある場合がある。
【0023】
また、本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂(A)は、硬化性シリコーン系樹脂(A)が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子に結合した加水分解性基が、硬化性シリコーン系樹脂(A)100gあたり0.100〜0.500モルであることから、高い硬度と高いねじれ方向の接着強さが発現する。硬化性シリコーン系樹脂(A)100gあたりの反応性ケイ素基に由来するケイ素原子に結合した加水分解性基のモル数は、0.120〜0.300モルであることがより好ましく、0.140〜0.200モルであることが特に好ましい。0.100モルを下回ると硬化物が柔らかくなる、ねじれ方向の接着強さが十分でない等の不具合があり、0.500モルを上回ると硬化物が脆くなる、ねじれ方向の接着強さが十分発現しない等の不具合がある場合がある。
【0024】
[オキシアルキレン重合体(a1)について]
本発明におけるオキシアルキレン重合体(a1)は、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有し、主鎖骨格がオキシアルキレン重合体である硬化性樹脂である。反応性ケイ素基のオキシアルキレン重合体への導入方法としては、特開昭50−156599号公報等に記載のヒドロシリル化反応、あるいは特開昭55−137129号公報等に記載のラジカル付加反応等の従来公知の方法を用いることができる。
【0025】
また、本発明では、分子内にウレタン結合等の極性基を有する反応性ケイ素基含オキシアルキレン重合体を好適に用いることができる。反応性ケイ素基及びウレタン結合等の極性基のオキシアルキレン重合体への導入方法としては、従来公知の方法を用いればよい。たとえば、公知の特許文献(たとえば、特許第33177353号、特許第3030020号、特開2005−054174号公報等)に記載の方法等を用いることができる。分子内にウレタン結合等の極性基が存在することで、架橋可能な反応性ケイ素基含オキシアルキレン重合体同士の相互作用が強くなるため、さらにねじれ方向の接着強さが高くなる。
【0026】
上記オキシアルキレン重合体(a1)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドが特に好ましい。また、その組成比(モル比)がプロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=100:0〜10:90が好ましく、99:1〜20:80がより好ましく、98:2〜50:50が特に好ましい。エチレンオキサイドの組成比(モル比)が、プロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=10:90を超えてしまうと、ポリエチレンオキサイド鎖の結晶性の高さから粘度が高くなりすぎたり、ポリエチレンオキサイド鎖の親水性の高さから硬化物の耐水性が低下したりするため好ましくない。
【0027】
[ビニル重合体(a2)について]
本発明におけるビニル重合体(a2)は、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリロニトリル系化合物、及び、スチレン系化合物から選ばれる1種以上の化合物が(共)重合された分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する重合体である。ビニル重合体(a2)の合成方法としては、公知の常法を用いればよいが、例えば、架橋可能な反応性ケイ素基を有する重合性不飽和基含有化合物(a21)、架橋可能な反応性ケイ素基を有する連鎖移動性基含有化合物(a22)、及び、重合性不飽和基含有モノマー(a23)を公知の常法で共重合する方法などが挙げられる。
【0028】
上記架橋可能な反応性ケイ素基を有する重合性不飽和基含有化合物(a21)の具体例としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに、従来公知の方法、WO2002/102812、特開2003−238795、特開2003−268229、特開2004−035591、又は、特開2006−052321等を用いて製造することができる。
【0029】
上記架橋可能な反応性ケイ素基を有する連鎖移動性基含有化合物(a22)の具体例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに、従来公知の方法、特開2006―052168、又は、特開2005−054174等を用いて製造することができる。
【0030】
上記重合性不飽和基含有モノマー(a23)は、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリロニトリル系化合物、及び、スチレン系化合物から選ばれる1種以上の重合性ビニル基含有モノマーである。以下、アクリル酸及びメタクリル酸を(メタ)アクリル酸、アクリレート及びメタクリレートを(メタ)アクリレートと記す。上記重合性不飽和基含有モノマー(a23)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、モルホリンアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
また、上記ビニル重合体(a2)の架橋可能な反応性ケイ素基は、該ビニル重合体(B)中に存在する架橋可能な反応性ケイ素基以外の反応性官能基(X)と、該反応性官能基(X)と化学反応により共有結合を形成する反応性官能基(Y)及び架橋可能な反応性ケイ素基を分子内に有する化合物とを反応させることによって導入してもよい。特に反応性官能基(X)がエポキシ基、反応性官能基(Y)がアミノ基であるのが好ましい。反応性官能基としてエポキシ基を持つ共重合性モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の重合性不飽和基を有するエポキシ化合物が挙げられる。また、反応性官能基(Y)としてアミノ基を持ち架橋可能な反応性ケイ素基を分子内に有する化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0032】
上記オキシアルキレン重合体(a1)と上記ビニル重合体(a2)の配合割合(質量比)は、(a1):(a2)=10:90〜95:5が好ましく、30:70〜80:20がより好ましく、50:50〜70:30が特に好ましい。
【0033】
[硬化触媒(B)について]
本発明における硬化触媒(B)は、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)を硬化させるための触媒である。硬化触媒(B)としては、従来公知の有機金属化合物や、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体からなる化合物等を用いることができる。有機金属化合物としては、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセトン錯体等が挙げられるが、特に、スズアルコキシド、スズカルボキシレート、スズアセチルアセトン錯体等の有機スズ化合物が好適に用いられる。有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレエート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸第一スズ、ジブチルスズメトキシド、ジブチルスズジアセチルアセテート、ジブチルスズジバーサテート、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイドとフタル酸ジエステルとの反応生成物、日東化成株式会社製ネオスタンシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体からなる化合物の具体例としては例えば、三フッ化ホウ素アミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。上記三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が特に好ましい。
【0034】
上記硬化触媒(B)の添加量は、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜7.5質量部がより好ましく、0.05〜5.0質量部が特に好ましいが、触媒の種類によって添加量を便宜調整すればよい。
【0035】
[分子内に反応性ケイ素基を有するアミノシラン化合物(C)について]
本発明におけるアミノシラン化合物(C)は、分子内に反応性ケイ素基及びアミノアルキル基を有するシラン化合物であり、接着性付与剤として利用される。その具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−603、KBM−602、KBM−903等、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSZ6023等があるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
