説明

アナログポインティングキー構造

【課題】操作性が良好で実用性に優れた薄型のアナログポインティングキー構造を提供する。
【解決手段】剛体キートップ3と、表面7aに剛体キートップ3が固定され、剛体キートップ3を囲繞する位置の少なくとも一部に表面7aに沿った方向に剛体キートップ3が変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性復帰部8が設けられた支持部材6と、支持部材6に固定されて剛体キートップ3を囲繞し、かつ、少なくともその一部が剛体キートップ3と弾性復帰部8との間に位置するリング状磁石部材5と、剛体キートップ3と連動するリング状磁石部材5の変位による磁束密度の変化を検出する磁気センサとを備えたアナログポインティングキー構造において、支持部材6の裏面に固定されて、支持部材6の厚さ方向に剛体キートップ3が変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性部材10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末、PDA、ゲームコントローラ等の電子機器の操作装置に用いて好適なアナログポインティングキー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、周知のように、剛体キートップと、表面に前記剛体キートップが固定され、前記剛体キートップを囲繞する位置に前記表面に沿った方向に前記剛体キートップが変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性復帰部が設けられた支持部材と、該支持部材に固定されて前記剛体キートップを囲繞し、かつ、前記剛体キートップと前記弾性復帰部との間に位置するリング状磁石部材と、前記剛体キートップと連動する前記リング状磁石部材の変位による磁束密度の変化を検出する磁気センサとを備えたアナログポインティングキー構造が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、キートップと、操作面側となる表面に前記キートップが固着され、裏面に該裏面と対向する基板の接点入力部を押込む押し子を有する支持部材と、押し子を中央として該押し子の側方位置で支持部材に固定する磁石と、キートップの側方移動に伴う磁石の連動で生ずる磁束密度の変化を検出する磁気センサと、磁石と押し子との間にキートップの押込み操作によって押込み操作方向での変位を許容する弾性可撓部を設けたアナログポインティングキー構造が開示されている。
【特許文献1】特開2007−12591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるアナログポインティングキー構造では、支持部材のみによってキートップの動作を規定するので、例えば、キートップの押し込み操作をするとキートップに押込み操作方向の変位が即座に復元しなかったり、キートップと連動する磁石の反応性が悪くなったりするという問題があった。すなわち、このような操作性が低いアナログポインティングキー構造では、実用性に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は操作性が良好で実用性に優れた薄型のアナログポインティングキー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
アナログポインティングキー構造に係る第一の解決手段として、剛体キートップと、表面に前記剛体キートップが固定され、前記剛体キートップを囲繞する位置の少なくとも一部に前記表面に沿った方向に前記剛体キートップが変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性復帰部が設けられた支持部材と、該支持部材に固定されて前記剛体キートップを囲繞し、かつ、少なくともその一部が前記剛体キートップと前記弾性復帰部との間に位置するリング状磁石部材と、前記剛体キートップと連動する前記リング状磁石部材の変位による磁束密度の変化を検出する磁気センサとを備えたアナログポインティングキー構造において、前記支持部材の裏面に固定されて、前記支持部材の厚さ方向に前記剛体キートップが変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性部材を備える、という手段を採用する。
これにより、剛体キートップの動作の一部を弾性部材で規定することができる。また、剛体キートップとリング状磁石とが支持部材の厚さ方向において重ならない配置となる。
【0007】
