より新規形態の干渉RNA分子
【課題】生細胞の様な生物化学的環境内に於いて安定かつ活性である、合成干渉RNA分子を提供する。
【解決手段】2本鎖構造を含むリボ核酸であって、前記2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含み、この時第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして前記第1ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、また前記第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、このとき前記第2ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に同一であるものであり、そして前記2本鎖構造が平滑端を有するものであるリボ核酸。
【解決手段】2本鎖構造を含むリボ核酸であって、前記2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含み、この時第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして前記第1ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、また前記第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、このとき前記第2ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に同一であるものであり、そして前記2本鎖構造が平滑端を有するものであるリボ核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含むところの2本鎖構造物を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチ(stretch)を含み、そして前記第1ストレッチが標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が少なくとも標的核酸と少なくとも部分的に同一である連続するヌクレオチドである第2ストレッチを含んでなるリボ核酸、かかるリボ核酸の使用、かかるリボ核酸をそれぞれ含む細胞および生物、かかるリボ核酸を含有する組成物、かかるリボ核酸を含有する医薬組成物、ならびに標的遺伝子の発現を阻害する方法に関する。
【0002】
RNA−媒介干渉法(RNA-mediated interference:RNAi)は発現を抑制する遺伝子に相同な配列を持つ2本鎖RNA(dsRNA)により引き起こされる転写後遺伝子サイレンシング(post-transcriptional gene silencing)メカニズムである(Fire(1999年)、Trends Genet 15、358〜63、Tuschlら(1999年)、Genes Dev 13、3191〜7、Waterhouseら(2001年)、Nature 411、834〜42、Elbashirら(2001年)、Nature 411、494〜8、レビューとしてはSharp(2001年)Genes Dev 15、485〜90、Barstead(2001年)、Curr Opin Chem Biol 5、63〜6を見よ)である。RNAiは植物(Baulcombe(1999年)、CUrr Opin Plant Biol 2、109〜13)、線虫(Montgomeryら(1998年)、Proc Natl Acad Sci USA 95、15502〜7)、ショウジョバエ(Kennerdellら(1998年)、Cell 95、1017〜26、Kennerdellら(2000年)、Nat Biotechnol 18、896〜8)を含む様々な生物での遺伝子機能の決定に広く用いられている。線虫のC.Elegansでは、ゲノムの約3分の1が既にRNAiによる機能分析にかけられている(Kim(2001年)、Curr Biol 11、R85〜7、Madedaら(2001年)、Curr Biol 11、171〜6)。
【0003】
最近まで初期マウス発生(Wiannyら(2000年)、Nat Cell Biol 2、70〜5)を除き、一般にはRNAiは、ほ乳動物細胞に応用できなかった。ほ乳動物細胞へ21−ntの二本鎖をトランスフェクションすると遺伝子発現は妨害されるが、長鎖のdsRNAでよく起こる配列依存的なインターフェロン駆動性抗ウイルス反応は誘導されないことが見出され、分化したほ乳動物細胞でも新たに応用の可能性が出てきた(Elbashirら(2001年)、Nature 411、494〜8)。興味深いことに、これら小型の干渉RNAs(siRNAs)は長いdsRNAsの処理産物に似ており、分化したほ乳細胞には迂回メカニズムが存在している可能性が示唆されている。RNAseIIIファミリーの一つであり、初期dsRNA処理に必要なDicer複合体が同定されている(Bernsteinら(2001年)、Nature 409、363〜6、Billyら(2001年)、Proc Natl Acad Sci USA 98、14428〜33)。未修飾リボオリゴヌクレオチドを使用する際に経験する問題の一つは、これらが細胞内または血清含有培地においてさえ急速に分解することである(Wickstrom(1986年)、J Biochem Biophys Methods 13、97〜102、Gazenaveら(1987年)、Nucleic Acids Res 15、10507〜21)。それはトランスフェクションされたsiRNAが誘導する各ノックダウンが長期間維持されて表現系の変化を起こすか否かは、具体的な遺伝子機能および使用するアッセイシステムに依存している。
【0004】
本発明の根本的課題は生細胞の様な生物化学的環境内に於いて安定かつ活性である合成干渉RNA分子を提供することである。
【0005】
本発明の第1の局面では、この課題は2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含むことによる2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が少なくとも標的核酸と少なくとも部分的に同一である連続するヌクレオチドである第2ストレッチを含んでおり、また該2本鎖構造が平滑端部であるリボ核酸を提供することにより達成される。
【0006】
第2の局面では、本発明の根本課題は第1鎖および第2鎖を含む2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、該第1ストレッチおよび/または該第2ストレッチが18もしくは19ヌクレオチド長の長さを有するリボ核酸により解決される。
【0007】
発明の第1局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1ストレッチおよび/または第2ストレッチの長さは18もしくは19ヌクレオチドを有する。
【0008】
発明の第1局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、2本鎖構造は2本鎖の両側部が平滑端である。
【0009】
発明の第1局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造に平滑端を有する。
【0010】
発明の第1局面および第2局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の3’−末端および第2鎖の5’−末端により画定される2本鎖構造に平滑端を有する。
【0011】
第3の局面では、本発明の根本課題は第1鎖および第2鎖を含む2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、さらに2本の鎖の少なくとも1本が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有するものであるリボ核酸により解決される。
【0012】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、突出はリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される少なくとも1つのヌクレオチドから成る。
【0013】
本発明の第3局面によるリボ核酸のより好ましい実施態様では、ヌクレオチドは逆方向の塩基が脱落しているオリゴヌクレオチド、および2’−位置がNH2−修飾されているヌクレオチドを含む群から好ましくは選択される修飾を有する。
【0014】
本発明の第3局面によるリボ核酸の好適実施態様では、鎖の少なくとも1本は3’−末端にリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドからなる少なくとも1ヌクレオチドの突出を有している。
【0015】
本発明の第3局面によるリボ核酸の別の好適実施態様では、第1ストレッチおよび/または第2ストレッチは18もしくは19ヌクレオチド長を有する。
【0016】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、2本鎖構造は17〜21ヌクレオチド、好ましくは18〜19ヌクレオチド長を有する。
【0017】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、5’−端の突出は第2鎖にある。
【0018】
本発明の第3局面によるリボ核酸の好適実施態様では、第1鎖もまた突出を、好ましくは5’−末端に有している。
【0019】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、第1鎖の3’−末端は突出を含む。
【0020】
本発明の第3局面によるリボ核酸の別の実施態様では、5’−末端の突出は第1鎖にある。
【0021】
その好適実施態様では、第2鎖も突出を、好ましくは5’−末端に含む。
【0022】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、第1鎖の3’−末端は突出を含む。
【0023】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、リボ核酸の少なくとも1ヌクレオチドが2’−位置に修飾を有しており、そして該修飾は好ましくはアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群から選択される。
【0024】
第4の局面では、本発明の根本課題は2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該2本鎖構造が第1鎖と第2鎖を含むものであり、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、そして上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、
このとき
上記第1鎖および/または第2鎖は、2’−位置が修飾されている修飾ヌクレオチドの複数の群を含むものであり、また該鎖内に於いて各修飾ヌクレオチド群は片側部または両側部でヌクレオチドのフランキング群(flanking group)によりフランキングされており、ヌクレオチドのフランキング群を形成するフランキングヌクレオチドは未修飾ヌクレオチドか、または該修飾ヌクレオチドの修飾とは異なる修飾を有するヌクレオチドである、リボ核酸によって解決される。
【0025】
本発明の第4局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、リボ核酸は本発明の第1局面、第2局面または第3局面によるリボ核酸である。
【0026】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖および/または第2鎖は前記複数の修飾ヌクレオチドを含む。
【0027】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖は前記複数の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0028】
本発明の第4局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、前記第2鎖は前記複数の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0029】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの群および/またはフランキングヌクレオチドの群は、1〜10個のヌクレオチドを含む群より選択される数のヌクレオチドを含む。本明細書に記載の範囲に関しては、それぞれの範囲は、上記範囲を規定している2つの数字を含め、範囲の画定に用いたそれぞれの数字の間にある個々の整数を開示すると理解するものとする。従って上記の例では、群は1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチドおよび10ヌクレオチドを含む。
【0030】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別実施態様では、前記第1鎖の修飾ヌクレオチドのパターンは、前記第2鎖の修飾ヌクレオチドのパターンに同一である。
【0031】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、前記第1鎖のパターンは前記第2鎖のパターンに整合されている。
【0032】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖のパターンは第2鎖のパターンに対し1以上の数のヌクレオチドによりシフトしている。
【0033】
本発明の第4局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、修飾はアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群より選択される。
【0034】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本鎖構造は平滑端である。
【0035】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、2本鎖構造は両側部が平滑端である。
【0036】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造の側部が平滑端である。
【0037】
本発明の第4局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の3’−末端および第2鎖の5’−末端により画定される2本鎖構造の側部が平滑端である。
【0038】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本ある鎖の少なくとも1本が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を含む。
【0039】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、突出は少なくとも1つのデオキシヌクレオチドから成る。
【0040】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、少なくとも1本の鎖は3’−末端に少なくとも1つのヌクレオチドの突出を含む。
【0041】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、2本鎖構造の長さは17〜21、より好ましくは18もしくは19塩基である。
【0042】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖の長さ、および/または前記第2鎖の長さは互いに独立して約15〜約23塩基、17〜21塩基の範囲、および18もしくは19塩基を含む群から選択される。
【0043】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、前記第1鎖と標的核酸との間の相補性は完全である。
【0044】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖と標的核酸との間に形成される二本鎖は少なくとも15ヌクレオチドを含み、そのとき上記2本鎖構造を形成する第1鎖と標的核酸の間に1個または2個の不一致がある。
【0045】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖と第2鎖は共にそれぞれ修飾型ヌクレオチド群の少なくとも1つ、および少なくとも1つのヌクレオチドのフランキング群とを含み、この時修飾ヌクレオチドの各群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、そしてヌクレオチドの各フランキング群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第1鎖の修飾ヌクレオチドの各群は第2鎖上にあるヌクレオチドのフランキング群と整合しており、そして第1鎖の5’最末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群のヌクレオチドであり、第2鎖の3’最末端ヌクレオチドはヌクレオチドのフランキング群のヌクレオチドである。
【0046】
第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの各群は単一ヌクレオチドより成り、そして/または各ヌクレオチドのフランキング群は単一ヌクレオチドから成る。
【0047】
第4局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖に於いては、ヌクレオチドのフランキング群を形成するヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドに対し3’方向に配置されている非修飾ヌクレオチドであり、第2鎖上に於いては、修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドはヌクレオチドのフランキング群を形成するヌクレオチドに対し5’方向に配置されている修飾ヌクレオチドである。
【0048】
第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、第1鎖は8〜12、好ましくは9〜11の修飾ヌクレオチド群を含み、この時第2鎖は7〜11、好ましくは8〜10の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0049】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、標的遺伝子は構造遺伝子、ハウスキーピング遺伝子、転写因子、運動因子、細胞周期因子、細胞周期インヒビター、酵素、成長因子、サイトカインおよび腫瘍サプレッサを含む群より選択される。
【0050】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖および第2鎖はリープ構造で連結している。
【0051】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、ループ構造は非核酸ポリマーを含む。
【0052】
非核酸ポリマーの好適実施態様はポリエチレングリコールである。
【0053】
その別の実施態様では、ループ構造は核酸を含む。
【0054】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖の5’−末端は第2鎖の3−末端と連結している。
【0055】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖の3’−末端は第2鎖の5’−末端に連結している。
【0056】
第5局面では、本発明の根本課題は、標的の検証のために本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を使用することで解決される。
【0057】
第6の局面では、本発明の根本課題は、医薬の製造のために本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を使用することで解決される。
【0058】
本発明の第6局面による使用の好適実施態様では、医薬は神経膠芽腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌および白血病、糖尿病、肥満、心臓血管病、ならびに代謝性疾患を含む群から選択される疾患または状態の治療のためのものである。
【0059】
第7の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞によって解決される。
【0060】
第8の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する生物体、好ましくはノックダウン生物体によって解決される。
【0061】
第9の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する組成物により解決される。
【0062】
第10の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸、および医薬的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物により解決される。
【0063】
第11の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を標的遺伝子の発現を阻害するに十分な量で細胞内に導入することを含み、この場合標的遺伝子は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の標的遺伝子である、細胞内の標的遺伝子またはその誘導物の発現を阻害するための方法により解決される。
【0064】
本発明は、生物化学アッセイもしくは細胞環境の様な生物学的システムで一般的に見られる反応条件に於いて極めて特異的且つ活性であると同時に安定でもあるように小型の干渉RNAsを設計できるという驚くべき発見に基づいている。Tuschelら(国際特許出願WO 01/75164)の様な従来技術に記載の各種干渉RNAsは、21〜23ヌクレオチド長を有し、2本鎖RNAの3’末端が修飾されている。驚くべき事に、本明細書に於いて以後通常RNAiと呼ぶ小型干渉RNA(siRNA)を含めた干渉RNAの安定性に関する問題が、実際には従来考えられていた様なエクソヌクレアーゼによる攻撃というよりはエンドヌクレアーゼの攻撃に拠ることが発明者により見出された。この発見に基づいて発明者は本出願に係る幾つかの戦略を認知した。
【0065】
従って本発明は、新規形態の干渉RNAに関する。RNAiは2本鎖構造を含むリボ核酸より成る。上記2本鎖構造は第1鎖および第2鎖から形作られる。上記第1鎖は、本明細書に於いては連続ヌクレオチド第1ストレッチとも呼ばれる連続するヌクレオチドのストレッチを含み、そしてこの第1ストレッチは標的核酸と少なくとも一部が相補的である。上記第2鎖もまた連続するヌクレオチドのストレッチを含み、このとき上記第2ストレッチは標的核酸と部分的に同一である。このリボ核酸の極めて基本的な構造を図1に概略的に示す。上記第1鎖および上記第2鎖は好ましく相互にハイブリダイズして2本鎖構造を形作る。ハイブリダイゼーションは一般的にはワトソンクリックの塩基対合により生ずる。しかし、発明のリボ核酸は上記2本鎖構造に対するその長さに関し必ずしも限定されない。RNAiを形成するそれぞれの鎖および鎖の各端部には、さらにヌクレオチドが付加されるだろう。第1ストレッチおよび第2ストレッチの具体的な配列によっては、ハイブリダイゼーションまたは塩基対合が完全もしくは完璧なものである必要はなく、即ち第1および第2ストレッチが不一致により塩基が100%対合しなくともよい。二本鎖内に1以上の不一致があってもよい。上記不一致は15、16または17個であることが好ましいぴったり合わさったヌクレオチドのストレッチの外側にある場合には、RNAi活性に影響しない。不一致により15個未満の連続したぴったり合わさったヌクレオチドのみ生ずる場合、問題の標的のmRNAのダウンレギュレーションに関するRNAi分子の活性は17個のぴったり合わさったヌクレオチド二本鎖に比べ低いのが一般的である。
【0066】
第1鎖の連続ヌクレオチド第1ストレッチは標的核酸に対し、より好ましくは標的核酸の一部に対し実質的に相補的である。ここで用いる相補的とは、好ましくは第1鎖のヌクレオチド配列が標的核酸配列もしくはその一部の核酸配列とハイブリダイゼーションすることを意味する。典型的には、標的核酸配列または標的核酸は、干渉リボ核酸の作用様態に応じて、単鎖RNA、より好ましくはmRNAである。かかるハイブリダイゼーションは最も一般的にはワトソンクリック塩基対合により生ずると思われるが、しかしそれに限定されるものではない。上記第1鎖および、より特には上記第1鎖の連続ヌクレオチドの第1ストレッチが標的核酸配列に対し相補的である程度は、最高100%、最低80%であり、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは90〜100%である。最適な相補性は95〜100%であろう。この意味に於いて相補性とは、上記ヌクレオチドの範囲が、例えばヌクレオチドの80〜100%が、明示した範囲が完全にワトソンクリック塩基対合することを意味する。本発明の一局面に於いては、上記ヌクレオチドの第1ストレッチと標的RNAとの間の相補性は18〜19ヌクレオチドでなければならず、たった17ヌクレオチドのストレッチでは、配列特異的突出が2つある場合でもRNAiを媒介するにおいて機能的でない。従って、二本鎖が19ヌクレオチドまたは塩基対の長さを有している場合は、最低17ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対が相補的であり、2ヌクレオチドが不一致であることが許容される。20ヌクレオチドまたは塩基対より成る二本鎖の場合は、17ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対の相補性が許容可能であり、機能的であろう。同じ事は、合計17の相補的ヌクレオチドまたは塩基対を有する21ヌクレオチドまたは塩基対の2本鎖にもあてはまる。基本的には、2本鎖、即ち2本鎖構造の長さに対し求められる相補性の強さは、ここに記載の2本鎖構造によるか、または第1鎖の第1ストレッチと標的核酸の複合体により形成される複合体の融点にも依存する。
【0067】
本発明のリボ核酸は全て、例えば国際特許出願WO99/32619、WO00/44895およびWO01/75164に記載されているようなRNA介在干渉を起こすこと、または関係することに好適であると理解すべきである。
【0068】
干渉リボ核酸分子を本発明に従い設計する場合の第1戦略は、標的核酸に対し相補的である18または19ヌクレオチドの最適長ストレッチを有することである。18または19ヌクレオチドの上記最適長が、使用するRNAiの2本鎖構造の長さそのものである場合も本発明の範囲内である。この長さの要件は、例えば国際特許出願WO01/75164のような先行技術の技術教示とは明らかに異なる。本発明および先行技術に記載されている、上記の特徴の長さ、即ち18または19ヌクレオチドの長さを持つ干渉リボ核酸と結びつき実現できるその他設計も、本発明の範囲内である。
【0069】
干渉リボ核酸分子を設計する場合の第2の戦略は、第1鎖に、本明細書では自由5’OH−基とも呼ばれる自由5’ヒドロキシル基を有することである。自由5’−OH基とは、第1鎖を形成している最端のヌクレオチドが、修飾されない状態、特に末端修飾されていない状態で存在していることを意味する。典型的には、第2鎖の末端の5’−ヒドロキシ基もそれぞれ非修飾の様式で存在する。より好ましい実施態様では、第1鎖および第1ストレッチの3’−末端もそれぞれ非修飾型であり、本明細書では自由3’−OH基とも呼ばれる自由OH−基を提示しており、この時5’末端のヌクレオチドの設計は前記実施態様のいずれか1項に記載のものである。かかる自由OH−基は第2鎖および第2ストレッチの3’−末端にもそれぞれ存在するのが好ましい。本発明による前記リボ核酸分子の別実施態様では、第1鎖および第1ストレッチの3’−末端それぞれ、ならびに/または第2鎖および第2ストレッチの3’−末端それぞれは3’末端に末端修飾を有しても良い。
【0070】
本明細書では、用語自由5’OH−基及び3’OH−基は、ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端それぞれにある各最端ヌクレオチドがOH−基であることも示している。かかるOH−基はヌクレオチドの糖部分より、より好ましくは5’OH−基の場合には5’位置より、3’OH−基の場合には3’位置より生ずるか、または各末端ヌクレオチドの糖部分に結合したリン酸基から生ずるだろう。リン酸基は原則的にはヌクレオチドの糖部分のいずれかの5’OH−基に結合する。好ましくは、リン酸基は自由5’OH−基の場合には糖部分の5’OH−基、および/または自由3’OH−基の場合には糖部分の3’OH−基に結合するが、これらについても本明細書では自由5’または3’OH基と呼ぶ。
【0071】
本明細書では、ここに開示したRNAiの設計のための戦略またはRNAiの実施態様により用いる場合、末端修飾という用語は第1および/または第2鎖の最端5’または3’ヌクレオチドに化学的実在が付加されることを意味する。かかる末端修飾の例としては、とりわけても欧州特許EP 0 586 520B1またはEP 0 618 925 B1に記載の如くに逆方向(デオキシ)脱塩基(abasics)、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボン酸塩、チオアート、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルキアリール(alkaryl)もしくはアラルキル、OCF3、OCN、O−、S−もしくはN−アルキル;O−、S−もしくはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2、N3;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルキアリール;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノまたは置換シリルを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用する場合、アルキルまたは「アルキル」を含む用語は、1ないし12個、好ましくは1ないし6個、より好ましくは1ないし2個のC原子を含む炭素原子鎖を意味する。
【0073】
別の末端修飾はビオチン基である。かかるビオチン基は、第1鎖および/または第2鎖の最端5’または3’ヌクレオチド、あるいはその両端に結合するのが好ましいだろう。より好ましい実施態様では、ビオチン基はポリペプチドまたはタンパク質に結合する。ポリペプチドまたはタンパク質がその他前記末端修飾のいずれかを介して結合しているものも、本発明の範囲内である。ポリペプチドまたはタンパク質は本発明の核酸分子に更なる特徴を付与してもよい。わけてもポリペプチドまたはタンパク質は他の分子に対するリガンドとして作用してもよい。前記その他分子がレセプターの場合には、レセプターの機能および活性が結合リガンドにより活性化されてもよい。レセプターは内部化(internalization)インターナリゼーション活性を示してもよく、これによりリガンドに結合した発明核酸分子の効率的なトランスフェクションを可能にするだろう。発明の核酸分子に結合させるリガンドの例はVEGFであり、それに対応するレセプターはVEGFレセプターである。
【0074】
様々な末端修飾を有する本発明のRNAiについて考え得る各種実施態様を次表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
ここの開示した各種末端修飾は、リボ核酸のヌクレオチドのリボース部分に位置することが好ましい。より具体的には、末端修飾は修飾されるヌクレオチドが末端ヌクレオチドであることを前提として2’OH、3’OHおよび5’OHを含むが、これらに限定されずにリボース部分のいずれかのOH−基と結合するか、又は置換するものとする。逆方向脱塩基(inverted abasics)は、ヌクレオ塩基部分を有さないデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドである。この種の化合物は、特にSternbergerら、(2002)、Antisense.Nucl.Ac.Drug Dev、印刷中に記載されている。
【0077】
