説明

アポリポタンパク質B分泌阻害剤としてのN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド類

【化1】


式(I)のN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物、これらの化合物の製造法、該化合物を含んでなる製薬学的組成物並びに高脂血症、肥満およびII型糖尿病の処置のための医薬としての該化合物の使用。該化合物はアポリポタンパク質Bの阻害剤として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアポリポタンパク質B阻害活性および付随する脂質降下活性を有する新規なN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物に関する。本発明は、更に、これらの化合物の製法、該化合物を含んでなる製薬学的組成物並びに高脂血症、肥満およびII型糖尿病の処置のための医薬としての該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は糖尿病および心疾患の成人の発症のような、無数の重大な健康問題の原因である。更に、体重減量は、増加している割合のヒト集団中で強迫観念(obsession)になりつつある。
【0003】
特に低密度リポタンパク質(以下、LDLという)および超低密度リポタンパク質(以下、VLDLという)の増加した血漿濃度と関連した高コレステロール血症と、早期アテローム性硬化症および/または心血管疾患の間の因果関係は今日広範に認められている。しかし、現在、限られた数の薬剤のみが高脂血症の処置のために利用可能である。
【0004】
高脂血症の管理のために主として使用される薬剤には胆汁酸金属イオン封鎖樹脂(例えば、コレスチルアミンおよびコレスチポール)、フィブリン酸誘導体(例えば、ベザフィブレート、クロフィブレート、フェノフィブレート、シプロフィブレートおよびゲムフィブロジル)、ニコチン酸およびコレステロール合成阻害剤(例えば、HMG補酵素−A還元酵素阻害剤)が含まれる。改善された効力をもちそして/もしくは前記の薬剤と異なる他の機序により作用する、新規な脂質低下剤の要求がいまだ存在する。
【0005】
血漿リポタンパク質は脂質(コレステロール、トリグリセリド、リン脂質)およびアポリポタンパク質から形成される高分子の水溶性複合体である。すべてが肝臓および/または腸内にその源を有する、脂質の割合およびアポリポタンパク質の種類が異なる5種の主要なリポタンパク質の群はそれらの密度(超遠心分離により測定される)に従って区別されてきた。それらにはLDL、VLDL、中密度リポタンパク質(以下、IDLという)、高密度リポタンパク質(以下、HLDという)およびキロミクロンが含まれる。10種の主要なヒト血漿のアポリポタンパク質が同定された。肝臓により分泌され、アポリポタンパク質B(以下、Apo−Bという)を含有するVLDLは総血清コレステロールの60〜70%を運ぶLDLに分解する。Apo−Bはまた、LDLの主要なタンパク質成分である。過剰合成もしくは代謝減少による血清中LDL−コレステロールの増加はアテローム性動脈硬化症に因果関係をもつ。それに対し、アポリポタンパク質A1を含有する高密度リポタンパク質(以下、HLDという)は保護的効果をもち、冠状動脈心疾患の危険度と逆相関する。従って、HLD/LDL比率は個体の血漿脂質プロファイルのアテローム発生の可能性を予測する便利な方法である。
【0006】
アポリポタンパク質(apo)Bの2種の異性体形態、apo B−48およびapo B−100はヒトのリポタンパク質代謝における重要なタンパク質である。それがナトリウムドデシルスルフェート−ポリアクリルアミドのゲル上でapo B−100のサイズの約48%であるように見えるためにそのように名付けられたApo B−48はヒトの腸により合成される。Apo B−48はキロミクロンの集合のために必要で、従って食餌脂肪の腸内吸収において必須の役割を有する。ヒトの肝臓で生産されるApo B−100はVLDLの合成および分泌に必要である。ヒトの血漿中コレステロールの約2/3を含有するLDLはVLDLの代謝生成物である。Apo B−100は実質的にLDLの唯一のタンパク質成分である。血漿中apo B−100およびLDLコレステロールの上昇した濃度はアテローム硬化性冠状動脈疾患を発症させる(develop)ための認識された危険因子である。
【0007】
多数の遺伝的および獲得疾患が高脂血症をもたらす可能性がある。それらは一次および二次高脂血性状態に分類することができる。二次高脂血症のもっとも一般的な原因は糖尿病、アルコール乱用、薬剤、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁うっ帯および過食症である。一次高脂血症はまた、通常の高コレステロール血症、家族性合併高脂血症、家族性高コレステロール血症、残留高脂血症、キロミクロン血症症候群および家族性高トリグリセリド血症に分類されてきた。
【0008】
ミクロソームのトリグリセリドの輸送タンパク質(以下、MTPという)は、ホスファチジルコリンのようなリン脂質に対する親和性(preference)によりトリグリセリドおよびコレステリルエステルの輸送を触媒することが知られている。無ベータリポタンパク血症を誘発する欠損がMTP遺伝子にあることがD.Sharpらにより示された(非特許文献1参照)。これは、LDLの前駆体のVLDLのようなApo B−含有リポタンパク質の合成のためにMTPが必要であることを示している。従って、MTP阻害剤がVLDLおよびLDLの合成を阻害し、それによりヒトのVLDL、LDL、コレステロールおよびトリグリセリドのレベルを低下させるであろうことが導かれる。
【0009】
本発明の目的の1つは、肥満もしくはアテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性硬化症および更に一般的には、アテローム性動脈硬化症に関連した障害、例えば、虚血性心疾患、末梢血管疾患および脳血管疾患を罹患する患者のための改善された処置を提供することである。本発明のもう1つの目的は、アテローム性動脈硬化症の後退を誘起し、その臨床的結果、特に罹病率および死亡率を抑制することである。
【0010】
MTP阻害剤は特許文献1、2および3に開示されている(特許文献1、2および3参照)。
【特許文献1】国際公開第00/32582号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/96327号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/20501号パンフレット
【非特許文献1】D.Sharp et al.,Nature(1993)365:65
【発明の開示】
【0011】
本発明は、新規なN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物の1群が選択的MTP阻害剤として作用する、すなわち、哺乳動物の腸壁レベルでMTPを選択的に阻害することができ、従って医薬として、すなわち高脂血症の処置のための有望な候補であるという予期されなかった発見に基づく。本発明は更に、これらのN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物並びにこれらの化合物を含む製薬学的組成物の幾つかの製法を提供する。更に、本発明は治療的に活性なN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物の製造に有用な中間体である或る数の新規な化合物並びにこれら中間体の製法を提供する。最後に、本発明は哺乳動物に治療的に活性なビフェニルカルボキサミド化合物を投与することを含んでなる、アテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、糖尿病およびII型糖尿病から選択される症状の処置法を提供する。
【0012】
本発明は式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
式中、
は水素、C1−4アルキル、ハロまたはポリハロC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキル、ハロまたはポリハロC1−4アルキルであり、
は水素またはC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキルまたはハロであり、
nはゼロもしくは1の整数であり、
およびXは双方とも炭素であるか、或いはXまたはXの一方が窒素である時にはXまたはXの他方は炭素であり、
は炭素であるか、或いはXまたはXの一方のみが窒素であるという条件のもとに窒素であり、
YはOまたNRであり、ここでRは水素もしくはC1−4アルキルであり、そして
は水素、場合によりC1−4アルキルオキシ、シアノ、ポリハロC1−4アルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりアリールで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりアリールで置換されていてもよいC3−6アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
アリールはフェニル、それぞれニトロ、アジド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルであり、
ヘテロアリールはピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、フラニルもしくはチエニルであり、そして場合によりそれぞれニトロ、アジド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−4アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、
の新規な化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容しうる酸付加塩および立体化学的異性体形態のファミリーに関する。
【0015】
別記されない限り、前記の定義および以後に使用されるように:
−ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包括し、
−C1−4アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル等の1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し、
−C1−6アルキルは、C1−4アルキル(前記定義のとおり)および例えば、2−メチルブチル、n−ペンチル、ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル等の5〜6個の炭素原子を有するそれらのより高次の同族体を意味し、
−ポリハロC1−4アルキルは、ポリハロ置換C1−4アルキル、とりわけジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル等の2〜6個のハロゲン原子で置換されたC1−4アルキル(前記定義のとおり)と定義され、
−C2−6アルケニルは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルまたはヘキセニルのような2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状不飽和炭化水素基を定義し、
−C3−6アルキニルは、例えば、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、2−ヘキシニル等1個の三重結合を含みかつ3〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し、
−C1−4アルキルアミノは、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ等の1〜6個の炭素原子を有する第一級アミノ基を定義し、
−ジ(C1−6アルキル)アミノは、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−メチル−N’−エチルアミノ、N−エチル−N’−プロピルアミノ等のような1〜6個の炭素原子を有する第二級アミノ基を定義する。
【0016】
前記の製薬学的に許容しうる酸付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒の酸付加塩形態を含んでなることを意味する。製薬学的に許容しうる酸付加塩は、好都合には、適当な酸で塩基形態を処理することにより得ることができる。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸もしくは臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸等の酸のような無機酸または、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸(すなわちエタンジオン酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタンジオン酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモエ酸等の酸のような有機酸を含んでなる。
【0017】
反対に前記の塩形態を適当な塩基との処理により遊離塩基形態に転化させることができる。
【0018】
前記で使用される用語である付加塩は、また、式(I)の化合物並びにそれらの塩が形成することができる溶媒和を含んでなる。このような溶媒和は例えば水和物、アルコラート等である。
【0019】
当該技術分野で既知の方法で製造することができる式(I)の化合物のN−オキシド形態は、窒素原子がN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
【0020】
前記に使用される「立体化学的異性体形態」なる用語は、式(I)の化合物が有することができるすべての可能な異性体形態を定義する。別記されない限り、化合物の化学表示はすべての可能な立体化学的異性体形態の混合物を意味し、ここで該混合物は基礎分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。より具体的には、ステレオジェン中心はR−もしくはS−形態をもつことができ、2価の環式(部分的)飽和基上の置換基はシス−もしくはトランス−形態のいずれかをもつことができる。別記されない限り、化合物の化学表示はすべての可能な立体異性体形態の混合物を意味し、ここで該混合物は基礎分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。同様なことが式(I)の最終生成物を製造するために使用される本明細書に記載の中間体に適用される。
【0021】
シスおよびトランスなる用語は、本明細書においてはChemical Abstracts命名法に従って使用され、環部分上の置換基の位置を表わす。
【0022】
式(I)化合物およびそれらの製造に使用される中間体の絶対的立体化学的構造は、例えば、X−線回折のような周知の方法を使用して、当業者により容易に決定することができる。
【0023】
更に、式(I)の化合物およびそれらの製造に使用される中間体の幾つかは多形性を示す可能性がある。本発明は前記の症状の処置に有用な特性を有するあらゆる多形的形態を包含すると理解すべきである。
【0024】
興味深い化合物の群は、以下の限定の1個もしくは複数が適用される式(I)の化合物からなる:
a)Rはtert−ブチルまたはトリフルオロメチルであり、
b)Rは水素またはC1−4アルキルであり、
c)Rは水素であり、
d)Rは水素であり、
e)RはC1−4アルキルまたはフェニルで置換されたC1−4アルキルである。
【0025】
化合物の第1の特定の群はX、XおよびXが炭素である式(I)の化合物である。
【0026】
化合物の第2の特定の群はXが炭素であり、Xが窒素であり、そしてXが炭素である式(I)の化合物である。
【0027】
化合物の第3の特定の群はXが窒素であり、Xが炭素であり、そしてXが炭素である式(I)の化合物である。
【0028】
化合物の第4の特定の群はXが炭素であり、Xが窒素であり、そしてXが窒素である式(I)の化合物である。
【0029】
化合物の第5の特定の群はnが整数ゼロである式(I)の化合物である。
【0030】
化合物の第6の特定の群はnが整数1である式(I)の化合物である。
【0031】
化合物の第1の好ましい群は、RがC1−4アルキルもしくはトリフルオロメチルであり、Rが水素またはC1−4アルキルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、RがC1−4アルキルまたはフェニルで置換されたC1−4アルキルであり、nが整数ゼロであり、そしてX、XおよびXが炭素である式(I)の化合物である。
【0032】
化合物の第2の好ましい群は、RがC1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであり、Rが水素またはC1−4アルキルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、RがC1−4アルキルまたはフェニルで置換されたC1−4アルキルであり、nが整数1であり、そしてX、XおよびXが炭素である式(I)の化合物である。
【0033】
化合物の第3の好ましい群は、RがC1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであり、Rが水素またはC1−4アルキルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、RがC1−4アルキルまたはフェニルで置換されたC1−4アルキルであり、nが整数ゼロであり、Xが炭素であり、XまたはXが窒素であり、そしてXまたはXの残りが炭素である式(I)の化合物である。
【0034】
化合物の第4の好ましい群は、RがC1−4アルキルまたはトリフルオロメチルであり、Rが水素またはC1−4アルキルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、RがC1−4アルキルまたはフェニルで置換されたC1−4アルキルであり、nが整数1であり、Xが炭素であり、そしてXまたはXが窒素であり、そしてXもしくはXの残りが炭素である式(I)の化合物である。
【0035】
化合物の第1のより好ましい群は、YがOである化合物の好ましい群の1つである。
【0036】
化合物の第1のより好ましい群は、YがNHである化合物の好ましい群の1つである。
【0037】
式(I)の化合物を製造するための第1の方法は式(II)
【0038】
【化2】