また、アナログポインティングキー構造に係る第二の解決手段として、上記第一の解決手段において、前記弾性部材は、前記支持部材の表面に沿った方向において前記剛体キートップと前記リング状磁石部材とを位置決めする、という手段を採用する。
これにより、支持部材の表面に沿った方向において剛体キートップとリング状磁石部材との相対的な位置関係が不変のものとなる。
【0008】
また、アナログポインティングキー構造に係る第三の解決手段として、上記第一又は第二の解決手段において、前記支持部材の表面側に位置し、前記剛体キートップを露出させる貫通孔が設けられたトップカバーが備えられると共に前記リング状磁石部材が前記支持部材の表面側に設けられ、前記トップカバーと前記リング状磁石部材との間に前記リング状磁石部材を覆う円環状被覆部材を備える、という手段を採用する。
これにより、剛体キートップを支持部材の表面に沿った方向にスライド操作してもトップカバーの貫通孔からリング状磁石部材が露出しない。
【0009】
また、アナログポインティングキー構造に係る第四の解決手段として、上記第一から第三のうちいずれかの解決手段において、前記支持部材の裏面側に位置する基板と、前記支持部材と前記基板との間に位置すると共に前記基板に電気的に接続されて前記剛体キートップの変位に基づいて前記基板に電気信号を供給するスイッチシートとを備え、前記磁気センサは、前記支持部材の厚さ方向において前記剛体キートップと重ならないように前記基板に配置されている、という手段を採用する。
これにより、支持部材の厚さ方向において磁気センサと剛体キートップとが重ならない配置となる。
【0010】
また、アナログポインティングキー構造に係る第五の解決手段として、上記第四の解決手段において、前記基板を収容する基板収容凹部と該基板収容部の底面から該底面と交差する方向に突設された突起部と該基板収容凹部を囲繞し前記トップカバーが貼付されたトップカバー貼付面とが設けられた板金が樹脂と一体成型されたフロントケースを備え、前記弾性部材は、前記突起部に接触して前記剛体キートップの前記支持部材の表面に沿った方向の可動範囲を制限する、という手段を採用する。
これにより、剛体キートップの可動範囲が調整され、また、剛体キートップのスライド操作に伴って支持部材に負荷が生じない。
【0011】
また、アナログポインティングキー構造に係る第六の解決手段として、上記第五の解決手段において、前記磁気センサが前記基板収容凹部の底面と対向する前記基板のセンサ実装面に設けられると共に前記板金に前記支持部材の厚さ方向において前記磁気センサと重なる位置に磁気センサ逃げ孔が設けられ、該磁気センサ逃げ孔に前記磁気センサを収容する、という手段を採用する。
これにより、該磁気センサ逃げ孔に前記磁気センサが収容される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアナログポインティングキー構造によれば、剛体キートップの動作を支持部材のみならず、剛体キートップの動作の一部を弾性部材で規定することができるので、例えば、剛体キートップに対する押し込み操作による変位を即座に復元させたり、剛体キートップとリング状磁石部材との位置関係を規定したりことができる。
また、剛体キートップとリング状磁石部材とが支持部材の厚さ方向において重ならない配置となるので、設計の自由度を向上させて薄型化を図ることができる。
従って、操作性が良好で実用性に優れた薄型のアナログポインティングキー構造を提供することができる。
【0013】
また、弾性部材が剛体キートップとリング状磁石部材とを位置決めするものでは、支持部材の表面に沿った方向において剛体キートップとリング状磁石部材との相対的な位置関係が不変のものとなるので、剛体キートップをスライド操作するとリング状磁石部材も同一の変位量でスライドし、反応性を向上させて操作性を良好なものとすることができる。
【0014】
また、円環状被覆部材を備えるものでは、剛体キートップを支持部材の表面に沿った方向にスライド操作してもトップカバーの貫通孔からリング状磁石部材が露出しないので、塵等がリング状磁石部材に吸着して操作性が悪化することを防止することができる。
【0015】
また、磁気センサが厚さ方向において剛体キートップと重ならないように基板に配置されているものでは、支持部材の厚さ方向において磁気センサと剛体キートップとが重ならない配置となるので、操作性を良好に保持した状態で設計の自由度を向上させて、さらに薄型化を図ることができる。
【0016】
また、弾性部材が突起部に接触して剛体キートップの前記前記支持部材の表面に沿った方向の可動範囲を制限するものでは、剛体キートップの可動範囲が調整され、また、剛体キートップのスライド操作に伴って支持部材に負荷が生じないので、良好な操作性に適合するように可動範囲を設定することができると共に支持部材の劣化に伴う操作性の悪化を防止することができる。
