説明

はんだ付け噴流波形成装置

【課題】フローはんだ付け方法において、噴流波を形成する吹き口体の吹き口各部分から溶融はんだを等しい圧力と速度で噴流させることにより、吹き口上に均一で安定した噴流波を形成し、プリント配線板のどの位置においてもはんだ付け品質の均一なはんだ付け実装を実現すること。
【解決手段】吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成するはんだ付け噴流波形成装置において、吹き口と溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路長を短く形成するか、または流路縦断面積を大きく形成して成るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を搭載したプリント配線板のフローはんだ付け実装を行うための装置であって、溶融はんだの噴流波を形成するはんだ付け噴流波形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電子部品を搭載したプリント配線板のはんだ付け実装を行う方法にフローはんだ付け方法がある。
【0003】
フローはんだ付け方法は、電子部品とプリント配線板のランドとの間に形成される被はんだ付け部あるいはこの被はんだ付け部が多数存在するプリント配線板の被はんだ付け面と噴流する溶融はんだ波すなわち噴流波とを接触させ、この接触により前記被はんだ付け部に溶融はんだを供給する方法である。そして、この溶融はんだの噴流波を形成する装置がはんだ付け噴流波形成装置である。
【0004】
フローはんだ付け方法においては、プリント配線板の被はんだ付け面ひいては被はんだ付け部と噴流波との接触状態がはんだ付け品質を規定するため、プリント配線板に存在する多数の被はんだ付け部に対して同じ品質ではんだ付けを行うためには、接触するプリント配線板のどの位置においても噴流波の状態が同じ状態であることが求められる。
【0005】
噴流波の状態とは、噴流波高や噴流波形状,噴流波各部における噴流ベクトル(噴流方向と速度),さらにそれらの経時的安定度,等のパラメータで規定される状態であり、これらの状態が被はんだ付け部への溶融はんだの供給状態を規定する。
【0006】
これらのパラメータを安定化させる技術として、特許文献1には溶融はんだを上昇させながら蛇行させた際に作用する「流路抵抗」を用いることが開示されている。
【特許文献1】実開昭64−10361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示される技術では、第2図に示される溶融はんだの「導入口部27」が「ノズル29」の中央に位置しているため、「ノズル29の上端噴出口」の両側位置の噴流波高が低くなり、また中央位置の噴流波に脈動を生じやすいという問題がある。
【0008】
これは、「ポンプ13」から送給される溶融はんだの圧力と速度が、「ノズル29」の中央位置程大きく不均一に分布していることに原因がある。すなわち、蛇行流路による「流路抵抗」を用いたとしても「ノズル29の上端噴出口」に送給される溶融はんだの圧力と流速が「噴出口」各部において均一に分布していなければ、溶融はんだの噴流波高や噴流状態が「ノズル29の上端噴出口」に不均一に分布してしまうのである。
【0009】
もちろん、「ノズル29」に供給される溶融はんだの圧力と流速が「ノズル29」の各部において均一に供給されていないことにも原因がある。
【0010】
本発明は、噴流波を形成する吹き口体の吹き口各部分から溶融はんだを等しい圧力と速度で噴流させることにより、吹き口上に均一で安定した噴流波を形成することを目的とする。そしてその結果、プリント配線板のどの位置においてもはんだ付け品質の均一なはんだ付け実装を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、溶融はんだの流速と圧力が均一に分布するように構成した独特の流路構造に特徴がある。
【0012】
(1)本発明に係る第1の発明は、吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路長を短く形成して成るように構成したはんだ付け噴流波形成装置である。
【0013】
上記構成のように、蛇行流路の流路長が短いと溶融はんだの送給圧力が開放され易く、溶融はんだの流速も小さくなる。そのため、吹き口体の吹き口各部における溶融はんだの流速と圧力が均一に分布するようになり、吹き口各部に均一な噴流波を形成することができるようになる。
【0014】
(2)本発明に係る第2の発明は、吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路縦断面積を大きく形成して成るように構成した噴流波形成装置である。
【0015】
