説明

アクリレ−ト感圧接着性剤物質の無溶媒製造法

本発明は、少なくとも1つの重合段階が少なくとも1つの反応押出し機内で行われる、アクリルモノマ−を重合調整剤の存在下にポリアクリレートに連続重合する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無溶媒重合によるアクリレ−ト感圧接着剤の改良された連続製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的な感圧接着剤テープの用途に対して、ポリアクリレ−ト感圧接着剤を使用することはごく普通である。ポリアクリレ−トは他の弾性体よりも種々の利点を有する。それらはUV光、酸素、及びオゾンに対して非常に安定である。合成及び天然ゴム接着剤は、一般に二重結合を含み、これが接着剤を上述した環境の影響に対して不安定にさせている。ポリアクリレ−トの更なる利点は、比較的広い温度範囲にわたるその透明性とその有用性である。
【0003】
ポリアクリレ−ト感圧接着剤は一般にフリーラジカル重合により溶液中で製造される。一般的にいって、ポリアクリレ−トは溶液から対応する担体材料上にコ−ティングバ−でコ−ティングされ、続いて乾燥せしめられる。付着性を向上させるためには、ポリマ−を架橋させる。硬化は熱的にまたはUV架橋でまたはEB硬化(EB=電子線)で行われる。上述した操作は、概して溶媒がリサイクルされず、有機溶媒の高消費量が高い環境負荷を意味するから、比較的費用がかかり且つ環境的に好ましくない。
【0004】
更に感圧接着剤接着テープを気泡なしに高コ−ティング重量で製造することは非情に困難である。
【0005】
これらの欠点の対処は、ホットメルト法である。この方法では、感圧接着剤(PSA)は溶融物から担体材料に適用される。しかしながらこの新技術は、制限も含んでいる。コ−ティングに先立って、溶液中で製造されたPSAからは溶媒が乾燥押出し機で除去される。この乾燥押出し機での濃縮操作は、公知のようにポリマ−溶液から溶媒が<2%の残存量まで除去される。それゆえに重合は溶液中で行われるから、有機溶媒の高消費は、環境的及び経済的に問題をもたらす。更なる問題点は、接着剤中の残存するかもしれない溶媒残渣が続く使用に際して悪臭をもたらすことである。
【0006】
それゆえにアクリレ−トPSAの無溶媒重合は、全体としてかなりの工程改善に帰結しよう。しかしながら、これは重合がかなりの発熱と粘度上昇と関係があるから非常に困難である。この高粘度は、混合及び更に熱の除去及び反応管理の問題に導く。このビニルモノマ−のフリーラジカル重合は公知であり、広く記述されている(非特許文献1)。
【0007】
特許文献1は2軸スクリュー押出し機でのポリアクリレートの無溶媒製造を記述する。しかしながらこの方法で製造されたアクリレ−トホットメルトPSAは、ある場合には非常に高い55%までのゲル画分を有し、従ってPSAの以降の加工処理をかなり損なう。この高ゲル画分は最早接着剤をコ−ティングできないことを意味する。
【0008】
この欠点を減じる1つの解決法は、低い平均分子量及び狭い分子量分布を有するポリアクリレ−ト接着剤によって可能である。より低分子量画分の減少は、PSAの剪断力を減じるオリゴマ−数を低下させる。
【0009】
低分子量PSAを製造するには、種々の重合法が適している。そのような技術は調整剤、例えばアルコ−ルまたはチオ−ルを使用することである(非特許文献2)。これらの調整剤は分子量を減じるが、分子量分布を広くする。
【0010】
更なる使用される制御された重合法は、原子移動ラジカル重合法(ATRP)である。この場合、用いられる開始剤は好ましくは単官能性または二官能性の第2級または第3級ハライドであり、このハライドはCu、Ni、Fe、Pd、Pt、Ru、Os、Rh、Co、Ir、Cu、Ag、またはAuの錯体を用いて引き抜かれる(特許文献2−6)。このATRPの種々の可能性は、更に特許文献7−9に記述されている。一般的にいって、金属触媒が使用されるが、この副作用はPSAの老化(ゲル化、エステル交換)に悪影響を与えることである。更に、多くの金属触媒は有毒であり、接着剤を変色させ、そして費用をかけ、簡便でない沈殿法を用いて始めてポリマーから除去できる。
【0011】
他の態様はRAFT法(可逆的付加−解離連鎖移動)である。この方法は特許文献10及び11に詳細に記述されているが、言及されている方法はPSAの製造に適当ではない。なぜならば、達成される転化率は非常に低く、製造されるポリマ−の平均分子量はアクリレ−トPSAにとって低すぎるからである。これは特許文献12にBDFで記述される方法で改善される。
【0012】
特許文献13は、制御されたフリーラジカル重合法を開示している。この方法は、開始剤として式R´RN−O−X(但し、Xは不飽和モノマ−を重合させ得るフリーラジカル種を表わす)の化合物を使用する。しかしながら、一般に、反応は低転化率を示す。特別な問題は非常に低収率且つ低分子量で進行するアクリレ−トの重合である。
【0013】
特許文献14は、対称置換形の開鎖アルコキシアミン化合物を記述する。特許文献15は、狭い多分散性を有する熱可塑性ポリマ−の製造法を開示している。
【0014】
特許文献16は重合法を記述するが、非常に特別なラジカル化合物、例えば含燐ニトロキシドが記述されている。
【0015】
特許文献17はイミダゾリジンに基づく特別なニトロキシルを記述している。
【0016】
特許文献18は、モルフォリン、ピペラジノン、及びピペラジンジオンに基づく特別なニトロキシルを記述する。
【0017】
特許文献19は、制御されたフリーラジカル重合における調整剤としての複素環アルコキシアミンを開示する。
【0018】
アルコキシアミンまたは対応する遊離のニトロキシドの対応する発展は、ポリアクリレ−トの製造に対する効率を改善させた(非特許文献3及び4)。
【0019】
