説明

アキュームレータ

【課題】アキュームレータの本体シリンダ内でプラグ側に負圧状態が発生した場合に、プラグが移動しないようにする。
【解決手段】本体シリンダ10内で軸方向に移動可能に設けられたピストン11と、ピストン11を本体シリンダ10の一端側に付勢するスプリング12と、本体シリンダ10の開放端10b側で内嵌されると共に、スプリング12の基端12aが取り付けられたプラグ20と、本体シリンダ10内のプラグ20側にオリフィス15を通過した作動流体を本体シリンダ10内に供給する背圧油路14と、本体シリンダ10の一端側に接続されて、本体シリンダ10と油圧回路とを連通する油路13と、を備える自動変速機の油圧回路に設けられるアキュームレータ1であって、プラグ20に、貫通孔23と、本体シリンダ10外の油の貫通孔23を介した本体シリンダ10内への流入を許容する一方向弁22と、を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機のアキュームレータに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用自動変速機の油圧回路には、摩擦締結要素への油圧を供給するためのアキュームレータが設けられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−237774号公報
【0004】
図4は、従来のアキュームレータを備える油圧回路の概略構成図である。
図4の(a)に示すように、特許文献1に開示されたような従来のアキュームレータ100は、筒状の本体シリンダ101内で軸方向に移動可能に設けられたピストン102と、ピストン102を本体シリンダ101の一端101a側に付勢するスプリング103と、本体シリンダ101の他端101b側に内嵌固定されると共にスプリング103の基端が取り付けられたプラグ104と、オリフィス106を通過した作動流体を本体シリンダ101内のプラグ104側に供給する作動油路105と、本体シリンダ101の一端101a側と油圧回路108とを連通しピストン102の供給圧を与える油路107と、を備える。
【0005】
例えば、アキュームレータ100が、1速走行から2速走行に移行する際に2速用の棚圧制御を成立させる1−2アキュームレータである場合、1速走行時においてアキュームレータ100は、図4の(a)に示すように、供給圧によりピストン102が圧縮された状態とされる。そして、1速から2速への変速が開始されると、本体シリンダ101内のピストン102の背圧側に供給する油圧(作動油圧)を徐々に高めながらピストン102を一端101a側に移動させて、本体シリンダ101内(ピストン102よりも図中右側)に供給された供給圧との押圧バランスにより2速用の棚圧を発生させるようになっている(図4の(b)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、1速走行から2速走行への移行時にエンストなどの異常が突然発生すると、油圧回路108側の供給圧が一気に抜けてしまうことがある。かかる場合、ピストン102への供給圧が一気に無くなるので、スプリング103により一端側に付勢されているピストン102は、一端101a側に急速に移動してしまう。
ここで、作動油路105にはオリフィス106が設けられており、ピストン102が急激に移動しても本体シリンダ101内のピストン102の背圧側にオイルを急速に供給することができないようになっているので、本体シリンダ101内のピストン102の背圧側に負圧状態が発生する。
そうすると、スプリング103の基端が取り付けられたプラグ104が、負圧により引き寄せられて、本体シリンダ101内の一端101a側に移動してしまうことがある(図4の(c)参照)。
【0007】
その後、油圧回路108側の油圧が復活してピストン102に供給圧が作用して、ピストン102が本体シリンダ101内を他端101b側に移動する作用を受けると、異常状態で移動してしまったプラグ104もまたピストン102と共に、本体シリンダ101内を他端101b側に向けて定位置に戻ろうとすることになる。この際に、プラグ104が元の位置に戻らずに本体シリンダ101内でスティックしてしまうことが生じる可能性があり、かかる場合には、以降のアキュームレータ100による棚圧の制御に支障をきたすおそれがある。
【0008】
