説明

アクリル系樹脂組成物及びそれを含む光学フィルム

本発明は、1)アルキル(メタ)アクリレート系単量体、2)脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、3)イミド系単量体及びスチレン系単量体のうち少なくとも1種を含むアクリル系共重合体樹脂、上記アクリル系共重合体樹脂及び主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含有する樹脂を含む樹脂組成物、上記樹脂組成物を含む光学フィルム、及び、上記光学フィルムを含む液晶表示装置に関するものである。本発明による光学フィルムは、耐熱性、光学性透明性などに優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性に優れたアクリル系共重合体樹脂、上記アクリル系共重合体樹脂を含む樹脂組成物、上記樹脂組成物を含む耐熱性及び光学的透明性に優れた光学フィルム、及び上記光学フィルムを含む液晶表示装置に関する。本出願は、2009年2月18日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0013271号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
近来、光学技術の発展に伴い、従来のブラウン管を代替するプラズマディスプレイパネル(plasma display panel,PDP)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display,LCD)など、様々な方式を利用したディスプレイ技術が提案及び市販されている。このようなディスプレイのためのポリマー素材は、その要求特性がより一層高度化している。例えば、液晶ディスプレイの場合、薄膜化、軽量化、画面面積の大型化が進められることにより、広視野角化、高コントラスト化、視野角による画像色調変化の抑制及び画面表示の均一化が特に重要な問題になっている。
【0003】
このため、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、プラスチック基板、導光板などに色々なポリマーフィルムが使用されており、液晶としてツイステッドネマチック(twisted nematic,TN)、スーパーツイステッドネマチック(super twisted nematic,STN)、バーティカルアラインメント(vertical alignment,VA)、インプレインスイッチング(in−plane switching,IPS)液晶セルなどを用いた様々なモードの液晶表示装置が開発されている。これらの液晶セルは、いずれも固有の液晶配列をし、固有の光学異方性を有しており、この光学異方性を補償するために様々な種類のポリマーを延伸して位相差機能を付与したフィルムが提案されている。
【0004】
具体的には、液晶表示装置は液晶分子が有する高い複屈折特性と配向を利用するため、視野角に応じて屈折率が変わり、そのために画面の色相と明るさが変わる。例えば、バーティカルアラインメント方式に利用するほとんどの液晶分子は、液晶表示面の厚さ方向に正の位相差を有するため、これを補償するためには厚さ方向に負の位相差を有する補償フィルムが必要である。また、互いに直交する2つの偏光板の正面においては光を通過させないが、角度を傾ければ2つの偏光板の光軸が直交しなくなって光漏れ現象が発生し、これを補償するためには面内位相差を有する補償フィルムが必要である。また、液晶を用いた表示装置は、視野角を広くするために厚さ方向位相差補償と面内位相差補償が同時に必要である。
【0005】
位相差補償フィルムの必須要件としては、複屈折を容易に調節しなければならないということである。しかし、フィルムの複屈折は、物質が有する根本的な複屈折だけでなく、フィルムにおける高分子鎖の配向によってなされる。高分子鎖の配向は、ほとんど外部から加えられる力によって強制的になされるか、物質が有する固有の特性に起因し、外部の力によって分子を配向する方法は高分子フィルムを一軸または二軸に延伸することである。
【0006】
上記のような液晶固有の複屈折特性によるLCDの視野角の問題を解決するために、近年、N−TAC、V−TAC、COP Filmが補償フィルムまたは位相差フィルムとして使用されている。しかし、これらのフィルムは、高価で、製造工程が複雑となる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、透明性が維持され、従来より耐熱性に優れたアクリル系共重合体樹脂を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記アクリル系共重合体樹脂及び主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含有する樹脂を含む樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、上記樹脂組成物を含む耐熱性及び光学的透明性に優れた光学フィルム、及び上記光学フィルムを含む液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1側面によると、1)アルキル(メタ)アクリレート系単量体、2)脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、及び3)イミド系単量体及びスチレン系単量体のうち少なくとも1種を含むアクリル系共重合体樹脂を提供する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第2側面によると、上記アクリル系共重合体樹脂及び主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含有する樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第3側面によると、上記樹脂組成物を含む光学フィルムを提供する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第4側面によると、上記光学フィルムを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるアクリル系共重合体樹脂は、透明性が維持され、耐久性にも優れている。上記アクリル系共重合体樹脂を含む樹脂組成物を用いて製造された光学フィルムは、透明性及び耐熱性に優れ、加工性、接着性、位相差特性及び耐久性に優れた特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による光学フィルムを液晶表示装置に適用した例を示した図面である。