上述した特許及び論文はフリーラジカル重合反応の制御を改善することを試みた。それにもかかわらず、非常に反応性である、また高転化率が高分子量及び低多分散度と同時に具現化できる重合法が必要とされる。これは特にアクリレ−トPSAの共重合に対して真実である。その理由はPSAの用途に対しては高分子量が必須だからである。これらの必要条件は特許文献20に見られる。ここでは、重合が溶媒としての有機溶媒または水中で行われ、この場合にも高溶媒消費量及び/または溶媒除去の問題をもたらす。
【特許文献1】ヨ−ロッパ特許第0160394号
【特許文献2】ヨ−ロッパ特許第0824111号
【特許文献3】ヨ−ロッパ特許第0826698号
【特許文献4】ヨ−ロッパ特許第0824110号
【特許文献5】ヨ−ロッパ特許第0841346号
【特許文献6】ヨ−ロッパ特許第0850957号
【特許文献7】米国特許第5945491号
【特許文献8】米国特許第5854364号
【特許文献9】米国特許第5789487号
【特許文献10】WO第98/01478号
【特許文献11】WO第99/31144号
【特許文献12】独国特許第10030217号
【特許文献13】米国特許第4581429号
【特許文献14】WO第98/13392号
【特許文献15】ヨ−ロッパ特許第0735052A1号
【特許文献16】WO第96/24620号
【特許文献17】WO第98/30601号
【特許文献18】WO第98/4408号
【特許文献19】独国特許第19949352A1号
【特許文献20】独国特許第10036801A1号
【非特許文献1】ウルマンの工業化学辞典、第2版、第A21巻、1992年、305ページ以降、VCH(Weinheim)
【非特許文献2】ハンス(Hans)−ジョ−ジ(Georg)エリアス(Elias)著、マクロモレキュ−ル(Makiromolekuele)、第5版、1990年、ヒュエチッヒ・ウント・ウェップ(Huetig & Wepf)出版
【非特許文献3】ホ−カ−(Hawker,C.J.)、アメリカ化学会年会、1997年春、サンフランシスコ
【非特許文献4】ヒュ−スマン(Husemann,M.)、IUPAC世界ポリマ−会議、1998年、オ−ストラリア・ゴ−ルドコ−ストにおける「リビングラジカル重合を用いる新しいポリマ−ブラシへの研究」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、前述した先行技術の欠点を全然有しないかまたは低下した程度しか有しないアクリレ−トホットメルトPSAの無溶媒製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、驚くべきことに、ポリアクリレ−トの狭い分子量分布を与える調整物質の使用が反応押出し機、特にプラネタリ−ロ−ラ−押出し機中での無溶媒重合法へ特に有利に影響するという発見により達成される。
【0022】
重合方法を調整する、以下により詳細に記述される物質の使用の結果として、プラネタリ−ロ−ラ−押出し機中での無溶媒重合は狭い分子量分布のポリマ−を生成する。ポリマ−中の低分子量及び高分子量画分ははっきりと減じられる。高分子量画分における低下の結果として、流れ粘度は低下する。これはプラネタリ−ロ−ラ−押出し機における改良された混合に、また熱の付加及び除去における改善につながる。狭い分子量分布を有するポリマ−を生成するプラネタリ−ロ−ラ−押出し機での重合に帰結する調整物質を使用すれば、驚くことに結果として無溶媒重合法が運転のばらつきにかなり敏感でなくなるということが発見された。例えば温度または回転速度のばらつきに起因するゲルの生成傾向は、かなり、また予想外に減じられる。更に、このようにして製造されたポリマ−は接着剤技術の性質として有利な高い架橋効率を示す。
【0023】
本発明は、重合調整剤の存在下におけるアクリルモノマ−のポリアクリレ−トへの連続重合法、但し少なくとも1つの重合工程が少なくとも1つの反応押出し機中で行われる方法を提供する。この反応押出し機は、非常に有利にはプラネタリ−ロ−ラ−押出し機、特に水圧充填式プラネタリ−ロ−ラ−押出し機(hydraulically fille
d planetary roller extruder)である。
【0024】
重合調整剤は、ニトロキシド調整剤及び/またはRAFT調整剤、特にアルコキシアミン、トリアゾリニル化合物、チオエステル及び/またはチオカ−ボネ−トの群から有利に選択される。
【0025】
プラネタリ−ロ−ラ−押出し機での無溶媒重合に特に適当であることが分かった調整剤は、その遊離のニトロキシル前駆物質と及びゆっくり熱分解するアゾまたはパ−オキソ開始剤と組み合わせたタイプ(II)の非対称アルコキシアミンである。非常に有利には、一般式
【0026】
【化1】

【0027】
[式中、R´、R´´、R´´´及びR´´´´は互いに独立に選択され、そして
a)分岐し及び非分岐のC−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキニル基、
b)少なくとも1つのOH基またはハロゲン原子またはシリルエ−テルで置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
c)少なくとも1つの酸素原子及び/またはNR基を炭素鎖に有するC−C18ヘテロ−アルキル基、但しRは基a)、b)またはd)−g)の1つから選択される、
d)少なくとも1つのエステル基、アミン基、カ−ボネ−ト基及び/またはエポキシド基及び/または硫黄及び/または硫黄化合物、特にチオエ−テルまたはジチオ化合物で置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
e)C−C12シクロアルキル基、
f)C−C10アリ−ル基、
g)水素、
であり、
Xは、少なくとも1つの炭素原子を有する基であり且つXに由来するフリーラジカルX・がエチレン性不飽和モノマ−の重合を開始しうる]
の化合物を組み合わせた開始剤系をフリーラジカル重合に使用することができる。
【0028】