そこで、アキュームレータの本体シリンダ内でピストンの背圧側に負圧状態が発生した場合に、プラグが移動しないようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動変速機の摩擦締結要素に油圧を供給する油圧回路に設けられるアキュームレータであって、筒状の本体シリンダと、前記本体シリンダ内で、前記本体シリンダの軸方向に移動可能に設けられたピストンと、前記ピストンを、前記本体シリンダの一端側に付勢するスプリングと、前記本体シリンダの他端側で前記本体シリンダに内嵌されると共に、前記スプリングの基端が当接されたプラグと、前記摩擦締結要素のひとつに油圧を供給する油路と前記本体シリンダの一端側内部とを連通する供給側油路と、前記摩擦締結要素の他のひとつに油圧を供給する油路と前記本体シリンダの他端側内部とを連通すると共にオリフィスが介在された背圧側油路と、を備え、
前記プラグに、前記本体シリンダの軸方向に貫通する貫通孔を設けると共に、
前記本体シリンダ外から前記貫通孔を介して本体シリンダ内へ流通のみを許容する逆止弁を設けた構成のアキュームレータとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本体シリンダ内の他端側内部(ピストンの背圧側)に負圧状態が発生した場合に、貫通孔を通過して本体シリンダ内への流入が許容されるので、本体シリンダ内でピストンの背圧側に発生し得る負圧状態を抑えて、プラグが移動することを好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態にかかるアキュームレータの模式図である。
【図2】実施の形態にかかるアキュームレータの要部を説明する図である。
【図3】変形例にかかるアキュームレータの要部を説明する図である。
【図4】従来のアキュームレータを備える油圧回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施の形態にかかるアキュームレータ1の断面を模式的に示した図である。
図2の(a)は、図1のプラグ20周りの拡大図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0013】
実施の形態にかかるアキュームレータ1は、1速走行から2速走行に移行する際に2速用の棚圧制御を成立させる1−2アキュームレータ(1−2ACCM)であり、自動変速機のコントロールバルブボディ(図示せず)内に設けられている。
アキュームレータ1の筒状の本体シリンダ10は、重ね合わせたバルブボディの間に画成されており、本体シリンダ10の内部には、ピストン11が軸方向に摺動移動可能に設けられている。
【0014】
ピストン11は、有底円筒形状を有しており、底部11aを本体シリンダ10の一端側に向けて配置されている。底部11aを囲む周壁部11b内には、スプリング12の一端側が挿入されており、ピストン11は、スプリング12により本体シリンダ10内の一端側に向けて付勢されている。
実施の形態では、スプリング12は、ピストン11を所定の付勢力で、本体シリンダ10の当接部10aに当接させる長さおよびばね定数のコイルスプリングを採用している。
【0015】
本体シリンダ10の一端は、ピストン11の底部11aが当接する当接部10aにより封止されており、この一端には、ピストン11に供給圧を与える油路13が、本体シリンダ10の周方向から接続して設けられている。
油路13は、本体シリンダ10の軸方向で、当接部10aよりもピストン11から離れる方向にオフセットしており、当接部10aに当接したピストン11の底部11aと油路13の内周面13aとの間に隙間Sを確保している。
【0016】
実施の形態では、油路13は、油圧回路を介してLOW/C圧が作用するアキュームレータに接続されていると共に、ピストン11に作用する供給圧が、この油路13を介して供給されるようになっている。
ピストン11の底部11aと油路13の内周面13aとの間に隙間Sを確保することにより、ピストン11が当接部10aに当接している状態において、ピストン11の受圧面となる底部11aに、油路13から供給される供給圧が確実に作用できるようにされている。
【0017】
本体シリンダ10の他端は、開放端10bとなっており、この開放端10bの近傍には、棒状のリテーナ16が本体シリンダ10を貫通して設けられている。
リテーナ16は、本体シリンダ10の他端側に内嵌して固定されたプラグ20の本体シリンダ10からの脱落を防止するために設けられている。
【0018】