【図2】本発明による光学フィルムを液晶表示装置に適用した例を示した図面である。
【図3】本発明による光学フィルムを液晶表示装置に適用した例を示した図面である。
【図4】本発明による光学フィルムを液晶表示装置に適用した例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0017】
本発明の第1側面は、1)アルキル(メタ)アクリレート系単量体、2)脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、3)イミド系単量体及びスチレン系単量体のうち少なくとも1種を含むアクリル系共重合体樹脂に関するものである。
【0018】
本明細書において、単量体を含む共重合体樹脂とは、単量体が重合され、共重合体樹脂内で繰り返し単位として含まれることを意味する。
【0019】
上記アクリル系共重合体は、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることができるが、共重合の形態はこれに限定されるものではない。
【0020】
上記アクリル系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、及びスチレン系単量体を含む3元共重合体の形態であってもよく、これにイミド系単量体をさらに含む4元共重合体の形態であってもよく、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、イミド系単量体を含む3元共重合体の形態であってもよい。
【0021】
上記アクリル系共重合体樹脂において、アルキル(メタ)アクリレート系単量体は30重量%以上90重量%以下であり、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は0重量%超過50重量%以下であることが好ましい。また、イミド系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であり、スチレン系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、これらは上記アクリル系共重合体に同時にまたは単独で含まれることができる。
【0022】
上記アクリル系共重合体樹脂において、アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート系単量体及びアルキルメタクリレート系単量体を全て意味する。上記アルキル(メタ)アクリレート系単量体のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましい。上記アルキルメタクリレート系単量体はメチルメタクリレートであることがより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
上記アクリル系共重合体樹脂において、アルキルメタクリレート系単量体の含量は、30〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがさらに好ましい。アルキルメタクリレート系単量体の含量が上記範囲にあると、透明性に優れ、耐熱性も維持することができる。
【0024】
上記アクリル系共重合体樹脂内に脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は、本発明によるアクリル系共重合体樹脂の耐熱性を向上させる役割を果たし、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体またはアリール(メタ)アクリレート系単量体であることができる。
【0025】
上記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体のシクロアルキル基は、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜8であることがより好ましく、シクロヘキシル基であることが最も好ましい。また、上記アリール(メタ)アクリレート系単量体のアリール基は、炭素数6〜12であることが好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
【0026】
上記脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体の具体的な例としては、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、3−シクロヘキシルプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−メトキシフェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレートなどが挙げられ、シクロヘキシルメタクリレートまたはフェニルメタクリレートが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0027】
上記アクリル系共重合体樹脂において、上記脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体の含量は、0重量%超過50重量%以下であることが好ましく、0重量%超過30重量%以下であることがより好ましく、5重量%以上30重量%以下であることが最も好ましい。脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体の含量が上記範囲にあると、耐熱性を十分に確保することができる。
【0028】
上記アクリル系重合体において、上記イミド系単量体はイミド基を含む単量体を意味し、例えば、マレイミド類などがある。その中でも、アクリル系共重合体の耐熱性を向上させるためにシクロアルキル基またはアリール基で置換されたマレイミド類が好ましい。
【0029】
