説明

アドホック通信ネットワークからの呼の変換

無線通信ネットワーク(10)におけるグループ通話の参加者にグループ通話(90)からの少なくとも一時的な離脱と、補足通話の保持とを可能とするためのシステム及び手続に関する。補足通話(100)は、公開の通話を含む、幾つかの異なる種類からなってもよく、非公開通話又は非公開の文字メッセージング若しくはデータ交換を構成してもよい。補足通話を保持することを望むグループ通話ユーザは自身のユーザインタフェースを用い、自身が補足通話を保持することを望む他のグループ通話ユーザをアラートする。開始ユーザ又は受信ユーザは自身のユーザインタフェースを用い、有する補足通話の種類を推薦することが可能である。補足通話が音声通話である場合、依然として元のグループ通話は背景において可聴であるが、補足通話と比較して音量が減少されるか、補足通話が有効であるときにスケルチ制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークにおけるグループ通話の参加者にグループ通話からの少なくとも一時的な離脱と、補足的な(side bar)通話の保持とを可能とするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システム、特に無線通信システムは、さらに高度になりつつあり、相互に通信するための改良された機能を消費者に提供している。そのような増大した機能は自動車分野において特に有用であり、現在、車両には、改良されたオーディオ(音声)無線通信性能を有する通信システムが装備されている。例えば、OnStar(商標)は、現在、車両に装備されている周知の通信システムであり、スイッチを入れることにより、車両の乗員が他者(サービスセンタなど)との電話の呼を確立させることが可能となる。
【0003】
しかしながら、既存の通信方式には、グループ通信を調整してユーザが他のサブグループ通信の間を動的に移動することを可能とするための柔軟性が欠けている。例えば、既存のアプローチは通信の一端(即ち、サービスセンタ)から通信を確立させることに非常に依存しており、全パーティが通信の性質又はグループの規定を動的に変更するための手段を提供していない。この柔軟性の欠如により、グループユーザにはグループユーザの望むような自由な通信が禁止される場合がある。
【0004】
無線通信には、特に自動車環境においては、さらなる柔軟性が必要である。例えば、セルラーネットワークがグループに4つのユーザを伴う呼を確立させると想定する。第1の参加者は呼中に所与のビジネス課題に対する解決策を提案する。第2のユーザはこの解決策に賛成せず、第3のユーザと相談することを望むと想定する。明らかに、第2のユーザが不賛成を表明する場合、その不賛成は自身の解決策が批評されている第1のユーザを含むグループ全体へブロードキャストされる。第2及び第3のユーザに対する1つの選択肢は、現存のグループ呼を消音(ミュート)し、それから異なるデバイスを用いて別個の通信リンクを確立させ、この問題をさらに議論することである。これは、ユーザが車両を操作している場合や、複数の通信デバイスを使用することを望まない場合、望ましくないであろう。
【0005】
要約すると、既存のグループ通信は何らかの有用性を有するが、サブグループ通信、即ち、補足的な通信が可能であるようにグループにおける通信を調整することを可能とする改良の余地が存在する。本開示では、これを行うための幾つかの異なる手段を提示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、無線通信ネットワーク、特に自動車環境において、グループ通話の参加者にグループ通話からの少なくとも一時的な離脱と、補足通話の保持とを可能とするための手続を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
無線通信ネットワークにおけるグループ通話の参加者にグループ通話からの少なくとも一時的な離脱と、補足通話の保持とを可能とするためのシステム及び手続を記載する。補足通話は、公開の通話(元のグループ通話と同様の)を含む、幾つかの異なる種類からなってもよく、非公開通話(標準的な電話呼と同様の)又は非公開の文字メッセージング若しくはデータ交換を構成してもよい。補足通話を保持することを望むグループ通話ユーザは自身のユーザインタフェースを用い、自身が補足通話を保持することを望む他のグループ通話ユーザをアラートする。開始ユーザ又は受信ユーザは自身のユーザインタフェースを用い、有する補足通話の種類を推薦することが可能である。