説明

アトルバスタチン4−(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態

本発明は、式(I)に示される、(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル (アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル)の、形態Aおよび形態Bのように示される2つの結晶形態に関する。また、本発明は、形態AおよびBの製造方法、2つの形態を含む医薬組成物、および多発性硬化症のような自己免疫疾患のみならず、急性冠症候群、脳卒中、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような神経変性疾患の治療および/または予防用のそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル(アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル)の2つの結晶形態AおよびB、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物、および多発性硬化症のような自己免疫疾患のみならず、急性冠症候群、脳卒中、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような神経変性疾患の治療および/または予防のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2004/105754は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの製造方法ならびにその治療用途を開示する。アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの製造方法を開示するとはいえ、WO 2004/105754は、その化合物の結晶形態に関して記載されていない。その実施例に開示されている手順は、粉末X線分析により証明された非晶質形態である。
【0003】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの非晶質形態は、有機溶剤中および強制的な熱条件下、湿度条件により不安定であることが見出された。したがって、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの非晶質形態の不安定性は、固体製剤の開発を複雑にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、安定でかつ医薬製剤の調剤用に精製が容易である、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態の発見が今も必要とされている。最後に、生成物が、特定の貯蔵条件を必要とすることなしに長期間安定であることが経済的に好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Aおよび形態Bで表される2つの結晶形態が意外にも見出された。新しい形態の各々は、固有の粉末X線回折図形および固有のラマンスペクトルによりその差異が認められる。
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの2つの結晶形態AおよびBは、水中で、有機溶剤中で、ならびに熱および湿気に曝されたときに良好な安定性を有する。
また、2つの結晶形態の分離は、医薬品質を満足させるために要求される高い化学的純度での、(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの工業的規模の生産のための簡便な精製手段による。
【0006】
発明の概要
本発明は、式(I):
【化1】

【0007】
の(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル (アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル)の2つの結晶形態AおよびB、ならびにその製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Bの粉末X線回折図形である。
【図2】図2は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Bのラマンスペクトルである。
【図3】図3は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Bの示差走査熱量測定の温度記録図である。
【図4】図4は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Aの粉末X線回折図形である。
【図5】図5は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Aのラマンスペクトルである。
【図6】図6は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Aの示差走査熱量測定の温度記録図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の1つの目的は、表1に表現されるような、2-シータ(2θ)= 9.47±0.1; 14.26±0.1; 15.03±0.1; 16.97±0.1; 18.70±0.1; 19.04±0.1; 19.71±0.1; 19.92±0.1; 20.82±0.1; 21.21±0.1; 21.77±0.1; 22.17±0.1; 22.44±0.1; 22.67±0.1; 23.97±0.1; 24.89±0.1; 25.24±0.1; 28.23±0.1; 30.36±0.1; 33.54±0.1に、10%より高い割合の強度ピークを有する粉末X線回折(PXRD)図形を有する(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル(アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル)の形態Bのように示される結晶形態を対象とする。
【0010】
【表1】

【0011】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Bは、表2に表現されるような、波長(λ) cm-1: 3064; 2963; 2947; 2943; 2918; 2890; 1665; 1603; 1560; 1528; 1508; 1481; 1452; 1435; 1409; 1400; 1365; 1311; 1241; 1182; 1159; 1036; 1006; 996; 825; 198; 112; 86に主要な吸収ピークを有するラマンスペクトルによりさらに特徴付けられる。
【0012】
【表2】