上記アミノシラン化合物(C)の添加量は、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が特に好ましい。0.1質量部を下回ると接着性付与効果が十分でなく、30質量部を上回ると上記硬化性シリコーン系樹脂(A)の機能を阻害してしまう場合がある。
【0037】
[化合物(D)及び/又はアルコキシシランオリゴマー化合物(E)について]
本発明における化合物(D)は、上記一般式(1)で表される化合物であり、シリケート化合物、アルキルシラン化合物、ビニルシラン化合物等の化合物である。シリケート化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−04、KBE−04など、コルコート株式会社製のエチルシリケート28、N−プロピルシリケート等が、アルキルシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−3063、KBE−3063、KBM−3103等が、ビニルシラン化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0038】
本発明におけるアルコキシシランオリゴマー化合物(E)は、アルコキシシラン化合物及び/又はシリケート化合物が加水分解・重縮合してオリゴマーとなったものである。化合物(E)の具体例としては、信越化学工業株式会社製のKC−89S、KR−500、KR−510、X−41−1056、X−41−1810等、東レ・ダウコーニング株式会社製のDC3037、SR2402等、チッソ株式会社製MS3301、MS3302等、コルコート株式会社製メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS−485、SS−101等、シランカップリング剤と水との縮合反応物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0039】
上記化合物(D)、及び、上記化合物(E)の配合量は、上記硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜15質量部が特に好ましい。
【0040】
[充填材について]
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、充填材を配合していてもよい。上記硬化性シリコーン系樹脂(A)に充填材を配合することで、より強靭な硬化性樹脂組成物を得ることができる。充填材の具体例としては、親水性又は疎水性シリカ系粉体、炭酸カルシウム粉体、クレイ粉体、アクリル系等の有機粉体、有機系・無機系のバルーン粉体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0041】
[その他の成分について]
その他の成分として、老化防止剤、及び揺変剤など従来公知の任意の化学物質を配合することができる。例えば、フェノール系樹脂の粘着付与剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃材、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物等の老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、各種シランカップリング剤、各種チタネートカップリング剤、各種アルミニウムカップリング剤、乾性油等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるわけではない。
本発明者らは、ねじれ方向の接着強さを測定する方法として、新たに図1で示される試験方法を創出した。該試験方法による強度が高いとねじれ方向の接着強さ(以下「ねじれ接着強さ」と呼ぶことがある)が高く硬化後のぐらつきが起こりにくいため、本発明では該試験方法による比較を行った。
23℃相対湿度50%の条件下で、アサダ材(5mm×25mm×100mm)2枚を90°の角度で、くの字型にはり合わせた試験片(図1符号1)(はり合わせ面積:25mm×25mm、塗布量:0.1g/6.25cm)を50℃相対湿度95%で3日間養生したうえ、さらに23℃相対湿度50%の条件下で1日以上静置させた。得られた試験片を図1のように圧縮強度の測定試験機にセットし、図の荷重方向に圧縮速度:5mm/minで圧縮した際に接着が破壊されるまでの最大強度を「ねじれ接着強さ」とする。
また、合成した硬化性シリコーン系樹脂のケイ素原子含有率は、その仕込み量から計算し、市販品の硬化性シリコーン系樹脂のケイ素原子含有率は、H−NMRの積分比から概算した。
【0043】
(合成例1)
(硬化性シリコーン系樹脂A−1の調製)
反応容器内で、N−(2−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4g、1.0mol)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2g、2.0mol)を1時間かけて滴下し、さらに40℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基および第二級アミノ基を有するシラン化合物SE−1を得た。別の反応容器内で、「P−28」(三井化学ポリウレタン株式会社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量4,000、1000g)、イソホロンジイソシアネート(116.1g)およびジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−1を得た。さらに上記シラン化合物SE−1(241.2g)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、置換尿素結合、メチルジメトキシシリル基を有する架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−1を得た。得られた重合体C−1は、IR分析でイソシアネート基のピーク(2265cm−1)が観察されなかった。23℃における架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−1の粘度は24,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色透明であった。
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−1を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル100g、メタクリル酸ラウリル100g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン10gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.0gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−1と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−1を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−1の粘度は533,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、4回転)、外観は淡黄色透明であった。
【0044】
(合成例2)
(硬化性シリコーン系樹脂A−2の調製)
反応容器内で、N−(2−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(222.4g、1.0mol)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2g、2.0mol)を1時間かけて滴下し、さらに40℃で7日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基および第二級アミノ基を有するシラン化合物SE−2を得た。別の反応容器内で、「PMLS3011」(旭硝子ウレタン株式会社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、1000g)、イソホロンジイソシアネート(65.8g)およびジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−2を得た。さらに上記シラン化合物SE−2(142.4g)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、置換尿素結合、トリメトキシシリル基を有する架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2を得た。得られた重合体C−2は、IR分析でイソシアネート基のピーク(2265cm−1)が観察されなかった。23℃における架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2の粘度は380,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は無色透明であった。