【0017】
また、磁気センサ逃げ孔に磁気センサを収容するものでは、磁気センサ逃げ孔に磁気センサが収容されるので、さらに薄型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るアナログポインティングキー構造Aの分解斜視図である。
図1に示すように、アナログポインティングキー構造Aは、シート状に形成されたキーシート1と、メタルドームシート14と、フレキシブル基板16とが重ねられて、これをフロントケース24に装着することにより概略構成されている。なお、フロントケース24は、板金19と樹脂とが一体的に成型されたものであるが、図1においては理解容易のために板金19を独立のものとして図示している。
【0019】
図2は、キーシート1の分解斜視図であり、図3は、図2とは反対側から見たキーシート1の外観斜視図であり、図4は、アナログポインティングキー構造Aの一部断面図である。
図2に示すように、キーシート1は、トップカバー2と、トップキーラバー13と(図3参照)、決定キートップ3と、決定キーラバー6と、ストッパープレート10と、リング状磁石部材5と、目隠しプレート4とを備えている。
【0020】
トップカバー2は、シート状に成型された部材であり、円孔2aと複数の略湾状孔2bとを備えている。円孔2aは、決定キートップ3が露出するように構成されており、複数の略湾状孔2bは、トップカバー2の厚さ方向に押下及び復帰可能なボタン2cを構成している。
【0021】
トップキーラバー13は、図3に示すように、ゴム状弾性体からなり、トップカバー2と略同大に成型された部材である。このトップキーラバー13は、トップカバー2に貼付されており、該貼付面と反対側の面には、ボタン2cと対応する位置に複数のボタン押し子13cが突設されている。
【0022】
決定キートップ3は、図2に示すように、硬質樹脂を略円盤形状に成型した部材であり、操作者の指等と接触して操作を直接的に受ける。この決定キートップ3は、接着剤で決定キーラバー6に貼付されている。
【0023】
決定キーラバー6は、ゴム状弾性体を略円盤形状に成型した部材であり、円形貼付部7と、リング状磁石固定部9と、環状蛇腹部8と、環状固定部8aを備えている。
円形貼付部7は、決定キートップ3が貼付されている円形平面7aを備えており、決定キーラバー6の中央部に成型されている。
リング状磁石固定部9は、円形平面7aから決定キーラバー6の厚さ方向に窪んで同方向の断面が略U字状に成型された部位であり、円形貼付部7を囲繞する位置に環状に成型されている。
環状蛇腹部8は、決定キーラバー6の厚さ方向の断面が蛇腹状に成型された部位であって、リング状磁石固定部9を囲繞する位置に環状に成型された部位である。この環状蛇腹部8は、円形平面7aに沿って作用する荷重を受けたときに弾性変形をすることができるようになっている。
環状固定部8aは、円環状に成型された部位であり、環状蛇腹部8を囲繞すると共に決定キーラバー6の周縁を構成している。この環状固定部8aは、トップカバー2の円孔2aの周縁に接着材で固着されている。
【0024】
リング状磁石部材5は、円環状の永久磁石からなり、リング状磁石固定部9に収容かつ固定されている。このリング状磁石部材5は、図2及び図4に示すように、その内径がトップカバー2の円孔2aの径よりも小さく形成されると共にその外径が円孔2aの径よりも大きく形成されている。また、このリング状磁石部材5の外径と内径は、その差が決定キートップ3のスライド可能な長さよりも大きく構成されている。
【0025】
ストッパープレート10は、図2示すように、略円盤形状に形成された部材であり、中央に位置する押し子部11と、この押し子部11を囲繞するバネ部12と、この押し子部11を囲繞するように環状に形成された外環固定部12aとを備えている。
押し子部11は、略円盤形状に形成されたものであり、図3に示すように、メタルドームシート14の方向(図1参照)に形成された押し子円面11aと、この押し子円面11aの中央からメタルドームシート14の方向に突設されたキートップ押し子11bとを備えている。この押し子部11は、図4に示すように、押し子円面11aと反対側に形成される荷重受面11cが、決定キーラバー6における円形貼付部7の円形平面7aの反対側に形成される裏面7bに固着されている。
【0026】