上記構成のように、蛇行流路の流路縦断面積が大きいと溶融はんだの送給圧力が開放され易く、溶融はんだの流速も小さくなる。そのため、吹き口体の吹き口各部における溶融はんだの流速と圧力が均一に分布するようになり、吹き口各部に均一な噴流波を形成することができるようになる。
【0016】
(3)本発明に係る第3の発明は、吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路長を短く形成して成り、かつこの蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路縦断面積を大きく形成して成るように構成した噴流波形成装置である。
【0017】
上記構成のように、蛇行流路の流路長が短いと溶融はんだの送給圧力が開放され易く、また蛇行流路の流路縦断面積が大きいと溶融はんだの送給圧力が開放され易い。したがって、これらの相乗作用により吹き口体の吹き口各部における溶融はんだの流速と圧力が一層均一に分布するようになり、吹き口各部に一層均一な噴流波を形成することができるようになる。
【0018】
(4)また、本発明は、上記(1)〜(3)のはんだ付け噴流波形成装置において、溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの単位時間当たりの流量が小さい位置程その流路縦断面積を小さく形成した等流速形成流路を溶融はんだ送給手段と蛇行流路との間に設けるように構成したことを特徴とする。
【0019】
この等流速形成流路によって流速が各部で均一に分布する溶融はんだを蛇行流路や吹き口体へ供給することができるので、上記(1)〜(3)のはんだ付け噴流波形成装置における蛇行流路による作用に等流速形成流路による作用をカスケードに作用させることができるようになる。
【0020】
したがって、吹き口体の吹き口各部における溶融はんだの流速と圧力をさらに均一に分布させることができるようになり、吹き口各部にさらに均一な噴流波を形成することができるようになる。
【0021】
(5)さらに、本発明は、上記(1)〜(3)のはんだ付け噴流波形成装置において、溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの単位時間当たりの流量が小さい位置程その流路縦断面積を小さく形成した等流速形成流路を溶融はんだ送給手段と蛇行流路との間に設けると共に圧力調整室を前記等流速形成流路に隣接して設け、さらに前記等流速形成流路と前記圧力調整室とを連通する圧力調整孔を前記等流速形成流路に沿って複数設けるように構成したことを特徴とする。
【0022】
上記構成のはんだ付け噴流波形成装置においては、流れる流体が壁面に当接すると動圧が発生する。そのため、溶融はんだの流れ方向が変わる位置には動圧が発生し、溶融はんだが直進している場合の圧力に対してこの動圧が加算される。そのため、溶融はんだの単位時間当たりの流量が小さい位置程その流路縦断面積を小さく形成した等流速形成流路では、この流路縦断面積を小さく形成した部分の壁面とその近傍において溶融はんだの圧力が高くなる。
【0023】
しかし、この不均一な圧力分布は圧力調整室に連通孔で開放されて均一化され、等流速形成流路において溶融はんだが有する圧力を均一に分布させることができるようになる。
【0024】
その結果、圧力と流速が均一に分布する溶融はんだを前記(1)〜(3)のはんだ付け噴流波形成装置における蛇行流路に供給することができるようになるので、この圧力調整室と等流速形成流路の作用をカスケードに作用させることができるようになり、極めて均一に分布する流速と圧力の溶融はんだを吹き口体の吹き口に送給して均一で安定した噴流波を形成することができるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、吹き口体の吹き口に供給される溶融はんだの送給圧力が高い位置程その圧力を開放し易い構成すなわち蛇行流路の流路長を短くしたり流路縦断面積を大きくする構成としているので、吹き口体の吹き口の各部に送給される溶融はんだの圧力と流速を均一にすることができるようになり、吹き口上に均一な噴流波を形成することができるようになる。
【0026】
また、等流速形成流路やこれと一体で設けられる圧力調整室とにより、さらに均一に分布する圧力と流速の溶融はんだを吹き口体の吹き口に送給できるようになり、さらに均一で安定した噴流波を形成することができるようになる。
【0027】
その結果、プリント配線板の被はんだ付け面に存在する多数の被はんだ付け部のはんだ付けを、均一かつ安定に行うことができるようになり、はんだ付け品質の良いはんだ付け実装が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のはんだ付け噴流波形成装置の実施形態を図1〜図3を用いて説明する。図1は、はんだ付け噴流波形成装置を説明する斜視図で、図を分かり易く説明するために吹き口体を破線で描いてあり、一部の板状部材を省略して示してある。図2は図1のI-I端面を示す図である。
【0029】