この場合、ハロゲンは好ましくはF、Cl、BrまたはI、より好ましくはClまたはBrである。種々の置換基におけるアルキル、アルケニル、及びアルキニル基としては、直鎖及び分岐鎖の両方が際立って適当である。
【0029】
炭素数1−18のアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びヘキサデシルを含む。
【0030】
炭素数3−18のアルケニル基の例は、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2、4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、及びオレイルである。
【0031】
炭素数3−18のアルキニル基の例は、プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル、及びn−2−オクタデシニルである。
【0032】
ヒドロキシ置換アルキル基の例は、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルまたはヒドロキシヘキシルである。
【0033】
ハロゲン置換アルキル基の例は、ジクロロブチル、モノブロモブチルまたはトリクロロヘキシルである。
【0034】
少なくとも1つの酸素原子を炭素鎖中に有する適当なC−C18ヘテロ−アルキル基は例えば−CH−CH−O−CH−CHである。
【0035】
−C12シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはトリメチルシクロヘキシルを含む。
【0036】
−C10アリ−ル基の例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、または更なる置換フェニル基、例えばエチルフェニル、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ジクロロベンゼンまたはブロモトルエンを含む。
【0037】
これらの列挙は、各群の化合物の例示としてだけに役立ち、完璧なものではない。
【0038】
本発明の1つの特に好適な具体例において、化合物(Ia)及び(IIa)の組み合わせは開始剤系として使用される:
【0039】
【化2】

【0040】
本発明の開始剤系の更に有利な展開において、更なるフリーラジカル重合開始剤、特に熱分解するフリーラジカル生成アゾまたはパ−オキソ開始剤が存在している。しかしながら、アクリレ−トに関して公知のすべての通常の開始剤は、この目的に本質的に適当である。C中心ラジカルの生成は、フ−ベン・ワイル(Houben Weyl)著、有機化学法、第E10a巻、60−147ページに記述されている。これらの方法は優先的に同様に使用される。
【0041】
フリーラジカル源の例は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、及びアゾ化合物である。典型的なフリーラジカル開始剤は、限定を意味しない例として、パーキオソ二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、アゾジイソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルパ−カ−ボネ−ト、tert−ブチ
ルパ−オクトエ−ト、及びベンズピナコ−ルが言及できる。ある非常に好適な態様において、使用されるフリーラジカル開始剤は1、1´−アゾビス(シクロヘキサンカ−ボニトリル)[デュポン社からのバゾ(Vazo)88TM]である。
【0042】
式(II)の化合物は、モノマ−に基づいて、好ましくは0.0001−1モル%、より好ましくは0.0008−0.0002モル%の量で存在する。式(I)の化合物は、化合物(II)に基づいて、好ましくは1−10モル%、より好ましくは3−7モル%の量で存在する。c)からの熱分解する開始剤は、特に好適には式(II)の化合物に基づいて1−10モル%、より好ましくは3−7モル%の量で存在する。
【0043】
反応は、式(II)の開始剤成分のX−O結合の開裂で開始される。結合の開裂は、好ましくは超音波処理、加熱またはγ線照射の波長範囲の電磁線照射への露呈、或いはマイクロ波により行われる。より好ましくは、C−O結合の開裂は、加熱により、70−160℃の温度で行われる。
【0044】
ある更に有利な展開において、使用される開始剤系は、一般式
【0045】
【化3】

【0046】
[式中、R、R##、R###及びR####は互いに独立に選択され或いは同一であり、そして
・分岐した及び非分岐のC−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキニル基、
・C−C18アルコキシ基、
・少なくとも1つのOH基またはハロゲン原子またはシリルエ−テルで置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
・少なくとも1つの酸素原子及び/またはNR####基を炭素鎖に有するC−C18ヘテロアルキル基、但しR####はいずれか所望の有機基であることができ、特に分岐した及び非分岐のC−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキニル基、
・少なくとも1つのエステル基、アミン基、カ−ボネ−ト基、シアノ基、イソシアナト基及び/またはエポキシド基及び/または硫黄、特にチオエ−テルまたはジチオ化合物で置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
・C−C12シクロアルキル基、
・C−C10アリ−ル基、
・水素、
である]
の少なくとも1つのトリアゾリニル化合物である。
【0047】
式(I)の調整剤(上述した開始剤系の意味でのトリアゾリニル化合物)は、より好適な態様において、次の更に限定された化合物からなる。
【0048】