プラグ20は、その基本形状が円柱形状を有しており、本体シリンダ10では、当接部10aとプラグ20との間の内側にアキューム室Rが形成されている。
プラグ20のピストン11側の面には、スプリング12の内径と整合する外径のボス部21が設けられており、スプリング12の基端12aは、このボス部21に外嵌して取り付けられている。
【0019】
本体シリンダ10では、プラグ20よりもピストン11側の位置に、ピストン11の背圧側に油圧を供給する背圧油路14が接続されている。
背圧油路14には、本体シリンダ10の近傍にオリフィス15が設けられており、背圧油路14から供給される油圧が、オリフィス15を通過した後に、本体シリンダ10のプラグ20側のアキューム室Rに供給されるようになっている。
実施の形態では、背圧油路14は、前記した油路13とは異なる摩擦締結要素に油圧を供給する油路に接続されている。
【0020】
実施の形態のアキュームレータ1は、車両が1速で走行しているときには、油路13から供給される供給圧により、ピストン11がスプリング12を押し縮めてプラグ20の近傍まで移動させられ、1速から2速への変速が開始されると、背圧油路14から供給される油圧(背圧)を徐々に高くしてピストン11を一端側に移動させるように、背圧油路14側に油圧を供給するように制御される。
【0021】
実施の形態のアキュームレータ1では、プラグ20に一方向弁22が設けられている。
一方向弁22は、アキューム室R内のオイルの開放端10b側への排出を遮断するものであり、アキューム室R内のオイルが本体シリンダ10の開放端10b側に排出されることを防止しつつ、開放端10b側からアキューム室R内へのオイルの流入が許容されるようになっている。
【0022】
図2の(a)に示すように、一方向弁22は、当該プラグ20を厚み方向に貫通する貫通孔23と、ボール(ワンウェイボール)24とを備えて構成される。
図2の(b)に示すように、貫通孔23は、軸方向から見てリテーナ16と重なる位置を避けて形成されており、実施の形態では、開放端10b側から見てリテーナ16の右側に貫通孔23が開口している。
【0023】
図2の(a)に示すように、貫通孔23は、リテーナ16側の貫通孔部23aと、アキューム室R側のボール収容部23bとを備えており、貫通孔部23aとボール収容部23bとが、プラグ20の厚み方向において連続して形成されている。
ボール収容部23bは、アキューム室R(ピストン11)側に向かうにつれて拡径しており、その内部にボール24が収容されるようになっている。
ボール収容部23bの、プラグ20の厚み方向における長さL1は、ボール24の直径Lよりも長くなっており、ボール収容部23b内のボール24が、プラグ20の厚み方向に進退移動できるようにされている。
【0024】
プラグ20(ボス部21)のピストン11側の端部には、ボール24の貫通孔23からの脱落を防止するための突出部21aが形成されている。
実施の形態では、突出部21aは、アルミからなるプラグ20のかしめ加工により、貫通孔23(ボール収容部23b)内に突出して形成されている。
【0025】
図2の(c)に示すように、突出部21aは、貫通孔23周りの周方向で、等間隔で4つ設けられており、ボール24が図2の(a)において図右方向に移動して突出部21aに当接した際に、ボール24の移動を規制しつつ、ボール24と貫通孔23(ボール収容部23b)との間に隙間CLが確保されるようにされている。
よって、ボール24が突出部21aに当接した際に、本体シリンダ10の開放端10b側から貫通孔23に流入したオイルが、ボール24と貫通孔23(ボール収容部23b)との隙間CLを通って、アキューム室R内に流入できるようになっている。
【0026】
かかる構成の貫通孔23をプラグ20が備えることで、アキューム室R内に背圧油路14から作動油圧(背圧)が供給されている場合や、油路13から供給圧が供給されている場合のように、アキューム室R内にオイルが供給されている状態では、ボール24は、図2の(a)における左側に移動して、貫通孔23の貫通孔部23aを閉鎖する位置に配置される。
これにより、アキューム室R内のオイルの開放端10b側への排出が遮断される。
【0027】
また、供給圧が一気に無くなってピストン11が、本体シリンダ10の一端側に急速に移動して、アキューム室R内のピストン11よりもプラグ20側に負圧状態が発生すると、ボール24が負圧によりボール収容部23b内をアキューム室R側の突出部21aに当接する位置まで移動する。
