説明

ねじ角度測定工具

【課題】板金部材に対するねじの軸の傾き角度を測定できるねじ角度測定工具を提供すること。
【解決手段】被測定部材61の一面62に設けられたねじの軸の延長方向と、被測定部材61の面63に対する垂直線との間になす角を測定するためのねじ角度測定工具1において、一端部21aがねじに締めこまれる係合軸部21と、係合軸部21から他端部21b側に延びてねじの軸の延長方向を指し示す指示部23と、係合軸部21と指示部23との間に設けられた球体24と、から構成された第一部品2と、被測定部材61の平面63と密着する一方の端部312と、なす角を表示する表示部としての他方の端部323と、一方の端部312と他方の端部323との間に設けられ、球体24の表面に自在に係合する係合部314と、で構成される第二部品3と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじの角度を測定するためのねじ角度測定工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の製造工程において、板金部材で構成される車体のピラーにヒンジやドアストライカーを取り付ける場合、以下のような手順で作業が行われる。
まず、穴が開けられたピラーの内面にナットを溶接して接合する。次に、ピラーの外面側にヒンジ穴が開けられたヒンジなどを配置する。そして、ヒンジの外面側から挿通したボルトをピラーの内面に溶接されたナットに締め付ける。このように、ヒンジ及びピラーをボルトで挟み込むことによりピラーにヒンジを取り付ける作業が行われている。
このような作業の中で、ピラーにヒンジを取り付ける際に、ナットがピラーに対して垂直に溶接されていないと、ボルトがピラーに対して傾いた状態でナットに締め付けられてしまう。その結果、ヒンジの取り付け不具合が発生する可能性があった。ヒンジの角度ズレは、車体のドアの建てつけに大きな影響があり、自動車生産の重要な管理項目となっている。
そのため、ピラーの内面に溶接されるナットがピラーに対して垂直に溶接されていることが望まれている。
【0003】
ところで、2枚の板金部材を溶接する場合、スポット溶接機が板金部材に対して垂直に配置された状態で溶接されなければ、溶接不良が発生する可能性があった。このような溶接不良の発生を防止するために、例えば、溶接機の溶接ガンの中心軸の板金部材に対する垂直を確認するための溶接ガンの垂直測定ゲージが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−271955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の垂直測定ゲージでは、スポット溶接の際の板金部材に対する溶接ガンの垂直は確認できるが、板金部材に溶接されたナットのねじの軸の板金部材に対する角度の確認はできない。
【0006】
従って、本発明は、板金部材に対するねじの軸の傾き角度を測定できるねじ角度測定工具を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被測定部材の一面に設けられたねじの軸の延長方向と、前記被測定部材の面に対する垂直線との間になす角を測定するためのねじ角度測定工具において、一端部が前記ねじに締めこまれる係合軸部と、前記係合軸部から他端部側に延びて前記ねじの軸の延長方向を指し示す指示部と、前記係合軸部と前記指示部との間に設けられた球体と、から構成された第一部品と、前記被測定部材の平面と密着する一方の端部と、前記なす角を表示する表示部としての他方の端部と、前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられ、前記球体の表面に自在に係合する係合部と、で構成される第二部品と、からなることを特徴とする、ねじ角度測定工具に関する。
【0008】
また、前記第一部品と前記第二部品とは、分離可能であることが好ましい。
【0009】
また、前記第一部品には、前記第一部品を前記被測定部材に固定するためのナットが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のねじ角度測定工具によれば、の板金部材に対するねじの軸の傾き角度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態のねじ角度測定工具1を用いて、センターピラー61の裏面に溶接されたナットの雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定している状態を示す図である。
【図2A】図1に示すねじ角度測定工具1を矢印A方向から視た平面図である。