補足通話が音声通話である場合、依然として元のグループ通話は背景において可聴であるが、補足通話と比較して音量が減少されるか、補足通話が有効であるときにスケルチ制御される。所望の場合、補足通話の参加者は自身のユーザインタフェースからそうした選択肢を選択することにより、元のグループ通話に再加入することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ここで図面を参照し、自動車設定における本発明の使用の一例を説明する。図1には、代表的な車両ベース通信システム10を示す。このシステムでは、車両26には無線通信デバイス22が装備されている。無線通信デバイス22については、以下でさらに詳細に説明する。この無線通信デバイス22は、音声(即ち、発声)、データ(文字又はSMSのデータなど)及びビデオのうちの1つ以上を受発信することが可能である。したがって、デバイス22は無線ネットワーク28に接続されているトランシーバ又は基地局に対し、任意のそれらの種類の情報を無線発信又は無線受信することが可能である。さらに、この無線通信デバイスは衛星通信から情報を受信してもよい。最終的には、ネットワークは公衆交換電話網(PSTN)38、インターネットその他、サーバ24を有するサービスセンタへの経路上の通信ネットワークに接続されている。サーバ24は、最終的に通信システム10における通信に対するホストとして作用し、通信サーバを含み得る。サーバ24は、システムへ無線接続されている車両26の間の通信を管理することに加え、緊急サービス34又は他の情報サービス36(レストランサービス、辞書支援など)など、他のサービスを車両26に提供することも可能である。
【0009】
図2には、車両26において用いられる無線通信デバイス22のさらなる詳細を示す。一実施形態では、デバイス22は2つの主なコンポーネント:ヘッドユニット50及びテレマティクス(Telematics)制御ユニット40、からなる。ヘッドユニット50は、システム10又はシステムに無線接続されている他の車両と通信するときに車両乗員が対話するユーザインタフェース51とインタフェースするか、又はユーザインタフェース51を備える。例えば、マイクロホン68を用いて車両において話者の音声を取得すること、及び、音声認識モジュール70を装備している場合にはヘッドユニット50に命令を与えることのうちの1つ以上が可能である。また、キーパッド72を用いてユーザ入力を提供してもよく、キーパッド72上のスイッチは特定の機能(プッシュ・ツー・トークのスイッチ、マッピング情報を受信するためのスイッチなど)専用であるか、或いは、ユーザインタフェースが提供する選択肢を選択することが可能である。
【0010】
また、ヘッドユニット50はナビゲーションユニット62を備えることも可能である。通常、ナビゲーションユニット62には、車両の位置を正確に示す(pinpoint)ことを可能とするための全地球測位衛星(GPS;Global Positioning Satellite)システムが含まれる。これは例えば、車両の位置をシステムの提供するマッピング情報と関連付ける際に有用である。知られているように、そうしたナビゲーションユニットは受信機を介してGPS衛星(衛星32など)と通信する。また、車両の指している方向(北、北東など)を判定する測位ユニット66も提供される。測位ユニット66は経路に沿った車両の進行をマッピングするためにも有用である。
【0011】
最終的に、ユーザ及びシステムの入力はコントローラ56によって処理される。コントローラ56はヘッドユニット50において処理を実行し、それに応じて、ヘッドユニット50に接続されているスピーカ78又はディスプレイ79を通じてなど、車両の乗員に出力54を提供する。用いられるスピーカ78は、車両に通常、提供されるオーディオ(無線)スピーカであることが可能であり、典型的には4つ以上であるが、簡便のため1つのみを示す。さらに、代替の一実施形態では、出力54は文字から発声へのコンバータを備えて、ユーザがモニタしているグループ通信チャネルに含まれる文字の聴覚的出力を聴く選択肢を提供する。このオーディオ機能は、ユーザが車両を操作している移動体環境においては特に有利な場合がある。これに加えて、コントローラ56がシステムに対する入出力の調整を実行するのを補助するため、メモリ64がコントローラ56に接続されている。また、コントローラ56は車両バスインタフェース58を介して車両バス60と通信する。車両バス60は、通信情報と、車両全体を通じた他の車両動作データとを搬送する。
【0012】