上記イミド系単量体に置換されうるシクロアルキル基には、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基であることがさらに好ましい。また、上記イミド系単量体に置換されうるアリール基には、炭素数6〜15であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0030】
上記イミド系単量体の具体的な例としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミドなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの単量体の中でも、N−シクロヘキシルマレイミドまたはN−フェニルマレイミドが特に好ましいが、これに限定されるものではない。
【0031】
上記アクリル系共重合体樹脂において、上記イミド系単量体の含量は、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。上記イミド系単量体の含量が上記範囲にあると、耐熱性が確保され、機械的強度の低下も最小限に抑えられるため好ましい。
【0032】
上記アクリル系共重合体において、上記スチレン系単量体は、スチレン基を含む単量体を意味し、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、オクタクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。これらの単量体の中でも、共重合の容易性及び耐熱性の側面でα−メチルスチレンが最も好ましいが、これに限定されるものではない。
【0033】
上記アクリル系共重合体樹脂において、上記スチレン系単量体の含量は、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。上記スチレン系単量体の含量が上記範囲にあると、耐熱性が確保され、機械的強度の低下も最小限に抑えられるため好ましい。
【0034】
また、上記アクリル系共重合体樹脂の分子量は、耐熱性、加工性及び生産性の側面で50,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
【0035】
上記アクリル系共重合体樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上である。上記アクリル系共重合体樹脂のガラス転移温度は特に限定されないが、200℃以下であってもよい。
【0036】
本発明の第2側面は、上記アクリル系共重合体樹脂及び主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含有する樹脂を含む樹脂組成物に関するものである。
【0037】
上記樹脂組成物において、主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリナフタレン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂などが使用され、ポリカーボネート系樹脂であることがより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
上記樹脂組成物は、アクリル系共重合体樹脂と主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の重量比が60〜99.9:0.1〜40であることが好ましく、70〜99:1〜30であることがさらに好ましい。
【0039】
上記樹脂組成物は、上記アクリル系共重合体樹脂と上記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂をコンパウンディング法のような当業界で公知の方法によりブレンドすることで製造でき、着色剤、難燃剤、強化剤、充填剤、UV安定剤、酸化防止剤のような当業界で公知の添加剤を0.001〜70重量部含むことができる。
【0040】
上記樹脂組成物のガラス転移温度は、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。上記樹脂組成物のガラス転移温度は特に限定されないが、200℃以下であってもよい。
【0041】
また、上記樹脂組成物の重量平均分子量は、耐熱性、十分な加工性、生産性などの側面で50,000〜500,000であることが好ましい。
【0042】
本発明の第3側面は、3)上記樹脂組成物を含む光学フィルムに関するものである。
【0043】
本発明による光学フィルムは、上記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の含量によって異なる位相差値を有し、これにより、位相差補償フィルムまたは保護フィルムとして使用できる。
【0044】
上記位相差補償フィルムは、位相差値に応じてVAモード型またはTNモード型を使用されることができる。本発明による光学フィルムは、面内位相差値(Rin)が30nm〜80nm、厚さ方向位相差値(Rth)が−50nm〜−300nmであることができ、この場合、VAモード型位相差補償フィルムとして使用できる。また、本発明による光学フィルムは、面内位相差値(Rin)が150nm〜200nm、厚さ方向位相差値(Rth)が−90nm以下、即ち、厚さ方向位相差値の絶対値が90以上であることができ、この場合、TNモード型位相差補償フィルムとして使用できる。上記TNモード型位相差補償フィルムとして用いられる場合、厚さ方向位相差値(Rth)は−90nm〜−150nmであることがさらに好ましい。
【0045】
一例として、上記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の含量が10重量%〜40重量%である場合、光学フィルムの面内位相差値(Rin)は30nm〜80nmであり、厚さ方向位相差値(Rth)は−50nm〜−300nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムはVAモード型位相差補償フィルムとして使用できる。
【0046】
他の例として、上記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の含量が0.1重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜5重量%である場合、光学フィルムの面内位相差値(Rin)は0nm〜10nm、好ましくは0nm〜5nm、より好ましくは約0nmであり、厚さ方向位相差値(Rth)は、−10nm〜10nm、好ましくは−5nm〜5nmであり、より好ましくは約0nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムは偏光子保護フィルムとして使用できる。