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−2を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−2の粘度は575,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色透明であった。
【0045】
(合成例3)
(硬化性シリコーン系樹脂A−3の調製)
反応容器内で、「PMLS4012」(旭硝子ウレタン株式会社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、950g)、「PR−3007」(旭電化工業株式会社製、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのランダム共重合型ポリオール、数平均分子量3,000、50g)、イソホロンジイソシアネート(53.3g)およびジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−3を得た。さらに上記シラン化合物SE−2(95.0g)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、置換尿素結合、トリメトキシシリル基を有する架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を得た。得られた重合体C−3は、IR分析でイソシアネート基のピーク(2265cm−1)が観察されなかった。23℃における架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3の粘度は96,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は白濁であった。
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−3を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−3の粘度は150,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0046】
(合成例4)
(硬化性シリコーン系樹脂A−4の調製)
反応容器内で、「PMLS4012」(旭硝子ウレタン株式会社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、950g)、「PR−3007」(旭電化工業株式会社製、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのランダム共重合型ポリオール、数平均分子量3,000、50g)、イソホロンジイソシアネート(53.5g)およびジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−4を得た。さらに上記シラン化合物SE−1(91.1g)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、置換尿素結合、メチルジメトキシシリル基を有する架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−4を得た。得られた重合体C−4は、IR分析でイソシアネート基のピーク(2265cm−1)が観察されなかった。23℃における架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−4の粘度は95,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は白濁であった。
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−4を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−4と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−4を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−4の粘度は160,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0047】
(合成例5)
(硬化性シリコーン系樹脂A−5の調製)
反応容器に、変成シリコーン樹脂「SAT200」(株式会社カネカ製)を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、変成シリコーン樹脂SAT200と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−5を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−5の粘度は52,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色透明であった。
【0048】
(合成例6)
(硬化性シリコーン系樹脂A−6の調製)
反応容器に、変成シリコーン樹脂「Excestar G3440ST」(旭硝子株式会社製)を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.0gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、変成シリコーン樹脂Excestar G3440STと、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−6を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−6の粘度は29,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色透明であった。
【0049】
(合成例7)
(硬化性シリコーン系樹脂A−7の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン21g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−7を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−7の粘度は325,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0050】
(合成例8)
(硬化性シリコーン系樹脂A−8の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル100g、アクリル酸ブチル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8.0gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.15gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.38gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.19gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−8を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−8の粘度は262,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0051】
(合成例9)
(硬化性シリコーン系樹脂A−9の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル50g、メタクリル酸ラウリル20g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン20g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン9.0gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.66gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.22gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.11gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−9を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−9の粘度は83,200mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0052】
(合成例10)