【0013】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態は、図3に提供されるような、密閉された金製坩堝中で10K min-1の加熱速度を用いて行われた、104-105℃にピーク最大値を有する融解吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)によっても特徴付けられる。
【0014】
本発明の他の目的は、表3に表現されるような、2-シータ(2θ)= 9.19±0.1; 10.42±0.1; 11.49±0.1; 18.48±0.1; 18.98±0.1; 19.53±0.1; 19.68±0.1; 20.22±0.1; 20.80±0.1; 21.04±0.1; 21.52±0.1; 21.77±0.1; 23.16±0.1; 23.53±0.1; 25.66±0.1; 26.78±0.1; 27.85±0.1 に、10%より高い割合の強度ピークを有する粉末X線回折(PXRD)図形を有する(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル (アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル)の形態Aのように示される結晶形態に関する。
【0015】
【表3】

【0016】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態は、表4に表現されるような、波長(λ) cm-1: 3057; 2968; 2944; 2929; 2919; 1662; 1605; 1533; 1509; 1481; 1462; 1446; 1423; 1409; 1380; 1367; 1313; 1280; 1243; 1180; 1156; 1035; 1006; 997; 880; 857; 227; 201; 101; 85に主要な吸収ピークを有するラマンスペクトルによりさらに特徴付けられる。
【0017】
【表4】

【0018】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Aは、図6に提供されるような、密閉された金製坩堝中で10K min-1の加熱速度を用いて行われた、98-100℃にピーク最大値を有する融解吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)によってさらに特徴付けられる。
【0019】
結晶形態の製造のために、懸濁、析出、再結晶または蒸発のような当該技術分野で公知の結晶化技術を用いてもよい。希釈、飽和または過飽和の溶液を適当な核剤でのシーディングの有無での結晶化に用いてもよい。溶剤 (混合溶剤)の沸点以下の温度を溶液の形成に適用してもよい。-5℃に至るまで、好ましくは室温に至るまで、結晶化および析出を開始するための冷却を適用してもよい。
【0020】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bは、次の工程:
クメン中の非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の-5℃での撹拌;
析出を完結させるためのクメンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む工程により製造される。
第2の手順では、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bは、次の工程:
1-オクタノール中の非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の40℃での撹拌;
析出を完結させるための1-オクタノールの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む工程により製造される。
【0021】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの他の製造方法は、次の工程:
酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)混液中の非晶質非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の5℃での撹拌;
析出を完結させるための冷酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)の更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む。
【0022】
更なる手順では、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bは、次の工程:
酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)混液中の非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の室温での撹拌;
析出を完結させるためのヘキサンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む工程により製造される。
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bは、次の工程:
トルエン/イソプロピルエーテル約1:2(V/V)混液中の非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の20-35℃での撹拌;
遠心分離による固体の採取
を含む工程によっても製造される。
【0023】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの他の製造方法は、次の工程:
50℃に加熱することによる、酢酸エチル/ヘキサン0.5:1(V/V)混液への非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
0℃に溶液を急冷することによる固体の析出;
ロ過による固体の採取
を含む。
【0024】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの更なる製造方法は、次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)混液中への非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
ヘキサン飽和雰囲気に溶液を曝すことによる固体の析出;
ロ過による固体の採取
を含む。
【0025】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bのなお更なる製造方法は、次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)混液中への非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