いずれの前記末端修飾も表1に記載のRNAiの各種実施態様と結びつけて用いても良い。これに関連して、好ましくは末端修飾を有している、より好ましくは5’末端で有していることによりセンス鎖が不活性化されているここに記載のRNAiまたは実施態様は、特に有利である。この利点は、ここに記載のリボ核酸第2鎖に対応するセンス鎖の不活性化に起因するものであり、そうしない場合には細胞内にある無関係の単鎖RNAに干渉するだろう。それ故に、発現、およびより具体的には細胞のトランスクリプトームの翻訳パターンにより特異的に影響する。この効果はオフターゲット(off-target)効果とも呼ばれる。表1を見ると、実施態様7および8として描かれたこれら実施態様が上記の意味に於いて特に有利であるが、それは修飾によって−標的非特異的な−RNAi部分(第2鎖である)が不活性化され、その結果本発明のRNAiを用いて特定のリボ核酸およびタンパク質をそれぞれノックアウトする細胞または同様のシステムでの単鎖RNAと第2鎖との非特異的な相互作用を減らせるからである。
【0078】
本発明に関する第3の戦略は2本鎖構造を含むリボ核酸を実現することであり、この場合の2本鎖構造は第1鎖と第2鎖とを含み、この時第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、かつ前記第1ストレッチは少なくとも一部が標的核酸に対し相補的であり、そして第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、この時前記第2ストレッチは少なくとも一部が標的核酸と同一であり、そして2本鎖構造の端部は平滑である。本記載と関連つけて用いる場合には、2本鎖構造という用語は二本鎖とも称される。従ってRNAiのこの設計は、例えば3’−突出を開示した国際特許出願WO 01/75164の中に明示されている、Tuschlらのものとは明らかに異なる。本明細書で用いる場合、突出とは一方の鎖の少なくとも一端が、共に2本鎖を形成しているもう一方の鎖、本明細書ではカウンター鎖とも呼ぶ鎖の対応する端部よりも長い2本鎖構造を表している。好ましくは、第1ストレッチは第1鎖と同一であり、第2ストレッチは第2鎖と同一である。
【0079】
平滑端を持つRNAiの有効性および各リボ核酸のそれぞれ第1もしくは第2鎖のいずれか、または両鎖の端部修飾の利点を考慮すると、両方の設計原理を組み合わせることが好ましい。換言すると、平滑端RNAiに表1に示したような末端修飾スキームを持たせることは、本発明の範囲内である。
【0080】
本発明に関する第4の戦略は、リボ核酸の5’−末端に突出を持たせることである。より具体的には、かかる突出は原則的には本発明によるリボ核酸の第1鎖および第2鎖のいずれか、または両方に存在できる。前記突出の長さは、1ヌクレオチドと短いもの、および2ないし8ヌクレオチド長、好ましくは2、4、6または8ヌクレオチドである。5’突出が本明細書によるリボ核酸の第1鎖および/または第2鎖上にある場合も、本発明の範囲内である。突出を形成するヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその連続物でよい。
【0081】
突出は少なくとも1つデオキシリボヌクレオシドを含むことが好ましく、前記1つのデオキシリボヌクレオチドはその最5’末端にあるのが好ましい。発明のリボ核酸の各カウンター鎖の3’末端が突出、より好ましくはデオキシリボ核酸の突出を有しないことも本発明の範囲内である。この場合も、発明のリボ核酸は表1に関係し概要を示した末端修飾スキームおよび/またはここに概要を示した末端修飾を含んでもよい。
【0082】
本出願の干渉リボ核酸の設計に関する第5の戦略は、少なくとも1つの鎖、より具体的には本発明のリボ核酸の連続ヌクレオチドのストレッチの1つの上に特定パターンの修飾ヌクレオチドを形成せしめることである。前記ヌクレオチドの修飾の種類は、ここに開示した干渉RNAを設計するために他の戦略と関係して論じたものと同一でもよく、そしてより具体的には末端修飾のために、または末端修飾としてここに記載した種類の修飾、例えば本出願によるリボ核酸を形成する少なくとも1ヌクレオチドのリボース部分での逆方向脱塩基、メトキシまたはアミノ等である。前記ヌクレオチドの修飾は本明細書記載のいずれかの形態の修飾でよく、より具体的には本明細書に末端修飾として記載される種類の修飾でよいが、いわゆる末端修飾は末端ヌクレオチドに局在する必要はないことに注意すべきである。むしろ修飾は末端ヌクレオチド以外に行う。かかる条件では、修飾は修飾ヌクレオチドのリボース部分に結合するのが好ましく、より更に好ましくはリボース部分の2’位置に結合する。
【0083】
この戦略に従い設計されたリボ核酸も、ここに開示した他の設計戦略のいずれかにより、本出願のリボ核酸に付与される特徴を有することが、また本発明の範囲内である。従って、あるパターンの修飾ヌクレオチドを有する干渉リボ核酸は末端修飾を有し、末端修飾スキーム計画は平滑端であっても、または5’突出を有しても良く、あるいはこれら要素または特徴の2つ以上の組み合わせでもよい。
【0084】
末端修飾または修飾パターンとして表される前記修飾とは別に、リボ核酸の主鎖(backbone)についてヌクレオチド間に各種連結を形成せしめることで更に修飾してもよい。かかる各種連結としては、特に欧州特許EP 0 586 520 B1および欧州特許EP 0 618 925 B1に記載のものがある。本発明において特に興味深いものは、リボオリゴヌクレオチドに高いヌクレアーゼ耐性を付与することが示されているリボ核酸主鎖の内部修飾である。好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの修飾はヌクレオチドのリボース部分の2’−OH−基のメトキシル化である。
【0085】
好適実施態様では両鎖、より具体的には第1ストレッチおよび第2ストレッチの両方が、前記鎖およびストレッチを形成するヌクレオチドにこの種の修飾が存在する。しかし、第1鎖および第1ストレッチそれぞれ、または第2鎖および第2ストレッチそれぞれ一方がこの特別なヌクレオチド修飾パターンを示す場合も、本発明の範囲内である。本明細書で用いる場合、修飾ヌクレオチド群またはヌクレオチドのフランキング群という用語は、1程度のヌクレオチド、即ち1以上のヌクレオチドを含むか、または表している。
【0086】
連続ヌクレオチドのストレッチを考える場合、ストレッチを形成するヌクレオチドは、単一ヌクレオチドまたは標準的なリン酸ジエステル結合を介して、または少なくとも一部がホスホロチオナート結合を介して相互に共有結合しているヌクレオチド群がかかる種類の修飾を示すような修飾パターンを取ってもよい。かかるヌクレオチド、またはここでは修飾ヌクレオチド群とも呼ばれるヌクレオチド群が前記ストレッチの5’−末端または3’−末端を形成しない場合には、前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド群の修飾を持たないヌクレオチドの両側にヌクレオチドまたはヌクレオチド群が続く。しかしこの種のヌクレオチドまたはヌクレオチド群が別の修飾を有してもよいことに注意すべきである。この種のヌクレオチドまたはヌクレオチド群は、本明細書ではヌクレオチドのフランキング群ととも呼ばれる。修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド群それぞれのこの配列、および非修飾または異なる修飾が施されたヌクレオチド、あるいは非修飾または異なる修飾が成されたヌクレオチド群は1回、または複数回繰り返しても良い。好ましくは、配列は1回より多く繰り返す。より明瞭にすることを目的として、次にパターンについて、修飾ヌクレオチドの群または非修飾ヌクレオチドの群を一般的に参照しながら詳しく説明するが、この場合前記の各群は実際には1ヌクレオチド程度のヌクレオチドを含んでもよい。ここで用いる非修飾ヌクレオチドとは各ヌクレオチドまたはヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドに前記修飾がないこと、あるいは修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド群のそれとは異なる修飾を有することを意味する。
【0087】
非修飾ヌクレオチドが実際には修飾ヌクレオチドの修飾とは別の方法で修飾される非修飾ヌクレオチドの修飾が、前記非修飾ヌクレオチドを形成する各種ヌクレオチドまたはヌクレオチドの各種フランキング群に関し同一である場合も、または異なる場合さえも本発明の範囲内である。
【0088】
修飾および非修飾ヌクレオチドのパターンとしては、鎖またはストレッチの5’−末端ヌクレオチドがヌクレオチド修飾群から開始しても、またはヌクレオチドの非修飾群から開始してもよい。しかし、別の実施態様では、5’−末端ヌクレオチドがヌクレオチドの非修飾群で形成することも可能である。
【0089】
この種のパターンを、干渉RNAの第1ストレッチもしくは第2ストレッチ、またはその両方で実現してもよい。siRNAの機能には、siRNA二本鎖の標的−相補的な鎖に5’リン酸基があることが必要であることに注意が必要であり、このことは細胞が自由5’OH(リン酸化できる)を介してsiRNAの真偽性をチェックし、そしてそのような真性siRNAのみを標的RNAの破壊に方向付けすることを示唆している(Nykanen,et al。(2001年)、Cell 107、309〜21)。
【0090】
第1ストレッチはある種類のパターンのヌクレオチド修飾および非修飾群、即ち修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群のパターンを示し、一方第2ストレッチはこの種類のパターンを示さないことが好ましい。これは第1ストレッチが、RNA干渉現象の基礎を成す標的−特異的分解プロセスにとって実際的により重要であり、かつ特異性の理由から第2ストレッチはRNA干渉の媒介において機能しないように化学的に修飾できる限りに於いて有用であろう。
【0091】
しかし、第1ストレッチと第2ストレッチが共にこの種のパターンを有するものも本発明の範囲内である。修飾および非修飾のパターンは第1ストレッチおよび第2ストレッチの両方に対し同一であるのが好ましい。
【0092】
好適実施態様では、第2ストレッチを形成し、且つ第1ストレッチのヌクレオチドの修飾群に対応しているヌクレオチドの群もまた修飾されており、一方第2ストレッチの、または第2ストレッチを形成するヌクレオチドの非修飾群は第1ストレッチの、または第1ストレッチを形成するヌクレオチドの非修飾群に対応している。この可能性を図2Aに概略的に示した。さらには、第1ストレッチおよび第1鎖それぞれの修飾パターンが第2ストレッチおよび第2鎖それぞれの修飾パターンに対して位相シフトするものがある。好ましくは、第1鎖のヌクレオチドの修飾群が第2鎖のヌクレオチドの非修飾群と対応し、その逆もまた同じになるようにシフトするのが好ましい。この可能性を図2Bに示す。修飾のパターンの位相シフトが完全ではないが、図2に例示するように重複するものも、本発明の範囲内である。
【0093】
好適実施態様では、鎖およびストレッチそれぞれの末端にある第2ヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドであるか、または非修飾ヌクレオチド群の先頭である。好ましくは、この非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は第1鎖および第2鎖それぞれの5’−末端に位置しており、より好ましくは第1鎖の5’−末端に位置する。更に好適な実施態様では、非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は第1鎖および第1ストレッチそれぞれの5’−末端に位置する。好適実施態様では、修飾および非修飾ヌクレオチドは1つずつ交互に配置するパターンを構成する。
【0094】
本発明のこの局面に関する更に好適な実施態様では、問題の干渉リボ核酸は2本の鎖を含み、このとき2’−O−メチル修飾ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチド、好ましくは2’−O−メチル修飾されていないヌクレオチドが両方の鎖に、交互になるように組み込まれており、即ち1ヌクレオチド毎に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとなる。換言すると、第1鎖では1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドの後に非修飾ヌクレオチドが続き、その次に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが続き、これを繰り返すことを意味している。2’−O−メチル修飾および非修飾から成る同一の配列が第2鎖にも存在しており、この時第1鎖の2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが第2鎖の非修飾ヌクレオチドと塩基対合し、その逆も同様になるような位相シフトがあることが好ましい。この特別な配置、即ち両鎖の2’−O−メチル修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとが塩基対合することは、短い干渉リボ核酸、即ち短い塩基対合2本鎖リボ核酸の場合には特に好ましいが、それは本発明を特定の理論と結びつけることを望むわけではないが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが2塩基対合するとその間に特別な反発力が働き、かかる二本鎖、特に短い二本鎖を不安定にすると推定されるからである。前記特別な配置に関しては、アンチセンス鎖が5’端について2’−O−メチル修飾ヌクレオチドから開始し、従って第2ヌクレオチドが非修飾型の場合は、第3、第5、第7といったヌクレオチドは再び2’−O−メチル修飾されており、一方、第2、第4、第6、第8といったヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドである。この場合も特別な理論と結びつけることを望まないが、修飾を含まないとするアンチセンス鎖の5’末端にある第2、場合によっては第4、第6、第8および/または同様の位置は特別重要であるのに対し、5’最末端ヌクレオチド、即ちアンチセンス鎖の最初の5’末端ヌクレオチドはかかる修飾を示すものであり、アンチセンス鎖の第1、場合により第3、第5および同様の奇数位置は修飾されると考えられる。別の実施態様では、修飾および非修飾ヌクレオチドそれぞれの修飾および非修飾それぞれは、本明細書に記載のいずれのものでもよい。
【0095】
これに限定されないが、発明のリボ核酸の、二本鎖とも呼ばれる2本鎖構造は、第1鎖および第2鎖それぞれによって、または連続ヌクレオチドの第1および第2ストレッチによって形成される。第1ストレッチおよび第2ストレッチそれぞれの長さは、典型的には約15〜約23、好ましくは約17〜21、より好ましくは18もしくは19塩基である。これに関連して、30ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは21ヌクレオチド未満の長さは、基本的にRNA干渉およびインターフェロン反応を示すことができ、インターフェロン反応を発生できる生物学的システムをもたらすことはない。その理由は、30塩基対より長い2本鎖RNAが結合し、プロテインキナーゼPKRおよび2’、5’−オリゴアデニニレート合成酵素を活性化した時に、ある種の細胞が大きな生理学的変化を被ったという観察に基づいている。活性化PKRはeIF2aのリン酸化を介して翻訳を停止、活性化2’,5’−ASはmRNAの分解を引き起こす。これら作用は、標的特異的な表現形のノックダウンの効果を無効にしてしまうため、標的の検証および動物モデルについては望ましくない。
【0096】
本発明の干渉リボ核酸の設計に関する第6の戦略によれば、リボ核酸は2本鎖構造を含み、このとき2本鎖構造は第1鎖および第2鎖を含むものであって、第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして前記第1ストレッチは少なくとも一部が標的核酸に対し相補的であり、そして第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、前記第2ストレッチは少なくとも一部が標的核酸と同一であり、そして第1鎖の末端の1つと第2鎖の末端の1つがループ構造により連結している。
【0097】
実施態様の1つでは、ループ構造は非核酸ポリマーを含む。かかる非核酸ポリマーはポリエチレングリコールまたは同様のポリマーでもよい。非核酸ポリマーは、原則的にはポリヌクレオチドを含まず、そして連結する2本の鎖を実際に相互にハイブリダイゼーションさせることができるポリマーを含む群から選択されるだろう。かかるハイブリダイゼーションを可能にするために、相互にハイブリダイゼーションする2本のストレッチを連結する分子またはその部分は、分子が曲がれるようにして2本のストレッチが接近できるようにし、且つハイブリダイゼーション可能な3次元的に配置できる特定の分子構造または分子柔軟性を持たなければならない。この種の分子または分子部分は実際にはヒンジとして機能する。原則的には、この条件を満たす分子であればいずれの分子も本発明に用いることができるだろう。ポリエチレングリコール以外にはアミノ酸をベースとする分子を使用してもよい。この種のアミノ酸をベースとする分子はホモポリマーまたはヘテロポリマーのいずれでもよい。有用例は7個のグリシン残基から成るホモポリマーであり、これらグリシン残基は2本のストレッチを必用に応じて近接させてハイブリダイゼーションさせるのに必用なヒンジを生成できる。このグリシンをベースとするヒンジは、例えばGuan K.L.とDixon J.E.(1991年)、Anal Biochem.192、262に記載されている。別の実施態様では、ヒンジは当分野既知のクラウンエーテルにより形作られても良い。
【0098】
別実施態様では、ループは核酸を含む。本明細書で使用する場合、ElayadiとCorey(2001年)Curr Opin Investig Drugs.2(4):558〜61.総説;Orum and Wengel(2001)Curr Opin Mol Ther.3(3):239〜43;に記載されているLNA、およびPNAは核酸と見なされ、そしてループ形成ポリマーとして用いても良い。基本的には第1鎖の5’−末端は第2鎖の3’−末端と連結するだろう。あるいは、第1鎖の3’−末端が第2鎖の5’−末端に連結してもよい。前記ループ構造を形成しているヌクレオチドの配列は一般的には重要とは考えられていない。しかし、かかるループを形成するヌクレオチド配列の長さは立体上の理由から重要と思われている。従って必用とされるループ構造を形成するのに適当な最低長は4ヌクレオチドと考えられている。原則的には、ヒンジまたはハイブリダイゼーションする両ストレッチ間のヒンジまたは連結を形作るヌクレオチドの最大数に制限はない。しかし、ポリヌクレオチドが長くなるほど、二次および三次構造が形成されやすくなり、その結果ストレッチに求められる方向性に影響が出てくる。好ましくはヒンジを形成するヌクレオチドの最大数は約12ヌクレオチドである。上記いずれかの設計と上記6つの戦略とを組み合わせること、即ち2本の鎖をループ構造または同様の構造を通して折り返す(ループ)ことができる様に共有結合により連結することもまた本明細書の開示の範囲内である。
【0099】
本発明者は驚くべきことにループをアンチセンス鎖、即ち本発明のリボ核酸の第1鎖の3’に配置すると、この種のRNAの活性がアンチセンス鎖の5’にループを配置した場合に比べ高くなることを見いだした。従って、アンチセンス鎖およびセンス鎖、即ちそれぞれ第1鎖および第2鎖に対する特別なループの配置が重要であり、従ってこのことは方向性が重要ではないという従来表明されていた考え方とは対照的である。しかし、このことは、ここに示す実験結果を考えれば真実ではないと考えられる。先行技術での理解は、RNAiがその間にループによらず連結されるRNAiが生成されるプロセッシングにかけられることを想定していた。しかし、たとえそうであっても、アンチセンスの3’に配置されたループを有する構造に明瞭に観察される活性増加を説明できない。この限りに於いては、この種の小型干渉RNAiの5’から3’方向における好ましい配置は、第2鎖−ループ−第1鎖である。各構築物は好適ベクターシステム内に組み込んでも良い。好ましくは、ベクターはRNAiの発現に関するプロモータを含む。好ましくは、各プロモータはpol IIIであり、より好ましくは、プロモータはGood et al.(1997年)Gene Ther、4、45〜54に記載のU6、H1、7SKプロモータである。
【0100】
干渉RNA、従ってmRNAの様なコーディングヌクレオチドのノックダウンもしくはノックアウトの概念の応用性が広範であるが故に、かかるRNAを生ずる遺伝子を、本発明のリボ核酸分子の何れかを用いその発現を修飾してもよい。このメカニズムは基本的かつ広く応用できるため、このメカニズムに基づいて、遺伝子のノックダウンまたはノックアウトを包含する応用を実現できる。好ましい応用は、発明のリボ核酸を標的の検証に使用することである。本明細書で使用する場合、標的の検証とはあるDNA、RNAまたはタンパク質分子が生物学的プロセスに直接関係していることを証明するためのステップをとることを包含している工程を意味し、好ましくは病気または標準的でない−原因的な−状態に関わるプロセスであり、従って好適な標的は新規の治療化合物の開発である。配列の相同性研究により遺伝子を標的のファミリーに分類することに成功している。病気に関して重要な役割を果たすものがこれら標的のどれであるか解明すること、続く医薬品開発に利用すべきものを解明するための厖大な作業は効率的に行う必用がある。それ故に遺伝子発現のノックダウンは50〜100%、好ましくは90%に下げて、表現形への有意な影響を調べる必用がある。その他の例では、遺伝子によっては、表現形の発生にせいぜい20%のノックアウトでも十分な場合がある。表現形は機能的RNAi分子を含む細胞を、機能的でないRNAi分子を含む細胞とを比較し画定できる。これにより、タンパク質の機能が一部のみ阻害された状態でも、有意な読み出しが保障されるだろう。一般的には、mRNAの減少と表現形の変化の大きさとの間に直線的な関連性はない。一部のタンパク質に関しては、タンパク質が約20%減少しただけでも表現形に大きな変化が生じるが、一方他の遺伝子およびRNAでは、それぞれ5ないし10%程度のタンパク質が残っていても観察される表現形は十分維持される。
【0101】
本発明のリボ核酸分子の更なる用途は、医薬の製造への使用、または医薬としての使用である。かかる医薬は、遺伝子およびその産物が病気の発症、原因または進行と関係している、例えば癌の様な病気または状態の治療および/または予防のいずれかに使用できる。更に、かかる医薬は遺伝子産物の存在または過剰発現が病理学的表現形の原因である病気の処置にも用いることができる。好適実施態様では、病気は対応する生物学的に活性であるRNAiの適用または投与により機能を獲得することを特徴とし、そして処置される。ここに開示したリボ核酸を含む医薬により処置される病気または状態は、癌、心臓病、代謝疾患、皮膚疾患、炎症性疾患、免疫系障害、および自己免疫疾患を含む群から選択されてもよいだろう。各種形態の癌としては、固形癌および膠芽腫の様な造血系の腫瘍、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌および白血病を挙げられるが、これらに限定されない。代謝疾患としては肥満および糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。皮膚疾患としては乾癬があげられるが、これに限定されない。
【0102】
別の局面では、本発明のリボ核酸分子は診断、好ましくは上記の疾患および状態に関連して特定される病気の診断に用いられる。この様な診断は、細胞を含むことが好ましいサンプルに本発明のリボ核酸分子を適用したときの、サンプル発現パターンの変化を観察することに基づくだろう。かかるサンプルは前記の治療対象となる病気又は状態を罹っているか、またはそれに関する素因を有すると思われる被験者に由来する細胞を含むことが好ましい。
【0103】
本発明の核酸の更なる応用は、医薬的に活性な化合物のスクリーニングおよび/または最適化への使用である。後者は低分子等の候補薬物の効果をモニタリングまたは決定し、前記候補薬物が発揮する効果と、ここに開示した原則に基づき設計された特異的RNAi投与時に観察される効果とを比較するようにして行われる。こうすることでスクリーニング工程から標的外作用を有する候補薬物を排除でき、同時に同様または同一の表現系を作り出す候補薬物は有望なリード化合物と見なすことができ、場合によってはそれ自体が医薬的に活性な化合物であることもあるだろう。この方法では、高い特異性を有するRNAi分子は、候補薬物の測定に於けるゴールドスタンダードとして機能する。
【0104】
別の局面では、発明はここに開示のリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞に関する。かかる細胞は単離された、または生体内に再度戻されないことが好ましい、組織内または器官内に含まれる細胞であることが好ましい。しかし、細胞は生体内に含まれるものでもよい。細胞は発明のリボ核酸による処置の対象となる病気または状態に関係する細胞であることが好ましい。この種のノックダウン細胞は、機能的な関連性を評価する、または下流の標的を決定するために、例えばmRNAもしくはタンパク質に基づく発現プロフィールを作製するのに使用してもよい。
【0105】
別の局面では、発明はここに開示のリボ核酸を含む生物に関する。好ましくは、かかる生物は脊椎動物であり、より好ましくは該脊椎動物は哺乳動物である。ここでいう哺乳動物とは、とりわけてもサル、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、モルモット、ウサギ、マウス、ラットおよびヒトであるが、これらに限定されない。
【0106】
さらに別の局面では、本発明は本発明のリボ核酸を含む組成物に関する。好ましくは、かかる組成物は陰性および陽性コントロールと有効なリボ核酸とを組み合わせた形態、または別々の形態で含んでいる。かかる組成物はさらに溶媒、好ましくは緩衝液を含んでも良い。
【0107】
別の局面では、本発明は本発明のリボ核酸および医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。医薬的に許容可能な担体は当業者公知であり、とりわけ希釈剤、緩衝剤等を含む。医薬組成物はさらに医薬的に活性な化合物を含んでも良い。本発明のリボ核酸分子を用いた処置の対象が病気または状態である場合、前記化合物は既に前記の病気または状態の処置に関連して用いられているものであることが好ましい。本発明のリボ核酸と、先行技術の前記病気および状態の処置に用いられている医薬の作用モードが異なる場合には、相乗効果が得られることもあるだろう。
【0108】
次に発明を、本発明のその他特徴、実施態様および利点を表す図面および実施例を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本明細書で用いた用語を規定する概略図。2本ある鎖の内、上の鎖は第1鎖であり、mRNAの様な標的となる核酸のアンチセンス鎖である。第2鎖は標的となる核酸に実質的に対応する配列を持つ鎖であり、従ってセンス鎖を形作っている。両鎖、即ち第1鎖と第2鎖は、典型的にはワトソンクリック塩基対合により2本鎖構造を形成する。
【図2A】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されている(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1鎖のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上でも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図2B】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されている(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1差のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上でも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図2C】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されているが(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1差のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上にも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図3A】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックダウン実験の結果。より具体的には図3Aは各種形状の末端を保護されたRNAi分子がPTEN mRNAのノックダウンに機能しうることを示している。
【図3B】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックアウト実験の結果。結果が図3Aに描かれている、実験に使用した各種RNAi分子の配列を表している。
【図3C】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックアウト実験の結果。PTEN特異的アンチセンス構築物と比較した、修飾RNAi分子で処理した後のPTENタンパク質のイムノブロット分析結果を表している。
【図4A】RNAi分子の3’突出がRNA干渉にとって重要ではないことを示す。より具体的には図4Aは、各種RNAi分子の用量反応曲線を示す。
【図4B】RNAi分子の3’突出がRNA干渉にとって重要ではないことを示す。図4Bは、結果が図4Aに示されている実験に使用したRNAi分子の配列を示す。
【図5A】RNAi分子の二本鎖長は少なくとも18〜19ヌクレオチドでなければならないことを示す。より具体的には図5Bは図5Aにその結果が用量依存曲線として描かれている実験に使用したPTEN特異的RNAi分子の配列である。
【図5B】RNAi分子の二本鎖長は少なくとも18〜19ヌクレオチドでなければならない。より具体的には図5Bは図5Aにその結果が用量依存曲線として描かれている実験に使用したPTEN特異的RNAi分子の配列を示す。
【図6A】末端に4個の不一致ヌクレオチドを有する19ヌクレオチド長のRNAi分子はAkt1ノックダウンを媒介するにおいて機能を依然有していることを示す。より具体的には図6Bは図6Aに結果が描かれている実験に使用したRNAi分子の配列である。
【図6B】末端に4個の不一致ヌクレオチドを有する19ヌクレオチド長のRNAi分子はAkt1ノックダウンを媒介するにおいて機能を依然有している。より具体的には図6Bは図6Aに結果が描かれている実験に使用したRNAi分子の配列である。
【図7A】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。より具体的には図7Aは、使用した各種構築体(左パネル)と表示量の各siRNA分子を用いた時のp110αの発現に対するHeLa細胞内でのAkt1 mRNAの発現阻害に及ぼすそれぞれの影響(右パネル)。不一致siRNA分子内のヌクレオチドの変化は矢印で示されている;3’デオキシヌクレオチドは、在る場合には大文字で表されている。
【図7B】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。各種PTEN特異的siRNA(左パネル)と各種siRNA量に於けるPETN/p110α比の形で表したHeLa細胞でのPTEN mRNA発現阻害である。
【図7C】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。ローディングコントロール(loading control)としてp100αを用いた、それぞれ48時間および96時間後に、PTEN特異的siRNA(30nM)および各不一致siRNAによるPTENタンパク質の発現阻害を表すウエスタンブロット分析。
【図8】2’−O−メチル化によるRNAi分子への血清中での安定性付与に関する研究の結果、および末端修飾がRNAi安定性に何らの有益な効果も有していないことを示す。具体的には、8Aには8Bに示した各種RNAi分子を、ウシ胎児血清とのインキュベーションにかけたもののゲル電気泳動の結果を示す。