(硬化性シリコーン系樹脂A−10の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル70g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン100g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン30gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.67gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.56gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.28gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−10を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−10の粘度は32,000mPa・s(BH型粘度計、No.6ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0053】
(合成例11)
(硬化性シリコーン系樹脂A−11の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル10g、メタクリル酸ラウリル20g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン120g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン40gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.27gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.43gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.21gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−11を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−11の粘度は7,800mPa・s(BH型粘度計、No.6ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
【0054】
(実施例1〜11、比較例1及び2)
各硬化性シリコーン系樹脂(100質量部)、KBM903(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、10質量部)及び、表1又は2に示す配合量(各硬化性シリコーン系樹脂100質量部に対する質量部)の硬化触媒を反応容器に投入し、素早く攪拌した後、密閉容器に充填して、各硬化性樹脂組成物を得た。それぞれの硬化性シリコーン系樹脂(A)のケイ素原子含有率、硬度、ねじれ接着強さを表1又は2に示す。なお、ねじれ接着強さの測定においてはいずれの試験体も接着剤層の凝集破壊となった。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
(合成例12)
(硬化性シリコーン系樹脂A−12の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、メタクリル酸グリシジル8.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.07gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.36gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.18gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂PA−12を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂PA−12の粘度は160,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
別の反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂PA−12を100gとKBM903を2.7g(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、窒素雰囲気下、50℃まで昇温した。さらに50℃で1時間攪拌し、硬化性シリコーン系樹脂PA−12に含まれるエポキシ基とKBM903のアミノ基を反応させ、硬化性シリコーン系樹脂A−12を得た。外観は淡黄色半透明であった。
【0058】
(合成例13)
(硬化性シリコーン系樹脂A−13の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、メタクリル酸グリシジル8.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.07gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.36gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.18gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−2と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂PA−13を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂PA−13の粘度は666,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、4回転)、外観は淡黄色半透明であった。
別の反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂PA−13を100gとKBM903を2.7g(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、窒素雰囲気下、50℃まで昇温した。さらに50℃で1時間攪拌し、硬化性シリコーン系樹脂PA−13に含まれるエポキシ基とKBM903のアミノ基を反応させ、硬化性シリコーン系樹脂A−13を得た。外観は淡黄色透明であった。
【0059】
(合成例14)
(硬化性シリコーン系樹脂A−14の調製)
反応容器に、上記架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、メタクリル酸グリシジル16g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.13gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.38gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.19gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、架橋可能な反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体C−3と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂PA−14を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂PA−14の粘度は148,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
別の反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂PA−14を100gとKBM903を5.6g(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、窒素雰囲気下、50℃まで昇温した。さらに50℃で1時間攪拌し、硬化性シリコーン系樹脂PA−14に含まれるエポキシ基とKBM903のアミノ基を反応させ、硬化性シリコーン系樹脂A−14を得た。外観は淡黄色半透明であった。
【0060】
(合成例15)
(硬化性シリコーン系樹脂A−15の調製)
反応容器に、変成シリコーン樹脂「Excestar G3440ST」(旭硝子株式会社製)を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、メタクリル酸グリシジル8.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.07gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.36gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.18gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、変成シリコーン樹脂Excestar G3440STと、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂PA−15を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂PA−15の粘度は37,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は淡黄色半透明であった。