【0039】
式中、R、R、R、n、Y、X、XおよびXは式(I)で定義されているとおりである、
の中間体を、少なくとも1種の反応不活性溶媒中で、場合により適当な塩基の存在下で、式(III)
【0040】
【化3】

【0041】
式中、RおよびRは式(I)中で定義されているとおりであり、Qはヒドロキシおよびハロから選択される、
を有するビフェニルカルボン酸またはハロゲン化物と反応させる方法であり、ここで該方法は、更に場合により、式(I)の化合物をその酸付加塩に転化させることおよび/またはそれらの立体化学的異性体形態を製造することを含んでなる。Qがヒドロキシである場合、有効量の反応促進剤を添加することにより、式(III)のビフェニルカルボン酸を活性化することが好都合であるかも知れない。このような反応促進剤の限定されない例には、カルボニルジイミダゾール、ジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくは1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(ECC)、およびそれらの官能誘導体が含まれる。このタイプのアシル化法のためには、例えばジクロロメタンのような極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。この第1の方法を実施するために適した塩基にはトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン等の第三級アミンが含まれる。本発明の第1の方法を実施するための適温は、典型的には、使用される特定の溶媒に依存して約20℃〜約140℃の範囲にあり、もっとも頻繁には前記溶媒の沸騰温度であろう。
【0042】
本発明のビフェニルカルボキサミド化合物の第2の製法は式(IV)
【0043】
【化4】

【0044】
式中、R、R、R、R、n、X、XおよびXは式(I)で定義されているとおりであり、Qはハロおよびヒドロキシから選択される、
を有する中間体を、少なくとも1種の反応不活性溶媒中で、場合により少なくとも1種の適当なカップリング試薬および/または適当な塩基の存在下で、式R−Y−H(式中、RおよびYは式(I)中で定義されているとおりである)の中間体(V)と反応させる方法であり、ここで該方法は、更に場合により、式(I)の化合物をその酸付加塩に転化させることおよび/またはそれらの立体化学的異性体形態を製造することを含んでなる。Qがヒドロキシである場合、有効量の反応促進剤を添加することにより式(IV)のカルボン酸を活性化することが好都合であるかも知れない。このような反応促進剤の限定されない例にはカルボニルジイミダゾール、ジイミド類、例えばDCC、ECC、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、テトラピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ブロモトリピロリジノホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、またはそれらの官能誘導体(Steven A.KatesおよびFernando Albericio,Marcel Dekker,Inc.,2000(ISBN:0−8247−0359−6)により刊行された“Solid−Phase Synthesis:A Practical Guide”,306〜319ページに開示されている)が含まれる。
【0045】
本発明に従うビフェニルカルボキサミド化合物の第3の製法は式(VI)
【0046】
【化5】

【0047】
式中、R、R、R、R、X、XおよびXは式(I)で定義されているとおりであり、Qはハロ、B(OH)、アルキルボロネートおよびそれらの環式類似体から選択される、
を有する中間体を、少なくとも1種の反応不活性溶媒中で、そして場合により1種の遷移金属カップリング試薬および/または少なくとも1種の適当なリガンドの存在下で、式(VII)
【0048】
【化6】

【0049】
式中、n、YおよびRは式(I)中で定義されているとおりである、
を有する反応物と反応させる方法であり、ここで該方法は、更に場合により、式(I)の化合物をその酸付加塩に転化させることおよび/またはそれらの立体化学的異性体形態を製造することを含んでなる。Buchwald反応として当該技術分野で既知のこの種の反応、適用可能な金属カップリング試薬および/または適当なリガンド、例えばパラジウム化合物、例えば、パラジウムテトラ(トリフェニルホスフィン)、トリス(ジベンジリデン−アセトンジパラジウム、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)等)に関する参考文献は、例えば、Tetrahedron Letters,(1996),37(40),7181−7184およびJ.Am.Chem.Soc.,(1996),118:7216中に見いだすことができる。Tetrahedron Letters,(1998)、39:2933−6に従うと、QがB(OH)である時には、カップリング試薬としてアルキルボロネートもしくはその環式類似体、次に酢酸第2銅を使用すべきである。
【0050】
YがNHを表わし、Rが水素を表わす式(I)の化合物として定義される式(I−a)の化合物は、好都合には、下記のスキーム1に表わされる固相合成法を使用して製造することができる。概括的に、固相合成はポリマー支持体と合成中の中間体を反応させることを伴う。次にこのポリマー支持された中間体を多数の合成段階をとおして維持することができる。各段階後に、樹脂を濾過し、様々な溶媒で多数回洗浄することにより不純物を除去する。各段階において、次の段階で様々な中間体と反応させるように樹脂を分割して、多数の化合物の合成を可能にすることができる。手順の最終段階後に、試料から樹脂を分割するための試薬もしくは方法で樹脂を処理する。固相化学に使用される方法のより詳細な説明は、例えば、K.C.Nicolaou,R.Hanko,およびW.Hartwigにより刊行された“Handbook of Combinatorial Chemistry:Drugs,Calalysts,Materials”、第1巻および2巻、Wiley(ISBN:3−527−30509−2)に記載されている。
【0051】
【化7】

【0052】
スキーム1に使用された略語は実験の部に説明されている。置換基R、R、R、R、R、n、Y、X、XおよびXは式(I)の化合物に対して定義したとおりである。PGは、例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル、フェニルメチルオキシカルボニル、−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等の保護基を表わす。
【0053】
が水素を表わす式(I)の化合物として定義される式(I−b)の化合物は、スキーム2に概説されるような固相合成経路を使用して製造することができる。
【0054】
【化8】