バネ部12は、図2に示すように、押し子部11を囲繞するように配置されており、押し子部11と外環固定部12aとを接続している。このバネ部12は、決定キートップ3の押下時には撓み、クリック感に影響の出ない撓み荷重に設定されると共に、決定キートップ3のスライド操作によって厚さ方向と直交する方向に荷重が加わっても容易に変形がなされないように設定されている。
外環固定部12aは、円環状に形成されたものであり、図4に示すように、バネ部12に接続されると共に、メタルドームシート14と対向するリング状磁石固定部9の固着面9aに固着されている。
【0027】
目隠しプレート4は、図2に示すように、略円環状の部材であり、決定キートップ3の径と略同一の内径とリング状磁石部材5の外径と略同一の外径とを有する。この目隠しプレートは、リング状磁石部材5のトップカバー2側に形成された円環平面4aに貼付されている。すなわち、図4に示すように、トップカバー2の円孔2aから露出するリング状磁石部材5の内周側の一部を被覆して、上方からリング状磁石部材5が視認されないようにしている。
【0028】
図1に戻って、メタルドームシート14は、略矩形状に形成されたものであり、スイッチングの機能を有するメタルドームを各ボタン2c(各ボタン押し子13c)と決定キートップ3(キートップ押し子11b)との位置に応じて配列させたものである。
このメタルドームシート14には、断面矩形となった八つのシート逃げ孔15が、決定キートップ3を囲繞するように、周状に等間隔で設けられている。このメタルドームシート14は、フレキシブル基板16に貼付されている。
【0029】
フレキシブル基板16は、略矩形状に形成されたものであり、複数の電子部品が実装されている。この実施形態では、リング状磁石部材5によって作用する磁力を検出するホール素子17がフレキシブル基板16のフロントケース24側に実装されている。具体的には、四つのホール素子17が決定キートップ3を囲繞するように周状に等間隔で設けられている。
また、このフレキシブル基板16には、シート逃げ孔15と同大同形状に形成された八つの基板逃げ孔18が、四つのホール素子17を囲繞するように、シート逃げ孔15に対応する位置に周状に等間隔に設けられている。このようなフレキシブル基板16は、フロントケース24に収容・固着されている。
【0030】
フロントケース24は、インサート板金19を樹脂と一体的にインサート成型したものである。
インサート板金19は、キーシート貼付面23と、このキーシート貼付面23から窪んで形成されてフレキシブル基板16を収容するフレキシブル基板収容部20と、このフレキシブル基板収容部20の底面20aに形成された四つのホール素子逃げ孔21及び周状に突設された八つの突起部22とを備えている。
【0031】
ホール素子逃げ孔21は、フレキシブル基板収容部20に収容されたフレキシブル基板16に実装された四つのホール素子17の位置に対応して周状に四つ形成されており、図4に示すようにホール素子17を収容している。
突起部22は、図2に示すように、底面20aにおいて、四つのホール素子17を囲繞するように周状に、略直交方向に突出して形成されたものであり、シート逃げ孔15と基板逃げ孔18とを挿通している(図5参照)。
このような構成により、フレキシブル基板収容部20の底面20aにフレキシブル基板16が貼付されている。
【0032】
次に、上記の構成からなるアナログポインティングキー構造Aの動作について、図を用いて説明する。図5は、図4とは異なる箇所におけるアナログポインティングキー構造Aの断面図である。
まず、図5に示すように、操作者が適度な荷重を加えて決定キートップ3を厚さ方向と直交する方向(決定キーラバー6の表面6aに沿った方向)にスライド移動させると、決定キーラバー6における環状蛇腹部8のうち、スライド方向の環状蛇腹部8が縮小し、スライド方向と反対方向の環状蛇腹部8が伸長する。この際、リング状磁石部材5は、ストッパープレート10を介して決定キートップ3と連動して、決定キートップ3と同様の変位量だけ同方向にスライド移動する。
【0033】
リング状磁石部材5がスライド移動するとリング状磁石部材5と四つのホール素子17(図4参照)の相対的な位置関係が変化し、リング状磁石部材5と各ホール素子17の厚さ方向のオーバーラップ量が変化するため、四つのホール素子17で差磁束を検出し、決定キートップ3の位置が読み取られる。すなわち、ホール素子17は、このリング状磁石部材5の位置に基づいた磁束密度を検知信号としてフレキシブル基板16に供給する。
【0034】
決定キートップ3をさらに同方向にスライド移動させていくとストッパープレート10の周縁が突起部22に突き当たって、突起部22が決定キートップ3の可動範囲を制限する。この際にも、ホール素子17は、この変位量に応じた検知信号をフレキシブル基板16に供給し続ける。また、ストッパープレート10の周縁が突起部22に突き当たる位置まで決定キートップ3をスライド移動させたとしても、リング状磁石部材5は目隠しプレート4により被覆されており、上方から視認されない。