【0047】
本発明による光学フィルムが保護フィルムとして使用された例を図2に示した。図2では、2つの偏光板の両面に備えられた保護フィルムとして本発明による光学フィルムを全て使用しているが、上記保護フィルムのうち少なくとも1つには従来の保護フィルムを使用してもよい。
【0048】
上記3)光学フィルムは、上記2)樹脂組成物を溶液キャスト法または押出法のような当業界で公知の方法により製造でき、中でも溶液キャスト法が好ましい。
【0049】
上記のように製造されたフィルムを一軸または二軸延伸する段階をさらに含むことができ、必要に応じて、改良剤を添加して製造してもよい。
【0050】
上記フィルムが一軸または二軸延伸される場合、上記延伸工程は、縦方向(MD)延伸、横方向(TD)延伸を各々行ってもよく、全てを行ってもよい。縦方向と横方向に全て延伸する場合には、いずれか一方を先に延伸した後、異なる方向に延伸してもよく、両方向を同時に延伸してもよい。延伸は、1段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。縦方向に延伸する場合には、ロール間の速度差によって延伸を行ってもよく、横方向に延伸する場合には、テンターを利用して行ってもよい。テンターのレール開始角は通常10度以内にし、横方向延伸時に生じるボーイング(Bowing)現象を抑制し、光学軸の角度を規則的に制御する。横方向延伸を多段階にして同様なボーイング抑制効果を得ることもできる。
【0051】
上記延伸は、上記樹脂組成物のガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−20℃)〜(Tg+30℃)の温度で行うことができる。上記ガラス転移温度において樹脂組成物の貯蔵弾性率が低下し始まり、これによって、損失弾性率が貯蔵弾性率より大きくなる温度から、高分子鎖の配向が緩和して消失される温度までの領域を示す。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。上記延伸工程時の温度はフィルムのガラス転移温度であることがさらに好ましい。
【0052】
延伸速度は、小型延伸機(Universal testing machine,Zwick Z010)の場合は1〜100mm/minの範囲で、また、パイロット延伸装備の場合は0.1〜2m/minの範囲で延伸操作を行うことが好ましく、5〜300%の延伸率を適用してフィルムを延伸することが好ましい。
【0053】
本発明による光学フィルムは、上述した方法によって一軸または二軸に延伸することで、位相差特性を調節することができる。
【0054】
上記のように製造された光学フィルムは、下記数式1で表される面内位相差値が0nm〜200nmであることが好ましく、下記数式2で表される厚さ方向位相差値が10nm〜−300nmであることが好ましい。
【0055】
[数1]
in=(n−n)×d
【0056】
[数2]
th=(n−n)×d
【0057】
上記数式1及び数式2において、nは、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率であり、nは、フィルム面内においてn方向に垂直な方向の屈折率であり、nは、厚さ方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
【0058】
本発明による光学フィルムは、上記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の含量によって面内位相差値と厚さ方向位相差値を調節することができる。例えば、本発明による光学フィルムの面内位相差値(Rin)は20nm〜80nmであり、厚さ方向位相差値(Rth)は−50nm〜−300nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムはVAモード型位相差補償フィルムとして使用できる。また、本発明による光学フィルムの面内位相差値(Rin)は0nm〜10nm、好ましくは0nm〜5nm、より好ましくは約0nmであり、厚さ方向位相差値(Rth)が−10nm〜10nm、好ましくは−5nm〜5nmであり、より好ましくは約0nmであることができる。この場合、本発明による光学フィルムは偏光子保護フィルムとして使用できる。
【0059】
本発明による光学フィルムが液晶表示装置に適用される場合、液晶パネルのいずれか一側のみに備えられてもよく(1枚型)、液晶パネルの両側にそれぞれ備えられてもよい(2枚型)。1枚型を図3に例示し、2枚型を図4に例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0060】
本発明による光学フィルムが液晶パネルの一側のみに備えられる場合、上記光学フィルムの面内位相差値(Rin)は、30nm〜80nm、好ましくは35nm〜70nm、より好ましくは約40nm〜60nmであることが好ましく、厚さ方向位相差値(Rth)は、−270nm以下、即ち、厚さ方向位相差値の絶対値が270以上であることが好ましい。
【0061】
本発明による光学フィルムが液晶パネルの両側にそれぞれ備えられる場合、上記光学フィルムの面内位相差値(Rin)は30nm〜80nm、好ましくは35nm〜70nm、より好ましくは約40nm〜60nmであることが好ましく、厚さ方向位相差値(Rth)は、−100nm以下、即ち、厚さ方向位相差値の絶対値が100以上であることが好ましい。
【0062】
本発明による光学フィルムは、従来のTACフィルムに比べて光弾性係数が小さいことを特徴とする。本発明による光学フィルムの光弾性係数は10以下、好ましくは8以下、より好ましくは0.1以上7以下、より好ましくは0.5以上6以下であることができる。
【0063】
本発明による光学フィルムの脆性(brittleness)は、粒径15.9mm、重量16.3gの鋼鉄球をテストフィルム上に落下させフィルムに穴が生じる高さを測定することで測定でき、本発明による光学フィルムは、上記高さが、好ましくは600mm以上であり、より好ましくは700nm以上である。
【0064】