【図9A】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹されるデザイン原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図9B】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹されるデザイン原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図9C】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹される設計原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図10A】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図10B】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図10C】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図11A】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図11B】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図11C】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図12A】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12B】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12C】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12D】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図13】PTENタンパク質ノックダウンの経時変化を決定するためのウエスタンブロッティング分析の結果を示す。カチオン性脂質を用いて、細胞に2’−O−メチル修飾または非修飾RNAi分子を72時間、連続的にトランスフェクションした。48時間および120時間後にタンパク質溶解物を調製してイムノブロッティングで分析した。96および120時間後に細胞を分割し、プレーティングしなおし、RNAi分子なしで更に24および48時間インキュベーションした。
【図14】各種修飾RNAi分子を用いた持続的なPTENのタンパク質ノックダウンと非修飾RNAi分子を用いた場合とを比較したウエスタンブロッティングを示す。トランスフェクションは5時間のみ実施し、トランスフェクション試薬を含まない新しい培地を加えた。溶解物を、表示したRNAi分子トランスフェクション後72時間および96時間目にイムノブロッティングにより分析した。
【図15A】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。より具体的には、図15Aは使用した各種SiRNA分子構築物を示しており(左パネル)、配列内の2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾箇所は下線を付け太字で表している。表示量の修飾siRNA分子をトランスフェクションされたHeLa細胞でのPTEN mRNA発現の阻害はPTEN/p110α比として表し、右パネルに示している。
【図15B】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Bは左パネルに使用した各種siRNA構築物を示し、右パネルには血清中でインキュベーション後の修飾および非修飾siRNA分子のPAAゲル電気泳動を示している;2’−O−メチルリボヌクレオチドを持つ各種構築物には下線を付け、太字で表している。
【図15C】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Cは、図15Aおよび図15Bにそれぞれ示した各種siRNA構築物(30nM)を用いたPTENタンパク質発現阻害を表すSDS−PAGEに基づくイムノブロッティングを示している。ここでもローディングコントロールとしてp110αを用いている。
【図15D】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Dは、長期間のタンパク質ノックダウン、即ち特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子(30nM)投与による、48および128時間後のPTENタンパク質発現阻害を示すイムノブロッティングである。図15C同様にローディングコントロールとしてp110αを用いている。
【図16A】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。より具体的には、図16Aは左パネルに使用した各種構築物を示しており、ここでも2’−O−メチルリボヌクレオチドには下線を付け太字で示している。血清中インキュベーション後の、表示siRNA分子の健全性を右パネルに示している。
【図16B】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図16Bはp110をローディングコントロールに用い、表示のsiRNA(30mM)を細胞にトランスフェクションした時のAkt1、Akt2およびAktリン酸化のイムノブロッティングを示している。
【図16C】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図16Cは各種p110β特異的siRNA構築物を示しており(左パネル)、図内2’−O−メチル修飾には下線を付け、太字で表示している。また前記siRNA構築物による、下流にあるキナーゼAkt1のリン酸化の阻害に関するイムノブロッティング分析の結果も示している(右パネル)。p110αをローディングコントロールに用いている。
【図17】用量反応曲線の形で表した、ヘアピン構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。17Bは、その結果を図17Aに示した前記RNAi分子の構造を示している。様々なループを持つ合成siRNAが、p110β、Akt1およびAkt2発現を低下させる機能を示す。(14A)siRNAトランスフェクションHeLa細胞でのp110β mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAトランスフェクション後24時間目にp110β mRNA発現レベルについて同時に分析した。トランスフェクションした2分子型siRNA(21merの長さで、3’TT突出を持つ、分子1AB)またはループ構造を持つモノ分子siRNAを図示している。アンチセンス配列に対するループ(HIV由来pA−ループ;(A)12−ループ)の位置が3A、4Aのものが3B、4Bのものと逆になっていることに注意。2ABのsiRNA分子は21mer二本鎖の中に6個の不一致を含んでおり、未処理サンプルと共に陰性コントロールとして役立つ。RNAを調製し、リアルタイムRT−PCR(Taqman)分析にかけた。p110β mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。各バーは3回のトランスフェクション(±標準偏差)を表している。集密度50%(2500細胞/96ウエル)のHeLa細胞に、表示濃度のsiRNAを増殖培地中でトランスフェクションした。
【図18A】用量反応曲線の形で表した、分子間および分子内ループ構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。(18A)siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAをトランスフェクションしてから24時間後に、Akt1及びAkt2 mRNA発現レベルについて同時に分析した。各種ループ(A−ループ;GAGA−ループおよびポリエチレングリコール(PEG)−リンカー)およびその推定二次構造を図示した。siRNA分子9AはAkt2に特異的であり、陰性コントロールとして用いた。10Aおよび10Bは自己相補的配列を含んでおらず、組み合わせてトランスフェクションしたことに注意。Akt1 mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。(18B) siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt2 mRNA発現の阻害。Akt2 mRNAレベルは、p110βのmRNAレベルと比較する形で示している。Akt1特異性分子7Aをここで陰性コントロールとして用いた。
【図18B】用量反応曲線の形で表した、分子間および分子内ループ構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。(18A)siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAをトランスフェクションしてから24時間後に、Akt1及びAkt2 mRNA発現レベルについて同時に分析した。各種ループ(A−ループ;GAGA−ループおよびポリエチレングリコール(PEG)−リンカー)およびその推定二次構造を図示した。siRNA分子9AはAkt2に特異的であり、陰性コントロールとして用いた。10Aおよび10Bは自己相補的配列を含んでおらず、組み合わせてトランスフェクションしたことに注意。Akt1 mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。(18B) siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt2 mRNA発現の阻害。Akt2 mRNAレベルは、p110βのmRNAレベルと比較する形で示している。Akt1特異性分子7Aをここで陰性コントロールとして用いた。
【図18C】図18Cは、各種ループを有する合成siRNAの機能性を示すAktタンパク質における、特異的Akt1およびAkt2の発現阻害についてのウエスタンブロッティング分析を示す。Akt1およびAkt2タンパク質発現の阻害はイムノブロッティングにより分析した。細胞は、表示のヘアピン型siRNA(20nM)をトランスフェクションした後48時間目に集めた。細胞抽出物をSDS−PAGEで分離し、抗−p110抗体、抗Akt1/2を用いたイムノブロッティングで分析した。同様の結果は、Akt1のリン酸化型に特異的な抗体でも得られた。ローディングコントロールとして用いたPI 3−キナーゼの別の触媒サブユニットであるp110α、ならびにAkt1、Akt2およびリン酸化Akt(P*−Akt)の位置を左側に示した。
【図19】3’−OH末端ヌクレオチドまたは5’末端ヌクレオチドに存在する可能性のある、本明細書でアミノ修飾とも呼ばれる、NH2修飾を示す。アミノ基はリン酸基に結合し、さらにこのリン酸基は1〜8、好ましくは6個のC原子のアルキル鎖を含むアルキル基を介して糖部分のOH基に結合しており、この時リン酸基に近い2番目のC原子はリン酸基に結合するCH2OH基を有している。あるいはエーテルによりリンカーを形成してもよく、この時エーテルは2つのアルコールを含むものであって、1つのアルコールはアミノアルコールであり、もう一つのアルコールは1つのアルコール基がエーテル基の形成に関係し、もう一つのアルコール基がいずれかのC原子、好ましくはリン酸基に対し2番目になるC原子に配置されたOH基であるエーテルである。
【実施例1】
【0110】
合成二本鎖RNAi分子の用量反応
本実施例では、2本鎖RNAi分子の活性に及ぼすNH2末端保護基の影響を調べた。合成siRNAはBiospring(Frankfurt、Germany)より購入した。リボ−オリゴヌクレオチドを、RNaseを含まないTEに最終濃度50μMになるように懸濁した。2分子型siRNAの場合は、等量(100μM)を組み合わせて最終濃度を50μMとした。分子間二本鎖を形成する場合には、siRNAを50℃で2分間、アニーリング緩衝液(25mM NaCl;5mM MgCl2)の中でインキュベーションしてから室温まで冷却した。トランスフェクションは、オリゴフェクタミン(Oligofectamine)、リポフェクタミン(Lipofectamine(Life Technologies))、NC388(Ribozyme Pharmaceuticals、Inc.,CO)またはFuGene 6(Roche)といった各種カチオン性脂質を製造元指示書に従って使用し、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行った。RNAi分子のトランスフェクションは、前もって無血清培地に5倍濃度で調製しておいたアニーリング済みRNAiと脂質との複合物を、完全培地中の細胞に加える形で実施した。トランスフェクション前、96ウエル形式でのトランスフェクションを行う15〜18時間前に、ウエル当たり2500個のHeLa細胞をプレーティングした。
【0111】
全トランスフェクション容積は、96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μl、10cmプレートの細胞の場合には10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;RNAi濃度は実験毎に表示する。
【0112】
30分間、37℃で複合体を形成させた。複合体を細胞に加えて、脂質およびRNAiを最終的に1倍濃度にした。トランスフェクション後に実施する分析に応じ、即ちRNA分析の場合にはトランスフェクション24〜48時間後に、そしてウエスタンブロットによるタンパク質分析の場合にはトランスフェクション48〜72時間後に、細胞をタンパク質抽出用の標準的な細胞溶解緩衝液を用いて溶解するか(Klippel、A.、Escobedo、J.A.、Hirano、M.およびWilliams、L.T.(1994年).Mol Cell Biol 14、2675〜2685)、またはRAN単離キット(Invitek、Berlin(Germany))のRNA単離用変性緩衝液を用いて溶解した。
【0113】
Taqman分析によるRNAレベルの相対量測定:
96ウエル内でトランスフェクションした細胞のRNAを、トランスフェクション24時間後にInvisorb RNA HTS96キット(InVitek GmbH、Berlin)を用いて単離、精製した。PTEN mRNA発現の阻害は、300nMのPTEN5’プライマーCACCGCCAAATTTAACTGCAGA、300nMのPTEN3’プライマーAAGGGTTTGATAAGTTCTAGCTGTおよび100nMのPTEN TaqmanプローブFam−TGCACAGTATCCTTTTGAAGACCATAACCCA−Tamraを、40nMのβ−アクチン5’プライマーGTTTGAGACCTTCAACACCCCA、40nMのβ−アクチン3’プライマーGACCAGAGGCATACAGGGACAおよび100nMのβ−アクチンTaqmanプローブVic−CCATGTACGTAGCCATCCAGGCTGTG−Tamraと組み合わせて用いるリアルタイムRT−PCR(Taqman)分析により検出した。Aktプライマーおよびプローブは、Sternberger et al.(Sternberger、a.a.O)で決定されたものであり、製造元指示書(Applied Biosystem;Amplicon Setを使用)に従い使用した。前記プライマーおよびプローブはPrimer Express(Applied Biosystem)を用いて設計してもよい。反応は50μlで実施され、ABI PRISM 7700シーケンス検出装置(Applied Biosystems)を製造元の指示書に従い用いて、以下の条件で行った:48℃30分間、95℃10分間の後に95℃15秒および60℃1分間を40サイクル。
【0114】
RNAノックダウンは、非修飾および5’末端をNH2または逆方向脱塩基(inverted Abasics)基で修飾した21nt長のsiRNA二本鎖分子を、脂質担体濃度1.0μg/mlでトランスフェクションしたHeLa細胞をリアルタイムRT−PCR分析して行った。細胞密度は2000細胞/ウエルであった。3’−末端の修飾はRNA突出、アミノ基を持ったRNA−突出、またはDNA突出のいずれかであった。
【0115】
細胞抽出物の調製およびイムノブロッティング.細胞を冷リン酸緩衝化生理食塩水で2回洗った後、4℃にて20mMのTris(pH7.5)、137mMのNaCl、15%(容積/容積)グリセロール、1%(容積/容積)Nonidet P-40、2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、アプロチニン10mg/ml、20mMのロイペプチン、2mMベンズアミジン、1mMバナジウム酸ナトリウム、25mMβグリセロールリン酸、50mMのNaFおよび10mMのNaPPiを含有する溶解緩衝液内に溶解した。溶解物を14、000×g、5分間遠心分離にかけて清浄化し、等量のタンパク質を含有する小分けした細胞抽出物をウエスタンブロッティングによるタンパク質発現の分析にかけた:サンプルをSDS−PAGEで分離してからニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schull)に写し取った。ドライミルクを5%(重量/容積)含有するTBST緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.05%(容積/容積)Tween20、0.5%(重量/容積)アジ化ナトリウム)でフィルターをブロッキングした。各抗体を適当な希釈度でTBSTに加えた。結合した抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス−または抗ウサギ抗体(Transduction Laboratories)を用いてTBST中で検出し、洗浄後、SuperSignal West Dura(Pierce)またはECL(Amersham)化学発光基質(次項参照、Sternbergere al(2002)。Antisense. Nucl. Ac. Drug Dev. 印刷中)を用いて現像した。
【0116】
抗体.マウスモノクローナル抗−p110抗体U3Aおよびマウスモノクローナル抗p85抗体N7Bについては報告されている(Klippel et al.、1994年、aaO)。ウサギポリクローナル抗−Aktおよび抗−ホスホAkt(S473)抗体はCell Signaling Technologyより得た。マウスモノクローナル抗−PTEN抗体はSanta Cruz Biotechnologyより得た。PTEN 53特異的アンチセンス分子、即ちgeneBlocは、Sternberg らが記載しており(Sternberger、上記)、以下の配列を有している(ucuccuuTTGTTTCTGcuaacga)が、この場合小文字で書かれたヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、大文字で書かれたヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。このアンチセンス分子はTTを除いてRNAi1Aと同一である。
【0117】
結果は図3Aに示し、またPTENのmRNAを標的とする各RNAi分子を図3Bbに示した。小文字で書かれたヌクレオチドはリボヌクレオチドを表し、大文字でかかれたものはデオキシリボヌクレオチドを表す。用語NH2はリボヌクレオチドの3’−位置がアミノ基で修飾されていることを示す。本実施例および本明細書に開示する他実施例で用いるRNAi分子は、小型干渉RNA分子、siRNAと呼ぶこともある。本明細書内の図面では、上側の鎖が干渉RNA分子のアンチセンスまたは第1鎖であり、下側の鎖がセンスまたは第2鎖であることに注意する。
【0118】
図3Aから明らかなように、アミノ修飾の様なアミノ末端修飾およびヌクレオチドの末端OH基の逆方向脱落塩基は、修飾がアンチセンス鎖の3’末端に位置する場合には非修飾端になる可能性がある(図8A;8Bも参照)。従って安定化またはその他特性(配送)を目的とした化学修飾は、それが3’OHに配置される場合;特に3’OHが突出するヌクレオチドに在る場合には許容され、活性を損なうことはないだろう。
【0119】
図3Cに示す実験については、上記と同様の条件が用いられた。RNAiの第1鎖および第2鎖は、リボース部分の3’−位置にあるNH2基、または前記位置にある逆方向脱塩基により修飾された。第1構築物はsiRNA−NH2(3A3B)として、第2鎖はsiRNA−iB(4A4B)としてデザインされた。両分子の配列を図3Bに示す。用語3A3Bは、干渉リボ核酸がアンチセンスとしての鎖3Aとセンス鎖としての鎖3Bとから成ることを意味している。比較のために、同様にPTEN mRNAを標的としたGB53と名付けられたアンチセンスオリゴヌクレオチド(Steinberger et al. 上記)を作製した。後者の実験の詳細を以下説明する。
【0120】
図3Cからわかる如く、図3Bに示す末端保護されたRNAi分子はPTENタンパク質のノックダウン成立に機能した。
【0121】
本実施例より、両端保護基がRNAi分子にPTENタンパク質をノックダウンする活性を付与することがわかった。この阻害はアンチセンス構築物による阻害と同等に効果的であったが、より低濃度を使用したことから、既存の極めて強力なアンチセンス技術に比べても有利であることは明瞭である。
【実施例2】
【0122】
インビボ(in vivo)でのRNAi二本鎖活性に関する突出の必要性
実験手法は、干渉RNAi分子を標的とするPTEN mRNAの設計が異なる外は実施例1の説明と同じであった。結果は図4Aに用量反応曲線の形で示し、図4Bに図4Aに示したデータを得るのに用いた干渉RNAi分子の具体的な配列および修飾を示した。表記法は、例えばRNAi18はアンチセンス鎖としての鎖18Aと、センス鎖としての鎖18Bとから成ることを示すものである。
【0123】
HeLa細胞内でPTEN mRNAをノックダウンする活性について、平滑端分子と、3’−突出(RNAi18)および5’−突出(RNAi30およびRNAi31)を持つ分子とを比較した。平滑端分子(RNAi28)および5’−突出を持つ分子の活性は、3’−突出を持つ分子の活性と同等であった。このことは、3’−突出がRNAi活性に必須ではないことを表している。
【実施例3】
【0124】
インビボでのRNAi活性に関する干渉RNA分子二本鎖長の条件
実験方法は、干渉RNA分子がAkt1のmRNAを標的とする外は、実施例1に概要示したものと同様であった。RNAi分子の特異性を示すための陰性コントロールは、ここでもp110 mRNAであった。実験結果を図5Aに示し、図5Bには用いた干渉RNAi分子の詳細を示した。図7A、左パネルに示した別のsiRNA構築物についても同様の実験を実施したが、この場合不一致を矢印で示し、デオキシリボヌクレオチドは大文字で表した。表示量のsiRNA分子をトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害を図7Aの右パネルに示した。
【0125】
各種RNAi分子をトランスフェクションしたHeLa細胞からのAkt RNAに関するTaqman分析からは、siRNAの2本鎖二本鎖分子が活性を示すには17塩基対より長くなくては成らず、一方17塩基対長以下の二本鎖分子は、配列特異的突出が付加されていても機能的でないことが示された。試験が成功した最短のRNAi分子は18〜19ヌクレオチドまたは塩基対長であった。RNAi51と称する干渉RNA分子51A/51Bの設計は、国際特許出願WO01/75164に記載されたものに対応することに注意。RNAi分子55A/55Bは17ヌクレオチドのストレッチを含み、Akt1 mRNAの分解に関する活性が明瞭に低下している。
【0126】
図7Aから明らかなように、19nt長の二本鎖は3’突出の性質(デオキシ−またはリボヌクレオチド)とは無関係にAkt1 mRNAレベルを極めて効率的に低下させた(分子1AB、2AB、3AB、4ABに比較して)。17ヌクレオチド長のsiRNA(分子5AB)はサイレンシング活性(silencing activity)の大きな低下を示し、活性siRNA二本鎖が少なくとも18ntまたはそれ以上でなければならないという上記見解が確認された。いずれの理論にも結びつけることなしに、この結果は2種類の条件により機械的に説明されるだろう。第1の条件はsiRNAのアンチセンスと標的mRNAとの間に最低18ntの塩基対合が必要であるというものであり、第2の条件はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)への取り込みに最低長のsiRNA二本鎖が必要であるというものである。この疑問に答えるために、野生型配列に対して1および2個の末端突然変異(CGおよびUA逆位)を有する19nt長のsiRNA二本鎖分子を合成した(分子6ABおよび7AB)。両分子は標的mRNAと15nt塩基ストレッチだけ対合する分子であるが、Akt1 mRNAレベル誘導には機能的であった。従って、アンチセンスsiRNAと標的mRNAとの塩基対合の長さではなく、二本鎖のそのものの長さが機能的siRNAの最低長を決定すると結論できるだろう。このことは、RISC複合体への取り込みに関しては、2本鎖螺旋の長さが重要決定因子であることを示唆している。二本鎖siRNA末端への不一致導入は、RNA干渉にほとんど影響しなかった。
【0127】
上記実験結果を考慮すると、RNAiが媒介する最適な干渉に必要な最低の二本鎖長は、平滑端または5’−突出の様なRNAi分子に関するさらなる設計、あるいはここに開示したその他形態とは無関係に18または19ヌクレオチドであり、このことはRNAi分子に一般的に当てはまる。しかし、RNAi分子の特別な設計は前記分子に更に別の利点、例えば高い効率および高い安定性を付与することがあることを認識すべきである。
【実施例4】
【0128】
インビボでのRNAiに関する標的−アンチセンス相同性条件
実験構成は実施例1に記載のものと同等であるが、この場合RNAiはAKt1特異的である。さらにPTEN特異的干渉RNA分子を設計し、陰性コントロールに用いた。結果は図6Aおよび図6Bに示した。図7Bに示す更に別のsiRNA分子を用いて、基本的には同一な実験を行い、その結果をそれぞれ図7B(右パネル)および図7Cに示した。
【0129】
機能的siRNA分子の最低二本鎖長が18または18ヌクレオチド以上であることを確定した後に、サイレンシング活性にとって標的mRNAとsiRNA間でどれだけの数のヌクレオチドが一致する必要があるか調べた。Akt1 RNAのTaqman分析で示される様に標的RNAに、この例ではAkt1に19〜15ヌクレオチドのストレッチが完全に一致していればRNAi活性の媒介に十分であった。PTEN特異的RNAi分子はAKt1のRNA量を下げなかったことから、この方法が特異的であることが確認された。鎖のいずれか一方または両方の端部にある1個または2個のヌクレオチド不一致が機能していることから、遺伝子サイレンシングにとっては標的mRNAとRNAi間に15ntの相同的ストレッチがあれば十分であることが示唆された。これらのデータより、非特異的遺伝子サイレンシング無関係な標的に非特異的に結合することによって偶然に起こり得ると結論できた。このことは、15〜17個塩基対が一致するストレッチは単一遺伝子に特異的ではなく、脊椎動物のゲノムまたはトランスクリプトゾームの複雑性とサイズとを考えると偶然起こりえるという理解に基づいている。前記実験とは別に、不一致の位置についても分析した。そのためにPTEN mRNAを標的とする19nt長の平滑siRNAを用いた。一方のsiRNA鎖の配列変化に合わせてもう一方の鎖も相補的に変更して補償し、二本鎖が破壊されないようにした。図7BおよびCそれぞれから分かる様に、分子中央に点突然変異を1個だけ持つsiRNAは、mRNAおよびタンパク質発現のレベルで使用するには能力において大きく譲歩していた。この結果は、RNA機構が二本鎖中心部での標的mRNAとsiRNA間の塩基対合が完全であるか、不完全であるかにより大きく異なることを示している。この標的およびsiRNA間が完全に相補的であることに強く依存することは、ショウジョウバエ系でのRNAi干渉については既に報告されていたが、HeLaの様なほ乳動物系での報告はなかった。
【0130】
この観察に基づいて、本発明は2つの方法によりsiRNAの標的外問題(off-target problem)を軽減している。第1はsiRNA分子の分子長を最低条件(18〜19nt)まで短くし、それにより標的外のものと相同になる機会を減らす方法である。第2は、センス鎖を不活性化することにより、センス鎖が無関係の標的RNAとが偶然に相補的になることによって望まないRNAサイレンシングが起こるのを防ぐことである(実施例6も参照せよ)。
【実施例5】
【0131】
血清中の修飾RNAi分子の安定性
オリゴヌクレオチドをヒト血清中で15分間および2時間インキュベーションし、未処理のコントロールと共に10%ポリアクリルアミドゲルにかけた。結果は図8Aに示した。使用した各種RNAi分子を図8Bに示し、詳しく説明した。
【0132】
本実施例より、全ヌクレオチドが2’−O−メチル基で修飾されたRNA分子のRNAi二本鎖(RNAi分子79A79Bおよび28A28B)が血清中で高い安定性を有することが分かった。さらに平滑端二本鎖は突出を持つ二本鎖分子に比べより安定であることも示された。これより、末端保護(例えばiBまたはアミノ)は血清中の安定性を高めないと結論できるだろう。
【0133】
更に、本明細書出願以前の当該技術分野での理解とは逆に、RNAi分子の保護にとってはエクソヌクレアーゼよりもエンドヌクレアーゼがより重要であるとも結論できる。
【0134】
上記を考慮すると、本明細書に開示した発明のRNAi分子の各種修飾または設計に加えて、更なるまたは追加のヌクレオチド修飾としてエンドヌクレアーゼ機能を阻害するためにRNAi分子の完全または部分的ホスホロチオアート主鎖を用いてもよいだろう。完全なホスホロチオアート主鎖とは、全てのヌクレオチドがホスホロチオアート基を持つものを意味し、部分的ホスホロチオアート主鎖とはRNAi分子を形成するヌクレオチドのうちホスホロチオアート修飾されているものが一部であることを意味する。この修飾はRNAi分子のさらなる設計とは無関係にRNAi分子の寿命を延長するのに好適である。これに関して、部分的または完全ホスホロチオアート修飾RNAiは、本発明の課題に従い、本明細書に開示する干渉RNA分子の設計に関する様々な戦略と結びついて、または当分野周知の設計と結びついて実現してもよい。
【実施例6】
【0135】
5’および3’末端のNH2末端保護基によるセンス鎖の不活性化
実験構成は実施例1に関連して記載したものと同等であるが、この場合の標的核酸配列はPTEN mRNAである。HeLa細胞濃度は2,000細胞/ウエルであった。PTENのRNAは、各種修飾RNAi分子トランスフェクション後にTaqmanアッセイにて分析した。用いた各種干渉RNA分子は図9Bに示し、実験結果は図9Aに示した。
【0136】
図8Aに示した各種RNAi分子の用量反応曲線から分かるように、RNAi分子はセンス鎖、即ち第2鎖の両端がアミノ基で修飾されている時に機能する。特に効果的なRNAi分子は20A26B、18A26Bおよび28A26Bであった。最も低い活性はRNAi分子26A26Bに認められたが、この分子は二本鎖の4つの端部全てが端修飾されている分子である(Tuschlは18AB)。
【0137】
しかしRNAi活性はアンチセンス鎖、即ち第1鎖が3’端のみ修飾され、5’端には自由OH基が残されている場合にも得られた(RNAi構築物22A26B;20A26B)。アンチセンス鎖が5’および3’両端についてアミノ基で修飾されている場合(26A26B)には活性はなかった。このことから、アンチセンス鎖のいずれかの端、より具体的にはアンチセンス鎖の5’端は修飾せずにそのまま残すべきであると結論した。更に、NH2端修飾を用いてセンス鎖を5’および3’端で不活性化でき、これにより不活性化されない場合に機能的であるセンス鎖が媒介する標的外作用を軽減することができ、その結果RNAi分子の特異性を大きく上昇させるので、標的評価ならびにRNAi分子の医薬使用にとって有利である。
【0138】
本実験の結果を更に一般化したものを図9Cに示した。これによれば機能的に活性なRNAiは、アンチセンス鎖にアミノ修飾を有さないか、または、アンチセンス鎖の3’末端にのみアミノ修飾を有するものであり、一方アンチセンス鎖の両端がアミノ修飾されたものは機能的でなく、即ち標的mRNAをノックダウンしない。
【実施例7】
【0139】
エンドヌクレアーゼ保護に関するRNAi分子の2’−O−メチル修飾の影響
RNAノックダウンを再度示すために、図10Aに示すようなPTEN mRNAを標的としたRNAi二本鎖分子をトランスフェクションしたHeLa細胞にリアルタイムRT−PCR分析を行った。実験手法は基本的には実施例1に記載の手順に同じである。図10Aに示す、研究対象のRNAi分子の構造およびその用量反応は図10Cに示した。太字で示したヌクレオチドは2’−O−メチル修飾を有するヌクレオチドである。
【0140】