これにより、本体シリンダ10の開放端10b側から、貫通孔23を通って、アキューム室R内にオイルが流入できるようになるので、流入したオイルにより、アキューム室R内に発生した負圧状態を解消または緩和できる。よって、プラグ20を本体シリンダ10内の一端(当接部10a)側に引っ張る力F1が緩和されるので、プラグ20がピストン11と共に本体シリンダ10内の一端(当接部10a)側に移動することを好適に防止できる。
【0028】
ここで、実施の形態では、貫通孔23の形成にあたり、プラグ20が本体シリンダ10内を摺動するときの摺動抵抗がαF≧F1を維持できるように、貫通孔23(貫通孔部23a)の内径(流路断面積)を設定している。
ここで、αは、プラグ20のオイル中での摺動抵抗係数(オイルが満たされた本体シリンダ10内をプラグ20摺動移動する際の摺動抵抗係数)であり、αFは、アキューム室R内に負圧状態が発生した場合にオイル中にあるプラグ20を移動させるのに必要な力であり、F1は、負圧状態が発生した場合にプラグ20に実際に作用する力(プラグ20に貫通孔23が形成されていない場合に比べて小さい力となる)である。
【0029】
以上の通り、実施の形態では、自動変速機の摩擦締結要素に油圧を供給する油圧回路に設けられるアキュームレータ1であって、筒状の本体シリンダ10と、本体シリンダ10内で、本体シリンダ10の軸方向に摺動移動可能に設けられたピストン11と、ピストン11を、本体シリンダ10の一端側の当接部10aに向けて付勢するスプリング12と、本体シリンダ10の他端(開放端10b)側で本体シリンダ10に内嵌固定されると共に、スプリング12の基端12aが取り付けられたプラグ20と、本体シリンダ10におけるプラグ20よりも一端側の位置(アキューム室Rのピストン11よりもプラグ20側の位置)に接続されて、オリフィス15を通過した作動流体を本体シリンダ10内に供給可能な背圧油路14と、本体シリンダ10の一端側に接続されて、本体シリンダ10と自動変速機の摩擦締結要素に連通する油圧回路とを連通する油路13と、を備え、
プラグ20に、本体シリンダ10の軸方向に貫通する貫通孔23を設けると共に、本体シリンダ10の外部から貫通孔23を介して本体シリンダ10の内部への流体の通流のみを許容する逆止弁とを設けて、逆止弁として、本体シリンダ10から貫通孔23を通過して本体シリンダ10の開放端10b側に排出する作動流体の流れを遮断し、開放端10b側から本体シリンダ10内へ作動流体の流入を許容するボール24を採用した構成とした。
【0030】
このように構成すると、本体シリンダ10内のプラグ20側に負圧状態が発生した場合に、貫通孔23を介した本体シリンダ10内への作動流体の流入が許容されるので、本体シリンダ10内のプラグ20側に発生した負圧状態を速やかに解消して、プラグ20が移動することを好適に防止できる。
【0031】
特に、アキュームレータ1が、1速走行から2速走行に移行する際に2速用の棚圧制御を成立させる1−2アキュームレータ(1−2ACCM)である構成としたので、1速走行時のエンストなどによりアキュームレータ1の背圧が急激に低下して、本体シリンダ10内のピストン11よりもプラグ20側に負圧が発生した場合であっても、プラグ20が本体シリンダ10内に引き込まれてスタックすることがない。これにより、その後の車両の走行に支障が生ずることを、好適に防止できる。
【0032】
特に、貫通孔23の形成にあたり、プラグ20が本体シリンダ10内を摺動するときの摺動抵抗がαF≧F1を維持できるように、貫通孔23(貫通孔部23a)の内径を設定する構成とした。
ここで、αは、プラグ20のオイル中での摺動抵抗係数であり、αFは、アキューム室R内に負圧状態が発生した場合に油中にあるプラグ20を移動させるのに必要な力であり、F1は、負圧状態が発生した場合にプラグ20に実際に作用する力である。
【0033】
このように構成すると、本体シリンダ10内のプラグ20側に負圧状態が発生した場合に、プラグ20が本体シリンダ10内を摺動しながら一端側に移動することを好適に防止できる。
【0034】
以下、プラグ20に設けられた一方向弁22の変形例を説明する。
図3は、変形例にかかる一方向弁22Aを説明する図であり、(a)は、アキュームレータにおける一方向弁22A周りの断面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0035】
図3の(a)に示すように、一方向弁22Aは、当該プラグ20を厚み方向に貫通する貫通孔23Aと、弁体26とを備えて構成される。