【0035】
操作者が荷重を取り除くと、環状蛇腹部8による復帰弾性力により環状蛇腹部8の変形が復元されると共に決定キートップ3の位置が基準の位置に復帰する。
【0036】
一方、操作者が厚さ方向に決定キートップ3を押し込み操作すると、円形貼付部7の周縁及びバネ部12が厚さ方向に撓み、決定キー押し子11bが厚さ方向に変位する。この際、この押し込み操作は、クリック感に影響のない良好なものである。
そして、この決定キー押し子11bの変位をメタルドームシート14が検知すると、メタルドームシート14が押下信号をフレキシブル基板16に供給する。
【0037】
操作者が押し込み操作を止めるとバネ部12の復帰弾性力により、決定キートップ3の変位がすばやく解消されて基準の位置に戻る。操作者は、決定キートップ3の厚さ方向の変位が解消された状態で、上記と同様に再度決定キートップ3をスライド操作する。この際、決定キートップ3の厚さ方向の変位が解消されているので、スライド操作に伴って決定キートップ3のキートップ押し子11bがメタルドームシートに干渉することはない。
【0038】
以上説明した通り、アナログポインティングキー構造Aによれば、ストッパープレート10を備えて、決定キートップ3を押し込み操作しても押し込み操作を止めると決定キートップ3の変位がすばやく解消されて即座に基準の位置に戻る。そして、次の押し込み操作又はスライド操作が即座に行われる。
【0039】
以上説明したように、本発明に係るアナログポインティングキー構造Aによれば、決定キートップ3の動作を決定キーラバー6のみならず、決定キートップ3の動作の押し込み操作をストッパープレート10で規定することができるので、決定キートップ3に対する押し込み操作による変位を即座に復元させることができる。
また、スライド方向における決定キートップ3とリング状磁石部材5との位置関係を規定するので、決定キートップ3をスライド操作するとリング状磁石部材5も同一の変位量でスライドし、リング状磁石部材5の反応性を向上させることができる。
【0040】
また、決定キーラバー6が突起部22に接触して決定キーラバー6の表面6aに沿った方向の可動範囲を制限するものでは、決定キートップ3の可動範囲が調整され、また、決定キートップ3のスライド操作に伴って決定キーラバー6に負荷が生じないので、良好な操作性に適合するように可動範囲を設定することができると共に決定キーラバー6の劣化に伴う操作性の悪化を防止することができる。
また、目隠しプレート4を備えるものでは、決定キートップ3を決定キーラバー6の表面に沿った方向にスライド操作してもトップカバーの貫通孔からリング状磁石部材が露出しないので、塵等がリング状磁石部材に吸着して操作性が悪化することを防止することができる。
すなわち、操作性を良好なものとすることができる。
【0041】
また、決定キートップ3とリング状磁石部材5とが決定キーラバー6の厚さ方向において重ならない配置となるので、設計の自由度を向上させて薄型化を図ることができる。
【0042】
また、ホール素子17が厚さ方向において決定キートップ3と重ならないようにフレキシブル基板16に配置されているものでは、決定キーラバー6の厚さ方向においてホール素子17と決定キートップ3とが重ならない配置となるので、操作性を良好に保持した状態で設計の自由度を向上させて、さらに薄型化を図ることができる。
【0043】
また、ホール素子逃げ孔21にホール素子17を収容するものでは、磁気センサ逃げ孔21にホール素子17が収容されるので、さらに薄型化を図ることが可能となる。
従って、操作性が良好で実用性に優れた薄型のアナログポインティングキー構造Aを提供することができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、決定キートップ3の形状は略円盤形状のとしたが、他の形状にしてもよい。また、その材質は、硬質樹脂に限られず、金属等で構成してもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態では、磁気センサとしてホール素子17を用いたが、ホールIC、磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果IC等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態において、アナログポインティングキー構造Aの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態において、キーシート1の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態において、図2とは反対側から見たアナログポインティングキー構造Aの外観斜視図である。