図10Aに各種RNAi分子について示した用量反応曲線から、内部の2’−O−アルキル基がRNAi活性を下げることが示された。この種の2’−O−アルキル基は2’−O−メチルまたは2’−O−エチル基であることが好ましい。しかし非修飾ヌクレオチドと2’−O−アルキル修飾とを組み合わせ持つ分子は著しい活性を示した。同様に10Aに示すように、アンチセンス鎖が全て2’−O−メチル基で修飾されており、さらにセンス鎖が修飾されていない場合(後述する、例えばRNAi分子79A28B)には活性は認められなかった。図10Bに示すような、血清中で各種RNAi分子をインキュベーションするような安定性試験の結果から、2’−O−アルキル修飾がRNAiを分解に対し安定化することが分かった。しかしこの明確な有利な作用は、2’−O−アルキル修飾が一般にはノックダウン活性を低下させるという作用によって少なくとも在る範囲で相殺される。従ってRNAi分子の設計は安定性と活性とのバランスを取るものでなければならない、そしてこれには本出願で開示された各種設計原理を認識することが重要となる。
【実施例8】
【0141】
内部2’−O−メチル修飾のブロックが血清中でのRNAi分子の安定性に及ぼす影響
本試験に関する実験方法は、実際的には実施例1に記載の方法と同一であった。ここでもPTEN RNAは、各種用量のRNAi分子をトランスフェクションした密度2000細胞/ウエルのHeLa細胞にリアルタイムRT−PCRを行い分析した。RNAi分子を血清中で2時間インキュベーションし、10%ポリアクリルアミドゲルで分析した。本試験の結果を図11A〜11Cに示すが、図11Aは図11Cに示した各種RNAi分子の用量反応を表しており、図11Bは図11Cに示したRNAi分子の幾つかを用いた安定性試験の結果を示している。図11Cに太字で書かれたヌクレオチドは修飾を有するヌクレオチドであり、本例での修飾はリボース部分の2’−O−メチル修飾である。
【0142】
非修飾RNAi分子による用量依存的な阻害が見られた。さらに中心の9ヌクレオチドが2’−O−メチル修飾されるとRNAiは血清中で安定化し、そしてPTEN mRNAを分解に導く干渉現象を媒介する二本鎖活性を発揮できることが示された。センス鎖全体を修飾すると、RNAi分子は血清中で安定化し、特定の活性を発揮できた。
【0143】
5ヌクレオチドを2’−O−メチル修飾して交互にブロックすると、RNAi分子に血清中での安定性を付与し、そしてPTEN RNAに対する活性を発揮できることが、RNAi二本鎖を血清中で2時間インキュベーションしてから10%ポリアクリルアミドゲルにかけることで示された。図11Bから分かるように、鎖80Aおよび80Bを含む二本鎖は血清中で2時間インキュベーションすることで強く分解された。鎖82Aおよび82Bからなる二本鎖より、アンチセンス鎖を含む第1鎖の5’末端は5’−末端ヌクレオチドで修飾してはならないことが確認できた(82A82Bと逆向きの81A81Bとを比較する)。このことは、鎖86Aおよび86Bから成る二本鎖は、血清中で活性且つ安定するという結果からも確認される。アンチセンス鎖の5’末端に非修飾ブロックを持つ分子はより活性であり、このとき5’末端のOH基が誘導されていないことが好ましいということは注目に値する。
【0144】
ヌクレオチドの2’−O−メチル修飾について異なる修飾パターンを用い、更に実験を行った。その結果を図12A〜12Cに示し、本明細書の実施例9で詳しく説明する。
【実施例9】
【0145】
内部2’−O−メチル交互修飾がRNAi分子の血清中安定性に及ぼす影響
この種の試験の実施に関する実験構成は、実施例1および実施例8にそれぞれ記載した試験に関係し使用した構成と同一であり、今回も標的核酸はPTEN mRNAであった。HeLa細胞に図12Bに記載の各種RNAi分子をトランスフェクションし、PTEN RNAを対象に用量依存的に行ったリアルタイムRT−PCRを用いてRNAのノックダウンを実証した(図12A)。37℃、血清中、15分および2時間後の各種RNAi分子の安定性を図12Cに、各種RNAi分子の標的タンパク質としてのp110およびPTENに関するウエスタンブロットを図12Dに示すが、図12Cおよび図12Dの基礎となる両実験で試験したRNAi分子は同じものである。
【0146】
図12Aおよび図12Cに示す通り、2’−O−メチル基で修飾されたヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドが交互に並ぶとRNAi分子は血清中で安定化すると同時に、標的mRNAに対する干渉について活性になった。RNAi二本鎖分子を血清中で15分間および2時間インキュベーションすると、非修飾二本鎖と5’−位置側の10ヌクレオチドが非修飾である二本鎖が分解されることが分かった。
【0147】
図12Bに示すRNAi分子には、様々な修飾ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチドのパターンが描かれている。RNAi分子94A1/94B1は修飾ヌクレオチドが修飾ヌクレオチドによりフランキングされ、そして第1鎖の5’末端に非修飾ヌクレオチドが配置される構造を含んでいる。鎖94A2および94B2を含むRNAi分子は別の例で、第1鎖および第2鎖で修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドが反対側に配置されている。これとは逆に、鎖94A1および94B2を含むRNAi分子は、同じ修飾および非修飾ヌクレオチドのパターンを有する。しかしこの例では修飾ヌクレオチドが非修飾ヌクレオチドと塩基対合を形成するように位相シフトされている。鎖94A1および94B1、ならびに鎖94A2および94B2を含む2種類のRNAi分子は互いに、前者では第1鎖が非修飾ヌクレオチドから開始し、そして対応する第2鎖の最初のヌクレオチド、即ち第2鎖の3’末端のヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドから始まるが、94A2および94B2を含むRNAi分子ではこの配置が逆になる点で異なる。
【0148】
更に、図12Bに示した交互に修飾されるRNAi分子は、図12Dに示すようにPTENタンパク質ノックダウンの媒介に機能的であるが、第2鎖の5’末端および第2鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾されていない場合(94A294B1および94A294B2参照)のみである。これらデータ全てから、最も安定および最も活性なRNAi分子は2’アルキル修飾と非修飾ヌクレオチド残基を交互に持つことが分かる。これら分子が、血清中で安定であり、取扱性が向上または容易である非修飾siRNA分子と比べた時に、よく似たmRNA低下を示すことに注意すべきである。
【実施例10】
【0149】
内部修飾RNAi分子が媒介する機能的タンパク質ノックダウン
実験方法は実施例1で概要説明した方法と同様であった。
【0150】
図12Bに示した交互修飾型RNAi分子をトランスフェクションした後様々な時点(48、72、96および120時間)で集めたHeLa細胞にウエスタンブロットを実施した。実験上の理由から、96時間の時点で細胞を二分割して、半分をプレーティングし直した。各種RNAi分子を合計40nM細胞に作用させた。細胞は実施例1記載のカチオン性脂質を用いて、72時間、連続してトランスフェクションした;続いてトランスフェクション剤なしにプレーティングし直した。
【0151】
トランスフェクションはオリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies)、NC388、L8(Atugen、Berlin)といった各種カチオン性脂質を用いて、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行い、RNAiを前もって5倍濃度で調製しておいたsiRNAと脂質との複合物の無血清培地液を完全培地中の細胞に加えることでトランスフェクションした。トランスフェクションの全容積は96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μlであり、10cmプレートの細胞では10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;siRNAの濃度は実験毎に示す。
【0152】
ウエスタンブロットの結果を図13に示す。この図から分かるように、94A2B1および94A2B2型の修飾RNAi分子は非修飾分子と同様に、持続的なPTENタンパク質ノックダウンを生じた。本実験では、図12でも観察された94A1B1および94A1B2型分子がタンパク質ノックダウンを示さないことも確認された。非修飾分子(80AB)には、細胞を連続的にトランスフェクションしない場合には、強力なタンパク質ノックダウンを長時間維持する能力はなかった。
【実施例11】
【0153】
RNAi分子の2’−O−メチル交互修飾による持続的PTENタンパク質ノックダウン
実験方法は、トランスフェクションを5時間後にトランスフェクション培地を新規培地と交換することで停止した以外は実施例10に概要を示した方法と同様であった。プロトコールを若干変更し、各RNAi分子の濃度が、実施例1に関し記載した1μgRNAi/mlカチオン脂質の保存液を用いて40nMになるようにした。トランスフェクション後5時間目に、培地を取り去り、新鮮なEMEMを加えた。72時間後に細胞を分割し、半分を溶解し、残り半分は新たにプレーティングしてから24時間後(トランスフェクション後96時間目)に溶解した。3種類のRNAi分子(80AB、94A1/B2、94A2/B1)を用いたウエスタンブロットの結果を図14に示す。陽性コントロールとして、未処理細胞を用いた。図14は72時間および96時間後それぞれのPTENの発現を示している。該各種RNAi分子の構造特性を考慮すると、図14からは、非修飾RNAi分子(例えば80AB)およびRNAi分子94A1B2に対し、92A2B1のような交互型分子では、細胞分割、再プレーティング後96時間においてもタンパク質ノックダウンが持続することが分かる。
【0154】
図15A(左パネル)に示したsiRNA構築物を用いて更に実験を行った。試験システムに加えられたsiRNA構築物の各種濃度でのPTEN/p110αmRNA分解比として表された結果から、一方または両方の鎖が2’−O−メチル残基から成るsiRNA分子はほ乳動物ではRNA干渉を誘導できないことが分かる(図15A、分子V2、V5、V6)。しかし鎖の一部でも修飾を受けると活性の低下はより小さくなった。興味深いことに、非修飾アンチセンス鎖(特に指示しない場合には、本明細書を通して上側の鎖を指す)および完全修飾センス鎖とを有する分子は、逆の型(図5A、分子V5およびV6)の分子に比べ顕著に活性が高かった。この結果は、siRNAのアンチセンス鎖がより重要であり、そして修飾に対し感受性であることを示唆している。PTEN mRNA誘導に最も効果的な分子は、5’末端を未修飾の状態、または両鎖共に交互の位置で修飾されている修飾ストレッチだけを有していた(図15A、分子V10、V12)。
【0155】
ヌクレアーゼ耐性を試験するために、様々な型のsiRNAを血清中でインキュベーションし、続いてPAAゲル電気泳動にかけた。結果を図15Bに示した(図15Bの右パネル、左パネルには各種配列を示している)。前述した通り、非修飾リボヌクレオチド型の平滑端siRNA分子は非常に速やかに分解されたのに対し、2’−O−メチルヌクレオチドで完全に置換されたものは、血清由来ヌクレアーゼに対し耐性を示した(図15B、分子ABとV1を比較)。部分的に2’−O−メチル修飾されたsiRNA分子も同様に、非修飾siRNAに比べ安定性が増していた。特に両鎖が交互に修飾されている分子は安定性が顕著に増加していた(図15B、分子V13、V14、V15およびV12)。より重要なことは、これら分子のうちの3種類をHeLa細胞内にトランスフェクションしたところ、図15C(長さ6、9および10)に示すようにPTENタンパク質の発現が明らかなダウンレギュレーションを受けたことである。このRNA干渉活性アッセイでは、予想外にもアンチセンス鎖の5’最末端のヌクレオチドより始まり、1つおきにヌクレオチドが修飾されている分子が好ましかった。アンチセンス鎖5’末端側2番目のヌクレオチドから修飾が開始する分子はより安定であったが、遺伝子サイレンシング活性は大きく低下していた(分子V13、V14)。この結果は、関係する酵素とsiRNA二本鎖内の特定ヌクレオチドとの間で極めて特異的な相互作用があることを示している。ここに示したデータをまとめると、siRNA二本鎖内の特に選ばれた位置の2’−O−メチル修飾はヌクレアーゼ耐性を高めることができ、RNAiを必ずしも完全には破壊しない。
【0156】
合成siRNAの安定性増加はインビボでの応用にとって重要な意味を持つが、特定の修飾が細胞培養系におけるタンパク質ノックダウンも促進するか分析した。そのためにHeLa細胞を各種PTEN特異的siRNAを用いて、6時間、一過的にトランスフェクションした。次に脂質siRNA複合体を洗い流し、48時間および120時間後にPTENタンパク質ノックダウンを分析した。siRNAのトランスフェクションを継続しないノックダウン実験は、その期間中にトランスフェクションしていない細胞が急速に増殖して極めて一過的なノックダウンを生じせしめることから複雑になるが、本発明者は記載の2’−O−メチル修飾により安定化したsiRNA分子を用いて、長期間のPTENタンパク質ノックダウンを実証できた。トランスフェクション後48時間の時点では、非修飾siRNA(AB)は最大のPTENタンパク質レベル減少を示したが、トランスフェクション後120時間の時点ではPTENタンパク質発現の減少は、2’−O−メチル交互修飾により安定化したsiRNAがより優れていた(図15D、レーン2とレーン5、6および7とを比較)。
【0157】
この結果より、むしろ交互修飾の開始ヌクレオチド位置が重要である思われることも分かる。このことを詳細試験するために、2種類のsiRNAシリーズ、1つはキナーゼAkt1に特異的であり、もう一つはPI(3−)キナーゼの2つある触媒サブユニットの1つであるp110βに特異的であるものを追加合成した。具体的な構造を図16Aに示す。これより明らかなように、修飾されていないか、または1ヌクレオチドおきに2’−O−メチル修飾されている19nt長のsiRNA二本鎖のみを使用した。Akt1を標的に用いた時、平滑な非修飾siRNAで効果的なタンパク質ノックダウンならびにリン酸−Aktレベルが大きく低下するのが観察された(図16A、右パネル)。1ヌクレオチドおきに修飾された様々な型の分子では、1種類だけが効率的にRNAiを媒介した(図16A、分子V5)このsiRNA分子は最末端の5’および3’ヌクレオチドが修飾されたアンチセンス鎖を含んでいた。センス鎖は最末端位置が非修飾ヌクレオチドで始まるために、両鎖の修飾および非修飾リボヌクレオチドが向合う構造となる。予想通り、この分子もまた、図16Bに示すように(分子V5)血清由来ヌクレアーゼから保護された。
【0158】
興味深いことに、アンチセンス鎖の第2ヌクレオチドから修飾が始まる、極めて類似した19nt長のsiRNA分子(V4)は用いたアッセイではRNA干渉活性を示さなかった。アンチセンス鎖の修飾ヌクレオチドがセンス鎖の修飾ヌクレオチドと向合っているV6型もまた、今回の実験で不活性であった。p110βに特異的である19nt長の同シリーズのsiRNA分子についても、図16Cに示す様に、この観察結果が確認された。さらに、同様の修飾siRNA分子(V5)が最も活性でることが、p110βレベルの低下によるP(I)−3キナーゼ活性の低下の指標である、Aktリン酸化の低下から示された。分子V6の活性が低いことは、21merのsiRNAを用いたPTENノックダウン実験で同構造体が活性を有していたことから、二本鎖の安定性の低下から説明できるだろう。対面する両鎖が2’−O−メチル修飾されると核酸二本鎖の安定性は低下するが、siRNA分子V4とV5の間の差は(図16BおよびC)は、修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチド間の塩基対合数がおなじであることから、二本鎖の安定性の違いに拠るものではないだろう。活性のこの差は、標的mRNAの分解に関係する相互作用タンパク質に於ける特異条件に拠るものであろう。また、これら実験よりアンチセンス鎖の最末端ヌクレオチドを2’−OH−基位置で修飾すると、サイレンシング活性を大きく消失できることが分かる。
【実施例12】
【0159】
各種ループ構造がRNA干渉の媒介で機能する。RNAi分子、好ましくは自己相補的構造を持つ合成RNAi分子が標準の2本鎖siRNA分子と同様に効率的に遺伝子発現を阻害できるか試験するために、HeLa細胞にp110β特異的合成siRNAをトランスフェクションした。トランスフェクションは、オリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies)、といった各種カチオン性脂質を用いて、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行い、GeneBlocsは前もって5倍濃度で調製しておいたGBと脂質との複合物の無血清培地液を完全培地中の細胞に加えることでトランスフェクションした。トランスフェクションの全容積は96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μlであり、10cmプレートの細胞では10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;siRNAの濃度は実験毎に示す。
【0160】
用量依存力価測定からは、リアルタイムPCR(Taqman)で分析した場合に、標準的な2分子型の2本鎖21merと対応する1分子型分子により達成されるmRNAノックダウンの効率に有意な差は示されなかった(図17A)。2種類のループ構造、(A)12ループおよびHIV由来のpAループも平行して試験したが、結果は同様であった。アンチセンス配列の相対的な位置とループ構造とを比較すると、アンチセンス配列がループに対し3’側に位置したときにノックダウン効率が向上した(図17B:構築物3A、3Bと4A、4Bを比較せよ)。
【実施例13】
【0161】
各種分子内ヘアピンループおよび分子内「バブル」の効果に関する試験
mRNAおよびタンパク質発現阻害に及ぼす各種ループ構造の影響を試験した。これら実験については、標的としてAkt1およびAkt2を選択した。実験方法は実施例12に記載の方法と同様であった。
【0162】
図18Aおよび図18Bに示すAkt1 mRNAの減少、ならびに図18Cに示すAkt1タンパク質レベルの低下は、明らかに、試験したループ構造と完全に独立していた(分子5A、6A、7A、8Aを比較せよ)(試験したRNAi分子の構造は棒グラフの下に示している)。ループとしてポリエチレングリコールリンカー(PEG)の様な非生理学的構造を含む分子でさえAkt1の発現を効率的に下げたことから、ループのサイズおよびヌクレオチド配列は重要でないことが示された(図18A;分子8A)。Akt2特異的合成siRNA分子(9A)を用いて特異性をコントロールしたが、図15Aに示すようにAkt1レベルには影響しなかった。しかしこの分子は、Akt2の発現を効果的に抑制した(図18B;図18C)。ループ構造を持った自己相補的RNA分子は、生理学的ハイブリダイゼーション条件に於いてアニーリングし、1分子または2分子構造における2本鎖を形成する可能性がある(図18B、ループまたはバブル構造)。siRNA分子が、分子内ループまたは分子間「バブル」(図18Bに図示した)を採ることでその機能を発揮するのかという疑問に答えるために、それ自身に折り戻ることができない2つの分子をトランスフェクションした。これら構築物は同一分子内にAkt1−およびAkt2−特異的配列を含有しており(図18D、構築物10A、10B)、2分子型二本鎖(「バブル」)を形成するように制限されている。驚くべき事にこの分子は、両鎖をアニーリングした後トランスフェクションするとAkt1およびAkt2 mRNAのノックダウンだけでなくタンパク質のノックダウンも効率的に媒介した。
【0163】
現時点では、ループおよびバブル構造が実際にRNAプロセッシング酵素、例えばDicerの基質であるか否かについては不明である。Paddisonと共同研究者による最近の研究は、ヘアピン含有siRNAは2本鎖siRNAよりもDicer活性により依存的であることを示している。しかし、PEGリンカー分子を用いたRNA干渉活性を証明したこれらデータは、リンカーの配列は無関係であるらしいことを示している。
【0164】
明細書、特許請求の範囲、および/または図面に開示した本発明の特徴は、単独または組み合わせた、様々な形での本発明実現化の素材とするものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含むところの2本鎖構造物を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチ(stretch)を含み、そして前記第1ストレッチが標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が少なくとも標的核酸と少なくとも部分的に同一である連続するヌクレオチドである第2ストレッチを含んでなるリボ核酸、かかるリボ核酸の使用、かかるリボ核酸をそれぞれ含む細胞および生物、かかるリボ核酸を含有する組成物、かかるリボ核酸を含有する医薬組成物、ならびに標的遺伝子の発現を阻害する方法に関する。
【0002】
RNA−媒介干渉法(RNA-mediated interference:RNAi)は発現を抑制する遺伝子に相同な配列を持つ2本鎖RNA(dsRNA)により引き起こされる転写後遺伝子サイレンシング(post-transcriptional gene silencing)メカニズムである(Fire(1999年)、Trends Genet 15、358〜63、Tuschlら(1999年)、Genes Dev 13、3191〜7、Waterhouseら(2001年)、Nature 411、834〜42、Elbashirら(2001年)、Nature 411、494〜8、レビューとしてはSharp(2001年)Genes Dev 15、485〜90、Barstead(2001年)、Curr Opin Chem Biol 5、63〜6を見よ)である。RNAiは植物(Baulcombe(1999年)、CUrr Opin Plant Biol 2、109〜13)、線虫(Montgomeryら(1998年)、Proc Natl Acad Sci USA 95、15502〜7)、ショウジョバエ(Kennerdellら(1998年)、Cell 95、1017〜26、Kennerdellら(2000年)、Nat Biotechnol 18、896〜8)を含む様々な生物での遺伝子機能の決定に広く用いられている。線虫のC.Elegansでは、ゲノムの約3分の1が既にRNAiによる機能分析にかけられている(Kim(2001年)、Curr Biol 11、R85〜7、Madedaら(2001年)、Curr Biol 11、171〜6)。
【0003】
最近まで初期マウス発生(Wiannyら(2000年)、Nat Cell Biol 2、70〜5)を除き、一般にはRNAiは、ほ乳動物細胞に応用できなかった。ほ乳動物細胞へ21−ntの二本鎖をトランスフェクションすると遺伝子発現は妨害されるが、長鎖のdsRNAでよく起こる配列依存的なインターフェロン駆動性抗ウイルス反応は誘導されないことが見出され、分化したほ乳動物細胞でも新たに応用の可能性が出てきた(Elbashirら(2001年)、Nature 411、494〜8)。興味深いことに、これら小型の干渉RNAs(siRNAs)は長いdsRNAsの処理産物に似ており、分化したほ乳細胞には迂回メカニズムが存在している可能性が示唆されている。RNAseIIIファミリーの一つであり、初期dsRNA処理に必要なDicer複合体が同定されている(Bernsteinら(2001年)、Nature 409、363〜6、Billyら(2001年)、Proc Natl Acad Sci USA 98、14428〜33)。未修飾リボオリゴヌクレオチドを使用する際に経験する問題の一つは、これらが細胞内または血清含有培地においてさえ急速に分解することである(Wickstrom(1986年)、J Biochem Biophys Methods 13、97〜102、Gazenaveら(1987年)、Nucleic Acids Res 15、10507〜21)。それはトランスフェクションされたsiRNAが誘導する各ノックダウンが長期間維持されて表現系の変化を起こすか否かは、具体的な遺伝子機能および使用するアッセイシステムに依存している。
【0004】
本発明の根本的課題は生細胞の様な生物化学的環境内に於いて安定かつ活性である合成干渉RNA分子を提供することである。
【0005】
本発明の第1の局面では、この課題は2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含むことによる2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が少なくとも標的核酸と少なくとも部分的に同一である連続するヌクレオチドである第2ストレッチを含んでおり、また該2本鎖構造が平滑端部であるリボ核酸を提供することにより達成される。
【0006】
第2の局面では、本発明の根本課題は第1鎖および第2鎖を含む2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、該第1ストレッチおよび/または該第2ストレッチが18もしくは19ヌクレオチド長の長さを有するリボ核酸により解決される。
【0007】
発明の第1局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1ストレッチおよび/または第2ストレッチの長さは18もしくは19ヌクレオチドを有する。
【0008】
発明の第1局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、2本鎖構造は2本鎖の両側部が平滑端である。
【0009】
発明の第1局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造に平滑端を有する。
【0010】
発明の第1局面および第2局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の3’−末端および第2鎖の5’−末端により画定される2本鎖構造に平滑端を有する。
【0011】
第3の局面では、本発明の根本課題は第1鎖および第2鎖を含む2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、さらに2本の鎖の少なくとも1本が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有するものであるリボ核酸により解決される。
【0012】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、突出はリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される少なくとも1つのヌクレオチドから成る。
【0013】
本発明の第3局面によるリボ核酸のより好ましい実施態様では、ヌクレオチドは逆方向の塩基が脱落しているオリゴヌクレオチド、および2’−位置がNH2−修飾されているヌクレオチドを含む群から好ましくは選択される修飾を有する。
【0014】
本発明の第3局面によるリボ核酸の好適実施態様では、鎖の少なくとも1本は3’−末端にリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドからなる少なくとも1ヌクレオチドの突出を有している。
【0015】
本発明の第3局面によるリボ核酸の別の好適実施態様では、第1ストレッチおよび/または第2ストレッチは18もしくは19ヌクレオチド長を有する。
【0016】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、2本鎖構造は17〜21ヌクレオチド、好ましくは18〜19ヌクレオチド長を有する。
【0017】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、5’−端の突出は第2鎖にある。
【0018】
本発明の第3局面によるリボ核酸の好適実施態様では、第1鎖もまた突出を、好ましくは5’−末端に有している。
【0019】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、第1鎖の3’−末端は突出を含む。
【0020】
本発明の第3局面によるリボ核酸の別の実施態様では、5’−末端の突出は第1鎖にある。
【0021】
その好適実施態様では、第2鎖も突出を、好ましくは5’−末端に含む。
【0022】
本発明の第3局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、第1鎖の3’−末端は突出を含む。
【0023】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、リボ核酸の少なくとも1ヌクレオチドが2’−位置に修飾を有しており、そして該修飾は好ましくはアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群から選択される。
【0024】
第4の局面では、本発明の根本課題は2本鎖構造を含むリボ核酸であって、該2本鎖構造が第1鎖と第2鎖を含むものであり、該第1鎖が連続するヌクレオチドである第1ストレッチを含み、そして上記第1ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に相補的であり、また該第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、そして上記第2ストレッチが標的核酸に対し少なくとも部分的に同一であり、
このとき
上記第1鎖および/または第2鎖は、2’−位置が修飾されている修飾ヌクレオチドの複数の群を含むものであり、また該鎖内に於いて各修飾ヌクレオチド群は片側部または両側部でヌクレオチドのフランキング群(flanking group)によりフランキングされており、ヌクレオチドのフランキング群を形成するフランキングヌクレオチドは未修飾ヌクレオチドか、または該修飾ヌクレオチドの修飾とは異なる修飾を有するヌクレオチドである、リボ核酸によって解決される。
【0025】
本発明の第4局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、リボ核酸は本発明の第1局面、第2局面または第3局面によるリボ核酸である。
【0026】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖および/または第2鎖は前記複数の修飾ヌクレオチドを含む。
【0027】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖は前記複数の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0028】
本発明の第4局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、前記第2鎖は前記複数の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0029】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの群および/またはフランキングヌクレオチドの群は、1〜10個のヌクレオチドを含む群より選択される数のヌクレオチドを含む。本明細書に記載の範囲に関しては、それぞれの範囲は、上記範囲を規定している2つの数字を含め、範囲の画定に用いたそれぞれの数字の間にある個々の整数を開示すると理解するものとする。従って上記の例では、群は1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチドおよび10ヌクレオチドを含む。
【0030】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別実施態様では、前記第1鎖の修飾ヌクレオチドのパターンは、前記第2鎖の修飾ヌクレオチドのパターンに同一である。
【0031】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、前記第1鎖のパターンは前記第2鎖のパターンに整合されている。
【0032】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖のパターンは第2鎖のパターンに対し1以上の数のヌクレオチドによりシフトしている。
【0033】
本発明の第4局面によるリボ核酸の実施態様の一つでは、修飾はアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群より選択される。