図3の(b)に示すように、貫通孔23Aは、軸方向から見てリテーナ16と重なる位置を避けて形成されており、実施の形態では、開放端10b側から見てリテーナ16の右側に貫通孔23Aが開口している。
【0036】
貫通孔23Aは、リテーナ16を厚み方向に貫通して設けられており、その長手方向の全長に亘って同じ内径で形成されている。
貫通孔23Aには、弁体26の軸部26aが挿通されており、軸部26aの開放端10b側の端部には、軸部26aに直交する方向に延びる棒状の係止部26bが一体に設けられている。係止部26bは、貫通孔23Aの内径よりも長くなっており、弁体26がアキューム室R側に移動した際に、プラグ20に当接して、プラグ20からの弁体26の脱落を防止するようになっている。
【0037】
軸部26aのアキューム室R内に位置する端部には、円板形状の蓋部26cが取り付けられている。蓋部26cは、貫通孔23Aの内径よりも大きい外径で形成されている。蓋部26cは、軸部26aとは別体に形成されており、例えばネジ止めなどにより軸部26aに取り付けられている。
蓋部26cは、弁体26が本体シリンダ10の開放端10b側に移動すると、プラグ20のアキューム室R側の面に当接して、貫通孔23Aを塞ぐようになっており、この状態において、アキューム室R内のオイルの開放端10b側への排出が遮断される。
【0038】
変形例にかかる一方向弁22Aの場合であっても、前記した一方向弁22Aの場合と同様に、アキューム室R内のオイルが本体シリンダ10の開放端10b側に排出されることを防止しつつ、開放端10b側からアキューム室R内へのオイルの流入が許容される。
これにより、本体シリンダ10の開放端10b側から、貫通孔23を通って、アキューム室R内にオイルが流入できるようになるので、流入したオイルにより、アキューム室R内に発生した負圧状態を解消または緩和できる。よって、プラグ20を本体シリンダ10内の一端(当接部10a)側に引っ張る力F1が緩和されるので、プラグ20がピストン11と共に本体シリンダ10内の一端(当接部10a)側に移動することを好適に防止できる。
【符号の説明】
【0039】
1 アキュームレータ
10 本体シリンダ
10a 当接部
10b 開放端
11 ピストン
11a 底部
11b 周壁部
12 スプリング
13 油路
14 供給油路
15 オリフィス
16 リテーナ
20 プラグ
21 ボス部
21a 突出部
22、22A 一方向弁
23、23A 貫通孔
23a 貫通孔部
23b ボール収容部
24 ボール
26 弁体
26a 軸部
26b 係止部
26c 蓋部
R アキューム室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機の摩擦締結要素に油圧を供給する油圧回路に設けられるアキュームレータであって、
筒状の本体シリンダと、
前記本体シリンダ内で、前記本体シリンダの軸方向に移動可能に設けられたピストンと、
前記ピストンを、前記本体シリンダの一端側に付勢するスプリングと、
前記本体シリンダの他端側で前記本体シリンダに内嵌されると共に、前記スプリングの基端が当接されたプラグと、
前記摩擦締結要素のひとつに油圧を供給する油路と前記本体シリンダの一端側内部とを連通する供給側油路と、
前記摩擦締結要素の他のひとつに油圧を供給する油路と前記本体シリンダの他端側内部とを連通すると共にオリフィスが介在された背圧側油路と、を備え、
前記プラグに、前記本体シリンダの軸方向に貫通する貫通孔を設けると共に、
前記本体シリンダ外から、前記貫通孔を介して本体シリンダ内へ流通のみを許容する逆止弁を設けたことを特徴とするアキュームレータ。
【請求項2】
前記逆止弁は、
前記貫通孔内で前記軸方向に移動可能に設けられたボールであることを特徴とする請求項1に記載のアキュームレータ。
【請求項3】
前記プラグが前記本体シリンダ内を移動する際の摺動抵抗係数をα、前記プラグを移動させるのに要する力をαF、前記本体シリンダ内の前記プラグ側に負圧状態が発生したときに前記プラグに作用する力をF1とした場合に、
αF≧F1の関係を満たすように、前記貫通孔の断面積が設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアキュームレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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