本発明による光学フィルムのヘイズ値は1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
本発明の第4側面は、上記光学フィルムを含む液晶表示装置に関するものである。
【0066】
上記液晶表示装置は、VA(vertical alignment)モード型またはTNモード型の液晶表示装置であることが好ましい。以下では、VAモード型を中心に説明するが、本発明による光学フィルムはTNモード型液晶表示装置にも適用できる。
【0067】
VAモードの液晶表示装置では、視野角補償に光学フィルムを使用できるが、2つの補償すべき要素を有する。その一つは、液晶表示装置を傾斜観察時に2枚の偏光板の吸収軸が外観上直交しないことによる偏光板の光漏れ補償であり、もう一つは、VAセルを傾斜方向から観察する場合、液晶分子の複屈折が増加し黒色表示時にセルによる光漏れが発生し、コントラストの低下が見られるため必要な補償である。
【0068】
光学フィルムと組み合わせる偏光子は、二色性色素を含有する一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムからなるため非常に脆弱であり温度な水分に対する耐久性が低く、保護フィルムで貼り合わせられている。保護フィルムの代わりに光学フィルムを偏光子に接着できれば、保護フィルム1層分の薄型化された位相差フィルムの一体型偏光フィルムを得ることができる。
【0069】
セルロース誘導体は透水性に優れるため、偏光板の製造工程において偏光子に含有された水分を、フィルムを通じて揮散させることができるという利点を有する。しかしながら、その一方で、高温高湿雰囲気下において吸湿による寸法変化や、光学特性の変動が比較的大きく、室温付近で湿度が変化した場合の位相差値の変化が大きく安定した視野角の改善にも限界があるため、偏光板の光学特性の耐久性が低下してしまうという問題点がある。
【0070】
また、ポリカーボネート系では、ガラス転移温度が高く、高温での延伸加工が必要であるだけでなく、フィルムの光弾性係数が大きいために応力による光学歪みが生じる。ノルボルネン系フィルムを延伸処理する場合、延伸時の応力が高くなったり、延伸時の応力不均一が発生したりするなどの問題がある。このような課題は、視野角補償効果に優れるとともに、環境変化にも位相差値の変化が少ないアクリル系位相差フィルムを採用することによって解決することができる。
【0071】
以下、本発明による光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置についてより具体的に説明する。
【0072】
液晶セル及びこの液晶セルの両面にそれぞれ備えられた第1偏光板及び第2偏光板を含む液晶表示装置において、光学フィルムは、上記液晶セルと上記第1偏光板及び/または第2偏光板との間に備えられてもよい。即ち、第1偏光板と液晶セルとの間に光学フィルムが備えられてもよく、第2偏光板と液晶セルとの間に、または、第1偏光板と液晶セルとの間及び第2偏光板と液晶セルとの間の両方に光学フィルムが1つまたは2つ以上備えられてもよい。
【0073】
上記第1偏光板及び第2偏光板は、一面または両面に保護フィルムを含むことができる。上記内部保護フィルムとしては、トリアセテートセルロースセルロース(TAC)フィルム、開環メタセシス重合(ring opening metathesis polymerization;ROMP)によって製造されたポリノルボルネン系フィルム、開環重合された環状オレフィン系重合体をさらに水素添加して得られたHROMP(ring opening metathesis polymerization followed by hydrogenation)重合体 フィルム、ポリエステルフィルム、または付加重合(addition polymerization)によって製造されたポリノルボルネン系フィルムなどであることができる。それ以外にも透明な高分子材料により製造されたフィルムが保護フィルムなどが使用されうるが、これらのみに限定されるものではない。
【0074】
また、本発明は、偏光膜を含み、上記偏光膜の一面または両面に本発明による光学フィルムを保護フィルムとして含む一体型偏光板を提供する。
【0075】
偏光膜の一面のみに本発明による光学フィルムが備えられる場合、残りの他面には当技術分野で知られた保護フィルムが備えられてもよい。
【0076】
上記偏光膜としては、ヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いることができる。上記偏光膜はPVAフィルムにヨウ素または二色性染料を染着させて製造することができるが、その製造方法は特に限定されない。本明細書において、偏光膜は保護フィルムを含まない状態を意味し、偏光板は偏光膜と保護フィルムを含む状態を意味する。
【0077】
本発明の一体型偏光板において、保護フィルムと偏光膜は、当技術分野で知られている方法により貼り合わせることができる。
【0078】
例えば、保護フィルムと偏光膜との貼り合わせは接着剤を用いた接着方式によってなされてもよい。即ち、先ず、偏光膜の保護フィルムまたは偏光膜であるPVAフィルムの表面上にロールコータ、グラビアコータ、バーコータ、ナイフコータまたはキャピラリーコータなどを使って接着剤をコーティングする。接着剤が完全に乾燥する前に保護フィルムと偏光膜を貼り合わせロールで加熱圧着または常温圧着して貼り合わせる。ホットメルト型接着剤を用いる場合には加熱圧着ロールを使用しなければならない。
【0079】
上記保護フィルムと偏光板の貼り合わせる時に使用可能な接着剤としては、一液型または二液型のPVA接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤またはホットメルト型接着剤などが挙げられるが、これらのみに限定されない。ポリウレタン系接着剤を用いる場合は、光によって黄変しない脂肪族イソシアネート系化合物を用いて製造したポリウレタン系接着剤を利用することが好ましい。一液型または二液型のドライラミネート用接着剤またはイソシアネートとヒドロキシ基との反応性が比較的低い接着剤を用いる場合には、アセテート系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤または芳香族系溶剤などにより希釈された溶液型接着剤を使用してもよい。このとき、接着剤粘度は、5,000cps以下の低粘度型であることが好ましい。上記接着剤は、貯蔵安定性に優れるとともに、400nm〜800nmにおける光透過度が90%以上であることが好ましい。
