アクセル装置
【課題】 アクセルペダルの踏込み解除時に第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に戻るアクセル装置を提供する。
【解決手段】 支持部材11とアクセルペダル50との間に設けられる第2スプリング80は、レバー54が第1スライダ71から離間するアクセル閉方向へアクセルペダル50を付勢し、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能である。これによれば環境変化等で内側摩擦部材75と第2スライダ72との摩擦力が増加する、或いは内側摩擦部材75と第2スライダ72との間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダ71又は第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル50に作用しなくなる場合でも、アクセルペダル50は、第2スプリング80の付勢力でアクセル全閉位置に復帰可能である。
【解決手段】 支持部材11とアクセルペダル50との間に設けられる第2スプリング80は、レバー54が第1スライダ71から離間するアクセル閉方向へアクセルペダル50を付勢し、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能である。これによれば環境変化等で内側摩擦部材75と第2スライダ72との摩擦力が増加する、或いは内側摩擦部材75と第2スライダ72との間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダ71又は第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル50に作用しなくなる場合でも、アクセルペダル50は、第2スプリング80の付勢力でアクセル全閉位置に復帰可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるエンジンが吸入する空気の量は、吸入する空気の通路に設けられるスロットルバルブにより調整される。スロットルバルブは、アクセルペダルの踏込量に応じて作動する。アクセルペダルを備えるアクセル装置は、スロットルバルブのバルブ開度を決定するため運転者が操作する入力装置である。アクセルペダルは、車体に固定される支持部材により回動可能に支持され、例えばスプリング等の付勢手段によりアクセル全閉位置に向けて付勢される。
【0003】
アクセル装置には、大きく分けて機械式と電子式とがある。機械式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込操作力すなわち踏力を例えばワイヤー等によりスロットルバルブに伝達する。これに対して電子式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込量をセンサにより検出し、その踏込量に関する情報を電気信号として電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づきスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0004】
ところで、アクセルペダルの踏込を解除するときの踏力がアクセルペダルを踏み込むときの踏力よりも小さい所謂踏力ヒステリシス特性をもつアクセル装置が知られている。このアクセル装置では、アクセルペダルの踏込を所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏込を戻すときに踏力が小さくて済む。そのためアクセルペダルを操作する運転者の労力が減る。
【0005】
例えば特許文献1のアクセル装置は、アイドル状態からアクセル開方向へ回動するアクセルペダルにより押される第1スライダ(アクチュエータ)を備えている。第1スライダは、スプリングにより第2スライダ(ブレーキシュー)を経由してアクセルペダル側に付勢される。第1スライダは、第2スライダ側ほど互いに離間する一対の傾斜面を有する。
第2スライダは、第1スライダに接近および離間可能に設けられ、一対の傾斜面の間に突き出す一対の突起部を形成する。一対の突起部の間には摩擦部材が設けられている。一対の突起部は、アクセルペダルに押されて第1スライダが移動するとき第1スライダの傾斜面に挟圧され、摩擦部材に押し付けられる。このときの突起部と摩擦部材との摩擦力は、アクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−158992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1のアクセル装置では、第2スライダの突起部と摩擦部材との間、第2スライダの突起部と第1スライダの傾斜面との間、もしくは第1スライダや第2スライダとそれらを支持する支持部材との間などに異物が噛み込む、又は、環境変化に起因して突起部と摩擦部材との間の摩擦力が増加することによって、第1スライダまたは第2スライダの動作が鈍くなるおそれがある。このため、アクセルペダルの踏込み解除時にアイドル状態に至らない可能性がある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクセルペダルの踏込み解除時に第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能なアクセル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によるアクセル装置は、支持部材、シャフト、アクセルペダル、レバー、第1スライダ、第2スライダ、摩擦部材、第1スプリングおよび第2スプリングを備える。車体に取り付け可能な支持部材は、シャフトを回転可能に支持する。シャフトには、踏込量に応じてシャフトを回動可能にアクセルペダルが連結される。アクセルペダルには、アクセルペダルと一体に回転可能にレバーが接続される。レバーに対しアクセル開方向側には、レバーに接近および離間可能に支持部材に案内される第1スライダが設けられる。この第1スライダは、支持部材の案内方向に対し傾斜する傾斜面を有し、アクセルペダルがアクセル開方向へ移動するときレバーに押圧される。
【0010】
第1スライダに対しレバーとは反対側には、案内部および突起部からなる第2スライダが設けられる。案内部は、第1スライダの移動方向と同じ方向へ往復移動可能に支持部材に案内される。突起部は、傾斜面に沿って第1スライダ側に突き出す。この突起部は、第1スライダがレバーに押圧されるとき傾斜面に係合することで第1スライダの移動方向に直交する方向へ押される。
摩擦部材は、支持部材に一体に形成され、第2スライダの突起部が第1スライダの移動方向に直交する方向へ押されるとき突起部に摩擦係合する。このとき発生する摩擦力は、第1スライダの移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する。
【0011】
支持部材と第2スライダとの間には、第1スプリングが設けられる。第1スプリングの一端は支持部材に係止され、他端は第2スライダに係止される。この第1スプリングは、第2スライダと第1スライダとレバーとを経由してアクセルペダルをアクセル閉方向へ付勢する。
支持部材とアクセルペダルとの間には、第2スプリングが設けられる。第2スプリングの一端は支持部材に係止され、他端はアクセルペダルに係止される。この第2スプリングは、レバーが第1スライダから離間するアクセル閉方向へアクセルペダルを付勢する。また第2スプリングは、第1スライダの位置に依存することなしにアクセルペダルをアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する。
【0012】
このように構成されるアクセル装置では、摩擦部材と第2スライダの突起部との間で生じる摩擦力は、アクセルペダルの抵抗トルクとなり、アクセルペダルの踏込を解除するときアクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダルの踏込を所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏込を徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、アクセルペダルを操作する運転者の労力が減る。
【0013】
また、環境変化などにより摩擦部材と第2スライダの突起部との摩擦力が増加する、或いは摩擦部材と第2スライダとの間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダまたは第2スライダが固着し、第1スプリングの付勢力がアクセルペダルに作用しなくなる場合であっても、第2スプリングの付勢力はアクセルペダルに作用する。このとき、第2スプリングは、第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルをアクセル全閉位置に戻すことができる。そのため、アクセルペダルの踏込み解除時に第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0014】
また、第1スプリングを変更することなしに第2スプリングを変更することで踏力特性を変化させることができる。言い換えれば、第2スプリングを変更することによって、アクセルペダルのロッドの長さが違う機種同士の踏力特性を同等にすることが可能である。特に、第1スプリングが複数設けられる場合、それら複数の第1スプリングを変更することなしに第2スプリングを変更することによって踏力特性を調整可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明では、第2スプリングは、アクセルペダルに作用する踏力とレバーに作用する第1スプリングの付勢力との合力よりもシャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。請求項3に記載の発明では、第2スプリングは、アクセルペダルに作用する踏力の作用方向、又は、レバーに作用する第1スプリングの付勢力の作用方向とは反対方向へアクセルペダルを付勢する。
この構成では、第2スプリングが設けられない場合と比べて、アクセルペダルに踏力が作用するときシャフトを支持部材に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフトと支持部材との摩耗を抑制することができる。また、持続的に作用する応力に起因して時間経過とともに歪みが増大するクリープと呼ばれる現象によってシャフトおよび支持部材が変形することを抑制可能である。
【0016】
請求項4に記載の発明では、アクセルペダルは、支持部材に当接することでアクセルペダルのアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部を一体に形成する。また、第2スプリングは、レバーに作用する第1スプリングの付勢力とアクセルペダルの全閉当接部が支持部材から受ける反力との合力よりもシャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。請求項5に記載の発明では、第2スプリングは、レバーに作用する第1スプリングの付勢力の作用方向、又は、アクセルペダルの全閉当接部が支持部材から受ける反力の作用方向とは反対方向へアクセルペダルを付勢する。
この構成では、第2スプリングが設けられない場合と比べて、アクセルペダルに踏力が作用していないときシャフトを支持部材に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフトと支持部材との摩耗を抑制することができる。またクリープ現象によってシャフトおよび支持部材が変形することを抑制可能である。
【0017】
請求項6に記載の発明では、支持部材は、アクセルペダルの全閉当接部に当接可能な全閉ストッパを形成する。第2スプリングの一端は、支持部材の全閉ストッパのうち全閉当接部が当接する当接面とは反対側に係止される。第2スプリングは、支持部材の全閉ストッパに作用するアクセルペダルの押圧力の作用方向とは反対方向へ全閉ストッパを付勢する。
この構成では、第2スプリングの全閉ストッパへの付勢力は、支持部材の全閉ストッパに作用するアクセルペダルの押圧力を相殺する。そのため、支持部材の全閉ストッパを低剛性にすることができるので、支持部材を小さくしてアクセル装置の体格を小さくすることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は、シャフトの軸方向においてレバーに対する第1スプリングの付勢力の作用位置と略同じである。そのため、シャフトに作用する力が軸方向で偏らず、支持部材は、シャフトを安定して保持することができる。
【0019】
本明細書において、「アクセル全閉位置」とは、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていないとアクセル装置または電子制御装置が判断するペダル回動位置である。「アクセル全閉位置」は、アクセルペダルがストッパに当接するペダル回動位置に設定される場合や、アクセルペダルがストッパに当接する位置からアクセル開方向へ所定角度回動したペダル回動位置に設定される場合がある。すなわち、「アクセル全閉位置」は、制御上のアクセル全閉位置である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態のアクセル装置を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のアクセル装置をIII矢印方向から見た図である。