別の反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂PA−15を100gとKBM903を2.7g(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、窒素雰囲気下、50℃まで昇温した。さらに50℃で1時間攪拌し、硬化性シリコーン系樹脂PA−15含まれるエポキシ基とKBM903のアミノ基を反応させ、硬化性シリコーン系樹脂A−15を得た。外観は淡黄色透明であった。
【0061】
(合成例5)
(硬化性シリコーン系樹脂A−16の調製)
反応容器に、変成シリコーン樹脂「SAT200」(株式会社カネカ製)を200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル87.6g、アクリル酸ブチル7.8g、メタクリル酸ステアリル17.5g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.6g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8.0gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.47gを混合したモノマー混合液を60分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.82gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.41gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、変成シリコーン樹脂SAT200と、架橋可能な反応性ケイ素基含有ビニル重合体とからなる硬化性シリコーン系樹脂A−16を得た。23℃における硬化性シリコーン系樹脂A−16の粘度は152,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)、外観は黄色透明であった。
【0062】
(実施例12〜15、比較例3及び4)
各硬化性シリコーン系樹脂(100質量部)、及び、表3に示す配合量(各硬化性シリコーン系樹脂100質量部に対する質量部)のアミノシラン化合物及び硬化触媒を反応容器に投入し、素早く攪拌した後、密閉容器に充填して、各硬化性樹脂組成物を得た。それぞれの硬化性シリコーン系樹脂(A)のケイ素原子含有率、硬度、ねじれ接着強さを表3に示す。なお、ねじれ接着強さの測定においてはいずれの試験体も接着剤層の凝集破壊となった。
【0063】
【表3】

【0064】
(実施例16〜24、比較例5)
各硬化性シリコーン系樹脂(100質量部)、KBM903(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、10質量部)、及び、表4に示す配合量(各硬化性シリコーン系樹脂100質量部に対する質量部)の化合物(D)、化合物(E)、充填材、硬化触媒を反応容器に投入し、素早く攪拌した後、密閉容器に充填して、各硬化性樹脂組成物を得た。それぞれの硬化性シリコーン系樹脂(A)のケイ素原子含有率、硬度、ねじれ接着強さを表4に示す。なお、ねじれ接着強さの測定においてはいずれの試験体も接着剤層の凝集破壊となった。
【0065】
【表4】

【0066】
(実施例25〜31)
各硬化性シリコーン系樹脂(100質量部)、及び、表5に示す配合量(各硬化性シリコーン系樹脂100質量部に対する質量部)のアミノシラン化合物及び硬化触媒を反応容器に投入し、素早く攪拌した後、密閉容器に充填して、各硬化性樹脂組成物を得た。それぞれの硬化性シリコーン系樹脂(A)のケイ素原子含有率、硬度、ねじれ接着強さを表5に示す。なお、ねじれ接着強さの測定においてはいずれの試験体も接着剤層の凝集破壊となった。
【0067】
【表5】

【0068】
以上の結果から、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、硬度が高くねじれ方向への接着強さが高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、従来公知の硬化性シリコーン樹脂を利用しつつさらに深化させたものであり、その硬化性成分である硬化性樹脂が特定の構造を有していることから、高い硬度と高いねじれ接着強さが得られ、たとえば、このような性能が要求される接着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明における、ねじれ方向の接着強さを測定する試験方法(試験開始直前の状態)を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
1 : アサダ材はり合わせ試験片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有する硬化性シリコーン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記硬化性シリコーン系樹脂(A)が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子の当該硬化性シリコーン系樹脂(A)に対する含有率(ケイ素原子含有率)が1.0〜10.0質量%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
硬化性シリコーン系樹脂(A)が有する反応性ケイ素基に由来するケイ素原子に結合した加水分解性基が、硬化性シリコーン系樹脂(A)100gあたり0.100〜0.500モルであることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
硬化性シリコーン系樹脂(A)が、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(a1)と、分子内に架橋可能な反応性ケイ素基を有するビニル重合体(a2)とからなり、その質量比がオキシアルキレン重合体(a1):ビニル重合体(a2)=10:90〜95:5であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
オキシアルキレン重合体(a1)の主鎖骨格が、プロピレンオキサイドの単独重合体、又はプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの共重合体であって、その組成比(モル比)がプロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=100:0〜10:90であることを特徴とする、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
ビニル重合体(a2)が、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリロニトリル系化合物、及び、スチレン系化合物から選ばれる1種以上の化合物が(共)重合された重合体であることを特徴とする、請求項3又は4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、分子内に反応性ケイ素基を有するアミノシラン化合物(C)を0.1〜30質量部含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、硬化性シリコーン系樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(D)及び/又はアルコキシシランオリゴマー化合物(E)を0.1〜30質量部含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】

・・・(1)
但し、Xはビニル基、アルキル基(炭素数1〜18)、及び、アルコキシ基(炭素数1〜6)から選ばれる基を、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【請求項8】
さらに、硬化触媒(B)が三フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、充填材を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を主体とする室温硬化性接着剤組成物。


【図1】
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【公開番号】特開2009−269997(P2009−269997A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121509(P2008−121509)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】