【0034】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本鎖構造は平滑端である。
【0035】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、2本鎖構造は両側部が平滑端である。
【0036】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造の側部が平滑端である。
【0037】
本発明の第4局面によるリボ核酸の更に別の実施態様では、2本鎖構造は第1鎖の3’−末端および第2鎖の5’−末端により画定される2本鎖構造の側部が平滑端である。
【0038】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、2本ある鎖の少なくとも1本が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を含む。
【0039】
本発明の第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、突出は少なくとも1つのデオキシヌクレオチドから成る。
【0040】
本発明の第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、少なくとも1本の鎖は3’−末端に少なくとも1つのヌクレオチドの突出を含む。
【0041】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、2本鎖構造の長さは17〜21、より好ましくは18もしくは19塩基である。
【0042】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の別の実施態様では、前記第1鎖の長さ、および/または前記第2鎖の長さは互いに独立して約15〜約23塩基、17〜21塩基の範囲、および18もしくは19塩基を含む群から選択される。
【0043】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、前記第1鎖と標的核酸との間の相補性は完全である。
【0044】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖と標的核酸との間に形成される二本鎖は少なくとも15ヌクレオチドを含み、そのとき上記2本鎖構造を形成する第1鎖と標的核酸の間に1個または2個の不一致がある。
【0045】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖と第2鎖は共にそれぞれ修飾型ヌクレオチド群の少なくとも1つ、および少なくとも1つのヌクレオチドのフランキング群とを含み、この時修飾ヌクレオチドの各群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、そしてヌクレオチドの各フランキング群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、第1鎖の修飾ヌクレオチドの各群は第2鎖上にあるヌクレオチドのフランキング群と整合しており、そして第1鎖の5’最末端ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群のヌクレオチドであり、第2鎖の3’最末端ヌクレオチドはヌクレオチドのフランキング群のヌクレオチドである。
【0046】
第4局面によるリボ核酸の好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの各群は単一ヌクレオチドより成り、そして/または各ヌクレオチドのフランキング群は単一ヌクレオチドから成る。
【0047】
第4局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖に於いては、ヌクレオチドのフランキング群を形成するヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドに対し3’方向に配置されている非修飾ヌクレオチドであり、第2鎖上に於いては、修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドはヌクレオチドのフランキング群を形成するヌクレオチドに対し5’方向に配置されている修飾ヌクレオチドである。
【0048】
第4局面によるリボ核酸の別の実施態様では、第1鎖は8〜12、好ましくは9〜11の修飾ヌクレオチド群を含み、この時第2鎖は7〜11、好ましくは8〜10の修飾ヌクレオチド群を含む。
【0049】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、標的遺伝子は構造遺伝子、ハウスキーピング遺伝子、転写因子、運動因子、細胞周期因子、細胞周期インヒビター、酵素、成長因子、サイトカインおよび腫瘍サプレッサを含む群より選択される。
【0050】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖および第2鎖はリープ構造で連結している。
【0051】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の好適実施態様では、ループ構造は非核酸ポリマーを含む。
【0052】
非核酸ポリマーの好適実施態様はポリエチレングリコールである。
【0053】
その別の実施態様では、ループ構造は核酸を含む。
【0054】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の実施態様の1つでは、第1鎖の5’−末端は第2鎖の3−末端と連結している。
【0055】
本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の更なる実施態様では、第1鎖の3’−末端は第2鎖の5’−末端に連結している。
【0056】
第5局面では、本発明の根本課題は、標的の検証のために本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を使用することで解決される。
【0057】
第6の局面では、本発明の根本課題は、医薬の製造のために本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を使用することで解決される。
【0058】
本発明の第6局面による使用の好適実施態様では、医薬は神経膠芽腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌および白血病、糖尿病、肥満、心臓血管病、ならびに代謝性疾患を含む群から選択される疾患または状態の治療のためのものである。
【0059】
第7の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞によって解決される。
【0060】
第8の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する生物体、好ましくはノックダウン生物体によって解決される。
【0061】
第9の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を含有する組成物により解決される。
【0062】
第10の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸、および医薬的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物により解決される。
【0063】
第11の局面では、本発明の根本課題は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸を標的遺伝子の発現を阻害するに十分な量で細胞内に導入することを含み、この場合標的遺伝子は本発明のいずれかの局面によるリボ核酸の標的遺伝子である、細胞内の標的遺伝子またはその誘導物の発現を阻害するための方法により解決される。
【0064】
本発明は、生物化学アッセイもしくは細胞環境の様な生物学的システムで一般的に見られる反応条件に於いて極めて特異的且つ活性であると同時に安定でもあるように小型の干渉RNAsを設計できるという驚くべき発見に基づいている。Tuschelら(国際特許出願WO 01/75164)の様な従来技術に記載の各種干渉RNAsは、21〜23ヌクレオチド長を有し、2本鎖RNAの3’末端が修飾されている。驚くべき事に、本明細書に於いて以後通常RNAiと呼ぶ小型干渉RNA(siRNA)を含めた干渉RNAの安定性に関する問題が、実際には従来考えられていた様なエクソヌクレアーゼによる攻撃というよりはエンドヌクレアーゼの攻撃に拠ることが発明者により見出された。この発見に基づいて発明者は本出願に係る幾つかの戦略を認知した。
【0065】
従って本発明は、新規形態の干渉RNAに関する。RNAiは2本鎖構造を含むリボ核酸より成る。上記2本鎖構造は第1鎖および第2鎖から形作られる。上記第1鎖は、本明細書に於いては連続ヌクレオチド第1ストレッチとも呼ばれる連続するヌクレオチドのストレッチを含み、そしてこの第1ストレッチは標的核酸と少なくとも一部が相補的である。上記第2鎖もまた連続するヌクレオチドのストレッチを含み、このとき上記第2ストレッチは標的核酸と部分的に同一である。このリボ核酸の極めて基本的な構造を図1に概略的に示す。上記第1鎖および上記第2鎖は好ましく相互にハイブリダイズして2本鎖構造を形作る。ハイブリダイゼーションは一般的にはワトソンクリックの塩基対合により生ずる。しかし、発明のリボ核酸は上記2本鎖構造に対するその長さに関し必ずしも限定されない。RNAiを形成するそれぞれの鎖および鎖の各端部には、さらにヌクレオチドが付加されるだろう。第1ストレッチおよび第2ストレッチの具体的な配列によっては、ハイブリダイゼーションまたは塩基対合が完全もしくは完璧なものである必要はなく、即ち第1および第2ストレッチが不一致により塩基が100%対合しなくともよい。二本鎖内に1以上の不一致があってもよい。上記不一致は15、16または17個であることが好ましいぴったり合わさったヌクレオチドのストレッチの外側にある場合には、RNAi活性に影響しない。不一致により15個未満の連続したぴったり合わさったヌクレオチドのみ生ずる場合、問題の標的のmRNAのダウンレギュレーションに関するRNAi分子の活性は17個のぴったり合わさったヌクレオチド二本鎖に比べ低いのが一般的である。
【0066】
第1鎖の連続ヌクレオチド第1ストレッチは標的核酸に対し、より好ましくは標的核酸の一部に対し実質的に相補的である。ここで用いる相補的とは、好ましくは第1鎖のヌクレオチド配列が標的核酸配列もしくはその一部の核酸配列とハイブリダイゼーションすることを意味する。典型的には、標的核酸配列または標的核酸は、干渉リボ核酸の作用様態に応じて、単鎖RNA、より好ましくはmRNAである。かかるハイブリダイゼーションは最も一般的にはワトソンクリック塩基対合により生ずると思われるが、しかしそれに限定されるものではない。上記第1鎖および、より特には上記第1鎖の連続ヌクレオチドの第1ストレッチが標的核酸配列に対し相補的である程度は、最高100%、最低80%であり、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは90〜100%である。最適な相補性は95〜100%であろう。この意味に於いて相補性とは、上記ヌクレオチドの範囲が、例えばヌクレオチドの80〜100%が、明示した範囲が完全にワトソンクリック塩基対合することを意味する。本発明の一局面に於いては、上記ヌクレオチドの第1ストレッチと標的RNAとの間の相補性は18〜19ヌクレオチドでなければならず、たった17ヌクレオチドのストレッチでは、配列特異的突出が2つある場合でもRNAiを媒介するにおいて機能的でない。従って、二本鎖が19ヌクレオチドまたは塩基対の長さを有している場合は、最低17ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対が相補的であり、2ヌクレオチドが不一致であることが許容される。20ヌクレオチドまたは塩基対より成る二本鎖の場合は、17ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基対の相補性が許容可能であり、機能的であろう。同じ事は、合計17の相補的ヌクレオチドまたは塩基対を有する21ヌクレオチドまたは塩基対の2本鎖にもあてはまる。基本的には、2本鎖、即ち2本鎖構造の長さに対し求められる相補性の強さは、ここに記載の2本鎖構造によるか、または第1鎖の第1ストレッチと標的核酸の複合体により形成される複合体の融点にも依存する。
【0067】
本発明のリボ核酸は全て、例えば国際特許出願WO99/32619、WO00/44895およびWO01/75164に記載されているようなRNA介在干渉を起こすこと、または関係することに好適であると理解すべきである。
【0068】
干渉リボ核酸分子を本発明に従い設計する場合の第1戦略は、標的核酸に対し相補的である18または19ヌクレオチドの最適長ストレッチを有することである。18または19ヌクレオチドの上記最適長が、使用するRNAiの2本鎖構造の長さそのものである場合も本発明の範囲内である。この長さの要件は、例えば国際特許出願WO01/75164のような先行技術の技術教示とは明らかに異なる。本発明および先行技術に記載されている、上記の特徴の長さ、即ち18または19ヌクレオチドの長さを持つ干渉リボ核酸と結びつき実現できるその他設計も、本発明の範囲内である。
【0069】
干渉リボ核酸分子を設計する場合の第2の戦略は、第1鎖に、本明細書では自由5’OH−基とも呼ばれる自由5’ヒドロキシル基を有することである。自由5’−OH基とは、第1鎖を形成している最端のヌクレオチドが、修飾されない状態、特に末端修飾されていない状態で存在していることを意味する。典型的には、第2鎖の末端の5’−ヒドロキシ基もそれぞれ非修飾の様式で存在する。より好ましい実施態様では、第1鎖および第1ストレッチの3’−末端もそれぞれ非修飾型であり、本明細書では自由3’−OH基とも呼ばれる自由OH−基を提示しており、この時5’末端のヌクレオチドの設計は前記実施態様のいずれか1項に記載のものである。かかる自由OH−基は第2鎖および第2ストレッチの3’−末端にもそれぞれ存在するのが好ましい。本発明による前記リボ核酸分子の別実施態様では、第1鎖および第1ストレッチの3’−末端それぞれ、ならびに/または第2鎖および第2ストレッチの3’−末端それぞれは3’末端に末端修飾を有しても良い。
【0070】
本明細書では、用語自由5’OH−基及び3’OH−基は、ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端それぞれにある各最端ヌクレオチドがOH−基であることも示している。かかるOH−基はヌクレオチドの糖部分より、より好ましくは5’OH−基の場合には5’位置より、3’OH−基の場合には3’位置より生ずるか、または各末端ヌクレオチドの糖部分に結合したリン酸基から生ずるだろう。リン酸基は原則的にはヌクレオチドの糖部分のいずれかの5’OH−基に結合する。好ましくは、リン酸基は自由5’OH−基の場合には糖部分の5’OH−基、および/または自由3’OH−基の場合には糖部分の3’OH−基に結合するが、これらについても本明細書では自由5’または3’OH基と呼ぶ。
【0071】
本明細書では、ここに開示したRNAiの設計のための戦略またはRNAiの実施態様により用いる場合、末端修飾という用語は第1および/または第2鎖の最端5’または3’ヌクレオチドに化学的実在が付加されることを意味する。かかる末端修飾の例としては、とりわけても欧州特許EP 0 586 520B1またはEP 0 618 925 B1に記載の如くに逆方向(デオキシ)脱塩基(abasics)、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボン酸塩、チオアート、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルキアリール(alkaryl)もしくはアラルキル、OCF3、OCN、O−、S−もしくはN−アルキル;O−、S−もしくはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2、N3;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルキアリール;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノまたは置換シリルを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用する場合、アルキルまたは「アルキル」を含む用語は、1ないし12個、好ましくは1ないし6個、より好ましくは1ないし2個のC原子を含む炭素原子鎖を意味する。
【0073】
別の末端修飾はビオチン基である。かかるビオチン基は、第1鎖および/または第2鎖の最端5’または3’ヌクレオチド、あるいはその両端に結合するのが好ましいだろう。より好ましい実施態様では、ビオチン基はポリペプチドまたはタンパク質に結合する。ポリペプチドまたはタンパク質がその他前記末端修飾のいずれかを介して結合しているものも、本発明の範囲内である。ポリペプチドまたはタンパク質は本発明の核酸分子に更なる特徴を付与してもよい。わけてもポリペプチドまたはタンパク質は他の分子に対するリガンドとして作用してもよい。前記その他分子がレセプターの場合には、レセプターの機能および活性が結合リガンドにより活性化されてもよい。レセプターは内部化(internalization)インターナリゼーション活性を示してもよく、これによりリガンドに結合した発明核酸分子の効率的なトランスフェクションを可能にするだろう。発明の核酸分子に結合させるリガンドの例はVEGFであり、それに対応するレセプターはVEGFレセプターである。
【0074】
様々な末端修飾を有する本発明のRNAiについて考え得る各種実施態様を次表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
ここの開示した各種末端修飾は、リボ核酸のヌクレオチドのリボース部分に位置することが好ましい。より具体的には、末端修飾は修飾されるヌクレオチドが末端ヌクレオチドであることを前提として2’OH、3’OHおよび5’OHを含むが、これらに限定されずにリボース部分のいずれかのOH−基と結合するか、又は置換するものとする。逆方向脱塩基(inverted abasics)は、ヌクレオ塩基部分を有さないデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドである。この種の化合物は、特にSternbergerら、(2002)、Antisense.Nucl.Ac.Drug Dev、印刷中に記載されている。
【0077】
いずれの前記末端修飾も表1に記載のRNAiの各種実施態様と結びつけて用いても良い。これに関連して、好ましくは末端修飾を有している、より好ましくは5’末端で有していることによりセンス鎖が不活性化されているここに記載のRNAiまたは実施態様は、特に有利である。この利点は、ここに記載のリボ核酸第2鎖に対応するセンス鎖の不活性化に起因するものであり、そうしない場合には細胞内にある無関係の単鎖RNAに干渉するだろう。それ故に、発現、およびより具体的には細胞のトランスクリプトームの翻訳パターンにより特異的に影響する。この効果はオフターゲット(off-target)効果とも呼ばれる。表1を見ると、実施態様7および8として描かれたこれら実施態様が上記の意味に於いて特に有利であるが、それは修飾によって−標的非特異的な−RNAi部分(第2鎖である)が不活性化され、その結果本発明のRNAiを用いて特定のリボ核酸およびタンパク質をそれぞれノックアウトする細胞または同様のシステムでの単鎖RNAと第2鎖との非特異的な相互作用を減らせるからである。
【0078】
本発明に関する第3の戦略は2本鎖構造を含むリボ核酸を実現することであり、この場合の2本鎖構造は第1鎖と第2鎖とを含み、この時第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、かつ前記第1ストレッチは少なくとも一部が標的核酸に対し相補的であり、そして第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、この時前記第2ストレッチは少なくとも一部が標的核酸と同一であり、そして2本鎖構造の端部は平滑である。本記載と関連つけて用いる場合には、2本鎖構造という用語は二本鎖とも称される。従ってRNAiのこの設計は、例えば3’−突出を開示した国際特許出願WO 01/75164の中に明示されている、Tuschlらのものとは明らかに異なる。本明細書で用いる場合、突出とは一方の鎖の少なくとも一端が、共に2本鎖を形成しているもう一方の鎖、本明細書ではカウンター鎖とも呼ぶ鎖の対応する端部よりも長い2本鎖構造を表している。好ましくは、第1ストレッチは第1鎖と同一であり、第2ストレッチは第2鎖と同一である。
【0079】
平滑端を持つRNAiの有効性および各リボ核酸のそれぞれ第1もしくは第2鎖のいずれか、または両鎖の端部修飾の利点を考慮すると、両方の設計原理を組み合わせることが好ましい。換言すると、平滑端RNAiに表1に示したような末端修飾スキームを持たせることは、本発明の範囲内である。
【0080】
本発明に関する第4の戦略は、リボ核酸の5’−末端に突出を持たせることである。より具体的には、かかる突出は原則的には本発明によるリボ核酸の第1鎖および第2鎖のいずれか、または両方に存在できる。前記突出の長さは、1ヌクレオチドと短いもの、および2ないし8ヌクレオチド長、好ましくは2、4、6または8ヌクレオチドである。5’突出が本明細書によるリボ核酸の第1鎖および/または第2鎖上にある場合も、本発明の範囲内である。突出を形成するヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその連続物でよい。
【0081】
突出は少なくとも1つデオキシリボヌクレオシドを含むことが好ましく、前記1つのデオキシリボヌクレオチドはその最5’末端にあるのが好ましい。発明のリボ核酸の各カウンター鎖の3’末端が突出、より好ましくはデオキシリボ核酸の突出を有しないことも本発明の範囲内である。この場合も、発明のリボ核酸は表1に関係し概要を示した末端修飾スキームおよび/またはここに概要を示した末端修飾を含んでもよい。
【0082】
本出願の干渉リボ核酸の設計に関する第5の戦略は、少なくとも1つの鎖、より具体的には本発明のリボ核酸の連続ヌクレオチドのストレッチの1つの上に特定パターンの修飾ヌクレオチドを形成せしめることである。前記ヌクレオチドの修飾の種類は、ここに開示した干渉RNAを設計するために他の戦略と関係して論じたものと同一でもよく、そしてより具体的には末端修飾のために、または末端修飾としてここに記載した種類の修飾、例えば本出願によるリボ核酸を形成する少なくとも1ヌクレオチドのリボース部分での逆方向脱塩基、メトキシまたはアミノ等である。前記ヌクレオチドの修飾は本明細書記載のいずれかの形態の修飾でよく、より具体的には本明細書に末端修飾として記載される種類の修飾でよいが、いわゆる末端修飾は末端ヌクレオチドに局在する必要はないことに注意すべきである。むしろ修飾は末端ヌクレオチド以外に行う。かかる条件では、修飾は修飾ヌクレオチドのリボース部分に結合するのが好ましく、より更に好ましくはリボース部分の2’位置に結合する。
【0083】
この戦略に従い設計されたリボ核酸も、ここに開示した他の設計戦略のいずれかにより、本出願のリボ核酸に付与される特徴を有することが、また本発明の範囲内である。従って、あるパターンの修飾ヌクレオチドを有する干渉リボ核酸は末端修飾を有し、末端修飾スキーム計画は平滑端であっても、または5’突出を有しても良く、あるいはこれら要素または特徴の2つ以上の組み合わせでもよい。
【0084】
末端修飾または修飾パターンとして表される前記修飾とは別に、リボ核酸の主鎖(backbone)についてヌクレオチド間に各種連結を形成せしめることで更に修飾してもよい。かかる各種連結としては、特に欧州特許EP 0 586 520 B1および欧州特許EP 0 618 925 B1に記載のものがある。本発明において特に興味深いものは、リボオリゴヌクレオチドに高いヌクレアーゼ耐性を付与することが示されているリボ核酸主鎖の内部修飾である。好適実施態様では、修飾ヌクレオチドの修飾はヌクレオチドのリボース部分の2’−OH−基のメトキシル化である。
【0085】
好適実施態様では両鎖、より具体的には第1ストレッチおよび第2ストレッチの両方が、前記鎖およびストレッチを形成するヌクレオチドにこの種の修飾が存在する。しかし、第1鎖および第1ストレッチそれぞれ、または第2鎖および第2ストレッチそれぞれ一方がこの特別なヌクレオチド修飾パターンを示す場合も、本発明の範囲内である。本明細書で用いる場合、修飾ヌクレオチド群またはヌクレオチドのフランキング群という用語は、1程度のヌクレオチド、即ち1以上のヌクレオチドを含むか、または表している。
【0086】
連続ヌクレオチドのストレッチを考える場合、ストレッチを形成するヌクレオチドは、単一ヌクレオチドまたは標準的なリン酸ジエステル結合を介して、または少なくとも一部がホスホロチオナート結合を介して相互に共有結合しているヌクレオチド群がかかる種類の修飾を示すような修飾パターンを取ってもよい。かかるヌクレオチド、またはここでは修飾ヌクレオチド群とも呼ばれるヌクレオチド群が前記ストレッチの5’−末端または3’−末端を形成しない場合には、前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド群の修飾を持たないヌクレオチドの両側にヌクレオチドまたはヌクレオチド群が続く。しかしこの種のヌクレオチドまたはヌクレオチド群が別の修飾を有してもよいことに注意すべきである。この種のヌクレオチドまたはヌクレオチド群は、本明細書ではヌクレオチドのフランキング群ととも呼ばれる。修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド群それぞれのこの配列、および非修飾または異なる修飾が施されたヌクレオチド、あるいは非修飾または異なる修飾が成されたヌクレオチド群は1回、または複数回繰り返しても良い。好ましくは、配列は1回より多く繰り返す。より明瞭にすることを目的として、次にパターンについて、修飾ヌクレオチドの群または非修飾ヌクレオチドの群を一般的に参照しながら詳しく説明するが、この場合前記の各群は実際には1ヌクレオチド程度のヌクレオチドを含んでもよい。ここで用いる非修飾ヌクレオチドとは各ヌクレオチドまたはヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドに前記修飾がないこと、あるいは修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド群のそれとは異なる修飾を有することを意味する。
【0087】
非修飾ヌクレオチドが実際には修飾ヌクレオチドの修飾とは別の方法で修飾される非修飾ヌクレオチドの修飾が、前記非修飾ヌクレオチドを形成する各種ヌクレオチドまたはヌクレオチドの各種フランキング群に関し同一である場合も、または異なる場合さえも本発明の範囲内である。
【0088】
修飾および非修飾ヌクレオチドのパターンとしては、鎖またはストレッチの5’−末端ヌクレオチドがヌクレオチド修飾群から開始しても、またはヌクレオチドの非修飾群から開始してもよい。しかし、別の実施態様では、5’−末端ヌクレオチドがヌクレオチドの非修飾群で形成することも可能である。
【0089】
この種のパターンを、干渉RNAの第1ストレッチもしくは第2ストレッチ、またはその両方で実現してもよい。siRNAの機能には、siRNA二本鎖の標的−相補的な鎖に5’リン酸基があることが必要であることに注意が必要であり、このことは細胞が自由5’OH(リン酸化できる)を介してsiRNAの真偽性をチェックし、そしてそのような真性siRNAのみを標的RNAの破壊に方向付けすることを示唆している(Nykanen,et al。(2001年)、Cell 107、309〜21)。
【0090】
第1ストレッチはある種類のパターンのヌクレオチド修飾および非修飾群、即ち修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群のパターンを示し、一方第2ストレッチはこの種類のパターンを示さないことが好ましい。これは第1ストレッチが、RNA干渉現象の基礎を成す標的−特異的分解プロセスにとって実際的により重要であり、かつ特異性の理由から第2ストレッチはRNA干渉の媒介において機能しないように化学的に修飾できる限りに於いて有用であろう。
【0091】
しかし、第1ストレッチと第2ストレッチが共にこの種のパターンを有するものも本発明の範囲内である。修飾および非修飾のパターンは第1ストレッチおよび第2ストレッチの両方に対し同一であるのが好ましい。
【0092】
好適実施態様では、第2ストレッチを形成し、且つ第1ストレッチのヌクレオチドの修飾群に対応しているヌクレオチドの群もまた修飾されており、一方第2ストレッチの、または第2ストレッチを形成するヌクレオチドの非修飾群は第1ストレッチの、または第1ストレッチを形成するヌクレオチドの非修飾群に対応している。この可能性を図2Aに概略的に示した。さらには、第1ストレッチおよび第1鎖それぞれの修飾パターンが第2ストレッチおよび第2鎖それぞれの修飾パターンに対して位相シフトするものがある。好ましくは、第1鎖のヌクレオチドの修飾群が第2鎖のヌクレオチドの非修飾群と対応し、その逆もまた同じになるようにシフトするのが好ましい。この可能性を図2Bに示す。修飾のパターンの位相シフトが完全ではないが、図2に例示するように重複するものも、本発明の範囲内である。
【0093】
好適実施態様では、鎖およびストレッチそれぞれの末端にある第2ヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドであるか、または非修飾ヌクレオチド群の先頭である。好ましくは、この非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は第1鎖および第2鎖それぞれの5’−末端に位置しており、より好ましくは第1鎖の5’−末端に位置する。更に好適な実施態様では、非修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドの非修飾群は第1鎖および第1ストレッチそれぞれの5’−末端に位置する。好適実施態様では、修飾および非修飾ヌクレオチドは1つずつ交互に配置するパターンを構成する。
【0094】
本発明のこの局面に関する更に好適な実施態様では、問題の干渉リボ核酸は2本の鎖を含み、このとき2’−O−メチル修飾ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチド、好ましくは2’−O−メチル修飾されていないヌクレオチドが両方の鎖に、交互になるように組み込まれており、即ち1ヌクレオチド毎に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとなる。換言すると、第1鎖では1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドの後に非修飾ヌクレオチドが続き、その次に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが続き、これを繰り返すことを意味している。2’−O−メチル修飾および非修飾から成る同一の配列が第2鎖にも存在しており、この時第1鎖の2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが第2鎖の非修飾ヌクレオチドと塩基対合し、その逆も同様になるような位相シフトがあることが好ましい。この特別な配置、即ち両鎖の2’−O−メチル修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとが塩基対合することは、短い干渉リボ核酸、即ち短い塩基対合2本鎖リボ核酸の場合には特に好ましいが、それは本発明を特定の理論と結びつけることを望むわけではないが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドが2塩基対合するとその間に特別な反発力が働き、かかる二本鎖、特に短い二本鎖を不安定にすると推定されるからである。前記特別な配置に関しては、アンチセンス鎖が5’端について2’−O−メチル修飾ヌクレオチドから開始し、従って第2ヌクレオチドが非修飾型の場合は、第3、第5、第7といったヌクレオチドは再び2’−O−メチル修飾されており、一方、第2、第4、第6、第8といったヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドである。この場合も特別な理論と結びつけることを望まないが、修飾を含まないとするアンチセンス鎖の5’末端にある第2、場合によっては第4、第6、第8および/または同様の位置は特別重要であるのに対し、5’最末端ヌクレオチド、即ちアンチセンス鎖の最初の5’末端ヌクレオチドはかかる修飾を示すものであり、アンチセンス鎖の第1、場合により第3、第5および同様の奇数位置は修飾されると考えられる。別の実施態様では、修飾および非修飾ヌクレオチドそれぞれの修飾および非修飾それぞれは、本明細書に記載のいずれのものでもよい。