【図4】図2の踏力ヒステリシス機構およびヒス機構ケースのIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれているとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、支持部材の全閉ストッパに作用する力を示す模式図である。
【図8】図5のVIII矢印方向から見た模式図である。
【図9】図1のアクセル装置におけるアクセルペダルの踏力と回動角との関係を示す図である。
【図10】図1のアクセル装置とそれに対しアクセルペダルのロッドの長さが長いアクセル装置との踏力特性を比較する図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例による踏力ヒステリシス機構を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるアクセル装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるアクセル装置を示す断面図である。
【図14】第2スプリングを備えない従来のアクセル装置にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図15】第2スプリングを備えない従来のアクセル装置にてアクセルペダルが踏み込まれているとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるアクセル装置を図1〜図4に示す。アクセル装置10は、図示しない車両用エンジンの吸入空気量を調整する図示しないスロットルバルブのバルブ開度を決定するため車両の運転者が操作する入力装置である。このアクセル装置10は、電子式を採用する。電子式のアクセル装置10は、アクセルペダル50の踏込量に関する情報を電気信号として図示しない電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づいて図示しないスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0022】
アクセル装置10は、支持部材11、シャフト40、アクセルペダル50、回転位置センサ60、踏力ヒステリシス機構70および第2スプリング80等を備えている。図1〜図3のアクセル装置10は、図示しない車体に取り付ける位置関係で示す。以下では、図1〜図3の上を「上」、図1〜図3の下を「下」、図1の左方向を前方向、図1の右方向を後方向、図2の左右方向を幅方向として説明する。
【0023】
支持部材11は、ハウジング部12、上取付部24、下取付部25およびヒス機構ケース27から構成される。
ハウジング部12は、幅方向で対向し且つ互いに平行な第1軸支持部13および第2軸支持部14と、第1軸支持部13と第2軸支持部14とを接続する上部15、下部16および後部17とから成る。
後部17と下部16との接続部は、アクセル全閉位置まで回動したアクセルペダル50が当接可能な全閉ストッパ18を形成する。アクセル全閉位置は、運転者によるアクセルペダル50の踏込度合い即ちアクセル開度が0[%]となるように設定されるペダル回動位置である。このアクセル全閉位置は、運転者によりアクセルペダル50が踏み込まれていないことをアクセル装置または電子制御装置が判断するペダル回動位置である。
【0024】
上取付部24は、上部15から上方向へ延びるように形成される。下取付部25は、下部16から下方向へ延びるように形成される。これら上取付部24および下取付部25は、図1に示すように車両の車室を区画形成する内壁120に取付可能である。
下取付部25は、アクセル全開位置まで回動したアクセルペダル50が当接可能な全開ストッパとして機能する。アクセル全開位置は、運転者によるアクセルペダル50の踏込度合い即ちアクセル開度が100[%]となるように設定されるペダル回動位置である。
【0025】
ヒス機構ケース27は、ハウジング部12の前側の開口内に嵌合し、踏力ヒステリシス機構70を収容する。ヒス機構ケース27は、ハウジング部12の蓋としても機能する。
ヒス機構ケース27は、ケース本体28およびケースカバー37から構成される。ケース本体28は、平板状の底部29と、底部29の周縁から後方向へ延びる枠部30と、枠部30から上方向へ突き出してハウジング部12の内壁の上係止穴20に嵌合する上爪31と、枠部30から下方向へ突き出してハウジング部12の内壁の下係止穴21に嵌合する下爪32とから成る。
【0026】
枠部30は、幅方向の両方の位置で上下方向に延び且つ下側が開口するガイド溝33、34を有する。これらガイド溝33、34は、後述の第1スライダ71を往復直線移動可能に案内する。
ケースカバー37は、ケース本体28のうち底部29とは反対側を塞ぐ蓋である。このケースカバー37は、踏力ヒステリシス機構70をケース本体28に組み付けた後に取り付けられる。
【0027】
シャフト40は、幅方向に長手状をなす中実円筒部41と、この中実円筒部41の外側に嵌合する中空円筒部42とからなる。
中空円筒部42は、支持部材11の第1軸支持部13と第2軸支持部14とにより回動可能に支持される。中空円筒部42の一端部は、第1軸支持部13が有する軸受孔22に嵌合する。中空円筒部42の他端部は、一端部と比べて大径に形成され、第2軸支持部14が有する軸受孔23に嵌合する。中空円筒部42の他端部は、回転位置センサ60の検出部を収容する空間を内側に有する。第1実施形態では、中実円筒部41は例えば金属製であり、中空円筒部42は例えば樹脂製である。
【0028】
アクセルペダル50は、ボス51、ロッド52、パッド53、レバー54およびばね係止手段55から構成される。
ボス51は、環状に形成され、シャフト40の外側に相対回転不能に嵌合する。
ロッド52は、ボス51から下方向へ延びるように形成され、延び出した先端にシャフト40の軸心まわりに揺動可能な自由端部を有する。
ロッド52は、支持部材11の下取付部25に当接することでアクセルペダル50のアクセル開方向への回動をアクセル全開位置で規制する全開当接部521を有する。
「アクセル開方向」とは、アクセルペダル50が踏み込まれるときアクセルペダル50が回動する方向である。アクセルペダル50がアクセル開方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル50の回動角は大きくなり、この回動角に対応するアクセル開度も大きくなる。
【0029】
ロッド52の固定端部は、ボス51から後方向へ突き出し、支持部材11の全閉ストッパ18に当接することでアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部522を形成する。
「アクセル閉方向」とは、アクセルペダル50の踏込が解除されるときアクセルペダル50が回動する方向である。アクセルペダル50がアクセル閉方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル50の回動角は小さくなり、この回動角に対応するアクセル開度も小さくなる。
パッド53は、ロッド52の自由端部に固定される。運転者は、パッド53を踏み込んでアクセルペダル50を操作する。
【0030】
レバー54は、ボス51から前方向へ突き出す。このレバー54は、レバー54の先端部が踏力ヒステリシス機構70の第1スライダ71の下面に係合可能に形成され、アクセルペダル50と一体に回転可能にアクセルペダル50に接続する。
ばね係止手段55は、ボス51からロッド52とは反対側の上方向へ突き出す第1レバー部551と、第1レバー部551から後方向へ突き出す第2レバー部552とから成る。第2レバー部552の先端部は、下方向へ突き出すばね係止突起553を形成する。
支持部材11の全閉ストッパ18は、アクセルペダル50の全閉当接部522が当接する当接面とは反対側であってばね係止突起553に対向する位置にばね係止突起19を形成する。
【0031】
回転位置センサ60は、ヨーク61、磁石62、磁石63、ホール素子64、および、図示しない基板等から構成される。ヨーク61は、磁性体からなり、筒状に形成される。このヨーク61は、シャフト40の中空円筒部42の他端部の内壁に固定される。磁石62および63は、ヨーク61の内側でシャフト40の軸心を挟んで対向するように且つ互いに対向する内側の磁極が異なるように配置され、ヨーク61の内壁に固定される。ホール素子64は、磁石62と磁石63との間に配置され、ハウジング部12に固定される前記基板に取り付けられる。
【0032】
電流が流れているホール素子64に磁界を加えると、このホール素子64に電圧が生じる。この現象は、ホール効果と呼ばれる。ホール素子64を貫く磁束密度は、シャフト40と共に磁石62および63がシャフト40の軸心まわりに回動することで変化する。前述のホール素子64に生じる電圧の大きさは、ホール素子64を貫く磁束密度にほぼ比例する。回転位置センサ60は、前述のホール素子64に生じる電圧を検出することにより、ホール素子64と磁石62および63との相対回転角、すなわち支持部材11に対するシャフト40の相対回転角を検出する。回転位置センサ60は、検出した電圧を表す電気信号を電子制御装置へ出力する。
【0033】
踏力ヒステリシス機構70は、第1スライダ71、第2スライダ72、第1スプリング73、74、内側摩擦部材75から構成される。これら踏力ヒステリシス機構70を構成する部材は、ヒス機構ケース27内に収容される。
第1スライダ71は、レバー54の先端部のアクセル開方向側でレバー54に接近および離間可能に設けられるブロック状の本体部711を有する。
また、第1スライダ71は、本体部711の幅方向の一方からヒス機構ケース27のガイド溝33内に突き出すガイド突起712と、本体部711の幅方向の他方からヒス機構ケース27のガイド溝34内に突き出すガイド突起713とを形成する。第1スライダ71は、ガイド突起712、713がガイド溝33、34に沿う方向へ往復直線移動可能である。つまり、第1スライダ71は、レバー54に対し接近および離間する上下方向へ往復直線移動可能に設けられる。第1スライダ71は、アクセルペダル50がアクセル開方向へ回動するときレバー54に押圧されて移動する。
【0034】
また、第1スライダ71は、第2スライダ72側に、第2スライダ72側ほど互いに接近する傾斜面714および傾斜面715を有する。これら傾斜面714および傾斜面715は、断面がV字状の溝を形成する。
第2スライダ72は、第1スライダ71に対しレバー54とは反対側に設けられ、案内部721および突起部722、723からなる。案内部721は、第1スライダ71の移動方向と同じ方向へ往復移動可能にヒス機構ケース27の内壁に案内されるブロック状の部材である。案内部721は、上方向へ突き出すばね係止突起724、725を形成する。
【0035】
突起部722は、第1スライダ71の傾斜面714に沿って第1スライダ71側に突き出す。突起部723は、第1スライダ71の傾斜面715に沿って第1スライダ71側に突き出す。これらの突起部722、723は、第1スライダ71がレバー54に押圧されるとき第1スライダ71の傾斜面714、715に係合することで第1スライダ71の移動方向に直交する方向すなわち幅方向内側へ押圧される。
内側摩擦部材75は、第2スライダ72の突起部722と突起部723との間でヒス機構ケース27のケース本体28と一体に形成される。この内側摩擦部材75は、第1スライダ71がレバー54に押圧されるとき幅方向へ押される突起部722、723によって挟圧される。
【0036】
第1スプリング73は、ヒス機構ケース27の枠部30の上枠が形成するばね係止突起35に一端が係止され、他端が第2スライダ72のばね係止突起724に係止されるコイルスプリングである。第1スプリング74は、ヒス機構ケース27の枠部30の上枠が形成するばね係止突起36に一端が係止され、他端が第2スライダ72のばね係止突起725に係止されるコイルスプリングである。
第1スプリング73、74は、第2スライダ72を第1スライダ71側に付勢することで、第2スライダ72と第1スライダ71とレバー54とを経由してアクセルペダル50をアクセル閉方向へ付勢する。第1スプリング73、74の付勢力は、第2スライダ72の上方向への移動量が大きいほど増大する。
【0037】
第1スライダ71が第2スライダ72側に移動すると、第1スライダ71は第2スライダ72の突起部722、723を上方向へ押圧しつつ互いに接近する方向へ押圧する。この押圧により突起部722、723は、第1スライダ71の移動量が増すほど大きい力で内側摩擦部材75を挟圧する。このとき内側摩擦部材75は、突起部722、723と摩擦係合し、突起部722、723の挟圧力に比例する摩擦力を第2スライダ72に与える。この摩擦力は、第2スライダ72から第1スライダ71を経由してアクセルペダル50に作用するアクセルペダル50の抵抗トルクを生み出す。踏力ヒステリシス機構70は、第1スライダ71の移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する。