同様に、テレマティクス制御ユニット40は車両バスインタフェース28を介して車両バス60に接続されており、したがってヘッドユニット50に接続されている。本質的には、テレマティクス制御ユニット40は、音声又はデータ通信の車両に対する送受信、即ち、通信システム10の残部に対する無線送受信に関与する。このため、テレマティクス制御ユニット40は、そうした通信を組織するためのテレマティクスコントローラ46と、無線トランシーバを含むネットワーク接続デバイス(NAD)42とを備える。別個のコンポーネントとして示すが、ヘッドユニット50及びテレマティクス制御ユニット40の態様並びにそれらの構成要素が結合又は交換可能であることが、当業者には認識されるであろう。
【0013】
無線通信デバイス22は、車両26内に相当な通信柔軟性を提供することが可能である。例えば、第1の車両26aの乗員は、ヘッドユニット50のキーパッド72上のスイッチを押下することにより、又はヘッドユニットに音声認識モジュール70が装備されている場合には単に話しかけることにより、第2の車両26bを呼び出し、その乗員に話しかけることが可能である。一実施形態では、スイッチを押下すること又は音声認識モジュールに話しかけることにより、第2の車両26bとのセルラー電話呼が開始される。この場合、第1の車両26a又は第2の車両26bのユーザは、さらにスイッチを押下することなく相互に会話することが可能である。さらに、システムは、音声有効化スイッチ(VAS;voice activated switch)又は音声操作発信(VOX;voice operated transmit)など、音声有効化回路を備えるように構成されてもよい。また、このことにより、他のユーザとの通信時にユーザによるシステムのハンズフリー操作が提供される。
【0014】
代替の一実施形態では、スイッチはセルラーネットワークを通じるプッシュ・ツー・トーク通信チャネルを確立させるように構成されてよい。この場合、コントローラ56は第1の車両26aのユーザがプッシュ・ツー・トークのスイッチを押下しているときに、マイクロホン68を通じて第1の車両26aの乗員によるオーディオのみがテレマティクス制御ユニット40を通じて発信されることを可能とするように構成される。コントローラ56はさらに、第1の車両26aの操作者がスイッチを押下していないときに、第2の車両26b(又は、サーバ24)から受信されるオーディオのみがスピーカ78を通じて聞こえることを可能とするように構成される。これに代えて、話すためにスイッチを押下したままにする必要を避けるため、ユーザが1回目にボタンを押下するとオーディオを発信し、2回目にボタンを押下するとオーディオを受信することを可能とするように、システムが構成されてもよい。
【0015】
いずれの場合においても、第2の車両26bのユーザは同様にして第1の車両26aに通信し返すことが可能であり、話者の音声は第1の車両のスピーカ78で聞こえるか、又は文字へ変換されてディスプレイ79上に示される。或いは、第1の車両26aの乗員はサービスセンタ及びサーバ24を呼び出し、サービスを受信することが可能である。これに加えて、そうしたシステム10は車両ベース用途のコンテキスト外の効用、詳細には、他の携帯デバイス(セルラー電話機、携帯情報端末(PDA)など)に関係する効用を有することが可能である。したがって、車両通信のコンテキストにおけるシステムの使用は単なる例である。
【0016】
システム10は、我々が「アドホック」通信ネットワークと呼ぶようなグループ通話に関与するために、車両のユーザにより用いられ得る。そうした用途では、システムと通信している複数のユーザが公開の通話に加わる場合がある。そうしたシステムでは、家族グループ、専門職グループなどの通信グループを形成するように、システムユーザによりユーザのサブセットが事前に規定される。事前に規定されると、それらの任意の事前規定ユーザは、例えば、自身のユーザインタフェース上のプッシュ・ツー・トークのボタンを押下することにより、他の事前規定ユーザと話すことが可能となる。このユーザインタフェースが専用の車両ユーザインタフェースを構成してもよい。事前規定グループの他の全てのユーザは、話しているユーザの音声を聞き、今度は同様に自身のユーザインタフェース上のボタンを押下することにより、全てのユーザがグループの残りのユーザに話してもよい。
【0017】