【0080】
十分な粘着力を発揮できるのであれば、粘着剤も使用できる。粘着剤は、ラミネート後に熱または紫外線によって十分に硬化して機械的強度が接着剤レベルに向上することが好ましく、界面接着力も大きく粘着剤が付着された両側のフィルムのうち、いずれか一方の破壊なしには剥離されないほどの粘着力を有することが好ましい。
【0081】
使用可能な粘着剤の具体例としては、光学透明性に優れた天然ゴム、合成ゴムまたはエラストマ、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリレートまたは変性ポリオレフィン系粘着剤、及びこれにイソシアネートのような硬化剤を添加した硬化型粘着剤が挙げられる。
【0082】
また、本発明は、上記一体型偏光板を含む液晶表示装置を提供する。本発明による液晶表示装置の構造を図1に示しているが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0083】
本発明による液晶表示装置が上述した一体型偏光板を含む場合にも、偏光板と液晶セルとの間に、本発明による光学フィルムを1枚以上さらに含むことができる。
【0084】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらによって限定されものではない。
【0085】
本発明における物性の評価方法は以下の通りである。
【0086】
1.重量平均分子量(Mw):製造された樹脂をテトラヒドロフランに溶解した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
【0087】
2.Tg(ガラス転移温度):TA Instrument社のDSC(Differential Scanning Calorimeter)を用いて測定した。
【0088】
3.位相差値(Rin/Rth):フィルムのガラス転移温度で延伸した後、Axometrics社のAxoScanを用いて測定した。
【0089】
4.ヘイズ値(透明度):Murakami color Research Laboratory社のHAZEMETER HM−150を用いてヘイズ値を測定した。
【実施例】
【0090】
<実施例1>
メチルメタクリレート82重量%、シクロヘキシルメタクリレート10重量%、アルファメチルスチレン3重量%、N−シクロヘキシルマレイミド5重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度135℃、分子量80,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は48/−130であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0091】
<実施例2>
メチルメタクリレート65重量%、シクロヘキシルメタクリレート10重量%、スチレン10重量%、N−シクロヘキシルマレイミド15重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度130℃、分子量90,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は43/−125であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0092】
<実施例3>
メチルメタクリレート65重量%、シクロヘキシルメタクリレート20重量%、アルファメチルスチレン5重量%、フェニルマレイミド10重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度131℃、分子量80,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は40/−115であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0093】
<実施例4>
メチルメタクリレート82重量%、ベンジルメタクリレート10重量%、アルファメチルスチレン3重量%、N−シクロヘキシルマレイミド5重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度130℃、分子量90,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は48/−140であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0094】
<実施例5>
メチルメタクリレート80重量%、シクロヘキシルメタクリレート10重量%、アルファメチルスチレン10重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度130℃、分子量75,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は55/−95であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0095】
<実施例6>
メチルメタクリレート80重量%、シクロヘキシルメタクリレート15重量%、N−シクロヘキシルマレイミド5重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度118℃、分子量85,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は43/−90であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0096】
<比較例1>
メチルメタクリレート80重量%、シクロヘキシルメタクリレート20重量%で樹脂を製造した。製造された樹脂のガラス転移温度と分子量を測定した結果、ガラス転移温度119℃、分子量100,000の樹脂が得られた。この樹脂とポリカーボネートを90:10の重量比で混合し、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。その結果、面内位相差値/厚さ方向位相差値は35/−100であり、ヘイズ値は0.1であった。
【0097】
上記実施例及び比較例を下記の表1及び表2に示す。