【0038】
第2スプリング80は、一端が全閉ストッパ18のばね係止突起19に係止され、他端がばね係止手段55のばね係止突起553に係止される。第2スプリング80は、アクセルペダル50をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング80の付勢力は、アクセルペダル50の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング80の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能である。
【0039】
以下、第2スプリング80が発生する付勢力について詳しく述べる。
先ず、アクセルペダル50が踏み込まれていない場合を考える。図14は、第2スプリングを備えない従来のアクセル装置のアクセルペダルおよびシャフトの模式図である。以下では図14の上を「上」、図14の下を「下」として説明する。図14に示すように、アクセルペダル131には、スプリング135の付勢力F2と、アクセルペダル131の全閉当接部132が全閉ストッパ133から受ける反力Rとが作用する。付勢力F2および反力Rのいずれも下方向へ作用する。またシャフト134には、付勢力F2と反力Rとの合力F4(C)が下方向へ作用する。これによりシャフト134は、図14に矢印F4(C)で示すように下方向へ押され、ハウジング部の軸受孔の内壁面に押し付けられる。
【0040】
これに対し、図5に示すように、第1実施形態では、アクセルペダル50には、第1スプリング73、74の合同付勢力F2と、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rと、第2スプリング80の付勢力F3とが作用する。合同付勢力F2および反力Rは下方向へ作用し、付勢力F3は上方向へ作用する。またシャフト40には、合同付勢力F2と反力Rと付勢力F3との合力F4(A)が作用する。
ここで、付勢力F3の作用方向は、合同付勢力F2および反力Rの作用方向とは反対方向である。このため、付勢力F3は、シャフト40に作用する力を合同付勢力F2と反力Rとの合力よりも小さくする。よって、図5に示す合力F4(A)は、図14に示す合力F4(C)よりも第2スプリング80の付勢力F3の分だけ小さくなる。これにより第1実施形態では、図14に示す従来技術と比較して、シャフト40を軸受孔22、23(図2参照)の内壁面に押し付ける力が小さくなる。
【0041】
続いて、アクセルペダル50が踏み込まれる場合を考える。図15は、第2スプリングを備えない従来のアクセル装置のアクセルペダルおよびシャフトの模式図である。以下では図15の上を「上」、図15の下を「下」として説明する。図15に示すように、アクセルペダル131には、踏力F1と、スプリング135の付勢力F2とが作用する。踏力F1は下後方向へ作用し、付勢力F2は下方向へ作用する。またシャフト134には、踏力F1と付勢力F2との合力F4(D)が作用する。合力F4(D)は略下方向へ作用する。これによりシャフト134は、図15に矢印F4(D)で示すように略下方向へ押され、ハウジング部の軸受孔の内壁面に押し付けられる。
【0042】
これに対し、図6に示すように、第1実施形態では、アクセルペダル50には、踏力F1と、第1スプリング73、74の合同付勢力F2と、第2スプリング80の付勢力F3とが作用する。踏力F1は下後方向へ作用し、合同付勢力F2は下方向へ作用し、付勢力F3は上方向へ作用する。またシャフト40には、踏力F1と合同付勢力F2と付勢力F3との合力F4(B)が作用する。
ここで、付勢力F3の作用方向は、合同付勢力F2の作用方向とは反対方向である。このため、付勢力F3は、シャフト40に作用する力を踏力F1と合同付勢力F2との合力よりも小さくする。よって、図6に示す合力F4(B)は、図15に示す合力F4(D)よりも第2スプリング80の付勢力F3の分だけ小さくなる。これにより第1実施形態では、従来技術と比較して、シャフト40を軸受孔22、23(図2参照)の内壁面に押し付ける力が小さくなる。
【0043】
第2スプリング80は、アクセルペダル50の踏込前後ともに、踏力F1、第1スプリング73、74の合同付勢力F2、及び、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rの合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
【0044】
また、図7に示すように、第2スプリング80は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力F5の作用方向とは反対方向へ支持部材11の全閉ストッパ18を付勢する付勢力F6を発生する。
また、図8に示すように、アクセルペダル50に対する第2スプリング80の付勢力の作用位置は、シャフト40の軸方向において、レバー54に対する第1スプリング73、74の合同付勢力F2の作用位置と略同じである。
【0045】
次に、アクセル装置10の作動について説明する。
アクセルペダル50のパッド53が踏み込まれると、アクセルペダル50は、パッド53に加わる踏力に応じてシャフト40の軸心まわりにアクセル開方向へ回動する。このとき、シャフト40が回動するには、第2スプリング80からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、第1スプリング73、74から第1スライダ71等を経由してアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの和よりも大きいトルクを生み出す踏力が必要となる。
【0046】
内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50が踏み込まれるときにはアクセルペダル50のアクセル開方向への回動を抑制するように作用する。その結果、図9に実線L1で示すようにアクセルペダル50の踏み込み時の踏力F1[N]と回動角θ[°]との関係は、後述の踏込を解除するときの一点鎖線L3と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F1が大きくなる。
図9に示す破線L0は、第2スプリング80からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、第1スプリング73、74から第1スライダ71等を経由してアクセルペダル50に作用する付勢力との和よりも大きいトルクを生み出す踏力F1と回動角θとの関係を表す。
【0047】
続いて、アクセルペダル50の踏込を維持するには、第2スプリング80および第1スプリング73、74からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの差よりも大きいトルクを生み出す踏力を加えればよい。すなわち、運転者は、アクセルペダル50を所望の位置まで踏み込んだ後、アクセルペダル50の踏込を維持しようとする場合、踏力をいくらか緩めてもよい。
【0048】
例えば、図9に二点差線L2で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル50の踏込を維持しようとする場合、踏力F1(1)から踏力F1(2)まで緩めてもよい。これによりアクセルペダル50の踏込を維持することが容易となる。内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50の踏み込みを維持するときにはアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。
【0049】
続いて、アクセルペダル50の踏込をアクセル全閉位置側に戻すには、第2スプリング80および第1スプリング73、74からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの差よりも小さいトルクを生み出す踏力を加えることになる。ここで、アクセルペダル50を素早くアクセル全閉位置に戻す場合はアクセルペダル50の踏込を止めればよく、運転者に負担はかからない。これに対し、アクセルペダル50の踏込を徐々に戻す場合は所定の踏力を加え続けることが必要となる。第1実施形態のアクセル装置10は、踏込を徐々に戻すときに必要な踏力が比較的小さい値となる。
【0050】
例えば、図9に一点鎖線L3で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル50の踏込を徐々に戻そうとする場合、踏力F1(1)と比べて小さい踏力F1(2)から0までの間で調整すればよい。そのため、アクセルペダル50の踏込を戻すときに運転者にかかる負担が少ない。内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50の踏込を戻すときにはアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。その結果、アクセルペダル50の踏み戻し時における踏力F1と回動角θとの関係は、図9に一点鎖線L3で示すように、踏み込み時の実線L1と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F1が小さくなる。
【0051】
ここで、例えば第1スライダ71とヒス機構ケース27との間や第2スライダ72とヒス機構ケースとの間、もしくは内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との間などに異物が噛み込む、あるいは、環境変化などにより内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力が増加する等によって、第1スライダ71または第2スライダ72が移動不能になる場合を考える。このような場合には、第1スプリング73、74の付勢力はアクセルペダル50に作用しなくなる。しかし、第2スプリング80の付勢力はアクセルペダル50に作用する。アクセルペダル50は、第2スプリング80の付勢力でアクセル全閉位置まで戻ることが可能である。このときの踏力F1と回動角θとの関係は、図9に長破線L4で示すようになる。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態のアクセル装置10では、支持部材11とアクセルペダル50との間に第2スプリング80が設けられる。第2スプリング80の一端は支持部材11の全閉ストッパ18のばね係止突起19に係止され、第2スプリング80の他端はアクセルペダル50のばね係止手段55のばね係止突起19に係止される。この第2スプリング80は、レバー54が第1スライダ71から離間するアクセル閉方向へアクセルペダル50を付勢する。また第2スプリング80は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する。
【0053】
このように構成されるアクセル装置10では、例えば環境変化などにより内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力が増加する、或いは内側摩擦部材75と第2スライダ72との間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル50に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング80の付勢力はアクセルペダル50に作用する。このため、アクセルペダル50の踏込み解除時に第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル50がアクセル全閉位置に復帰可能である。このため、アクセルペダルの踏込み解除時にアイドル状態に至らない可能性を排除することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング80を変更することで踏力特性を調整することができる。言い換えれば、第2スプリング80を変更することによって、アクセルペダル50のロッド52の長さが違う機種同士の踏力特性を同等にすることが可能である。例えば、図10の左側に示す踏力特性を有するアクセル装置10に対し、アクセルペダルのロッドが長くなるアクセル装置(以下、変更アクセル装置と記載する)のことを考える。変更アクセル装置の第2スプリング80を変更しない場合、図10の右側に点線で示すように変更アクセル装置の踏力特性は、アクセル装置10の踏力特性と比べ踏力F1が全体的に小さい特性となる。これに対し、変更アクセル装置の第2スプリング80を付勢力の強いものに変更すると、図10の右側に実線、一点鎖線および二点差線で示すように変更アクセル装置の踏力特性を調整することができる。
【0055】
これによれば、ヒス機構ケース27内に収められてモジュール化された踏力ヒステリシス機構70に含まれる第1スプリング73、74を変更することなしに、第2スプリング80を変更することで踏力特性を調整することができる。そのため、踏力ヒステリシス機構70を他機種に汎用することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、第2スプリング80は、アクセルペダル50の踏込前後ともに、踏力F1、第1スプリング73、74の合同付勢力F2、及び、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rの合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