【0055】
前記の方法で製造される式(I)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され、当該技術分野で既知の分割法に従って相互に分離することができる。式(I)のラセミ化合物は適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化させることができる。次に該ジアステレオマー塩形態は、例えば、選択的もしくは分別結晶により分離され、エナンチオマーをアルカリによりそれらから放出させる。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離するそれに代わる方法はキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを包含する。前記の純粋な立体化学的異性体形態はまた、反応が立体特異的に起るという条件のもとで、適当な出発材料の対応する純粋に立体化学的異性体形態から誘導することができる。特定の立体異性体が所望される場合は、好ましくは前記化合物は立体特異的な調製法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマーとして純粋な出発材料を使用するであろう。
【0056】
式(I)のN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物、N−オキシド形態、製薬学的に許容しうる塩およびそれらの立体異性体形態は好ましいアポリポタンパク質B阻害作用および付随する脂質降下作用を有する。従って、本発明の化合物は、特に、高脂血症、肥満、アテローム性動脈硬化症もしくはII型糖尿病を罹患する患者を処置する方法における医薬として有用である。本発明の化合物はとりわけ超低密度リポタンパク質(VLDL)もしくは低密度リポタンパク質(LDL)の過剰により惹起される障害、および特に前記VLDLおよびLDLと関連するコレステロールにより惹起される障害を処置するための医薬の製造に使用することができる。
【0057】
式(I)の化合物の作用の主要な機序は、肝細胞および腸の上皮細胞中のMTP(ミクロソームのトリグリセリド輸送タンパク質)の阻害を伴って、それぞれVLDLおよびキロミクロン生成の減少をもたらすように見える。これは高脂血症に対する新規な、画期的なアプローチであり、VLDLの肝臓の生産およびキロミクロンの腸内生産減少により、LDL−コレステロールおよびトリグリセリドを低下させると期待される。
【0058】
多数の遺伝的および獲得疾患が高脂血症をもたらすことがある。それらは一次および二次高脂血性状態に分類することができる。二次的高脂血症のもっとも一般的な原因は糖尿病、アルコール乱用、薬剤、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁鬱帯および過食症である。一次高脂血症は一般的な高コレステロール血症、家族性合併高脂血症、家族性高コレステロール血症、残留高脂血症(remnant hyperlipidaemia)、キロミクロン血症症候、家族性高トリグリセリド血症である。本発明の化合物はまた、肥満もしくはアテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性硬化症および更に概括的にアテローム性動脈硬化症に関連する障害、例えば、虚血性心疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患を罹患する患者を予防もしくは処置するために使用することができる。本発明の化合物はアテローム性動脈硬化症の退行を誘起し、アテローム性動脈硬化症の臨床結果、特に罹患率および死亡率を抑制することができる。
【0059】
式(I)の化合物の利用性を考慮すると、本発明はまた、超低密度リポタンパク質(VLDL)もしくは低密度リポタンパク質(LDL)の過剰により誘起される障害、および特に前記VLDLおよびLDLと関連するコレステロールにより誘起される障害を罹患する、ヒトを含む温血動物(本明細書では概括的に患者と呼ばれる)を処置する方法を提供するという結果になる。その結果、例えば、高脂血症、肥満、アテローム性動脈硬化症もしくはII型糖尿病のような症状を罹患する患者を緩和するための処置法が提供される。
【0060】
腸により合成されるapo B−48はキロミクロンの集合のために必要であり、従って食餌脂肪の腸内吸収に必須の役割を有する。本発明は腸壁レベルで選択的MTP阻害剤として働いているビフェニルカルボキサミド化合物を提供する。
【0061】
更に、本発明は少なくとも1種の、製薬学的に許容しうる担体および、治療的に活性な量の式(I)を有するN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0062】
本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として塩基もしくは付加塩形態の具体的な化合物の有効量を、その担体が投与に所望される調製形態に応じて広範な形態を採ることができる少なくとも1種の製薬学的に許容しうる担体との緊密な混合物に組み合わせる。これらの製薬学的組成物は、望ましくは、好ましくは経口投与、直腸内投与、経皮投与もしくは非経口注射に適した単位投与形態にある。
【0063】
例えば、経口投与形態の組成物を調製する場合には、経口液体調製物、例えば、懸濁物、シロップ、エリキシルおよび液剤の場合には、通常のあらゆる液体医薬担体、例えば、水、グリコール、油、アルコール等を、または末剤、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には、固体の医薬担体、例えば、デンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等、を使用することができる。それらの容易な投与のために、その場合には、明らかに固体の医薬担体が使用される錠剤およびカプセルがもっとも有利な経口投与単位形態を表わす。非経口注射用組成物のためには、有効成分の溶解度を改善するために他の成分を含むことはできるが、医薬担体は主として滅菌水を含んで成るであろう。注射液は例えば、生理食塩水、ブドウ糖液もしくは双方の混合物を含んで成る医薬担体を使用することにより調製することができる。注射用懸濁液もまた、適当な液体担体、懸濁剤等を使用することにより調製することができる。経皮投与に適当な組成物中では、医薬担体は、場合によっては皮膚に有意な有害効果を誘起しない少量の適当な添加剤と組み合わせた、場合によっては透過促進剤および/もしくは適当な加湿剤を含んで成ることができる。前記添加剤は皮膚に対する有効成分の投与を容易にし、そして/もしくは所望の組成物の調製を補助するために選択することができる。これらの局所用組成物は様々な方法で、例えば、経皮的パッチ剤、スポット−オンもしくは軟膏として投与することができる。式(I)の化合物の付加塩は明らかに、対応する塩基形態に比してそれらの増加した水溶性のために、水性組成物の調製により適する。
【0064】
本発明の製薬学的組成物を投与の容易さおよび用量の均一性のために投与単位形態に調製することは特に有利である。本明細書で使用される「投与単位形態」は、各単位が必要な医薬担体と協力して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の前以て決められた量を含有する、単位用量として適した物理的に分離した単位を表わす。これらの投与単位形態の例は錠剤(刻み目付きもしくはコート錠を含む)、カプセル、ピル、末包、ウエファー、注射液もしくは懸濁液、小匙1杯、大匙1杯、等およびそれらの分離された複数体である。
【0065】
経口投与のためには、本発明の製薬学的組成物は、製薬学的に許容しうる賦形剤および担体、例えば、結合剤(例えば、前以てゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、充填剤(例えば、ラクトース、微細結晶セルロース、リン酸カルシウム等)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ等)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、ナトリウムデンプングリコレート等)、加湿剤(例えば、ナトリウムラウリルスルフェート)等とともに、通常の方法により調製される、固体投与形態、例えば、錠剤(嚥下可能および咀嚼可能双方の形態)、カプセルもしくはゲルカプセルの形態を採ることができる。これらの錠剤はまた、当該技術分野で周知の方法によりコートすることができる。