ヘキサン飽和雰囲気に溶液を曝すことによる固体の析出および
ロ過による固体の採取
を含む。
【0026】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Aは、次の工程:
室温でのtert−ブチルメチルエーテル中へのアトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの溶解;
析出を得るためのヘプタンの添加;
懸濁液の振とう;
析出を完結させるためのヘプタンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む工程により製造することができる。
【0027】
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Aの他の製造方法は、次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)混液中へのアトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの溶解;
ヘキサン添加による固体の析出;
懸濁液の振とう;
ロ過による固体の採取
を含む。
【0028】
本発明のもう1つの側面は、抗炎症性、抗血栓症および抗血小板の活性を有し、急性冠症候群、脳卒中、末梢血管疾患および内皮細胞機能不全に関連する全疾患の治療に用いられ、多発性硬化症のような自己免疫疾患のみならず、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような神経変性疾患の治療および/または予防用の医薬品としての式(I)のアトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル結晶形態AまたはBの使用を提供する。
【0029】
本発明は、医薬分野で通常用いられる非毒性の補助剤および/または担体と共に、少なくともアトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル結晶形態AまたはBを含む医薬組成物をも提供する。
【0030】
本発明のもう1つの側面は、アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル結晶形態AまたはBを、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、β‐アドレナリン遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗血栓剤、アスピリン、ニトロソ化されたACE阻害剤、ニトロソ化されたアンギオテンシンII受容体拮抗薬、ニトロソ化されたβ‐アドレナリン遮断薬およびニトロソ化されたアスピリンからなる群から選択された化合物と少なくとも組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0031】
投与される活性成分の日用量は、1回量とすることができ、また1日を通して投与される数回の最低用量に分けた有効量とすることができる。通常、合計の日用量は、好ましくは5-1000mgの量である。本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物を用いて記載された疾患を治療するための薬剤投与計画および投与間隔は、例えば、年齢、体重、性別および疾患の重篤さのみならず患者の病状、投与経路、薬理学的な考察および他の薬剤を用いて行われる並行療法を含む種々の要因により選択されるだろう。ある場合に、前記範囲の以下または以上および/またはさらに頻繁な投与レベルが適合されてもよく、かつこれは論理的に医師の診断の範囲内であってもよくかつ疾患の状態によってもよい。
【0032】
本発明の2つの化合物は、所望により、従来の非毒性の医薬的に許容され得る担体、補助剤および賦形剤を結局のところ含む製剤で、経口、非経口、直腸または吸入もしくはエアゾールによって局所に投与されてもよい。局所投与は、経皮的なパッチまたはイオン導入装置のような経皮的な投与の使用をも含む。ここで用いられる用語「非経口」は、皮下注射、静脈内の、筋肉内、胸骨内の注射または吸入技術を含む。
【0033】
注射可能な製剤、例えば滅菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適当な分散もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いる、既知の技術により製剤化してもよい。滅菌の注射可能な製剤は、非毒性で非経口の許容され得る希釈剤または溶剤中の、滅菌の注射可能の溶液または懸濁液であってもよい。許容され得る賦形剤および溶剤の中でも、水、リンガー溶液および等張食塩水である。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶剤または懸濁媒体として従来から用いられている。このために、いずれの滅菌の不揮発性油も、合成のモノもしくはジグリセリドを含んで用いてもよく、さらにオレイン酸のような脂肪酸は、注射可能の製剤における使用が見出される。
【0034】
薬剤の直腸投与用の座薬は、活性成分を、カカオ脂およびポリエチレングルコールのような適当な非刺激性の賦形剤と共に混合することにより調製できる。
【0035】
経口投与用の固形の剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびゲル剤を含む。このような固形の剤形において、活性化合物は、ショ糖、乳糖またはデンプンのような少なくとも1つの不活性な希釈剤と混合されていてもよい。このような剤形は、通常の慣行にあるように、不活性な希釈剤以外の追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤を含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤をも含んでいてもよい。錠剤および丸剤は、さらに腸溶剤皮を用いて調製することができる。
【0036】
経口投与用の液体の剤形は、水のような、この技術において一般に用いられる不活性な希釈剤を含む、製薬的に許容され得るエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。このような組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、および甘味、香味などのような補助剤をも含んでいてもよい。
【実施例】
【0037】
実施例部
結晶形態は、次の実験条件に基づいて、粉末X線回折、ラマンスペクトルおよびDSCにより特徴付けられた:
粉末X線回折データは、Bruker e X線回折計モデル D8 Advance、システム記述:銅Kα放射、電圧35kV、電流45mAを用いて得られた;
ラマンスペクトルデータは、OPUS 3.1ソフトウェアを有する機器Bruker RFS100; Nd:YAG 1064nm励起;100mWレーザー出力;Ge検出器;64走査;3500-25cm-1範囲;2cm-1分解能を用いて得られた;