これによれば、第2スプリング80が設けられない場合と比べて、アクセルペダル50の踏込前後ともにシャフト40を支持部材11の軸受孔22、23の内壁面に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフト40と支持部材11との摩耗を抑制することができる。また、持続的に作用する応力に起因して時間経過とともに歪みが増大するクリープ現象によってシャフト40および支持部材11が変形することを抑制可能である。
【0057】
また、第1実施形態では、第2スプリング80は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力の作用方向とは反対方向へ全閉ストッパ18を付勢する。
これによれば、第2スプリング80の全閉ストッパ18への付勢力は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力を相殺する。そのため、支持部材11の全閉ストッパ18を低剛性にすることができるので、支持部材11を小さくしてアクセル装置10の体格を小さくすることができる。
【0058】
また、第1実施形態では、アクセルペダル50に対する第2スプリング80の付勢力の作用位置は、シャフト40の軸方向において、レバー54に対する第1スプリング73、74の合同付勢力F2の作用位置と略同じである。そのため、シャフト40に作用する力が軸方向で偏らず、支持部材11は、シャフト40を安定して保持することができる。
【0059】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例の踏力ヒステリシス機構90を図11に示す。この変形例では、第1スライダ91および第2スライダ92の形状が第1実施形態と異なる。また、第1実施形態の内側摩擦部材75に代えて、2つの外側摩擦部材93、94が設けられる。
第1スライダ91は、第2スライダ92側に、第2スライダ92側ほど互いに接近する傾斜面911および傾斜面912を有する。
【0060】
第2スライダ92は、第1スライダ91の傾斜面911に沿って案内部921から第1スライダ91側に突き出す突起部922と、第1スライダ91の傾斜面912に沿って案内部921から第1スライダ91側に突き出す突起部923とを形成する。これらの突起部922、923は、第1スライダ91がレバーに押圧されるとき第1スライダ91の傾斜面911、912に係合することで第1スライダ91の移動方向に直交する方向すなわち幅方向外側へ押圧される。
【0061】
外側摩擦部材93は、第2スライダ92の突起部922とケース本体28との間でケース本体28に一体に形成される。外側摩擦部材94は、第2スライダ92の突起部923とケース本体28との間でケース本体28に一体に形成される。これらの外側摩擦部材93、94は、第1スライダ91がレバーに押圧されるとき幅方向外側へ押される突起部922、923と摩擦係合し、第1スライダ91の移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する。
第1実施形態の変形例では、上述以外の構成は第1実施形態と同様である。このような実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態のアクセル装置を図12に示す。第2実施形態では、アクセルペダル100のばね係止手段105の形状および位置、第2スプリング106の位置が第1実施形態と異なる。
図12に示すように、ばね係止手段105は、アクセルペダル100のロッド102のうちボス101の近傍に形成される突起からなる。第2スプリング106は、支持部材107に形成されるばね係止手段105に一端が係止され、他端がアクセルペダル100のばね係止手段105に係止される。
【0063】
第2スプリング106は、アクセルペダル100をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング106の付勢力は、アクセルペダル100の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング106の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル100をアクセル全閉位置に回動可能である。
第2スプリング106の付勢力は、踏力F1とは反対方向へ作用する。第2スプリング106は、アクセルペダル100が踏み込まれているとき踏力F1および第1スプリング73、74の合同付勢力F2の合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
【0064】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル100に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング106の付勢力はアクセルペダル100に作用する。このとき第2スプリング106は、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル100をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング106を変更することで踏力特性を調整することができる。
第2実施形態では、第2スプリング106が設けられない場合と比べて、アクセルペダル100の踏込時にシャフト40を支持部材107の軸受孔の内壁面に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフト40と支持部材107との摩耗を抑制することができる。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態のアクセル装置を図13に示す。第3実施形態では、アクセルペダル110のばね係止手段114の形状および位置、第2スプリング116の位置が第1実施形態と異なる。
図13に示すように、ばね係止手段114は、アクセルペダル110のボス111から上方向へ突き出して形成される。ばね係止手段114の先端には、ばね係止突起115が形成される。
第2スプリング116は、支持部材117に形成されるばね係止突起115に一端が係止され、他端がばね係止突起115に係止される。
【0066】
第2スプリング116は、アクセルペダル110をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング116の付勢力は、アクセルペダル110の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング116の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル110をアクセル全閉位置に回動可能である。
【0067】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル110に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング116の付勢力はアクセルペダル110に作用する。このとき第2スプリング116は、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル110をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング116を変更することで踏力特性を調整することができる。
【0068】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、例えばアクセルペダルが支持部材の全閉ストッパに当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置までの間を、ペダル踏込を検出しない不感帯としてもよい。そして、アクセルペダルが全閉ストッパに当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置を、アクセル全閉位置に設定してもよい。
【0069】
また、本発明の他の実施形態では、第1スプリングおよび第2スプリングは、たとえば板ばね等の他の付勢手段から構成されてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は周方向でどこに位置していてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第2スプリングは周方向でどこに設けられていてもよい。
【0070】
また、本発明の他の実施形態では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は、シャフトの軸方向において、レバーに対する第1スプリングの合同付勢力の作用位置と同じでなくてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、回転位置センサは、必ずしも磁石およびホール素子を用いる必要はない。シャフトの回動位置を検出可能であれば、他の公知の回転位置センサを用いてもよい。
【0071】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 ・・・アクセル装置
11 ・・・支持部材
40 ・・・シャフト
50 ・・・アクセルペダル
54 ・・・レバー
71 ・・・第1スライダ
714,715・・・傾斜面
72 ・・・第2スライダ
721・・・案内部
722,723・・・突起部
73,74・・・第1スプリング
75 ・・・内側摩擦部材(摩擦部材)
80,106,116・・・第2スプリング
93,94・・・外側摩擦部材(摩擦部材)
120・・・内壁(車体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるエンジンが吸入する空気の量は、吸入する空気の通路に設けられるスロットルバルブにより調整される。スロットルバルブは、アクセルペダルの踏込量に応じて作動する。アクセルペダルを備えるアクセル装置は、スロットルバルブのバルブ開度を決定するため運転者が操作する入力装置である。アクセルペダルは、車体に固定される支持部材により回動可能に支持され、例えばスプリング等の付勢手段によりアクセル全閉位置に向けて付勢される。
【0003】
アクセル装置には、大きく分けて機械式と電子式とがある。機械式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込操作力すなわち踏力を例えばワイヤー等によりスロットルバルブに伝達する。これに対して電子式のアクセル装置は、アクセルペダルの踏込量をセンサにより検出し、その踏込量に関する情報を電気信号として電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づきスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0004】
ところで、アクセルペダルの踏込を解除するときの踏力がアクセルペダルを踏み込むときの踏力よりも小さい所謂踏力ヒステリシス特性をもつアクセル装置が知られている。このアクセル装置では、アクセルペダルの踏込を所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏込を戻すときに踏力が小さくて済む。そのためアクセルペダルを操作する運転者の労力が減る。
【0005】
例えば特許文献1のアクセル装置は、アイドル状態からアクセル開方向へ回動するアクセルペダルにより押される第1スライダ(アクチュエータ)を備えている。第1スライダは、スプリングにより第2スライダ(ブレーキシュー)を経由してアクセルペダル側に付勢される。第1スライダは、第2スライダ側ほど互いに離間する一対の傾斜面を有する。
第2スライダは、第1スライダに接近および離間可能に設けられ、一対の傾斜面の間に突き出す一対の突起部を形成する。一対の突起部の間には摩擦部材が設けられている。一対の突起部は、アクセルペダルに押されて第1スライダが移動するとき第1スライダの傾斜面に挟圧され、摩擦部材に押し付けられる。このときの突起部と摩擦部材との摩擦力は、アクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−158992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1のアクセル装置では、第2スライダの突起部と摩擦部材との間、第2スライダの突起部と第1スライダの傾斜面との間、もしくは第1スライダや第2スライダとそれらを支持する支持部材との間などに異物が噛み込む、又は、環境変化に起因して突起部と摩擦部材との間の摩擦力が増加することによって、第1スライダまたは第2スライダの動作が鈍くなるおそれがある。このため、アクセルペダルの踏込み解除時にアイドル状態に至らない可能性がある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクセルペダルの踏込み解除時に第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能なアクセル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によるアクセル装置は、支持部材、シャフト、アクセルペダル、レバー、第1スライダ、第2スライダ、摩擦部材、第1スプリングおよび第2スプリングを備える。車体に取り付け可能な支持部材は、シャフトを回転可能に支持する。シャフトには、踏込量に応じてシャフトを回動可能にアクセルペダルが連結される。アクセルペダルには、アクセルペダルと一体に回転可能にレバーが接続される。レバーに対しアクセル開方向側には、レバーに接近および離間可能に支持部材に案内される第1スライダが設けられる。この第1スライダは、支持部材の案内方向に対し傾斜する傾斜面を有し、アクセルペダルがアクセル開方向へ移動するときレバーに押圧される。