図3には、通信ネットワーク10を用いてグループ通話90において通信する4つのユーザを示す。当然のことながら、そうしたグループ通話に4つよりも多い又は少ないユーザが参加してもよく、4つのそうしたユーザの図示は単なる例である。この実施例では、ユーザ2がユーザ3に非公開に連絡するために、他のユーザ(ユーザ1,4)が接続を有さない補足通話100を有することを望むと想定する。本明細書にさらに詳細に示すように、そうした補足通話100は複数の異なる手法により調製され得る。即ち、補足通話100は、元のグループ通話90から完全に分離した第2のユーザと第3のユーザとの間の完全に別個の通話であってよい。或いは、補足通話100は、依然として元のグループ通話90に対し何らかの接続を留保していてもよい。この後者の環境においては、第2及び第3のユーザは、おそらくは音量を減少されて、又は補足通話を優先するようにスケルチ制御(squelch)されて、依然として補足通話100の背景に元のグループ通話90を聞いてもよく、或いは補足通話が完了すると元のグループ通話90に再加入することが可能とされてもよい。
【0018】
図4には、補足通話100を開始及び保持するための幾つかの手段を示す、基本フローチャートを示す。元のグループ通話90から、ユーザ2(開始者)はユーザ3(受信者)との補足通話100を設定することを決定し得る。本開示においてさらに理解されるように、ユーザ2,3が有し得る補足通話100には幾つかの異なる種類が存在し、したがって、処理ブロック151にて開始者がそれらの補足通話の種類のうちの1つを選択することが可能とされる。しかしながら、一実施形態では、ユーザ3は所与の時に参加することの可能な補足通話の種類を認識するためのより良い位置に存在するため、受信者が補足通話を承認するか、拒否するか、又はより感知可能な代替の種類の補足通話を推薦するかを選択してもよい。このため、さらに以下に説明するように、図4では、受信者が代替の種類の補足的な通信を推薦し、その代替の種類が開始者に伝達され得る機能が提供される。
【0019】
いずれの場合においても、最初に、処理ブロック151にて、ユーザ2(開始者)が補足通信の種類を選択することにより、ユーザ3(受信者)との補足通話100を要求し得る。これには特に、公開の(即ち、新たなグループの)通信又は非公開通信が含まれてよい。これらの種類にはさらに、音声呼、SMS文字メッセージングサービス又は他のデータ交換手段の間の選択が含まれてよい。次に、この処理には、受信者に連絡すること(ブロック152)及び所望の補足通話の種類及びフォーマットのユーザインタフェースにより受信者をアラートすること(ブロック154)が含まれてよい。そうしたアラート及び要求は複数の異なる手法により達成され得るが、そうした手法の1つを図6に示す。
【0020】
図6には、開始者(ユーザ2)用のディスプレイ79a及び受信者(ユーザ3)用のディスプレイ79bの一実施形態を示す。開始者用のディスプレイ79aには、現在その呼に接続されている全てのユーザが示されてよい。サーバがグループ呼を適切に管理することが可能であるように、呼に加入している各ユーザがヘッドユニット50の自身のユーザインタフェースにおいて自身のシステムIDコードをサーバ24へ転送することが可能であるため、このことは可能である。システムにより、電話番号、ユーザ名の「ハンドル(handle)」、車両識別番号(VIN;Vehicle Identification number)、電子シリアル番号(ESN;Electronic Serial Number)、国際移動体加入者番号(IMSI;International Mobile Subscriber Number)又は移動体加入者国際ISDN番号(MSISDN;Mobile Subscriber International ISDN Number)など、多くの異なる形式のユーザIDコードが用いられることが可能であるが、簡便のため、本明細書ではこれら全てを「ユーザID」と呼ぶ。当業者には理解されるように、ユーザのユーザIDは、サーバ24及び関連する他のユーザにより理解可能であるよう予測可能にフォーマットされ得るユーザからのデータ(オーディオデータなど)の転送に伴うデータヘッダに含められてよい。
【0021】
他のユーザを表示することに加え、一実施形態では、開始者のディスプレイ79aは選択可能なボタン114a,114bを備える。ボタン114a,114bはユーザインタフェース上のいずれに配置されてもよいが、図6にはタッチスクリーンボタンとして示す。これに代えて、車両が音声認識コントローラ70を装備している場合、システムは音声有効化システムによりユーザを選択してもよい。いずれの場合においても、タッチスクリーンボタンを備えるシステムでは、ユーザ2(開始者)などのユーザはボタン114aを用いて補足通話100を行う特定のユーザを選択し(114a)、ボタン114bを用いて所望の通話の種類を選択してよい。そのような選択を行った後、開始者の要求がサーバ24へ発信されるとき、サーバ24はデータヘッダから意図される受信者(及び推薦される補足通話の種類)を認識する。その後、サーバ24は要求されている補足通話100(及び推薦されている補足通話の種類)の通知をそれらの受信者(この場合にはユーザ3)に発信することにより、ユーザ3(受信者)にアラートを伝達する。