示差走査熱量測定実験は、Perkin Elmer DSC7またはPerkin Elmer Pyris 1で行われた。N2環境で試料を充填した、密閉されたアルミニウムまたは金製の坩堝内で試料を分析した。加熱速度は、-50〜125℃範囲で10K min-1であった。
非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルを、WO 2004/105754の実施例7により製造した。
【0038】
実施例1
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの51mgをクメンの0.2ml中に懸濁した。懸濁液を-5℃で撹拌した。15分後、クメンの1.8mlをさらに加えた。全21.5時間の撹拌の後、白色の固体をロ過した。得られた生成物は、図1に示されるような粉末X線回折図形によって特徴付けられ、かつ図2に示されるようなラマンスペクトルによりさらに特徴付けられる、結晶Bである。示差走査熱量測定は、試料が図3に与えられるような、104-105℃にピーク最大値を有する融解吸熱を有することを示した。
【0039】
実施例2
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの100.4mgを1-オクタノールの0.2ml中に懸濁した。懸濁液を撹拌下で40℃に加熱した。20分後、1-オクタノールの1.8mlをさらに加えた。さらに4時間の撹拌の後、固体をロ過した。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0040】
実施例3
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル非晶質形態の105.1mgを冷酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)の0.3ml中に5℃で1時間撹拌した。冷酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)の1.7mlの更なる添加により析出を完結させた。ロ過により固体を採取した。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0041】
実施例4
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル非晶質形態の141.9mgを冷酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)の0.3ml中に懸濁した。10分後、混濁溶液に撹拌下、ヘキサンの0.5mlをさらに加え、ロ過により採取される白色の固体を与えた。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0042】
実施例5
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの74.5mgをトルエンの3.5mlおよびイソプロピルエーテル6 ml中に懸濁した。20-35℃で11日間撹拌した後、生成物を遠心分離により回収した。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0043】
実施例6
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの73.2mgを、酢酸エチル/ヘキサン1:2(v/v)混液の3.5ml中に50℃で溶解させた。透明な溶液を5分間撹拌し、より急速に0℃まで冷却し、かつ1.5時間撹拌した。次いで、懸濁液を室温でさらに1時間撹拌し、かつ真空下でロ過した。白色の粉末の37.3mgを得た。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0044】
実施例7
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの84.5mgを、酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)の3.5mlに溶解させた。溶液を、貯蔵ヘキサンを含む、より大きな密閉ガラス瓶に入れた。4日以内に析出が観察された。真空下でのロ過の後、固体を回収し、白色固体68.5mgがもたらされた。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0045】
実施例8
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの82.9mgを、酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)の0.8ml中に溶解させた。開放ガラス瓶に貯蔵された溶液、貯蔵ヘキサンを含む、より大きな密閉ガラス瓶に入れた。懸濁液を朝まで撹拌した。真空下でのロ過の後、固体を回収し、白色固体68.5mgがもたらされた。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例1に与えられた形態Bと合致した。
【0046】
実施例9
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Aの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの形態Bの295.8 mgを、酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)の2.8ml中に溶解させた。ヘキサンの7.2mlを加えた。懸濁液を室温で1.5時間浸とうし、次いで固体をロ過した。
得られた生成物は、図4に示されるような粉末X線回折図形によって特徴付けられ、かつ図5に示されるようなラマンスペクトルによりさらに特徴付けられる、結晶Aである。示差走査熱量測定は、試料が図6に与えられるような、98-100℃にピーク最大値を有する融解吸熱を有することを示した。
【0047】
実施例10
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Aの製造
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの80.0mgをtert−ブチルメチルエーテルの5ml中に溶解させた。ヘプタンの9mlを加えた。懸濁液を室温で1.5時間浸とうし、次いでヘプタンの0.4mlをさらに加えた。16.5時間の更なる振とうの後、固体を分離しかつ分析した。粉末X線回折図形およびラマンスペクトルは、実施例9に与えられた形態Aと合致した。
【0048】
安定性評価:
アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルAおよび形態Bの40℃でかつ75%の相対湿度の安定性を、非晶質形態と比較して評価した。アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態A、形態Bおよび非晶質を、40℃でかつ75%の相対湿度の存在下で1ヶ月間、開放ガラス瓶に貯蔵し、かつ1および4週間後に試料をラマンスペクトルおよびPXRDにより評価した。結果は、形態Aおよび形態Bが1および4週間後に固体形態の差異を示さなかったのに対して、非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルのPXRDおよびラマン分析が、試料が形態Bに変換したことを示したことを示す。結果を次の図5に要約する。
【0049】
【表5】

【0050】
形態Aおよび形態Bアトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルは、少なくとも4週間、記載の条件で安定である。非晶質形態は、熱および湿気に曝されたとき、形態B への急速な変換に示されるように、安定でない結果であった。
【0051】
水性懸濁液中の非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの安定性を評価した。
非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルを、室温で撹拌しながら水中に懸濁させ、かつ1、7および28日後にラマンスペクトルにより評価した。1日後、純粋な非晶質形態に対応するラマンスペクトル;7日後、形態Bの最初の結晶を示す1664cm-1における強度が変化し;28日後、ラマンスペクトルが結晶化の進行中を確認し、かつさらにPXRD分析が非晶質形態および形態Bの混合物を示した。結果を次の図6に要約する。
【表6】

【0052】
非晶質アトルバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルは、室温での水性懸濁液中で安定でないという結果であった。7日後、形態Bの検知し得る量が観測され、かつ続く3週間後にさらなる変換が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態B。
【請求項2】
結晶形態が、2-シータ(2θ)= 9.47±0.1; 14.26±0.1; 15.03±0.1; 16.97±0.1; 18.70±0.1; 19.04±0.1; 19.71±0.1; 19.92±0.1; 20.82±0.1; 21.21±0.1; 21.77±0.1; 22.17±0.1; 22.44±0.1; 22.67±0.1; 23.97±0.1; 24.89±0.1; 25.24±0.1; 28.23±0.1; 30.36±0.1; 33.54±0.1にピークを有する粉末X線回折図形により特徴付けられる請求項1による結晶形態B。
【請求項3】
結晶形態が、図1に示される粉末X線回折図形により特徴付けられる請求項1による結晶形態B。
【請求項4】
結晶形態が、波長(λ) cm-1: 3064; 2963; 2947; 2943; 2918; 2890; 1665; 1603; 1560; 1528; 1508; 1481; 1452; 1435; 1409; 1400; 1365; 1311; 1241; 1182; 1159; 1036; 1006; 996; 825; 198; 112; 86に主要な吸収ピークを有するラマンスペクトルにより特徴付けられる請求項1〜3のいずれか1つによる結晶形態B。
【請求項5】
次の工程:
クメン中の非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の-5℃での撹拌;
析出を完結させるためのクメンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項6】
次の工程:
1-オクタノール中の非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の40℃での撹拌;
析出を完結させるための1-オクタノールの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項7】
次の工程:
酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)混液中の非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の5℃での撹拌;
析出を完結させるための冷酢酸エチル/ヘプタン1:2(V/V)の更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項8】
次の工程:
酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)混液中の非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の室温での撹拌;
析出を完結させるためのヘキサンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項9】
次の工程:
トルエン/イソプロピルエーテル約1:2(V/V)混液中の非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの懸濁液の20-35℃での撹拌;
遠心分離による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項10】
次の工程:
50℃に加熱することによる、酢酸エチル/ヘキサン0.5:1(V/V)混液への非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
0℃に溶液を急冷することによる固体の析出;
室温でのロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項11】
次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン1:1(V/V)混液中への非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
ヘキサン飽和雰囲気に溶液を曝すことによる固体の析出;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項12】
次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)混液中への非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
ヘキサン飽和雰囲気に溶液を曝すことによる固体の析出;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項1〜4のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bの製造方法。
【請求項13】