【0010】
第1スライダに対しレバーとは反対側には、案内部および突起部からなる第2スライダが設けられる。案内部は、第1スライダの移動方向と同じ方向へ往復移動可能に支持部材に案内される。突起部は、傾斜面に沿って第1スライダ側に突き出す。この突起部は、第1スライダがレバーに押圧されるとき傾斜面に係合することで第1スライダの移動方向に直交する方向へ押される。
摩擦部材は、支持部材に一体に形成され、第2スライダの突起部が第1スライダの移動方向に直交する方向へ押されるとき突起部に摩擦係合する。このとき発生する摩擦力は、第1スライダの移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する。
【0011】
支持部材と第2スライダとの間には、第1スプリングが設けられる。第1スプリングの一端は支持部材に係止され、他端は第2スライダに係止される。この第1スプリングは、第2スライダと第1スライダとレバーとを経由してアクセルペダルをアクセル閉方向へ付勢する。
支持部材とアクセルペダルとの間には、第2スプリングが設けられる。第2スプリングの一端は支持部材に係止され、他端はアクセルペダルに係止される。この第2スプリングは、レバーが第1スライダから離間するアクセル閉方向へアクセルペダルを付勢する。また第2スプリングは、第1スライダの位置に依存することなしにアクセルペダルをアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する。
【0012】
このように構成されるアクセル装置では、摩擦部材と第2スライダの突起部との間で生じる摩擦力は、アクセルペダルの抵抗トルクとなり、アクセルペダルの踏込を解除するときアクセルペダルの回動角に対応するアクセル開度を維持するように作用する。これにより、アクセルペダルの踏込を所望の位置で維持するときやアクセルペダルの踏込を徐々に戻すとき等に踏力が小さくて済む。そのため、アクセルペダルを操作する運転者の労力が減る。
【0013】
また、環境変化などにより摩擦部材と第2スライダの突起部との摩擦力が増加する、或いは摩擦部材と第2スライダとの間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダまたは第2スライダが固着し、第1スプリングの付勢力がアクセルペダルに作用しなくなる場合であっても、第2スプリングの付勢力はアクセルペダルに作用する。このとき、第2スプリングは、第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルをアクセル全閉位置に戻すことができる。そのため、アクセルペダルの踏込み解除時に第1スライダの位置に拘わらずアクセルペダルがアクセル全閉位置に復帰可能である。
【0014】
また、第1スプリングを変更することなしに第2スプリングを変更することで踏力特性を変化させることができる。言い換えれば、第2スプリングを変更することによって、アクセルペダルのロッドの長さが違う機種同士の踏力特性を同等にすることが可能である。特に、第1スプリングが複数設けられる場合、それら複数の第1スプリングを変更することなしに第2スプリングを変更することによって踏力特性を調整可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明では、第2スプリングは、アクセルペダルに作用する踏力とレバーに作用する第1スプリングの付勢力との合力よりもシャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。請求項3に記載の発明では、第2スプリングは、アクセルペダルに作用する踏力の作用方向、又は、レバーに作用する第1スプリングの付勢力の作用方向とは反対方向へアクセルペダルを付勢する。
この構成では、第2スプリングが設けられない場合と比べて、アクセルペダルに踏力が作用するときシャフトを支持部材に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフトと支持部材との摩耗を抑制することができる。また、持続的に作用する応力に起因して時間経過とともに歪みが増大するクリープと呼ばれる現象によってシャフトおよび支持部材が変形することを抑制可能である。
【0016】
請求項4に記載の発明では、アクセルペダルは、支持部材に当接することでアクセルペダルのアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部を一体に形成する。また、第2スプリングは、レバーに作用する第1スプリングの付勢力とアクセルペダルの全閉当接部が支持部材から受ける反力との合力よりもシャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。請求項5に記載の発明では、第2スプリングは、レバーに作用する第1スプリングの付勢力の作用方向、又は、アクセルペダルの全閉当接部が支持部材から受ける反力の作用方向とは反対方向へアクセルペダルを付勢する。
この構成では、第2スプリングが設けられない場合と比べて、アクセルペダルに踏力が作用していないときシャフトを支持部材に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフトと支持部材との摩耗を抑制することができる。またクリープ現象によってシャフトおよび支持部材が変形することを抑制可能である。
【0017】
請求項6に記載の発明では、支持部材は、アクセルペダルの全閉当接部に当接可能な全閉ストッパを形成する。第2スプリングの一端は、支持部材の全閉ストッパのうち全閉当接部が当接する当接面とは反対側に係止される。第2スプリングは、支持部材の全閉ストッパに作用するアクセルペダルの押圧力の作用方向とは反対方向へ全閉ストッパを付勢する。
この構成では、第2スプリングの全閉ストッパへの付勢力は、支持部材の全閉ストッパに作用するアクセルペダルの押圧力を相殺する。そのため、支持部材の全閉ストッパを低剛性にすることができるので、支持部材を小さくしてアクセル装置の体格を小さくすることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は、シャフトの軸方向においてレバーに対する第1スプリングの付勢力の作用位置と略同じである。そのため、シャフトに作用する力が軸方向で偏らず、支持部材は、シャフトを安定して保持することができる。
【0019】
本明細書において、「アクセル全閉位置」とは、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれていないとアクセル装置または電子制御装置が判断するペダル回動位置である。「アクセル全閉位置」は、アクセルペダルがストッパに当接するペダル回動位置に設定される場合や、アクセルペダルがストッパに当接する位置からアクセル開方向へ所定角度回動したペダル回動位置に設定される場合がある。すなわち、「アクセル全閉位置」は、制御上のアクセル全閉位置である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態のアクセル装置を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のアクセル装置をIII矢印方向から見た図である。
【図4】図2の踏力ヒステリシス機構およびヒス機構ケースのIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれているとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、支持部材の全閉ストッパに作用する力を示す模式図である。
【図8】図5のVIII矢印方向から見た模式図である。
【図9】図1のアクセル装置におけるアクセルペダルの踏力と回動角との関係を示す図である。
【図10】図1のアクセル装置とそれに対しアクセルペダルのロッドの長さが長いアクセル装置との踏力特性を比較する図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例による踏力ヒステリシス機構を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるアクセル装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるアクセル装置を示す断面図である。
【図14】第2スプリングを備えない従来のアクセル装置にてアクセルペダルが踏み込まれていないとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【図15】第2スプリングを備えない従来のアクセル装置にてアクセルペダルが踏み込まれているとき、アクセルペダルおよびシャフトに作用する力を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるアクセル装置を図1〜図4に示す。アクセル装置10は、図示しない車両用エンジンの吸入空気量を調整する図示しないスロットルバルブのバルブ開度を決定するため車両の運転者が操作する入力装置である。このアクセル装置10は、電子式を採用する。電子式のアクセル装置10は、アクセルペダル50の踏込量に関する情報を電気信号として図示しない電子制御装置に伝達する。電子制御装置は、前記踏込量に関する情報や他の情報に基づいて図示しないスロットルアクチュエータによりスロットルバルブを駆動する。
【0022】
アクセル装置10は、支持部材11、シャフト40、アクセルペダル50、回転位置センサ60、踏力ヒステリシス機構70および第2スプリング80等を備えている。図1〜図3のアクセル装置10は、図示しない車体に取り付ける位置関係で示す。以下では、図1〜図3の上を「上」、図1〜図3の下を「下」、図1の左方向を前方向、図1の右方向を後方向、図2の左右方向を幅方向として説明する。
【0023】
支持部材11は、ハウジング部12、上取付部24、下取付部25およびヒス機構ケース27から構成される。
ハウジング部12は、幅方向で対向し且つ互いに平行な第1軸支持部13および第2軸支持部14と、第1軸支持部13と第2軸支持部14とを接続する上部15、下部16および後部17とから成る。
後部17と下部16との接続部は、アクセル全閉位置まで回動したアクセルペダル50が当接可能な全閉ストッパ18を形成する。アクセル全閉位置は、運転者によるアクセルペダル50の踏込度合い即ちアクセル開度が0[%]となるように設定されるペダル回動位置である。このアクセル全閉位置は、運転者によりアクセルペダル50が踏み込まれていないことをアクセル装置または電子制御装置が判断するペダル回動位置である。
【0024】
上取付部24は、上部15から上方向へ延びるように形成される。下取付部25は、下部16から下方向へ延びるように形成される。これら上取付部24および下取付部25は、図1に示すように車両の車室を区画形成する内壁120に取付可能である。
下取付部25は、アクセル全開位置まで回動したアクセルペダル50が当接可能な全開ストッパとして機能する。アクセル全開位置は、運転者によるアクセルペダル50の踏込度合い即ちアクセル開度が100[%]となるように設定されるペダル回動位置である。
【0025】
ヒス機構ケース27は、ハウジング部12の前側の開口内に嵌合し、踏力ヒステリシス機構70を収容する。ヒス機構ケース27は、ハウジング部12の蓋としても機能する。
ヒス機構ケース27は、ケース本体28およびケースカバー37から構成される。ケース本体28は、平板状の底部29と、底部29の周縁から後方向へ延びる枠部30と、枠部30から上方向へ突き出してハウジング部12の内壁の上係止穴20に嵌合する上爪31と、枠部30から下方向へ突き出してハウジング部12の内壁の下係止穴21に嵌合する下爪32とから成る。
【0026】
枠部30は、幅方向の両方の位置で上下方向に延び且つ下側が開口するガイド溝33、34を有する。これらガイド溝33、34は、後述の第1スライダ71を往復直線移動可能に案内する。
ケースカバー37は、ケース本体28のうち底部29とは反対側を塞ぐ蓋である。このケースカバー37は、踏力ヒステリシス機構70をケース本体28に組み付けた後に取り付けられる。
【0027】
シャフト40は、幅方向に長手状をなす中実円筒部41と、この中実円筒部41の外側に嵌合する中空円筒部42とからなる。