【0066】
経口投与のための液体調製物は、例えば、液剤、シロップもしくは懸濁液の形態を採ることができるかまたは、使用前に水および/またはもう1種の適当な液体担体と混合するための乾燥製品として調製することができる。これらの液体調製物は、場合によっては懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくは水素化された食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンもしくはアカシア)、非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステルもしくはエチルアルコール)、甘味剤、フレーバー、マスキング剤および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートもしくはソルビン酸)のような、他の製薬学的に許容しうる添加剤を伴なって、通常の方法により調製することができる。
【0067】
本発明の製薬学的組成物中に有用な製薬学的に許容しうる甘味剤は、好ましくは、少なくとも1種の強力甘味剤、例えば、アルパルテーム、アセスルフェーム・カリウム、ナトリウムシクラメート、アリテーム、ジヒドロカルコン甘味剤、モネリン、ステビオシドスクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース)または好ましくは、サッカリン、ナトリウムもしくはカルシウムサッカリン、および場合によっては少なくとも1種のバルク甘味剤、例えば、ソルビトール、マニトール、果糖、蔗糖、麦芽糖、イソマルト、ブドウ糖、水素化ブドウ糖シロップ、キシリトール、カラメルもしくは蜂蜜を含んで成る。強力甘味剤は便利なことには低濃度で使用される。例えば、ナトリウムサッカリンの場合には、該濃度は最終調製物の約0.04%〜0.1%(重量/容量)の範囲にあることができる。バルク甘味剤は約10%〜約35%、好ましくは約10%〜15%(重量/容量)の範囲のより高い濃度で有効に使用することができる。
【0068】
低用量調製物中の苦味成分を隠蔽することができる、製薬学的に許容しうるフレーバーは好ましくは、果実フレーバー、例えば、サクランボ、ラズベリー、黒スグリもしくはイチゴフレーバーである。2種のフレーバーの組み合わせ物は非常に良好な結果をもたらすことができる。高用量調製物においては、より強度な、製薬学的に許容しうるフレーバー、例えば、Caramel Chocolate、Mint Cool、Fantasy等を必要とするかも知れない。各フレーバーは約0.05%〜1%(重量/容量)の範囲の濃度で最終組成物中に存在することができる。該強力フレーバーの組み合わせ物が有利に使用される。調製環境下で味および/もしくは色彩のどんな変化もしくは喪失をも受けないフレーバーが好ましく使用される。
【0069】
本発明のN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物は注射、便利には静脈内、筋肉内もしくは皮下注射による、例えば、ボラス注射もしくは連続静脈注入による、非経口投与のために調製することができる。注射用調製物は添加された保存剤を含む、例えば、アンプル中のもしくは複数用量の容器内に単位投与形態で提供することができる。それらは油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液、液剤もしくはエマルションのような形態を採ることができ、調製剤、例えば、等張化剤、懸濁剤、安定剤および/もしくは分散剤を含有することができる。あるいはまた、有効成分は、使用前に適当なビヒクル、例えば、滅菌した、発熱物質を含まない水と混合するための粉末形態で存在することができる。本発明のビフェニルカルボキサミド化合物はまた、例えば、ココアバターおよび/もしくは他のグリセリドのような通常の座薬基剤を含有する、座薬もしくは貯留浣腸剤のような直腸組成物に調製することもできる。
【0070】
本発明のN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサミド化合物は他の製薬学的薬剤と併用して使用することができ、とりわけ本発明の製薬学的組成物は更に少なくとも1種の更なる脂質低下剤を含んで成ることができ、従って、いわゆる併用脂質低下治療をもたらすことができる。前記の更なる脂質低下剤は例えば、高脂血症の管理のために通常使用される既知の薬剤、例えば、本発明の背景の項に前述されたような、胆汁酸金属イオン封鎖樹脂、フィブリン酸誘導体もしくはニコチン酸であることができる。適当な更なる脂質低下剤にはまた、他のコレステロール生合成阻害剤およびコレステロール吸収阻害剤、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤およびHMG−CoA合成酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、ACAT阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤等が含まれる。
【0071】
あらゆるHMG−CoA還元酵素阻害剤を本発明の併用治療アスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。本明細書中で使用される「HMG−CoA還元酵素阻害剤」なる用語は、別記されない限り、酵素のHMG−CoA還元酵素により触媒されるような、ヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aのメバロン酸への生体内変換を阻害する化合物を表わす。このような阻害は標準アッセイ、すなわちMethods of Enzymology(1981)71:455−509に従って当業者により容易に決定することができる。典型的な化合物は、例えば、米国特許第4,231,938号明細書(ロバスタチンを含む)、米国特許第4,444,784号明細書(シムバスタチンを含む)、米国特許第4,739,073号明細書(フルバスタチンを含む)、米国特許第4,346,227号明細書(プラバスタチンを含む)、欧州特許第491,226号明細書(リバスタチンを含む)および米国特許第4,647,576号明細書(アトルバスタチンを含む)に記載されている。
【0072】
あらゆるHMG−CoA合成酵素阻害剤を本発明の併用治療のアスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。本明細書で使用される「HMG−CoA合成酵素阻害剤」なる用語は、別記されない限り、酵素のHMG−CoA合成酵素により触媒される、アセチル−補酵素Aおよびアセトアセチル−補酵素Aからのヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aの生合成を阻害する化合物を表わす。このような阻害は標準アッセイ、すなわちMethods of Enzymology(1985)110:19−26に従って当業者により容易に決定することができる。典型的な化合物は、例えば、ベータ−ラクタム誘導体に関する米国特許第5,120,729号明細書、スピロ−ラクトン誘導体に関する米国特許第5,064,856号明細書および、オキセタン化合物に関する米国特許第4,847,271号明細書に記載されている。
【0073】
あらゆるHMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤を本発明の併用治療アスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。これらの薬剤はDNAの転写を阻害するHMG−CoA還元酵素転写阻害剤もしくは、タンパク質へのHMG−CoA還元酵素のmRNAコードの翻訳を阻害する翻訳阻害剤であることができる。これらの阻害剤は転写もしくは翻訳のいずれかに直接影響を与えるか、またはコレステロール生合成カスケードにおいて1種以上の酵素により前記の特性を有する化合物に生体内変換されるか、または前記の作用を有する代謝物の蓄積をもたらすことができる。これらの調整は標準アッセイ、すなわちMethods of Enzymology(1985)110:19−26に従って当業者により容易に決定することができる。典型的な化合物は、例えば、米国特許第5,041,432号明細書およびE.I.Mercer,Prog.Lip.Res.(1993)32:357−416に記載されている。