【図2B】図1に示すねじ角度測定工具1を矢印B方向から視た側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のねじ角度測定工具1を用いて、エンジンに固定されたスタッドボルトの雄ねじのねじ軸の傾き角度を測定している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のねじ角度測定工具の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、図1から図2Bにより、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のねじ角度測定工具1を用いて、センターピラー61の裏面に溶接されたナットの雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定している状態を示す図である。図2Aは、図1に示すねじ角度測定工具1を矢印A方向から視た平面図である。図2Bは、図1に示すねじ角度測定工具1を矢印B方向から視た側面図である。
【0013】
本実施形態のねじ角度測定工具1は、図1に示すように、例えば、車体60のセンターピラー(被測定部材)61の裏面(一面)62に溶接(接合)されるナットの雌ねじのねじ軸の延長方向と、センターピラー61の表面63に対する垂直線との間になす傾き角度を測定するために用いられる。ここで、本実施形態における車体60の方向に関しては、車体60の上下方向を高さ方向Hといい、車体60の前後方向を前後方向Tという。高さ方向Hと前後方向Tとは、略垂直の関係にある。
【0014】
図2A及び図2Bに示すように、車体60は、板金部材を加工した後のセンターピラー61と、センターピラー61の裏面62に溶接されたナット65と、を有して構成される。
センターピラー61は、車体60の前後方向Tの略中央部に高さ方向Hに延びるように形成される車体60の柱状の板金部材である。センターピラー61には、ドアを開閉自在に支持するためのヒンジ(図示せず)が取り付けられる部分に、センターピラー61を貫通する穴部64が形成される。
ナット65は、円柱状に形成される。ナット65は、ナット65の端面に対して略垂直に形成されるナット穴部66を有する。ナット穴部66には、雌ねじ(ねじ)が形成される。
センターピラー61とナット65とは、穴部64とナット穴部66とが重なるように配置されて溶接される。
【0015】
このようにナット65が溶接されたセンターピラー61の表面63側には、例えば、ドア用ヒンジ(図示せず)が取り付けられる。そして、車体60の外側からヒンジ穴部及び穴部64にボルト(図示せず)が挿通されて、ボルトがセンターピラー61の裏面62に溶接されたナット65に締め込まれる。これにより、ヒンジは、センターピラー61の表面63側に固定される。
なお、本実施形態においては、センターピラー61にヒンジを取り付ける場合を例に説明しているが、これに限定されない。例えば、センターピラーにドアストライカー(図示せず)を取り付ける場合に適用してもよいし、フロントピラーにヒンジを取り付ける場合に適用してもよい。また、ナット65が板金部材に溶接されている構造に限定されず、物品にタッピングした雌ねじや、スタッドボルト用の雌ねじ等も測定できる。
【0016】
ねじ角度測定工具1は、このようにナット65がセンターピラー61に溶接されている状態において、ナット65におけるナット穴部66の軸の延長方向とセンターピラー61における表面63に対する垂直線との間になす傾き角度を測定できる。ここで、本実施形態の説明においては、「雌ねじ(雄ねじ)のねじ軸の延長方向とセンターピラー61における表面63に対する垂直線との間になす傾き角度」を「雌ねじ(雄ねじ)の傾き角度」という。
【0017】
次に、本実施形態におけるねじ角度測定工具1について詳細に説明する。
ねじ角度測定工具1は、図2A及び図2Bに示すように、角度指示部材(第一部品)2と、角度目盛り表示部材(第二部品)3と、を備える。
角度指示部材2は、雄ねじが外周面に沿って形成された係合軸部21と、先端に指針部22を有する指示部23と、球体形状の球体部24(球体)と、角度指示部材2をセンターピラー61に固定するための固定ナット部材(ナット)33と、を備えて構成される。
係合軸部21は、棒状に長く形成される。係合軸部21は、一端部21aがセンターピラー61の表面63側からセンターピラー61に挿通されて、センターピラー61の裏面62に溶接されたナット65のナット穴部66に締め込まれる。これにより、角度指示部材2は、ナット65に係合される。具体的には、ナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定する場合において、係合軸部21は、センターピラー61の表面63側から挿通され、センターピラー61及びナット65を貫通している。係合軸部21は、センターピラー61の穴部64に挿通された状態で、センターピラー61の裏面62側においてナット65のナット穴部66に係合している。