中空円筒部42は、支持部材11の第1軸支持部13と第2軸支持部14とにより回動可能に支持される。中空円筒部42の一端部は、第1軸支持部13が有する軸受孔22に嵌合する。中空円筒部42の他端部は、一端部と比べて大径に形成され、第2軸支持部14が有する軸受孔23に嵌合する。中空円筒部42の他端部は、回転位置センサ60の検出部を収容する空間を内側に有する。第1実施形態では、中実円筒部41は例えば金属製であり、中空円筒部42は例えば樹脂製である。
【0028】
アクセルペダル50は、ボス51、ロッド52、パッド53、レバー54およびばね係止手段55から構成される。
ボス51は、環状に形成され、シャフト40の外側に相対回転不能に嵌合する。
ロッド52は、ボス51から下方向へ延びるように形成され、延び出した先端にシャフト40の軸心まわりに揺動可能な自由端部を有する。
ロッド52は、支持部材11の下取付部25に当接することでアクセルペダル50のアクセル開方向への回動をアクセル全開位置で規制する全開当接部521を有する。
「アクセル開方向」とは、アクセルペダル50が踏み込まれるときアクセルペダル50が回動する方向である。アクセルペダル50がアクセル開方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル50の回動角は大きくなり、この回動角に対応するアクセル開度も大きくなる。
【0029】
ロッド52の固定端部は、ボス51から後方向へ突き出し、支持部材11の全閉ストッパ18に当接することでアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部522を形成する。
「アクセル閉方向」とは、アクセルペダル50の踏込が解除されるときアクセルペダル50が回動する方向である。アクセルペダル50がアクセル閉方向へ回動するとき、アクセル全閉位置を基点とするアクセルペダル50の回動角は小さくなり、この回動角に対応するアクセル開度も小さくなる。
パッド53は、ロッド52の自由端部に固定される。運転者は、パッド53を踏み込んでアクセルペダル50を操作する。
【0030】
レバー54は、ボス51から前方向へ突き出す。このレバー54は、レバー54の先端部が踏力ヒステリシス機構70の第1スライダ71の下面に係合可能に形成され、アクセルペダル50と一体に回転可能にアクセルペダル50に接続する。
ばね係止手段55は、ボス51からロッド52とは反対側の上方向へ突き出す第1レバー部551と、第1レバー部551から後方向へ突き出す第2レバー部552とから成る。第2レバー部552の先端部は、下方向へ突き出すばね係止突起553を形成する。
支持部材11の全閉ストッパ18は、アクセルペダル50の全閉当接部522が当接する当接面とは反対側であってばね係止突起553に対向する位置にばね係止突起19を形成する。
【0031】
回転位置センサ60は、ヨーク61、磁石62、磁石63、ホール素子64、および、図示しない基板等から構成される。ヨーク61は、磁性体からなり、筒状に形成される。このヨーク61は、シャフト40の中空円筒部42の他端部の内壁に固定される。磁石62および63は、ヨーク61の内側でシャフト40の軸心を挟んで対向するように且つ互いに対向する内側の磁極が異なるように配置され、ヨーク61の内壁に固定される。ホール素子64は、磁石62と磁石63との間に配置され、ハウジング部12に固定される前記基板に取り付けられる。
【0032】
電流が流れているホール素子64に磁界を加えると、このホール素子64に電圧が生じる。この現象は、ホール効果と呼ばれる。ホール素子64を貫く磁束密度は、シャフト40と共に磁石62および63がシャフト40の軸心まわりに回動することで変化する。前述のホール素子64に生じる電圧の大きさは、ホール素子64を貫く磁束密度にほぼ比例する。回転位置センサ60は、前述のホール素子64に生じる電圧を検出することにより、ホール素子64と磁石62および63との相対回転角、すなわち支持部材11に対するシャフト40の相対回転角を検出する。回転位置センサ60は、検出した電圧を表す電気信号を電子制御装置へ出力する。
【0033】
踏力ヒステリシス機構70は、第1スライダ71、第2スライダ72、第1スプリング73、74、内側摩擦部材75から構成される。これら踏力ヒステリシス機構70を構成する部材は、ヒス機構ケース27内に収容される。
第1スライダ71は、レバー54の先端部のアクセル開方向側でレバー54に接近および離間可能に設けられるブロック状の本体部711を有する。
また、第1スライダ71は、本体部711の幅方向の一方からヒス機構ケース27のガイド溝33内に突き出すガイド突起712と、本体部711の幅方向の他方からヒス機構ケース27のガイド溝34内に突き出すガイド突起713とを形成する。第1スライダ71は、ガイド突起712、713がガイド溝33、34に沿う方向へ往復直線移動可能である。つまり、第1スライダ71は、レバー54に対し接近および離間する上下方向へ往復直線移動可能に設けられる。第1スライダ71は、アクセルペダル50がアクセル開方向へ回動するときレバー54に押圧されて移動する。
【0034】
また、第1スライダ71は、第2スライダ72側に、第2スライダ72側ほど互いに接近する傾斜面714および傾斜面715を有する。これら傾斜面714および傾斜面715は、断面がV字状の溝を形成する。
第2スライダ72は、第1スライダ71に対しレバー54とは反対側に設けられ、案内部721および突起部722、723からなる。案内部721は、第1スライダ71の移動方向と同じ方向へ往復移動可能にヒス機構ケース27の内壁に案内されるブロック状の部材である。案内部721は、上方向へ突き出すばね係止突起724、725を形成する。
【0035】
突起部722は、第1スライダ71の傾斜面714に沿って第1スライダ71側に突き出す。突起部723は、第1スライダ71の傾斜面715に沿って第1スライダ71側に突き出す。これらの突起部722、723は、第1スライダ71がレバー54に押圧されるとき第1スライダ71の傾斜面714、715に係合することで第1スライダ71の移動方向に直交する方向すなわち幅方向内側へ押圧される。
内側摩擦部材75は、第2スライダ72の突起部722と突起部723との間でヒス機構ケース27のケース本体28と一体に形成される。この内側摩擦部材75は、第1スライダ71がレバー54に押圧されるとき幅方向へ押される突起部722、723によって挟圧される。
【0036】
第1スプリング73は、ヒス機構ケース27の枠部30の上枠が形成するばね係止突起35に一端が係止され、他端が第2スライダ72のばね係止突起724に係止されるコイルスプリングである。第1スプリング74は、ヒス機構ケース27の枠部30の上枠が形成するばね係止突起36に一端が係止され、他端が第2スライダ72のばね係止突起725に係止されるコイルスプリングである。
第1スプリング73、74は、第2スライダ72を第1スライダ71側に付勢することで、第2スライダ72と第1スライダ71とレバー54とを経由してアクセルペダル50をアクセル閉方向へ付勢する。第1スプリング73、74の付勢力は、第2スライダ72の上方向への移動量が大きいほど増大する。
【0037】
第1スライダ71が第2スライダ72側に移動すると、第1スライダ71は第2スライダ72の突起部722、723を上方向へ押圧しつつ互いに接近する方向へ押圧する。この押圧により突起部722、723は、第1スライダ71の移動量が増すほど大きい力で内側摩擦部材75を挟圧する。このとき内側摩擦部材75は、突起部722、723と摩擦係合し、突起部722、723の挟圧力に比例する摩擦力を第2スライダ72に与える。この摩擦力は、第2スライダ72から第1スライダ71を経由してアクセルペダル50に作用するアクセルペダル50の抵抗トルクを生み出す。踏力ヒステリシス機構70は、第1スライダ71の移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する。
【0038】
第2スプリング80は、一端が全閉ストッパ18のばね係止突起19に係止され、他端がばね係止手段55のばね係止突起553に係止される。第2スプリング80は、アクセルペダル50をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング80の付勢力は、アクセルペダル50の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング80の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能である。
【0039】
以下、第2スプリング80が発生する付勢力について詳しく述べる。
先ず、アクセルペダル50が踏み込まれていない場合を考える。図14は、第2スプリングを備えない従来のアクセル装置のアクセルペダルおよびシャフトの模式図である。以下では図14の上を「上」、図14の下を「下」として説明する。図14に示すように、アクセルペダル131には、スプリング135の付勢力F2と、アクセルペダル131の全閉当接部132が全閉ストッパ133から受ける反力Rとが作用する。付勢力F2および反力Rのいずれも下方向へ作用する。またシャフト134には、付勢力F2と反力Rとの合力F4(C)が下方向へ作用する。これによりシャフト134は、図14に矢印F4(C)で示すように下方向へ押され、ハウジング部の軸受孔の内壁面に押し付けられる。
【0040】
これに対し、図5に示すように、第1実施形態では、アクセルペダル50には、第1スプリング73、74の合同付勢力F2と、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rと、第2スプリング80の付勢力F3とが作用する。合同付勢力F2および反力Rは下方向へ作用し、付勢力F3は上方向へ作用する。またシャフト40には、合同付勢力F2と反力Rと付勢力F3との合力F4(A)が作用する。
ここで、付勢力F3の作用方向は、合同付勢力F2および反力Rの作用方向とは反対方向である。このため、付勢力F3は、シャフト40に作用する力を合同付勢力F2と反力Rとの合力よりも小さくする。よって、図5に示す合力F4(A)は、図14に示す合力F4(C)よりも第2スプリング80の付勢力F3の分だけ小さくなる。これにより第1実施形態では、図14に示す従来技術と比較して、シャフト40を軸受孔22、23(図2参照)の内壁面に押し付ける力が小さくなる。
【0041】
続いて、アクセルペダル50が踏み込まれる場合を考える。図15は、第2スプリングを備えない従来のアクセル装置のアクセルペダルおよびシャフトの模式図である。以下では図15の上を「上」、図15の下を「下」として説明する。図15に示すように、アクセルペダル131には、踏力F1と、スプリング135の付勢力F2とが作用する。踏力F1は下後方向へ作用し、付勢力F2は下方向へ作用する。またシャフト134には、踏力F1と付勢力F2との合力F4(D)が作用する。合力F4(D)は略下方向へ作用する。これによりシャフト134は、図15に矢印F4(D)で示すように略下方向へ押され、ハウジング部の軸受孔の内壁面に押し付けられる。
【0042】
これに対し、図6に示すように、第1実施形態では、アクセルペダル50には、踏力F1と、第1スプリング73、74の合同付勢力F2と、第2スプリング80の付勢力F3とが作用する。踏力F1は下後方向へ作用し、合同付勢力F2は下方向へ作用し、付勢力F3は上方向へ作用する。またシャフト40には、踏力F1と合同付勢力F2と付勢力F3との合力F4(B)が作用する。
ここで、付勢力F3の作用方向は、合同付勢力F2の作用方向とは反対方向である。このため、付勢力F3は、シャフト40に作用する力を踏力F1と合同付勢力F2との合力よりも小さくする。よって、図6に示す合力F4(B)は、図15に示す合力F4(D)よりも第2スプリング80の付勢力F3の分だけ小さくなる。これにより第1実施形態では、従来技術と比較して、シャフト40を軸受孔22、23(図2参照)の内壁面に押し付ける力が小さくなる。
【0043】
第2スプリング80は、アクセルペダル50の踏込前後ともに、踏力F1、第1スプリング73、74の合同付勢力F2、及び、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rの合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
【0044】
また、図7に示すように、第2スプリング80は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力F5の作用方向とは反対方向へ支持部材11の全閉ストッパ18を付勢する付勢力F6を発生する。
また、図8に示すように、アクセルペダル50に対する第2スプリング80の付勢力の作用位置は、シャフト40の軸方向において、レバー54に対する第1スプリング73、74の合同付勢力F2の作用位置と略同じである。
【0045】
次に、アクセル装置10の作動について説明する。
アクセルペダル50のパッド53が踏み込まれると、アクセルペダル50は、パッド53に加わる踏力に応じてシャフト40の軸心まわりにアクセル開方向へ回動する。このとき、シャフト40が回動するには、第2スプリング80からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、第1スプリング73、74から第1スライダ71等を経由してアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの和よりも大きいトルクを生み出す踏力が必要となる。