この場合、ハロゲンは好ましくはF、Cl、BrまたはI、より好ましくはClまたはBrである。種々の置換基におけるアルキル、アルケニル、及びアルキニル基としては、直鎖及び分岐鎖のものが際立って適当である。
【0049】
炭素数1−18のアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルである。
【0050】
炭素数3−18のアルケニル基の例は、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2、4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、及びオレイルである。
【0051】
炭素数3−18のアルキニル基の例は、プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル、及びn−2−オクタデシニルである。
【0052】
ヒドロキシ置換アルキル基の例は、ヒドロキシイプロピル、ヒドロキシブチルまたはヒドロキシヘキシルである。
【0053】
ハロゲン置換アルキル基の例は、ジクロロブチル、モノブロモブチルまたはトリクロロヘキシルである。
【0054】
少なくとも1つの酸素原子を炭素鎖中に有する適当なC−C18ヘテロ−アルキル基は例えば−CH−CH−O−CH−CHある。
【0055】
−C12シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはトリメチルシクロヘキシルを含む。
【0056】
−C10アリ−ル基の例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、または更なる置換フェニル基、例えばエチルベンゼン、プロピルベンゼン、p−tert−ブチルベンジルなど、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ジクロロベンゼンまたはブロモトルエンを含む。
【0057】
これらの列挙は、各群の化合物の例示としてだけに役立ち、完璧のものではない。
【0058】
ある特に有利な方法において、トリアゾリニル化合物は、R###及びR####が互いにスピロ化合物の形で連結するように選択される。
【0059】
非常に好適には、化合物(Ia)及び(Ib)は調整剤として使用される。
【0060】
【化4】

【0061】
開始剤系の化合物は、モノマ−混合物に基づいて、0.001−10モル%、好ましくは0.01−1モル%の量で存在する。
【0062】
本方法の更なる展開において、無溶媒重合は少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を、重合調整剤としての少なくとも1つのチオエステルと共に存在させて行われる。
【0063】
本発明の特に好適な態様において、使用されるチオエステルは、次の一般構造式
【0064】
【化5】

【0065】
[式中、R§及びR§§は互いに独立に選択され、R§は群i)−iv)の1つからの基であり、そしてR§§は群i)−iii)の1つからの基である:
i)直鎖又は分岐鎖のC−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−Cアルキニル基;アリ−ル、フェニル、ベンジル、脂肪族及び芳香族ヘテロ環、
ii)−NH、−NH−R、−NR、−NH−C(O)−R、−NR−C(O)−R、−NH−C(S)−R、−NR−C(S)−R
【0066】
【化6】

【0067】
但し、R及びRは互いに独立に群i)から選択される、
iii)−S−R、−S−C(S)−R
但し、Rは群i)またはii)の1つから選択される基である、
iv)−O−R、−O−C(OR)−R
但し、Rは群i)またはii)の1つから選択される基である]
の化合物である。
【0068】
従って使用される調整剤は、好ましくはジチオエステル及びトリチオカ−ボネ−トである。本発明の方法の更なる有利な態様において、チオエステルは0.001−5%,特に0.025−0.25%の重量画分で使用される。更に、本発明の目的に対して、フリーラジカル開始剤とチオエステルのモル比は50:1−1:1、特に10:1−2:1の範
囲にある場合に非常に好適である。
【0069】
この場合、本発明において非常に有利に使用できる重合調整剤は、トリチオカ−ボネ−トまたはジチオエステルである。
【0070】
重合に対して、一般式
【0071】
【化7】

【0072】
[式中、R及びR$$は互いに独立に選択され、または同一であってもよい:
−分岐した及び非分岐のC−C18アルキル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキニル基、
−HまたはC−C18アルコキシ基、
−少なくとも1つのOH基またはハロゲン原子またはシリルエ−テルで置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
−少なくとも1つの酸素原子及び/またはNR基を炭素鎖に有するC−C18ヘテロアルキル基、
−少なくとも1つのエステル基、アミン基、カ−ボネ−ト基、シアノ基、イソシアナト基及び/またはエポキシド基及び/または硫黄で置換されたC−C18アルキニル基、C−C18アルケニル基、C−C18アルキル基、
−C−C12シクロアルキル基、
−C−C18アリ−ルまたはベンジル基、
−水素]
の調整剤を使用することが好ましい。
【0073】
種類(I)の調整剤は、より好適な態様では以下の化合物からなる。
【0074】
この場合、ハロゲンは好ましくはF、Cl、BrまたはI、より好ましくはClまたはBrである。種々の置換基におけるアルキル、アルケニル、及びアルキニル基としては、直鎖及び分岐鎖のものが際立って適当である。
【0075】
炭素数1−18のアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルを含む。
【0076】