【0018】
指示部23は、係合軸部21の他端部21b側から延びて棒状に形成され、センターピラー61の表面63側に係合軸部21の軸方向に沿って突出している。指示部23は、ナット65の雌ねじのねじ軸の延長方向を指し示す。指示部23と係合軸部21とは、それぞれの軸線が略一致し、センターピラー61の表面63に対して垂直な方向に配置される。指示部23における先端には、先端が尖って形成される指針部22が設けられる。
球体部24は、その中心が指示部23及び係合軸部21の軸線上に位置して係合軸部21と指示部23との間に配置される。
【0019】
角度目盛り表示部材3は、球体部24の少なくとも一部を覆う筒状部31と、筒状部31の外面としての外周面311に連結される板状の枠部32と、センターピラー61に対するナット65の傾き角度を表示する表示部としての目盛部321と、を有する。
筒状部31は、略円筒状に形成される。なお、本実施形態においては、筒状部31を略円筒状としているが、これに限定されない。筒状部31は、雌ねじが設けられたセンターピラー61の表面63に対して平行に密着する機能を有すればよい。
【0020】
筒状部31の第1端面312(角度目盛り表示部材3の一方の端部)は、環状に形成される。第1端面312における内周縁の直径は、球体部24の直径と略等しく形成される。筒状部31の第1端面312は、センターピラー61の表面(平面)63と密着する。
筒状部31の第2端面313は、筒状部31における第1端面312とは反対側の端面を構成する。第2端面313は、第1端面312より内周縁から外周縁までの幅が広い環状に形成される。
【0021】
筒状部31の外周面311は、第1端面312の外周縁が第2端面313の外周縁まで延びるように形成される曲面である。
筒状部31の内周面314は、球体部24の表面に自在に係合する係合部として構成される。筒状部31の内周面314は、第1端面312側から、第1内周面314a、第1内周面314aから連続して形成される円弧曲面314b、円弧曲面314bから連続して形成される第2内周面314c、を有して構成される。
第1内周面314aは、第1端面312の内周縁から筒状部31の外周面311と平行に形成される。これにより、球体部24は、第1内周面314aにガイドされながら筒状部31の内部に挿入される。
但し、球体部24を筒状部31に挿入することを容易にするため、内周面314は、球体部24の挿入口側の径を大きくし、円弧曲面314b側の方向に径が狭くなる構造にしてもよい。
【0022】
円弧曲面314bは、内周面314における第2端面313よりに形成され、球体部24の表面が沿うように当接する形状を有する。円弧曲面314bは、第2端面313側に至るに従って筒状部31の内部側方向に徐々に傾斜する曲面である。
【0023】
枠部32は、略コ字状に形成され、筒状部31の第2端面313側に連結される。
枠部32は、筒状部31の外周面311から第1端面312とは反対側に延びる一対の側板部322、322と、一対の側板部322、322の筒状部31側とは反対側の端部をつなぐように形成され、枠部32における端部(角度目盛り表示部材3の他方の端部)を構成する対向板部323と、を有する。
対向板部323は、指示部23の指針部22に対向して配置される。対向板部323は、球体部24が円弧曲面314bに当接している状態において、球体部24の中心点を中心とする円弧形状を有している。
【0024】
目盛部321は、対向板部323に設けられる。目盛部321は、角度目盛り表示部材3をセンターピラー61の表面63に密着させた状態で、角度指示部材2の指針部22により指し示されることで、センターピラー61に対するねじの軸方向の傾き角度を表示する表示部として構成される。具体的には、目盛部321は、複数の目盛線324を有している。複数の目盛線324は、センターピラー61に対するナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度がない場合に指針部22が指し示す基準目盛線324aと、基準目盛線324aを中心として等しい間隔で配置される複数の読取目盛線324bと、を有する。
【0025】
本実施形態では、隣り合う目盛線324により表示される角度は、所定の目盛線324と球体部24の中心点をつなぐ線と、所定の目盛線324の隣りの目盛線324と球体部24の中心点とをつなぐ線との間の角度により決定する。目盛線324は、例えば、2度間隔で設けられている。指針部22が指し示す目盛線324を読み取ることで、ナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定することができる。