【0095】
これに限定されないが、発明のリボ核酸の、二本鎖とも呼ばれる2本鎖構造は、第1鎖および第2鎖それぞれによって、または連続ヌクレオチドの第1および第2ストレッチによって形成される。第1ストレッチおよび第2ストレッチそれぞれの長さは、典型的には約15〜約23、好ましくは約17〜21、より好ましくは18もしくは19塩基である。これに関連して、30ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは21ヌクレオチド未満の長さは、基本的にRNA干渉およびインターフェロン反応を示すことができ、インターフェロン反応を発生できる生物学的システムをもたらすことはない。その理由は、30塩基対より長い2本鎖RNAが結合し、プロテインキナーゼPKRおよび2’、5’−オリゴアデニニレート合成酵素を活性化した時に、ある種の細胞が大きな生理学的変化を被ったという観察に基づいている。活性化PKRはeIF2aのリン酸化を介して翻訳を停止、活性化2’,5’−ASはmRNAの分解を引き起こす。これら作用は、標的特異的な表現形のノックダウンの効果を無効にしてしまうため、標的の検証および動物モデルについては望ましくない。
【0096】
本発明の干渉リボ核酸の設計に関する第6の戦略によれば、リボ核酸は2本鎖構造を含み、このとき2本鎖構造は第1鎖および第2鎖を含むものであって、第1鎖は連続ヌクレオチドの第1ストレッチを含み、そして前記第1ストレッチは少なくとも一部が標的核酸に対し相補的であり、そして第2鎖は連続ヌクレオチドの第2ストレッチを含み、前記第2ストレッチは少なくとも一部が標的核酸と同一であり、そして第1鎖の末端の1つと第2鎖の末端の1つがループ構造により連結している。
【0097】
実施態様の1つでは、ループ構造は非核酸ポリマーを含む。かかる非核酸ポリマーはポリエチレングリコールまたは同様のポリマーでもよい。非核酸ポリマーは、原則的にはポリヌクレオチドを含まず、そして連結する2本の鎖を実際に相互にハイブリダイゼーションさせることができるポリマーを含む群から選択されるだろう。かかるハイブリダイゼーションを可能にするために、相互にハイブリダイゼーションする2本のストレッチを連結する分子またはその部分は、分子が曲がれるようにして2本のストレッチが接近できるようにし、且つハイブリダイゼーション可能な3次元的に配置できる特定の分子構造または分子柔軟性を持たなければならない。この種の分子または分子部分は実際にはヒンジとして機能する。原則的には、この条件を満たす分子であればいずれの分子も本発明に用いることができるだろう。ポリエチレングリコール以外にはアミノ酸をベースとする分子を使用してもよい。この種のアミノ酸をベースとする分子はホモポリマーまたはヘテロポリマーのいずれでもよい。有用例は7個のグリシン残基から成るホモポリマーであり、これらグリシン残基は2本のストレッチを必用に応じて近接させてハイブリダイゼーションさせるのに必用なヒンジを生成できる。このグリシンをベースとするヒンジは、例えばGuan K.L.とDixon J.E.(1991年)、Anal Biochem.192、262に記載されている。別の実施態様では、ヒンジは当分野既知のクラウンエーテルにより形作られても良い。
【0098】
別実施態様では、ループは核酸を含む。本明細書で使用する場合、ElayadiとCorey(2001年)Curr Opin Investig Drugs.2(4):558〜61.総説;Orum and Wengel(2001)Curr Opin Mol Ther.3(3):239〜43;に記載されているLNA、およびPNAは核酸と見なされ、そしてループ形成ポリマーとして用いても良い。基本的には第1鎖の5’−末端は第2鎖の3’−末端と連結するだろう。あるいは、第1鎖の3’−末端が第2鎖の5’−末端に連結してもよい。前記ループ構造を形成しているヌクレオチドの配列は一般的には重要とは考えられていない。しかし、かかるループを形成するヌクレオチド配列の長さは立体上の理由から重要と思われている。従って必用とされるループ構造を形成するのに適当な最低長は4ヌクレオチドと考えられている。原則的には、ヒンジまたはハイブリダイゼーションする両ストレッチ間のヒンジまたは連結を形作るヌクレオチドの最大数に制限はない。しかし、ポリヌクレオチドが長くなるほど、二次および三次構造が形成されやすくなり、その結果ストレッチに求められる方向性に影響が出てくる。好ましくはヒンジを形成するヌクレオチドの最大数は約12ヌクレオチドである。上記いずれかの設計と上記6つの戦略とを組み合わせること、即ち2本の鎖をループ構造または同様の構造を通して折り返す(ループ)ことができる様に共有結合により連結することもまた本明細書の開示の範囲内である。
【0099】
本発明者は驚くべきことにループをアンチセンス鎖、即ち本発明のリボ核酸の第1鎖の3’に配置すると、この種のRNAの活性がアンチセンス鎖の5’にループを配置した場合に比べ高くなることを見いだした。従って、アンチセンス鎖およびセンス鎖、即ちそれぞれ第1鎖および第2鎖に対する特別なループの配置が重要であり、従ってこのことは方向性が重要ではないという従来表明されていた考え方とは対照的である。しかし、このことは、ここに示す実験結果を考えれば真実ではないと考えられる。先行技術での理解は、RNAiがその間にループによらず連結されるRNAiが生成されるプロセッシングにかけられることを想定していた。しかし、たとえそうであっても、アンチセンスの3’に配置されたループを有する構造に明瞭に観察される活性増加を説明できない。この限りに於いては、この種の小型干渉RNAiの5’から3’方向における好ましい配置は、第2鎖−ループ−第1鎖である。各構築物は好適ベクターシステム内に組み込んでも良い。好ましくは、ベクターはRNAiの発現に関するプロモータを含む。好ましくは、各プロモータはpol IIIであり、より好ましくは、プロモータはGood et al.(1997年)Gene Ther、4、45〜54に記載のU6、H1、7SKプロモータである。
【0100】
干渉RNA、従ってmRNAの様なコーディングヌクレオチドのノックダウンもしくはノックアウトの概念の応用性が広範であるが故に、かかるRNAを生ずる遺伝子を、本発明のリボ核酸分子の何れかを用いその発現を修飾してもよい。このメカニズムは基本的かつ広く応用できるため、このメカニズムに基づいて、遺伝子のノックダウンまたはノックアウトを包含する応用を実現できる。好ましい応用は、発明のリボ核酸を標的の検証に使用することである。本明細書で使用する場合、標的の検証とはあるDNA、RNAまたはタンパク質分子が生物学的プロセスに直接関係していることを証明するためのステップをとることを包含している工程を意味し、好ましくは病気または標準的でない−原因的な−状態に関わるプロセスであり、従って好適な標的は新規の治療化合物の開発である。配列の相同性研究により遺伝子を標的のファミリーに分類することに成功している。病気に関して重要な役割を果たすものがこれら標的のどれであるか解明すること、続く医薬品開発に利用すべきものを解明するための厖大な作業は効率的に行う必用がある。それ故に遺伝子発現のノックダウンは50〜100%、好ましくは90%に下げて、表現形への有意な影響を調べる必用がある。その他の例では、遺伝子によっては、表現形の発生にせいぜい20%のノックアウトでも十分な場合がある。表現形は機能的RNAi分子を含む細胞を、機能的でないRNAi分子を含む細胞とを比較し画定できる。これにより、タンパク質の機能が一部のみ阻害された状態でも、有意な読み出しが保障されるだろう。一般的には、mRNAの減少と表現形の変化の大きさとの間に直線的な関連性はない。一部のタンパク質に関しては、タンパク質が約20%減少しただけでも表現形に大きな変化が生じるが、一方他の遺伝子およびRNAでは、それぞれ5ないし10%程度のタンパク質が残っていても観察される表現形は十分維持される。
【0101】
本発明のリボ核酸分子の更なる用途は、医薬の製造への使用、または医薬としての使用である。かかる医薬は、遺伝子およびその産物が病気の発症、原因または進行と関係している、例えば癌の様な病気または状態の治療および/または予防のいずれかに使用できる。更に、かかる医薬は遺伝子産物の存在または過剰発現が病理学的表現形の原因である病気の処置にも用いることができる。好適実施態様では、病気は対応する生物学的に活性であるRNAiの適用または投与により機能を獲得することを特徴とし、そして処置される。ここに開示したリボ核酸を含む医薬により処置される病気または状態は、癌、心臓病、代謝疾患、皮膚疾患、炎症性疾患、免疫系障害、および自己免疫疾患を含む群から選択されてもよいだろう。各種形態の癌としては、固形癌および膠芽腫の様な造血系の腫瘍、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌および白血病を挙げられるが、これらに限定されない。代謝疾患としては肥満および糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。皮膚疾患としては乾癬があげられるが、これに限定されない。
【0102】
別の局面では、本発明のリボ核酸分子は診断、好ましくは上記の疾患および状態に関連して特定される病気の診断に用いられる。この様な診断は、細胞を含むことが好ましいサンプルに本発明のリボ核酸分子を適用したときの、サンプル発現パターンの変化を観察することに基づくだろう。かかるサンプルは前記の治療対象となる病気又は状態を罹っているか、またはそれに関する素因を有すると思われる被験者に由来する細胞を含むことが好ましい。
【0103】
本発明の核酸の更なる応用は、医薬的に活性な化合物のスクリーニングおよび/または最適化への使用である。後者は低分子等の候補薬物の効果をモニタリングまたは決定し、前記候補薬物が発揮する効果と、ここに開示した原則に基づき設計された特異的RNAi投与時に観察される効果とを比較するようにして行われる。こうすることでスクリーニング工程から標的外作用を有する候補薬物を排除でき、同時に同様または同一の表現系を作り出す候補薬物は有望なリード化合物と見なすことができ、場合によってはそれ自体が医薬的に活性な化合物であることもあるだろう。この方法では、高い特異性を有するRNAi分子は、候補薬物の測定に於けるゴールドスタンダードとして機能する。
【0104】
別の局面では、発明はここに開示のリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞に関する。かかる細胞は単離された、または生体内に再度戻されないことが好ましい、組織内または器官内に含まれる細胞であることが好ましい。しかし、細胞は生体内に含まれるものでもよい。細胞は発明のリボ核酸による処置の対象となる病気または状態に関係する細胞であることが好ましい。この種のノックダウン細胞は、機能的な関連性を評価する、または下流の標的を決定するために、例えばmRNAもしくはタンパク質に基づく発現プロフィールを作製するのに使用してもよい。
【0105】
別の局面では、発明はここに開示のリボ核酸を含む生物に関する。好ましくは、かかる生物は脊椎動物であり、より好ましくは該脊椎動物は哺乳動物である。ここでいう哺乳動物とは、とりわけてもサル、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、モルモット、ウサギ、マウス、ラットおよびヒトであるが、これらに限定されない。
【0106】
さらに別の局面では、本発明は本発明のリボ核酸を含む組成物に関する。好ましくは、かかる組成物は陰性および陽性コントロールと有効なリボ核酸とを組み合わせた形態、または別々の形態で含んでいる。かかる組成物はさらに溶媒、好ましくは緩衝液を含んでも良い。
【0107】
別の局面では、本発明は本発明のリボ核酸および医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。医薬的に許容可能な担体は当業者公知であり、とりわけ希釈剤、緩衝剤等を含む。医薬組成物はさらに医薬的に活性な化合物を含んでも良い。本発明のリボ核酸分子を用いた処置の対象が病気または状態である場合、前記化合物は既に前記の病気または状態の処置に関連して用いられているものであることが好ましい。本発明のリボ核酸と、先行技術の前記病気および状態の処置に用いられている医薬の作用モードが異なる場合には、相乗効果が得られることもあるだろう。
【0108】
次に発明を、本発明のその他特徴、実施態様および利点を表す図面および実施例を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本明細書で用いた用語を規定する概略図。2本ある鎖の内、上の鎖は第1鎖であり、mRNAの様な標的となる核酸のアンチセンス鎖である。第2鎖は標的となる核酸に実質的に対応する配列を持つ鎖であり、従ってセンス鎖を形作っている。両鎖、即ち第1鎖と第2鎖は、典型的にはワトソンクリック塩基対合により2本鎖構造を形成する。
【図2A】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されている(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1鎖のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上でも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図2B】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されている(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1差のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上でも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図2C】本明細書に於いて修飾パターンとも呼ばれる、ヌクレオチドの修飾群および非修飾群のパターンを有する本発明リボ核酸分子の幾つかの実施態様を表している。本明細書では、ヌクレオチドの修飾群はまた修飾ヌクレオチド群とも呼ばれる。非修飾ヌクレオチドまたは本明細書に於いてヌクレオチドのフランキング群とも呼ばれるヌクレオチドの非修飾群は、本明細書で使用する時ここに開示した修飾を1または複数個有しても良いが、前記修飾は修飾ヌクレオチド群を形成するヌクレオチドの修飾とは異なるものである。図2Aでは、ヌクレオチドの修飾および非修飾群、即ち第1ストレッチおよび第2ストレッチの両ストレッチ上の修飾ヌクレオチド群およびヌクレオチドのフランキング群がストレッチの対応する部分に配置されており、それにより互いに整合されているが(第1鎖の修飾ヌクレオチドの群が第2鎖の修飾ヌクレオチドの群と並び、第1差のヌクレオチドのフランキング群は第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並んでいる)、一方図2Bでは第1鎖上で実現されたパターンが第2鎖上にも実現されるが、その位相は第1ストレッチのヌクレオチド修飾群が第2ストレッチのヌクレオチド非修飾群と塩基対合し、その逆も同様になるようにシフトしており、その結果第1鎖の修飾ヌクレオチドの群は、第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と並ぶ。図2Cにはヌクレオチド修飾群および非修飾群について考え得る別の配置が実現されている。第1ストレッチのパターンが第2ストレッチのパターンと無関係であり、そして両パターンが塩基対合により画定する2本鎖構造内において互いの相対位置という観点で部分的に重複する場合も、本発明の範囲内である。別の実施態様では、この重複の範囲はストレッチおよび鎖それぞれの長さを超えて変化できる。
【図3A】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックダウン実験の結果。より具体的には図3Aは各種形状の末端を保護されたRNAi分子がPTEN mRNAのノックダウンに機能しうることを示している。
【図3B】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックアウト実験の結果。結果が図3Aに描かれている、実験に使用した各種RNAi分子の配列を表している。
【図3C】様々な末端保護基を持つRNAi分子を用いたノックアウト実験の結果。PTEN特異的アンチセンス構築物と比較した、修飾RNAi分子で処理した後のPTENタンパク質のイムノブロット分析結果を表している。
【図4A】RNAi分子の3’突出がRNA干渉にとって重要ではないことを示す。より具体的には図4Aは、各種RNAi分子の用量反応曲線を示す。
【図4B】RNAi分子の3’突出がRNA干渉にとって重要ではないことを示す。図4Bは、結果が図4Aに示されている実験に使用したRNAi分子の配列を示す。
【図5A】RNAi分子の二本鎖長は少なくとも18〜19ヌクレオチドでなければならないことを示す。より具体的には図5Bは図5Aにその結果が用量依存曲線として描かれている実験に使用したPTEN特異的RNAi分子の配列である。
【図5B】RNAi分子の二本鎖長は少なくとも18〜19ヌクレオチドでなければならない。より具体的には図5Bは図5Aにその結果が用量依存曲線として描かれている実験に使用したPTEN特異的RNAi分子の配列を示す。
【図6A】末端に4個の不一致ヌクレオチドを有する19ヌクレオチド長のRNAi分子はAkt1ノックダウンを媒介するにおいて機能を依然有していることを示す。より具体的には図6Bは図6Aに結果が描かれている実験に使用したRNAi分子の配列である。
【図6B】末端に4個の不一致ヌクレオチドを有する19ヌクレオチド長のRNAi分子はAkt1ノックダウンを媒介するにおいて機能を依然有している。より具体的には図6Bは図6Aに結果が描かれている実験に使用したRNAi分子の配列である。
【図7A】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。より具体的には図7Aは、使用した各種構築体(左パネル)と表示量の各siRNA分子を用いた時のp110αの発現に対するHeLa細胞内でのAkt1 mRNAの発現阻害に及ぼすそれぞれの影響(右パネル)。不一致siRNA分子内のヌクレオチドの変化は矢印で示されている;3’デオキシヌクレオチドは、在る場合には大文字で表されている。
【図7B】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。各種PTEN特異的siRNA(左パネル)と各種siRNA量に於けるPETN/p110α比の形で表したHeLa細胞でのPTEN mRNA発現阻害である。
【図7C】siRNAの二本鎖長に関する必要条件および突然変異に関する許容度についてのさらなる結果。ローディングコントロール(loading control)としてp100αを用いた、それぞれ48時間および96時間後に、PTEN特異的siRNA(30nM)および各不一致siRNAによるPTENタンパク質の発現阻害を表すウエスタンブロット分析。
【図8】2’−O−メチル化によるRNAi分子への血清中での安定性付与に関する研究の結果、および末端修飾がRNAi安定性に何らの有益な効果も有していないことを示す。具体的には、8Aには8Bに示した各種RNAi分子を、ウシ胎児血清とのインキュベーションにかけたもののゲル電気泳動の結果を示す。
【図9A】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹されるデザイン原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図9B】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹されるデザイン原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図9C】アミノ末端修飾による活性消失を示す図。図9Bは図9Aの中でその結果をPTEN/p110α発現レベル比として表した実験に実際に使用したRNAi分子である。図9Cは図9Aに示した結果より演繹される設計原理を表している。図9Cで使用する場合、機能的という用語は、実施例に具体的に記載されているアッセイシステムに於いて機能的に作用することを意味しており、「機能的でない(非機能的)」とは、前記システムで機能的に作用しないことを意味する。
【図10A】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図10B】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図10C】2’−O−アルキル(メチル)修飾がRNAi分子を安定化するが、またそれら分子の活性も低下させることを示す。より具体的には図10Cはその結果が図10Aの中に用量反応曲線として描かれている実験に使用したRNAiの配列を表している。図10Bは、ウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図10Cに示された各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果を表している。
【図11A】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図11B】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図11C】2’−O−メチル修飾でブロックしたRNAi分子の効率に関する実験の結果であり、図11Aは前記実験結果を用量反応曲線として表したものであり、図11Cは前記実験で実際に使用したRNAi分子の配列を示している。図11Bはウシ胎児血清と2時間インキュベーションした、図11Cに示した各種RNAi分子のゲル電気泳動の結果である。
【図12A】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12B】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12C】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図12D】各種2’−O−メチル修飾がもたらす修飾RNAi分子活性と 非修飾型の活性との比較した。より具体的には、図12Bは図12Aにその結果を示した実験に使用したRNAi分子の配列を示している。図12Cは、2時間血清中でインキュベーションした後の前記RNAi分子の安定性を表しており、一方図12DはHeLa細胞に各種RNAi分子を作用した場合のPTENタンパク質に関するイムノブロットを表している。これから分かるように、各種修飾されたRNAi分子はエンドヌクレアーゼによる分解に対し安定化し、そしてPTENタンパク質のノックダウンを媒介するにおいて活性である。
【図13】PTENタンパク質ノックダウンの経時変化を決定するためのウエスタンブロッティング分析の結果を示す。カチオン性脂質を用いて、細胞に2’−O−メチル修飾または非修飾RNAi分子を72時間、連続的にトランスフェクションした。48時間および120時間後にタンパク質溶解物を調製してイムノブロッティングで分析した。96および120時間後に細胞を分割し、プレーティングしなおし、RNAi分子なしで更に24および48時間インキュベーションした。
【図14】各種修飾RNAi分子を用いた持続的なPTENのタンパク質ノックダウンと非修飾RNAi分子を用いた場合とを比較したウエスタンブロッティングを示す。トランスフェクションは5時間のみ実施し、トランスフェクション試薬を含まない新しい培地を加えた。溶解物を、表示したRNAi分子トランスフェクション後72時間および96時間目にイムノブロッティングにより分析した。
【図15A】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。より具体的には、図15Aは使用した各種SiRNA分子構築物を示しており(左パネル)、配列内の2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾箇所は下線を付け太字で表している。表示量の修飾siRNA分子をトランスフェクションされたHeLa細胞でのPTEN mRNA発現の阻害はPTEN/p110α比として表し、右パネルに示している。
【図15B】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Bは左パネルに使用した各種siRNA構築物を示し、右パネルには血清中でインキュベーション後の修飾および非修飾siRNA分子のPAAゲル電気泳動を示している;2’−O−メチルリボヌクレオチドを持つ各種構築物には下線を付け、太字で表している。
【図15C】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Cは、図15Aおよび図15Bにそれぞれ示した各種siRNA構築物(30nM)を用いたPTENタンパク質発現阻害を表すSDS−PAGEに基づくイムノブロッティングを示している。ここでもローディングコントロールとしてp110αを用いている。
【図15D】特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図15Dは、長期間のタンパク質ノックダウン、即ち特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子(30nM)投与による、48および128時間後のPTENタンパク質発現阻害を示すイムノブロッティングである。図15C同様にローディングコントロールとしてp110αを用いている。
【図16A】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。より具体的には、図16Aは左パネルに使用した各種構築物を示しており、ここでも2’−O−メチルリボヌクレオチドには下線を付け太字で示している。血清中インキュベーション後の、表示siRNA分子の健全性を右パネルに示している。
【図16B】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図16Bはp110をローディングコントロールに用い、表示のsiRNA(30mM)を細胞にトランスフェクションした時のAkt1、Akt2およびAktリン酸化のイムノブロッティングを示している。
【図16C】Akt1およびp110β mRNAに特異的な、特徴ある2’−O−メチルリボヌクレオチド修飾を持つsiRNA分子は、血清中では安定性を増し、HeLa細胞内ではタンパク質ノックダウンを媒介する。図16Cは各種p110β特異的siRNA構築物を示しており(左パネル)、図内2’−O−メチル修飾には下線を付け、太字で表示している。また前記siRNA構築物による、下流にあるキナーゼAkt1のリン酸化の阻害に関するイムノブロッティング分析の結果も示している(右パネル)。p110αをローディングコントロールに用いている。
【図17】用量反応曲線の形で表した、ヘアピン構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。17Bは、その結果を図17Aに示した前記RNAi分子の構造を示している。様々なループを持つ合成siRNAが、p110β、Akt1およびAkt2発現を低下させる機能を示す。(14A)siRNAトランスフェクションHeLa細胞でのp110β mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAトランスフェクション後24時間目にp110β mRNA発現レベルについて同時に分析した。トランスフェクションした2分子型siRNA(21merの長さで、3’TT突出を持つ、分子1AB)またはループ構造を持つモノ分子siRNAを図示している。アンチセンス配列に対するループ(HIV由来pA−ループ;(A)12−ループ)の位置が3A、4Aのものが3B、4Bのものと逆になっていることに注意。2ABのsiRNA分子は21mer二本鎖の中に6個の不一致を含んでおり、未処理サンプルと共に陰性コントロールとして役立つ。RNAを調製し、リアルタイムRT−PCR(Taqman)分析にかけた。p110β mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。各バーは3回のトランスフェクション(±標準偏差)を表している。集密度50%(2500細胞/96ウエル)のHeLa細胞に、表示濃度のsiRNAを増殖培地中でトランスフェクションした。
【図18A】用量反応曲線の形で表した、分子間および分子内ループ構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。(18A)siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAをトランスフェクションしてから24時間後に、Akt1及びAkt2 mRNA発現レベルについて同時に分析した。各種ループ(A−ループ;GAGA−ループおよびポリエチレングリコール(PEG)−リンカー)およびその推定二次構造を図示した。siRNA分子9AはAkt2に特異的であり、陰性コントロールとして用いた。10Aおよび10Bは自己相補的配列を含んでおらず、組み合わせてトランスフェクションしたことに注意。Akt1 mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。(18B) siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt2 mRNA発現の阻害。Akt2 mRNAレベルは、p110βのmRNAレベルと比較する形で示している。Akt1特異性分子7Aをここで陰性コントロールとして用いた。
【図18B】用量反応曲線の形で表した、分子間および分子内ループ構造を持つ各種RNAi分子の有効性を示す。(18A)siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害。サンプルを、表示したsiRNAをトランスフェクションしてから24時間後に、Akt1及びAkt2 mRNA発現レベルについて同時に分析した。各種ループ(A−ループ;GAGA−ループおよびポリエチレングリコール(PEG)−リンカー)およびその推定二次構造を図示した。siRNA分子9AはAkt2に特異的であり、陰性コントロールとして用いた。10Aおよび10Bは自己相補的配列を含んでおらず、組み合わせてトランスフェクションしたことに注意。Akt1 mRNAレベルは、内部コントロールとして用いたp110αのmRNAレベルと比較する形で示している。(18B) siRNAをトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt2 mRNA発現の阻害。Akt2 mRNAレベルは、p110βのmRNAレベルと比較する形で示している。Akt1特異性分子7Aをここで陰性コントロールとして用いた。
【図18C】図18Cは、各種ループを有する合成siRNAの機能性を示すAktタンパク質における、特異的Akt1およびAkt2の発現阻害についてのウエスタンブロッティング分析を示す。Akt1およびAkt2タンパク質発現の阻害はイムノブロッティングにより分析した。細胞は、表示のヘアピン型siRNA(20nM)をトランスフェクションした後48時間目に集めた。細胞抽出物をSDS−PAGEで分離し、抗−p110抗体、抗Akt1/2を用いたイムノブロッティングで分析した。同様の結果は、Akt1のリン酸化型に特異的な抗体でも得られた。ローディングコントロールとして用いたPI 3−キナーゼの別の触媒サブユニットであるp110α、ならびにAkt1、Akt2およびリン酸化Akt(P*−Akt)の位置を左側に示した。
【図19】3’−OH末端ヌクレオチドまたは5’末端ヌクレオチドに存在する可能性のある、本明細書でアミノ修飾とも呼ばれる、NH2修飾を示す。アミノ基はリン酸基に結合し、さらにこのリン酸基は1〜8、好ましくは6個のC原子のアルキル鎖を含むアルキル基を介して糖部分のOH基に結合しており、この時リン酸基に近い2番目のC原子はリン酸基に結合するCH2OH基を有している。あるいはエーテルによりリンカーを形成してもよく、この時エーテルは2つのアルコールを含むものであって、1つのアルコールはアミノアルコールであり、もう一つのアルコールは1つのアルコール基がエーテル基の形成に関係し、もう一つのアルコール基がいずれかのC原子、好ましくはリン酸基に対し2番目になるC原子に配置されたOH基であるエーテルである。
【実施例1】
【0110】
合成二本鎖RNAi分子の用量反応