炭素数3−18のアルケニル基の例は、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2、4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、及びオレイルである。
【0077】
炭素数3−18のアルキニル基の例は、プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル、及びn−2−オクタデシニルである。
【0078】
ヒドロキシ置換アルキル基の例は、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルまたはヒドロキシヘキシルである。
【0079】
ハロゲン置換アルキル基の例は、ジクロロブチル、モノブロモブチルまたはトリクロロヘキシルである。
【0080】
少なくとも1つの酸素原子を炭素鎖中に有する適当なC−C18ヘテロ−アルキル基は例えば−CH−CH−O−CH−CHである。
【0081】
−C12シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはトリメチルシクロヘキシルを含む。
【0082】
−C10アリ−ル基の例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、4−tert−ブチルベンジルまたは更なる置換フェニル、例えばエチルフェニル、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ジクロロベンゼンまたはブロモトルエンを含む。
【0083】
これらの列挙は、各群の化合物の例としてだけ役立ち、完璧のものではない。
【0084】
更に、次の種類の化合物も調整剤として適当である:
【0085】
【化8】

【0086】
[式中、R$$$は上述した基RまたはR$$を、互いに独立に含んでなる]。
【0087】
本発明のある好適な具体例において、(Ia)及び(IIa)は調整剤として用いられる。
【0088】
【化9】

【0089】
成長の制御されたフリーラジカル機構で進行する上述した重合と関連した、更なるフリーラジカル重合開始剤、特に熱分解するフリーラジカル生成アゾまたはパ−オキソ開始剤を更に含む開始剤系を使用することは好適である。しかしながらこの目的のためにアクリレ−トに対して公知のすべての通常の開始剤が本質的に適当である。C中心ラジカルの生成は、フ−ベン・ワイル(Houben Weyl)著、有機化学法、第E10a巻、60−147ページに記述されている。これらの方法は優先的に同様に使用される。
【0090】
本発明の方法のある非常に有利な展開においては、更なるフリーラジカル重合開始剤、特に熱分解開始剤、特にフリーラジカル生成アゾまたはパ−オキソ開始剤が存在している。これらの開始剤は、好ましくは重合前または重合中に添加され、更なる開始剤の添加は少なくとも2つの工程段階で行われる。
【0091】
本発明は更にアクリレ−ト感圧接着剤の製造法を提供する。この場合には、エチレン性不飽和化合物、特に(メタ)アクリル酸及び/またはその誘導体からなるモノマ−混合物を、上述した本発明の開始剤系を用いてフリーラジカル重合に供する。
【0092】
モノマ−混合物としては、一般式
【0093】
【化10】

【0094】
[式中、R=HまたはCH及びR&&=Hまたは炭素数1−20のアルキル鎖]
のアクリルモノマ−からなる混合物を使用するのが好適である。
【0095】
本発明の方法のある有利な具体例において、使用されるモノマ−は、更に30重量%までの画分で、ビニル化合物、特に以下の群から選択される1つまたはそれ以上のビニル化合物を含む:ビニルエステル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、エチレン性不飽和炭化水素のニトリル。
【0096】
言及できるこの種のビニル化合物の例は、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、ビニルピリジン、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、エチルビニルエ−テル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレンを含む。これらは例示であって、不必要に制限を加えるものではない。更に上述した群の中に入るすべての更なるビニル化合物、及び上述の化合物群に入らないすべての他のビニル化合物を使用することもできる。
【0097】
重合に際してモノマ−は、得られるポリマ−が工業的に有用なPSAとして使用できるように、特に得られるポリマ−がドナタス・サタス(Donatas Satas)著、「感圧接着剤技術ハンドブック」、ファン・ノストランド社(van Nostrand,New York)、1989年に従うPSA特性を有するように選択される。これらの用途に対して、得られるポリマ−の静的ガラス転移温度は有利には25℃以下である。
【0098】
製造されるポリマ−は、好ましくは50000−600000g/モル、より好ましくは100000−500000g/モルの平均分子量を有する。この平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィ−(SEC)またはマトリックス支援レーザー脱着/イオン化−質量分析(MALDI−MS)で決定される。反応条件に依存して、本方法で製造されるアクリレ−トPSAはM/M<4.5の多分散度を有する。
【0099】
ポリアクリレ−トホットメルトPSAの無溶媒製造は押出し機で有利に行えることが発見された。特にプラネタリ−ロ−ラ−押出し機は、この種の方法に適当であることが分かった。プラネタリ−ロ−ラ−押出し機での重合は、ゲルの生成傾向が例えば2軸押出し機の場合より実質的に低いという利点を有し、特に調整剤及び共重合しうる光開始剤を使用
する場合、観察されるゲル生成傾向は特に低い。結果として、これは更なる加工に対して非常に良好な性質を有し、更に非常に効率よく架橋できる狭い分布のポリアクリレ−トホットメルトPSAを与える。