【0098】
【表1】

MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
AMS:アルファメチルスチレン
SM:スチレン
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
PMI:フェニルマレイミド
【0099】
【表2】

【0100】
<実施例7〜21>
下記の表3のような単量体組成で共重合体樹脂を製造し、ポリカーボネートと混合した後、これをコンパウンディングして最終的な樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物を溶液キャスティング法でフィルムに製造した後、ガラス転移温度で延伸を行い、そのフィルムの位相差値を測定した。製造されたフィルムの物性を下記の表4に示した。
【0101】
【表3】

PhMA:フェニルメタクリレート
【0102】
【表4】

【0103】
上記実施例12〜14で製造されたフィルムの脆性(brittleness)を粒径15.9mm、重量16.3gの鋼鉄球をフィルム上に落下させフィルムに穴が生じる高さを測定した。その結果、測定された高さを下記の表5に示した。
【0104】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルキル(メタ)アクリレート系単量体、2)脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、3)イミド系単量体及びスチレン系単量体のうち少なくとも1種を含むアクリル系共重合体。
【請求項2】
前記アクリル系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、及びスチレン系単量体を含む3元共重合体の形態であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項3】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は30重量%以上90重量%以下であり、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は0重量%超過50重量%以下であり、スチレン系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載のアクリル系共重合体。
【請求項4】
前記アクリル系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、及びイミド系単量体を含む3元共重合体の形態であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項5】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は30重量%以上90重量%以下であり、前記脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は0重量%超過50重量%以下であり、前記イミド系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項4に記載のアクリル系共重合体。
【請求項6】
前記アクリル系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体、イミド系単量体、及びスチレン系単量体を含む4元共重合体の形態であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項7】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は30重量%以上90重量%以下であり、脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は0重量%超過50重量%以下であり、イミド系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であり、スチレン系単量体は0.1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項6に記載のアクリル系共重合体。
【請求項8】
前記脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は、シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体またはアリール(メタ)アクリレート系単量体であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項9】
前記シクロアルキル(メタ)アクリレート系単量体のシクロアルキル基は、炭素数が4〜12であり、前記アリール(メタ)アクリレート系単量体のアリール基は、炭素数が6〜12であることを特徴とする請求項8に記載のアクリル系共重合体。
【請求項10】
前記脂肪族環及び/または芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体は、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、3−シクロヘキシルプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−メトキシフェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、及び2−ナフチルメタクリレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項11】
前記イミド系単量体は、シクロアルキル基またはアリール基で置換または非置換されたマレイミドであることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項12】
前記イミド系単量体は、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、及びN−トリブロモフェニルマレイミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項13】