本実施例では、2本鎖RNAi分子の活性に及ぼすNH2末端保護基の影響を調べた。合成siRNAはBiospring(Frankfurt、Germany)より購入した。リボ−オリゴヌクレオチドを、RNaseを含まないTEに最終濃度50μMになるように懸濁した。2分子型siRNAの場合は、等量(100μM)を組み合わせて最終濃度を50μMとした。分子間二本鎖を形成する場合には、siRNAを50℃で2分間、アニーリング緩衝液(25mM NaCl;5mM MgCl2)の中でインキュベーションしてから室温まで冷却した。トランスフェクションは、オリゴフェクタミン(Oligofectamine)、リポフェクタミン(Lipofectamine(Life Technologies))、NC388(Ribozyme Pharmaceuticals、Inc.,CO)またはFuGene 6(Roche)といった各種カチオン性脂質を製造元指示書に従って使用し、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行った。RNAi分子のトランスフェクションは、前もって無血清培地に5倍濃度で調製しておいたアニーリング済みRNAiと脂質との複合物を、完全培地中の細胞に加える形で実施した。トランスフェクション前、96ウエル形式でのトランスフェクションを行う15〜18時間前に、ウエル当たり2500個のHeLa細胞をプレーティングした。
【0111】
全トランスフェクション容積は、96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μl、10cmプレートの細胞の場合には10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;RNAi濃度は実験毎に表示する。
【0112】
30分間、37℃で複合体を形成させた。複合体を細胞に加えて、脂質およびRNAiを最終的に1倍濃度にした。トランスフェクション後に実施する分析に応じ、即ちRNA分析の場合にはトランスフェクション24〜48時間後に、そしてウエスタンブロットによるタンパク質分析の場合にはトランスフェクション48〜72時間後に、細胞をタンパク質抽出用の標準的な細胞溶解緩衝液を用いて溶解するか(Klippel、A.、Escobedo、J.A.、Hirano、M.およびWilliams、L.T.(1994年).Mol Cell Biol 14、2675〜2685)、またはRAN単離キット(Invitek、Berlin(Germany))のRNA単離用変性緩衝液を用いて溶解した。
【0113】
Taqman分析によるRNAレベルの相対量測定:
96ウエル内でトランスフェクションした細胞のRNAを、トランスフェクション24時間後にInvisorb RNA HTS96キット(InVitek GmbH、Berlin)を用いて単離、精製した。PTEN mRNA発現の阻害は、300nMのPTEN5’プライマーCACCGCCAAATTTAACTGCAGA、300nMのPTEN3’プライマーAAGGGTTTGATAAGTTCTAGCTGTおよび100nMのPTEN TaqmanプローブFam−TGCACAGTATCCTTTTGAAGACCATAACCCA−Tamraを、40nMのβ−アクチン5’プライマーGTTTGAGACCTTCAACACCCCA、40nMのβ−アクチン3’プライマーGACCAGAGGCATACAGGGACAおよび100nMのβ−アクチンTaqmanプローブVic−CCATGTACGTAGCCATCCAGGCTGTG−Tamraと組み合わせて用いるリアルタイムRT−PCR(Taqman)分析により検出した。Aktプライマーおよびプローブは、Sternberger et al.(Sternberger、a.a.O)で決定されたものであり、製造元指示書(Applied Biosystem;Amplicon Setを使用)に従い使用した。前記プライマーおよびプローブはPrimer Express(Applied Biosystem)を用いて設計してもよい。反応は50μlで実施され、ABI PRISM 7700シーケンス検出装置(Applied Biosystems)を製造元の指示書に従い用いて、以下の条件で行った:48℃30分間、95℃10分間の後に95℃15秒および60℃1分間を40サイクル。
【0114】
RNAノックダウンは、非修飾および5’末端をNH2または逆方向脱塩基(inverted Abasics)基で修飾した21nt長のsiRNA二本鎖分子を、脂質担体濃度1.0μg/mlでトランスフェクションしたHeLa細胞をリアルタイムRT−PCR分析して行った。細胞密度は2000細胞/ウエルであった。3’−末端の修飾はRNA突出、アミノ基を持ったRNA−突出、またはDNA突出のいずれかであった。
【0115】
細胞抽出物の調製およびイムノブロッティング.細胞を冷リン酸緩衝化生理食塩水で2回洗った後、4℃にて20mMのTris(pH7.5)、137mMのNaCl、15%(容積/容積)グリセロール、1%(容積/容積)Nonidet P-40、2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、アプロチニン10mg/ml、20mMのロイペプチン、2mMベンズアミジン、1mMバナジウム酸ナトリウム、25mMβグリセロールリン酸、50mMのNaFおよび10mMのNaPPiを含有する溶解緩衝液内に溶解した。溶解物を14、000×g、5分間遠心分離にかけて清浄化し、等量のタンパク質を含有する小分けした細胞抽出物をウエスタンブロッティングによるタンパク質発現の分析にかけた:サンプルをSDS−PAGEで分離してからニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schull)に写し取った。ドライミルクを5%(重量/容積)含有するTBST緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.05%(容積/容積)Tween20、0.5%(重量/容積)アジ化ナトリウム)でフィルターをブロッキングした。各抗体を適当な希釈度でTBSTに加えた。結合した抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス−または抗ウサギ抗体(Transduction Laboratories)を用いてTBST中で検出し、洗浄後、SuperSignal West Dura(Pierce)またはECL(Amersham)化学発光基質(次項参照、Sternbergere al(2002)。Antisense. Nucl. Ac. Drug Dev. 印刷中)を用いて現像した。
【0116】
抗体.マウスモノクローナル抗−p110抗体U3Aおよびマウスモノクローナル抗p85抗体N7Bについては報告されている(Klippel et al.、1994年、aaO)。ウサギポリクローナル抗−Aktおよび抗−ホスホAkt(S473)抗体はCell Signaling Technologyより得た。マウスモノクローナル抗−PTEN抗体はSanta Cruz Biotechnologyより得た。PTEN 53特異的アンチセンス分子、即ちgeneBlocは、Sternberg らが記載しており(Sternberger、上記)、以下の配列を有している(ucuccuuTTGTTTCTGcuaacga)が、この場合小文字で書かれたヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、大文字で書かれたヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。このアンチセンス分子はTTを除いてRNAi1Aと同一である。
【0117】
結果は図3Aに示し、またPTENのmRNAを標的とする各RNAi分子を図3Bbに示した。小文字で書かれたヌクレオチドはリボヌクレオチドを表し、大文字でかかれたものはデオキシリボヌクレオチドを表す。用語NH2はリボヌクレオチドの3’−位置がアミノ基で修飾されていることを示す。本実施例および本明細書に開示する他実施例で用いるRNAi分子は、小型干渉RNA分子、siRNAと呼ぶこともある。本明細書内の図面では、上側の鎖が干渉RNA分子のアンチセンスまたは第1鎖であり、下側の鎖がセンスまたは第2鎖であることに注意する。
【0118】
図3Aから明らかなように、アミノ修飾の様なアミノ末端修飾およびヌクレオチドの末端OH基の逆方向脱落塩基は、修飾がアンチセンス鎖の3’末端に位置する場合には非修飾端になる可能性がある(図8A;8Bも参照)。従って安定化またはその他特性(配送)を目的とした化学修飾は、それが3’OHに配置される場合;特に3’OHが突出するヌクレオチドに在る場合には許容され、活性を損なうことはないだろう。
【0119】
図3Cに示す実験については、上記と同様の条件が用いられた。RNAiの第1鎖および第2鎖は、リボース部分の3’−位置にあるNH2基、または前記位置にある逆方向脱塩基により修飾された。第1構築物はsiRNA−NH2(3A3B)として、第2鎖はsiRNA−iB(4A4B)としてデザインされた。両分子の配列を図3Bに示す。用語3A3Bは、干渉リボ核酸がアンチセンスとしての鎖3Aとセンス鎖としての鎖3Bとから成ることを意味している。比較のために、同様にPTEN mRNAを標的としたGB53と名付けられたアンチセンスオリゴヌクレオチド(Steinberger et al. 上記)を作製した。後者の実験の詳細を以下説明する。
【0120】
図3Cからわかる如く、図3Bに示す末端保護されたRNAi分子はPTENタンパク質のノックダウン成立に機能した。
【0121】
本実施例より、両端保護基がRNAi分子にPTENタンパク質をノックダウンする活性を付与することがわかった。この阻害はアンチセンス構築物による阻害と同等に効果的であったが、より低濃度を使用したことから、既存の極めて強力なアンチセンス技術に比べても有利であることは明瞭である。
【実施例2】
【0122】
インビボ(in vivo)でのRNAi二本鎖活性に関する突出の必要性
実験手法は、干渉RNAi分子を標的とするPTEN mRNAの設計が異なる外は実施例1の説明と同じであった。結果は図4Aに用量反応曲線の形で示し、図4Bに図4Aに示したデータを得るのに用いた干渉RNAi分子の具体的な配列および修飾を示した。表記法は、例えばRNAi18はアンチセンス鎖としての鎖18Aと、センス鎖としての鎖18Bとから成ることを示すものである。
【0123】
HeLa細胞内でPTEN mRNAをノックダウンする活性について、平滑端分子と、3’−突出(RNAi18)および5’−突出(RNAi30およびRNAi31)を持つ分子とを比較した。平滑端分子(RNAi28)および5’−突出を持つ分子の活性は、3’−突出を持つ分子の活性と同等であった。このことは、3’−突出がRNAi活性に必須ではないことを表している。
【実施例3】
【0124】
インビボでのRNAi活性に関する干渉RNA分子二本鎖長の条件
実験方法は、干渉RNA分子がAkt1のmRNAを標的とする外は、実施例1に概要示したものと同様であった。RNAi分子の特異性を示すための陰性コントロールは、ここでもp110 mRNAであった。実験結果を図5Aに示し、図5Bには用いた干渉RNAi分子の詳細を示した。図7A、左パネルに示した別のsiRNA構築物についても同様の実験を実施したが、この場合不一致を矢印で示し、デオキシリボヌクレオチドは大文字で表した。表示量のsiRNA分子をトランスフェクションしたHeLa細胞でのAkt1 mRNA発現の阻害を図7Aの右パネルに示した。
【0125】
各種RNAi分子をトランスフェクションしたHeLa細胞からのAkt RNAに関するTaqman分析からは、siRNAの2本鎖二本鎖分子が活性を示すには17塩基対より長くなくては成らず、一方17塩基対長以下の二本鎖分子は、配列特異的突出が付加されていても機能的でないことが示された。試験が成功した最短のRNAi分子は18〜19ヌクレオチドまたは塩基対長であった。RNAi51と称する干渉RNA分子51A/51Bの設計は、国際特許出願WO01/75164に記載されたものに対応することに注意。RNAi分子55A/55Bは17ヌクレオチドのストレッチを含み、Akt1 mRNAの分解に関する活性が明瞭に低下している。
【0126】
図7Aから明らかなように、19nt長の二本鎖は3’突出の性質(デオキシ−またはリボヌクレオチド)とは無関係にAkt1 mRNAレベルを極めて効率的に低下させた(分子1AB、2AB、3AB、4ABに比較して)。17ヌクレオチド長のsiRNA(分子5AB)はサイレンシング活性(silencing activity)の大きな低下を示し、活性siRNA二本鎖が少なくとも18ntまたはそれ以上でなければならないという上記見解が確認された。いずれの理論にも結びつけることなしに、この結果は2種類の条件により機械的に説明されるだろう。第1の条件はsiRNAのアンチセンスと標的mRNAとの間に最低18ntの塩基対合が必要であるというものであり、第2の条件はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)への取り込みに最低長のsiRNA二本鎖が必要であるというものである。この疑問に答えるために、野生型配列に対して1および2個の末端突然変異(CGおよびUA逆位)を有する19nt長のsiRNA二本鎖分子を合成した(分子6ABおよび7AB)。両分子は標的mRNAと15nt塩基ストレッチだけ対合する分子であるが、Akt1 mRNAレベル誘導には機能的であった。従って、アンチセンスsiRNAと標的mRNAとの塩基対合の長さではなく、二本鎖のそのものの長さが機能的siRNAの最低長を決定すると結論できるだろう。このことは、RISC複合体への取り込みに関しては、2本鎖螺旋の長さが重要決定因子であることを示唆している。二本鎖siRNA末端への不一致導入は、RNA干渉にほとんど影響しなかった。
【0127】
上記実験結果を考慮すると、RNAiが媒介する最適な干渉に必要な最低の二本鎖長は、平滑端または5’−突出の様なRNAi分子に関するさらなる設計、あるいはここに開示したその他形態とは無関係に18または19ヌクレオチドであり、このことはRNAi分子に一般的に当てはまる。しかし、RNAi分子の特別な設計は前記分子に更に別の利点、例えば高い効率および高い安定性を付与することがあることを認識すべきである。
【実施例4】
【0128】
インビボでのRNAiに関する標的−アンチセンス相同性条件
実験構成は実施例1に記載のものと同等であるが、この場合RNAiはAKt1特異的である。さらにPTEN特異的干渉RNA分子を設計し、陰性コントロールに用いた。結果は図6Aおよび図6Bに示した。図7Bに示す更に別のsiRNA分子を用いて、基本的には同一な実験を行い、その結果をそれぞれ図7B(右パネル)および図7Cに示した。
【0129】
機能的siRNA分子の最低二本鎖長が18または18ヌクレオチド以上であることを確定した後に、サイレンシング活性にとって標的mRNAとsiRNA間でどれだけの数のヌクレオチドが一致する必要があるか調べた。Akt1 RNAのTaqman分析で示される様に標的RNAに、この例ではAkt1に19〜15ヌクレオチドのストレッチが完全に一致していればRNAi活性の媒介に十分であった。PTEN特異的RNAi分子はAKt1のRNA量を下げなかったことから、この方法が特異的であることが確認された。鎖のいずれか一方または両方の端部にある1個または2個のヌクレオチド不一致が機能していることから、遺伝子サイレンシングにとっては標的mRNAとRNAi間に15ntの相同的ストレッチがあれば十分であることが示唆された。これらのデータより、非特異的遺伝子サイレンシング無関係な標的に非特異的に結合することによって偶然に起こり得ると結論できた。このことは、15〜17個塩基対が一致するストレッチは単一遺伝子に特異的ではなく、脊椎動物のゲノムまたはトランスクリプトゾームの複雑性とサイズとを考えると偶然起こりえるという理解に基づいている。前記実験とは別に、不一致の位置についても分析した。そのためにPTEN mRNAを標的とする19nt長の平滑siRNAを用いた。一方のsiRNA鎖の配列変化に合わせてもう一方の鎖も相補的に変更して補償し、二本鎖が破壊されないようにした。図7BおよびCそれぞれから分かる様に、分子中央に点突然変異を1個だけ持つsiRNAは、mRNAおよびタンパク質発現のレベルで使用するには能力において大きく譲歩していた。この結果は、RNA機構が二本鎖中心部での標的mRNAとsiRNA間の塩基対合が完全であるか、不完全であるかにより大きく異なることを示している。この標的およびsiRNA間が完全に相補的であることに強く依存することは、ショウジョウバエ系でのRNAi干渉については既に報告されていたが、HeLaの様なほ乳動物系での報告はなかった。
【0130】
この観察に基づいて、本発明は2つの方法によりsiRNAの標的外問題(off-target problem)を軽減している。第1はsiRNA分子の分子長を最低条件(18〜19nt)まで短くし、それにより標的外のものと相同になる機会を減らす方法である。第2は、センス鎖を不活性化することにより、センス鎖が無関係の標的RNAとが偶然に相補的になることによって望まないRNAサイレンシングが起こるのを防ぐことである(実施例6も参照せよ)。
【実施例5】
【0131】
血清中の修飾RNAi分子の安定性
オリゴヌクレオチドをヒト血清中で15分間および2時間インキュベーションし、未処理のコントロールと共に10%ポリアクリルアミドゲルにかけた。結果は図8Aに示した。使用した各種RNAi分子を図8Bに示し、詳しく説明した。
【0132】
本実施例より、全ヌクレオチドが2’−O−メチル基で修飾されたRNA分子のRNAi二本鎖(RNAi分子79A79Bおよび28A28B)が血清中で高い安定性を有することが分かった。さらに平滑端二本鎖は突出を持つ二本鎖分子に比べより安定であることも示された。これより、末端保護(例えばiBまたはアミノ)は血清中の安定性を高めないと結論できるだろう。
【0133】
更に、本明細書出願以前の当該技術分野での理解とは逆に、RNAi分子の保護にとってはエクソヌクレアーゼよりもエンドヌクレアーゼがより重要であるとも結論できる。
【0134】
上記を考慮すると、本明細書に開示した発明のRNAi分子の各種修飾または設計に加えて、更なるまたは追加のヌクレオチド修飾としてエンドヌクレアーゼ機能を阻害するためにRNAi分子の完全または部分的ホスホロチオアート主鎖を用いてもよいだろう。完全なホスホロチオアート主鎖とは、全てのヌクレオチドがホスホロチオアート基を持つものを意味し、部分的ホスホロチオアート主鎖とはRNAi分子を形成するヌクレオチドのうちホスホロチオアート修飾されているものが一部であることを意味する。この修飾はRNAi分子のさらなる設計とは無関係にRNAi分子の寿命を延長するのに好適である。これに関して、部分的または完全ホスホロチオアート修飾RNAiは、本発明の課題に従い、本明細書に開示する干渉RNA分子の設計に関する様々な戦略と結びついて、または当分野周知の設計と結びついて実現してもよい。
【実施例6】
【0135】
5’および3’末端のNH2末端保護基によるセンス鎖の不活性化
実験構成は実施例1に関連して記載したものと同等であるが、この場合の標的核酸配列はPTEN mRNAである。HeLa細胞濃度は2,000細胞/ウエルであった。PTENのRNAは、各種修飾RNAi分子トランスフェクション後にTaqmanアッセイにて分析した。用いた各種干渉RNA分子は図9Bに示し、実験結果は図9Aに示した。
【0136】
図8Aに示した各種RNAi分子の用量反応曲線から分かるように、RNAi分子はセンス鎖、即ち第2鎖の両端がアミノ基で修飾されている時に機能する。特に効果的なRNAi分子は20A26B、18A26Bおよび28A26Bであった。最も低い活性はRNAi分子26A26Bに認められたが、この分子は二本鎖の4つの端部全てが端修飾されている分子である(Tuschlは18AB)。
【0137】
しかしRNAi活性はアンチセンス鎖、即ち第1鎖が3’端のみ修飾され、5’端には自由OH基が残されている場合にも得られた(RNAi構築物22A26B;20A26B)。アンチセンス鎖が5’および3’両端についてアミノ基で修飾されている場合(26A26B)には活性はなかった。このことから、アンチセンス鎖のいずれかの端、より具体的にはアンチセンス鎖の5’端は修飾せずにそのまま残すべきであると結論した。更に、NH2端修飾を用いてセンス鎖を5’および3’端で不活性化でき、これにより不活性化されない場合に機能的であるセンス鎖が媒介する標的外作用を軽減することができ、その結果RNAi分子の特異性を大きく上昇させるので、標的評価ならびにRNAi分子の医薬使用にとって有利である。
【0138】
本実験の結果を更に一般化したものを図9Cに示した。これによれば機能的に活性なRNAiは、アンチセンス鎖にアミノ修飾を有さないか、または、アンチセンス鎖の3’末端にのみアミノ修飾を有するものであり、一方アンチセンス鎖の両端がアミノ修飾されたものは機能的でなく、即ち標的mRNAをノックダウンしない。
【実施例7】
【0139】
エンドヌクレアーゼ保護に関するRNAi分子の2’−O−メチル修飾の影響
RNAノックダウンを再度示すために、図10Aに示すようなPTEN mRNAを標的としたRNAi二本鎖分子をトランスフェクションしたHeLa細胞にリアルタイムRT−PCR分析を行った。実験手法は基本的には実施例1に記載の手順に同じである。図10Aに示す、研究対象のRNAi分子の構造およびその用量反応は図10Cに示した。太字で示したヌクレオチドは2’−O−メチル修飾を有するヌクレオチドである。
【0140】
図10Aに各種RNAi分子について示した用量反応曲線から、内部の2’−O−アルキル基がRNAi活性を下げることが示された。この種の2’−O−アルキル基は2’−O−メチルまたは2’−O−エチル基であることが好ましい。しかし非修飾ヌクレオチドと2’−O−アルキル修飾とを組み合わせ持つ分子は著しい活性を示した。同様に10Aに示すように、アンチセンス鎖が全て2’−O−メチル基で修飾されており、さらにセンス鎖が修飾されていない場合(後述する、例えばRNAi分子79A28B)には活性は認められなかった。図10Bに示すような、血清中で各種RNAi分子をインキュベーションするような安定性試験の結果から、2’−O−アルキル修飾がRNAiを分解に対し安定化することが分かった。しかしこの明確な有利な作用は、2’−O−アルキル修飾が一般にはノックダウン活性を低下させるという作用によって少なくとも在る範囲で相殺される。従ってRNAi分子の設計は安定性と活性とのバランスを取るものでなければならない、そしてこれには本出願で開示された各種設計原理を認識することが重要となる。
【実施例8】
【0141】
内部2’−O−メチル修飾のブロックが血清中でのRNAi分子の安定性に及ぼす影響
本試験に関する実験方法は、実際的には実施例1に記載の方法と同一であった。ここでもPTEN RNAは、各種用量のRNAi分子をトランスフェクションした密度2000細胞/ウエルのHeLa細胞にリアルタイムRT−PCRを行い分析した。RNAi分子を血清中で2時間インキュベーションし、10%ポリアクリルアミドゲルで分析した。本試験の結果を図11A〜11Cに示すが、図11Aは図11Cに示した各種RNAi分子の用量反応を表しており、図11Bは図11Cに示したRNAi分子の幾つかを用いた安定性試験の結果を示している。図11Cに太字で書かれたヌクレオチドは修飾を有するヌクレオチドであり、本例での修飾はリボース部分の2’−O−メチル修飾である。
【0142】
非修飾RNAi分子による用量依存的な阻害が見られた。さらに中心の9ヌクレオチドが2’−O−メチル修飾されるとRNAiは血清中で安定化し、そしてPTEN mRNAを分解に導く干渉現象を媒介する二本鎖活性を発揮できることが示された。センス鎖全体を修飾すると、RNAi分子は血清中で安定化し、特定の活性を発揮できた。
【0143】
5ヌクレオチドを2’−O−メチル修飾して交互にブロックすると、RNAi分子に血清中での安定性を付与し、そしてPTEN RNAに対する活性を発揮できることが、RNAi二本鎖を血清中で2時間インキュベーションしてから10%ポリアクリルアミドゲルにかけることで示された。図11Bから分かるように、鎖80Aおよび80Bを含む二本鎖は血清中で2時間インキュベーションすることで強く分解された。鎖82Aおよび82Bからなる二本鎖より、アンチセンス鎖を含む第1鎖の5’末端は5’−末端ヌクレオチドで修飾してはならないことが確認できた(82A82Bと逆向きの81A81Bとを比較する)。このことは、鎖86Aおよび86Bから成る二本鎖は、血清中で活性且つ安定するという結果からも確認される。アンチセンス鎖の5’末端に非修飾ブロックを持つ分子はより活性であり、このとき5’末端のOH基が誘導されていないことが好ましいということは注目に値する。
【0144】
ヌクレオチドの2’−O−メチル修飾について異なる修飾パターンを用い、更に実験を行った。その結果を図12A〜12Cに示し、本明細書の実施例9で詳しく説明する。
【実施例9】
【0145】
内部2’−O−メチル交互修飾がRNAi分子の血清中安定性に及ぼす影響
この種の試験の実施に関する実験構成は、実施例1および実施例8にそれぞれ記載した試験に関係し使用した構成と同一であり、今回も標的核酸はPTEN mRNAであった。HeLa細胞に図12Bに記載の各種RNAi分子をトランスフェクションし、PTEN RNAを対象に用量依存的に行ったリアルタイムRT−PCRを用いてRNAのノックダウンを実証した(図12A)。37℃、血清中、15分および2時間後の各種RNAi分子の安定性を図12Cに、各種RNAi分子の標的タンパク質としてのp110およびPTENに関するウエスタンブロットを図12Dに示すが、図12Cおよび図12Dの基礎となる両実験で試験したRNAi分子は同じものである。
【0146】
図12Aおよび図12Cに示す通り、2’−O−メチル基で修飾されたヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドが交互に並ぶとRNAi分子は血清中で安定化すると同時に、標的mRNAに対する干渉について活性になった。RNAi二本鎖分子を血清中で15分間および2時間インキュベーションすると、非修飾二本鎖と5’−位置側の10ヌクレオチドが非修飾である二本鎖が分解されることが分かった。
【0147】
図12Bに示すRNAi分子には、様々な修飾ヌクレオチドおよび非修飾ヌクレオチドのパターンが描かれている。RNAi分子94A1/94B1は修飾ヌクレオチドが修飾ヌクレオチドによりフランキングされ、そして第1鎖の5’末端に非修飾ヌクレオチドが配置される構造を含んでいる。鎖94A2および94B2を含むRNAi分子は別の例で、第1鎖および第2鎖で修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドが反対側に配置されている。これとは逆に、鎖94A1および94B2を含むRNAi分子は、同じ修飾および非修飾ヌクレオチドのパターンを有する。しかしこの例では修飾ヌクレオチドが非修飾ヌクレオチドと塩基対合を形成するように位相シフトされている。鎖94A1および94B1、ならびに鎖94A2および94B2を含む2種類のRNAi分子は互いに、前者では第1鎖が非修飾ヌクレオチドから開始し、そして対応する第2鎖の最初のヌクレオチド、即ち第2鎖の3’末端のヌクレオチドは非修飾ヌクレオチドから始まるが、94A2および94B2を含むRNAi分子ではこの配置が逆になる点で異なる。
【0148】
更に、図12Bに示した交互に修飾されるRNAi分子は、図12Dに示すようにPTENタンパク質ノックダウンの媒介に機能的であるが、第2鎖の5’末端および第2鎖の3’末端ヌクレオチドが修飾されていない場合(94A294B1および94A294B2参照)のみである。これらデータ全てから、最も安定および最も活性なRNAi分子は2’アルキル修飾と非修飾ヌクレオチド残基を交互に持つことが分かる。これら分子が、血清中で安定であり、取扱性が向上または容易である非修飾siRNA分子と比べた時に、よく似たmRNA低下を示すことに注意すべきである。
【実施例10】
【0149】
内部修飾RNAi分子が媒介する機能的タンパク質ノックダウン
実験方法は実施例1で概要説明した方法と同様であった。
【0150】
図12Bに示した交互修飾型RNAi分子をトランスフェクションした後様々な時点(48、72、96および120時間)で集めたHeLa細胞にウエスタンブロットを実施した。実験上の理由から、96時間の時点で細胞を二分割して、半分をプレーティングし直した。各種RNAi分子を合計40nM細胞に作用させた。細胞は実施例1記載のカチオン性脂質を用いて、72時間、連続してトランスフェクションした;続いてトランスフェクション剤なしにプレーティングし直した。
【0151】
トランスフェクションはオリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies)、NC388、L8(Atugen、Berlin)といった各種カチオン性脂質を用いて、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行い、RNAiを前もって5倍濃度で調製しておいたsiRNAと脂質との複合物の無血清培地液を完全培地中の細胞に加えることでトランスフェクションした。トランスフェクションの全容積は96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μlであり、10cmプレートの細胞では10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;siRNAの濃度は実験毎に示す。
【0152】
ウエスタンブロットの結果を図13に示す。この図から分かるように、94A2B1および94A2B2型の修飾RNAi分子は非修飾分子と同様に、持続的なPTENタンパク質ノックダウンを生じた。本実験では、図12でも観察された94A1B1および94A1B2型分子がタンパク質ノックダウンを示さないことも確認された。非修飾分子(80AB)には、細胞を連続的にトランスフェクションしない場合には、強力なタンパク質ノックダウンを長時間維持する能力はなかった。
【実施例11】
【0153】
RNAi分子の2’−O−メチル交互修飾による持続的PTENタンパク質ノックダウン
実験方法は、トランスフェクションを5時間後にトランスフェクション培地を新規培地と交換することで停止した以外は実施例10に概要を示した方法と同様であった。プロトコールを若干変更し、各RNAi分子の濃度が、実施例1に関し記載した1μgRNAi/mlカチオン脂質の保存液を用いて40nMになるようにした。トランスフェクション後5時間目に、培地を取り去り、新鮮なEMEMを加えた。72時間後に細胞を分割し、半分を溶解し、残り半分は新たにプレーティングしてから24時間後(トランスフェクション後96時間目)に溶解した。3種類のRNAi分子(80AB、94A1/B2、94A2/B1)を用いたウエスタンブロットの結果を図14に示す。陽性コントロールとして、未処理細胞を用いた。図14は72時間および96時間後それぞれのPTENの発現を示している。該各種RNAi分子の構造特性を考慮すると、図14からは、非修飾RNAi分子(例えば80AB)およびRNAi分子94A1B2に対し、92A2B1のような交互型分子では、細胞分割、再プレーティング後96時間においてもタンパク質ノックダウンが持続することが分かる。
【0154】
図15A(左パネル)に示したsiRNA構築物を用いて更に実験を行った。試験システムに加えられたsiRNA構築物の各種濃度でのPTEN/p110αmRNA分解比として表された結果から、一方または両方の鎖が2’−O−メチル残基から成るsiRNA分子はほ乳動物ではRNA干渉を誘導できないことが分かる(図15A、分子V2、V5、V6)。しかし鎖の一部でも修飾を受けると活性の低下はより小さくなった。興味深いことに、非修飾アンチセンス鎖(特に指示しない場合には、本明細書を通して上側の鎖を指す)および完全修飾センス鎖とを有する分子は、逆の型(図5A、分子V5およびV6)の分子に比べ顕著に活性が高かった。この結果は、siRNAのアンチセンス鎖がより重要であり、そして修飾に対し感受性であることを示唆している。PTEN mRNA誘導に最も効果的な分子は、5’末端を未修飾の状態、または両鎖共に交互の位置で修飾されている修飾ストレッチだけを有していた(図15A、分子V10、V12)。
【0155】
ヌクレアーゼ耐性を試験するために、様々な型のsiRNAを血清中でインキュベーションし、続いてPAAゲル電気泳動にかけた。結果を図15Bに示した(図15Bの右パネル、左パネルには各種配列を示している)。前述した通り、非修飾リボヌクレオチド型の平滑端siRNA分子は非常に速やかに分解されたのに対し、2’−O−メチルヌクレオチドで完全に置換されたものは、血清由来ヌクレアーゼに対し耐性を示した(図15B、分子ABとV1を比較)。部分的に2’−O−メチル修飾されたsiRNA分子も同様に、非修飾siRNAに比べ安定性が増していた。特に両鎖が交互に修飾されている分子は安定性が顕著に増加していた(図15B、分子V13、V14、V15およびV12)。より重要なことは、これら分子のうちの3種類をHeLa細胞内にトランスフェクションしたところ、図15C(長さ6、9および10)に示すようにPTENタンパク質の発現が明らかなダウンレギュレーションを受けたことである。このRNA干渉活性アッセイでは、予想外にもアンチセンス鎖の5’最末端のヌクレオチドより始まり、1つおきにヌクレオチドが修飾されている分子が好ましかった。アンチセンス鎖5’末端側2番目のヌクレオチドから修飾が開始する分子はより安定であったが、遺伝子サイレンシング活性は大きく低下していた(分子V13、V14)。この結果は、関係する酵素とsiRNA二本鎖内の特定ヌクレオチドとの間で極めて特異的な相互作用があることを示している。ここに示したデータをまとめると、siRNA二本鎖内の特に選ばれた位置の2’−O−メチル修飾はヌクレアーゼ耐性を高めることができ、RNAiを必ずしも完全には破壊しない。