【0026】
以上の枠部32は、略コ字形状における開放側の一対の端部が筒状部31の外周面311に回転可能に連結されて、筒状部31の外周面311に沿って軸線を中心に回転可能に構成される。つまり、側板部322、322は、球体部24に対して180度自由に回転するので、指針部22が車体60に対してどの方向に向いた場合においても、ねじ角度測定工具1は、ねじの軸の傾き角度を測定できるという効果がある。
【0027】
固定ナット部材33は、内面に雌ねじを有し、係合軸部21の雄ねじに係合可能に構成される。具体的には、固定ナット部材33は、係合軸部21における他端部21b側に係合して配置され、係合軸部21の軸方向に移動可能に構成される。固定ナット部材33は、係合軸部21がセンターピラー61の裏面62側でナット65に係合している状態において、センターピラー61の表面63側から締め込んで、指示部23をセンターピラー61に固定する。
この場合に、固定ナット部材33を緩めた状態で、角度目盛り部材3の取り付け及び取り外しを繰り返すことにより、指示部23と目盛部321の間に隙間がなくなるように、係合軸部21の締め込みを徐々に調整する。そして、指示部23と目盛部321との間の隙間がなくなった状態で、固定ナット部材33を固定する。
【0028】
次に、以上のねじ角度測定工具1を用いて、ナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定する方法について図1から図2Aにより簡単に説明する。
まず、ナット穴部66にねじ角度測定工具1の係合軸部21を締め込み係合させる。具体的には、センターピラー61にナット65が溶接されている状態において、係合軸部21の一端部21aをセンターピラー61の表面63側から挿入し、ナット65のナット穴部66に係合軸部21を係合させる。
【0029】
次に、筒状部31の第1端面312側から角度指示部材2の指針部22を挿入して、球体部24を覆うように筒状部31を配置する。そして、筒状部31を球体部24にガイドさせて係合軸部21の軸方向に移動させる。球体部24は、第1内周面314aにガイドされながら筒状部31の内部に挿入される。第1端面312がセンターピラー61の表面63に当接するまで移動させる。
【0030】
次に、第1端面312をセンターピラー61の表面63に垂直に当接させた状態で、係合軸部21を軸方向に移動して球体部24を円弧曲面314bに当接していない状態から当接させる状態へ移動させる。
【0031】
次に、角度指示部材2の位置を保持した状態で、角度目盛り表示部材3を取り外す。そして、固定ナット部材33を緩めた状態で、角度目盛り部材3の取り付け及び取り外しを繰り返すことにより、指示部23と目盛部321の間に隙間がなくなるように、係合軸部21の締め込みを徐々に調整する。そして、指示部23と目盛部321との間の隙間がなくなった状態で、固定ナット部材33を固定する。
【0032】
次に、ナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を読み取るために、一度外した角度目盛り表示部材3を取り付ける。指示部23が指し示した目盛部321により、車体60の所望の方向におけるナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定できる。
【0033】
例えば、車体60の前後方向Tに沿うように目盛部321を回転させて配置した場合には、車体60の前後方向Tにおけるナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定できる。また、車体60の高さ方向Hに沿うように目盛部321を回転させて配置した場合には、車体60の高さ方向Hにおけるナット65の雌ねじのねじ軸の傾き角度を測定できる。
【0034】
次に、図3により、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態のねじ角度測定工具1を用いて、エンジンに固定されたスタッドボルトの雄ねじのねじ軸の傾き角度を測定している状態を示す図である。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、詳しい説明を省略する。第2実施形態において説明しない点は、第1実施形態についての説明が適用される。
第2実施形態のねじ角度測定工具1は、エンジン70の板金部材71に取り付けられたスタッドボルト72の雄ねじのねじの軸の傾き角度を測定することができる。
図3に示すように、スタッドボルト72は、両端部の外周面に雄ねじが形成された円柱形状を有する。スタッドボルト72の一端部72aは、エンジン70の板金部材71に締め込められて固定されている。スタッドボルト72の他端部72bは、エンジン70の板金部材71の表面73側から突出している。