【0100】
プラネタリ−ロ−ラ−押出し機での重合の場合には普通短い滞留時間であるために、プラネタリ−ロ−ラ−押出し機での重合中に重合調整剤を使用する時、良好な架橋性を有するポリアクリレ−トホットメルトPSAが製造されるであろうとは予見できなかった。
【0101】
低多分散度は、プラネタリ−ローラー押出し機での重合の場合利点をもたらし、この結果プラネタリ−ローラー押出し機の特徴である際だった混合性を増大させる。また調整剤の使用は、無溶媒重合のために有利な帰結を示す低分散度のポリマ−をもたらす。特に無溶媒重合の場合に決定的な役割を演じる粘度は、低多分散度の結果として、無溶媒重合に有利な範囲に移行する。より大きな多分散度により粘度が上昇し、それにより熱除去の選択性を減じ、更に反応器の混合作用を減じる。これらの性質は無溶媒重合の信頼できる実行に対して決定的に重要である。更に、多分散度の粘度に対する正の影響の結果として、より高い転化が可能であり、また結果として接着剤のホットメルトPSAとしての使用に重要であるゲル生成傾向が減じられる。
【0102】
プラネタリ−ローラー押出し機は、特に際だった熱特性のために、また温度制御の非常に多様な可能性のために無溶媒重合に対し適当である。
【0103】
使用される押出し機は、好ましくは連続的に運転される。ル−プ(loop)運転としても言及される生成物流の部分的循環も有利である。最も有利な点は、水圧充填されたプラネタリ−ローラー押出し機でポリアクリレ−トPSAを無溶媒製造することである。この水圧充填は、無酸素状態の確立を容易にし、またスクリュ−長にわたる最良の利用を可能にする。その上、重合操作を混乱させる相界面が回避される。
【0104】
モノマ−は、重合反応器へ個別にまたは混合物として秤量される。特に共重合しうる光開始剤の予備的混合は、反応混合物の均一な分布を保証する。しかしながら、反応器中での混合も可能であり、異なる反応物質流を一緒に上流の、動的に運転されるまたは静的混合機もしくはミクロ混合機であってよい連続混合機に供してもよい。
【0105】
更なる物質、例えば開始剤、重合調整剤及び更なるモノマ−の、例えば反応器の長さ方向にそう反応物質流への添加も可能である。直列の複数のローラー筒からなるプラネタリ−ローラー押出し機を使用する場合、この種の添加はローラー筒の連結フランジに開けられた孔を通して行いうる。適当な開始剤または開始剤混合物の後続秤入により、高1次ラジカル濃度の結果として、同時にポリマ−の低分子量化またはゲル化を誘導することなく、高い転化率を達成することが可能である。
【0106】
本方法のある展開において、プラネタリ−ローラー押出し機での重合後、ポリマ−は依然揮発性である成分、例えば未反応のモノマ−が脱気押出し機で除去される。これらの成分は、その組成決定後、反応物質流へ戻すことができる。
【0107】
本方法の他の展開においては、重合後、必要ならば脱気後、更に適当ならば重合押出し機で及び/または下流の混練押出し機で行ってもよい1つまたはそれ以上の添加剤の添加後、ポリマ−を、有利にはゲルのない溶融物から裏打ち材上にコーティングする。ここに「ゲルのない」とは、通常使用される且つこの目的のために同業者が熟知するコ−ティング装置を用いる組成物のコ−ティング性に対する必要条件に対応するものである。特に通常使用されているコ−ティングノズルを通して或いはローラー塗布機を用いてコーティングする場合の、不均一性または縞模様のない均一なコ−ティング図柄で特色付けられるコ
−ティング性に対応するものである。
【0108】
次いでポリマ−を高エネルギー照射で及び/または熱で架橋することが有利である。これは特に裏打ち材上へのコ−ティング操作後に行われる。
【0109】
要するに、有利な方法に対して次の手順に従うことができる。
・(メタ)アクリル酸に基づくモノマ−ばかりでなく、重合調整剤を含むモノマ−混合物の重合過程、
・無溶媒で行う重合、
・プラネタリ−ローラー押出し機の使用により可能な重合、
・調整剤を使用する結果としての、1.2−4.5の、特に4以下までの多分散度の達成、・場合によって重合反応に続く脱気操作、
・ポリマ−の、直接的な更なる加工可能、溶媒の循環の不必要、
・ポリマ−のゲルのない溶融物からのコ−テイング、及び
・コ−ティング後、高エネルギー照射及び/または熱を用いる架橋。
【0110】
本方法で製造されるポリアクリレ−トを感圧接着剤(PSA)として使用する場合、ポリアクリレ−トは随時少なくとも1つの樹脂と混合して最適化される。使用しうる添加のための粘着性付与樹脂は、例外なく、文献に記述されるすべての現存する粘着性付与剤を含む。言及できる代表的なものは、ピネン樹脂、インデン樹脂、及びロジン、これらの不均化、水素化、重合体化、及びエステル化誘導体及び塩、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂及びテルペン−フェノ−ル樹脂、更にC5、C9、及び他の炭化水素樹脂を含む。これらの及び更なる樹脂のいかなる所望の組み合わせも、必要に応じて得られた接着剤の性質を調節するために使用できる。一般的にいって、対応するポリアクリレ−トと親和性がある(溶解する)いずれかの樹脂を使用することが可能である:特にすべての脂肪族、芳香族、及びアルキル芳香族炭化水素樹脂、単独モノマ−に基づく炭化水素樹脂が参照できる。この技術の現状については、ドナタス・サタス著、「感圧接着剤技術ハンドブック」、ファン・ノストランド社、1989年を参照することができる。
【0111】
更なる有利な展開においては、1つまたはそれ以上の可塑剤、例えば低分子量ポリアクリレ−ト、フタレ−ト、鯨油可塑剤または可塑化樹脂がPSAに秤入される。
【0112】