医薬品用の請求項1〜4のいずれか1つに定義された(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態B。
【請求項14】
炎症、血栓疾患および血小板凝集活性の治療用の請求項1〜4のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項15】
急性冠症候群、脳卒中、末梢血管疾患および内皮細胞機能不全に関連する疾患の治療用の請求項1〜4のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項16】
神経変性疾患および自己免疫疾患の治療用の請求項1〜4のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項17】
アルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症の治療用の請求項1〜4のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項18】
請求項1〜4のいずれか1つに定義された、医薬的に有効な量の(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Bと、医薬的に許容され得る補助剤および/または担体とを含む医薬組成物。
【請求項19】
吸入スプレーまたはエアゾールによる、経口、非経口、直腸および経皮投与に適切な形態での請求項18による医薬組成物。
【請求項20】
(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態A。
【請求項21】
結晶形態が、2-シータ(2θ)= 9.19±0.1; 10.42±0.1; 11.49±0.1; 18.48±0.1; 18.98±0.1; 19.53±0.1; 19.68±0.1; 20.22±0.1; 20.80±0.1; 21.04±0.1; 21.52±0.1; 21.77±0.1; 23.16±0.1; 23.53±0.1; 25.66±0.1; 26.78±0.1; 27.85±0.1. にピークを有する粉末X線回折図形により特徴付けられる請求項20による結晶形態A。
【請求項22】
結晶形態が、図4に示されるような粉末X線回折図形により特徴付けられる請求項20による結晶形態A。
【請求項23】
結晶形態が、波長(λ) cm-1: 3057; 2968; 2944; 2929; 2919; 1662; 1605; 1533; 1509; 1481; 1462; 1446; 1423; 1409; 1380; 1367; 1313; 1280; 1243; 1180; 1156; 1035; 1006; 997; 880; 857; 227; 201; 101; 85に主要な吸収ピークを有するラマンスペクトルにより特徴付けられる請求項20〜22のいずれか1つによる結晶形態A。
【請求項24】
次の工程:
室温でのtert−ブチルメチルエーテル中への(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Bの溶解:
ヘプタンの添加;
懸濁液の振とう;
析出を完結させるためのヘプタンの更なる添加;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項20〜23のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Aの製造方法。
【請求項25】
次の工程:
室温での酢酸エチル/ヘキサン2:1(V/V)混液中への非晶質(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの溶解;
ヘキサン添加による固体の析出;
懸濁液の振とう;
ロ過による固体の採取
を含む、請求項20〜23のいずれか1つによる(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Aの製造方法。
【請求項26】
医薬品用の請求項5〜8のいずれか1つに定義された (βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステル形態Aの結晶形態A。
【請求項27】
炎症、血栓疾患および血小板凝集活性の治療用の請求項20〜23のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項28】
急性冠症候群、脳卒中、末梢血管疾患および内皮細胞機能不全に関連する全疾患の治療用の請求項20〜23のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項29】
神経変性疾患および自己免疫疾患の治療用の請求項20〜23のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項30】
アルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症の治療用の請求項20〜23のいずれか1つに定義された化合物。
【請求項31】
請求項20〜23のいずれか1つに定義された、医薬的に有効な量の(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態Aと、医薬的に許容され得る補助剤および/または担体とを含む医薬組成物。
【請求項32】
吸入スプレーまたはエアゾールによる、経口、非経口、直腸および経皮投与に適切な形態での請求項31による医薬組成物。
【請求項33】
請求項1〜4のいずれか1つ、または請求項20〜23のいずれか1つに定義された(βR,δR)-2(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの結晶形態BまたはAを、心臓血管疾患の治療に用いられる化合物と少なくとも組み合わせて含む組成物。
【請求項34】
心臓血管疾患の治療に用いられる化合物が、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、β‐アドレナリン遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗血栓剤、アスピリン、ニトロソ化されたACE阻害剤、ニトロソ化されたアンギオテンシンII受容体拮抗薬、ニトロソ化されたβ‐アドレナリン遮断薬およびニトロソ化されたアスピリンからなる群から選択される請求項33による組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−523612(P2010−523612A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502476(P2010−502476)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053269
【国際公開番号】WO2008/125412
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】