【0046】
内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50が踏み込まれるときにはアクセルペダル50のアクセル開方向への回動を抑制するように作用する。その結果、図9に実線L1で示すようにアクセルペダル50の踏み込み時の踏力F1[N]と回動角θ[°]との関係は、後述の踏込を解除するときの一点鎖線L3と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F1が大きくなる。
図9に示す破線L0は、第2スプリング80からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、第1スプリング73、74から第1スライダ71等を経由してアクセルペダル50に作用する付勢力との和よりも大きいトルクを生み出す踏力F1と回動角θとの関係を表す。
【0047】
続いて、アクセルペダル50の踏込を維持するには、第2スプリング80および第1スプリング73、74からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの差よりも大きいトルクを生み出す踏力を加えればよい。すなわち、運転者は、アクセルペダル50を所望の位置まで踏み込んだ後、アクセルペダル50の踏込を維持しようとする場合、踏力をいくらか緩めてもよい。
【0048】
例えば、図9に二点差線L2で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル50の踏込を維持しようとする場合、踏力F1(1)から踏力F1(2)まで緩めてもよい。これによりアクセルペダル50の踏込を維持することが容易となる。内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50の踏み込みを維持するときにはアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。
【0049】
続いて、アクセルペダル50の踏込をアクセル全閉位置側に戻すには、第2スプリング80および第1スプリング73、74からアクセルペダル50に作用する付勢力によるトルクと、内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクとの差よりも小さいトルクを生み出す踏力を加えることになる。ここで、アクセルペダル50を素早くアクセル全閉位置に戻す場合はアクセルペダル50の踏込を止めればよく、運転者に負担はかからない。これに対し、アクセルペダル50の踏込を徐々に戻す場合は所定の踏力を加え続けることが必要となる。第1実施形態のアクセル装置10は、踏込を徐々に戻すときに必要な踏力が比較的小さい値となる。
【0050】
例えば、図9に一点鎖線L3で示すように、回動角θ1まで踏み込んだアクセルペダル50の踏込を徐々に戻そうとする場合、踏力F1(1)と比べて小さい踏力F1(2)から0までの間で調整すればよい。そのため、アクセルペダル50の踏込を戻すときに運転者にかかる負担が少ない。内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力による抵抗トルクは、アクセルペダル50の踏込を戻すときにはアクセルペダル50のアクセル閉方向への回動を抑制するように作用する。その結果、アクセルペダル50の踏み戻し時における踏力F1と回動角θとの関係は、図9に一点鎖線L3で示すように、踏み込み時の実線L1と比べて、同じ回動角θの場合に踏力F1が小さくなる。
【0051】
ここで、例えば第1スライダ71とヒス機構ケース27との間や第2スライダ72とヒス機構ケースとの間、もしくは内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との間などに異物が噛み込む、あるいは、環境変化などにより内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力が増加する等によって、第1スライダ71または第2スライダ72が移動不能になる場合を考える。このような場合には、第1スプリング73、74の付勢力はアクセルペダル50に作用しなくなる。しかし、第2スプリング80の付勢力はアクセルペダル50に作用する。アクセルペダル50は、第2スプリング80の付勢力でアクセル全閉位置まで戻ることが可能である。このときの踏力F1と回動角θとの関係は、図9に長破線L4で示すようになる。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態のアクセル装置10では、支持部材11とアクセルペダル50との間に第2スプリング80が設けられる。第2スプリング80の一端は支持部材11の全閉ストッパ18のばね係止突起19に係止され、第2スプリング80の他端はアクセルペダル50のばね係止手段55のばね係止突起19に係止される。この第2スプリング80は、レバー54が第1スライダ71から離間するアクセル閉方向へアクセルペダル50を付勢する。また第2スプリング80は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル50をアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する。
【0053】
このように構成されるアクセル装置10では、例えば環境変化などにより内側摩擦部材75と第2スライダ72の突起部722、723との摩擦力が増加する、或いは内側摩擦部材75と第2スライダ72との間などに異物が噛み込む等によって、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル50に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング80の付勢力はアクセルペダル50に作用する。このため、アクセルペダル50の踏込み解除時に第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル50がアクセル全閉位置に復帰可能である。このため、アクセルペダルの踏込み解除時にアイドル状態に至らない可能性を排除することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング80を変更することで踏力特性を調整することができる。言い換えれば、第2スプリング80を変更することによって、アクセルペダル50のロッド52の長さが違う機種同士の踏力特性を同等にすることが可能である。例えば、図10の左側に示す踏力特性を有するアクセル装置10に対し、アクセルペダルのロッドが長くなるアクセル装置(以下、変更アクセル装置と記載する)のことを考える。変更アクセル装置の第2スプリング80を変更しない場合、図10の右側に点線で示すように変更アクセル装置の踏力特性は、アクセル装置10の踏力特性と比べ踏力F1が全体的に小さい特性となる。これに対し、変更アクセル装置の第2スプリング80を付勢力の強いものに変更すると、図10の右側に実線、一点鎖線および二点差線で示すように変更アクセル装置の踏力特性を調整することができる。
【0055】
これによれば、ヒス機構ケース27内に収められてモジュール化された踏力ヒステリシス機構70に含まれる第1スプリング73、74を変更することなしに、第2スプリング80を変更することで踏力特性を調整することができる。そのため、踏力ヒステリシス機構70を他機種に汎用することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、第2スプリング80は、アクセルペダル50の踏込前後ともに、踏力F1、第1スプリング73、74の合同付勢力F2、及び、アクセルペダル50の全閉当接部522が全閉ストッパ18から受ける反力Rの合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
これによれば、第2スプリング80が設けられない場合と比べて、アクセルペダル50の踏込前後ともにシャフト40を支持部材11の軸受孔22、23の内壁面に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフト40と支持部材11との摩耗を抑制することができる。また、持続的に作用する応力に起因して時間経過とともに歪みが増大するクリープ現象によってシャフト40および支持部材11が変形することを抑制可能である。
【0057】
また、第1実施形態では、第2スプリング80は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力の作用方向とは反対方向へ全閉ストッパ18を付勢する。
これによれば、第2スプリング80の全閉ストッパ18への付勢力は、支持部材11の全閉ストッパ18に作用するアクセルペダル50の押圧力を相殺する。そのため、支持部材11の全閉ストッパ18を低剛性にすることができるので、支持部材11を小さくしてアクセル装置10の体格を小さくすることができる。
【0058】
また、第1実施形態では、アクセルペダル50に対する第2スプリング80の付勢力の作用位置は、シャフト40の軸方向において、レバー54に対する第1スプリング73、74の合同付勢力F2の作用位置と略同じである。そのため、シャフト40に作用する力が軸方向で偏らず、支持部材11は、シャフト40を安定して保持することができる。
【0059】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例の踏力ヒステリシス機構90を図11に示す。この変形例では、第1スライダ91および第2スライダ92の形状が第1実施形態と異なる。また、第1実施形態の内側摩擦部材75に代えて、2つの外側摩擦部材93、94が設けられる。
第1スライダ91は、第2スライダ92側に、第2スライダ92側ほど互いに接近する傾斜面911および傾斜面912を有する。
【0060】
第2スライダ92は、第1スライダ91の傾斜面911に沿って案内部921から第1スライダ91側に突き出す突起部922と、第1スライダ91の傾斜面912に沿って案内部921から第1スライダ91側に突き出す突起部923とを形成する。これらの突起部922、923は、第1スライダ91がレバーに押圧されるとき第1スライダ91の傾斜面911、912に係合することで第1スライダ91の移動方向に直交する方向すなわち幅方向外側へ押圧される。
【0061】
外側摩擦部材93は、第2スライダ92の突起部922とケース本体28との間でケース本体28に一体に形成される。外側摩擦部材94は、第2スライダ92の突起部923とケース本体28との間でケース本体28に一体に形成される。これらの外側摩擦部材93、94は、第1スライダ91がレバーに押圧されるとき幅方向外側へ押される突起部922、923と摩擦係合し、第1スライダ91の移動量に応じてこの移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する。
第1実施形態の変形例では、上述以外の構成は第1実施形態と同様である。このような実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態のアクセル装置を図12に示す。第2実施形態では、アクセルペダル100のばね係止手段105の形状および位置、第2スプリング106の位置が第1実施形態と異なる。
図12に示すように、ばね係止手段105は、アクセルペダル100のロッド102のうちボス101の近傍に形成される突起からなる。第2スプリング106は、支持部材107に形成されるばね係止手段105に一端が係止され、他端がアクセルペダル100のばね係止手段105に係止される。
【0063】
第2スプリング106は、アクセルペダル100をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング106の付勢力は、アクセルペダル100の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング106の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル100をアクセル全閉位置に回動可能である。
第2スプリング106の付勢力は、踏力F1とは反対方向へ作用する。第2スプリング106は、アクセルペダル100が踏み込まれているとき踏力F1および第1スプリング73、74の合同付勢力F2の合力よりもシャフト40に作用する力が小さくなるような付勢力を発生する。
【0064】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル100に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング106の付勢力はアクセルペダル100に作用する。このとき第2スプリング106は、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル100をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング106を変更することで踏力特性を調整することができる。
第2実施形態では、第2スプリング106が設けられない場合と比べて、アクセルペダル100の踏込時にシャフト40を支持部材107の軸受孔の内壁面に押し付ける力が小さくなる。そのため、シャフト40と支持部材107との摩耗を抑制することができる。