【0156】
合成siRNAの安定性増加はインビボでの応用にとって重要な意味を持つが、特定の修飾が細胞培養系におけるタンパク質ノックダウンも促進するか分析した。そのためにHeLa細胞を各種PTEN特異的siRNAを用いて、6時間、一過的にトランスフェクションした。次に脂質siRNA複合体を洗い流し、48時間および120時間後にPTENタンパク質ノックダウンを分析した。siRNAのトランスフェクションを継続しないノックダウン実験は、その期間中にトランスフェクションしていない細胞が急速に増殖して極めて一過的なノックダウンを生じせしめることから複雑になるが、本発明者は記載の2’−O−メチル修飾により安定化したsiRNA分子を用いて、長期間のPTENタンパク質ノックダウンを実証できた。トランスフェクション後48時間の時点では、非修飾siRNA(AB)は最大のPTENタンパク質レベル減少を示したが、トランスフェクション後120時間の時点ではPTENタンパク質発現の減少は、2’−O−メチル交互修飾により安定化したsiRNAがより優れていた(図15D、レーン2とレーン5、6および7とを比較)。
【0157】
この結果より、むしろ交互修飾の開始ヌクレオチド位置が重要である思われることも分かる。このことを詳細試験するために、2種類のsiRNAシリーズ、1つはキナーゼAkt1に特異的であり、もう一つはPI(3−)キナーゼの2つある触媒サブユニットの1つであるp110βに特異的であるものを追加合成した。具体的な構造を図16Aに示す。これより明らかなように、修飾されていないか、または1ヌクレオチドおきに2’−O−メチル修飾されている19nt長のsiRNA二本鎖のみを使用した。Akt1を標的に用いた時、平滑な非修飾siRNAで効果的なタンパク質ノックダウンならびにリン酸−Aktレベルが大きく低下するのが観察された(図16A、右パネル)。1ヌクレオチドおきに修飾された様々な型の分子では、1種類だけが効率的にRNAiを媒介した(図16A、分子V5)このsiRNA分子は最末端の5’および3’ヌクレオチドが修飾されたアンチセンス鎖を含んでいた。センス鎖は最末端位置が非修飾ヌクレオチドで始まるために、両鎖の修飾および非修飾リボヌクレオチドが向合う構造となる。予想通り、この分子もまた、図16Bに示すように(分子V5)血清由来ヌクレアーゼから保護された。
【0158】
興味深いことに、アンチセンス鎖の第2ヌクレオチドから修飾が始まる、極めて類似した19nt長のsiRNA分子(V4)は用いたアッセイではRNA干渉活性を示さなかった。アンチセンス鎖の修飾ヌクレオチドがセンス鎖の修飾ヌクレオチドと向合っているV6型もまた、今回の実験で不活性であった。p110βに特異的である19nt長の同シリーズのsiRNA分子についても、図16Cに示す様に、この観察結果が確認された。さらに、同様の修飾siRNA分子(V5)が最も活性でることが、p110βレベルの低下によるP(I)−3キナーゼ活性の低下の指標である、Aktリン酸化の低下から示された。分子V6の活性が低いことは、21merのsiRNAを用いたPTENノックダウン実験で同構造体が活性を有していたことから、二本鎖の安定性の低下から説明できるだろう。対面する両鎖が2’−O−メチル修飾されると核酸二本鎖の安定性は低下するが、siRNA分子V4とV5の間の差は(図16BおよびC)は、修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチド間の塩基対合数がおなじであることから、二本鎖の安定性の違いに拠るものではないだろう。活性のこの差は、標的mRNAの分解に関係する相互作用タンパク質に於ける特異条件に拠るものであろう。また、これら実験よりアンチセンス鎖の最末端ヌクレオチドを2’−OH−基位置で修飾すると、サイレンシング活性を大きく消失できることが分かる。
【実施例12】
【0159】
各種ループ構造がRNA干渉の媒介で機能する。RNAi分子、好ましくは自己相補的構造を持つ合成RNAi分子が標準の2本鎖siRNA分子と同様に効率的に遺伝子発現を阻害できるか試験するために、HeLa細胞にp110β特異的合成siRNAをトランスフェクションした。トランスフェクションは、オリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies)、といった各種カチオン性脂質を用いて、96ウエルまたは10−cmプレートの中で(30〜50%集密度)行い、GeneBlocsは前もって5倍濃度で調製しておいたGBと脂質との複合物の無血清培地液を完全培地中の細胞に加えることでトランスフェクションした。トランスフェクションの全容積は96ウエルにプレーティングした細胞の場合は100μlであり、10cmプレートの細胞では10mlであった。最終脂質濃度は細胞密度に応じて0.8〜1.2μg/mlであった;siRNAの濃度は実験毎に示す。
【0160】
用量依存力価測定からは、リアルタイムPCR(Taqman)で分析した場合に、標準的な2分子型の2本鎖21merと対応する1分子型分子により達成されるmRNAノックダウンの効率に有意な差は示されなかった(図17A)。2種類のループ構造、(A)12ループおよびHIV由来のpAループも平行して試験したが、結果は同様であった。アンチセンス配列の相対的な位置とループ構造とを比較すると、アンチセンス配列がループに対し3’側に位置したときにノックダウン効率が向上した(図17B:構築物3A、3Bと4A、4Bを比較せよ)。
【実施例13】
【0161】
各種分子内ヘアピンループおよび分子内「バブル」の効果に関する試験
mRNAおよびタンパク質発現阻害に及ぼす各種ループ構造の影響を試験した。これら実験については、標的としてAkt1およびAkt2を選択した。実験方法は実施例12に記載の方法と同様であった。
【0162】
図18Aおよび図18Bに示すAkt1 mRNAの減少、ならびに図18Cに示すAkt1タンパク質レベルの低下は、明らかに、試験したループ構造と完全に独立していた(分子5A、6A、7A、8Aを比較せよ)(試験したRNAi分子の構造は棒グラフの下に示している)。ループとしてポリエチレングリコールリンカー(PEG)の様な非生理学的構造を含む分子でさえAkt1の発現を効率的に下げたことから、ループのサイズおよびヌクレオチド配列は重要でないことが示された(図18A;分子8A)。Akt2特異的合成siRNA分子(9A)を用いて特異性をコントロールしたが、図15Aに示すようにAkt1レベルには影響しなかった。しかしこの分子は、Akt2の発現を効果的に抑制した(図18B;図18C)。ループ構造を持った自己相補的RNA分子は、生理学的ハイブリダイゼーション条件に於いてアニーリングし、1分子または2分子構造における2本鎖を形成する可能性がある(図18B、ループまたはバブル構造)。siRNA分子が、分子内ループまたは分子間「バブル」(図18Bに図示した)を採ることでその機能を発揮するのかという疑問に答えるために、それ自身に折り戻ることができない2つの分子をトランスフェクションした。これら構築物は同一分子内にAkt1−およびAkt2−特異的配列を含有しており(図18D、構築物10A、10B)、2分子型二本鎖(「バブル」)を形成するように制限されている。驚くべき事にこの分子は、両鎖をアニーリングした後トランスフェクションするとAkt1およびAkt2 mRNAのノックダウンだけでなくタンパク質のノックダウンも効率的に媒介した。
【0163】
現時点では、ループおよびバブル構造が実際にRNAプロセッシング酵素、例えばDicerの基質であるか否かについては不明である。Paddisonと共同研究者による最近の研究は、ヘアピン含有siRNAは2本鎖siRNAよりもDicer活性により依存的であることを示している。しかし、PEGリンカー分子を用いたRNA干渉活性を証明したこれらデータは、リンカーの配列は無関係であるらしいことを示している。
【0164】
明細書、特許請求の範囲、および/または図面に開示した本発明の特徴は、単独または組み合わせた、様々な形での本発明実現化の素材とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本鎖構造を含み、前記2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含み、前記第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、前記第1ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、そして前記第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、前記第2ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に同一であるリボ核酸であって、
前記第1鎖および/または前記第2鎖が2’−位置に修飾を有する修飾ヌクレオチドの複数の群を含み、鎖内の修飾ヌクレオチドの各群はヌクレオチドのフランキング群により片側または両側をフランキングされており、ヌクレオチドのフランキング群を形成しているフランキングヌクレオチドが非修飾ヌクレオチドまたは前記修飾ヌクレオチドの修飾とは異なる修飾を有するヌクレオチドであることを特徴とするリボ核酸。
【請求項2】
第1鎖および/または第2鎖が複数の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のリボ核酸。
【請求項3】
第1鎖が修飾ヌクレオチドの複数の群を含む、請求項1または2に記載のリボ核酸。
【請求項4】
第2鎖が修飾ヌクレオチドの複数の群を含む、請求項1または2に記載のリボ核酸。
【請求項5】
修飾ヌクレオチドの群および/またはフランキングヌクレオチドの群が、1ヌクレオチド〜10ヌクレオチドを含む群より選択される数のヌクレオチドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項6】
第1鎖の修飾ヌクレオチドのパターンが前記第2鎖の修飾ヌクレオチドのパターンと同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項7】
第1鎖のパターンが前記第2鎖のパターンに整合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項8】
第1鎖のパターンが第2鎖のパターンに対し1以上のヌクレオチドによりシフトしている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項9】
修飾がアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項10】
2本鎖構造が平滑端である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項11】
2本鎖構造が両側において平滑端である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項12】
2本鎖構造が、第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造上の側部において平滑端である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項13】
2本鎖構造が、第1鎖の3’末端および第2鎖の5’末端により画定される2本鎖構造上の側部において平滑端である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項14】
2本鎖の少なくとも一方が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項15】
突出が、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される少なくとも1つのヌクレオチドから成る、請求項14に記載のリボ核酸。
【請求項16】
ヌクレオチドが修飾を有し、前記修飾が逆方向脱塩基であるヌクレオチド及び2’−位置にNH2−修飾を有するヌクレオチドを含む群より選択されるのが好ましい、請求項15に記載のリボ核酸。
【請求項17】
5’−末端の突出が第2鎖上にある、請求項14〜16のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項18】
第1鎖も突出を含むこと、好ましくは5’末端に含むことを特徴とする、請求項17に記載のリボ核酸。
【請求項19】
5’末端の突出が第1鎖上にある、請求項14〜18のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項20】
第2鎖も突出を含むこと、好ましくは5’−末端に含むことを特徴とする、請求項19に記載のリボ核酸。
【請求項21】
鎖の少なくとも1つが、3’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有する、請求項14〜20のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項22】
3’−末端のヌクレオチドがリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される、請求項21に記載のリボ核酸。
【請求項23】
第1鎖の3’−末端が突出を含んでいる、請求項14〜22のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項24】
2本鎖構造の長さが約17〜21塩基長を有し、より好ましくは18または19塩基を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項25】
第1鎖の長さ、および/または前記第2鎖の長さが、互いに独立に約15から約23塩基、17〜21塩基の範囲、および18または19塩基を含む群から選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項26】
第1鎖と標的核酸間の相補性が完全である、請求項1〜25のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項27】
第1鎖と標的核酸間に形成される二本鎖が少なくとも15ヌクレオチドを含み、前記2本鎖構造を形成している前記第1鎖と標的核酸との間に1個の不一致または2個の不一致が存在する、請求項1〜26のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項28】
第1鎖と第2鎖が共にそれぞれ少なくとも1つの修飾ヌクレオチド群と少なくとも1つのヌクレオチドのフランキング群とを含み、
前記修飾ヌクレオチドの各群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、そして前記ヌクレオチドの各フランキング群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み;
第1鎖の修飾ヌクレオチドの各群が第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と整合し、この時
第1鎖の最末端5’ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群のヌクレオチドであり、
第2鎖の最末端3’ヌクレオチドがヌクレオチドのフランキング群のヌクレオチドである、
請求項1〜27のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項29】
修飾ヌクレオチドの各群が単一ヌクレオチドから成り、そして/またはヌクレオチドの各フランキング群が単一ヌクレオチドから成る、請求項28に記載のリボ核酸。
【請求項30】
第1鎖上でヌクレオチドのフランキング群を形成しているヌクレオチドが修飾ヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドに対し3’方向に配置される非修飾ヌクレオチドであり、そして第2鎖上で修飾ヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドがヌクレオチドのフランキング群を形成しているヌクレオチドに対し5’方向に配置される修飾ヌクレオチドである、請求項29に記載のリボ核酸。
【請求項31】
第1鎖が8〜12、好ましくは9〜11の修飾ヌクレオチド群を含み、そして第2鎖が7〜11、好ましくは8〜10の修飾ヌクレオチド群を含む、請求項28〜30のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項32】
標的遺伝子が構造遺伝子、ハウスキーピング遺伝子、転写因子、運動因子、細胞周期因子、細胞周期インヒビター、酵素、増殖因子、サイトカインおよび腫瘍サプレッサーを含む群から選択される、請求項1〜31のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項33】
第1鎖および第2鎖がループ構造で連結している、請求項1〜32のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項34】
ループ構造が非核酸ポリマーを含んでいる、請求項33に記載のリボ核酸。
【請求項35】
非核酸ポリマーがポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項34に記載のリボ核酸。
【請求項36】
ループ構造が核酸を含んでいる、請求項33〜35のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項37】
第1鎖の5’−末端が第2鎖の3’−末端に連結していることを特徴とする、請求項33〜36のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項38】
第1鎖の3’−末端が第2鎖の5’−末端に連結していることを特徴とする、請求項33〜37のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項39】
標的検証のための、請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の使用。
【請求項40】
医薬製造のための、請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の使用。
【請求項41】
医薬が神経膠芽腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌および白血病、糖尿病、肥満、心臓血管病、ならびに代謝性疾患を含む群から選択される疾患または状態の処置を目的とするものである、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞。
【請求項43】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する生物、好ましくはノックダウン生物。
【請求項44】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する組成物。
【請求項45】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸および医薬的に許容可能な担体を含有する医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を標的遺伝子の発現を阻害するのに十分な量で細胞内に導入することを含み、前記標的遺伝子が請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の標的遺伝子である、細胞内での標的遺伝子またはその誘導物の発現を阻害する方法。
【請求項1】
2本鎖構造を含み、前記2本鎖構造が第1鎖および第2鎖を含み、前記第1鎖が連続するヌクレオチドの第1ストレッチを含み、前記第1ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に相補的であり、そして前記第2鎖が連続するヌクレオチドの第2ストレッチを含み、前記第2ストレッチは標的核酸と少なくとも部分的に同一であるリボ核酸であって、
前記第1鎖および/または前記第2鎖が2’−位置に修飾を有する修飾ヌクレオチドの複数の群を含み、鎖内の修飾ヌクレオチドの各群はヌクレオチドのフランキング群により片側または両側をフランキングされており、ヌクレオチドのフランキング群を形成しているフランキングヌクレオチドが非修飾ヌクレオチドまたは前記修飾ヌクレオチドの修飾とは異なる修飾を有するヌクレオチドであることを特徴とするリボ核酸。
【請求項2】
第1鎖および/または第2鎖が複数の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のリボ核酸。
【請求項3】
第1鎖が修飾ヌクレオチドの複数の群を含む、請求項1または2に記載のリボ核酸。
【請求項4】
第2鎖が修飾ヌクレオチドの複数の群を含む、請求項1または2に記載のリボ核酸。
【請求項5】
修飾ヌクレオチドの群および/またはフランキングヌクレオチドの群が、1ヌクレオチド〜10ヌクレオチドを含む群より選択される数のヌクレオチドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項6】
第1鎖の修飾ヌクレオチドのパターンが前記第2鎖の修飾ヌクレオチドのパターンと同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項7】
第1鎖のパターンが前記第2鎖のパターンに整合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項8】
第1鎖のパターンが第2鎖のパターンに対し1以上のヌクレオチドによりシフトしている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項9】
修飾がアミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシおよびアルキルを含む群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項10】
2本鎖構造が平滑端である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項11】
2本鎖構造が両側において平滑端である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項12】
2本鎖構造が、第1鎖の5’−末端および第2鎖の3’−末端により画定される2本鎖構造上の側部において平滑端である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項13】
2本鎖構造が、第1鎖の3’末端および第2鎖の5’末端により画定される2本鎖構造上の側部において平滑端である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項14】
2本鎖の少なくとも一方が5’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項15】
突出が、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される少なくとも1つのヌクレオチドから成る、請求項14に記載のリボ核酸。
【請求項16】
ヌクレオチドが修飾を有し、前記修飾が逆方向脱塩基であるヌクレオチド及び2’−位置にNH2−修飾を有するヌクレオチドを含む群より選択されるのが好ましい、請求項15に記載のリボ核酸。
【請求項17】
5’−末端の突出が第2鎖上にある、請求項14〜16のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項18】
第1鎖も突出を含むこと、好ましくは5’末端に含むことを特徴とする、請求項17に記載のリボ核酸。
【請求項19】
5’末端の突出が第1鎖上にある、請求項14〜18のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項20】
第2鎖も突出を含むこと、好ましくは5’−末端に含むことを特徴とする、請求項19に記載のリボ核酸。
【請求項21】
鎖の少なくとも1つが、3’−末端に少なくとも1ヌクレオチドの突出を有する、請求項14〜20のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項22】
3’−末端のヌクレオチドがリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む群より選択される、請求項21に記載のリボ核酸。
【請求項23】
第1鎖の3’−末端が突出を含んでいる、請求項14〜22のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項24】
2本鎖構造の長さが約17〜21塩基長を有し、より好ましくは18または19塩基を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項25】
第1鎖の長さ、および/または前記第2鎖の長さが、互いに独立に約15から約23塩基、17〜21塩基の範囲、および18または19塩基を含む群から選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項26】
第1鎖と標的核酸間の相補性が完全である、請求項1〜25のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項27】
第1鎖と標的核酸間に形成される二本鎖が少なくとも15ヌクレオチドを含み、前記2本鎖構造を形成している前記第1鎖と標的核酸との間に1個の不一致または2個の不一致が存在する、請求項1〜26のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項28】
第1鎖と第2鎖が共にそれぞれ少なくとも1つの修飾ヌクレオチド群と少なくとも1つのヌクレオチドのフランキング群とを含み、
前記修飾ヌクレオチドの各群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み、そして前記ヌクレオチドの各フランキング群は少なくとも1つのヌクレオチドを含み;
第1鎖の修飾ヌクレオチドの各群が第2鎖のヌクレオチドのフランキング群と整合し、この時
第1鎖の最末端5’ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド群のヌクレオチドであり、
第2鎖の最末端3’ヌクレオチドがヌクレオチドのフランキング群のヌクレオチドである、
請求項1〜27のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項29】
修飾ヌクレオチドの各群が単一ヌクレオチドから成り、そして/またはヌクレオチドの各フランキング群が単一ヌクレオチドから成る、請求項28に記載のリボ核酸。
【請求項30】
第1鎖上でヌクレオチドのフランキング群を形成しているヌクレオチドが修飾ヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドに対し3’方向に配置される非修飾ヌクレオチドであり、そして第2鎖上で修飾ヌクレオチド群を形成しているヌクレオチドがヌクレオチドのフランキング群を形成しているヌクレオチドに対し5’方向に配置される修飾ヌクレオチドである、請求項29に記載のリボ核酸。
【請求項31】
第1鎖が8〜12、好ましくは9〜11の修飾ヌクレオチド群を含み、そして第2鎖が7〜11、好ましくは8〜10の修飾ヌクレオチド群を含む、請求項28〜30のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項32】
標的遺伝子が構造遺伝子、ハウスキーピング遺伝子、転写因子、運動因子、細胞周期因子、細胞周期インヒビター、酵素、増殖因子、サイトカインおよび腫瘍サプレッサーを含む群から選択される、請求項1〜31のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項33】
第1鎖および第2鎖がループ構造で連結している、請求項1〜32のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項34】
ループ構造が非核酸ポリマーを含んでいる、請求項33に記載のリボ核酸。
【請求項35】
非核酸ポリマーがポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項34に記載のリボ核酸。
【請求項36】
ループ構造が核酸を含んでいる、請求項33〜35のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項37】
第1鎖の5’−末端が第2鎖の3’−末端に連結していることを特徴とする、請求項33〜36のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項38】
第1鎖の3’−末端が第2鎖の5’−末端に連結していることを特徴とする、請求項33〜37のいずれか1項に記載のリボ核酸。
【請求項39】
標的検証のための、請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の使用。
【請求項40】
医薬製造のための、請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の使用。
【請求項41】
医薬が神経膠芽腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌および白血病、糖尿病、肥満、心臓血管病、ならびに代謝性疾患を含む群から選択される疾患または状態の処置を目的とするものである、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する細胞、好ましくはノックダウン細胞。
【請求項43】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する生物、好ましくはノックダウン生物。
【請求項44】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を含有する組成物。
【請求項45】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸および医薬的に許容可能な担体を含有する医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸を標的遺伝子の発現を阻害するのに十分な量で細胞内に導入することを含み、前記標的遺伝子が請求項1〜38のいずれか1項に記載のリボ核酸の標的遺伝子である、細胞内での標的遺伝子またはその誘導物の発現を阻害する方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【公開番号】特開2011−24592(P2011−24592A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−214237(P2010−214237)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2004−526885(P2004−526885)の分割
【原出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願人】(505047256)サイレンス・セラピューティクス・アーゲー (13)
【氏名又は名称原語表記】SILENCE THERAPEUTICS AG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214237(P2010−214237)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2004−526885(P2004−526885)の分割
【原出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願人】(505047256)サイレンス・セラピューティクス・アーゲー (13)
【氏名又は名称原語表記】SILENCE THERAPEUTICS AG
【Fターム(参考)】
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