前記スチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、オクタクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン、及び4−ヒドロキシスチレンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項14】
前記アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系共重合体。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載のアクリル系共重合体及び主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含有する樹脂を含む樹脂組成物。
【請求項16】
前記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂は、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリナフタレン系樹脂及びポリノルボルネン系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
前記樹脂組成物は、前記アクリル系共重合体樹脂と前記主鎖に芳香族環及び/または脂肪族環を含む樹脂の重量比が60〜99.9:0.1〜40であることを特徴とする請求項15に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
前記樹脂組成物のガラス転移温度は110℃以上であることを特徴とする請求項15に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
請求項15に記載の樹脂組成物を含む光学フィルム。
【請求項20】
前記光学フィルムは、位相差補償フィルムまたは保護フィルムであることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項21】
前記位相差補償フィルムは、VAモード液晶表示装置用またはTNモード 液晶表示装置用であることを特徴とする請求項20に記載の光学フィルム。
【請求項22】
前記光学フィルムは、下記数式1で表される面内位相差値が−5nm〜200nmであることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム:
[数1]
in=(n−n)×d
前記数式1において、nは、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率であり、nは、フィルム面内においてn方向に垂直な方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
【請求項23】
前記光学フィルムは、下記数式2で表される厚さ方向位相差値が5nm〜−300nmであることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム:
[数2]
th=(n−n)×d
前記数式2において、nは、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率であり、nは、フィルム面内においてn方向に垂直な方向の屈折率であり、nは、厚さ方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
【請求項24】
前記光学フィルムは、下記数式1で表される面内位相差値が20nm〜80nmであり、下記数式2で表される厚さ方向位相差値が−50nm〜−300nmであることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム:
[数1]
in=(n−n)×d
[数2]
th=(n−n)×d
前記数式1及び2において、nは、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率であり、nは、フィルム面内においてn方向に垂直な方向の屈折率であり、nは、厚さ方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
【請求項25】
前記光学フィルムは、下記数式1で表される面内位相差値が0nm〜10nmであり、下記数式2で表される厚さ方向位相差値が−10nm〜10nmであることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム:
[数1]
in=(n−n)×d
[数2]
th=(n−n)×d
前記数式1及び2において、nは、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率であり、nは、フィルム面内においてn方向に垂直な方向の屈折率であり、nは、厚さ方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
【請求項26】
前記光学フィルムは、1%以下のヘイズ値を有することを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項27】
前記光学フィルムは、光弾性係数が10以下であることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項28】
前記光学フィルム上に粒径15.9mm、重量16.3gの鋼鉄球をテストフィルム上に落下させたとき、穴が生じる高さが600mm以上であることを特徴とする請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項29】
請求項19に記載の光学フィルムを含む液晶表示装置。
【請求項30】
前記液晶表示装置は、VAモードであることを特徴とする請求項29に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−518052(P2012−518052A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550072(P2011−550072)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001019
【国際公開番号】WO2010/095870
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】