【0065】
(第3実施形態)
第3実施形態のアクセル装置を図13に示す。第3実施形態では、アクセルペダル110のばね係止手段114の形状および位置、第2スプリング116の位置が第1実施形態と異なる。
図13に示すように、ばね係止手段114は、アクセルペダル110のボス111から上方向へ突き出して形成される。ばね係止手段114の先端には、ばね係止突起115が形成される。
第2スプリング116は、支持部材117に形成されるばね係止突起115に一端が係止され、他端がばね係止突起115に係止される。
【0066】
第2スプリング116は、アクセルペダル110をアクセル閉方向へ付勢する付勢力を発生する。第2スプリング116の付勢力は、アクセルペダル110の回動角が大きいほど増大する。また、第2スプリング116の付勢力は、第1スライダ71の位置に依存することなしにアクセルペダル110をアクセル全閉位置に回動可能である。
【0067】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スライダ71または第2スライダ72が固着し、第1スプリング73、74の付勢力がアクセルペダル110に作用しなくなる場合であっても、第2スプリング116の付勢力はアクセルペダル110に作用する。このとき第2スプリング116は、第1スライダ71の位置に拘わらずアクセルペダル110をアクセル全閉位置に戻すことができる。
また、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、2つの第1スプリング73、74を変更することなしに第2スプリング116を変更することで踏力特性を調整することができる。
【0068】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、例えばアクセルペダルが支持部材の全閉ストッパに当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置までの間を、ペダル踏込を検出しない不感帯としてもよい。そして、アクセルペダルが全閉ストッパに当接する回動位置からアクセルペダルがアクセル開方向へ所定角度回動する回動位置を、アクセル全閉位置に設定してもよい。
【0069】
また、本発明の他の実施形態では、第1スプリングおよび第2スプリングは、たとえば板ばね等の他の付勢手段から構成されてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は周方向でどこに位置していてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第2スプリングは周方向でどこに設けられていてもよい。
【0070】
また、本発明の他の実施形態では、アクセルペダルに対する第2スプリングの付勢力の作用位置は、シャフトの軸方向において、レバーに対する第1スプリングの合同付勢力の作用位置と同じでなくてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、回転位置センサは、必ずしも磁石およびホール素子を用いる必要はない。シャフトの回動位置を検出可能であれば、他の公知の回転位置センサを用いてもよい。
【0071】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 ・・・アクセル装置
11 ・・・支持部材
40 ・・・シャフト
50 ・・・アクセルペダル
54 ・・・レバー
71 ・・・第1スライダ
714,715・・・傾斜面
72 ・・・第2スライダ
721・・・案内部
722,723・・・突起部
73,74・・・第1スプリング
75 ・・・内側摩擦部材(摩擦部材)
80,106,116・・・第2スプリング
93,94・・・外側摩擦部材(摩擦部材)
120・・・内壁(車体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付け可能な支持部材と、
前記支持部材に回動可能に取り付けられるシャフトと、
踏込量に応じて前記シャフトを回動可能に前記シャフトに連結されるアクセルペダルと、
前記アクセルペダルと一体に回転可能に前記アクセルペダルに接続するレバーと、
前記レバーのアクセル開方向側で前記レバーに接近および離間可能に前記支持部材に案内され、前記支持部材の案内方向に対し傾斜する傾斜面を有し、前記アクセルペダルがアクセル開方向へ移動するとき前記レバーに押圧される第1スライダと、
前記第1スライダに対し前記レバーとは反対側で前記第1スライダの移動方向と同じ方向へ往復移動可能に前記支持部材に案内される案内部、及び、前記傾斜面に沿って前記第1スライダ側に突き出す突起部からなり、前記第1スライダが前記レバーに押圧されるとき前記突起部が前記傾斜面に係合することで前記突起部が前記第1スライダの移動方向に直交する方向へ押される第2スライダと、
前記支持部材に一体に形成され、前記第2スライダの前記突起部が前記第1スライダの移動方向に直交する方向へ押されるとき前記突起部に摩擦係合し、前記第1スライダの移動量に応じて当該移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する摩擦部材と、
一端が前記支持部材に係止され、他端が前記第2スライダに係止され、前記第2スライダと前記第1スライダと前記レバーとを経由して前記アクセルペダルをアクセル閉方向へ付勢する第1スプリングと、
一端が前記支持部材に係止され、他端が前記アクセルペダルに係止され、前記レバーが前記第1スライダから離間するアクセル閉方向へ前記アクセルペダルを付勢し、前記第1スライダの位置に依存することなしに前記アクセルペダルをアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する第2スプリングと、
を備えることを特徴とするアクセル装置。
【請求項2】
前記第2スプリングは、前記アクセルペダルに作用する踏力と前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力との合力よりも前記シャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生することを特徴とする請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記第2スプリングは、前記アクセルペダルに作用する踏力の作用方向、又は、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力の作用方向とは反対方向へ前記アクセルペダルを付勢することを特徴とする請求項2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記アクセルペダルは、前記支持部材に当接することで前記アクセルペダルのアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部を一体に形成し、
前記第2スプリングは、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力と前記アクセルペダルの前記全閉当接部が前記支持部材から受ける反力との合力よりも前記シャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記第2スプリングは、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力の作用方向、又は、前記アクセルペダルの前記全閉当接部が前記支持部材から受ける反力の作用方向とは反対方向へ前記アクセルペダルを付勢することを特徴とする請求項4に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記アクセルペダルの前記全閉当接部に当接可能な全閉ストッパを形成し、
前記第2スプリングの前記一端は、前記支持部材の前記全閉ストッパのうち前記全閉当接部が当接する当接面とは反対側に係止され、
前記第2スプリングは、前記支持部材の前記全閉ストッパに作用する前記アクセルペダルの押圧力の作用方向とは反対方向へ前記全閉ストッパを付勢することを特徴とする請求項4または5に記載のアクセル装置。
【請求項7】
前記アクセルペダルに対する前記第2スプリングの付勢力の作用位置は、前記シャフトの軸方向において前記レバーに対する前記第1スプリングの付勢力の作用位置と略同じであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項1】
車体に取り付け可能な支持部材と、
前記支持部材に回動可能に取り付けられるシャフトと、
踏込量に応じて前記シャフトを回動可能に前記シャフトに連結されるアクセルペダルと、
前記アクセルペダルと一体に回転可能に前記アクセルペダルに接続するレバーと、
前記レバーのアクセル開方向側で前記レバーに接近および離間可能に前記支持部材に案内され、前記支持部材の案内方向に対し傾斜する傾斜面を有し、前記アクセルペダルがアクセル開方向へ移動するとき前記レバーに押圧される第1スライダと、
前記第1スライダに対し前記レバーとは反対側で前記第1スライダの移動方向と同じ方向へ往復移動可能に前記支持部材に案内される案内部、及び、前記傾斜面に沿って前記第1スライダ側に突き出す突起部からなり、前記第1スライダが前記レバーに押圧されるとき前記突起部が前記傾斜面に係合することで前記突起部が前記第1スライダの移動方向に直交する方向へ押される第2スライダと、
前記支持部材に一体に形成され、前記第2スライダの前記突起部が前記第1スライダの移動方向に直交する方向へ押されるとき前記突起部に摩擦係合し、前記第1スライダの移動量に応じて当該移動量に対応するアクセル開度を維持するように作用する摩擦力を発生する摩擦部材と、
一端が前記支持部材に係止され、他端が前記第2スライダに係止され、前記第2スライダと前記第1スライダと前記レバーとを経由して前記アクセルペダルをアクセル閉方向へ付勢する第1スプリングと、
一端が前記支持部材に係止され、他端が前記アクセルペダルに係止され、前記レバーが前記第1スライダから離間するアクセル閉方向へ前記アクセルペダルを付勢し、前記第1スライダの位置に依存することなしに前記アクセルペダルをアクセル全閉位置に回動可能な付勢力を発生する第2スプリングと、
を備えることを特徴とするアクセル装置。
【請求項2】
前記第2スプリングは、前記アクセルペダルに作用する踏力と前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力との合力よりも前記シャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生することを特徴とする請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記第2スプリングは、前記アクセルペダルに作用する踏力の作用方向、又は、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力の作用方向とは反対方向へ前記アクセルペダルを付勢することを特徴とする請求項2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記アクセルペダルは、前記支持部材に当接することで前記アクセルペダルのアクセル閉方向への回動をアクセル全閉位置で規制する全閉当接部を一体に形成し、
前記第2スプリングは、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力と前記アクセルペダルの前記全閉当接部が前記支持部材から受ける反力との合力よりも前記シャフトに作用する力が小さくなるような付勢力を発生することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記第2スプリングは、前記レバーに作用する前記第1スプリングの付勢力の作用方向、又は、前記アクセルペダルの前記全閉当接部が前記支持部材から受ける反力の作用方向とは反対方向へ前記アクセルペダルを付勢することを特徴とする請求項4に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記アクセルペダルの前記全閉当接部に当接可能な全閉ストッパを形成し、
前記第2スプリングの前記一端は、前記支持部材の前記全閉ストッパのうち前記全閉当接部が当接する当接面とは反対側に係止され、
前記第2スプリングは、前記支持部材の前記全閉ストッパに作用する前記アクセルペダルの押圧力の作用方向とは反対方向へ前記全閉ストッパを付勢することを特徴とする請求項4または5に記載のアクセル装置。
【請求項7】
前記アクセルペダルに対する前記第2スプリングの付勢力の作用位置は、前記シャフトの軸方向において前記レバーに対する前記第1スプリングの付勢力の作用位置と略同じであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−14250(P2013−14250A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149107(P2011−149107)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]