【0022】
再び図4を参照すると、判定ブロック155にて、次に受信者は通知を拒否若しくは承認するか、又は再び図6のタッチスクリーンボタンのユーザにより示すように、代替の補足通話のフォーマットを推薦してよい。例えば、受信者(この場合、ユーザ3)はボタン115を用いて補足通話を承認する、補足通話を拒否する、又は補足通話を承認するが新たな種類又はフォーマットを推薦するとの決定を行ってよい。図4の処理フローでは、補足通話を拒否するとの決定の場合、処理はブロック157へ進み、サーバ24は開始者の通信デバイスへ拒否メッセージを返信し、次にブロック159にて、開始者のユーザインタフェースには拒否が反映される。
【0023】
一実施形態では、判定ブロック155には、受信者が補足通信の承認を望むが別の種類又はフォーマットの補足通信を望む状況も含まれる。このため、通信の種類又はフォーマットについての開始者の選択が受信者には承認可能でない場合、処理はブロック192へ移り、受信者が代替の通信の種類を提案してよい。次にブロック194にて、提案された代替の通信の種類は開始者(この場合、ユーザ2)へ返信される。ブロック196にて、この代替の提案は開始者に対しユーザインタフェース上に表示される。処理は判定ブロック160へ進み、開始者は提案されている代替の種類を承認する決定を行い得る。
【0024】
判定ブロック155と同様に、判定ブロック160では開始者が通知を拒否若しくは承認する、又は代替の補足通話のフォーマットを推薦することが可能となる。開始者が受信者の新たに提案した補足通話の種類を拒否する場合、処理はブロック162へ進み、受信者へ拒否メッセージが送信され、ブロック164において受信者のユーザインタフェースには拒否が反映される。この点において処理は要求を終了させるか、或いは、離脱して開始者の補足通信の種類の提案へ戻ってよい。再び判定ブロック160を参照すると、開始者が代替の補足通話のフォーマットを推薦する場合、処理はブロック166へ進み、開始者の推薦した種類が選択され、処理は続いて上述の処理ブロック152へ戻る。
【0025】
参加者が補足通信の種類を選択するとき、判定ブロック155又は判定ブロック160において、処理が図5のフローチャートへ進む場合もある。図5には、システムが本開示のシステムを用いて異なる種類の補足通信100を処理する一手法を示す。一実施形態では、判定ブロック168に示すように、補足通信の種類が公開の(即ち、新たなグループの)通信であるか非公開通信であるかにより、最初に異なる種類に分けられ得る。公開の(即ち、新たなグループの)呼が形成される場合、ブロック169はユーザ2,3が少なくとも一時的に元のグループ通話90を離脱することを指示する。そうした公開呼、即ち、グループ呼は、他のユーザ(元のユーザ1〜4を超える場合であっても)を補足通話に加入させることを可能とする性能を有する。補足通信の参加者が元のグループ通信90に対する第三者と相談することを望む場合、このことは有益である。その後、処理ブロック170にて、サーバ24は初期に元のグループ通話90に対して必要であったのと同様に、形成されている新たなグループのパラメータを探す。これには、所望のユーザ(例えば、ユーザID又は属性)のリスト、グループの話題、新たなグループが有効である時間、などを収集することが含まれてよい。したがって、ユーザ2若しくは3(又は両方)は自身のユーザインタフェース51を用いてサーバ24に対しそうした情報を指定することが可能であり、一時的なチャネルは、元のグループ通話90用に用いられるチャネルと同様に永続的なチャネルとされる。チャネルを確立させる際、通信システムはブロードキャストされているオーディオ通信を伴うヘッダ情報において、チャネルのIDコードを関連付けてもよい。いずれの場合においても、新たなチャネル又はグループが確立されると、処理ブロック172に示すように、ユーザ2,3は自身の補足通話100を保持することが可能であるが、おそらくこの補足通話100はその処理の他のユーザにより加入される。好適な実施形態では、選択される補足通話の種類に関わらず、サーバ24は元のグループ通話90を搬送している既に確立されているグループチャネルに加え、適切な補足チャネルを確立させる。
【0026】