【0074】
あらゆるCETP阻害剤を本発明の併用治療アスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。本明細書で使用される「CETP阻害剤」なる用語は、別記されない限り、HDLからLDLおよびVLDLへの様々なコレステリルエステルおよびトリグリセリドのコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)仲介の輸送を阻害する化合物を表わす。代表的な化合物は、例えば、米国特許第5,512,548号明細書、J.Antibiot.(1996)49(8):815−816およびBioorg.Med.Chem.Lett.(1996)6:1951−1954に記載されている。
【0075】
あらゆるACAT阻害剤を本発明の併用治療のアスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。本明細書で使用される「ACAT阻害剤」なる用語は、別記されない限り、酵素のアシルCoA:コレステロール・アシルトランスフェラーゼにより食餌のコレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物を表わす。これらの阻害は標準のアッセイ、すなわちHeider等.,Journal of Lipid Research(1983)24:1127の方法に従って当業者により容易に決定することができる。典型的な化合物は、例えば、米国特許第5,510,379号明細書、国際公開第96/26948号および第96/10559号パンフレットに記載されている。
【0076】
あらゆるスクアレン合成酵素阻害剤を本発明の併用治療のアスペクトにおける第2の化合物として使用することができる。本明細書で使用される「スクアレン合成酵素阻害剤」なる用語は、別記されない限り、酵素のスクアレン合成酵素により触媒される、スクアレン形成のための、ファルネシルピロホスフェートの2分子の縮合を阻害する化合物を表わす。これらの阻害は標準の方法、すなわちMethods of Enzimology(1985)110:359−373に従って当業者により容易に決定することができる。典型的な化合物は、例えば、欧州特許第0,567,026号、第0,645,378号および第0,645,377号明細書に記載されている。
【0077】
高脂血症の処置における当業者は下記に提示される試験結果から本発明のビフェニルカルボキサミド化合物の治療的に活性な量を容易に決定するであろう。概括的には、治療的に有効な投与量は処置される患者の体重当たり約0.001mg/kg〜約5mg/kg体重、より好ましくは約0.01mg/kg〜約0.5mg/kgであろうと予想される。治療的に有効な量を1日全体で適当な間隔で2回以上の分割用量の形態で投与することが適当であるかも知れない。該分割用量は、例えば、単位投与形態当たり活性成分をそれぞれ、約0.1mg〜約350mg、より具体的には約1〜約200mg含有する単位投与形態として調製することができる。
【0078】
正確な用量および投与回数は、当業者には周知のように、使用される式(I)の特定のビフェニルカルボキサミド化合物、処置されている具体的な症状、処置されている症状の重篤度、特定の患者の年齢、体重および全身状況並びに、患者が服用している他の投薬(前記の更なる脂質低下剤を含む)に左右される。更に、該有効1日量は処置される患者の反応に応じてそして/または本発明のビフェニルカルボキサミド化合物を処方している医師の評価に応じて、減量または増量することができる。従って、該有効1日量範囲は指針に過ぎない。
実験の部門
以下の方法においては、以下の略語を使用した:「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「TFFH」はテトラメチルフルオロホルムアミジニウム・ヘキサフルオロホスフェートを意味し、「NMP」はN−メチル−2−ピロリドンを意味し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、そして「TIS」はトリイソプロピルシランを意味する。
A.中間体の合成
【0079】
[実施例A.1]
a)4−(エトキシカルボニルメチル)ピペリジン(0.0222モル)および2−クロロ−5−ニトロピリジン(0.0222モル)の混合物(40mlのDMSO中)をNaCOの存在下で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷/水混合物中に注入した。生成された沈殿物を濾取し、水で洗浄した。反応生成物を酢酸エチルおよびヘキサンの混合物からの再結晶により精製すると、(5’−ニトロ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−酢酸エチルエステル(中間体1、mp.99〜101℃)を与えた。
b)中間体(1)(0.0102モル)の混合物(50mlのTHF中)を、触媒として炭素上パラジウム(10%、0.3g)により50℃の温度で30分間水素化した。水素(1当量)取り込み後、触媒を濾去し、濾液を蒸発させると(5’−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−酢酸エチルエステル(中間体2)を与えた。
【0080】
[実施例A.2]
a)4−(エトキシカルボニルメチル)ピペリジン(0.011モル)および1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.011モル)の混合物(20mlのDMSO中)をNaCO(0.044モル)の存在下で60℃の温度で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷/水混合物中に注入した。生成された沈殿物を濾取し、水で洗浄した。反応生成物を酢酸エチルおよびヘキサンの混合物からの再結晶により精製すると、[1−(4−ニトロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−酢酸エチルエステル(中間体3、mp.83〜85℃)を与えた。
b)中間体(3)(0.0055モル)の混合物(50mlのTHF中)を触媒として炭素上パラジウム(10%、0.16g)により50℃の温度で30分間水素化した。水素(1当量)取り込み後、触媒を濾去し、濾液を蒸発させると[1−(4−アミノ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−酢酸エチルエステル(中間体4)を与えた。
【0081】
[実施例A.3]
チオニルクロリド(3.6ml)を4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.025モル)の透明溶液(1mlのDMFおよび100mlのDCM中)に添加した。混合物を1時間撹拌還流させた。溶媒を蒸発させた。DCM(50ml)を残留物に添加し、次に蒸発させると4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボニルクロリド(中間体5)を与えた。
【0082】
6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボニルクロリド(中間体6)を前記の方法を使用して6−メチル−4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−カルボン酸から出発して同様に調製した。
【0083】
[実施例A.4]
a)Novabiochem01−64−0261の市販の樹脂(5g)、ベンジルアミン(1.765g)およびチタン(IV)イソプロポキシド(4.686g)の混合物(150mlのDCM中)を室温で1時間緩徐に撹拌した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(4.5g)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。メタノール(10ml)を添加し、混合物を1時間撹拌し、次に濾過し、DCMで1回、メタノールで1回、次にDCM(50ml)+DIPEA(5ml)で1回洗浄し、最初にDCMで、第2にメタノールにより、3回洗浄し、次に乾燥すると樹脂(I−a)5.23gを与えた。
【0084】
【化9】