また、図3は、蛇行流路体と等流速形成部および圧力調整室の構成を説明する図で、(a)は図1の蛇行流路体を右側面から透視して見た図、(b)は蛇行流路体を上方から見た図、(c)は蛇行流路体の底面側の板を取り外して下方から見た図、である。
【0030】
〔構成〕
本発明のはんだ付け噴流波形成装置の構成の一例を図によって説明する。
【0031】
図1、図2および図3では、溶融はんだの送給手段であるポンプを省略して図示していないが、遠心力型ポンプやスパイラルポンプ、電磁ポンプ、等々の通常使用されているポンプが使用される。
【0032】
本発明のはんだ付け噴流波形成装置は、図1および図2に示すように、吹き口体10の下方に蛇行流路体20が設けてあり、さらにその下方に等流速形成部32と圧力調整室30を設けた構成となっている。
【0033】
吹き口体10は長尺状の吹き口11を有し、この吹き口11から噴流した溶融はんだを吹き口側部に設けた案内板12を流下させることで噴流波13が形成される。溶融はんだ送給手段であるポンプ40は、特許文献1にも開示されるように吹き口体10の横部に配設され、図1の溶融はんだ送給口41に接続されている。したがって、ポンプ40から矢印A方向(横方向)に送給される溶融はんだは、吹き口体10内および吹き口11を矢印B方向(縦方向)へ流れ、吹き口11から噴流して噴流波13を形成する。
【0034】
蛇行流路体20は4枚の蛇行流路形成板すなわち第1の蛇行流路形成板21、第2の蛇行流路形成板22、第3の蛇行流路形成板23、第4の蛇行流路形成板24により蛇行流路を形成し、下方側から上方側へ向かって蛇行した流路を形成している。なお、この蛇行流路形成板の枚数は、4枚に限らず、設計条件に応じて1枚以上の必要な枚数とすることができる。
【0035】
そして、図2に示すように、第1の反転流路25と第3の反転流路27の幅に対して第2の反転流路26と第4の反転流路28の幅は広く形成してあり、その程度は図1や図3に示すように溶融はんだ送給口41から見て矢印A方向へ進む程大きくなる。これは第1の蛇行流路形成板21と第3の蛇行流路形成板23の平面形状が長方形状に形成してあるのに対して、第2の蛇行流路形成板22と第4の蛇行流路形成板24の平面形状が台形状(あるいは三角形状)に形成してあるからである。
【0036】
したがって、溶融はんだ送給口41から見て矢印A方向へ進む程に蛇行流路の流路長は短くなる。
【0037】
また、図1や図3に示すように、蛇行流路形成板相互の間隔が、すなわち第1の蛇行流路形成板21と第2の蛇行流路形成板22との間隔、第2の蛇行流路形成板22と第3の蛇行流路形成板23との間隔、第3の蛇行流路形成板23と第4の蛇行流路形成板24との間隔が、溶融はんだ送給口41から見て矢印A方向へ進む程広くなるように構成してある。すなわち、溶融はんだ送給口41から見て矢印A方向の最奥側へ進む程蛇行流路の流路縦断面積を大きく構成してある。
【0038】
一方で、蛇行流路体20の下方位置には等流速形成部32と圧力調整室30を設けてあり、第1の蛇行流路形成板21の下方位置に設けた平面形状が長方形の部屋を等流速形成板33で斜めに仕切ることで、等流速形成部32と圧力調整室30とを形成している。すなわち、等流速形成部32の流路縦断面積が溶融はんだ送給口41から見て矢印A方向へ進む程小さくなるように形成してある。
【0039】
そして、等流速形成板33で隔てられた等流速形成部32と圧力調整室30とを、この等流速形成板33に設けた複数の圧力調整孔31(矢印A方向に並ぶ圧力調整孔)により連通してあり、等流速形成部32を矢印A方向に流れる溶融はんだの圧力が、圧力調整室30内の圧力により等流速形成部32の各部で等しくなるように構成してある。
【0040】
〔原理〕
次に、本発明のはんだ付け噴流波形成装置の原理を説明する。
【0041】
吹き口体10の吹き口11は水平であり、等流速形成部32の溶融はんだ送給口41側を添字iで表し、矢印A方向へ進んだ最奥側を添字eで表すものとし、ポンプ40から送給されて溶融はんだが等流速形成部32から蛇行流路体20へ送給される際の圧力と流速を図1に示すように溶融はんだ送給口側と最奥側とでそれぞれPi,uiおよびPe,ueで表す。
【0042】
また、噴流口径と同一と仮定した流路管直径と流路長はそれぞれdi,Liおよびde,Leで表し、吹き口体10の吹き口11における溶融はんだの圧力と流速はそれぞれ(Pj)i,uiおよび(Pj)e,ueで表し、噴流波高をそれぞれhi,heで表す。
【0043】
この場合に、溶融はんだ送給口側iと最奥側eにおいて、それぞれ以下のベルヌーイの式が成立する。
【0044】
【数1】

【0045】
【数2】

【0046】
但し、
γ:溶融はんだの比重
λ:流路の摩擦損失係数
g:重力加速度
を表す。
【0047】
また、噴流波頂部では(Pj)i=(Pj)e=(Pa)が成立する。但し、(Pa)は大気圧を表す。
【0048】
ここで、(1)式と(2)式とを整理して比計算を行うと、次式(3)が得られる。
【0049】