判定ブロック168にて非公開呼が形成される場合、システムは開始者と受信者(この場合、ユーザ2,3)との間の排他的な通信リンクを形成し得る。判定ブロック171に示すように、システムは非公開の音声呼又はSMS若しくは文字メッセージング方式の間の選択を提供してもよい。なお、公開呼(即ち、新たなグループ呼)においても同様の判定ブロックが提供され得るが、その場合には、音声呼又はSMS若しくは文字メッセージング方式の間の決定が選択されてよい。いずれの場合においても、非公開の音声呼は通常の二者の間の非グループベース電話呼と同様であり、他者の自発的な加入は可能でない。しかしながら、非公開呼では、開始者又は受信者が第三者を非公開呼に招待することがシステムにより可能とされてよい。一実施形態では、ブロック173,175に示すように、サーバ24は従来的に2つのユーザのネットワークにおける相互の呼を可能とする手法とほぼ同様に、ユーザ2,3の利益のために新たな音声通信チャネルを作成することが可能である。他の手法では、サーバ24は、セル又は従来の電話ネットワークと同様の、非公開の音声通話により適切な、より複雑でない異なるネットワーク(図示せず)を通じて通話を引き渡すことが可能である。ユーザ2,3がメッセージを取引その他、交換することを可能とするため、同時の音声・データ通信技術を用いて、SMS(ショート・メッセージ・サービス)その他の文字通話が形成される(ブロック177)ことも可能である。当業者には理解されるように、SMSメッセージをデジタルGSMネットワークと共に用いることにより、一例として、いわゆる「SMSゲートウェイ」ウェブサイトを用いて、160文字までの文字メッセージがインターネットからユーザインタフェースへ、ネットワークオペレータのメッセージセンタを介して送受信されることを可能とすることが可能である。
【0027】
当然のことながら、補足通話100はサーバ24により元のグループ通話90を永続的に切断するように処理されることも可能であるが、好適な一実施形態では、選択される補足通話の種類に関わらず、補足通話100に参加しているユーザは元のグループ通話90へ復帰する(ブロック174)選択肢を有する。このことを図7に示す。図7では、ディスプレイ79上のタッチボタンスクリーン114cを用いて復帰が実行される。ユーザが復帰を望むとサーバ24にはそのように通知され、その後、補足通話の参加者に対する通信は進行し、グループ通話90へ戻る。
【0028】
一実施形態では、ユーザは、補足通話を形成しても、元のグループ通話90を永続的に離脱する必要はない。代わりに、依然として補足通話の参加者が元のグループ通話90を聞くことが可能であるように、好適には音量が減少され、又は補足通話のアクティビティによる記述に従ってスケルチ制御されて、背景においてこの通話が続けられるため、元の呼において入力が呼び出される場合にユーザが至急戻って加入することが可能である。
【0029】
音量特性を減少させるオーディオ調整は、図8に示すように達成され得る。この図に示すように、好適にはデジタルデータストリームの形態であるオーディオ入力は、グループ呼の全てのユーザについてサーバ24へ無線発信される。オーディオミキサ200は、指定されたチャネルに従いこれらのオーディオ入力を混合する。したがって、ミキサはグループ通話90に参加する全てのユーザのオーディオ入力を混合及び優先付けし、グループチャネルを通じるそれらのユーザに対するオーディオブロードキャストを調製する。これに加えて、ミキサは補足通話100に参加するユーザのオーディオ入力を混合し、補足通話参加者(即ち、ユーザ2,3)によってのみ受信される補足チャネルを調製する。最終的に、これらの両方のチャネルはユーザ2,3のユーザインタフェース51にて受信され、ミキサ202にて再び混合されて、ユーザインタフェース51のスピーカ78によりブロードキャストされる。しかしながら、グループチャネルの音量は補足チャネルと比較して減少される。このことは、サーバ24に位置する音量制御部(204a,204b)又はヘッドユニット50のユーザインタフェース51に位置する音量制御部(206a,206b)により達成されることが可能であり、グループチャネルに対し設定量の音量減少を提供するように自動的に設定されてもよく、同じ効果を得るようにユーザがプログラム可能であってもよい。
【0030】