【0085】
b)ピペリジン−1,4−ジカルボン酸モノ−(9H−フルオレン−9−イルメチル)エステル(Fmoc−イソニペコチン酸)(0.3ミリモル)をDCM(2ml)およびDMF(0.5ml)の混合物に溶解し、樹脂(I−a)(150mg)の混合物(1mlのDCM中)に添加し、次にTFFH(0.3ミリモル)(0.5mlのDCM中)およびDIPEA(0.6ミリモル)(0.5mlのDCM中)を添加した。反応混合物を室温で20時間震盪した。混合物を濾過し、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)で洗浄した。ピペリジンの混合物(3mlの20%DMF中)を添加し、反応混合物を室温で3時間震盪した。混合物を濾過し、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)で洗浄すると、樹脂(I−b)を与えた。
【0086】
【化10】

【0087】
c)1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.5ミリモル)の混合物(0.5mlのNMP中)を樹脂(I−b)(3mlのNMP中)に添加した。DIPEA(1ミリモル)(0.5mlのNMP中に溶解)を添加し、反応混合物を50℃の温度で18時間震盪した。反応混合物を冷却し、濾過し、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)で洗浄すると、樹脂(I−c)を与えた。
【0088】
【化11】

【0089】
d)樹脂(I−c)および塩化スズ(2ミリモル)の混合物(4mlのNMP中)を50℃の温度で94時間震盪した。反応混合物を冷却し、濾過し、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)で洗浄すると、樹脂(I−d)を与えた。
【0090】
【化12】

【0091】
[実施例A.5]
ナトリウムニトロマロンジアルデヒド水和物(0.0143モル)およびS−メチルイソチオウロニウムヘミスルフェート(0.0254モル)を水(40ml)に溶解し、ピペリジン−4−イル−酢酸エチルエステル(0.0214モル)(ピペリジン−4−イル−酢酸エチルエステル塩酸をその遊離塩基に転化させることにより得られる)を添加した。反応混合物を水浴上で10分間加熱し、1晩静置した。生成された沈殿物を濾去し、水で洗浄した。母液層をNaHCO(2g)で処理し、60℃で10分間暖め、次に混合物を冷却し、1晩静置した。最後に生成された沈殿物を濾取すると、[1−(5−ニトロ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−酢酸エチルエステル(中間体7)を与えた。
b)中間体(7)(0.011モル)の溶液(100mlの酢酸エチル中)を触媒として炭素上パラジウム(10%、0.3g)および水素(3当量)を使用して大気圧下で室温で16時間水素化した。反応混合物をシーライト上で濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を蒸発させると[1−(5−アミノ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−酢酸エチルエステル(中間体8)1.9gを与えた。
B.最終化合物の合成
【0092】
[実施例B.1]
中間体(6)(0.005モル)の溶液(5mlのジオキサン中)を中間体(2)(0.005モル)の溶液(15mlのジオキサン中)に添加し、トリエチルアミン(0.005モル)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水で希釈した。反応生成物を酢酸エチル(100ml)で抽出し、有機層を生理食塩水で洗浄し、乾燥し、蒸発させ、次に生成された油を、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(1:4)の混合物を使用するカラムクロマトグラフィーシリカゲルにより精製すると、(化合物14、mp.134〜137℃)を生成した。
【0093】
[実施例B.2]
4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−カルボン酸(0.3ミリモル)(1mlのDCMおよびDMF(80:20)の混合物中に溶解)を樹脂(I−d)(1mlのDCM中)に添加した。TFFH(0.3ミリモル)の溶液(1mlのDCM中)を添加し、次にDIPEA(0.6ミリモル)の溶液(1mlのDCM中)を添加した。反応混合物を48時間震盪した。反応混合物を濾過し、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)、CHOH(3×)、DCM(3×)およびCHOH(3×)で洗浄した。TFA/TIS/DCM(5:2:93)(4ml)を添加し、混合物を1時間震盪し、次に濾過した。更なるTFA/TIS/DCM(5:2:93)(2ml)を添加し、反応混合物を15分間震盪し、次に濾過した。濾液を50℃の窒素下で通気乾燥した。残留物をDCM(3ml)中に取り込み、NaCO水溶液で処理した。有機層をChromasil 5μmカラム(20mm内径×150mm)、溶離剤:100%DCM〜DCM/メタノール(90/10、15分間)上HPLCにより精製した。所望の画分を回収し、有機溶媒を蒸発させると、化合物(1)を与えた。
【0094】
[実施例B.3]
6−メチル−4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−カルボン酸(0.0025モル)を0℃でオキサリルジクロリド(2.4ml)および数滴のDCMを含む無水DCM(140ml)に溶解した。次に更なる6−メチル−4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−カルボン酸(0.0225モル)を窒素ガス流下で分割して添加した。均一な溶液が生成され、ガス発生が停止するまで反応混合物を40℃に緩徐に加熱した。混合物を室温に放置冷却し、次にブッフナーフィルター上で濾取した。濾過残留物をDCMに溶解し、次に中間体(4)(0.025モル)およびトリエチルアミン(3g)の溶液(140mlのDCM中)に0℃で滴下した。反応混合物を90分間室温に放置して暖めた。沈殿物を濾取し、乾燥し、Hyperprep C−18上HPLCにより精製すると、化合物(10)を与えた。
【0095】
化合物(10)(0.00042モル)を2−プロパノール(5ml)中に加熱により溶解させた。HClの溶液(6M)(0.00042モルの2−プロパノール中)を添加し、混合物を室温に冷却し、次に溶媒を蒸発させた。残留物をエタノールおよびDIPEの混合物から結晶化させると化合物(10)の塩酸付加塩を与えた。
【0096】
化合物(10)(0.00042モル)を加熱により2−プロパノール(5ml)に溶解した。メタンスルホン酸(0.00042モル)を添加し、溶液を室温に冷却した。沈殿物を濾取し、乾燥すると、化合物(10)のメタンスルホン酸塩付加塩を与えた。
【0097】
化合物(10)(0.00042モル)を加熱により2−プロパノール(5ml)に溶解した。マレイン酸(0.00042モル)を添加し、溶液を室温に冷却した。沈殿物を濾去し、乾燥すると、化合物(10)のマレイン酸塩付加塩を与えた。
【0098】
[実施例B.4]
化合物(16)(0.0014モル)をエタノール(5ml)中に懸濁させ、NH(5ml)を添加し、反応混合物を1晩還流撹拌した。混合物を室温に冷却し、沈殿物を濾去した。濾液を蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製すると、化合物(17)を与えた。
【0099】
[実施例B.5]
4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−カルボン酸(0.0072モル)(2.1mlのチオニルクロリド中)を窒素流下で3時間撹拌還流した。過剰なチオニルクロリドを蒸発により除去した。トルエン(10ml)を残留物に添加し、混合物を回転蒸発装置上で蒸発させた。残留物をDCM(10ml)に溶解し、窒素流下で0℃に冷却した。中間体(8)およびトリエチルアミン(1.1ml)の溶液(10mlのDCM中)を滴下した。反応混合物を緩徐に20℃に暖め、次に撹拌を16時間継続した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上カラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン(1:1))により精製すると化合物(16)2.76gを与えた。
【0100】
表F−1は前記の実施例の1つに従って調製された化合物を挙げる。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
C.薬理学的実施例
C.1.ApoBの分泌の定量
24−ウェルのプレート中でHepG2細胞を10%コウシ胎児血清を含有するMEM Rega 3中で培養した。70%の集密度で培地を代え、試験化合物もしくは担体(DMSO、0.4%最終濃度)を添加した。24時間培養後に、培地をエッペンドルフ管に移し、遠心分離により透明にした。どちらかのapoBに対するヒツジの抗体を上澄み液に添加し、混合物を8℃で24時間維持した。次にウサギの抗−ヒツジ抗体を添加し、免疫複合体を8℃で24時間放置して沈殿させた。免疫沈殿物を1320gで25分間の遠心分離によりペレット化し、40mMのMops、40mMのNaHPO、100mMのNaF、0.2mMのDTT、5mMのEDTA、5mMのEGTA、1%のTriton−X−100、0.5%のナトリウムデオキシコレート(DOC)、0.1%のSDS、0.2μMのロイペプチンおよび0.2μMのPMSFを含有するバッファーで2回洗浄した。ペレット中の放射能を液体シンチレーション計数により定量した。
【0104】
結果のIC50値は表C.1に列挙される。
【0105】
【表3】