【0035】
第2実施形態のねじ角度測定工具1は、第1実施形態の係合軸部21とは形状が異なる。これは、雄ねじの傾き角度を測定するために好都合な構造である。
図3に示すように、第2実施形態の係合軸部21は、円筒状に形成される。係合軸部21の内周面には、スタッドボルト72の他端部72bを締め込み可能な雌ねじ(ねじ)が形成されている。
係合軸部21は、一端部21aがエンジン70の板金部材71の表面73側からスタッドボルト72の他端部72bに締め込まれる。係合軸部21の他端部21b側から延びた指示部23は、スタッドボルト72の雄ねじのねじ軸の延長方向を指し示すように構成される。
これにより、ねじ角度測定工具1は、スタッドボルト72の雄ねじのねじ軸の傾き角度を測定することができる。
【0036】
本実施形態のねじ角度測定工具1によれば、以下のような効果を奏する。
角度指示部材2の係合軸部21をナット65又はスタッドボルト72に係合させた状態で、ねじの傾き角度を表示する目盛部321を有する角度目盛り表示部材3を配置した。これにより、簡易な構成で、板金部材61に設けられたねじの軸の傾き角度を測定することができる。また、車体60の表面63側から容易にねじの軸の傾き角度を測定することができる。
【0037】
また、角度指示部材2と角度目盛り表示部材3とは分離可能である。これにより、指針部22と対向板部323の目盛部321との間に隙間がなくなるように調整できるので、目盛りの読み取り精度が向上する。その結果、測定精度が向上する。
また、筒状部31に対して回転可能に連結される枠部32を設けた。これにより、どのような方向にねじ穴やボルトが傾いたとしてもねじの軸の傾き角度の測定が可能となる。
【0038】
また、係合軸部21に係合可能な固定ナット部材33を備えた。これにより、指示部23を車体60に固定し、ガタやブレを防止することができる。その結果、測定精度が向上する。
【0039】
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、筒状部31が球体部24を覆うように構成する場合に適用したが、これに制限されない。例えば、筒状部31が球体部24の一部を覆う構成であってもよい。
また、筒状部31と球体部24がボールジョイントで結合して構成されていてもよい。
また、本実施形態では、枠部32を180度回転して、前後方向Tと高さ方向Hの2方向のナット65の傾き角度を測定する場合に適用したが、これに制限されない。
【符号の説明】
【0040】
1 ねじ角度測定工具
2 角度指示部材(第一部品)
3 角度目盛り表示部材(第二部品)
21 係合軸部
23 指示部
24 球体部(球体)
31 筒状体
32 枠部
61 板金部材(被測定部材、センターピラー)
62 裏面(一面)
63 表面(平面)
64 穴部
66 ナット穴部
312 第1端面(一方の端部)
314 内周面(係合部)
321 目盛部
323 対向板部(他方の端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部材の一面に設けられたねじの軸の延長方向と、前記被測定部材の面に対する垂直線との間になす角を測定するためのねじ角度測定工具において、
一端部が前記ねじに締めこまれる係合軸部と、前記係合軸部から他端部側に延びて前記ねじの軸の延長方向を指し示す指示部と、前記係合軸部と前記指示部との間に設けられた球体と、から構成された第一部品と、
前記被測定部材の平面と密着する一方の端部と、前記なす角を表示する表示部としての他方の端部と、前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられ、前記球体の表面に自在に係合する係合部と、で構成される第二部品と、からなることを特徴とする、ねじ角度測定工具。
【請求項2】
前記第一部品と前記第二部品とは、分離可能であることを特徴とする、請求項1に記載のねじ角度測定工具。
【請求項3】
前記第一部品には、前記第一部品を前記被測定部材に固定するためのナットが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のねじ角度測定工具。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−7585(P2011−7585A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150487(P2009−150487)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】