【図4】本発明の実施形態において、キーシート1の一部断面図である。
【図5】本発明の実施形態において、図4とは異なる箇所におけるアナログポインティングキー構造Aの断面図である。
【符号の説明】
【0047】
2…トップカバー
2a…円孔(貫通孔)
3…決定キートップ(剛体キートップ)
4…目隠しプレート(円環状被覆部材)
5…リング状磁石部材
6…決定キーラバー(支持部材)
6a…表面
8…環状蛇腹部(弾性復帰部)
10…ストッパープレート(弾性部材)
14…メタルドームシート(スイッチシート)
16…フレキシブル基板(基板)
17…ホール素子(磁気センサ)
19…板金
20…基板収容部(基板収容凹部)
20a…底面
21…ホール素子逃げ孔(磁気センサ逃げ孔)
24…フロントケース
A…アナログポインティングキー構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体キートップと、
表面に前記剛体キートップが固定され、前記剛体キートップを囲繞する位置の少なくとも一部に前記表面に沿った方向に前記剛体キートップが変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性復帰部が設けられた支持部材と、
該支持部材に固定されて前記剛体キートップを囲繞し、かつ、少なくともその一部が前記剛体キートップと前記弾性復帰部との間に位置するリング状磁石部材と、
前記剛体キートップと連動する前記リング状磁石部材の変位による磁束密度の変化を検出する磁気センサとを備えたアナログポインティングキー構造において、
前記支持部材の裏面に固定されて、前記支持部材の厚さ方向に前記剛体キートップが変位することを許容し、かつ、該変位を復元可能な弾性部材を備えることを特徴とするアナログポインティングキー構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記支持部材の表面に沿った方向において前記剛体キートップと前記リング状磁石部材とを位置決めすること特徴とする請求項1に記載のアナログポインティングキー構造。
【請求項3】
前記支持部材の表面側に位置し、前記剛体キートップを露出させる貫通孔が設けられたトップカバーが備えられると共に前記リング状磁石部材が前記支持部材の表面側に設けられ、
前記トップカバーと前記リング状磁石部材との間に前記リング状磁石部材を覆う円環状被覆部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のアナログポインティングキー構造。
【請求項4】
前記支持部材の裏面側に位置する基板と、前記支持部材と前記基板との間に位置すると共に前記基板に電気的に接続されて前記剛体キートップの変位に基づいて前記基板に電気信号を供給するスイッチシートとを備え、
前記磁気センサは、前記支持部材の厚さ方向において前記剛体キートップと重ならないように前記基板に配置されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載のアナログポインティングキー構造。
【請求項5】
前記基板を収容する基板収容凹部と該基板収容部の底面から該底面と交差する方向に突設された突起部と該基板収容凹部を囲繞し前記トップカバーが貼付されたトップカバー貼付面とが設けられた板金が樹脂と一体成型されたフロントケースを備え、
前記弾性部材は、前記突起部に接触して前記剛体キートップの前記支持部材の表面に沿った方向の可動範囲を制限することを特徴とする請求項4に記載のアナログポインティングキー構造。
【請求項6】
前記磁気センサが前記基板収容凹部の底面と対向する前記基板のセンサ実装面に設けられると共に前記板金に前記支持部材の厚さ方向において前記磁気センサと重なる位置に磁気センサ逃げ孔が設けられ、該磁気センサ逃げ孔に前記磁気センサを収容することを特徴とする請求項5に記載のアナログポインティングキー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−252628(P2009−252628A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101297(P2008−101297)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】