【0106】
C.2.MTPアッセイ
MTP活性をJ.R.WetterauおよびD.B.ZilversmitによりChemistry and Physics of Lipids,38,205〜222(1985)に記載のものに類似のアッセイを使用して測定した。供与体および受容体小胞を調製するためにクロロホルム中の適当な脂質をガラス試験管に入れ、N流下で乾燥した。15mMのTrsi−HClpH7.5、1mMのEDTA、40mMのNaCl、0.02%のNaNを含有するバッファー(アッセイバッファー)を乾燥した脂質に添加した。混合物を短時間渦流撹拌し、次に脂質を氷上に20分間放置して水和させた。次に小胞を最大15分間、室温で浴音波処理(Branson 2200)により調製した。ブチル化ヒドロキシトルエンは0.1%の濃度ですべての小胞調製物中に含まれた。脂質移動アッセイ混合物は、1.5mlの微量遠心分離管中の、675μlの総容量中、供与体小胞(40ナノモルのホスファチジルコリン、7.5モル%のカルジオリピンおよび0.25モル%のグリセロールトリ[1−14C]−オレエート)、受容体小胞(240ナノモルのホスファチジルコリン)および5mgBSAを含有した。試験化合物をDMSO(0.13%最終濃度)中に添加、溶解した。37℃における前培養の5分後に、100μl透析バッファー中へのMTPの添加により反応を開始した。15mMのTrsi−HClpH7.5、1mMのEDTA、0.02%のNaN(1:1、容量/容量)中で前もって平衡化させた400μlのDEAE−52セルロースの添加により反応を停止させた。混合物を4分間撹拌し、エッペンドルフ遠心分離機(4℃)中で最大速度で2分間遠心分離して、DEAE−52結合供与体小胞をペレット化した。受容体リポソーム含有上澄み液のアリクオートを計数し、[14C]−数を使用して、供与体小胞から受容体小胞へのトリグリセリドの移動百分率を計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
は水素、C1−4アルキル、ハロまたはポリハロC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキル、ハロまたはポリハロC1−4アルキルであり、
は水素もしくはC1−4アルキルであり、
は水素、C1−4アルキルまたはハロであり、
nはゼロまたは1の整数であり、
およびXは双方とも炭素であるか、或いはXまたはXの一方が窒素である時にはXまたはXの他方は炭素であり、
は炭素であるか、或いはXまたはXの一方のみが窒素であるという条件のもとには窒素であり、
YはOまたNRであり、ここでRは水素もしくはC1−4アルキルであり、そして
は水素、場合によりC1−4アルキルオキシ、シアノ、ポリハロC1−4アルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりアリールで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりアリールで置換されていてもよいC3−6アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
アリールはフェニル、それぞれニトロ、アジド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルであり、
ヘテロアリールはピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、フラニルまたはチエニルであり、そして場合によりそれぞれニトロ、アジド、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−4アルキル、アミノ、モノ−またはジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、
の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容しうる酸付加塩および立体化学的異性体形態。
【請求項2】
、XおよびXが炭素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が炭素であり、Xが窒素であり、そしてXが炭素である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が窒素であり、Xが炭素であり、そしてXが炭素である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
nが整数ゼロである請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
nが整数1である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
製薬学的に許容しうる担体および治療的に活性な量の請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含んで成る製薬学的組成物。
【請求項8】
治療的に活性な量の請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を製薬学的に許容しうる担体と緊密に混合する請求項7に記載の製薬学的組成物の製法。
【請求項9】
医薬としての使用のための請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
a)式(II)
【化2】

式中、R、R、R、n、Y、X、XおよびXは請求項1で定義のとおりである、
の中間体を、少なくとも1種の反応不活性溶媒中で、場合により適した塩基の存在下で、式(III)
【化3】

式中、RおよびRは式(I)で定義されているとおりであり、Qはヒドロキシおよびハロから選択される、
を有するビフェニルカルボン酸またはハロゲン化物と反応させるか、或いは
b)式(I)の化合物を当該技術分野で既知の変換反応(transformation reaction)に従って相互に転化させるか、または所望に応じて、式(I)の化合物を酸付加塩に転化させるかまたは逆に、式(I)の化合物の酸付加塩をアルカリで遊離塩基に転化させ、そして所望に応じて、それらの立体化学的異性体形態を製造する、
式(I)の化合物の製法。

【公表番号】特表2006−500371(P2006−500371A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530089(P2004−530089)
【出願日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008694
【国際公開番号】WO2004/017969
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】