【数3】

【0050】
また、右辺の流速uの項は噴流波高hi,heを表しており、左辺を次式の圧力差
【数4】

で表すと(4)式が得られる。
【0051】
【数5】

【0052】
この(4)式は、溶融はんだの送給圧力に原因して噴流波高hi,he相互間に偏差を生じても、蛇行流路の流路長および流路管直径(ひいては流路縦断面積)の比を調節することで、それらを揃えることができることを示している。
【0053】
〔作動〕
図1に示すように矢印A方向に溶融はんだを送給すると、動圧が付加されてPi<Peとなって噴流波高はhi<heとなる。しかし、本実施例のように蛇行流路の流路長をLi>Leにすることによって、またdi<deにすることによって、それらを補正し噴流波高をhi=heにすることができる。
【0054】
したがって、蛇行流路体20を本実施形態例のように構成し、その流路長が矢印A方向へ進む程短くなるように構成し、また流路縦断面積を大きくなるように構成すれば、吹き口体10の吹き口11上に形成される噴流波高を均一に揃えることができるようになる。また、吹き口11各部における溶融はんだの圧力と流速が揃うようになるので流れが安定し、吹き口11各部の隣り合う流れの間の干渉が無くなって噴流波13の経時的安定性も良好となる。
【0055】
また、等流速形成部32の溶融はんだ送給口41から矢印A方向に送給される溶融はんだは、その流路縦断面積が徐々に小さくなるように構成してある。そのため、等流速形成部32を矢印A方向へ送給される溶融はんだの流速はその各部で同一の値となり、同一の流速で第1の反転流路25へ送給されるようになる。
【0056】
一方で、等流速形成部32には等流速形成板33を挟んで隣接する圧力調整室30を設けてあり、矢印A方向に沿って等流速形成部32と圧力調整室30とを連通する複数の圧力調整孔31を設けてある。なお、この圧力調整孔31の開口面積は、矢印A方向へ進む程すなわち等流速形成部32の流路縦断面積が小さくなる程それに合わせて小さくなるように形成してある。
【0057】
通常は、等流速形成部32を矢印A方向に送給される溶融はんだは、その流路縦断面積が徐々に小さくなるので矢印A方向へ進む程その動圧が高まる。しかし、等流速形成部32が圧力調整孔31を介して圧力調整室30に連通しているため、前記の動圧によって発生する等流速形成部32内の圧力の偏りを解消することができる。
【0058】
すなわち、圧力調整孔31以外の箇所では閉塞されている圧力調整室30内では溶融はんだが概ね静止しており、圧力調整室30各部の圧力は均一に保持されている。したがって、等流速形成部32の各部の圧力は圧力調整孔31により圧力調整室30の圧力と同じ圧力に開放されて均一化され、等流速形成部32内に圧力の偏りが発生することが解消される。
【0059】
このように、等流速形成板33により等流速形成部32の流速が均一化され、さらに圧力調整室30と圧力調整孔31により等流速形成部32の圧力も均一化される。
【0060】
その結果、この等流速形成部32と圧力調整室30の作用を前記の蛇行流路体20に対してカスケードに作用させることができるようになり、流速と圧力が均一に分布する溶融はんだを吹き口体10の吹き口11に送給して極めて均一で安定した噴流波13を形成することができるようになる。
【0061】
〔その他の変形例〕
本発明のはんだ付け噴流波形成装置の変形例について説明する。
【0062】
図1、図2および図3に例示した構成では、第2の蛇行流路形成板22と第4の蛇行流路形成板24の平面形状を台形状に構成して、蛇行流路の流路長が矢印A方向の位置を変数として直線的に変化するように構成しているが、第2の蛇行流路形成板22と第4の蛇行流路形成板24の斜め辺の形状を弧状等の曲線状に構成しても良い。
【0063】
すなわち、流路長Lの矢印A方向に対する分布は、補正対象となる噴流波高hの分布が均一になるように決めれば良い。
【0064】
また、図1、図2および図3に例示した構成では、第1の蛇行流路形成板〜第4の蛇行流路形成板の間隔が、矢印A方向の位置を変数として直線的に広くなるように構成しているが、この形状も弧状等の曲線状に構成しても良い。
【0065】
すなわち、蛇行流路の流路縦断面積の矢印A方向に対する分布は、補正対象となる噴流波高h(hi,he)の分布が均一になるように決めれば良い。
【0066】
さらに、図1、図2および図3に例示した構成では、吹き口体10の吹き口11形状が長尺状であり、その長手方向の端部側から溶融はんだを送給する構成例を示したが、長手方向の中央位置から溶融はんだを送給するように構成しても良い。その場合は、図1および図3に例示する構成が溶融はんだ送給口を中心にして対称に構成される。
【0067】