別の実施形態では、ユーザが補足通話を形成すると、元のグループ呼において入力が呼び出される場合にユーザが至急戻って加入することが可能であるように、元のグループ通話90は補足通話のアクティビティによる記述に従ってスケルチ制御されてよい。ここでスケルチ制御には、補足通話に対し参加者間の発声に休止が存在する場合、グループ通話は可聴となるか、補足通話のメンバが話しているときよりも聴覚的に大音量になることが含まれる。図9には、そうしたオーディオ調整を行う一方法を示す。示すように、好適にはデジタルデータストリームの形態であるオーディオ入力は、グループ呼の全てのユーザについてサーバ24へ無線発信される。オーディオミキサ200は、指定されたチャネルに従いこれらのオーディオ入力を混合する。したがって、ミキサはグループ通話90に参加する全てのユーザのオーディオ入力を混合し、補足チャネル及びグループチャネルを調製する。次に、これらのデータストリームはユーザ指定の基準に従い、第2のミキサ300にて再び混合される。第3のミキサ及びメッセージシーケンサ350を用いてメッセージを配列し、スケルチ制御機能を実行してもよい。また、ユーザがサーバ24にて第2のミキサ300の基準をプログラムしてもよい。ユーザ2,3に対しては、第2のミキサ300は補足チャネル及びグループチャネルを混合するか、又はグループチャネルをスケルチ制御して、補足通話が聞かれることを可能とする。ユーザ1,4に対しては、第2のミキサ300はグループチャネルが通過することを可能とする。このアプローチの利点は、受信端(車両における)が単一のチャネル受信機を有することを可能とすることである。
【0031】
さらなる一実施形態では、ユーザが補足通話を形成すると、元のグループ通話90は可聴となり、補足通話は文字へ変換されてスクリーン上に表示される。これにより、補足通話ユーザの入力がグループ全体に必要な際、補足通話ユーザが至急戻ってグループ通話へ加入することも可能となる。図10には、そうしたオーディオの文字への調整を行う一方法を示す。示すように、好適にはデジタルデータストリームの形態であるオーディオ入力は、グループ呼の全てのユーザについてサーバ24へ無線発信される。オーディオミキサ200はグループ通話90に参加する全てのユーザのオーディオ入力を混合し、補足チャネル及びグループチャネルを調製する。図10に示すように、一実施形態では、チャネルはユーザ2,3の両方により受信される。次に、ユーザ2,3に対するデータストリームは音声−文字変換器360により文字に変換され、ディスプレイ79へ渡されてよい。ユーザ1,4に関連するオーディオに対しては、グループチャネルに対するデータストリームがスピーカ78に対し通過される。これに代えて、音声−文字変換器360はサーバ24側に位置し、補足通話に対する文字データが別個のデータチャネルを介して発信されることも可能である。
【0032】
別の実施形態では、ユーザが補足通話を形成すると、ヘッドユニット50のコントローラ56は、元のグループ通話を監視して、補足通話において特定のユーザの名前が話されるか否かを判定するように構成される。例えば、図10を参照すると、コントローラ56は音声−文字変換器360により生成される文字を監視し、補足通話のユーザに、元のグループ通話においてそのユーザの名前又はキーワード若しくはフレーズが話されたことを通知することが可能である。これにより、戻ってグループ通話に参加することが必要な補足通話のユーザの注意を増すという利点が提供される。さらに、コントローラ56は後の再生のために、補足通話のユーザの名前が元のグループ通話において用いられる後の通話の部分を、メモリ64に記録するように設定され得る。
【0033】
概して車両との通信の改良に関して記載したが、本明細書の開示の概念の多くは、集合的に携帯通信デバイスと呼ばれるセルラー電話、携帯情報端末(PDA)、携帯コンピュータなど、車両内に含まれない他の携帯通信ユーザインタフェースに適用可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0034】
幾つかの別個の実施形態を開示したが、それらの実施形態が相互に組み合わせられ得ること、また、1つの実施形態の使用により他の実施形態の使用が必ずしも排除されないことを、当業者は認めるであろう。さらに、本発明に関する上述の説明は例示のみを意図しており、本出願により付与される特許権の範囲を限定することは意図していない。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】無線車両通信システムのブロック図。
【図2】車両無線通信システム用の制御システムのブロック図。
【図3】2つのユーザが補足通話を有することを望んでいる、グループ通話に参加している複数のユーザを示す図。
【図4】グループ通話から、どのようにしてユーザが別のグループ通話ユーザとの補足通話を開始及び保持することが可能であるかを示すフローチャート。
【図5】補足通話が参加者により承認された後のフローチャート。