アクリレ−トホットメルトは、更に1つまたはそれ以上の添加剤、例えば老化防止剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、樹脂、核剤、膨張剤、混練剤、及び/または促進剤と混合することができる。更にそれは、1つまたはそれ以上の充填剤、例えば繊維、カ−ボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、固体または中空ガラス(ミクロ)ビーズ、他の材料のミクロビーズ、シリカ、ケイ酸塩、及びチョークと混合してもよい。ブロックでないイソシアネ−トの添加も更に可能である。
【0113】
特にPSAを使用する場合、ポリアクリレ−トを好ましくは溶融物から裏打ち材に層として塗布するならば、それは本発明の方法にとって有利である。
【0114】
次いで本方法のある有利な態様において、ポリアクリレ−ト材料は、ホットメルト組成物として層の形で裏打ち材に塗布される。
【0115】
例えば接着剤テープの場合、PSAに対して使用される裏打ち材料は同業者の熟知する通常の材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC)、不織布、発泡物、織り布、及び織りフィルム、更に剥離紙(グラシン紙、HDPE、LDPE)であるが、これがすべてではない。
【0116】
特にPSAとして使用する場合、裏打ち材にまたは裏打ち材料にコ−ティングさせた後、ポリアクリレ−トを架橋させることは特に有利である。PSAテープを製造する場合、上述したポリマ−はこの目的に対して随時架橋剤と混合される。架橋は有利には加熱手段により、または高エネルギー照射により誘導できる。後者の場合には、特に電子線(EB)または適当な光開始剤添加後の紫外線の照射がある。
【0117】
本発明の方法に従って照射下に架橋する好適な物質の例は、二官能性または多官能性アクリレ−ト或いは二官能性または多官能性ウレタンアクリレ−ト或いは二官能性または多官能性イソシアネ−ト或いは二官能性または多官能性エポキシドである。しかしながら、同業者には熟知の、ポリアクリレ−トを架橋しうるすべての更なる二官能性または多官能性化合物を使用することもできる。
【0118】
適当な光開始剤は、好ましくはノ−リッシュI型及びII型の開裂化合物である。両種のいくつかの可能な例は、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体、フェニルシクロヘキシルケトン誘導体、アンスラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、トリアジン誘導体、またはフルオレノン誘導体であるが、これらは例示であって、すべてではない。
【0119】
本発明の方法で製造されるポリアクリレートの感圧接着剤としての使用も特許請求される。特に有利には、ポリアクリレ−トPSAを裏打ち材の片面または両面に塗布した、接着テープに対して記述されるようなポリアクリレ−トPSAの使用法である。
実施例
実施法
重合法(方法A)
重合は3つの直列のローラー筒からなるプラネタリーローラ−押出し機を反応器として用いて実行した。用いたローラー筒はローラー直径D=70mmを有し、7つのプラネタリ−スピンドルを備えていた。中央スピンドルばかりでなく、ローラー筒も、互いに別の温度制御回路を備えていた。使用した温度制御媒体は加圧水であった。重合では、反応器を連続的に運転した。仕込みに先立って、反応器を1時間窒素でフラッシュした。モノマ−及び開始剤から混合物を作った。この最初の仕込み物を、窒素を通過させて不活性にした。ポンプを用いて、反応混合物を、更なる供給具を備えた静的混合機により送り、次いで熱交換器を通して反応器に輸送した。この反応混合物を第1のローラー筒の周囲に開けた孔を通して反応器に連続的に添加した。反応器からの出口には、反応器の水圧充填を保証するバルブが位置した。供給物の予熱、中央スピンドル、及びローラー筒に対する熱交換器は特別な望ましい温度に制御した。中央スピンドルの場合80℃に設定し、供給物の予熱の媒体は90℃に設定した。ローラー筒1及び3は100℃に、ローラー筒2は95℃にした。中央スピンドルの回転速度は50回転/分であった。流体力学的滞留時間は15分であった。反応器から出てきた後、試料を採取して転化率を計算した。続いて依然存在する揮発成分を脱気押出し機で除去した。
見本材料の製造(方法B)
2つの加熱できるロールを持つホットメルトコ−タ−を用いて50g/mの塗布用割合で、厚さ23μmのサラン下塗りのPETフィルム上にコ−ティングした。
2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−トの製造
2、2´−ビス(フェニルエチル)チオカ−ボネ−トは、シント・コミュニケ−ションズ(Synth. Communications)、18(13)、1531−1536ページ(1988)の一連の教示に従って2−フェニルエチルブロミド及び二硫化炭素と水酸化ナトリウムから合成した。蒸留後の収率:72%。
特性値:H NMR(CDCl)δ(ppm):7.20−7.40(m,10H)、1.53、1.59(2xd,6H)、3.71、3.81(2xm,2H)。
試験法
製造したポリマ−及びPSAの性質を評価するために、次の試験法を使用した。
転化率の決定(試験A)
転化率は重量により決定し、用いたモノマ−の重量に対するパーセントとして表わした。ポリマ−は、真空室で乾燥して単離した。ポリマ−の重量を秤り、使用したモノマ−の最初の重量で割った。計算値は転化率パーセントに相当する。
ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−GPC(試験B)
平均分子量M及び多分散度PDはゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−で決定した。用いた溶離液は、トリフルオロ酢酸0.1容量%を含むTHFであった。測定は24℃で行った。用いたプレカラムは、PSS−SDV、5μ、10オングストロ−ム、内径8.0x50mmであった。分離は、それぞれ内径8.0x300mmのPSS−SDV、5μ、10及び更に10及び10オングストロ−ムのかラムを用いて行った。試料濃度は4g/lであり、流速は1.0ml/分であった。測定はPMMA基準で行った。