要するに、吹き口体10の吹き口11に送給される溶融はんだの流速と圧力の分布が均一になるように蛇行流路体20と等流速形成部32と圧力調整室30とを設ければ良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のはんだ付け噴流波形成装置は、多数の被はんだ付け部を有するプリント配線板内における各被はんだ付け部相互間のはんだ付け品質偏差や、同種複数のプリント配線板相互間におけるはんだ付け品質の偏差を小さくすることが求められる所謂「マイクロソルダリング実装」において高品質のはんだ付けを行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のはんだ付け噴流波形成装置を説明する斜視図。
【図2】図1のI−I端面を示す図
【図3】蛇行流路体と当流速形成部および圧力調整室の構成を説明する図
【符号の説明】
【0070】
10 吹き口体
11 吹き口
12 案内板
13 噴流波
20 蛇行流路体
21 第1の蛇行流路形成板
22 第2の蛇行流路形成板
23 第3の蛇行流路形成板
24 第4の蛇行流路形成板
25 第1の反転流路
26 第2の反転流路
27 第3の反転流路
28 第4の反転流路
30 圧力調整室
31 圧力調整孔
32 等流速形成部
33 等流速形成板
40 ポンプ
41 溶融はんだ送給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、
前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路長を短く形成して成ること、
を特徴とするはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項2】
吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、
前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路縦断面積を大きく形成して成ること、
を特徴とするはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項3】
吹き口体に溶融はんだ送給手段を接続して前記吹き口体の吹き口上に溶融はんだの噴流波を形成する装置であって前記吹き口体内を流れる溶融はんだの方向と前記溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの流れ方向とが相違する場合において、
前記吹き口と前記溶融はんだ送給手段との間に蛇行流路を有し、この蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路長を短く形成して成り、かつこの蛇行流路は前記溶融はんだ送給手段から前記吹き口へ送給される溶融はんだの送給圧力が大きい位置程その流路縦断面積を大きく形成して成ること、
を特徴とするはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項4】
溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの単位時間当たりの流量が小さい位置程その流路縦断面積を小さく形成した等流速形成流路を溶融はんだ送給手段と蛇行流路との間に設けたこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項5】
溶融はんだ送給手段から送給される溶融はんだの単位時間当たりの流量が小さい位置程その流路縦断面積を小さく形成した等流速形成流路を溶融はんだ送給手段と蛇行流路との間に設けると共に圧力調整室を前記等流速形成流路に隣接して設け、さらに前記等流速形成流路と前記圧力調整室とを連通する圧力調整孔を前記等流速形成流路に沿って複数設けたこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項6】
前記蛇行流路を1または複数の蛇行流路形成板で形成し、該蛇行流路形成板のうち少なくとも1枚を台形状とし、該台形状の蛇行流路形成板の底辺側を溶融はんだ送給手段の接続される側としたことを特徴とする請求項1または請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のはんだ付け噴流波形成装置。
【請求項7】
前記蛇行流路を複数の蛇行流路形成板で形成し、該複数の蛇行流路形成板の間隔を溶融はんだ送給手段の接続される側で小さく、最奥側で大きくしたことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載のはんだ付け噴流波形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−12477(P2010−12477A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172289(P2008−172289)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(390008497)日本電熱株式会社 (32)
【Fターム(参考)】