【図6】どのようにして1つのユーザが補足通話を要求し、他のユーザがその要求を承認することが可能であるかを示す、ユーザインタフェースにおけるディスプレイの図。
【図7】補足通話への参加後、どのようにして1つのユーザがグループ通話へ復帰することが可能であるかを示す、ユーザインタフェースにおけるディスプレイの図。
【図8】グループ通話及び補足通話が同時に聞こえるが、グループチャネルの音量が減少されるように、グループ通話及び補足通話のためのオーディオチャネルがどのように変更され得るかを示す図。
【図9】グループ通話がスケルチ制御されるように、グループ通話及び補足通話のためのオーディオチャネルがどのように変更され得るかを示す図。
【図10】補足通話がオーディオフォーマットから文字フォーマットへ変換されるように、グループ通話及び補足通話のためのオーディオチャネルがどのように変更され得るかを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタフェース(51)を各々用いる複数のユーザにより接続可能なプッシュ・ツー・トーク通信ネットワーク(10)において第1のグループ通話(90)を処理する方法であって、
少なくとも第1及び第2のユーザが第1の無線チャネルを通じて第1のグループ通話(90)中に会話することを可能とする会話可能化工程と、
第2のユーザは第1のユーザとの第2の通話を有することを望むか否かを第1のユーザが第2のユーザに問い合わせることを可能とする問合せ可能化工程と、
第2のユーザが第1のユーザとの第2の通話(100)を有することを望む場合、第1のユーザ又は第2のユーザが第2の無線チャネルを確立させることを可能とするチャネル確立可能化工程と、
第1及び第2のユーザを第2の無線チャネルを通じて接続し、少なくとも第1及び第2のユーザが第2の通話(100)を有することを可能とする第2通話可能化工程と、からなる方法。
【請求項2】
第1及び第2のユーザが第2の無線チャネルから切り換えて第1の無線チャネルを通じる第1のグループ通話(90)へ戻ることを可能とする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1及び第2のユーザに対して、第2の通話と比較して第1のグループ通話(90)の聴覚的な特性を変更する特性変更工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特性変更工程は第1のグループ通話(90)の音量を減少させる工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
特性変更工程は第1のグループ通話(90)をスケルチ制御する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
特性変更工程は第2の通話(100)を文字へ変換する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
第2の通話(100)は第1のユーザと第2のユーザとの間の非公開通話を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1のグループ通話(90)を監視して、キーワード又は第1のユーザ若しくは第2のユーザの名前が第1のグループ通話(90)において話されるか否かを判定する工程と、
話される場合、該キーワード又は名前が第1のグループ通話(90)において話されたことを第1のユーザ又は第2のユーザに通知する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1のグループ通話(90)を監視して、第1のユーザ又は第2のユーザの名前が第1のグループ通話において話されるか否かを判定する工程と、
話される場合、第1のグループ通話(90)の一部を記録する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上のユーザインタフェース(51)は車両に統合されている請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−529971(P2007−529971A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504181(P2007−504181)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/009444
【国際公開番号】WO2005/101673
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】