実施例
【実施例1】
【0120】
広いM分布、高分子量
ポリマ−を方法Aで製造した。使用した成分はアクリル酸5%、アクリル酸n−ブチル95%、及びアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%であった。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル指数を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造した。
【実施例2】
【0121】
狭いM分布、低分子量
ポリマ−を方法Aで製造した。使用した成分は、アクリル酸5%、アクリル酸n−ブチル95%、及び2、2´−ビスフェニルエチルチオカ−ボネ−ト0.124%、並びにアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%であった。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル値を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造した。
【実施例3】
【0122】
狭いM分布、低分子量
ポリマ−を方法Aで製造した。使用した成分は、アクリル酸1%、アクリル酸n−ブチル49.5%、アクリル酸2−エチルヘキシル49.5%及び2、2´−ビスフェニルエチルチオカ−ボネ−ト0.124%、並びにアゾイソブチロニトリル(AIBN,バゾ64、デュポン社)0.015%であった。平均分子量と多分散度を試験Bにより、転化率を試験Aにより、そしてゲル値を試験Cにより決定した。続いて見本試料を方法Bで製造した。
結果
表1は、先ず重合結果を要約する。
【0123】
表1
実施例 M(g/モル) 多分散度 転化率 コ−ティングに必要な
PD (%) ロール温度(℃)
1 2380000 6.1 72 コ−ティング不能
2 557000 3.5 65 120
3 431000 3.4 63 110
:GPCからの平均分子量
PD:M/M=GPCからの多分散度
実施例1は参照実施例として役立つ。本発明の方法に関しては、実施例2−3を示す。
実施例2−3において、低分子量を有するアクリレートPSAを製造した。調整剤を使用することにより、狭い分子量分布を有するポリマ−を得た。
【0124】
本方法の利点は、アクリレート材料のコ−ティング性を見ると明白である。実施例1は、非常に高分子量であり、コ−ティングできない。実施例2及び3の場合、調整剤の使用の結果として、分子量は、接着剤テープへの塗布に必要であるコ−ティングが可能であるような程度まで低下せしめられる。かくしてM557000g/モルの実施例2は120℃でコ−ティングでき、M431000g/モルの実施例3は丁度110℃でコ−ティングできる。本発明の方法により、製造された接着剤を低コ−ティング温度で加工することが可能になる。従って接着剤テープを完全に溶媒なしに製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの重合工程を、少なくとも1つの反応押出し機を用いて行う、重合調整剤の存在下アクリルモノマ−のポリアクリレ−トへの連続重合法。
【請求項2】
重合調整剤がニトロキシド調整剤及び/またはRAFT調整剤、特にアルコキシアミン、トリアゾリニル化合物、チオエステル及び/またはチオカ−ボネ−トの群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
ポリアクリレ−トが高々4.5の多分散度D=M/Mを有する、
請求項1の方法。
【請求項4】
ポリアクリレ−トが50000−600000g/モル、特に100000−500000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1−3のいずれか1つの方法。
【請求項5】
少なくとも1つの重合段階が、バルク重合として即ち溶媒を添加しないで行われる、請求項1−4のいずれか1つの方法。
【請求項6】
反応押出し機がプラネタリ−ロ−ラ−押出し機、特に水圧充填型プラネタリ−ロ−ラ−/押出し機である、請求項1−5のいずれか1つの方法。
【請求項7】
反応器のスクリュー長さ方向の下流において、更なる物質、特に開始剤、モノマ−、共重合しうる光開始剤、及び重合調整剤が添加される、請求項1−6のいずれか1つの方法。
【請求項8】
重合工程に次いで脱揮発成分が行われる、請求項1−7のいずれか1つの方法。
【請求項9】
重合及びいずれかのその後の脱揮発成分後に、ポリアクリレ−トを、溶融物から、特にゲルなしに、裏打ち材上にコ−ティングする、請求項1−8のいずれか1つの方法。
【請求項10】
特に裏打ち材上へのコ−ティング後に、ポリマ−を高エネルギ−照射で及び/または熱的に架橋させる、請求項1−9のいずれか1つの方法。
【請求項11】
重合前及び/または重合中、熱分解するフリーラジカル生成開始剤、特にアゾ開始剤及び/またはパ−オキソ開始剤が添加される、請求項1−10のいずれか1つの方法。
【請求項12】
請求項1−11のいずれか1つの方法で製造されたポリアクリレ−ト。
【請求項13】
請求項12のポリアクリレ−トの、感圧接着剤、特に片面または両面接着剤テープへの使用法。

【公表番号】特表2007−503519(P2007−503519A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529864(P2006−529864)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005349
【国際公開番号】WO2004/101627
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】